JP6804235B2 - 固形筆記体及びそれを用いた固形筆記体セット - Google Patents
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Description
これは、可逆熱変色性組成物を用いた固形筆記体の製造に必要な特定の工程が影響するためである。
すなわち、固形筆記体は、組成物を高温で押出し、成形することによって製造されるのが一般的であり、このため組成物は高温条件下におかれるが、可逆熱変色性組成物は、この高温下で発色又は消色する。
したがって、固形筆記体を製品として完成させるためには、一般的な冷却工程よりも低い、マイクロカプセル顔料の結晶化が促進される温度条件下で消色又は発色させる必要がある。
しかしながら、今般、本発明者は、この固形筆記体は上記した優れた効果を発揮することができるものの、製造過程における成形性および筆記体先端を切削する場合の切削性には改良の余地があることを知見した。
また、本発明は、十分な強度を有し、書き味や寸法安定性が良好であり、かつ強度、耐衝撃性に優れた固形筆記体を提供することもその目的とする。
(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とからなる感温変色性色彩記憶組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と第一の賦形材とを含んでなる内芯と、
第二の賦形材と、有機フィラーとを含んでなり、前記内芯の外周面を被覆する外殻と、
を具備してなることを特徴とするものである。
また、製造過程や使用時に固形筆記体の先端を刃物で削る際に、外殻と刃物との干渉を抑制することができるため、内芯が折れてしまうことを防止することができる。
さらに、固形筆記体を用いて被筆記面に筆記する際、被筆記面と外殻との干渉を抑制することができ、これにより、筆記感を向上させることができる。
本発明による固形筆記体は、
(i)(イ)、(ロ)、および(ハ)成分からなる感温変色性色彩記憶組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と第一の賦形材を含む筆記可能な内芯と、
(ii)第二の賦形材と、有機フィラーとを含んでなり、前記内芯の外周面を被覆する外殻と、
を具備したことをひとつの特徴的とするものである。
本発明による固形筆記体の内芯およびそれによる筆跡は、第1の発色状態と第2の発色状態を互変的に呈することができる。
本発明において、「第1の発色状態と第2の発色状態を互変的に呈する」とは、有色(1)と有色(2)の二つの発色した状態、発色状態と消色状態、または消色状態と発色状態を互変的に呈することを意味する。
即ち、第1の発色状態から温度が上昇して第2の発色状態へ変化する場合、有色(1)から有色(2)への変化、発色状態から消色状態への変化、即ち、加熱消色型の変化を含んでいる。
本発明による固形筆記体は、第1の発色状態と第2の発色状態が、有色(1)と有色(2)の変化をする場合、染料や顔料などの非熱変色性の着色剤を配合することで達成できる。
本発明による固形筆記体は、内芯の外周面に外殻を具備している。この外殻は、第二の賦形材と、有機フィラーを含んでいる。
ここで、これらのアクリル樹脂に含まれるアルキル基に含まれる炭素数が多い方が結晶性が低いためにフィラーの強度が低くなり、硬度が低下し、外殻のヤング率が低くなる傾向にあり好ましい。具体的にはアルキル基に含まれる炭素数が2以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。このとき、アルキル基の一部が水酸基またはアルコキシ基により置換されていてもよい。
このようなアクリル樹脂としては、ブチル基、2−エチルヘキシル基、イソレシル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基、ベヘニル基、n−ブトキシエチル基、メトキシポリエチレングリコール基などの基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの重合体が挙げられる。また、アクリル樹脂以外の有機材料としては、ポリスチレン、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジプロピルポリシロキサン、ポリアミドなどが挙げられる。これらの樹脂は、架橋樹脂とすることもできる。このような架橋樹脂は耐熱性や耐溶剤性が向上するなどの効果が得られるため好ましい。いずれの有機材料も、ポリマー側鎖に長い炭化水素鎖を有するものは、外殻のヤング率が低くなる傾向にあり、好ましい。
ここで10%圧縮強度とは、樹脂粒子に荷重を加えたとき、粒子径の10%の変位が生じた時点での圧力である。
樹脂粒子の10%圧縮強度を上記数値範囲とすることにより、外殻の機械的強度を適切に調整しつつ、温度変化によって固形筆記体が膨張または収縮したときの、内芯の体積変化と外殻の体積変化の差が小さくなって、亀裂などが生じにくくなり、固形筆記体の強度をより向上させることができる。さらには、固形筆記体製造工程や実際の使用環境下における熱膨張を抑制することができる。
本発明において、10%圧縮強度は従来知られている一般的な方法により測定することができる。この測定方法は、例えば以下のようなものである。測定には、微小圧縮試験機が用いられ、このような試験機としては例えば島津製作所社製微小圧縮試験機(商品名:MCTシリーズ)が知られている。この試験機を用いた、より具体的な測定方法を図4を参照しながら説明すると以下の通りである。まず、試料台上5に、樹脂粒子4を配置する。ここで、試料台の表面上に配置された樹脂粒子の、試料台表面に鉛直方向の樹脂粒子の最大寸法dを樹脂粒子に厚さと定義する。樹脂粒子が真球形である場合、樹脂粒子の直径dと厚さとが一致する。そして、配置された樹脂粒子4に対して、試料台の鉛直方向から圧盤6を降下させて加圧したとき、樹脂粒子は変形していく。変形により樹脂粒子の厚さが10%変化する圧力を10%圧縮強度(MPa)とする。
(測定条件)
温度:20℃(常温)
相対湿度:65%
最大試験荷重:9.8mN
負荷速度:0.142mN/分
なお、樹脂粒子の形状や厚さには分布があるため、統計的に十分な個数の樹脂粒子について上記条件で測定を行って、その平均値を10%圧縮強度とすることが好ましい。
なお、本発明においては後述するように外殻の強度が相対的に内芯より低いことが好ましい。すなわち、外殻の強度が相対的に低いことにより、外殻が筆跡表面を擦過する際に筆跡を削り取ることが防止される他に、熱変色性固形筆記体においては、擦過による摩擦熱が低減されるので筆跡濃度の低下が防止されるのである。ただし、単に外殻の強度を低くすると固形筆記体の成形性や切削性が劣化するという問題が起こってしまうので、従来の固形筆記体に対して、単純に外殻の強度を低くするだけでは、実用性の高い固形筆記体は実現できない。このような問題を、本発明では外殻に対して、前記したような特徴を有する有機フィラーを用いることで改善している。すなわち、外殻に有機フィラーを含ませることで、熱変色性固形筆記体に特有の、外殻が筆跡を擦過する際に起きる摩擦熱による筆跡濃度低下を防止しながら、成形性や切削性を向上することができるのである。
ここで球状とは、完全な球状だけを意味するものではなく、真球状、略球状、扁平した形状、ラグビーボール状、繭状などを含むものであり、平面に対して点接触が可能な形状を意味している。
固形筆記体を押出成形により製造する場合に、有機フィラーが球状樹脂粒子であると、温度変化による欠陥の発生が少なく、また筆記時の擦過による筆跡の濃度低下も起こりにくいという本発明による効果を維持しながら、固形筆記体の成形性および切削性が改良される傾向にある。このため、有機フィラーは球状樹脂粒子であることが好ましい。
そして、有機フィラーが球状樹脂粒子である場合には、その平均粒子径が0.1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましい。有機フィラーの平均粒子径を上記数値範囲内のものとすることにより、固形筆記体の成形性の向上や、先端を刃物で削る際の内芯の折れを防止することができる。
ここで、有機フィラーの平均粒子径は、マイクロカプセルと同様の方法で測定することができる。なお、有機フィラーが球状樹脂粒子でない場合、製造時の成形性や切削性改良への寄与は小さくなるが、筆記特性などの改良効果は維持される。
不飽和結合を有するモノマーとしては、具体的には、(i)エチレン、プロピレン、ブチレン、1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、シクロヘキセンなどのオレフィン化合物、(ii)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、および酪酸ビニルなどの、ビニルアルコールとカルボン酸とのエステル、(iii)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルおよびメタクリル酸ブチルなどの、アクリル酸またはメタクリル酸とアルコールとのエステル、(iv)アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和結合を有するカルボン酸、などが挙げられる。このような不飽和結合を有するモノマーは、2種類以上組み合わせて用いることができる。
本発明において外殻に用いられる樹脂は、特に、(i)オレフィン化合物と、(ii)ビニルアルコールとカルボン酸とのエステル、または(iii)アクリル酸またはメタクリル酸とアルコールとのエステルとを重合させた共重合体が好ましい。このような樹脂を用いると温度変化にともなう内芯の膨張・収縮に伴う体積変化の際にも外殻が好適に追従するため内芯と外殻の親和性に優れた固形筆記体を得ることが出来る。さらに成形性にも優れ、強度の高い固形筆記体を得ることが出来る。すなわち内芯と外殻との親和性と成形性とを両立させることが可能となる。これらの中でも、最も好ましいのは、エチレン酢酸ビニル共重合体とその誘導体またはエチレンメチルアクリレート共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンブチルアクリレート共重合体などのエチレン・アクリレート共重合体である。
ここで、物質の硬度は種々の基準で表すことができるが、本発明においては、デュロメーター硬度により樹脂の硬度を表す。
また、デュロメーター硬度とは、押針を試料の加圧面に押し付け、そのときの試料の変形量により決まる硬度である。具体的には、JIS−K7215に準じて測定することができる。
本発明において樹脂のデュロメーター硬度(デュロメーターA硬度)は、30以上100以下であることが好ましく、60以上95以下であることがより好ましい。従来、固形筆記体に一般的に用いられていた樹脂であるポリビニルアルコールや、スチレンアクリレート樹脂は、相対的に硬度が高く、これらの樹脂を用いた場合には外殻のヤング率が非常に高くなり、本発明の効果を達成することが困難である。
ここで数平均分子量は、浸透圧法によって測定することができる。なお、分子量の異なった種々の樹脂の数平均分子量を測定する場合には、メルトフローレートと浸透圧法により測定した数平均分子量との検量線を作製しておき、メルトフローレートから数平均分子量を求めることもできる。
添加剤としては、着色剤、防かび剤、防腐剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、香料などが挙げられる。これらの添加剤は、任意のものを用いることができる。また、単一の添加剤が複数の機能を有していてもよい。例えば、ステアリン酸のように滑り剤として機能すると同時に、賦形材としても機能するものもある。このように滑剤の機能を有する添加剤を添加した場合には、成形性を向上することができるなど、さらなる効果が得られる。また、紫外線吸収剤は単に紫外線を吸収するにとどまらず、外殻に含まれる各種材料が紫外線によって退色などすることを防ぐので、光安定性や保存性を改良する機能を併せ持つことがある。
本発明による固形筆記体において、外殻の曲げ強度は、内芯の曲げ強度以下であることが好ましい。より具体的には、内芯の曲げ強度をT(MPa)としたとき、外殻の曲げ強度は、0.1T(MPa)以上1T(MPa)未満であることが好ましく、0.5(MPa)以上0.9T(MPa)以下であることがより好ましい。
本発明による固形筆記体は、ヤング率が3.5GPa以下であることが好ましく、3.0GPa以下であることがより好ましく、2.5GPa以下であることがさらに好ましい。
そして、固形筆記体がこのようなヤング率を有するためには、外殻のヤング率は3.5GPa以下であることが好ましく、3.0GPa以下であることがより好ましく、2.5GPa以下であることがさらに好ましい。従来の固形筆記体のヤング率は5GPa以上であることが一般的であり、10GPa以上の製品も市販されている。それに対して、本発明による固形筆記体は相対的に低いヤング率を有しているが、そのような低いヤング率は、外殻に柔軟性の高い有機フィラーを用いることにより達成することができるものと推定される。
ここで、ヤング率は、JIS−S6005に準じて、円柱形状の試料について曲げ強度を測定した場合に、試料破損が起こった変位(最大変位)、破損時の荷重、支点間距離および試料直径から、下記式により測定することができる。
E=4PL3/3πd4σmax
ここで、
E: ヤング率(Pa)、
P: 荷重(N)、
L: 支点間距離(m)、
d: 試料直径(m)、
σmax: 最大変位(m)
である。
なお、外殻のヤング率は、外殻を形成させるための組成物のみから形成させた試料のヤング率を測定することで代用することができる。
(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とからなる感温変色性色彩記憶組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と第一の賦形材とを含んでなる内芯と、
第二の賦形材と、前記第二の賦形材と非相溶である樹脂粒子とを含んでなり、前記内芯の外周面を被覆する外殻と
を具備してなる固形筆記体である。
(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とからなる感温変色性色彩記憶組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と第一の賦形材とを含んでなる内芯と、
第二の賦形材と、前記第二の賦形材と有機フィラーとを含んでなり、前記内芯の外周面を被覆する外殻と
を具備してなり、前記固形筆記体全体のヤング率が3.5GPa以下であることを特徴とする固形筆記体である。
本発明による固形筆記体の製造方法としては、押出成形や、圧縮成形を用いて製造することができる。具体的に一例を挙げると、内芯の塊状物の外周面に外殻を配設しプレスにて圧縮成形をするなどして、内芯の外周面を被覆する外殻を設けた固形筆記体を得ることができる。なお、本発明による固形筆記体は、内芯と外殻との二層構造を有するものが典型的であるが、それ以上の多層構造とすることもできる。例えば、内芯と外殻との間に、硬度や熱膨張係数などが適当な中間層を設けることにより、内芯と外殻との親和性をさらに高めることができる。このような中間層は、内芯と同様の感温変色性色彩記憶組成物を含む成分からなるものであってもよく、また筆跡として視認できないものであってもよい。また、そのような中間層を2以上具備してもよい。さらには外殻に別の被覆成分からなる被覆層を形成してもよい。
なお、本発明による固形筆記体の製造方法においては、内芯を構成する組成物と、外殻を構成する組成物と、必要に応じてその他の層を構成する組成物とを組み合わせ、一般的には高温条件下で成形を行って固形筆記体を製造する。このため、固形筆記体に含まれる感温変色性色彩記憶組成物は、常温における発色状態または消色状態とは異なる着色状態となっている。このため、高温における成形後に、常温における着色状態にするために、冷却に付されるのが一般的である。従来の固形筆記体においては、このような冷却によって欠陥が発生する可能性があったが、本発明による固形筆記体においては、温度変化による欠陥の発生が抑制されており、製造工程における歩留まりが改善されている。
なお、本発明による固形筆記体は、鉛筆以外の用途、例えばメカニカルペンシルの芯、クレヨンなど、にも利用可能であり、太さや長さは用途に応じて適切に調整できる。
内芯の材料として、外殻のヤング率を調整するのに適した樹脂、例えばエチレン酢酸ビニル共重合体とその誘導体またはエチレン・アクリレート共重合体などを高い比率で用いると、芯が摩耗しにくくなり、筆記濃度が下がるなどの傾向があるため、注意が必要である。
本発明による固形筆記体は、各種被筆記面に対して、筆記することが可能である。さらに、その筆跡は、指による擦過や加熱具又は冷熱具の適用により変色させることができる。
前記摩擦部材の材質としては、シリコーン樹脂やSEBS樹脂(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体)、ポリエステル系樹脂などを用いることができる。前記摩擦部材は固形筆記体と別体の任意形状の部材である摩擦体とを組み合わせて固形筆記体セットを得ることもできるが、固形筆記体または、固形筆記体を外装収容物に収容した固形筆記具の外装に摩擦部材を設けることにより、携帯性に優れた筆記具セットとすることができる。具体的には、外装が木や紙などの鉛筆や、クレヨンなどの形状を有する筆記具に、摩擦部材を設けた形態の筆記具セットなどが挙げられる。
(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン5部、(ロ)成分として2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部、4,4’−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール3.0部、(ハ)成分としてカプリン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル 50.0質量部からなる可逆熱変色性組成物を加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30.0質量部、助溶剤40.0質量部を混合した溶液を、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5質量部を加え、更に攪拌を続けて可逆熱変色性マイクロカプセル懸濁液を得た。前記懸濁液を遠心分離して可逆熱変色性マイクロカプセルを単離した。なお、前記マイクロカプセルの平均粒子径は2.3μmであり、T1:−20℃、T2:−10℃、T3:48℃、T4:58℃、△H:68℃、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.6:1.0であった。このマクロカプセルは温度変化により、黒色から無色、無色から黒色へ可逆的に色変化するヒステリシス特性を示した。
(内芯の混練物の製造)
マイクロカプセル顔料A(着色剤) 40質量部
タルク(無機フィラー) 38質量部
ショ糖脂肪酸エステル(第一の賦形材) 10質量部
(三菱化学フーズ(株)製 リョートーシュガーエステルP−170)
ポリオレフィンワックス(第一の賦形材) 10質量部
(三洋化成工業(株)製 サンワックス131−P 軟化点110℃ 針入度3.5)
ポリビニルアルコール(樹脂) 2質量部
上記配合物をニーダーにて混練し、内芯の混練物を得た。
タルク(無機フィラー) 46質量部
有機樹脂粒子 30質量部
(ポリメタクリル酸メチル、 10%圧縮強度24.5MPa、平均粒子径6μm)
ショ糖脂肪酸エステル(第二の賦形材) 10質量部
(三菱化学フーズ(株)製リョートーシュガーエステルP−170(商品名))
ポリオレフィンワックス(第二の賦形材) 10質量部
(三洋化成工業(株)製サンワックス131−P(商品名)、軟化点110℃ 針入度3.5)
エチレン・アクリレート共重合体(樹脂) 4質量部
(日本ユニカー(株)製NUC−6170(商品名))
上記配合物をニーダーにて混練し、外殻の混練物を得た。
得られた内芯の混練物の外周面に、外殻の混練物を巻き付け、プレスにて圧縮成形を行い、外径φ3mm、長さ60mm(内芯がφ2mmであり、外殻の被覆厚が0.5mm)に成形し内芯の外周面を被覆した外殻を設けた固形筆記体を得た。
表1および2に示した配合で、実施例1と同じ方法で、固形筆記体を得た。
固形筆記体を用いて中性紙に筆記し、内芯の筆跡上を外殻が擦過した際の筆跡濃度を目視により評価した。
A:内芯の筆跡を外殻が擦過しても摩擦熱はほとんど生じず、濃度低下はほとんどない
B:内芯の筆跡を外殻が擦過して若干の摩擦熱が生じるため、濃度低下が確認される、十分な濃度を維持している。
C:内芯の筆跡を外殻が擦過して摩擦熱が生じるため、濃度低下が確認されるが、実用可能なレベルの濃度を維持している。
D:内芯の筆跡を外殻が擦過して摩擦熱が生じ、筆跡の消色により濃度低下が確認される。
A:亀裂や潜在的なクラックが確認されず、親和性が非常に良好である。
B:潜在的なクラックが若干確認されたが、親和性は良好である。
C:潜在的なクラックが若干確認されたが、親和性は実用可能レベルである。
D:亀裂が確認され、親和性は不十分である。
固形筆記体を鉛筆を作製し、鉛筆削りによって切削した際の切削性を目視により評価した。
A:芯折れの発生がなく、切削面も平滑であり切削性は非常に良好である。
B:芯折れの発生はほとんどなく、切削面も平滑であり、切削性は良好である。
C:芯折れが生じることがあるが、再度の切削により実用可能レベルの切削性である。
D:芯折れが頻繁に生じ、実用上問題となるレベルである。
固形筆記体を80℃に加熱した際の外観変化を目視により評価した。
A:加熱により外観変化は生じず、非常に良好な耐熱性を示した。
B:加熱により外観変化はほとんど生じず、良好な耐熱性を示した。
C:加熱により、膨張や寸法変化が見られるものの、実用可能レベルの耐熱性を示した。
D:加熱により、著しい膨張や寸法変化が見られ、実用上問題となるレベルであった。
A:成形性、寸法精度共に優れる。
B:成形性に優れる。
C:寸法精度はやや落ちるが、成形可能。
D:成形不可能。
E=4PL3/3πd4σmax
ここで、
E: ヤング率(Pa)、
P: 荷重(N)、
L: 支点間距離(m)、
d: 試料直径(m)、
σmax: 最大変位(m)
である。なお、測定にはEZ−Test EZ−SX(商品名、株式会社島津製作所製)を用いて、支点間距離40mm、荷重速度10mm/分で測定した。
(8)総合評価:上記(1)〜(7)から総合評価をした。
得られた各実施例の固形筆記体を用いて、丸形木軸内に収納成形することで鉛筆を得た。中性紙上に筆記すると、いずれも筆跡を形成することができた。また、前記筆跡は、SEBS樹脂からなる摩擦体を用いて摩擦することにより消去(消色)された。
(固形筆記具の作製)
各実施例で得た固形筆記体を繰出し式のプラスチック製円筒状容器にセットして固形筆記具を得た。尚、容器の後端部にSEBS樹脂からなる摩擦体を設けてなる。 前記固形筆記具は、紙面上に筆記すると、鮮明な筆跡を形成することができ、重ね塗りによる濃淡形成も可能であった。また、容器の後端部に設けた摩擦体を用いて筆跡を摩擦することにより残色を生じることなく消去できた。前記固形筆記具は摩擦体を備えているため携帯性に優れた固形筆記体であった。
(固形筆記具セットの作製)
各実施例で得た固形筆記体を用いた前述の鉛筆と、SEBS樹脂からなる摩擦体を組み合わせて固形筆記具セットを得た。 前記固形筆記具セットは、固形筆記体を用いて紙面上に筆記すると、鮮明な筆跡を形成することができ、重ね塗りによる濃淡形成も可能であった。また、付属の摩擦体を用いて筆跡を摩擦することにより残色を生じることなく消去できた。前記固形筆記具セットは筆記具と摩擦体がセットになっているため、筆記と消去が簡単にできるより利便性の高いものであった。
2 本発明による固形筆記体の内芯
3 本発明による固形筆記体の外殻
4 樹脂粒子
5 試料台
6 圧盤
T1 本発明による加熱消色型の固形筆記体の筆跡の完全発色温度
T2 本発明による加熱消色型の固形筆記体の筆跡の発色開始温度
T3 本発明による加熱消色型の固形筆記体の筆跡の消色開始温度
T4 本発明による加熱消色型の固形筆記体の筆跡の完全消色温度
ΔH ヒステリシスの程度を示す温度幅
Claims (13)
- (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とからなる感温変色性色彩記憶組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と第一の賦形材とを含んでなる内芯と、
第二の賦形材と、有機フィラーとを含んでなり、前記内芯の外周面を被覆する外殻と
を具備してなり、
前記有機フィラーが、前記第二の賦形剤と非相溶の樹脂粒子であることを特徴とする固形筆記体。 - 前記固形筆記体全体のヤング率が3.5GPa以下である、請求項1に記載の固形筆記体。
- 前記外殻のヤング率が3.5GPa以下である、請求項1または2に記載の固形筆記体。
- 前記有機フィラーが、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、およびシリコーン樹脂からなる群から選択されるものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固形筆記体。
- 前記樹脂粒子が、球状樹脂粒子である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の固形筆記体。
- 前記球状樹脂粒子の10%圧縮強度が1〜30MPaである、請求項5に記載の固形筆記体。
- 前記球状樹脂粒子の平均粒子径が0.1〜100μmである、請求項5または6に記載の固形筆記体。
- 前記有機フィラーの配合率が、外殻の全質量に対して1〜50質量%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の固形筆記体。
- 前記第二の賦形材が、カルナバワックス、木ろう、蜜ろう、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、キャンデリラワックス、ショ糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、ポリオレフィンワックス、スチレン変性ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、側鎖結晶性ポリオレフィン、12ヒドロキシステアリン酸、ジベンジリデンソルビトール類、トリベンジリデンソルビトール類、アミノ酸系油、および高級脂肪酸のアルカリ金属塩からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の固形筆記体。
- 前記外殻が、無機フィラーをさらに含んでなる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の固形筆記体。
- 前記無機フィラーが、炭酸カルシウム、粘土、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイト、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、マイカ、チタン酸カリウムウィスカー、マグネシウムオキシサルフェートウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、ワラストナイト、アタパルジャイト、セピオライト、シリカ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化ホウ素、アルミナ、ジルコニア、天然黒鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛、膨張黒鉛、膨張化黒鉛、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、およびランプブラックからなる群から選択される、請求項10に記載の固形筆記体。
- 前記無機フィラーの配合率が、外殻の全質量に対して10〜75質量%である、請求項10または11に記載の固形筆記体。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載の固形筆記体と、摩擦体とからなることを特徴とする固形筆記体セット。
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