JP6409397B2 - 溶接構造体の製造方法及び溶接構造体 - Google Patents

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本発明は、溶接構造体の製造方法及び溶接構造体に関する。より具体的には、金属板部材の重ね合わせ部をレーザ溶接して得られる溶接構造体の製造方法及び溶接構造体に関する。なお、「金属板部材」とは、金属板から所定形状に成形加工及び/又は切り出しされた部材の意味で用いる。
自動車には、金属板(代表的には鋼板であり、以下では鋼板として説明する。)から製造される金属板部材の1態様である断面ハット型の長尺の部材(以下、単に「ハット型部材」という。)が数多く使用されている。このようなハット型部材は、通常フランジで他の金属板部材である鋼板部材(例えばクロージングプレートや他のハット型部材等)と重ね合わされて、その重ね合わせ部で接合される。この場合の接合手段として最も一般的に用いられている方法は、抵抗スポット溶接(以下、スポット溶接という。)である。
最近は、スポット溶接に代えてレーザ溶接を適用することで、ハット型部材のフランジ幅を狭くして部材を軽量化する検討がなされている。具体的には次の通りである。
スポット溶接では、溶接部を電極で狭持及び加圧する必要がある。また溶接位置がフランジの端面に寄り過ぎると、溶融した金属の飛散(チリ)が発生する。そのため、スポット溶接ではフランジの幅を15mm以上程度の大きさで確保する必要がある。これに対してレーザ溶接によれば、スポット溶接のように加圧する必要はなく、溶融幅も1mm程度に抑えることができる。そのためレーザ溶接では、フランジの幅をより狭くできる可能性がある。
しかしながら一般に、フランジの端面近く(概ね端面から10mm未満の領域)にレーザ溶接をすると、溶接部の凝固割れが発生するおそれが高くなる。従って、フランジの幅を短くしても凝固割れが発生しない溶接方法が求められている。
例えば「安藤弘平ら、「回転変形による高温割れの発生進展機構と高温割れ感受性の評価方法−薄板アルミニウム合金の高温割れ現象(第2報)−」、溶接学会誌、第42巻、第9号、pp.37−47(1973)」等によれば、溶接時の凝固割れは、溶融した金属が凝固する過程において、固相と液相が共存する延性が低下した部分である凝固脆性温度領域(Brittleness Temperature Range(BTR))内において、溶融熱で鋼板端部(ハット型部材では、フランジ)が変形することにより生じるひずみの増分が、割れ発生に要するひずみ(以下、「限界ひずみ」という)を超えることで生じる、と考えられる。これを鑑みると、凝固割れの防止方法として、溶接金属の成分適正化によるBTRの縮小や限界ひずみの制御、及び鋼板端部に発生するひずみの抑制が挙げられる。ところが、溶接金属の成分適正化によるBTRの縮小や限界ひずみの制御については、鋼板の材料自体を調整する必要がある。鋼板の材料自体の調整は、他の性能に影響を与えることもあるので、対策としては限界がある。
そこで、鋼板端部(フランジ)に発生するひずみを抑制することについてみると、例えば次のような技術が提案されている。
特許文献1、2には溶接金属部に割れが発生し得る場合に、レーザ光の照射位置の近傍の鋼板端部にプレートを押し当て、鋼板端部の膨張を抑制しながら溶接することにより凝固割れを防止する発明が開示されている。すなわち、冶具による拘束である。
しかしながら、このように冶具を用いると、溶接の際に鋼板端部の膨張を抑制する装置(冶具)を配置する必要があり、小さな部材や複雑な形状の部材の溶接部には用いることができないとともに、溶接の作業工数が増加して煩雑になってしまう。
また、特許文献2にはフランジ端面を冷却しつつ溶接する方法が開示されている。ここでは母材側と、母材側に対し高い温度となる端面側との熱膨張の差に起因して生じるひずみによって割れが発生すると考え、フランジ端面側の到達温度を低下させ板幅方向の膨張・収縮を抑えることでひずみの発生を抑制して割れ発生を防止する。
しかしながら、フランジ端面を冷却すると溶接線との温度差が大きくなり回転変形の駆動力が大きくなることで、溶接条件によってはひずみが大きくなり割れ発生を助長するおそれもある。さらには、この方法では上記と同様に冷却装置の配置に留意しなければならず、作業工数が増加するおそれがある。
特許文献3では、凝固割れの発生有無は端部からの距離(L)、溶接速度(V)、及び板厚(h)に依存していると説明している。しかしフランジ幅が小さい場合、溶接速度を大きくすることができず、当該特許文献3にはその解決策も明示されていない。
特開2008−18450号公報 特開2009−56483号公報 特開2009−285722号公報
前述したように、凝固割れは、BTR内で生じるひずみの増分量がある閾値を超えたときに発生すると考えられる。ハット型部材フランジのレーザ溶接において、このBTR内のひずみ増分量に影響を与える主因子として以下2つがあると考えられる。
(1)フランジ端面からの溶接位置の距離(フランジ幅)の大きさ等で決定される部材剛性:
フランジ幅が大きく、溶接位置がフランジ端から距離が大きいほど、剛性が高く、フランジの変形(回転変形)及びそれにより受けるひずみは抑制される。しかしながら、単にフランジ幅を大きくするのでは、前述したような部材の軽量化には反する。
(2)入熱による板幅方向の温度分布:
鋼板の板幅方向に温度分布の不均一があるとき、回転変形の駆動力が働くことはよく知られているが、この回転変形が割れの原因となると考えられる。すなわち、図8(a)に示すように板1のAからBへ溶接を行うと、板幅方向に不均一な温度分布を生じるため、板1は溶融池Yの前方点Pを支点として矢印Cの方向に回転変形を生じる。溶接部の脆化領域の強度はきわめて小さいため、脆化領域部分の溶接金属はこの回転変形をほとんど抑制できない。この回転変形によって脆化領域部分に加えられるひずみ量が限界ひずみ量を超えるとき割れが発生する。その後溶接が進行すると、図8(b)に示すように溶融池Yも進行し、回転変形の支点もそれに追随して点P’に移動する。このとき、温度分布が準定常状態にあると、脆化領域部に加えられるひずみ量は時間的に一定と考えられ、この場合割れは図8(b)に示すように溶接線に沿って進展する。
一方、溶接速度が遅い場合は、板幅方向の温度分布は均一化しやすくなり回転変形の駆動力は小さくなる。しかし、単に溶接速度を下げるのでは、部材の生産性が悪くなり、板幅を小さくするのでは、剛性が落ちるため発生するひずみを抑制できず凝固割れが発生する可能性が高くなる。
そこで本発明は、上記問題に鑑み、金属板部材、例えばハット型部材のフランジを他の金属板部材と重ね合わせてレーザ溶接する溶接構造体を製造するにあたり、スポット溶接に比べてフランジ幅を小さくしても凝固割れが発生し難い溶接構造体の製造方法を提供することを課題とする。また、溶接構造体を提供する。
本発明は、次の通りである。
請求項1に記載の発明は、2つの金属板部材を重ね合わせて当該重ね合わせ部でレーザ溶接する、溶接構造体の製造方法であって、重ね合わせた金属板部材の両方について、溶接線となるべき線を挟んで一方側と他方側の部位のうち、線から端面までの距離が短い一方側の部位の端部に該端部以外の板厚よりも厚い厚肉部を設け、線に沿ってレーザを照射して溶接を行う、溶接構造体の製造方法である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の溶接構造体の製造方法において、他方側の部位の端部に該端部以外の板厚より厚い厚肉部を設ける。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2のいずれかに記載の溶接構造体の製造方法において、金属板部材の少なくとも一つは断面がハット型の長尺の部材であり、当該部材のフランジの端部に厚肉部を設け、フランジと他の金属板部材とを重ね合わせてレーザ溶接する。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の溶接構造体の製造方法において、厚肉部から10mm以下の領域に、フランジの長手方向に沿って溶接線を形成する。
請求項5に記載の発明は、2つの金属板部材が重ね合わされて当該重ね合わせ部でレーザ溶接された、溶接構造体であって、重ね合わされた金属板部材の両方について、溶接線を挟んで一方側と他方側の部位のうち、溶接線から端面までの距離が短い一方側の部位の端部に該端部以外の板厚より厚い厚肉部が設けられている、溶接構造体である。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の溶接構造体において、金属板部材の少なくとも一つは断面がハット型の長尺の部材であり、当該部材のフランジと他の金属板部材とが重ね合わされてレーザ溶接線が形成されている。
本発明によれば、金属板部材、例えばハット型部材のフランジを他の金属板部材と重ね合わせてレーザ溶接した溶接構造体を製造するにあたり、スポット溶接に比べてフランジ幅を小さくしても、凝固割れの発生を抑制することができる。
ハット型溶接構造体10の概要を示す外観斜視図である。 フランジ11c及び溶接部13の一部を拡大して表した図である。 溶接方法の過程の一場面を説明する図である。 図4(a)は厚肉部11dを説明する図、図4(b)は厚肉部が配置されない形態を説明する図である。 溶接の一場面を説明する図である。 ハット型溶接構造体110の概要を示す外観斜視図である。 実施例による評価方法を説明する図である。 図8(a)は凝固割れ発生のメカニズムを模式的に示す1つの説明図、図8(b)は凝固割れ発生のメカニズムを模式的に示す他の説明図である。
図1は第一の形態を説明する図であり、本発明の溶接構造体の製造方法により得られる溶接構造体の一形態であるハット型溶接構造体10の外観を表す斜視図である。図2はフランジ11cの一部を拡大して表した図である。図1、図2には幅方向、長手方向、及び高さ方向が併せて示してある。
ハット型溶接構造体10は、ハット型部材11及びクロージングプレート12を有して構成されている。
ハット型部材11は、鋼板から形成されており金属板部材の1つである。ハット型部材11は、その長手方向に直交する断面においてウェブ片11a、ウェブ片11aの両端から延びる壁片11b、及び壁片11bの端部に設けられるフランジ11cを有していわゆるハット型に形成されている。そしてフランジ11cにはその幅方向端部に幅方向端部の板厚が他の部位よりも厚く形成された厚肉部11dが設けられている。本形態の厚肉部11dは、フランジ11cの端部を壁片11bと同じ方向に突出するように設けられ、これが長手方向に連続している。ただしこの向きに限らず壁片11bとは反対側に突出するように設けてもよい。
ハット型部材11は、実際の用途に応じて、長手方向にまっすぐである場合もあれば、カーブしていたり、断面が拡がったり狭まったりしている等の場合もある。
一方、クロージングプレート12は、金属板部材の1つであり、略平板状であるとともに幅方向の両端には、上記厚肉部11dに対して幅方向外側から重なるように厚く形成された厚肉部12aが設けられている。
そして、ハット型部材11のうち2つのフランジ11c間を渡し、厚肉部11dを厚肉部12aが幅方向外側から重なるようにクロージングプレート12が配置され、該クロージングプレート12とフランジ11cとが重ねられている。当該重なった部分のうち、厚肉部11d、12aよりも内側に溶接部13が設けられており、該溶接部13で両者が接合されている。本形態で溶接部13は、フランジ11c及びクロージングプレート12を板厚方向に貫通した貫通溶接による溶接部とされている。
溶接部13はレーザ溶接により形成されており、フランジ11cの長手方向に沿って延びている。本発明は溶接部13を形成するための溶接方法において、図2にIIaで示したフランジ端部から溶接部13までの距離を従来のレーザ溶接に対して短くしつつ速い速度で溶接しても割れを抑制することができ、その結果、図2にIIbで示したフランジ11cの幅をスポット溶接の場合よりも小さくすることが可能となる。特に限定されることはないが、IIaの大きさ(厚肉部11dの外側から溶接部13までの距離)を10mm以下とすることができる。さらにはフランジの幅IIb全体で10mm以下程度にすることも可能である。また、後述するように厚肉部を設けたことによる強度向上を図っているので、幅方向への張り出しを抑えることができ、フランジ幅を小さく抑えることが可能である。
ここで、ハット型部材11に使用される鋼板は特に限定されるものではなく、重ね合わせてレーザ溶接できる程度の組成、板厚であれば特に制限はない。例えば厚肉部11d以外の部位において0.5mm以上3.2mm以下であることが好ましい。また、表面に亜鉛系めっきやアルミニウム系めっきを備えていてもよい。また、鋼板ではなく、例えばアルミニウム合金板等の別の金属板を使用することもできる。
一方、厚肉部11dの板厚は、厚肉部以外の板厚に対して2倍以上3倍以下であることが好ましい。また、厚肉部11dの幅(幅方向大きさ)は、上記した厚肉部以外の板厚以上であることが好ましい。
また、ハット型部材11の形状は、実際の用途に応じて、長手方向にまっすぐであるものもあればカーブしているものもあり、あるいは断面形状が長手方向に変化しているものもあるが、本発明はそのいずれにも適用してよい。また、クロージングプレート12に代えて、他のハット型部材やその他の形状の金属板部材と溶接してもよい。あるいは、3つ以上の金属板部材を重ね合わせて溶接されるような溶接構造体にも適用できる。
次に上記のようなハット型溶接構造体10を作製する方法の一つの例について説明する。図3に説明のための図を示した。図3は図1と同じ視点による図で、幅方向、長手方向、及び高さ方向が併せて示してある。
なお、本例では便宜のためにここまで説明したハット型溶接構造体10を作製する例を用いるが、当該方法は重ね合わせた金属板部材をレーザ溶接する他の場面でも適用することができる。
初めに溶接用ハット型部材11’を準備する。溶接用ハット型部材11’は上記したハット型部材11に対して、まだ溶接部13が形成されていない。図4(a)は、溶接用ハット型部材11’の幅方向断面のうち厚肉部11dの近傍を模式的に表した図である。図4(b)には、比較として厚肉部11dが形成されていない例の同じ部分を示している。図4(a)、図4(b)における紙面左側に表れた点線は、この後の溶接において形成される溶接線の中央となる部位を表している。一方、紙面右側に表れた一点鎖線は次に説明する断面二次モーメントを考察する際の中心軸である。
板厚をt(mm)、溶接線中央から端面までの距離をh(mm)、端面から中心軸までの距離をd(mm)、厚肉部11dの突出高さをf(mm)、厚肉部11dの幅をt(mm)とすれば、厚肉部11dのない図4(b)の例では、断面二次モーメントI’は次式(1)で表される。
Figure 0006409397
これに対して図4(a)のように厚肉部11dを設けると断面二次モーメントIは次式(2)で表される。
Figure 0006409397
以上からわかるように、図4(a)のように厚肉部11dを設けることにより断面二次モーメントを高めることができ、上記図8(a)、図8(b)を用いて説明した矢印Cで示した回転変形を小さく抑えることができる。これにより割れを抑制する。
ここで計算に用いた形態は模式的であり、実際には角部や入隅部に所定の曲率半径で湾曲を有することもあり、正確には式(1)、式(2)の値にはならないが、少なくとも厚肉部11dを有することにより断面二次モーメントを高めることができ、割れの抑制に貢献する。
以上のような溶接用ハット型部材11’に対して、図3に示したように溶接用ハット型部材11’のうち2つのフランジ11c間を渡すようにクロージングプレート12が配置され、該クロージングプレート12とフランジ11c、及び厚肉部11dと厚肉部12aとが重ねられる。
次に、図5に示したように、フランジ11c及びここに重ねられたクロージングプレート12をその板厚方向に貫通するように溶接する。すなわち、レーザを照射して、当該照射した部位を図5に矢印Vaで示したように長手方向に移動させて溶接を行う。溶接をする装置としては、公知のレーザ溶接装置を挙げることができる。レーザの種類は通常に鋼板のレーザ溶接に用いられるレーザであれば、特に限定されることはなく、これには例えばCOレーザ、YAGレーザ、ファイバーレーザなどがある。なお、レーザ溶接におけるスポット径(レーザの鋼板への照射径)も特に限定されないが、0.5mm以上1.0mm以下が好ましく、得られる溶接部幅は約1mmであることが通常である。
以上のような溶接方法であれば、鋼板の回転変形を抑制することができるため、鋼板を拘束したり治具を接触させたりする必要がないため容易に溶接を行える。さらには、例えば端面からの距離が小さい部位において溶接速度を大きくしても凝固割れを抑制することもできる。
なお、本形態ではハット型溶接構造体であったため、溶接線(溶接部13)を挟んでフランジ11cの端部とは反対側には壁片11bが形成されており、これが厚肉部と同様の機能をした。従って、形状によっては溶接線を挟んでその両方の端部に厚肉部を設けてもよい。ただしこれに限らず、溶接線で区切られる一方及び他方の部位のうち、少なくとも端面までの距離が短い側の部位の端部に厚肉部が形成されていればよい。
図6は第二の形態を説明する図で、図1と同じ視点による。本形態のハット型溶接構造体110は上記したハット型部材11に、クロージングプレート112が組み合わされた形態である。クロージングプレート112の厚肉部12aは、ハット型部材11の厚肉部11dとは逆方向に厚くなっている。このようなクロージングプレート112をフランジ11c間を渡すように配置して重ね、当該重ねられた部位に溶接部13が設けられる。
このようなハット型溶接構造体110も上記した効果を奏するものとなる。
これ以外の本発明の形態としては、凝固割れが防止できる範囲で、重ね合わせ端部において全ての部材に厚肉部が設けられている必要は必ずしもない。例えば、重ね合わされる一方の金属板部材の幅が十分に広い場合や、凝固割れを生じにくい材料組成である場合等が想定される。
実施例では、通常の溶接方法で凝固割れが発生した条件に対して、厚肉部を形成して溶接を行い、凝固割れの発生の有無について評価を行った。本実施例は1枚の鋼板に対してレーザを照射して評価を行ったので厳密には溶接とは異なるが、この評価は複数の金属板部材を重ねた際の溶接に対しても適用することが可能である。
実施例では図7に表したように1枚の1mm厚の鋼板30に対して板厚3mmの厚肉部31を形成した。そしてレーザ溶接を想定したレーザ光照射による加熱部が通過した部位に凝固割れが発生するか否かを評価した。
加熱はレーザ溶接機から出射されるレーザにより行い、その照射部分は鋼板30の端面から3mmの位置を端面と平行に移動させた。移動速度は20mm/sである。
厚肉部31は、図4(a)に示した形状とし、具体的にはt=1(mm)、f=2(mm)、h=3(mm)とした。
比較例は図4(b)に示した形状とし、具体的にはt=1(mm)、h=3(mm)である。
上記式(1)、式(2)にt、f、hを代入して差をとれば、
I−I’=2・d+2・d+2/3
となり、これは正の値をとる。従って、比較例よりも実施例の方が断面二次モーメントは大きい。
その結果、比較例では加熱部が通過した部分に断続的な割れ(凝固割れ)が発生した。これに対して実施例では割れが発生しなかった。このように端部に折り曲げ部を形成してレーザ溶接をすることにより割れを抑制できることがわかった。
10 ハット型溶接構造体(溶接構造体)
11 ハット型部材(金属板部材)
11c フランジ
11d 厚肉部
12 クロージングプレート(金属板部材)
12a 厚肉部
13 溶接部

Claims (6)

  1. 2つの金属板部材を重ね合わせて当該重ね合わせ部でレーザ溶接する、溶接構造体の製造方法であって、
    前記重ね合わせた金属板部材の両方について、溶接線となるべき線を挟んで一方側と他方側の部位のうち、前記線から端面までの距離が短い一方側の部位の端部に該端部以外の板厚よりも厚い厚肉部を設け、前記線に沿ってレーザを照射して溶接を行う、溶接構造体の製造方法。
  2. 前記他方側の部位の端部に該端部以外の板厚より厚い厚肉部を設ける、請求項1に記載の溶接構造体の製造方法。
  3. 前記金属板部材の少なくとも一つは断面がハット型の長尺の部材であり、当該部材のフランジの端部に前記厚肉部を設け、前記フランジと他の金属板部材とを重ね合わせてレーザ溶接する、請求項1または2のいずれかに記載の溶接構造体の製造方法。
  4. 前記厚肉部から10mm以下の領域に、フランジの長手方向に沿って前記溶接線を形成する、請求項3に記載の溶接構造体の製造方法。
  5. 2つの金属板部材が重ね合わされて当該重ね合わせ部でレーザ溶接された、溶接構造体であって、
    前記重ね合わされた金属板部材の両方について、溶接線を挟んで一方側と他方側の部位のうち、前記溶接線から端面までの距離が短い一方側の部位の端部に該端部以外の板厚より厚い厚肉部が設けられている、溶接構造体。
  6. 前記金属板部材の少なくとも一つは断面がハット型の長尺の部材であり、当該部材のフランジと他の金属板部材とが重ね合わされてレーザ溶接線が形成されている、請求項5に記載の溶接構造体。
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