[第1実施例]
図1はこの発明の一実施例である画像形成装置10の外観構成を示す正面図である。図1を参照して、第1実施例では、画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。なお、この発明は複合機だけでなく、複写機(コピー機)、印刷装置(プリンタ)およびファクシミリのような他の画像形成装置に適用可能である。
画像形成装置10は、画像読取部30、画像形成部32、手差し原稿挿入部34、給紙装置38および排紙トレイ40を含む装置本体36を備える。
画像読取部30は、透明材によって形成される原稿載置台を備え、装置本体36に内蔵される。原稿載置台の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー30aが開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー30aには、手差し原稿挿入部34が設けられる。また、原稿押えカバー30aには、手差し原稿挿入部34に載置された原稿を自動的に給紙するADF(自動原稿送り装置)が設けられる。
また、画像読取部30は、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える。この画像読取部30は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度または色度が検出され、原稿表面の画像に基づく読取画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)またはCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
画像形成部32は、装置本体36に内蔵され、画像読取部30の下方に設けられる。この画像形成部32は、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置および定着装置などを備える。画像形成部32は、手差し原稿挿入部34または給紙装置38等から搬送される記録媒体(用紙)上に電子写真方式によって画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ40に排出する。ただし、用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取部30で読み取った画像データ、または外部のコンピュータから送信された画像データ等が利用される。また、記録媒体としては、紙からなる用紙に限定されず、OHPフィルムなどの紙以外のシートも用いられる。
排紙トレイ40は、画像読取部30および画像形成部32の間に設けられる。排紙トレイ40の底面は、画像形成部32によって区画される。また、排紙トレイ40の天面は、画像読取部30によって区画される。さらに、排紙トレイ40の左側面(正面から見た左側面)は、連結筐体42の右側面で規定される。つまり、排紙トレイ40の前面側、背面側および右側面側は、開口する。排紙トレイ40の底面は、連結筐体42側に向かって下り勾配となる傾斜面を有する。
また、画像読取部30の前面側には、操作パネル26が設けられる。操作パネル26は、タッチパネル20付きのディスプレイ(表示部)22および複数の操作ボタン26aを含む。
タッチパネル20付きのディスプレイ22には、各種設定または印刷指示などをユーザから受け付けるためのソフトウェアキーおよびメッセージ等が表示される。一例として、ディスプレイ22には、画像形成装置10が実行可能な各種のジョブから所望のジョブを選択するための画面であるホーム画面が表示される。ただし、この第1実施例では、ジョブは、コピー(原稿のスキャンを含む)、印刷およびファックスの送信などを意味する。
操作ボタン26aは、ハードウェアキーであって、たとえば、ホームキー、省電力キーおよび主電源キーなどが含まれる。ホームキーは、ホーム画面をディスプレイ22に表示させるためのキーである。省電力キーは、消費電力が制限される省電力状態(省電力モード)と、消費電力が制限されない通常状態(通常モード)とを切り替えるためのキーである。主電源キーは、画像形成装置10の主電源をオン/オフするためのキーである。
なお、ソフトウェアキーとは、たとえばタッチパネル20付きのディスプレイ22の表示面上にソフトウェア的に再現されたキーのことを言う。これに対して、ハードウェアキーとは、物理的な装置として設けられたキー(ボタン)のことを言う。
また、操作パネル26の前面中央には、装置本体36の前方または近傍に存在する人を検出するための人検出センサ28が設けられる。
図2は図1に示す画像形成装置10の電気的な構成を示すブロック図である。図2を参照して、画像形成装置10はCPU12を含む。CPU12には、バス60を介してRAM14、タッチパネル制御回路16、表示制御回路18、操作ボタン検出回路24、人検出センサ28、画像読取部30、画像形成部32および通信回路44が接続される。また、タッチパネル制御回路16にはタッチパネル20が接続され、表示制御回路18にはディスプレイ22が接続され、操作ボタン検出回路24には操作ボタン26aが接続される。
CPU12は、画像形成装置10の全体的な制御を司る。RAM14は、CPU12のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。
タッチパネル制御回路16は、タッチパネル20に必要な電圧などを付与するとともに、タッチパネル20のタッチ有効範囲内でのタッチ操作(タッチ入力)を検出して、そのタッチ入力の位置を示すタッチ座標データをCPU12に出力する。
タッチパネル20は、汎用のタッチパネルであり、静電容量方式、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式など、任意の方式のものを用いることができる。この第1実施例では、タッチパネル20としては、静電容量方式のタッチパネルが用いられ、ディスプレイ22の表示面上にタッチパネル20が設けられる。ただし、タッチパネル20とディスプレイ22とが一体的に形成されたタッチパネルディスプレイが用いられてもよい。
表示制御回路18は、GPUおよびVRAMなどを含んでおり、CPU12の指示の下、GPUは、RAM14に記憶された画像生成データを用いてディスプレイ22に種々の画面を表示するための表示画像データをVRAMに生成し、生成した表示画像データをディスプレイ22に出力する。ディスプレイ22としては、たとえばLCDまたはEL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどを用いることができる。
操作ボタン検出回路24は、上述した操作ボタン26aの操作に応じた操作信号ないし操作データをCPU12に出力する。
人検出センサ28は、画像形成装置10の周囲に設定される範囲A(図3参照)に人(ユーザ)が存在するかどうかを検出するためのセンサであり、たとえば距離センサである。たとえば、距離センサとしては、赤外線センサ、超音波センサおよびレーザ距離センサ等が用いられる。この距離センサは、距離データをCPU12に出力する。CPU12は、人検出センサ28から出力された距離データが示す距離が範囲Aを規定する所定距離以内であるかどうかに応じて、画像形成装置10の前(前方)に人(ユーザ)が存在するかどうかを判断する。したがって、範囲Aは、画像形成装置10の前に人が存在するかどうかを判断するために設定された範囲ということができる。
なお、人検出センサ28としては、距離センサに代えて、焦電センサまたは床センサ(圧力センサ)などを用いることもできる。焦電センサを用いる場合には、焦電センサが範囲Aにおける温度変化を検出し、CPU12は、焦電センサの出力に応じて、範囲Aに人が存在するかどうかを判断する。また、床センサを用いる場合には、画像形成装置10の範囲Aに対応する床面の範囲に床センサが設けられ、CPU12は、床センサの出力に応じて、範囲Aに人が存在するかどうかを判断する。
図3は、画像形成装置10の周囲に設定される範囲Aを説明するための平面図である。図4は範囲Aに人が存在する場合を示す平面図である。
図3に示すように、範囲Aは、画像形成装置10を使用(操作)する可能性がある人が存在すると考えられる範囲であり、一例として、半径が第1距離L1の半円で定義される。ただし、第1距離L1は、画像形成装置10の装置本体36の前面の中央からの水平方向における距離であり、この第1実施例では、装置本体36の前面の中央から左右方向の両端部までの長さ以上に設定される。すなわち、第1実施例では、範囲Aは、画像形成装置10(装置本体36)の前面側(前方)であり、当該画像形成装置10を操作可能な位置(たとえば、操作パネル26に手が届く位置)に存在する人を検出可能な範囲に設定される。
ただし、範囲Aの大きさおよび形状は、上記のように、画像形成装置10の前面側であり、当該画像形成装置10を操作可能な位置に存在する人を検出可能な範囲であれば、適宜変更可能である。また、詳細な説明は省略するが、人検出センサ28の個数は1つに限定される必要はなく、設定した範囲Aに存在する人を検出できれば2つ以上でもよい。
なお、人検出センサ28の検出可能範囲は、範囲Aを含んでいればよく、範囲Aと一致する必要はない。また、範囲Aに固定的な障害物が存在する場合は、当該障害物を検出結果から予め除外するようにしてもよい。
図4に示すように、範囲Aに人が存在する場合には、人検出センサ28は、第1距離L1よりも短い距離に対応する距離データをCPU12に出力する。CPU12は、第1距離L1よりも短い距離の距離データを受信(取得)すると、範囲Aに人が存在すると判断する。また、範囲Aに人が存在しない場合には、人検出センサ28は、第1距離L1よりも長い距離に対応する距離データをCPU12に出力する。CPU12は、第1距離L1よりも長い距離の距離データを受信すると、範囲Aに人が存在しないと判断する。
なお、詳細な説明は省略するが、第1実施例では、第1距離L1と等しい距離の距離データを受信した場合には、CPU12は、範囲Aに人が存在すると判断するようにしてある。ただし、この場合、CPU12は、範囲Aに人が存在しないと判断するようにしてもよい。
また、詳細な説明は省略するが、CPU12は、第1距離L1よりも長い距離に対応する距離データを受信した後に、第1距離L1よりも短い距離に対応する距離データを受信すると、人が範囲A外から範囲A内に入ったと判断する。また、CPU12は、第1距離L1よりも短い距離に対応する距離データを受信した後に、第1距離L1よりも長い距離に対応する距離データを受信すると、人が範囲A内から範囲A外に出たと判断する。
通信回路44は、インターネットなどのネットワークに接続するための通信回路である。この通信回路44は、有線通信回路または無線通信回路であり、CPU12からの指示に従って、ネットワークを介して、外部のコンピュータ(外部端末)と通信する。ただし、通信回路44は、近距離無線などによって、ネットワークを介さずに、外部のコンピュータと直接通信することが可能である。
なお、図2に示す画像形成装置10の電気的な構成は単なる一例であり、これに限定される必要はない。
従来の画像形成装置では、画像形成装置におけるエラーの発生を検出し、エラーの発生を検出した場合にユーザが画像形成装置の周囲に存在するかどうかに基づいて、エラーの通知先を決定するものがある。従来の画像形成装置では、たとえば、通知先が画像形成装置自身に決定されたり、外部のコンピュータに決定されたりする。
しかしながら、従来の画像形成装置では、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在するかどうかに応じてエラーの通知先が決定されるだけである。このため、従来の通知先の決定方法を他の事象に適用した場合、通知が必須でない状況であっても、いずれかの通知先に通知が行われてしまう。たとえば、割り込みプリントが実行された場合には、画像形成装置の近傍にユーザが居なければ、画像形成装置および割り込みプリントを指示した外部機器のいずれにも通知を行う必要は無い。しかしながら、従来の通知先の決定方法を適用した場合、ユーザが画像形成装置の近傍にいるか否かに基づいて、画像形成装置または割り込みプリントを指示した外部機器のいずれかが通知先として決定される。このように、従来の通知先の決定方法を他の事象に適用した場合、不適切な通知が行われる可能性がある。
そこで、この第1実施例では、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在するかどうかに応じて通知を行うかどうかが判断される。通知を行うと判断される場合には、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在するかどうかに応じて通知先が決定される。
第1実施例では、まず、所定のイベント(事象)が発生した場合に、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在するかどうかに応じて通知を行うかどうかが判断される。所定のイベントには、コピー、原稿のスキャン、印刷およびファックスの送信などのジョブが実行されること、画像形成装置10の設定が変更されること、用紙詰まりまたはトナー切れなどのエラーが発生すること等、画像形成装置10において発生する種々の事象が含まれる。
また、第1実施例では、通知を行うかどうかおよび通知先については、予め設定された通知制御テーブルに従って決定される。具体的には、イベントの種類およびユーザが画像形成装置10の周囲に存在するかどうかの検出結果の組み合わせが、通知を行う組み合わせである場合に、通知が行われる。一方、イベントの種類およびユーザが画像形成装置10の周囲に存在するかどうかの検出結果の組み合わせが、通知を行わない組み合わせであれば、通知が行われないとも言える。
図5は通知制御テーブルの一例を示す図解図である。図5に示すように、通知制御テーブルは、イベント(事象)名に対応して、人検出情報および通知先情報が記述される。この通知制御テーブルのデータは、RAM14に記憶される(図6参照)。また、図示は省略するが、通知制御テーブルには、イベント名に対応して、どのような内容を通知するかについての通知の内容が記述される。
図5に示す例では、イベント名の欄には、“画面レイアウト変更”、“ファックスの受信・印刷”、“通常プリント”、“割り込みプリント”および“リモート操作”が記述される。ただし、イベント名の欄に記述される内容は、画像形成装置10における内部処理で作成および使用されるだけである。このため、イベント名が識別可能であれば、イベント名は、数字でもよいし、人間が解読できない記号で記述されてもよい。
“画面レイアウト変更”は、外部のコンピュータからの指示によって、ディスプレイ22に表示されるホーム画面のレイアウトが変更されるイベントを意味する。
“ファックスの受信・印刷”は、他の画像形成装置またはファクシミリなどから送信されたファックス信号を受信した場合に、受信したファックス信号に応じた文書ないし画像を印刷するイベントを意味する。
“通常プリント”は、外部のコンピュータから送信された印刷ジョブを受け取って印刷する場合であって、画像形成装置10が受信した順に印刷ジョブを実行するイベントを意味する。
“割り込みプリント”は、外部のコンピュータから送信された印刷ジョブを受け取って印刷する場合であって、画像形成装置10においてコピー、スキャン、印刷またはファックスなど、実行中の他のジョブを中断して印刷ジョブを実行するイベントを意味する。また、“割り込みプリント”には、待機中の他のジョブがある場合に、実行中の他のジョブが終了した後に、待機中の他のジョブよりも先に印刷ジョブを実行することも含まれる。
“リモート操作”は、外部のコンピュータの表示装置などに画像形成装置10のディスプレイ22に表示される画面と同じ画面を表示して、外部のコンピュータから画像形成装置10を操作するイベントを意味する。なお、“リモート操作”が実行されている間、画像形成装置10の周囲に存在するユーザは、画像形成装置10を操作することが出来なくなる。
また、人検出情報の欄には、“存在する”または“存在しない”の文字が記述される。人検出情報の欄に記述された“存在する”とは、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在することを意味し、人検出情報の欄に記述された“存在しない”とは、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在しないことを意味する。
さらに、通知先の欄には、通知先の機器の識別情報が記述される。たとえば、通知先の機器の識別情報としては、通知先の機器に設けられる通信モジュールのMACアドレスを使用することができる。ただし図5では、簡単のため、通知先の機器の名称が記述されている。
通知が行われる場合、上述したように、図5に示す通知制御テーブルに従って、通知先が決定される。通知が行われると、通知先の機器の表示装置等に、イベントに応じた通知の内容が表示される。したがって、通知先の機器を使用するユーザは、通知の内容を認識することができる。
以下、図5に示す通知制御テーブルに従った画像形成装置10の動作例を説明する。たとえば“画面レイアウト変更”が実行される場合であって、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在する場合には、画像形成装置10自身が通知先として決定される。ただし、画像形成装置10自身が通知先として決定された場合には、通知の内容は、ディスプレイ22に表示される。図示は省略するが、通知の内容としては、“画面レイアウト変更” が実行される場合には、ホーム画面のレイアウトが変更されたことをユーザに通知するメッセージ等が表示される。また、画像形成装置10を使用するユーザが指示したジョブが画像形成装置10において実行中の場合、その実行中のジョブが終了した後に、ディスプレイ22に表示されるホーム画面のレイアウトが変更される。
一方、“画面レイアウト変更”が実行された場合であっても、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在しない場合には、いずれの通知先にも通知が行われない。この場合、直ちにディスプレイ22に表示されるホーム画面のレイアウトが変更される。
“ファックスの受信・印刷”が実行される場合であって、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在しない場合には、外部端末が通知先として決定される。具体的には、システム管理者が使用する外部のコンピュータ等が通知先として決定される。この場合、通知の内容は、通知先として決定された外部のコンピュータの表示装置に表示される。通知の内容としては、“ファックスの受信・印刷”が実行された旨および印刷された用紙の回収を促す旨のメッセージ等が表示される。
一方、“ファックスの受信・印刷”が実行された場合であっても、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在する場合には、いずれの通知先にも通知が行われない。このことは、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在する場合、ファックスを受信したことおよび印刷されたことを認識することができるので、“ファックスの受信・印刷”が実行されたことをユーザに通知する必要が無いからである。
“通常プリント”が実行される場合であって、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在する場合には、“通常プリント”の印刷ジョブの送信元である外部のコンピュータが通知先として決定される。この場合、印刷ジョブの送信元である外部のコンピュータの表示装置には、画像形成装置10の周囲に人が存在する旨のメッセージ等が表示される。また、画像形成装置10が他のユーザによって使用中(操作中)である場合には、印刷ジョブの送信元である外部のコンピュータの表示装置には、画像形成装置10が他のユーザによって使用中である旨のメッセージ等が表示される。
また、“通常プリント”が実行される場合であって、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在する場合には、画像形成装置10を使用するユーザが指示した印刷ジョブによって印刷された用紙と、“通常プリント”の印刷ジョブによって印刷された用紙とが混在しないように排紙される。たとえば、画像形成装置10が複数の排紙トレイを備え、用紙を各排紙トレイに仕分けして排紙することが可能な場合がある。この場合には、画像形成装置10を使用するユーザが指示した印刷ジョブによって印刷された用紙を排紙トレイ40または別の排紙トレイのうちの一方の排紙トレイに排紙し、“通常プリント”の印刷ジョブによって印刷された用紙を他方の排紙トレイに排紙するようにしても良い。
一方、“通常プリント”が実行された場合であっても、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在しない場合には、いずれの通知先にも通知が行われない。この場合、通常プリント”の印刷ジョブによって印刷された用紙は、通常の態様で排紙される。
“割り込みプリント”が実行される場合であって、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在する場合には、画像形成装置10自身が通知先として決定される。この場合、ディスプレイ22には、外部のコンピュータから割り込みプリントの要求があった旨および/または現在実行中のジョブを中止する旨のメッセージが表示される。
また、“割り込みプリント”が実行される場合であって、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在する場合には、“割り込みプリント”が実行されず、画像形成装置10が受け付けた順番でジョブが実行される。
一方、“割り込みプリント”が実行された場合であっても、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在しない場合には、いずれの通知先にも通知が行われない。この場合、“割り込みプリント”が実行される。
“リモート操作”が実行される場合であって、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在する場合には、リモート操作を行う外部のコンピュータが通知先として決定される。この場合、リモート操作を行う外部のコンピュータの表示装置には、画像形成装置10の周囲に人が存在する旨および/または画像形成装置10が他のユーザによって使用中である旨のメッセージ等が表示される。また、この場合、“リモート操作”は実行されない。
一方、“リモート操作”が実行された場合であっても、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在しない場合には、いずれの通知先にも通知が行われずに、リモート操作が実行される。
以上のように、通知制御テーブルに従った画像形成装置10の動作例を説明したが、上述したイベントは一例であり、他のイベントについての情報も通知制御テーブルに記述されていても良い。また、どのような場合に通知を行うかどうかについては、イベント毎に適宜設定されれば良い。
さらに、第1実施例では、通知を行うかどうかを判断すること、通知を行うと判断される場合の通知先を決定することが、通知制御テーブルを参照して行われるようにした。このようにするのは、画像形成装置10の設置環境が変わった場合や通知に関する設定が変更される場合に、通知制御テーブルに記述された内容を更新するだけで、通知を行うかどうか、通知先の設定および通知の内容などを変更することができるからである。
ただし、通知制御テーブルに記述されていないイベントが発生した場合は、全て通知が行われる。この場合、外部のコンピュータの指示によって実行されるイベントであれば、外部のコンピュータまたは画像形成装置10のいずれか一方に通知が行われる。外部のコンピュータの指示によらないイベントであれば、画像形成装置10に通知が行われる。
画像形成装置10の上記のような動作は、CPU12がRAM14に記憶された制御プログラムを実行することによって実現される。具体的な処理については、後でフロー図を用いて説明する。
図6は図2に示すRAM14のメモリマップ70の一例を示す図解図である。図6に示すように、RAM14は、プログラム記憶領域72およびデータ記憶領域74を含む。RAM14のプログラム記憶領域72には、上述したように、制御プログラムが記憶される。制御プログラムは、表示プログラム72a、操作検出プログラム72b、存在判断プログラム72c、通知プログラム72d、印刷プログラム72eおよび通信プログラム72fを含む。
表示プログラム72aは、操作画面または通知の内容を示すメッセージを含む画面などの各種の画面をディスプレイ22に表示するためのプログラムである。
操作検出プログラム72bは、画像形成装置10の各部への操作を検出するためのプログラムである。たとえば、操作検出プログラム72bは、タッチパネル20から出力されたタッチ座標データを取得して、ディスプレイ22に表示される各種の画面に含まれるソフトウェアキーが操作されたことを検出するためのプログラムである。また、操作検出プログラム72bは、操作ボタン26aからの操作入力を検出するためのプログラムでもある。
存在判断プログラム72cは、人検出センサ28によって出力される距離データを取得して、当該距離データが示す距離が所定距離(第1実施例では、第1距離L1)以内であるかどうかに応じて、範囲Aに人が存在するかどうかを判断するためのプログラムである。
通知プログラム72dは、後述する通知制御テーブルデータ74dを参照して、通知先を決定し、決定した通知先に通知を行うためのプログラムである。
印刷プログラム72eは、後述する画像データ74cなどに応じて多色または単色の画像を記録媒体(用紙)に形成するためのプログラムである。
通信プログラム72fは、外部のコンピュータなどと、直接またはネットワークを介して通信するためのプログラムである。
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域72には、各種の機能を選択および実行するためのプログラムなども記憶される。
RAM14のデータ記憶領域74には、操作入力データ74a、操作画面データ74b、画像データ74cおよび通知制御テーブルデータ74dなどが記憶される。
操作入力データ74aは、たとえば操作検出プログラム72bに従って検出(取得)されたタッチ座標データまたは/および操作データである。検出されたタッチ座標データまたは/および操作データは、時系列に従って記憶される。
操作画面データ74bは、ディスプレイ22に表示されるホーム画面などの各種の操作画面についての画像データである。
画像データ74cは、上述したように、画像読取部30によって原稿から読み取られた画像データまたは外部のコンピュータから入力される画像データなどである。
通知制御テーブルデータ74dは、図5に示したような通知制御テーブルのデータである。ただし、この通知制御テーブルデータ74dは、たとえば、画像形成装置10の記憶部(HDDなどの不揮発性のメモリ)またはネットワークを介して画像形成装置10に接続されるサーバに記憶されている。通知制御テーブルデータ74dは、画像形成装置10の記憶部またはサーバから読み出され、RAM14に記憶される。通知制御テーブルの作成時には、図5に示すような通知制御テーブルに対応する通知制御テーブルデータ74dがRAM14に記憶される。通知制御テーブルデータ74dは、通知制御テーブルが更新されると、上書きされる。通知制御テーブルデータ74dがRAM14において新たに作成された場合または上書きされた場合には、画像形成装置10の記憶部またはサーバに最新の通知制御テーブルデータ74dが記憶される。
なお、図示は省略するが、データ記憶領域74には、制御プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されたり、制御プログラムの実行に必要なタイマ(カウンタ)およびレジスタが設けられたりする。
図7は図1に示す画像形成装置10の通知制御処理の一例を示すフロー図である。この通知制御処理は、所定のイベントが発生した場合に実行される。
図7に示すように、CPU12は、通知制御処理を開始すると、ステップS1で、通知制御テーブルデータ74dを読み出し、ステップS3でイベント名を取得し、ステップS5で、人検出情報を取得する。
続くステップS9では、通知を行うかどうかを判断する。ここでは、通知制御テーブルデータ74dに対応する通知制御テーブルを参照して、イベント名および人検出情報の組み合わせに応じて、通知を行うかどうかを判断する。
ステップS7で“NO”であれば、つまり、通知を行わないと判断した場合は、いずれの通知先にも通知を行わずに、通知制御処理を終了する。また、ステップS7で“YES”であれば、つまり、通知を行うと判断した場合は、ステップS9で、通知制御テーブルデータ74dに対応する通知制御テーブルを参照して決定した通知先に通知を行い、通知制御処理を終了する。ただし、ステップS9で行われる通知の内容は、通知制御テーブルデータ74dに対応する通知制御テーブルに記述された内容である。
この第1実施例によれば、所定のイベント毎に、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在するかどうかに応じて通知を行うかどうかが自動的に判断されるので、通知が必須でない場合には、通知が行われない。したがって、適切に通知を行うことができる。
また、第1実施例によれば、所定のイベント毎に、通知先が自動的に決定されるので、適切に通知を行うことができる。
[第2実施例]
第2実施例の画像形成装置10では、通知が行われる場合に、イベントに応じた処理を許可するかどうかを通知先の機器を使用するユーザに確認(選択)させるようにした以外は第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、異なる内容について詳細に説明し、重複する内容については説明を省略する、または、簡単に説明することにする。
第2実施例の画像形成装置10では、通知の内容の一部(選択情報)として、通知先の機器の表示装置に、イベントに応じた処理を許可するかどうかを通知先の機器を使用するユーザに選択させるための選択画面120が表示される。
図8は第2実施例における選択画面120の一例を示す図解図である。図8には“割り込みプリント”が実行される場合の選択画面120を示す。図8に示すように、“割り込みプリント”が実行される場合には、“割り込みプリント”を許可するかどうかを選択するための選択画面120がディスプレイ22に表示される。つまり、画像形成装置10を使用するユーザに、“割り込みプリント”を許可するかどうかを確認させる。
選択画面120には、割り込みプリント”を許可するかどうかの選択判断を促すためのメッセージ122が表示される。また、選択画面120には、“割り込みプリント”を許可する許可ボタン124および“割り込みプリント”を許可しない不許可ボタン126が表示される。
選択画面120において許可ボタン124が選択された場合、つまり、画像形成装置10を使用するユーザに、“割り込みプリント”を許可する意思がある場合には、“割り込みプリント”が実行される。具体的には、画像形成装置10を使用するユーザが指示したジョブが画像形成装置10において実行中の場合、その実行中のジョブが中断され、“割り込みプリント”の印刷ジョブが実行される。また、画像形成装置10を使用するユーザが指示したジョブが実行前である場合には、“割り込みプリント”の印刷ジョブが終了した後に、画像形成装置10を使用するユーザが指示したジョブが実行される。
また、選択画面120において不許可ボタン126が選択された場合、つまり、画像形成装置10を使用するユーザに、“割り込みプリント”を許可しない意思がある場合には、“割り込みプリント”が実行されない。具体的には、画像形成装置10を使用するユーザが指示したジョブが画像形成装置10において実行中の場合、その実行中のジョブが終了した後に、“割り込みプリント”の印刷ジョブが実行される。また、画像形成装置10を使用するユーザが指示したジョブが実行前である場合であっても、画像形成装置10を使用するユーザが指示したジョブが終了した後に、“割り込みプリント”の印刷ジョブが実行される。
以上のように、“割り込みプリント”が実行される場合を例に挙げて説明したが、他のイベントが実行される場合も、イベントに応じた処理を許可するかどうかを通知先の機器を使用するユーザに選択させる選択画面120を表示させる。
たとえば、図示は省略するが、“通常プリント”が実行される場合には、外部のコンピュータの表示装置に選択画面120が表示される。この場合、“割り込みプリント”が実行される場合と同様に、選択画面120において許可ボタン124が選択された場合には、“通常プリント”の印刷ジョブが実行される。ただし、画像形成装置10を使用するユーザが指示したジョブが画像形成装置10において実行中の場合、その実行中のジョブが終了した後に、“通常プリント”の印刷ジョブが実行される。また、選択画面120において不許可ボタン126が選択された場合には、“通常プリント”の印刷ジョブが中止される。
ただし、許可ボタン124および不許可ボタン126のいずれも操作されない状態で所定時間(たとえば10秒)が経過した場合には、イベントに応じた処理が許可されたものと判断される。この場合、選択画面120が非表示にされ、イベントに応じた処理が実行される。
また、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在しない場合、つまり、イベントに応じた処理を許可するかどうかを確認させるユーザが居ない場合がある。この場合、選択画面120がディスプレイ22に表示されずに、イベントに応じた処理が実行される。
なお、第2実施例では、第1実施例で示した通知制御処理のステップS9において行われる通知に、選択情報が含まれるだけである。
第2実施例によれば、通知先の機器において、イベントに応じた処理を許可するかどうかを通知先の機器を使用するユーザに選択させるので、より適切に通知を行うことができる。
[第3実施例]
第3実施例では、ユーザが画像形成装置10の周囲に存在する場合であって、外部のコンピュータからの指示によって実行されるイベントが発生した場合に、画像形成装置10および外部のコンピュータの両方に通知を行うようにした以外は、第2実施例と同じであるため、異なる内容について説明し、重複した説明については省略する、または簡単に説明することにする。
図9は第3実施例における通知制御テーブルの一例を示す図解図である。図9に示すように、外部のコンピュータからの指示によって実行されるイベントとしては、たとえば“通常プリント”、“割り込みプリント”および“リモート操作”が該当する。第3実施例では、これらのイベントが発生した場合に、通知制御テーブルに従って、画像形成装置10および外部のコンピュータの両方に通知が行われる。
第3実施例では、外部のコンピュータからの指示によって実行されるイベントが発生した場合、通知制御テーブルに従って、一方の機器(以下、「第1通知先」という。)に先に選択情報を含む通知が行われるとともに、第1通知先において、イベントに応じた処理を許可するかどうかを、第1通知先を使用するユーザに選択させる。他方の機器(以下、「第2通知先」という。)には、第1通知先のユーザが選択した結果(選択結果)に応じて、選択結果を含む通知が行われる。ただし、一部のイベントでは、第1通知先のユーザの選択結果によっては、第2通知先に通知行われない場合がある。
たとえば、“通常プリント”が実行される場合には、第1通知先は“通常プリント”の指示を行った外部のコンピュータに決定される。また、第2通知先は“通常プリント”の指示を受けた画像形成装置10に決定される。この場合、通常プリント”の指示を行った外部のコンピュータに先に通知が行われ、この外部のコンピュータの表示装置に選択画面120が表示される。選択画面120に表示された許可ボタン124が選択された場合には、画像形成装置10のディスプレイ22に“通常プリント”が許可された旨を示す内容の通知が行われる。また、選択画面120において不許可ボタン126が選択された場合には、通知が行われない。
“割り込みプリント”が実行される場合には、第1通知先は“割り込みプリント”の指示を受けた画像形成装置10に決定される。また、第2通知先は、“割り込みプリント”の指示を行った外部のコンピュータに決定される。この場合、“割り込みプリント”の指示を受けた画像形成装置10に先に通知が行われ、画像形成装置10のディスプレイ22に選択画面120が表示される。画像形成装置10を使用するユーザによって、選択画面120に表示された許可ボタン124が選択された場合には、“割り込みプリント”が開始されるとともに、“割り込みプリント”の指示を行った外部のコンピュータの表示装置に“割り込みプリント”が許可された旨を示す内容の通知が行われる。また、選択画面120において不許可ボタン126が選択された場合には、“割り込みプリント”の指示を行った外部のコンピュータの表示装置に“割り込みプリント”が許可されなかった旨を示す内容の通知が行われる。
“リモート操作”が実行される場合には、第1通知先は“リモート操作”の指示を受けた画像形成装置10に決定される。また、第2通知先は“リモート操作”の指示を行った外部のコンピュータに決定される。この場合、“リモート操作”の指示を受けた画像形成装置10に先に通知が行われ、画像形成装置10のディスプレイ22に選択画面120が表示される。画像形成装置10を使用するユーザによって、選択画面120に表示された許可ボタン124が選択された場合には、“リモート操作”が開始されるとともに、“リモート操作”の指示を行った外部のコンピュータの表示装置に“リモート操作”が許可された旨を示す内容の通知が行われる。また、選択画面120において不許可ボタン126が選択された場合には、“リモート操作”の指示を行った外部のコンピュータの表示装置に“リモート操作”が許可されなかった旨を示す内容の通知が行われる。
図10は第3実施例における通知制御処理の一例を示すフロー図である。なお、第1実施例の通知制御処理(図7)で説明した処理と同じ処理については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
図10に示すように、CPU12は、通知制御処理を開始すると、ステップS7で“YES”であれば、つまり、通知を行うと判断した場合は、ステップS31で、通知制御テーブルに従って第1通知先を決定し、決定した第1通知先に選択情報を含む通知を行う。
続いて、ステップS33で、第1通知先のユーザが選択した結果(選択結果)を取得して、ステップS35で、第2通知先にステップS33で取得した選択結果を含む通知を行い、通知制御処理を終了する。ただし、上述したように、一部のイベントにおいて、第1通知先のユーザの選択結果によっては、第2通知先に通知行われない場合がある。この場合、ステップS33で、第1通知先のユーザが選択した結果を取得した後、ステップS35を省略して、通知制御処理を終了する。
第3実施例によれば、外部のコンピュータからの指示によって実行されるイベントが発生した場合に、画像形成装置10および外部のコンピュータの両方に通知を行うので、より適切に通知を行うことができる。
また、第3実施例によれば、まず先に第1通知先に選択情報を含む通知が行われ、第2通知先には、第1通知先における選択結果を含む通知が行われるので、第2通知先のユーザが、第1通知先における選択結果を認識することができる。このため、第2通知先のユーザは、自身が指示したジョブの状況を認識することができる。
なお、第3実施例に示した態様は、第2実施例にも組み合わせて採用することが可能である。
また、上述の実施例で挙げた具体的な数値、画面構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。
さらに、上述の実施例で示したフロー図の各ステップは、同じ結果が得られるのであれば、処理される順番は適宜変更することが可能である。