JP6795799B2 - バギング用フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、バギング用フィルムに関し、より詳しくは耐熱性・柔軟性・伸びが高いと同時に、チューブ状インフレーションフィルムの口開き性が改良され、バギング作業性に優れる複合材料成形に用いるバギング用フィルムに関する。
複合材料、特に繊維によって強化された複合材料(FRP)は、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、金属繊維等の高強度繊維に樹脂を含浸した材料であり、自動車用途、車輌用途、船舶用途、建築用途、航空宇宙用途、風力発電用風車用途等の構造部材として用いられている。
なかでも、炭素繊維を強化繊維とする炭素繊維強化樹脂(CFRP)は、軽量かつ高強度であることから、民間航空機の各種構成部材として有用な材料となっている。
CFRPの成形法としては真空(減圧)バッグ成形法、加圧バッグ成形法、オートクレーブ成形法などが知られている。真空(減圧)成形法は型上で強化繊維に樹脂を含浸、積層し、その最表層をバギング用フィルムで覆い、密封した後、減圧することによってフィルムを積層面に密着させ、脱泡を行なった後、加熱硬化する方法である。また加圧バッグ成形法は、型上で強化繊維に樹脂を含浸、積層し、この上をバギング用フィルムで覆い、耐圧プレートとバッグの間に空気または蒸気を送り、加圧しながら硬化する方法であり、真空バッグ成形法が大気圧で加圧するのに対して更に高圧まで加圧できる点に特徴がある。オートクレーブ成形法は、真空バッグ成形法と同じ原理に基づき一般に広く用いられている成形方法であり、炭素繊維と高靱性のエポキシ樹脂から構成されるプリプレグを一枚ずつ積み重ねた積層体をオートクレーブ中で加圧、加熱して硬化させる。オートクレーブで硬化する際、プリプレグを覆い、内部を減圧とするためバギング用フィルムが用いられる。
また近年になって、新たな成形法としてVaRTM成形法と呼ばれる方法が用いられるようになり、長さが10m以上の大型のFRP構造体が実用化されている。すなわち型上に強化繊維布帛を配置し、全体をバギング用フィルムで覆った後、その内部を真空状態にして、低粘度の熱硬化性樹脂を室温で注入して繊維間に樹脂を拡散、含浸させた後、硬化する方法である。
オートクレーブ成形法において繊維強化樹脂を成形する際に使用されるバギング用フィルムは、プリプレグを包む作業において柔軟性と伸びが求められ、柔軟性がないと真空引きによってプリプレグに密着したときに凹凸に追随せずに、突っ張りやブリッジ状になったり、破断したりするという問題がある。これまではバギング用フィルムに予め作業者が皺を作り、真空引きしたときバギング用フィルムの突っ張りやブリッジを防ぐ工夫をしているが、立体的な形状の複合材を製作する際には、このバギング作業が面倒であり、多くの工数がかかっている。一方、真空引きの際、減圧によってフィルムの突っ張り部やブリッジ部では急激な部分伸びが起こり、その部分で破れやピンホールが発生しやすい。同様にオートクレーブでの高圧下でもフィルムの伸びによる破れやピンホールが発生するため、バギング作業で伸びが必要である反面、強度も必要となる。更にオートクレーブ成形法は長時間に渡って高温を保持するため、フィルムの耐熱性が劣ると樹脂の熱分解による劣化が起こりやすい。
更に繊維強化複合材料を用いて自動車パーツなどの小型部材を製作する場合にはバギング用フィルムをチューブ状で使用し、その中に成型する材料を封入して硬化させる手法が広く用いられており、ロール状に巻かれたチューブ状のバギング用フィルムの口を開く際、チューブの内面同士が密着して作業性を損なう問題点があり、この口開き性を改良することが課題である。
バギング用フィルムの使用例として、例えば、特許文献1にはシリコーン製ラバーシートからなるバギング用フィルムの記載例があるが、耐熱性および伸び性に優れるものの、一般に高価である欠点があり、更に真空密封するために使用するシーラントテープとの接着性に乏しい欠点を有する。また、特許文献2にはバギング用フィルムとしてナイロンやポリオレフィン系フィルムの使用が開示されているが、気体透過度、耐熱温度、湿度などから選定されるフィルムとの記載はあるものの、耐熱性や伸び特性を含めた詳細な特性については一切言及されていない。
特開2003−11136号公報 特開2011−83975号公報
本発明は、柔軟性と伸び易さを有し、バギング作業が行いやすいと同時に、オートクレーブ成形法においても高圧による破れやピンホールが発生し難く、高温での熱安定性を有し、更にチューブ状インフレーションフィルムの口開き性が改良されたバギング用フィルムを提供する。
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成をとる。
(1)ポリアミド樹脂および熱可塑性エラストマを主成分とした、無機粒子を含有する樹脂組成物からなり、チューブ状インフレーションフィルムであって、チューブ状フィルムの内面同士の静摩擦係数が1.4以下であるバギング用フィルム。
(2)無機粒子が金属酸化物を主成分とする粒子であって、平均粒子径が0.5から10μmの範囲である(1)に記載のバギング用フィルム。
(3)樹脂組成物における無機粒子の含有量が0.01から5重量%の範囲である(1)または(2)に記載のバギング用フィルム。
(4)無機粒子が、シリカ粒子を主成分とする無機粒子である(1)から(3)のいずれかに記載のバギング用フィルム。
(5)ポリアミド樹脂が、ナイロン6、ナイロン6を主たる成分とする共重合体、ナイロン66、および、ナイロン66を主たる成分とする共重合体から選ばれる少なくとも1種である(1)から(4)のいずれかに記載のバギング用フィルム。
(6)熱可塑性エラストマが、熱可塑性ポリエステルエラストマおよび/または熱可塑性ポリアミドエラストマである(1)から(5)のいずれかに記載のバギング用フィルム。
(7)樹脂組成物のポリアミド樹脂の含有量が50から80重量%の範囲であり、熱可塑性エラストマの含有量が20から50重量%の範囲である(1)から(6)のいずれかに記載のバギング用フィルム。
(8)樹脂組成物に酸化防止剤として、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類から選ばれる少なくとも1種を含有する(1)から(7)のいずれかに記載のバギング用フィルム。
本発明によれば、ポリアミド樹脂、熱可塑性エラストマ、および無機粒子を含有する樹脂組成物を繊維強化樹脂成形時のバギング用フィルムとして用いることによって、高い伸度と低いヤング率を有するため、バギング作業に適した柔軟性を有している。同時に強度が高いためオートクレーブ成形法での真空引き、加圧における急激な応力によって破れやピンホールの発生がなく、更に高温下での熱安定性に優れるため、熱劣化による脆化がない。同時にフィルムをチューブ状で使用する際、内面同士が密着され閉じられたチューブを開く際の口開き性が改良されたバギング用フィルムが得られる。
本発明のバギング用フィルムは、ポリアミド樹脂、熱可塑性エラストマ、および無機粒子からなる樹脂組成物からなるフィルムである。
ポリアミド樹脂は一般にナイロンとも呼ばれるが、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6/66共重合体(ナイロン6,66)、ナイロン6/12共重合体(ナイロン6,12)、ナイロン6/66/610共重合体(ナイロン6,66,610)、ナイロンMXD6、ナイロン6T共重合体、ナイロン6/6T共重合体等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらの混合物も含まれる。これらのなかで物性バランス、入手性、コスト、取り扱い性の点で、ナイロン6、ナイロン6を主たる成分とする共重合体、ナイロン66、および、ナイロン66を主たる成分とする共重合体から選ばれる少なくとも1種とすることが好ましく、具体的には、例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66共重合体が好ましい。
なお、ポリアミド共重合体としては前記した共重合体を構成する単量体以外の脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン、アミノカルボン酸等の単量体を共重合成分として用いることができる。
具体的なポリアミド樹脂としては、東レ(株)製“アミラン(登録商標)”、“リルサン(登録商標)”、宇部興産(株)製“UBEナイロン(登録商標)”、“UBEナイロン(登録商標)”6、“UBEナイロン(登録商標)”66、旭化成ケミカルズ(株)“レオナ(登録商標)”、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)“レニー(登録商標)”、“ノバミッド(登録商標)”、ユニチカ(株)ユニチカナイロン6、ユニチカナイロン、“マラニール(登録商標)”、東洋紡(株)東洋紡ナイロン、デュポン(株)“ザイテル(登録商標)”、BASFジャパン(株)“ウルトラミド(登録商標)”、ポリプラスチックス(株)ポリプラナイロン等を例示することができる。
本発明における熱可塑性エラストマは、ハードセグメントを形成するポリマー種によってポリエステル系、ポリアミド系、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、ニトリル系、フッ素系、シリコーン系などが挙げられるが、ポリアミド樹脂と混合した場合の分散性、製膜性、耐熱性、熱安定性の点でポリエステル系、ポリアミド系が好ましく、更に強伸度等の機械特性に優れるとともに高融点であることからポリエステル系が一層好ましい。
ポリエステル系、ポリアミド系の熱可塑性エラストマとしては、ハードセグメントを構成する樹脂が芳香族ポリエステルまたはポリアミドであって、ソフトセグメントを構成する成分がポリエーテル、脂肪族ポリエステルからなるブロック共重合体である。
具体例を示すと、熱可塑性ポリエステル系エラストマとしては、東レ・デュポン(株)製“ハイトレル(登録商標)”、東洋紡(株)製“ペルプレン(登録商標)”、三菱化学(株)製“プリマロイ(登録商標)”、帝人化成(株)“ヌーベラン(登録商標)”、リケンテクノス(株)ハイパーアロイ“アクティマー(登録商標)”、DMS社製“アーニテル(登録商標)”等を挙げることができ、熱可塑性ポリアミド系エラストマとしては、ダイセル・エボニック社“ダイアミド(登録商標)”PAE、宇部興産(株)製ポリアミドエラストマ“UBESTA(登録商標)”、エムス昭和電工(株)製“グリロン(登録商標)”ELX、“グリルアミド(登録商標)”ELY、アトフィナジャパン(株)製“ペバックス(登録商標)”、リケンテクノス(株)製ハイパーアロイ“アクティマー(登録商標)“、DIC(株)製“グリラックス(登録商標)”A、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製“ノバミッド(登録商標)”PAE等を挙げることができる。
本発明における樹脂組成物のポリアミド樹脂と熱可塑性エラストマの組成比率は、ポリアミド樹脂が連続した相を形成するマトリックス成分となることが好ましく、ポリアミド樹脂の含有率が50から80重量%の範囲、熱可塑性エラストマの含有率が20から50重量%の範囲であるが好ましい。熱可塑性エラストマの含有率が20重量%未満になるとヤング率が上昇することで柔軟性が低下し、バギング作業性に劣るようになる恐れがあり、50重量%を超えると次第に強度が低下し、バギング作業後の減圧下またはオートクレーブでの加圧下で部分的に過剰な伸びを起こし、ピンホールや破れが発生する恐れがある。
本発明における樹脂組成物はポリアミド樹脂および熱可塑性エラストマを主成分とし、さらに無機粒子を添加することが必須である。これによって得られるチューブ状インフレーションフィルムの内面同士の静摩擦係数が1.4以下であることが、チューブ状フィルムの口開き性改善に必要である。
無機粒子としては、金属粒子、セラミックス、金属酸化物粒子、金属・金属酸化物複合粒子であり、特に酸化チタン(チタニア)、酸化ケイ素(シリカ)、酸化亜鉛、酸化アルミニウム(アルミナ)等の金属酸化物からなる粒子が好ましいが、なかでも、得られる樹脂組成物の透明性を損なわない点で酸化ケイ素(シリカ)粒子が好適である。シリカ粒子を主成分として他の無機粒子を併用することも可能である。
樹脂組成物中の無機粒子の平均粒子径は、0.5から10μmの範囲であり、好ましくは1から5μmの範囲である。10μm超では透明性や分散性が悪化するため好ましくない場合がある。平均粒子径が0.5μm未満では目的とする口開き性の改良効果が小さいため好ましくない場合がある。
無機粒子の含有量は、樹脂組成物に対して、0.01から5.0重量%の範囲であり、好ましくは0.1〜3.0重量%の範囲である。含有量が0.01重量%未満では、口開き性の改良効果が小さく、含有量が5.0重量%を超えると樹脂組成物における分散性が悪くなる場合があり、外観や製膜性が低下するため好ましくない場合がある。
本発明における樹脂組成物には、特性を損なわない範囲で、必要に応じてその他の熱可塑性樹脂、各種添加剤を50重量%未満の範囲で配合することができる。例えば、熱可塑性樹脂としてはポリオレフィン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系などの各種樹脂、添加剤としては有機粒子、充填剤、分散剤、可塑剤等が挙げられる。
なお、本発明における「主成分」「主たる成分」とは、全体を100重量%として、その成分を50重量%超、含有することをいう。
本発明の実施態様における樹脂組成物からなるフィルムは、FRPの成形条件によっては高温下で使用される。長時間の高温加熱にさらされる場合に熱劣化を抑制し、熱安定性を向上させるため、樹脂組成物に熱安定剤を添加することが好ましい。熱安定剤としては、酸化防止剤が好適に用いられ、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、“Irganox(登録商標)”1010、“Irganox(登録商標)”1098(Ciba製)、“Irganox(登録商標)”1330、ホスファイト系、ホスホナイト系としては、“Irgaphos(登録商標)”168(Ciba製)、“Irgaphos(登録商標)”P−EPQ(ClariantまたはCiba製、チオシネルジスト系としては、“Lowinox(登録商標)”DSTDP(Great Lakes製))、ヒンダードアミン系としては、“Nauguard(登録商標)”445(Uniloyl Chemical製)、“Chimasorb(登録商標)”944(Ciba製)、その他としてヒドロキシルアミン、ベンゾフラノン誘導体、アクリロイル変性フェノール等が挙げられるが、添加量に対する熱安定剤としての性能に優れる点で、ヒンダードフェノール系酸化防止剤およびヒンダードアミン系酸化防止剤が好適であり、更に高温における着色がより小さい点でヒンダードフェノール系酸化防止剤がより好適である。
熱安定剤の添加量は、樹脂組成物に対して0.05重量%〜5.0重量%の範囲である。0.05重量%未満では熱安定剤として効果が小さい場合があり、5.0重量%を超えるとブリードアウトしやすくなったり、樹脂を着色する傾向があるため好ましくない場合がある。
本実施形態の樹脂組成物からなるフィルムには、調色のため必要に応じて顔料、染料等の着色剤を配合することができる。
樹脂組成物に無機粒子、熱安定剤、着色剤や各種添加剤を分散させる方法は、特に限定されないが、これら添加剤を予め別々にポリアミド樹脂または熱可塑性エラストマに分散させた組成物(以下、添加剤マスターバッチと呼ぶ。)を作製しておき、製膜する際にベースとなる樹脂組成物に添加剤マスターバッチを各々所定濃度となるように混合して供する方法が一般的である。各添加剤を単独または混合して樹脂組成物等に分散させる方法もあるが、分散条件の最適化、添加濃度の自由度などの点では、別々に分散したマスターバッチとするのが好ましい。形状は製膜装置への搬送性などの点でペレット状が好ましく、ポリアミド樹脂または熱可塑性エラストマのベース樹脂のペレットサイズと同等にするのが好ましい。
分散方法は特に限定しないが、添加剤と樹脂を溶融混練する方法、添加剤の分散液と樹脂を溶融混練と同時に分散媒を除去する方法などが用いられる。例えば、添加剤と樹脂を溶融混練する方法は、添加剤と樹脂ペレットをタンブラー、リボンブレンダー、“ナウタミキサ(登録商標)”、“ヘンシェルミキサー(登録商標)“、プラネタリーミキサー等で混合した後、ベント付きなどの一軸または二軸押出機で溶融混練し、押出されたストランドをカッティングしてマスターバッチとする方法、または粉末化した樹脂と添加剤を”バンバリミキサー(登録商標)“、ニーダー、カレンダロール、加熱ニーダー等の高剪断混練装置で一次混練した樹脂組成物を予め作製し、この樹脂組成物を上記樹脂と同種または他の樹脂と混合して上記と同様にマスターバッチとする方法があげられる。
添加剤マスターバッチ中の添加剤濃度は、特に限定しないがフィルムへの添加濃度の2〜100倍の濃度で分散させたマスターバッチとするのが好ましい。マスターバッチは高濃度にするほど分散加工費用などの点で有利だが、100倍以上ではベース樹脂と配合した際にマスターバッチの偏在が生じて粒子分散の不均一なフィルムとなり好ましくない場合がある。
本発明の実施態様におけるバギング用フィルムの厚さは使用に供する工程によるため特に限定しないが、10〜500μmが好ましく、20〜300μmがより好ましい。10μm未満では腰が弱くなり強度が不十分となり取り扱い性に劣ることがある。500μm超では逆に強度が高くなり、また面積当たりの重量が大きくなるため取り扱い性に劣ることがある。
本発明の実施態様のバギング用フィルムは単層構成であってもよく、複数の層からなる積層フィルムとしてもよい。
本発明のバギング用フィルムの製膜は、溶融押出製膜が膜厚制御、生産性、添加剤分散性などの観点で好ましい。本発明のバギング用フィルムはリングダイによるインフレーション製膜法による。
本発明のバギング用フィルムは、常温での伸びが優れるので、繊維強化複合材料の成形時に使用するバギング用フィルムとして好適に用いられる。本発明における繊維強化複合材料としては、長繊維および/または短繊維からなる繊維状材料によって熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂を強化した材料であって、使用する繊維および樹脂の種類は特に限定されない。なかでも、樹脂が熱硬化性樹脂である繊維強化複合材料に好適に使用される。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。
各特性は以下の測定方法に基づいて評価したものである。
(1)破断強度、破断伸度およびヤング率
引張試験機((株)エー・アンド・デイ製“テンシロン(登録商標)”万能試験機)を用い、引張速度300mm/分破断強度、破断伸度およびヤング率を測定した。
(2)静摩擦係数
JIS K 7125に準拠し、200g分銅を水平方向に一定速度で移動し始めたときに、発生するフィルム面同士の接触抵抗をロード・セルで感知し、静摩擦係数(第1極大点荷重(gf)÷分銅(gf))を測定する。
(3)口開き性
インフレーション製膜によって上向きリングダイから吐出され、空冷されたチューブ状フィルムを安定板で畳んだ後、ロール搬送して巻き取った。チューブ内面が密着した状態から、手の指を使ってチューブの切り口を開く際の作業性を以下の○〜×のランクで評価した。
○; 片手の指を使って簡単にチューブの切り口が開けられる。
△; 片手の指のみでは開くことが難しいが、両手の指を使うと開くことができる。
×; チューブ内面同士の密着が強く、手の指では開くことができない。
(4)バギング作業性
縦10cm×横10cm×長さ30cm×5mm厚のH形鋼を複合材料成形体の代替として用い、そのH形鋼を覆うようにフッ素フィルム(東レフィルム加工(株)製“トヨフロン(登録商標)”FV、50μm)およびブリーザークロス(オー・エス・イー(株)製OSE−135)で包んだ後、幅30cm×長さ50cmのチューブ状バギング用フィルムの中に入れ、更に真空バルブを取り付けた後、バギング用フィルムチューブの両端部をシーラントテープ(Cytec社製SM−5142)を用いて空気が漏れないように封止した。その際のバギング作業性を以下のランクで評価した。
なお、本発明のフィルムは長手(MD)方向、幅(TD)方向いずれにも使用されるため、等方性であることが望ましく、異方性が著しい場合は悪化する懸念がある。したがって、以下の○〜×は、長手(MD)方向、幅(TD)方向について、より良好な値で判断する。
○; 破断伸度が550%以上、かつ、ヤング率が800MPa以下であれば、フィルムが伸びやすく、柔軟性があるため、バギング作業に優れる。
△; ○、または、×以外の場合で、フィルムの伸び、柔軟性にやや劣り、バギング作業性は良好ではあるものの、やや作業しにくい。
×; 破断伸度が500%未満、または、ヤング率が900MPaを超えていると、フィルムが伸びにくく、硬いためバギング作業性に劣る。
(5)オートクレーブ試験
上記(4)に引き続いて、真空バルブに接続した真空ポンプによって0.01MPa以下まで減圧した後、オートクレーブ中で4気圧の空気加圧を行いながら、4時間で室温から180℃まで昇温し、180℃に4時間一定とした後、室温まで4時間かけて降温した。
オートクレーブから取り出し、23℃、50%RHの環境下に24時間放置した後、バギング用フィルムの柔軟性および劣化状態を以下のランクで評価した。
○; 柔軟性はオートクレーブ投入前と同等またはやや低下するが、靭性を有し、裂けにくい。
△; シーラントテープによる封止部を開封する際にフィルムが脆化または薄膜化により裂けやすい。
×; 脆化により柔軟性が低下し、裂ける、または部分延伸によりピンホールによる空気漏れが発生。
[実施例1〜12]
(1)熱安定剤マスターバッチの作製
ヒンダードフェノール系酸化防止剤である“Irganox(登録商標)”1330粉末および熱可塑性ポリエステル系エラストマ(東レ・デュポン(株)製“ハイトレル(登録商標)”4777)ペレットの混合物をリボンブレンダーで十分混合した後、ベント式二軸押出機に供給し、ストランド状に押出してカッティングし、“Irganox(登録商標)”1330を10重量%含有するペレット状の熱安定剤マスターバッチを作製した。
(2)無機粒子マスターバッチの作製
無機粒子として平均粒子径0.2μm、1.6μm、2.2μm、3.5μmのシリカ粒子をそれぞれナイロン6(宇部興産(株)製“UBEナイロン(登録商標)”1030B2)に添加し、リボンブレンダーで十分混合した後、ベント式二軸押出機の供給し、ストランド状に押出してカッティングした、シリカ粒子を5重量%含有する無機粒子マスターバッチを作製した。
(3)バギング用フィルムの作製
ナイロン6(宇部興産(株)製“UBEナイロン(登録商標)”1030B2)、ナイロン66(東洋紡(株)製東洋紡ナイロンT−660X−2)、ナイロン6/66共重合樹脂((1)東レ(株)製“アミラン(登録商標)”CM6021M(ナイロン6:66=95:5重量%)、(2)東レ(株)製“アミラン(登録商標)”CM6151M(ナイロン6:66=90:10重量%)、(3)宇部興産(株)製“UBEナイロン(登録商標)”5033B(ナイロン6:66=85:15重量%)、(4)宇部興産(株)製“UBEナイロン(登録商標)”5034B(ナイロン6:66=80:20重量%))および熱可塑性ポリエステル系エラストマ(東レ・デュポン(株)製“ハイトレル(登録商標)”4777)および熱安定剤マスターバッチをリボンブレンダーで均一混合した後、単軸押出機、フィルター、リングダイ、エアリング、安定板、巻き取り装置を備える空冷上向きインフレーション製膜装置に供給し、厚さ50μmのインフレーション製膜によるチューブを巻き取ったフィルムロールを得た。
各原料の配合および得られたフィルムの特性を表に示す。ヤング率が低く、かつ破断伸びに優れ、柔軟性の良いものであり、口開き性及びバギング作業性は良好であった。またオートクレーブ試験後も良好な特性を保持していた。
[実施例13]
表に示す原料配合により、実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルムを得た。得られたフィルムは表に示すとおり、ヤング率が低く、かつ破断伸びに優れ、柔軟性の良いものであり、バギング作業性には優れ、オートクレーブ試験後も良好な特性を保持するが、口開き性は片手の指で簡単に開けず、両手の指を使う必要があった。
[実施例14、15]
表に示す原料配合により、実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルムを得た。得られたフィルムは表に示すとおり、口開き性は良好であり、オートクレーブ試験後も良好な特性を保持するが、ヤング率が高い傾向であり、バギング作業性は良好であるものの、やや作業しにくい傾向があった。
[実施例16]
表に示す原料配合により、実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルムを得た。得られたフィルムは表に示すとおり、口開き性は良好であり、ヤング率が低く、かつ破断伸びに優れ、柔軟性の良いものであり、バギング作業性には優れるが、強度がやや低いため、真空引きおよびその後のオートクレーブ中での加圧により、フィルムが急激に部分延伸しH形鋼に密着する際、部分的に薄膜化し、フィルム強度が低下する傾向であった。
[実施例17]
表に示す原料配合により、実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルムを得た。得られたフィルムは、表に示すとおり、熱安定剤マスターバッチを添加しないため、バギング作業性には優れるが、オートクレーブ試験後は、剥離作業に支障はないものの、やや裂けやすい傾向があった。
[比較例1]
表に示す原料配合により、実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルムを得た。得られたフィルムは、表に示すとおり、オートクレーブ試験後も良好な特性を保持するが、粒子マスターバッチを添加しないため静摩擦係数が高く、口開き性に劣り、更にヤング率が高く、柔軟性に劣るため、バギング作業性に劣るフィルムであった。
[比較例2]
表に示す原料配合により、実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルムを得た。得られたフィルムは、表に示すとおり、破断伸度が高く、ヤング率は低いため、バギング作業性には優れるが、粒子マスターバッチを添加しないため摩擦係数が高く、口開き性に劣り、強度が低いことに起因し、真空引きおよびその後のオートクレーブ中での加圧により、フィルムが急激に部分延伸しH形鋼に密着する際、部分的に薄膜化し、ピンホールが発生した。
[比較例3〜5]
表に示す原料配合により、実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルムを得た。得られたフィルムは、表に示すとおり、破断伸度が高く、ヤング率は低いため、バギング作業性に優れると同時にオートクレーブ試験後も良好な特性を保持するが、静摩擦係数が高く、口開き性に劣るフィルムであった。
Figure 0006795799
Figure 0006795799
本発明の樹脂組成物からなるフィルムは、耐熱性・柔軟性・伸びが高いと同時に、チューブ状インフレーションフィルムの口開き性が改良されるため、繊維強化複合材料を製造する工程で使用するバギング用フィルムとして作業性に優れ、好適に使用される。

Claims (7)

  1. ポリアミド樹脂および熱可塑性エラストマを主成分とした、無機粒子を含有する樹脂組成物からなり、チューブ状インフレーションフィルムであって、チューブ状フィルムの内面同士の静摩擦係数が1.4以下であり、熱可塑性エラストマが、熱可塑性ポリエステルエラストマおよび/または熱可塑性ポリアミドエラストマであるバギング用フィルム。
  2. 無機粒子が金属酸化物を主成分とする粒子であって、平均粒子径が0.5から10μmの範囲である請求項1に記載のバギング用フィルム。
  3. 樹脂組成物における無機粒子の含有量が0.01から5重量%の範囲である請求項1または2に記載のバギング用フィルム。
  4. 無機粒子が、シリカ粒子を主成分とする無機粒子である請求項1から3のいずれかに記載のバギング用フィルム。
  5. ポリアミド樹脂が、ナイロン6、ナイロン6を主たる成分とする共重合体、ナイロン66、およびナイロン66を主たる成分とする共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1から4のいずれかに記載のバギング用フィルム。
  6. 樹脂組成物のポリアミド樹脂の含有量が50〜80重量%、熱可塑性エラストマの含有量が20〜50重量%である請求項1からのいずれかに記載のバギング用フィルム。
  7. 樹脂組成物に酸化防止剤として、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1からのいずれかに記載のバギング用フィルム。
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