JP2020040088A - レーザスポット溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡潔な動作で安定的に接合強度が得られ、制御の複雑化やタクトタイムの増加を回避できるレーザスポット溶接方法を提供する。【解決手段】複数重ねた金属板(11,12,13)に対して所定領域にレーザ光軸を設定した状態で、第1の照射径(φ1)にてレーザを照射し(L1)、前記金属板を加熱して溶融する第1ステップ(W1,21,41)と、前記第1ステップに連続して、前記第1の照射径(φ1)から第2の照射径(φ2)まで漸次または段階的に照射径を拡大しながらレーザを照射し(L1〜L2)、溶融部(W1〜W2)を拡大する第2ステップ(Ws,22,42)と、を含み、前記照射径の拡大(φ1〜φ2)はデフォーカス量の増加(d1〜d2)によって与えられる。【選択図】図1

Description

本発明はレーザスポット溶接方法に関する。
ワークにレーザを照射しその光エネルギーによって照射部位の材料を加熱溶融するレーザ溶接は、非接触で高速溶接が行える利点があり、アーク溶接や抵抗スポット溶接からの代替が進んでいる。抵抗スポット溶接の代替としてのレーザスポット溶接は、例えば特許文献1に記載されるように、スポット領域内でレーザビームを円形状や渦巻状に走査することで接合強度を得ている。
しかし、このような溶接方法は、スポット領域内でビーム走査を行うための俊敏なスキャナ操作が必要であり、制御動作が煩雑であるうえ、ビーム走査の分だけタクトタイムが長くなる問題があった。
特開2012−115876号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡潔な動作で安定的に接合強度が得られ、制御の複雑化やタクトタイムの増加を回避できるレーザスポット溶接方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るレーザスポット溶接方法は、
複数重ねた金属板に対して所定領域にレーザ光軸を設定した状態で、
第1の照射径にてレーザを照射し前記金属板を加熱して溶融する第1ステップと、
前記第1ステップに連続して、前記第1の照射径から第2の照射径まで漸次または段階的に照射径を拡大しながらレーザを照射し溶融部を拡大する第2ステップと、
を含み、前記照射径の拡大はデフォーカス量の増加によって与えられる。
本発明に係るレーザスポット溶接方法は、上記のように、レーザ光軸を固定した状態で第1の照射径にてレーザを照射することにより複数重ねた金属板が加熱して溶融され、全体に熱伝導可能な状態において第2の照射径まで漸次または段階的に照射径を拡大しながらレーザを照射することで、溶融部が所望のスポット径まで拡大されるので、レーザ光軸の走査を伴わない簡潔な動作でありなら、所望の接合強度が得られ、制御の複雑化やタクトタイムの増加を回避でき、生産性向上に有利であることに加えて、金属板間の隙間に対する許容度の高いスポット溶接を安定的に行える利点がある。
本発明の好適な態様では、前記第2ステップは、レーザの照射径が前記第1の照射径から第1の速度で拡大する第1区間と、前記第1区間の後に前記第2の照射径まで第2の速度で拡大する第2区間とを含み、前記第1の速度は前記第2の速度よりも大きい。
上記と関連して、本発明の好適な態様では、前記第2ステップは、レーザの照射径が前記第1の照射径から第2の照射径まで拡大するに従って、照射径の拡大速度が漸次または段階的に低下する。
これらの特徴により、迅速かつ確実なスポット径の拡大が可能となり、金属板間の隙間に対する許容度の高いスポット溶接を安定的に行ううえで有利である。
本発明実施形態に係るレーザスポット溶接を示す側断面図(a)、平面図(b)、照射径の変化を模式的な示すグラフ(c)である。 (a)は比較例に係るレーザスポット溶接における照射径の変化を示すグラフ、(e)はその上下間隙と溶接可能範囲を示すグラフ、(b)〜(d)は本発明実施例に係るレーザスポット溶接における照射径の変化を示すグラフ、(f)〜(h)はそれらの上下間隙と溶接可能範囲を示すグラフである。 (a)(b)は本発明の好適な実施例に係るレーザスポット溶接における照射径の変化を示すグラフ、(c)(d)はそれらの上下間隙と溶接可能範囲を示すグラフである。 本発明実施形態に係るレーザスポット溶接における照射径の変化と溶接過程を示す模式的なグラフである。 本発明実施形態に係るレーザスポット溶接における溶接部を示す拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1(a)〜(c)は、3枚の金属板11,12,13に対する本発明の実施形態に係るレーザスポット溶接10を示しており、図1(a)において、板厚t1,t2,t3の3枚の金属板11,12,13は、間隙ga,gbを有して重ねられている。
それぞれの間隙ga,gbは,金属板11,12,13の何れか(通常は隙間ga,gbの下側の金属板12,13)に予め突起部(エンボス、不図示)をプレス加工しておき、突起部を介して重ね合されるか、または、金属板の間に挿入された不図示のスペーサを介して重ね合され、必要に応じてクランプなどの治具で保持されることによる間隔調整された隙間、および/または、プレス加工品のフランジ部などにスプリングバックで生じる間隔調整されていない隙間である。
金属板11,12,13は、特に限定されるものではないが、板厚0.6〜2.0mmの薄鋼板を想定しており、板厚t1,t2,t3は、後述する実験では、0.6mm、0.8mm、1.2mmの鋼板を使用している。接合面に、亜鉛めっき層のような低融点金属の表面処理層が存在する場合は、金属蒸気を排出するために上記のような間隔調整された隙間が意図的に設けられるが、低融点金属の表面処理層が存在しない場合には、隙間ga,gbを有さずに直接重ね合されても良い。
レーザスポット溶接10の実施に際しては、先ず、最表面に位置した金属板11の上方にレーザ加工ヘッドを位置させ、光軸を固定した状態で、デフォーカス量d1にて一定出力でレーザ照射L1を行い、スポットS1にて3枚の金属板11,12,13を加熱して溶接部W1(この時点では溶融部)を形成する。
このスポットS1が1回の溶接工程中で最小面積(最大エネルギー密度)の照射領域であり、必要最小限のレーザ出力で溶接すべき3枚の金属板11,12,13のうち最表面側の2枚の金属板11,12を貫通し、最下の金属板13に対しても充分な溶け込み深さが得られる。
次いで、光軸を固定したまま、レーザ溶接機の光学系にて焦点制御を行い、図1(c)に符号Wsで示すように、デフォーカス量をd1からd2まで漸次増大させ、レーザ照射径をφ2まで漸次拡大しながら一定出力でレーザ照射(L1〜L2)を行い、溶融部をW2まで拡大してスポットS2にてレーザ照射L2を終了する。
このスポットS2が1回の溶接工程中で最大面積(最小エネルギー密度)の照射領域であり、レーザ照射径がφ1からφ2に拡大し、照射領域がS1からS2まで拡大する過程で、レーザ照射のエネルギー密度は漸次低下するものの、中心部から周辺部に向けての熱伝達を伴うことで、照射領域S2内での安定的な溶融が促され、レーザ照射径φ2に対応する最終的な溶接部W2が得られる。
なお、金属板11,12,13に低融点金属の表面処理層が存在する場合に、溶融部とその周辺で発生する金属蒸気は、上記のような中心部から周辺部に向かう熱伝達と、レーザ照射径の拡大とともに、間隙ga,gbを通じて拡散され排出される。
以上述べたように、レーザスポット溶接10は、レーザ光軸を固定した状態でレーザ照射径を変化させることで、最小照射径φ1のレーザ照射L1により中心部(S1,W1)で充分な溶け込み深さが確保され、最大照射径φ2のレーザ照射L2により所望のスポット径(S2、W2)が確保されるので、レーザ光軸の走査を伴わない簡潔な動作にて所望の接合強度が得られることに加えて、金属板11,12,13間の隙間ga,gbに対する許容範囲が格段に向上する利点がある。
次に、実施形態に係るレーザスポット溶接10の効果を検証するために、レーザ照射径の変化パターンの異なる各場合について、金属板11,12,13間の間隙ga,gbおよびそれらの組合せを変えてレーザスポット溶接し、間隙の許容範囲を比較する実験を行った。実験では、金属板11,12,13として、最表面側(レーザ照射側)から、板厚t1=0.6mm、t2=1.2mm、t3=0.8mmの鋼板を使用し、レーザ出力2kWとして、デフォーカス量を30〜90mm、レーザ照射径をφ1.8〜5.0mmの間で変化させて0.4秒間のレーザ照射を行った。
(比較例)
先ず、比較例として、図2(a)に示すように、デフォーカス量d1=30mmで0.2秒のレーザ照射を行った後、デフォーカス量をd2=90mmに増加させて0.15秒のレーザ照射を行うレーザスポット溶接を、金属板間の間隙ga,gbおよびそれらの組合せを変えて実施し、間隙の許容範囲を調べた。
図2(e)はその結果を示しており、図中において、ハッチングが付されている組合せでは良好な溶接結果が得られ、間隙の許容範囲を示している。上側の間隙gaが0の場合には、下側の間隙gb=1.0mmまで許容されているが、両方の間隙ga,gbがある組合せでは、概ね間隙の合計が0.9mm程度であった。いくつかの組合せではレーザ照射を延長することで改善が見られたが、図中太線で示された実施例1(後述)の間隙許容範囲と比較すると、下側の間隙gbが大きい範囲に差があることが分かる。
(実施例1)
次に、本発明に係る実施例1として、図2(b)に示すように、デフォーカス量をd1=30mmからd2=90mmまで一定の比率で増加させながら、0.4秒のレーザ照射を行うレーザスポット溶接を、金属板間の間隙ga,gbおよびそれらの組合せを変えて実施し、間隙の許容範囲を調べた。
図2(f)に実施例1の結果を示す。上述したように、比較例と比べると、下側の間隙gbが大きい範囲で1.0〜1.1mmまで許容されており、上下合計の間隙は1.2〜1.3mmまで許容範囲が拡大している。
(実施例2)
次に、本発明に係る実施例2として、図2(c)に示すように、デフォーカス量をd1=30mmから0.2秒間に40mmまで相対的に緩やかな比率で増加させた後、次の0.2秒間にデフォーカス量をd2=90mmまで相対的に急な比率で増加させながら、合計0.4秒のレーザ照射を行うレーザスポット溶接を、金属板間の間隙ga,gbおよびそれらの組合せを変えて実施し、間隙の許容範囲を調べた。
図2(g)に実施例2の結果を示す。先述の比較例に対しては間隙許容範囲が拡大しているものの、上述した実施例1と比較すると、下側の間隙gbが大きい範囲で0.2mm程度許容範囲が狭くなっている。
(実施例3)
次に、本発明に係る実施例3として、図2(d)に示すように、デフォーカス量をd1=30mmから0.1秒間に50mmまで相対的に急な比率で増加させた後、次の0.3秒間にデフォーカス量をd2=90mmまで相対的に緩やかな比率で増加させながら、合計0.4秒のレーザ照射を行うレーザスポット溶接を、金属板間の間隙ga,gbおよびそれらの組合せを変えて実施し、間隙の許容範囲を調べた。
図2(h)に実施例3の結果を示す。上述の実施例2とは逆に、上下合計の間隙が大きい領域で僅かながら実施例1を上回る結果が得られた。
以上の実施例1〜3の結果から、上下に間隙のある溶接では、最小照射径(φ1)のレーザ照射L1は極短期間に終了し、照射径を漸次拡大した方が間隙の許容範囲を大きくし良好な溶接スポットを安定的に形成するうえで有利なことが分かる。特に、実施例2と実施例3の比較から、溶接工程の前半では照射径を相対的に急に拡大し、溶接工程の後半では照射径を相対的に緩やかに拡大する方が良好な結果が得られることが示唆された。そこで、この傾向を検証するために、さらにレーザ照射径の変化パターンのみを変更してレーザスポット溶接を行い、間隙の許容範囲を比較する追加実験を行った。
(実施例4)
先ず、本発明に係る実施例4として、図3(a)に示すように、デフォーカス量をd1=30mmから0.1秒間に60mmまで実施例3よりも急な比率で増加させた後、次の0.3秒間にデフォーカス量をd2=90mmまで実施例3よりも緩やかな比率で増加させながら、合計0.4秒のレーザ照射を行うレーザスポット溶接を、金属板間の間隙ga,gbおよびそれらの組合せを変えて実施し、間隙の許容範囲を調べた。
図3(c)に実施例4の結果を示す。上述した実施例3と比較して、上側の間隙gaが0.3mm、下側の間隙gbが0.9〜1.0mmの組合せが不良になったが、上側の間隙gaが0.2mm以下の場合には下側の間隙gbの許容範囲が1.3〜1.4mmにまで拡大され、下側の間隙gbが大きい場合に有利であることが確認された。
(実施例5)
次に、本発明に係る実施例5として、図3(b)に示すように、デフォーカス量をd1=30mmから0.1秒間に70mmまで実施例5よりも急な比率で増加させた後、次の0.3秒間にデフォーカス量をd2=90mmまで実施例5よりも緩やかな比率で増加させながら、合計0.4秒のレーザ照射を行うレーザスポット溶接を、金属板間の間隙ga,gbおよびそれらの組合せを変えて実施し、間隙の許容範囲を調べた。
図3(d)に実施例5の結果を示す。上述した実施例4と同様に、上側の間隙gaが0.3mm、下側の間隙gbが0.9〜1.0mmの組合せは不良であったが、上側の間隙gaが0.6〜0.7mmの場合に許容範囲の拡大が認められ、さらに、上側の間隙gaが0.2mm以下の場合には下側の間隙gbの許容範囲が1.3〜1.5mmにまで拡大され、下側の間隙gbが大きい場合に有利であることが確認された。
(最適な実施形態についての考察)
図4は、実施例1〜5の結果から示唆される本発明に係るレーザスポット溶接における最適な照射径変化パターンを示している。以下、このパターンを中心とした最適な実施形態について図4を参照しながら考察する。
先ず、図4に実線で示されるように、3枚の金属板11,12,13を加熱して溶融可能な工程中の最小照射径φ1(デフォーカス量d1)からレーザ照射L1を開始する第1ステップ21は極短期間に終了し、照射径を漸次拡大する第2ステップ22に移行する。
次いで、第2ステップ22では、レーザ照射径が最小照射径φ1から第1の速度v1で拡大する第1区間22aと、第1の速度v1よりも遅い第2の速度v2でレーザ照射径が最大照射径φ2まで拡大する第2区間22bとを含む。
この第1の区間22aと第2の区間22bの間に、第1の速度v1と第2の速度v2の中間的な速度で照射径が拡大する1ないしは複数の中間的区間を設けることもできる。したがって、第2ステップ22は、レーザ照射径が最小照射径φ1から最大照射径φ2まで拡大するに従って、照射径の拡大速度(v1〜v2)が漸次または段階的に低下する区間ということになる。
なお、第1区間22aは第1ステップ21の直後の区間であるため、可及的短時間に第2区間22bに移行することが好ましく、第1区間22aは第2区間22bよりも短いことが溶融部を拡大するうえで有利である。レーザ照射のエネルギー密度は照射面積に反比例し、照射面積は照射径の2乗に比例するので、照射径を一定の比率で増加させると、照射面積の拡大に伴うエネルギー密度の低下が累進的に進むことになる。したがって、第2ステップ22の前半で速やかに照射径を拡大し、後半で照射径の拡大速度を漸次減速することで、照射面積の拡大率およびエネルギー密度の低下率を一定に近づけることができ、効率よく溶融部を拡大できるものと推察される。
第2ステップ22の後に、最大照射径φ2のままでレーザ照射L2を継続することもでき、この区間を第3ステップ23とすると、既に所望のスポット径(φ2)に到達している溶融部W2を加熱して溶融金属の均質化や安定化を図る調整プロセスという性格を持っている。そのことは、比較例において照射時間の延長により溶接部が良好になったことからも明らかである。しかしながら、実施例4,5の結果からも明らかなように、上述した第2ステップ22の第2区間22bが同様の機能を果たすため、スポットの拡大に寄与しないこの第3ステップ23は不要であるか、極短時間で充分であることが分かる。
一方、レーザ照射L1を開始するする第1ステップ21において、最表面側の金属板11,12の板厚が大きい場合など、熱容量が大きいことで良好な加熱溶融が行えない場合は、レーザ出力を大きくするよりも、図4に符号21′で示されるように、開始時のデフォーカス量をd1よりも小さくし、ジャストフォーカスに近づけ、より小さい照射径からレーザ照射を開始することが有利であり、その場合はレーザ照射開始直後からデフォーカス量を増加させレーザ照射径を拡大する。
したがって、最小照射径φ1(デフォーカス量d1)による短時間の連続照射を含む第1ステップ21を実施するよりも、図4に破線で示されるように、最小照射径φ1(デフォーカス量d1)によるレーザ照射直後から照射径を漸次拡大させながら金属板を加熱して溶融する第1ステップ41を実施し、照射径の拡大速度を減少させて第2ステップ42に移行することが有利である。
また、第1ステップ21や第3ステップ23以外に、第2ステップ22に一定照射径での連続照射を含み、あるいは、一定照射径での連続照射と照射径の増加を交互に実施することで照射径(デフォーカス量)を段階的に増加させることもできるが、熱伝導に合わせて効率よく溶融部を拡大するためには連続的に変化させることが好ましい。
(溶接部の実施例)
図5は、3枚の金属板51,52,53をレーザスポット溶接した溶接部を示す断面図である。金属板51,52,53の板厚は0.8mm,1.2mm,0.6mm、上側の間隙は0.5mm、下側の間隙は1.6mmであり、デフォーカス量d1=10mm/0.2秒、20mm/0.05秒、40mm/0.2秒、そしてデフォーカス量d2=90mmまで漸次段階的に増加させながらレーザ照射し、続けて0.8秒間レーザ照射を行ったところ、有効なスポット径の溶接部50Wが得られた。この実施例は下側の間隙が板厚よりも大きい特殊な場合であるが、このような場合でも隙間を有したまま溶接できることが確認できた。
なお、この実施例は、隙間の条件が厳しいこともあり、デフォーカス量(照射径)を段階的に増加させる制御を行ったが、先述した実施例のように0.2〜0.4秒で終了する実用的なレベルのレーザスポット溶接では、中間的なデフォーカス量(照射径)を設定して段階的に増加させる制御と、デフォーカス量(照射径)を連続的に増加させる制御とは、設定上の差であって、溶接結果に有意な差は生じない。また、レーザ溶接機(加工機)の仕様によっては、デフォーカス量を変更する際に極短時間レーザ照射が中断する場合もあるが、この場合にも溶接結果に有意な差は生じないことが確認されている。
なお、上記実施形態では、レーザ光学系の制御によりデフォーカス量d1〜d2を変化させる場合について述べたが、レーザ加工ヘッドの位置を機械的に上下動(直線移動)させることでデフォーカス量を変化させることもできる。
また、上記実施形態では、2枚ないし3枚の金属板を重ねてレーザスポット溶接する場合を示したが、4枚以上の金属板を重ねてレーザスポット溶接することも可能である。実験では合計板厚4.2mmまで確認しているが、レーザ出力などの条件によりそれ以上の溶接も可能と思われる。
また、上記実施形態では、最表面の金属板11に対して垂直上方からレーザ照射する場合を示したが、照射角度40度までは同程度の加工性が得られる。但し、スポット形状は楕円になる。また、水平面以外の任意の角度で溶接可能である。
以上、本発明のいくつかの実施の形態について述べたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいてさらに各種の変形および変更が可能である。
10 レーザスポット溶接
11,12,13 金属板
21,21′,41 第1ステップ(加熱溶融)
22,42 第2ステップ(溶融部拡大)
22a 第1区間
22b 第2区間
23,43 第3ステップ(調整)
d1,d2 デフォーカス量
ga,gb 隙間
L1,L2 レーザ照射
S1,S2 スポット
φ1,φ2 レーザ照射径
W1,W2 溶融部

Claims (8)

  1. 複数重ねた金属板に対して所定領域にレーザ光軸を設定した状態で、
    第1の照射径にてレーザを照射し前記金属板を加熱して溶融する第1ステップと、
    前記第1ステップに連続して、前記第1の照射径から第2の照射径まで漸次または段階的に照射径を拡大しながらレーザを照射し溶融部を拡大する第2ステップと、
    を含み、前記照射径の拡大はデフォーカス量の増加によって与えられる、レーザスポット溶接方法。
  2. 前記第2ステップは、レーザの照射径が前記第1の照射径から第1の速度で拡大する第1区間と、前記第1区間の後に前記第2の照射径まで第2の速度で拡大する第2区間とを含み、前記第1の速度は前記第2の速度よりも大きい、請求項1記載のレーザスポット溶接方法。
  3. 前記第2ステップは、レーザの照射径が前記第1の照射径から第2の照射径まで拡大するに従って、照射径の拡大速度が漸次または段階的に低下する、請求項1記載のレーザスポット溶接方法。
  4. 前記第1区間におけるレーザ照射時間は、前記第2区間におけるレーザ照射時間よりも短い、請求項2記載のレーザスポット溶接方法。
  5. 複数重ねた金属板に対して所定領域にレーザ光軸を設定した状態で、
    レーザの照射径を、第1の照射径から漸次または段階的に拡大しながらレーザを照射して前記金属板を加熱して溶融する第1ステップと、
    前記第1ステップに連続して、レーザの照射径を、第2の照射径まで漸次または段階的に拡大しながらレーザを照射して溶融部を拡大する第2ステップと、
    を含み、前記照射径の拡大はデフォーカス量の増加によって与えられる、レーザスポット溶接方法。
  6. 前記第1ステップにおける照射径の拡大速度は、前記第2ステップにおける照射径の拡大速度よりも大きい、請求項5記載のレーザスポット溶接方法。
  7. 前記第1ステップにおけるレーザ照射時間は、前記第2ステップにおけるレーザ照射時間よりも短い、請求項1〜6の何れか一項記載のレーザスポット溶接方法。
  8. 前記第1および第2ステップ中は、レーザ出力は実質的に一定である、請求項1〜7の何れか一項記載のレーザスポット溶接方法。
JP2018168827A 2018-09-10 2018-09-10 レーザスポット溶接方法 Active JP7180220B2 (ja)

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JP2006224134A (ja) * 2005-02-17 2006-08-31 Nissan Motor Co Ltd 高エネルギビームによる異種金属の接合構造、接合方法及び接合装置
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