ところで、カードホルダ取付機構が設けられていない被取付体には、カードホルダを取付けることができない上、カードホルダ取付機構が設けられている被取付体に対しても、カードホルダ取付機構が設けられていない箇所にカードホルダを取付けることはできない。このため、当初はカードホルダを取付ける予定ではなかった被取付体にカードホルダを取付けたり、被取付体に対するカードホルダの取付位置、ひいては、カードの装着位置を変更したりすることは不可能となっている。
また、カードホルダ取付機構、及び、カードホルダの取付部の形状は統一されたものではなく、例えば、カードホルダ取付機構が所望の位置に設けられていたとしても、カードホルダ取付機構と、カードホルダの取付部との形状が合致しなければ取付けることはできない。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、利便性の向上を図ることのできるカードホルダ及びその取付構造を提供することにある。
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
手段1.カードホルダであって、
ベース部と、前記ベース部から延び、被取付体との間にカードを保持可能とするカード保持部とを具備するカードホルダ本体と、
前記ベース部を保持するベース保持部と、前記ベース保持部から延び、前記被取付体に固着される固着部とを具備し、前記カードホルダ本体とは別に構成された保持部材と、を備え、
前記被取付体に取付けられたカードホルダのうち、前記カードホルダ本体のみが着脱可能に構成されていることを特徴とするカードホルダ。
手段1によれば、被取付体において、カードホルダ(カードホルダ本体)を取付可能とするカードホルダ取付機構が設けられていなくても、保持部材を使用することによって、前記被取付体に対しカードホルダ(カードホルダ本体)を取付けることが可能となる。このため、当初はカードホルダを取付ける予定ではなかった被取付体にカードホルダを取付けたり、被取付体に装着するカードのサイズの変更や、被取付体を運搬する運搬手段等の変更等に応じて(カードサイズが大きくなってカードホルダの取付位置がそのままではカードを装着する余地がない、カードサイズが小さくなってカードホルダの取付位置がそのままではカードが見え難い、被取付体の運搬等に際して運搬手段等がカードと接触してしまう、或いは、被取付体の運搬等に際して運搬手段等がカードを隠してしまう等の事態が発生する場合に)、カードホルダの取付位置をカードホルダ取付機構が設けられた位置とは異なる位置に変更したりすることができる。また、被取付体のカードホルダ取付機構に合致する形状のカードホルダ(カードホルダ本体)を用意しなくても、カードホルダを被取付体に取付けることが可能となる。
以上のように、被取付体のカードホルダ取付機構の有無や、カードホルダ取付機構の構成に関わらず、カードホルダを被取付体に対して適宜取付けることができ、カードホルダの設置に関する利便性の向上を図ることができる。また、とりあえずカードホルダは不要だが、将来的に必要になるかもしれないといった場合に、被取付体にカードホルダ取付機構を予め設けておく、或いは、カードホルダの取付位置を変更可能なように、被取付体の複数箇所にカードホルダ取付機構を予め設けておくといったことをしなくても済む上、カードホルダ本体のみが在庫として残っている場合に、保持部材を使用することで、前記カードホルダ本体を有効に活用することができる。
尚、「前記カードホルダ本体は、当該カードホルダ本体を取付可能とするカードホルダ取付機構を備える被取付体に対し、前記保持部材を使用せずに取付可能に構成されていること」としてもよい。
手段2.ベース部と、前記ベース部から延び、被取付体との間にカードを保持可能とするカード保持部とを具備するカードホルダ本体と、
前記ベース部を保持するベース保持部と、前記ベース保持部から延び、前記被取付体に固着される固着部とを具備する保持部材とを備えるカードホルダであって、
前記ベース部は、前記カード保持部によって保持されるカードの下端部と当接して、当該カードを支持可能な支持部を備え、
前記保持部材は、前記カード保持部によって保持されるカードの下端部と当接して、当該カードを支持可能なカード支持部を備え、
前記ベース保持部は、前記支持部を上下に挟む上板部、及び、下板部と、前記上板部と前記下板部とを連結する連結部とを備え、
前記上板部、及び、前記下板部のうち一方により前記カード支持部が構成されていることを特徴とするカードホルダ。
手段2によれば、カードホルダ本体のベース部としての支持部を、保持部材のベース保持部において上板部、及び、下板部により挟み込むようにして比較的強固に保持することができる。従って、カードホルダ本体が、保持部材から外れたり、位置ずれしたりしてしまうといった事態をより確実に防止することができる。また、上板部、及び、下板部のうち一方が、カード支持部を兼ねることで、例えば、カード支持部が上板部、及び、下板部とは別に設けられる場合に比べ、保持部材のコンパクト化等を図ることができる。さらに、保持部材がカードホルダ本体の支持部を保持する構成により、例えば、支持部が保持部材により間接的に支持される場合に比べて、支持部を好適な位置で(例えば、支持部と被取付体との間に隙間ができないように)より確実に保持することができるとともに、支持部が変形・変位することを抑止することができる。
手段3.前記保持部材は、前記カード保持部によって保持されるカードの下端部と当接して、当該カードを支持可能なカード支持部を備えていることを特徴とする手段1に記載のカードホルダ。
手段3によれば、被取付体に固着される保持部材は、カードホルダに装着されるカードを支持可能な位置に設けられている。このため、カードホルダ本体と、被取付部との間に隙間が形成されるような場合(被取付部、及び、カードホルダ本体の少なくとも一方の長期使用等により、被取付部、又は、カードホルダ本体が変形した場合、又は、前記隙間が形成されるような被取付部と、カードホルダ本体とを組合せる場合)でも、保持部材によってカードの落下を防止したり、カードを好適な姿勢に支持したりすることができる。また、カードホルダ本体と、被取付体との間からカードが脱落した場合の備えとして、カードホルダの直下方位置に被取付体のリブ等を配置するといった構成を採用しなくても済み、カードホルダの取付位置をより自由に選択することが可能となる。
尚、カードホルダ本体と、被取付体との間に隙間が形成されるケースとしては、例えば、被取付体やカードホルダ本体の長期使用による変形や製造誤差等によりカードホルダ本体と、被取付体とを好適に当接させることができない場合や、元々、カードホルダ本体と、被取付体との間に隙間が形成されるような組合せであり、サイズの小さいカードを所期の位置に装着しようとするとカードが前記隙間に配置されてしまう場合等が挙げられる。特に、カードホルダ本体において、カードの裏面(被取付体側の面)を支持する背板部が設けられていない場合、カードが、カードホルダ本体と、被取付体との間に落ちる可能性が高まることが懸念されるが、本手段を採用することで、保持部材によってカードの落下を防止することができる。換言すれば、カードホルダ本体と、被取付体との間からのカードの脱落等を懸念することなく、カードホルダ本体として、背板部の無いものを採用することができる。
尚、「前記ベース部は、左右方向に延びるとともに、その延在方向における長さは、前記保持部材の横幅よりも長く構成され、前記保持部材の前記ベース保持部は、前記ベース部を保持する位置を調整可能に構成されていること」としてもよい。この場合、ベースに対する保持部材の保持位置の調整を行うことができ、保持部材のカード支持部でカードを支持する場合等の利便性の向上を図ることができる。
手段4.前記ベース部は、前記カード保持部によって保持されるカードの下端部と当接して、当該カードを支持可能な支持部を備え、
前記保持部材の前記カード支持部は、前記支持部よりも上方に位置していることを特徴とする手段2又は3に記載のカードホルダ。
手段4によれば、カードホルダ本体にも支持部があることから、保持部材のカード支持部でカードを支持させる場合だけでなく、カードホルダ本体の支持部でカードを支持させるという選択を行うことができる。このため、サイズの異なるカードが、適宜、装着されるような環境に対応し易くなる上、保持部材としては、カードホルダ本体の取付状態を安定させることを優先して、カードホルダ本体のベース部のうちカードホルダ本体の取付状態を安定させるために最も効率的な位置を保持させることができる。
また、カードがカードホルダ本体の支持部に支持される場合には、支持部よりも上方に位置する保持部材のカード支持部により、カードの左右方向への変位や脱落を防止することができる。さらに、カードが保持部材のカード支持部に支持される場合には、カードがカードホルダ本体の支持部と、被取付体とに間に挟まることを防止することができる(カードホルダ本体に支持部が備えられているものの、カードホルダ本体や被取付部の変形等により、カードホルダ本体の支持部と、被取付体との間に隙間が形成されてしまう場合に、カードホルダ本体に対する保持部材の保持位置を調整し、保持部材のカード支持部でカードを支持させるといった選択を行うことができる)。
手段5.前記保持部材の前記固着部は、カードが、前記カードホルダ本体の前記カード保持部と、前記固着部との間を通すようにして設置可能なように、前記ベース保持部から延びていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のカードホルダ。
手段5によれば、保持部材の固着部により、カードホルダに装着されるカードの全体が、被取付体の側面に密着することを防止することができる。さらに、カードの横幅方向における端部又は端部よりも若干横幅方向中央側の位置に保持部材を配置することによって、カードの横幅方向の端部を、被取付体の側面から離間させる(指先をカードの側辺部に掛け易くする隙間を形成する)ことができる。従って、カードホルダからカードを抜き取る際の作業性の向上を図ることができる。特に、カードホルダ本体において、カードの裏面(被取付体側の面)を支持する背板部が設けられていない場合、又は、背板部が設けられていたとしてもカードの裏面と接触しない場合には、上記作用効果がより顕著に奏されることとなる。
尚、ベース保持部の一部によりカード支持部が構成されるとともに、上記手段4のカード支持部から固着部が上方に延びる場合、カードが保持部材のカード支持部に支持されていれば、当該カードの下端部が被取付体側に変位したとしても、固着部に当接してそれ以上の変位が規制されることから、カードが、カードホルダ本体の支持部と、被取付体との間に挟まることを防止するといった作用効果がより確実に奏される。
手段6.前記被取付体に対する前記手段1乃至5のいずれかに記載のカードホルダの取付構造において、
前記ベース部は、前記カード保持部によって保持されるカードの下端部と当接して、当該カードを支持可能な支持部を備え、
前記支持部の下面から下方に突出する係止突部が設けられ、
前記被取付体は、前記カードホルダ本体の前記カード保持部との間に前記カードを保持可能とする壁部と、前記壁部から突出するとともに、左右方向に延在する横リブとを備え、
前記ベース保持部は、前記支持部を上下に挟む上板部、及び、下板部と、前記上板部と前記下板部とを連結する連結部とを備え、
前記下板部は、前記横リブの上面に当接し、
前記係止突部は、前記横リブの上面に当接、又は、近接していることを特徴とするカードホルダの取付構造。
手段6によれば、保持部材を横リブで支持することができ、被取付体に対する保持部材の取付状態の安定化をより一層図ることができる。また、カードホルダ本体の支持部は、保持部材によって支持されるだけではなく、係止突部を介して横リブによっても支持される(係止突部と横リブとが近接配置される場合には、支持部が変形した場合に支持される)こととなる。このため、支持部に対して下向きの外力が作用した場合に、カードホルダ本体(支持部)が保持部材から外れたり、カードホルダ本体等が損傷したりしてしまうといった事態を防止することができる。
尚、手段6のカードホルダ本体は、被取付体にカードホルダ取付機構が設けられている場合に、カードホルダ本体を保持部材なしで被取付体(カードホルダ取付機構)に取付けることが可能なものであって、係止突部は、カードホルダ本体をカードホルダ取付機構に取付けるために機能する(例えば、カードホルダ取付機構の被係止部と係止される)ものを意図している。さらに、本手段6では、カードホルダ本体に係止突部が設けられている場合であって、保持部材を支持させる横リブにおいてカードホルダ取付機構が設けられていない、又は、カードホルダ本体と合致しないカードホルダ取付機構が設けられている場合を意図しており、係止突部の存在により支持部を横リブに当接させて支持させることは不可能となるが、上記のように、保持部材を使用することにより、保持部材及び係止突部で協働して支持部を支持するといった具合に、係止突部を有効利用しつつ、支持部を確実に支持することができる。加えて、カードホルダ本体に支持部が設けられていない場合や、保持部材のカード支持部から外れた位置にガードを装着する必要が生じた場合に、カードが、カードホルダ本体と、被取付体との間の隙間に落ちてしまうことが懸念されるが、横リブによりカードが被取付体から脱落するといった事態を防止することができる。
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。まず、図1、図2に基づいて、カードホルダ11が取付けられる被取付体としての容器1について説明する。容器1は、平面視略矩形状の底壁構成部2と、底壁構成部2の各側辺部から上方に延出する側壁部3と、側壁部3から外方に突出し、左右方向に延在する横リブ4と、側壁部3から外方に突出し、上下方向に延在する縦リブ5とを備えている。また、容器1は、ポリプロピレンにより構成されている。
さて、図1、図2等に示すように、容器1に取付けられるカードホルダ11は、カード7a、7b(図6参照)を保持するカードホルダ本体12と、カードホルダ本体12を容器1の側壁部3に取付ける保持部材13とを備えている。カードホルダ本体12、及び、保持部材13は、それぞれ透明なポリプロピレンにより構成されている。
図3、図6等に示すように、カードホルダ本体12は、左右に長い略平板状の支持部14と、支持部14の上面から上方に突出し、容器1の側壁部3との間にカード7a、7bを保持可能とするカード保持部15とを備えている。支持部14の後辺部は略直線状に構成され、カードホルダ11の容器1への取付状態においては、側壁部3と当接するようになっている(図8等参照)。本実施形態では、カードホルダ11に対して大小2種類のカード7a、7bを装着することを想定しており、横幅がカード保持部15の横幅よりも短い小カード7bが装着される場合には、小カード7bの下辺部が支持部14に当接して、支持されるように構成されている。尚、図6では、便宜上、小カード7bを支持部14から少し浮かせた状態で図示している。また、横幅が支持部14の横幅とほぼ同じ大カード7aが装着される場合については後述する。
図3、図8に示すように、カード保持部15は、支持部14の上面の前後方向中間位置から上方に向けて、後方(側壁部3に近接する側)に傾斜して延び、側壁部3に対して遠近する方向(前後方向)において弾性変形可能に構成される左右一対の挟着部16と、挟着部16の先端部から上方かつ前方(側壁部3から遠ざかる側)に延びる返し部17と、一対の挟着部16の上下方向中間位置の間を連結する連絡部18とを備えている。図3、図6に示すように、各挟着部16は、支持部14の横幅方向両端部よりも中央部側の位置に設けられており、カードホルダ本体12の両端部においては支持部14が延在するのみとなっている。
カードホルダ11の容器1への取付前の状態においては、挟着部16と返し部17との境界部が支持部14の後辺部(側壁部3側の辺部)よりも後方に位置しており、カードホルダ11の容器1への取付状態においては、図8に示すように、挟着部16と返し部17との境界部が、側壁部3と当接するように構成されている。さらに、図6に示すように、カードホルダ11に装着されるカード7a、7bは、カードホルダ11への装着状態において、上端部が挟着部16と返し部17との境界部よりも上方に位置している。このため、カードホルダ11に装着されたカード7a、7bは、カード保持部15と、側壁部3との間に挟着されるようになっている。
また、連絡部18(図9参照)を持って手前に引くことにより、カード保持部15を側壁部3から離間させ、カードホルダ11に対しカード7a、7bを比較的容易に着脱可能となっている。さらに、カード7a、7bをカードホルダ11に装着させる際に、カード7a、7bの下部が返し部17(図8参照)に案内されるようになっており、カード7a、7bを比較的容易に装着可能となっている。
図4、図5、図7等に示すように、保持部材13は、カードホルダ本体12の支持部14を上下に挟む上板部22、及び、下板部23と、上板部22の前端部と下板部23の前端部との間を連結する連結部24とを具備する断面略コ字状のベース保持部21と、上板部22の後端部から上方に延び、容器1の側壁部3に固着される固着部25とを備えている。本実施形態では、支持部14の横幅方向両端部を保持するようにして、保持部材13が左右一対で設けられている。尚、本実施形態では、カードホルダ本体12の支持部14がベース部に相当する。
加えて、上板部22と、下板部23との間の距離は、カードホルダ本体12の支持部14の厚みと同じ、又は、支持部14の厚みよりも若干短くなっている。さらに、下板部23の後端部は、上板部22の後端部よりも前方に位置している。
また、固着部25は、上板部22に対して略直交して延びている。さらに、固着部25のうち側壁部3との当接面は平坦に構成されている。加えて、固着部25には、固着部25の厚み方向に貫通する固着孔部26が設けられている。固着孔部26の内周面は、固着部25のうち側壁部3と当接する後面とは反対側となる前面側から固着部25の厚み方向中間位置(厚みの中心よりも後面側の位置)まで縮径し、さらに、そこから後面側に向けて拡径する形状を成している(図7参照)。
本実施形態では、支持部14の両端部に装着された各保持部材13の固着部25と、側壁部3とを当接させた状態で、固着部25、及び、側壁部3のうち固着孔部26の周辺部を溶融し、固着部25と側壁部3とを固着させるように構成されている。これにより、カードホルダ11が(カードホルダ本体12が一対の保持部材13を介して)側壁部3に取付けられている。尚、図7では、便宜上、前記溶融に対応する図示を省略している。
また、図6に示すように、カードホルダ11に対し横幅がカードホルダ本体12の横幅とほぼ同じ大カード7aを装着する場合には、大カード7aの下端部は、左右一対の保持部材13の上板部22に当接して、支持されることとなる。さらに、カードホルダ11に装着される大カード7aは、保持部材13の上板部22から上方に延びる固着部25と、カードホルダ本体12のカード保持部15との間を通すようにして設置されることとなる。尚、図6では、便宜上、大カード7aを上板部22から少し浮かせた状態で図示している。
加えて、図7に示すように、固着部25の前面の上部には、上方に向けて後側(側壁部3側)に傾斜するガイド傾斜部27が設けられている。そして、大カード7aをカードホルダ11に装着させる際に、大カード7aの下端部がガイド傾斜部27により固着部25の前方位置に案内されるようになっており、大カード7aを比較的容易に装着することが可能となる。尚、本実施形態では、上板部22によりカード支持部が構成されている。
また、図6、図7等に示すように、本実施形態では、一対の保持部材13は、下板部23が、容器1の高さ方向中間位置において左右に延びる横リブ4の上面に当接するように配置されている。尚、図7等に示すように、容器1に取付けられたカードホルダ11は、その全体が、横リブ4、及び、縦リブ5の先端縁よりも側壁部3側に収まるように構成されている。
さらに、図3、図6、図8等に示すように、カードホルダ本体12には、支持部14の下面から下方に突出する係止突部28が設けられている。係止突部28の支持部14からの突出長は、保持部材13の下板部23の厚みと同じ、又は、下板部23の厚みよりも若干短くなるように構成されている。
尚、図2等に示すように、本実施形態の容器1は、保持部材13を使用せずに、カードホルダ本体12を容器1に取付可能とするカードホルダ取付機構31を備えている。カードホルダ取付機構31は、カードホルダ11の保持部材13と当接する横リブ4の下方に位置する横リブ4(横リブ32)と、横リブ32から支持部14の厚み程度の距離を上方に離間した位置において、側壁部4等から横リブ32の上方位置に突出し、横リブ32の上面との間に支持部14を挿入可能とする係止部33とを備えている。さらに、横リブ32には、カードホルダ本体12の係止突部28を挿入可能な係止孔34が設けられている。そして、各係止部33と横リブ32との間に支持部14を挿入させ、係止突部28を係止孔34に挿入させることにより、カードホルダ本体12を単体で容器1に取付可能に構成されている。尚、係止孔34を省略してもよく、この場合、係止突部28が横リブ32に圧接し、支持部14が撓むことにより、カードホルダ本体12が容器1に取付けられる。
これに対し、本実施形態では、保持部材13を使用することにより、カードホルダ本体12をカードホルダ取付機構31が設けられていない部位に取付けることとしている。また、保持部材13の下板部23が横リブ4の上面に当接することにより、係止突部28が、横リブ4の上面と当接、又は、近接するように配置されている。
以上詳述したように、本実施形態によれば、保持部材13を使用することによって、容器1においてカードホルダ11(カードホルダ本体12)を取付可能とするカードホルダ取付機構31が設けられていない部位に対しても、カードホルダ11(カードホルダ本体12)を取付けることが可能となる。このため、容器1に装着するカード7a、7bのサイズの変更や、容器1を運搬する運搬手段等の変更等に応じて(カードサイズが大きくなってカードホルダ11の取付位置がそのままではカード7a、7bを装着する余地がない、カードサイズが小さくなってカードホルダ11の取付位置がそのままではカード7a、7bが見え難い、容器1の運搬等に際して運搬手段等がカード7a、7bと接触してしまう、或いは、容器1の運搬等に際して運搬手段等がカード7a、7bを隠してしまう等の事態が発生する場合に)、カードホルダ11の取付位置をカードホルダ取付機構31が設けられた位置とは異なる位置に変更することができる。
このように、容器1のカードホルダ取付機構31の構成に関わらず、カードホルダ11を容器1に対して適宜(所期の位置に)取付けることができ、カードホルダ11の設置に関する利便性の向上を図ることができる。また、カードホルダ11の取付位置を変更可能なように、容器1の複数箇所にカードホルダ取付機構31を予め設けておくといったことをしなくても済む。さらに、容器1のカードホルダ取付機構31に合致する形状のカードホルダ本体12を用意しなくても(本例では、合致するものが使用されている)、カードホルダ11を容器1に取付けることが可能となる。このため、カードホルダ本体12のみが在庫として残っている場合に、保持部材13を使用することで、カードホルダ本体12を有効に活用することができる。
また、容器1の側壁部3に固着される保持部材13は、カードホルダ11に装着されるカード(本例では、大カード7a)を支持可能な位置に設けられているため、カードホルダ本体12と、容器1との間に隙間が形成されるような場合でも、保持部材13によって大カード7aの落下を防止したり、大カード7aを好適な姿勢に支持したりすることができる。特に、本実施形態では、カードホルダ本体12において、カード7a、7bの裏面(容器1側の面)を支持する背板部が設けられていないため、カード7a、7bが、カードホルダ本体12と、容器1の側壁部3との間に落ちる可能性が高まることが懸念されるが、本実施形態では、保持部材13によって大カード7aの落下を防止することができる。換言すれば、カードホルダ本体12と、容器1との間からの大カード7aの脱落等を懸念することなく、カードホルダ本体12として、背板部の無いものを採用することができる。
さらに、本実施形態では、カードホルダ11に大カード7aを装着する場合には、大カード7aは、左右一対で設けられる保持部材13の上板部22に支持されるようになっている。加えて、固着部25は、上板部22の後端部から上方に延びている。このため、保持部材13の上板部22に支持されている大カード7aの下端部が側壁部3側に変位したとしても、固着部25に当接してそれ以上の変位が規制されることから、大カード7aが上板部22に支持される状態が維持される。従って、大カード7aが、カードホルダ本体12の支持部14と、側壁部3との間に挟まってしまうことを確実に防止することができる。
さらに、大カード7aは、保持部材13の固着部25と、カードホルダ本体12のカード保持部15との間を通すようにして設置される。このため、保持部材13の固着部25により、カードホルダ11に装着される大カード7aの全体が、容器1の側壁部3に密着することを防止することができる。さらに、保持部材13は、大カード7aの横幅方向における両端部に対応して配置されているため、大カード7aの横幅方向の端部を、側壁部3から離間させる(指先を大カード7aの側辺部に掛け易くする隙間を形成する)ことができる。従って、カードホルダ11から大カード7aを抜き取る際の作業性の向上を図ることができる。特に、本実施形態では、カードホルダ本体12において、大カード7aの裏面(側壁部3側の面)を支持する背板部が設けられておらず、大カード7aが側壁部3に密着し易い構成であることから、上記作用効果がより顕著に奏されることとなる。
尚、本実施形態では、カードホルダ11に小カード7bを装着する場合には、小カード7bは、カードホルダ本体12の支持部14に支持されるように構成されている。このため、サイズの異なるカード7a、7bが、適宜、装着されるような環境に対応し易くなる上、保持部材13としては、カードホルダ本体12の取付状態を安定させることを優先して、カードホルダ本体12の支持部14のうちカードホルダ本体12の取付状態を安定させるために最も効率的な位置を保持させることができる。加えて、小カード7bがカードホルダ本体12の支持部14に支持される場合には、支持部14よりも上方に位置する保持部材13の上板部22により、小カード7bの左右方向への変位や脱落を防止することも可能である。
また、保持部材13は、カードホルダ本体12の支持部14を、ベース保持部21において上板部22、及び、下板部23により挟み込むようにして比較的強固に保持することができる。従って、カードホルダ本体12が、保持部材13から外れたり、位置ずれしたりしてしまうといった事態をより確実に防止することができる。また、上板部22が、大カード7aを支持する部位を兼ねることで、保持部材13において、大カード7aを支持する部位を別途設ける場合に比べ、保持部材13のコンパクト化等を図ることができる。さらに、保持部材13がカードホルダ本体12の支持部14を保持する構成により、例えば、支持部14が保持部材13により間接的に支持される場合に比べて、支持部14を好適な位置で(例えば、支持部14と側壁部3との間に隙間ができないように)より確実に保持することができるとともに、支持部14が変形・変位することを抑止することができる。
また、保持部材13は、下板部23の下面が、容器1の横リブ4の上面と当接するようにして設けられている。このため、保持部材13を横リブ4で支持することができ、容器1に対する保持部材13の取付状態の安定化をより一層図ることができる。また、カードホルダ本体12には、支持部14の下面から突出する係止突部28が設けられ、カードホルダ本体12の取付状態では、係止突部28が横リブ4の上面と当接、又は、近接するように構成されている。このため、カードホルダ本体12の支持部14は、保持部材13によって支持されるだけではなく、係止突部28を介して横リブ4によっても支持される(係止突部28と横リブ4とが近接配置される場合には、支持部14が変形した場合に支持される)こととなる。このため、支持部14に対して下向きの外力が作用した場合に、カードホルダ本体12(支持部14)が保持部材13から外れたり、カードホルダ本体12等が損傷したりしてしまうといった事態を防止することができる。
尚、係止突部28の存在により支持部14を横リブ4に当接させて支持させることは不可能となるが、上記のように、保持部材13を使用することにより、保持部材13及び係止突部28で協働して支持部14を支持するといった具合に、係止突部28を有効利用しつつ、支持部14を確実に支持することができる。加えて、小カード7bをカードホルダ11に装着する場合に、カードホルダ本体12の支持部14と、容器1の側壁部3との間に隙間が形成されていても、横リブ4により小カード7bが容器1から脱落するといった事態を防止することができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、保持部材13が支持部14の両端部に設けられているが、保持部材13が支持部14を保持する位置については限定されるものではなく、支持部14のうち挟着部16が設けられていない部位に対して保持部材13の取付位置を適宜設定することが可能である。例えば、図10に示すように、一対の挟着部16の間において保持部材13を設けることとしてもよい。この場合、大カード7aだけでなく、小カード7bについても、保持部材13(上板部22)で支持することが可能となる。さらに、図10に示すように、保持部材13を、挟着部16と当接、又は、近接させたり、係止突部28と当接、又は、近接させたりすることとしてもよい。この場合、左右方向におけるカードホルダ本体12と、保持部材13との相対変位を防止することができる。
(b)また、カードホルダ本体12の形状は特に限定されるものではなく、例えば、カードホルダ本体12は、支持部14の後端部から上方に延び、側壁部3に当接する背板部を備えることとしてもよい。さらに、容器1への取付状態にあるカードホルダ本体12の挟着部16が容器1の側壁部3から離間しているように構成され、挟着部16を弾性変形させることなく、カードホルダ11にカード7a、7bを装着するような構成としてもよい。加えて、保持部材13によって保持される部位(被保持部)の形状についても特に限定されるものではなく、例えば、支持部14の両端部に対して断面L字状をなす被保持部を設けることとしてもよいし、上記背板部の上辺部に連結され、左右に延在する保持板部を設け、保持板部の左右端部付近を被保持部とするように構成してもよい。
尚、カードホルダ本体12のうち、カード保持部15以外の部位は、ベース部を構成するものであり、本態様例の背板部、被保持部、及び、保持板部についても、ベース部の構成部位となっている。
さらに、支持部14の前辺部や後辺部において切欠き部(凹部)を設けることとしてもよい。尚、後辺部に切欠き部が設けられた支持部と、側壁部3との間に隙間が形成される場合であって、装着されるカードのサイズが小さく、カードホルダ11に装着されたカードが左右方向に少しでもずれるとカードが前記隙間に落ちてしまう場合、又は、カードを所期の位置に配置しようと、支持部では全くカードを支持することができない(カードホルダ本体12においてカードを支持する部位がなくなってしまう)ような場合であっても、保持部材13によってカードの左右方向への変位を規制する、或いは、保持部材13によってカードの下辺部を支持することが可能である。従って、支持部と、側壁部との間に隙間が形成されてしまうカードホルダ本体12と、容器1とを組合わせることも可能となり、利便性の向上を図ることができる。
加えて、上記実施形態のカードホルダ本体12は、カードホルダ取付機構31にカードホルダ本体12を取付けるための係止突部28等の構成を備えているが、かかる構成を省略し、保持部材13と組合わせて使用することを前提として製造されたカードホルダ本体に具体化することも可能である。
(c)また、保持部材13の形状は特に限定されるものではなく、例えば、図11の左側の保持部材13のように、ベース保持部21において、上板部22、及び、下板部23の一側部間を連結する位置決め部41を設けることとしてもよい。この場合、左右方向におけるカードホルダ本体12と、保持部材13との相対変位を防止することができる。
さらに、上記実施形態では、保持部材13は、固着部25がベース保持部21から上方に突出する向きで容器1の側壁部3に取付けられているが、図11の右側の保持部材13のように、固着部25がベース保持部21から下方に突出する向きで側壁部3に取付けられることとしてもよい。尚、上記実施形態の下板部23は、上板部22よりも後端部が前方に位置していることから、保持部材13を上下反対向きに取付けた場合、大カード7aは、支持部14よりも上方に位置する下板部23と、側壁部3との間に落下する。但し、当該大カード7aについては、カードホルダ本体12の支持部14が側壁部3と当接している場合には、支持部14で大カード7aを支持することができ、また、支持部14と側壁部3との間に隙間が形成されていたとしても、支持部14の下方に位置する上板部22で大カード7aを支持することができ、大カード7aがカードホルダ11から脱落してしまうといった事態を確実に防止することができる。当然、下板部23の後端部を、上板部22の後端部と同じ位置まで延ばすように構成することで、保持部材13を上下反対向きに取付けた場合、支持部14よりも上方に位置する下板部23によって大カード7aを支持可能となる。
また、上記実施形態では、保持部材13は、ベース保持部21においてカードホルダ本体12の支持部14を上下に挟むことで、当該支持部14を保持しているが、例えば、保持部材13は、上下に延びる固着部と、固着部25の上端部、又は、下端部から外方に突出する支持板部とを備える断面略L字状をなし、支持板部の上面でカードホルダ本体12の支持部14を支持するように構成してもよい。但し、カードホルダ本体12の取付状態の安定化を図るべく、前記支持板部の前部から上方に突出し、前記支持板部に支持された支持部14の前方への変位を防止する規制部や、支持部の上面に当接して、前記支持板部との間に支持部を挟持する上板部を設けることが望ましい。さらに、例えば、ベース保持部21と、支持部14とを溶着したり、ベース保持部21、及び、支持部14の一方に係止部を設けるとともに、他方に該係止部と係止される被係止部を設けたりすることとしてもよい。但し、容器1に取付けられた保持部材13に対しカードホルダ本体12を着脱可能、或いは、カードホルダ本体12を再使用可能とする利便性の向上、ベース保持部21と、支持部14とを溶着しなくても済む取付作業性の向上、及び、保持部材13及びカードホルダ本体12に対して新たに前記係止部及び前記被係止部を設けなくても済む製造作業性の向上を図るべく、上記実施形態のように、ベース保持部21の形状によって支持部14を保持可能に構成することが望ましい。
また、上記実施形態では特に言及していないが、容器1に取付けられたカードホルダ11のうちカードホルダ本体12のみを着脱可能としてもよい。この場合、保持部材13を容器1に取付状態としたまま、カードホルダ本体12の交換等を行うことができる。さらに、当該構成を採用する場合、保持部材13の上板部22の下面と側面との境界部、及び、下板部23の上面と側面との境界部を斜めに面取り加工、又は、R加工することにより、カードホルダ本体12をベース保持部21に保持させる際に、支持部14の端部を上板部22と下板部23との間に挿入させ易くすることができる。
さらに、カードホルダ本体12を保持する(カードホルダ本体12を容器1に取付けるための)保持部材13の数は特に限定されるものではなく、1つの保持部材13でカードホルダ本体12を保持してもよいし、3つ以上の保持部材13でカードホルダ本体12を保持してもよい。尚、カードホルダ11を容器1に取付ける際の作業性の向上を図るべく、カードホルダ本体12に取付けられる複数の保持部材13はいずれも同じ形状のものとすることが望ましい。
また、例えば、保持部材13のベース保持部21により、支持部14と、支持部14の下面から突出する係止突起28と当接する横リブ4とをまとめて保持する(上板部22と、下板部23との間に、支持部14及び横リブ4を挟む)ように構成してもよい。この場合、支持部14や保持部材13を横リブ4に支持させる作用効果が一層確実に奏されるとともに、カードホルダ11と、横リブ4との間の相対変位(特にガードホルダ11が横リブ4から浮き上がる側への変位)をより確実に防止することができる。
(d)上記実施形態では、カードホルダ11が横リブ4の直上方位置に設けられているが、特にカードホルダ11の取付位置は限定されるものではなく、図10に示すように、保持部材13と、横リブ4とが離間するように配置されることとしてもよい。当該構成を採用する場合であっても、保持部材13を使用すれば、大カード7aや小カード7bがカードホルダ11から脱落するといった事態を回避することができ、カードホルダ11の取付位置をより自由に選択することが可能となる。
尚、カードホルダ11に装着されるカードの大きさ、形状、及び、素材等についても特に限定されるものではなく、下辺部がカードホルダ11の支持部14、又は、保持部材13で支持され、表面側がカード保持部15で保持されるものであればよい。
(e)カードホルダ11の取付対象である被取付体は特に限定されるものではなく、折畳み式の容器、容器に被せられる蓋、パレット、台車等に取付けることとしてもよい。さらには、被取付体として、容器やパレット等の運搬補助具に限定されるものでもなく、例えば、棚、机、看板、鞄等に取付けることも可能である。
加えて、上記実施形態では、容器1において、カードホルダ11(カードホルダ本体12)を取付可能とするカードホルダ取付機構31が設けられているが、カードホルダ取付機構31が設けられていない容器に具体化することも可能である。当該容器を採用する場合においても、保持部材13を使用することによって、容器に対しカードホルダ11(カードホルダ本体12)を取付けることが可能となる。このため、当初はカードホルダ11を取付ける予定ではなかった容器にカードホルダ11を取付けたり、カードホルダ11を取付けて完成とする容器ではあるが、容器そのものとしてはカードホルダ取付機構31が省略された成形し易い格好で構成したりすることができる。このように、容器のカードホルダ取付機構31の有無に関わらず、カードホルダ11を容器に対して適宜取付けることができ、カードホルダ11の設置に関する利便性の向上を図ることができる。また、とりあえずカードホルダ11は不要だが、将来的に必要になるかもしれない等といった場合に、容器にカードホルダ取付機構31を予め設けておくといったことをしなくても済む。
(f)上記実施形態では、容器1、カードホルダ本体12、及び、保持部材13はポリプロピレンにより構成されているが、特に当該構成に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。さらに、容器1、カードホルダ本体12、及び、保持部材13の色についても特に限定されるものではなく、カードホルダ本体12、及び、保持部材13を半透明、又は、不透明としてもよい。
また、上記実施形態では、保持部材13の固着部25と、容器1の側壁部3とを溶着させているが、例えば、保持部材13の固着孔部26に対し、容器1の側壁部3と相溶性を有する樹脂を充填し、硬化させることで、少なくとも容器1と溶着されるとともに、保持部材13(固着部25)の容器1から離間する方向への変位を防止する固着樹脂層を設けることとしてもよい。この場合、保持部材13と、容器1との間に相溶性がなくても、保持部材13を容器1に固着することができる。