JP6809041B2 - 発光性ナノカーボン製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素源化合物および窒素源化合物を原料として合成される発光性ナノカーボンの製造方法に関する。
発光性ナノカーボン(カーボンドット)は、最近、すすの中から発見された新規炭素ナノ材料であり、グラフェンや他のナノカーボン材料とは異なり、強い発光性を示すという特徴がある。また、炭素源化合物として用いられるのは有機分子であって、半導体量子ドットのように、硫化カドミウム(CdS)やセレン化カドミウム(CdSe)など毒性の高いカドミウム化合物やユーロピウムなどの希少金属が原料として使用されることはない。このため、毒性の懸念がある半導体量子ドットの代替となりうる新しい発光材料として、発光性ナノカーボンが注目されている。
発光性ナノカーボンの合成法について近年さまざまな報告がなされている。例えば、気相中で合成したすすを化学処理する方法や、液相中の反応を用いて発光性ナノカーボンを合成するバッチ式の方法などが報告されている。本発明の発明者らは、エレクトロスプレー(静電噴霧)によって合成した極微小液滴間の静電的相互作用を利用するマイクロ反応場形成装置(特許文献1)を用いた発光性ナノカーボンの合成法を報告している(非特許文献1)。また、特許文献1に記載されている上記マイクロ反応場形成装置と類似の装置を利用した無機酸化物微粒子粉体の製造方法も報告されている(特許文献2、非特許文献2)。
国際公開第WO2012/173262号 国際公開第WO97/49484号
比江嶋他、化学工学会第78年会、O319(2013)講演要旨集 Borra et al, J. Aerosol. Sci., 30, 945 (1999)
しかし、マイクロ反応場形成装置を用いた従来の製造方法は、発光性ナノカーボンを効率よく大量に製造することができないという問題がある。
そこで、本発明は、発光性ナノカーボンを効率よく大量に製造できる発光性ナノカーボン製造方法を提供することを目的としている。
本発明の発光性ナノカーボン製造方法は、炭素源化合物としての有機酸または糖、および窒素源化合物としての脂肪族アミンを、前記炭素源化合物:前記窒素源化合物のモル比5:1以上5:20以下で含有する原料水溶液から発光性ナノカーボンを製造する方法であって、前記原料水溶液を反応容器中で加熱して反応させる反応ステップと、前記反応ステップにおいて前記原料水溶液から生成された反応生成物を含有する反応溶液を冷却する冷却ステップと、を備えており、前記反応ステップは、反応温度150℃〜300℃であり、気液平衡状態よりも高い密度となる量の前記原料水溶液を前記反応容器内に仕込むバッチ式の反応である、発光性ナノカーボンの製造方法。
する
本発明によれば、原料水溶液中の炭素源化合物と窒素源化合物とを高温、高圧下の水中で反応させることにより、発光性ナノカーボンを効率よく大量に製造することができる。また、反応ステップと冷却ステップとを連続的かつ同時に進行させる構成とすれば、発光性ナノカーボンをさらに効率よく製造することができる。原料水溶液の組成や、反応ステップにおける反応条件を変化させることにより、発光特性を調整して種々の発光特性を備えた発光性ナノカーボンを製造することができる。
実施例1(0.1M)、実施例2(0.2M)および実施例3(0.5M)において反応ステップの時間を異ならせて得られた発光性ナノカーボンに波長405nmの励起光を照射した場合の発光スペクトルのグラフ(a)2時間、(b)4時間、(c)8時間 (a)実施例4の発光性ナノカーボンのPL(Photo Luminescence、フォトルミネッセンス)強度について発光波長および励起波長依存性を示すグラフ、(b)実施例5の発光性ナノカーボンについてPL強度の発光波長および励起波長依存性を示すグラフ 実施例4の発光性ナノカーボンのTEM(Transmission Electron Microscopy、透過電子顕微鏡)像を示す図面代用写真 実施例4の発光性ナノカーボンの粒径分布を示すグラフ 発光性ナノカーボンについてPL強度の励起光および発光波長依存性を示すグラフ(a)実施例6、(b)実施例7 実施例8の発光性ナノカーボンについてPL強度の励起光および発光波長依存性を示す発光スペクトルのグラフ 実施例8の発光性ナノカーボンのTEM像を示す図面代用写真 実施例8の発光性ナノカーボンの粒径分布を示すグラフ 実施例9の発光性ナノカーボンのPL強度の励起光および発光波長依存性を示すグラフ 実施例9の発光性ナノカーボンのTEM像を示す図面代用写真 実施例9の発光性ナノカーボンの粒径分布を示すグラフ 発光性ナノカーボンのPL強度について励起光および発光波長依存性を示す発光スペクトルのグラフ(a)実施例10、(b)実施例11、(c)実施例12 実施例13〜実施例15で用いた流通式反応装置の概略を示す模式図 実施例13の発光性ナノカーボンのPL強度について励起光および発光波長依存性を示すグラフ 実施例13の発光性ナノカーボンのTEM像を示す図面代用写真 実施例13の発光性ナノカーボンの粒径分布を示すグラフ 実施例13の発光性ナノカーボンのPL強度について励起光および発光波長依存性を示す発光スペクトルのグラフ 実施例14の発光性ナノカーボンのPL強度について励起光および発光波長依存性を示す発光スペクトルのグラフ 実施例15の発光性ナノカーボンのPL強度について励起光および発光波長依存性を示すグラフ 実施例17〜実施例19で用いた流通式反応装置の概略を示す模式図 発光性ナノカーボンのPL強度について反応温度および発光波長依存性を示すグラフ(a)実施例17、(b)実施例18、(c)実施例19 実施例21の反応生成物を250倍に希釈して励起波長を365nmとして測定した発光スペクトルを示すグラフ
本発明の発光性ナノカーボン製造方法の実施形態について、以下に説明する。
本実施形態の発光性ナノカーボン製造方法は、炭素源化合物および窒素源化合物を含有する原料水溶液から発光性ナノカーボンを製造する方法である。
原料水溶液に含まれる炭素源化合物は、ヒドロキシ酸、糖酸等の有機酸、糖(グルコース)、ポリビニルアルコール等を用いることができる。ヒドロキシ酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ガラクタル酸(2,3,4,5-テトラヒドロキシアジピン酸、粘液酸)、キナ酸、グリセリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、没食子酸等が挙げられる。
原料水溶液に含まれる窒素源化合物は、脂肪族アミン、芳香族アミン、ヒドロキシアミン、ポリアミン、複素環式アミン等のアミン化合物、尿素等を用いることができる。脂肪族アミンとしては、ヘキシルアミン等のモノアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン等のジアミンが挙げられる。芳香族アミンとしては、フェニレンジアミン等が挙げられる。これらの中では、発光強度の高い発光性ナノカーボンを合成できるという観点から、脂肪族アミンであるエチレンジアミンが好ましい。また、エチレンジアミンの濃度を変化させて炭素源化合物に対する比率を調整することにより、合成される発光性ナノカーボンの発光特性を容易に制御することができる。
本実施形態の発光性ナノカーボンの製造方法は、原料水溶液を反応容器中で加熱し、温度100〜500℃で反応させる反応ステップと、反応ステップにおいて生成された反応生成物を含有する反応溶液を冷却する冷却ステップと、を備えている。本発明において、原料水溶液とは炭素源化合物および窒素源化合物を含有する水溶液をいい、反応溶液とは原料水溶液から生成された反応生成物を含有する溶液をいう。したがって、原料水溶液中の炭素源化合物および窒素源化合物の一部が反応して反応生成物が生成された状態の溶液は、原料水溶液および反応溶液のいずれにも該当する。
原料水溶液は、炭素源化合物および窒素化合物を溶解する溶媒として水を含有している。水以外の溶媒としては、例えば、アルコール等が挙げられる。原料水溶液は水を溶媒として含有しているから、炭素源化合物と窒素化合物とを反応させる反応ステップは、高温高圧の水の存在下で化合物を合成する水熱合成となる。
反応ステップは、原料水溶液を反応容器中に密閉した状態で加熱して、反応温度100℃以上500℃以下で反応させた反応生成物として発光性ナノカーボンを合成する工程である。好ましくは、反応容器中に原料水溶液が均一に存在する条件において、すなわち、気液平衡よりも高い圧力とした均一状態の反応溶液(原料水溶液)中において、炭素源化合物と窒素源化合物とを反応させる。均一状態とは、気相と液相の定常的な界面が存在しない状態、すなわち気相と液相とが混然一体となっており界面が存在しない状態、または、界面は存在するものの位置が一定ではなく変動する状態をいう。
例えば、反応容器中の原料水溶液が気体の拡散性と液体の溶解性とを併せもつ超臨界相(超臨界流体)を形成した状態は、均一状態のうち、界面が存在しない状態の一例である。反応容器中を臨界温度以上かつ臨界圧力以上とすることにより、原料水溶液の超臨界相を形成することができる。
また、反応容器内の反応溶液(原料水溶液)中に、少量の気泡が存在する場合などは、界面の位置が一定ではなく変動する状態の一例である。発光性ナノカーボンの合成反応の副反応等によって気体が発生した場合等に反応溶液(原料水溶液)中に少量の気泡が存在する状態となることがある。
反応ステップにおける反応容器内の温度(反応温度)は、100℃以上500℃以下とする。反応温度を100℃以上とすることにより、水熱反応を促進することができる。また、反応ステップにおいて原料水溶液が発光性ナノカーボンに転化する転化率を向上させ、発光性が失われた不溶成分の生成を抑える観点から、反応温度は150℃以上とすることがより好ましく、200℃以上とすることがさらに好ましい。
反応温度は一般に500℃以下であり、好ましくは400℃以下であり、反応ステップにおける転化反応がさらに進行し、不溶性成分の生成を抑制するために、300℃以下とすることがより好ましく、250℃以下とすることが最も好ましい。
反応ステップを回分式反応(バッチ式)とする場合、反応容器内の原料水溶液が反応ステップにおいて気液平衡状態よりも高い密度となる量の原料水溶液を仕込む。また、流通式(連続式)反応で製造する場合、反応ステップにおける反応容器内の原料水溶液が気液平衡状態よりも高い密度となる温度、圧力となるように反応容器を調整する。これにより、反応ステップにおける原料水溶液を均一な状態、すなわち反応容器中で気体と液体が混然一体となった状態とすることができるから、原料水溶液に含有される炭素源化合物と窒素源化合物として、塩を形成する組み合わせとする必要がなくなる。したがって、クエン酸とアミンのような塩を形成する原料に限らず、例えば、ブドウ糖(グルコース)とアミンのような塩を形成しない原料の組み合わせを用いることが可能になる。また、効率よく反応を進行させることができる。
反応ステップにおける反応容器は、高温、高圧条件に対する耐圧性を備えたものを用いる。
反応ステップを回分式反応とする場合、原料水溶液が仕込まれた反応容器全体を加熱して反応容器内部の全体を所定温度および圧力として、反応容器内全体で反応ステップを進行させる。例えば、反応容器として管型高圧容器を用い、所定の温度に設定した電気炉内に投入することにより、反応ステップを進行させる。
反応ステップが完了した後、管型高圧容器を室温空気中に取り出して空冷することにより反応生成物を含有する反応溶液を冷却する(冷却ステップ)。
反応ステップを回分式(バッチ式)反応とする場合、反応容器内の原料水溶液は、気液平衡状態よりも高い密度となる量を仕込むことが好ましい。例えば、水の飽和密度(液相)は、反応温度150℃、200℃、250℃および300℃で、この順に0.917g/cm、0.864g/cm、0.799g/cmおよび0.712g/cmである。したがって、反応温度を200℃〜250℃とする場合、反応容器の容積の約90%以上となる量の原料水溶液を仕込むことが好ましい。このような量の原料水溶液を仕込むことにより、反応ステップにおいて原料水溶液が均一な状態で存在することとなって反応効率がよくなる。
反応ステップを連続反応とする場合、細長い管のように連続した長い内部空間を備えた耐圧性の反応容器を用いる。細長い管の一方端から原料水溶液を供給しつつ、十分な長さを備えた反応容器の一部を加熱することにより、当該一部の領域で反応を連続的に進行させて反応ステップを行うことができる。反応ステップでは、原料水溶液の濃度が気液平衡となる飽和蒸気圧よりも高くなるように、反応容器内の圧力を調整する。水の飽和蒸気圧は、150℃で0.48MPa、200℃で1.55MPa、250℃で3.98MPa、300℃で8.59MPa、350℃で16.53MPaであるから、反応容器内の圧力が反応温度における飽和蒸気以上となるように調整する。これにより、反応ステップにおいて原料水溶液が均一な状態で存在することとなるから反応効率がよくなる。
反応ステップを行う部分と連通している他の部分を冷却することで(冷却ステップ)、反応溶液から発光性ナノカーボンが得られる。冷却ステップは、例えば、氷浴または水浴を用いて、反応容器である細長い管の一部を急激に冷却することにより行う。
反応ステップと冷却ステップとを反応容器の異なる部分において進行させ、反応ステップが進行する部分と冷却ステップが進行する部分とが連通された構成とすれば、原料水溶液および反応溶液が反応容器内を移動することによって反応ステップと冷却ステップとが連続的かつ同時に進行する。
上述した反応容器を用いて、一部の領域で反応ステップを行い、他の領域で冷却ステップを行えば、反応ステップと冷却ステップとが連続的かつ同時に進行するから、短時間で、効率よく大量の発光性ナノカーボンを製造することができる。
(調整ステップ)
調整ステップは、原料水溶液および製造条件の少なくとも一方を異ならせた複数の発光性ナノカーボンを製造し、当該複数の発光性ナノカーボンの発光特性を評価し、調整する工程である。所望の発光特性を備えた発光性ナノカーボンを製造するために、異なる原料や異なる製造条件を用いて複数の発光性ナノカーボンを製造し、評価する。
異なる原料とは、原料水溶液が含有する炭素源化合物と、窒素源化合物との比率および/または種類(組み合わせ)が異なるものをいう。異なる原料を用いることにより、種々の発光特性を備えた発光性ナノカーボンが製造できる。例えば、炭素源化合物としてキナ酸、窒素源化合物としてエチレンジアミンを含有する原料水溶液を用いれば、励起光の波長によらず、略同じ波長の光を発光する発光性ナノカーボン、具体的には、波長320〜460nmの励起光を用いた場合、発光スペクトルの発光強度が最大となる発光波長が500〜525nmの範囲内である発光性ナノカーボンを製造できる。
また、製造条件とは、例えば、反応容器の形状、反応溶液の流量(供給量)、加熱温度、加熱時間、圧力などといった反応ステップの条件や、冷却温度、冷却速度などといった冷却ステップの条件などをいう。これらの調整によっても種々の異なる発光特性を備えた発光性ナノカーボンを製造できる。
本発明の実施例として、回分式(バッチ式)反応装置および流通式(連続式)反応装置を用いて発光性ナノカーボンを製造した例について以下に説明する。
[回分式(バッチ式)反応装置]
(実施例1)
炭素源化合物として、ヒドロキシ酸であるクエン酸(以下、CAという)を用い、窒素源化合物としてエチレンジアミン(以下、EDAという)を用いた。CA0.5M、EDA0.1Mの濃度で含有する原料水溶液を用いた。

回分式反応器としては、内容量約10mLのSUS316製チューブ型高圧容器(反応容器)を用いた。原料水溶液約9mlを封入した反応容器を電気炉内に投入し、150℃にて所定時間(2時間、4時間、8時間)反応させた(反応ステップ)。150℃における水の飽和密度は0.917g/cmであるから、反応ステップにおける反応容器内は原料溶液が気液平衡よりも高い密度で、略均一な状態で存在していたといえる。その後、取り出してから空冷して(冷却ステップ)発光性ナノカーボンを作製した。加熱ステップにおける昇温速度は30℃/min、冷却ステップにおける冷却速度は−5℃/minであった。
[精製方法]
反応生成物である発光性ナノカーボンを含有する冷却後の反応溶液を以下の方法により精製した。透析膜(MWCO100−500)を用いて水中にて約24時間透析し、未反応の原料水溶液を含有する低分子量成分を除去し、シリンジフィルター(細孔径0.22mm)により不溶成分を除去した。なお、各実施例のTEM像を観察するために、発光性ナノカーボンを精製した。発光スペクトルは未精製の発光性ナノカーボンを用いて測定した。
[測定方法]
合成した発光性ナノカーボンは水中に分散させ、日立ハイテクサイエンス社製分光蛍光光度計F−2700を用いて、フォトルミネッセンス(PL)を測定した。透過型電子顕微鏡(TEM)測定には、日立ハイテクノロジーズ社製H−7650を使用した。
(実施例2)
CA0.5M、EDA0.2Mの濃度で含有する原料水溶液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして発光性ナノカーボンを作製した。
(実施例3)
CA0.5M、EDA0.5Mの濃度で含有する原料水溶液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして発光性ナノカーボンを作製した。
[アミン濃度依存性および反応時間依存性]
図1は、実施例1(0.1M)、実施例2(0.2M)および実施例3(0.5M)の発光性ナノカーボンに波長405nmの励起光を照射した場合の発光スペクトルのグラフであり、縦軸が発光強度(Intensity)を示し、横軸が発光波長(Wavelength)を示している。図1(a)、図1(b)および図1(c)は、この順に反応時間2時間、反応時間4時間、および反応時間8時間の結果を示すグラフである。図1(a)〜図1(c)に示すように、CAに対するEDAの濃度を変化させること、反応ステップの加熱時間を変化させることにより、発光特性が異なる発光性ナノカーボンが得られた。
(実施例4)
炭素源化合物としてCA0.5M、窒素源化合物としてEDA0.8Mを含有する原料水溶液を使用し、反応ステップを200℃、2時間としたこと以外は、実施例1と同様にして、発光性ナノカーボンを作製した。
(実施例5)
炭素源化合物としてCA0.5M、窒素源化合物としてEDA0.5Mを含有する原料水溶液を使用した以外は、実施例4と同様にして、発光性ナノカーボンを作製した。
[アミン濃度による影響]
図2(a)および図2(b)は、実施例4および実施例5の発光性ナノカーボンのPL(Photo Luminescence、フォトルミネッセンス)強度について発光波長および励起波長依存性を示すグラフである。図2(a)および図2(b)では、縦軸が励起光の波長(Excitation wavelength)を示し、横軸が発光波長(Emission wavelength)を示し、濃淡により発光強度(PL intensity)を示している。
図2(a)に示すように、CA濃度よりもEDA濃度が高い原料水溶液を用いて合成した実施例4の発光性ナノカーボンは、370nm付近の紫外光により励起されて、450nm付近の青色の強い発光を示した。
図2(b)に示すように、CA濃度とEDA濃度が等しい原料水溶液を用いて合成した実施例5の発光性ナノカーボンは、350nm付近の紫外光の励起による青色発光が弱くなり、可視領域の450nm付近の励起による520nm付近の黄色発光がより強くなった。
図2(a)および図2(b)から原料水溶液の組成によってナノカーボンの発光特性が制御可能であることが分かった。
[粒径分布のEDA濃度依存性]
図3は実施例4の発光性ナノカーボンのTEM(Transmission Electron Microscopy、透過電子顕微鏡)像を示す図面代用写真である。図4は実施例4の発光性ナノカーボンの粒径分布を示すグラフであり、横軸が粒径(Diameter)を示し、縦軸が発現頻度(数、Frequency)を示している。図3および図4の結果から、平均粒径2.1nmの発光性ナノカーボンが得られたことが分かった。
なお、実施例5の発光性ナノカーボンのTEM像および粒径分布は、実施例4とほぼ同じであり、粒径分布はEDA濃度にはほとんど依存しなかった。
(実施例6)
炭素源化合物としてリンゴ酸(Malic Acid,MA)0.5M、窒素源化合物としてEDA0.5Mを含有する原料水溶液を使用した以外は、実施例5と同様にして、発光性ナノカーボンを作製し、実施例1と同様にして精製した。
(実施例7)
炭素源化合物として酒石酸(Tartalic acid,TA)0.5M、窒素源化合物としてEDA0.5Mを含有する原料水溶液を使用した以外は、実施例6と同様にして、発光性ナノカーボンを作製し、実施例1と同様にして精製した。
[ヒドロキシ酸の分子構造による影響]
図5(a)は、実施例6の発光性ナノカーボンのPL強度について励起光および発光波長依存性を示すグラフである。縦軸、横軸および濃淡が示す事項は図2(a)および図2(b)と同様である。リンゴ酸を炭素源化合物とする実施例6の発光性ナノカーボンは、320nm付近の励起波長で、400nm付近に極大をもつ発光を示し、CAを原料とした実施例5の発光性ナノカーボンよりも短波長の領域に、実施例5の発光性ナノカーボンよりも弱いPLを示した。
図5(b)は、実施例7の発光性ナノカーボンのPL強度について励起光および発光波長依存性を示している。酒石酸を炭素源化合物とする発光性ナノカーボンは、リンゴ酸を炭素源化合物とする実施例6の発光性ナノカーボンと同様の発光波長を有するが、400nm付近が強い発光強度を示す濃い色となっており、発光強度が実施例6よりも強いことが分かった。
TEM像より見積もった平均粒径は両者ともに2.4nmであったことから、粒径が同じであっても、原料水溶液中に含まれる炭素源化合物の分子構造に依存して、得られる発光性ナノカーボンの発光特性は変化することが分かった。
(実施例8)
炭素源化合物としてキナ酸(Quinic acid,QA)0.5M、窒素源化合物としてEDA0.5Mを含有する原料水溶液を使用した以外は、実施例5と同様にして、発光性ナノカーボンを作製した。TEM像観測用の発光性ナノカーボンは実施例1と同様にして精製した。
(実施例9)
炭素源化合物としてグルコース(Glucose)0.5M、窒素源化合物としてEDA0.5Mを含有する原料水溶液を使用した以外は、実施例5と同様にして、発光性ナノカーボンを作製した。TEM像観測用の発光性ナノカーボンは実施例1と同様にして精製した。
(実施例10)
炭素源化合物としてグルコン酸(Gluconic acid,GcoA)0.5M、窒素源化合物としてEDA0.5Mを含有する原料水溶液を使用した以外は、実施例5と同様にして、発光性ナノカーボンを作製した。
(実施例11)
炭素源化合物としてグルコン酸0.5M、窒素源化合物としてEDA1.0Mを含有する原料水溶液を使用した以外は、実施例5と同様にして、発光性ナノカーボンを作製した。
(実施例12)
炭素源化合物としてグルコン酸0.5M、窒素源化合物としてEDA2.0Mを含有する原料水溶液を使用した以外は、実施例5と同様にして、発光性ナノカーボンを作製した。
[キナ酸を炭素源化合物とする発光性ナノカーボン]
図6は、実施例8の発光性ナノカーボンのPL強度について励起光および発光波長依存性を示す発光スペクトルのグラフである。縦軸および横軸が示す事項は図1と同様である。各発光スペクトルに励起光の波長を示している。炭素源化合物としてキナ酸を含有し、窒素源化合物としてEDAを含有する原料水溶液を用いて製造した発光性ナノカーボンは、黄色のみの発光となった。
他の原料水溶液を用いた発光性ナノカーボンの評価結果(図9、図12(a)〜図12(c)、図17〜図19)から示されるように、発光性ナノカーボンは、励起光の波長によって発光強度が最大となる発光波長も変化することが一般的である。キナ酸を炭素源化合物として用いることにより、発光スペクトルの発光強度が最大となる発光波長が、波長320〜460nmの励起光を用いた場合、励起光の波長によらず500〜525nmの範囲内であって、励起光の波長によらず発光波長が略同じである発光性ナノカーボンが得られた。なお、図6のグラフは反応生成物を希釈せず測定した結果(no dilution)を示している。
図7は実施例8の発光性ナノカーボンのTEM像を示す図面代用写真である。図8は実施例8の発光性ナノカーボンの粒径分布を示すグラフであり、縦軸および横軸が示す事項は図4と同じである。図7および図8の結果から、平均径1.4nmの発光性ナノカーボンが生成していることが分かった。
[グルコースを炭素源化合物とする発光性ナノカーボン]
図9は実施例9の発光性ナノカーボンのPL強度について励起光および発光波長依存性を示す発光スペクトルのグラフである。縦軸および横軸が示す事項は図1と同様である。各発光スペクトルに励起光の波長を示している。炭素源化合物としてグルコースを含有し、窒素源化合物としてEDAを含有する原料水溶液は、炭素源化合物と窒素源化合物とを塩として含有していないが、他の実施例同様、発光性ナノカーボンが得られた。なお、図9のグラフは反応生成物を1000倍に希釈して測定した結果(×1k dilution)を示している。
図10は実施例9の発光性ナノカーボンのTEM像を示す図面代用写真である。図11は実施例9の発光性ナノカーボンの粒径分布を示すグラフであり、縦軸と横軸が示す事項は図4と同様である。図10および図11の結果から、平均粒径1.7nmの発光性ナノカーボンが生成していることが分かった。
[発光スペクトルの励起波長依存性、アミン濃度依存性]
図12は、発光性ナノカーボンのPL強度について励起光および発光波長依存性を示す発光スペクトルのグラフであり、(a)実施例10、(b)実施例11、(c)実施例12の結果を示している。縦軸および横軸が示す事項は図1と同様である。各発光スペクトルに励起光の波長を示している。なお、図12(a)〜(c)のグラフは反応生成物を100倍に希釈して測定した結果(×100 dilution)を示している。
図12(a)〜図12(c)により、グルコン酸を炭素源化合物として用いた発光性ナノカーボンの発光特性は、励起波長に依存することおよび原料水溶液に含有されるエチレンジアミンの濃度によって変化することが分かった。
[流通式(連続式)反応装置]
図13は実施例13〜実施例15で用いた流通式反応装置の概略を示す模式図である。同図に示すように、反応容器として外径1/8インチ、内径1.8mmのSUS316チューブを使用し、ポンプ(Pump)を用いて1分間あたり所定量となるように、貯蔵容器(Reservoir)から原料水溶液を送液した。反応容器の反応ステップが進行する加熱部(Furnace)の長さ(Reactor tube length)は10mとし、電気炉出口付近の試料温度(反応溶液温度)を反応温度とした。反応後の反応溶液が流れる反応容器の部分は氷浴(Ice bath)にて急冷し(冷却ステップ)、背圧弁(Back Pressure regulator)により減圧して発光性ナノカーボン溶液を回収した。原料水溶液を1分あたり5mlの量で供給した場合、加熱部における滞留時間は約4分である。
流通式反応装置では、反応ステップが行われる部分(反応部)の圧力を圧力計(Pressure gauge)でモニターしており、飽和蒸気圧よりも高い圧力(約25MPa)となるよう、背圧弁(Back-pressure regulator)で制御している。
[流通式反応器による連続合成]
(実施例13)
図13の流通式反応装置を用いて、濃度0.5MのCAと濃度0.5MのEDAを含有する原料水溶液として用い、流量10mL/min、反応温度250℃にて発光性ナノカーボンの連続合成を行った。
[精製方法]
冷却ステップ後の反応溶液をエタノール中に展開し、ろ過により上澄み液を回収した後、溶媒を除去してTEM測定用の発光性ナノカーボンを得た。なお、本実施例のように、CA:EDA=1:1の原料水溶液を用いて連続合成した場合、反応生成物に未反応原料が混入しないから、上記の簡便な方法により反応生成物を精製できる。
(実施例14)
流量5mL/minとした以外は、実施例13と同じ条件で、発光性ナノカーボンの連続合成を行った。
(実施例15)
反応温度を300℃とした以外は、実施例13と同じ条件で、発光性ナノカーボンの連続合成を行った。
(実施例16)
反応温度を200℃とした以外は、実施例13と同じ条件で、発光性ナノカーボンの連続合成を行った。
図14は、実施例13の発光性ナノカーボンのPL強度について励起光および発光波長依存性を示す発光スペクトルのグラフである。縦軸、横軸および濃淡が示す事項は図2と同様である。同図に示されているように、実施例13の発光性ナノカーボンは、370nm付近の紫外光を照射すると450nm付近の強い青色発光を示した。
図15は実施例13の発光性ナノカーボンのTEM像を示す図面代用写真である。図16は実施例13の発光性ナノカーボンの粒径分布を示すグラフであり、縦軸および横軸が示す事項は図4と同様である。図15および図16から、平均粒径1.8nmのナノカーボンが生成していることが分かった。
[反応温度と発光性ナノカーボンの収率]
投入原料に対するナノカーボンの収率は、200℃では十分に反応が進行しておらず10%程度であるが、250℃においては75%程度まで向上し、1時間当たり50g程度の発光ナノカーボンの連続合成に成功した。
実施例13〜実施例16により得られた発光性ナノカーボンの収率を下記の表に示す。同表に示すように、原料水溶液の供給速度を1分あたり10mLとした場合、反応温度が200℃から250℃になると収率が急激に高くなり、250℃から300℃になると収率が緩やかに低くなることが分かった。この結果から、収率の観点から、反応温度は250℃前後(240℃〜270℃程度)が好ましいといえる。
[原料水溶液の流量、反応温度と発光性ナノカーボンの発光特性]
図17〜図19は、実施例13〜実施例15の発光性ナノカーボンのPL強度について励起光および発光波長依存性を示す発光スペクトルのグラフである。縦軸および横軸が示す事項は図1と同様である。各発光スペクトルに励起光の波長を示している。これらの図に示されているように、得られた発光性ナノカーボンは、照射光の波長により発光特性が異なるものであった。
また、図17と図18との比較により、原料水溶液を供給する速度が発光性ナノカーボンの発光特性に影響すること、図17と図19との比較により、反応温度が発光性ナノカーボンの発光特性に影響することが分かった。したがって、流量および反応温度といった反応条件を調整することにより、同じ原料水溶液から発光特性の異なる発光性ナノカーボンが得られることが分かった。
CAとEDAのモル比を1:1としたままで、濃度を0.5Mから0.5mMまで変えた原料水溶液を用いて、発光性ナノカーボンを作製した。得られた発光性ナノカーボンを原料濃度が同じになるようにそれぞれ希釈して、PL測定をしたところ、原料濃度による差異は発光強度が若干異なる程度であった。すなわち、発光性ナノカーボンの発光特性は、原料水溶液の原料濃度を大きく変えたにもかかわらず、ほとんど変化がなかった。この結果から、CAとEDAとを同モル比で含有する原料水溶液を用いた場合、発光性ナノカーボンの反応特性は、反応時の加熱条件を同じにすれば、原料水溶液中に含有される炭素源化合物および窒素源化合物の濃度に略影響されないことが分かった。
上述したとおり、図17と図18との比較から、原料水溶液を供給する速度が発光性ナノカーボンの発光特性に影響するといえる。これは、流通式反応器では、流量を変えることにより加熱部での滞留時間(反応時間)が変わるから、反応ステップにおける加熱条件が変化したことによる影響であると推定できる。例えば、流量を1/2倍とすると滞留時間が約2倍となるから、同じ加熱条件で長時間反応させたことになる。
これに対して、流量を同じとしたままで原料水溶液中の炭素源化合物および窒素源化合物の濃度を変化させても反応ステップにおける加熱条件(温度、時間)は変化しないことから、得られた発光性ナノカーボンの発光特性が略変化しなかったといえる。ただし、反応ステップにおける原料濃度の影響は、反応機構により変わり得るものである。したがって、他の原料水溶液を用いた場合は、反応ステップにおける濃度効果により発光特性が異なるナノカーボンが得られる可能性がある。
[発光性ナノカーボンの収量]
図13に示す流通式反応装置を用いることにより、0.5Mの原料水溶液を1分あたり10mL供給して反応させることにより、1時間あたり50g程度の発光性ナノカーボンを製造することができた。
図20は実施例17〜実施例19で用いた流通式反応装置の概略を示す模式図である。同図に示す流通式反応装置は、プレヒーターにより高温高圧水を供給し、反応ステップにおいて昇温に要する時間を短くしている。反応容器として外径1/8インチ、内径1.8mmのSUS316チューブを使用したことは図13の装置と同じであるが、加熱部の長さは2mとした。プレヒーターに供給する水の流量を1分間あたり4mL(4mL/min)とした。
(実施例17)
図20の流通式反応装置を用いて、濃度0.1Mのリンゴ酸と濃度0.1MのEDAを含有する水溶液を原料水溶液として用い、流量1mL/min、所定の反応温度(200℃、250℃、300℃、340℃および380℃)にて発光性ナノカーボンの連続合成を行った。
(実施例18)
図20の流通式反応装置を用いて、濃度0.1Mのガラクタル酸と濃度0.2MのEDAを含有する水溶液を原料水溶液として用い、流量1mL/min、所定の反応温度(200℃、250℃、300℃、340℃および380℃)にて発光性ナノカーボンの連続合成を行った。
(実施例19)
図20の流通式反応装置を用いて、濃度0.1Mの酒石酸と濃度0.1MのEDAを含有する水溶液を原料水溶液として用い、流量5mL/min、所定の反応温度(200℃、250℃、275℃、300℃、340℃および380℃)にて発光性ナノカーボンの連続合成を行った。
(実施例20)
図13の流通式反応装置を用いて、濃度0.5Mのグルコースと濃度1.0MのEDAを含有する水溶液を原料水溶液として用い、流量5mL/min、反応温度150℃にて連続合成を行い、発光性ナノカーボンが合成されたことを確認した。
図21は発光性ナノカーボンのPL強度の発光および反応温度依存性を示すグラフであり、(a)実施例17、(b)実施例18、(c)実施例19の発光性ナノカーボンの測定結果を示している。各発光スペクトルに反応温度を示している。同図から、反応温度によって発光特性が異なる発光性ナノカーボンが得られることが分かる。また、図20(a)〜(c)の比較により、反応温度が発光性ナノカーボンの発光特性に与える影響は一様ではなく、炭素源化合物として用いる原料の種類によって異なることが分かった。
図13の流通式反応装置を用いて、濃度0.3Mのクエン酸(CA)と所定の濃度(0.3M、0.6M)の尿素を含有する水溶液を原料水溶液として用い、所定の流量(4mL/min、8mL/min)、反応温度300℃にて発光性ナノカーボンの連続合成を行った。

図22は、実施例21の反応生成物を250倍に希釈して励起波長を365nmとして測定した発光スペクトルを示す。同図に示すように、尿素の含有量および原料水溶液の供給量によらず、440nm付近が最大発光強度となる発光スペクトルが得られた。原料水溶液の供給量は、原料水溶液中の尿素の濃度によらず、4mL/minのほうが8mL/minよりも発光強度が大きい発光性ナノカーボンが得られた。対して、原料水溶液中の尿素の濃度は、原料水溶液の供給量を4mL/minとした場合には0.3Mのほうが、原料水溶液の供給量を8mL/minとした場合には0.6Mのほうが、それぞれ発光強度が大きい発光性ナノカーボンが得られた。
本発明は、照明やディスプレイ、光通信デバイス、低毒性であることが要求される生体用の蛍光プローブ等に用いられる発光性ナノカーボンの製造方法として利用することができる。

Claims (10)

  1. 炭素源化合物としての有機酸または糖、および窒素源化合物としての脂肪族アミンを、前記炭素源化合物:前記窒素源化合物のモル比5:1以上5:20以下で含有する原料水溶液から発光性ナノカーボンを製造する方法であって、
    前記原料水溶液を反応容器中で加熱して反応させる反応ステップと、
    前記反応ステップにおいて前記原料水溶液から生成された反応生成物を含有する反応溶液を冷却する冷却ステップと、を備えており、
    前記反応ステップは、反応温度が150℃〜300℃であり、気液平衡状態よりも高い密度となる量の前記原料水溶液を前記反応容器内に仕込むバッチ式の反応である、
    発光性ナノカーボン製造方法。
  2. 前記反応ステップは、反応温度が200℃〜250℃であり、前記反応容器の容積の90%以上となる量の原料水溶液を前記反応容器内に仕込むバッチ式の反応である、請求項1に記載の発光性ナノカーボン製造方法。
  3. 炭素源化合物としての有機酸または糖、および窒素源化合物としての脂肪族アミンを、前記炭素源化合物:前記窒素源化合物のモル比5:1以上5:20以下で含有する原料水溶液から発光性ナノカーボンを製造する方法であって、
    前記原料水溶液を反応容器中で加熱して反応させる前記反応ステップと、前記反応ステップにおいて前記原料水溶液から生成された反応生成物を含有する反応溶液を冷却する冷却ステップとは前記反応容器の異なる部分において進行し、前記反応ステップが進行する部分と、前記冷却ステップが進行する部分とは連通されており、
    前記原料水溶液および前記反応溶液が前記反応容器内を移動することにより、前記反応ステップと前記冷却ステップとが連続的かつ同時に進行する流通式反応装置を用いた発光性ナノカーボンの製造方法であって、
    前記反応ステップは、反応温度が150℃〜380℃であり、加熱部における前記原料水溶液の滞留時間を0.8分以上5分以下として、前記反応容器内の圧力を原料水溶液が気液平衡状態よりも高い密度となる飽和蒸気圧よりも高くする連続式反応である、
    発光性ナノカーボン製造方法。
  4. 前記流通式反応装置を用いた発光性ナノカーボンの製造方法であって、
    原料水溶液および製造条件の少なくとも一方を異ならせた複数の発光性ナノカーボンを製造して前記複数の発光性ナノカーボンの発光スペクトルを測定して発光特性を評価し、前記発光スペクトルに基づいて、所望の発光特性を備えた発光性ナノカーボンの発光特性を調整する調整ステップを備えている、請求項3に記載の発光性ナノカーボン製造方法。
  5. 前記複数の発光性ナノカーボンは、前記炭素源化合物と前記窒素源化合物との比率が異なる前記原料水溶液から製造されたものである請求項4に記載の発光性ナノカーボン製造方法。
  6. 前記炭素源化合物がグルコン酸であり、前記窒素源化合物がエチレンジアミンである、
    請求項5に記載の発光性ナノカーボン製造方法。
  7. 前記複数の発光性ナノカーボンは、前記炭素源化合物と前記窒素源化合物との組み合わせが異なる複数の原料水溶液から製造されたものである請求項4に記載の発光性ナノカーボン製造方法。
  8. 前記複数の発光性ナノカーボンは、前記反応ステップにおける温度を異ならせて製造されたものである請求項4に記載の発光性ナノカーボン製造方法。
  9. 前記炭素源化合物がキナ酸であり、前記窒素源化合物がエチレンジアミンである請求項1または請求項3に記載の発光性ナノカーボン製造方法。
  10. 前記炭素源化合物がグルコースであり、前記窒素源化合物がエチレンジアミンである請求項1または請求項3に記載の発光性ナノカーボン製造方法。
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