JP2006224134A - 高エネルギビームによる異種金属の接合構造、接合方法及び接合装置 - Google Patents
高エネルギビームによる異種金属の接合構造、接合方法及び接合装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】融点の異なる異種材料同士を重ね合わせ、高エネルギビームを高融点材料の側に照射する異種金属の重ね接合において、金属間化合物の生成を抑制するためにレーザ出力を低くした場合でも、レーザ吸収剤などの付加的な手段を用いることなく、レーザビームの反射を大幅に低減することができ、高強度な接合を効率的に行なうことができる接合構造、接合方法、接合装置を提供する。
【解決手段】例えば、デフォーカスさせた高エネルギビーム1のビームスポット径dを連続的に拡大させながら高融点材料2の側に照射することによって、被接合材料2,3への入熱量を適正に制御し、略円錐形状をなす高融点材料の溶融部10と、該溶融部10の周囲に略同心円状に形成された略円形状の薄い接合反応層12を接合界面11に沿って形成する。
【選択図】図3
【解決手段】例えば、デフォーカスさせた高エネルギビーム1のビームスポット径dを連続的に拡大させながら高融点材料2の側に照射することによって、被接合材料2,3への入熱量を適正に制御し、略円錐形状をなす高融点材料の溶融部10と、該溶融部10の周囲に略同心円状に形成された略円形状の薄い接合反応層12を接合界面11に沿って形成する。
【選択図】図3
Description
本発明は、異種金属、例えばスチール材とアルミニウム合金材のように、互いに異なる融点を有する異種材料同士の接合技術に係わり、電子ビームやレーザビームのような高エネルギビームをデフォーカスさせた状態で、重ね合わせた高融点材料と低融点材料の高融点側の材料表面に照射することによって、両材料を接合する異種金属の接合構造と、当該接合構造を得るための接合方法、さらにこのような異種金属の接合に用いる接合装置に関するものである。
従来、電子ビームやレーザビームなどのような高エネルギビームを用いた異種材料の重ね接合においては、脆い金属間化合物の生成を抑制するために高融点材料側からデフォーカスさせた高エネルギビームを照射し、高融点材料側からの伝熱で低融点材料を溶融させて接合する方法がとられていた。
このような場合、溶接条件をコントロールし、接合界面において片側の材料(低融点材料)のみを溶融させ、材料の拡散を利用して接合することで、金属間化合物層の成長を抑え、その厚さを薄くすることによって、両方の材料を溶融させたときよりも接合部の単位面積当たりの強度を高くすることができると考えられており、例えば非特許文献1には、鋼板とアルミニウム合金を重ね、鋼板側からレーザビームを照射することによって、界面を固相/液相状態として異種材の接合を行なうことが記載されている。
このような場合、溶接条件をコントロールし、接合界面において片側の材料(低融点材料)のみを溶融させ、材料の拡散を利用して接合することで、金属間化合物層の成長を抑え、その厚さを薄くすることによって、両方の材料を溶融させたときよりも接合部の単位面積当たりの強度を高くすることができると考えられており、例えば非特許文献1には、鋼板とアルミニウム合金を重ね、鋼板側からレーザビームを照射することによって、界面を固相/液相状態として異種材の接合を行なうことが記載されている。
しかし、接合界面の金属間化合物の生成を制御して比較的良好な接合強度を得るには、この接合条件を極めて精密にコントロールしなければならず、しかもその適正な接合条件範囲は極めて狭く、実用化が困難であるという問題点があった。
例えば、良好な継手強度を得るには所定の接合面積が必要になるが、レーザビームはビーム幅が狭く、十分な接合面積を得ることができない。このため、レーザビームの焦点位置を被接合材の表面からずらせたデフォーカスビームを照射して、所要の接合面積を確保しながら異種金属の接合を行うことが試みられている。
例えば、特許文献1には、チタンとステンレスから成る異種金属の接合において、被接合材表面より手前にレーザビームの焦点が結ぶようにし、広い照射面積を確保したデフォーカスビームを利用したレーザ接合方法を採用することが記載されている。
「溶接学会全国大会講演概要」、社団法人日本溶接学会、2003年4月、第72集、p.152 特開2001−252777号公報
例えば、特許文献1には、チタンとステンレスから成る異種金属の接合において、被接合材表面より手前にレーザビームの焦点が結ぶようにし、広い照射面積を確保したデフォーカスビームを利用したレーザ接合方法を採用することが記載されている。
「溶接学会全国大会講演概要」、社団法人日本溶接学会、2003年4月、第72集、p.152
しかしながら、このようなデフォーカスビームを用いた場合には、レーザパワーの密度が低くなるためレーザビームの吸収率が下がり、被接合材表面でレーザビームが反射しやすくなるため、安定した接合ができなくなる。特に、レーザビームを照射する側の鋼板側に亜鉛メッキが施された材料を用いた場合には極めて反射しやすくなることから、レーザビームの出力を最適値に絞ることができなくなる。
逆にレーザビームが反射しなくなるようにレーザビームの出力を上げると、今度は入熱過多となって、接合界面に厚い脆弱な金属間化合物が生成し、接合強度を低下させるという問題点があった。
逆にレーザビームが反射しなくなるようにレーザビームの出力を上げると、今度は入熱過多となって、接合界面に厚い脆弱な金属間化合物が生成し、接合強度を低下させるという問題点があった。
レーザビームの反射を低減する方法としては、ビーム照射面にビーム吸収剤(例えば、炭化珪素など)を塗布する方法があるが、吸収剤の材料費が増加すると共に、塗布や洗浄に手間がかかるなどの問題点がある。
本発明は、デフォーカスさせた高エネルギビームを高融点材料の材料表面に照射し、高融点材料からの伝熱で低融点材料を溶融させて接合する従来の異材重ね接合における上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、金属間化合物の生成を抑制するためにレーザ出力を低くした場合でも、レーザ吸収剤などの付加的な手段を用いることなく、レーザビームの反射を大幅に低減することができ、高強度な接合を効率的に行なうことができる接合構造及び接合方法、さらにはこのような異種金属の接合に好適に用いることができる接合装置を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、高エネルギビームの照射条件(デフォーカス条件)や照射位置等について、鋭意検討した結果、例えばデフォーカスさせた高エネルギビームのビームスポット径を連続的に拡大させながら高融点材料の側に照射することによって、被接合材料への入熱量を適正に制御し、略円形状の薄い接合反応層を接合界面に沿って形成するようにすれば、金属間化合物の生成が抑制され、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は上記知見に基づくものであって、高エネルギビームを用いた本発明の異種金属の接合構造は、互いに融点の異なる異種金属を重ね合わせ、デフォーカスされた高エネルギビームを高融点材料表面にスポット状に照射することによって上記材料同士を重ね接合するための接合構造であって、ほぼ円錐形状をなす高融点材料の溶融部と、接合界面において上記溶融部の周囲に略同心円状に形成された円形状平面をもつ接合反応層を備えていることを特徴としている。
また、高エネルギビームによる本発明の異種金属の接合方法においては、デフォーカスされた高エネルギビームを同様に高融点材料表面にスポット状に照射して、上記のような接合構造となし、異種金属同士を重ね接合するに際して、ビーム照射の初期段階から最終段階まで、高エネルギビームのビーム径を連続的に変化させるようにしている。
さらに、高エネルギビームによる本発明の異種金属の接合装置は、高エネルギビームの発生手段と共に、この発生手段からの高エネルギビームのビーム径を連続的に変化させるビーム径変更手段を備えたことを特徴とするものである。
本発明によれば、互いに融点の異なる高融点材料と低融点材料を重ね合わせて成る被接合材料の高融点材料表面に、デフォーカスされた高エネルギビームをスポット状に照射してこれらを重ね接合するための接合構造として、略円錐形状をなす高融点材料の溶融部と、接合界面において上記溶融部の周囲に略同心円状に形成された円形状平面をもつ接合反応層を備えたものとしたことから、金属間化合物の生成を抑制するに適した入熱状態となって金属間化合物の生成が抑えられると共に、円形状に薄く、広く、均一に形成された接合反応層によって接合強度が確保されるため、高強度な接合が可能となる。
また、本発明によれば、デフォーカスされた高エネルギビームを上記被接合材料の高融点材料表面にスポット状に照射して、上記した接合構造を得るに際して、ビーム照射の初期段階と最終段階の間で、高エネルギビームのビーム径を連続的に変化させる接合方法としたことから、被溶接材料への入熱状態が適正なものとなり、金属間化合物の生成が抑制され、円形平面状に形成された接合反応層によって、高強度な接合が可能となる。
さらに、本発明によれば、高エネルギビームの発生手段と、該発生手段からの高エネルギビームのビーム径を連続的に変化させるビーム径変更手段を備えた接合装置としたことから、上記のような接合方法に好適に適用することができ、上記のような異種金属の接合構造を得ることができる。
以下、本発明による高エネルギビームによる異種金属の接合技術について、詳細かつ具体的に説明する。
本発明の高エネルギビームによる異種金属の接合構造は、ほぼ円錐形状をなす高融点材料の溶融部と、接合界面において上記溶融部の周囲に略同心円状に形成された円形状平面をもつ接合反応層を備えたものであって、異種金属の接合部がこのような構造を備えていることによって、適正な入熱条件によって金属間化合物がほとんど生成することなく高強度の接合がなされていることになるのであるが、このとき、高融点材料の略円錐形状をなす溶融部が、少なくともビーム照射側の材料(高融点材料)を貫通して、低融点側の材料の少なくとも一部、すなわち低融点材料の表面から裏面までのいずれかの位置に到達していることが望ましく、これによって、接合初期に高融点材料に溶融部が形成されることから、溶融部位ではレーザビームの吸収率が飛躍的に向上し、その後ビーム径を拡大した場合にもレーザビームが有効に吸収されるため、金属間化合物の生成が抑制できる適正なレーザ出力とすることが可能となる。
また、この溶融部が照射側の材料を貫通して低融点側の材料に到達しているため、低融点側の材料表面の酸化皮膜が局部的に破壊され、ここを起点として液相が広がることによって、その周囲の酸化皮膜も除去され易くなり、接合反応が確実に生じ、高強度な接合が可能となる。
また、この溶融部が照射側の材料を貫通して低融点側の材料に到達しているため、低融点側の材料表面の酸化皮膜が局部的に破壊され、ここを起点として液相が広がることによって、その周囲の酸化皮膜も除去され易くなり、接合反応が確実に生じ、高強度な接合が可能となる。
また、略円錐形状をなす上記溶融部と円形平面状の接合反応層の大きさとしては、溶融部の接合界面における断面積をA1、接合反応層の接合界面における断面積をA2とするとき、A1/(A1+A2)の値が0.04〜0.25の範囲となるようにすることが望ましい。これによって、高い接合強度が得られる接合反応層の面積を適正にすることができ、継手強度を向上させることができる。
すなわち、上記比の値が0.04に満たない場合には、接合初期にレーザビームの吸収率を向上させるために必要な溶融面積を確保できないため、レーザビームが有効に吸収されなくなり、上記比の値が逆に0.25を超えた場合には、接合強度を受け持つ部分であるA2の面積が相対的に減少するため、十分な接合強度が得られなくなる傾向がある。
すなわち、上記比の値が0.04に満たない場合には、接合初期にレーザビームの吸収率を向上させるために必要な溶融面積を確保できないため、レーザビームが有効に吸収されなくなり、上記比の値が逆に0.25を超えた場合には、接合強度を受け持つ部分であるA2の面積が相対的に減少するため、十分な接合強度が得られなくなる傾向がある。
さらに、上記被接合材料について具体的には、高融点材料を鋼材、低融点材料をアルミニウム合金とすることができ、鋼材の少なくとも接合側の表面に、アルミニウムと低融点の共晶を形成する金属又はこのような金属を含有する合金のめっきが施してあることが望ましく、この場合、接合界面に共晶溶融を生じさせて接合することにより、低温状態でも酸化皮膜を除去することができるようになり、接合界面温度の制御が可能となって、金属間化合物の生成を抑制し、接合材の新生面同士の強固な接合を得ることができるようになる。
なお、アルミニウムと共晶を形成する金属として、例えばニッケル(Ni)、銀(Ag)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)などを挙げることができる。
なお、アルミニウムと共晶を形成する金属として、例えばニッケル(Ni)、銀(Ag)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)などを挙げることができる。
本発明の高エネルギビームによる異種金属の接合方法においては、上記のような接合構造を得るべく、ビーム照射の初期段階と最終段階との間で、高エネルギビームのビーム径を連続的に変化させるようにしているが、具体的にはビーム照射の初期段階では、上記ビーム径を絞って高融点材料を局部的に溶融させるようにし、最終段階のビーム径に至るまでビーム径を順次拡大させながら、接合界面を所定の温度、すなわち上記した共晶温度以上、低融点側材料の溶融温度以下に保持することが望ましい。
これにより、接合初期に高融点材料に溶融部が形成されるため、溶融部位ではレーザビームの吸収率が飛躍的に向上し、その後ビーム径を拡大してもレーザビームが有効に吸収されるため、金属間化合物の生成が抑制できる適正なレーザ出力となり、接合反応が確実に生じることにより、高強度な接合が可能となる。
これにより、接合初期に高融点材料に溶融部が形成されるため、溶融部位ではレーザビームの吸収率が飛躍的に向上し、その後ビーム径を拡大してもレーザビームが有効に吸収されるため、金属間化合物の生成が抑制できる適正なレーザ出力となり、接合反応が確実に生じることにより、高強度な接合が可能となる。
このとき、高エネルギビームのビーム径を連続的に変化させるには、偏向コイルや収束コイルなどの電磁コイル、あるいはコンデンサーレンズなどの光学系といった高エネルギビームの収束手段と高融点材料の表面との相対距離を連続的に変化させることによって行なうことができ、これにより、レーザ吸収剤などの付加的な手段を用いることなく鋼表面でのレーザビームの反射が低減できるため、適正な入熱制御が可能となり、接合界面の金属間化合物の生成を抑制し、強固な接合状態を得ることが可能となる。
また 上記接合方法における異種金属の具体的な組み合わせとしては、上記したように、高融点材料を鋼材、低融点材料をアルミニウム合金とすることができ、鋼材の少なくとも接合側の表面に、アルミニウムと共晶を形成する金属又はこのような金属を含有する合金のめっきを施すことが望ましく、同様の効果が得られる。
本発明の高エネルギビームによる異種金属の接合装置は、高エネルギビームの発生手段と、該発生手段からの高エネルギビームのビーム径を連続的に変化させるビーム径変更手段を備えたものであるが、ビーム照射の初期段階においてビーム径を絞って高融点材料を局部的に溶融させ、最終段階のビーム径に至るまでビーム径を順次拡大させながら、接合界面を所定の温度に保持するように制御する制御手段を設けることが望ましい。
また、本発明の接合装置におけるビーム径変更手段としては、電磁コイルや光学系など高エネルギビームの収束手段と高融点材料表面との距離を相対的に変化させる機構によるものであることが望ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
高融点材料2として、板厚0.55mmの亜鉛めっき鋼板を使用すると共に、低融点材料3として、板厚1.0mmの6000系アルミニウム合金板材を使用し、これらを70mm×20mmの大きさに切断すると共に、亜鉛めっき鋼板2(高融点材料)が上側になるように、長手方向に20mmだけ重ね、図1に示すように、レーザビームが通る位置に孔を開けた押さえプレート5を介して2本のボルト4によって当該被接合材料2,3をベースプレート6に固定した。
そして、高融点材料である亜鉛メッキ鋼板2の側から、重ね合わせ部の中央部にNd:YAGレーザビーム1を一点に所定時間だけ照射して、被接合材料2,3をスポット接合した。
そして、高融点材料である亜鉛メッキ鋼板2の側から、重ね合わせ部の中央部にNd:YAGレーザビーム1を一点に所定時間だけ照射して、被接合材料2,3をスポット接合した。
(従来例)
YAGレーザの照射条件は、レーザビームの亜鉛メッキ鋼板2上でのスポット径(d)、レーザ出力、照射時間を適宜設定した。
具体的には、最大出力3kWのYAGレーザ発振器、焦点距離150mmのレンズ7(図2参照)を用い、亜鉛めっき鋼板2の表面上においてスポット径(d)が7mm径となるようにレーザビームをデフォーカスした。レーザ照射中はレーザと同軸のノズルを介して、アルゴンガスを20L/minの流量で流してシールドした。
YAGレーザの照射条件は、レーザビームの亜鉛メッキ鋼板2上でのスポット径(d)、レーザ出力、照射時間を適宜設定した。
具体的には、最大出力3kWのYAGレーザ発振器、焦点距離150mmのレンズ7(図2参照)を用い、亜鉛めっき鋼板2の表面上においてスポット径(d)が7mm径となるようにレーザビームをデフォーカスした。レーザ照射中はレーザと同軸のノズルを介して、アルゴンガスを20L/minの流量で流してシールドした。
上記したような従来の単なるデフォーカスビームでは、照射時間2秒の場合、レーザ出力1.3kW以下では、レーザビームの部分的な反射や吸収が不規則に生じ、接合状態が安定しなかった。
また、レーザ出力1.0kW以下では、レーザビームが全く吸収されず、接合が不可能であった。安定した吸収が得られるレーザ出力は1.5kW以上であったが、レーザ出力1.5kW以上では入熱過多となり、金属間化合物が厚く成長し、十分な接合強度が得られないことが確認された。
また、レーザ出力1.0kW以下では、レーザビームが全く吸収されず、接合が不可能であった。安定した吸収が得られるレーザ出力は1.5kW以上であったが、レーザ出力1.5kW以上では入熱過多となり、金属間化合物が厚く成長し、十分な接合強度が得られないことが確認された。
(発明例1)
次に、図2に示すように、レーザビームを初期スポット径(d1)から、最終スポット径(d2)に連続的に変化させ、最終スポット径(d2)で一定時間保持して接合するようにした。ここで、初期スポット径(d1)が1mm径、最終スポット径(d2)が7mm径となるように、被接合材料2,3を移動させ、レンズ7(光学系:収束手段)と亜鉛メッキ鋼板2との相対距離を、初期距離(H1)から最終距離(H2)まで変化させた。 この間、レーザビームの出力は一定とし、接合界面の反応が均一に促進される適正な温度範囲(382〜660℃)になるよう設定し、ここではレーザ出力を0.8kWとした。
次に、図2に示すように、レーザビームを初期スポット径(d1)から、最終スポット径(d2)に連続的に変化させ、最終スポット径(d2)で一定時間保持して接合するようにした。ここで、初期スポット径(d1)が1mm径、最終スポット径(d2)が7mm径となるように、被接合材料2,3を移動させ、レンズ7(光学系:収束手段)と亜鉛メッキ鋼板2との相対距離を、初期距離(H1)から最終距離(H2)まで変化させた。 この間、レーザビームの出力は一定とし、接合界面の反応が均一に促進される適正な温度範囲(382〜660℃)になるよう設定し、ここではレーザ出力を0.8kWとした。
上記したように、従来例ではレーザ出力1.5kW以上でないとレーザビームが吸収されなかったが、本発明においては、レーザ出力0.8kWにおいても有効に吸収されることが確認された。
また、この実施例では、加工テーブルごと被接合材料2,3を移動させることによってスポット径(d)を(d1)から(d2)まで変化させたが、レンズ7を移動させたり、被接合材料2,3とレンズ7とを同時に移動させてもよく、要するに被接合材料2,3とレンズ7の間の相対距離を変化させればよい。
また、この実施例では、加工テーブルごと被接合材料2,3を移動させることによってスポット径(d)を(d1)から(d2)まで変化させたが、レンズ7を移動させたり、被接合材料2,3とレンズ7とを同時に移動させてもよく、要するに被接合材料2,3とレンズ7の間の相対距離を変化させればよい。
図3(a)及び(b)は、上記発明例によって接合を行なった接合部の構造を示すそれぞれ平面図及び縦断面図であって、上述のように、高融点材料としての亜鉛メッキ鋼板2と、低融点材料としてアルミニウム合金3を重ね、高融点材料2の側からレーザビームを照射したものである。
図3(b)の断面図に示すように、略円錐形状をなした高融点材料2の溶融部10と、この溶融部10の周囲に、接合界面11に沿って略同心円状に形成された円状平面を持つ薄い接合反応層12が形成されると共に、溶融部10の先端付近には厚い金属間化合物層13、その周囲のアルミニウム合金側には熱影響層14が形成されている。
図3(a)は接合界面11における平面図をしめすものであって、接合部の中心位置に高融点材料2の溶融部10が、その周囲に接合反応層12が同心円状に形成されている。 ここで溶融部10の接合界面での面積をA1、溶融部10の面積A1を除いた接合反応層12の面積をA2とする。
ここで、溶融部10の面積A1部分は、厚い金属間化合物層13が脆弱であるため、接合強度が低い。一方、接合反応層12は、コントロールされた薄い化合物層または拡散反応層であり、接合反応層12の面積A2部分は接合強度が高い。
したがって、溶融部10の面積A1と接合反応層12の面積A2の関係によって継手の接合強度が変化すると考えられ、この関係を調査した結果を図4に示す。
したがって、溶融部10の面積A1と接合反応層12の面積A2の関係によって継手の接合強度が変化すると考えられ、この関係を調査した結果を図4に示す。
すなわち、図4は、レーザ照射条件を種々に選定することによって、溶融部10の面積A1と接合反応層12の面積A2の比率、つまり〔A1/(A1+A2)〕×100を変化させ、その時の引張せん断強度を測定した結果を示すものであって、A1/(A1+A2)が小さい場合には、接合初期にレーザビームが有効に吸収されず、低出力のデフォーカスビームの吸収率を上げるに十分な溶融面積を確保できないため、接合強度が低くなる。
一方、A1/(A1+A2)が大き過ぎる場合には、低強度な溶融部10の面積A1が増加し、その分、高強度な接合反応層12面積A2が減少するため、結果的に接合強度が低下する。
この特性は、被接合材の材質、板厚、接合条件などに拘らず同様の傾向を示し、この結果、〔A1/(A1+A2)〕×100=4〜25%に設定するのが好適で、望ましくは、5〜16% の範囲が推奨される。
この特性は、被接合材の材質、板厚、接合条件などに拘らず同様の傾向を示し、この結果、〔A1/(A1+A2)〕×100=4〜25%に設定するのが好適で、望ましくは、5〜16% の範囲が推奨される。
(発明例2)
図5は、本発明の他の例を示すものであって、図2に示した上記発明例1においては、レーザビームの中心軸を移動させることなく、レーザビームを初期スポット径(d1)から最終スポット径(d2)まで連続的に変化させるようにしたが、この実施例においては、初期スポット径(ds)から、最終スポット径(de)まで、レーザビームの光軸をあらかじめ定められた軌跡、この例では円弧状に移動させたものである。
ここで、レンズ15と被接合材料2,3の相対距離を初期距離(Hs)から、途中距離(Hm)を経て、最終距離(He)まで変化させた。
図5は、本発明の他の例を示すものであって、図2に示した上記発明例1においては、レーザビームの中心軸を移動させることなく、レーザビームを初期スポット径(d1)から最終スポット径(d2)まで連続的に変化させるようにしたが、この実施例においては、初期スポット径(ds)から、最終スポット径(de)まで、レーザビームの光軸をあらかじめ定められた軌跡、この例では円弧状に移動させたものである。
ここで、レンズ15と被接合材料2,3の相対距離を初期距離(Hs)から、途中距離(Hm)を経て、最終距離(He)まで変化させた。
図5に示すように、接合の開始時と終了時においては、レーザのビーム中心線Cbと接合部中心線Cjが一致しているが、それ以外の途中時では、ビーム中心線Cbと接合部中心線Cjが一致しないように、レーザビームの光軸を移動させるようにした。このため、接合初期のスポット径が小さく、パワー密度が高い時期に接合部の中心付近に入熱が集中することが避けられるため、低強度な溶融部10の面積A1を低減することができ、接合強度を向上させることができる。
なお、本発明においては、レーザビーム(高エネルギビーム)を照射する鋼材側からアルミニウム合金材側に良好な伝熱が行なわれるように、アルミニウム合金材側から接合部を適宜加圧できるような構造の固定手段を備えた接合装置を用いることが望ましく、これによって異種金属の継手品質をより一層安定させることが可能となる。
1、16 レーザビーム(高エネルギビーム)
2 高融点材料(亜鉛めっき鋼板)
3 低融点材料(アルミニウム合金板材)
7,15 レンズ(収束手段)
10 溶融部
11 接合界面
12 接合反応層
d,d1,d2,ds,de ビーム径
2 高融点材料(亜鉛めっき鋼板)
3 低融点材料(アルミニウム合金板材)
7,15 レンズ(収束手段)
10 溶融部
11 接合界面
12 接合反応層
d,d1,d2,ds,de ビーム径
Claims (11)
- 互いに融点の異なる高融点材料と低融点材料を重ね合わせた状態でデフォーカスされた高エネルギビームを高融点材料表面にスポット状に照射して、上記材料同士を重ね接合するための接合構造であって、略円錐形状をなす高融点材料の溶融部と、接合界面において上記溶融部の周囲に略同心円状に形成された円形状平面をもつ接合反応層を備えていることを特徴とする高エネルギビームによる異種金属の接合構造。
- 上記溶融部が少なくとも高融点材料を貫通して、低融点材料の表面から裏面までのいずれかの位置に到達していることを特徴とする請求項1に記載の高エネルギビームによる異種金属の接合構造。
- 上記溶融部の接合界面における断面積をA1、上記接合反応層の接合界面における断面積をA2とするとき、A1/(A1+A2)により定義される比の値が0.04〜0.25の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高エネルギビームによる異種金属の接合構造。
- 上記高融点材料が鋼材であると共に、低融点材料がアルミニウム合金であって、上記鋼材の少なくとも接合側の表面には、アルミニウムと共晶を形成する金属又は該金属を含有する合金のめっきが施してあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の高エネルギビームによる異種金属の接合構造。
- 互いに融点の異なる高融点材料と低融点材料を重ね合わせた状態でデフォーカスされた高エネルギビームを高融点材料表面にスポット状に照射して、請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の接合構造とするに際し、高エネルギビーム照射の初期段階と最終段階の間で、該高エネルギビームのビーム径を連続的に変化させることを特徴とする高エネルギビームによる異種金属の接合方法。
- 高エネルギビーム照射の初期段階においては、ビーム径を絞って高融点材料を局部的に溶融させ、最終段階のビーム径までビーム径を順次拡大させながら接合界面を所定の温度に保持することを特徴とする請求項5に記載の高エネルギビームによる異種金属の接合方法。
- 高エネルギビームの収束手段と高融点材料表面との距離を相対的に変化させることにより高エネルギビームのビーム径を連続的に変化させることを特徴とする請求項5又は6に記載の高エネルギビームによる異種金属の接合方法。
- 上記高融点材料が鋼材であると共に、低融点材料がアルミニウム合金であって、上記鋼材の少なくとも接合側の表面に、アルミニウムと共晶を形成する金属又は該金属を含有する合金のめっきを施すことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1つの項に記載の高エネルギビームによる異種金属の接合方法。
- 高エネルギビームの発生手段と、該発生手段からの高エネルギビームのビーム径を連続的に変化させるビーム径変更手段を備えたことを特徴とする高エネルギビームによる異種金属の接合装置。
- 高エネルギビーム照射の初期段階においては、該高エネルギビームのビーム径を絞って高融点材料を局部的に溶融させ、最終段階のビーム径までビーム径を順次拡大させながら接合界面を所定の温度に保持する制御手段を備えたことを特徴とする請求項9に記載の高エネルギビームによる異種金属の接合装置。
- 上記ビーム径変更手段が高エネルギビームの収束手段と高融点材料表面との距離を相対的に変化させる機構を備えていることを特徴とする請求項9又は10に記載の高エネルギビームによる異種金属の接合装置。
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