JP4867599B2 - レーザ溶接方法およびその装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ溶接方法およびレーザ溶接装置に関する。
防錆鋼板は、鋼板の表裏面に、たとえば亜鉛メッキなどの皮膜層が施された鋼板である。このような防錆鋼板を重ね合わせてレーザ溶接を行った場合、レーザエネルギーによって、重ねられた面の亜鉛メッキが鋼板より先に溶けるため、それが蒸発するために溶接ビードに穴が開くポロシティといわれる不具合が生じる。
このような現象を防止するための従来の技術としては、同じ溶接部位に対して、まず、
1回目のレーザ照射として深い焦点で行い、その後2回目として1回目よりも浅い焦点でレーザ照射を行う技術がある(特許文献1)。
この従来の技術によれば、1回目のレーザ照射によりできたポロシティを2回目のレーザ照射により埋め戻すことで、ビード表面に発生する穴あきを修復し、溶接品質が向上するとされている。
特開2001−162389号公報
しかしながら、このような従来の技術では、先に深い焦点によってレーザ照射が行われるため、レーザが被溶接部材の奥深くあるいはレーザが被溶接部材を突き抜けて照射されることになる。このため、亜鉛メッキ層が蒸発すると共に、鋼板の一部が飛んで、2回目のレーザ照射溶接時には、ビード形成や穴埋めに必要な肉が少なくなるという問題があり、ポロシティ(穴)の十分な埋め戻しができないおそれがある。
また、ポロシティそのものは、レーザ照射面(表面とすると)のみならず、その反対側(裏面)にも発生するが、従来技術では、表面にしか2回目のレーザ照射が行われないため、裏面に発生したポロシティの修復はできないという問題もある。なお、仮に裏面に発生したポロシティをも修復しようとすれば、表面の次に裏面にも焦点の浅いレーザ照射を行う比ゆ用があり、非常に複雑な工程を取らざるを得ない。
そこで本発明の目的は、ポロシティの発生を抑え、優れた溶接品質を得ることのできるレーザ溶接方法およびその装置を提供することである。
上記目的を達成するための本発明は、第1の被溶接部材と第2の被溶接部材を重ね合わせてそれらの合わせ面に位置する少なくとも一方の被溶接部材に施されている皮膜層に至り、かつ、前記第2の被溶接部材を突き抜けない入熱量で前記第1の被溶接部材側から1回目のレーザ照射を行う段階と、前記1回目のレーザ照射より大きく、かつ、前記第1の被溶接部材と前記第2の被溶接部材の溶接が完了する入熱量で前記第1の被溶接部材側から2回目のレーザ照射を行う段階と、を有することを特徴とするレーザ溶接方法である。
また、上記目的を達成するための本発明は、レーザ発振器から導かれたレーザを反射させる移動可能な反射鏡と、第1の被溶接部材と第2の被溶接部材を重ね合わせてそれらの合わせ面に位置する少なくとも一方の被溶接部材に施されている皮膜層に至り、かつ、前記第2の被溶接部材を突き抜けない入熱量で前記第1の被溶接部材側から1回目のレーザ照射を実行させ、当該レーザ照射によるレーザ照射点の軌跡が所定の溶接パターンを描くように前記反射鏡を制御し、前記1回目のレーザ照射の後、前記1回目のレーザ照射より大きく、前記第1の被溶接部材と前記第2の被溶接部材の溶接が完了する入熱量で前記第1の被溶接部材側から2回目のレーザ照射を実行させ、当該レーザ照射によるレーザ照射点の軌跡が前記所定の溶接パターンを描くように前記反射鏡を制御する制御手段と、を有することを特徴とするレーザ溶接装置である。
本発明によれば、はじめに重ね合わせた被溶接部材の合わせ面にある皮膜層にのみ到達するように1回目のレーザ照射を行い、その後、完全に溶接できるように1回目より大きな入熱量となるように2回目のレーザ照射を行うこととしたので、1回目のレーザ照射時には、合わせ面にある皮膜層の成分を蒸発させるが溶接に必要となる肉の減少を防ぐことができ、2回目のレーザ照射においては肉不足などの不具合が生じることなく、かつ1回目のレーザ照射でできたポロシティを埋めて良好なビード形成を行うことができる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
以下では、まず、本発明による溶接方法について説明し、続いてこの方法を実施するための装置の一例について説明する。
図1および図2は、本発明を適用したレーザ溶接方法を説明するための説明図である(各図において(a)図は部分断面斜視図、(b)図は断面図)。
ここで被溶接部材は、2枚の防錆鋼板101(第1の被溶接部材)および102(第2の被溶接部材)である。
この防錆鋼板101は、鋼板111および112の表裏面ともに皮膜層として亜鉛メッキが施された亜鉛メッキ層120aおよび120bを有する。なお、防錆鋼板101は皮膜層として亜鉛メッキのほかに、たとえば亜鉛―鉄合金メッキを施したものなど、そのほかの防錆鋼板101でも同じように扱うことができる。
本実施形態のレーザ溶接方法は、まず、図1に示すように、被溶接部材である2枚の防錆鋼板101および102を図示するように重ね合わせる。このとき防錆鋼板101および102間の隙間は無くてもよい。
このように、防錆鋼板101および102を重ね合わせたとき、その合わせ面には亜鉛メッキ層120aが存在することになる。
この状態で1回目のレーザ照射を行う。1回目のレーザ照射は、2枚の防錆鋼板101および102の合わせ面にある亜鉛メッキ層120aに至り、かつ、2枚目の防錆鋼板102を突き抜けない程度の入熱量となるようにレーザ100を照射する。このときレーザ照射点の移動軌跡は実際の溶接と同じ軌跡である。なお、入熱量の制御については後述する。
この1回目のレーザ照射によって、2枚の防錆鋼板101および102の間にあるメッキされた亜鉛は溶融して外部に放出される。したがって、この段階で出来上がったビード115には、亜鉛の蒸発に伴ってポロシティ116が形成されることになる。
次に、図2に示すように、2回目のレーザ照射を行う。2回目のレーザ照射は1回目のレーザ照射より強く、2枚目の防錆鋼板102まで確実に至り、溶接が完了する入熱量となるようにレーザ100を照射する。このときの入熱量は、2枚の防錆鋼板101および102を突き抜けてもよい。したがって、2回目のレーザ照射は通常のレーザ溶接と同じ程度とすればよい。なお、2回目のレーザ照射においてもその軌跡は1回目と同じにする。
このように2回目のレーザ照射を行うことで、1回目のレーザ照射時に形成されたポロシティ116がこの2回目のレーザ照射による鋼板111(鉄)の溶融によって埋まり、出来上がったビード125はポロシティ116のない良好なものとなる。これは、1回目のレーザ照射により、2枚の防錆鋼板101および102の間にあった皮膜層の亜鉛は既になくなっているために、2回目のレーザ照射において新たに亜鉛が蒸発することがなく、1回目のときに発生したポロシティ116が埋められるためである。しかも、レーザが2枚目の防錆鋼板102を突き抜けたとしても既に防錆鋼板101および102の間に亜鉛は存在しないため、レーザが突き抜けた側にポロシティが発生することはない。
なお、重ね合わせた防錆鋼板101および102の外側に位置する皮膜層の亜鉛メッキ層120bは、いずれもレーザ照射により蒸発するが、そのまま外に蒸発するためポロシティ116の原因となることはない。
1回目のレーザ照射と2回目のレーザ照射のそれぞれのレーザ照射点の移動軌跡が同じ軌跡を描くようにする理由について説明する。
図3は、レーザ照射点の軌跡を説明するための説明図である。
図3(a)に示すように、1回目のレーザ照射L1と2回目のレーザ照射L2をそれぞれ同じ軌跡を描くようにすると、2回目のレーザ照射L2は1回目のレーザ照射L1によって既に亜鉛が蒸発した部分Z0に入射されることになる。したがって、2回目のレーザ照射L2時には亜鉛の蒸発は無く、ポロシティ116の新たな発生もない。
一方、図3(b)に示すように、1回目のレーザ照射L1の軌跡に対して2回目のレーザ照射L2の軌跡がずれてしまうと、2回目のレーザ照射L2範囲の一部に1回目のレーザ照射L1が当なかった部分、すなわち、亜鉛が蒸発していない部分Z1に2回目のレーザ照射L2が当たることになる。このため、2回目のレーザ照射L2時にも亜鉛が蒸発してしまい、新たにポロシティPが発生する可能性がある。
したがって、1回目のレーザ照射と2回目のレーザ照射を同じ軌跡を描くようにする必要がある。なお、1回目のレーザ照射と2回目のレーザ照射の軌跡は、2回目のレーザ照射においてレーザによる金属溶解域が、亜鉛が蒸発していない部分Z1にかからない程度となればよく、その範囲であれば多少のずれは許容される。
次に、1回目のレーザ照射と2回目のレーザ照射における入熱量の制御について説明する。
被溶接部材に入る入熱量の制御方法は、さまざまな方法があるが、ここでは3つの制御例を説明する。
図4は、入熱量の第1の制御例を説明するための説明図である。
第1の制御例は、照射するレーザのレーザ照射点の移動速度を変えることで1回目のレーザ照射と2回目のレーザ照射で入熱量が変わるようにする。
本実施形態では、レーザ発信器から導かれたレーザを反射鏡11によって反射させてレーザの照射方向を変更するようにしている(装置構成については後述する)。
したがって、第1の制御例では、図4に示すように、反射鏡11の移動速度を、1回目の方が2回目より速くすることで、レーザ照射点の移動速度を速くして、レーザ焦点位置での入熱量が1回目のレーザ照射の方が2回目より少なくなるようにしているのである。
なお、この制御ではレーザ出力は1回目、2回目共に同じである。
図5は、入熱量の第2の制御例を説明するための説明図である。
第2の制御例は、レーザ出力を1回目の方が2回目よりも弱くなるようにしている。なお、反射鏡11の移動速度は1回目、2回目共に同じである。
レーザ出力の制御は、レーザ発信機(詳細後述)でレーザ出力の値そのものを制御することによって行う。
これにより、レーザ焦点位置での入熱量が1回目のレーザ照射の方が2回目より少なくなる。
図6は、入熱量の第3の制御例を説明するための説明図である。
第3の制御例は、レーザの焦点位置を1回目と2回目で変更することにより入熱量を制御するものである。なお、レーザ出力、反射鏡11の移動速度は1回目、2回目共に同じである。
レーザの焦点位置の変更は、たとえば、フォーカス変更機構付きのレンズによって1回目と2回目で焦点位置を変更する方法である。このときレンズから被溶接部材までの距離は変わらない。また、他の方法としては、レンズによる焦点位置は変更せず、1回目と2回目でレンズから被溶接部材までの距離を変更する。
いずれの場合でも、1回目のレーザ照射のときは、被溶接部材面上における焦点のスポット径が2回目より広くなるようにする。
これにより、レーザ焦点位置での入熱量が1回目のレーザ照射の方が2回目より少なくなる。
なお、上述した第1および第2の制御例においては、焦点位置の変更は行わないものとする。
以上、3つの制御方法について説明したが、1回目のレーザ照射と2回目のレーザ照射におけるそれぞれの入熱量は、重ね合わせた防錆鋼板101の総厚さに対する1枚目の防錆鋼板101(レーザ照射面側にある防錆鋼板101)の厚さの割合を目安にして求めればよい。すなわち、重ね合わせた防錆鋼板101および102の総厚さ(防錆鋼板101と102の厚さの合計)を100%として1枚目の防錆鋼板101がこのうち50%を占める場合、すなわち、2枚の防錆鋼板101および102の板厚が同じ場合は、2回目のレーザ照射の入熱量を100%として、1回目のレーザ照射の入熱量を50〜70%程度とするのが好ましい。この例では1枚目の防錆鋼板101が占める割合である50%に対して20%程度入熱量が多くなるようにしたが、1枚目の防錆鋼板101が占める割合に対してどの程度増加させるかは、板厚などにより適宜調節することになる。
これにより、板厚が同じ2枚の防錆鋼板101を重ね合わせたときに、レーザは2枚の防錆鋼板101および102の合わせ面にある亜鉛メッキ層120aに至り、かつ、2枚の防錆鋼板101および102を突き抜けない程度の入熱量となる。
次に、上述した本実施形態における溶接動作を実行するためのレーザ溶接装置について説明する。
図7は、本発明を適用したレーザ溶接システムを説明するための概略斜視図、図8はレーザ加工ヘッドを説明するための概略透視図である。
なお、本実施形態におけるレーザ溶接装置は、ロボットのアーム先端に取り付けることを想定したものである。このため、レーザ溶接装置をレーザ加工ヘッドと称する。
図示するレーザ溶接システムを用いた溶接は、これまでのスポット溶接などと比較して、溶接冶具が直接ワークと接触せずに、レーザを用いてワークから離れた場所から溶接するものである。このためこのような溶接をリモート溶接と称されることがある。
図示したレーザ溶接システムは、ロボット1と、このロボット1のアーム2先端に設けられ、レーザ100を照射するレーザ加工ヘッド(レーザ溶接装置)3と、レーザ光源であるレーザ発振器5と、レーザ発振器5からレーザ加工ヘッド3までレーザを導く光ファイバーケーブル6とからなる。レーザ発振器5は、レーザを光ファイバーケーブル6によって導くためにYAGレーザ発振器を用いていおり、その出力が多段階制御可能なものである。
ロボット1は、一般的な多軸ロボット(多関節ロボットなどとも称されている)などであり、教示作業によって与えられた動作経路のデータに従い、その姿勢を変えてアーム2の先端、すなわちレーザ加工ヘッド3をさまざまな方向に移動させることができると共にレーザ加工ヘッド3の向きも変更可能となっている。
ロボットアーム2へのレーザ加工ヘッド3の取り付けには、たとえば、ロボットアームからの振動が伝わるのを抑えるために振動を吸収する振動抑制部材を入れて取り付けることが好ましい。振動抑制部材としては、たとえば、制振鋼板、ダンパー、制振ゴムなどが使用可能であり、特に、レーザ加工ヘッド3に加わる振動に固有の周波数において振動吸収効果の高いものが好ましい。
このレーザ加工ヘッド3は、図8に示すように、光ファイバーケーブル6によって導かれたレーザ100を、最終的に目的物方向へ照射する反射鏡11(反射手段)と頂点の調整を行うレンズ郡12を有する。また、そのほかに反射鏡11を回動させるモータとギア機構、およびレンズを移動させるアクチュエータなどを備える(いずれも不図示)。
反射鏡11は、鏡面を通る垂直な線をz軸として、このz軸と直行するx軸およびy軸をそれぞれ中心として独立に移動自在であり、この移動、すなわち、反射鏡11の向きを変えることでレーザ100の照射方向を自在に振り分けることができる。
レンズ群12内には、光ファイバーケーブル6端部から照射されたレーザを平行光にするコリメートレンズ12aと、平行光になったレーザを所定位置で集光させる集光レンズ12bなどを有する。
反射鏡11およびレンズ12bの動作は、後述するロボット制御装置からの指令により制御されている。
レーザ発振器5は、YAGレーザ発振器である。ここでは、レーザを光ファイバーケーブル6によって導くためにYAGレーザを用いている。なお、その他のレーザであってもレーザ溶接に使用でき、光ファイバーケーブル6で導くことができるものであれば限定されない。
図9は、このレーザ溶接システムの制御系を説明するためのブロック図である。
レーザ溶接システムの制御系は、レーザ発振器5におけるレーザ出力のオン、オフおよび出力値を制御するレーザコントローラ51と、ロボット1の動きを制御するロボット制御装置52と、レーザ加工ヘッド3の反射鏡11の動きを制御する加工ヘッド制御装置53からなる。
レーザコントローラ51は、レーザ出力のオン、オフと、レーザの出力強度調整などを行っている。このレーザコントローラ51は、ロボット制御装置52からの制御信号(指令)によって、レーザ出力のオン、オフおよび出力調整を行っている。
ロボット制御装置52は、ロボット1の動き(姿勢)を制御すると共にレーザ出力のオン、オフなどの制御指令、加工ヘッド制御装置53への反射鏡11の動作制御指令、焦点調整の指令なども行っている。すなわち、ロボット制御装置52は、溶接動作における全体の制御として、ロボットの動作と共に前述した2回のレーザ照射における入熱量の制御も行っており、制御手段として機能するものである。
実際の制御は、上述したレーザ照射時の入熱量の制御をいずれか一つ(または複数の制御方を組み合わせてもよい)を採用して、その動作を実行するためのプログラムが組み込まれることで制御が行われる。
加工ヘッド制御装置53は、ロボット制御装置52からの指令によって反射鏡11および集光レンズ12bを動かしてレーザの照射方向および焦点位置を変更する。
このように構成されたレーザ溶接システムを用いたリモート溶接の方法を説明する。
図10は、レーザ溶接におけるレーザ加工ヘッド3とレーザ照射方向の動きを説明するための説明図である。なお、ここでは理解を容易にするためにごく簡単な基本形を例に説明する。
この方法は、レーザ加工ヘッド3がAの位置に来た時点でレーザ加工ヘッド3を停止させ、そこから反射鏡11を回動させてレーザ照射可能範囲内に位置する溶接点301、302、および303に対して1回目のレーザ照射を連続的に行う。そして、反射鏡を溶接点301にレーザ照射することのできる元の位置に戻し、溶接点301、302、および303に対して2回目のレーザ照射を連続的に行う。これにより、溶接点301、302、および303に対するレーザ溶接が終了する。
その後、レーザをいったん停止させて、レーザ加工ヘッド3をA位置からB位置に移動し、レーザ加工ヘッド3をB位置で停止させて、溶接点304、305、および306に対して1回目のレーザ照射を連続的に行う。そして、反射鏡を溶接点301にレーザ照射することのできる元の位置に戻し、溶接点304、305、および306に対して2回目のレーザ照射を連続的に行う。これにより、溶接点304、305、および306に対するレーザ溶接が終了する。
ここで、各溶接点は、溶接ビードの強度を上げるために、単なる点ではなく、たとえば、直線状、C文字形、S(またはZ)文字形、矩形状などの溶接パターン(レーザ照射点により描くパターン)を描くようにしている。
図11は、前記溶接方法を用いた動作手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、前記のようにロボット制御装置が溶接の全体の制御を行っているためこの動作手順はロボット制御装置が実行するものとして説明する。
まず、ロボット制御装置52は、レーザ加工ヘッド3の移動を開始させ(S1)、ロボット1画軸からのフィードバック信号(例えばエンコーダの信号)から、ロボットアーム2の先端に取り付けられているレーザ加工ヘッド3の現在位置を取得して、溶接位置(例えば前記図9におけるAの位置)に到達したなら(S2:Yes)、レーザ加工ヘッドを停止させる(S3)。
そして、ロボット制御装置52は、加工ヘッド制御装置53に対して、最初の溶接点(たとえば溶接点304)方向にレーザが照射されるように反射鏡を移動(回動)させる(S4)。このとき、同時にレーザコントローラ51に対して所定のレーザ出力をするように指令する。
続けてロボット制御装置52は、加工ヘッド制御装置53に対して、あらかじめ決められている溶接パターン及び1回目のレーザ照射条件により最初の溶接点にレーザを照射するように加工ヘッド制御装置53へ指令する(S5)。このとき1回目のレーザ照射条件は、前述した第1〜第3の制御例の通りであり、後に行われる2回目のレーザ照射の入熱量よりも少ないものとなるようにしている。
続いて、ロボット制御装置52は、最初の溶接点への1回目のレーザ照射が終了すれば現在溶接位置で溶接可能範囲内に次の溶接点がないか否かを判断し(S6)、次の溶接点があれば、その方向へ反射鏡を向けるように指令する(S7)。その後はS5〜7を、S6で次の溶接点がないと判断されるまで行われることになる。なお、ここで、次の溶接点があるか否かはあらかじめプログラムされている。
一方、S6において次の溶接点がなければ、ロボット制御装置52は、その位置での最初の溶接点方向へ反射鏡を移動させて(S8)、あらかじめ決められている溶接パターン及び2回目のレーザ照射条件によりレーザ照射を行うように加工ヘッド制御装置53へ指令する(S9)。
続いて、ロボット制御装置52は、最初の溶接点への2回目のレーザ照射が終了すれば現在溶接位置で溶接可能範囲内に次の溶接点がないか否かを判断し(S10)、次の溶接点があれば、その方向へ反射鏡を向けるように指令する(S11)。その後はS9〜10を、S9で次の溶接点がないと判断されるまで行われることになる。なお、ここで、次の溶接点があるか否かはあらかじめプログラムされている。
一方、S9において次の溶接点がなければ、ロボット制御装置52は、すべての溶接が終了したか否かを判断し(S12)、終了していなければ処理はS1へ戻されて、次の溶接位置(例えば前記図9におけるBの位置)へレーザ加工ヘッド3を移動させ、その後、全溶接が終了するまでS1〜12の処理が繰り返し実行されることになる。
以上に複数の溶接点に対して、それぞれ2k歳のレーザ照射が実行されて、品質の良好な溶接が行われることになる。
なお、ここでは、レーザ加工ヘッド3が停止した一つの溶接位置において、それぞれ3つの溶接点に対してレーザ照射が行われることを例に説明したが、一つの溶接位置において、溶接する溶接点は、1つでも良いし3つ以上さらに複数であっても良い。同様に一つひとつの溶接位置において溶接を実行する溶接点おかずもそれぞれ異なるものであってよい。
以上、本実施形態によれば、はじめに重ね合わせた被溶接部材の合わせ面にある亜鉛メッキ層120aにのみ到達するように1回目のレーザ照射を行い、その後、完全に溶接できるように1回目より大きな入熱量となるように2回目のレーザ照射を行うこととしたので、1回目のレーザ照射時には、合わせ面にある亜鉛メッキを蒸発させるが溶接に必要となる肉の減少を防ぐことができ、2回目の完全な溶接動作においては肉不足などの不具合が生じることなく良好なビード形成を行うことができる。しかも、1回目のレーザ照射は、重ね合わせた2枚目の防錆鋼板102を突き抜けていないので、このときできるポロシティ116は、レーザ照射面のみであるから、この面にできたポロシティ116は2回目のレーザ照射によって確実に埋め戻して、なおかつ、2回目のレーザ照射が防錆鋼板102を突き抜けても、その時点ではポロシティ116の原因となる亜鉛は存在していないので、レーザ照射面と反対側の面にポロシティ116ができることはない。したがって、溶接完了後の被溶接部材は両面共にポロシティ116のない良好なものとなる。
以上本発明を適用した実施形態について説明したが、本発明はこの様な実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、2枚の防錆鋼板を重ね合わせたものを例に説明したが、3枚、4枚などさらに複数枚の防錆鋼板を溶接する場合にも適用可能である。このような3枚以上の防錆鋼板を溶接する場合にも、前述した実施形態同様に、1回目のレーザ照射における入熱量を防錆鋼板の合わせ目にある皮膜層に至り、かつレーザ照射面から見て最も遠くにある鋼板を突き抜けない程度として、2回目のレーザ照射を通常の溶接と同じように実施すればよい。
また、本発明は、溶接する部材すべてが防錆鋼板である必要はなく、被溶接部材のうち1枚が防錆鋼板で、しかも合わせ面に皮膜層がくるような場合に好適である。
また、上述した実施形態では、レーザ加工ヘッドが停止した状態で各溶接点にレーザ照射するようにしているが、これにかえて、レーザ加工ヘッドを移動させながら、反射鏡を移動させることで、溶接点に溶接するようにしてもよい。レーザ加工ヘッドを移動させながら溶接する場合は、レーザ加工ヘッドの移動速度と反射鏡の移動速度(回転速度)を合成した速度が、溶接時におけるレーザ照射点の移動速度となる。したがって、上述した第1の制御例のようにレーザ照射点の移動速度で入熱量を制御する場合は、この合成速度により制御することとなる。
本発明を適用したレーザ溶接方法を説明するための説明図である。 本発明を適用したレーザ溶接方法を説明するための説明図である。 レーザ照射点の軌跡を説明するための説明図である。 入熱量の第1の制御例を説明するための説明図である。 入熱量の第2の制御例を説明するための説明図である。 入熱量の第3の制御例を説明するための説明図である。 レーザ溶接システムを説明するための概略斜視図である。 レーザ溶接システムの制御系を説明するためのブロック図である。 レーザ加工ヘッドを説明するための概略透視図である。 レーザ溶接におけるレーザ加工ヘッドとレーザ照射方向の動きを説明するための説明図である。 前記溶接方法を用いた動作手順の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
1…ロボット、
3…レーザ加工ヘッド、
11…反射鏡、
52…ロボット制御装置、
101、102…防錆鋼板、
111、112…鋼板、
115…ビード、
116…ポロシティ、
120a、120b…亜鉛メッキ層(皮膜層)。

Claims (9)

  1. 第1の被溶接部材と第2の被溶接部材を重ね合わせてそれらの合わせ面に位置する少なくとも一方の被溶接部材に施されている皮膜層に至り、かつ、前記第2の被溶接部材を突き抜けない入熱量で前記第1の被溶接部材側から1回目のレーザ照射を行う段階と、
    前記1回目のレーザ照射より大きく、かつ、前記第1の被溶接部材と前記第2の被溶接部材の溶接が完了する入熱量で前記第1の被溶接部材側から2回目のレーザ照射を行う段階と、
    を有することを特徴とするレーザ溶接方法。
  2. 前記1回目のレーザ照射と前記2回目のレーザ照射のそれぞれのレーザ照射点の移動軌跡が同じであることを特徴とする請求項1記載のレーザ溶接方法。
  3. 前記1回目のレーザ照射と前記2回目のレーザ照射のそれぞれの入熱量は、前記1回目のレーザ照射と前記2回目のレーザ照射でレーザ照射点の移動速度を変えることにより制御することを特徴とする請求項1または2記載のレーザ溶接方法。
  4. 前記1回目のレーザ照射と前記2回目のレーザ照射のそれぞれの入熱量は、前記1回目のレーザ照射と前記2回目のレーザ照射でレーザ出力を変えることにより制御することを特徴とする請求項1または2記載のレーザ溶接方法。
  5. 前記1回目のレーザ照射と前記2回目のレーザ照射のそれぞれの入熱量は、前記1回目のレーザ照射と前記2回目のレーザ照射でレーザの焦点を変えることにより制御することを特徴とする請求項1または2記載のレーザ溶接方法。
  6. レーザ発振器から導かれたレーザを反射させる移動可能な反射鏡と、
    第1の被溶接部材と第2の被溶接部材を重ね合わせてそれらの合わせ面に位置する少なくとも一方の被溶接部材に施されている皮膜層に至り、かつ、前記第2の被溶接部材を突き抜けない入熱量で前記第1の被溶接部材側から1回目のレーザ照射を実行させ、当該レーザ照射によるレーザ照射点の軌跡が所定の溶接パターンを描くように前記反射鏡を制御し、前記1回目のレーザ照射の後、前記1回目のレーザ照射より大きく、前記第1の被溶接部材と前記第2の被溶接部材の溶接が完了する入熱量で前記第1の被溶接部材側から2回目のレーザ照射を実行させ、当該レーザ照射によるレーザ照射点の軌跡が前記所定の溶接パターンを描くように前記反射鏡を制御する制御手段と、
    を有することを特徴とするレーザ溶接装置。
  7. 前記1回目のレーザ照射と前記2回目のレーザ照射のそれぞれの入熱量は、前記1回目のレーザ照射と前記2回目のレーザ照射で前記反射鏡の移動速度を変えることにより制御することを特徴とする請求項6記載のレーザ溶接装置。
  8. 前記1回目のレーザ照射と前記2回目のレーザ照射のそれぞれの入熱量は、前記1回目のレーザ照射と前記2回目のレーザ照射で前記レーザ発振器からのレーザ出力を変えることにより制御することを特徴とする請求項6記載のレーザ溶接装置。
  9. 前記1回目のレーザ照射と前記2回目のレーザ照射のそれぞれの入熱量は、前記1回目のレーザ照射と前記2回目のレーザ照射で前記レーザの焦点を変えることにより制御することを特徴とする請求項6記載のレーザ溶接装置。
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