JP6801874B2 - ヒドロゲルを用いた土壌改良舗装工法 - Google Patents

ヒドロゲルを用いた土壌改良舗装工法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol、構造式は次の通り(−CHCH(OH)−)、以下単に「PVA」と略称する。)のヒドロゲルを用いた、グラウンドや運動場における土壌改良舗装工法に関するものである。
現在、一般社会における「自然環境重視」の風潮から、幼稚園や学校、或いは公園などにおいて、校庭やグラウンドをコンクリートやアスファルトで舗装せず現況の土のままとする、いわゆる「土系舗装」が広まっている。しかしながら、このような土系舗装においては、乾燥時に土埃や砂埃が立ち易く、地域住民とグラウンドなどの施設管理者との間でトラブルとなるケースが往々にして発生している。
係る砂塵対策としては、例えば人工芝やウレタン舗装などの、いわゆる全天候型舗装で対応することも考えられるが、舗装コストの面や、近年多く見られるゲリラ豪雨のような多降雨量対策に鑑みれば、土系舗装による一時的な降雨貯留効果が極めて有効であり、土系舗装本来の形態を生かしつつ砂塵を抑制する工夫が求められている。
このため多くの場合、土系舗装面に、例えば塩化カルシウムなどの薬剤を散布する対策が取られている。すなわち、これらの薬剤は空気中に含まれる水分と反応して融解するため、薬剤散布後の土系舗装面ではその含水率が上昇し、土埃や砂埃が立ち難くなるという効果が得られる。
しかし、これらの薬剤は強風や降雨などの影響により飛散・流出し易く、その効果が経時的に劣化してしまうという欠点があった。また、皮膚の弱い人間がこれらの薬剤に直接に触れると、皮膚に炎症を引き起こすというおそれもあった。さらに、連続的にその効果を維持すべく、薬剤散布を頻繁に行うと、土壌の塩害化や、グラウンドや運動場の設備等に錆を発生させるなどの影響を誘発することも懸念された。
そこで、自然環境に近く、かつ土埃や砂埃が立ち難い土系舗装の効果を長期間維持すべく、例えば、特許文献1から3に示されるような高分子樹脂やゲル状の化学物質を用いて土系舗装を行う種々の発明や技術が開示されている。
特開平09−031908号公報 特開2004−183218号公報 特開2004−183219号公報
しかしながら、特許文献1に示される発明は、エチレンオキサイドやトリレンジイソシアネートなどの化学架橋によって重合された水溶性ポリマーを、ゲル化剤として土中に混練するものであり、幼児や児童も利用するグラウンドや運動場においては、その健康面における安全性から懸念が持たれていた。
一方、特許文献2、3に示された発明は、グラウンドや運動場の砂粒を流動パラフィンや各種の化学物質の界面活性剤を主成分とする被覆用樹脂組成物で覆い、係る粘着性の樹脂被覆砂をもって舗装を行うものである。それ故、健康面における安全性危惧の観点に加え、粘着性樹脂被覆砂を生成するという加熱・混練工程を担う大型設備を必要とし、その工事コストが増大するという難点があった。
本発明は、このような人体への安全性に関する懸念を払拭することを目的とし、かつ低コストの土系舗装工法を提供するものであり、より具体的には、生体適合性の極めて優れたPVAを主成分とするヒドロゲルを用いて、長期間に亘りその保水性を維持し、かつ低コスト・簡便な土系舗装工法を提供することを目的とする。
本発明の第一の観点によるヒドロゲルを用いた土壌改良舗装工法は、
舗装エリアの路床面について不陸整正を行う路床整正工程と、舗装エリアの土壌についてヒドロゲルを混錬して土壌改良を行う土壌改良工程と、舗装エリアの舗装面の仕上げを行う舗装面処理工程と、を含むヒドロゲルを用いた土壌改良舗装工法であって、
前記土壌改良工程は、
舗装エリアの現況土を所定の深さに亘って掘り起こす現況土掘り起こし工程と、
舗装エリアに所定割合のヒドロゲルを配袋し、これを舗装エリア内に敷き均すヒドロゲル配袋工程と、
舗装エリア内に配袋されたヒドロゲルと掘り起こされた現況土を、舗装エリアの所定の深さに亘り混練するヒドロゲル混練工程と、
該混練土に覆われた舗装エリアの路床面について、計画高に合わせて不陸整正を行う混練土整正工程と、
該混練土に所定の押圧を加え、舗装エリアの縦横に亘って転圧する混練土転圧工程と、を含み、
前記舗装面処理工程は、
舗装エリアの舗装面について微細な不陸整正を行いつつ、舗装エリアの縦横に亘って転圧する仕上げ転圧工程と、
仕上げ転圧工程後の舗装面に対し、所定濃度のポリビニルアルコール水溶液を所定の割合で散布するポリビニルアルコール水溶液散布工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の第の観点によるヒドロゲルを用いた土壌改良工法は、前述の第一の観点において、
前記ヒドロゲルは、ポリビニルアルコールを主原料として用いるものであり、当該主原料の凍結・解凍を繰り返して行う凍結解凍法によって生成されたものであって、ゲルを構成する分散質が物理的架橋により三次元の網目構造状に構築されていることを特徴とする。
また、本発明の第の観点によるヒドロゲルを用いた土壌改良工法は、前述した第一の観点において、
前記ヒドロゲルは、無定形態(好ましくは球体)に粉砕されたものであって、その粒径が1乃至20mm程度であることを特徴とする。
また本発明の第の観点によるヒドロゲルを用いた土壌改良工法は、前述した第一の観点において、
前記ヒドロゲルの混練割合は、掘り起こされた現況土100重量部に対して0.5乃至3.0重量部であることを特徴とする。
本発明によるヒドロゲルを用いた土壌改良舗装工法は、生体適合性に優れ安全性の高いPVAをゲル化して土中に混練することで、長期間に亘り舗装面の含水比を適正に保ちつつ砂塵の抑制を図ることができる。また、ゲルの膨潤率を適宜制御することによって、植物に対する水分補給材として用いることも可能であり、例えば、建物の屋上緑化や壁面緑化、或いは堰堤などの法面緑化等への応用も可能である。
本発明を実施するための最良の形態である実施例について、本願の明細書に添付した各図面類を参照しつつ以下に説明を行う。
[1]本実施例に基づくPVAを主原料とするヒドロゲルの調製
本実施例では、ヒドロゲルの素材として、生体適合性に特に優れたPVAを用いている。PVAは、食品衛生法によって食品への添加が認められている高分子樹脂でもあり、親水性が非常に強く水に可溶という特質を持っている。
このため、PVAは、例えば、食材のつなぎや経口錠剤の結合材として用いられることも多く(業界俗称:食用糊、商品名:ポバール(登録商標))、人体の健康面への無害性が科学的にも立証されている化学合成樹脂である。
ところで、ゲル化が行われるときに高分子鎖同士が繋がって立体状の網目構造が構成される現象は、一般に架橋と呼称されているが架橋の方法によって、ゲルは次の2つに大別される。
@化学架橋ゲル:架橋が共有結合によって行われるもの
@物理架橋ゲル:架橋がそれ以外の方法(例えば分子間力など)により行われるもの
本実施例に用いるヒドロゲルは、製法の容易性や、化学的架橋剤を用いることなく環境に優しい等の観点から、分子間水素結合による物理的架橋によって構成される物理架橋ゲルの構造を選択している。物理的架橋法は、その生成工程から凍結・解凍法とも呼ばれる製法である。すなわち、本実施例の場合は、系全体が均一なPVA水溶液を氷点以下に冷却すると、分散媒中に氷が生成され、PVA鎖が氷の外に排除されて相分離が起こる。
そのため、高分子における相中の分子鎖の局所濃度が高まり、PVAの高分子鎖間でヒドロキシ基同士の水素結合が起こって結晶核が生成される。係る凍結体を摂氏25度程度の室温で放置することにより解凍と結晶化が進行し、PVAの微細結晶が強固な三次元の網目構造に構築され、その隙間を分散媒の水で満たされたヒドロゲルが生成されることになる。
因みに、PVAヒドロゲルの構造を添付の図1に、また、ヒドロゲルの凍結・解凍による高分子鎖の変遷の様子を添付の図2に示す。以上に説明した(凍結−解凍)を繰り返して行う凍結・解凍法は、ヒドロゲルの調製に際し取り扱いに注意を要する複雑・高価な機材を必要としないので、ヒドロゲルを簡易かつ低コストに製造することができるというメリットを有している。
続いて、本実施例に用いるヒドロゲルの具体的な調製方法について説明を行う。先ず、本実施例では、重合度500、けん化度98.0〜99.0%のPVAを使用した(デンカ株式会社製)。なお、PVAの重合度やけん化度に関しては、係る数値に限定されるものではなく、本発明におけるヒドロゲルの使用態様などに応じて適宜選択できるものとする。
次に、脱イオン水にPVAを分散させた後、摂氏90度に加熱して充分に撹拌することにより、PVAの分散水溶液(ポリマー水溶液)を調製する。このポリマー水溶液を、例えばジップロック(登録商標)などの底浅の小筐体に流し込み、摂氏−23度程度の冷凍庫で24時間凍結する。係る凍結処理後、これを冷凍庫から取り出して摂氏25度程度の室温で24時間に亘り解凍放置する。
本実施例では、(凍結−解凍)処理サイクルを3回繰り返すことで、PVAヒドロゲルを調製した。なお、処理サイクル数は係る回数に限定されるものではなく、実際の使用態様に応じて、適宜選択できることは言うまでもない。次に、凍結・解凍処理によって得られたヒドロゲルを室温環境に放置し充分に乾燥させた後、化学薬品用のミキサーによって細かく粉砕する。因みに、粉砕されたヒドロゲル粒子の形状としては特に限定は無いが、好ましくは球体又はそれに近い無定形体であり、その粒径は1乃至20mm程度とすることが好ましい。
[2]本実施例で調製したPVAヒドロゲルに関する各種の特性測定試験結果
[2−1]膨潤度測定試験
本実施例で調製したPVAヒドロゲルについて、加水時におけるその膨潤度の測定を行った。すなわち、乾燥時の重量(W)を測定したPVAヒドロゲルを、摂氏25度の脱イオン水10mLに浸漬させ、t時間後に取り出し表面に付着した水分を拭き取った後に、膨潤時の重量(WS(t))を測定した。
そして、乾燥時の重量(W)と膨潤時の重量(WS(t))から下式に基づいて膨潤度(Swelling degree)を算出した。
膨潤度=(WS(t)−W)/W
また、その後の経時変化に伴う膨潤度の推移を観察するため、その後の膨潤時重量の測定を定時的に行った。なお、膨潤度測定は3検体ずつ測定を行いその値を平均した。
膨潤度測定の結果を図3のグラフに示す。同図に示される通り、浸漬開始から約1時間以降において殆ど膨潤度の変化が見られないことから、浸漬後約1時間で当該ゲルは平衡膨潤度に到達したものと考えられる。これより、本実施例で調製したPVAヒドロゲルは、ごく短時間の加水により平衡膨潤度に達し、それ以降は安定した膨潤性を維持できることが確認された。
[2−2]機械的強度試験
本実施例で調製したPVAヒドロゲルについて、引張り強度(Stress)及び破断点伸度(Strain)の測定を行った。先ず、乾燥されたPVAヒドロゲルを摂氏25度の脱イオン水中に24時間浸漬させた後、膨潤した当該ゲルを取り出して試験片を作成した。因みに試験片サイズの大きさは
長さ100mm×幅10mm×厚さ2.5mm(各々±0.5mm)
である。なお、機械的強度試験の試験速度は300mm/minに設定した。
係る試験結果を図4のグラフに示す。なお、測定は3検体ずつ測定を行いその値を平均した。図4の結果に示される通り、本実施例で調製したPVAヒドロゲルは、優れた機械的強度を有するものであり、引張り強度(Stress)ならびに破断点伸度(Strain)は、共に高い数値を示している。
[2−3]再膨潤率測定試験
本実施例で調製したPVAヒドロゲルについて、再膨潤率(Reswelling ratio)の測定を行った。先ず、予めその重量を測定しておいた乾燥PVAヒドロゲルを、摂氏25度の恒温槽内で脱イオン水に浸漬させ24時間経過した後にその重量を測定する。そして、測定後、当該膨潤ゲルを摂氏25度の恒温槽内で、その重量がそれ以上変化しない値(恒量)となるまで乾燥させる。
その後、同様に上記の(膨潤−乾燥)のサイクルを繰り返し行い、各サイクルの乾燥重量と膨潤重量から各サイクルの膨潤度を算出した。再膨潤率を、サイクル1回目の膨潤度(S)、n回目の膨潤度(S)から下式のように定義してその算出を行った。
再膨潤率(%)=(S/S)×100
係る測定結果を図5のグラフに示す。なお、測定は3検体ずつ測定を行いその値を平均した。図5の結果に示される通り、本実施例で調製したPVAヒドロゲルは、膨潤回数が2〜10回と増加しても、再膨張率が横ばいの数値を維持し続けている。また、添付図面の図6の写真に示すように、(膨潤−乾燥)を繰り返し行っても、PVAヒドロゲルは、その固体形状を維持し続け、このような面からも、その強度の優れていることが明らかとなった。
[2−4]PVAゲルを混練した土壌の飛散防止効果試験
本実施例で調製したPVAヒドロゲルについて、実際に、これを混練した土壌路床を屋外に準備し、土壌の含水量をパラメーターとして土壌の飛散防止効果の評価を行った。評価方法は、先ず、グラウンドなどの屋外に評価用として、縦100cm×横100cm×高さ10cm程度の土壌路床(岩瀬砂:石灰岩ダスト=6:4(比重は1.6g/cm))を4床準備した(因みに、ゲル無添加、1重量部ゲル添加、2重量部ゲル添加、3重量部ゲル添加の4床とした。)。
準備した各床土壌において、土壌100重量部に対して、それぞれ1乃至3重量部となるように粉砕されたPVAヒドロゲルを加え、スコップやレーキなどの道具を用いてこれらの混練を行った。そして、このゲル混練土壌の含水量を土壌水分測定器により、ほぼ1ヶ月毎に測定することによって、係る含水量の測定値から土壌の飛散防止効果を評価するものとした。なお、比較実験として、PVAヒドロゲルを加えない土壌のみ(ゲル無添加)の試料についても同様の測定を行っている。
これらの土壌における含水量の経日変化を図7のグラフに示す。先ず、経日変化による含水量の推移に着目すると、PVAヒドロゲルの混練を行った日の一週間後である2016年9月20日の含水量が最も高くなった。これは、これは測定日当日に雨が降っていた影響があるもと考えられる。
それ以降の、例えば10月13日は、その前の3日間降雨が無く、しかも測定日も曇りであったため前回よりも含水量の測定値が低下しているものと思われる。また、11月17日以降の測定では、測定日当日の天候が晴れであり、しかも冬季であるため湿度も低下しているので、さらに含水量が低下しているものと推測される。なお、春季になり大気の相対湿度が上昇しているため、それに呼応して各床土壌における含水率もボトムアップされているものと推測される。
また、PVAヒドロゲルの添加量による含水量の変化に着目すれば、何れの測定日においても、ゲルの添加量が多くなるほど土壌の含水量が増加し、より多くの水分を土壌中に固定化できることが判明した。これは、土壌よりもPVAヒドロゲルの給水能力が極めて高いために、ゲル混練土壌全体の含水量が増加したものと考えられる。
以上の試験結果が示すように、土壌にPVAヒドロゲルを混練することによって、土壌の含水量を向上させ、土壌の乾燥を防ぐことができ、これによって、例えば強風などによる土壌の飛散を有効に防止し得ることが確認された。
[3]本実施例に基づく土壌改良舗装工法
次に、本実施例に基づくPVAヒドロゲルを用いた土壌改良舗装工法について説明を行う。因みに、本実施例に基づく土壌改良舗装工法は、路床整正工程と、土壌改良工程と、舗装面処理工程の3つの基本工程から構成されており、以下において各基本工程の処理内容を詳述する。なお、添付の図8のフローチャートに本実施例による土壌改良舗装工法の概要を示す。
[3−1]路床整正工程
本実施例では路床整正工程において、舗装を行う路床面の高さを計画高に合わせて不陸整正する(舗装路床面の凹凸を平坦化する処理)。具体的には、ブルドーザーなどの土木機械を用いて係る処理工程を実行するものである。当該工程に用いられる土木機械(ブルドーザー)の仕様に関しては、特に限定されるものではないが、例えば、運転質量3.0トン程度のブルドーザーが適している。なお、係る機械仕様は、舗装エリアの広狭に応じて任意に選択できることは言うまでもない。
[3−2]土壌改良工程
土壌改良工程は、舗装エリアを所定の深さに亘って掘り起こし、掘り起こした現況土に所定割合のPVAヒドロゲルを混練して、舗装エリア内の混練土を不陸整正する処理工程である。図8のフローチャートに示す通り、土壌改良工程は次に説明する、現況土掘り起こし工程、PVAヒドロゲル配袋工程、PVAヒドロゲル混練工程、混練土整正工程、及び混練土転圧工程の各々の工程から構成されている。
[3−2−1]現況土掘り起こし工程
現況土掘り起こし工程は、舗装エリア内の現況土を所定の深さに亘って掘り起こす工程である。掘り起こし処理は、例えば2.0トン・トラクターを用いて5乃至30cmの深さに亘って、舗装エリア内の現況土を掘り起こすものとする。なお、掘り起こす深さは、5乃至30cmの範囲で行うものとし、一般的に10cm程度の深さで行う事が好ましい。また、掘り起こしに際しては、掘り起こした土壌の塊径が10mm程度まで粉砕するように行うことが好適である。
[3−2−2]PVAヒドロゲル配袋工程
PVAヒドロゲル配袋工程では、舗装時の計画面積に合わせて、舗装エリアの1平方メートルあたり、PVAヒドロゲルを現況土100重量部に対して0.5乃至3.0重量部の割合で配袋する。そして、舗装面に配袋・開封されたPVAヒドロゲルは、バックホー(油圧ショベル)或いは人力によって、舗装エリア内に均一に敷き均される。なお、バックホーは、そのバケット容量が0.25m程度であることが好ましい。
[3−2−3]PVAヒドロゲル混練工程
次のPVAヒドロゲル混練工程では、PVAヒドロゲルと掘り起こされた現況土が均一に混ざり合うように、例えば、2.0トン・トラクターに装着されたローター(ロータリー)によって十分に混練し、混練土壌の厚さが5〜30cmの厚みを確保するように慎重に施工を行うものとする。
具体的には、最初の1〜2回の混練処理においては、普通の速度(例えば、150rpm〜540rpm程度)でローターを回転させ、その後の混練工程の仕上げ段階では、ローターの回転速度を最高に上げて(例えば、540rpm〜1200rpm程度)十分な混練を行う。なお、当該工程の全般において、ローター回転刃の深さが、目的とする混練土壌の厚さよりも深くなり過ぎないように、注意を払うことはいうまでもない。
[3−2−4]混練土整正工程
PVAヒドロゲル混練工程が終了すると、次に、舗装エリア内の混練土の路床整正を行う混練土整正工程を実施する。因みに係る整正は、例えば、0.1トン・ローラー(地均し機)やレーキなどを用いた人力を併用し、計画高に合わせて舗装エリアの不陸整正行うものである。
[3−2−5]混練土転圧工程
混練土の整正工程が終了した後、舗装エリア内の混練土に所定の押圧を加えて地固めを行う混練土転圧工程を実施する。当該工程は、例えば2.5トン乃至4.0トン・ローラー(地均し機)などの土木機械を用いて、舗装エリア内の全域に亘り、万遍なく縦横に行う事が好ましい。
[3−3]舗装面処理工程
舗装面処理工程は、本実施例に基づく舗装工法の仕上げ工程であり、図8のフローチャートに示すように、仕上げ転圧工程と、PVA水溶液散布工程の各々から構成されている。
[3−3−1]仕上げ転圧工程
仕上げ転圧工程は、舗装エリアの舗装面について細かな不陸整正を行いつつ、舗装エリアの縦横に亘って所定の転圧を行う工程である。前述の混練土転圧工程において、舗装エリアに対する大まかな転圧処理は完成しているため、仕上げ転圧工程に使用する土木機械は、例えば、0.6トン・ローラーなどの比較的に小押圧のものが好ましい。
[3−3−2]PVA水溶液散布工程
仕上げ転圧工程の終了後に、砂埃対策の補強として舗装面に対するPVA水溶液散布工程を実施する。散布するPVA水溶液の濃度は、2.0%乃至7.0%であることが好ましい。本工程においては、舗装面の1平方メートルについて、0.3リットル乃至2.0リットル程度のPVA水溶液を、人力または動力噴射機などを用いて均等に散布する。
なお、係るPVA水溶液散布工程の作業は、舗装面の被覆を保護し、舗装面からの砂埃の舞い上がりを防止する観点から、本実施例に基づく舗装工法の終了後も、例えば、数ヶ月おきに定期的に行うようにしても良い。
以上に説明したように、本発明に基づく土壌改良舗装工法によれば、土壌中に混練されたPVAゲルの状態を目視することによって、従来の技術では可視化することが困難であった施工後の舗装効果の持続性を容易に把握することができる。すなわち、土壌に混練されたゲルが乾燥によって収縮・硬化しても、その後に散水することでゲルが膨潤・軟化し、その変化を目視や触診で確かめることが可能であり、舗装効果の持続性を容易に確認することができる。
また、ゲルは保水することによって、例えばゴムチップのような柔らかさと反発力が発現するので、本発明に基づく土壌改良舗装工法を実施することにより、健康面から人体適合性が高く、クッション性のあるグラウンドや運動場が、低コストで造成することが可能であり、生育期の児童や生徒の足腰の発達に極めて良好な効果が見込まれる。
なお、本発明の実施形態は、以上に説明した実施例に限定されるものではなく、例えば、各々の実施例を構成する各部位の形状や配置、或いはその素材又は経過時間や設定温度などは、本発明の趣旨を逸脱することなく、現実の実施態様に即して適宜変更ができるものであることは言うまでもない。
以上に説明した本発明の構成ならびに方法は、グラウンドや公園、或いは校庭や運動場に対する舗装工法の分野において、その利用が可能である。
本発明に用いたヒドロゲルの構造を示す模式図である。 本発明に用いたヒドロゲル高分子鎖の相変化の様子を表す模式図である。 本実施例で調製したヒドロゲルの膨潤度に関する測定試験結果である。 本実施例で調製したヒドロゲルの機械的強度に関する測定試験結果である。 本実施例で調製したヒドロゲルの再膨潤率に関する測定試験結果である。 本実施例で調製したヒドロゲルに再膨潤を繰り返した場合の形状変化を示す写真である。 本実施例で調製したヒドロゲルを混練した土壌の飛散防止効果を表す測定試験結果である。 本実施例による土壌改良舗装工法の概要を示すフローチャートである。

Claims (4)

  1. 舗装エリアの路床面について不陸整正を行う路床整正工程と、舗装エリアの土壌についてヒドロゲルを混錬して土壌改良を行う土壌改良工程と、舗装エリアの舗装面の仕上げを行う舗装面処理工程と、を含むヒドロゲルを用いた土壌改良舗装工法であって、
    前記土壌改良工程は、
    舗装エリアの現況土を所定の深さに亘って掘り起こす現況土掘り起こし工程と、
    舗装エリアに所定割合のヒドロゲルを配袋し、これを舗装エリア内に敷き均すヒドロゲル配袋工程と、
    舗装エリア内に配袋されたヒドロゲルと掘り起こされた現況土を、舗装エリアの所定の深さに亘り混練するヒドロゲル混練工程と、
    該混練土に覆われた舗装エリアの路床面について、計画高に合わせて不陸整正を行う混練土整正工程と、
    該混練土に所定の押圧を加え、舗装エリアの縦横に亘って転圧する混練土転圧工程と、を含み、
    前記舗装面処理工程は、
    舗装エリアの舗装面について微細な不陸整正を行いつつ、舗装エリアの縦横に亘って転圧する仕上げ転圧工程と、
    仕上げ転圧工程後の舗装面に対し、所定濃度のポリビニルアルコール水溶液を所定の割合で散布するポリビニルアルコール水溶液散布工程と、を含むことを特徴とする土壌改良舗装工法。
  2. 前記ヒドロゲルは、ポリビニルアルコールを主原料として用いるものであり、当該主原料の凍結・解凍を繰り返して行う凍結解凍法によって生成されたものであって、ゲルを構成する分散質が物理的架橋により三次元の網目構造状に構築されていることを特徴とする請求項1に記載の土壌改良舗装工法。
  3. 前記ヒドロゲルは、無定形態(好ましくは球体)に粉砕されたものであって、その粒径が1乃至20mm程度であることを特徴とする請求項1に記載の土壌改良舗装工法。
  4. 前記ヒドロゲルの混練割合は、掘り起こされた現況土100重量部に対して0.5乃至3.0重量部であることを特徴とする請求項1に記載の土壌改良舗装工法。
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