JP5224349B2 - 薄板のレーザー溶接方法 - Google Patents

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本発明は、レーザー光を熱源として薄板同士の重ね合わせ部をレーザー溶接する方法に関する。
自動車や家電製品等の溶接方法としては、スポット溶接が広く普及している。しかしながら、スポット溶接法では、上下電極により材料を加圧して溶接する必要があるため、溶接をする箇所の上下に電極を収納するためのスペースが必要となり、片面溶接には適さず溶接する製品形状にも制約を受けるといった欠点がある。また、断続的な溶接となるため気密性が必要とされる自動車のタンク系や排気系のプレス成形品等の溶接には適さない。
このため自動車のタンク系や排気系のプレス成形品の溶接には、シーム溶接やTIG溶接が使用されることが多いが、近年ではレーザー溶接の使用も増加している。レーザー溶接の使用が増加している要因としては、シーム溶接やTIG溶接よりも高速溶接が可能な点や、他の溶接方法に比べて溶接幅が狭く熱歪みが少ないなどの利点が挙げられる。また、レーザー溶接では焦点距離が長く、レーザー光が入るだけのスペースがあれば溶接可能なため、他の溶接方法に比べて設計の自由度が増すといった長所もある。
ところで、自動車用のプレス成形品には、板厚の薄い鋼板が使用されているが、軽量化や燃費向上の観点からさらなる薄肉化が必要となってくる。しかしながら、板厚が薄くなるとプレス成形後のフランジ部にしわが発生しやすくなる。
このしわが発生したプレス成形品のフランジ部を上下重ね合せてレーザー溶接を行なうと隙間が生じているために、フランジ部間の隙間が大きいと溶接ビードに窪みが形成されたり、溶け落ちが発生したりして、所望の接合強度を安定的に確保することができない場合がある。
特に、自動車を構成する部材用のプレス成形品は、成形品部の形状が複雑であることから、プレス加工後のフランジ部にしわが発生しやすく、このしわの凹凸が重ね合わされた各フランジ部間に不規則な隙間を生じさせている。
そこで、被溶接部である重ね合わされたフランジ部を加圧ローラで押圧しながらレーザー溶接する方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1で提案されたレーザー溶接技術では、ロボットのアーム等に固定、保持され、レーザー光を照射するレーザートーチと、このレーザートーチに昇降可能に保持された加圧ローラと、レーザートーチに固定、保持され、加圧ローラを昇降させるための油圧駆動機構等の昇降手段とを備えたレーザー溶接装置を用いている。そして、昇降手段の作動により加圧ローラで被溶接部の溶接線近傍を加圧しながら、ロボットの作動により加圧ローラ及び昇降手段と共にレーザートーチを溶接線に沿って移動させることにより、各フランジ部間の隙間を加圧ローラの加圧力で低減させながらレーザー溶接している。
一方、フランジ部間に隙間がある重ね合わせ部をレーザー溶接する際、隙間を埋めて形状の安定した溶接ビードを形成するために、レーザー光照射部にフィラーワイヤーを連続的に供給しながら重ね溶接することも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
上記特許文献2では、溶接部位における母材同士の隙間の大きさに応じてフィラーワイヤーの供給量を可変制御している。
また、特許文献3では、プレス成形後にフランジ部に発生したしわを平坦にするため、プレス成形後のフランジ部を凸型に形成するための工程を設けている。この方法では、ポンチとダイが配置された金型の間にフランジ部を押し込んでプレス成形でしわが発生した箇所を凸型に成形する事によりしわを平坦にした後に、当該箇所をレーザー溶接で接合している。
ところで、自動車部品等のプレス成形品には、耐食性を備えさせるために、例えば亜鉛系等のめっき鋼板が素材として用いられている。
この亜鉛系めっき鋼板の重ね合わせ部をレーザー溶接すると、めっき金属が蒸発して溶融金属内に侵入し亜鉛蒸気が溶融金属を吹き飛ばし、溶接ビードが形成できなかったり爆発を起こしたり、溶接部にガスとして残存し、溶接ビードにピットやブローホールを形成し、溶接継手部の品質を低下させている。このため、板間に意図的に隙間を設け亜鉛蒸気を排出することが一般的に行なわれている。
さらに特許文献4では、この溶接時の亜鉛蒸気の影響を抑えるために、亜鉛めっき鋼板の重ね合わせ部を先行する第一のレーザービームにより溶接する近傍の重ね合わせ部の亜鉛めっきを蒸発させ、周囲に離散させ、かつ亜鉛蒸気の冷却、凝縮等により亜鉛蒸気の圧力が低下した後に、引き続いて後行する第二のレーザービームにより溶接を行うことにより、溶接時の溶融金属の爆発及び溶接欠陥の発生を抑制し、溶接ビード形状及び品質を向上することが提案されている。
特開2004−090054号公報 特開2006−159234号公報 特開平7−178584号公報 特開2003−94184号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術のような、ロボットの作動で移動するレーザートーチに加圧ローラ及びその昇降手段を保持させる方式では、溶接成形品部が複雑形状であると、加圧ローラ及び昇降手段と共にレーザートーチを溶接線に沿って移動させることが極めて困難となり、あるいは移動させること自体が不可能になったりするケースがあって実用し難い。また、フランジ部に発生したしわを加圧ローラにより潰すためには、塑性変形を与えるだけの加圧力が必要となるため、加圧ローラの油圧駆動機構等が大型化しそれに伴いロボットの可搬重量も大きなものが必要となり設備投資が大きくなるといった問題がある。
また、特許文献2で紹介されたような技術の場合、フィラーワイヤーをフランジ部に接触させることと同時にフィラーワイヤーを溶かすためにレーザー光照射内にフィラーワイヤーを常時供給する必要がある。しかしながら、レーザー光の集光径は0.3〜0.6mmと非常に小さく、プレス成形した自動車部品等にあっては、製品形状が複雑で溶接箇所もしわ等による凹凸が発生しているため、フィラーワイヤーの先端位置はその凹凸の影響により上下に変動するため、レーザー光照射内に安定してフィラーワイヤーを供給することは難しい。
さらに、特許文献3で提案された方法では、プレス成形後にフランジ部に発生したしわを何箇所も潰す必要があるため、製造工程が大幅に増加し、その分製造コストも高くなるため実用性にかける。
さらにまた、特許文献4で提案された方法も、全く平坦な亜鉛系めっき鋼板の重ね合わせ部をレーザー溶接する際には亜鉛蒸気の影響による爆被やピット、ブローホールの発生を防止する意味では有効である。しかしながら、例えば自動車を構成する薄板の亜鉛めっき鋼板製部品のように、形状が複雑で、不規則な隙間を有するフランジ部間の溶接では、ピットやブローホールといった問題は解決できる反面、隙間による窪みや溶け落ちといった問題は解決することができず、必ずしも有効ではない。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、隙間、特に細かくかつ不規則な隙間を有する2枚の薄板の重ね合わせ部を、溶け落ちを発生させることなく簡便にレーザー溶接する方法を提供することを目的とする。
本発明の薄板のレーザー溶接方法は、その目的を達成するため、隙間を有する2枚の薄板の重ね合わせ部を2回のレーザー照射で溶接する方法であって、1回目のレーザー溶接では焦点を外したデフォーカス状態でレーザーの照射を行い、隙間のある箇所ではレーザー照射側の上板を溶融させて下板側に凹ませた上で隙間を低減し、隙間のない箇所では下板の裏側まで貫通しない範囲で上板と下板との接合を行い、2回目のレーザー溶接で下板の裏側まで貫通して溶接を行うことを特徴としている。
また、上記記載の1回目のレーザー溶接を行なった後に、複数回のレーザー照射を行ない下板の裏側まで貫通して溶接を行ってもよい。
いずれか一方若しくは双方の薄板がしわを有し、重ね合わせ部の隙間形成が、前記薄板のしわにより形成されてもよい。
本発明のレーザー溶接方法は、亜鉛系めっきが施された薄鋼板を溶接する際にも好適に用いられる。
本発明方法を、隙間を有する薄板の重ね継手溶接に適用した場合、1回目のレーザー溶接においてデフォーカスの距離を調整することにより、隙間のある箇所では隙間が減少もしくは無くなり、また隙間のない箇所では貫通しない範囲で薄板同士が接合し、熱ひずみによる隙間の拡大が生じない状態で2回目以降のレーザー溶接が行なえるため、隙間による凹みや溶け落ちが発生しにくくなり、安定した薄板のレーザー溶接が行なえる。
そして、被溶接材が薄板の亜鉛系めっき鋼板でピットやブローホールを防止するために意図的に重ね面に隙間を付与した条件に適用した場合には、1回目のレーザー溶接をデフォーカスで行なうことにより、前記隙間部の影響によりピットやブローホールは防止できるのと同時に、デフォーカスにて焦点を外したことによりレーザースポット径が大きくなり溶融範囲が拡大するため、当該溶接部の下側の隙間部へ溶融金属が流れこみ隙間が減少するため窪みや溶け落ちといった溶接不良も防止出来る効果が得られる。
したがって、本発明により、薄鋼板の重ね合わせ部のレーザー溶接が安定的に行え、高品質の自動車部品等が安価に安定的に供給できるようになる。
発明者等は、僅かな隙間が発生した2枚の薄板の重ね合わせ部をレーザー溶接する際に、溶け落ち等の溶接不良が発生しやすい原因と対策について鋭意検討を重ねてきた。
その結果、隙間が発生した薄板の重ね溶接での溶け落ちの発生要因としては、隙間に対する溶融金属の不足による発生要因と、レーザー溶接時の熱ひずみによる変形により浮き上がりが生じて重ね合せ部の隙間が拡大することが密接に関係していると推測した。
このように推測すると、事前にしわが形成された薄板を重ね合わせてレーザー溶接する時、しわにより隙間が発生した箇所で溶接時には熱ひずみによる変形が加わって隙間がさらに大きくなり、溶け落ちが発生していると考えられる。
上記推測事項を検証するために、板厚0.4mmのステンレス鋼板を供試材として、図1に示すように、2枚の供試材1,2の間にスペーサ3を挿入して各種隙間を形成して重ね合わせた場合(a)と、片方のステンレス鋼板4に山の高さを種々変更したしわを形成したものを重ね合わせた場合(b)とでレーザー溶接試験を行ってみた。レーザー溶接機として、ファイバーレーザー溶接機を用い、20l/分で流したArガスをシールドガスとし、レーザー出力;1.8kW,ビームスポット径;0.6mmで焦点位置を上板表面とし、溶接速度;4m/分で試験した。
その結果、供試材間にスペーサを挿入した場合、間隔が70μmまでは溶け落ちは見られなかったが、間隔が100μmになった時点では確実に溶け落ち発生していた。
図1(b)において、片方のステンレス鋼板4にしわを形成した場合、図2に示すような態様でしわの大きさ(h1、h2、h3)を測定したとき、しわの平均的な大きさが0.11mm以下では溶け落ちは見られなかったが、平均的なしわの大きさが0.11mmを超えると溶け落ちが見られるようになった。
この現象は、重ね合わされた2枚の薄板の隙間が大きくなった箇所で、図3に見られように、隙間に対して溶融金属が不足したため溶け落ち5が発生したと考えられる。また、しわを形成した方について、溶接前後で隙間量の変化を調査した結果、溶接後では溶接前に比べて隙間量が大幅に増加する傾向があることが確認できた。これにより、レーザー溶接時の熱ひずみにより変形が大きくなり、いわゆる“浮き上がり”が生じ隙間が拡大していることが検証できた。
そこで、隙間が発生した2枚の薄板の重ね合わせ部をレーザー溶接で溶接する際に溶け落ちを防ぐためには、隙間をより狭くすることと、板の浮き上がり現象を抑えることの両方の対策が必要であることが判明した。
本発明では、隙間をより狭くすることと、板の浮き上がり現象を抑える手段として、本来の溶接を行う本溶接前に、隙間が発生している箇所については隙間を低減し、上板と下板が接触している箇所では下板の裏側まで溶融しない範囲で上板と下板との接合を行い、熱歪みによる浮き上がり現象を抑えることを目的に、予備的なレーザー溶接を、焦点を外した状態であるデフォーカスで行うことを採用した。すなわち、図4に示すように、レーザー溶接による2回照射を行うこととした。
まず、1回目の予備的なレーザー溶接を、焦点を外したデフォーカスで行う。この時のデフォーカスする入熱条件としては、隙間がない状態で重ね溶接を行なった場合、レーザー照射側の上板と下板が接合され、且つ下板の裏側まで溶融しない範囲の入熱条件が良い。焦点を外した状態でレーザー溶接を行なうことによりレーザースポット径が大きくなり溶接部の溶け込み形態は熱伝導型へと移行し、レーザー照射側の上板が板幅方向に幅広く加熱されるため、通常のレーザー溶接のキーホール型よりも格段に溶融金属量は増加する。
その結果、ある程度の隙間の大きさまでは、溶接金属量が増加した分、隙間を充填することが可能となり溶け落ちが発生しにくくなる。また、溶け込み形状が熱伝導型となるため、上板が溶融しても隙間部へ急激に溶融金属が流れこむことはなく、溶け込み形態は図5(a)のように上板半分が溶融し重力の影響を受けて、徐々に下板側に落ち込んで隙間部を覆う形となるため隙間量が減少した状態で凝固する。一方、上板と下板が接触している箇所では、上板と下板が図5(b)のように接合されるため浮き上がり現象が抑えられる。
その後、2回目のレーザー溶接を行う。この2回目のレーザー溶接で下板の裏側まで幅狭いビード幅で貫通して溶融させ、隙間が狭くなった2枚の薄板を溶融接合する(図5(c)参照)。この際、前記の1回目のレーザー溶接で部分的に接合された箇所は溶接時の熱歪み変形を抑える役割を果たし、図5(d)のように隙間なく接合される。すなわち、2回目のレーザー溶接時に起きる板の熱ひずみによる変形(浮き上がり)を防いで、薄板の隙間拡大を抑制する。
なお、図4、5中、6が1回目の照射で溶融した領域であり、7が2回目で溶融した領域である。
焦点を外すデフォーカスについては、図6に示すように上板表面に焦点をあてるジャストフォーカス位置を基準として、上板表面より上側(+側)若しくは下側(−側)に焦点を外してデフォーカスを行えばよい(図6(a)、図6(b)参照)。
このように、1回目のデフォーカスによる焦点を外した状態でのレーザー照射及び2回目の本溶接から構成される2回のレーザー照射法により、ある程度の隙間が存在する2枚の薄板の重ね溶接が安定的に行えることになる。したがって、プレス加工等でしわが発生した薄板の重ね合わせ溶接、全面に隙間が発生した薄板の重ね合わせ溶接、或いはエンボス等の意図的に隙間を設けるために部品に突起物の加工が施された薄板の重ね合わせ溶接が安定的に行えることになる。
特に、プレス加工等により複雑形状に成形した部材であって、レーザー溶接する箇所であるフランジ部に加工の影響で微細かつ不規則な凹凸が形成されたもの同士を重ね溶接する際に、本発明の2回レーザー照射法を採用すれば、溶け落ち等の溶接不良を起こすことなく安定的に重ね溶接を行うことができる。
本発明の2回レーザー照射法は、また、薄板の亜鉛系めっき鋼板で隙間が発生した重ね合わせ部を溶接する際に適用することができる。
前記したように、レーザー溶接で亜鉛系めっき鋼板を重ね合わせ溶接しようとするとき、亜鉛蒸気の悪影響が現れる。このため前記特許文献4では紹介されたような技術が紹介されているが、本発明では、隙間が発生している薄板の重ね合せ部を、2回のレーザー溶接で溶接が行なわれる。
1回目のレーザー溶接が焦点を外した状態のデフォーカスで行われるために、照射ラインに沿った広範囲で亜鉛系めっき金属が蒸発され、かつ形成されている隙間を経由して照射(溶接)ライン外に容易に除去される。また、隙間部には幅広く加熱したことにより得られた溶融金属が流れ込み隙間部が減少する。その後、2回目にレーザー溶接による貫通溶接を行なうが、照射領域のめっき金属が除去されていることと隙間が減少していることにより、重ね合わせ部は品質よく溶融接合される。すなわち、2回目のレーザー溶接時に、亜鉛蒸気の影響および隙間による影響を受けることがないのでブローホールや溶け落ち等の溶接不良を形成する虞がなくなる。
なお、上記説明では、1回目のレーザー溶接を行なった後に、2回目の溶接で下板の裏側まで貫通して溶接を行う2回レーザー照射法について説明しているが、2回目のレーザー溶接を複数回に分けて行なっても、その効果は期待できる。
前記したように、本発明では、1回目のレーザー溶接でデフォーカスにより焦点を外した状態でレーザー照射を行なう事により、隙間のある箇所では隙間が減少もしくは無くなり、また隙間のない箇所では貫通しない範囲で薄板同士が接合し、熱ひずみによる隙間の拡大が生じない状態で2回目以降のレーザー溶接を行うことを特徴としている。このため、2回目以降の溶接を複数回に分けて溶接を行なっても溶け落ちなどの溶接不良を起こすことなく溶接は可能となる。但し、溶接回数が多くなりすぎると生産効率が低下するため、実質的には2回か若しくは3回程度の溶接回数にする方が好ましいと考えられる。
実施例1;
板厚0.4mmのステンレス鋼板を供試材とし、片方の鋼板に山の高さを種々変更したしわを形成した。その重ね合わせ部をレーザー溶接した。
レーザー溶接機として、ファイバーレーザー溶接機を用い、20l/分で流したArガスをシールドガスとした。そして、1回目及び2回目のレーザー光照射による溶接条件として、表1に示す条件を採用した。
また、比較のために、同じく片方の鋼板に山の高さを種々変更したしわを形成した2枚のステンレス鋼板の重ね合わせ部を、同様に表1に併せて示す条件で1回照射によるレーザー溶接を行った。
Figure 0005224349
各試験溶接材の断面を、溶け落ち発生の有無の観点から目視検査した。溶け落ちがないものを○で、溶け落ちが生じていたものを×で評価した。
そして、上記○、×を平均しわ高さで整理した結果を図7に示す。
図7に示す結果からもわかるように、板厚0.4mmのステンレス鋼板の重ね合わせ部を、レーザー出力;1.8kW,ビームスポット径;0.6mm、溶接速度;4m/分でのレーザー溶接を安定的に行うためには、従来の1回照射法ではしわ高さ(ステンレス鋼板間の隙間)を0.11mm以下にしなくてはならないのに対して、本発明の2回照射法を採用することにより0.20mm程度のしわ高さ(ステンレス鋼板間の隙間)があっても溶接できる。
実施例2:
板厚0.6mmで片面付着量が60g/m2の亜鉛めっき鋼板を供試材とし、片方の鋼板に山の高さを種々変更したしわを形成した。その重ね合わせ部をレーザー溶接した。
レーザー溶接機として、ファイバーレーザー溶接機を用い、20l/分で流したArガスをシールドガスとした。そして、1回目及び2回目のレーザー光照射による溶接条件として、表2に示す条件を採用した。
また、比較のために、同じく片方の鋼板に山の高さを種々変更したしわを形成した2枚の亜鉛めっき鋼板の重ね合わせ部を、同様に表2に併せて示す条件で1回照射によるレーザー溶接を行った。
Figure 0005224349
各試験溶接材の断面を、溶け落ち発生の有無の観点から目視検査した。溶け落ちがないものを○で、溶け落ちが生じていたものを×で評価した。
そして、上記○、×を平均しわ高さで整理した結果を図8に示す。
図8に示す結果からもわかるように、レーザー溶接を安定的に行うためには、従来の1回照射法ではしわ高さ(亜鉛めっき鋼板間の隙間)を0.16mm以下にしなくてはならないのに対して、本発明の2回照射法を採用することにより0.30mm程度のしわ高さ(亜鉛めっき鋼板間の隙間)があっても溶接が可能であった。
隙間がある重ね合わせ部をレーザー光照射で溶接する態様を説明する図 (a)スペーサ挿入態様、 (b)しわ形成態様 しわ形成薄板のしわ高さを定義する図 レーザー光照射で溶接する際に発生する溶け落ちの形態を説明する図 本発明2回レーザー光照射法におけるレーザー光照射態様を説明する図 2回レーザー光照射法における各段階での溶け込み状況を説明する図 (a)1回目の照射後隙間部、 (b)1回目の照射後隙間がない箇所、 (c)2回目の照射後隙間部、 (d)2回目の照射後隙間がない箇所 デフォーカスの方法を説明する図 (a)デフォーカス(+側)の場合、 (b)デフォーカス(−側)の場合 ステンレス鋼板での1回法及び2回法と溶け落ちを起こすしわ高さの関係を示す図 亜鉛めっき鋼板での1回法及び2回法と溶け落ちを起こすしわ高さの関係を示す図

Claims (4)

  1. 隙間を有する2枚の薄板の重ね合わせ部を2回のレーザー照射で溶接する方法であって、1回目のレーザー溶接では焦点を外したデフォーカス状態でレーザーの照射を行い、隙間のある箇所ではレーザー照射側の上板を溶融させて下板側に凹ませた上で隙間を低減し、隙間のない箇所では下板の裏側まで貫通しない範囲で上板と下板との接合を行い、2回目のレーザー溶接で下板の裏側まで貫通して溶接を行うことを特徴とする薄板のレーザー溶接方法。
  2. 隙間を有する2枚の薄板の重ね合わせ部を複数回のレーザー照射で溶接する方法であって、1回目のレーザー溶接では焦点を外したデフォーカス状態でレーザーの照射を行い、隙間のある箇所ではレーザー照射側の上板を溶融させて下板側に凹ませた上で隙間を低減し、隙間のない箇所では下板の裏側まで貫通しない範囲で上板と下板との接合を行い、その後複数回のレーザー溶接で下板の裏側まで貫通して溶接を行うことを特徴とする薄板のレーザー溶接方法。
  3. いずれか一方若しくは双方の薄板がしわを有し、重ね合わせ部の隙間形成が、前記薄板のしわにより形成される請求項1又は2に記載の薄板のレーザー溶接方法。
  4. 2枚の薄板のいずれか一方若しくは双方が亜鉛系めっき鋼板である請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄板のレーザー溶接方法。
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