JP6807572B2 - 結晶性金属酸化物の製造方法及び結晶性金属酸化物 - Google Patents

結晶性金属酸化物の製造方法及び結晶性金属酸化物 Download PDF

Info

Publication number
JP6807572B2
JP6807572B2 JP2016169782A JP2016169782A JP6807572B2 JP 6807572 B2 JP6807572 B2 JP 6807572B2 JP 2016169782 A JP2016169782 A JP 2016169782A JP 2016169782 A JP2016169782 A JP 2016169782A JP 6807572 B2 JP6807572 B2 JP 6807572B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal oxide
crystalline metal
producing
crystalline
titanium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016169782A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017048107A (ja
Inventor
上面 雅義
雅義 上面
明仁 岩井
明仁 岩井
洋 西岡
洋 西岡
賢 磯上
賢 磯上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
University of Hyogo
Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
University of Hyogo
Showa Denko Materials Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Chemical Co Ltd, University of Hyogo, Showa Denko Materials Co Ltd filed Critical Hitachi Chemical Co Ltd
Publication of JP2017048107A publication Critical patent/JP2017048107A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6807572B2 publication Critical patent/JP6807572B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Silicates, Zeolites, And Molecular Sieves (AREA)

Description

本発明は、結晶性金属酸化物の製造方法及び結晶性金属酸化物に関する。
一般的にイオン性のカチオン中、特に元素周期表での同族元素を選択的に吸着させることは難しい。
アルカリ金属類ではその水和状態が比較的安定でイオン半径の大きさとそれを吸着させるための結晶構造で選択性を保持することが可能である。しかしながら、例えばセシウムでは、ナトリウム、カリウム濃度が高い場合に選択的に吸着させることの効率が悪く、吸着剤にはアルカリによる影響を受けないよう、強固な結晶構造を有することが必要と考えられている。
一方、アルカリ土類金属イオンの選択的吸着には、吸着剤が保有している水酸基の表面での向き及びその向きを変化させないよう強固な結晶構造が必要と考えられている。一般的にゼオライト等の吸着剤では、その水酸基の向き及び官能基の動きを制御することは難しく、例えばストロンチウムを選択的に吸着することを考えた場合、カルシウム及びマグネシウムが共存するとその選択性は著しく低下することが知られている。その場合、カルシウム及びマグネシウムを炭酸塩等として水不溶化し分離する前処理が必要となる。
上記の観点から、例えばセシウムとストロンチウムとを同時に選択的に吸着することが求められた場合、その結晶構造と水酸基の結晶表面での挙動を制御できる材料が必要と考えられている。
同時選択吸着する材料の中で、セシウムとストロンチウムとを同時吸着する材料として、結晶性シリコチタネート(CST;Crystalized SilicoTitanate)が知られている。その合成法としては、チタンアルコキシド、四塩化チタン等とシランアルコキシド、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等とを用いて、水熱合成にて粉体を得た後に、成型する方法が一般的である(下記特許文献1、2参照)。しかしながら、その方法では、結晶化及び成型時の吸着能が低下することがあり、表面水酸基の向き制御が難しく、吸着能の維持が困難となる(寿命が短くなる)ことがある。また、水熱合成時に表面と内部での組成が変わったり、成型時に多孔質状態が低下したりして、粉体又は顆粒内部での吸着能及びその維持に問題が生じることがある。さらに、苛性ソーダ水溶液等を用いて、水酸基の向きを結晶表面から立たせるようにする賦活化処理が必要になることもある(下記特許文献3参照)。
米国特許第5858243号明細書 特許第5696244号公報 特開2014−122806号公報
セシウム及びストロンチウムの同時選択吸着剤は、上述特許文献にあるように開発が進められているが、水の処理、特に放射性汚染水の浄化に関しては、前処理なく直接汚染水を処理すること並びにその吸着能力及びそれを維持することに対して、未だ改良が求められている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、選択的に複数の目的物質を効率よく吸着することができる結晶性金属酸化物を効率よく製造することができる結晶性金属酸化物の製造方法を提供することを目的とする。本発明はまた、選択的に複数の目的物質を効率よく吸着することができる結晶性金属酸化物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記多元素の同時選択吸着を効率よく安価に可能にすべく鋭意努力した結果、アルカリ賦活化処理することなく、選択的に複数の目的物質を効率よく吸着することができる結晶性金属酸化物(例えばセシウム及びストロンチウムの同時吸着剤)を効率よく製造することができる製造方法、及び、選択的に複数の目的物質を効率よく吸着することができる結晶性金属酸化物を開発することに成功した。
一般的に金属酸化物の結晶構造を強固にするためには、水熱合成を経て脱水縮合を均一にしていく必要がある。通常は、水溶液中で脱水縮合を行い、最終的に加圧下での脱水縮合を行わせる。一方、カラム等に詰めるような吸着剤の場合、吸着剤のカラム抜けが問題であり、そのため、顆粒化措置をとることも一般的である。しかしながら、水熱合成した粒子を顆粒化するためには、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体のような水溶性の有機高分子材料等のバインダー、ジルコニウム塩、亜鉛等のバインダーにより、粒子スラリーを作製し、そのスラリーを成型後、再度焼結又は水熱合成をすることが行われる。そのため、バインダーの残留及び炭化等がその吸着能を低下させる一因になっている。
本発明者らは、アモルファス状の金属酸化物を合成し、それを成型後、水蒸気を用いたドライゲルコンバージョン法により、当該金属酸化物を結晶化することに成功した。成型前の金属酸化物はアモルファス状のため成型がしやすく、バインダーを用いなくても圧縮成型又はせん断応力をかけることによる造粒を行うことができる。また水蒸気を用いることで、水熱合成のような液相中での結晶化より、ばらつきが少なく、一様な組成を作ることも可能である。
これにより、水熱合成しなくても結晶性金属酸化物を製造することができるため、得られた結晶性金属酸化物は、選択的に複数の目的物質を効率よく吸着することができ、また、多孔質で一様な組成を有するため、多元素を同時に選択的に吸着し、その吸着能の維持時間を延長することが可能になり、さらにアルカリ賦活化処理等の前処理をすることなく直接汚染水を処理することが可能になることを発見し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の態様を含むものである。
[1] アモルファス状の金属酸化物を合成する工程と、得られたアモルファス状の金属酸化物を成型する工程と、水蒸気によるドライゲルコンバージョン法により上記アモルファス状の金属酸化物の結晶化を行う工程とを備える、結晶性金属酸化物の製造方法。
[2] 上記アモルファス状の金属酸化物を合成する工程において、チタン源をアルカリ存在下で過酸化水素水と反応させてペルオキソチタン酸を合成した後、得られたペルオキソチタン酸をケイ素源と反応させてアモルファス状の金属酸化物を合成する、上記[1]に記載の結晶性金属酸化物の製造方法。
[3] 上記チタン源が金属チタンである、上記[2]に記載の結晶性金属酸化物の製造方法。
[4] 上記結晶性金属酸化物の組成が、チタン、ケイ素及びナトリウムを含む、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の結晶性金属酸化物の製造方法。
[5] 上記結晶性金属酸化物が放射性核種を吸着するものである、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の結晶性金属酸化物の製造方法。
[6] 上記結晶性金属酸化物をX線回折法により構造解析した際、回折角のピークが10〜12°及び25〜30°に現れ、10°未満には現れない、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の結晶性金属酸化物の製造方法。
[7] 上記結晶性金属酸化物をX線回折法により構造解析した際、10〜12°に現れる回折角のピークの半値幅が2°以内である、上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の結晶性金属酸化物の製造方法。
[8] 上記結晶性金属酸化物が多孔質状固体である、上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の結晶性金属酸化物の製造方法。
[9] 上記結晶性金属酸化物のアルカリ賦活化処理を行わない、上記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の結晶性金属酸化物の製造方法。
[10] 成型したアモルファス状の金属酸化物を水蒸気によるドライゲルコンバージョン法により結晶化せしめてなる結晶性金属酸化物。
[11] チタン、ケイ素及びナトリウムを含む、上記[10]に記載の結晶性金属酸化物。
[12] 放射性核種を吸着するものである、上記[10]又は[11]に記載の結晶性金属酸化物。
[13] X線回折法により構造解析した際、回折角のピークが10〜12°及び25〜30°に現れ、10°未満には現れない、上記[10]〜[12]のいずれか一項に記載の結晶性金属酸化物。
[14] X線回折法により構造解析した際、10〜12°に現れる回折角のピークの半値幅が2°以内である、上記[10]〜[13]のいずれか一項に記載の結晶性金属酸化物。
[15] 多孔質状固体である、上記[10]〜[14]のいずれか一項に記載の結晶性金属酸化物。
[16] アルカリ賦活化処理が施されていない、上記[10]〜[15]のいずれか一項に記載の結晶性金属酸化物。
本発明によれば、アモルファス状の金属酸化物を合成後、成型し、さらに水蒸気によるドライゲルコンバージョン法を用いて結晶化させることで、選択的に複数の目的物質を効率よく吸着することができる結晶性金属酸化物を効率よく製造することができる製造方法、及び、選択的に複数の目的物質を効率よく吸着することができる結晶性金属酸化物を提供することができる。
また、本発明によれば、多孔質状固体でその中央部、辺縁部での組成及び構造の差が少ない結晶性金属酸化物及びその製造方法を提供することができる。
さらに、本発明によれば、安価で効率の良い多元素同時選択吸着剤及びその製造方法を提供することができる。
ドライゲルコンバージョン法の一例を示す模式図である。 アモルファス状金属酸化物(前駆体)、実施例1、実施例2及び比較例1で得られた結晶性金属酸化物についてのX線回折スペクトルチャート図である。 実施例1で得られた結晶性金属酸化物の中心部のSEM像及び元素マッピング(Na、Si、Ti、Cl)図である。 実施例1で得られた結晶性金属酸化物の辺縁部のSEM像及び元素マッピング(Na、Si、Ti、Cl)図である。 実施例1、実施例2及び比較例1で得られた結晶性金属酸化物についての赤外吸収スペクトルチャート図(波数:500cm-1〜4000cm-1)である。 実施例1、実施例2及び比較例1で得られた結晶性金属酸化物についての赤外吸収スペクトルチャート図(波数:2000cm-1〜4000cm-1)である。 実施例1、実施例2及び比較例1で得られた結晶性金属酸化物についての赤外吸収スペクトルチャート図(波数:500cm-1〜2000cm-1)である。
以下、必要に応じて図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
<結晶性金属酸化物>
本実施形態の結晶性金属酸化物は、成型したアモルファス状の金属酸化物を水蒸気によるドライゲルコンバージョン法により結晶化せしめてなる結晶性金属酸化物である。
結晶性金属酸化物は、チタンを含有する金属と酸素とが結合している構造を含む固体であってもよく、この構造には水酸化物等を含むこともあるが、その限りではない。また、結晶性金属酸化物は、チタン及びケイ素を含むものであってもよく、チタン、ケイ素及びナトリウムを含むものであってもよい。結晶性金属酸化物としては、例えば結晶性シリコチタネート、ゼオライト、アルミナ、二酸化ケイ素、ジルコニアが挙げられる。
結晶性金属酸化物の形態は特に限定されず、粒子状であってもよい。結晶性金属酸化物粒子の粒径は、使用する用途のハンドリングにより最適な粒径を選択することができる。
結晶性金属酸化物は、多孔質状固体であることが好ましく、中央部と辺縁部での組成及び構造の差が少ない一様な組成を有する多孔質状固体であることがより好ましい。この場合、選択的に複数の目的物質をより効率よく吸着することができると共に、その吸着能をより長期間維持することができる。
結晶性金属酸化物は、X線回折法により構造解析した際、回折角のピークが10〜12°及び25〜30°に現れ、10°未満には現れないことが好ましい。また、10〜12°に現れる回折角のピークの半値幅が2°以内であることがより好ましい。本明細書において半値幅とは、ピークのベースラインからの立ち上がりから最大カウント値を経てさらにベースラインに下がるまでの回折角(2θ)の半分の角度差を指す。
結晶性金属酸化物は、赤外吸収スペクトルを測定した際、3200cm−1付近及び880cm−1付近の吸収が大きい。これは、水酸基(−OH)、特にSi−OH由来の水酸基が表面に露出存在することを示している。これにより、より高い分配係数が得られる。
結晶性金属酸化物は、選択的に複数の目的物質を効率よく吸着することができる。また、結晶性金属酸化物は、放射線核種を吸着することができ、特に、セシウム及びストロンチウムを同時に選択的に吸着することができるため、放射線核種吸着剤、特にセシウム及びストロンチウムの同時選択的吸着剤に好適に使用できる。
<結晶性金属酸化物の製造方法>
本実施形態の結晶性金属酸化物の製造方法は、アモルファス状の金属酸化物を合成する工程(以下、「アモルファス状金属酸化物の合成工程」ともいう)と、得られたアモルファス状の金属酸化物を成型する工程(以下、「成型工程」ともいう)と、水蒸気によるドライゲルコンバージョン法により上記アモルファス状の金属酸化物の結晶化を行う工程(以下、「ドライゲルコンバージョン法による結晶化工程」ともいう)とを備える。
アモルファス状金属酸化物の合成工程は、アモルファス状金属酸化物を合成することができれば、特に限定されない。また、得られたアモルファス状金属酸化物は、粒子状であってもよい。アモルファス状金属酸化物は、合成後、単離してもよい。なお、本明細書においてアモルファス状の金属酸化物とは、X線回折法においてピーク強度が認められない、すなわち半値幅が5°以内のものがないことを示した金属酸化物を指す。
例えば、チタン及びケイ素を含む結晶性金属酸化物を製造する場合、チタン源(Ti源)をアルカリ存在下で過酸化水素水と反応させてペルオキソチタン酸を合成した後、得られたペルオキソチタン酸をケイ素源(Si源)と反応させてアモルファス状の金属酸化物(以下、「前駆体」ともいう)を合成することができる。
Ti源としては、例えば金属チタンが挙げられ、Si源としては、例えばケイ酸ナトリウム等のケイ酸化合物が挙げられ、アルカリとしては、例えばアンモニア水が挙げられる。
また、選択的なセシウム及びストロンチウムの吸着能向上の観点から、アモルファス状金属酸化物におけるSi/Tiのモル比が0.5〜2となるようにチタン源とケイ素源とを配合することが好ましい。
成型工程は、得られたアモルファス状の金属酸化物を成型することができれば、特に限定されない。本明細書において成型とは、合成したアモルファス状の金属酸化物粒子を圧縮して造粒すること、又は、合成したアモルファス状の金属酸化物粒子にせん断応力等を与えて造粒することを主に指すが、合成したアモルファス状金属酸化物の形状及び径が変わればそれらに限定するものではない。例えば、合成したアモルファス状金属酸化物をアルカリ溶液と混合し、チップ状に加圧成型して、前駆体チップを形成してもよい。この場合、アルカリ溶液としては、例えば水酸化ナトリウムが挙げられ、アルカリ添加量としては、アモルファス状金属酸化物2gに対して0.16〜0.52gとなるように添加してもよい。
ドライゲルコンバージョン法による結晶化工程は、成型工程で成型されたアモルファス状金属酸化物を水蒸気によるドライゲルコンバージョン法により結晶化させることができれば、特に限定されない。本明細書においてドライゲルコンバージョン法とは、水蒸気、例えば加圧水蒸気を用いて、気相で結晶化を促す手法のことを指す。
ドライゲルコンバージョン法による結晶化工程は、例えば、図1に示すオートクレーブ1で行うことができる。具体的に、例えば、成型工程で得られた前駆体チップ2をオートクレーブ1におけるテフロン(登録商標)製の反応台3に置き、100℃〜200℃、3〜100時間恒温乾燥機で加熱し、反応台3の下にある純水4による加圧水蒸気により、前駆体チップ2を結晶化させることができる。
以下、本発明の結晶性金属酸化物及びその製造方法を実施例に基づきより具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
<結晶性金属酸化物の作製>
(実施例1)
(アモルファス状金属酸化物の合成)
Ti源としては金属チタン粉末(キシダ化学株式会社製、試験研究用チタン粉末、純度99.0%以上)を用い、Si源としてはケイ酸ナトリウム(キシダ化学株式会社製、試験研究用ケイ酸ナトリウム)を用いた。200mLの三角フラスコに金属チタン粉末を入れ、アンモニア水(ナカライテスク製アンモニア水、濃度:28質量%)と過酸化水素水(キシダ化学株式会社製、特級過酸化水素、濃度:30質量%)をTi:NHaq:Haq=1(g):8(mL):80(mL)の割合で添加した。金属チタン粉末、アンモニア水及び過酸化水素水を添加した三角フラスコの2/3程度を氷水(0〜5℃)に沈めた。チタン粉末の黒っぽさが無くなるまで約2時間静置し、ペルオキソチタン酸水溶液を作製した。次にケイ酸ナトリウムを、ペルオキソチタン酸中のTiに対するケイ酸ナトリウム中のSiのモル比(Si/Ti)が0.75となるように計量した。ケイ酸ナトリウムと純水を300mLのテフロン(登録商標)ビーカーに入れ、マグネットスターラーにより200min-1で撹拌して溶解させ、ケイ酸ナトリウム水溶液を作製した。テフロン(登録商標)ビーカーに入ったケイ酸ナトリウム水溶液にペルオキソチタン酸水溶液を混合し、マグネットスターラーにより400min-1で30分混合し、混合ゲルを作製した。140℃に加熱したホットプレートにシリコーン樹脂加工を施したアルミホイルを敷き、そのアルミホイル上で混合ゲルを加熱し、残留した過酸化水素を熱分解した。熱分解による発泡が見られなくなったら加熱を止め、50℃の恒温乾燥機内で十分に乾燥させ、Si/Tiのモル比が0.75の混合前駆体粉末を得た。得られた混合前駆体粉末を乳鉢で粉砕し、粒径300μm以下のアモルファス状金属酸化物を得た。
(成型)
NaOH(キシダ化学株式会社製、特級水酸化ナトリウム、0.7mm粒状、純度98%以上)0.28gと純水0.25mLとを乳鉢に入れて混合した。そこにアモルファス状金属酸化物2gを入れてさらに混合した。その後、上記混合物を直径2cmのチップに400kgfで加圧成型し、前駆体チップを作製した。
(ドライゲルコンバージョン法による結晶化)
図1に示すように、50mLのオートクレーブ1に0.5mLの純水4を入れ、前駆体チップ2が水に浸からないようにするために置いたテフロン(登録商標)製の反応台3の上に前駆体チップ2を置き、180℃、20時間恒温乾燥機で加熱し、結晶化を行った。得られた生成物を各溶液(NaOH、KOH、HCl)で洗浄を行い、80℃で4時間、恒温乾燥機で乾燥させ、結晶性金属酸化物である結晶性シリコチタネート(吸着剤)を得た。得られた結晶性金属酸化物を乳鉢で粉砕し、粒径150〜300μmと150μm未満に篩い分けた。
(実施例2)
実施例1と同様にアモルファス状金属酸化物(Si/Tiのモル比=0.75)を合成した。次に、成型時のアルカリ添加量(NaOH添加量)を0.36gとしたこと以外、実施例1と同様に成型を行った。さらに実施例1と同様にドライゲルコンバージョン法による結晶化を行い、結晶性シリコチタネートを得た。
(比較例1)
実施例1と同様にアモルファス状金属酸化物(Si/Tiのモル比=0.75)を合成した。次に、下記のような水熱合成を行い、結晶性シリコチタネートを得た。
(水熱合成)
アモルファス状金属酸化物を得た後、3mol/LのNaOH水溶液に浸漬し、オートクレーブ中で室温(約25℃)より180℃まで30分かけてヒーターにて昇温し、24時間温度を保持した。その後ヒーターを切り、1晩かけて室温に降温した。
<結晶性金属酸化物の評価>
(結晶構造解析)
実施例1、2及び比較例1で得られた結晶性金属酸化物並びに実施例1の方法で合成したアモルファス状金属酸化物を乾燥した後、X線回折装置(株式会社島津製作所製、XRD−7000)にて、各回折角2θとカウントを測定し、図2に示すようなX線回折チャートを得た。その際のX線源はCu−Kαを用いた。
図2に示したX線回折チャートから、実施例1及び2については、アモルファス状の金属酸化物を結晶化できていることを確認した。また、実施例1及び2で得られた結晶性金属酸化物は、回折角のピークが10〜12°及び25〜30°に現れ、10°未満には現れておらず、10〜12°に現れる回折角のピークの半値幅が2°以内であった。比較例1で得られた結晶性金属酸化物は、10〜12°に現れる回折角のピークの強度のばらつきが大きかった。
(SEM、元素マッピング)
実施例1で得られた結晶性金属酸化物のモルフォロジー観察を走査型電子顕微鏡(株式会社キーエンス製、VE−8800)を用いて行った。またその同じ像の元素マッピングをEDS(エネルギー分散型X線分析装置、オックスフォード・インストゥルメンツ株式会社製、INCA Energy)を用いて行った。
実施例1で得られた結晶性金属酸化物の中心部及び辺縁部のSEM像及び元素マッピング(Na、Si、Ti、Cl)を図3(中心部)及び図4(辺縁部)に示す。この結果から、構造体がきちんとできており、またそれぞれの元素も粒子の中心部、辺縁部を問わず一様になっていることが確認された。
(FT−IR)
実施例1、2及び比較例1で得られた結晶性金属酸化物の表面の赤外吸収スペクトルを、FT−IR(Brucker社製、FT−IR OPUS system)を用いてATRモードで測定した。
実施例1、2及び比較例1の波数範囲別の赤外吸収スペクトルチャートを図5〜7に示す。この結果から、3200cm-1付近の吸収が大きいと、水酸基が結晶表面から立ち上がり会合している構造であることが推測される。また880cm-1付近のピークも強いことから、Si−OH由来の水酸基が生成していることが示唆された。
(分配係数)
純水1Lに対し、人工海水の元(有限会社マツダ製マリンメリット)36gを溶解させ人工海水を作製した。人工海水の元の成分を下記表1に示す。この人工海水を用いてCsとSrがそれぞれ0、1、2、4、6、10ppm含んだ溶液を作製した。原子吸光分析装置(株式会社パーキンエルマージャパン製AAnalyst200)を用いて吸光度を測定し、検量線を作製した。吸着実験用の模擬汚染水は、上記と同じ人工海水を用いてCsとSrをそれぞれ10ppmになるように調整した混合溶液を用いた。粒径150〜300μmの吸着剤(実施例1、2及び比較例1で得られた結晶性金属酸化物)0.01gに対して模擬汚染水10mLを入れ、振盪攪拌機で3日間撹拌を行った。その後、固液を分離し、液中のCsとSrの吸光度を原子吸光分析装置で測定し、検量線から残留濃度(残留のCs及びSrの濃度)を測定した。模擬汚染水のCs初期濃度及びSr初期濃度と吸着実験後のCs残留濃度及びSr残留濃度から次式を用いて分配係数を算出した。
Figure 0006807572
Figure 0006807572
実施例1、2及び比較例1で得られた結晶性金属酸化物について算出した分配係数を下記表2に示す。本結果から、実施例で得られた結晶性金属酸化物は人工海水中の塩強度でも高い選択的な吸着能を示すことが分かった。
Figure 0006807572
以上の結果から、本発明で得られた結晶性金属酸化物は、多元素同時選択吸着に有効であり、またその原材料と合成プロセスにおいて、経済的にも有利であることが示された。本発明の結晶性金属酸化物及びその製造方法は産業上有用なものである。
1…オートクレーブ、2…前駆体チップ、3…反応台、4…純水。

Claims (14)

  1. アモルファス状の金属酸化物を合成する工程と、
    得られたアモルファス状の金属酸化物を成型する工程と、
    水蒸気によるドライゲルコンバージョン法により前記アモルファス状の金属酸化物の結晶化を行う工程と
    を備える、チタン及びケイ素を含む結晶性金属酸化物の製造方法。
  2. 前記アモルファス状の金属酸化物を合成する工程において、チタン源をアルカリ存在下で過酸化水素水と反応させてペルオキソチタン酸を合成した後、得られたペルオキソチタン酸をケイ素源と反応させてアモルファス状の金属酸化物を合成する、請求項1に記載の結晶性金属酸化物の製造方法。
  3. 前記チタン源が金属チタンである、請求項2に記載の結晶性金属酸化物の製造方法。
  4. 前記結晶性金属酸化物の組成が、チタン、ケイ素及びナトリウムを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の結晶性金属酸化物の製造方法。
  5. 前記結晶性金属酸化物が放射性核種を吸着するものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の結晶性金属酸化物の製造方法。
  6. 前記結晶性金属酸化物をX線回折法により構造解析した際、回折角のピークが10〜12°及び25〜30°に現れ、10°未満には現れない、請求項1〜5のいずれか一項に記載の結晶性金属酸化物の製造方法。
  7. 前記結晶性金属酸化物をX線回折法により構造解析した際、10〜12°に現れる回折角のピークの半値幅が2°以内である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の結晶性金属酸化物の製造方法。
  8. 前記結晶性金属酸化物が多孔質状固体である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の結晶性金属酸化物の製造方法。
  9. 前記結晶性金属酸化物のアルカリ賦活化処理を行わない、請求項1〜8のいずれか一項に記載の結晶性金属酸化物の製造方法。
  10. 前記アモルファス状の金属酸化物を合成する工程において、アモルファス状の金属酸化物におけるSi/Tiのモル比が0.5〜2となるようにチタン源とケイ素源とを配合する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の結晶性金属酸化物の製造方法。
  11. X線回折法により構造解析した際、回折角のピークが10〜12°及び25〜30°に現れ、10°未満には現れず、且つ10〜12°に現れる回折角のピークの半値幅が2°以内であり、チタン及びケイ素を含む、結晶性金属酸化物。
  12. チタン、ケイ素及びナトリウムを含む、請求項11に記載の結晶性金属酸化物。
  13. 放射性核種を吸着するものである、請求項11又は12に記載の結晶性金属酸化物。
  14. 多孔質状固体である、請求項1113のいずれか一項に記載の結晶性金属酸化物。
JP2016169782A 2015-08-31 2016-08-31 結晶性金属酸化物の製造方法及び結晶性金属酸化物 Active JP6807572B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015170669 2015-08-31
JP2015170669 2015-08-31

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017048107A JP2017048107A (ja) 2017-03-09
JP6807572B2 true JP6807572B2 (ja) 2021-01-06

Family

ID=58278422

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016169782A Active JP6807572B2 (ja) 2015-08-31 2016-08-31 結晶性金属酸化物の製造方法及び結晶性金属酸化物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6807572B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7427198B2 (ja) * 2020-08-27 2024-02-05 三菱重工業株式会社 マイナーアクチノイドの分離方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10316417A (ja) * 1997-05-09 1998-12-02 Nippon Shokubai Co Ltd チタン含有ベータゼオライトの製造方法
JP2000211914A (ja) * 1999-01-21 2000-08-02 Nippon Shokubai Co Ltd 新規ゼオライト及びその製造方法
US6482380B1 (en) * 2000-11-22 2002-11-19 The United States Of America As Represented By The Department Of Energy Silicotitanate molecular sieve and condensed phases
JP4591056B2 (ja) * 2003-12-26 2010-12-01 三菱化学株式会社 Me−アルミノフォスフェートの製造方法
JP5230109B2 (ja) * 2007-01-30 2013-07-10 株式会社トクヤマ 結晶性リン酸アルミニウム多孔質構造体およびその製造方法
JP5696244B1 (ja) * 2014-03-27 2015-04-08 日本化学工業株式会社 吸着材
JP6645202B2 (ja) * 2015-05-11 2020-02-14 東ソー株式会社 シチナカイト構造を有するシリコチタネートを含む組成物およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017048107A (ja) 2017-03-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5696244B1 (ja) 吸着材
KR102171666B1 (ko) 제올라이트계 물질의 제조 및 옥시게네이트의 올레핀으로의 전환 공정을 위한 용도
JP4576616B2 (ja) 中湿度領域において優れた水蒸気吸放湿特性を有する非晶質アルミニウムケイ酸塩
JPH11513969A (ja) 分子篩錯体化合物の製造方法
WO2017097835A1 (en) A tin-containing zeolitic material having a bea framework structure
JPWO2010026975A1 (ja) 非晶質アルミニウムケイ酸塩の製造方法、及びその方法により得られた非晶質アルミニウムケイ酸塩、並びにそれを用いた吸着剤
WO2013094193A1 (ja) ストロンチウム交換クリノプチロライト
JP6309699B2 (ja) 結晶性シリコチタネートを含む吸着剤の製造方法
JP6807572B2 (ja) 結晶性金属酸化物の製造方法及び結晶性金属酸化物
US20170216813A1 (en) Method for producing crystalline silicotitanate
CN112188927A (zh) 用含氮有机结构化试剂制备高纯度afx结构沸石的方法
WO2016052610A1 (ja) 結晶性シリコチタネートの製造方法
JP5758057B1 (ja) 結晶性シリコチタネートの製造方法
JP6812415B2 (ja) 金属イオン吸着剤
RU2317945C1 (ru) Способ получения гранулированного цеолита типа а
JP6673841B2 (ja) 吸着材
JP6691415B2 (ja) セシウム及び/又はストロンチウム吸着剤の製造方法
JP5597867B2 (ja) 結晶性多孔質無機酸化物材料の製造方法
WO2023190600A1 (ja) Gis型ゼオライト、ゼオライト成形体、吸着装置、及び精製ガスの製造方法
JP6898744B2 (ja) 重金属イオン吸着剤
JP6808443B2 (ja) 結晶性シリコチタネートの製造方法
CA3007454A1 (en) Treatment method of radioactive waste water containing radioactive cesium and radioactive strontium
JP2001080916A (ja) Mel型結晶性メタロシリケートおよびその製造方法
TW201634394A (zh) 鹼金屬的9鈦酸鹽的製備方法及吸附劑

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190801

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200818

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200820

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201019

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201104

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201130

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6807572

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350