JP6809217B2 - ボーラスと保管用部材のセット、ボーラスと保管用部材の製造方法、及び保管用部材 - Google Patents
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このことを防ぐため、ボーラス(Bolus)という、高活性エネルギー線の吸収が人体組織と等価又は類似である物質を用いて、人体等の不規則な表面を平坦に、又は欠損した部分を充填し、ターゲットのみに高活性エネルギー線を照射するという方法が行われている。
ここで、前記人体組織と等価な物質とは、放射線の吸収又は散乱について実質的に人体組織と同じ性質を示す物質を意味する。
本発明のボーラスと保管用部材のセットは、ボーラスと、前記ボーラスの保管用部材と、を有し、前記ボーラスが、患者の放射線照射対象となる体表面部に沿った形状を有し、前記保管用部材が、前記ボーラスの形状に追従する形状を有し、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
言い換えると、患者の体表面部と前記領域に該当する部分の保管用部材は、表面形状が同一であることが好ましい。
前記ボーラス及び前記保管用部材が透明ではない場合、前記ボーラスと前記保管用部材の間にゼラチン溶液を挟み固化させ、膜厚が1mm以上になる領域を測定する方法や、レーザー顕微鏡などで表面の凹凸を観察し、接触している領域を算出する方法などがある。
前記ボーラス及び前記保管用部材の少なくともいずれかが透明である場合は、荷重をかけずに密着性を評価できるが、前記ボーラスと前記保管用部材の間に溶液を挟む場合は、必要に応じて荷重をかけてもよい。
前記ボーラスとしては、放射線治療を受ける患者の放射線照射対象となる体表面部に沿った形状を有し、前記患者の患部に対応した放射線の透過率分布を有することが好ましい。
・癌細胞以外の体表面部が、癌細胞よりも多くの放射線の影響を受け、さらに癌細胞より後ろにある細胞にも影響を及ぼす。
・生体に入射するX線の形を加工することができない。
・心臓や肺等の障害が発生すると致命的な臓器を避けて照射する必要がある。
前記X線の透過率分布を形成するためには、次に示す通り、ボーラスのX線透過率分布を設ける場合と、形状によりコントロールする(形状制御)場合の2通り、あるいは両者の組み合わせがある。
X線透過率分布の形成方法として例えば、インクジェット方式の三次元プリンターを用い、複数のボーラス形成用液体材料を用いることで達成可能である。特に、本発明で用いられるハイドロゲルは、組成(水分量)とX線透過率の関係が一義的に決まり、透過率のコントロールが容易であるため好ましい。
X線の透過率分布をボーラスに付与する方法としては、前記ボーラスの膜厚を任意に変化させ、形状を制御する形状制御を用いることもできる。
このように、ボーラス組成分布、膜厚の任意なコントロール、及び両者の組合せは、三次元プリンターによる造形方法で行うことが好ましい。
更に、前記水平面と曲線の法線がなす角が10°以上85°未満の領域としては、例えば、30%以上含むことが好ましく、10°以上80°以下の領域を30%以上含むことがより好ましく、20°以上70°以下の領域を30%以上含むことがより好ましく、30°以上60°以下の領域を10%以上含むことが特に好ましい。
なお、剥離を目的とした微細な加工は曲線部分には含めないため、1mm以下の凹凸の箇所はパテなど埋めた状態で曲線を測定する。
ボーラスの断面形状を観察する方法としては、物理的にボーラスを切断して断面を見てもよく、三次元測定器(装置名:CNC三次元測定機CRYSTA−Apex S、株式会社ミツトヨ製)を用いてもよい。
前記皮膜としては、前記ボーラスの耐乾燥性及び防腐性を向上できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂などが挙げられる。
さらに、前記皮膜の形成材料を溶剤に溶解して、ボーラス形成用液体材料を用いて前記三次元プリンターでボーラスを造形する際に同時に皮膜を形成してもよい。
いずれの場合も、皮膚への密着性が重要であるため、患者の放射線照射対象となる体表面部の三次元データに基づき、作製したボーラス表面形状を損ねることのない皮膜を形成することが好ましい。
さらに、前記ボーラスの表面にマーキングなどの記入を行うことができない場合には、ボーラスの表面に皮膜を形成することにより、放射線治療時の手順や、患者名などを書き込むことができるため、ボーラスとしての機能性を付与することができる。
前記天然有機高分子由来の含水ゲルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カラギーナン、ローカストビーンガム、グルコマンナン、デンプン、カードラン、グアーガム、寒天、カシアガム、デキストラン、アミロース、ゼラチン、ペクチン、キサンタンガム、タラガム、ジェランガムなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ハイドロゲルとしては、水、ポリマー、鉱物、有機溶媒を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
さらに、前記ハイドロゲルは、ポリマーと水を主成分として構成されていることから、前記CT値は人体の値に近いため好ましい。
前記ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有するポリマーが挙げられ、ホモポリマー(単独重合体)及びヘテロポリマー(共重合体)であってもよく、ホモポリマーが好ましい。さらに、前記ポリマーとしては、変性されていてもよく、公知の官能基が導入されていてもよく、また塩の形態であってもよいが、水溶性であることが好ましい。
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
前記水には、保湿性付与、抗菌性付与、導電性付与、硬度調整などの目的に応じて有機溶媒等のその他の成分を溶解及び分散させてもよい。
前記鉱物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水膨潤性層状粘土鉱物などが挙げられる。
前記水膨潤性ヘクトライトは、適宜合成したものであってもよいし、市販品であってもよい。前記市販品としては、例えば、合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)、SWN(Coop Chemical Ltd.製)、フッ素化ヘクトライトSWF(Coop Chemical Ltd.製)などが挙げられる。これらの中でも、ボーラスの弾性率の点から、合成ヘクトライトが好ましい。
前記水膨潤性とは、層状粘土鉱物の層間に水分子が挿入され、水中に分散されることを意味する。
前記有機溶媒は、ボーラスの保湿性を高めるために含有される。
前記有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルコールエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保湿性の点から、多価アルコールが好ましく、グリセリン、プロピレングリコールがより好ましい。
前記有機溶媒の含有量は、ボーラスの全量に対して、10質量%以上50質量%以下が好ましい。前記含有量が、10質量%以上であると、乾燥防止の効果が十分に得られる。また、50質量%以下であると、層状粘土鉱物が均一に分散される。
前記有機溶媒の含有量が、10質量%以上50質量%以下であると、人体の組成からのずれが小さく、ボーラスとしての良好な機能が得られる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸等のホスホン酸化合物、安定化剤、表面処理剤、重合開始剤、着色剤、粘度調整剤、接着性付与剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、紫外線吸収剤、可塑剤、防腐剤、分散剤などが挙げられる。
前記CT値とは、コンピュータ断層撮影装置で骨1,000、水0、空気−1,000としてキャリブレーションされた値である。
本発明のボーラスは放射線治療に供されるものであり、体組成に近いことが好ましい。前記体組成におけるCT値は身体の部位によって異なり、筋肉では35〜50程度、内臓も部位により異なり、肝臓は45〜75程度、膵臓では25〜55程度、脂肪は−50〜−100程度、血液は10〜30程度であることが知られている。
このため、照射する部位にもよるが、概ね前記CT値が、−100以上100以下であると、放射線の吸収、又は散乱について実質的な人体組織と同じ性質を示すボーラスが得られる。より望ましくは0以上100以下であり、更に0以上70以下であると、非常に近い性質であると言える。
前記保管用部材としては、前記ボーラスの形状に追従する形状を有し、更に必要に応じてその他の部材を含む。
前記熱溶融又は溶媒に溶解したプラスチックを用いる場合、放冷及び脱溶剤によって固化させてもよいし、石膏及び砂のような無機微粒子を成型した後に固化させる方法、若しくは樹脂に無機微粒子を加えて成型してもよい。
本発明の第一の態様のボーラスと保管用部材の製造方法としては、例えば、前記ボーラス形成用液体材料を型に注入する工程を含み、前記保管用部材形成用液体材料を型に注入する工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
前記ボーラス形成用液体材料は、水、鉱物、及び重合性モノマーを含有し、有機溶媒、を含有することが好ましく、更に必要に応じて重合開始剤及びその他の成分を含有する。
前記水、前記鉱物、前記有機溶媒、及び前記その他の成分としては、前記ボーラスと同様のものを用いることができる。
前記重合性モノマーとしては、不飽和炭素−炭素結合を1つ以上有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単官能モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。
前記単官能モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体、その他の単官能モノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記多官能モノマーとしては、2官能モノマー、3官能モノマー、4官能以上のモノマーなどが挙げられる。
前記重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。
前記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、p,p−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、テトラメチルエチレンジアミンは、アクリルアミドをポリアクリルアミドゲルとする重合・ゲル化反応の開始剤として用いられる。
前記第一の態様は、前記ボーラス形成用液体材料を型に注入する工程を含み、前記ボーラス形成用液体材料から得た形状を用いて、前記ボーラスと同一形状の造形物Bを形成する工程と、前記造形物Bを用いて保管用部材を得る工程と、を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記型としては、前記ボーラス形成用液体材料に侵されない材質で構成されていれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記ボーラス形成用液体材料の液漏れしないものを用いることが好ましい。
前記型としては、印象材、機械研磨、切削、材料押出堆積法(FDM)、マテリアルジェッティング、バインダージェッティング、粉末焼結積層造形(SLS/SLM)などにより作製することができるが、公知のインクジェット光造形装置(例えば、三次元プリンター、装置名:アジリスタ、株式会社キーエンス製)で作製することが好ましい。
ここで、前記体表面部に沿った形状を有するとは、患者の放射線照射対象となる体表面部における、身体の凹部又は凸部のそれぞれに対して凸部又は凹部となるような一定の形状を保持していることを意味する。これにより、患者の皮膚に完全に追従する表面形状をもつボーラスが形成される。
図8は造形物141と同形状のボーラス148と、ボーラスが患者の体表面部に接する面と対向する保管用部材145を表し、ボーラスが患者の体表面部に接しない面と対向する保管用部材144を用いた保管状態を表す。
前記第二の態様としては、前記ボーラス形成用液体材料を吐出して成膜し、前記成膜した膜を硬化させ前記ボーラスを造形するボーラス造形工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
また、第二の態様は、前記保管用部材形成用液体材料を吐出して成膜し、前記成膜した膜を硬化させ前記保管用部材を造形する保管用部材造形工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
前記ボーラス造形工程は、立体造形装置を用いた立体造形方法において、ボーラスの形状の3Dデータに基づきボーラス形成用液体材料を吐出し、前記ボーラス形成用液体材料を硬化させ前記ボーラスを造形する工程であり、ボーラス造形手段により実施される。
これらの中でも、液滴の定量性が良く、塗布面積を広くでき、複雑な立体形状を精度良くかつ効率よく形成し得る点からインクジェット方式が好ましい。
前記三次元プリンターは、ボーラスの材料を印字できる方式が好ましく、インクジェット(マテリアルジェット)方式、あるいはディスペンサー方式によりボーラス形成用液体材料を吐出し、UV光により硬化する方式が有効に用いられる。こちらの方法の場合、ボーラスを形成する材料を複数用いることができるため、ボーラス全体を同一組成ではなく、組成に分布を設けることが可能になる。特に、患者の治療すべき患部に合わせ、X線透過率をコントロールできるようなX線透過率分布を設けることができる。これは、癌細胞以外の正常細胞に与えるダメージを極力減少させることができる有効な手法である。
前記保管用部材造形工程は、立体造形装置を用いた立体造形方法において、ボーラスの形状の3Dデータに基づき保管用部材形成用液体材料を吐出し、前記保管用部材形成用液体材料を硬化させ前記保管用部材を造形する工程であり、保管用部材造形手段により実施される。
液体材料吐出ヘッドユニット111、112及び紫外線照射機113と、ボーラス117及び保管用部材118とのギャップを一定に保つため、積層回数に合わせて、造形物支持基板114及びステージ115を下げながら積層する。
前記三次元プリンター110では、紫外線照射機113は矢印A、Bいずれの方向に移動する際も使用し、その紫外線照射に伴って発生する熱により、積層された保管用部材形成用液体材料表面が平滑化され、結果としてボーラスの寸法安定性が向上できる。
造形終了後、図10に示すようにボーラス117と保管用部材118を垂直方向に引っ張り剥離したところ、保管用部材118は一体として剥離され、ボーラス117を容易に取り出すことができる。
なお、保管用部材形成用液体材料を用いて保管用部材を形成した後に、保管用部材上にボーラス形成用液体材料を吐出し、硬化することにより、連続的に造形することもできるが、111及び112を同時に用いることにより、保管用部材部分及びボーラス部分を同時に造形していくことも可能である。つまり、保管用部材部分をサポート部として、ボーラス部分をモデル部として製造することも可能である。
前記三次元プリンターを用いた造形は、前記保管用部材形成用液体材料を用い、三次元プリンターにて直接造形するものである。
前記三次元プリンターとしては、インクジェット方式の三次元プリンター、又は光造形方式の三次元プリンターであることが好ましい。これらの三次元プリンターを用いると、保管用部材を生成する中間体となる造形物Bを作製する必要がなくなり、造形による誤差を小さくすることができ、前記ボーラスの凹凸形状に合わせた微細な精度を有する保管用部材を得ることができる。
前記三次元プリンターは、保管用材料を印字できる方式が好ましく、インクジェット(マテリアルジェット)方式、ディスペンサー方式が好ましい。印字した保管用部材形成用液体材料を固化する方法は、印字前に予め保管用部材形成用液体材料を加温し印字後に放冷して固化させる方法、保管用部材形成用液体材料に揮発成分を含有し印字後に揮発して固形分濃度を高めることで固化させる方法、重合可能なモノマーと熱重合開始剤を含む保管用部材形成用液体材料を印字し、印字面を加温することで固化させる方法、重合可能なモノマーを含む保管用部材形成用液体材料を印字し、印字面にUV光を照射することで固化させる方法、などが有効である。
前記その他の工程としては、離型部造形工程をさらに含んでもよい。
前記水に難溶〜不溶、且つアルコールに可溶な樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、塩ビ-酢ビ共重合体、及びエチレン-酢ビ共重合体などが挙げられる。前記水に難溶〜不溶、且つアルコールに可溶な樹脂を用いることにより、造形後の離型性を向上させることができる。
前記離型剤は、造形後に完全に除去してもよいし、除去しなくてもよい。
本発明のボーラス及び保管用部材には、更に必要に応じて識別部を設けてもよい。前記識別部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、英数字や名前などを表す文字や記号、マークでもよいし、バーコードや、QRコード(登録商標)、CPコード、SPコード、カメレオンコードなどの2次元コード、3次元コードなどが挙げられる。また、前記識別部は、立体形状であってもよい。前記識別部を設けることにより、前記ボーラスが前記保管用部材に対して正しい位置で設置されているかの判別や、他人の患者のボーラスと識別できる。これにより、前記ボーラスが可塑性を有する場合、前記保管用部材に正しく収まっていないと、前記ボーラスは変形してしまい、ボーラスとしての機能を著しく低下することを防止することができる。また、他の患者のボーラスと取り違えが生じないよう識別することができる。
本発明の保管用部材は、ボーラスを保管する部材であって、前記部材が、前記ボーラスの表面形状に追従し、前記ボーラスとの接触する領域の面積が大きいことにより前記ボーラスの形状を維持する形状保持部と、
前記ボーラスを外界から閉鎖する構造と、を有することが好ましい。
なお、表面形状に追従するとは、本発明のボーラスと保管用部材のセットと同義である。
ボーラスを保管用部材に設置した状態で、X線検査装置(装置名:Xslicer SMX−6000、株式会社島津製作所製)などにより測定することができる。
ボーラスを保管用部材に設置し、デジタルカメラ(装置名:CX6、株式会社リコー製)により撮影し、撮影画像を画像処理ソフト(ソフト名:PhotoShop、アドビシステムズ株式会社製)により解析することにより接触面積を測定した。測定した接触面積の値から、下記式にしたがって接触面積比率(%)を算出した。
・接触面積比率(%)={(接触面積(mm2))/(ボーラスの下底面の面積(mm2))}×100・・・式1
なお、実施例において作製したボーラスと保管用部材の組合せにおいては、前記ボーラスと前記保管用部材の表面形状は追従していたことを目視にて確認した。
−ボーラス1の作製−
特公平6−047030号公報の実施例2に記載の方法に基づき、ポリビニルアルコール(平均重合度:約1,000、ケン化度:88モル%)800gを水3,200gに入れ、60℃に加熱しながら溶解し、20%水溶液のボーラス形成用液体材料1を調製した。
次に、油粘土(商品名:KY油粘土、株式会社デビカ製)の上に塩化ビニリデンフィルム(商品名:ヒタチラップ、日立化成株式会社製)を載せ、その上にピンアート(ピンインプレッション製)を用いて患者の体表面部(顔)をおしつけることで、患者の体表面を模倣した型1を作製した。前記ボーラス形成用液体材料1を前記型1に流し込み、25℃、30分間放置することにより固化させ、液体固化物1を得た。前記液体固化物1を真空凍結乾燥機(DFR−5N−B、株式会社ULVAC製)で−30℃に冷却(凍結)後、解凍する操作を7回繰り返し、前記型1の形状を有する縦200mm×横200mm×厚さ10mmのボーラス1を得た。
純水400gに、寒天(和光純薬工業株式会社製)を4.0g加え、撹拌しながら70℃まで加熱した。寒天水溶液をフィルター(商品名:定量ろ紙No.3、ADVANTEC株式会社製)でろ過し、50℃まで冷却して保管用部材用液体材料1を調製した。前記保管用部材用液体材料1を200mm四方の型に流し込み、液面にマネキン頭部A(株式会社大創産業販売製)の顔部分を入れ、マネキン頭部Aの水平方向の断面積が最大になる高さで保持する。常温(25℃)まで冷却し、前記保管用部材用液体材料1が固化したら、マネキン頭部を取り出し、保管用部材1を得た。
なお、前記ボーラス1と前記保管用部材1とを組み合わせ、ボーラスと保管用部材のセットとした。
また、ボーラス1と保管用部材1との距離を測定した結果、平均距離は11.8mm、最大距離は36.2mmであった。ボーラス1と患者の表面部との接触面積比率は78.9%、ボーラス1と保管用部材1との接触面積比率は、75.2%であった。
−ボーラス2の作製−
高純水900gを、アルジネート(有限会社浅草ギ研製)450gに加え、均一なクリーム状の液体になるように撹拌する。次に、前記液体を患者の体表面部(顔)に塗布し、15分間、25℃にて放置し、前記液体を固化させ、液体固化物2を得た。前記液体固化物2を取り出し、型の内側の寸法が、縦200mm×横200mm×厚さ10mmの型2を得た。
次に、実施例1において、型1を型2に変更した以外は、実施例1のボーラスの作製と同様にして、ボーラス2を得た。
前記ボーラス2と前記保管用部材1を組み合わせ、ボーラスと保管用部材のセットとした。
−保管用部材2の作製−
蒸留水100gに、低膨張硬質模型用石膏(商品名:ハイストーンB型、吉野石膏販売株式会社製)238g加え、8分間撹拌することにより石膏溶解液を調製した。前記石膏溶解液をボーラス2の作製に用いた前記型2に流し込み、1時間、25℃にて放置した。その後、50℃に設定した恒温槽に24時間保管し、前記石膏溶解液を固化させ、ボーラス同一造形物Bを得た。
実施例1において、マネキン頭部をボーラス同一造形物Bに変更した以外は、実施例1と同様にして保管用部材2を得た。
前記ボーラス2と前記保管用部材2を組み合わせ、ボーラスと保管用部材のセットとした。
−ボーラス3の作製−
ポリビニルアルコール(平均重合度:約500、ケン化度:92モル%)800gを水3,200gに加え、60℃に加熱しながら溶解し、25%水溶液のボーラス形成用液体材料2を調製した。次に、実施例2で製造された型2に前記ボーラス形成用液体材料2を流し込み、25℃、30分間放置することにより固化させ、液体固化物2を得た。前記液体固化物2を真空凍結乾燥機(装置名:DFR−5N−B、株式会社ULVAC製)で−30℃に冷却(凍結)後、解凍する操作を7回繰り返し、前記型2の形状を有する縦200mm×横200mm×厚さ10mmのボーラス3を得た。
前記ボーラス3と前記保管用部材2を組み合わせ、ボーラスと保管用部材のセットとした。
−保管用部材3の作製−
パラフィンワックス(商品名:パラフィンワックス115、日本精鑞株式会社製)400gを攪拌しながら70℃まで加温し、前記パラフィンワックスの溶解液をフィルター(商品名:定量ろ紙No.3、ADVANTEC株式会社製)でろ過し、保管用部材用液体材料2を調製した。
実施例3において、保管用部材用液体材料1を保管用部材用液体材料2に変更した以外は、実施例3と同様にして、保管用部材3を得た。
前記ボーラス3と前記保管用部材3を組み合わせ、ボーラスと保管用部材のセットとした。
−ボーラス4の作製−
純水165質量部を撹拌させながら、水膨潤性層状粘土鉱物として[Mg5.34Li0.66Si8O20(OH)4]Na− 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)17質量部を少しずつ添加し、3時間撹拌した後、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(東京化成株式会社製)0.7質量部添加し、更に1時間撹拌を行った。その後、グリセリン(坂本薬品工業株式会社製)30質量部を添加し、撹拌を10分間行うことにより分散液を得た。
次に、得られた分散液に重合性モノマーとして、活性アルミナのカラムを通過させ重合禁止剤を除去したアクロイルモルフォリン(KJケミカルズ株式会社製)を17質量部、N,N−ジメチルアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)を4質量部、ライトアクリレート9EG−A(共栄社化学株式会社製)を1質量部添加した。更に、界面活性剤としてエマルゲンLS−106(花王株式会社製)を1質量部添加して混合した。次に、氷浴で冷却しながら、光重合開始剤として1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184、BASF社製)のメタノール4質量%溶液を2.4質量部添加し、撹拌混合の後、減圧脱気を20分間実施し、ろ過により不純物等を除去し、ボーラス形成用液体材料3を得た。
実施例4において、ボーラス形成用液体材料3をボーラス形成用液体材料4に変更した以外は、実施例4と同様にしてボーラス4を得た。
前記ボーラス4と前記保管用部材3を組み合わせ、ボーラスと保管用部材のセットとした。
−保管用部材4(u)の作製−
実施例5の保管用部材3を作製した保管用部材用液体材料2を用いた。
前記保管用部材用液体材料2の半分量を、型の内側の寸法が、縦200mm×横200mm×高さ50mmの型に流し込み、保管用部材2の作製に用いたボーラス同一造形物Bを用いて、液面に入れ、水平方向で最大面積になる高さで保持する。常温まで冷却し、前記保管用部材用液体材料3が固化したら、前記ボーラス同一造形物Bを取り出し、保管用部材4(u)を得た。
前記保管用部材4(u)の凹凸がボーラス4の表面の凹凸に対応するようにボーラス4を設置し、接触面が密着することを確認した。
前記保管用部材用液体材料2の残りの半分を、型の内側の寸法が、縦200mm×横200mm×高さ50mmの型に流し込み、保管用部材2の作製に用いたボーラス同一造形物Bを液面に入れた。この際、前記ボーラス同一造形物Bは、保管用部材4(u)を作製した時とは反対側の面を液面に入れた。常温まで冷却し、前記保管用部材用液体材料2が固化したら、前記ボーラス同一造形物Bを取り出し、保管用部材4(o)を得た。
前記ボーラス4と前記保管用部材4を組み合わせ、ボーラスと保管用部材のセットとした。
ここで得られた保管用部材4(u)及び4(o)は、ボーラス4の表面の凹/凸と対応する凸/凹の表面を有しており、ボーラスの変形を抑止できる。また、保管用部材4(u)及び4(o)は接する部分の凹凸が組み合わさるため、ボーラス4が外界に露出せず密閉された状態になる。これにより、乾燥や形状変化、浮遊物の付着などを抑制できる。
−保管用部材5(u)及び(o)の作製−
実施例5の保管用部材3を作製した保管用部材用液体材料2を用いた。
前記保管用部材用液体材料2の半分量を、型の内側の寸法が、縦200mm×横200mm×高さ50mmの型に流し込み、ボーラス同一造形物Bを液面に入れ、水平方向で最大面積になる高さで保持する。常温まで冷却し、前記保管用部材用液体材料2が固化したことを確認した。固化した前記保管用部材用液体材料2の表面に界面活性剤(商品名:フタージェントFT710FL、株式会社ネオス製)を薄く塗布し、塗布面側に、前記保管用部材用液体材料3の残り半分を入れ、常温まで冷却し、前記保管用部材用液体材料2が固化したことを確認し、ボーラス同一造形物Bを取り出して、2つの保管用部材用液体材料固化物を得た。
得られた2つの保管用部材用液体材料固化物のうち、最初に固化したもの(下)を保管用部材5(u)、最後に固化したもの(上)を保管用部材5(o)とした。
前記ボーラス4と前記保管用部材5(u)及び5(o)を組み合わせ、ボーラスと保管用部材のセットとした。
ここで得られた保管用部材5(u)及び5(o)は、ボーラス4の表面の凹/凸と対応する凸/凹の表面を有しており、ボーラスの変形を抑止できる。また、保管用部材5(u)及び5(o)は接する部分の凹凸が組み合わさるため、ボーラスが外界に露出せず密閉された状態になる。これにより、乾燥や形状変化、浮遊物の付着などを抑制できる。
実施例8において、ボーラス同一造形物Bをボーラス4に変更した以外は、実施例8と同様にして、保管用部材6(u)及び6(o)を得た。
前記ボーラス4と前記保管用部材6(u)及び6(o)を組み合わせ、ボーラスと保管用部材のセットとした。
ここで得られた保管用部材6(u)及び6(o)は、ボーラス4の表面の凹/凸と対応する凸/凹の表面を有しており、ボーラスの変形を抑止できる。また、保管用部材6(u)及び6(o)は接する部分の凹凸が組み合わさるため、ボーラスが外界に露出せず密閉された状態になり、乾燥や形状変化、浮遊物の付着などを抑制できる。加えて、保管用部材にボーラスを収めて造形するため、作業スペースの軽減や造形中に紛失する可能性を低くできる。
<保管用部材用液体材料3の調製>
重合性モノマーとしてメタクリル酸メチル(東京化成工業株式会社製)100質量部に対して、重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、BASF社製)3質量部を、ホモジナイザー(日立工機株式会社製、HG30)を用いて、回転数2,000rpmで均質な混合物が得られるまで分散した。続いてろ過を行い、不純物等を除去し、最後に真空脱気を10分間実施し、均質な保管用部材用液体材料3を得た。
図11に示すようなインクジェット方式の三次元プリンターに、前記ボーラス形成用液体材料3、及び保管用部材用液体材料3を充填し、インクジェットヘッド(リコーインダストリー株式会社製、GEN4)2個に充填し、吐出させ、製膜を行った。
造形は患者の乳房表面のCTデータを用い、これを元に3Dプリント用のデータに変換した。このデータを基に、ボーラス及び保管用部材を造形した。
紫外線照射機(装置名:SPOT CURE SP5−250DB、ウシオ電機株式会社製)を用いて紫外光を照射して前記ボーラス形成用液体材料3、及び保管用部材用液体材料3を硬化させながら、ボーラス及び保管用部材の形成を行い、ボーラス5と保管用部材7(u)、7(o)を作製した。
前記ボーラス5と前記保管用部材7(u)及び7(o)を組み合わせ、ボーラスと保管用部材のセットとした。
<ボーラス6及び保管用部材8(u)、8(o)の作製>
図11に示すようなインクジェット方式の三次元プリンターに、前記ボーラス形成用液
体材料3、保管用部材用液体材料3、及び離型剤としてシリコーンオイルを充填し、インクジェットヘッド(リコーインダストリー株式会社製、GEN4)3個に充填し、吐出させ、製膜を行った。
上記の点以外は、実施例10と同様にして、ボーラス6並びに保管用部材8(u)及び8(o)を作製した。
前記ボーラス6と前記保管用部材8(u)及び8(o)を組み合わせ、ボーラスと保管用部材のセットとした。
<ボーラス101の作製>
前記ボーラス形成用液体材料1を、型の内側の寸法が、縦200mm×横200mm×高さ50mmの型3に流し込み、放冷してボーラス101を得た。
ボーラス101は平板で、平面においている状態で形状が変化することはなかったが、患者とボーラスの密着性が悪く、ボーラスの機能としては十分ではなかった。
<保管用部材201の作製>
前記保管用部材用液体材料1を用いて、縦200mm×横200mm×高さ50mmの内部形状を持つ型に保管用部材用液体材料1を流し込み、常温まで冷却する。固化した保管用部材用液体材料1を型から取り出し保管用部材201を得た。
実施例1で得られたボーラス1を保管用部材201の上に置き、1週間、常温(25℃)下で保管した。
1週間保管後のボーラス1は、作製直後のボーラス1の形状から変形を生じており、ボーラスの機能が著しく低下した。
<保管用部材202の作製>
前記保管用部材用液体材料1を用いて、直径200mm、高さ50mmの円錐をかたどった内部形状を持つ型に保管用部材用液体材料1を流し込み、常温まで冷却する。固化した保管用部材用液体材料1を型から取り出し保管用部材202を得た。
その結果、保管用部材202はボーラス1の形状に追従しておらず、1週間保管後のボーラス1は、作製直後のボーラス1の形状から変形を生じており、ボーラスの機能が低下した。
実施例及び比較例において測定したボーラスと患者の体表面部における接触面積比率(%)を用いて、下記評価基準に基づき評価した。なお、「密着性」が「D」以上であれば使用上問題のないレベルである。
[評価基準]
A:90%以上
B:85%以上90%未満
C:80%以上85%未満
D:75%以上80%未満
E:75%未満
作製したボーラス及び保管用部材を、表面凹凸が対応するように設置し、前記密着性を測定した後、25℃、相対湿度65%環境下において、1週間保管し、再度密着性を測定する。10個のサンプルについて、同様の手順で処理し、下記式を用いて形状保持率を求め10個のサンプルの平均値を算出し、下記評価基準に基づき評価した。また、実施例1から6及び比較例2から3に関しては、ボーラスを保管用部材の上に載せて保管し、実施例7から11に関しては、ボーラスを下部保管用部材と上部保管用部材で挟み込むように設置し保管した。比較例2および3はボーラス形状に追従しない表面形状を有する保管用部材で保管した。なお、「形状保持性」が「D」以上であれば使用上問題のないレベルである。
・形状保持率(%)={(1週間保管後の密着度)/(作製直後の密着度)}×100
[評価基準]
A:96%以上
B:93%以上96%未満
C:90%以上93%未満
D:85%以上90%未満
E:85%未満
ボーラス及び保管用部材の造形において、下記評価基準に基づき、「生産性」を評価した。
A:型が不要で、保管用部材(u)、ボーラス、及び保管用部材(o)を連続して造形できる。造形したボーラスは容易に取り外せる。
B:保管用部材(u)、ボーラス、及び保管用部材(o)を連続して造形できる。
C:ボーラス及び保管用部材の型が必要になる
また、実施例4〜11の結果から、ボーラス硬度を小さくすることにより、患者の体表面部との密着性が向上することがわかった。
さらに、実施例10及び11の結果から、前記ボーラスと前記保管用部材を三次元プリンターにより造形することにより、前記密着性、及び前記形状保持性に優れ、さらに生産性に優れるボーラスと保管用部材のセットを得ることができることがわかった。
<1> ボーラスと、前記ボーラスの保管用部材と、を有し、
前記ボーラスが、患者の放射線照射対象となる体表面部に沿った形状を有し、
前記保管用部材が、前記ボーラスの形状に追従する形状を有することを特徴とするボーラスと保管用部材のセットである。
<2> 前記ボーラスを保管用部材上に保持させた保管状態において、
前記ボーラスと、前記保管用部材との対向する面の平均距離が、5mm以下である前記<1>に記載のボーラスと保管用部材のセットである。
<3> 前記ボーラスを保管用部材上に保持させた保管状態において、
前記ボーラスと、前記保管用部材との対向する面の平均距離が、2mm以上5mm以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載のボーラスと保管用部材のセットである。
<4> 前記ボーラスを保管用部材上に保持させた保管状態において、
前記ボーラスと、前記保管用部材との接する面積が、30%以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載のボーラスと保管用部材のセットである。
<5> 前記ボーラスを保管用部材上に保持させた保管状態において、
前記ボーラスと、前記保管用部材との接する面積が、90%以上である前記<1>から<4>のいずれかに記載のボーラスと保管用部材のセットである。
<6> 前記ボーラスを保管用部材上に保持させた保管状態において、
前記ボーラスと、前記保管用部材との対向する面の最大距離が10mm以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載のボーラスと保管用部材のセットである。
<7> 前記ボーラスと、前記保管用部材との硬度差が、10以上である前記<1>から<6>のいずれかに記載のボーラスと保管用部材のセットである。
<8> 前記ボーラスの硬度が、60以下である前記<1>から<7>のいずれかに記載のボーラスと保管用部材のセットである。
<9> 前記保管用部材の硬度が、90以上である前記<1>から<8>のいずれかに記載のボーラスと保管用部材のセットである。
<10> 前記ボーラスが、ハイドロゲルを含む前記<1>から<9>のいずれかに記載のボーラスと保管用部材のセットである。
<11> 前記保管用部材が、前記ボーラスを外界から閉鎖する構造を有する前記<1>から<10>のいずれかに記載のボーラスと保管用部材のセットである。
<12> 前記ボーラスが、前記保管用部材との組合せであることを識別する識別部を有する前記<1>から<11>のいずれかに記載のボーラスと保管用部材のセットである。
<13> 前記保管用部材が、前記ボーラスとの組合せであることを識別する識別部を有する前記<1>から<11>のいずれかに記載のボーラスと保管用部材のセットである。
<14> 前記ボーラスを前記保管用部材上に保持させた保管状態において、
前記ボーラスを前記保管用部材に対して垂直方向に切断したときの前記ボーラスの断面における前記保管用部材と対向する線が曲線を有し、
前記曲線が、前記ボーラスを前記保管状態で前記保管用部材に対して垂直方向に切断したときに、
水平面と前記曲線の法線とのなす角が5°以上85°未満となる曲線部分を有し、
前記曲線部分からなる領域の面積が、前記ボーラスと前記保管用部材とが接触する領域の面積に対して、10%以上である前記<1>から<13>のいずれかに記載のボーラスと保管用部材のセットである。
<15> 立体造形装置を用いた立体造形方法において、
ボーラスの形状に基づく3Dデータを用いて前記ボーラスを造形するボーラス造形工程と、
前記ボーラスの保管用部材の形状に基づく3Dデータを用いて前記保管用部材を造形する保管用部材造形工程と、を含むことを特徴とするボーラスと保管用部材の製造方法である。
<16> 前記ボーラス造形工程と、前記保管用部材造形工程と、を連続又は同時に行う前記<15>に記載のボーラスと保管用部材の製造方法である。
<17> サポート部を造形する工程と、
モデル部を造形する工程と、を有し、
前記サポート部を前記保管用部材として製造し、前記モデル部を前記ボーラスとして製造する前記<15>から<16>のいずかに記載のボーラスと保管用部材の製造方法である。
<18> インクジェット方式または光硬化方式により造形する前記<15>から<17>のいずれかに記載のボーラスと保管用部材の製造方法である。
<19> 前記保管用部材と、前記ボーラスとの間に離型部を造形する離型部造形工程をさらに含む前記<15>から<18>のいずれかに記載のボーラスと保管用部材の製造方法である。
<20> ボーラスを保管する部材であって、
前記部材が、前記ボーラスの表面形状に追従し、前記ボーラスとの接触面積が大きいことにより前記ボーラスの形状を維持する形状保持部を有することを特徴とする保管用部材である。
<21> 前記ボーラスを外界から閉鎖する構造をさらに有する前記<20>に記載の保管用部材である。
12、118、138、143、144、145、170、191、192:保管用部材
13:ボーラスの凹凸形状に保管用部材の凹凸形状が追従するする形状
171、175、176、177:識別部
173、174、193:ボーラスと保管用部材のセット
221、222、223:水平面と曲線部分の法線とのなす角
224:水平面と曲線の法線とのなす角が5°以上85°未満となる曲線部分
Claims (13)
- ボーラスと、前記ボーラスの保管用部材と、を有し、
前記ボーラスが、患者の放射線照射対象となる体表面部に沿った形状を有し、
前記保管用部材が、前記ボーラスの前記患者の放射線照射対象となる体表面部に沿った形状に追従する形状を有することを特徴とするボーラスと保管用部材のセット。 - 前記ボーラスと前記保管用部材とのアスカーゴム硬度計C2型で測定した硬度の硬度差が、10以上である請求項1に記載のボーラスと保管用部材のセット。
- 前記ボーラスのアスカーゴム硬度計C2型で測定した硬度が、60以下である請求項1から2のいずれかに記載のボーラスと保管用部材のセット。
- 前記ボーラスが、ハイドロゲルを含む請求項1から3のいずれかに記載のボーラスと保管用部材のセット。
- 前記保管用部材が、前記ボーラスを外界から閉鎖する構造を有する請求項1から4のいずれかに記載のボーラスと保管用部材のセット。
- 前記ボーラス及び前記保管用部材の少なくともいずれかが、識別部を有する請求項1から5のいずれかに記載のボーラスと保管用部材のセット。
- 前記ボーラスを前記保管用部材上に保持させた保管状態において、
前記ボーラスを前記保管用部材に対して垂直方向に切断したときの前記ボーラスの断面における前記保管用部材と対向する線が曲線を有する請求項1から6のいずれかに記載のボーラスと保管用部材のセット。 - 立体造形装置を用いた立体造形方法において、
患者の放射線照射対象となる体表面部に沿った形状を有するボーラスの形状に基づく3Dデータを用いて前記ボーラスを造形するボーラス造形工程と、
前記ボーラスの前記患者の放射線照射対象となる体表面部に沿った形状に追従する形状を有する保管用部材の形状に基づく3Dデータを用いて前記保管用部材を造形する保管用部材造形工程と、を含むことを特徴とするボーラスと保管用部材の製造方法。 - 前記ボーラス造形工程と、前記保管用部材造形工程と、を連続又は同時に行う請求項8に記載のボーラスと保管用部材の製造方法。
- サポート部を造形する工程と、
モデル部を造形する工程と、を有し、
前記サポート部を前記保管用部材として製造し、前記モデル部を前記ボーラスとして製造する請求項8から9のいずれかに記載のボーラスと保管用部材の製造方法。 - インクジェット方式または光硬化方式により造形する請求項8から10のいずれかに記載のボーラスと保管用部材の製造方法。
- 前記保管用部材と、前記ボーラスとの間に離型部を造形する離型部造形工程をさらに含む請求項8から11のいずれかに記載のボーラスと保管用部材の製造方法。
- 患者の放射線照射対象となる体表面部に沿った形状を有するボーラスを保管する部材であって、
前記部材が、前記ボーラスの前記患者の放射線照射対象となる体表面部に沿った形状に追従し、前記ボーラスとの接触する領域の面積が大きいことにより前記ボーラスの形状を維持する形状保持部を有することを特徴とする保管用部材。
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