JP6808361B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関し、特に肌面側に補助吸収体を配して好適に使用できる吸収性物品に関するものである。
従来、使い捨ておむつ等の吸収性物品の肌面側に別体の吸収性物品(補助吸収体)を配して使用する方法が知られている。このような使用方法によれば、着用者から排泄された尿等を補助吸収体がまず受けることとなるため、補助吸収体のみを適宜交換して、その外側に装着される使い捨ておむつ等を使用し続けることにより、吸収性物品にかかるトータルの使用コストを低減することが可能となる。また、補助吸収体のみを交換することで、補助吸収体の外側に装着される使い捨ておむつ等を交換する場合と比べて、介護者等が交換作業を簡単に行えるようになる。補助吸収体を併用するのに適した吸収性物品として、例えば特許文献1〜3には様々な吸収性物品が開示されている。
特開2007−000190号公報 国際公開第2014/057571号 特開2014−124509号公報
吸収性物品に補助吸収体を併用する場合、補助吸収体はできるだけ吸収性物品の肌面側の幅方向の中央位置にセットすることが好ましい。この際、吸収性物品を着用者から脱がして両脚の間にずらした状態で補助吸収体を交換する場合など、交換する新しい補助吸収体を所望の位置まで移動することを容易にする点から、補助吸収体は幅方向に2つ折りして(すなわち前後方向に延びる折り目で2つ折りして)取り扱うことが好ましい。補助吸収体を幅方向に2つ折りすることにより、補助吸収体を吸収性物品の肌面側まで移動することが容易になり、その上で補助吸収体の幅方向の2つ折りを展開することで、補助吸収体を吸収性物品の所望の位置にセットしやすくなる。この場合、幅方向に2つ折りした補助吸収体の折り目が吸収性物品の幅方向の中央部に来るように、補助吸収体を吸収性物品の肌面側に配置することが重要となるが、そのように補助吸収体を配置することは不慣れな人にとっては難しい場合がある。
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、補助吸収体を吸収性物品の肌面側の幅方向の中央位置にセットすることが容易な吸収性物品を提供することにある。
前記課題を解決することができた本発明の吸収性物品は、幅方向と前後方向を有し、トップシートとバックシートとこれらの間に設けられた吸収性コアを有し、吸収性コアには、幅方向の中央部に、前後方向に延びる開口または凹部が形成され、開口または凹部と吸収性コアの幅方向の外縁との間に、吸収性物品の肌面側から視認可能に着色された目印が設けられているところに特徴を有する。本発明の吸収性物品は、吸収性コアの幅方向の中央部に前後方向に延びる開口または凹部が設けられているため、補助吸収体を幅方向に2つ折りしてこの折り目が吸収性コアの開口または凹部に来るように補助吸収体を配置することで、補助吸収体を吸収性物品の幅方向の中央位置にセットしやすくなる。この際、2つ折りした補助吸収体を吸収性コアの開口または凹部と重なるように配置しても、開口または凹部と吸収性コアの幅方向の外縁との間に目印が設けられているため、2つ折りした補助吸収体によって開口または凹部が隠れても目印まで隠れることは避けることができ、目印によって吸収性コアの開口または凹部の位置を把握しやすくなる。その上で、2つ折りした補助吸収体の折り目を開口または凹部に重ねた状態で、補助吸収体の2つ折りを展開することで、補助吸収体を吸収性物品の幅方向の中央位置に正確にセットしやすくなる。
目印は、少なくとも開口または凹部から幅方向の外方に20mm以内の領域に、前後方向に50mm以上の長さで設けられていることが好ましい。このように目印を設けることにより、目印に基づいて開口または凹部の位置を把握しやすくなる。
目印は、L***表色系による色度a*が0以上、色相角度hが−75°以上75°以下に着色されていることが好ましい。この場合、目印は、紫色〜橙色の赤色を中心とする色相で着色され、吸収性物品の肌面側から見て目印を視認しやすくなる。
吸収性物品は、開口または凹部が吸収性物品の肌面側から視認可能に着色されていてもよく、これにより開口または凹部を直接視認しやすくなる。この場合、開口または凹部は、白色以外かつ目印と異なる色で着色されていることが好ましい。
目印は、開口または凹部の前側端よりも前方に延在している、および/または、開口または凹部の後側端よりも後方に延在していることが好ましい。このように目印を設けることにより、補助吸収体を開口または凹部の延在方向に対してずれることなく配置しやすくなり、補助吸収体を吸収性物品の前後方向に対して略平行に配置しやすくなる。
目印は、弾性部材から形成されていてもよい。この場合、吸収性コアよりも肌面側に、目印として、白色以外に着色された弾性部材が設けられることが好ましい。吸収性物品に補助吸収体を併用した場合、補助吸収体の重みによって吸収性物品が着用者の股間で垂れ下がりやすくなるところ、目印として吸収性コアよりも肌面側に弾性部材を設けることにより、吸収性物品が着用者の股間で着用者の肌に向かって持ち上げられ、補助吸収体を着用者の肌に近付けて配置しやすくなる。そのため、着用者から排泄された尿等を補助吸収体が好適に受けやすくなり、補助吸収体から尿等が溢れ出るのを防ぎやすくなる。
トップシートには、開口または凹部と吸収性コアの幅方向の外縁との間から立ち上がり、幅方向の外方に傾倒した中央フラップが設けられていてもよい。この場合、目印は、中央フラップ、および/または、開口または凹部と中央フラップの間に設けられるようにしてもよい。吸収性物品に中央フラップを設けることにより、その上に補助吸収体を載せて使用することができる。中央フラップの上に載せられた補助吸収体は、着用者の肌に近付くように持ち上げられ、着用者から排泄された尿等を補助吸収体で好適に受けることができる。この際、補助吸収体は、幅方向の外方に傾倒して立ち上がるように形成された中央フラップによって、幅方向の断面が凹状に形成されやすくなり、補助吸収体上で尿等が幅方向に溢れにくくなる。
トップシートの幅方向の両側には、幅方向の内方に傾倒した防漏フラップが設けられることが好ましく、防漏フラップには、白色以外かつ目印と異なる色で着色された弾性部材が設けられていることが好ましい。このように防漏フラップを構成することにより、防漏フラップの視認性が高まり、吸収性物品を使用する際に、防漏フラップを起立した状態に形成するよう使用者が意識しやすくなる。また、防漏フラップの弾性部材を目印と混同して認識することも避けることができる。
本発明の吸収性物品は、吸収性コアの幅方向の中央部に、前後方向に延びる開口または凹部が形成され、開口または凹部と吸収性コアの幅方向の外縁との間に、吸収性物品の肌面側から視認可能に着色された目印が設けられているため、吸収性コアに設けられた開口または凹部を利用して補助吸収体を吸収性物品の肌面側の中央位置にセットすることが容易になるとともに、開口または凹部と吸収性コアの幅方向の外縁との間に設けられた目印に基づいて、開口または凹部の位置を把握しやすくなる。
本発明の吸収性物品の一例を表し、吸収性物品を肌面側から見た平面図を表す。 図1に示した吸収性物品のII−II断面図を表す。 本発明の吸収性物品の他の例を表し、吸収性物品を肌面側から見た平面図を表す。 図3に示した吸収性物品のIV−IV断面図を表す。 本発明の吸収性物品の他の例を表し、吸収性物品を肌面側から見た平面図を表す。 図5に示した吸収性物品のVI−VI断面図を表す。
本発明の吸収性物品は、トップシートとバックシートとこれらの間に設けられた吸収性コアとを有し、幅方向と前後方向を有する。本発明の吸収性物品は、肌面側に別体の吸収性物品(以下、別体の吸収性物品を「補助吸収体」と称する)を配して好適に用いられる。本発明の吸収性物品の態様としては、使い捨ておむつや尿パッド等が示され、好ましくは使い捨ておむつに好適に適用される。
本発明において、吸収性物品の前後方向とは、吸収性物品を着用者が着用した際、着用者の股間の前後方向に延びる方向を意味する。吸収性物品の幅方向とは、吸収性物品と同一面上にあり、前後方向と直交する方向を意味する。また、吸収性物品の肌面側とは、吸収性物品を着用した際に着用者の肌に向く側を意味し、吸収性物品の外面側とは、吸収性物品を着用した際の着用者とは反対側を意味する。
吸収性物品の形状は特に限定されない。吸収性物品が尿パッドである場合、吸収性物品の形状としては、略長方形、砂時計形、ひょうたん形等が示される。
吸収性物品が使い捨ておむつである場合、吸収性物品は、例えば、前側部と後側部とこれらの間に位置し吸収性コアが備えられた股部とから構成される。使い捨ておむつとしては、例えば、前側部と後側部とこれらの間に位置する股部とからなる外装部材の肌面側に、トップシートとバックシートの間に吸収性コアが配された吸収性本体が設けられてもよい。このとき、吸収性本体の形状としては略長方形等が示される。使い捨ておむつとしてはまた、トップシートとバックシートの間に吸収性コアが配された積層体が、前側部と後側部とこれらの間に位置する股部とを形成してもよい。なお、前側部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後側部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。股部は、前側部と後側部との間に位置し、着用者の股間に当てる部分に相当する。
吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、後側部の左右側端に止着部材が設けられ、当該止着部材により着用時にパンツ形状に形成するオープンタイプ(テープタイプ)の使い捨ておむつであったり、ウェスト開口部と一対の脚開口部とが形成されたパンツタイプの使い捨ておむつであってもよい。
トップシートは、吸収性コアよりも肌面側に設けられるシートであり、液透過性であることが好ましい。トップシートとしては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシートとして、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。
バックシートは、吸収性コアよりも外面側に設けられるシートであり、液不透過性であることが好ましい。バックシートとしては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。本発明において、液不透過性には撥水性の意味も含まれる。
外装部材は、液透過性であっても液不透過性であってもよく、トップシートやバックシートに使用可能なシート材料を用いることができる。外装部材は、内側シートに外側シートが積層されて形成されることが好ましく、親水性の内側シートに液不透過性の外側シートが積層されて形成されることがより好ましい。
上記説明した各シート材料として不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。
吸収性コアは、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収性コアとしては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができる。吸収性コアは、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等のシート部材で覆われてもよい。吸収性コアに含まれる吸収性材料としては、例えば、セルロース繊維(例えば、粉砕したパルプ繊維)等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸収性材料には、ポリオレフィン繊維(例えば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等)や、ポリエステル繊維(例えば、PET繊維)、ポリアミド繊維(例えば、ナイロン繊維)等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高め、吸収性コアの保形性を高める点から、少なくとも親水性繊維を含むことが好ましく、パルプ繊維を含むことがより好ましい。また、吸収容量を高める点から、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。より好ましくは、吸収性コアは、吸収性材料として親水性繊維と吸水性樹脂を含有する。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
吸収性コアの形状(平面形状)は特に限定されない。吸収性コアの形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、略長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形等が挙げられる。
吸収性コアは複数の層が積層して形成されてもよい。例えば、吸収性コアは、トップシート側に設けられた上側吸収層とバックシート側に設けられた下側吸収層を有していてもよい。上側吸収層と下側吸収層は、上記の吸収性コアに関する説明と同様に、吸収性材料を含むものであれば特に限定されず、それらの形状(平面形状)も特に限定されない。
吸収性コアには、幅方向の中央部に、前後方向に延びる開口または凹部が形成されている。具体的には、開口または凹部は、吸収性コアの幅方向の中心線を含み、当該中心線に沿って前後方向に延びるように形成されている。なお、前後方向に延びる開口または凹部とは、幅方向よりも前後方向に長い形状を有する開口または凹部を意味する。このように吸収性コアに開口または凹部を形成することにより、補助吸収体を吸収性物品の幅方向の中央位置に配置することが容易になる。これについて説明すると、補助吸収体は、吸収性物品の肌面側に配置する際、幅方向に2つ折りする(すなわち前後方向に延びる折り目で2つ折りする)ことで、所望の位置に配置しやすくなる。例えば、吸収性物品を着用者から脱がして両脚の間にずらした状態で補助吸収体を交換する場合、補助吸収体を幅方向に2つ折りすることで、補助吸収体を吸収性物品の肌面側の所望の位置まで移動することが容易になり、その上で補助吸収体の幅方向の2つ折りを展開することで、補助吸収体を吸収性物品の所望の位置にセットしやすくなる。その際、吸収性物品の吸収性コアの幅方向の中央部に前後方向に延びる開口または凹部が設けられていれば、吸収性物品が幅方向断面で窪んだ形状に形成されやすくなるため、補助吸収体の2つ折りの折り目がこの窪みに来るように補助吸収体を配置することで、補助吸収体を吸収性物品の幅方向の中央位置にセットしやすくなる。また、吸収性物品を着用した状態でも、補助吸収体が吸収性物品の幅方向の中央位置に維持されやすくなる。
吸収性コアの開口または凹部は、補助吸収体から尿等が溢れた場合に、尿等の前後方向への拡散路としても機能する。吸収性コアの幅方向の中央部に前後方向に延びる開口または凹部が形成されることにより、吸収性物品上に溢れ出た尿等が開口または凹部に沿って前後方向に拡散しやすくなり、その結果、尿等が吸収性物品に速やかに吸収されやすくなるとともに、吸収性コアが広範囲にわたって尿等の吸収に寄与しやすくなる。
開口は、吸収性コアを厚み方向に貫通して設けられる。凹部は、例えば、吸収性コアの部分的に圧縮されることにより形成されたり、吸収性コアの目付が部分的に減らされることにより形成される。この場合、吸収性コアの圧縮された部分や、目付が減らされた部分が、凹部として形成される。なお、吸収性コアの凹部は、吸収性コアの目付が部分的に減らされることにより形成されることが好ましく、これにより吸収性コアを凹部で窪んだ形状に形成しやすくなる。この場合、凹部は、目付けが、凹部以外の部分よりも60質量%以下(より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下である)となるように形成されることが好ましい。
吸収性コアに凹部が形成される場合、凹部は吸収性コアのトップシート側の表面に形成されても、バックシート側の表面に形成されてもよい。吸収性コアが上側吸収層と下側吸収層から構成される場合は、上側吸収層に開口が形成され、当該開口を覆うように下側吸収層が設けられることにより、吸収性コアに凹部が形成されてもよく、逆に下側吸収層に開口が形成され、当該開口を覆うように上側吸収層が設けられることにより、吸収性コアに凹部が形成されてもよい。好ましくは、凹部は吸収性コアのトップシート側の表面に形成される。
吸収性コアには、開口または凹部が1つのみ設けられてもよく、2つ以上設けられてもよいが、好ましくは、開口または凹部は吸収性コアに1つのみ設けられる。すなわち、吸収性コアには開口または凹部が1つのみ設けられ、当該開口または凹部は、幅方向の中央部に前後方向に延びるように設けられることが好ましい。このように吸収性コアを形成することより、吸収性コアが幅方向断面で窪んだ形状に形成されやすくなる。
開口または凹部は、幅方向の長さが、吸収性コアの最も幅狭な部分の幅方向の長さの5%以上となることが好ましく、8%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましく、また30%以下が好ましく、25%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。なお、吸収性コアの最も幅狭な部分とは、吸収性コアを前後方向に前方部と後方部とこれらの間の中間部とに3分割した場合に、中間部において幅方向に最も狭く形成された部分を意味する。吸収性コアが略長方形である場合は、吸収性コアは前後方向の全てが最も幅狭な部分となる。このように開口または凹部が設けられれば、吸収性コアが幅方向断面で窪んだ形状に形成されやすくなる。開口または凹部の幅はまた、5mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、35mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましい。
開口または凹部は、前後方向の長さが、吸収性コアの前後方向の長さの40%以上となることが好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましく、また90%以下が好ましく、85%以下がより好ましく、80%以下がさらに好ましい。なお、開口または凹部の前側端は吸収性コアの前側端よりも後方に位置し、開口または凹部の後側端は吸収性コアの後側端よりも前方に位置していることが好ましい。このように開口または凹部が設けられれば、吸収性コアの一体性を保ちつつ、吸収性コアを幅方向断面で窪んだ形状に形成しやすくなる。
開口または凹部は、吸収性コアの前後方向に対する相対位置として前側端を0%とし後側端を100%としたとき、開口または凹部の前側端が5%〜30%の領域にあり、開口または凹部の後側端が70%〜95%の領域にあることが好ましい。なお、上記に説明した長さや相対位置は、吸収性物品に設けられる弾性部材を完全に伸張させた状態(すなわち、弾性部材を除去した状態あるいは弾性部材を細かく切断して弾性部材の収縮力が発現しない状態)で測定する。後記するその他の様々な長さや位置に関しても、同様の条件で測定した値を用いる。
吸収性コアが砂時計形状に形成される場合は、開口または凹部は、少なくとも砂時計形状のくびれ部に設けられることが好ましい。すなわち、吸収性コアは前後方向に前方部と後方部とこれらの間の中間部を有し、吸収性コアの前方部と後方部が中間部よりも幅広に形成され、開口または凹部が少なくとも中間部に設けられることが好ましい。開口または凹部は、さらに前方部および/または後方部に延在していてもよい。
ところで、上述したように幅方向に2つ折りした補助吸収体を吸収性物品の肌面側に配置する場合、吸収性物品が幅方向断面で窪んだ形状に形成されたとしても、それだけでは吸収性物品の幅方向の中央位置を正確に認識することは実際には難しい。吸収性物品の肌面側、特に吸収性コアが存在する部分は、通常、全体として白色に形成されているため、吸収性物品の肌面側に窪みなどの凹凸が形成されていても、遠近感を正確に把握できずに当該凹凸を視認することが困難となりやすい。そこで本発明の吸収性物品では、開口または凹部の幅方向の外方に、吸収性物品の肌面側から視認可能に着色された目印を設けている。具体的には、開口または凹部と吸収性コアの幅方向の外縁との間に、吸収性物品の肌面側から視認可能に着色された目印を設けている。このように目印を設けることにより、吸収性コアの開口または凹部の位置を把握しやすくなり、補助吸収体を吸収性物品の幅方向の中央位置に正確にセットしやすくなる。この際、目印を開口または凹部の幅方向の外方に設けることにより、補助吸収体を2つ折りにして、この折り目が吸収性コアの開口または凹部と重なるように配置しても、2つ折りにした補助吸収体によって開口または凹部が隠れても目印まで隠れることは避けることができる。そのため、2つ折りした補助吸収体を吸収性物品に重ねた状態でも、吸収性物品の幅方向の中央位置を認識でき、補助吸収体を吸収性物品の幅方向の中央位置に正確にセットしやすくなる。
目印は、開口または凹部の幅方向の両側に設けられることが好ましい。また、目印は、少なくとも開口または凹部から幅方向の外方に20mm以内の領域に設けられることが好ましく、15mm以内の領域に設けられることがより好ましい。このように目印を設けることにより、目印に基づいて開口または凹部の位置を把握しやすくなる。なお目印は、開口または凹部から幅方向の外方に20mmを超えて設けられてもよいが、吸収性コアの開口または凹部の位置を把握しやすくするという目印の目的を勘案すると、目印は、開口または凹部から幅方向の外方に60mmを超えて設けられないことが好ましく、50mmを超えて設けられないことがより好ましい。また、目印は、開口または凹部と重なって設けられないことが好ましい。
目印は、前後方向に延びるように設けられることが好ましく、例えば前後方向に50mm以上の長さで設けられることが好ましい。このように目印を設けることにより、目印に基づいて開口または凹部の位置を把握しやすくなる。目印の前後方向の長さは80mm以上がより好ましく、120mm以上がさらに好ましい。また、目印は、吸収性コアを前後方向に3等分したときの少なくとも中間部に設けられることが好ましい。
目印は、幅方向または前後方向に連続的に設けられてもよく、断続的に設けられてもよい。なお、吸収性コアの開口または凹部の位置を把握しやすくするという目印の目的を勘案すると、目印は前後方向にできるだけ連続的に設けられることが好ましい。目印が前後方向に断続的に設けられる場合でもその断続長さは短い方が好ましく、例えば、目印の前後方向の断続長さ(1つの断続部分の長さ)は20mm以下であることが好ましく、15mm以下がより好ましい。また、目印の断続部分の全長は、目印の前後方向の全長(断続部分を含む長さ)の30%以下であることが好ましく、20%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。
目印は、開口または凹部の幅方向の一方側と他方側のそれぞれにおいて、幅方向に並んで複数設けられてもよく、このように目印を設けることにより、目印によって吸収性コアの開口または凹部の位置が強調されやすくなる。目印の幅(幅方向に並んで複数設けられる場合は、1つの目印の幅)は特に限定されないが、目印の存在が強調されすぎても、吸収性物品の使用者が違和感を覚えるおそれがあることから、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましい。目印の幅は1mm以下であってもよく、後述するように、目印は、着色された弾性部材によって形成されてもよい。
目印は、開口または凹部の前側端よりも前方に延在している、および/または、開口または凹部の後側端よりも後方に延在していることが好ましい。このように目印を設けることにより、補助吸収体を開口または凹部の延在方向に対してずれることなく配置しやすくなり、補助吸収体を吸収性物品の前後方向に対して略平行に配置しやすくなる。より好ましくは、目印は、開口または凹部の前側端よりも前方かつ後側端よりも後方に延在している。
目印は、吸収性物品の肌面側から視認可能であれば、吸収性物品の構成部材のいずれに設けられてもよい。例えば、目印は、吸収性コアに設けられたり、トップシートに設けられたり、吸収性コアとトップシートの間に配される部材に設けられたり、トップシートよりも肌面側に配される部材に設けられてもよい。
目印は白色以外に着色されていることが好ましく、これにより吸収性物品の肌面側から目印を視認しやすくなる。目印の色としては、赤色、橙色、黄色、黄緑色、緑色、青色、紫色、黒色など特に限定されないが、視認性を高める点から、目印の色はL***表色系による色度a*が0以上であることが好ましい。この場合、目印は青紫色〜黄色の赤色を中心とする色相で着色され、吸収性物品の肌面側から見て目印を視認しやすくなる。そのため、目印に基づいて開口または凹部の位置を把握しやすくなる。目印はまた、L***表色系による色相角度hが−75°以上75°以下に着色されていることが好ましく、この場合、目印は紫色〜橙色の赤色を中心とする色相で着色されることとなる。色相角度hはより好ましくは−60°以上であり、さらに好ましくは−45°以上であり、特に好ましくは−30°以上であり、また60°以下が好ましく、45°以下がさらに好ましい。色相角度hは、L***表色系のa*とb*の値から、次式により求めることができる:h=tan-1[(b*)/(a*)]。L***表色系による色表示(L*、a*、b*)は、例えば、コニカミノルタ社製の蛍光分光濃度計FD−7により測定することができる。
目印の彩度C*は特に限定されないが、目印は鮮やかな色を有していることが好ましいことから、目印の彩度C*は、例えば20以上が好ましく、30以上がより好ましく、40以上がさらに好ましい。彩度C*は、L***表色系のa*とb*の値から、次式により求めることができる:C*=[(a*2+(b*21/2
目印の明度L*は、色相に応じて取り得る範囲が変わるため、好適範囲を一概に定めることは難しいが、例えば、20以上が好ましく、30以上がより好ましく、40以上がさらに好ましく、また80以下が好ましく、75以下がより好ましく、70以下がさらに好ましい。
吸収性物品はまた、開口または凹部が吸収性物品の肌面側から視認可能に着色されていてもよく、これにより開口または凹部を直接視認しやすくなる。この場合、開口または凹部は白色以外に着色されていることが好ましく、目印との違いを明確にする点からは、開口または凹部は目印とは異なる色で着色されていることが好ましい。具体的には、開口または凹部は、目印に対して色相角度hが45°以上異なる色で設けられていることが好ましく、60°以上異なる色で設けられることがより好ましく、90°以上異なる色で設けられることがさらに好ましい。開口または凹部は、例えば、L***表色系による色相角度hが120°以上285°以下に着色されていることが好ましい。
開口または凹部の彩度C*は特に限定されないが、例えば20以上が好ましく、30以上がより好ましく、40以上がさらに好ましい。
開口の着色は、例えば、吸収性コアの外面側に開口と重なる位置に着色シートを設けたり、バックシートの開口と重なる位置を着色することにより実現できる。凹部の着色は、吸収性コアの凹部を着色したり、吸収性コアの凹部に着色シートを設けることにより実現できる。
目印は、着色された弾性部材によって形成されてもよい。この場合、吸収性コアよりも肌面側に、目印として、白色以外に着色された弾性部材が設けられることが好ましい。補助吸収体を併用した場合、補助吸収体の重みによって吸収性物品が着用者の股間で垂れ下がりやすくなるところ、吸収性コアよりも肌面側に、目印として着色された弾性部材を設けることにより、吸収性物品が着用者の股間で着用者の肌に向かって持ち上げられ、補助吸収体を着用者の肌に近付けて配置しやすくなる。そのため、着用者から排泄された尿等を補助吸収体が好適に受けやすくなり、補助吸収体から尿等が溢れ出るのを防ぎやすくなる。以下、目印として設ける弾性部材を、「目印用弾性部材」と称する。
目印用弾性部材の配置例やその好適態様は、上記の目印に関する説明と同様である。目印用弾性部材は、吸収性コアに取り付けられてもよく、吸収性コアよりも肌面側に設けられたシート部材(例えば、トップシートや、トップシートと吸収性コアの間に設けられる任意のシート部材、トップシートよりも肌面側に設けられる任意のシート部材等)に取り付けられてもよい。目印用弾性部材は、接着剤等の公知の接合手段により取り付けられればよい。
目印用弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常の吸収性物品に用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。目印用弾性部材は、伸張状態で、ホットメルト接着剤等の接着剤で取り付けられることが好ましい。例えば、繊度40〜1,240dtexのポリウレタン糸を、倍率1.1〜5.0倍に伸張して配設し、固定する。接合手段としては、好ましくは、ゴム系のホットメルト接着剤が用いられる。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。以下に説明する様々な弾性部材についても同様である。
本発明の吸収性物品は、補助吸収体を着用者の肌により近付けて配置することができるように、トップシートに、開口または凹部と吸収性コアの幅方向の外縁との間から立ち上がり、幅方向の外方に傾倒した中央フラップが設けられてもよい。吸収性物品にこのように形成された中央フラップを設けることにより、その上に補助吸収体を載せて使用することが可能となる。中央フラップの上に載せられた補助吸収体は、着用者の肌に近付くように持ち上げられ、着用者から排泄された尿等を補助吸収体で好適に受けることができる。また中央フラップは、幅方向の外方に傾倒するように形成されているため、補助吸収体の幅方向の外方部が幅方向の内方部よりも着用者の肌に近付くように持ち上げられ、補助吸収体が幅方向断面で凹状に形成されやすくなる。そのため、補助吸収体が受けた尿等が補助吸収体上で幅方向に溢れ出にくくなり、尿等が補助吸収体によって好適に吸収されやすくなる。
中央フラップは、開口または凹部の幅方向の両側に設けられることが好ましい。中央フラップは、開口または凹部の近傍から立ち上がるように形成されていることが好ましく、例えば開口または凹部から幅方向の外方に25mm以内の領域(より好ましくは20mm以内の領域)から立ち上がるように形成されていることが好ましい。
中央フラップには、前後方向に延びる弾性部材が設けられることが好ましい。中央フラップに弾性部材を設けることにより、弾性部材の収縮力によって中央フラップが着用者の肌に向かって立ち上がりやすくなる。
中央フラップは、立ち上がる起点を基部とし、立ち上がった先端を自由端としたとき、少なくとも自由端の近傍に弾性部材が設けられることが好ましい。具体的には、中央フラップの基部から自由端に至る領域を3等分して、基部側領域と自由端側領域とその間の中間領域としたとき、少なくとも自由端側領域に弾性部材が設けられることが好ましい。自由端側領域に設けられた弾性部材によって中央フラップの幅方向の外方部を高く立ち上げることができるため、中央フラップの上に補助吸収体を載せた際に、補助吸収体を幅方向断面で凹状に形成しやすくなる。中央フラップは基部側領域にも弾性部材が設けられることが好ましく、これにより、中央フラップの全体が着用者の肌に向かって立ち上がりやすくなる。そのため、中央フラップの上に補助吸収体を載せた際に、補助吸収体を着用者の肌により近付けて設置しやすくなる。中央フラップは自由端側領域に加えて(あるいはさらに基部側領域に加えて)中間領域にも弾性部材が設けられることが好ましく、これにより中央フラップの剛性を全体的に高めることができ、例えば補助吸収体が尿等を吸収した場合でも、補助吸収体を着用者の肌に近付けた状態を維持しやすくなる。
中央フラップは、吸収性物品の前後方向の全長にわたって設けられてもよく、吸収性物品の前後方向の一部に設けられてもよい。なお、中央フラップの上に補助吸収体を載せやすくする点から、中央フラップは、吸収性物品の前後方向の60%以上の長さで設けられることが好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。
中央フラップは、幅方向の外方に傾倒して立ち上がりやすくするために、幅方向の外側面の前後端部がトップシートに直接または間接的に接合されていることが好ましい。中央フラップの幅方向の外側面の前後端部がトップシートに接合されることにより、中央フラップの前側端部と後側端部の間の部分が起立可能に形成される。なお中央フラップの外側面とは、中央フラップが立ち上がった状態で、中央フラップの幅方向に対する外側面を意味する。中央フラップの前側端部と後側端部はそれぞれ、中央フラップの前側端または後側端を含む部分として規定され、中央フラップの前後方向に対する相対位置として前側端を0%とし後側端を100%としたとき、例えば前側端部が0%〜15%の領域に対応し、後側端部が85%〜100%の領域に対応する。
中央フラップは、例えば、トップシートの上にセンターシートを配し、センターシートの幅方向の中央部をトップシートに接合することにより形成することができる。あるいは、トップシートの幅方向の両側に右側センターシートと左側センターシートを配し、右側センターシートと左側センターシートの幅方向の内方部をトップシートに接合することにより形成することができる。中央フラップに弾性部材を設ける場合は、これらのセンターシートに弾性部材を取り付ければよい。
中央フラップは、液透過性であっても液不透過性であってもよく、従って、センターシート(左側センターシートと右側センターシートを含む)には、トップシートやバックシートに使用可能なシート材料を用いることができる。なお、中央フラップあるいはセンターシートは液透過性であることが好ましく、これにより、補助吸収体が受けた尿等が補助吸収体から溢れて中央フラップの上に移行しても、尿等が中央フラップやセンターシートを透過して、吸収性コアに好適に吸収させることができる。
上記に説明した目印は、中央フラップに設けてもよい。この場合、目印は、中央フラップの内側面(具体的には中央フラップが立ち上がった状態での中央フラップの幅方向に対する内側面)に設けられることが好ましく、これにより、吸収性物品の肌面側から目印を視認しやすくなる。中央フラップに目印が設けられる場合、上記に説明した目印を設置する好適位置は、中央フラップを幅方向の外方に倒伏させた状態で規定するものとする。目印はまた、開口または凹部と中央フラップ(具体的には中央フラップの基部)の間に設けてもよい。
中央フラップに設けられる弾性部材は、目印用弾性部材として機能するものであってもよい。すなわち、着色された弾性部材を中央フラップに設けて、これを目印として機能させてもよい。また、目印用弾性部材を開口または凹部と中央フラップ(具体的には中央フラップの基部)の間に設けてもよく、これにより中央フラップの全体を着用者の肌に近付いて設置しやすくなる。
吸収性物品には、トップシートの幅方向の両側に防漏フラップが設けられることが好ましい。防漏フラップにより、尿等の横漏れが防止される。吸収性物品に中央フラップが設けられる場合は、防漏フラップは中央フラップよりも幅方向の外方に設けられる。
防漏フラップは、幅方向の内方に傾倒するように形成されている。このように防漏フラップが形成されることにより、補助吸収体から溢れ出た尿等が防漏フラップを越えて漏れ出しにくくなる。
防漏フラップには、前後方向に延びる弾性部材が設けられることが好ましい。防漏フラップに弾性部材を設けることにより、弾性部材の収縮力によって防漏フラップが着用者の肌に向かって立ち上がりやすくなる。防漏フラップは、立ち上がる起点を基部とし、立ち上がった先端を自由端としたとき、少なくとも自由端の近傍に弾性部材が設けられることが好ましい。具体的には、防漏フラップの基部から自由端に至る領域を3等分して、基部側領域と自由端側領域とその間の中間領域としたとき、少なくとも自由端側領域に弾性部材が設けられることが好ましい。防漏フラップには、弾性部材が幅方向に並んで複数設けられていてもよい。
防漏フラップに設けられる弾性部材は、上記に説明した目印とは異なる色で着色されていることが好ましく、これにより目印の視認性を高めることができる。防漏フラップに設けられる弾性部材は、白色であってもよいが、白色以外かつ目印と異なる色で着色されていてもよい。防漏フラップの弾性部材が白色以外かつ目印と異なる色で着色されていれば、防漏フラップの視認性が高まり、吸収性物品を使用する際に、防漏フラップを起立した状態に形成するよう使用者が意識しやすくなる。例えば、防漏フラップの弾性部材は、目印に対して色相角度hが45°以上異なる色で設けられていることが好ましく、60°以上異なる色で設けられることがより好ましく、90°以上異なる色で設けられることがさらに好ましい。防漏フラップの弾性部材はまた、L***表色系による色相角度hが120°以上285°以下に着色されていることが好ましい。防漏フラップの弾性部材の彩度C*は特に限定されないが、例えば20以上が好ましく、30以上がより好ましく、40以上がさらに好ましい。
防漏フラップは、吸収性物品の前後方向の全長にわたって設けられてもよく、吸収性物品の前後方向の一部に設けられてもよい。なお、防漏フラップによる横漏れ防止効果を高める点から、防漏フラップは、吸収性物品の前後方向の70%以上の長さで設けられることが好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
防漏フラップは、幅方向の内方に傾倒して立ち上がりやすくするために、幅方向の内側面の前後端部がトップシートに直接または間接的に接合されていることが好ましい。防漏フラップの幅方向の内側面の前後端部がトップシートに接合されることにより、防漏フラップの前側端部と後側端部の間の部分が起立可能に形成される。なお防漏フラップの内側面とは、防漏フラップが立ち上がった状態で、防漏フラップの幅方向に対する内側面を意味する。防漏フラップの前側端部と後側端部はそれぞれ、防漏フラップの前側端または後側端を含む部分として規定され、防漏フラップの前後方向に対する相対位置として前側端を0%とし後側端を100%としたとき、例えば前側端部が0%〜15%の領域に対応し、後側端部が85%〜100%の領域に対応する。
防漏フラップは、中央フラップと重ならないように設けられることが好ましい。具体的には、中央フラップと防漏フラップは、倒伏した状態で互いに離間するように形成されていることが好ましい。このように中央フラップと防漏フラップが形成されていれば、吸収性物品を使用する際、中央フラップと防漏フラップが互いに邪魔されずに立ち上がりやすくなる。
中央フラップと防漏フラップは、中央フラップの基部と防漏フラップの基部との間の距離が、一方側の中央フラップの基部と他方側の中央フラップの基部との間の距離よりも長くなるように設けられていることが好ましい。この場合、幅方向の一方側と他方側の中央フラップは互いに接近して設けられることとなるため、中央フラップの上に補助吸収体を載せた場合に、補助吸収体を着用者の肌により近付けて設置することができる。また、防漏フラップは、吸収性物品の幅方向のより外側に設けられることとなるため、補助吸収体から尿等が溢れても、防漏フラップによって尿等の横漏れが効果的に防止されるようになる。なお、中央フラップの基部と防漏フラップの基部との間の距離は、中央フラップと当該中央フラップの幅方向の外方に位置する防漏フラップとの間の距離を意味する。
防漏フラップは、例えば、トップシートの幅方向の両側に、前後方向に延在するサイドシートを接合し、サイドシートの幅方向の内方部に弾性部材を設けることにより形成することができる。このようにサイドシートと弾性部材を設けることにより、弾性部材の収縮力によりサイドシートの幅方向の内方部が着用者の肌に向かって立ち上がり、防漏フラップが形成される。防漏フラップまたはサイドシートは、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等により構成されることが好ましい。
本発明の吸収性物品には、上記に説明した弾性部材以外に、さらに別の弾性部材が設けられていてもよい。例えば吸収性物品には、吸収性コアと防漏フラップの間に前後方向に延びる弾性部材が設けられることが好ましく、これにより吸収性コアの幅方向の両端部が着用者の肌に向かって持ち上げられ、尿等の横漏れを防止しやすくなる。また、防漏フラップの幅方向の外方に前後方向に延びる弾性部材が設けられてもよく、これにより着用者の脚周りのフィット性が高められ、脚周りからの尿等の漏れが防止される。吸収性物品の前後方向の端部には、幅方向に延びる弾性部材が設けられてもよく、これにより着用者の腰周りのフィット性が高められ、腹部や背部からの尿等の漏れが防止される。
次に、本発明の吸収性物品の構成例について、図面を参照して説明する。図面では、吸収性物品としてオープンタイプ(テープタイプ)の使い捨ておむつが示されている。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
図1および図2には、本発明の吸収性物品の一例を示した。図1は、吸収性物品としてオープンタイプの使い捨ておむつを肌面側から見た平面図を表し、図2は、図1に示した吸収性物品のII−II断面図を表す。本願の図では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。なお図1では、図面の上側が吸収性物品の前側に相当し、図面の下側が吸収性物品の後側に相当する。
吸収性物品1(1A)は、トップシート2とバックシート3とこれらの間に設けられた吸収性コア4とを有する。トップシート2を透過した排泄物は、吸収性コア4により収容される。バックシート3は吸収性コア4の外面側に設けられ、排泄物が外部へ漏れるのを防いでいる。
吸収性物品1Aでは、吸収性コア4は砂時計形に形成されている。すなわち、吸収性コア4は、前後方向yに前方部と後方部とこれらの間の中間部を有し、前方部と後方部が中間部よりも幅広に形成されている。
トップシート2の幅方向xの両側には、幅方向xの内方に傾倒した防漏フラップ12が設けられている。防漏フラップ12は、トップシート2の幅方向xの両側にサイドシート13を接合し、サイドシート13の幅方向xの内方部に弾性部材14を設けることにより、着用者の肌に向かって立ち上がるように形成されている。
吸収性物品1Aの前後方向yの後側部には、左右側端部に止着部材19が取り付けられている。止着部材19は基材シート20に留め具21が設けられて構成されている。吸収性物品1Aは、着用者の股間に当てて、止着部材19の留め具21を吸収性物品1Aの前側部の外側面に接合することで、装着することができる。留め具21としては、フック・ループ・ファスナーのフック部材や粘着剤を採用することができる。
吸収性コア4には、幅方向xの中央部に前後方向yに延びる開口5が形成され、開口5と吸収性コア4の幅方向xの外縁との間に、吸収性物品の肌面側から視認可能に着色された目印6が設けられている。吸収性物品1Aでは、トップシート2に目印6が印刷されている。目印6は、例えば、L***表色系による色度a*が0以上、色相角度hが−75°以上75°以下に着色されていることが好ましい。吸収性物品1Aに目印6を設けることにより吸収性コア4の開口5の位置を把握しやすくなり、補助吸収体を併用する際に、補助吸収体を吸収性物品1Aの幅方向xの中央位置に正確にセットしやすくなる。例えば、補助吸収体をセットする際に、補助吸収体を幅方向に2つ折りにしてこの折り目が開口5と重なるように配置しても、開口5が隠れても目印6まで隠れることは避けることができるため、2つ折りした補助吸収体を吸収性物品1Aに重ねた状態でも、目印6によって吸収性物品1Aの幅方向xの中央位置を認識しやすくなる。
吸収性物品1Aでは、目印6が、開口5の前側端よりも前方に延在するとともに、開口5の後方端よりも後方に延在している。このように目印6が設けられていれば、補助吸収体を開口5の延在方向に対してずれることなく配置しやすくなる。
防漏フラップ12に設けられる弾性部材14は、白色以外かつ目印6と異なる色で着色されていることが好ましく、これにより防漏フラップ12の視認性が高まり、吸収性物品を使用する際に、防漏フラップ12を起立した状態に形成するよう使用者が意識しやすくなる。また、目印6と混同して認識することも避けることができる。
吸収性物品1Aには、防漏フラップ12の基部12Bよりも幅方向xの外方に、脚周り用弾性部材10が設けられている。脚周り用弾性部材10を設けることにより、着用者の脚周りのフィット性が高められ、脚周りからの尿等の漏れが防止される。
吸収性物品1Aの前後方向yの端部には、幅方向xに延びるウェスト用弾性部材11が設けられている。ウェスト用弾性部材11により着用者の腰周りに沿ったウェストギャザーが形成され、腹部や背部からの尿等の漏れが防止される。
本発明の吸収性物品の別の構成例について、図3および図4を参照して説明する。図3は、吸収性物品としてオープンタイプの使い捨ておむつを肌面側から見た平面図を表し、図4は、図3に示した吸収性物品のIV−IV断面図を表す。なお、下記の説明において、上記の説明と重複する部分の説明を省略する。
図3および図4に示した吸収性物品1(1B)では、目印6が弾性部材8により形成されている。弾性部材8は、トップシート2と吸収性コア4の間に配され、接着剤等によりトップシート2に取り付けられている。弾性部材8は、開口5と吸収性コア4の幅方向xの外縁との間に前後方向yに延びるように設けられ、白色以外に着色されている。目印6はこのように、白色以外に着色された弾性部材8によって形成されていてもよい。
吸収性物品1Bでは、開口5の幅方向xの両側の外縁に沿って弾性部材8を設けることにより、吸収性物品1Bが着用者の股間で肌に近付くように持ち上げられ、補助吸収体を着用者の肌に近付けて配置しやすくなる。そのため、着用者から排泄された尿等を補助吸収体によって好適に受けやすくなり、補助吸収体から尿等が溢れ出るのを防ぎやすくなる。
吸収性物品1Bでは、吸収性コア4とバックシート3の間に台紙7が設けられている。台紙7は、白色以外かつ目印6(弾性部材8)と異なる色で着色されており、これにより開口5が台紙7の色で着色されることとなる。開口5が白色以外かつ目印6と異なる色で着色されることにより、開口5を直接視認しやすくなる。
吸収性物品1Bでは、吸収性コア4の前後方向yの中間部と防漏フラップ12の基部12Bとの間に、弾性部材9が設けられている。弾性部材9を設けることにより、吸収性物品1Bを着用の際、吸収性コア4の幅方向xの両端部が着用者の肌に向かって持ち上げられ、尿等の横漏れを防ぎやすくなる。
弾性部材9は、吸収性コア4が砂時計形状に形成される場合、すなわち吸収性コア4の前方部と後方部がそれらの間の中間部よりも幅広に形成される場合は、吸収性コア4の前方部と後方部と重なり、中間部と重ならないように設けられることが好ましい。このように弾性部材9を設けることにより、吸収性コア4の前方部と後方部が互いに近付くように形成され、吸収性コア4の着用者の股間へのフィット性が高まる。なお弾性部材9は、吸収性コア4の前方部と後方部では、吸収性コア4とバックシート3の間に設けられることが好ましい。
弾性部材9は、開口5の幅方向xの外縁に沿って設けられる弾性部材8よりも、前後方向yに短い長さで設けられることが好ましい。このように弾性部材9が設けられれば、吸収性コア4の前方部と後方部が歪みにくくなる。そのため、吸収性物品1Bを着用の際に、吸収性コア4を着用者の腹部や背部にフラットな状態で当てやすくなり、尿等の腹部や背部からの漏れを防止しやすくなる。
弾性部材9は、防漏フラップ12の基部12Bよりも吸収性コア4の方に近い位置に設けられることが好ましい。このように弾性部材9が設けられれば、防漏フラップ12の立ち上がりが弾性部材9によって邪魔されにくくなり、防漏フラップ12が着用者の肌に向かって真っ直ぐ立ち上がりやすくなる。そのため、弾性部材9の収縮力によって吸収性コア4の幅方向xの両端部が着用者の肌に当たりやすくなることと相まって、尿等の横漏れ防止効果がさらに高められる。
本発明の吸収性物品のさらに別の構成例について、図5および図6を参照して説明する。図5は、吸収性物品としてオープンタイプの使い捨ておむつを肌面側から見た平面図を表し、図6は、図5に示した吸収性物品のVI−VI断面図を表す。なお、下記の説明において、上記の説明と重複する部分の説明を省略する。
図5および図6に示した吸収性物品1(1C)は、図3および図4に示した吸収性物品1Bに対して、中央フラップ15が設けられている点、台紙7が設けられていない点、目印6として弾性部材8の代わりに弾性部材17,18が設けられている点が異なる。
図5および図6に示した吸収性物品1(1C)では、開口5と吸収性コア4の幅方向xの外縁との間から立ち上がり、幅方向xの外方に傾倒した中央フラップ15が設けられている。中央フラップ15は、トップシート2の幅方向xの両側に設けられた防漏フラップ12の間に、開口5を挟んで幅方向xの一方側と他方側に設けられている。図面では、トップシート2の上にセンターシート16が配され、センターシート16の幅方向xの中央部をトップシート2に接合し、センターシート16の幅方向xの両端部に弾性部材17を設けることにより、中央フラップ15が形成されている。
吸収性物品1Cでは、中央フラップ15の上に補助吸収体を載せて使用することができる。中央フラップ15の上に載せられた補助吸収体は、中央フラップ15によって着用者の肌に向かって持ち上げられ、着用者から排泄された尿等を補助吸収体で好適に受けることができる。この際、補助吸収体は、幅方向xの外方に傾倒して立ち上がるように形成された中央フラップ15によって、幅方向xの断面が凹状に形成され、補助吸収体上で尿等が幅方向xに溢れ出にくくなる。
吸収性物品1Cでは、弾性部材18がトップシート2とセンターシート16の間に配され、接着剤等によりセンターシート16に取り付けられている。弾性部材18は、開口5と中央フラップ15の立ち上がりの起点となる基部15Bの間に配されており、これにより中央フラップ15の全体が着用者の肌に近付くように形成されやすくなる。その結果、中央フラップ15の上に載せた補助吸収体も着用者の肌の近くに配置することが可能となる。
吸収性物品1Cでは、弾性部材17と弾性部材18の少なくとも一方を白色以外に着色し、目印6として機能させることができる。図6では、弾性部材17,18がセンターシート16の一方面(図面では下側の面)に取り付けられているが、センターシート16を複層構造としてその層間に弾性部材17,18を設けてもよい。
以上、本発明の吸収性物品の構成例について説明したが、本発明の吸収性物品は上記の構成例に様々な変形を加えたり、それぞれの構成例の一部を相互に置換または結合することができる。また、吸収性コア4には、開口5の代わりに凹部を形成してもよい。
1,1A,1B,1C: 吸収性物品
2: トップシート
3: バックシート
4: 吸収性コア
5: 開口
6: 目印
7: 台紙
8,9,10,11,14,17,18: 弾性部材
12: 防漏フラップ
15: 中央フラップ

Claims (12)

  1. 幅方向と前後方向を有し、トップシートとバックシートとこれらの間に設けられた吸収性コアを有する吸収性物品であって、
    前記吸収性コアには、幅方向の中央部に、前後方向に延びる開口または凹部が形成され、
    前記トップシートの幅方向の両側に、幅方向の内方に傾倒した防漏フラップが設けられ、
    前記開口または凹部と前記吸収性コアの幅方向の外縁との間に、吸収性物品の肌面側から視認可能に着色された目印が設けられ
    前記防漏フラップには、白色以外かつ前記目印と異なる色で着色された弾性部材が設けられていることを特徴とする吸収性物品。
  2. 幅方向と前後方向を有し、トップシートとバックシートとこれらの間に設けられた吸収性コアを有する吸収性物品であって、
    前記吸収性コアには、幅方向の中央部に、前後方向に延びる開口または凹部が形成され、
    前記吸収性コアよりも肌面側に、前記開口または凹部と前記吸収性コアの幅方向の外縁との間に、吸収性物品の肌面側から視認可能に着色された目印として、白色以外に着色された弾性部材が設けられ、
    前記目印は、L * * * 表色系による色度a * が0以上、色相角度hが−75°以上75°以下に着色されていることを特徴とする吸収性物品。
  3. 幅方向と前後方向を有し、トップシートとバックシートとこれらの間に設けられた吸収性コアを有する吸収性物品であって、
    前記吸収性コアには、幅方向の中央部に、前後方向に延びる開口または凹部が形成され、
    前記吸収性コアよりも肌面側に、前記開口または凹部と前記吸収性コアの幅方向の外縁との間に、吸収性物品の肌面側から視認可能に着色された目印として、白色以外に着色された弾性部材が設けられ、
    前記目印は、前記開口または凹部の前側端よりも前方に延在している、および/または、前記開口または凹部の後側端よりも後方に延在していることを特徴とする吸収性物品。
  4. 幅方向と前後方向を有し、トップシートとバックシートとこれらの間に設けられた吸収性コアを有する吸収性物品であって、
    前記吸収性コアには、幅方向の中央部に、前後方向に延びる開口または凹部が形成され、
    前記トップシートには、前記開口または凹部と前記吸収性コアの幅方向の外縁との間から立ち上がり、幅方向の外方に傾倒した中央フラップが設けられ、
    前記吸収性コアよりも肌面側に、前記開口または凹部と前記吸収性コアの幅方向の外縁との間に、吸収性物品の肌面側から視認可能に着色された目印として、白色以外に着色された弾性部材が設けられ、
    前記目印が、前記中央フラップ、および/または、前記開口または凹部と前記中央フラップの間に設けられていることを特徴とする吸収性物品。
  5. 幅方向と前後方向を有し、トップシートとバックシートとこれらの間に設けられた吸収性コアを有する吸収性物品であって、
    前記吸収性コアには、幅方向の中央部に、前後方向に延びる開口または凹部が形成され、
    前記トップシートには、前記開口または凹部と前記吸収性コアの幅方向の外縁との間から立ち上がり、幅方向の外方に傾倒した中央フラップが設けられ、
    前記開口または凹部と前記吸収性コアの幅方向の外縁との間に、吸収性物品の肌面側から視認可能に着色された目印が設けられ
    前記目印が、前記中央フラップに設けられていることを特徴とする吸収性物品。
  6. 前記吸収性コアよりも肌面側に、前記目印として、白色以外に着色された弾性部材が設けられている請求項1または5に記載の吸収性物品。
  7. 前記トップシートには、前記開口または凹部と前記吸収性コアの幅方向の外縁との間から立ち上がり、幅方向の外方に傾倒した中央フラップが設けられ、
    前記目印が、前記中央フラップ、および/または、前記開口または凹部と前記中央フラップの間に設けられている請求項1〜のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  8. 前記トップシートの幅方向の両側に、幅方向の内方に傾倒した防漏フラップが設けられ、
    前記防漏フラップには、白色以外かつ前記目印と異なる色で着色された弾性部材が設けられている請求項のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  9. 前記目印は、L***表色系による色度a*が0以上、色相角度hが−75°以上75°以下に着色されている請求項1、3〜6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  10. 前記目印は、前記開口または凹部の前側端よりも前方に延在している、および/または、前記開口または凹部の後側端よりも後方に延在している請求項1、2、4〜6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  11. 前記目印は、少なくとも前記開口または凹部から幅方向の外方に20mm以内の領域に、前後方向に50mm以上の長さで設けられている請求項1〜10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  12. 記凹部は、白色以外かつ前記目印と異なる色で着色されている、または、
    前記吸収性コアの外面側の前記開口と重なる位置に、白色以外かつ前記目印と異なる色の着色シートが設けられている、または、
    前記バックシートの前記開口と重なる位置が、白色以外かつ前記目印と異なる色で着色されている請求項1〜11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
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