JP6800389B2 - 通信装置、通信システム、通信方法および通信プログラム - Google Patents

通信装置、通信システム、通信方法および通信プログラム Download PDF

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Description

本発明は、通信装置、通信システム、通信方法および通信プログラムに関する。特に、マスタスレーブシステムにおいて時刻同期を行う通信装置、通信システム、通信方法および通信プログラムに関する。
IEEE1588、あるいは、IEEE802.1ASのように、複数のノードから成るマスタスレーブシステムにおいて、ネットワーク上の分散クロックを同期させる時刻同期技術の規格がある。これらの規格では、ベストマスタクロックアルゴリズム(BMCA)により、時刻の基準となるグランドマスタを選出し、グランドマスタに同期するスレーブはグランドマスタから配信される時刻に同期する。稼働中のシステムにグランドマスタより高優先度のノードが新たに参入した場合、各ノードはグランドマスタを選出する調停を行い、新たに参入した高優先度のノードをグランドマスタと認識する。そして、各ノードは、新たに参入した高優先度のノードに同期する。このとき、意図していないグランドマスタの切り替えが発生する場合がある。なお、調停によるグランドマスタの選出処理を「グランドマスタ調停」と呼ぶ。
特許文献1の技術では、グランドマスタとスレーブノードの間にネットワーク接続装置が設けられる。そして、特許文献1の技術では、新たなノードがネットワーク接続装置に接続され、新たなノードからベストタイミング同期リクエストが送出されると、ネットワーク接続装置はベストタイミング同期リクエストをブロックする。
特開2013−085278号公報
特許文献1では、意図しないグランドマスタの切り替えを防止できる。しかし、通信システムに優先度が高い高精度な通信装置が参入してきた場合でも、その高精度な通信装置に時刻同期できない虞があるという課題がある。
本発明は、意図しないグランドマスタの切り替えを防止しつつ、優先度が高い通信装置が参入してきた場合には、その通信装置に同期できるようにすることを目的とする。
本発明に係る通信装置は、複数の通信装置を備えた通信システムであって、前記複数の通信装置のうちのいずれかの通信装置が前記複数の通信装置の時刻の基準となるグランドマスタに設定され、前記複数の通信装置のうちのいずれかの通信装置が前記グランドマスタの優先度を設定するネットワーク管理マスタに設定される通信システムに含まれる通信装置において、
前記通信装置が前記ネットワーク管理マスタであるか否かを判定する管理判定部と、
前記通信装置が前記グランドマスタであるか否かを判定するグランドマスタ判定部と、
前記通信装置が前記ネットワーク管理マスタであり、かつ、前記グランドマスタである場合、前記通信装置の優先度に、現在のグランドマスタの優先度より優先度が高いことを示す閾値を設定し、前記通信装置が前記ネットワーク管理マスタであり、かつ、前記グランドマスタでない場合、前記グランドマスタである他の通信装置の優先度に設定する前記閾値を含むネットワーク設定メッセージを送信する設定部とを備えた。
本発明に係る通信装置によれば、意図しないグランドマスタの切り替えを防止しつつ、優先度が高い通信装置が参入してきた場合には、その通信装置に同期できるという効果を奏する。
実施の形態1に係る通信システムと比較するための通信システムのシーケンス図。 実施の形態1に係る通信装置の構成図。 実施の形態1に係る通信装置のハードウェアの詳細構成図。 実施の形態1に係る通信システムのシーケンス図。 実施の形態1に係るネットワーク管理マスタである通信装置の動作フロー図。 実施の形態1に係るグランドマスタ調停メッセージを受信した際の通信装置の動作フロー図。 実施の形態1に係るネットワーク管理マスタ以外の通信装置がネットワーク設定メッセージを受信した際の動作フロー図。
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る通信システムと比較するための通信システム501の動作シーケンスを示す図である。
図1の通信システム501と本実施の形態に係る通信システムは、IEEE1588、あるいはIEEE802.1ASといった時刻同期技術の規格を採用している。これらの規格では、BMCAを用いたグランドマスタ調停によりグランドマスタを選出し、グランドマスタ以外のスレーブはグランドマスタから配信される時刻に同期する。
図1の上段の動作シーケンスでは、通信システム501は優先度3の通信装置1と優先度4の通信装置2を備える。通信装置1は、通信システム501の時刻の基準となるグランドマスタGMである。通信装置1からグランドマスタ調停メッセージAnnounceが通信装置2に送信され、続けて同期メッセージSyncが送信されている。これにより、通信装置1と通信装置2の時刻同期が完了する。以下において、グランドマスタ調停メッセージAnnounceを単にAnnounceとして説明する場合がある。また、同期メッセージSyncを単にSyncとして説明する場合がある。
Announceはグランドマスタ調停を行うためのフレームである。Syncはグランドマスタから発信され、通信システムの時刻同期を行うためのフレームである。図1の上段では、グランドマスタ調停が完了し、通信装置1と通信装置2の間で時刻同期が行われたことを示している。「M」はMasterPortを表す。MasterPortは、AnnounceおよびSyncを送信するポートである。また、「S」はSlavePortを表す。SlavePortは、Syncを受信するポートである。なお、ここでは、優先度の値は小さいほどグランドマスタになる優先度が高いことを示す。
図1の下段の動作シーケンスでは、通信装置1と通信装置2のグランドマスタ調停が完了した状態で、新たに通信装置3が通信システム501に参入する状態を示している。新規参入の通信装置3は、通信装置3の優先度2が、グランドマスタである通信装置2の優先度3より高いことを示すAnnounceを送信し、グランドマスタ調停を開始する。グランドマスタ調停が完了すると、通信装置3は、自装置の時刻に同期させるためのSyncを送信する。このとき、このグランドマスタの切り替えが意図しない切り替えである場合、通信装置2は、通信装置3のAnnounceをブロックする、あるいは、無視するといった手法で切り替えを防止できる。しかし、このような手法では、通信装置3が通信装置2より、はるかに優先度が高く、かつ、高精度である場合でも、通信装置3をグランドマスタにすることはできない。
本実施の形態では、通信装置3が通信装置2より、はるかに優先度が高く、かつ、高精度である場合には、通信装置3をグランドマスタにすることができる通信システムの態様について説明する。
通信装置がグランドマスタと同期済みであると判断する方法は次の通りである。通信装置がスレーブの場合、SlavePortを持っている。通信装置は、一定時間以上SlavePortが変更されなければ、一度はグランドマスタと同期したと判断する。
また、通信装置がグランドマスタの場合、通信装置がスレーブである通信装置と同期済みであると判断する方法は次の通りである。通信装置はMasterPortからAnnounceが一定期間以上受信されなければ、BMCAが収束してスレーブが同期していると判断する。
***構成の説明***
図2を用いて、本実施の形態に係る通信装置100の構成を説明する。
まず、本実施の形態に係る通信システム500は、複数の通信装置100を備える。通信システム500では、複数の通信装置のうちのいずれかの通信装置が、複数の通信装置の時刻の基準となるグランドマスタと設定される。また、複数の通信装置のうちのいずれかの通信装置が、グランドマスタの優先度を設定するネットワーク管理マスタと設定される。
通信装置100は、コンピュータである。通信装置100は、プロセッサ910を備えるとともに、メモリ921、補助記憶装置922、入力インタフェース930、出力インタフェース940、通信制御部950といった他のハードウェアを備える。さらに、通信装置100は、ネットワークポート961,962、およびシステムクロック970といったハードウェアを備える。プロセッサ910は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。ネットワークポート961,962、およびシステムクロック970については図示はないが、ネットワークポート961,962、およびシステムクロック970については後述する図3を用いて説明する。
通信装置100は、機能要素として、管理判定部110とグランドマスタ判定部120と設定部130と調停部140を備える。メモリ921には、装置優先度21とグランドマスタ優先度22と閾値23が記憶されている。
管理判定部110とグランドマスタ判定部120と設定部130と調停部140の機能は、ソフトウェアにより実現される。
プロセッサ910は、通信プログラムを実行する装置である。通信プログラムは、管理判定部110とグランドマスタ判定部120と設定部130と調停部140の機能を実現するプログラムである。
プロセッサ910は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ910の具体例は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
メモリ921は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ921の具体例は、SRAM(Static Random Access Memory)、あるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
補助記憶装置922は、データを保管する記憶装置である。補助記憶装置922の具体例は、HDDである。また、補助記憶装置922は、SD(登録商標)メモリカード、CF、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVDといった可搬記憶媒体であってもよい。なお、HDDは、Hard Disk Driveの略語である。SD(登録商標)は、Secure Digitalの略語である。CFは、CompactFlash(登録商標)の略語である。DVDは、Digital Versatile Diskの略語である。
入力インタフェース930は、マウス、キーボード、あるいはタッチパネルといった入力装置と接続されるポートである。入力インタフェース930は、具体的には、USB(Universal Serial Bus)端子である。なお、入力インタフェース930は、LAN(Local Area Network)と接続されるポートであってもよい。
出力インタフェース940は、ディスプレイといった出力機器のケーブルが接続されるポートである。出力インタフェース940は、具体的には、USB端子またはHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)端子である。ディスプレイは、具体的には、LCD(Liquid Crystal Display)である。
通信プログラムは、プロセッサ910に読み込まれ、プロセッサ910によって実行される。メモリ921には、通信プログラムだけでなく、OS(Operating System)も記憶されている。プロセッサ910は、OSを実行しながら、通信プログラムを実行する。通信プログラムおよびOSは、補助記憶装置922に記憶されていてもよい。補助記憶装置922に記憶されている通信プログラムおよびOSは、メモリ921にロードされ、プロセッサ910によって実行される。なお、通信プログラムの一部または全部がOSに組み込まれていてもよい。
通信装置100は、プロセッサ910を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、通信プログラムの実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ910と同じように、通信プログラムを実行する装置である。
通信プログラムにより利用、処理または出力されるデータ、情報、信号値および変数値は、メモリ921、補助記憶装置922、または、プロセッサ910内のレジスタあるいはキャッシュメモリに記憶される。
管理判定部110とグランドマスタ判定部120と設定部130と調停部140の各部の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えてもよい。また管理判定処理とグランドマスタ判定処理と設定処理と調停処理の「処理」を「プログラム」、「プログラムプロダクト」または「プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記憶媒体」に読み替えてもよい。
通信プログラムは、上記の各部の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えた各処理、各手順あるいは各工程を、コンピュータに実行させる。また、通信方法は、通信装置100が通信プログラムを実行することにより行われる方法である。
通信プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に格納されて提供されてもよい。また、通信プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
図3は、本実施の形態に係る通信装置100のハードウェアの詳細構成を示す図である。図3を用いて、図2で説明したハードウェアについて、さらに詳しく説明する。
プロセッサ910、メモリ921、補助記憶装置922、入力インタフェース930、および出力インタフェース940は、マイクロコンピュータ900に備えられる。
通信制御部950は、割り込み制御部11、送信部12、時分割制御部13、受信部14、同期制御部15、データ調停部16、およびネットワークインタフェース17,18を備える。ネットワークインタフェース17は、ネットワークポート961に接続される。ネットワークインタフェース18は、ネットワークポート962に接続される。
割り込み制御部11は、プロセッサ910への割り込みの出力、および割り込みのマスク制御を行う。
送信部12は、通信フレームの生成を行う。また、送信部12は、時分割制御部13よりタイミングが入力され、送信起動の制御を行う。
時分割制御部13は、同期制御部15より入力された時刻に基づき、通信周期とタイムスロットの制御を行う。
受信部14は、フレームの受信処理を行う。受信部14は、同期フレーム、すなわち同期メッセージから時刻情報を抽出する。
同期制御部15は、時分割制御部13に時刻カウンタ値を出力する。また、同期制御部15は、同期フレームの送信時刻と受信時刻の保持を行う。
データ調停部16は、通信フレームの送信調停を行う。また、データ調停部16は、時分割制御部13より入力されたタイムスロット情報に基づき、中継制御を行う。また、データ調停部16は、受信したフレームの種別の判定を行う。また、データ調停部16は、同期フレームの受信および送信を同期制御部15に通知する。
ネットワークインタフェース17,18は、同期フレームの送信および受信を同期制御部15に通知する。また、ネットワークインタフェース17,18は、送信するフレームをネットワークポート961,962に転送する。ネットワークインタフェース17,18は、ネットワークポート961,962から受信したフレームをデータ調停部16に転送する。
ネットワークポート961,962は、ネットワークに接続される物理ポートである。
システムクロック970は、発振器により通信制御部950および内部バスにクロック信号を入力する。
***機能の説明***
管理判定部110は、通信装置100がネットワーク管理マスタであるか否かを判定する。ネットワーク管理マスタは、通信システム500におけるグランドマスタの優先度を設定するマスタ装置である。
グランドマスタ判定部120は、通信装置100がグランドマスタであるか否かを判定する。グランドマスタは、通信システム500における複数の通信装置の時刻の基準となるマスタ装置である。
設定部130は、通信装置100がネットワーク管理マスタであり、かつ、グランドマスタである場合、装置優先度21に現在のグランドマスタの優先度より優先度が高いことを示す閾値23を設定する。また、設定部130は、通信装置100がネットワーク管理マスタであり、かつ、グランドマスタでない場合、グランドマスタである他の通信装置の優先度に設定する閾値23を含むネットワーク設定メッセージを送信する。
装置優先度21には、自装置である通信装置100の優先度が設定される。
グランドマスタ優先度22には、通信システム500におけるグランドマスタの優先度が設定される。IEEE1588、あるいはIEEE802.1ASでは、グランドマスタ優先度22をPriority1のパラメータで表す。
調停部140は、グランドマスタを選出するためのグランドマスタ調停メッセージを送受信することによりグランドマスタ調停を行う。グランドマスタ調停メッセージは、通信システム500においてグランドマスタの候補となる通信装置の優先度を含むメッセージである。調停部140は、グランドマスタ調停メッセージを送受信しながら、複数の通信装置の優先度を比較するグランドマスタ優先度比較処理を実行し、グランドマスタ調停を行う。
***動作の説明***
図4は、本実施の形態に係る通信システム500の動作シーケンスを示す図である。図4を用いて、本実施の形態に係る通信システム500の動作について説明する。
図4において、通信システム500は、複数の通信装置100を備える。複数の通信装置100は、通信装置1、通信装置2、通信装置3、および通信装置4である。通信装置3および通信装置4は、新規に通信システム500に参入する。
図4では、初めに、通信装置2がネットワーク管理マスタNWMに設定されている。また、通信装置1の優先度は17、ネットワーク管理マスタである通信装置2の優先度は22であるものとする。また、ネットワーク管理マスタである通信装置2には、閾値23として優先度15が設定されているものとする。なお、閾値23は、ネットワーク管理マスタのみが保持している。閾値23に設定される値の決め方は、システム依存であり、例えば、システム設計者により適切な値が決定される。閾値23は、エンジニアリングツールといった方式を用いて、ネットワーク管理マスタに設定される。このように、ネットワーク管理マスタのメモリ921には、予め閾値23が記憶されている。
ステップS11において、通信装置1からAnnounceがグランドマスタ調停メッセージとして送信される。グランドマスタ調停メッセージは、グランドマスタを選出するために用いられるメッセージである。グランドマスタ調停メッセージには、グランドマスタの候補となる通信装置の優先度がパラメータとして含まれる。ここでは、Announceには、通信装置1の優先度17が設定されている。次に、ステップS12において、通信装置2からAnnounceがグランドマスタ調停メッセージとして送信される。ここでは、Announceには、通信装置2の優先度22が設定されている。このように、通信装置1と通信装置2の間でグランドマスタ調停メッセージを送受信することによりグランドマスタ調停が実行される。ステップS13において、グランドマスタ調停が完了し、通信装置1がグランドマスタGMに設定される。
ステップS14において、通信装置2がネットワーク管理マスタであるため、通信装置2は、ネットワーク設定メッセージNWConfigを送信する。以下において、ネットワーク設定メッセージNWConfigを単にNWConfigとして説明する場合がある。ネットワーク設定メッセージは、グランドマスタである他の通信装置の優先度に設定する閾値を含む。ここでは、NWConfigには、グランドマスタである通信装置1の優先度に閾値の値15を設定するという情報が含まれる。閾値は、現在のグランドマスタの優先度より優先度が高いことを示す値である。具体的には、現在のグランドマスタの優先度17より優先度が高い15が、NWConfigに含まれる。
ステップS15において、通信装置1の優先度が17から15に引き上げられる。
ステップS16において、通信装置3が新規参入する。通信装置3の優先度は16である。ステップS17およびステップS18において、ステップS11およびステップS12と同様に、グランドマスタ調停メッセージが送受信される。通信装置3の優先度が16であり、グランドマスタである通信装置1の優先度が15であるため、ステップS19において、グランドマスタは通信装置1のままである。
ステップS20において、通信装置4が新規参入する。通信装置4の優先度は14である。ステップS21およびステップS22において、ステップS17およびステップS18と同様に、グランドマスタ調停メッセージが送受信される。通信装置4の優先度が14あり、グランドマスタである通信装置1の優先度が15である。よって、ステップS23において、通信装置3からAnnounceがグランドマスタ調停メッセージとして送信される。さらに、ステップS24において、通信装置2からAnnounceがグランドマスタ調停メッセージとして送信される。ここでは、Announceには、通信装置4の優先度14が設定されている。このようなグランドマスタ調停により、ステップS25において、通信装置4がグランドマスタに設定される。
以上のように、本実施の形態に係る通信システム500では、ネットワーク管理マスタが、ネットワーク設定メッセージを用いて、グランドマスタになった通信装置のグランドマスタの優先度を閾値まで引き上げる。これにより、閾値より低い優先度の通信装置が通信システムに参入してもその通信装置にグランドマスタが切り替わることを防げる。一方、閾値以上の優先度の通信装置が通信システムに参入した場合は、その通信装置にグランドマスタが切り替わる。
次に、本実施の形態に係る通信装置100の動作について説明する。
図5は、本実施の形態に係るネットワーク管理マスタである通信装置100の動作フロー図である。図5を用いて、通信装置100がネットワーク管理マスタである場合のネットワーク管理処理S100について説明する。
ステップS101およびステップS102において、通信装置100は、ネットワーク管理マスタ調停が完了するまで待ち状態となる。ネットワーク管理マスタ調停は、通信システム500において、ネットワーク管理マスタを決定する処理である。
ここで、ネットワーク管理マスタの決定方法は任意である。具体的には、以下のような決定方法がある。
(1)ネットワーク管理マスタ候補の通信装置間において、ネットワーク管理マスタ調停が実施される。
(2)通信装置間で管理マスタ調停メッセージがやり取りされ、管理マスタ調停メッセージに格納されている優先度が最も高い通信装置がネットワーク管理マスタになる。
ステップS103において、通信装置100の管理判定部110は、通信装置100がネットワーク管理マスタであるか否かを判定する。具体的には、管理判定部110は、ネットワーク管理マスタ調停の結果に基づいて、通信装置100がネットワーク管理マスタであるか否かを判定する。通信装置100がネットワーク管理マスタであれば、ステップS104に進む。通信装置100がネットワーク管理マスタでなければ、ネットワークスレーブ処理S200に進む。
ステップS104およびステップS105において、通信装置100は、グランドマスタ調停が完了するまで待ち状態となる。グランドマスタ調停は、通信システム500において、グランドマスタを決定する処理である。
図6は、本実施の形態に係るグランドマスタ調停メッセージを受信した際の通信装置100の動作フロー図である。図6を用いて、グランドマスタ調停処理S300について説明する。
通信装置100は、自装置の優先度を装置優先度21としてメモリ921に記憶するとともに、グランドマスタの優先度をグランドマスタ優先度22としてメモリ921に記憶している。
調停部140は、グランドマスタ調停メッセージを受信すると、グランドマスタ調停メッセージに含まれる優先度とグランドマスタ優先度22と比較するグランドマスタ優先度比較処理を実行することにより、グランドマスタ調停を行う。
ステップS301およびステップS302において、調停部140は、グランドマスタ調停メッセージを受信するまで待ち状態となる。
ステップS303において、調停部140は、グランドマスタ調停メッセージを受信すると、グランドマスタ優先度比較処理を行う。具体的には、調停部140は、グランドマスタ調停メッセージに含まれる優先度と、メモリ921のグランドマスタ優先度22とを比較し、グランドマスタ調停を行う。グランドマスタ優先度比較処理はIEEE802.1AS、あるいは、IEEE1588で規定している方法で実行される。グランドマスタ優先度比較処理が終わると、ステップS301に戻る。
次に図5に戻り説明を続ける。
ステップS106において、グランドマスタ判定部120は、通信装置100がグランドマスタであるか否かを判定する。具体的には、グランドマスタ判定部120は、グランドマスタ調停の結果に基づいて、通信装置100がグランドマスタであるか否かを判定する。通信装置100がグランドマスタであれば、ステップS107に進む。通信装置100がグランドマスタでなければ、ネットワークスレーブ処理S108に進む。
ステップS107は、通信装置100が、ネットワーク管理マスタであり、かつ、グランドマスタである場合の処理である。このとき、設定部130は、自装置の優先度である装置優先度21に、現在のグランドマスタの優先度より優先度が高いことを示す閾値23を設定する。具体的には、設定部130は、自装置の優先度を設定する装置優先度21に閾値23を設定する。
また、ステップS108は、通信装置100が、ネットワーク管理マスタであり、かつ、グランドマスタでない場合の処理である。このとき、設定部130は、グランドマスタである他の通信装置の優先度に設定する閾値23を含むネットワーク設定メッセージを送信する。具体的には、設定部130は、メモリ921から閾値23を読み出す。設定部130は、ネットワーク設定メッセージにメモリ921から読み出した閾値23を設定し、グランドマスタに送信する。図4の例では、通信装置2が、ネットワーク管理マスタであり、かつ、グランドマスタでない通信装置である。よって、図4のステップS14において、通信装置2の設定部130は、ネットワーク設定メッセージNWConfigに、グランドマスタの優先度として15を設定し、グランドマスタである通信装置1に送信している。
以上で、ネットワーク管理処理S100を終了する。
図7は、本実施の形態に係るネットワーク管理マスタ以外の通信装置100がネットワーク設定メッセージを受信した際の動作フロー図である。図7を用いて、通信装置100がネットワーク管理マスタ以外である場合のネットワークスレーブ処理S200について説明する。
ステップS201およびステップS202において、通信装置100は、ネットワーク設定メッセージを受信するまで待ち状態となる。通信装置100は、通信システム500の他の通信装置からネットワーク設定メッセージを受信すると、ステップS203に進む。
ステップS203において、グランドマスタ判定部120は、通信装置100がグランドマスタであるか否かを判定する。通信装置100がグランドマスタであれば、ステップS204に進む。通信装置100がグランドマスタでなければ、ステップS205に進む。通信装置100がグランドマスタであるか否かを判定する処理は、図5のステップS106と同様である。
ステップS204において、設定部130は、装置優先度21にネットワーク設定メッセージに含まれる閾値を設定するとともに、グランドマスタ優先度22にネットワーク設定メッセージに含まれる閾値を設定する。具体的には、設定部130は、ネットワーク設定メッセージに格納されたグランドマスタ優先度情報の閾値の値まで、通信装置100のグランドマスタ優先度の値を引き上げる。設定完了後、設定部130は、ステップS201のネットワーク設定メッセージ受信待ちに戻る。
図4の例では、通信装置1が、ネットワーク管理マスタ以外であり、かつ、グランドマスタである。そして、ネットワーク管理マスタである通信装置2は、ネットワーク設定メッセージNWConfigに、グランドマスタの優先度の閾値として15を設定し、グランドマスタである通信装置1に送信している。通信装置1は、ネットワーク設定メッセージNWConfigを受け取ると、優先度を15に引き上げる。
設定部130は、通信装置100がネットワーク管理マスタでなく、かつ、グランドマスタでない場合に、ネットワーク設定メッセージを受信すると、グランドマスタ優先度22にネットワーク設定メッセージに含まれる閾値を設定してもよい。これは、グランドマスタ優先度22は、上述したように、通信システム500のグランドマスタの優先度を示しているからである。
具体的には、ステップS205において、設定部130は、グランドマスタ優先度22にネットワーク設定メッセージに含まれる閾値を設定するか否かを判定する。つまり、設定部130は、グランドマスタ優先度22を更新するか否かを判定する。更新する場合はステップS206に進む。更新しない場合は、ステップS201に戻る。ここで、スレーブの通信装置がグランドマスタ優先度を更新するか否かは、通信装置に依存する。スレーブの通信装置がグランドマスタ優先度を更新しなくても、プロトコルとしての問題は生じない。しかし、グランドマスタでない通信装置が認識しているグランドマスタ優先度をネットワーク設定メッセージで引き上げたほうが、優先度を引き上げたグランドマスタから再度BMCAを実施するより、早く優先度を更新できる。
ステップS206において、設定部130は、グランドマスタ優先度22にネットワーク設定メッセージに含まれる閾値を設定する。その後、処理はステップS201に戻る。
***他の構成***
本実施の形態では、管理判定部110とグランドマスタ判定部120と設定部130と調停部140の機能がソフトウェアで実現される。変形例として、管理判定部110とグランドマスタ判定部120と設定部130と調停部140の機能がハードウェアで実現されてもよい。
通信装置100は、図2および図3のプロセッサ910に替えて電子回路を備えていてもよい。電子回路は、管理判定部110とグランドマスタ判定部120と設定部130と調停部140の機能を実現する専用の電子回路である。
電子回路は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、または、FPGAである。GAは、Gate Arrayの略語である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略語である。FPGAは、Field−Programmable Gate Arrayの略語である。
管理判定部110とグランドマスタ判定部120と設定部130と調停部140の機能は、1つの電子回路で実現されてもよいし、複数の電子回路に分散して実現されてもよい。
別の変形例として、管理判定部110とグランドマスタ判定部120と設定部130と調停部140の一部の機能が電子回路で実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。
プロセッサと電子回路の各々は、プロセッシングサーキットリとも呼ばれる。つまり、通信装置100において、管理判定部110とグランドマスタ判定部120と設定部130と調停部140の機能は、プロセッシングサーキットリにより実現される。
***本実施の形態の効果の説明***
本実施の形態に係る通信システム500は、ネットワーク管理マスタがグランドマスタにグランドマスタの優先度を閾値の値まで引き上げる設定機能を有する。よって、本実施の形態に係る通信システム500によれば、閾値より低い優先度の通信装置が新規参入した場合、この通信装置がグランドマスタに切り替わることを防止する。また、本実施の形態に係る通信システム500によれば、閾値以上の優先度を持つ通信装置が新規参入した場合は、この通信装置がグランドマスタに切り替わることを許容する。
このように、本実施の形態に係る通信システム500では、優先度が閾値よりも低い通信装置が参入してきた場合は、グランドマスタと認識されず、優先度が閾値以上の通信装置が参入してきた場合は、新規参入の通信装置がグランドマスタと認識される。よって、本実施の形態に係る通信システム500によれば、ある程度の優先度まではグランドマスタの切り替えを行わず、優先度が高い通信装置が参入してきた場合には、その通信装置に時刻同期できる。よって、本実施の形態に係る通信システム500によれば、意図しないグランドマスタの切り替えを防止しつつ、優先度が高い通信装置が参入してきた場合には、その通信装置に時刻同期できるという効果を奏する。
以上の実施の形態1では、通信装置の各部を独立した機能ブロックとして説明した。しかし、通信装置の構成は、上述した実施の形態のような構成でなくてもよい。通信装置の機能ブロックは、上述した実施の形態で説明した機能を実現することができれば、どのような構成でもよい。また、通信装置は、1つの装置でなく、複数の装置から構成されたシステムでもよい。
また、実施の形態1のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、この実施の形態のうち、1つの部分を実施しても構わない。その他、この実施の形態を、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施しても構わない。
すなわち、実施の形態1では、実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
なお、上述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明の範囲、本発明の適用物の範囲、および本発明の用途の範囲を制限することを意図するものではない。上述した実施の形態は、必要に応じて種々の変更が可能である。
11 割り込み制御部、12 送信部、13 時分割制御部、14 受信部、15 同期制御部、16 データ調停部、17,18 ネットワークインタフェース、21 装置優先度、22 グランドマスタ優先度、23 閾値、100 通信装置、110 管理判定部、120 グランドマスタ判定部、130 設定部、140 調停部、500,501 通信システム、900 マイクロコンピュータ、910 プロセッサ、921 メモリ、922 補助記憶装置、930 入力インタフェース、940 出力インタフェース、950 通信制御部、961,962 ネットワークポート、970 システムクロック、Announce グランドマスタ調停メッセージ、NWConfig ネットワーク設定メッセージ、Sync 同期メッセージ、GM グランドマスタ、NWM ネットワーク管理マスタ。

Claims (8)

  1. 複数の通信装置を備えた通信システムであって、前記複数の通信装置のうちのいずれかの通信装置が、前記複数の通信装置の時刻の基準となるグランドマスタに設定され、前記複数の通信装置のうちのいずれかの通信装置が、前記グランドマスタの優先度を設定するネットワーク管理マスタに設定される通信システムに含まれる通信装置において、
    前記通信装置が前記ネットワーク管理マスタであるか否かを判定する管理判定部と、
    前記通信装置が前記グランドマスタであるか否かを判定するグランドマスタ判定部と、
    前記通信装置が前記ネットワーク管理マスタであり、かつ、前記グランドマスタである場合、前記通信装置の優先度に、現在のグランドマスタの優先度より優先度が高いことを示す閾値を設定し、前記通信装置が前記ネットワーク管理マスタであり、かつ、前記グランドマスタでない場合、前記グランドマスタである他の通信装置の優先度に設定する前記閾値を含むネットワーク設定メッセージを送信する設定部と
    を備えた通信装置。
  2. 前記グランドマスタ判定部は、
    前記通信システムの他の通信装置からネットワーク設定メッセージを受信すると、前記通信装置が前記グランドマスタであるか否かを判定し、
    前記設定部は、
    前記通信装置が前記グランドマスタの場合、前記通信装置の優先度に前記ネットワーク設定メッセージに含まれる前記閾値を設定する請求項1に記載の通信装置。
  3. 前記通信装置は、
    前記通信装置の優先度を装置優先度としてメモリに記憶するとともに、前記グランドマスタの優先度をグランドマスタ優先度としてメモリに記憶し、
    前記設定部は、
    前記通信装置が前記グランドマスタの場合、前記装置優先度に前記ネットワーク設定メッセージに含まれる前記閾値を設定するとともに、前記グランドマスタ優先度に前記ネットワーク設定メッセージに含まれる前記閾値を設定する請求項2に記載の通信装置。
  4. 前記設定部は、
    前記通信装置が前記グランドマスタでない場合、前記グランドマスタ優先度に前記ネットワーク設定メッセージに含まれる前記閾値を設定するか否かを判定し、前記閾値を設定すると判定した場合に、前記グランドマスタ優先度に前記ネットワーク設定メッセージに含まれる前記閾値を設定する請求項3に記載の通信装置。
  5. 前記通信装置は、
    前記グランドマスタを選出するためのグランドマスタ調停メッセージであって前記グランドマスタの候補となる通信装置の優先度を含むグランドマスタ調停メッセージを送受信することによりグランドマスタ調停を実行する調停部を備え、
    前記調停部は、
    前記グランドマスタ調停メッセージを受信すると、前記グランドマスタ調停メッセージに含まれる優先度と前記グランドマスタ優先度と比較するグランドマスタ優先度比較処理を実行することにより、前記グランドマスタ調停を行う請求項3または4に記載の通信装置。
  6. 複数の通信装置を備えた通信システムであって、前記複数の通信装置のうちのいずれかの通信装置が、前記複数の通信装置の時刻の基準となるグランドマスタに設定され、前記複数の通信装置のうちのいずれかの通信装置が、前記グランドマスタの優先度を設定するネットワーク管理マスタに設定される通信システムにおいて、
    前記複数の通信装置に含まれる通信装置は、
    前記通信装置が前記ネットワーク管理マスタであるか否かを判定する管理判定部と、
    前記通信装置が前記グランドマスタであるか否かを判定するグランドマスタ判定部と、
    前記通信装置が前記ネットワーク管理マスタであり、かつ、前記グランドマスタである場合、前記通信装置の優先度に、現在のグランドマスタの優先度より優先度が高いことを示す閾値を設定し、前記通信装置が前記ネットワーク管理マスタであり、かつ、前記グランドマスタでない場合、前記グランドマスタである他の通信装置の優先度に設定する前記閾値を含むネットワーク設定メッセージを送信する設定部と
    を備えた通信システム。
  7. 複数の通信装置を備えた通信システムであって、前記複数の通信装置のうちのいずれかの通信装置が、前記複数の通信装置の時刻の基準となるグランドマスタに設定され、前記複数の通信装置のうちのいずれかの通信装置が、前記グランドマスタの優先度を設定するネットワーク管理マスタに設定される通信システムに含まれる通信装置の通信方法において、
    管理判定部が、前記通信装置が前記ネットワーク管理マスタであるか否かを判定し、
    グランドマスタ判定部が、前記通信装置が前記グランドマスタであるか否かを判定し、
    設定部が、前記通信装置が前記ネットワーク管理マスタであり、かつ、前記グランドマスタである場合、前記通信装置の優先度に、現在のグランドマスタの優先度より優先度が高いことを示す閾値を設定し、前記通信装置が前記ネットワーク管理マスタであり、かつ、前記グランドマスタでない場合、前記グランドマスタである他の通信装置の優先度に設定する前記閾値を含むネットワーク設定メッセージを送信する通信方法。
  8. 複数の通信装置を備えた通信システムであって、前記複数の通信装置のうちのいずれかの通信装置が、前記複数の通信装置の時刻の基準となるグランドマスタに設定され、前記複数の通信装置のうちのいずれかの通信装置が、前記グランドマスタの優先度を設定するネットワーク管理マスタに設定される通信システムに含まれる通信装置の通信プログラムにおいて、
    前記通信装置が前記ネットワーク管理マスタであるか否かを判定する管理判定処理と、
    前記通信装置が前記グランドマスタであるか否かを判定するグランドマスタ判定処理と、
    前記通信装置が前記ネットワーク管理マスタであり、かつ、前記グランドマスタである場合、前記通信装置の優先度に、現在のグランドマスタの優先度より優先度が高いことを示す閾値を設定し、前記通信装置が前記ネットワーク管理マスタであり、かつ、前記グランドマスタでない場合、前記グランドマスタである他の通信装置の優先度に設定する前記閾値を含むネットワーク設定メッセージを送信する設定処理と
    をコンピュータである前記通信装置に実行させる通信プログラム。
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