JP6794641B2 - 溶接構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶接構造体の製造方法に関する。より具体的には、金属板部材の重ね合わせ部をレーザ溶接して得られる溶接構造体の製造方法に関する。なお、「金属板部材」とは、金属板から所定形状に成形加工及び/又は切り出しされた部材の意味で用いる。
自動車には、金属板(代表的には鋼板であり、以下では鋼板として説明する。)から製造される金属板部材の1態様である断面ハット型の長尺の部材(以下、単に「ハット型部材」という。)が数多く使用されている。このようなハット型部材は、通常フランジで他の金属板部材である鋼板部材(例えばクロージングプレートや他のハット型部材等)と重ね合わされて、その重ね合わせ部で接合される。この場合の接合手段として最も一般的に用いられている方法は、抵抗スポット溶接(以下、スポット溶接という。)である。
最近は、スポット溶接に代えてレーザ溶接を適用することで、ハット型部材のフランジ幅を狭くして部材を軽量化する検討がなされている。具体的には次の通りである。
スポット溶接では、溶接部を電極で狭持及び加圧する必要がある。また溶接位置がフランジの端面に寄り過ぎると、溶融した金属の飛散(チリ)が発生する。そのため、スポット溶接ではフランジの幅を15mm〜20mm程度の大きさで確保する必要があり、重量の増加となってしまう。
これに対してレーザ溶接によれば、スポット溶接のように加圧する必要はなく、溶融幅も1mm程度に抑えることができる。そのためレーザ溶接では、フランジの幅を例えば5mm〜10mm程度のように狭くできる可能性がある。
しかしながら一般に、フランジの端面近く(概ね端面から10mm未満の領域)にレーザ溶接をすると、溶接線の凝固割れが発生するおそれが高くなる。従って、フランジの幅を短くしても凝固割れが発生しない溶接方法が求められている。
例えば「安藤弘平ら、「回転変形による高温割れの発生進展機構と高温割れ感受性の評価方法−薄板アルミニウム合金の高温割れ現象(第2報)−」、溶接学会誌、第42巻、第9号、pp.37−47(1973)」等によれば、溶接時の凝固割れは、溶融した金属が凝固する過程において、固相と液相が共存する延性が低下した部分である凝固脆性温度領域(Brittleness Temperature Range(BTR))内において、溶融熱で鋼板端部(ハット型部材では、フランジ)が変形することにより生じるひずみの増分が、割れ発生に要するひずみ(以下、「限界ひずみ」という)を超えることで生じると考えられる。
これを鑑みると、凝固割れの防止方法として、溶接金属の成分適正化によるBTRの縮小や限界ひずみの制御による材料的アプローチ、及び鋼板端部に発生するひずみの抑制による力学的アプローチが挙げられる。
材料的アプローチのひとつとして、溶接金属の成分適正化によるBTRの縮小が考えられる。溶接金属の成分適正化によるBTRの縮小は、具体的には、一般に凝固割れに影響を与える因子の1つであるとされる液相−固相間の凝固温度幅に基づいており、Feに対する2元系を対象に、少量の添加でも凝固温度幅を広げる元素であるC、P、Sなどの溶接金属中の量を限定するものである(例えば、特許文献1や特許文献2)。しかし特許文献3において、スポット径が0.6mmであるレーザ溶接の限界まで、フランジ端部からの距離を小さくした場合(距離の最小値1.5mm)、上記特許文献1、特許文献2の金属の組成であっても凝固割れが発生すると記載されており、十分であるとはいえない。
材料的アプローチのもうひとつとして限界ひずみの制御がある。限界ひずみの制御は、溶接金属の成分適正化により限界ひずみを大きくして、発生するひずみ増分量が不変でも凝固割れが発生しないようにする。その事例として、特許文献3(レーザ溶接方法及びレーザ溶接継手)で示されている方法が挙げられ、溶接金属の成分適正化により等軸晶率を制御して凝固割れを防止する。具体的には、等軸晶の核となる窒化チタン(TiN)を生成させるためにTi、N、Si等を活用している。しかしながら、この技術ではTiの使用などによる材料コスト増の可能性があったり、他の性能との関係で限界があったりする。
そこで次に力学的なアプローチとして発生するひずみの抑制が考えられる。発生するひずみの抑制については、いくつかの方法が提案されている。
第一に冶具による拘束が挙げられる。例えば、特許文献4には溶接金属の組成が割れを発生し得る場合に、レーザ光の照射位置の近傍の鋼板端部にプレートを押し当て、鋼板端部の膨張を抑制しながら溶接することにより凝固割れを防止する発明が開示されている。しかしこの発明は、鋼板端部の膨張を抑制する装置を溶接の際に配置する必要があり、小さな部材や複雑な形状の部材の溶接線には用いることができないとともに、溶接の作業工数が増加し煩雑な作業となってしまう。
第二に、溶接条件(入熱量、溶接速度)や剛性(板厚、溶接線のフランジ端からの距離など)の調整によってひずみを抑制する方法が挙げられる。例えば、特許文献5では、凝固割れの発生有無は、端部からの距離(L)、溶接速度(V)、板厚(h)に依存していると説明している。しかしフランジ幅が小さい場合、溶接速度を大きくすることができず、その解決策も提示されていない。
第三に、特許文献6で提案されているフランジ端面を冷却する方法が挙げられる。ここでは、母材側と、母材側に対し高い温度となる端面側との熱膨張量差に起因して生じるひずみによって割れが発生すると考えている。この方法は、抜熱しにくい条件(例えば、フランジ端が短く、かつ溶接速度が遅い場合)において特に有効だと考えられる。ところが一方で、フランジ端面を冷却すると溶接線の位置との温度差が大きくなり回転変形の駆動力が大きくなることで、溶接条件によってはひずみが大きくなり割れ発生を助長することも考えられる。また溶接速度が速い場合は、速度が遅い場合に比べて抜熱しやすく冷却の効果は小さくなると考えられる。またこの方法でも冷却装置の配置に留意しなければならず、作業工数が増加する虞がある。
特開2007−229740号公報 特開2009−255134号公報 特開2013−128938号公報 特開2008−18450号公報 特開2009−285722号公報 特開2009−56483号公報
上記のように、溶接時の凝固割れは、溶融した金属が凝固する過程において、固相と液相が共存する延性が低下した部分であるBTRに、溶融熱により鋼板端部が変形することにより発生するひずみが加わって発生する。そのBTR内で生じるひずみ増分量がある閾値を超えたとき凝固割れが発生すると考えられ、ハット型パネルのフランジ部レーザ溶接において、BTR内のひずみ増分量に影響を与える主因子として以下の2つが挙げられる。
(1)フランジ幅(溶接位置のフランジ端からの距離)の大きさ等で決定される部材剛性(あるいは回転曲げに対する抵抗力):
フランジ幅が大きく、溶接位置がフランジ端からの距離が大きいほど、回転曲げに対する剛性(あるいは回転曲げに対する抵抗力)が高く、変形・ひずみは抑制される。すなわち、同一溶接条件下において板幅のみを大きくすると、変形に対する剛性が増加するため溶接熱による試片の回転変形量が減少する。しかしながら、単にフランジ幅を大きくするのでは部材の軽量化には反する。
(2)入熱による板幅方向の温度分布:
溶接線の不均一な温度上昇に伴う不均一な熱膨張が、回転変形の駆動力となる。板幅方向に温度分布の不均一があるとき、回転変形の駆動力が働くことはよく知られている(安藤弘平、仲田周次「加熱による矩形板の変形についての一計算」、溶接学会全国大会講演概要第10集、p.305、昭和47年)が、この回転変形を抑えることで、ひずみ増分量は抑制できると考えられる。
すなわち、図6(a)に示すように板1のAからBへ溶接を行うと、板幅方向に不均一な温度分布を生じるため、板1は溶融池Yより前方点Pを支点として矢印Cの方向に回転変形を生じる。溶接線の脆化領域の強度はきわめて小さいため、脆化領域部分の溶接金属はこの回転変形をほとんど抑制できない。この回転変形によって脆化領域部分に加えられるひずみ量が限界ひずみ量を超えるとき割れが発生する。その後溶接が進行すると、図6(b)に示すように溶融池Yも進行し、回転変形の支点もそれに追随して点P’に移動する。このとき、温度分布が準定常状態にあると、脆化領域部に加えられるひずみ量は時間的に一定と考えられ、この場合割れは図6(b)に示すように溶接線に沿って進展する。
一方、溶接速度が遅い場合は、板幅方向の温度分布は均一化しやすくなり回転変形の駆動力は小さくなる。しかし、単に溶接速度を下げるのでは、部材の生産性が悪くなり、板幅を小さくするのでは、剛性が落ちるため発生するひずみを抑制できず凝固割れが発生する可能性が高くなる。
そこで本発明は、上記問題に鑑み、金属板部材、例えばハット型部材のフランジを他の金属板部材と重ね合わせてレーザ溶接する溶接構造体を製造するにあたり、スポット溶接に比べてフランジ幅を小さくしても凝固割れが発生し難い溶接構造体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明の1つの態様は、2以上の金属板部材をレーザ溶接する工程と、レーザ溶接する工程の前に、レーザ溶接される部位を溶接線としたときに、溶接線を中心として、溶接線の直交方向における金属板部材の一方側と他方側の部位のうち、溶接線から金属板部材の端面までの距離が短い一方側の部位に焼き入れ処理を施して部分焼入れ部を形成する工程と、を有する、溶接構造体の製造方法である。
上記溶接構造体の製造方法では、レーザ溶接する工程において、2以上の金属板部材を重ね合わせて当該重ね合わせ部でレーザ溶接することができる。
上記溶接構造体の製造方法では、部分焼入れ部の降伏応力が、焼き入れ処理を施さない部位の降伏応力よも250Mpa以上高くすることができる。
上記溶接構造体の製造方法では、溶接線と金属板部材の端面の間のうち、部分焼入れ部を含んだ側において、溶接線と金属板部材の端面との間の距離のうち、60%以上の領域に焼入れ処理を施すことができる。
上記溶接構造体の製造方法では、溶接線と金属板部材の端面の間のうち、部分焼入れ部を含んだ側において、溶接線と端面との間の距離が8mm以内とすることができる。
上記溶接構造体の製造方法では、金属板部材の厚さが0.5mm以上3.2mm以下としてもよい。
本発明によれば、金属板部材、例えばハット型部材のフランジを他の金属板部材と重ね合わせてレーザ溶接した溶接構造体を製造するにあたり、スポット溶接に比べてフランジ幅を小さくしても、凝固割れの発生を抑制することができる。
ハット型溶接構造体10の概要を示す外観斜視図である。 フランジ11c及び溶接線13の一部を拡大して表した図である。 溶接方法の過程の一場面を説明する図である。 溶接の一場面を説明する図である。 実施例による評価方法を説明する図である。 図6(a)は凝固割れ発生のメカニズムを模式的に示す1つの説明図、図6(b)は凝固割れ発生のメカニズムを模式的に示す他の説明図である。
図1は本形態の溶接構造体の製造方法により得られる溶接構造体の一形態であるハット型溶接構造体10の外観を表す斜視図である。図2はフランジ11cの一部を拡大して表した図である。図1、図2には幅方向、長手方向、及び高さ方向が必要に応じて併せて示してある。
ハット型溶接構造体10は、ハット型部材11及びクロージングプレート12を有して構成されている。
ハット型部材11は、鋼板から形成されており金属板部材の1つである。ハット型部材11は、その長手方向に直交する断面においてウェブ片11a、ウェブ片11aの両端から延びる壁片11b、及び壁片11bの端部に設けられるフランジ11cを有していわゆるハット型に形成されている。そしてフランジ11cには、その幅方向端部に、部分的に焼入れされた部位である部分焼入れ部11dが配置されている(図2ではハッチングで示している部分。)。
部分焼入れ部11dは、部分焼入れをしない部分に比べて降伏応力が250MPa以上高いことが好ましい。これにより本発明による効果をより確実なものとすることができる。また降伏応力の増大は大きいほど効果が高まるのでその上限は特に限定されることはないが、例えば、1500MPaや1000MPaとすることができる。
また、部分焼入れ部11dは、後述する溶接線13からフランジ11cの端部までの幅方向距離(図2のIIaの大きさ)を100%としたとき、部分焼入れ部11dがそのうちの60%以上100%以下の範囲で占めることが好ましい。
ここで部分焼入れ部の降伏応力は、部材から試験片を採取して計測することができる。試験片のサイズはJIS Z 2201に準拠するものとし、試験はJIS Z 2241に準拠して行う。試験は、3回行いその降伏応力の平均値を用いるものとする。ただし、部材から3回分の試験片を採取できない場合は、1回の値または2回の値の平均値を用いてもよい。
ハット型部材11は、実際の用途に応じて、長手方向にまっすぐである場合もあれば、カーブしていたり、断面が拡がったり狭まったりしている等の場合もある。
一方、クロージングプレート12は、金属板部材の1つであり、上記部分焼入れ部11dに重なるような略平滑な鋼板である。またクロージングプレート12の幅方向端部もハット型部材11の例に倣って、幅方向端部が部分焼入れ部11dの一部とされていることが好ましい。
そして、ハット型部材11のうち2つのフランジ11c間を渡し、ハット型部材11の部分焼入れ部11dに重なるようにクロージングプレート12が配置され、該クロージングプレート12とフランジ11cとが重ねられている。当該重なった部分のうち、部分焼入れ部11dよりも内側(端面とは反対側)に溶接線13が設けられており、該溶接線13で両者が接合されている。本形態で溶接線13は、フランジ11c及びクロージングプレート12を板厚方向に貫通した貫通溶接による溶接線とされている。
溶接線13はレーザ溶接により形成されており、フランジ11cの長手方向に沿って延びている。本発明は溶接線13を形成するための溶接方法において、図2にIIaで示したフランジ11cの端部から溶接線13までの距離を従来のレーザ溶接に対して短くしつつ速い速度で溶接しても割れを抑制することができ、その結果、図2にIIbで示したフランジ11cの幅をスポット溶接の場合よりも小さくすることが可能となる。特に限定されることはないが、図2に示したようにフランジ11cの幅IIbを15mm以下にすることができる。また、図2にIIaで示した、溶接線13と端面との距離を8mm以下にすることも可能であり、より好ましくは3mm以下にすることも可能である。
ここで、ハット型部材11に使用される鋼板は特に限定されるものではなく、重ね合わせてレーザ溶接できる程度の組成、板厚であれば特に制限はない。例えば0.5mm以上3.2mm以下の厚さであることが好ましい。また、表面に亜鉛系めっきやアルミニウム系めっき等公知のめっき層を備えていてもよい。また、鋼板ではなく、例えばアルミニウム合金板等の別の金属板を使用することもできる。
また、ハット型部材11の形状は、実際の用途に応じて、長手方向にまっすぐであるものもあればカーブしているものもあり、あるいは断面形状が長手方向に変化しているものもあるが、本発明はそのいずれにも適用してよい。また、クロージングプレート12に代えて、他のハット型部材やその他の形状の金属板部材と溶接してもよい。あるいは、3つ以上の金属板部材を重ね合わせて溶接されるような溶接構造体にも適用できる。
次に上記のようなハット型溶接構造体10は例えばつぎのように作製することができる。図3に説明のための図を示した。図3は図1と同じ視点による図で、幅方向、長手方向、及び高さ方向が併せて示してある。
初めに溶接用ハット型部材11’を準備する。溶接用ハット型部材11’は上記したハット型部材11に対して、まだ溶接線13が形成されていない部材である。ここで溶接用ハット型部材11’には部分焼入れ部11dが形成されている。
部分焼入れ部11dの形成は、部分的な焼入れ処理をすることにより行うことができる。具体的には浸炭焼入れや高周波焼入れ等、加熱と冷却を含む処理によって材料の組織の変態を生じさせて、強度を高く(硬度を高く)する処理である。加熱温度は強度差が所定の値以上となるように適宜設定すればよいが、金属板が鋼の場合は、Ac3点以上まで加熱し、マルテンサイトが析出する冷却速度とすることが好ましい。
以上のような溶接用ハット型部材11’に対して、図3に示したように溶接用ハット型パネル11’のうち2つのフランジ11c間を渡すようにクロージングプレート12が配置され、該クロージングプレート12とフランジ11cが重ねられ、これにより部分焼入れ部11dとクロージングプレート12の端部(本形態ではクロージングプレート12の端部で部分焼入れが行われた部分)とが重ねられる。
次に、図4に示したように、フランジ11c及びここに重ねられたクロージングプレート12をその板厚方向に貫通するように溶接する。すなわち、レーザを照射して、当該照射した部位を図4に矢印IVaで示したように長手方向に移動させて溶接を行う。溶接をする装置としては、公知のレーザ溶接装置を挙げることができる。レーザの種類は通常に鋼板のレーザ溶接に用いられるレーザであれば、特に限定されることはなく、これには例えばCOレーザ、YAGレーザ、ファイバーレーザなどがある。なお、レーザ溶接におけるスポット径(レーザの鋼板への照射径)も特に限定されないが、0.5mm以上1.0mm以下が好ましく、得られる溶接線幅は約1mmであることが通常である。
以上のような溶接方法であれば、鋼板の回転変形を抑制することができ、鋼板を拘束したり治具を接触させたりする必要がないため容易に溶接を行える。さらには、例えば端面からの距離が小さい部位において溶接速度を大きくしても凝固割れを抑制することもできる。
なお、本形態ではハット型溶接構造体であったため、溶接線13を挟んでフランジ11cの端部とは反対側には壁片11bが形成されており、これが部分焼入れ部11dと同様の機能(鋼板の回転変形を抑制)をする。従って、ハット型溶接構造体でない形態、又はハット型溶接構造体であっても、場合によっては溶接線を挟んでその両方の端部に部分焼入れ部を設けてもよい。ただしこれに限らず、溶接線で区切られる一方及び他方の部位のうち、少なくとも端面までの距離が短い側の部位の端部に部分焼入れ部が形成されていればよい。
これ以外の本発明の形態としては、凝固割れが防止できる範囲で、重ね合わせ端部において全ての部材に対して部分焼入れ部が形成されている必要は必ずしもない。例えば、重ね合わされる一方の金属板部材の幅が十分に広い場合や、凝固割れを生じにくい鋼成分である場合等が想定される。
実施例では、シミュレーションにより通常の溶接方法で凝固割れが発生する条件に対して、部分焼入れ部を設けた条件を用いて、凝固割れの発生の有無について評価を行った。本実施例は1枚の鋼板に対してレーザを照射するモデルで評価を行ったので厳密には溶接とは異なるが、この評価は複数の金属板部材を重ねた際の溶接に対しても展開することが可能である。実施例では図5に表したように、1300MPa級のホットスタンプ材について、1枚の1mm厚の鋼板モデル30に対して部分焼入れ部として後に説明するように他の平坦部とは異なる特性を適用した。そしてレーザ溶接のレーザ光照射を想定した加熱部への入熱が通過した部位に凝固割れが発生するか否かを評価した。
入熱はレーザ溶接機から出射されるレーザを想定して、入熱量1100W、照射範囲の幅を2mmにした。入熱部分は鋼板モデル30の端面から3mmの位置を端面と平行に移動させた。移動速度は21mm/秒である。鋼板モデルの材料は1300MPa級ホットスタンプ材の物性値を用いた。
部分焼入れ部31は、図2に示した形状とし、他の部位に比べて端部から2mmの範囲とした。より詳細には、端部から2mm幅の領域ではマルテンサイト及びオーステナイトの組織の材料特性を適用した。一方、その他の部位についてはフェライト及びパーライトの組織の材料特性を適用した結果、部分焼入れ部の降伏応力が、焼入れ処理を施さない部位の降伏応力よりも約600(597)Mpa高くなった。
一方、比較例は実施例と同形状及び同じ条件による入熱としつつ、部分焼入れ部を形成しなかった。
その結果、比較例では加熱部が通過した部分に断続的な割れ(凝固割れ)が発生する結果となった。これに対して実施例では割れが発生しない結果を得ることができた。
10 ハット型溶接構造体(溶接構造体)
11 ハット型部材(金属板部材)
11c フランジ
11d 部分焼入れ部
12 クロージングプレート(金属板部材)
13 溶接部

Claims (7)

  1. 2以上の金属板部材をレーザ溶接する工程と、
    前記レーザ溶接する工程の前に、レーザ溶接される部位を溶接線としたときに、前記溶接線を中心として、前記溶接線の直交方向における前記金属板部材の一方側と他方側の部位のうち、前記溶接線から前記金属板部材の端面までの距離が短い一方側の部位に焼き入れ処理を前記2以上の金属板部材の各々に施して部分焼入れ部を形成する工程と、を有する、溶接構造体の製造方法。
  2. 前記レーザ溶接する工程において、前記2以上の金属板部材を重ね合わせて当該重ね合わせ部でレーザ溶接する、請求項1に記載の溶接構造体の製造方法。
  3. 前記部分焼入れ部の降伏応力が、焼き入れ処理を施さない部位の降伏応力よりも250Mpa以上高い、請求項1又は2に記載の溶接構造体の製造方法。
  4. 前記溶接線と前記金属板部材の端面の間のうち、前記部分焼入れ部を含んだ側において、
    前記溶接線と前記金属板部材の端面との間の距離のうち、60%以上の領域に前記焼入れ処理を施す、請求項1から3のいずれかに記載の溶接構造体の製造方法。
  5. 前記溶接線と前記金属板部材の端面の間のうち、前記部分焼入れ部を含んだ側において、
    前記溶接線と端面との間の距離が8mm以内である、請求項1から4のいずれかに記載の溶接構造体の製造方法。
  6. 前記金属板部材の厚さが0.5mm以上3.2mm以下である、請求項1から5のいずれかに記載の溶接構造体の製造方法。
  7. 前記焼き入れ処理は、浸炭焼入れ又は高周波焼入れにより行われる請求項1から6のいずれかに記載の溶接構造体の製造方法。
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