JP2008264820A - 異種金属の接合構造及び接合方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鉄系合金から成る第1の板材1とアルミニウム系合金から成る第2の板材2を重ね接合するに際して、両板材の重ね合わせ部分における第2の板材表面にデフォーカスさせた高エネルギービームBを照射しながら、加圧し、接合界面に金属間化合物層4を0.8〜5μmの厚さに形成して接合する。
【選択図】図1
Description
「溶接学会全国大会講演概要」、社団法人日本溶接学会、2003年4月、第72集、p.152
また、ルーフパネルに限らず、他の車体外板パネルにアルミニウム合金を用いた場合についても、鋼製の車体骨格構造の上にアルミニウム合金製の車体パネルを重ねる構造となることから、上記したような鋼板側からレーザビームを照射するという方法が適用できないことが多いという問題点がある。
また、鋼板側にアルミニウム又は亜鉛めっきを施した状態で、アルミニウム合金側からレーザビームを照射して接合する異材接合方法が知られている(特許文献1又は2参照)。
三菱自動車 テクニカルレビュー 2004,No.16 P.82
また、アルミニウム合金側からレーザビームを照射する上記特許文献1及び2に記載の方法では、アルミニウム合金が溶融していることから、接合界面に金属間化合物が厚く生成するため、継手強度が十分に得られないという問題がある。
図示するように、第1の板材である鋼板1の上に第2の板材としてのアルミニウム合金板材2が重ねられ、図中上方側からアルミニウム合金板材2の表面にデフォーカスさせたレーザビームBを移動させながら照射することによって、当該アルミニウム合金板材2が加熱される。
なお、レーザビームBと加圧ローラ3は、被接合材1,2に対して、相対的に移動可能に構成されている。
また、上記範囲内の厚さを有する金属間化合物層4を形成することは、レーザビーム照射を鋼板1の側に行うことによっても不可能ではないが、アルミニウム合金板材2の側に照射する場合に較べてその条件範囲がかなり狭く、特に、薄い厚さの金属間化合物層4をより安定に生成させるためには、鋼板側照射よりもアルミニウム合金板材の側に照射する方が良いことが確認された。
また、当該継手構造においては、第1の板材(鉄系合金)に重ねた第2の板材(アルミニウム系合金)の端部が未溶融であることが望ましく、このようにアルミニウム系合金板材の接合端部を溶融させることなく、未溶融のままに残しておけるような条件で高エネルギービームを照射することによって、接合界面の過熱を防止し、金属間化合物層の過剰な成長を阻止して、接合強度を確保することができる。
また、図4(c)に示すように、アルミニウム系合金から成る第2の板材2として、鋳造パネルを使用した場合、その端部に断面積を大きくした厚肉部2aを設けておくことによって、当該板材2の端部の熱容量が増大し、端部の溶融を防止することが可能となる。
そして、本発明においては、鉄系合金から成る第1の板材として、アルミニウムと低融点共晶を形成する亜鉛がその表面にあらかじめめっきされている、いわゆる亜鉛めっき鋼板を用いることができる。この場合には、新たにめっきを施したり、特別な準備を要したりすることもなく、防錆目的で亜鉛めっきを施した通常の市販鋼材をそのまま使用することができ、極めて簡便かつ安価に異種金属の接合に適用することができる。
したがって、両金属の清浄面を接触させ、655K以上に加熱保持すると反応が生じる。これを共晶溶融といい、Al−95%Znが共晶組成となるが、共晶反応自体は合金成分に無関係な一定の変化であり、合金組成は共晶反応の量を増減するに過ぎない。
なお、アルミニウム合金と鋼の反応層4の一部には、めっき仕様や接合条件によっては亜鉛の薄い反応層が生じる場合もあるが、接合強度への影響は少なく問題はない。
なお、接合面23aを有する上記サイドアウタ23については、表面に亜鉛がめっきされた亜鉛めっき鋼板が使用されている。当然ながら、他の鋼製パネルについても亜鉛めっき鋼板を使用することができる。
このとき、接合フランジ25aの端部の溶融を防止するために、接合フランジ25aの端部には、レーザビームBが照射されない部分ができるようにレーザビームBの照射位置を調整する。
そのため、このようなリベット締結構造では、リベットRを打ち込む際には、車室内からの押え(図中の矢印T方向)が必要となるため、接合フランジ55の設定位置の設計自由度が低くなると共に、フランジ幅W0がリベットRの直径以上に広くなり、外観デザインが劣ることになる。
また、本接合方法では、構造上車体の外側となるルーフパネル25の側からのレーザビーム照射によって、接合が可能であるため、接合構造が単純であり、継手自由度が高い。
図3に示すように、板厚0.55mmの亜鉛めっき鋼板1(第1の板材、亜鉛めっき厚さ:約20μm)の上に、板厚1.0mmの6000系アルミニウム合金板材2(第2の板材)を重ね、アルミニウム合金板材2の側から、Nd:YAGレーザを照射した。
このとき、レーザビームBは、図1に示しているように進行方向前方から斜めに照射している関係上、デフォーカスビームの形状は上記のような楕円形となるが、ビーム径Dとしては、図3に示す幅方向の径を意味することから、D=4mmということになる。
図8は、上記によって得られた接合部の代表例として試験No.3の断面マクロ写真を示すものであって、金属間化合物層の平均厚さについては、写真中に示すように、接合部の中央部(B部)一箇所と、接合部の左右端部(A及びC部)2箇所の計3箇所について、SEM写真撮影を行い、SEM写真上の代表的な位置で5点の厚さを計測して、そのSEM写真観察範囲での金属間化合物層厚さの平均値を計算後、さらに各SEM写真3点の平均を採ることによって求めた。
なお、接合時における界面の最高到達温度については、ビームBの移動委速度が1.2m/minの場合(例えば、No.3)には、約400℃であったが、これ以外の場合についても、接合界面においてアルミニウム合金板材の溶融は認められず、いずれもアルミニウム合金の融点には達していないことが確認された。
板厚1.0mmの6000系アルミニウム合金板材2(第2の板材)の上に、板厚0.55mmの亜鉛めっき鋼板1(第1の板材、亜鉛めっき厚さ:約20μm)を重ね、鋼板1の側から、種々の条件でレーザビームBを照射することによって、上記試験1と同様の異材重ね接合を行った。その結果を接合条件と共に表2に示す。
なお、レーザビームBを鋼板側から照射した場合には、移動速度を遅くしたこともあって、接合界面の最高到達温度が高くなる傾向が認められたが、この場合も接合界面におけるアルミニウム合金板材の溶融はなく、いずれもアルミニウム合金の融点には達していないことが確認された。
1p 亜鉛めっき層
2 アルミニウム合金板材(第2の材料)
4 金属間化合物層
B レーザビーム(高エネルギービーム)
Claims (8)
- 鉄系合金から成る第1の板材とアルミニウム系合金から成る第2の板材とを重ね接合して得られる接合構造であって、両板材が接合界面に生成された金属間化合物層を介して接合されており、当該金属間化合物層の平均厚さが0.8〜5μmであることを特徴とする異種金属の接合構造。
- 第1の板材に重ねた第2の板材の端部が未溶融であることを特徴とする請求項1に記載の異種金属の接合構造。
- 鉄系合金から成る第1の板材とアルミニウム系合金から成る第2の板材を重ね合わせ、接合界面に生成される金属間化合物層を介して両板材を重ね接合するに際して、
デフォーカスさせた高エネルギービームを第2の板材の重ね合わせ部に照射しつつ、重ね合わせ部を相対的に加圧し、上記金属間化合物層を0.8〜5μmの厚さに形成することを特徴とする異種金属の接合方法。 - 接合界面を第2の板材の融点未満に加熱することを特徴とする請求項3に記載の異種材料の接合方法。
- 第1の板材に重ねた第2の板材の端縁からデフォーカスさせた高エネルギービームの照射中心までの距離が高エネルギービームのデフォーカス径の2分の1以上であることを特徴とする請求項3又は4に記載の異種材料の接合方法。
- 第1の板材に重ねた第2の板材の端部を冷却しながら高エネルギービームを照射することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つの項に記載の異種材料の接合方法。
- 第1の板材がアルミニウムと共晶反応を生じる金属から成るめっき層を備え、接合界面に共晶溶融を生じさせて接合することを特徴とする請求項3〜6のいずれか1つの項に記載の異種材料の接合方法。
- 第1の板材が亜鉛めっき鋼板であることを特徴とする請求項7に記載の異種材料の接合方法。
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