以下に、実施形態に係る昇降機用ロープ計測システムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれ、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の昇降機用ロープ計測システム1の全体構成の一例を示す模式図である。
昇降機用ロープ計測システム1は、例えば、エレベータ10に適用されるシステムである。昇降機用ロープ計測システム1は、昇降路12と、乗りかご14と、カウンタウェイト16と、ロープ18と、巻上機20と、制御盤30と、検出部材32と、検出部34と、を備える。昇降機用ロープ計測システム1では、制御盤30によって各部の駆動が制御されて乗りかご14が昇降路12内を昇降することで、乗りかご14が任意の目的階のホールに移動する。乗りかご14およびカウンタウェイト16の少なくとも一方が、移動体に相当する。
昇降機用ロープ計測システム1は、乗りかご14とカウンタウェイト16とをロープ18で連結した、いわゆるつるべ式のエレベータとして構成される。昇降路12は、昇降機用ロープ計測システム1が設けられた建物の鉛直方向(矢印Z方向)に沿って設けられている。建物は、例えば、複数階の階床を有する建物やマンション等である。すなわち、昇降路12は、鉛直方向が昇降方向となるように建物内の複数の各階の各々の階床に渡って設けられている。なお、以下では、昇降方向を、昇降方向Zと称して説明する場合がある。
昇降路12には、乗りかご14、および、カウンタウェイト16が設けられている。また、昇降路12の昇降方向Zにおける、乗りかご14およびカウンタウェイト16より反鉛直方向(矢印ZA方向)側には、乗りかご14を昇降移動させる巻上機20が設けられている。
乗りかご14は、利用者や荷物を乗せることが可能な例えば箱形状である。乗りかご14は、図示を省略したかご用ガイドレールに沿って昇降する。カウンタウェイト16は、ロープ18を介して乗りかご14に連結された釣り合い重りであり、昇降路12内で乗りかご14と連動して昇降する。カウンタウェイト16は、図示を省略するウェイト用ガイドレールに沿って昇降する。カウンタウェイト16は、乗りかご14が所定積載量(例えば、最大積載量に対して1/2程度)の場合に、巻上機20を挟んで、乗りかご14と釣り合うように重量が設定されている。
巻上機20は、トラクションシーブ22と、モータ26と、パルスジェネレータ28と、を含む。
トラクションシーブ22は、長手方向の一端部側で乗りかご14を支持し、他端部側でカウンタウェイト16を支持するロープ18を巻き掛けて、乗りかご14およびカウンタウェイト16をつるべ式に昇降させるための滑車機構である。
詳細には、本実施形態では、乗りかご14の天井上面に複数のサブシーブ23が設けられている。サブシーブ23には、ロープ18が架設されている。カウンタウェイト16の上面にはサブシーブ21が設けられている。サブシーブ23には、ロープ18が架設されている。ロープ18の長手方向一端部と他端部は、それぞれ、昇降路12の天井面に固定されている。トラクションシーブ22は、ロープ18におけるサブシーブ21と乗りかご14との間の領域であって、カウンタウェイト16および乗りかご14より反鉛直方向側に設置されている。
このため、トラクションシーブ22の回転によって、トラクションシーブ22に巻き掛けられたロープ18が移動することで、ロープ18によって支持された乗りかご14およびカウンタウェイト16が、昇降路12内を昇降する。
なお、昇降路12の最上部に機械室などが設けられている場合がある。この場合、巻上機20および制御盤30の少なくとも一方を、機械室内に設置した構成としてもよい。
モータ26は、トラクションシーブ22を回転駆動させる。トラクションシーブ22の回転中心には、回転軸として機能するモータ軸24が設けられている。モータ26の駆動によってモータ軸24が回転駆動することで、トラクションシーブ22が回転する。
パルスジェネレータ28は、トラクションシーブ22の回転に同期して出力されるパルス信号を出力する。後述する制御盤30では、パルスジェネレータ28から出力されるパルス信号のパルス数を連続的に検出することにより、トラクションシーブ22の回転量を検出する。
昇降路12の外部の各階の乗り場には、例えば長方形の乗り場開口部が設けられている。乗りかご14が各階の乗り場に移動して停止する場合、乗りかご14のドアが各階の階床に設けられた乗り場開口部と一致して停止するように制御される。乗りかご14が各階の乗り場に移動して停止することは、着床、と称される場合がある。
昇降路12には、各階の階床に対応する位置に着検部材36が設けられている。着検部材36は、乗りかご14が複数の各階の階床の各々に着床したことを検出するために用いられる部材である。着検部材36は、例えば、板状の部材であり、着検板または着床板と称される場合がある。なお、着検部材36の形状は、板状に限定されない。
また、昇降路12には、1対の検出部材32が設けられている。検出部材32は、昇降路12の昇降方向Zに間隔を隔てて配置された、一対の部材である。検出部材32は、例えば、板状の部材である。なお、検出部材32の形状は、板状に限定されない。一対の検出部材32の間隔である距離Lは、予め定めればよく、限定されない。但し、距離Lは、後述する制御盤30による算出精度向上の観点から、より短い事が好ましい。具体的には、例えば、距離Lは、昇降方向Zに隣接する着検部材36間の最小距離以下の距離であることが好ましい。
着検部材36および検出部材32は、検出部34によって検出可能な部材であればよい。なお、複数の着検部材36の内の少なくとも1つを、検出部材32として用いてもよい。例えば、複数の着検部材36の内、鉛直方向(矢印ZA方向)の最も下流側に配置された着検部材36を一対の検出部材32の内の一方として用いてもよい。また、複数の着検部材36の内、任意の1つの着検部材36を、一対の検出部材32の内の一方として用いてもよい。また、複数の着検部材36の内、任意の2つの着検部材36を、1対の検出部材32として用いてもよい。
検出部34は、一対の検出部材32の各々を検出する。本実施形態では、検出部34は、検出部材32および着検部材36の双方を検出可能である。本実施形態では、検出部34は、乗りかご14に配置されている。検出部34は、乗りかご14における、検出部材32を検出可能な位置に配置されていればよく、その位置は限定されない。すなわち、検出部34は、乗りかご14における、乗りかご14の昇降によって一対の検出部材32の各々および着検部材36の各々と対向可能な位置に配置されている。本実施形態では、検出部34が、乗りかご14における鉛直方向(矢印ZA方向)の下流側端部に設けられた形態を一例として説明する。
図2は、検出部34および検出部材32の説明図である。検出部34は、例えば、1または複数のスイッチ34aを備える。スイッチ34aは、例えば、投光器と受光器を対向配置させた略C字型の光センサである。検出部材32における、略C字型の対向面間の領域が、投光器と受光器との間の検出領域となる。この検出領域で、投光器と受光器とによる光の送受信が行われる。
乗りかご14の昇降によって検出部34が昇降すると、一対の検出部材32および複数の検出部34の各々が、順次、上記検出領域内を通過する。このため、検出部34は、受光器による光受信を示すオン信号および光未受信を示すオフ信号の組合せからなる検出信号を、検出部材32および検出部34の各々を検出するごとに出力する。すなわち、検出部34は、検出部材32および検出部34の各々の位置を検出部34が通過したことを検出する。検出部34は、検出部材32および着検部材36の各々の検出結果である検出信号を、制御盤30へ出力する。
なお、検出部34のサイズは限定されない。但し、検出精度向上の観点から、検出部34の昇降方向Zの長さが、検出部材32および着検部材36の各々の昇降方向Zの長さより短い事が好ましい。
上述したように、検出部34は、検出部材32および着検部材36の双方を検出可能である。このため、本実施形態では、上述したように、乗りかご14が複数の各階の階床の各々に着床したことを検出するために用いられる部材である着検部材36の少なくとも1つを、検出部材32として用いることができる。すなわち、本実施形態では、新たな検出部材32を追加して設置することなく、着床を検出するための着検部材36を、検出部材32として流用して用いることも可能である。
図1に戻り説明を続ける。
制御盤30は、昇降機用ロープ計測システム1を制御する。制御盤30の設置位置は、限定されない。図1には、昇降路12の内側の壁面に制御盤30が設けられている場合を一例として示した。しかし、制御盤30は、昇降路12の外側や、昇降路12の最上部などに設けられた機械室内などに配置されていてもよい。
制御盤30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、所定の制御プログラム等を予め記憶しているROM(Read Only Memory)、CPUの演算結果を一時記憶するRAM(Random Access Memory)等を備える。制御盤30は、種々のセンサ、検出器、および昇降機用ロープ計測システム1の各部と電気的に接続され、各部の動作を統括的に制御する。
図3は、昇降機用ロープ計測システム1の機能ブロック図の一例である。昇降機用ロープ計測システム1の制御盤30は、例えば、ネットワークNを介して監視装置40に通信可能に接続されている。制御盤30および監視装置40は、ROMに記憶されている制御プログラムをCPUが実行することで、各種機能部を実現する。
制御盤30は、駆動制御部30Aと、第1取得部30Bと、第2取得部30Cと、特定部30Dと、算出部30Eと、判定部30Fと、出力制御部30Gと、を備える。
駆動制御部30Aは、モータ26を駆動する。駆動制御部30Aは、モータ26を駆動することでトラクションシーブ22を回転させる。トラクションシーブ22の回転によって、トラクションシーブ22に巻き掛けられたロープ18が移動することで、ロープ18によって支持された乗りかご14およびカウンタウェイト16が、昇降路12内を昇降する。
第1取得部30Bは、検出部34から一対の検出部材32の検出結果である検出信号を取得する。
第2取得部30Cは、トラクションシーブ22の回転に同期して出力されるパルス信号を、パルスジェネレータ28から取得する。
特定部30Dは、検出部34の検出結果に基づいて、一対の検出部材32の各々の位置を検出部34が通過した一対のタイミングを特定する。特定部30Dは、検出部34から第1取得部30Bで取得した検出結果である検出信号を用いて、タイミングを特定する。
図4は、検出部34が出力する検出信号50の一例の模式図である。検出信号50は、例えば、一対の検出部材32の各々の検出を示すピーク50Aおよびピーク50Bを含む。例えば、特定部30Dは、ピーク50Aの立ち上がりのタイミングt1を、一対の検出部材32の内の一方の検出部材32を検知したタイミングとして特定する。また、特定部30Dは、ピーク50Bの立ち上がりのタイミングt2を、他方の検出部材32を検知したタイミングとして特定する。
図3に戻り説明を続ける。算出部30Eは、特定部30Dで特定された一対のタイミングのタイミング間におけるトラクションシーブ22の回転量および一対の検出部材32間の距離Lに基づいて、ロープ18のロープ径を算出する。
詳細には、算出部30Eは、特定部30Dから一対のタイミングを受付ける。図4を用いて説明する。まず、算出部30Eは、タイミングt1からタイミングt2までのタイミング間における、トラクションシーブ22の回転量を算出する。回転量は、例えば、トラクションシーブ22の回転角である。該回転角の単位は、例えば、rad(ラジアン)である。算出部30Eは、第2取得部30Cから取得したパルス信号のパルス数のカウント値を用いて、タイミングt1からタイミングt2までのタイミング間における、トラクションシーブ22の回転角を算出する。なお、トラクションシーブ22の回転角の算出方法は、パルス数を用いた方法に限定されない。
そして、算出部30Eは、算出したトラクションシーブ22の回転角、および、一対の検出部材32間の距離Lに基づいて、ロープ18のロープ径を算出する。
図5は、ロープ18のロープ径の算出の説明図である。ロープ径は、ロープ18の径に関する情報であればよい。本実施形態では、ロープ径Drが、トラクションシーブ22の半径Dr1とロープ18の半径Dr2との合計値(Dr=Dr1+Dr2)である場合を一例として説明する。
この場合、ロープ径Drは、下記式(1)によって算出される。
Dr=2L/α ・・・式(1)
式(1)中、αは、トラクションシーブ22の回転角を表す(図5参照)。すなわち、αは、タイミングt1からタイミングt2までのタイミング間における、トラクションシーブ22の回転角である。
なお、式(1)には、一対の検出部材32間の距離Lの2倍を、トラクションシーブ22の回転角で除算した式を示した。これは、本実施形態では、ロープ18を、乗りかご14とカウンタウェイト16との間において1つのトラクションシーブ22にロープ18を巻き掛けた構成のためである。すなわち、図1に示す構成の場合、ロープ18の移動量に対して、乗りかご14の上下移動が1/2であるためである。このため、式(1)中、Lに乗算する数値は、昇降機用ロープ計測システム1の構成によって、適宜調整すればよい。
なお、算出部30Eは、ロープ18の半径Dr2、または、ロープ18の直径(Dr2×2)を、ロープ18のロープ径として算出してもよい。この場合、算出部30Eは、式(1)の算出結果から、トラクションシーブ22の半径Dr1を減算した値である半径Dr2を、ロープ径として算出すればよい。また、例えば、算出部30Eは、該半径Dr2を2倍した値である直径を、ロープ18のロープ径として算出してもよい。
判定部30Fは、算出部30Eが算出したロープ径を用いて、ロープ18が異常状態であるか否かを判定する。異常状態とは、ロープ18が乗りかご14を正常且つ安全に昇降させることが困難な状態であることを示す。例えば、異常状態とは、ロープ18が寿命であることなどを示す。
ここで、発明者は、ロープ18のロープ径の変化と、ロープ18の強度に相関が有る事を見出した。ロープ18のロープ径が低下するほど、ロープ18の強度は低下すると考えられる。
そこで、本実施形態では、判定部30Fは、ロープ径Drが閾値以下である場合、ロープ18が異常状態であると判定する。また、判定部30Fは、ロープ径Drが閾値を超える場合、ロープ18は正常状態であると判定する。閾値は、予め定めればよい。
なお、判定部30Fは、複数の閾値を用いて判定処理を行ってもよい。例えば、判定部30Fは、ロープ径Drが第1閾値以下である場合、ロープ18が異常状態であると判定する。また、判定部30Fは、ロープ径Drが第1閾値未満の閾値である第2閾値以下である場合、トラクションシーブ22の回転駆動を停止すると判定してもよい。トラクションシーブ22の駆動を停止すると判定した場合、判定部30Fは、駆動停止信号を駆動制御部30Aへ出力すればよい。駆動停止信号を受付けた駆動制御部30Aは、モータ26の駆動を停止する制御を行うことで、トラクションシーブ22の回転駆動を停止すればよい。
出力制御部30Gは、判定部30Fの判定結果を、ネットワークNを介して監視装置40へ出力する。例えば、出力制御部30Gは、算出部30Eで算出されたロープ径Drおよび判定部30Fの判定結果の少なくとも一方を、監視装置40へ出力する。
監視装置40は、出力制御部30Gから受付けたロープ径Drおよび判定結果を解析することで、昇降機用ロープ計測システム1の監視制御を実行することができる。
次に、制御盤30が実行する情報処理の流れの一例を説明する。
図6は、制御盤30が実行する情報処理の流れの一例を示す、フローチャートである。
第1取得部30Bは、検出部34から一対の検出部材32の検出結果である検出信号を取得する(ステップS100)。特定部30Dは、ステップS100の検出結果に基づいて、一対の検出部材32の各々の位置を検出部34が通過した一対のタイミングを特定する(ステップS102)。
算出部30Eは、ステップS102で特定された一対のタイミングのタイミング間におけるトラクションシーブ22の回転角を算出する(ステップS106)。そして、算出部30Eは、ステップS106で算出したトラクションシーブ22の回転角、および、一対の検出部材32間の距離Lに基づいて、ロープ18のロープ径Drを算出する(ステップS106)。
判定部30Fは、ステップS106で算出されたロープ径Drが閾値以下であるか否かを判断する(ステップS108)。ステップS108で否定判断すると(ステップS108:No)、本ルーチンを終了する。一方、ステップS108で肯定判断すると(ステップS108:Yes)、ステップS110へ進む。
ステップS110では、出力制御部30Gは、ステップS108の判定結果である異常情報を、ネットワークNを介して監視装置40へ出力する(ステップS110)。そして、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施形態の昇降機用ロープ計測システム1は、一対の検出部材32と、検出部34と、特定部30Dと、算出部30Eと、を備える。一対の検出部材32は、昇降路12に設けられ、移動体である乗りかご14の昇降方向Zに距離Lを隔てて配置されている。検出部34は、移動体である乗りかご14に設けられ、一対の検出部材32の各々を検出する。特定部30Dは、検出部34による検出結果に基づいて、一対の検出部材32の各々の位置を検出部34が通過した一対のタイミングを特定する。算出部30Eは、特定された一対のタイミングのタイミング間におけるトラクションシーブ22の回転量および距離Lに基づいて、ロープ18のロープ径を算出する。
このように、昇降機用ロープ計測システム1は、一対の検出部材32の各々の位置を検出部34が通過したタイミング間におけるトラクションシーブ22の回転量と、一対の検出部材32の距離Lと、を用いて、ロープ18のロープ径を算出する。
このため、昇降機用ロープ計測システム1は、ロープ18を目視したり、ロープ18の撮影画像を用いることなく、容易にロープ18のロープ径を導出することができる。
従って、本実施形態の昇降機用ロープ計測システム1は、移動体を支持するロープ18のロープ径を容易に導出することができる。
(変形例1)
第1の実施形態では、トラクションシーブ22の回転量として回転角を用いて、ロープ18のロープ径を算出する形態を一例として説明した。しかし、算出部30Eは、タイミングt1とタイミングt2との各々における、トラクションシーブ22のパルス信号のパルス数のカウント値を特定し、このカウント値の差を、回転量として用いてもよい。この場合、算出部30Eは、カウント値の差と距離Lを用いてロープ径Drを算出するための関数を予め算出し、ロープ径Drの算出に用いればよい。
(変形例2)
第1の実施形態では、乗りかご14に検出部34が設けられた形態を一例として説明した。しかし、検出部34は、移動体である乗りかご14またはカウンタウェイト16に設けられた構成であればよい。このため、検出部34を、カウンタウェイト16に設けた構成としてもよい。この場合、一対の検出部材32を、昇降路12における、カウンタウェイト16に設けられた検出部34によって検出可能な位置に配置すればよい。
(変形例3)
第1の実施形態では、乗りかご14に検出部34が設けられ、昇降路12に一対の検出部材32が設けられた構成を一例として説明した。しかし、乗りかご14に一対の検出部材32が設けられ、昇降路12に検出部34を設けた構成としてもよい。
図7は、本変形例の昇降機用ロープ計測システム1Bの全体構成の一例を示す模式図である。
昇降機用ロープ計測システム1Bは、一対の検出部材32が乗りかご14に設けられ、検出部34が昇降路12に設けられている点が昇降機用ロープ計測システム1とは異なる点以外は、昇降機用ロープ計測システム1と同じ構成である。
昇降機用ロープ計測システム1Bでは、一対の検出部材32は、乗りかご14に距離Lを隔てて配置されている。また、検出部34は、昇降路12に配置されている。検出部34は、昇降路12における、乗りかご14の昇降に伴って移動する一対の検出部材32を検出可能な位置に配置されていればよい。
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、昇降機用ロープ計測システム1が一対の検出部材32を備えた形態を説明した。本実施形態では、1つの検出部材32を備えた構成を説明する。
図8は、本実施形態の昇降機用ロープ計測システム1Cの全体構成の一例を示す模式図である。
昇降機用ロープ計測システム1Cは、制御盤30、検出部材32、および検出部34に代えて、制御盤31、検出部材33、および検出部35をそれぞれ備える点以外は、第1の実施形態の昇降機用ロープ計測システム1と同様である。このため、第1の実施形態の昇降機用ロープ計測システム1と異なる点を説明する。
本実施形態では、昇降路12に、1つの検出部材33が設けられている。図2に示すように、検出部材33は、昇降方向Zに長い形状の部材である。図8に戻り説明を続ける。
本実施形態では、検出部材33における、昇降方向Zの長さL’を、第1の実施形態で説明した距離Lとして用いる。検出部材33の長さL’は、昇降方向Zに隣接する着検部材36間の最小距離以下の距離であることが好ましい。
検出部材33は、検出部34によって検出可能な部材である。なお、各階の階床に配置された複数の着検部材36の内の何れか1つを、検出部材33として用いてもよい。
検出部35は、検出部材33を検出する。検出部35の昇降方向Zの長さは、検出部材33の昇降方向Zの長さL’未満である。
第1の実施形態の検出部34と同様に、検出部35は、検出部材33および着検部材36の双方を検出可能である。このため、本実施形態では、乗りかご14が複数の各階の階床の各々に着床したことを検出するために用いられる部材である着検部材36の少なくとも1つを、検出部材33として用いることができる。
本実施形態では、検出部35は、乗りかご14に配置されている。検出部35は、乗りかご14における、検出部材33を検出可能な位置に配置されていればよく、その位置は限定されない。すなわち、検出部35は、乗りかご14における、乗りかご14の昇降によって検出部材33および着検部材36の各々と対向可能な位置に配置されている。本実施形態では、検出部35が、乗りかご14における鉛直方向(矢印ZA方向)の下流側端部に設けられた形態を一例として説明する。
検出部35は、第1の実施形態の検出部34と同様に、投光器と受光器を対向配置させた略C字型の光センサであるスイッチ34aを備えた構成である(図2参照)。このため、検出部35は、検出部材33を検出することで、受光器による光の受信であるオン信号および光の未受信であるオフ信号の組合せからなる検出信号を検出結果として制御盤31へ出力する。
制御盤31は、昇降機用ロープ計測システム1Cを制御する。制御盤30の設置位置は、限定されない。制御盤31は、例えば、CPU、ROM、RAM等を備える。制御盤31は、種々のセンサ、検出器や昇降機用ロープ計測システム1Cの各部と電気的に接続され、各部の動作を統括的に制御する。
図9は、昇降機用ロープ計測システム1Cの機能ブロック図の一例である。昇降機用ロープ計測システム1の制御盤31は、例えば、ネットワークNを介して監視装置40に通信可能に接続されている。制御盤31は、ROMに記憶されている制御プログラムをCPUが実行することで、各種機能部を実現する。
制御盤31は、駆動制御部30Aと、第1取得部31Bと、第2取得部30Cと、特定部31Dと、算出部31Eと、判定部30Fと、出力制御部30Gと、を備える。駆動制御部30A、第2取得部30C、判定部30F、および出力制御部30Gは、第1の実施形態の昇降機用ロープ計測システム1と同様である。
第1取得部30Bは、検出部35から検出部材33の検出結果である検出信号を取得する。
特定部31Dは、検出部34の検出結果に基づいて、検出部材33における昇降方向Zに互いに異なる第1の位置および第2の位置の各々を検出部34が通過した一対のタイミングを特定する。第1の位置は、検出部材33における昇降方向Zの一端部の位置である。第2の位置は、検出部材33における昇降方向Zの他端部の位置である。特定部31Dは、検出部34から第1取得部30Bで取得した検出結果である検出信号を用いて、これらのタイミングを特定する。
図10は、検出部35が出力する検出信号52の一例の模式図である。検出信号52は、例えば、検出部材33の検出を示す1つのピーク52Aを含む。例えば、特定部31Dは、ピーク52Aの立ち上がりのタイミングt1を、検出部材33における昇降方向Zの一端部の位置を検出部35が通過したタイミングとして特定する。また、特定部31Dは、ピーク52Aの立下りのタイミングt2’を、検出部材33における昇降方向Zの他端部の位置を検出部35が通過したタイミングとして特定する。
図9に戻り説明を続ける。算出部31Eは、特定部31Dで特定された一対のタイミングのタイミング間におけるトラクションシーブ22の回転量および検出部材33の昇降方向Zの長さL’である距離Lに基づいて、ロープ18のロープ径を算出する。
算出部31Eは、特定部30Dから受付けたタイミングおよび一対の検出部材32の距離Lに代えて、特定部31Dで特定されたタイミングおよび検出部材33の昇降方向Zの長さL’である距離Lを用いる点以外は、第1の実施形態の算出部30Eと同様にして、ロープ18のロープ径を算出する。
判定部30Fおよび出力制御部30Gの処理は、第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、制御盤31が実行する情報処理の流れの一例を説明する。
図11は、制御盤31が実行する情報処理の流れの一例を示す、フローチャートである。
第1取得部31Bは、検出部35から検出部材33の検出結果である検出信号を取得する(ステップS200)。特定部31Dは、ステップS200の検出結果に基づいて、検出部材33の昇降方向Zの一端部と他端部の各々の位置である第1位置および第2位置を、検出部35が通過した一対のタイミングを特定する(ステップS202)。
算出部31Eは、ステップS202で特定された一対のタイミングのタイミング間におけるトラクションシーブ22の回転角を算出する(ステップS206)。そして、算出部31Eは、ステップS206で算出したトラクションシーブ22の回転角、および、検出部材33の昇降方向Zの長さL’である距離Lに基づいて、ロープ18のロープ径Drを算出する(ステップS206)。
判定部30Fは、ステップS206で算出されたロープ径Drが閾値以下であるか否かを判断する(ステップS208)。ステップS208で否定判断すると(ステップS208:No)、本ルーチンを終了する。一方、ステップS208で肯定判断すると(ステップS208:Yes)、ステップS210へ進む。
ステップS210では、出力制御部30Gは、ステップS208の判定結果である異常情報を、ネットワークNを介して監視装置40へ出力する(ステップS210)。そして、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施形態の昇降機用ロープ計測システム1Cは、検出部材33と、検出部35と、特定部31Dと、算出部31Eと、を備える。検出部材33は、昇降路12に設けられている。検出部35は、移動体である乗りかご14に設けられ、検出部材33を検出する。特定部31Dは、検出部35の検出結果に基づいて、検出部材43における昇降方向Zに互いに異なる第1の位置および第2の位置の各々を検出部35が通過した一対のタイミングを特定する。算出部31Eは、特定された一対のタイミングのタイミング間におけるトラクションシーブ22の回転量および前記第1の位置と前記第2の位置との間の距離Lに基づいて、ロープ18の径を算出する。
このように、昇降機用ロープ計測システム1Cは、一つの検出部材33における昇降方向Zの互いに異なる位置の各々を検出部35が通過したタイミング間におけるトラクションシーブ22の回転量と、検出部材33における該2つの位置の間の距離Lと、を用いて、ロープ18のロープ径を算出する。
このため、昇降機用ロープ計測システム1Cは、ロープ18を目視したり、ロープ18の撮影画像を用いることなく、容易にロープ18のロープ径を導出することができる。
従って、本実施形態の昇降機用ロープ計測システム1Cは、移動体を支持するロープ18のロープ径を容易に導出することができる。
(変形例4)
第2の実施形態では、トラクションシーブ22の回転量として回転角を用いて、ロープ18のロープ径を算出する形態を一例として説明した。しかし、算出部31Eは、タイミングt1’とタイミングt2’との各々における、トラクションシーブ22のパルス信号のパルス数のカウント値を特定し、このカウント値の差を、回転量として用いてもよい。この場合、算出部31Eは、カウント値の差と距離Lを用いてロープ径Drを算出するための関数を予め算出し、ロープ径Drの算出に用いればよい。
(変形例5)
第2の実施形態では、乗りかご14に検出部35が設けられた形態を一例として説明した。しかし、検出部35は、移動体である乗りかご14またはカウンタウェイト16に設けられた構成であればよい。このため、検出部35を、カウンタウェイト16に設けた構成としてもよい。この場合、検出部材33を、昇降路12における、該カウンタウェイト16に設けられた検出部35によって検出可能な位置に配置すればよい。
(変形例6)
第2の実施形態では、乗りかご14に検出部35が設けられ、昇降路12に検出部材33が設けられた構成を一例として説明した。しかし、乗りかご14に検出部材33が設けられ、昇降路12に検出部35を設けた構成としてもよい。
図12は、本変形例の昇降機用ロープ計測システム1Dの全体構成の一例を示す模式図である。
昇降機用ロープ計測システム1Dは、検出部材33が乗りかご14に設けられ、検出部35が昇降路12に設けられている点が昇降機用ロープ計測システム1Cとは異なる点以外は、昇降機用ロープ計測システム1Cと同じ構成である。
昇降機用ロープ計測システム1Dでは、検出部材33は、乗りかご14に配置されている。また、検出部35は、昇降路12に配置されている。検出部35は、昇降路12における、乗りかご14の昇降に伴って移動する検出部材33を検出可能な位置に配置されていればよい。
以上、本発明の実施形態および変形例を説明したが、実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態および変形例並びにこれらの変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。