JP6800257B2 - 燃料電池スタック及び燃料電池スタックの組立方法 - Google Patents
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Description
本発明は、燃料電池スタック及び燃料電池スタックの組立方法に関する。
例えば、特許文献1には、複数の単位セルが互いに積層された積層体と、積層体の積層方向の両端に配設された金属製のエンドプレートとを備えた燃料電池スタックが開示されている。各単位セルには、位置決めピン(ノックピン)が挿通する位置決め孔が形成されている。位置決めピンは、エンドプレートに形成された孔に配置された樹脂製のカラー部材の挿入孔に挿入されている。
ところで、位置決めピンをカラー部材に対して螺合するように構成した場合、位置決めピンをカラー部材に螺合する際に、位置決めピンのねじ締付方向に沿ってカラー部材がエンドプレートに対して回転する(供回りする)おそれがある。
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、位置決めピンをカラー部材に対して効率的に取り付けることができる燃料電池スタック及び燃料電池スタックの組立方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、複数の単位セルが互いに積層されて構成された積層体と、前記積層体の積層方向の両端に配設された金属製のエンドプレートと、前記複数の単位セルのそれぞれに設けられた位置決め孔に挿通して前記複数の単位セルを位置決めする位置決めピンと、を備えた燃料電池スタックであって、前記エンドプレートに設けられて前記位置決めピンが螺合する絶縁性のカラー部材と、前記位置決めピンのねじ締付方向に沿った前記カラー部材の前記エンドプレートに対する回転を規制する回転規制機構と、を備える、燃料電池スタックである。
本発明の他の態様は、複数の単位セルが互いに積層されて構成された積層体と、前記積層体の積層方向の両端に配設された金属製のエンドプレートと、前記複数の単位セルのそれぞれに設けられた位置決め孔に挿通して前記複数の単位セルを位置決めする位置決めピンと、を備えた燃料電池スタックの組立方法であって、前記エンドプレートに設けられた絶縁性のカラー部材に前記位置決めピンを螺合する螺合工程と、前記螺合工程の後で、前記位置決め孔に前記位置決めピンを通しながら前記複数の単位セルを互いに積層する積層工程と、を含み、前記螺合工程では、前記位置決めピンのねじ締付方向に沿った前記カラー部材の前記エンドプレートに対する回転が回転規制機構によって規制されている、燃料電池スタックの組立方法である。
本発明によれば、回転規制機構によって、位置決めピンのねじ締付方向に沿ったカラー部材のエンドプレートに対する回転が規制されている。そのため、位置決めピンをカラー部材に螺合する際に、カラー部材が位置決めピンと供回りすることを抑えることができる。これにより、位置決めピンをカラー部材に対して効率的に取り付けることができる。
以下、本発明に係る燃料電池スタック及び燃料電池スタックの組立方法について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る燃料電池スタック10は、複数の単位セル12(発電セル)が互いに積層されて構成された積層体14を備える。燃料電池スタック10は、図示しない燃料電池自動車に搭載される。ただし、燃料電池スタック10は、定置型としても用いることができる。
図1及び図2において、積層体14の積層方向(矢印A方向)の一端には、ターミナルプレート16a、インシュレータ18a及びエンドプレート20aが、外方に向かって、順次、配設される。積層体14の積層方向の他端には、ターミナルプレート16b、インシュレータ18b及びエンドプレート20bが、外方に向かって、順次、配設される。
つまり、一組のエンドプレート20a、20bは、複数の積層体14の積層方向の両端に位置している。エンドプレート20aの略中央部には、ターミナルプレート16aに接続されるとともに積層方向外方に延出した出力端子22aが設けられている。エンドプレート20bの略中央部には、ターミナルプレート16bに接続されるとともに積層方向外方に延出した出力端子22bが設けられている。
図1に示すように、各エンドプレート20a、20bは、金属製であり、横長の長方形状を有する。エンドプレート20a、20bの各辺間には、連結部材24(連結バー)が配置される。各連結部材24の両端は、ボルト26によりエンドプレート20a、20bの内面20ai、20biに固定されている。これにより、連結部材24は、積層体14に積層方向(矢印A方向)の締め付け荷重を付与する。
燃料電池スタック10は、積層体14を積層方向と直交する方向から覆うカバー部28を備えている。カバー部28は、エンドプレート20a、20bの長辺側に設けられた横長プレート形状の一組のサイドパネル30a、30bと、エンドプレート20a、20bの短辺側に設けられた横長プレート形状の一組のサイドパネル30c、30dとを有する。各サイドパネル30a〜30dは、ボルト32によりエンドプレート20a、20bの側面に固定されている。カバー部28は、鋳造又は押出材により一体的に成形してもよい。カバー部28は、必要に応じて用いればよく、不要にすることもできる。
図3に示すように、単位セル12は、MEA34(電解質膜・電極構造体)と、MEA34を挟持する第1セパレータ36a及び第2セパレータ36bとを備えている。
単位セル12の長辺方向である矢印B方向の一端縁部には、酸化剤ガス入口連通孔38a、冷却媒体入口連通孔40a及び燃料ガス出口連通孔42bが矢印C方向に沿って設けられる。酸化剤ガス入口連通孔38aは、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給する。冷却媒体入口連通孔40aは、純水、エチレングリコール、オイル等の冷却媒体を供給する。燃料ガス出口連通孔42bは、水素含有ガス等の燃料ガスを排出する。
各単位セル12に設けられた酸化剤ガス入口連通孔38aは、積層方向(矢印A方向)に互いに連通する。各単位セル12に設けられた冷却媒体入口連通孔40aは、積層方向に互いに連通する。各単位セル12に設けられた燃料ガス出口連通孔42bは、積層方向に互いに連通する。
単位セル12の矢印B方向の他端縁部には、燃料ガス入口連通孔42a、冷却媒体出口連通孔40b及び酸化剤ガス出口連通孔38bが矢印C方向に沿って設けられる。燃料ガス入口連通孔42aは、燃料ガスを供給する。冷却媒体出口連通孔40bは、冷却媒体を排出する。酸化剤ガス出口連通孔38bは、酸化剤ガスを排出する。
各単位セル12に設けられた燃料ガス入口連通孔42aは、積層方向に互いに連通する。各単位セル12に設けられた冷却媒体出口連通孔40bは、積層方向に互いに連通する。各単位セル12に設けられた酸化剤ガス出口連通孔38bは、積層方向に互いに連通する。
なお、酸化剤ガス入口連通孔38a及び酸化剤ガス出口連通孔38bと燃料ガス入口連通孔42a及び燃料ガス出口連通孔42bと冷却媒体入口連通孔40a及び冷却媒体出口連通孔40bとのそれぞれは、インシュレータ18a及びエンドプレート20aにも形成されている(図1参照)。
酸化剤ガス入口連通孔38a及び酸化剤ガス出口連通孔38bと燃料ガス入口連通孔42a及び燃料ガス出口連通孔42bと冷却媒体入口連通孔40a及び冷却媒体出口連通孔40bとの配置は、本実施形態に限定されるものではなく、要求される仕様に応じて、適宜設定すればよい。
第1セパレータ36aのMEA34に向かう面36aaには、酸化剤ガス入口連通孔38aと酸化剤ガス出口連通孔38bとに連通する酸化剤ガス流路44が設けられる。酸化剤ガス流路44は、矢印B方向に延在する複数の酸化剤ガス流路溝を有する。
第2セパレータ36bのMEA34に向かう面36baには、燃料ガス入口連通孔42aと燃料ガス出口連通孔42bとに連通する燃料ガス流路46が設けられる。燃料ガス流路46は、矢印A方向に延在する複数の燃料ガス流路溝を有する。
第1セパレータ36aと第2セパレータ36bとは、互いに対向する面36ab、36bb間に冷却媒体流路48を一体的に形成する。冷却媒体流路48は、矢印B方向に延在する複数の冷却媒体流路溝を有する。
MEA34は、例えば、水分を含んだパーフルオロスルホン酸の薄膜である電解質膜50(固体高分子電解質膜)と、電解質膜50を挟持するカソード電極52及びアノード電極54とを有する。
電解質膜50は、フッ素系電解質の他、HC(炭化水素)系電解質を使用してもよい。電解質膜50は、カソード電極52及びアノード電極54よりも大きな平面寸法(外形寸法)を有する。すなわち、電解質膜50は、カソード電極52及びアノード電極54よりも外周側に突出している。
カソード電極52は、電解質膜50の一方の面50aに接合されている。アノード電極54は、電解質膜50の他方の面50bに接合されている。カソード電極52及びアノード電極54のそれぞれは、電極触媒層とガス拡散層とを含む。電極触媒層は、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子とイオン導電成分を含むペーストが、ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される。ガス拡散層は、カーボンペーパ、カーボンクロス等からなる。
なお、MEA34は、電解質膜50の平面寸法をカソード電極52及びアノード電極54の平面寸法よりも小さく形成し、カソード電極52の外周縁部とアノード電極54の外周縁部との間に枠形状を有する樹脂フィルム(樹脂枠部材)を挟持するように構成してもよい。
第1セパレータ36a及び第2セパレータ36bは、反応ガスの流通方向が長辺側になるように長方形状(四角形状)に形成されている。第1セパレータ36a及び第2セパレータ36bは、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属薄板の断面を波形にプレス成形して構成される。第1セパレータ36aと第2セパレータ36bとは、面36abと面36bbを対向させた状態で外周を溶接、ろう付け、かしめ等により一体に接合される。
第1セパレータ36aには、第1シールライン58aがMEA34に向かって膨出成形されている。第1シールライン58aは、第1セパレータ36aの外周部を周回することにより、第1セパレータ36aとMEA34との間から流体(燃料ガス、酸化剤ガス及び冷却媒体)が外部に漏出することを防止する。すなわち、第1シールライン58aは、その突出端面が電解質膜50に直接接触して弾性変形することによりシールするメタルビードシールとして構成されている。ただし、第1シールライン58aは、弾性を有するゴムシール部材で形成されていてもよい。
第2セパレータ36bには、第2シールライン58bがMEA34に向かって膨出成形されている。第2シールライン58bは、第2セパレータ36bの外周部を周回することにより、第2セパレータ36bとMEA34との間から流体(燃料ガス、酸化剤ガス及び冷却媒体)が漏出することを防止する。すなわち、第2シールライン58bは、その突出端面が電解質膜50の面50bに直接接触して弾性変形することによりシールするメタルビードシールとして構成されている。ただし、第2シールライン58bは、弾性を有するゴムシール部材で形成されていてもよい。
第1セパレータ36aには、第1セパレータ36aの外周部から外方に突出する2つの凸部60a、60bが設けられている。凸部60aは、第1セパレータ36aの矢印C方向の一方の外縁部における矢印B方向の一端側(酸化剤ガス入口連通孔38a側)に位置する。凸部60bは、第1セパレータ36aの矢印C方向の他方の外縁部における矢印B方向の他端側(酸化剤ガス出口連通孔38b側)に位置する。
凸部60aの略中央部には、後述する位置決めピン70(図1及び図2参照)が挿通する位置決め孔62が形成されている。なお、図3では、位置決めピン70の図示を省略している。
図2及び図3に示すように、凸部60aは、板状に形成された支持部64と、支持部64を被覆する絶縁部66とを有する。支持部64は、金属材料、例えば、第1セパレータ36aと同じ材料によって形成される。支持部64は、第1セパレータ36aに対して溶接されている。ただし、支持部64は、第1セパレータ36aに対して一体成形されていてもよい。支持部64を被覆する絶縁部66には、位置決め孔62が形成されている。
絶縁部66は、樹脂等の電気的絶縁材料によって構成されている。絶縁部66は、支持部64のうち第1セパレータ36aから突出している部分を被覆する。位置決め孔62を形成する壁部は、絶縁部66(絶縁材料)によって構成されている。
凸部60bは、凸部60aと同様に構成されている。そのため、凸部60bの詳細な構成の説明については省略する。第2セパレータ36bには、第1セパレータ36aと同様に、2つの凸部60a、60bが設けられている。つまり、各単位セル12は、2つの凸部60aと、2つの凸部60bとを有する。
図2に示すように、燃料電池スタック10は、複数の単位セル12を互いに位置決めするための2本の位置決めピン70(ノックピン)を備える。位置決めピン70は、各単位セル12の凸部60a、60bの位置決め孔62に挿通している。図2の例では、位置決めピン70は、インシュレータ18a、18bの外側に位置している(インシュレータ18a、18bを貫通していない)が、インシュレータ18a、18bを貫通していてもよい。
位置決めピン70は、例えば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、マグネシウム等の金属材料により円柱状又は円筒状に形成されている。位置決めピン70の一端部には、エンドプレート20aに設けられた後述するカラー部材88に螺合する雄ねじ部70aが設けられている。位置決めピン70の他端部は、エンドプレート20bに設けられた第1支持部材72及び第2支持部材74に支持されている。
第1支持部材72及び第2支持部材74は、エンドプレート20bに形成された貫通孔76に挿入されている。貫通孔76は、段付き孔であって、小径孔76aと大径孔76bとを含む。小径孔76aは、エンドプレート20bの外面20boに開口する。大径孔76bは、小径孔76aに連通するとともにエンドプレート20bの内面20biに開口する。
第1支持部材72は、筒状に形成されている。つまり、第1支持部材72は、位置決めピン70の他端部が挿通される内孔72aを有する。第1支持部材72は、小径孔76aの一端側に挿入された円筒状の第1支持本体78と、第1支持本体78に設けられて大径孔76bに挿入された第1環状部80とを含む。第1環状部80は、第1支持本体78の軸方向の端部(積層体14が位置する側の端部)から径方向外方に延出している。
第2支持部材74は、有底筒状に形成されている。つまり、第2支持部材74は、位置決めピン70の他端部が挿入される凹部74aを有する。第2支持部材74は、小径孔76aの他端側に挿入された円筒状の第2支持本体82と、第2支持本体82に設けられた第2環状部84とを含む。第2支持本体82の一端面は、第1支持本体78の端面に近接している。第2支持本体82の他端側(底部側)は、エンドプレート20bの外側に位置して位置決めピン70の他端を覆っている。第2環状部84は、第2支持本体82の軸方向の略中央部から径方向外方に延出している。第2環状部84は、エンドプレート20bの外面20boに接触している。
図2、図4A及び図4Bに示すように、燃料電池スタック10は、エンドプレート20aに形成された貫通孔86に挿入されたカラー部材88と、回転規制機構90とを備える。
貫通孔86は、段付き孔であって、小径の挿入孔86aと大径のフランジ孔86bとを含む。挿入孔86aは、エンドプレート20aの外面20aoに開口する。フランジ孔86bは、挿入孔86aに連通するとともにエンドプレート20aの内面20aiに開口する。カラー部材88は、絶縁材料(電気的絶縁性を有する材料)により構成されている。カラー部材88は、円柱状のカラー本体92と、カラー本体92に設けられたフランジ部94とを有する。
カラー本体92は、挿入孔86aに挿入されている。カラー本体92の端面92aは、エンドプレート20aの外面20aoに対して面一である(図2参照)。ただし、カラー本体92の端面92aは、エンドプレート20aの外面20aoよりも積層体14の積層方向内側に位置していてもよいし、エンドプレート20aの外面20aoよりも積層体14の積層方向外側に位置していてもよい。カラー本体92の外径は、挿入孔86aの内径(孔径)と略一致する。カラー本体92は、円筒状に形成されていてもよい。
フランジ部94は、フランジ孔86bに挿入されている。フランジ部94は、カラー本体92の軸方向の端部(積層体14が位置する側の端部)から径方向外方に突出するとともに円環状に延在している。フランジ部94の外面94aの略中央には、位置決めピン70の雄ねじ部70aが螺合する雌ねじ部96(ねじ穴)が形成されている。
回転規制機構90は、位置決めピン70のねじ締付方向(図4Bの矢印の方向)に沿ったカラー部材88のエンドプレート20aに対する回転を規制する。回転規制機構90は、カラー本体92の外周面から径方向外方に突出した突起98と、挿入孔86aを形成する壁面に形成された溝100とを含む。
突起98のカラー本体92からの突出長は、フランジ部94のカラー本体92からの突出長よりも短い。突起98の突出長は、任意に設定可能である。突起98は、直方体形状に形成されており、フランジ部94からカラー本体92の端面92aに向かって延びている。
すなわち、図4Bにおいて、突起98の横断面は、四角形状に形成されている。突起98は、雌ねじ部96の径方向外方に位置している(図2参照)。突起98のうち位置決めピン70のねじ締付方向に位置する部位には、第1当接面102が形成されている。第1当接面102は、平坦に形成されている。
図2、図4A及び図4Bに示すように、溝100は、カラー本体92の軸線方向に沿って延在するとともに突起98が挿入されている。溝100は、突起98の形状に対応した形状(直方体形状)を有する。図4Bにおいて、溝100を形成する壁部には、第1当接面102に当接した第2当接面104が形成されている。第2当接面104は、平坦に形成され、第1当接面102と平行に延在している。
突起98及び溝100の形状は、任意に設定可能である。突起98の横断面は、三角形状又は多角形状(四角形状以外)であってもよい。また、溝100は、突起98が挿入可能であれば(カラー本体92の回転を規制できれば)、突起98に対応した形状に形成されていなくてもよい。さらに、突起98が溝100に挿入可能であれば、突起98及び溝100のカラー本体92の周方向の位相は特に限定されない。
次に、このように構成される燃料電池スタック10の組立方法について説明する。
燃料電池スタック10の組立方法では、図5に示す配置工程、螺合工程、積層工程が順番に行われる。
配置工程では、図6に示すように、基台106にエンドプレート20aを配置するとともにカラー部材88を貫通孔86に挿入する。この際、エンドプレート20aの内面20aiは、上方(基台106とは反対方向)を向く。
螺合工程では、位置決めピン70の雄ねじ部70aをカラー部材88の雌ねじ部96に螺合する。この際、カラー部材88には、図4Bに示す矢印の方向のねじ締付力が作用する。しかしながら、カラー部材88は、回転規制機構90によって位置決めピン70のねじ締付方向に沿って回転が規制されている。カラー部材88は、突起98の第1当接面102が溝100の第2当接面104に当接しているため、位置決めピン70のねじ締付方向に回らない。従って、作業者(ユーザ)は、位置決めピン70をカラー部材88に効率的に取り付けることができる。
積層工程では、図7に示すように、エンドプレート20aの内面20aiに重ねられたインシュレータ18a及びターミナルプレート16aに対して複数の単位セル12を積層する。具体的には、単位セル12の位置決め孔62に位置決めピン70を通しながら単位セル12をエンドプレート20a側に移動させる。
積層工程が完了すると、積層体14の他端側にターミナルプレート16b及びインシュレータ18b及びエンドプレート20bを重ね、位置決めピン70の他端部を第1支持部材72の内孔72a及び第2支持部材74の凹部74a内に挿入する(図2参照)。その後、連結部材24によって、積層体14に締付荷重が付与され、燃料電池スタック10の組立が完了する。
次に、燃料電池スタック10の動作について説明する。
まず、図1に示すように、酸化剤ガスは、エンドプレート20aの酸化剤ガス入口連通孔38aに供給される。燃料ガスは、エンドプレート20aの燃料ガス入口連通孔42aに供給される。冷却媒体は、エンドプレート20aの冷却媒体入口連通孔40aに供給される。
酸化剤ガスは、図3に示すように、酸化剤ガス入口連通孔38aから第1セパレータ36aの酸化剤ガス流路44に導入される。酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路44に沿って矢印B方向に移動し、電解質膜・電極構造体のカソード電極52に供給される。
一方、燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔42aから第2セパレータ36bの燃料ガス流路46に導入される。燃料ガスは、燃料ガス流路46に沿って矢印B方向に移動し、電解質膜・電極構造体のアノード電極54に供給される。
従って、各MEA34では、カソード電極52に供給される酸化剤ガスと、アノード電極54に供給される燃料ガスとが、電気化学反応により消費されて、発電が行われる。
次いで、カソード電極52に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔38bに沿って矢印A方向に排出される。同様に、アノード電極54に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔42bに沿って矢印A方向に排出される。
また、冷却媒体入口連通孔40aに供給された冷却媒体は、第1セパレータ36aと第2セパレータ36bとの間に形成された冷却媒体流路48に導入された後、矢印B方向に流通する。この冷却媒体は、MEA34を冷却した後、冷却媒体出口連通孔40bから排出される。
この場合、本実施形態に係る燃料電池スタック10及び燃料電池スタック10の組立方法は、以下の効果を奏する。
燃料電池スタック10は、エンドプレート20aに設けられて位置決めピン70が螺合する絶縁性のカラー部材88と、位置決めピン70のねじ締付方向に沿ったカラー部材88のエンドプレート20aに対する回転を規制する回転規制機構90と、を備える。
また、燃料電池スタック10の組立方法は、エンドプレート20aに設けられた絶縁性のカラー部材88に位置決めピン70を螺合する螺合工程と、螺合工程の後で、位置決め孔62に位置決めピン70を通しながら複数の単位セル12を互いに積層する積層工程と、を含む。螺合工程では、位置決めピン70のねじ締付方向に沿ったカラー部材88のエンドプレート20aに対する回転が回転規制機構90によって規制されている。
このように、回転規制機構90によって、位置決めピン70のねじ締付方向に沿ったカラー部材88のエンドプレート20aに対する回転が規制されている。そのため、位置決めピン70をカラー部材88に螺合する際に、カラー部材88が位置決めピン70と供回りすることを抑えることができる。これにより、位置決めピン70をカラー部材88に対して効率的に取り付けることができる。
カラー部材88は、エンドプレート20aに形成された挿入孔86aに挿入された円柱状又は円筒状のカラー本体92を有する。回転規制機構90は、カラー本体92の外周面から径方向外方に突出した突起98と、カラー本体92の軸線方向に沿って延在するとともに挿入孔86aを形成する壁面に形成され、突起98が挿入された溝100と、を含む。
このような構成によれば、突起98(突起98の第1当接面102)を溝100を形成する壁面(第2当接面104)に当接させることができる。よって、簡易な構成によって、位置決めピン70のねじ締付方向に沿ったカラー部材88のエンドプレート20aに対する回転を規制することができる。
複数の単位セル12のそれぞれは、電解質膜50の両側に電極(カソード電極52及びアノード電極54)が配設されてなる電解質膜・電極構造体(MEA34)と、電解質膜・電極構造体(MEA34)の両側に配設されたセパレータ(第1セパレータ36a及び第2セパレータ36b)と、セパレータ(第1セパレータ36a及び第2セパレータ36b)の外周部から外方に突出するとともに位置決め孔62が形成された凸部60a、60bと、を有する。
位置決め孔62を形成する壁部は、電気絶縁材料によって構成されている。
このような構成によれば、セパレータ(第1セパレータ36a及び第2セパレータ36b)と位置決めピン70とが電気的に導通することを防止することができる。
次に、第1〜第5変形例に係る回転規制機構90a〜90eについて説明する。
(第1変形例)
図8A及び図8Bに示すように、第1変形例に係る回転規制機構90aは、カラー本体92の外周面に形成された雄ねじ部110と、挿入孔86aを形成する壁面に形成されて雄ねじ部110に螺合する雌ねじ部112とを含む。カラー本体92のエンドプレート20aに対するねじ締付方向は、位置決めピン70のカラー部材88に対するねじ締付方向と同じである。
図8A及び図8Bに示すように、第1変形例に係る回転規制機構90aは、カラー本体92の外周面に形成された雄ねじ部110と、挿入孔86aを形成する壁面に形成されて雄ねじ部110に螺合する雌ねじ部112とを含む。カラー本体92のエンドプレート20aに対するねじ締付方向は、位置決めピン70のカラー部材88に対するねじ締付方向と同じである。
この場合、簡易な構成によって、位置決めピン70のねじ締付方向に沿ったカラー部材88のエンドプレート20aに対する回転を規制することができる。
(第2変形例)
図9A及び図9Bに示すように、第2変形例に係る回転規制機構90bは、カラー本体92に設けられたフランジ部114と、挿入孔86aに連通するフランジ孔116とを含む。フランジ部114は、長円形状に形成されている。フランジ部114は、カラー部材88の一部を構成する。フランジ孔116は、フランジ部114に対応した形状(長円形状)に形成されている。フランジ孔116は、貫通孔86の一部を構成する。
図9A及び図9Bに示すように、第2変形例に係る回転規制機構90bは、カラー本体92に設けられたフランジ部114と、挿入孔86aに連通するフランジ孔116とを含む。フランジ部114は、長円形状に形成されている。フランジ部114は、カラー部材88の一部を構成する。フランジ孔116は、フランジ部114に対応した形状(長円形状)に形成されている。フランジ孔116は、貫通孔86の一部を構成する。
フランジ部114及びフランジ孔116のそれぞれは、非円形状であれば長円形状でなくてもよい。つまり、フランジ部114及びフランジ孔116のそれぞれは、多角形状(例えば、三角形状、四角形状等)、楕円形状等であってもよい。
本変形例に係る回転規制機構90bは、カラー本体92に設けられた非円形状のフランジ部114と、挿入孔86aに連通するとともにフランジ部114が挿入されたフランジ孔116と、を含み、フランジ孔116は、フランジ部114に対応した形状を有する。
この場合、簡易な構成によって、位置決めピン70のねじ締付方向に沿ったカラー部材88のエンドプレート20aに対する回転を規制することができる。
(第3変形例)
図10A及び図10Bに示すように、第3変形例に係る回転規制機構90cは、フランジ部94からカラー本体92の軸線方向に沿って突出した1つの突出ピン118と、突出ピン118が挿入された孔120とを含む。突出ピン118は、フランジ部94のうちカラー本体92が位置する側の面94bから突出した円柱部である。突出ピン118は、カラー本体92から離間している。孔120は、カラー本体92の形状に対応した形状を有する。
図10A及び図10Bに示すように、第3変形例に係る回転規制機構90cは、フランジ部94からカラー本体92の軸線方向に沿って突出した1つの突出ピン118と、突出ピン118が挿入された孔120とを含む。突出ピン118は、フランジ部94のうちカラー本体92が位置する側の面94bから突出した円柱部である。突出ピン118は、カラー本体92から離間している。孔120は、カラー本体92の形状に対応した形状を有する。
突出ピン118及び孔120は、複数設けられていてもよい。突出ピン118及び孔120のそれぞれの形状、大きさ及び位置は、任意に設定可能である。突出ピン118は、フランジ部94に対して一体成形されていてもよいが、フランジ部94に接合されていてもよい。
本変形例に係る回転規制機構90cは、フランジ部94からカラー本体92の軸線方向に沿って突出した突出ピン118と、カラー本体92の軸線方向に沿って延在するようにエンドプレート20aに形成され、突出ピン118が挿入された孔120と、を含む。
この場合、簡易な構成によって、位置決めピン70のねじ締付方向に沿ったカラー部材88のエンドプレート20aに対する回転を規制することができる。
(第4変形例)
図11A及び図11Bに示すように、第4変形例に係る回転規制機構90dは、カラー部材88がエンドプレート20aに対して一体的に射出成形された一体成形部122を有する。すなわち、カラー部材88は、エンドプレート20aの挿入孔86aに対して一体的にアウトサート成形されている。
図11A及び図11Bに示すように、第4変形例に係る回転規制機構90dは、カラー部材88がエンドプレート20aに対して一体的に射出成形された一体成形部122を有する。すなわち、カラー部材88は、エンドプレート20aの挿入孔86aに対して一体的にアウトサート成形されている。
本変形例によれば、簡易な構成によって、位置決めピン70のねじ締付方向に沿ったカラー部材88のエンドプレート20aに対する回転を規制することができる。
(第5変形例)
図12A〜図13に示すように、第5変形例に係る回転規制機構90eは、カラー本体92の外周面から径方向外方に突出した複数(本実施形態では4つ)の突出部130を有する。複数の突出部130は、カラー本体92の周方向に等間隔に配置されている。突出部130は、カラー本体92の軸方向に沿って全長に亘って延在している。すなわち、突出部130は、フランジ部94に連結している。
図12A〜図13に示すように、第5変形例に係る回転規制機構90eは、カラー本体92の外周面から径方向外方に突出した複数(本実施形態では4つ)の突出部130を有する。複数の突出部130は、カラー本体92の周方向に等間隔に配置されている。突出部130は、カラー本体92の軸方向に沿って全長に亘って延在している。すなわち、突出部130は、フランジ部94に連結している。
突出部130は、その突出方向に向かって先細りの三角形状に形成されている。換言すれば、突出部130は、横断面が三角形状に形成されている。突出部130の突出長は、フランジ部94から離れるに従って徐々に低くなっている。
本変形例では、カラー本体92が挿入孔86aに圧入される。これにより、カラー本体92は、複数の突出部130が挿入孔86aを形成する壁面を変形させながら挿入孔86aに挿入される(図12B及び図13参照)。すなわち、突出部130は、挿入孔86aを形成する壁面に食い込む。
本変形例によれば、簡易な構成によって、位置決めピン70のねじ締付方向に沿ったカラー部材88のエンドプレート20aに対する回転を規制することができる。
本発明は、上述した構成に限定されない。位置決め孔62は、電解質膜・電極構造体(MEA34)及びセパレータ(第1セパレータ36a及び第2セパレータ36b)に形成されていてもよい。
本発明は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…燃料電池スタック 12…単位セル
14…積層体 20a、20b…エンドプレート
34…MEA(電解質膜・電極構造体)
36a…第1セパレータ 36b…第2セパレータ
60a、60b…凸部 62…位置決め孔
70…位置決めピン 86a…挿入孔
86b、116…フランジ孔 88…カラー部材
90、90a〜90e…回転規制機構 92…カラー本体
94、114…フランジ部 98…突起
100…溝 110…雄ねじ部
112…雌ねじ部 118…突出ピン
120…孔 122…一体成形部
14…積層体 20a、20b…エンドプレート
34…MEA(電解質膜・電極構造体)
36a…第1セパレータ 36b…第2セパレータ
60a、60b…凸部 62…位置決め孔
70…位置決めピン 86a…挿入孔
86b、116…フランジ孔 88…カラー部材
90、90a〜90e…回転規制機構 92…カラー本体
94、114…フランジ部 98…突起
100…溝 110…雄ねじ部
112…雌ねじ部 118…突出ピン
120…孔 122…一体成形部
Claims (9)
- 複数の単位セルが互いに積層されて構成された積層体と、前記積層体の積層方向の両端に配設された金属製のエンドプレートと、前記複数の単位セルのそれぞれに設けられた位置決め孔に挿通して前記複数の単位セルを位置決めする位置決めピンと、を備えた燃料電池スタックであって、
前記エンドプレートに設けられて前記位置決めピンが螺合する絶縁性のカラー部材と、
前記位置決めピンのねじ締付方向に沿った前記カラー部材の前記エンドプレートに対する回転を規制する回転規制機構と、を備える、燃料電池スタック。 - 請求項1記載の燃料電池スタックであって、
前記カラー部材は、前記エンドプレートに形成された挿入孔に挿入された円柱状又は円筒状のカラー本体を有し、
前記回転規制機構は、
前記カラー本体の外周面から径方向外方に突出した突起と、
前記カラー本体の軸線方向に沿って延在するとともに前記挿入孔を形成する壁面に形成され、前記突起が挿入された溝と、を含む、燃料電池スタック。 - 請求項1記載の燃料電池スタックであって、
前記カラー部材は、前記エンドプレートに形成された挿入孔に挿入された円柱状又は円筒状のカラー本体を有し、
前記回転規制機構は、
前記カラー本体の外周面に形成された雄ねじ部と、
前記挿入孔を形成する壁面に形成されて前記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部と、を含む、燃料電池スタック。 - 請求項1記載の燃料電池スタックであって、
前記カラー部材は、前記エンドプレートに形成された挿入孔に挿入された円柱状又は円筒状のカラー本体を有し、
前記回転規制機構は、
前記カラー本体に設けられた非円形状のフランジ部と、
前記挿入孔に連通するとともに前記フランジ部が挿入されたフランジ孔と、を含み、
前記フランジ孔は、前記フランジ部に対応した形状を有する、燃料電池スタック。 - 請求項1記載の燃料電池スタックであって、
前記カラー部材は、
前記エンドプレートに形成された挿入孔に挿入された円柱状又は円筒状のカラー本体と、
前記カラー本体に設けられたフランジ部と、を有し、
前記回転規制機構は、
前記フランジ部から前記カラー本体の軸線方向に沿って突出した突出ピンと、
前記カラー本体の軸線方向に沿って延在するように前記エンドプレートに形成され、前記突出ピンが挿入された孔と、を含む、燃料電池スタック。 - 請求項1記載の燃料電池スタックであって、
前記回転規制機構は、前記カラー部材が前記エンドプレートに対して一体的に射出成形された一体成形部を有する、燃料電池スタック。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池スタックであって、
前記複数の単位セルのそれぞれは、
電解質膜の両側に電極が配設されてなる電解質膜・電極構造体と、
前記電解質膜・電極構造体の両側に配設されたセパレータと、
前記セパレータの外周部から外方に突出するとともに前記位置決め孔が形成された凸部と、を有する、燃料電池スタック。 - 請求項7記載の燃料電池スタックであって、
前記位置決め孔を形成する壁部は、電気絶縁材料によって構成されている、燃料電池スタック。 - 複数の単位セルが互いに積層されて構成された積層体と、前記積層体の積層方向の両端に配設された金属製のエンドプレートと、前記複数の単位セルのそれぞれに設けられた位置決め孔に挿通して前記複数の単位セルを位置決めする位置決めピンと、を備えた燃料電池スタックの組立方法であって、
前記エンドプレートに設けられた絶縁性のカラー部材に前記位置決めピンを螺合する螺合工程と、
前記螺合工程の後で、前記位置決め孔に前記位置決めピンを通しながら前記複数の単位セルを互いに積層する積層工程と、を含み、
前記螺合工程では、前記位置決めピンのねじ締付方向に沿った前記カラー部材の前記エンドプレートに対する回転が回転規制機構によって規制されている、燃料電池スタックの組立方法。
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