JP6792248B2 - エネルギー貯蔵デバイス用集電体、エネルギー貯蔵デバイス用電極及びエネルギー貯蔵デバイス - Google Patents

エネルギー貯蔵デバイス用集電体、エネルギー貯蔵デバイス用電極及びエネルギー貯蔵デバイス Download PDF

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Description

本発明は、エネルギー貯蔵デバイス用集電体、エネルギー貯蔵デバイス用電極及びエネルギー貯蔵デバイスに関し、更に詳述すると、リチウムイオン二次電池に代表される二次電池やキャパシタ用の集電体、該集電体を備える電極、及び該電極を備えるエネルギー貯蔵デバイスに関する。
スマートフォン、デジタルカメラ、携帯ゲーム機等の携帯電子機器の小型軽量化や高機能化の要求に伴い、近年、高性能電池の開発が積極的に進められており、充電により繰り返し使用できる二次電池の需要が大きく伸びている。中でも、リチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度、高電圧を有し、また、充放電時におけるメモリー効果が無いこと等から、現在最も精力的に開発が進められている二次電池である。また、近年の環境問題への取り組みから、電気自動車の開発も活発に進められており、その動力源としての二次電池には、より高い性能が求められるようになってきている。
ところで、リチウムイオン二次電池は、リチウムを吸蔵・放出できる正極と負極と、これらの間に介在するセパレータとを容器内に収容し、その中に電解液(リチウムイオンポリマー二次電池の場合は液状電解液のかわりにゲル状又は全固体型の電解質)を満たした構造を有する。
正極及び負極は、一般的に、リチウムを吸蔵・放出できる活物質と、主に炭素材料からなる導電材と、更にポリマーバインダーとを含む組成物を、銅箔やアルミニウム箔等の集電体上に層状に形成して作製される。前記バインダーは、活物質と導電材、更にこれらと金属箔を接着するために用いられ、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に可溶なフッ素系樹脂や、オレフィン系重合体の水分散体等が市販されている。
負極活物質としては炭素材料が広く用いられているが、近年では電池容量の更なる向上が求められていることから、ケイ素やスズといった、リチウムを吸蔵・放出する単体金属又はその化合物の研究開発が盛んに行われている。その中でもケイ素の理論容量(4,200mAh/g)は黒鉛の理論容量(372mAh/g)よりも格段に大きく、電池容量の大幅な向上が期待される。
ところが、負極活物質として前述したような高容量の活物質を用いると、電池容量が高くなる一方で、いくつかの問題が生じる。例えば、リチウムの吸蔵・放出による体積変化に伴う電極合材の体積変化により、電極合材と集電体間の接触抵抗が増大するという問題がある。更に、活物質や導電材の一部が集電体から剥離や脱落することによる電池容量の劣化が起こり、安全性等の観点で大きな問題となる。
前記問題を解決する試みとして、集電体と電極合材との間の密着性を向上させる手法がいくつか開発されている。例えば、特許文献1では、導電性粒子を含む導電層を接着層として、集電体と電極合材との間に配設する技術が開示されており、導電性接着層を備えた複合集電体を用いることで、電極合材の膨張収縮による応力を緩和することができ、集電体と電極合材との密着性を向上させることができることが示されている。
この例では、導電性粒子を導電性フィラーとして用いているが、導電性粒子は集電体に対する結着作用は有しないことから、マトリクスとなるポリマーを用いて接着層を作製しているため、当然ながら、その結着力はポリマーの含有量が大きくなるにつれて向上する。しかし、ポリマーの含有量が大きくなると、導電性粒子間の接触が減少するため、接着層の抵抗は急激に増加し、結果として電池全体の抵抗が増加するという問題があった。
集電体と電極合材との間の抵抗を上げることなく密着性を向上させる方法として、集電体を粗面化する手法が開発されている。例えば、特許文献2では、複数の貫通孔を有する銅箔を集電体として用いる技術が開示されており、集電体と電極合材との間のアンカー効果によって、密着性が向上できることが示されている。
しかし、金属箔に貫通孔等の凹部を形成し、密着性を向上させる手法では、貫通孔を形成させる際の金属微粉が残留し、結果的に密着性が低下する、作製した二次電池が短絡する等の問題が生じる可能性がある。更に、元の金属箔に比べて引っ張り強度等の機械的特性が低下するため、生産時や電池の長期使用時に集電体の破断の原因となる可能性がある等の問題があった。
金属素材に機械的損傷を与えることなく、表面に凹部を有する集電体を得る方法として、有機繊維からなる布を無電解めっき処理する手法が、特許文献3に開示されている。
通常、ファイバー素材表面を無電解めっき処理する場合、エッチング、コンディショニング、キャタライジング、アクセラレーティング等の各処理からなるめっき前処理が必要であるため、製造工程が煩雑であり、高コストである。また、化学的なエッチング処理を行う場合には、クロム酸やアルカリ金属水酸化物溶液等の薬品を用いるため、廃液処理が必要となる。
また、エレクトロスピニング法により作製したナノファイバーに導電性を付与する技術としては、例えば、該ナノファイバーにイオン照射を行って導電性を付与する方法(特許文献4)、エレクトロスピニング法により紡糸されたナイロン6ナノファイバーに無電解めっきを行う方法(非特許文献1)、導電性高分子であるポリピロールを用いて、エレクトロスピニング法によりナノファイバーを作製する方法(非特許文献2)、塩化パラジウムを樹脂に混合してエレクトロスピニング法により作製したナノファイバーに無電解ニッケルめっきを施した例(特許文献5)等が開示されている。更に、エレクトロスピニング法によりナノファイバーを作製後、該ナノファイバー表面をヨウ素処理して金属ヨウ化物コンポジット有機ナノファイバーとし、更に該金属ヨウ化物を金属体へ還元処理した後、無電解めっき処理を施す例等も開示されている(特許文献6)。
しかし、特許文献4の技術で得られる導電性ナノファイバーの表面抵抗は大きく、導電材料として使用するには電気伝導性が不十分である。また、非特許文献1の技術においては、ナノファイバー表面のエッチングを低温酸素プラズマ処理により行っており、このプラズマ処理装置は非常に高価である上、真空下で行うプラズマ処理はバッチ式であり、工業的な大量生産を考慮した場合に不向きである。更に、非特許文献2に開示されている導電性高分子の導電性は、金属の導電性と比較すると低く、やはり導電材料としては電気伝導性が不十分である。また、特許文献5の方法では、めっき液の種類やめっきする金属種によっては、めっきができないという問題がある。特許文献6の方法は、めっき前の工程が煩雑である。
このように、導電性微粒子や導電性高分子を用いた手法では、十分な導電性を確保することが難しく、触媒として錯体を用いた無電解めっき法では、還元処理等の活性化処理等が必要で操作が煩雑な上、めっき金属種やめっき液の種類によりめっきができないという課題があった。
特開2007−123141号公報 特開2000−294250号公報 特開2010−009971号公報 特開2009−138305号公報 特開2010−037592号公報 特開2011−236512号公報
J. Coat. Technol. Res., 5(3), 399-403 (2008) Polymer, 47, 1597-1603 (2006)
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、簡便な工程にて製造でき、長寿命なエネルギー貯蔵デバイスを与える、エネルギー貯蔵デバイス用集電体、該集電体を備える電極、及び該電極を備えるエネルギー貯蔵デバイスを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、アンモニウム基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーと金属微粒子とをマトリクスポリマーである熱可塑性樹脂と混合して静電紡糸し、更に無電解銅めっき処理することによって得られる導電性ナノファイバー集合体を、集電体として用いることで、エネルギー貯蔵デバイスの寿命を長寿命化できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記エネルギー貯蔵デバイス用集電体、エネルギー貯蔵デバイス用電極及びエネルギー貯蔵デバイスを提供する。
1.(a)熱可塑性樹脂、(b)アンモニウム基を分子末端に有し、重量平均分子量(Mw)が1,000〜5,000,000のハイパーブランチポリマー及び(c)金属微粒子を含む樹脂組成物をエレクトロスピニング法で紡糸してなるナノファイバー集合体を無電解銅めっき処理してなる導電性ナノファイバー集合体を備えるエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
2.(a)熱可塑性樹脂、(b)アンモニウム基を分子末端に有し、Mwが1,000〜5,000,000のハイパーブランチポリマー及び(c)金属微粒子を含んで構成される、平均直径が50〜2,000nmのナノファイバーの集合体と、その表面の一部又は全部に形成された銅めっき層と、を備える導電性ナノファイバー集合体を備えるエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
3.(c)金属微粒子に、(b)ハイパーブランチポリマーのアンモニウム基が付着して複合体を形成している1又は2のエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
4.(b)ハイパーブランチポリマーが、式[1]で表されるものである1〜3のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
Figure 0006792248
(式中、R1は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し;R2〜R4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数7〜20のアリールアルキル基(該アルキル基及びアリールアルキル基は、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アンモニウム基、カルボキシル基又はシアノ基で置換されていてもよい。)、又は−(CH2CH2O)m5(式中、R5は、水素原子又はメチル基を表し、mは、2〜100の整数を表す。)を表すか、R2〜R4のうちの2つの基が一緒になって、直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表すか、又はR2〜R4は、それらが結合する窒素原子と一緒になって環を形成してもよく;X-は、陰イオンを表し;nは、繰り返し単位構造の数であって、5〜100,000の整数を表し;A1は、式[2]で表される基を表す。)
Figure 0006792248
(式中、A2は、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、Y1〜Y4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、又はシアノ基を表す。)
5.(b)ハイパーブランチポリマーが、式[3]で表されるものである4のエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
Figure 0006792248
(式中、R1、R2〜R4及びnは、前記と同じ意味を表す。)
6.(c)金属微粒子が、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、スズ(Sn)、白金(Pt)及び金(Au)からなる群より選択される少なくとも一種の金属の微粒子である1〜5のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
7.(c)金属微粒子が、パラジウム微粒子である6のエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
8.(c)金属微粒子の平均粒径が、1〜100nmである1〜6のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
9.(a)熱可塑性樹脂が、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体である1〜7のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
10.前記導電性ナノファイバー集合体の体積抵抗値が、1×104Ω・cm以下である1〜9のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
11.前記導電性ナノファイバー集合体のみからなる1〜10のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
12.更に、導電性基材を備える1〜10のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
13.前記導電性基材が、銅又は銅を含む合金である12のエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
14.前記導電性ナノファイバー集合体が、前記導電性基材の片面又は両面に形成されている12又は13のエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
15.1〜14のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス用集電体を備えるエネルギー貯蔵デバイス用電極。
16.15のエネルギー貯蔵デバイス用電極を備えるエネルギー貯蔵デバイス。
17.(a)熱可塑性樹脂と、(b)アンモニウム基を分子末端に有し、Mwが1,000〜5,000,000のハイパーブランチポリマーと、(c)金属微粒子とを含む樹脂組成物をエレクトロスピニング法にて導電性基材の片面又は両面に付着させてナノファイバー集合体を含む積層体を作製する工程、及び
前記工程で得られた積層体を無電解銅めっき処理する工程
を含むエネルギー貯蔵デバイス用集電体の製造方法。
本発明によれば、電極合材と集電体との間の接触抵抗の増大や、金属微粉による短絡等を発生させることなく、長寿命のエネルギー貯蔵デバイスを作製することができる。
また、紡糸材料として特定のハイパーブランチポリマーと金属微粒子を配合した熱可塑性樹脂を用いて静電紡糸し、得られたナノファイバーを無電解銅めっき浴に浸すという簡便な工程にて、電気伝導性に優れる導電性ナノファイバーを備える集電体を容易に得ることができる。このため、従来の無電解めっき処理に必要とされた煩雑な前処理工程の必要性や、製造工程の複雑化、高コスト化といった問題に煩わされることがない。
製造例1で作製したHPS−Clの1H−NMRスペクトルである。 製造例2で作製したHPS−N(Me)2OctClの13C−NMRスペクトルである。 実施例1で作製した無電解銅めっき処理したナノファイバーマット表面のSEM画像である。 実施例1で作製した電極表面のSEM画像である。 実施例1、比較例1及び2で作製したリチウムイオン二次電池の放電容量のサイクル特性を示す図である。
[エネルギー貯蔵デバイス用集電体]
本発明のエネルギー貯蔵デバイス用集電体は、(a)熱可塑性樹脂、(b)アンモニウム基を分子末端に有し、Mwが1,000〜5,000,000のハイパーブランチポリマー及び(c)金属微粒子を含む樹脂組成物をエレクトロスピニング法で紡糸してなるナノファイバー集合体を無電解銅めっき処理してなる導電性ナノファイバー集合体を備えるものである。その構成としては、前記(a)〜(c)成分を含んで構成される、平均直径が50〜2,000nmのナノファイバーの集合体と、その表面の一部又は全部に形成された銅めっき層と、を備える導電性ナノファイバー集合体を備えるものである。
[樹脂組成物]
<(a)熱可塑性樹脂>
(a)熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF/HFP)等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン(PS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS)等のポリスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリウレタンエラストマー(PUE)等のポリウレタン樹脂;ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の(メタ)アクリル樹脂;ポリアクリロニトリル(PAN);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ乳酸(PLA)、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート/アジペート等のポリエステル樹脂;ポリエチレンオキシド(PEO);ポリフェニレンエーテル樹脂;変性ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリスルホン樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;ポリグルコール酸;変性でんぷん;酢酸セルロース、三酢酸セルロース;キチン、キトサン;リグニン等が挙げられる。中でも、(a)熱可塑性樹脂として、PVDF、PVDF/HFP、ポリウレタン樹脂等を用いることが好ましい。
<(b)ハイパーブランチポリマー>
(b)ハイパーブランチポリマーは、アンモニウム基を分子末端に有し、かつMwが1,000〜5,000,000であるポリマーであり、具体的には下記式[1]で表されるものが挙げられる。
Figure 0006792248
式[1]中、R1は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。R2〜R4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数7〜20のアリールアルキル基(該アルキル基及びアリールアルキル基は、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アンモニウム基、カルボキシル基又はシアノ基で置換されていてもよい。)、又は−(CH2CH2O)m5(式中、R5は、水素原子又はメチル基を表し、mは、2〜100の整数を表す。)を表すか、R2〜R4のうちの2つの基が一緒になって、直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表すか、又はR2〜R4はそれらが結合する窒素原子と一緒になって環を形成してもよい。X-は、陰イオンを表す。nは、繰り返し単位構造の数であって、5〜100,000の整数を表す。
2〜R4で表される炭素数1〜20の直鎖状アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等が挙げられる。中でも、本発明で用いる製造方法において、後述するめっき工程において紡糸材料として使用する樹脂組成物中の(b)ハイパーブランチポリマーが、無電解銅めっき液に溶出しにくい点で、炭素数8以上の基が好ましく、特にn−オクチル基が好ましい。分岐状アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。環状アルキル基としては、シクロペンチル環、シクロヘキシル環構造を有する基等が挙げられる。炭素数7〜20のアリールアルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
2〜R4のうちの2つの基が一緒になって形成される直鎖状アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。分岐状アルキレン基としては、プロピレン基、イソブチレン基、2−メチルプロピレン基等が挙げられる。環状アルキレン基としては、炭素数3〜30の単環式、多環式、架橋環式の環状構造の脂環式脂肪族基が挙げられる。具体的には、炭素数4以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ、ペンタシクロ構造等を有する基が挙げられる。これらアルキレン基は、基中に窒素原子、硫黄原子又は酸素原子を含んでいてもよい。
また、R2〜R4がこれらと結合する窒素原子と一緒になって形成される環は、環中に窒素原子、硫黄原子又は酸素原子を含んでいてもよく、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、キノリン環、ビピリジル環等が挙げられる。
これらR2〜R4の組合せとしては、例えば、[メチル基、メチル基、メチル基]、[メチル基、メチル基、エチル基]、[メチル基、メチル基、n−ブチル基]、[メチル基、メチル基、n−ヘキシル基]、[メチル基、メチル基、n−オクチル基]、[メチル基、メチル基、n−デシル基]、[メチル基、メチル基、n−ドデシル基]、[メチル基、メチル基、n−テトラデシル基]、[メチル基、メチル基、n−ヘキサデシル基]、[メチル基、メチル基、n−オクタデシル基]、[エチル基、エチル基、エチル基]、[n−ブチル基、n−ブチル基、n−ブチル基]、[n−ヘキシル基、n−ヘキシル基、n−ヘキシル基]、[n−オクチル基、n−オクチル基、n−オクチル基]等が挙げられ、中でも[メチル基、メチル基、n−オクチル基]、[n−オクチル基、n−オクチル基、n−オクチル基]の組合せが好ましい。
-で表される陰イオンとして好ましくは、ハロゲン化物イオン、PF6 -、BF4 -又はパーフルオロアルカンスルホナートが挙げられる。
式[1]中、A1は、下記式[2]で表される基を表す。
Figure 0006792248
式[2]中、A2は、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表す。Y1〜Y4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、又はシアノ基を表す。
2で表される直鎖状アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン、ヘキサメチレン基等が挙げられる。分岐状アルキレン基としては、プロピレン基、イソブチレン基、2−メチルプロピレン基等が挙げられる。また、環状アルキレン基としては、炭素数3〜30の単環式、多環式及び架橋環式の環状構造の脂環式脂肪族基が挙げられる。具体的には、炭素数4以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ、ペンタシクロ構造等を有する基が挙げられる。例えば、下記式(a)〜(s)で表される脂環式部分を含む脂環式脂肪族基が挙げられる。
Figure 0006792248
式[2]中、Y1〜Y4で表される炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、n−ペンチル基等が挙げられる。炭素数1〜20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ペンチルオキシ基等が挙げられる。Y1〜Y4としては、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。
なお、A1は、下記式[4]で表される基であることが好ましい。
Figure 0006792248
好ましくは、本発明で用いられるハイパーブランチポリマーとしては、下記式[3]で表されるものが挙げられる。
Figure 0006792248
(式[3]中、R1、R2〜R4及びnは、前記と同じ意味を表す。)
(b)ハイパーブランチポリマーは、例えば、分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーにアミン化合物を反応させることによって得ることができる。なお、分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーは、国際公開第2008/029688号の記載に従い、ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーより製造することができる。該ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーは、市販品を用いることができ、日産化学工業(株)製のハイパーテック(登録商標)HPS-200等を好適に使用可能である。
前記アミン化合物の使用量は、分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーのハロゲン原子1モルに対し、0.1〜20モル、好ましくは0.5〜10モル、より好ましくは1〜5モルであればよい。
本反応で使用できるアミン化合物は、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンのいずれでもよい。第一級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−ノナデシルアミン、n−エイコシルアミン等の脂肪族アミン;シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂環式アミン;ベンジルアミン、フェネチルアミン等のアラルキルアミン;アニリン、p−n−ブチルアニリン、p−tert−ブチルアニリン、p−n−オクチルアニリン、p−n−デシルアニリン、p−n−ドデシルアニリン、p−n−テトラデシルアニリン等のアニリン類、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン等のナフチルアミン類、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン等のアミノアントラセン類、1−アミノアントラキノン等のアミノアントラキノン類、4−アミノビフェニル、2−アミノビフェニル等のアミノビフェニル類、2−アミノフルオレン、1−アミノ−9−フルオレノン、4−アミノ−9−フルオレノン等のアミノフルオレン類、5−アミノインダン等のアミノインダン類、5−アミノイソキノリン等のアミノイソキノリン類、9−アミノフェナントレン等のアミノフェナントレン類等の芳香族アミンが挙げられる。更に、N−(tert−ブトキシカルボニル)−1,2−エチレンジアミン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−1,3−プロピレンジアミン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−1,4−ブチレンジアミン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−1,5−ペンタメチレンジアミン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N−(3−ヒドロキシプロピル)アミン、N−(2−メトキシエチル)アミン、N−(2−エトキシエチル)アミン等が挙げられる。
第二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、エチルメチルアミン、メチル−n−プロピルアミン、メチル−n−ブチルアミン、メチル−n−ペンチルアミン、メチル−n−オクチルアミン、メチル−n−デシルアミン、メチル−n−ドデシルアミン、メチル−n−テトラデシルアミン、メチル−n−ヘキサデシルアミン、メチル−n−オクタデシルアミン、エチルイソプロピルアミン、エチル−n−ブチルアミン、エチル−n−ペンチルアミン、エチル−n−オクチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ドデシルアミン、ジ−n−ヘキサデシルアミン、ジ−n−オクタデシルアミン等の脂肪族アミン;ジシクロヘキシルアミン等の脂環式アミン;ジベンジルアミン等のアラルキルアミン;ジフェニルアミン等の芳香族アミン;フタルイミド、ピロール、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾール等の窒素含有複素環式化合物が挙げられる。更に、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、ビス(3−ヒドロキシプロピル)アミン、ビス(2−エトキシエチル)アミン、ビス(2−プロポキシエチル)アミン等が挙げられる。
第三級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ドデシルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチル−n−ブチルアミン、ジメチル−n−ヘキシルアミン、ジメチル−n−オクチルアミン、ジメチル−n−デシルアミン、ジエチル−n−デシルアミン、ジメチル−n−ドデシルアミン、ジメチル−n−テトラデシルアミン、ジメチル−n−ヘキサデシルアミン、ジメチル−n−オクタデシルアミン、ジメチル−n−エイコシルアミン等の脂肪族アミン;ピリジン、ピラジン、ピリミジン、キノリン、1−メチルイミダゾール、4,4'−ビピリジル、4−メチル−4,4'−ビピリジル等の窒素含有複素環式化合物が挙げられる。
分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーとアミン化合物との反応は、水又は有機溶媒中で、塩基の存在下又は非存在下で行うことができる。使用する溶媒は、分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーとアミン化合物とを溶解可能なものが好ましい。更に、分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーとアミン化合物とを溶解可能であるが、分子末端にアンモニウム基を有するハイパーブランチポリマーを溶解しない溶媒であれば、単離が容易となり、更に好適である。
本反応で使用できる溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであればよく、水;2−プロパノール等のアルコール類;酢酸等の有機酸類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン類;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化物;n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、NMP等のアミド類が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。また、溶媒の使用量は、分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーの質量に対し、0.2〜1,000倍質量、好ましくは1〜500倍質量、より好ましくは5〜100倍質量、最も好ましくは5〜50倍質量である。
好適な塩基としては、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム)、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物(例えば、酸化リチウム、酸化カルシウム)、アルカリ金属水素化物及びアルカリ土類金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム)、アルカリ金属アミド(例えば、ナトリウムアミド)、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩(例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム)、アルカリ金属重炭酸塩(例えば、重炭酸ナトリウム)等の無機化合物、並びにアルカリ金属アルキル、アルキルマグネシウムハロゲン化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシド、ジメトキシマグネシウム等の有機金属化合物等が挙げられ、特に好ましくは、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムである。また、塩基の使用量は、分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーのハロゲン原子1モルに対し、0.2〜10モル、好ましくは0.5〜10モル、最も好ましくは1〜5モルの塩基を使用することが好ましい。
この反応では、反応開始前に反応系内の酸素を十分に除去することが好ましく、窒素、アルゴン等の不活性気体で系内を置換するとよい。反応条件としては、反応時間は0.01〜100時間、反応温度は0〜300℃から、適宜選択される。好ましくは反応時間が0.1〜72時間で、反応温度が20〜150℃である。
第三級アミンを用いた場合、塩基の存在/非存在に関わらず、式[1]で表されるハイパーブランチポリマーを得ることができる。
塩基の非存在下で、第一級アミン又は第二級アミン化合物と分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーとを反応させた場合、それぞれに対応するハイパーブランチポリマーの末端第二級アミン及び第三級アミンがプロトン化されたアンモニウム基末端のハイパーブランチポリマーが得られる。また、塩基を用いて反応を行った場合においても、有機溶媒中で塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等の酸の水溶液と混合することにより、対応するハイパーブランチポリマーの末端第二級アミン及び第三級アミンがプロトン化されたアンモニウム基末端のハイパーブランチポリマーが得られる。
(b)ハイパーブランチポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で測定されるMwが、1,000〜5,000,000であり、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは2,000〜200,000であり、最も好ましくは3,000〜100,000である。また、分散度(Mw/Mn)は、1.0〜7.0であり、好ましくは1.1〜6.0であり、より好ましくは1.2〜5.0である。
<(c)金属微粒子>
(c)金属微粒子としては特に限定されず、金属種としては鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、スズ(Sn)、白金(Pt)、金(Au)等が挙げられ、これらの金属の1種類でもよいし、2種以上の合金でもよい。中でも好ましい金属微粒子としては、パラジウム微粒子が挙げられる。なお、金属微粒子として、前記金属の酸化物を用いてもよい。
(c)金属微粒子は、例えば、金属塩の水溶液を高圧水銀灯により光照射する方法や、金属塩水溶液に還元作用を有する化合物(還元剤)を添加する方法等により、金属イオンを還元することによって得られる。
前記金属塩としては、塩化金酸、硝酸銀、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、塩化スズ、塩化第一白金、塩化白金酸、Pt(dba)2(dba=ジベンジリデンアセトン)、Pt(cod)2(cod=1,5−シクロオクタジエン)、Pt(CH3)2(cod)、塩化パラジウム、酢酸パラジウム(Pd(OC(=O)CH3)2)、硝酸パラジウム、Pd2(dba)3・CHCl3、Pd(dba)2、塩化ロジウム、酢酸ロジウム、塩化ルテニウム、酢酸ルテニウム、Ru(cod)(cot)(cot=シクロオクタトリエン)、塩化イリジウム、酢酸イリジウム、Ni(cod)2等が挙げられる。
前記還元剤としては、特に限定されず、種々の還元剤を用いることができ、後に得られる樹脂組成物(すなわち、ナノファイバー)に含有させる金属種等により還元剤を選択することが好ましい。用いることができる還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等の水素化ホウ素金属塩;水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムカリウム、水素化アルミニウムセシウム、水素化アルミニウムベリリウム、水素化アルミニウムマグネシウム、水素化アルミニウムカルシウム等の水素化アルミニウム塩;ヒドラジン化合物;クエン酸及びその塩;コハク酸及びその塩;アスコルビン酸及びその塩;メタノール、エタノール、2−プロパノール、ポリオール等の第一級又は第二級アルコール類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等の第三級アミン類;ヒドロキシルアミン;トリ−n−プロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリエトキシホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(DPPE)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(DPPP)、1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(DPPF)、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル(BINAP)等のホスフィン類等が挙げられる。
(c)金属微粒子の平均粒径は、1〜100nmが好ましく、1〜75nmがより好ましく、1〜30nmがより一層好ましい。(c)金属微粒子の平均粒径が100nmを超えると、表面積が減少し触媒活性が低下することがある。
(b)ハイパーブランチポリマーの使用量は、(c)金属微粒子100質量部に対し、50〜2,000質量部が好ましい。50質量部未満であると、前記金属微粒子の分散性が不充分であり、2,000質量部を超えると、有機物含有量が多くなり、物性等に不具合が生じやすくなる。より好ましくは、100〜1,000質量部である。
本発明で用いる樹脂組成物においては、(b)ハイパーブランチポリマーと(c)金属微粒子とが複合体を形成していることが好ましい。ここで複合体とは、(b)ハイパーブランチポリマーの末端のアンモニウム基の作用により、金属微粒子に接触又は近接した状態で両者が共存し、粒子状の形態をなすものであり、言い換えると、(b)ハイパーブランチポリマーのアンモニウム基が金属微粒子に付着又は配位した構造を有する複合体であると表現される。なお、本発明における「複合体」には、前述のように金属微粒子とハイパーブランチポリマーが付着又は配位等により結合しているものだけでなく、金属微粒子とハイパーブランチポリマーが結合することなく、両者が近接しつつもそれぞれ独立して存在しているものが含まれていてもよい。
(b)ハイパーブランチポリマーと(c)金属微粒子との複合体の形成は、ハイパーブランチポリマーと金属微粒子とを予め複合化させてもよいし、本発明の製造方法で使用する樹脂組成物の調製時に同時に実施しても構わない。その方法としては、低級アンモニウム配位子によりある程度安定化した金属微粒子を合成した後にハイパーブランチポリマーにより配位子を交換する方法や、ハイパーブランチポリマーの溶液中で、金属イオンを直接還元することにより複合体を形成する方法がある。
配位子交換法において、原料となる低級アンモニウム配位子によりある程度安定化した金属微粒子は、Jounal of Organometallic Chemistry 1996, 520, 143-162等に記載の方法で合成することができる。得られた金属微粒子の反応混合溶液に、ハイパーブランチポリマーを溶解し、室温(およそ25℃)又は加熱攪拌することにより目的とする金属微粒子複合体を得ることができる。
使用する溶媒としては、金属微粒子とハイパーブランチポリマーとを必要濃度以上に溶解できる溶媒であれば特に限定されないが、具体的には、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;THF、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類等、及びこれらの溶媒の混合溶媒が挙げられ、好ましくは、テトラヒドロフランが挙げられる。
金属微粒子の反応混合液と、ハイパーブランチポリマーを混合する温度は、通常0℃〜溶媒の沸点の範囲を使用することができ、好ましくは、室温(およそ25℃)〜60℃の範囲である。
なお、配位子交換法において、アミン系分散剤(低級アンモニウム配位子)以外にホスフィン系分散剤(ホスフィン配位子)を用いることによっても、あらかじめ金属微粒子をある程度安定化することができる。
直接還元方法としては、金属イオン及びハイパーブランチポリマーを溶媒に溶解し、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ポリオール等の第一級又は第二級アルコール類で還元させることにより、目的とする金属微粒子複合体を得ることができる。
ここで用いられる金属イオン源としては、前述の金属塩が使用できる。
使用する溶媒としては、金属イオンとハイパーブランチポリマーとを必要濃度以上に溶解できる溶媒であれば特に限定されないが、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;THF、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類;DMF、NMP等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等、及びこれらの溶媒の混合溶媒が挙げられ、好ましくは、アルコール類、ハロゲン化炭化水素類、環状エーテル類が挙げられ、より好ましくは、エタノール、2−プロパノール、クロロホルム、THF等が挙げられる。
還元反応の温度は、通常0℃〜溶媒の沸点の範囲を使用することができ、好ましくは、室温(およそ25℃)〜60℃の範囲である。
他の直接還元方法としては、金属イオンとハイパーブランチポリマーを溶媒に溶解し、水素ガス雰囲気下で反応させることにより、目的とする金属微粒子複合体を得ることができる。
ここで用いられる金属イオン源としては、前述の金属塩や、ヘキサカルボニルクロム(Cr(CO)6)、ペンタカルボニル鉄(Fe(CO)5)、オクタカルボニルジコバルト(Co2(CO)8)、テトラカルボニルニッケル(Ni(CO)4)等の金属カルボニル錯体が使用できる。また金属オレフィン錯体や金属ホスフィン錯体、金属窒素錯体等の0価の金属錯体も使用できる。
使用する溶媒としては、金属イオンとハイパーブランチポリマーとを必要濃度以上に溶解できる溶媒であれば特に限定されないが、具体的には、エタノール、1−プロパノール等のアルコール類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;THF、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類等、及びこれらの溶媒の混合溶媒が挙げられ、好ましくは、THFが挙げられる。
金属イオンとハイパーブランチポリマーとを混合する温度は、通常0℃〜溶媒の沸点の範囲を使用することができる。
また、直接還元方法として、金属イオンとハイパーブランチポリマーとを溶媒に溶解し、熱分解反応させることにより、目的とする金属微粒子複合体を得ることができる。
ここで用いられる金属イオン源としては、前述の金属塩や金属カルボニル錯体やその他の0価の金属錯体、酸化銀等の金属酸化物が使用できる。
使用する溶媒としては、金属イオンとハイパーブランチポリマーとを必要濃度以上に溶解できる溶媒であれば特に限定されないが、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール等のアルコール類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;THF、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等、及びこれらの溶媒の混合溶媒が挙げられ、好ましくはトルエンが挙げられる。
金属イオンとハイパーブランチポリマーとを混合する温度は、通常0℃〜溶媒の沸点の範囲を使用することができ、好ましくは溶媒の沸点近傍、例えばトルエンの場合は110℃(加熱還流)である。
こうして得られるハイパーブランチポリマーと金属微粒子との複合体は、再沈殿等の精製処理を経て、粉末等の固形物の形態とすることができる。
本発明で用いる樹脂組成物中の(a)熱可塑性樹脂に対する(b)ハイパーブランチポリマー及び(c)金属微粒子の使用量は、ハイパーブランチポリマーと金属微粒子とから形成された複合体として、熱可塑性樹脂100質量部に対し、好ましくは0.1〜20質量部であり、特に1〜10質量部であることが好ましい。
前記樹脂組成物には、熱可塑性樹脂と共に一般に添加される添加剤、例えば、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、溶融弾性改質剤、加工助剤、架橋剤、補強剤、難燃剤、消泡剤、分散剤、光拡散剤、顔料、染料、蛍光染料等を併用してもよい。
[導電性ナノファイバーの製造方法]
<紡糸工程>
本発明の導電性ナノファイバーの製造方法における紡糸工程は、(a)熱可塑性樹脂、(b)ハイパーブランチポリマー及び(c)金属微粒子を含む樹脂組成物を紡糸材料として、エレクトロスピニング法に従い、ナノファイバーを作製する工程である。実際には、前記樹脂組成物を溶媒に溶解又は分散してワニスの形態とし、これを静電紡糸して集合体(不織布)状のナノファイバーを作製する工程である。
紡糸時に使用される前記溶媒としては、熱可塑性樹脂、ハイパーブランチポリマー及び金属微粒子を溶解・分散することができるものであればよく、例えば、アセトン、MEK、MIBK、クロロホルム、THF、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレン、DMF、N,N−ジメチルアセトアミド、NMP、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ブチルセロソルブ、エタノール、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、γ−ブチロラクトン、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられる。これら溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
また、前記溶媒に溶解又は分散させる濃度は任意であるが、熱可塑性樹脂、ハイパーブランチポリマー及び金属微粒子と溶媒の総質量(合計質量)に対し、熱可塑性樹脂、ハイパーブランチポリマー及び金属微粒子の濃度(固形分濃度とも称する)は1〜50質量%であり、好ましくは10〜40質量%であり、より好ましくは20〜30質量%である。
エレクトロスピニング法には、市販のエレクトロスピニング装置を用いることができる。紡糸条件は適宜選択され、例えば、ノズルの長さ:3〜5cm、紡糸距離(電極−コレクター間距離):5〜30cm、紡糸量:0.1〜5.0mL/時間、電極間の印加電圧:5〜40kVである。
このようにして得られるナノファイバーは、好ましくは平均直径が50〜2,000nmであり、より好ましくは100〜1,000nmである。
<銅めっき工程>
この工程は、前述の紡糸工程で作製したナノファイバーを無電解銅めっき処理する工程である。なお前述の紡糸工程にて作製されたナノファイバーは、繊維表面部(界面)に前記ハイパーブランチポリマー及び金属微粒子(これらから形成された複合体)が存在した状態にある。このため、エッチング、コンディショニング、キャタライジング、アクセラレーティングといった各処理からなるめっき前処理を必要とすることなく、エレクトロスピニング法によって得られたナノファイバーをそのまま無電解銅めっき処理に供することができる。
無電解銅めっき方法としては、例えば、従来一般に知られている無電解銅めっき液を用い、前述の紡糸工程で得られたナノファイバーを該めっき液(浴)に浸漬する方法が一般的である。
前記無電解銅めっき液は、主として銅イオン(銅塩)、錯化剤、還元剤を主に含有し、その他用途に合わせてpH調整剤、pH緩衝剤、反応促進剤(第二錯化剤)、安定剤、界面活性剤(めっき膜への光沢付与用途、被処理面の濡れ性改善用途等)等が適宜含まれてなる。前記錯化剤、還元剤は、適宜選択すればよい。
また無電解銅めっき液としては、市販の銅めっき液を使用でき、例えば、メルテックス(株)製の無電解銅めっき薬品(メルプレート(登録商標)CUシリーズ);無電解銅めっき液(OPC-700無電解銅M-K、ATSアドカッパーIW);ダウケミカル社製の無電解銅めっき液(キューポジット(登録商標)カッパーミックスシリーズ、サーキュポジット(登録商標)シリーズ);上村工業(株)製の無電解銅めっき液(スルカップ(登録商標)ELC-SP、PSY、PCY、PGT、PSR、PEA);アトテックジャパン(株)製の無電解銅めっき液(プリントガント(登録商標)PV)等を好適に用いることができる。
前記無電解銅めっき工程において、めっき浴の温度、pH、浸漬時間、銅イオン濃度、攪拌の有無や攪拌速度、空気・酸素の供給の有無や供給速度等を調節することにより、銅被膜の形成速度や膜厚を制御することができる。
このようにして、(a)熱可塑性樹脂、(b)アンモニウム基を分子末端に有し、Mwが1,000〜5,000,000のハイパーブランチポリマー及び(c)金属微粒子を含んで構成される、平均直径が50〜2,000nmのナノファイバーの集合体と、その表面の一部又は全部に形成された銅めっき層と、を備える導電性ナノファイバー集合体が得られる。
前記銅めっき層の膜厚は特に限定されないが、一般に10〜500nm程度、例えば30〜300nmとすることができる。
前記導電性ナノファイバー集合体は、体積抵抗値が好ましくは1×104Ω・cm以下であり、1×102Ω・cm以下であることが好ましい。
本発明のエネルギー貯蔵デバイス用集電体は、前記導電性ナノファイバー集合体のみからなるものでもよいが、更に、導電性基材を備えるものでもよい。
前記導電性基材としては、特に限定されず、一般にエネルギー貯蔵デバイス用集電体として用いられているものが好ましい。例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、金、銀及びそれらの合金や、カーボン材料、金属酸化物、導電性高分子等の薄膜を用いることができるが、前記導電性ナノファイバー集合体との親和性を高めるという観点で、銅又は銅を含む合金からなる金属箔を用いることが好ましい。
本発明のエネルギー貯蔵デバイス用集電体が導電性基材を備える場合は、前記導電性ナノファイバー集合体を、前記導電性基材の片面又は両面に備えることが好ましい。
導電性基材上に導電性ナノファイバー集合体を積層する方法としては、前記導電性ナノファイバー集合体と、導電性基材とを積層可能な任意の方法を採用できる。例えば、(1)前記導電性ナノファイバー集合体と導電性基材とを単に(接着等せずに)重ねる方法、(2)前記導電性ナノファイバー集合体と導電性基材とを導電性結着剤や導電性接着剤で接着して積層する方法、(3)導電性基材をコレクターとし、この上にエレクトロスピニング法にてナノファイバー集合体を付着させて積層体を作製した後、この積層体に対して無電解銅めっき処理をする方法等が挙げられる。
前記(3)の手法として、より具体的には、前述した(a)熱可塑性樹脂、(b)アンモニウム基を分子末端に有し、Mwが1,000〜5,000,000のハイパーブランチポリマー及び(c)金属微粒子を含む樹脂組成物を、エレクトロスピニング法にて、導電性基材の片面又は両面にナノファイバー集合体として積層した後、得られた積層体を無電解銅めっき処理する方法が挙げられる。
本発明のエネルギー貯蔵デバイス用集電体の厚みは、特に限定されないが、本発明においては、1〜100μmが好ましい。この場合、前記エネルギー貯蔵デバイス用集電体が前記導電性ナノファイバー集合体及び導電性基材を備える場合は、前記導電性ナノファイバー集合体の厚みは、0.3〜70μmが好ましく、前記導電性基材の厚みは、0.7〜30μmが好ましい。
[エネルギー貯蔵デバイス用電極]
本発明のエネルギー貯蔵デバイス用電極は、前記導電性ナノファイバー集合体を備えるエネルギー貯蔵デバイス用集電体上に、活物質及び溶媒、並びに必要に応じて、電極層の導電性向上のために炭素等からなる導電助剤、バインダー等を含む電極スラリーを塗布して薄膜を形成することで作製することができる。
前記電極スラリーから得られる薄膜の厚みは、特に限定されないが、1〜100μmが好ましい。
前記電極スラリーの塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ディップコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、スリットコート法、ロールコート法、フレキソ印刷法、転写印刷法、刷毛塗り、ブレードコート法、エアーナイフコート法等が挙げられるが、作業効率等の点から、インクジェット法、キャスティング法、ディップコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法が好適である。
前記電極スラリーの塗布後、これを自然又は加熱乾燥して薄膜を形成することができる。加熱乾燥する場合の温度は任意であるが、50〜200℃程度が好ましく、80〜150℃程度がより好ましい。
前記活物質としては、従来、エネルギー貯蔵デバイス用電極に用いられている各種活物質を用いることができる。例えば、リチウム二次電池やリチウムイオン二次電池の場合、正極活物質としては、リチウムイオンを吸着・離脱可能なカルコゲン化合物又はリチウムイオン含有カルコゲン化合物、ポリアニオン系化合物、硫黄単体及びその化合物等を用いることができる。
このようなリチウムイオンを吸着離脱可能なカルコゲン化合物としては、例えばFeS2、TiS2、MoS2、V26、V613、MnO2等が挙げられる。リチウムイオン含有カルコゲン化合物としては、例えばLiCoO2、LiMnO2、LiMn24、LiMo24、LiV38、LiNiO2、LixNiy1-y2(ただし、Mは、Co、Mn、Ti、Cr、V、Al、Sn、Pb及びZnから選ばれる少なくとも1種以上の金属元素を表し、0.05≦x≦1.10、0.5≦y≦1.0である。)等が挙げられる。ポリアニオン系化合物としては、例えばLiFePO4等が挙げられる。硫黄化合物としては、例えばLi2S、ルベアン酸等が挙げられる。
一方、負極活物質としては、アルカリ金属、アルカリ合金、リチウムイオンを吸蔵・放出する周期表4〜15族の元素から選ばれる少なくとも1種の単体、酸化物、硫化物、窒化物、又はリチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出可能な炭素材料を使用することができる。
アルカリ金属としては、Li、Na、K等が挙げられ、アルカリ金属合金としては、例えば金属Li、Li−Al、Li−Mg、Li−Al−Ni、Na、Na−Hg、Na−Zn等が挙げられる。リチウムイオンを吸蔵・放出する周期表4〜15族の元素から選ばれる元素の単体としては、例えば、ケイ素、スズ、アルミニウム、亜鉛、ヒ素等が挙げられる。酸化物としては、例えば、スズケイ素酸化物(SnSiO3)、リチウム酸化ビスマス(Li3BiO4)、リチウム酸化亜鉛(Li2ZnO2)、リチウム酸化チタン(Li4Ti512)等が挙げられる。硫化物としては、リチウム硫化鉄(LixFeS2(0≦x≦3))、リチウム硫化銅(LixCuS(0≦x≦3))等が挙げられる。窒化物としては、リチウム含有遷移金属窒化物が挙げられ、具体的には、LixyN(M=Co、Ni、Cu、0≦x≦3、0≦y≦0.5)、リチウム鉄窒化物(Li3FeN4)等が挙げられる。リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出可能な炭素材料としては、グラファイト、カーボンブラック、コークス、ガラス状炭素、炭素繊維、カーボンナノチューブ、又はこれらの焼結体等が挙げられる。
また、電気二重層キャパシタの場合、活物質として炭素質材料を用いることができる。前記炭素質材料としては、活性炭等が挙げられ、例えば、フェノール樹脂を炭化後、賦活処理して得られた活性炭が挙げられる。
バインダーとしては、公知の材料から適宜選択して用いることができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF/HFP)、フッ化ビニリデン−塩化3フッ化エチレン共重合体(PVDF/CTFE)、ポリビニルアルコール、ポリイミド、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアニリン等の導電性高分子等が挙げられる。なお、バインダーの使用量は、活物質100質量部に対し、0.1〜20質量部、特に1〜10質量部が好ましい。
溶媒は、バインダーの種類に応じて適宜選択すればよいが、PVDF等の非水溶性のバインダーの場合はNMPが好適であり、PAA等の水溶性のバインダーの場合は水が好適である。
なお、前記電極スラリーは、導電助剤を含んでいてもよい。導電助剤としては、例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、酸化チタン、酸化ルテニウム、アルミニウム、ニッケル等が挙げられる。
また電極は、必要に応じてプレスすることができる。プレス法は、一般に採用されている方法を用いることができるが、特に金型プレス法やロールプレス法が好ましい。ロールプレス法でのプレス圧は、特に限定されないが、0.2〜3ton/cmが好ましい。
[エネルギー貯蔵デバイス]
本発明のエネルギー貯蔵デバイスは、前述した電極を備えるものであり、より具体的には、少なくとも一対の正負極と、これら各極間に介在するセパレータと、電解質とを備えて構成され、正負極の少なくとも一方が、前述したエネルギー貯蔵デバイス用電極から構成される。
本発明のエネルギー貯蔵デバイスとしては、電気二重層キャパシタ、リチウム二次電池、リチウムイオン二次電池、プロトンポリマー電池、ニッケル水素電池、アルミ固体コンデンサ、電解コンデンサ、鉛蓄電池等の各種エネルギー貯蔵デバイスが挙げられるが、本発明のエネルギー貯蔵デバイス用電極は、特に、電気二重層キャパシタ、リチウムイオン二次電池の電極として好適である。
本発明のエネルギー貯蔵デバイスは、電極として前述したエネルギー貯蔵デバイス用電極を用いることにその特徴があるため、その他のデバイス構成部材であるセパレータや、電解質等は、公知の材料から適宜選択して用いることができる。
セパレータとしては、例えば、セルロース系セパレータ、ポリオレフィン系セパレータ等が挙げられる。電解質としては、液体、固体のいずれでもよく、また水系、非水系のいずれでもよいが、本発明のエネルギー貯蔵デバイス用電極は、非水系電解質を用いたデバイスに適用した場合にも実用上十分な性能を発揮させ得る。
非水系電解質としては、電解質塩を非水系有機溶媒に溶かしてなる非水系電解液が挙げられる。
電解質塩としては、4フッ化ホウ酸リチウム、6フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等のリチウム塩;テトラメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラエチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラプロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、メチルトリエチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムパークロレート等の第四級アンモニウム塩、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド等が挙げられる。
非水系有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート;ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等アミド類等が挙げられる。
以下、製造例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、実施例において、試料の調製及び物性の分析に用いた装置及び条件は、以下のとおりである。
(1)GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)
装置:東ソー(株)製HLC-8220GPC
カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)KF-804l + KF-803l
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:UV(254nm)、RI
(2)1H−NMRスペクトル
装置:日本電子(株)製JNM-L400
溶媒:CDCl3
内部標準:テトラメチルシラン(0.00ppm)
(3)13C−NMRスペクトル
装置:日本電子(株)製JNM-ECA700
溶媒:CDCl3
緩和試薬:トリスアセチルアセトナートクロム(Cr(acac)3
基準:CDCl3(77.0ppm)
(4)ICP発光分析(誘導結合プラズマ発光分析)
装置:(株)島津製作所製ICPM-8500
(5)透過型電子顕微鏡(TEM)画像
装置:(株)日立ハイテクノロジーズ製H-8000
(6)エレクトロスピニング
インフュージョンポンプ(シリンジポンプ):(有)メルクエスト製FP-1000
高圧電源:松定プレシジョン(株)製HR-40R0.75
(7)走査型電子顕微鏡(SEM)画像
装置:(株)キーエンス製3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE-9800
(8)ナノファイバーマットの厚み測定
装置:(株)ミツトヨ製マイクロメータMDQ-30
(9)体積抵抗値測定
装置:(株)三菱化学アナリテック製ロレスタ(登録商標)AX MCP-T370
(10)充放電測定装置(二次電池評価)
装置:東洋システム(株)製TOSCAT 3100
また、略号は以下のとおりである。
HPS:ハイパーブランチポリスチレン(日産化学工業(株)製ハイパーテック(登録商標)HPS-200)
IPA:2−プロパノール
IPE:ジイソプロピルエーテル
PVDF/HFP:フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(アルドリッチ社製 製品番号:427160、Mw(GPC):400,000、Mn:130,000)
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
[製造例1]HPS−Clの製造
Figure 0006792248
500mLの反応フラスコに、塩化スルフリル(キシダ化学(株)製)27g及びクロロホルム50gを仕込み、攪拌して均一に溶解させた。この溶液を窒素気流下0℃まで冷却した。
別の300mLの反応フラスコに、ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーHPS15g及びクロロホルム150gを仕込み、窒素気流下均一になるまで攪拌した。
前記0℃に冷却した塩化スルフリル/クロロホルム溶液中に、窒素気流下、HPS/クロロホルム溶液が仕込まれた前記300mLの反応フラスコから、送液ポンプを用いて、該溶液を反応液の温度が−5〜5℃となるように60分間かけて加えた。添加終了後、反応液の温度を−5〜5℃に保持しながら6時間攪拌した。
更にこの反応液へ、シクロヘキセン(東京化成工業(株)製)16gをクロロホルム50gに溶かした溶液を、反応液の温度が−5〜5℃となるように加えた。添加終了後、この反応液をIPA1,200gに添加してポリマーを沈殿させた。この沈殿をろ取して得られた白色粉末をクロロホルム100gに溶解し、これをIPA500gに添加してポリマーを再沈殿させた。この沈殿物を減圧ろ過し、真空乾燥して、塩素原子を分子末端に有するハイパーブランチポリマー(HPS−Cl)8.5gを白色粉末として得た(収率99%)。
得られたHPS−Clの1H−NMRスペクトルを図1に示す。ジチオカルバメート基由来のピーク(4.0ppm、3.7ppm)が消失していることから、得られたHPS−Clは、HPS分子末端のジチオカルバメート基がほぼ全て塩素原子に置換されていることが明らかとなった。また、得られたHPS−ClのGPCによるポリスチレン換算で測定されるMwは14,000、Mw/Mnは2.9であった。
[製造例2]HPS−N(Me)2OctClの製造
Figure 0006792248
凝縮器を設置した300mLの反応フラスコに、製造例1で製造したHPS−Cl 4.6g(30mmol)及びクロロホルム15gを仕込み、均一になるまで攪拌した。この溶液へ、ジメチルオクチルアミン(花王(株)製ファーミン(登録商標)DM0898)5.0g(31.5mmol)をクロロホルム7.5gに溶解させた溶液を加え、更にIPA7.5gを加えた。この混合物を、窒素雰囲気下65℃で40時間攪拌した。
液温30℃まで冷却後、溶媒を留去した。得られた残渣を、クロロホルム60gに溶解し、この溶液をIPE290gに添加して再沈精製した。析出したポリマーを減圧ろ過し、50℃で真空乾燥して、ジメチルオクチルアンモニウム基を分子末端に有するハイパーブランチポリマー(HPS−N(Me)2OctCl)9.3gを白色粉末として得た。
得られたHPS−N(Me)2OctClの13C−NMRスペクトルを図2に示す。ベンゼン環のピークと、オクチル基末端のメチル基のピークから、得られたHPS−N(Me)2OctClは、HPS−Cl分子末端の塩素原子がほぼ定量的にアンモニウム基に置換されていることが明らかとなった。また、HPS−ClのMw(14,000)及びアンモニウム基導入率(100%)から算出されるHPS−N(Me)2OctClのMwは、28,000となった。
[製造例3]Pd[HPS−N(Me)2OctCl]の製造
凝縮器を設置した300mLの反応フラスコに、酢酸パラジウム(川研ファインケミカル(株)製)2.1g及びクロロホルム20gを仕込み、均一になるまで攪拌した。この溶液へ、製造例2で製造したHPS−N(Me)2OctCl 9.0gをクロロホルム135gに溶解させた溶液を、滴下ロートを使用して加えた。この滴下ロート内を、エタノール45gを使用して前記反応フラスコへ洗い込んだ。この混合物を、60℃で8時間攪拌した。
液温30℃まで冷却後、この反応混合物を0℃のIPE2,000gに添加して再沈精製した。析出したポリマーを減圧ろ過し、60℃で真空乾燥して、アンモニウム基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーとPd粒子との複合体(Pd[HPS−N(Me)2OctCl])9.8gを黒色粉末として得た。
ICP発光分析の結果から、得られたPd[HPS−N(Me)2OctCl]のPd含有量は、10質量%であった。また、TEM画像から、そのPd粒子径は、およそ2〜4nmであった。
[参考例1]無電解銅めっき液の調製
500mLのフラスコに、イオン交換水210mL、スルカップ(登録商標)PSY-1A(上村工業(株)製)25mL、スルカップ(登録商標)PSY-1B(上村工業(株)製)10mL、及び37%ホルムアルデヒド水溶液(東京化成工業(株)製)をイオン交換水で2倍に希釈したもの5mLを順次仕込んだ。この溶液へ界面活性剤としてアデカ(登録商標)プルロニックL-34((株)ADEKA製)0.025gを加えて、無電解銅めっき液とした。
[実施例1]
PVDF/HFP100質量部、製造例3で製造したPd[HPS−N(Me)2OctCl]3質量部(Pdとして0.3質量部)、及びDMF400質量部を均一に混合し、樹脂組成物(紡糸材料)を調製した。
この組成物を、エレクトロスピニング装置を用いて、印加電圧19.5kV、紡糸距離20cm、紡糸量0.6mL/hとして紡糸し、マット状のナノファイバーの集合体(以下、ナノファイバーマットと称する。)を作製した。得られたナノファイバーマットをSEMで観察し、ナノファイバー径(平均直径)を算出したところ、0.27μmであった。ナノファイバー径は、異なる5箇所のSEM画像から無作為に選択した100本のナノファイバーの直径を計測し、その平均値とした。
次に、このナノファイバーマットを、無電解銅めっき液に33℃で90分浸漬した。その後、取り出したナノファイバーマットを水洗し、50℃で60分乾燥した。得られた無電解銅めっき処理したナノファイバーマットのナノファイバー径を、前述と同様に算出したところ、0.95μmであった。また、ナノファイバーマットの体積抵抗値を測定した結果、3.96×10-5Ω・cmであった。得られた無電解銅めっき処理したナノファイバーマットのSEM画像を図3に示す。なお、ナノファイバーマットの厚みは、60μmであった。
得られたナノファイバーマットを基材とし、リチウムイオン電池の電極を以下のようにして作製した。
活物質としてケイ素(Si)((株)高純度化学研究所製SIE23PB、24.0g)、バインダーとしてポリアクリル酸の水溶液(アルドリッチ社製、8質量%、25.5g)、増粘材としてナトリウムカルボキシメチルセルロース(NaCMC、アズワン(株)製、CMF-150、0.360g)、及び導電助剤としてアセチレンブラック(AB)(電気化学工業(株)製、デンカブラック、3.59g)を、ビーズミル(ジルコニアビーズ、φ0.5mm、2,000rpm、30分)にて混合し、電極スラリー(固形分濃度50質量%、Si:PAA:NaCMC:AB=80:6.8:1.2:12(質量比))を作製した。
得られた電極スラリーを、ドクターブレード法によりナノファイバーマット上に均一(ウェット膜厚25μm)に展開後、80℃で30分、次いで120℃で30分乾燥して導電性結着層上に活物質層を形成し、電極を作製した。得られた電極のSEM画像を図4に示す。図3と4の比較で明らかなように、電極に含まれるSiやABは、ナノファイバーマットに存在する空隙よりも小さく、一部内部に充填されていることがわかった。
電極中のケイ素の質量は、電極を直径10mmの円盤状に打ち抜き、得られた質量から、スラリーを塗布していない部分の基材を直径10mmの円盤状に打ち抜き、得られた質量を差し引き、更にケイ素の質量比を乗じることで算出した結果、1.93mgであった。
打ち抜いた電極を用い、リチウムイオン二次電池を以下のようにして作製した。
打ち抜いた電極を15時間100℃で真空乾燥し、アルゴンで満たされたグローブボックスに移した。
2032型のコインセル(宝泉(株)製)のワッシャーとスペーサーが溶接されたフタに、直径14mmに打ち抜いたリチウム箔(本荘ケミカル(株)製、厚み0.17mm)を6枚重ねたものを設置し、その上に、電解液(キシダ化学(株)製、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート(1:1、体積比)、電解質であるリチウムヘキサフルオロホスフェートを1mol/L含む)を24時間以上染み込ませた、直径16mmに打ち抜いたセパレータ(セルガード(株)製、2400)を一枚重ねた。更に上から、活物質を塗布した面を下にして電極を重ねた。電解液を1滴滴下したのち、ケースとガスケットを乗せて、コインセルかしめ機で密封した。その後24時間静置し、試験用の二次電池とした。
[比較例1]
リチウムイオン電池の基材として、ナノファイバーマットのかわりに厚み18μmの銅箔を使用し、ウェット膜厚50μmとした以外は、実施例1で用いた電極スラリーをそのまま用い、実施例1と同様の方法でリチウムイオン二次電池を作製した。電極中のケイ素の重量は、1.44mgであった。
[比較例2]
リチウムイオン電池の基材として、ナノファイバーマットのかわりに厚み18μmの銅箔を使用し、ウェット膜厚100μmとした以外は、実施例1で用いた電極スラリーをそのまま用い、実施例1と同様の方法でリチウムイオン二次電池を作製した。電極中のケイ素の重量は、3.10mgであった。
実施例1及び比較例1〜2で作製したリチウムイオン二次電池について、電極の負極としての物性を、下記の条件で評価した。放電容量のサイクル特性を図5に示す。
・電流:0.1C定電流充放電(1サイクル目のみ0.01Vでの定電流定電圧充電、Siの容量を4200mAh/gとした)
・カットオフ電圧:1.50V−0.01V
・充電容量:活物質の重量を基準とし、2,000mAh/gまで
・温度:室温
比較例1と2との比較から、電極に含まれるケイ素の量が増えると、サイクル特性が悪化する傾向があることがわかった。一方、実施例1と比較例1とを比較すると、実施例1では比較例1よりもケイ素の重量が大きいのにもかかわらず、サイクル特性が良好であった。このことは、図3と4との比較で示したように、電極中のケイ素やABがナノファイバーマット内に一部取り込まれ、アンカー効果によって基材と活物質層との間の結合力が強化されることで、ケイ素の充放電にともなう膨張収縮による活物質層の剥離が抑えられたためであると考えられる。

Claims (14)

  1. (a)熱可塑性樹脂、(b)アンモニウム基を分子末端に有し、重量平均分子量が1,000〜5,000,000のハイパーブランチポリマー及び(c)鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、スズ(Sn)、白金(Pt)及び金(Au)からなる群より選択される少なくとも一種の金属微粒子を含んで構成され、(c)金属微粒子に(b)ハイパーブランチポリマーのアンモニウム基が付着して複合体を形成している、平均直径が50〜2,000nmのナノファイバーの集合体と、その表面の一部又は全部に形成された銅めっき層と、を備える導電性ナノファイバー集合体を備えるエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
  2. (b)ハイパーブランチポリマーが、式[1]で表されるものである請求項記載のエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
    Figure 0006792248
    (式中、R1は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し;R2〜R4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数7〜20のアリールアルキル基(該アルキル基及びアリールアルキル基は、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アンモニウム基、カルボキシル基又はシアノ基で置換されていてもよい。)、又は−(CH2CH2O)m5(式中、R5は、水素原子又はメチル基を表し、mは、2〜100の整数を表す。)を表すか、R2〜R4のうちの2つの基が一緒になって、直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表すか、又はR2〜R4は、それらが結合する窒素原子と一緒になって環を形成してもよく;X-は、陰イオンを表し;nは、繰り返し単位構造の数であって、5〜100,000の整数を表し;A1は、式[2]で表される基を表す。)
    Figure 0006792248
    (式中、A2は、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、Y1〜Y4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、又はシアノ基を表す。)
  3. (b)ハイパーブランチポリマーが、式[3]で表されるものである請求項記載のエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
    Figure 0006792248
    (式中、R1、R2〜R4及びnは、前記と同じ意味を表す。)
  4. (c)金属微粒子が、パラジウム微粒子である請求項1〜3のいすれか1項記載のエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
  5. (c)金属微粒子の平均粒径が、1〜100nmである請求項1〜のいずれか1項記載のエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
  6. (a)熱可塑性樹脂が、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体である請求項1〜5のいずれか1項記載のエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
  7. 前記導電性ナノファイバー集合体の体積抵抗値が、1×104Ω・cm以下である請求項1〜のいずれか1項記載のエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
  8. 前記導電性ナノファイバー集合体のみからなる請求項1〜のいずれか1項記載のエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
  9. 更に、導電性基材を備える請求項1〜のいずれか1項記載のエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
  10. 前記導電性基材が、銅又は銅を含む合金である請求項記載のエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
  11. 前記導電性ナノファイバー集合体が、前記導電性基材の片面又は両面に形成されている請求項又は1記載のエネルギー貯蔵デバイス用集電体。
  12. 請求項1〜1のいずれか1項記載のエネルギー貯蔵デバイス用集電体を備えるエネルギー貯蔵デバイス用電極。
  13. 請求項1記載のエネルギー貯蔵デバイス用電極を備えるエネルギー貯蔵デバイス。
  14. (a)熱可塑性樹脂と、(b)アンモニウム基を分子末端に有し、重量平均分子量が1,000〜5,000,000のハイパーブランチポリマー並びに(c)鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、スズ(Sn)、白金(Pt)及び金(Au)からなる群より選択される少なくとも一種の金属微粒子からなる複合体であって、(c)金属微粒子に(b)ハイパーブランチポリマーのアンモニウム基が付着して形成された複合体とを含む樹脂組成物をエレクトロスピニング法にて導電性基材の片面又は両面に付着させてナノファイバー集合体を含む積層体を作製する工程、及び
    前記工程で得られた積層体を無電解銅めっき処理する工程
    を含むエネルギー貯蔵デバイス用集電体の製造方法。
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