JP6801966B2 - 装飾パネル及びその製造方法 - Google Patents
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Description
金属体等の表面に所定のデザインパターンを装飾する技術として、例えば、特許文献1、特許文献2に記載の技術がある。
特許文献1には、表面化粧材の所望の位置に象嵌部材を臨ませる窓孔を形成し、その窓孔に象嵌部材を装填し、これらの背面に射出成形により樹脂層を形成して裏打処理を施したものが開示されている。
この場合、開口部の部分に段差等がなく、露出部の外周縁部における表面と開口部の内周縁部における外層の表面とが同一面に形成されているので、意匠性にも優れている。
この場合、積層板に凸部を形成する方法としては、外層と加飾層とをプレス成形により変形することにより前記凸部を形成する方法、内表面にキャビティ凹部を形成した射出成形金型内に、前記キャビティ凹部に前記外層が対向した状態で前記積層板を配置し、前記射出成形金型内に注入される樹脂の圧力で前記積層板を前記キャビティ凹部内に押し付け変形させることにより前記凸部を形成する方法、などがある。
[装飾パネルの第1実施形態]
第1実施形態における装飾パネル10は、図1に示すように、外面側から、外層11、加飾層12、接着材層13、樹脂層14を順次積層した構造とされている。例えば、外層11は厚さ50μmの銅からなる層であり、加飾層12は厚さ450μmからなるアルミニウムからなる層である。接着材層13としては、カバ等の木材、あるいはドープセメントなどが用いられる。接着材層13として木材を用いる場合は、木材の表面の凹凸あるいは微小孔に樹脂層14の樹脂の一部が埋め込まれることによりアンカー効果を有する。ドープセメントは、熱可塑性樹脂を溶剤に溶かした接着剤である。なお、樹脂層14を除く外層11、加飾層12、接着材層13からなる積層板をパネル用積層板(本発明の積層板)10´と称す。
言い換えれば、外層11の表面における開口部15の内周縁は、外層11と加飾層12との接合界面17の切断端17aによって形成されており、その周囲に、外層11の厚さにほぼ等しい幅で外層11の切断端面11aが露出している。
前述の装飾パネル10を製造する場合、二通りの方法がある。まず、その第1実施形態について説明する。
この実施形態の製造方法は、図4のフローチャートに示すように、積層板形成工程、凸部形成工程、突出端部除去工程、樹脂一体化工程の順で装飾パネル10を製造する。
図5は、その製造方法による断面の変化を順に示したものである。以下、工程順に説明する。
まず、図5(a)に示すように、外層11、加飾層12、接着材層13を積層してパネル用積層板10´を製造する。この段階では、いずれも平板状であり、接着剤等によって積層状態に接合される。前述した外層11が銅で、加飾層12がアルミニウムからなる場合、拡散接合によっても接合することができる。
なお、外層11、加飾層12、接着材層13は、実施形態の組合せだけでなく、木材、金属、樹脂のいずれの組合せも可能であり、これらの接合手段としても、接着、融着、ろう付、メッキ、スパッタ、蒸着等を用いることができる。
次いで、図5(a)の二点鎖線で示すように、プレス成形により、外層11の表面に成形用凹部51が形成された凹型52を当接するとともに、その成形用凹部51と対向するように成形用凸部55が形成された凸型56を接着材層13に当接し、接着材層13側から外層11側へ板圧方向(積層方向)に押圧して、図5(b)に示すように接着材層13側に凹部21、反対の外層11側に凸部22を成形する。このとき、前述した特許文献2のように刻印して板厚方向に沿う境界面で各層をずらすのではなく、パネル用積層板10´が凹凸変形するように成形する。これにより、外層11と加飾層12との接合界面17が凹凸変形させられた状態となる。このため、凸部22の外周の側面も外層11の表面によって形成される。また、凸部22の突出高さHは好ましくは外層11の厚さt1以上となるように成形する。
次いで、外層11の表面に形成された凸部22の突出端部22aをフライス加工等によって図5(c)に矢印で示すように、その周囲の外層11の外表面と同一面となるように除去する。
図3に拡大して示したように、この凸部22を除去すると、外層11に開口部15が形成され、その開口部15内に下の層の加飾層12が露出される。また、先の凸部形成工程において、凸部22の外周の側面も外層11の表面によって形成するように凸部22を形成しておいたので、凸部22の周囲の外層11の表面に沿って矢印で示す位置から凸部22を除去すると、外層11が厚さ方向に切断されるとともに、外層11と加飾層12との接合界面17も切断される。したがって、外層11の表面には、外層11の切断端面11aと接合界面17の切断端17aとが露出する。
言い換えれば、パネル用積層板10´の表面における開口部15の内周縁は、外層11と加飾層12との接合界面17の切断端17aによって形成されており、その周囲に、図2に示すように、外層11の厚さt1にほぼ等しい幅で外層11の切断端面11aが露出している。必要に応じてパネル用積層板10´の外表面を研磨や塗装してもよい。
次いで、図5(c)に示すように、パネル用積層板10´を射出成形金型内に外層11が射出成形金型60の内面に当接するように配置し、射出成形金型60内に樹脂を射出して、パネル用積層板10´の接着材層13に樹脂層14を形成すると、図1に示すように、樹脂層14が一体化した装飾パネル10が形成される。この場合、樹脂層14は、接着材層13の凹部21を埋めるようにして接着材層13と一体化する。
最後に、必要に応じて装飾パネル10の外表面を研磨や塗装してもよい。
この場合、外層11の切断端面11aと開口部15内の加飾層12の露出部16の表面とが同一面内に配置されているので、開口部15の周縁部が平面に形成され、意匠性にも優れている。
また、樹脂層14が裏打ち状態に設けられているので、装飾パネル10全体の剛性が高められ、うねりや反りの発生を防止することができる。このため、外層11や加飾層12を薄肉にすることが可能で、その成形を容易にできるため、工業的な生産に適している。
このようにして形成した装飾パネルにおいても、外層11と加飾層12との接合界面17が開口部15における外層11の表面にまで延びて形成され、開口部15の周縁が接合界面17の切断端によって形成される。
次に、図1の装飾パネルの製造方法の第2実施形態について説明する。
この実施形態の製造方法は、図7のフローチャートに示すように、積層板形成工程、樹脂一体化及び凸部形成工程、突出端部除去工程の順で装飾パネル10を製造する。図8が、その製造方法による断面の変化を工程順に示したものである。以下、工程順に説明する。
(積層板形成工程)
積層板形成工程では、前述の第1実施形態の製造方法と同様にして、パネル用積層板10´を形成する。
この第2実施形態の樹脂一体化及び凸部形成工程においては、射出成形金型60として、その内表面にキャビティ凹部61が形成されたものを用い、このキャビティ凹部61によってパネル用積層板10´に凸部22を形成する。
キャビティ凹部61の深さは、パネル用積層板10´の外層11の厚さt1以上に形成される。そして、図8(a)に示すように、パネル用積層板10´の外層11の表面を射出成形金型60の内面に当接させ、外層11の一部をキャビティ凹部61に対向させた状態に配置する。この状態で、図8(b)に示すように、パネル用積層板10´の接着材層13側に樹脂を射出し、そのときの射出圧によってキャビティ凹部61内にパネル用積層板10´を押し込むように変形させ、パネル用積層板10´の接着材層13側に凹部21、反対の外層側に凸部22を成形する。樹脂はパネル用積層板10´を変形させながら凹部21を埋めるようにして接着材層13と一体化する。凸部22の突出高さHは外層11の厚さt1以上となっており、射出成形金型60に形成しておいてキャビティ凹部61の深さによって調整することができる。
このようにして樹脂一体化及び凸部形成工程を経ると、パネル用積層板10´には、外層11側に凸部22が形成されるとともに、その反対面には樹脂層14が一体に形成されている。
射出成形金型60の表面に形成されたキャビティ凹部61は、射出成形金型60の表面の切削等によって形成してもよいし、金属薄板や樹脂フィルムに開口を設けた薄板を射出成形金型60の平坦な内面とパネル用積層板10´との間に挿入することで簡易的に形成してもよい。
このようにして凸部22を形成したパネル用積層板10´に対して、図8(c)の矢印で示すように、外層11の表面に形成された凸部22の突出端部22aをフライス加工等によって切断するように除去することにより、外層11に開口部15が形成されるとともに、その開口部15の内周縁部に、外層11と加飾層12との接合界面17の切断端17aともに外層11の切断端面11aが露出し、外層11の切断端面11aと開口部15内の加飾層12の表面とが同一面に形成された装飾パネル10が形成される。
この製造方法は、装飾パネル10の裏面に樹脂層14を一体に形成する場合に、凸部22の形成と樹脂の一体化とを同時に実施することができ、生産性に優れている。
この構成とすることにより、開口部15内に加飾層12によって多重の模様が形成され、さらに意匠性を向上させることができる。この図9及び図10に示す装飾パネル100の場合も、図7に示すように、樹脂一体化と凸部形成とを同時に実施してもよい。
前述の第1実施形態の装飾パネル10及び図9の装飾パネル100では、外層11と加飾層12との接合界面17の切断端17aも開口部15に露出させるように形成したが、次のようにしてもよい。
この別の形態の装飾パネル110は、図11に示すように、外層11の一部に設けられている開口部15に、その下の層の加飾層12の一部が露出しており、開口部15の周囲の外層11の表面と開口部15内の加飾層12の露出部16の表面とが同一面に形成されている点は第1実施形態と同様であるが、外層11と加飾層12との接合界面17は、外層11の開口部15の裏面の内周縁までであり、この開口部15の内周縁の下側(外層11の裏面側)の端縁にて加飾層12が屈曲形成されることにより開口部15内に突出形成されている。このため、外層11の開口部15の内周面に加飾層12の表面が接合されることなく、対向して配置されている。
この形態の装飾パネル110は、図12のフローチャートに示すように、積層板形成工程、開口部形成工程、樹脂一体化及び加飾層変形工程の順で製造される。図13が工程順の断面図を示す。
(積層板形成工程)
積層板形成工程では、前述の第1実施形態の製造方法と同様にして、パネル用積層板10´を形成する。
(開口部形成工程)
パネル用積層板10´の外層11の一部をレーザ加工等によって除去して開口部15を形成する。レーザの出力は、外層11を除去するが、加飾層12を加工しないように設定しておく。
開口部15が形成された外層11の表面を射出成形金型65の内面に当接させ、パネル用積層板10´の接着材層13側に樹脂を射出してパネル用積層板10´と一体化する。このときの開口部15に対向する部分の射出成形金型65の内面は平坦面に形成されるが、外層11に開口部15が形成されているため、その開口部15の部分が空間となる。樹脂が射出されると、その射出圧によって外層11の開口部15内にパネル用積層板10´の加飾層12が押し込まれるように変形される。接着材層13は、加飾層12の変形に対応するように凹部21が形成される。
この樹脂一体化及び加飾層変形工程により、外層11の開口部15内に加飾層12の一部が突出した状態に露出し、開口部15の周囲の外層11表面と開口部15内の加飾層12の露出部16表面とがほぼ同一面に形成される。
例えば、加飾層変形工程では、開口部形成工程の後に、プレス成形により、外層11の開口部15の周囲の表面を金型の平坦面に当接し、その開口部15の反対側をパンチにより板厚方向に押圧することにより、接着材層13に凹部21を形成するとともに、開口部15に加飾層12の一部を押し込むように変形する。そして、樹脂一体化工程において、接着材層13側に樹脂を射出して一体化することにより、装飾パネル110を製造するようにしてもよい。
例えば、いずれの実施形態も外層に形成された開口部は、その周縁が閉じているが、パネルの側縁部等に、その側縁を含んで切り欠くようにして形成された開口部とすることも可能である。
また、開口部内の加飾層の露出部の表面に、さらに凹凸模様を形成してもよい。
Claims (6)
- 開口部を有する外層と、前記開口部内への露出部を有する加飾層とが接合界面を介して積層状態に接合されているとともに、前記接合界面が前記開口部における前記外層の表面にまで延在しており、
前記外層及び前記加飾層は、それぞれ異なる金属からなり、
前記加飾層は、前記開口部内に突出するように凹凸変形させられた状態であり、前記開口部が形成されている面とは反対面に凹部が形成されていることを特徴とする装飾パネル。 - 前記露出部の外周縁部における表面と前記開口部の内周縁部における前記外層の表面とが同一面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の装飾パネル。
- 前記外層とは反対面に樹脂層が一体に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の装飾パネル。
- それぞれ異なる金属からなる外層と加飾層とが接合界面を介して積層状態に接合されてなる積層板を形成する積層板形成工程と、前記接合界面を変形させながら前記積層板に前記加飾層側から前記外層側に突出する凸部を形成する凸部形成工程と、前記凸部の少なくとも突出端部を前記凸部における前記接合界面が切断されるように除去することにより、前記外層に開口部を形成するとともに、その開口部内に前記加飾層を露出させる突出端部除去工程とを有することを特徴とする装飾パネルの製造方法。
- 前記凸部形成工程において、前記外層と前記加飾層とをプレス成形により変形することにより前記凸部を形成することを特徴とする請求項4記載の装飾パネルの製造方法。
- 前記凸部形成工程において、内表面にキャビティ凹部を形成した射出成形金型内に、前記キャビティ凹部に前記外層が対向した状態で前記積層板を配置し、前記射出成形金型内に注入される樹脂の圧力で前記積層板を前記キャビティ凹部内に押し付け変形させることにより前記凸部を形成することを特徴とする請求項4記載の装飾パネルの製造方法。
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