JP6800482B2 - マグネシウム合金の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マグネシウム合金の製造方法に関する。
Mg(マグネシウム)は、軽量の金属元素であり、それを固溶強化したMg合金は、工業製品の構成材として検討されている。しかしながら、Mgの地金価格は、単位体積当たりに換算すればAlと同程度であるが、ビレット、薄板、粉末等の一次加工材の価格は地金の数倍から数十倍の価格となる。このため、Mg合金を用いた製品においては、製造コストが高くなる傾向にある。
本発明者においては、特許文献1に示すように、粉末冶金を用いたMg合金の製造方法についての検討を行い、焼結性と強度特性が良好なMg合金を得ることに成功している。
特開2014−231638号公報
しかしながら、強度と延性を兼ね備えた、いわゆる高靭性を有するMg合金種は少なく、高延性化のためには、結晶粒の微細化や軸比減少による非底面すべりの促進、および、非配向結晶の変形双晶によるひずみの緩和が必要と考えられる。
さらに、Mg合金製品に求められる性能は多岐に渡り、上記強度と延性の他、耐熱性を有するMg合金の開発が望まれる。
例えば、自動車や航空機などの精密部品においては、軽量でかつ、強度と延性を有するといった機械的特性が要求されることはもとより、耐熱性(高温使用時においても、機械的特性を維持すること)が要求される。
具体的には、軽金属においてMgの軽量性の特長はヤング率と密度の関係から比強度(σy/ρ)よりはむしろ比剛性(E1/3/ρ)であり、Al合金からMg合金に同じ剛性設計で置換した場合、約1.2倍の厚肉化が必要にも関わらず約20%の軽量化が図れる。したがって、Mg合金よりなる部品を用いることで、自動車や航空機などの軽量化を図ることができる。
また、Mgの粒界すべりは低温超塑性に役立つ反面、耐熱性を低下させる原因となる。即ち、粒界すべりを優先した靭性では、耐熱性を確保できないという課題が生じ得る。
そこで、本発明の目的は、強度と延性を兼ね備えたMg合金を提供することを目的とする。
また、本発明の目的は、強度と延性に加え、熱的安定性を兼ね備えたMg合金を提供することを目的とする。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明のMg合金の製造方法は、(a)マグネシウムと第1金属との溶解液を飛散させることで、前記溶解液を液滴にして分散させ、凝固させることにより、前記マグネシウムと前記第1金属との合金粒子を有する合金粉末を形成する工程を有する。そして、さらに、(b)前記合金粉末に添加元素の粉末を加え混合することにより粉末冶金材料を形成する工程、(c)前記粉末冶金材料を前記マグネシウムの融点未満の温度で焼結させることによりマグネシウム合金を形成する工程、を有する。
本発明のMg合金の製造方法は、(a)マグネシウムと第1金属と添加元素を有する溶解液を飛散させることで、前記溶解液を液滴にして分散させ、凝固させることにより、前記マグネシウムと前記第1金属と添加元素を有する合金粒子を有する合金粉末を形成する工程を有する。そして、さらに、(b)前記合金粉末を有する粉末冶金材料を前記マグネシウムの融点未満の温度で焼結させることによりマグネシウム合金を形成する工程、を有する。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
本願において開示される発明によれば、特性の良好なMg合金を製造することができる。
図1(A)は、Mg−Sn−Znよりなる合金粉末の断面ミクロ組織を示し、図1(B)は、焼結体の断面ミクロ組織を示す図である。 焼結体の曲げ試験結果を示す図である。 材料の単位体積当たりの曲げエネルギーを示す図である。 合金粉末と添加元素の粉末との混合粉末の焼結工程を示す第1模式図である。 合金粉末と添加元素の粉末との混合粉末の焼結工程を示す第2模式図である。 実施の形態2の合金粉末と添加元素の粉末との混合粉末の焼結工程を示す第1模式図である。 実施の形態2の合金粉末と添加元素の粉末との混合粉末の焼結工程を示す第2模式図である。
(実施の形態1)
本実施の形態のMg合金の製造工程は、粉末冶金によりMg合金を製造するものである。粉末冶金は、金属の粉末をプレスにより所望の形状に加圧成形した後、その金属の融点以下の温度で加熱焼結して、製品を形成する方法である。
具体的に、本実施の形態のMg合金の製造工程においては、(a)アトマイズ法により、Mg合金粉末(Mg合金粒子の集合体)を形成する工程、(b)Mg合金粉末と添加元素粉末を混合する工程(粉末冶金用材料の形成工程)、(c)粉末冶金用材料を焼結させる工程、を有する。
(a)工程について、以下に説明する。
アトマイズ法とは、気体や液体などの高圧噴霧媒体の運動エネルギーやディスクの高速回転による遠心力によって溶湯金属を飛散させ、液滴を凝固させて粉末化する方法であり、ガスアトマイズ法やディスク回転法などがある。ガスアトマイズ法では、タンディッシュ底部の注湯ノズルから溶湯金属を流下させつつ、周囲に配置した噴霧ノズルからガスを噴射して粉末化する。また、ディスク回転法では、高速回転するディスク上に溶湯金属を流
下し、遠心力で粉末化する。上記ガスとしては、窒素(N2)やアルゴン(Ar)などの不活性ガスを用いることができる。
このようなアトマイズ法は、安定した品質のMg合金粉末を量産できることから、粉末冶金用材料の製造技術として用いて好適である。また、このようなアトマイズ法によれば、溶湯金属の単位時間当たりの流下量およびガスの圧力や流量の調整あるいはディスク回転速度の調整で粉末の粒度(粉末の大きさ)を調整し易く、ふるいによる分級を行うことができるため、Mg合金粉末の粒度分布の調整がし易い。また、上記ガスアトマイズ法または回転ディスク法により形成されたMg合金粉末のMg合金粒子は、等軸性を有するため、これを焼結したMg合金(焼結合金、焼結体)も等軸性を有し、高延性化を図ることができる。
(b)および(c)工程について、以下に説明する。
上記Mg合金粉末に添加元素粉末を混合し、粉末冶金用材料とし、これを焼結させることで、強度と延性に加え、熱的な安定性を兼ね備えたMg合金を形成することができる。
上記Mg合金の製造工程によれば、焼結体(Mg合金)の焼結界面に、添加元素または添加元素の化合物を形成させることができる。これにより、強度と適度な靭性が得られるものと考えられる。
また、添加元素または添加元素の化合物を熱的に安定なものとすることにより、耐熱性を向上させることができる。このような添加元素としては、Mgと金属間化合物を形成しかつ融点が高い元素が好ましく、例えば、B、Si、Ca、Ni、Cu、Y、Sn、Sb、Bi、La、Ce、Nd等を用いることができる。例えば、添加元素として、B(ホウ素)を用いた場合、MgとB(ホウ素)とで形成される化合物であるMgB2は、標準生成エンタルピー(合金1mol当たり)の絶対値が大きいことから耐熱性が期待される。このように、添加元素として、B(ホウ素)を用いることで、Mg合金の耐熱性を向上させることができる。
(実施例)
本実施例において説明するMg合金の製造方法は一例であり、本発明は以下の各種条件に限定されるものではない。
焼結体(Mg合金)を作製するために、ガスアトマイズ装置を用いて純Mg塊、純Sn塊、純Zn塊からMg−Sn−Zn系の合金粉末を作製した。Snは、4重量%、Znは、1重量%とした。
黒鉛るつぼに各金属塊を投入し1.1K/sの昇温速度で加熱し973Kで300sの溶解と保持を行った。黒鉛るつぼのノズルを通過した溶湯にアルゴンガスを吹き付けることで粉化した。溶湯ノズル内の最小径はΦ2.0mm、噴霧圧力は8〜9MPaとした。
作製した合金粉末とB(ホウ素)粉末を乳鉢で10分間混合した。得られた混合粉末(粉末冶金材料)を焼結用の黒鉛型に充填した後、通電焼結装置を用いて焼結を行った。焼結条件は、823K×10分で4Pa程度の減圧雰囲気とした。なお、焼結時の温度は、Mgの融点より低く、Snの融点より高い。合金粉末の粒径は、53〜106μm程度であり、B(ホウ素)粉末の粒径は、1μm程度である。
(焼結体の評価)
焼結体の強度特性は万能試験機を用いて曲げ試験により評価した。試験片の寸法を10×35×6mm3、支点間距離を30mmとし、試験片が破壊するまで1mm/分の変位速度で荷重を加えた。合金粉末と焼結体のミクロ組織、および曲げ試験後の破面の観察と解析は光学式顕微鏡およびSEM−EDSを用いて行った。
(結果)
図1(A)に作製したMg−Sn−Znよりなる合金粉末の断面ミクロ組織を示す。粉末粒子(合金粒子)内には、5μm程度の結晶粒が認められる。SnとZnの一部はMgに固溶し、残りは結晶粒界に濃化し、例えば、結晶粒界にMg2Snの形成が認められる。結晶粒は、等軸晶である。粉末粒子は、球状または亜球状である。
図1(B)に作製した焼結体の断面ミクロ組織を示す。これは、上記Mg−Sn−Znよりなる合金粉末にB(ホウ素)の粉末を混合した粉末(混合粉末)を焼結した焼結体の断面ミクロ組織である。焼結により、合金粉末内の結晶が成長し、より大きな結晶粒が確認できる。焼結後の結晶粒径は、30μm以下である。焼結による合金粉末内の結晶の成長により、焼結体においては、結晶粒界がほとんど消滅し、焼結界面内の結晶粒界は少ない(図4参照)。上記粉末粒子が、球状または亜球状であり、その内部の結晶粒が等軸晶であるため、焼結後の結晶粒も等軸晶となる。
なお、焼結過程でMg2Snは再溶解し液相を形成しながら新しい界面にぬれ拡がり、再析出すると考えられる。また、焼結後の結晶粒径(平均結晶粒径)が、30μm以下の比較的小さな、等軸粒であることから、ホール・ペッチ則による強度とランダムな双晶変形および均一な粒界すべりによる延性を得ることで、高い靭性を示すことができる。
上記焼結体の曲げ試験結果を図2に示す。曲げ強さおよび曲げひずみは経験則に基づいて引張強さと引張ひずみに換算した。比較のため既存合金のデータもプロットした。
図2において、黒色の丸(PM Mg−B−Sn−Zn)は、Mg−Sn−Zn合金粉末にB(ホウ素)粉末を混合した粉末を焼結した焼結体の試験結果である。右側から、B(ホウ素)の添加量が、0原子%、2原子%、4原子%、8原子%、16原子%の場合を示す。また、灰色の丸(PM Mg−Sn−Zn、PM Mg−Sn)は、各金属元素の粉末を混合し焼結した焼結体の試験結果である。灰色の丸(PM Mg)は、Mgの粉末を焼結した焼結体の試験結果である。各金属の粉末は、ガスアトマイズ法により得られたものではなく、粉砕処理により得られたものである。白色の丸は、既存合金を用いた試験結果である。既存合金としては、AZ91(Mg−Al−Zn系合金)、ZK60(Mg−Zn−Zr系合金)、AM20(Mg−Al−Mn系合金)、LZ91(Mg−Al−Zn系合金)などがある。Extruded ZK60−T5は、押出材を人工時効処理(T5処理)したZK60であり、AZ91−T4は、鋳造材を自然時効(T4)処理したAZ91であり、AZ91−T6は、鋳造材を人工時効(T6)処理したAZ91であり、as−castは、鋳造材であり、as−rolledは、圧延材である。PMは、粉末冶金を意味する。
図2の黒色の丸(PM Mg−B−Sn−Zn)で示すように、B(ホウ素)を添加したMg−B−Sn−Znにおいては、B(ホウ素)の添加量が増加するに従い、強度と延性は低下するが、既存合金であるAZ91−T4、AZ91−T6よりも良好な強度と延性を有していることが分かった。
図3に、各材料の単位体積当たりの曲げエネルギーを示す。図3において、左から、上記PM Mg−B−Sn−Znであって、B(ホウ素)の添加量が、0原子%、2原子%、4原子%、8原子%、16原子%の場合を示す。AZ91chip(PM)は、三点曲げ強さが、401MPa、三点曲げひずみが、6.9%の合金である。PM Mg−B−Sn−Znにおいて、B(ホウ素)を0原子%から2原子%添加することで曲げエネルギーは半分程度に低下するものの、0原子%から2原子%のB(ホウ素)を添加した焼結体は、AZ91−T4、AZ91chip(PM)、AZ91−T6より、高い曲げエネルギー値を示すことが分かった。
(熱的安定性)
添加元素として用いたB(ホウ素)は、マグネシウムと金属間化合物(MgB2)を構成する元素であり、このMgB2は熱的に安定である。別の言い方をすれば、耐熱性がある。即ち、MgB2の分解温度は、純マグネシウムの融点よりも高い。このため、母相(焼結体)の温度が上昇しても分解され難く、また、焼結体の結晶粒の粒内および粒界にMgB2が形成されていることにより、ひずみによる転位の移動が緩慢になる。このため、母相(焼結体)の温度が上昇しても、変形し難くなる。
例えば、図2において、黒色の丸(PM Mg−B−Sn−Zn)は、室温での評価であるが、本実施例において説明した“PM Mg−B−Sn−Zn”は、熱間においても変形抵抗の維持が期待される。
このように、Mg合金への添加元素またはこのMgと添加元素の化合物(金属間化合物)を熱的に安定なものとし、焼結過程において、焼結界面に析出させることにより、Mg合金の耐熱性を向上させることができる。
これにより、例えば、室温(25℃)〜Mgの融点の半分程度までの温度(200℃程度)の温度範囲において、Mg合金の変形抵抗が改善され変形量が少なくなり、Mg合金の強度などの機械的特性を向上させることができる。
(焼結モデル)
図4は、合金粉末と添加元素の粉末との混合粉末の焼結工程を示す第1模式図である。図4に示すように、粉末冶金材料MTは、合金粒子APと添加元素E1の粒子EPとの混合物である。合金粒子APは、Mgと金属M1と金属M2の合金粒子である。前述の実施例においては、添加元素E1は、B(ホウ素)であり、金属M1は、Sn、金属M2は、Znである。添加元素E1は、例えば、共晶反応元素であり、金属M1、M2は、固溶強化元素である。
合金粉末(合金粒子APの集合体)は、粗粉であり、その直径(粒径、平均粒径)は、例えば、53〜106μm程度である。合金粉末(合金粒子APの集合体)は、前述したように、Mgと、M1と、M2との溶解液を飛散させることで、溶解液を液滴にして分散させ、凝固させると言ったアトマイズ法により形成されている。Mg−M1−M2の合金粒子APは、球状または亜球状である。また、Mg−M1−M2の合金粒子APは、複数の結晶粒G1を有し、“GB”は、結晶粒界を示す。この結晶粒G1は、等軸晶である。等軸粒とは比較的に等方的に成長した粒を指す。凝固工学においては、定性的に組成的過冷(結晶の成長速度が大きく温度勾配が小さい)と攪拌(分断、流動、回転)により等方的に成長し易くなると考えられている。
上記合金粉末と添加元素の粉末とを混合すると、Mg−M1−M2の合金粒子APの周囲に、複数の添加元素E1の粒子EPが付着する。そして、上記合金粉末と添加元素の粉末との混合粉末を焼結すると、その焼結体STにおいては、Mg−M1−M2の合金粒子の結晶粒G1が大きくなり、結晶粒G2となる。また、合金粒子AP間の結合部には、焼結界面SIが形成される。そして、結晶粒G2は、結晶粒G1と同様に等軸粒となる。この結晶粒G1の粒径は、例えば、30μm以下である。焼結界面SIは、Mg−M1−M2の合金粒子APの形状に対応する。また、図4に示すように、合金粒子APの直径が比較的大きい場合には、焼結界面SIの内部に、結晶粒界GBが残存する場合がある。なお、焼結工程において、上記混合粉末を圧縮しながら焼結してもよい。
ここで、焼結体STの焼結界面SIには、添加元素E1や添加元素E1とMgの化合物(金属間化合物、MgE1)が形成される。添加元素E1とMgの化合物(金属間化合物、MgE1)は、前述の実施例においては、MgB2である。
このように、焼結界面SIに、添加元素E1や添加元素E1とMgの化合物(金属間化合物、MgE1)が設けられることにより、図2、図3を参照しながら説明したように、焼結体STにおいて、強度および適度な靭性を確保することができる。さらに、添加元素E1や添加元素E1とMgの化合物(金属間化合物、MgE1)を熱的に安定なものにすることで、焼結体STの耐熱性を向上させることができる。
なお、焼結時の温度は、Mgの融点より低く、金属M1や金属M2の融点より高くすることが好ましい。また、焼結時の温度は、添加元素E1より低くてもよい。
図5は、合金粉末と添加元素の粉末との混合粉末の焼結工程を示す第2模式図である。図4(第1モデル)においては、粉末冶金材料MTの合金粒子APの直径を、比較的大きく、53〜106μm程度としたが、図5においては、合金粒子APの直径を、比較的小さく、53μm以下とした。このような合金粒子APの直径や合金粉末(合金粒子APの集合体)粒度分布の調整は、ふるいなどを用いて行うことができる。
この場合、焼結後において、Mg−M1−M2の合金粒子の結晶粒G1が大きくなり、結晶粒界(GB)は、焼結界面SIとほぼ一致する。そして、焼結界面SI(結晶粒界GB)に入る、添加元素E1や添加元素E1とMgの化合物(金属間化合物、MgE1)の量を多くでき、焼結界面SI(結晶粒界GB)をさらに強化することができる。
なお、図4および図5の焼結界面SIにおいて、焼結界面SIや結晶粒界GBに、Mgと金属M1との金属化合物(上記実施例では、Mg2Sn)が形成されていても良い。前述したように、本発明者の検討により、純粉末や合金粉末の一時的液相焼結を経て、Mg−Sn−Zn系の焼結体が得られることが判明している。特に、スズ(Sn)および亜鉛(Zn)はMgの固溶強化元素であり、十分な固溶はMgの水素過電圧を高めて耐食性に貢献する。そして、Mg−Sn−Znの合金粉末の焼結体の粒径は、30μm以下、例えば20μm程度の等軸粒で構成され、結晶粒界および焼結界面に形成されたMg2Snの平均寸法は、約1μmである。このような、Mgと金属M1との金属化合物(上記実施例では、Mg2Sn)の存在によっても、延性を維持でき、靭性を得ることができる。
かかる場合においては、焼結界面SI(結晶粒界GB)において、添加元素E1や添加元素E1とMgの化合物(金属間化合物、MgE1)と、金属M1や金属1とMgの化合物(金属間化合物、MgM1)と、が共存することとなる。
(耐熱性を向上させる添加元素について)
マグネシウムと金属間化合物の熱的安定度の指標としては、分解温度と生成エンタルピーが挙げられる。
分解温度は、B>Si>Co>Sb>Ir>Ag>Au>Cu>Ce>Nd>La>Y>Ni>Sn>Ca>Bi>Pdの順である。Mgの融点との差は、最小で約50℃、最大で約900℃である。表1に、上記元素とMgの化合物(IMC)の分解温度を示す。
また、生成エンタルピー(絶対値)は、B>Sb>Sn>Si>Ni>Ca>Cu>La>Yの順である。生成エンタルピー(絶対値)は、最小で約10kJ/mol・atom、最大で約40kJ/mol・atomである。表2に、上記元素とMgの化合物(IMC)の生成エンタルピーを示す。
このように、耐熱性を向上させる添加元素としては、分解温度が高い、または、生成エンタルピー(絶対値)が大きい元素を用いることが好ましい。
(難燃性を向上させる添加元素について)
また、金属表面に酸化物を形成することで、難燃性が向上する。金属表面に酸化物が存在する場合、金属内部への酸化の進行が抑制される(耐酸化性)。
添加元素として、酸化物の生成エンタルピー(絶対値)の大きな元素を用いることで、難燃性を向上させることができる。酸化物の生成エンタルピー(絶対値)は、Y>Nd>Ce>La>Al>Ca>Si>(Mg)>B>Sb>Sn>Co>Ni>Bi>Cuとなり、最小で約60kJ/mol・atom、最大で約360kJ/mol・atomである。表3に、上記元素と酸素(O)の化合物の生成エンタルピーを示す。なお、表3の上位の元素においては、化合物の粗大化により延性の低下を招く場合があり、延性と難燃性のバランスが取りやすい添加元素を選択することが好ましい。
このように、添加元素を選択し、焼結体(Mg合金)の焼結界面に、添加元素または添加元素の化合物を形成させることにより、強度と適度な靭性を確保しつつ、新たな機能(耐熱性や難燃性)を付与することができる。
(実施の形態2)
実施の形態1においては、合金粒子APに、添加元素E1の粒子EPを混合することで、粉末冶金材料MTを形成したが、合金粒子AP中に添加元素を内在させてもよい。
即ち、アトマイズ法により、添加元素E1を含有する合金粉末(合金粒子APの集合体)を形成する。この場合、合金粒子AP内に添加元素E1が内在した状態となる。添加元素E1が、Mgと固溶し易い材料であれば、添加元素E1は、合金粒子APの結晶粒内に取り込まれるが、添加元素E1が、Mgと固溶し難い材料であれば、合金粒子APの結晶粒界GBに濃化された状態で内在する。
図6は、本実施の形態の合金粉末と添加元素の粉末との混合粉末の焼結工程を示す第1模式図であり、図7は、第2模式図である。
図6に示すように、粉末冶金材料MTとなる、Mg−M1−M2の合金粒子APは、その内部に添加元素E1を有する。この合金粒子APは、Mg−E1−M1−M2の合金粒子とも言える。この合金粒子APは、Mgと、M1と、M2と添加元素E1の溶解液を飛散させることで、溶解液を液滴にして分散させ、凝固させると言ったアトマイズ法により形成されている。なお、添加元素E1は必ずしも溶融している必要はなく、Mgと、M1と、M2との溶融液内に、微粒子として含まれた状態でもよい。合金粒子APは、球状または亜球状である。また、Mg−E1−Sn−Znの合金粒子は、複数の結晶粒G1を有し、この結晶粒G1は、等軸晶である。そして、この場合、この段階で結晶粒G1の粒界や結晶粒G1の内部に、添加元素E1や添加元素E1とMgの化合物(金属間化合物、MgE1)が形成されている。
上記合金粉末(合金粒子APの集合体)を焼結すると、その焼結体STにおいては、Mg−E1−Sn−Znの合金粒子の結晶粒G1が大きくなり結晶粒G2となる。また、合金粒子AP間の結合部には、焼結界面SIが形成される。焼結体STの焼結界面SIには、添加元素E1や添加元素E1とMgの化合物(金属間化合物、MgE1)が形成される。
このように、焼結界面SIに、添加元素E1や添加元素E1とMgの化合物(金属間化合物、MgE1)が設けられることにより、強度および適度な靭性を確保することができる。さらに、添加元素E1や添加元素E1とMgの化合物(金属間化合物、MgE1)を熱的に安定なものにすることで、焼結体STの耐熱性を向上させることができる。
また、この場合、添加元素E1や添加元素E1とMgの化合物(金属間化合物、MgE1)が、結晶粒G2の内部や粒界にも設けられるため、焼結体の特性をさらに向上させることができる。
また、図7に示すように、合金粒子APの直径を、比較的小さくした場合、焼結後において、Mg−E1−M1−M2の合金粒子の結晶粒G2が大きくなり、結晶粒界(GB)は、焼結界面SIとほぼ一致する。そして、焼結界面SI(結晶粒界GB)に入る、添加元素E1や添加元素E1とMgの化合物(金属間化合物、MgE1)の量を多くでき、焼結界面SI(結晶粒界GB)をさらに強化することができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、添加元素を2種以上としてもよい。
本発明は、マグネシウム合金の製造方法に適用して有効である。
AP 合金粒子
E1 添加元素
EP 添加元素の粒子
G1 結晶粒(合金粒子の結晶粒)
G2 結晶粒(焼結体の結晶粒)
GB 結晶粒界
MT 粉末冶金材料
SI 焼結界面
ST 焼結体

Claims (2)

  1. (a)マグネシウムとSnとZnとの溶解液を飛散させることで、前記溶解液を液滴にして分散させ、凝固させることにより、前記マグネシウムと前記Snと前記Znとの合金粒子を有する合金粉末を形成する工程、
    (b)前記合金粉末にホウ素の粉末を加え混合することにより粉末冶金材料を形成する工程、
    (c)前記粉末冶金材料を前記マグネシウムの融点未満の温度で焼結させることによりマグネシウム合金を形成する工程、
    を有し、
    前記合金粒子は、複数の結晶粒を有し、前記結晶粒は、等軸粒であり、
    前記マグネシウム合金は、前記合金粒子に対応する焼結界面を有し、前記焼結界面に前記ホウ素と前記マグネシウムとの化合物を有し、
    前記焼結界面に前記Snと前記マグネシウムとの化合物を有し、
    前記(c)工程において、前記焼結界面に、前記Snと前記マグネシウムとの化合物が液相となってぬれ拡がり、前記焼結界面に前記ホウ素と前記マグネシウムとの化合物が形成される、マグネシウム合金の製造方法。
  2. 請求項1に記載のマグネシウム合金の製造方法であって、
    前記マグネシウム合金の焼結後の結晶粒径は、30μm以下である、マグネシウム合金の製造方法。
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