JP6570960B2 - 燃料電池スタック - Google Patents

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Description

本発明は、電解質膜の両面に電極が設けられた電解質膜・電極構造体とセパレータとが積層される発電セルを有し、複数の前記発電セルが積層された積層体の積層方向両端にエンドプレートが配設される燃料電池スタックに関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の一方の面にアノード電極が、他方の面にカソード電極が、それぞれ配設された電解質膜・電極構造体(MEA)を備えている。電解質膜・電極構造体は、セパレータによって挟持されることにより、発電セル(単位セル)が構成されている。通常、所定の数の発電セルが積層されることにより、例えば、車載用燃料電池スタックとして燃料電池車両(燃料電池電気自動車等)に組み込まれている。
燃料電池スタックでは、セパレータの面内に、アノード電極に燃料ガスを流すための燃料ガス流路と、カソード電極に酸化剤ガスを流すための酸化剤ガス流路とが設けられている。また、互いに隣接する発電セルのセパレータ間には、冷却媒体を流すための冷却媒体流路が前記セパレータの面方向に沿って設けられている。
さらに、積層方向に貫通して燃料ガスを流通させる燃料ガス連通孔と、酸化剤ガスを流通させる酸化剤ガス連通孔と、冷却媒体を流通させる冷却媒体連通孔とが設けられた内部マニホールド型燃料電池スタックが採用されている。燃料ガス連通孔(流体連通孔)は、燃料ガス供給連通孔及び燃料ガス排出連通孔を有し、酸化剤ガス連通孔(流体連通孔)は、酸化剤ガス供給連通孔及び酸化剤ガス排出連通孔を有している。冷却媒体連通孔(流体連通孔)は、冷却媒体供給連通孔及び冷却媒体排出連通孔を有している。
上記の燃料電池スタックでは、少なくとも一方のエンドプレートに、各流体連通孔に連なって燃料ガス、酸化剤ガス又は冷却媒体である流体を供給又は排出する流体マニホールドが設けられている。例えば、特許文献1に開示されている燃料電池スタックでは、一方のエンドプレートに樹脂製マニホールドが設けられるとともに、前記樹脂製マニホールドの端部には、前記一方のエンドプレートに保持される補強部が設けられている。
特開2009−224195号公報
本発明は、この種の技術に関連してなされたものであり、エンドプレートの変形による樹脂製流体マニホールドの損傷を可及的に抑制することができ、前記樹脂製流体マニホールドを良好且つ経済的に使用することが可能な燃料電池スタックを提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池スタックは、電解質膜の両側に電極が設けられた電解質膜・電極構造体とセパレータとが積層される発電セルを有している。複数の発電セルが積層された積層体の積層方向両端には、エンドプレートが配設されている。一方のエンドプレートには、冷却媒体、燃料ガス又は酸化剤ガスである流体を流通させる樹脂製流体マニホールドが設けられている。
燃料電池スタックは、樹脂製流体マニホールドに形成される締結用孔部と、前記締結用孔部に配設されるカラー部材と、前記カラー部材に挿入されるとともに、一方のエンドプレートに螺合される締結ボルトと、を備えている。そして、樹脂製流体マニホールドが一方のエンドプレートに締結された状態で、マニホールド側対向面とエンドプレート側対向面との間には、前記カラー部材の軸方向の寸法を設定することにより隙間が設けられている。
マニホールド側対向面は、樹脂製流体マニホールドの一方のエンドプレートに対向する面であり、エンドプレート側対向面は、該一方のエンドプレートの該樹脂製流体マニホールドに対向する面である。
また、この燃料電池スタックでは、樹脂製流体マニホールドは、マニホールドベース部材とマニホールドカバー部材とを備えることが好ましい。マニホールドベース部材は、一方のエンドプレートに隣接し、マニホールドカバー部材は、前記マニホールドベース部材に重ねて固定され、該マニホールドベース部材との間に流体流通路が形成されている。前記燃料電池スタックは、前記カラー部材としての第1カラー部材と、前記締結ボルトとしての第1締結ボルトと、前記マニホールドカバー部材に形成される孔部と、前記マニホールドベース部材に埋設された雌ねじ部材と、前記孔部に配設される第2カラー部材と、前記第2カラー部材に挿入されるとともに、前記雌ねじ部材に螺合される第2締結ボルトと、を有する。
その際、マニホールドベース部材のマニホールドカバー部材に対向するベース側対向面と、該マニホールドカバー部材の該マニホールドベース部材に対向するカバー側対向面との間には、前記第1カラー部材の軸方向の寸法及び前記第2カラー部材の軸方向の寸法を設定することにより隙間が設けられることが好ましい。
さらに、この燃料電池スタックでは、少なくとも一方の隙間は、0.1mm〜0.4mmの範囲内であることが好ましい。
本発明によれば、樹脂製流体マニホールドが一方のエンドプレートに締結された状態で、マニホールド側対向面とエンドプレート側対向面との間には、隙間が設けられている。このため、一方のエンドプレートに変形が発生した際、隙間が前記一方のエンドプレートと樹脂製流体マニホールドとの干渉を抑制する逃げとして機能する。
従って、例えば、樹脂製流体マニホールドに曲げ応力が加わって割れ等が発生することを抑制することが可能になる。これにより、一方のエンドプレートの変形による樹脂製流体マニホールドの損傷を可及的に抑制することができ、前記樹脂製流体マニホールドを良好且つ経済的に使用することが可能になる。
本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタックの第2エンドプレート側からの斜視説明図である。 前記燃料電池スタックの第1エンドプレート側からの一部分解斜視説明図である。 前記燃料電池スタックを構成する発電セルの要部分解斜視説明図である。 前記燃料電池スタックを構成する冷却媒体供給マニホールドの分解斜視説明図である。 前記冷却媒体供給マニホールドを構成するマニホールドカバー部材の正面説明図である。 前記冷却媒体供給マニホールド及び前記第2エンドプレートの、図4中、VI−VI線断面図である。 前記冷却媒体供給マニホールド及び前記第2エンドプレートが変形する際の説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する冷却媒体供給マニホールド及び第2エンドプレートの断面図である。
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタック10は、例えば、図示しない燃料電池電気自動車に搭載される。燃料電池スタック10は、複数の発電セル12が電極面を立位姿勢にして水平方向(矢印B方向)に積層された積層体12asを備える(図2参照)。なお、燃料電池スタック10は、複数の発電セル12を重力方向(矢印C方向)に積層してもよい。
図2に示すように、発電セル12の積層方向一端(積層体12asの一端)には、第1ターミナルプレート14a、第1絶縁プレート16a及び第1エンドプレート18aが、外方に向かって、順次、配設される。発電セル12の積層方向他端(積層体12asの他端)には、第2ターミナルプレート14b、第2絶縁プレート16b及び第2エンドプレート18bが、外方に向かって、順次、配設される。
横長形状(長方形状)の第1エンドプレート18aの略中央部(中央部から偏心していてもよい)からは、第1ターミナルプレート14aに接続された第1電力出力端子20aが外方に向かって延在する。横長形状(長方形状)の第2エンドプレート18bの略中央部(中央部から偏心していてもよい)からは、第2ターミナルプレート14bに接続された第2電力出力端子20bが外方に向かって延在する。
第1エンドプレート18aと第2エンドプレート18bの各辺間には、連結バー22の両端がねじ24により固定され、複数の積層された発電セル12に積層方向(矢印B方向)の締め付け荷重を付与する。
燃料電池スタック10は、必要に応じてケーシング26を備える。ケーシング26は、矢印B方向両端の2辺(面)が第1エンドプレート18a及び第2エンドプレート18bにより構成される。ケーシング26の矢印A方向両端の2辺(面)は、横長プレート形状の第1サイドパネル28a及び第2サイドパネル28bにより構成される。ケーシング26の高さ方向(矢印C方向)両端の2辺(面)は、上方サイドパネル30a及び下方サイドパネル30bにより構成される。上方サイドパネル30a及び下方サイドパネル30bは、横長プレート形状を有する。
図2に示すように、第1エンドプレート18a及び第2エンドプレート18bには、各辺にねじ穴32が設けられる。第1サイドパネル28a、第2サイドパネル28b、上方サイドパネル30a及び下方サイドパネル30bには、各ねじ穴32に対向して孔部34が形成される。各孔部34に挿入されるねじ36は、各ねじ穴32に螺合することにより、ケーシング26が一体に固定される。
図3に示すように、発電セル12は、電解質膜・電極構造体40と、前記電解質膜・電極構造体40を挟持するカソードセパレータ42及びアノードセパレータ44とを備える。
カソードセパレータ42及びアノードセパレータ44は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属板により構成される。カソードセパレータ42及びアノードセパレータ44は、平面が矩形状を有するとともに、金属製薄板を波形状にプレス加工することにより、断面凹凸形状に成形される。なお、カソードセパレータ42及びアノードセパレータ44は、金属セパレータに代えて、例えば、カーボンセパレータを使用してもよい。
発電セル12の長辺方向(矢印A方向)の一端縁部には、矢印B方向に互いに連通して、酸化剤ガス供給連通孔46a及び燃料ガス排出連通孔48bが設けられる。酸化剤ガス供給連通孔46aは、酸化剤ガス(流体)、例えば、酸素含有ガスを供給する一方、燃料ガス排出連通孔48bは、燃料ガス(流体)、例えば、水素含有ガスを排出する。
発電セル12の長辺方向の他端縁部には、矢印B方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給連通孔48aと、酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス排出連通孔46bとが設けられる。
発電セル12の辺方向(矢印方向)の両端縁部一方側(水平方向一端側)には、すなわち、酸化剤ガス供給連通孔46a及び燃料ガス排出連通孔48b側には、冷却媒体供給連通孔50aが上下に設けられる。冷却媒体供給連通孔50aは、冷却媒体(流体)を供給するために、矢印B方向にそれぞれ連通しており、対向する辺に上下に1個ずつ(2個ずつでもよい)設けられる。
発電セル12の辺方向の両端縁部他方側(水平方向他端側)には、すなわち、燃料ガス供給連通孔48a及び酸化剤ガス排出連通孔46b側には、冷却媒体排出連通孔50bが上下に設けられる。冷却媒体排出連通孔50bは、冷却媒体を排出するために、矢印B方向にそれぞれ連通しており、対向する辺に上下に1個ずつ(2個ずつでもよい)設けられる。
電解質膜・電極構造体40は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜52と、前記固体高分子電解質膜52を挟持するカソード電極54及びアノード電極56とを備える。
カソード電極54及びアノード電極56は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)を有する。白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子は、ガス拡散層の表面に一様に塗布されることにより、電極触媒層(図示せず)が形成される。電極触媒層は、固体高分子電解質膜52の両面に形成される。
カソードセパレータ42の電解質膜・電極構造体40に向かう面42aには、酸化剤ガス供給連通孔46aと酸化剤ガス排出連通孔46bとを連通する酸化剤ガス流路58が形成される。酸化剤ガス流路58は、矢印A方向に延在する複数本の波状流路溝(又は直線状流路溝)により形成される。
アノードセパレータ44の電解質膜・電極構造体40に向かう面44aには、燃料ガス供給連通孔48aと燃料ガス排出連通孔48bとを連通する燃料ガス流路60が形成される。燃料ガス流路60は、矢印A方向に延在する複数本の波状流路溝(又は直線状流路溝)により形成される。
互いに隣接するアノードセパレータ44の面44bとカソードセパレータ42の面42bとの間には、冷却媒体供給連通孔50a、50aと冷却媒体排出連通孔50b、50bとに連通する冷却媒体流路62が形成される。冷却媒体流路62は、水平方向に延在しており、電解質膜・電極構造体40の電極範囲にわたって冷却媒体を流通させる。
カソードセパレータ42の面42a、42bには、このカソードセパレータ42の外周端縁部を周回して第1シール部材64が一体成形される。アノードセパレータ44の面44a、44bには、このアノードセパレータ44の外周端縁部を周回して第2シール部材66が一体成形される。
第1シール部材64及び第2シール部材66としては、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材等の弾性を有するシール部材が用いられる。
図2に示すように、第1エンドプレート18aには、酸化剤ガス供給マニホールド68a、酸化剤ガス排出マニホールド68b、燃料ガス供給マニホールド70a及び燃料ガス排出マニホールド70bが取り付けられる。酸化剤ガス供給マニホールド68a、酸化剤ガス排出マニホールド68b、燃料ガス供給マニホールド70a及び燃料ガス排出マニホールド70bは、電気絶縁性を有する樹脂からなる。
酸化剤ガス供給マニホールド68aと酸化剤ガス排出マニホールド68bとは、酸化剤ガス供給連通孔46aと酸化剤ガス排出連通孔46bとに連通する。燃料ガス供給マニホールド70aと燃料ガス排出マニホールド70bとは、燃料ガス供給連通孔48aと燃料ガス排出連通孔48bとに連通する。
図1に示すように、第2エンドプレート(一方のエンドプレート)18bには、上下にそれぞれ1個の冷却媒体供給連通孔50aに連通する樹脂製の冷却媒体供給マニホールド(樹脂製流体マニホールド)72aが取り付けられる。第2エンドプレート18bには、上下にそれぞれ1個の冷却媒体排出連通孔50bに連通する樹脂製の冷却媒体排出マニホールド(樹脂製流体マニホールド)72bが取り付けられる。冷却媒体供給マニホールド72a及び冷却媒体排出マニホールド72bは、電気絶縁性を有することが好ましい。
図1及び図4に示すように、冷却媒体供給マニホールド72aは、第2エンドプレート18bに隣接するマニホールドベース部材74aを備える。マニホールドベース部材74aは、マニホールドカバー部材76aに固定されるとともに、前記マニホールドカバー部材76aは、第2エンドプレート18bに取り付けられる。第2エンドプレート18bには、各冷却媒体供給連通孔50aに近接してそれぞれ4個のねじ穴77aが形成される一方、各冷却媒体排出連通孔50bに近接してそれぞれ4個のねじ穴77bが形成される(図1参照)。
マニホールドベース部材74aは、略平板形状を有し、前記マニホールドベース部材74aの上部及び下部には、それぞれ冷却媒体供給連通孔50aに一体に連通する冷却媒体入口78aが設けられる。マニホールドベース部材74aのマニホールドカバー部材76aに向かう面には、上下の冷却媒体入口78aを囲繞する周回溝部80aが形成される。
周回溝部80aには、シール部材82aが配置される。マニホールドベース部材74aと第2エンドプレート18bとの間には、前記第2エンドプレート18bに形成された周回溝部81aを介してシール部材82aが配置される。シール部材82aは、厚さ方向(マニホールドベース部材74aとマニホールドカバー部材76aとの積層方向)に比較的大きな寸法に設定される。
マニホールドベース部材74aの上部には、両角部にそれぞれ上下に2個ずつ孔部84aが形成される。マニホールドベース部材74aの下部には、両角部にそれぞれ上下に2個ずつ孔部84aが形成される。各孔部84aは、後述する円筒状カラー部材106aの外径寸法よりも大きな開口直径に設定されるとともに、第2エンドプレート18bの各ねじ穴77aと同軸上に配置される。
マニホールドベース部材74aは、円筒状カラー部材106aによりフローティング支持される。マニホールドベース部材74aの高さ方向(矢印C方向)略中央部には、矢印A方向両側に位置して、それぞれ上下2個の金属製の雌ねじ部材86aが埋設される。
図4及び図5に示すように、マニホールドカバー部材76aは、マニホールドベース部材74aの上下の冷却媒体入口78aに一体に連通する冷却媒体流通路87aを形成する筐体状の本体部88aを有する。本体部88aの高さ方向略中央部には、冷却媒体供給口である入口管路部90aが、水平方向に向かって(又は水平方向から傾斜して)設けられる。本体部88aの外周縁部には、フランジ部92aが設けられる。
フランジ部92aの上部には、両角部にそれぞれ上下に2個ずつ孔部94aが形成される。フランジ部92aの下部には、両角部にそれぞれ上下に2個ずつ孔部94aが形成される。フランジ部92aの高さ方向(矢印C方向)略中央部には、矢印A方向両側に位置して、それぞれ上下に2個ずつ孔部96aが形成される。
フランジ部92aの孔部94aは、マニホールドベース部材74aの孔部84aと同軸上に配置される一方、前記フランジ部92aの孔部96aは、前記マニホールドベース部材74aの金属製の雌ねじ部材86aと同軸上に形成される。
図5に示すように、孔部94aの内周面98aには、複数個、例えば、4個の突起部100aが等角度間隔ずつ離間し径方向内方に突出して設けられる。突起部100aは、後述する円筒状カラー部材106aの外周面106asを支持するとともに、前記外周面106asを内周面98aに対して傾斜させることができる。なお、突起部100aは、円筒状カラー部材106aの外周面106asを支持することができればよく、好ましくは、3個以上であればよい。
また、突起部100aは、内周面98aの軸方向に所定の長さを有していればよく、軸方向全長に亘って設けなくてもよい。さらにまた、孔部94aに突起部100aを設けることなく、円筒状カラー部材106aを前記孔部94aの内周面98aに嵌合してもよい。
孔部96aの内周面102aには、複数個、例えば、4個の突起部104aが等角度間隔ずつ離間し径方向内方に突出して設けられる。なお、突起部104aは、後述する円筒状カラー部材110aの外周面110asを支持することができればよく、好ましくは、3個以上であればよい。また、突起部104aは、内周面102aの軸方向に所定の長さを有していればよく、軸方向全長に亘って設けなくてもよい。さらにまた、孔部96aに突起部104aを設けることなく、円筒状カラー部材110aを前記孔部96aの内周面102aに嵌合してもよい。
図4に示すように、各孔部94aには、例えば、金属製の円筒状カラー部材106aが配設される。図6に示すように、円筒状カラー部材106aは、孔部94aから孔部84aに挿入されて先端が第2エンドプレート18bのプレート面に当接する。
円筒状カラー部材106aは、外周面106asが4個の突起部100aにより支持されるとともに、フランジ部106afがフランジ部92aに当接する。円筒状カラー部材106a内に締結ボルト(六角ボルト)108aが挿入され、前記締結ボルト108aがねじ穴77aに螺合することにより、冷却媒体供給マニホールド72aが第2エンドプレート18bに固定される。
図4に示すように、各孔部96aには、例えば、金属製の円筒状カラー部材110aが配設される。図6に示すように、円筒状カラー部材110aは、孔部96aに挿入されて先端がマニホールドベース部材74aの雌ねじ部材86aの端面に当接する。
円筒状カラー部材110aは、外周面110asが4個の突起部104aにより支持されるとともに、フランジ部110afがフランジ部92aに当接する。円筒状カラー部材110a内に締結ボルト(六角ボルト)112aが挿入され、前記締結ボルト112aが雌ねじ部材86aに螺合することにより、マニホールドカバー部材76aがマニホールドベース部材74aに固定される。
図4及び図6に示すように、マニホールドベース部材74aは、第2エンドプレート18bに対向するマニホールド側対向面114を有する。第2エンドプレート18bは、マニホールドベース部材74aに対向するエンドプレート側対向面116を有する。図6に示すように、冷却媒体供給マニホールド72aが第2エンドプレート18bに締結された状態で、マニホールド側対向面114とエンドプレート側対向面116との間には、隙間S1が設けられる。
図4及び図6に示すように、マニホールドベース部材74aは、マニホールドカバー部材76aに対向するベース側対向面118を有する。マニホールドカバー部材76aは、マニホールドベース部材74aに対向するカバー側対向面120を有する。図6に示すように、冷却媒体供給マニホールド72aが第2エンドプレート18bに締結された状態で、ベース側対向面118とカバー側対向面120との間には、隙間S2が設けられる。
隙間S1は、円筒状カラー部材106aの軸方向の寸法を設定することにより調整される。隙間S2は、円筒状カラー部材106aの軸方向の寸法及び円筒状カラー部材110aの軸方向の寸法を設定することにより調整される。隙間S1及び隙間S2は、例えば、0.1mm〜0.4mmの範囲内であり、S1>S2の関係が好ましい。
図1に示すように、冷却媒体排出マニホールド72bは、第2エンドプレート18bに固定される。なお、冷却媒体排出マニホールド72bでは、冷却媒体供給マニホールド72aと同一の構成要素には、同一の参照数字にaに代えてbを付し、その詳細な説明は省略する。
冷却媒体排出マニホールド72bの上部及び下部には、それぞれ冷却媒体排出連通孔50bに一体に連通する冷却媒体出口(流体連通孔)78bが設けられる。冷却媒体排出マニホールド72bでは、マニホールドカバー部材76bを構成する本体部88bの高さ方向略中央部に、冷却媒体排出口である出口管路部90bが、水平方向に向かって設けられる。本体部88bには、マニホールドベース部材74bの上下の冷却媒体出口78bに一体に連通する冷却媒体流通路87bが形成される。
このように構成される燃料電池スタック10の動作について、以下に説明する。
先ず、図2に示すように、第1エンドプレート18aの酸化剤ガス供給マニホールド68aから酸化剤ガス供給連通孔46aには、酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給される。第1エンドプレート18aの燃料ガス供給マニホールド70aから燃料ガス供給連通孔48aには、水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。
さらに、図1に示すように、第2エンドプレート18bでは、冷却媒体供給マニホールド72aの入口管路部90aから本体部88a内の冷却媒体流通路87aには、純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。冷却媒体は、冷却媒体流通路87aの上下に連通する各冷却媒体供給連通孔50aに分配される。
このため、図3に示すように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給連通孔46aからカソードセパレータ42の酸化剤ガス流路58に導入される。酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路58に沿って矢印A方向に移動し、電解質膜・電極構造体40のカソード電極54に供給される。
一方、燃料ガスは、燃料ガス供給連通孔48aからアノードセパレータ44の燃料ガス流路60に供給される。燃料ガスは、燃料ガス流路60に沿って矢印A方向に移動し、電解質膜・電極構造体40のアノード電極56に供給される。
従って、電解質膜・電極構造体40では、カソード電極54に供給される酸化剤ガスと、アノード電極56に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費されて発電が行われる。
次いで、電解質膜・電極構造体40のカソード電極54に供給されて一部が消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス排出連通孔46bに沿って矢印B方向に排出される。一方、電解質膜・電極構造体40のアノード電極56に供給されて一部が消費された燃料ガスは、燃料ガス排出連通孔48bに沿って矢印B方向に排出される。
また、上下の冷却媒体供給連通孔50aに供給された冷却媒体は、互いに隣接するカソードセパレータ42及びアノードセパレータ44間の冷却媒体流路62に導入される。冷却媒体は、上下の冷却媒体供給連通孔50aから一旦、互いに近接する方向に、すなわち、矢印C方向内方に沿って流動した後、矢印A方向に移動して電解質膜・電極構造体40を冷却する。冷却媒体は、矢印C方向外方に互いに離間する方向に移動した後、上下の冷却媒体排出連通孔50bに沿って矢印B方向に排出される。
図1に示すように、冷却媒体は、上下それぞれ1個の冷却媒体排出連通孔50bから冷却媒体排出マニホールド72bの本体部88b内の冷却媒体流通路87bに排出される。冷却媒体は、本体部88bの中央側に流通した後、出口管路部90bから外部に排出される。
この場合、第1の実施形態では、図6に示すように、冷却媒体供給マニホールド72aが第2エンドプレート18bに締結された状態で、マニホールド側対向面114とエンドプレート側対向面116との間には、隙間S1が設けられている。
このため、図7に示すように、第2エンドプレート18bに変形、例えば、曲げ変形が発生した際、隙間S1が前記第2エンドプレート18bと冷却媒体供給マニホールド72aとの干渉を抑制する逃げとして機能している。具体的には、隙間S1が存在することにより、第2エンドプレート18bの曲げ変形量に比べて、マニホールドベース部材74aの曲げ変形量が小さく抑えられている。しかも、円筒状カラー部材106aが孔部84aに、0.1mm〜0.3mm程度の間隔S3を有して挿入されており、マニホールドベース部材74aの変形を一層抑制することができる。
従って、例えば、冷却媒体供給マニホールド72aに割れが発生することを抑制することが可能になる。これにより、第2エンドプレート18bの変形による冷却媒体供給マニホールド72aの損傷を可及的に抑制することができ、前記冷却媒体供給マニホールド72aを良好且つ経済的に使用することが可能になるという効果が得られる。
さらに、図6に示すように、冷却媒体供給マニホールド72aが第2エンドプレート18bに締結された状態で、ベース側対向面118とカバー側対向面120との間には、隙間S2が設けられている。
このため、図7に示すように、第2エンドプレート18bに変形、例えば、曲げ変形が発生した際、隙間S2がマニホールドベース部材74aとマニホールドカバー部材76aとの干渉を抑制する逃げとして機能している。具体的には、隙間S2が存在することにより、マニホールドベース部材74aの曲げ変形量に比べて、マニホールドカバー部材76aの曲げ変形量が小さく抑えられている。
従って、特にマニホールドカバー部材76aに割れが発生することを抑制することが可能になる。これにより、第2エンドプレート18bの変形による冷却媒体供給マニホールド72aの損傷を可及的に抑制することができ、前記冷却媒体供給マニホールド72aを良好且つ経済的に使用することが可能になるという効果が得られる。なお、冷却媒体排出マニホールド72bでは、上記の冷却媒体供給マニホールド72aと同様の効果が得られる。
図8に示すように、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタック130は、冷却媒体供給マニホールド132aを有し、前記冷却媒体供給マニホールド132aが第2エンドプレート18bに取り付けられる。
冷却媒体供給マニホールド132aは、第1の実施形態のマニホールドベース部材74a及びマニホールドカバー部材76aを一体成形することにより、単一部品として構成される。なお、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、図示しないが、冷却媒体供給マニホールド132aと同様に構成される冷却媒体排出マニホールドは、第2エンドプレート18bに取り付けられる。
このように構成される第2の実施形態では、冷却媒体供給マニホールド132aが第2エンドプレート18bに締結された状態で、マニホールド側対向面114とエンドプレート側対向面116との間には、隙間S1が設けられている。このため、第2エンドプレート18bに変形が発生した際、隙間S1が前記第2エンドプレート18bと冷却媒体供給マニホールド132aとの干渉を抑制する逃げとして機能している。
従って、第2エンドプレート18bの変形による冷却媒体供給マニホールド132aの損傷を可及的に抑制することができる。これにより、冷却媒体供給マニホールド132aを良好且つ経済的に使用することが可能になる等、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
10、130…燃料電池スタック 12…発電セル
12as…積層体 18a、18b…エンドプレート
26…ケーシング 40…電解質膜・電極構造体
42…カソードセパレータ 44…アノードセパレータ
46a…酸化剤ガス供給連通孔 46b…酸化剤ガス排出連通孔
48a…燃料ガス供給連通孔 48b…燃料ガス排出連通孔
50a…冷却媒体供給連通孔 50b…冷却媒体排出連通孔
52…固体高分子電解質膜 54…カソード電極
56…アノード電極 58…酸化剤ガス流路
60…燃料ガス流路 62…冷却媒体流路
68a…酸化剤ガス供給マニホールド 68b…酸化剤ガス排出マニホールド
70a…燃料ガス供給マニホールド 70b…燃料ガス排出マニホールド
72a、132a…冷却媒体供給マニホールド
72b…冷却媒体排出マニホールド
74a、74b…マニホールドベース部材
76a、76b…マニホールドカバー部材
77a、77b…ねじ穴 78a…冷却媒体入口
82a…シール部材 84a、94a、96a…孔部
86a…雌ねじ部材 87a、87b…冷却媒体流通路
88a、88b…本体部 92a…フランジ部
98a、102a…内周面 100a、104a…突起部
106a、110a…円筒状カラー部材
106as、110as…外周面 108a、112a…締結ボルト
114…マニホールド側対向面 116…エンドプレート側対向面
118…ベース側対向面 120…カバー側対向面

Claims (3)

  1. 電解質膜の両面に電極が設けられた電解質膜・電極構造体とセパレータとが積層される発電セルを有し、複数の前記発電セルが積層された積層体の積層方向両端にエンドプレートが配設されるとともに、一方のエンドプレートには、冷却媒体、燃料ガス又は酸化剤ガスである流体を流通させる樹脂製流体マニホールドが設けられる燃料電池スタックであって、
    前記樹脂製流体マニホールドに形成される締結用孔部と、
    前記締結用孔部に配設されるカラー部材と、
    前記カラー部材に挿入されるとともに、前記一方のエンドプレートに螺合される締結ボルトと、
    を備え、
    前記樹脂製流体マニホールドが前記一方のエンドプレートに締結された状態で、該樹脂製流体マニホールドの前記一方のエンドプレートに対向するマニホールド側対向面と、該一方のエンドプレートの該樹脂製流体マニホールドに対向するエンドプレート側対向面との間には、前記カラー部材の軸方向の寸法を設定することにより隙間が設けられていることを特徴とする燃料電池スタック。
  2. 請求項1記載の燃料電池スタックであって、前記樹脂製流体マニホールドは、前記一方のエンドプレートに隣接するマニホールドベース部材と、
    前記マニホールドベース部材に重ねて固定され、該マニホールドベース部材との間に流体流通路が形成されるマニホールドカバー部材と、
    を備え、
    前記燃料電池スタックは、
    前記カラー部材としての第1カラー部材と、
    前記締結ボルトとしての第1締結ボルトと、
    前記マニホールドカバー部材に形成される孔部と、
    前記マニホールドベース部材に埋設された雌ねじ部材と、
    前記孔部に配設される第2カラー部材と、
    前記第2カラー部材に挿入されるとともに、前記雌ねじ部材に螺合される第2締結ボルトと、を有し、
    前記マニホールドベース部材の前記マニホールドカバー部材に対向するベース側対向面と、該マニホールドカバー部材の該マニホールドベース部材に対向するカバー側対向面との間には、前記第1カラー部材の軸方向の寸法及び前記第2カラー部材の軸方向の寸法を設定することにより隙間が設けられることを特徴とする燃料電池スタック。
  3. 請求項1又は2記載の燃料電池スタックであって、少なくとも一方の前記隙間は、0.1mm〜0.4mmの範囲内であることを特徴とする燃料電池スタック。
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