以下、本発明の一実施形態を図1〜図25に基づいて説明する。図1に示した本実施形態の箱形容器10は、所謂、「折り畳み式のボックスパレット」であって、パレット11の上縁部に1対の短側壁20,20と1対の長側壁30,30とを回動可能に組み付けてなる。また、これら箱形容器10を構成するパレット11、短側壁20及び長側壁30等の容器構成部品は、何れも、例えばガラス長繊維を含んだ樹脂の射出成形品になっている。
図2に示すように、パレット11は、平面形状が長方形の底板部12(本発明に係る「箱形容器の底壁」に相当する)の下面四隅から桁部13が突出した構造をなし、それら桁部13によって底板部12の下方にフォークリフトのフォークが挿入される空間が形成されるようになっている。底板部12は、その長辺方向に延びる複数の横梁14と短辺方向に延びる複数の縦梁15とを交差させた格子構造をなしている。図3に示すように、横梁14及び縦梁15は、断面溝形構造をなし、それらの溝開口14A,15Aは、共に下方を向いている。また、横梁14と縦梁15とが交差部には、その対角線上に十字状の補強リブ12Aが備えられている。
なお、底板部12の外縁部に位置する横梁14及び縦梁15の溝の内部には、補強リブ12Bが備えられている。また、図2に示すように、横梁14及び縦梁15の溝底壁14B,15Bには、複数の貫通孔12Cが形成されている。
図3に示すように、桁部13は、底板部12の角部より僅かに内側に位置した部分に配置された角筒形柱13Aの2つの外側面に複数の側面リブ13Bを形成してなり、その側面リブ13B群の外面が底板部12の側面と面一になっている。また、側面リブ13Bには、角筒形柱13Aの下端部より僅かの上方となる位置から側方に張り出した底板13Cが含まれ、その底板13Cによって桁部13全体の下面が構成されている。よって、桁部13全体の下面は、その一角部寄り位置から角筒形柱13Aが突出した構造になっている。また、桁部13全体の下面のうち角筒形柱13Aから離れた2辺の外縁寄り位置には下面突起13D,13Dが備えられてる。また、それら下面突起13Dの突出量は角筒形柱13Aより小さくなっている。
図2に示すように、底板部12の上面における1対の長辺側の外縁部からは、1対の長辺土手部16,16が突出し、1対の短辺側の外縁部からは、1対の短辺土手部17,17が突出している。短辺土手部17は、全体に亘って均一な高さをなし、長辺土手部16全体より高くなっている。短辺土手部17及び長辺土手部16の詳細構造は、短側壁20及び長側壁30と併せて後に詳説する。
短側壁20は、本発明に係る「格子形側壁」に相当し、図4に示すように、水平方向の延びる複数の横長部材24と上下方向に延びる複数の縦長部材25とを交差した状態にして備えた格子構造をなしている。複数の横長部材24は、上下方向で対向する1対の溝側壁24A,24Aの間を溝底壁24Bで閉塞してなる角溝構造をなし、一定の間隔を空けて上下方向に並んでいる。また、横長部材24群の上側には、2つの特別横長部材24Eが備えられ、横長部材24群の下側には、1つの特別横長部材24Fが備えられている。それら特別横長部材24E,24Fも、1対の溝側壁24A,24Aの間を溝底壁24Bで閉塞した角溝構造をなしている。そして、上側の2つの特別横長部材24E,24Eと上端の横長部材24とが、隣り合わせに設けられて溝側壁24Aを共有し、これ同様に、下側の特別横長部材24Fと下端の横長部材24とが隣り合わせに設けられて溝側壁24Aを共有している。また、下側の特別横長部材24Fと上から2番目の特別横長部材24Eの溝底壁24Bは、短側壁20の内面側に配置され、上端の特別横長部材24Eと全ての横長部材24の溝底壁24Bは、短側壁20の外面側に配置されている。なお、下端の特別横長部材24Fは、上側の特別横長部材24E及び横長部材24に比べて上下方向の幅が小さくなっている。
短側壁20の横方向の両端寄り位置は、上下方向に延びた第1サイドリブ26A,26Aが備えられている。そして、特別横長部材24E,24F及び横長部材24の全ての溝側壁24A及び溝底壁24Bが、1対の第1サイドリブ26A,26Aの間で連続して延びている。また、第1サイドリブ26A,26Aにおける短側壁20の内面側の縁部からは側方に第2サイドリブ26B,26Bが張り出していて、横長部材24の溝側壁24Aから延長された複数の横リブ26Cによって第1サイドリブ26Aと第2サイドリブ26Bとが接続されている。
図5に示すように、第1サイドリブ26Aより短側壁20の横方向の中央側に寄った位置には、上下方向に延びた縦リブ29Lが2つずつ設けられている。そして、それら縦リブ29L,29L同士又は縦リブ29Lと第1サイドリブ26Aとに横方向から挟まれかつ、横長部材24,24同士に上下方向から挟まれた各セルには、短側壁20の内面側を覆う補強壁29が備えられ、それら補強壁29にそれぞれ貫通孔29Aが形成されている。
複数の縦長部材25は、短側壁20における左右の縦リブ29L,29Lの間に間隔を空けて配置されている。また、図4に示すように、各縦長部材25は、横方向で対向する1対の溝側壁25A,25Aの間を溝底壁25Bで閉塞した角溝構造をなし、それら縦長部材25の溝底壁25Bは、全て短側壁20の内面側に配置されている。また、図5に示すように、縦長部材25のうち横長部材24と交差する部分においては、溝底壁25Bが分断され、溝側壁25A,25Aのみが備えられて横長部材24内を横切っている。さらに、上側の特別横長部材24E,24Eにおいては、縦長部材25の溝側壁25A以外に補強リブ25Hが内側を横切っている。
なお、特別横長部材24E,24F、横長部材24及び縦長部材25の各溝底壁24B、25Bには、それぞれ複数の丸孔24Cや長孔24D,25Dが形成されている。
図5に示すように、第2サイドリブ26B,26Bの内面全体は、横長部材24及び縦長部材25からなる短側壁20の本体部分の内面より突出して、縦長ブロック状の連結ブロック27,27になっている。また、連結ブロック27のうち上下方向の略中央部より上側には、上端部を含む複数位置に係合凹部27Aが形成されている。図18に示すように、係合凹部27Aは、連結ブロック27を幅方向を横切るように切除してなる。また、図14に示すように、係合凹部27Aの下面27Cのうち係合凹部27Aの内側面27Dから離れた側の縁部からは係合突部28が起立していて、図18に示すように、係合突部28の上端部のうち縦リブ29L側の上端角部が切除されて係合段差部28Aになっている。
図5に示すように、連結ブロック27のうち短側壁20の本体部分の内面と平行になった面には、上端寄り位置と下端寄り位置とに、それぞれ縦長の係合溝27M,27Nが設けられている。また、連結ブロック27のうち縦リブ29L側を向いた面の下端部には、縦長の長方形の陥没部27Lが形成され、その陥没部27Lに1対の縦長の結合孔27K,27Kが備えられている。1対の結合孔27K、27Kは、上下に並べて設けられ、それぞれ連結ブロック27を幅方向に貫通していている(図15参照)。
図4に示すように、短側壁20の下面からは、複数のヒンジアーム21,21が垂下されている。各ヒンジアーム21は、下端の特別横長部材24Fの溝底壁24Bから延長された帯板21Bの外面にリブを備えてなり、両側面の下端部にヒンジ突起21A,21Aを備えている。これらヒンジアーム21に対して、図2に示すようにパレット11の短辺土手部17にはアーム受容部17Aが形成されている。アーム受容部17Aは、短辺土手部17の内面と上面とに開放した溝状をなしかつ、1対の内側面に係合溝17M,17Mを有する。そして、係合溝17M,17Mにヒンジアーム21のヒンジ突起21A,21Aが係合し、ヒンジ突起21Aを中心にして短側壁20が回動して、図23に示すように、短辺土手部17上に起立した起立姿勢と、図24に示すように、パレット11の底板部12上に倒れた折畳姿勢とに変更される。なお、係合溝17Mの上端部は幅狭になっていてヒンジ突起21Aが上方に抜け難くなっている。
図4に示すように、短側壁20の下面からは、ヒンジアーム21,21以外に複数の嵌合突片22が突出している。それら嵌合突片22の短側壁20から下方への突出量は、ヒンジアーム21より小さくなっている。また、図2に示すように、短辺土手部17には、嵌合突片22に対応して、複数の嵌合凹部17Bが形成されている。そして、短側壁20を起立姿勢にして持ち上げ、嵌合突片22を嵌合凹部17Bに上方から凹凸係合させて短側壁20が起立姿勢に保持される。
また、図1に示すように、短側壁20の上面における横方向の両端寄り位置には、上面の外面とに開放した上面凹部20K,20Kが形成されている。さらに、次述する長側壁30の上面における横方向の両端寄り位置にも同様の上面凹部30Kが形成されている。
なお、短辺土手部17には、短側壁20における各縦長部材25の溝側壁25Aの下方延長線上に位置する複数の縦リブ17Lが備えられている。また、長辺土手部16にも同様に、次述する長側壁30における各縦長部材25の溝側壁25Aの下方延長線上に位置する複数の縦リブ16Lが備えられている。また、これら縦リブ16L,17Lは、底板部12の外縁に配置された複数の補強リブ12B(図3参照)に対しても一直線上に並んでいる。これらにより、短側壁20及び長側壁30からパレット11の底板部12に付与される圧縮荷重を底板部12の縦リブ16L,17Lで受けることができ、底板部12の変形が抑えられる。
図6に示すように、長側壁30は、上長側壁31と下長側壁32とをヒンジ部材33にて連結してなる。上長側壁31及び下長側壁32は、共に、本発明に係る「格子形側壁」に相当し、図8に示すように、前述した短側壁20と同様に複数の横長部材24と複数の縦長部材25とが交差した格子構造をなしている。また、上長側壁31の縦長部材25と下長側壁32の縦長部材25とは、同一直線上に配置されている。さらに、図6に示すように、長側壁30においても、短側壁20と同様に、全ての横長部材24の溝底壁24Bが長側壁30の外面側に配置され、全ての縦長部材25の溝底壁25Bが長側壁30の内面側に配置されている。さらには、長側壁30の上部と下部とに特別横長部材24E,24Fが備えられている点、溝底壁24B,25Bに丸孔24C、長孔24D,25Dが形成されている点等も短側壁20と共通している。
下長側壁32の下面からは、短側壁20と同様に、複数のヒンジアーム40が垂下され、各ヒンジアーム40の下端部から側方に突出したヒンジ突起40A,40Aが、図2に示したパレット11の長辺土手部16に形成されているアーム受容部16Aの係合溝16M,16Mに係合している。そして、下長側壁32が、ヒンジ突起40Aを中心にして回動し、図22に示すように、パレット11の長辺土手部16上に起立した起立姿勢と、パレット11上に重ねられた折畳姿勢(図23参照)とに変更される。また、図6に示すように長側壁30の下面からも、複数の嵌合突片41が突出している。これに対し、図2に示すように、長辺土手部16には、内面と上面とに開放した複数の嵌合凹部16Cが形成されていて、長側壁30を起立姿勢にしたときに、嵌合突片41が嵌合凹部16Cに長辺土手部16の内面側から収まる。
図6に示すように、上長側壁31及び下長側壁32の横方向の両端部には、それぞれ上下方向に延びた1対のサイドリブ36,36が備えられ、後述する一部の横長部材24を除き、上長側壁31及び下長側壁32の複数の横長部材24の溝側壁24A及び溝底壁24Bが、1対のサイドリブ36,36の間で連続して延びている。また、図7に示すように、上長側壁31及び下長側壁32には、両端の縦長部材25とサイドリブ36との間に、それぞれ上下方向に延びた縦リブ37が備えられている。そして、縦リブ37と縦長部材25との間、又は、縦リブ37とサイドリブ36との間に横方向から挟まれかつ、横長部材24,24に上下方向から挟まれた各セルには、長側壁30の内面側から覆う補強壁38が備えられ、それら補強壁38にそれぞれ貫通孔38Aが形成されている。
図8に示すように、下長側壁32においては、後述する連結梁60が最上部に配置されて左右方向に延び、その連結梁60から間隔を空けた下方に複数の横長部材24における上端の横長部材24が配置されている。また、図6に示すように、下長側壁32においては、上端の横長部材24のみが縦リブ37,37迄の長さになっていて、その横長部材24の先方には、その横長部材24の下側の溝側壁24Aから延長された横リブ24Vと連結梁60と縦リブ37とサイドリブ36とに四方を囲まれた矩形のスライダ収容部屋30Rが設けられ、その内部に係合スライダ34が収容されている。
図15に示すように、係合スライダ34は、縦長の筐体部34Aからサイドリブ36側に係合突片34Bが突出した構造をなしている。そして、サイドリブ36に形成された縦長のスリット30S(図10参照)に係合突片34Bが挿入され、スライダ収容部屋30R内の上下の両面に形成されたガイド突条46T,46Tに係合スライダ34が係合して横方向にスライドする。なお、スリット30Sの開口縁からはスライダ収容部屋30Rの内側に補強突壁30Uが張り出している。
また、図10に示すように、スライダ収容部屋30Rの内面側を閉塞している補強壁38には、その一部を片持ち梁状に切り離して係止突片45が形成され、その係止突片45の先端部の突起が係合スライダ34と係合して、係合スライダ34が、可動範囲のサイドリブ36側に位置した係合位置と、縦リブ37側に位置した係合解除位置とに係止される。そして、図15に示すように、係合スライダ34が係合解除位置に配置されると、係合突片34Bがサイドリブ36より内側に引っ込んだ状態になり、係合スライダ34が係合位置に配置されると、係合突片34Bがサイドリブ36から外側に突出する。
図6に示すように、下長側壁32には、横方向の両端の下端角部を、略長方形に切除してコーナー凹部32N,32Nが形成されている。また、各コーナー凹部32Nの上隣には、下長側壁32の側面下端部から側方に突出した角筒状のサイド下端突部42が備えられている。これらに対し、図2に示すように、長辺土手部16の両端部では、下側突部16Dが段付き状に上方に突出すると共に、短辺土手部17から下側突部16Dの上方に上側突部16Eが張り出している。また、下側突部16Dと上側突部16Eとの間に突部受容部16Bが形成されている。そして、図15に示すように、下長側壁32が起立姿勢になると、コーナー凹部32Nに下側突部16Dが嵌合し、突部受容部16Bにサイド下端突部42が収まる。
また、図10に示すように、下長側壁32の側面のうちサイド下端突部42とスリット30Sとの間には、サイド係合部43が設けられている。サイド係合部43は、下長側壁32の側面の内縁部から側方に張り出す縦長の突片43Bの外面に、1対の縦長突部43A,43Aを縦並びに備えた構造をなしている。そして、図15に示すように、短側壁20と下長側壁32とが起立姿勢になったときに、サイド係合部43の縦長突部43A,43Aが短側壁20における連結ブロック27の結合孔27K,27Kに嵌合しかつ、図21に示すように連結ブロック27の陥没部27Lにサイド係合部43の突片43Bが収まる。また、この状態で、係合スライダ34を係合位置に配置すると、係合突片34Bが連結ブロック27の係合溝27Nに凹凸係合する。
図6に示すように、上長側壁31においては、両端より1つ内側の2つの縦長部材25,25は、上から1番目と2番目の横長部材24,24の間で切除されている。これにより、上長側壁31に持手部30H,30Hが形成されている。また、上長側壁31においては、上端の横長部材24の両端部が縦リブ37,37迄となっていて、その横長部材24の両端の先方には、下長側壁32と同様にスライダ収容部屋30Rが設けられ、そこに係合スライダ34が収容されている。
また、上長側壁31の両側面には、短側壁20の複数の係合凹部27Aに対応して、複数の係合突部44が設けられている。係合突部44は、側方に突出して下方に直角に曲がったフック形状の本体部を有し、そのうち本体部のうち下方に突出した垂下突部44Aとサイドリブ36との間に当接壁44Bを備えている。また、図7に示すように、当接壁44Bは、補強壁38から延設されて、上長側壁31の内面側の端部に位置すると共に、図18に示すように、当接壁44Bの下端部が、垂下突部44Aの下端部より上側に位置している。そして、短側壁20及び長側壁30が共に起立姿勢となった状態で、図15に示すように、係合突部44が連結ブロック27の係合凹部27Aに受容され、垂下突部44Aが係合凹部27Aの内側面27Dと係合突部28との間に受容される。このとき、上長側壁31が下長側壁32に対して後述する下端位置に配置されていると、図19に示すように当接壁44Bが係合突部28の係合段差部28Aに係合し、上長側壁31の外側への回動を規制する。この状態で、係合スライダ34が係合位置に配置されると、係合突片34Bが短側壁20の係合溝27Mに凹凸係合する。また、係合スライダ34が係合解除位置に配置されて、上長側壁31が下長側壁32に対して後述する上端位置に配置されると、図20に示すように当接壁44Bと係合突部28の係合段差部28Aとの係合が解除されて、図21に示すように、上長側壁31の外側への回動が許容される。
上長側壁31と下長側壁32との結合部分は、以下のようになっている。図8に示すように、上長側壁31の下端部においては、縦長部材25、サイドリブ36及び縦リブ37が下端の横長部材24より下方に突出している。また、上長側壁31には、全部で例えば8つの縦長部材25が備えられていて、それら複数の縦長部材25の下端部の隣に1つおきにヒンジ凹部47が設けらている。具体的には、上長側壁31の下端部のうち両端の縦長部材25と縦リブ37との間、両端から2番目と3番目の縦長部材25,25の間、中央の2つの縦長部材25,25の間のぞれぞれにヒンジ凹部47が設けられている。
図9(A)に示すように、各ヒンジ凹部47には、横方向で対向する対向面から1対のヒンジピン48,48が突出している。また、ヒンジピン48は、丸棒における180度離れた2位置に平面を形成した形状をなし、上長側壁31が起立した状態でそれら平面が上下に配置される。また、図9(B)に示すように、上長側壁31の内面側においては、ヒンジ凹部47の上端部の間に補強壁47Aが差し渡されている。
図8に示すように、上長側壁31の下端部のうちヒンジ凹部47が設けられていない部分、即ち、サイドリブ36と縦リブ37との間、両端から1番目と2番目の縦長部材25,25の間、両端から3番目と4番目の縦長部材25,25の間のぞれぞれが回動規制部49になっている。
図9(A)に示すように、縦長部材25,25同士の間の回動規制部49は、それら縦長部材25,25の間の空間の下面と内面とが壁で閉塞されたセル構造部分を有し、その下面を閉塞する壁のうち内面寄り位置から矩形の上側結合突部50が突出した構造をなしている。また、図9(B)に示すように、各縦長部材25の下端寄り位置で溝底壁25Bが溝側壁25A,25Aの間へと直角曲げされてからさらに下方に直角曲げされてL形補強壁49Aが形成されている。これにより、各縦長部材25の下端部に、上側結合凹部51が備えられている。また、図8に示すように、サイドリブ36と縦リブ37との間の回動規制部49は、サイドリブ36と縦リブ37の間の空間の下面と内面とが壁で閉塞されたセル構造部を有し、その下面を閉塞する壁のうち内面寄り位置から上側結合突部50が突出した構造をなしている。
図11に示すように、ヒンジ凹部47には、ヒンジ部材33の上端部が受容されている。図9(B)に示すように、ヒンジ部材33は、上下方向に延びた直方体状の本体部33Hを備え、その本体部33Hの両側面における上端部から1対のヒンジスリーブ54,54が突出すると共に、本体部33Hの両側面における下端部から1対のヒンジピン55,55が突出した構造をなしている。ヒンジスリーブ54は、円筒体の周方向の一部を切除して長側壁30の内面側に向かって開放した側面開口54Aを設け、その側面開口54Aの上下の開口縁から1対の突片54B,54Bを突出させた形状をなしている。そして、図11に示すように、ヒンジ凹部47のヒンジピン48が側面開口54Aからヒンジスリーブ54内に受けれられてヒンジ部材33の上端部が上長側壁31の下端部に回動可能に連結されている。なお、突片54B,54Bの対向面には、ヒンジピン48を抜け止めするための突起54C,54C(図11参照)が形成されている。
図9(B)に示すように、ヒンジピン55は、丸棒における180度離れた2位置に平面を形成した形状をなし、ヒンジスリーブ54の真下にヒンジピン55が位置した状態で、ヒンジピン55の2つの平面は、水平方向に対して傾斜した方向に並んだ状態になる。
図8に示すように、下長側壁32の上端部を横切る連結梁60は、断面四角形の部材に前述した上長側壁31の上側結合突部50、上側結合凹部51、ヒンジ凹部47に対応する下側結合凹部53、下側結合突部52及びヒンジ凹部56を備えた構造をなしている。図10に示すように、下長側壁32の下側結合凹部53は、長側壁30の上面と内面とに開口していて、図11に示すように、この下側結合凹部53に上長側壁31の上側結合突部50が凹凸係合する。
また、図10に示すように、下長側壁32の下側結合突部52は、連結梁60の上面から突出し、下長側壁32の内面側が開口した直方体構造をなし、図11に示すように、この下側結合突部52に上長側壁31の上側結合凹部51が凹凸係合する。
さらに、図10に示すように下長側壁32のヒンジ凹部56は、連結梁60の内面と上面とに開放し、1対の内側面に係合溝56M,56Mを有する。また、係合溝56Mの上端部には、突部56T,56Tが備えられている。そして、それら係合溝56M,56Mに、ヒンジ部材33のヒンジピン55,55が上下動可能かつ回動可能に係合してスライドヒンジ機構が構成されている(図11〜図13参照)。また、図11に示すように、ヒンジピン55が、係合溝56M内で突部56T,56Tから離間して、上長側壁31がスライドヒンジ機構による上下の可動範囲の下端位置に配置された状態となり、図12に示すように、ヒンジピン55が、係合溝56M内で突部56T,56Tに近接して、上長側壁31がスライドヒンジ機構による上下の可動範囲の上端位置に配置された状態となる。なお、上長側壁31が下端位置に配置されたときには(図11参照)、上長側壁31の下面が下長側壁32の上面に当接し、ヒンジピン55が係合溝56M内で浮いた状態になる。これにより、上長側壁31が上方から受ける圧縮荷重がヒンジ部材33にかかることがなくなる。
本実施形態の箱形容器10の構成に関する説明は以上である。次に、この箱形容器10の作用効果について説明する。本実施形態の箱形容器10は、図1に示した組立状態にして、全ての係合スライダ34を係合位置に配置すると、短側壁20と長側壁30とが、互いに結合した状態に固定される。このとき、図19に示すように、上長側壁31の当接壁44Bと短側壁20の係合突部28との係合によって下長側壁32に対する上長側壁31の箱形容器10外への回動が規制される。これにより、短側壁20と長側壁30とが強固に結合された状態に保持される。
なお、箱形容器10は、組立状態になると、1対の短側壁20,20の横長部材24と1対の長側壁30,30(上長側壁31及び下長側壁32)の横長部材24とが同じ高さに配置されて矩形環状に繋がる。また、組立状態の箱形容器10が段積みされると、上側の箱形容器10の角筒形柱13A(図3参照)の下端部が、下側の箱形容器10の角部内側に嵌合され、上側の箱形容器10の下面突起13D,13Dが下側の箱形容器10の上面凹部20K,30Kに凹凸係合する。
上長側壁31の係合スライダ34を係合解除位置に配置し、上長側壁31を下長側壁32に対して持ち上げて上端位置に移動すると、図12に示すように、上長側壁31の下面と下長側壁32の上面とが離間し、上側結合突部50と下側結合凹部53、及び、上側結合凹部51と下側結合突部52の凹凸係合が浅くなり、さらには、図16に示すように、上長側壁31の当接壁44Bと短側壁20の係合突部28との係合が解除され、図21に示すように、下長側壁32に対する上長側壁31の箱形容器10外への回動が可能になる。これにより、図22に示すように、長側壁30における上長側壁31のみを外側に開いた状態にして、荷物の出し入れを容易に行うことができる。
図1に示した組立状態から上長側壁31及び下長側壁32の係合スライダ34を共に係合解除位置に配置すると、図17に示すように、長側壁30の下端部を中心して長側壁30の全体を箱形容器10内に倒すことができる。その際、図23に示すように、長側壁30を折り曲げて、下長側壁32の外面に上長側壁31の外面を重ねるように2つ折りにして寝かせることで、2つの長側壁30,30をパレット11の底板部12上に並べて配置することができる。そして、その上に短側壁20,20を順次倒して重ねれば、箱形容器10全体が折畳状態になる。なお、この状態で、図25に示すように、上側の短側壁20のうち連結ブロック27における係合突部28を有した小ブロック部27Vが、下側の短側壁20における側縁部に備えた受容凹部30Vに収まる。
また、折畳状態の箱形容器10(図24参照)の上に別の箱形容器10が段積みされた際には、上側の箱形容器10の角筒形柱13A(図3参照)の下端部が、下側の箱形容器10の短辺土手部17と上側突部16E(図24参照)との角部内側に嵌合され、上側の箱形容器10の下面突起13Dが下側の箱形容器10の嵌合凹部17Bに凹凸係合する。即ち、嵌合凹部17Bが短側壁20の嵌合突片22(図4参照)との嵌合相手と下面突起13Dの嵌合相手とに兼用されている。
上述したように本実施形態の箱形容器10は、折り畳み可能であるため、不使用時の省スペース化を図ることができる。また、短側壁20及び長側壁30(以下、適宜、単に「側壁20,30」という)が格子構造であるので、内部の荷物を外から容易に視認することができる。これらに加え、本実施形態の箱形容器10では、格子構造の側壁20,30を構成する複数の横長部材24及び縦長部材25のそのものが断面溝形構造をなして強度が高くなっているので、側壁20,30の全体の強度のバランスが向上し、その結果、側壁20,30の全体の強度が向上する。しかも、横長部材24の溝底壁24Bと縦長部材25の溝底壁25Bとを、側壁20,30の内面と外面とに分けて配置したので、側壁20,30の厚さ方向でもバランスが向上し、例えば、側壁20,30の反りを抑えることもできる。また、横長部材24の溝側壁24A,24A及び溝底壁24Bを、側壁20,30の横方向の略全体で連続した構造としたので、側壁20,30の横方向の曲げ強度を高くすることができる。さらには、縦長部材25の溝底壁25Bを横長部材24との交差部分で分断した構造とすることで、横長部材24の溝底壁24Bと縦長部材25の溝底壁25Bとが側壁20,30の厚さ方向で重ならなくなり、側壁20,30を樹脂の射出成形によって容易に形成することができる。その上、縦長部材25の溝側壁25A,25Aは横長部材24の交差部分に備えたので、縦長部材25の長手方向の連続性も確保されて、側壁20,30の上下方向における曲げ強度も高くなる。また、上述の如く、側壁20,30の全体の強度が向上するので、側壁20,30の格子の目を大きくして、視認性及び通気性を向上させることもできる。さらには、上長側壁31と下長側壁32とを回動可能に連結するヒンジ部材33が、両側部を縦長部材25,25に回動可能に連結されているので、ヒンジ部材33を配置するために縦長部材25の溝側壁25Aが分断されずに済み、ヒンジ部材33に対する支持強度が高くなって上長側壁31の回動動作が安定する。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)前記実施形態では、折り畳み式のボックスパレットに本発明を適用した例を示したが、折り畳み不能なボックスパレットや、底部がパレット構造になっていない、通常の箱形容器に本発明を適用してもよい。
(2)前記実施形態の箱形容器10では、全ての側壁20,30が「格子形側壁」になったいたが、一部の側壁のみが格子形側壁になっているものに本発明を適用してもよい。
(3)前記実施形態の箱形容器10では、全ての側壁20,30において、横長部材24の溝底壁24Bが箱形容器10の外側に配置される一方、縦長部材25の溝底壁25Bが箱形容器10の内側に配置されていたが、それとは逆に、横長部材24の溝底壁24Bが箱形容器10の内側に配置される一方、縦長部材25の溝底壁25Bが箱形容器10の外側に配置されていてもよい。また、箱形容器10が、横長部材24の溝底壁24Bが箱形容器10の外側に配置された側壁と、縦長部材25の溝底壁25Bが箱形容器10の外側に配置された側壁との両方を有する構成としてもよい。