JP6806074B2 - 積層体、シート印刷体、積層体の製造方法、シート印刷体の製造方法及びカード - Google Patents

積層体、シート印刷体、積層体の製造方法、シート印刷体の製造方法及びカード Download PDF

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Description

本発明は、例えば、紫外線硬化型インクとの密着性に優れた積層体、シート印刷体、積層体の製造方法、シート印刷体の製造方法及びカードに関する。
プラスチックは、我々の生活においてあらゆる分野に浸透しており、全世界の年間生産量が2億トン以上にも達している。プラスチックは、大半が使用後廃棄されており、これが地球環境を乱す原因の一つとして認識されてきた。そのため、プラスチックは、枯渇性資源の有効活用が近年重要視され、再生可能資源の利用が重要となっている。現在、プラスチックの再生可能資源の利用の解決策として最も注目されているのは、植物由来プラスチックの利用である。植物由来プラスチックは、非枯渇資源を利用し、プラスチック製造時における枯渇性資源の節約を図ることができるだけでなく、優れたリサイクル性を備えている。植物由来プラスチックの中でも、特に、乳酸系樹脂は、澱粉の発酵により得られる乳酸を原料とし、化学工学的に量産可能であり、かつ、透明性・剛性などが優れていることから、ポリスチレンやポリエチレンテレフタレートなどの代替材料として、カード等の様々な用途への展開が期待されている。
樹脂からなる成形品は、意匠性を向上させたり、製品名及び注意事項などを表示したりするために各種インクにより塗装される。この際に使用されるインクは、溶剤型と無溶剤型とに分けられる。無溶剤型インクの中でも、紫外線硬化型インクは溶剤を含まないので、インクの塗工時及び乾燥時において溶剤の揮発がない。このため、紫外線硬化型インクは、作業環境及び大気汚染の懸念がないだけでなく、乾燥炉が不要で、短時間での硬化が可能であるので、近年使用が拡大している。一方、紫外線硬化型インクは、溶剤を含まないために、樹脂の溶解及び膨潤がなく、一般的な溶剤型のインクと比較すると樹脂との密着性に劣る可能性がある。
そこで、紫外線硬化型インクと樹脂との密着性を向上するために、各種技術が提案されている。以下、ポリ乳酸系樹脂を基材とした塗布技術について挙げる。例えば、ポリ乳酸系樹脂からなる層に、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びウレタン樹脂などを塗布した積層フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリ乳酸系樹脂、ポリエステルなどを主成分とするアンカー材を塗布した積層フィルムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、表層のポリ乳酸系樹脂の結晶融解熱量を制御した共押出のポリ乳酸系積層フィルムが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2005−212242号公報 特開2005−313507号公報 特開2006−240112号公報
ポリ乳酸系樹脂を用いたフィルムでは、種々の紫外線硬化型インクに対する密着性の向上が求められている。しかしながら、従来のポリ乳酸系樹脂を用いたフィルムにおいては、必ずしもフィルムと紫外線硬化型インクとの間の密着性が得られておらず、十分な密着性を確認できる紫外線硬化型インクの種類に制限がある実情がある。また、従来のポリ乳酸系フィルムにおいては、必ずしも十分なフィルムの延伸性及び耐ブロッキング性が得られていない場合もある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、延伸性、紫外線硬化型インク密着性及び耐ブロッキング性に優れた積層体、シート印刷体、積層体の製造方法、シート印刷体の製造方法及びカードを提供することを目的とする。
本発明者らは、樹脂(A)を含有する基材層の一方及び両方の少なくとも一方の面に、ポリカーボネート系樹脂(B)及びポリカプロラクトン系樹脂(C)を所定量の割合で含む被印刷層を設けることにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の積層体は、樹脂(A)を含む第1層と、前記第1層の一方の面及び他方の面の少なくとも一方に設けられ、ポリカーボネート系樹脂(B)を50質量%以上85質量%以下の割合で含むと共に、ポリカプロラクトン系樹脂(C)を15質量%以上50質量%以下の割合で含む第2層とを備え、前記樹脂(A)のガラス転移温度より前記ポリカーボネート系樹脂(B)のガラス転移温度が高く、かつ、前記樹脂(A)のガラス転移温度と前記ポリカーボネート系樹脂(B)のガラス転移温度との差が150℃以下であることを特徴とする。
本発明の積層体によれば、第2層が所定量のポリカーボネート系樹脂(B)を含有するので、第2層と紫外線硬化型インクとの密着性が良好となる。また、本発明の積層体によれば、樹脂(A)とポリカーボネート系樹脂(B)とのガラス転移温度差が150℃以下であり、ポリカプロラクトン系樹脂(C)を含むことで第2層のガラス転移温度がより下がるので、積層体の延伸時の第1層の延伸特性が第2層の延伸特性に近くなり積層体の延伸性が良好となる。これらにより、延伸性、紫外線硬化型インク密着性及び耐ブロッキング性に優れた積層体を実現することが可能となる。
本発明の積層体においては、前記第1層と前記第2層とのガラス転移温度の差の絶対値が30℃以下であることが好ましい。この構成により、延伸温度域での積層体の第1層と第2層との樹脂組成物の弾性率が近くなるので、積層体の延伸特性が更に良好となる。
本発明の積層体においては、前記樹脂(A)が、ポリ乳酸系樹脂を60質量%以上100質量%以下の割合で含有することが好ましい。この構成により、第1層を構成する樹脂(A)の延伸特性が第2層の延伸特性に近くなるので、積層体の延伸時の第1層及び第2層の延伸特性が近くなり積層体の延伸性がより一層良好となる。したがって、延伸性、紫外線硬化型インク密着性及び耐ブロッキング性に優れた積層体を実現できる。
本発明の積層体においては、前記第2層は、結晶融解温度が120℃以上230℃以下の範囲であり、結晶融解熱量が10J/g以上40J/g以下である結晶性ポリエステル系樹脂(D)を更に含むことが好ましい。この構成により、第2層の結晶融解熱量が第1層の特性に近くなるので、延伸性、紫外線硬化型インク密着性及び耐ブロッキング性に優れた積層体を実現できる。
本発明のシート印刷体は、上記積層体と、前記積層体の表面に設けられ、紫外線硬化型インクが硬化されてなる印刷層とを備えたことを特徴とする。
本発明のシート印刷体によれば、第2層が所定量のポリカーボネート系樹脂(B)を含有するので、第2層と紫外線硬化型インクの密着性が良好となり、ポリカプロラクトン系樹脂(C)を含むことで第2層のガラス転移温度がより下がる。これにより、延伸性、紫外線硬化型インク密着性及び耐ブロッキング性に優れたシート印刷体を実現することが可能となる。
本発明の積層体の製造方法は、樹脂(A)を60質量%以上100質量%以下の割合で含む第1層と、前記第1層の一方の面及び他方の面の少なくとも一方に、ポリカーボネート系樹脂(B)を50質量%以上85質量%以下の割合で含むと共に、ポリカプロラクトン系樹脂(C)を15質量%以上50質量%以下の割合で含む第2層とを共押出しにより積層する積層工程を含み、前記樹脂(A)のガラス転移温度より前記ポリカーボネート系樹脂(B)のガラス転移温度が高く、かつ、樹脂(A)のガラス転移温度とポリカーボネート系樹脂(B)のガラス転移温度の差が150℃以下であることを特徴とする。
本発明の積層体の製造方法によれば、第2層が所定量のポリカーボネート系樹脂(B)を含有するので、第2層と紫外線硬化型インクとの密着性が良好となる。また、本発明の積層体の製造方法によれば、樹脂(A)とポリカーボネート系樹脂(B)とのガラス転移温度の差が150℃以下であり、ポリカプロラクトン系樹脂(C)を含むことで第2層のガラス転移温度がより下がるので、積層体の延伸時の第1層の延伸特性が第2層の延伸特性に近くなり積層体の延伸性が良好となる。これらにより、延伸性、紫外線硬化型インク密着性及び耐ブロッキング性に優れた積層体が得られる積層体の製造方法を実現することが可能となる。
本発明の積層体の製造方法においては、前記第1層と前記第2層とのガラス転移温度の差の絶対値が30℃以下であることが好ましい。この方法により、延伸温度域での積層体の第1層と第2層の樹脂組成物の弾性率が近くなるので、延伸特性が更に優れた積層体の製造方法を実現することが可能となる。
本発明の積層体の製造方法においては、前記積層工程の後に、面積倍率で1.5倍以上16.0倍以下に延伸する延伸工程をさらに有することが好ましい。この方法により、積層体が適度な範囲で延伸されるので、延伸性、紫外線硬化型インク密着性及び耐ブロッキング性により一層優れた積層体を得ることが可能となる。
本発明のシート印刷体の製造方法は、上記積層体の製造方法で積層体を製造する工程と、前記積層体の表面に紫外線硬化型インクを塗布し、紫外線により前記紫外線硬化型インクを硬化して印刷層を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
本発明のシート印刷体の製造方法によれば、第2層が所定量のポリカーボネート系樹脂(B)を含有するので、第2層と紫外線硬化型インクとの密着性が良好となる。また、本発明のシート印刷体の製造方法によれば、樹脂(A)とポリカーボネート系樹脂(B)とのガラス転移温度の差が150℃以下であり、ポリカプロラクトン系樹脂(C)を含むことで第2層のガラス転移温度がより下がるので、積層体の延伸時の第1層の延伸特性が第2層の延伸特性に近くなり積層体の延伸性が良好となる。これらにより、延伸性、紫外線硬化型インク密着性及び耐ブロッキング性に優れたシート印刷体を実現することが可能となる。
本発明のカードは、上記シート印刷体を用いたことを特徴とする。
本発明によれば、延伸性、紫外線硬化型インク密着性及び耐ブロッキング性に優れた積層体、シート印刷体、積層体の製造方法、シート印刷体の製造方法及びカードを実現できる。
図1は、本発明の一実施の形態に係る積層体を示す断面模式図である。 図2は、本発明の一実施の形態に係る積層体の他の例を示す断面模式図である。
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態によって何ら限定されるものではない。
以下の実施の形態においては、「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。また、以下の実施の形態においては、「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JIS K6900)。例えば、厚さに関して言えば、狭義では100μm以上のものをシートと称し、100μm未満のものをフィルムと称することがある。さらに、以下の実施の形態においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、以下の実施の形態においては、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特に断らない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものとする。また、以下の実施の形態においては、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特に断らない限り、「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特に断らない限り、「好ましくはYより小さい」の意を包含するものとする。
図1は、本発明の一実施の形態に係る積層体を示す断面模式図である。図1に示すように、本実施の形態に係る積層体1は、樹脂(A)を含有する基材層11(第1層)と、この基材層11の少なくとも一方の主面11A上に接して設けられた被印刷層12(第2層)とを備える。基材層11は、本実施の形態に係る積層体1において基材の役割を果たす層である。基材層11は、例えば、ポリ乳酸系樹脂などの各種樹脂材料である樹脂(A)を含有する。
被印刷層12は、紫外線硬化型インクが転写される印刷受理層としての役割を果たす層である。被印刷層12は、所定量のポリカーボネート系樹脂(B)とポリカプロラクトン系樹脂(C)とを含有する。なお、図1に示す例では、基材層11の一方の主面11A上に被印刷層12が設けられた例について説明するが、被印刷層12は、基材層11の少なくとも一方の面に設けられればよい。被印刷層12は、例えば、基材層11の一方の主面11Aに設けられてもよく、基材層11の他方の主面11Bに設けられてもよい。基材層11の一方の主面11A及び他方の主面11Bの双方に設けられていてもよい。また、積層体1は、基材層11の一方の主面11Aに被印刷層12が設けられ、他方の主面11B上に任意の層を有していてもよい。
図2は、本発明の一実施の形態に係る積層体1の他の例を示す断面模式図である。図2に示す積層体2は、基材層11と、基材層11の一方の主面11A上に設けられた第1被印刷層12−1と、基材層11の他方の主面11B上に設けられた第2被印刷層12−2を備える。すなわち、積層体2では、第1被印刷層12−1、基材層11及び第2被印刷層12−2がこの順に積層されている。第1被印刷層12−1及び第2被印刷層12−2は、図1に示した被印刷層12と同様の構成を有する。積層体2は、基材層11の両面に第1被印刷層12−1及び第2被印刷層12−2が設けられた対称構造を有するので、基材層11の両面に紫外線硬化型インクが転写される印刷受理層が設けられる。このような対象構造を有する積層体2によれば、シート状にしたときの積層体2の反り及びカールなどを低減できると共に、積層体2の製造時における製膜性も良好となる。
積層体1,2の厚さは、積層体1,2の紫外線硬化型インクとの密着性、延伸性及び耐ブロッキング性の観点から、10μm以上500μm以下が好ましく、50μm以上400μm以下がより好ましく、100μm以上300μm以下が更に好ましい。基材層11の厚さは、積層体1,2の紫外線硬化型インクとの密着性、延伸性及び耐ブロッキング性の観点から、1μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、10μm以上30μm以下が更に好ましい。被印刷層12、第1被印刷層12−1及び第2被印刷層12−2の厚さは、積層体2の紫外線硬化型インクとの密着性、延伸性及び耐ブロッキング性の観点から、1μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、10μm以上30μm以下が更に好ましい。第1被印刷層12−1及び第2被印刷層12−2の厚さは、それぞれ上述した被印刷層12の厚さと同様である。第1被印刷層12−1及び第2被印刷層12−2の厚さは、同一であってもよく、異なっていてもよい。さらに、第1被印刷層12−1及び第2被印刷層12−2の厚さ比は、シート状にしたときの積層体2の反り及びカールの低減及び積層体2の製造時における製膜性の観点から、3:1〜1:3が好ましく、同一であることが最も好ましい。
また、積層体1,2においては、本発明の効果を奏する範囲で、基材層11と被印刷層12(第1被印刷層12−1及び第2被印刷層12−2)との間に、厚さが10μm以下、好ましくは5μm以下の接着剤層、接着用樹脂層及びリサイクル樹脂層などを積層してもよい。
積層体1,2の積層方法としては、一般的に用いられるフィルムの積層方法を用いることができる。積層体1,2の積層方法としては、例えば、複数の押出機によりそれぞれ押出した基材層11と被印刷層12(第1被印刷層12−1及び第2被印刷層12−2)とを、フィードブロック式又はマルチマニホールド式の口金を用いて共押出をする積層方法、巻き出した基材層11のフィルム上に、被印刷層12(第1被印刷層12−1及び第2被印刷層12−2)をロール又はプレス板を用いて加圧圧着する積層方法などが挙げられる。
本実施の形態に係る積層体1,2は、剛性、機械特性及び耐熱性に優れたフィルムを得る観点から、少なくとも一方向に延伸されていることが好ましく、製造時におけるフィルムの流れ方向(以下、「縦方向」という)と流れ方向に直交する直交方向(以下、「横方向」という)の二方向に延伸する二軸延伸がより好ましい。また、延伸方法としては、ロール法及びテンター法などの公知の方法を用いることができる。二軸延伸を行う場合、縦方向及び横方向の延伸を逐次に行ってもよく、同時に行ってもよい。積層体1,2の二軸延伸は、得られるフィルムの機械的特性などの観点から、縦方向に延伸した後、横方向に延伸する逐次二軸延伸が特に好ましい。
延伸条件は、配合する樹脂の組成及び未延伸シートの熱履歴の少なくとも一方によって異なってくるので、シートの強度及び伸びを考慮しながら適宜決定される。延伸温度範囲としては、65℃以上95℃以下が好ましく、67℃以上90℃以下が好ましく、70℃以上87℃以下が更に好ましい。延伸温度が65℃以上であれば、延伸時におけるボイドの発生を抑制できるので、密度の低下を抑制することができる。また、延伸温度が95℃以下であれば、延伸時に樹脂(A)が結晶化せず、十分な延伸を行うことができるので、シートの破断を抑制できる。
また、延伸倍率は、面積倍率で1.5倍以上16倍以下が好ましく、3倍以上12倍以下がより好ましく、4倍以上9倍以下が更に好ましい。面積倍率が1.5倍以上であれば、積層体1,2の延伸時の厚み分布のムラが抑制されるので、積層体1,2の被印刷層12へ印刷した場合には、印刷品質の低下が抑制される。また、面積倍率が16倍以下であれば、延伸時にフィルム内のボイドの発生を抑制し、密度の低下を抑制でき、結果としてシートの剛性などの機械物性の低下を抑制できる。
本実施の形態において、紫外線硬化型インクとは、紫外線光で硬化するインクの総称で、詳しくは文献「プラスチックのコーティング技術総覧」(材料技術研究協会編集、産業技術サービスセンター社発行、1989年初刊)の392ページ及び416ページに記載されている。紫外線硬化型インクは、組成が顔料(染料)、オリゴマー及びモノマーと、光重合開始剤及び促進剤と、補助剤と、からなるインクである。オリゴマー及びモノマーは、紫外性硬化型インク中で流動成分として働き、被印刷体に展着された後、紫外線ランプで光重合開始剤から発生するラジカルにより硬化する。紫外線硬化型インクがオリゴマー及びモノマーを含有する割合については、印刷方法によって異なる。紫外線硬化型インクは、基本的には、粘度の調整目的以外で溶剤を含まない。紫外線硬化型インクが溶剤を含んだとしても、多くて10質量%程度であり、グラビアインクに含まれるインクと比較して相対的に少ない。
本実施の形態に係る積層体1,2は、特に前処理が施されなくても、紫外線硬化型インクを設けること、すなわち、紫外線硬化型インクを用いた印刷、ラミネート及びコーティングなどを行うことができる。また、本実施の形態に係る積層体1,2は、必要に応じて、表面処理が施されてもよい。表面処理としては、物理的な粗面化(凹凸化)処理及び酸化処理などがある。粗面化処理の例としては、サンドブラスト処理及びヘアーライン加工処理が挙げられる。酸化処理の例としては、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン・紫外線処理、クロム酸処理及び火炎処理などが挙げられる。
なお、紫外線硬化型インクの中には、少量の有機溶剤を含有するものもある。この有機溶剤は、フィルムへの溶剤による密着性に寄与するものではなく、これら紫外線硬化型インクが硬化する前の流動性を調整するものである。紫外線硬化型インクにおける有機溶剤の含有割合は、おおよそ20質量%以下である。有機溶剤を含有する紫外線硬化型インクは、本実施の形態でいう紫外線硬化型インクに含まれる。また、紫外線硬化型インクには、油分を含有するものもある。この紫外線硬化型インクは、紫外線又は熱による酸化で硬化樹脂成分として働く、又は硬化を補助する成分であるので、無溶剤型インクに含まれる。
本実施の形態に係る積層体1,2は、優れた紫外線硬化型インクの密着性を有し、紫外線硬化型インクで印刷されて、飲料、食品、薬品、電化品、雑貨などの袋及びケースのような包装材、カードなどの被記録材及び販促・広告・ディスプレー用シートとして好適に使用されるものである。以下、本実施の形態に係る積層体1,2の各種構成要素について詳細に説明する。
(基材層)
基材層11としては、樹脂(A)を含むものであれば特に制限はない。樹脂(A)としては、ポリスチレン系樹脂及びポリ乳酸系樹脂などの従来公知の樹脂材料を用いることができる。これらの中でも、樹脂(A)としては、樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)よりポリカーボネート系樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)が高く、その差(Tg−Tg)を所定範囲内にする観点から、ポリスチレン系樹脂及びポリ乳酸系樹脂を含むものが好ましい。特に、植物由来性であり剛性と引張強度に優れる等の観点より、ポリ乳酸系樹脂を含有することがより好ましい。なお、基材層11としては、樹脂(A)として、必ずしもポリ乳酸系樹脂を含む必要はなく、従来公知の樹脂材料を含有するものであればよい。
(ポリ乳酸系樹脂)
ポリ乳酸系樹脂としては、構成単位がL−乳酸であるポリ(L乳酸)、構成単位がD−乳酸であるポリ(D乳酸)、構成単位としてL−乳酸とD−乳酸とを含むポリ(DL乳酸)、及びポリ(L乳酸)、ポリ(D乳酸)及びポリ(DL乳酸)の混合物を用いることができる。また、ポリ乳酸系樹脂としては、上述した各種ポリ乳酸と、α−ヒドロキシカルボン酸、ジオール及びジカルボン酸からなる群から選択された少なくとも1種との共重合体を用いてもよい。さらに、ポリ乳酸系樹脂としては、α−ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオールなどのジオール及び脂肪族ジカルボン酸などのジカルボン酸からなる群から選択された共重合体を用いてもよい。
ポリ乳酸系樹脂に共重合されるα−ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸及び2−ヒドロキシカプロン酸などの脂肪族ヒドロキシカルボン酸が挙げられる。また、ポリ乳酸系樹脂に共重合されるα−ヒドロキシカルボン酸としては、カプロラクトン、ブチロラクトン及びバレロラクトンなどのラクトン類を用いてもよい。
ポリ乳酸系樹脂に共重合されるジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族ジオールが挙げられる。ポリ乳酸系樹脂に共重合される脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸及びドデカン二酸などが挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂の重合法としては、縮重合法、開環重合法及びその他の公知の重合法を採用することができる。例えば、縮重合法では、L−乳酸及びD−乳酸又はこれらの混合物を直接脱水縮重合して任意の組成を持ったポリ乳酸系樹脂を得ることができる。
また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤などを用いながら、選ばれた触媒を使用してポリ乳酸系重合体を得ることができる。この際、ラクチドにはL−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の二量体であるD−ラクチド、及びL−乳酸とD−乳酸とからなるDL−ラクチドを用いることができ、これらを必要に応じて混合して重合することにより任意所望の組成、結晶性を持つポリ乳酸系樹脂を得ることができる。
耐熱性を更に向上させるなどの必要に応じて、ポリ乳酸系樹脂の本質的な性質を損なわない範囲で、すなわち、ポリ乳酸系樹脂成分を90質量%以上含有する範囲で、少量共重合成分として、テレフタル酸のような非脂肪族ジカルボン酸、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のような非脂肪族ジオールを加えてもよい。さらにまた、分子量増大のために少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物などを加えてもよい。
ポリ乳酸系樹脂のDL構成比は、L体:D体=100:0〜90:10(0≦D体/L体≦1/9)、又はL体:D体=0:100〜10:90(0≦L体/D体≦1/9)が好ましい。これらの中でもL体:D体=99.5:0.5〜94:6(1/199≦D体/L体≦6/94)、又はL体:D体=0.5:99.5〜6:94(1/199≦L体/D体≦6/94)がより好ましい。ポリ乳酸系樹脂のDL構成比が、上記範囲内であれば、耐熱性が得られ易く、広範囲の用途に用いることができる。
ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量は、5万以上40万以下が好ましく、10万以上25万以下がより好ましい。ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量が、5万以上であれば、公的な実用物性を得ることができ、また40万以下であれば、溶融粘度が高過ぎることがなく、良好な成形加工性を得ることができる。
ポリ乳酸系樹脂としては、Nature Works社製の「Nature Works」などが商業的に入手できるものとして使用可能である。
(着色材料(E))
基材層11には、必要に応じて任意成分として着色材料(E)を配合してもよい。基材層11に含有させる着色材料(E)としては、例えば、有機顔料及び無機顔料などを挙げることができる。これらの中でも、着色材料(E)としては、基材層11を不透明にして隠蔽性が向上する観点から、屈折率が2以上である無機フィラー、例えば、酸化チタン、チタン酸鉛、サタン酸カリウム、酸化ジルコン、硫化亜鉛、酸化アンチモン及び酸化亜鉛などが好ましく、屈折率が高い観点から、酸化チタンがより好ましい。
基材層11には、酸化チタンなどの屈折率が高い顔料を含有させることにより、基材層11を不透明な白色シートにすることができ、隠蔽性が求められるカード材などへの応用展開が可能となる。酸化チタンとしては、アナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型のいずれも用いることができ、屈折率が大きい観点からルチル型が好ましい。なお、酸化チタンとしては、塩素法プロセスで製造された酸化チタン、硫酸法プロセスで製造された酸化チタンのいずれも使用可能である。また、酸化チタンとしては、表面がシリカ、アルミナ、及びジルコニアの中から選ばれた少なくとも1種類の不活性無機酸化物で被覆処理されたものが好ましい。不活性無機酸化物で被覆処理することにより、酸化チタンの光触媒作用を抑制できるので、製造時及び使用時において、酸化チタンの光触媒作用によるポリ乳酸系樹脂の分解を抑制することができる。
さらに、酸化チタンとしては、主成分となる樹脂(A)への分散性を向上させる観点から、酸化チタンの表面がシロキサン化合物及びシランカップリング剤などから選ばれた少なくとも1種類の無機化合物、並びに、ポリオール及びポリエチレングリコールから選ばれた少なくとも1種類の有機化合物からなる群から選択された少なくとも1種で表面処理された酸化チタンを用いるのがより一層好ましい。
酸化チタンの平均粒径(平均粒子径)は、積層体1,2を用いて得られるカードの機械物性を低下させることなく、優れた隠蔽性を付与することができる観点から、0.1μm以上1μm以下が好ましく、0.15μm以上0.5μm以下がより好ましい。ここでの上記の平均粒径とは、レーザー回折法により測定される平均粒径D50の値を示す。
酸化チタンの含有量は、積層体1,2の機械強度を低下させることなく、隠蔽性と優れた外観を有する積層体1,2とすることができる観点から、基材層11の全体質量100質量%に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましく、5質量%以上10質量%以下が更に好ましい。
なお、基材層11には、本実施の形態の効果を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、可塑剤、核剤、滑剤、顔料及び染料などの添加剤を配合してもよい。
基材層11における樹脂(A)の配合量としては、基材層11の全質量に対して、60質量%以上100質量%以下の割合が好ましく、70質量%以上100質量%以下がより好ましく80質量%以上100質量%以下が更に好ましい。
(被印刷層)
被印刷層12は、所定量のポリカーボネート系樹脂(B)及びポリカプロラクトン系樹脂(C)を含む。被印刷層12は、ポリカプロラクトン系樹脂(C)を配合することにより、ポリカーボネート系樹脂(B)を含む層のガラス転移温度を降下させ、延伸温度の最適化を図ることが可能となる。ここで、ガラス転移温度とは実施例で記載される方法により測定されるものである。
本実施の形態においては、樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)よりポリカーボネート系樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)が高く、その差(Tg−Tg)が150℃以下である。被印刷層12と基材層11とのガラス転移温度の差(Tg−Tg)を150℃以下とし、ポリカプロラクトン系樹脂(C)を含有させて第2層のガラス転移温度をより下げることで、積層体の延伸時の基材層11の延伸特性が被印刷層12の延伸特性に近くなるので、積層体の延伸性が良好となる。
被印刷層12(第1被印刷層12−1及び第2被印刷層12−2)と基材層11とのガラス転移温度の差の絶対値は、積層体1,2の延伸特性の観点から、小さいほど好ましい。被印刷層12と基材層11とのガラス転移温度の差の絶対値としては、延伸温度域での積層体1,2の基材層11と被印刷層12(第1被印刷層12−1及び第2被印刷層12−2)の樹脂組成物との弾性率が近くなり、積層体1,2の延伸特性が更に良好となる観点から、0℃以上30℃以下が好ましく、0℃以上20℃以下が更に好ましく、0℃以上10℃以下が特に好ましい。
(ポリカーボネート系樹脂(B))
ポリカーボネート系樹脂(B)としては、二価フェノールと、ホスゲン、及び炭酸エステル化合物などのカーボネート前駆体とを反応させることによって製造したものが挙げられる。ポリカーボネート系樹脂(B)は、例えば、塩化メチレンなどの溶媒中において、二価フェノールとホスゲンなどのカーボネート前駆体との反応により製造される。また、ポリカーボネート系樹脂(B)は、溶媒の存在下又は不存在下に、二価フェノールと炭酸エステル化合物などのカーボネート前駆体とのエステル交換反応などによって得ることができる。
二価フェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどが挙げられる。これらの中でも、二価フェノールとしては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物のビスフェノールAが好ましい。これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、及びハロホルメートなどが用いられる。カーボネート前駆体としては、例えば、ホスゲン、ジフェニルカーボネート、二価フェノールのジハロホルメート及びそれらの混合物が挙げられる。
ポリカーボネート系樹脂(B)としては、二価フェノールの1種を用いたホモポリマーを用いてもよく、二価フェノールを2種以上用いたコポリマーを用いてもよい。さらに、ポリカーボネート系樹脂(B)は、多官能性芳香族化合物を二価フェノールと併用して得られる熱可塑性ランダム分岐ポリカーボネート樹脂であってもよい。さらには、ポリカーボネート系樹脂(B)は、各種ポリカーボネート系樹脂(B)の2種以上の混合物であってもよい。
上記ポリカーボネート系樹脂(B)の代表的なものとしては、三菱エンジニアリングプラスチックス社製の商品名「ユーピロン(登録商標)」シリーズ及び住友ダウ社製の「カリバー(登録商標)」シリーズなどが商業的に入手できるものとして挙げられる。
(ポリカプロラクトン系樹脂(C))
ポリカプロラクトン系樹脂(C)としては、ポリカプロラクトンのホモポリマー又はカプロラクトンと他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とのコポリマーが挙げられる。ポリカプロラクトンのホモポリマー又はカプロラクトンと他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とのコポリマーは、ポリカーボネート系樹脂(B)と混合した場合に機械物性の低下を生じることがない観点から、重量平均分子量が3万以上30万以下であることが好ましく、4万以上20万以下であることがより好ましい。
ポリカプロラクトンのホモポリマーは、例えば、アルコールなどの活性水素を開始剤とし、ε−カプロラクトンを常法の開環重合を行うことにより得られる。開始剤の官能数は、特に制限はない。開始剤の官能数は、2官能及び3官能が好ましい。ポリカプロラクトンのホモポリマーとしては、ε−カプロラクトンの開環重合によって得られたものを用いてもよく、6−ヒドロキシカプロン酸の脱水重縮合によって得られたものを用いてもよく、ε−カプロラクトンと6−ヒドロキシカプロン酸とを重合させたものを用いてもよい。
ポリカプロラクトンのコポリマーでは、ε−カプロラクトン又は6−ヒドロキシカプロン酸と共重合される他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、グリコライド、乳酸、ラクタイド、各種ヒドロキシ酪酸、各種ヒドロキシ吉草酸、各種ヒドロキシカプロン酸及びそれらの環状無水物などが挙げられる。ε−カプロラクトン又は6−ヒドロキシカプロン酸と共重合される他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸との比率は、ε−カプロラクトン又は6−ヒドロキシカプロン酸:他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸=100:0〜30:70である。
上記ポリカプロラクトン系樹脂(C)の代表的なものとしては、Perstorp社製の「Capa」シリーズが商業的に入手できるものとして挙げられる。
なお、被印刷層12には、必要に応じて着色剤、滑材、フィラー及び衝撃改良剤などの添加剤を含有させたり、物性を改良するために異種ポリマーを混合してもよい。特に、被印刷層12の延伸性を向上させる場合には、被印刷層12は、配向性を改善させる観点から、後述するポリブチレンテレフタレートなどの結晶性ポリエステル系樹脂(D)を含むことが好ましい。
(結晶性ポリエステル系樹脂(D))
本実施の形態に係る積層体1,2においては、優れた延伸性や耐ブロッキング性を得る観点から、被印刷層12が結晶性ポリエステル系樹脂(D)を含むことが好ましい。
結晶性ポリエステル系樹脂(D)としては、結晶融解温度(Tm)が120℃以上230℃以下の温度範囲で、結晶融解熱量(ΔHm)が10J/g以上40J/g以下であるものが好ましい。ここで、結晶融解温度(Tm)及び結晶融解熱量(ΔHm)は、JIS K7121に準拠して算出するものである。結晶融解温度(Tm)及び結晶融解熱量(ΔHm)は、10mg程度に削り出したサンプルについて、例えば、熱分析装置(型番:DSC−7、パーキンエルマー社製)を用いて10℃/分の速度にて30℃から200℃まで昇温し、得られたサーモグラムより、結晶融解温度(Tm)と結晶融解熱量(ΔHm)とを読み取ることで測定するものである。結晶融解温度(Tm)は、ポリ乳酸系樹脂との加工温度に適する観点から、120℃以上230℃以下が好ましい。結晶融解熱量(ΔHm)は、被印刷層12の延伸性が向上される観点から、10J/g以上が好ましく、結晶化の進みすぎを防ぎ、高い加工温度が不要となる観点から、40J/g以下が好ましい。
結晶性ポリエステル系樹脂(D)としては、グリコールとジカルボン酸の重縮合により得られる熱可塑性の飽和共重合ポリエステルが用いられる。ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、パラフェニレンジカルボン酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族二塩基性酸、並びに、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、β−メチルアジピン酸、ピメリン酸、1,6−ヘキサンジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族二塩基性酸が挙げられる。グリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、3−メチルペンタジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコールなどのグリコールが挙げられる。結晶性ポリエステル系樹脂(D)は、これらのジカルボン酸成分、グリコール成分、ジカルボン酸成分及びグリコール成分の残基形成誘導体、並びに、カプロラクトンなどのα,ω−オキシ酸及びα,ω−オキシ酸残基形成誘導体よりなる飽和二官能性モノマーを適宜選択して常法により共重合体とすることにより、得ることが可能である。
結晶性ポリエステル系樹脂(D)としては、結晶性の調整など物性を改良するために、トリメリット酸、ピロメリット酸など三官能以上のカルボン酸成分及び/又はトリメチロールプロパンペンタエリスリトールなど三官能以上のポリオール成分などが微量共重合されたものを用いてもよい。また、結晶性ポリエステル系樹脂(D)としては、結晶性ポリエステル系樹脂(D)の融点及び結晶化温度が、上記範囲内となるように2種以上のポリエステルを混合したものを用いてもよく、重合度の異なる同一樹脂の混合物を用いてもよい。
結晶性ポリエステル系樹脂(D)としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンイソフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−ネオペンチルテレフタレート共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレート−エーテル共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂及びポリトリメチレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。これらの結晶性ポリエステル系樹脂(D)は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
結晶性ポリエステル系樹脂(D)としては、上述した結晶性ポリエステル系樹脂(D)の中でも、結晶性が高く、僅かな量で被印刷層12に結晶性を付与することが可能となる観点及びポリカーボネート系樹脂(B)との相溶性が良好である観点から、ポリブチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
上記ポリブチレンテレフタレート樹脂としては、ウィンテックポリマー社製の商品名「ジュラネックス(登録商標)」シリーズ、及び三菱エンジニアリングプラスチックス社製の商品名「ノバデュラン(登録商標)」シリーズが商業的に入手できるものとして挙げられる。
被印刷層12におけるポリカーボネート系樹脂(B)の配合量としては、被印刷層12と紫外線硬化型インクとの相互作用により、被印刷層12と紫外線硬化型インクとの接着性が良好となる観点から、ポリカーボネート系樹脂(B)とポリカプロラクトン系樹脂(C)との合計を100質量%としたとき、50質量%以上85質量%以下が好ましく、65質量%以上80質量%以下が更に好ましく、70質量%以上75質量%以下がより更に好ましい。ポリカーボネート系樹脂(B)の配合量が50質量%以上、好ましくは65質量%以上であれば、ポリカーボネート系樹脂(B)の有する機械特性、耐薬品性及び耐衝撃性を維持することができ、所望の紫外線硬化型インクとの密着性が高いポリ乳酸系フィルムを実現できる。
また、被印刷層12におけるポリカプロラクトン系樹脂(C)の配合量としては、ポリカーボネート系樹脂(B)とポリカプロラクトン系樹脂(C)との合計を100質量%としたとき、被印刷層12(第1被印刷層12−1及び第2被印刷層12−2)と紫外線硬化型インクとの接着性が良好となる観点から、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、また積層体1,2を重ね合せた際、ブロッキングを制御する観点から、50質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。このように、ポリカプロラクトン系樹脂(C)の含有割合が15質量%以上であれば、ポリカーボネート系樹脂(B)を含む被印刷層12(第1被印刷層12−1及び第2被印刷層12−2)のガラス転移温度が適度に低下するので、延伸工程においてシートが破断することなく延伸することができる。また、ポリカプロラクトン系樹脂(C)の含有割合が50質量%以下であれば、シートのブロッキングを抑制することができる。以上を考慮すると、被印刷層12におけるポリカプロラクトン系樹脂(C)の配合量としては、15質量%以上50質量%以下が好ましく、15質量%以上35質量%以下がより好ましく、20質量%以上30質量%以下が更に好ましい。
さらに、被印刷層12における結晶性ポリエステル系樹脂(D)の配合量としては、積層体1,2の延伸性及び耐ブロッキング性がより一層向上する観点から、ポリカーボネート系樹脂(B)とポリカプロラクトン系樹脂(C)とからなる樹脂組成物を100質量部としたとき、1質量部以上50質量部以下が好ましく、5質量部以上40質量部以下がより好ましく、10質量部以上35質量部以下が更に好ましい。
以上説明したように、上記実施の形態に係る積層体1,2によれば、被印刷層12(第1被印刷層12−1及び第2被印刷層12−2)が所定量のポリカーボネート系樹脂(B)を含有するので、第2層と紫外線硬化型インクとの密着性が良好となる。しかも、樹脂(A)とポリカーボネート系樹脂(B)とのガラス転移温度差(Tg−Tg)が150℃以下であり、ポリカプロラクトン系樹脂(C)を含むことで第2層のガラス転移温度がより下がることで、積層体,2の延伸時の基材層11の延伸特性が被印刷層12の延伸特性に近くなるので、積層体,2の延伸性が良好となる。これにより、延伸性、紫外線硬化型インク密着性及び耐ブロッキング性に優れた積層体1,2を実現することが可能となる。ここで、樹脂(A)の一般的な延伸温度条件で延伸ができる場合、積層体1,2は延伸性に優れる、と評価した。印刷面にセロテープ(登録商標)を貼り、セロテープ(登録商標)の上から指で5回こすって評価したとき、全くインクの剥離がない場合、インク密着性に優れる、と評価した。また、重ねあわせた積層シート同士が良好に剥離する場合、耐ブロッキング性に優れる、と評価した。
また、上記実施の形態に係る積層体1,2は、面積倍率で1.5倍以上16.0倍以下に延伸することにより延伸フィルムとして用いることもできる。さらに、上記実施の形態に係る積層体1,2及び延伸フィルムは、紫外線硬化型インクを用いた印刷により被印刷層12の表面に印刷層が形成され、シート印刷体として用いることも可能である。このシート印刷体は、積層体1,2と、積層体1,2の被印刷層12の表面に形成された紫外線硬化型インクの印刷層とを備える。
次に、上記実施の形態に係る積層体1,2の製造方法の一例について説明する。まず、樹脂(A)を60質量%以上100質量%以下の割合で含む材料と、ポリカーボネート系樹脂(B)を50質量%以上85質量%以下の割合で含むと共に、ポリカプロラクトン系樹脂(C)を15質量%以上50質量%以下の割合で含む材料と、をそれぞれ同方向二軸押出機で押出して基材層11及び被印刷層12(第1被印刷層12−1及び第2被印刷層12−2)とを得る。次に、得られた基材層11と被印刷層12(第1被印刷層12−1及び第2被印刷層12−2)とをマルチマニホールド式の口金を用いて共押出しにより積層し、得られた2層(図1参照)又は2種3層(図2参照)の積層体1又は積層体2を冷却して、未延伸の積層体1又は積層体2が得られる。ここでは、基材層11の一方の面から被複層12を共押し出しすることにより、基材層11の一方の面に被印刷層12が設けられた積層体1が得られる。また、基材層11の両面の2か所からそれぞれ第1被印刷層12−1及び第2被印刷層12−2を共押し出しすることにより、基材層11の両面にそれぞれ第1被印刷層12−1及び第2被印刷層が設けられた積層体2が得られる。
次に、未延伸の構造物を延伸することで、延伸した積層体1,2(延伸フィルム)を製造する。延伸フィルムは、未延伸の積層体1,2を面積倍率で1.5倍以上16.0倍以下に延伸することが好ましい。
次に、延伸した積層体1,2の被印刷層の表面に紫外線硬化樹脂のインクを積層させた後、紫外線を照射してインクを固化させることで、シート状印刷体を製造する。得られたシート状印刷体を所定のサイズに打ち抜くことで、カードを製造する。
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例に基づいて、より詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例においては、積層シート及び未延伸シートとは、基材及び被印刷層が積層された状態の積層体である。積層シートとは、積層体が延伸された後の状態を示すものであり、未延伸シートとは、積層体が延伸される前の状態を示すものである。
<ガラス転移温度>
示差走査熱量計(型番:DSC−2型、パーキンエルマー社製)を用いて、−40℃から240℃まで、10℃/分の昇温速度下で測定し、得られたDSC曲線より、ガラス転移温度を読み取った。
<延伸性評価>
押出機で積層体を共押出しして積層シートを得た後、ロール法とテンター法とを用いて、2軸延伸を行って延伸性を評価した。評価基準を以下に示す。
○:樹脂(A)の一般的な延伸温度条件である75℃以上90℃以下で延伸できた。
△:樹脂(A)の一般的な延伸温度条件である75℃以上90℃以下で延伸できず、90℃を超える温度で延伸することができた。
×:共押出しシートに厚みムラや破断などが生じた。
<紫外線硬化型インク密着性評価>
積層シートに、紫外線硬化型インク(商品名:「FDカルトン紫X」、東洋インク社製)をRIテスター(石川島産業機械社製)で0.3ccの展色刷を実施した。次に、紫外線照射装置(型式:JVC−5035/1MNL06−HGO、ウシオ電機社製)で紫外線を15cmの高さに配置された80W/cmの空冷水銀灯1灯から、通過速度30m/分の条件で通過する積層シートに照射した。インクの密着性は、印刷面にセロテープ(登録商標)(ニチバン社製エルパックLP−18)を貼り、セロテープ(登録商標)の上から指で5回こすって評価した。評価基準を以下に示す。
○:全くインクの剥離がない。
△:インクの剥離が少し見られる。
×:インクが完全に剥離した。
<耐ブロッキング性評価>
積層シートを50mm×50mmに2枚に切り出した後、被印刷層にあたる両面同士を重ね合わせた。さらに、上下に約50mm×50mmの鏡面板を重ね合わせ、恒温恒湿器内に置いた。この鏡面板上に約5kgの錘を乗せて放置した。試験温度及び湿度は、45℃/60%RHとした。放置2日後、重ねあわせた積層シートの剥離具合を目視で評価した。評価基準を以下に示す。
○:積層シートが良好に剥離した。
△:積層シート同士がくっついたが剥がれた。
×:積層シート同士がくっついて剥がしにくい。
<総合評価>
上記の延伸性評価、紫外線硬化型インク密着性評価及び耐ブロッキング性評価について、以下の基準により評価した。
○:延伸性評価、紫外線硬化型インク密着性評価及び耐ブロッキング性評価がいずれも良好。
△:延伸性評価、紫外線硬化型インク密着性評価及び耐ブロッキング性評価のいずれか一つが中程度。ただし、いずれも不良ではない。
×:延伸性評価、紫外線硬化型インク密着性評価及び耐ブロッキング性評価のいずれか一つが不良。
<原料>
以下に実施例及び比較例で用いた原料を以下に示す。
<樹脂(A)>
(a)−1:ポリ乳酸(商品名:NW4032D、Nature Works社製、ポリD乳酸の割合=1.5モル%、ポリL乳酸の割合=98.5モル%、重量平均分子量=20万、ガラス転移温度=55℃)
<ポリカーボネート系樹脂(B)>
(b)−1:ポリカーボネート(商品名:ユーピロンH4000、三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ガラス転移温度=148℃)
(b)−2:ポリカーボネート(商品名:ユーピロンS3000、三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ガラス転移温度=150℃)
(b)−3:ポリカーボネート(商品名:ユーピロンS2000、三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ガラス転移温度=160℃)
<ポリカプロラクトン系樹脂(C)>
(c)−1:ポリカプロラクトン(商品名:Capa(登録商標)6800、Perstorp社製)
<結晶性ポリエステル系樹脂(D)>
(d)−1:ポリブチレンテレフタレート(商品名:ジュラネックス500KP、ポリプラスチックス社製)
(d)−2:軟質ポリエステル(商品名:ダイヤナイトDN−124、三菱レイヨン社製)
<着色材料(E)>
(e)−1:アナターゼ型酸化チタン(商品名:酸化チタンA−1、堺化学社製、平均粒径0.15μm、屈折率=2.52)
<その他の樹脂(F)>
(f)−1:架橋ポリメチルメタクリレート(商品名:MR−2G、綜研化学社製)
(実施例1)
(a)−1及び(e)−1を質量比91:9の割合で混合し、40mm同方向二軸押出機にて、210℃で基材層11(第1層)を押出しすると共に、(b)−1及び(c)−1を質量比70:30の割合で混合し、さらに、(b)−1と(c)−1の混合体を100質量部としたときに、30質量部の(d)−1を混合したものを、φ25mm同方向二軸押出機で、210℃で被印刷層12(第2層)を押出した。次に、押出しした基材層11及び被印刷層12を210℃に設定した2層のマルチマニホールド式の口金より共押出しにより積層して共押出シートを得た。このとき、基材層11と被印刷層12との厚み比が9:1になるよう溶融樹脂の吐出量を調整した。次に、この共押出シートを約30℃のキャスティングロールで急冷し、未延伸シートを得た。
次に、長手方向に75℃の温度で2.5倍のロール延伸、幅方向にテンターで75℃の温度で3.0倍に延伸し、さらに、テンターの熱処理ゾーンにて140℃の温度で熱処理をして積層シートを作製した。
積層シートの厚みは、おおよそ平均で280μm(基材層11が250μm、被印刷層12が25μm)となるように押出機からの溶融樹脂の吐出量とライン速度を調整した。得られた積層シートに関して、紫外線硬化型インク密着性と耐ブロッキング性の評価を行った結果を下記表1に示す。ここで、第1層のガラス転移温度は56℃、第2層のガラス転移温度は32℃であった。
(実施例2)
ポリエステル系樹脂を(d)−1から(d)−2に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で積層シートの作製と評価を行った。結果を下記表1に示す。ここで、第1層のガラス転移温度は56℃、第2層のガラス転移温度は33℃であった。
(実施例3)
ポリカーボネート系樹脂(b)−1を75質量部、ポリカプロラクトン系樹脂(c)−1を25質量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法で積層シートの作製と評価を行った。結果を下記表1に示す。ここで、第1層のガラス転移温度は56℃、第2層のガラス転移温度は37℃であった。
(参考例)
ポリエステル系樹脂(D)を配合しなかったこと以外は実施例3と同様の方法で積層シートの作製と評価を行った。結果を表1に示す。ここで、第1層のガラス転移温度は56℃、第2層のガラス転移温度は49℃であった。
(実施例5)
ポリカーボネート系樹脂(b)−1に代えて、ポリカーボネート系樹脂(b)−2を70質量部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で積層シートの作製と評価を行った。結果を下記表1に示す。ここで、第1層のガラス転移温度は56℃、第2層のガラス転移温度は38℃であった。
(実施例6)
ポリカーボネート系樹脂(b)−1に代えて、ポリカーボネート系樹脂(b)−3を70質量部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で積層シートの作製と評価を行った。結果を下記表1に示す。ここで、第1層のガラス転移温度は56℃、第2層のガラス転移温度は33℃であった。
(実施例7)
ポリエステル系樹脂(D)を(d)−1を15質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層シートの作製と評価を行った。結果を下記表1に示す。ここで、第1層のガラス転移温度は56℃、第2層のガラス転移温度は33℃であった。
(実施例8)
(a)−1及び(e)−1を質量比91:9の割合で混合し、40mm同方向二軸押出機にて、210℃で基材層11(第1層)を押出すると共に、(b)−1及び(c)−1を質量比70:30の割合で混合し、さらに、(b)−1と(c)−1の混合体を100質量部としたときに、15質量部(d)−1を混合したものを、φ25mm同方向二軸押出機で、同様に210℃で第1被印刷層12−1(第2A層)及び第2被印刷層12−2(第2B層)をそれぞれ押出した。次に、基材層11、第1被印刷層12−1(第2A層)及び第2被印刷層12−2(第2B層)を、210℃に設定した2種3層のマルチマニホールド式の口金より共押出しにより積層して共押出シートを得た。このとき、基材層11と第1被印刷層12−1と第2被印刷層12−2との厚み比が1:8:1になるよう溶融樹脂の吐出量を調整しこと以外は、実施例1と同様の方法で積層シートの作製と評価を行った。結果を下記表1に示す。ここで、第1層のガラス転移温度は56℃、第2層のガラス転移温度は33℃であった。
(比較例1)
被印刷層12として、ポリ乳酸系樹脂(a)−1を65質量部及び樹脂(f)−1を35質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層シートの作製と評価を行った。結果を下記表2に示す。ここで、第1層のガラス転移温度は56℃、第2層のガラス転移温度は66℃であった。
(比較例2)
被印刷層12として、ポリカーボネート系樹脂(b)−1を35質量部配合したこと以外は、比較例1と同様にして積層シートの作製と評価を行った。結果を下記表2に示す。ここで、第1層のガラス転移温度は56℃、第2層のガラス転移温度は60℃であった。
(比較例3)
被印刷層12として、ポリカーボネート系樹脂(b)−1を90質量部及びポリカプロラクトン系樹脂(c)−1を10質量部配合したこと以外は、比較例1と同様にして積層シートの作製と評価を行った。結果を下記表2に示す。ここで、第1層のガラス転移温度は56℃、第2層のガラス転移温度は104℃であった。
(比較例4)
被印刷層12として、ポリカーボネート系樹脂(b)−1を40質量部及びポリカプロラクトン系樹脂(c)−1を60質量部配合したこと以外は、比較例1と同様にして積層シートの作製と評価を行った。結果を下記表2に示す。ここで、第1層のガラス転移温度は56℃、第2層のガラス転移温度は−4℃であった。
Figure 0006806074
Figure 0006806074
表1及び表2から分かるように、実施例1〜3、5〜8においては、いずれも被印刷層がポリカーボネート系樹脂(B)及びポリカプロラクトン系樹脂(C)を含有し、基体層の樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)よりポリカーボネート系樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)が高く差(Tg−Tg)が150℃以下である。いずれの実施例1〜8も、被印刷層が所定量のポリカーボネート系樹脂(B)及びポリカプロラクトン系樹脂(C)を含有するので、被印刷層のガラス転移温度を適度に下げることができ、基体層と被印刷層とのガラス転移温度の差の絶対値が所定の範囲になる。これにより、基体層と被印刷層との延伸温度域での延伸性が近くなるので、積層体の延伸性評価が○又は△となることが分かる。この結果から、所定量のポリカーボネート系樹脂(B)及びポリカプロラクトン系樹脂(C)を含有することにより、紫外線硬化型インクとの接着性が向上することが分かる。また、実施例3と参考例とを対比すると、ポリエステル系樹脂(D)を含むことにより、延伸性が向上すると共に、インク密着性評価、耐ブロッキング性評価及び総合評価のいずれも良好となることが分かる。さらに、実施例8では、積層体が、基材層(第1層)に対して、被印刷層(第2層)である第1被印刷層(第2A層)及び第2被印刷層(第2B層)が両面に位置する対称構造を有するので、積層体の両面のいずれもインク密着性評価が良好であり、シート状にしたときの積層体の反りやカールなどが低減され、積層体の製造時に製膜性が良好であった。
これに対して、比較例1においては、被印刷層(第2層)に樹脂(A)としてポリ乳酸系樹脂(a)−1を用いているので、紫外線硬化型インクの密着性評価が悪化した。また、比較例2においては、被印刷層(第2層)のポリカーボネート系樹脂(B)の含有量が少ないので、インクの密着性評価が悪化した。さらに、比較例3、比較例4においては、被印刷層(第2層)にポリカーボネート系樹脂(B)及びポリカプロラクトン系樹脂(C)を含有している。しかしながら、比較例3は、ポリカプロラクトン系樹脂(C)の含有量が少ないので、被印刷層のガラス転移温度があまり下がらず、比較例4は、ポリカプロラクトン系樹脂(C)の含有量が多いので、被印刷層のガラス転移温度が下がりすぎ、基体層と被印刷層との延伸温度域での延伸性の解離が大きくなり、延伸性評価が悪化した。
1,2 積層体
11 基材層
12 被印刷層
12−1 第1被印刷層
12−2 第2被印刷層

Claims (9)

  1. 樹脂(A)を含む第1層と、
    前記第1層の一方の面及び他方の面の少なくとも一方に設けられ、ポリカーボネート系樹脂(B)を50質量%以上85質量%以下の割合で含むと共に、ポリカプロラクトン系樹脂(C)を15質量%以上50質量%以下の割合で含み、結晶融解温度が120℃以上230℃以下の範囲であり、結晶融解熱量が10J/g以上40J/g以下である結晶性ポリエステル系樹脂(D)を更に含む第2層とを備え、
    前記樹脂(A)のガラス転移温度より前記ポリカーボネート系樹脂(B)のガラス転移温度が高く、かつ、前記樹脂(A)のガラス転移温度と前記ポリカーボネート系樹脂(B)のガラス転移温度との差が150℃以下であることを特徴とする、積層体。
  2. 前記第1層と前記第2層とのガラス転移温度の差の絶対値が30℃以下である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記樹脂(A)として、ポリ乳酸系樹脂を60質量%以上100質量%以下の割合で含有する、請求項1又は請求項2に記載の積層体。
  4. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の積層体と、前記積層体の表面に設けられ、紫外線硬化型インクが硬化されてなる印刷層とを備えたことを特徴とする、シート印刷体。
  5. 樹脂(A)を60質量%以上100質量%以下の割合で含む第1層と、前記第1層の一方の面及び他方の面の少なくとも一方に、ポリカーボネート系樹脂(B)を50質量%以上85質量%以下の割合で含むと共に、ポリカプロラクトン系樹脂(C)を15質量%以上50質量%以下の割合で含み、結晶融解温度が120℃以上230℃以下の範囲であり、結晶融解熱量が10J/g以上40J/g以下である結晶性ポリエステル系樹脂(D)を更に含む第2層とを共押出しにより積層する積層工程を含み、前記樹脂(A)のガラス転移温度より前記ポリカーボネート系樹脂(B)のガラス転移温度が高く、かつ、樹脂(A)のガラス転移温度とポリカーボネート系樹脂(B)のガラス転移温度の差が150℃以下であることを特徴とする積層体の製造方法。
  6. 前記第1層と前記第2層とのガラス転移温度の差の絶対値が30℃以下である、請求項に記載の積層体の製造方法。
  7. 前記積層工程の後に、面積倍率で1.5倍以上16.0倍以下に延伸する延伸工程をさらに有する、請求項又は請求項に記載の積層体の製造方法。
  8. 請求項又は請求項に記載の積層体の製造方法で積層体を製造する工程と、
    前記積層体の表面に紫外線硬化型インクを塗布し、紫外線により前記紫外線硬化型インクを硬化して印刷層を形成する工程と、を備えることを特徴とする、シート印刷体の製造方法。
  9. 請求項に記載のシート印刷体を用いたことを特徴とする、カード。
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