JP2019043061A - 包装用積層体および真空断熱材用外包材 - Google Patents

包装用積層体および真空断熱材用外包材 Download PDF

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利弘 福田
Toshihiro Fukuda
利弘 福田
貴之 田崎
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Abstract

【課題】機械的特性に優れ、ポリアミド樹脂を含有する樹脂層と他の層との接着性や密着性が良好な包装用積層体を提供する。【解決手段】ポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有する樹脂層2と、接着層3と、機能層4と、をこの順に有する、包装用積層体1。セルロース繊維の平均繊維径が10μm以下であり、機能層4が熱溶着層を有し、ガスバリア層を更に有する、包装用積層体1である、真空断熱材用外包材1。【選択図】図1

Description

本開示は、セルロース繊維を含有する層を有する包装用積層体に関するものである。
ナイロン等のポリアミド樹脂は、強靭で耐衝撃強度に優れており、耐ピンホール性、耐突き刺し性、耐熱性が良いことから、各種食品、医薬品、産業資材等の包装材料に用いられている。
近年、植物由来の新素材として、セルロースナノファイバーが注目を集めている。セルロースナノファイバーは、強度、耐熱性、弾性率が高く、低熱膨張、低比重であることから、その用途の一つとして、樹脂材料の強化材としての開発が進められている。セルロースナノファイバーを樹脂に添加することにより、各種物性を向上させる効果が期待される。
例えば、特許文献1には、ポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有するポリアミド樹脂組成物を用いて成形されてなるシート状成形体が開示されており、易引裂性に優れ、かつ乾熱収縮率が小さいシート状成形体が得られることが報告されている。
包装材料において、ポリアミド樹脂を含有する層は、例えば、熱溶着層を積層したり、ガスバリア層を積層したりして、幅広い分野で用いられている。
各層の積層方法としては、例えば、接着剤を用いたドライラミネート法、接着性樹脂を用いた押出ラミネート法、ウェットラミネート法、共押出法等が知られている。これらのなかでも、ドライラミネート法、押出ラミネート法および共押出法が広く用いられている。しかし、共押出法による積層は、ポリアミド樹脂を含有する層と他の層との間で十分な層間接着性が得られず、層間剥離を起こし易いという問題がある。また、ドライラミネート法や押出ラミネート法による積層では、接着性向上のために、ポリアミド樹脂を含有する層に表面処理が行われており、この表面処理を行わないと、十分なラミネート強度が得られない場合がある。
特開2016−14117号公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、機械的特性に優れ、ポリアミド樹脂を含有する樹脂層と他の層との接着性や密着性が良好な包装用積層体を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本開示は、ポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有する樹脂層と、接着層と、機能層と、をこの順に有する、包装用積層体を提供する。
また、本開示は、ポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有する樹脂層と、接着層と、熱溶着層と、をこの順に有し、上記熱溶着層の上記接着層側に、ガスバリア層を有する、真空断熱材用外包材を提供する。
本開示は、機械的特性に優れ、ポリアミド樹脂を含有する樹脂層と他の層との接着性や密着性が良好な包装用積層体を提供できるという効果を奏する。
本開示の包装用積層体の一例を示す概略断面図である。 本開示の包装用積層体の他の例を示す概略断面図である。 本開示の包装用積層体の他の例を示す概略断面図である。 本開示の真空断熱材用外包材の一例を示す概略断面図である。 本開示の真空断熱材用外包材の他の例を示す概略断面図である。 本開示の真空断熱材用外包材の他の例を示す概略断面図である。
以下、本開示の包装用積層体および真空断熱材用外包材について詳細に説明する。
A.包装用積層体
本開示の包装用積層体は、ポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有する樹脂層と、接着層と、機能層と、をこの順に有するラミネートフィルムまたはラミネートシートである。
本開示の包装用積層体について、図面を参照して説明する。
図1は、本開示の包装用積層体の一例を示す概略断面図である。図1に例示する包装用積層体1は、ポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有する樹脂層2と、接着層3と、機能層4と、をこの順に有しており、機能層4として熱溶着層11を有する。この包装用積層体1においては、樹脂層2と熱溶着層11とが接着層3を介して貼り合わされている。
図2は、本開示の包装用積層体の他の例を示す概略断面図である。図2に例示する包装用積層体1は、第1機能層4aと、第1接着層3aと、ポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有する樹脂層2と、第2接着層3bと、第2機能層4bと、をこの順に有しており、第1機能層4aとして印刷基材12、第2機能層4bとして熱溶着層11を有する。この包装用積層体1においては、印刷基材12と樹脂層2と熱溶着層11とがそれぞれ第1接着層3a、第2接着層3bを介して貼り合わされている。
なお、包装用積層体が接着層を複数有する場合、便宜上、各接着層を第1接着層、第2接着層等と称する場合がある。また、包装用積層体が、樹脂層の両面にそれぞれ機能層を有する場合、便宜上、各機能層を第1機能層、第2機能層と称する場合がある。
図3は、本開示の包装用積層体の他の例を示す概略断面図である。図3に例示する包装用積層体1は、ポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有する樹脂層2と、バリア膜5と、接着層3と、機能層4と、をこの順に有しており、機能層4として熱溶着層11を有する。また、樹脂層2は、ガスバリア層13の樹脂基材となっており、樹脂層2およびバリア膜5によりガスバリア層13を構成している。この包装用積層体1においては、ガスバリア層13と熱溶着層11とが接着層3を介して貼り合わされている。
本開示の包装用積層体によれば、樹脂層がポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有することにより、強度、耐衝撃性、耐突き刺し性、耐摩耗性、耐擦傷性、耐熱性、弾性率等の機械的特性を向上させることができる。
例えば、図1および図3に示すように樹脂層が外層である場合や、図2に示すように樹脂層が中間層である場合、耐衝撃性、耐突き刺し性等を向上させることができる。したがって、包装物の取扱時の破れやピンホール発生を抑制することができ、内容物の損傷を抑制することができる。さらに、例えば図1および図3に示すように、樹脂層が最外層である場合には、耐摩耗性、耐擦傷性も向上させることができる。したがって、擦れ等による包装物の外観の劣化を抑制することができ、商品価値の低下を抑制することができる。
また、例えば、包装用積層体を使用する際に、包装用積層体の端部を折り曲げる場合には、樹脂層の弾性率を向上させることができることから、クラックの発生を抑制することができると推定される。また、例えば、包装用積層体をスタンディングパウチのように自立性が求められる包装形態に適用する場合には、樹脂層の弾性率が良好であることから、中折れを抑制し、ディスプレイ効果を高めることができ、訴求性に優れる商品を提供することができる。
また、機械的特性を向上させることができることにより、樹脂層の厚みを比較的薄くしても、機械的特性を維持することができるため、包装用積層体の薄膜化が可能であり、これにより、包装材料を減量し、環境負荷低減に寄与することができる。また、例えば、包装用積層体を使用する際に、包装用積層体の端部を折り曲げる場合には、包装用積層体を薄膜化することにより、加工性を良くすることができると推定される。
また、樹脂層がポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有することにより、線熱膨張係数を低くすることができ、寸法安定性を向上させることができる。さらに、セルロース繊維は、樹脂材料の強化材として用いられるガラス繊維や炭素繊維等と比較して比重が小さいことから、軽量化が可能である。
また、本開示の包装用積層体によれば、セルロース繊維は極性基である水酸基を有するため、樹脂層がポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有することにより、樹脂層とこの樹脂層に接する層との接着性や密着性を高めることができると推定される。例えば図1および図2に示すように、樹脂層が接着層と接しており、接着層を介して機能層と貼り合わされている場合には、樹脂層と接着層との接着性を高めることができ、良好なラミネート強度を得ることができると推定される。また、例えば図3に示すように、樹脂層がバリア膜と接している場合には、樹脂層とバリア膜との密着性を高めることができ、これにより、ラミネート強度の低下を抑制することができると推定される。
また、本開示においては、例えば図3に示すように、樹脂層がガスバリア層の樹脂基材である場合には、上述したように樹脂層は線熱膨張係数が低く、寸法安定性に優れることにより、良好なガスバリア性能を維持することができると推定される。
ここで、包装用積層体が、樹脂基材およびバリア膜をこの順に有するガスバリア層を有する場合、包装用積層体は、高温に長期間晒されると、ガスバリア層を構成する樹脂基材が熱伸縮するが、このとき、樹脂基材に接するバリア膜は、樹脂基材の熱伸縮に伴うせん断応力を受けることで、クラック等の欠陥が発生するおそれがある。バリア膜に欠陥が生じると、欠陥からガスの透過が可能となるため、ガスバリア性能が低下してしまう。
これに対し、本開示によれば、樹脂層がセルロース繊維を含有していることにより、線熱膨張係数が低く、寸法安定性に優れるため、樹脂基材である樹脂層からのせん断応力を受けてバリア膜に欠陥が発生するのを抑制することができる。これにより、高温環境において長期間、良好なガスバリア性能を維持することができると推定される。
なお、「ガスバリア性」、「ガスバリア性能」とは、特に断りが無い場合は、酸素等の気体および/または水蒸気の透過を阻止する機能を意味するものとする。
以下、本開示の包装用積層体の構成について説明する。
1.樹脂層
本開示における樹脂層は、ポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有する。
(1)ポリアミド樹脂
本開示に用いられるポリアミド樹脂は、アミノカルボン酸、ラクタムまたはジアミンとジカルボン酸とによって形成されるアミド結合を有する重合体である。
アミノカルボン酸としては、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等が挙げられる。
ラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム等が挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ジグリコール酸等が挙げられる。
より具体的には、ポリアミド樹脂としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMHT)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタル/イソフタルアミド(ナイロン6T/6I)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン10T)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン11T(H))が挙げられる。これらの共重合体や混合物であってもよい。中でも、ポリアミド樹脂は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、およびこれらの共重合体や混合物であることが好ましい。
ポリアミド樹脂は、後述する重合法で、またはさらに固相重合法を併用して製造することができる。
(2)セルロース繊維
本開示に用いられるセルロース繊維としては、例えば、木材、稲、綿、麻、ケナフ等に由来するものや、バクテリアセルロース、バロニアセルロース、ホヤセルロース等の生物由来のものが挙げられる。また、再生セルロース、セルロース誘導体等も用いることができる。
また、セルロース繊維は、水酸基の一部が化学修飾されている化学修飾セルロース繊維であってもよい。水酸基を化学修飾することにより、セルロース繊維のポリアミド樹脂への分散性を向上させることができる。なお、化学修飾セルロース繊維であっても、水酸基を有するため、上述したような接着性や密着性を高めることができると推定される。
化学修飾セルロース繊維としては、例えば、アシル基またはアルキル基により水酸基の一部が疎水化された疎水化セルロース繊維;アミノ基を有するシランカップリング剤、グリシジルトリアルキルアンモニウムハライド、もしくはそのハロヒドリン型化合物等により、水酸基の一部がカチオン変性された変性セルロース繊維;無水コハク酸、アルキルまたはアルケニル無水コハク酸のような環状酸無水物によるモノエステル化、カルボキシル基を有するシランカップリング剤による修飾等により、水酸基の一部がアニオン変性された変性セルロース繊維等が挙げられる。また、化学修飾セルロース繊維は、水酸基の一部がカルボキシ基に置換され、さらにカルボキシ基がアミド化されたものであってもよい。なお、化学修飾セルロース繊維及びその製造方法については、例えば、特開2017−25338号公報や特許第5940933号公報を参照することができる。
樹脂層は、セルロース繊維を含有することによって、機械的特性を向上させることができる。機械的特性を十分に向上させるには、セルロース繊維を凝集させることなく、樹脂中に均一に分散させることが好ましい。セルロース繊維は、ポリアミド樹脂と接するセルロース繊維表面の水酸基が多いほど分散しやすいため、全体としての表面積が大きいことが好ましい。このため、セルロース繊維は、できるだけ微細化されたものが好ましい。
具体的には、セルロース繊維は、その平均繊維径が10μm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、さらには300nm以下であることが好ましく、特に好ましくは100nm以下である。平均繊維径が上記範囲を超える場合、セルロース繊維の表面積が少なくなって、セルロースの分散性が低下する場合がある。一方、平均繊維径の下限は、セルロース繊維の生産性を考慮すると4nmであることが好ましい。
樹脂層に含まれるセルロース繊維の平均繊維径を10μm以下とするためには、樹脂層を形成するためのポリアミド樹脂組成物を調製する際に、ポリアミド樹脂に添加するセルロース繊維として、平均繊維径が10μm以下のものを用いることが好ましい。なお、ポリアミド樹脂を構成するモノマーの重合後や、ポリアミド樹脂組成物を樹脂層に成形した後の、セルロース繊維の平均繊維径は、用いたセルロース繊維の平均繊維径よりも小さくなる傾向がある。これは、重合や成形により剪断力がかかってセルロース繊維が砕化されるためである。
平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維は、セルロース繊維を裂いてミクロフィブリル化することによって得ることができる。ミクロフィブリル化する手段としては、ボールミル、石臼粉砕機、高圧ホモジナイザー、ミキサー等の、各種粉砕装置を挙げることができる。ミクロフィブリル化したセルロース繊維の水分散液の市販品としては、例えば、ダイセルファインケム社製の「セリッシュ」が挙げられる。
また、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維として、セルロース繊維を使用した繊維製品の製造工程において、屑糸として出されたセルロース繊維の集合体を使用することもできる。繊維製品の製造工程とは紡績時、織布時、不織布製造時、そのほか繊維製品の加工時等が挙げられる。これらのセルロース繊維の集合体は、セルロース繊維がこれらの工程を経た後に屑糸となったものであるため、セルロース繊維が微細化したものとなっている。
また、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維として、バクテリアが産出するバクテリアセルロースを使用することもできる。バクテリアセルロースとしては、例えば、アセトバクター属の酢酸菌を生産菌として産出されたものが挙げられる。植物のセルロースは、セルロースの分子鎖が収束したもので、非常に細いミクロフィブリルが束になって形成されている。これに対し、酢酸菌より産出されたセルロースは、もともと幅20nm以上50nm以下程度のリボン状であり、植物のセルロースと比較すると極めて細い網目状を形成している。バクテリアセルロースは、バクテリアが上記セルロースとともに酢酸を産出するため、酢酸と併存することがある。その場合は、溶媒を水に置換することが好ましい。
また、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維として、N−オキシル化合物の存在下にセルロース繊維を酸化させた後に、水洗、解繊を経ることにより得られる、微細化されたセルロース繊維を使用してもよい。
N−オキシル化合物としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(以下、TEMPOと称する。)、4−アセトアミド−TEMPO、4−カルボキシ−TEMPO、4−フォスフォノオキシ−TEMPO等を用いることができる。これらN−オキシル化合物の添加は触媒量で十分であり、通常、セルロース繊維(絶対乾燥基準)に対して0.1質量%以上、10質量%以下の範囲内とすることができる。
まず、このようなN−オキシル化合物を触媒量の範囲で反応水溶液に添加する。この水溶液に共酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸ナトリウムを加え、臭化アルカリ金属を加えることにより反応を進行させる。セルロース繊維の酸化反応は、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性の化合物を添加してpHを10付近に保持し、pHの変化が見られなくなるまで反応を継続する。反応温度は室温とすることができる。反応後、系内に残存するN−オキシル化合物を除去することが好ましい。洗浄は、ろ過、遠心分離等の各種方法を採用することができる。その後、上述したような各種粉砕装置を用い、物理的な解繊を経ることで微細化されたセルロース繊維を得ることができる。
セルロース繊維は、平均繊維径と平均繊維長との比であるアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)が10以上であることが好ましく、中でも50以上、さらには100以上であることが好ましい。アスペクト比が上記範囲であることにより、樹脂層の機械的特性を向上させることができる。
また、樹脂層中のセルロース繊維の含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上、50質量部以下の範囲内であることが好ましく、中でも0.1質量部以上、30質量部以下の範囲内であることが好ましく、さらには2質量部以上、25質量部以下の範囲内であることが好ましい。セルロース繊維の含有量が少ないと、十分な機械的特性が得られない。一方、セルロース繊維の含有量が多いと、セルロース繊維を樹脂中に均一に分散させることが困難となるため、樹脂層の成形が困難となったり、また樹脂層を得られたとしても、表面平滑性に劣るものとなり、凹凸が生じたり、色調に劣るものとなる場合がある。
(3)他の成分
樹脂層には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、他の重合体が含有されていてもよい。このような他の重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、アクリルゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、天然ゴム、塩素化ブチルゴム、塩素化ポリエチレン等のエラストマー、およびこれらの無水マレイン酸等による酸変性物、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−フェニルマレイミド共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
さらに、樹脂層には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、アンチブロッキング剤、滑剤、強化材、充填材等の添加剤が含有されていてもよい。
(4)樹脂層
樹脂層の厚みとしては、10μm以上とすることができ、中でも、製膜安定性、ハンドリング性から、12μm以上であることが好ましい。また、上記厚みは、200μm以下とすることができ、中でも、包装材料としてのコストや剛性を鑑みると、50μm以下であることが好ましい。
また、樹脂層は、他の層との密着性の向上が図れるという点から、コロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。樹脂層は、セルロース繊維が極性基である水酸基を有することにより、接着層との接着性が向上するため、表面処理を行わなくても十分なラミネート強度が得られるが、表面処理を行えば、ラミネート強度をより向上させることができる。
樹脂層は、ポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有するポリアミド樹脂組成物を用いて形成することができる。
樹脂層の形成に用いられるポリアミド樹脂組成物は、特に限定されないが、中でも、水を含んだ状態のセルロース繊維の存在下に、ポリアミド樹脂を構成するモノマーの重合反応を行うことにより得られたものであることが好ましい。セルロース繊維の含有量が少量であっても、セルロース繊維がポリアミド樹脂中に均一に分散されるので、機械的特性に優れる樹脂層を得ることができる。
セルロース繊維は水との親和性が非常に高く、平均繊維径が小さいほど水に対して良好な分散状態を保つことができる。また、水を失うと水素結合により強固にセルロース繊維同士が凝集し、一旦凝集すると凝集前と同様の分散状態をとることが困難となる。特にセルロース繊維の平均繊維径が小さくなるほどこの傾向が顕著となる。
したがって、セルロース繊維は水を含んだ状態でポリアミド樹脂と複合化することが好ましい。そのため、ポリアミド樹脂組成物の調製方法は、ポリアミド樹脂の重合時に、水を含んだ状態のセルロース繊維の存在下に、ポリアミド樹脂を構成するモノマーの重合反応を行うことにより、セルロース繊維を含有するポリアミド樹脂組成物を得る方法であることが好ましい。このような方法により、ポリアミド樹脂中にセルロース繊維を凝集させずに均一に分散させることが可能となる。
ポリアミド樹脂組成物を調製するにあたり、予め、ポリアミド樹脂とセルロース繊維とを、次の方法で調製しておくことが好ましい。すなわち、水を含んだ状態のセルロース繊維の存在下に、ポリアミド樹脂を構成するモノマーの重合反応を行うことにより、ポリアミド樹脂とセルロース繊維とを得ておくことが好ましい。例えば、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと、セルロース繊維の水分散液とを混合し、重合反応を行うことが好ましい。
セルロース繊維の水分散液は、セルロース繊維を水に分散させたものである。水分散液中のセルロース繊維の含有量は、0.01質量%以上、50質量%以下の範囲内とすることが好ましい。セルロース繊維の水分散液は、精製水とセルロース繊維とをミキサー等で攪拌することにより得ることができる。
次に、セルロース繊維の水分散液と、ポリアミド樹脂を構成するモノマーとを混合し、ミキサー等で攪拌することにより均一な分散液とする。その後、分散液を加熱し、150℃以上270℃以下になるまで昇温させて攪拌することにより重合反応させる。このとき、分散液を加熱する際に徐々に水蒸気を排出することにより、セルロース繊維の水分散液中の水分を排出することができる。なお、ポリアミド重合時においては、必要に応じてリン酸や亜リン酸等の触媒を添加してもよい。次いで、重合反応終了後は、得られた樹脂組成物を払い出した後、切断してペレットとすることが好ましい。
また、セルロース繊維としてバクテリアセルロースを用いる場合には、セルロース繊維の水分散液として、バクテリアセルロースを精製水に浸して溶媒置換したものを使用してもよい。バクテリアセルロースの溶媒置換したものを用いる際には、溶媒置換後、所定の濃度に調整した後、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと混合し、上記と同様に重合反応を進行させることが好ましい。
このような方法では、セルロース繊維を水分散液のまま重合反応に供することで、分散性が良好な状態で重合反応に供されることとなる。さらに、重合反応に供されたセルロース繊維は、重合反応中のモノマーや水との相互作用により、また上述のような温度条件で攪拌することにより、分散性が向上し、繊維同士が凝集することがなく、平均繊維径が小さいセルロース繊維が良好に分散した混合物を得ることが可能となる。このように、この方法によれば、セルロース繊維の分散性が向上するため、重合反応前に添加したセルロース繊維の平均繊維径や繊維長よりも、重合反応終了後に混合物中に含有されているセルロース繊維のほうが、平均繊維径や繊維長が小さいものとなることもある。
また、この方法では、セルロース繊維を乾燥させる工程が不要となり、微細なセルロース繊維の飛散が生じる工程を経ずに製造が可能であるため、操業性よく混合物を得ることが可能となる。また、モノマーおよびセルロースを均一に分散させる目的として水を有機溶媒に置換する必要がないため、ハンドリングに優れるとともに製造工程中において化学物質の排出を抑制することが可能となる。
また、化学修飾セルロース繊維を含有するポリアミド樹脂組成物は、化学修飾セルロース繊維とポリアミド樹脂とを混合することにより製造することができる。
また、化学修飾セルロースの繊維集合体とポリアミド樹脂とを混練することにより、ポリアミド樹脂組成物を製造することもできる。この場合、混練中のせん断応力により化学修飾セルロースの繊維集合体のフィブリル化が進行し、化学修飾セルロース繊維とポリアミド樹脂との均一な混合組成物が得られる。一般に、セルロース繊維の製造は、高圧ホモジナイザー等により機械的にセルロースを解繊する。しかし、セルロースの低濃度のスラリーを使用すること、設備が高価で大型であること等から、このようにして製造されたセルロース繊維は高価である。これに対し、未解繊のセルロースを化学修飾し、ポリアミド樹脂との混練の際の加熱溶融混合機のせん断応力により、ポリアミド樹脂と混練しながら解繊を行う場合には、製造費用の低コスト化が図れ、さらにダメージの少ないセルロース繊維が分散したポリアミド樹脂組成物を得ることが可能となる。
化学修飾セルロース繊維または化学修飾セルロースの繊維集合体とポリアミド樹脂とを混合する際、加熱してもよく、加熱しなくてもよい。加熱温度は、ポリアミド樹脂の種類に応じて適宜設定される。
混合方法としては、ベンチロール、バンバリーミキサー、ニーダー、プラネタリーミキサー等の混練機により混練する方法、攪拌羽により混合する方法、公転または自転方式の攪拌機により混合する方法等が挙げられる。
樹脂層の形成方法としては、例えば、ポリアミド樹脂組成物を成形する方法が挙げられる。ポリアミド樹脂組成物の成形方法としては、特に限定されないが、例えば、押出成形等が挙げられる。また、ポリアミド樹脂組成物を成形してなるフィルムを、さらに延伸してもよい。延伸方法は、一軸延伸法でもよく二軸延伸法でもよい。中でも、二軸延伸法が好ましい。二軸延伸法は、一般に、機械的特性、光学特性、熱寸法安定性、耐ピンホール性等に優れる樹脂層を得ることができる。
また、樹脂層の形成方法は、キャスト法であってもよい。キャスト法は、溶媒中にセルロース繊維およびポリアミド樹脂を分散または溶解させたポリアミド樹脂組成物を、基材上に流延塗布し、溶媒を除去して膜を得た後、膜に熱プレスをかけて、樹脂層を得る方法である。キャスト法において、基材上に流延塗布されたポリアミド樹脂組成物から溶媒を除去する方法としては、例えば、基材として液透過性基材(例えば、厚み方向に貫通する液透過孔を多数有する多孔性基材)を用いる方法が挙げられる。この方法では、ポリアミド樹脂組成物を液透過性基材上に塗布することにより、ポリアミド樹脂組成物中の溶媒は液透過性基材を透過して除去され、固形分(化学修飾セルロース繊維およびポリアミド樹脂)は多孔性基材上にこし取られる。また、別の溶媒除去法として、ポリアミド樹脂組成物を基材上に流延塗布した後、ポリアミド樹脂組成物を自然乾燥又は熱風乾燥等の乾燥法により乾燥する方法が挙げられる。また、キャスト法において、溶媒除去後に得られた膜に対して実施する熱プレスは、例えば、金属板を用いた押圧式、ロータリー式等公知の装置を用いて行うことができる。
2.機能層
本開示における機能層は、包装用積層体を構成する樹脂層および接着層以外の部材であり、例えば、熱溶着層、ガスバリア層、印刷基材等を挙げることができる。これらの層には、さらに吸着や脱臭、吸湿や調湿、鮮度保持、抗菌、帯電防止や防曇等の機能を付与することもできる。以下、機能層の具体例について説明する。
(1)熱溶着層
本開示における熱溶着層は、加熱により溶着可能な層である。
熱溶着層には、加熱によって溶融し、融着可能な材料が用いられる。このような材料としては、熱可塑性樹脂が好適に用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレンや未延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂、テトラフルオロエチレン(C)・エチレン(C)共重合体(ETFE)樹脂等が挙げられる。
熱溶着層は、上述した熱可塑性樹脂を主成分とするフィルムまたはシートであることが好ましい。主成分とは、熱溶着層中50質量%以上を占める成分をいう。
熱溶着層は、対内容物適性、包装形態およびその包装機適性等に応じ、適宜選択される。また、熱溶着層は、設定する融点に応じて上記の熱可塑性樹脂を含むフィルムまたはシートから適宜選択することができる。例えば、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)等の低融点樹脂を主成分とする樹脂フィルムまたはシートは、汎用性が高く、また、熱溶着層の融点を低く設定することができ、比較的低温において熱溶着可能である観点から、好適に用いることができる。また、PP樹脂、EVOH樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、ETFE樹脂、PPS樹脂等の融点が145℃以上の樹脂を主成分とする樹脂フィルムまたはシートは、熱溶着層の融点を145℃以上に設定することが可能であり、熱溶着層の熱劣化を防ぐことができ、より高温環境下での使用に耐え得る包装用積層体を得ることができる観点から、好適に用いることができる。
熱溶着層は、上述した樹脂の他に、アンチブロッキング剤、滑剤、難燃剤、充填剤等の他の材料を含んでいてもよい。
熱溶着層の厚みは、所望のシール強度を示すことが可能な厚みであれば特に限定されず、例えば、15μm以上とすることができ、好ましくは20μm以上、より好ましくは25μm以上である。また、上記厚みは200μm以下とすることができ、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下である。熱溶着層の厚みが厚いと、所望のシール強度を得るために長時間加熱する必要があり、作業適性が悪化するとともに、包装用積層体のガスバリア性能が劣化する場合がある。一方、厚みが薄いと、所望のシール強度が得られない場合がある。
熱溶着層は、通常、一方の面に接着層および樹脂層等を有し、他方の面は他の層を有さず、本開示の包装用積層体における一方の最表面となる。
(2)ガスバリア層
本開示におけるガスバリア層としては、ガスバリア性能を発揮可能な部材であれば特に限定されず、例えば、金属箔、ガスバリア性樹脂膜、ならびに、樹脂基材の片面または両面にバリア膜を有するガスバリア積層体が挙げられる。
(a)金属箔
金属箔としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、チタン等の金属およびその合金を含む金属箔を挙げることができる。中でも、アルミニウムまたはその合金を含む金属箔が好適に用いられる。
金属箔の厚みは、所望のガスバリア性能を発揮することができれば特に限定されるものではなく、金属箔の種類に応じて適宜設定される。例えば、アルミニウムまたはその合金を含む金属箔の場合、金属箔の厚みは、5μm以上、16μm以下の範囲内であることが好ましく、中でも、ガスバリア性およびコストの観点から、6μm以上、12μm以下の範囲内であることがより好ましい。
(b)ガスバリア性樹脂膜
ガスバリア性樹脂膜としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール等を含むガスバリア性樹脂膜が挙げられる。
ガスバリア性樹脂膜の厚みは、所望のガスバリア性能を発揮することができれば特に限定されない。
ガスバリア性樹脂膜としては、例えば、クラレ社 エバールフィルム「EF−XL」、「EF−F」等の市販品を用いることもできる。
(c)ガスバリア積層体
ガスバリア積層体は、樹脂基材の片面または両面にバリア膜を有するフィルムまたはシートである。
バリア膜としては、所望のガスバリア性能を発揮可能な薄膜であればよく、金属膜、無機化合物膜、有機−無機ハイブリッド膜、ガスバリア性樹脂膜等が挙げられる。
金属膜としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、チタン等の金属または合金を含む金属膜が挙げられる。
無機化合物膜としては、例えば、無機酸化物、無機酸化窒化物、無機窒化物、無機酸化炭化物、無機酸化炭化窒化物等を含む無機化合物膜が挙げられる。具体的には、ケイ素(シリカ)、アルミニウム、チタン、ニッケル、鉄、銅、マグネシウム、カルシウム、カリウム、錫、ナトリウム、ホウ素、鉛、亜鉛、ジルコニウム、イットリウム等を含む無機化合物膜が挙げられる。
ガスバリア性樹脂膜としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、メタキシリレンジアミンとアジピン酸の共重合体等を含むガスバリア性樹脂膜が挙げられる。
また、バリア膜は、単層であってもよく、2層以上を積層させて多層としたものであってもよい。
バリア膜の厚みは、所望のガスバリア性能を発揮することができれば特に限定されるものではなく、バリア膜の種類に応じて適宜設定される。バリア膜がアルミニウム膜の場合、バリア膜の厚みは、例えば、20nm以上、100nm以下の範囲内とすることができ、ガスバリア性、樹脂基材との密着性、耐クラック性を考慮すると、好ましくは30nm以上、60nm以下の範囲内である。また、バリア膜が酸化アルミニウム膜の場合、バリア膜の厚みは、例えば、10nm以上、60nm以下の範囲内とすることができ、ガスバリア性、樹脂基材との密着性、耐クラック性を考慮すると、好ましくは15nm以上、50nm以下の範囲内である。また、バリア膜がポリ塩化ビニリデン膜の場合、バリア膜の厚みは、例えば、0.5μm以上、5μm以下の範囲内とすることができ、ガスバリア性、樹脂基材との密着性、耐クラック性を考慮すると、好ましくは1μm以上、3μm以下の範囲内である。
バリア膜は、コーティングによる塗布膜であってもよく、蒸着膜であってもよい。バリア膜は、材料や種類に応じて塗布法、蒸着法、圧着法等の従来公知の方法を用いて成膜することができる。また、バリア膜がガスバリア性樹脂膜である場合には、バリア膜は、共押出により樹脂基材と積層されたものであってもよい。
また、樹脂基材を構成する樹脂としては、バリア膜を支持することができれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)やエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物、各種のナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アセタール樹脂、セルロース樹脂等の各種の樹脂を使用することができる。
中でも、樹脂基材を構成する樹脂が、ナイロン、PET、EVOH、およびPPからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。すなわち、樹脂基材が、ナイロン、PET、EVOH、およびPPからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂フィルムまたはシートであることが好ましい。これらの樹脂基材は、耐突き刺し性が高いため、突き刺しによりバリア膜に欠陥が発生するのを抑制することができ、また、包装用積層体の強度を向上させることができるからである。
また、樹脂基材は、上記のポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有する樹脂層であってもよい。
樹脂基材の厚みは、特に限定されず、適宜設定することができる。樹脂基材の厚みは、バリア膜を支持し、耐突き刺し性を発揮できる厚みであることが好ましい。
ガスバリア積層体は、バリア膜の樹脂基材とは反対側の面に、さらにオーバーコート膜を有することができる。オーバーコート膜を有することで、ガスバリア積層体のガスバリア性能をさらに向上させることができるからである。オーバーコート膜の材料としては、一般にバリアコート剤やオーバーコート剤として用いられている材料を用いることができる。
また、バリア膜がガスバリア性樹脂膜であり、ガスバリア積層体が共押出フィルムである場合には、ガスバリア積層体は、樹脂基材とバリア膜との2層をこの順に有していてもよく、樹脂基材とバリア膜と樹脂基材との3層をこの順に有していてもよい。このようなガスバリア積層体としては、例えば、三菱ケミカル社 スーパーニール「SP」、「EH」等の市販品を用いることもできる。
ガスバリア積層体は、バリア膜が熱溶着層側となるように配置されていてもよく、樹脂基材が熱溶着層側となるように配置されていてもよい。
(c)その他
機能層がガスバリア層を有する場合、機能層は、ガスバリア層を少なくとも1つ有していればよく、2つ以上有していてもよい。ガスバリア層の数は、本開示の包装用積層体が所望の特性を具備することが可能な範囲内で、ガスバリア層の種類、仕様、ガスバリア性能等に応じて適宜設定することができる。
(3)印刷基材
本開示における印刷基材としては、熱溶着層よりも高融点の樹脂を用いたものであればよく、シートでもフィルムでもよい。このような印刷基材として、例えば、各種のナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂等のシートまたはフィルム等が挙げられる。中でも、例えば図2に示すように、印刷基材12が、包装用積層体1の厚み方向に対向する2つの最外面を担う層のうち、一方の最外層である熱溶着層11とは反対側の最外層である場合には、ナイロンおよびPETが好ましく、特にナイロンが好適に用いられる。
また、印刷基材は、上記のポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有する樹脂層であってもよい。
また、印刷基材が包装用積層体の最外層である場合、印刷基材は、内容物を保護するのに十分な強度を有し、耐熱性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性等に優れたものであることが好ましい。また、印刷基材は、酸素バリア性能や水蒸気バリア性能等の、ガスバリア性能を有していることが好ましい。このようなガスバリア性能は、印刷基材に用いられる樹脂フィルムまたはシート等により発揮されるものであってもよく、樹脂フィルムまたはシート上に形成された、ガスバリア性能を有する膜等により発揮されるものであってもよい。ガスバリア性能を有する膜については、上記「(2)ガスバリア層」の項に記載したバリア膜と同様のものを用いることができる。
印刷基材は、単層であってもよく、同一材料を含む層または異なる材料を含む層を積層させて多層としたものであってもよい。また、印刷基材は、他の層との密着性の向上が図れるという点から、コロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。
印刷基材の厚みは、特に限定されないが、一般的に7μm以上、25μm以下の範囲内とすることができる。
印刷基材は、通常、印刷が施された基材であるが、内容物によっては印刷が施されていない基材としてもよい。
(4)機能層
機能層は、単層であってもよく、2層以上を積層させて多層としたものであってもよい。本開示の包装用積層体は、機能層として、例えば、熱溶着層を有していてもよく、ガスバリア層を有していてもよく、熱溶着層およびガスバリア層を有していてもよい。
また、本開示の包装用積層体は、少なくとも樹脂層と接着層と機能層とをこの順に有していればよく、例えば、樹脂層と接着層と機能層とをこの順に有していてもよく、第1機能層と第1接着層と樹脂層と第2接着層と第2機能層とをこの順に有していてもよい。
3.接着層
本開示の包装用積層体は、少なくとも樹脂層と機能層との間に接着層を有しており、包装用積層体を構成する部材間に接着層を有することができる。包装用積層体を構成する部材間としては、例えば、樹脂層と熱溶着層との間、熱溶着層とガスバリア層との間、ガスバリア層と、それに隣接する他のガスバリア層との間、ガスバリア層と印刷基材との間、樹脂層と印刷基材との間、樹脂層とガスバリア層との間等が挙げられる。
接着層には、ラミネートに用いられる公知の接着剤を用いることができる。接着剤としては、特に限定されないが、例えば感圧性接着剤、熱可塑性接着剤、硬化性接着剤等が挙げられる。
例えば、2液硬化型の接着剤を用いることができる。また、1液硬化型接着剤を用いてもよい。具体的には、エポキシ系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル酸系接着剤、無機ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケートや低融点ガラス等からなる無機系接着剤等を用いることができる。
中でも、樹脂層に接する接着層としては、ポリオール成分とイソシアネート成分とを有するポリウレタン系接着剤が好ましい。このような接着層であれば、樹脂層に含まれるセルロース繊維が有する水酸基によって、樹脂層と接着層との接着性を効果的に高めることができると推定される。
接着層の厚みは、所望の接着力が得られる厚みであれば特に限定されるものではなく、適宜設定される。
4.その他の部材
本開示の包装用積層体は、上記樹脂層とバリア膜とをこの順に有するガスバリア層を有していてもよい。樹脂層がガスバリア層の樹脂基材である場合には、樹脂層は線熱膨張係数が低く、寸法安定性に優れることにより、良好なガスバリア性能を維持することができる。
バリア膜については、上記「2.機能層 (2)ガスバリア層」の項に記載したバリア膜と同様のものを用いることができる。
また、樹脂層とバリア膜とをこの順に有するガスバリア層は、バリア膜の樹脂層とは反対側の面に、さらにオーバーコート膜を有することができる。オーバーコート膜を有することで、ガスバリア性能をさらに向上させることができるからである。オーバーコート膜の材料としては、一般にバリアコート剤やオーバーコート剤として用いられている材料を用いることができる。
5.包装用積層体
本開示の包装用積層体の層構成としては、少なくとも、樹脂層と接着層と機能層とをこの順に有していれば特に限定されない。例えば、樹脂層と接着層と熱溶着層とをこの順に有するもの、樹脂層と第1接着層と印刷基材と第2接着層と熱溶着層とをこの順に有するもの、印刷基材と第1接着層と樹脂層と第2接着層と熱溶着層とをこの順に有するもの、樹脂層と第1接着層とガスバリア層と第2接着層と熱溶着層とをこの順に有するもの、樹脂層と第1接着層と印刷基材と第2接着層とガスバリア層と第3接着層と熱溶着層とをこの順に有するもの、樹脂層とバリア膜と接着層と熱溶着層とをこの順に有するもの、印刷基材と第1接着層と樹脂層とバリア膜と第2接着層と熱溶着層とをこの順に有するもの、印刷基材と第1接着層とガスバリア層と第2接着層と樹脂層とバリア膜と第3接着層と熱溶着層とをこの順に有するもの、等が挙げられる。また、上述した層構成は例示であり、上記の積層順に限定されない。
中でも、樹脂層が接着層に接している層構成が好ましい。樹脂層が接着層と接しており、接着層を介して機能層と貼り合わされている場合には、樹脂層と接着層との接着性を高めることができ、良好なラミネート強度を得ることができるからである。
また、本開示の包装用積層体の厚み方向に対向する2つの最外面を担う層のうち、一方の最外層が熱溶着層であり、他方の最外層が樹脂層となる層構成も好ましい。樹脂層の機械的特性を有効に利用することができるからである。
包装用積層体の厚みは、特に限定されるものではなく、包装用積層体の層構成に応じて適宜設定される。
包装用積層体の製造方法としては、各部材を接着剤を用いて積層する方法であれば特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、ドライラミネート法が挙げられる。
6.用途
本開示の包装用積層体は、例えば、食品、医薬品、化粧品、産業資材、電池素子、真空断熱材の芯材等の様々な内容物の包装に利用することができる。すなわち、本開示の包装用積層体は、食品、医薬品、化粧品、産業資材等の包装材料や、電池用外包材、真空断熱材用外包材等として使用することができる。中でも、包装用積層体は、長期信頼性が必要な真空断熱材用外包材および電池用外包材として好適であり、特に、長期の断熱性能の維持、信頼性が必要な真空断熱材用外包材として好適である。
包装用積層体は、内容物の形状に合わせて変形され、内容物を収容する包装体とすることもできる。
B.真空断熱材用外包材
本開示の真空断熱材用外包材は、ポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有する樹脂層と、接着層と、熱溶着層と、をこの順に有し、上記熱溶着層の上記接着層側に、ガスバリア層を有する。すなわち、本開示の真空断熱材用外包材は、上述の包装用積層体を有する。
なお、「熱溶着層の接着層側に、ガスバリア層を有する」とは、ガスバリア層が、熱溶着層よりも接着層側の任意の位置に配置されていることをいう。
図4は、本開示の真空断熱材用外包材の一例を示す概略断面図である。図4に例示する真空断熱材用外包材10は、ポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有する樹脂層2と、第1接着層3aと、ガスバリア層13と、第2接着層3bと、熱溶着層11と、をこの順に有する。この真空断熱材用外包材10においては、樹脂層2とガスバリア層13と熱溶着層11とがそれぞれ第1接着層3a、第2接着層3bを介して貼り合わされている。
なお、真空断熱材用外包材が接着層を複数有する場合、便宜上、各接着層を第1接着層、第2接着層等と称する場合がある。
図5は、本開示の真空断熱材用外包材の他の例を示す概略断面図である。図5に例示する真空断熱材用外包材10は、印刷基材12と、第1接着層3aと、ポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有する樹脂層2と、バリア膜5と、第2接着層3bと、熱溶着層11と、をこの順に有する。また、樹脂層2は、ガスバリア層13の樹脂基材となっており、樹脂層2およびバリア膜5によりガスバリア層13を構成している。この真空断熱材用外包材10においては、印刷基材12とガスバリア層13と熱溶着層11とがそれぞれ第1接着層3a、第2接着層3bを介して貼り合わされている。
本開示の真空断熱材用外包材によれば、樹脂層がポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有することにより、上記「A.包装用積層体」の項に記載した効果と同様の効果を得ることができる。したがって、本開示の真空断熱材用外包材を用いることにより、長期間、断熱性能を維持することができる真空断熱材を得ることができる。
また、本開示においては、例えば図5に示すように、樹脂層がガスバリア層の樹脂基材である場合には、上記「A.包装用積層体」の項に記載したように、高温環境において長期間、良好なガスバリア性能を維持することができると推定される。したがって、本開示の真空断熱材用外包材を用いた真空断熱材は、高温環境において長期間、良好な断熱性能を維持することができると推定される。
以下、本開示の真空断熱材用外包材の構成について説明する。
1.樹脂層
本開示における樹脂層は、熱溶着層やガスバリア層を損傷や劣化から保護する部材である。
樹脂層の配置位置は、特に限定されるものではなく、例えば、中間層であってもよく、外層であってもよい。中でも、樹脂層は、本開示の真空断熱材用外包材の厚み方向に対向する2つの最外面を担う層のうち、一方の最外層である熱溶着層とは反対側の最外層となることが好ましい。真空断熱材を形成する際に芯材から最も離れて位置する最外層(最表層)とすることができるからである。
樹脂層を構成する材料については、上記「A.包装用積層体」の項に記載したものと同様とすることができる。
樹脂層の厚みは、特に限定されないが、例えば10μm以上、30μm以下の範囲内とすることができる。樹脂層の厚みが薄いと、十分な強度が得られない場合がある。また、厚みが厚いと、真空断熱材用外包材の剛性が高くなり過ぎ、真空断熱材用外包材を使用する際に、真空断熱材用外包材の端部の折り曲げに支障を来すおそれがある。
2.熱溶着層
本開示における熱溶着層は、加熱により溶着可能なフィルムである。熱溶着層は、本開示の真空断熱材用外包材を用いて真空断熱材を形成する際に、芯材と接し、また、芯材を封止する際に、対向する真空断熱材用外包材同士の端部を接合する部材である。
熱溶着層の材料等については、上記「A.包装用積層体 2.機能層 (1)熱溶着層」の項に記載した熱溶着層と同様とすることができる。
熱溶着層の融点は、材料にもよるが、50℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上である。また、上記融点は、300℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは250℃以下である。熱溶着層の融点を上記範囲内で設定することで、本開示の真空断熱材用外包材の使用環境下において、真空断熱材用外包材の封止面の剥離を抑制することができる。また、封止のための加熱による樹脂層やガスバリア層の熱劣化を抑制することができる。
熱溶着層の融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて下記の方法により測定することができる。まず、真空断熱材用外包材から熱溶着層を剥離して約10mgの測定試料を得る。この測定試料をアルミニウム製のセルに入れ、示差走査熱量計(NETZSCH社製 DSC204)を用いて、窒素雰囲気下で20℃から昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、その温度で10分間保持する。さらに、降温速度10℃/分で20℃まで冷却し、その温度で10分間保持した後、昇温速度10℃/分で300℃まで再度昇温する(2度目の昇温)。2度目の昇温の際に観測される融点での接線と、上記融点より低温側のDSC曲線の基線との交点を、熱溶着層の融点とすることができる。
熱溶着層の厚みは、所望のシール強度を示すことが可能な厚みであれば特に限定されず、例えば20μm以上とすることができ、好ましくは25μm以上、より好ましくは30μm以上である。また、上記厚みは、100μm以下とすることができ、好ましくは90μm以下、より好ましくは80μm以下である。熱溶着層の厚みが上記範囲よりも大きいと、真空断熱材用外包材のガスバリア性能が劣化する場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、所望のシール強度が得られない場合がある。
3.ガスバリア層
本開示におけるガスバリア層は、熱溶着層の接着層側に配置される。ガスバリア層としては、ガスバリア性能を発揮可能な部材であれば特に限定されず、例えば、金属箔、ガスバリア性樹脂膜、樹脂基材の片面または両面にバリア膜を有するガスバリア積層体が挙げられる。金属箔、ガスバリア性樹脂膜、およびガスバリア積層体については、上記「A.包装用積層体 2.機能層 (2)ガスバリア層」の項に記載したガスバリア層と同様とすることができる。
ガスバリア積層体において、樹脂基材は、上述のポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有する樹脂層であってもよく、この樹脂層以外の樹脂基材であってもよい。樹脂基材が上記樹脂層である場合には、樹脂層は線熱膨張係数が低く、寸法安定性に優れることにより、良好なガスバリア性能を維持することができると推定される。
また、上記「A.包装用積層体 2.機能層 (2)ガスバリア層」の項に記載したように、真空断熱材用外包材は、ガスバリア層を少なくとも1つ有していればよく、2つ以上有していてもよい。
図6は、本開示の真空断熱材用外包材の他の例を示す概略断面図である。図6に例示する真空断熱材用外包材10は、印刷基材12と、第1接着層3aと、第1ガスバリア層13aと、第2接着層3bと、ポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有する樹脂層2と、バリア膜5と、第3接着層3cと、熱溶着層11と、をこの順に有する。また、樹脂層2は、第2ガスバリア層13bの樹脂基材となっており、樹脂層2およびバリア膜5により第2ガスバリア層13bを構成している。この真空断熱材用外包材10においては、印刷基材12と第1ガスバリア層13aと第2ガスバリア層13bと熱溶着層11とがそれぞれ第1接着層3a、第2接着層3b、第3接着層3cを介して貼り合わされている。
真空断熱材用外包材がガスバリア層を2つ以上有する場合には、ガスバリア性能を向上させることができる。また、2つ以上のガスバリア層のいずれかがガスバリア積層体である場合、ガスバリア層を2つ以上有することにより、ガスバリア積層体のバリア膜のピンホールやクラック等の欠陥によるガスバリア性の低下を抑制することができる。
4.接着層
本開示の真空断熱材用外包材は、少なくとも樹脂層と熱溶着層との間に接着層を有しており、真空断熱材用外包材を構成する部材間に接着層を有することができる。真空断熱材用外包材を構成する部材間としては、例えば、樹脂層と熱溶着層との間、熱溶着層とガスバリア層との間、ガスバリア層と、それに隣接する他のガスバリア層との間、ガスバリア層と印刷基材との間、樹脂層と印刷基材との間、樹脂層とガスバリア層との間等が挙げられる。
接着層については、上記「A.包装用積層体 3.接着層」の項に記載した接着層と同様とすることができる。
5.その他の部材
本開示の真空断熱材用外包材は、熱溶着層の接着層側に、印刷基材を有していてもよい。
なお、「熱溶着層の接着層側に、印刷基材を有する」とは、印刷基材が、熱溶着層よりも接着層側の任意の位置に配置されていることをいう。
印刷基材の配置位置は、特に限定されるものではなく、例えば、中間層であってもよく、外層であってもよい。
印刷基材については、上記「A.包装用積層体 2.機能層 (3)印刷基材」の項に記載した印刷基材と同様とすることができる。
6.真空断熱材用外包材
本開示の真空断熱材用外包材の層構成としては、少なくとも、樹脂層と接着層と熱溶着層とをこの順に有し、熱溶着層の接着層側にガスバリア層を有していれば特に限定されない。例えば、樹脂層と第1接着層とガスバリア層と第2接着層と熱溶着層とをこの順に有するもの、樹脂層と第1接着層と印刷基材と第2接着層とガスバリア層と第3接着層と熱溶着層とをこの順に有するもの、樹脂層とバリア膜と接着層と熱溶着層とをこの順に有するもの、印刷基材と第1接着層と樹脂層とバリア膜と第2接着層と熱溶着層とをこの順に有するもの、印刷基材と第1接着層とガスバリア層と第2接着層と樹脂層とバリア膜と第3接着層と熱溶着層とをこの順に有するもの、等が挙げられる。また、上述した層構成は例示であり、上記の積層順に限定されない。
中でも、本開示の真空断熱材用外包材の厚み方向に対向する2つの最外面を担う層のうち、一方の最外層が熱溶着層であり、他方の最外層が樹脂層となる層構成が好ましい。樹脂層の機械的特性を有効に利用することができるからである。
本開示の真空断熱材用外包材の厚みは、上述した特性を有することが可能であれば特に限定されず、例えば30μm以上、200μm以下の範囲内、好ましくは50μm以上、150μm以下の範囲内とすることができる。
本開示の真空断熱材用外包材の製造方法は、各部材を接着剤を用いて積層する方法であれば特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、ドライラミネート法が挙げられる。
本開示の真空断熱材用外包材は、真空断熱材に用いられる。本開示の真空断熱材用外包材は、積層方向において対向する2つの最表面を担う層のうち、一方が熱溶着層となる。真空断熱材においては、通常、一対の外包材が、それぞれ熱溶着層側の表面が芯材側となるようにして、芯材を介して対向して配置される。
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本開示をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
樹脂層/接着層/印刷基材/接着層/ガスバリア層/接着層/熱溶着層の層構成を有する真空断熱材用外包材を作製した。印刷基材、ガスバリア層、熱溶着層および接着剤には下記を用いた。
印刷基材:PETフィルム 厚み12μm
ガスバリア層:アルミニウム合金箔 厚み6.5μm
熱溶着層:LLDPEフィルム 厚み50μm
接着剤:ドライラミネート用ウレタン系接着剤
(樹脂層の形成)
下記に示すように、ポリアミド樹脂100質量部に対し、セルロース繊維10質量部を含有するポリアミド樹脂組成物を調製し、このポリアミド樹脂組成物を用いて汎用的な押出成形法および二軸延伸法で25μmのフィルム状の樹脂層を形成した。
まず、セルロース繊維の水分散液として、セリッシュKY110N(ダイセルファインケム社製:平均繊維径が125nmのセルロース繊維が15質量%含有されたもの)を用いた。この水分散液に精製水を加えてミキサーで撹拌することで、セルロース繊維の含有量が3質量%の水分散液を調製した。
次に、得られたセルロース繊維の水分散液350質量部と、ε−カプロラクタム100質量部と、触媒としてのリン系化合物0.1質量部とを、均一な分散液となるまでさらにミキサーで撹拌、混合した。この混合分散液を撹拌し、0.7MPaの圧力に制圧しながら、4時間かけて240℃に昇圧した。その後、大気圧まで放圧し、240℃にて0.5時間溶融重合を行った。溶融重合終了後、ポリアミド樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。
次に、得られたペレットを95℃の熱水で12時間処理することで精練を行い、その後に100℃で12時間乾燥させた。乾燥したペレットを、窒素気流下において、170℃で15時間、固相重合に供した。
次に、得られたペレットを押出機に投入し、温度270℃に加熱したシリンダー内で溶融した。溶融物をTダイオリフィスよりシート状に押出し、10℃に冷却した回転ドラムに密着させて急冷することで、厚さ250μmの未延伸シートを得た。
次に、得られた未延伸シートを50℃の温水槽に送り、2分間の浸水処理を施した後に同時二軸延伸機にて延伸温度180℃でMD方向およびTD方向に延伸した。続いて、200℃で5秒間の熱処理(熱固定)を行い、さらにTD方向に弛緩処理を行った後、冷却を施し、二軸延伸された厚さ25μmのフィルム状の樹脂層を得た。
(真空断熱材用外包材の作製)
樹脂層と印刷基材とガスバリア層と熱溶着層とは、接着層を介して接合した。すなわち、隣接する2つの層のうち、熱溶着層とは反対側に位置する層の片方の面に、上記接着剤を塗布し、接着剤が塗布された層とそれに隣接する層とを接着剤を間に挟んで加圧して接着した。
[実施例2]
樹脂層として、下記の樹脂層を用いたこと以外は、上記実施例1と同様に真空断熱材用外包材を作製した。
(樹脂層の形成)
下記に示すように、ポリアミド樹脂100質量部に対し、セルロース繊維20質量部を含有するポリアミド樹脂組成物を調製し、このポリアミド樹脂組成物を用いて汎用的な押出成形法および二軸延伸法で15μmのフィルム状の樹脂層を形成した。
具体的には、セルロース繊維の含有量が6質量%の水分散液を調製したこと以外、実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を調製した。次に、未延伸シートの厚さを150μmとしたこと以外、実施例1と同様にして、厚さ15μmのフィルム状の樹脂層を得た。
[比較例]
樹脂層として、ナイロンフィルム(ユニチカ社製ナイロンフィルム エンブレムON 厚み25μm 片面コロナ処理)を用いたこと以外は、実施例1と同様に真空断熱材用外包材を作製した。
[評価]
(突刺し強さ)
真空断熱材用外包材の突刺し強さは、真空断熱材用外包材の樹脂層側の面および熱溶着層側の面の両面から、JIS Z1707の規定に準拠した方法により測定した。
(弾性率)
真空断熱材用外包材の弾性率は、JIS K7161に準拠し、MD方向およびTD方向それぞれについて測定した。引張試験機は、テンシロン万能試験機RTC−1250Aを用い、温度23℃、湿度55%、チャック間距離100mm、引張速度100mm/minとした。
(鉛筆硬度)
真空断熱材用外包材の樹脂層側の面の鉛筆硬度を、JIS K5600−5−4(1999)の規定に準拠した方法により測定した。
(耐擦傷性)
真空断熱材用外包材について、JIS K5701に準拠し、摩擦試験を行い、試験後の外観を観察した。試験機は、サザランド型ラブテスターを用いた。2枚の真空断熱材用外包材を準備し、真空断熱材用外包材の樹脂層側の面同士を重ね合せ、50回往復させた。
Figure 2019043061
1 … 包装用積層体
2 … 樹脂層
3 … 接着層
4 … 機能層
5 … バリア膜
10 … 真空断熱材用外包材
11 … 溶着層
12 … 印刷基材
13 … ガスバリア層

Claims (6)

  1. ポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有する樹脂層と、接着層と、機能層と、をこの順に有する、包装用積層体。
  2. 前記セルロース繊維の平均繊維径が10μm以下である、請求項1に記載の包装用積層体。
  3. 前記機能層が、熱溶着層を有する、請求項1または請求項2に記載の包装用積層体。
  4. 前記機能層が、ガスバリア層を有する、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の包装用積層体。
  5. 前記樹脂層およびバリア膜をこの順に有するガスバリア層を有する、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の包装用積層体。
  6. ポリアミド樹脂およびセルロース繊維を含有する樹脂層と、接着層と、熱溶着層と、をこの順に有し、前記熱溶着層の前記接着層側に、ガスバリア層を有する、真空断熱材用外包材。
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CN113429610A (zh) * 2020-03-18 2021-09-24 住友化学株式会社 光学膜及柔性显示装置

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