JP2017033656A - エネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質 - Google Patents

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直樹 島田
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華子 浅井
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Koji Nakane
幸治 中根
信男 小形
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信男 小形
佑紀 柴野
Yuuki Shibano
佑紀 柴野
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Keisuke Kojima
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Abstract

【課題】 簡便な工程にて製造できる、活物質として作用するスズをめっきしてなる、長寿命なエネルギー貯蔵デバイスを与えるエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質、及びそれを備えたエネルギー貯蔵デバイスを提供すること。【解決手段】 (a)熱可塑性樹脂、(b)アンモニウム基を分子末端に有し、重量平均分子量1,000〜5,000,000のハイパーブランチポリマー、及び(c)金属微粒子を含んで構成される、平均直径50〜2,000nmのナノファイバーの集合体と、その表面の一部又は全部に形成された銅めっき層と、この銅めっき層表面の一部又は全部に形成されたスズめっき層と、を備える導電性ナノファイバー集合体からなるエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質。【選択図】 図4

Description

本発明は、エネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質に関し、さらに詳述すると、所定のハイパーブランチポリマーを含むナノファイバー不織布に銅めっき及びスズめっきが施されてなるエネルギー貯蔵デバイス用負極活物質、並びにこの負極活物質を備えたエネルギー貯蔵デバイス用電極に関する。
スマートフォンやデジタルカメラ、携帯ゲーム機などの携帯電子機器の小型軽量化や高機能化の要求に伴い、近年、高性能電池の開発が積極的に進められており、充電により繰り返し使用できる二次電池の需要が大きく伸びている。
中でも、リチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度、高電圧を有し、また充放電時におけるメモリー効果が無いことなどから、現在最も精力的に開発が進められている二次電池である。
また、近年の環境問題への取り組みから、電気自動車の開発も活発に進められており、その動力源としての二次電池には、より高い性能が求められるようになってきている。
ところで、リチウムイオン二次電池は、リチウムを吸蔵、放出できる正極と負極と、これらの間に介在するセパレータを容器内に収容し、その中に電解液(リチウムイオンポリマー二次電池の場合は液状電解液の代わりにゲル状又は全固体型の電解質)を満たした構造を有する。
正極及び負極は、一般的に、リチウムを吸蔵、放出できる活物質と、主に炭素材料からなる導電材、さらにポリマーバインダーを含む組成物を、銅箔やアルミニウム箔などの集電体上に層状に形成される。このバインダーは、活物質と導電材、さらにこれらと金属箔を接着するために用いられ、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのN−メチルピロリドン(NMP)に可溶なフッ素系樹脂や、オレフィン系重合体の水分散体などが市販されている。
負極活物質としては、炭素材料が広く用いられているが、近年では、電池容量のさらなる向上が求められていることから、ケイ素やスズといった、リチウムを吸蔵放出する単体金属又はその化合物の研究開発が盛んに行われている。その中でもスズの体積あたりの理論容量(2100Ah/L)は、黒鉛の理論容量(720Ah/L)よりも格段に大きいことから、スズを負極活物質として用いることで、より小型なリチウムイオン電池の実現が期待される。
ところが、負極活物質として上述したような高容量の活物質を用いると、電池容量が高くなる一方で、いくつかの問題が生じる。
例えば、リチウムの吸蔵、放出による体積変化に伴う電極合材の体積変化により、活物質粒子が割れて微細化し、活物質同士、あるいは活物質と導電材との間の電気的接触が失われることによって抵抗が増大してしまう。
また、電極合材と集電体との間の接触抵抗も増大するという問題がある。
さらに、活物質や導電材の一部が集電体から剥離、脱落したりすることによる電池容量の劣化が起こり、安全性などの観点で大きな問題となる。
このような高容量の負極活物質の体積変化に伴う問題を解決するために、負極活物質をナノ化する試みが、いくつかなされている。
例えば、特許文献1では、金属スズナノ粒子を炭素マトリックスに内包させた負極活物質が開示されている。このようなナノサイズのスズ粒子を用いることで、ミクロンサイズのスズ粒子を用いた場合に比べ、容量保持率が大きく向上することが示されている。
しかしながら、ナノ粒子は、ミクロンサイズの粒子に比べて密度がきわめて低いため、体積当たりの容量は極めて低くなり、場合によっては従来の炭素材料と同等以下の容量となってしまうことがある。
このような課題を解決するために、ファイバー化した活物質を用いることで、体積変化による微細化を防ぎ、かつ密度の低下を抑える試みが、いくつかなされている。
例えば、特許文献2では、非導電性材料からなる不織布基材に、スズを無電解めっきすることで、ファイバー状の活物質を得る方法が開示され、特許文献3では、炭素繊維不織布にスズを電解めっきすることで、ファイバー状の活物質を得る方法が開示されている。
しかしながら、これらの手法では、スズと基材との間にアンカー効果等の機構が働かないため、スズと基材との間の密着性が不十分であり、作製した二次電池の寿命の短縮化を招くおそれがあった。
通常、ファイバー素材表面を無電解めっき処理する場合、エッチング、コンディショニング、キャタライジング、アクセラレーティングなどの各処理からなるめっき前処理が必要であるため、製造工程が煩雑となり、製造コストも高くなる。また、化学的なエッチング処理を行う場合には、クロム酸やアルカリ金属水酸化物溶液等の薬品を用いるため、廃液処理が必要となる。
ところで、エレクトロスピニング法により作製したナノファイバーに導電性を付与する技術としては、例えば、当該ナノファイバーにイオン照射を行って導電性を付与する方法(特許文献4)、エレクトロスピニング法により紡糸されたナイロン6ナノファイバーに無電解めっきを行う方法(非特許文献1)、導電性高分子であるポリピロールを用いて、エレクトロスピニング法によりナノファイバーを作製する方法(非特許文献2)、塩化パラジウムを樹脂に混合してエレクトロスピニング法により作製したナノファイバーに、無電解ニッケルめっきを施す方法(特許文献5)などが知られている。
また、エレクトロスピニング法でナノファイバーを作製後、ナノファイバー表面をヨウ素処理して金属ヨウ化物コンポジット有機ナノファイバーとし、さらにこれを金属体へ還元処理した後、無電解めっき処理を施す方法も知られている(特許文献6)。
しかしながら、特許文献4の技術で得られる導電性ナノファイバーの表面抵抗は大きく、導電材料として使用するには電気伝導性が不十分である。
非特許文献1の技術では、ナノファイバー表面のエッチングを低温酸素プラズマ処理により行っており、このプラズマ処理装置は非常に高価である上、真空下で行うプラズマ処理はバッチ式であり、工業的な大量生産を考慮した場合に不向きである。
非特許文献2の導電性高分子は、金属と比較すると導電性が低く、やはり導電材料としては電気伝導性が不十分である。
特許文献5の方法では、めっき液の種類や、めっきする金属種によってはめっきができないという問題がある。
特許文献6の方法は、めっき前の工程が煩雑であるという問題がある。
このように、導電性微粒子や導電性高分子を用いた手法では、十分な導電性を確保することが難しく、触媒として錯体を用いた無電解めっき法では、還元処理等の活性化処理などが必要で、操作が煩雑な上、めっき金属種やめっき液の種類によりめっきができないという課題があった。
特開2014−199803号公報 特開2005−129254号公報 特開2013−038070号公報 特開2009−138305号公報 特開2010−037592号公報 特開2011−236512号公報
J.Coat.Technol.Res.,5(3),399−403(2008) Polymer,47,1597−1603(2006)
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡便な工程にて製造できる、活物質として作用するスズをめっきしてなる、長寿命なエネルギー貯蔵デバイスを与えるエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質、及びそれを備えたエネルギー貯蔵デバイスを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、アンモニウム基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーと金属微粒子をマトリクスポリマーである熱可塑性樹脂とを混合して静電紡糸し、さらに無電解銅めっき処理することによって得られた銅めっき層を有するナノファイバーに、さらに無電解スズめっき処理してスズめっき層を形成してなる導電性ナノファイバー集合体が、リチウムイオン二次電池等のエネルギー貯蔵デバイスの負極活物質として適用できることを見出すとともに、この負極活物質を有する電極用いることで、エネルギー貯蔵デバイスの寿命が長寿命化できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は
1. (a)熱可塑性樹脂、(b)アンモニウム基を分子末端に有し、重量平均分子量1,000〜5,000,000のハイパーブランチポリマー、及び(c)金属微粒子を含む樹脂組成物をエレクトロスピニング法で紡糸してなるナノファイバー集合体を無電解銅めっき処理し、さらに無電解スズめっき処理してなる導電性ナノファイバー集合体からなることを特徴するエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質、
2. (a)熱可塑性樹脂、(b)アンモニウム基を分子末端に有し、重量平均分子量1,000〜5,000,000のハイパーブランチポリマー、及び(c)金属微粒子を含んで構成される、平均直径50〜2,000nmのナノファイバーの集合体と、その表面の一部又は全部に形成された銅めっき層と、この銅めっき層表面の一部又は全部に形成されたスズめっき層と、を備える導電性ナノファイバー集合体からなることを特徴とするエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質、
3. 前記(c)金属微粒子に、前記(b)ハイパーブランチポリマーのアンモニウム基が付着して複合体を形成している1又は2のエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質、
4. 前記(b)ハイパーブランチポリマーが、式[1]で表される1〜3のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質、
(式中、R1は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R2〜R4は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基(これらアルキル基及びアリールアルキル基は、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アンモニウム基、カルボキシル基又はシアノ基で置換されていてもよい。)、又は−(CH2CH2O)m5(式中、R5は、水素原子又はメチル基を表し、mは、2〜100の整数を表す。)を表すか、R2〜R4のうちの2つの基が一緒になって、直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表すか、又はR2〜R4はそれらが結合する窒素原子と一緒になって環を形成してもよく、X-は、陰イオンを表し、nは、繰り返し単位構造の数であって、5〜100,000の整数を表し、A1は、式[2]で表される構造を表す。)
(式中、A2は、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、Y1〜Y4は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)
5. 前記(b)ハイパーブランチポリマーが、式[3]で表される4のエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質、
(式中、R1、R2〜R4及びnは、前記と同じ意味を表す。)
6. 前記(c)金属微粒子が、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、スズ(Sn)、白金(Pt)及び金(Au)からなる群より選択される少なくとも一種の金属の微粒子である1〜5のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質、
7. 前記(c)金属微粒子が、パラジウム微粒子である6のエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質、
8. 前記(c)金属微粒子が、1〜100nmの平均粒径を有する微粒子である1〜7のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質、
9. 前記(a)熱可塑性樹脂が、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体である1〜8のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質、
10. 前記導電性ナノファイバー集合体の体積抵抗値が、1×104Ω・cm以下である1〜9のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質、
11. 1〜10のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質と、導電性基材とを備えるエネルギー貯蔵デバイス用電極、
12. 前記導電性基材が、銅又は銅を含む合金である11のエネルギー貯蔵デバイス用電極、
13. 前記エネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質が、前記導電性基材の片面又は両面に形成されている11又は12のエネルギー貯蔵デバイス用電極、
14. 1〜10のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質を備えるエネルギー貯蔵デバイス用電極、
15. 1〜10のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質のみからなるエネルギー貯蔵デバイス用電極、
16. 11〜15のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス用電極を備えるエネルギー貯蔵デバイス、
17. (a)熱可塑性樹脂と、(b)アンモニウム基を分子末端に有し、重量平均分子量が1,000〜5,000,000のハイパーブランチポリマーと、(c)金属微粒子とを含む樹脂組成物をエレクトロスピニング法にて導電性基材の片面又は両面に付着させてナノファイバー集合体を含む積層体を作製する工程、及び前記工程で得られた積層体を無電解銅めっき処理し、さらに無電解スズめっき処理するめっき工程を備えることを特徴とするエネルギー貯蔵デバイス用電極の製造方法
を提供する。
本発明エネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質は、ナノファイバー基材と銅及びスズめっき層との間の密着性が高く、耐久性に優れているため、これを用いることで、長寿命のエネルギー貯蔵デバイスを作製することができる。
また、紡糸材料として特定のハイパーブランチポリマーと金属微粒子を配合した熱可塑性樹脂を用いて静電紡糸し、得られたナノファイバーを無電解めっき浴に浸すという簡便な工程にて、電気伝導性に優れる導電性ナノファイバーを含む集電体を容易に得ることができる。このため、従来の無電解めっき処理に必要とされた煩雑な前処理工程の必要性や、製造工程の複雑化、高コスト化といった問題に煩わされることがない。
製造例1で得られた塩素原子を分子末端に有するハイパーブランチポリマーの1H NMRスペクトル図である。 製造例2で得られたジメチルオクチルアンモニウム基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーの13C NMRスペクトル図である。 実施例1で作製した無電解銅めっき処理したナノファイバーマットの表面SEM画像である。 実施例1で作製した無電解銅及びスズめっき処理したナノファイバーマットの表面SEM画像である。 実施例1で作製したリチウムイオン二次電池の放電容量のサイクル特性を示す図である。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係るエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質は、(a)熱可塑性樹脂、(b)アンモニウム基を分子末端に有し、重量平均分子量1,000〜5,000,000のハイパーブランチポリマー、及び(c)金属微粒子を含む樹脂組成物をエレクトロスピニング法で紡糸してなるナノファイバー集合体を無電解銅めっき処理し、さらに無電解スズめっき処理してなる導電性ナノファイバー集合体からなり、その構成としては、上記(a)〜(c)の各成分を含んで構成される、平均直径50〜2,000nmのナノファイバーの集合体と、その表面の一部又は全部に形成された銅めっき層と、この銅めっき層表面の一部又は全部に形成されたスズめっき層と、を備える導電性ナノファイバー集合体からなるものである。
[樹脂組成物]
(a)熱可塑性樹脂
本発明で用いる熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、例えばPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)、PVA(ポリビニルアルコール)、EEA(エチレン−アクリル酸エチル共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂;PS(ポリスチレン)、HIPS(ハイインパクトポリスチレン)、AS(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、MS(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体)などのポリスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;PUE(ポリウレタンエラストマー)などのポリウレタン樹脂;PMMA(ポリメチルメタクリレート)などの(メタ)アクリル樹脂;PAN(ポリアクリロニトリル);PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、PLA(ポリ乳酸)、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート/アジペートなどのポリエステル樹脂;PEO(ポリエチレンオキシド);ポリフェニレンエーテル樹脂;変性ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリアセタール樹脂;PES(ポリエーテルスルホン)樹脂、ポリスルホン樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;ポリグルコール酸;変性でんぷん;酢酸セルロース、三酢酸セルロース;キチン、キトサン;リグニン等が挙げられる。
中でも、熱可塑性樹脂として、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体及びポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
(b)ハイパーブランチポリマー
本発明で使用する樹脂組成物に用いられるハイパーブランチポリマーは、アンモニウム基を分子末端に有し且つ重量平均分子量が1,000〜5,000,000であるポリマーであり、具体的には下記式[1]で表されるハイパーブランチポリマーが挙げられる。
上記式[1]中、R1は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。
また、R2〜R4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、又は−(CH2CH2O)m5(式中、R5は、水素原子又はメチル基を表し、mは、2〜100の任意の整数を表す。)を表すか、R2〜R4のうちの2つの基が一緒になって、直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表すか、又はR2〜R4はそれらが結合する窒素原子と一緒になって環を形成してもよい。
上記アルキル基及びアリールアルキル基は、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アンモニウム基、カルボキシル基又はシアノ基で置換されていてもよい。
-は、陰イオンを表し、nは、繰り返し単位構造の数であって、5〜100,000の整数を表す。
上記R2〜R4における炭素原子数1〜20の直鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等が挙げられる。中でも、本発明で用いる製造方法において、後述するめっき工程において、紡糸材料として使用した樹脂組成物中の(b)ハイパーブランチポリマーが、無電解めっき液に溶出しにくい点で、炭素原子数8以上の基が好ましく、特にn−オクチル基が好ましい。
分岐状のアルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
環状のアルキル基としては、シクロペンチル環、シクロヘキシル環構造を有する基等が挙げられる。
またR2〜R4における炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
さらに、R2〜R4のうちの2つの基が一緒になった直鎖状のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。
分岐状のアルキレン基としては、プロピレン基、イソブチレン基、2−メチルプロピレン基等が挙げられる。
環状のアルキレン基としては、炭素原子数3〜30の単環式、多環式、架橋環式の環状構造の脂環式脂肪族基等が挙げられる。具体的には、炭素原子数4以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ、ペンタシクロ構造等を有する基が挙げられる。これらアルキレン基は基中に窒素原子、硫黄原子又は酸素原子を含んでいてもよい。
そして、式[1]で表される構造でR2〜R4がそれらと結合する窒素原子と一緒になって形成する環は、環中に窒素原子、硫黄原子又は酸素原子を含んでいてもよく、例えばピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、キノリン環、ビピリジル環等が挙げられる。
これらR2〜R4の組合せとしては、例えば、[メチル基、メチル基、メチル基]、[メチル基、メチル基、エチル基]、[メチル基、メチル基、n−ブチル基]、[メチル基、メチル基、n−ヘキシル基]、[メチル基、メチル基、n−オクチル基]、[メチル基、メチル基、n−デシル基]、[メチル基、メチル基、n−ドデシル基]、[メチル基、メチル基、n−テトラデシル基]、[メチル基、メチル基、n−ヘキサデシル基]、[メチル基、メチル基、n−オクタデシル基]、[エチル基、エチル基、エチル基]、[n−ブチル基、n−ブチル基、n−ブチル基]、[n−ヘキシル基、n−ヘキシル基、n−ヘキシル基]、[n−オクチル基、n−オクチル基、n−オクチル基]等が挙げられ、中でも[メチル基、メチル基、n−オクチル基]、[n−オクチル基、n−オクチル基、n−オクチル基]の組合せが好ましい。
-の陰イオンとして好ましくはハロゲン化物イオン、PF6 -、BF4 -又はパーフルオロアルカンスルホナート等が挙げられる。
上記式[1]中、A1は下記式[2]で表される構造を表す。
上記式[2]中、A2は、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表す。
1〜Y4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。
上記A2のアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の直鎖状アルキレン基、プロピレン基、イソブチレン基、2−メチルプロピレン基等の分岐状アルキレン基が挙げられる。また環状アルキレン基としては、炭素原子数3〜30の単環式、多環式及び架橋環式の環状構造の脂環式脂肪族基が挙げられる。具体的には、炭素原子数4以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ、ペンタシクロ構造等を有する基が挙げられる。例えば、以下に脂環式脂肪族基のうち、脂環式部分の構造例(a)〜(s)を示す。
また上記式[2]中のY1〜Y4の炭素原子数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ペンチルオキシ基等が挙げられる。
1〜Y4としては、水素原子又は炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましい。
特に、上記A1は、下記式[4]で表される構造であることが好ましい。
好ましくは、本発明に用いられるハイパーブランチポリマーとしては、下記式[3]で表されるハイパーブランチポリマーが挙げられる。
(式[3]中、R1、R2〜R4及びnは、上記と同じ意味を表す。)
本発明で用いる上記アンモニウム基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーは、例えば、分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーにアミン化合物を反応させて得ることができる。
なお、分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーは、国際公開第2008/029688号の記載に従い、ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーより製造することができる。このジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーは、市販品を用いることができ、日産化学工業(株)製のハイパーテック(登録商標)HPS−200等を好適に使用可能である。
上記反応におけるアミン化合物の使用量は、分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーのハロゲン原子1モルに対して0.1〜20モル、好ましくは0.5〜10モル、より好ましくは1〜5モルである。
本反応で使用できるアミン化合物は、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンのいずれでもよい。
第一級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−ノナデシルアミン、n−エイコシルアミン等の脂肪族アミン;シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂環式アミン;ベンジルアミン、フェネチルアミン等のアラルキルアミン;アニリン、p−n−ブチルアニリン、p−tert−ブチルアニリン、p−n−オクチルアニリン、p−n−デシルアニリン、p−n−ドデシルアニリン、p−n−テトラデシルアニリン等のアニリン類、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン等のナフチルアミン類、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン等のアミノアントラセン類、1−アミノアントラキノン等のアミノアントラキノン類、4−アミノビフェニル、2−アミノビフェニル等のアミノビフェニル類、2−アミノフルオレン、1−アミノ−9−フルオレノン、4−アミノ−9−フルオレノン等のアミノフルオレン類、5−アミノインダン等のアミノインダン類、5−アミノイソキノリン等のアミノイソキノリン類、9−アミノフェナントレン等のアミノフェナントレン類などの芳香族アミン;N−(tert−ブトキシカルボニル)−1,2−エチレンジアミン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−1,3−プロピレンジアミン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−1,4−ブチレンジアミン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−1,5−ペンタメチレンジアミン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N−(3−ヒドロキシプロピル)アミン、N−(2−メトキシエチル)アミン、N−(2−エトキシエチル)アミン等の酸素原子含有アミン化合物が挙げられる。
第二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、エチルメチルアミン、メチル−n−プロピルアミン、メチル−n−ブチルアミン、メチル−n−ペンチルアミン、メチル−n−オクチルアミン、メチル−n−デシルアミン、メチル−n−ドデシルアミン、メチル−n−テトラデシルアミン、メチル−n−ヘキサデシルアミン、メチル−n−オクタデシルアミン、エチルイソプロピルアミン、エチル−n−ブチルアミン、エチル−n−ペンチルアミン、エチル−n−オクチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ドデシルアミン、ジ−n−ヘキサデシルアミン、ジ−n−オクタデシルアミン等の脂肪族アミン;ジシクロヘキシルアミン等の脂環式アミン;ジベンジルアミン等のアラルキルアミン;ジフェニルアミン等の芳香族アミン;フタルイミド、ピロール、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾール等の窒素含有複素環式化合物;ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、ビス(3−ヒドロキシプロピル)アミン、ビス(2−エトキシエチル)アミン、ビス(2−プロポキシエチル)アミン等の酸素原子含有アミン化合物が挙げられる。
第三級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ドデシルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチル−n−ブチルアミン、ジメチル−n−ヘキシルアミン、ジメチル−n−オクチルアミン、ジメチル−n−デシルアミン、ジエチル−n−デシルアミン、ジメチル−n−ドデシルアミン、ジメチル−n−テトラデシルアミン、ジメチル−n−ヘキサデシルアミン、ジメチル−n−オクタデシルアミン、ジメチル−n−エイコシルアミン等の脂肪族アミン;ピリジン、ピラジン、ピリミジン、キノリン、1−メチルイミダゾール、4,4’−ビピリジル、4−メチル−4,4’−ビピリジル等の窒素含有複素環式化合物が挙げられる。
分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーとアミン化合物との反応は、水又は有機溶媒中で、塩基の存在下又は非存在下で行うことができる。使用する溶媒は、分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーとアミン化合物を溶解可能なものが好ましい。さらに、分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーとアミン化合物を溶解可能であるが、分子末端にアンモニウム基を有するハイパーブランチポリマーを溶解しない溶媒であれば、単離が容易となりさらに好適である。
本反応で使用できる溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであればよく、水;イソプロパノール等のアルコール類;酢酸等の有機酸類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン類;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化物;n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド類が挙げられる。これらの溶媒は1種を用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
溶媒の使用量は、分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーの質量に対して0.2〜1,000倍質量、好ましくは1〜500倍質量、より好ましくは5〜100倍質量、より一層好ましくは5〜50倍質量である。
好適な塩基としては、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム)、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物(例えば酸化リチウム、酸化カルシウム)、アルカリ金属水素化物及びアルカリ土類金属水素化物(例えば水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム)、アルカリ金属アミド(例えばナトリウムアミド)、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩(例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム)、アルカリ金属重炭酸塩(例えば重炭酸ナトリウム)等の無機化合物、並びにアルカリ金属アルキル、アルキルマグネシウムハロゲン化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシド、ジメトキシマグネシウム等の有機金属化合物などが挙げられ、特に好ましいのは、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムである。
塩基を用いる場合、その使用量は、分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーのハロゲン原子1モルに対して0.2〜10モル、好ましくは0.5〜10モル、より好ましくは1〜5モルである。
この反応では反応開始前に反応系内の酸素を十分に除去することが好ましく、窒素、アルゴン等の不活性気体で系内を置換するとよい。
反応条件としては、反応時間は0.01〜100時間、反応温度は0〜300℃から、適宜選択される。好ましくは反応時間が0.1〜72時間で、反応温度が20〜150℃である。
第三級アミンを用いた場合、塩基の存在/非存在に関わらず、式[1]で表されるハイパーブランチポリマーを得ることができる。
塩基の非存在下で、第一級アミン又は第二級アミン化合物と分子末端にハロゲン原子を有するハイパーブランチポリマーを反応させた場合、それぞれに対応するハイパーブランチポリマーの末端第二級アミン及び第三級アミンがプロトン化されたアンモニウム基末端のハイパーブランチポリマーが得られる。
また、塩基を用いて反応を行った場合においても、有機溶媒中で塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等の酸の水溶液と混合することにより、対応するハイパーブランチポリマーの末端第二級アミン及び第三級アミンがプロトン化されたアンモニウム基末端のハイパーブランチポリマーが得られる。
上記ハイパーブランチポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwが1,000〜5,000,000であり、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは2,000〜200,000であり、より一層好ましくは3,000〜100,000である。また、分散度Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)としては1.0〜7.0であり、好ましくは1.1〜6.0であり、より好ましくは1.2〜5.0である。
(c)金属微粒子
本発明で使用する樹脂組成物に用いられる金属微粒子としては特に限定されず、金属種としては鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、スズ(Sn)、白金(Pt)及び金(Au)が挙げられ、これらの金属の1種類でもよいし2種以上の合金でも構わない。中でも好ましい金属微粒子としてはパラジウム微粒子が挙げられる。なお、金属微粒子として、上記金属の酸化物を用いてもよい。
上記金属微粒子は、例えば金属塩の水溶液を高圧水銀灯により光照射する方法や、金属塩水溶液に還元作用を有する化合物(還元剤)を添加する方法等により、金属イオンを還元することによって得られる。例えば、上記ハイパーブランチポリマーを溶解した溶液に金属塩の水溶液を添加してこれに紫外線を照射する、或いは、同溶液に金属塩の水溶液及び還元剤を添加するなどして、金属イオンを還元することにより、ハイパーブランチポリマーと金属微粒子の複合体を形成させながら、ハイパーブランチポリマー及び金属微粒子、並びに後述するその他成分を含む樹脂組成物を調製することができる。
金属塩としては、塩化金酸、硝酸銀、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、塩化スズ、塩化第一白金、塩化白金酸、Pt(dba)2[dba=ジベンジリデンアセトン]、Pt(cod)2[cod=1,5−シクロオクタジエン]、Pt(CH32(cod)、塩化パラジウム、酢酸パラジウム(Pd(OC(=O)CH32)、硝酸パラジウム、Pd2(dba)3・CHCl3、Pd(dba)2、塩化ロジウム、酢酸ロジウム、塩化ルテニウム、酢酸ルテニウム、Ru(cod)(cot)[cot=シクロオクタトリエン]、塩化イリジウム、酢酸イリジウム、Ni(cod)2等が挙げられる。
還元剤としては、特に限定されるものではなく、種々の還元剤を用いることができ、後に得られる樹脂組成物(すなわちナノファイバー)に含有させる金属種等により還元剤を選択することが好ましい。用いることができる還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等の水素化ホウ素金属塩;水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムカリウム、水素化アルミニウムセシウム、水素化アルミニウムベリリウム、水素化アルミニウムマグネシウム、水素化アルミニウムカルシウム等の水素化アルミニウム塩;ヒドラジン化合物;クエン酸及びその塩;コハク酸及びその塩;アスコルビン酸及びその塩;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ポリオール等の第一級又は第二級アルコール類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン[TMEDA]、エチレンジアミン四酢酸[EDTA]等の第三級アミン類;ヒドロキシルアミン;トリ−n−プロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリエトキシホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン[DPPE]、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン[DPPP]、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン[DPPF]、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル[BINAP]等のホスフィン類などが挙げられる。
金属微粒子の平均粒径は1〜100nmが好ましく、1〜75nmがより好ましく、1〜30nmがより一層好ましい。金属微粒子の平均粒径が100nmを超えると、表面積が減少して触媒活性が低下する場合がある。
本発明で使用する樹脂組成物における(c)金属微粒子に対する上記(b)ハイパーブランチポリマーの添加量は、上記(c)金属微粒子100質量部に対して50〜2,000質量部が好ましい。50質量部未満であると、上記金属微粒子の分散性が不充分であり、2,000質量部を超えると、有機物含有量が多くなり、物性等に不具合が生じやすくなる。より好ましくは、100〜1,000質量部である。
本発明で使用する樹脂組成物において、(b)ハイパーブランチポリマーと(c)金属微粒子とが複合体を形成していることが好ましい。
ここで複合体とは、ハイパーブランチポリマーの末端のアンモニウム基の作用により、金属微粒子に接触又は近接した状態で両者が共存し、粒子状の形態をなすものであり、言い換えると、ハイパーブランチポリマーのアンモニウム基が金属微粒子に付着又は配位した構造を有する複合体であると表現される。
なお、本発明における「複合体」には、上述のように金属微粒子とハイパーブランチポリマーが付着又は配位等により結合しているものだけでなく、金属微粒子とハイパーブランチポリマーが結合することなく、両者が近接しつつもそれぞれ独立して存在しているものが含まれていてもよい。
ハイパーブランチポリマーと金属微粒子の複合体の形成は、ハイパーブランチポリマーと金属微粒子を予め複合化させてもよいし、本発明の製造方法で使用する樹脂組成物の調製時に同時に実施しても構わない。その方法としては、低級アンモニウム配位子によりある程度安定化した金属微粒子を合成した後にハイパーブランチポリマーにより配位子を交換する方法や、ハイパーブランチポリマーの溶液中で、金属イオンを直接還元することにより複合体を形成する方法がある。
配位子交換法において、原料となる低級アンモニウム配位子によりある程度安定化した金属微粒子は、Jounal of Organometallic Chemistry 1996,520,143−162等に記載の方法で合成することができる。得られた金属微粒子の反応混合溶液に、ハイパーブランチポリマーを溶解し、室温(およそ25℃)又は加熱撹拌することにより目的とする金属微粒子複合体を得ることができる。
使用する溶媒としては、金属微粒子とハイパーブランチポリマーとを必要濃度以上に溶解できる溶媒であれば特に限定はされないが、具体的には、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類など及びこれらの溶媒の混合液が挙げられ、好ましくは、テトラヒドロフランが挙げられる。
金属微粒子の反応混合液と、ハイパーブランチポリマーを混合する温度は、通常0℃〜溶媒の沸点の範囲を使用することができ、好ましくは、室温(およそ25℃)〜60℃の範囲である。
なお、配位子交換法において、アミン系分散剤(低級アンモニウム配位子)以外にホスフィン系分散剤(ホスフィン配位子)を用いることによっても、予め金属微粒子をある程度安定化することができる。
直接還元方法としては、金属イオンとハイパーブランチポリマーを溶媒に溶解し、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ポリオール等の第一級又は第二級アルコール類で還元させることにより、目的とする金属微粒子複合体を得ることができる。
ここで用いられる金属イオン源としては、上述の金属塩が使用できる。
使用する溶媒としては、金属イオンとハイパーブランチポリマーを必要濃度以上に溶解できる溶媒であれば特に限定はされないが、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類など及びこれらの溶媒の混合液が挙げられ、好ましくは、アルコール類、ハロゲン化炭化水素類、環状エーテル類が挙げられ、より好ましくは、エタノール、イソプロパノール、クロロホルム、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
還元反応の温度は、通常0℃〜溶媒の沸点の範囲を使用することができ、好ましくは、室温(およそ25℃)〜60℃の範囲である。
他の直接還元方法としては、金属イオンとハイパーブランチポリマーを溶媒に溶解し、水素ガス雰囲気下で反応させることにより、目的とする金属微粒子複合体を得ることができる。
ここで用いられる金属イオン源としては、上述の金属塩や、ヘキサカルボニルクロム[Cr(CO)6]、ペンタカルボニル鉄[Fe(CO)5]、オクタカルボニルジコバルト[Co2(CO)8]、テトラカルボニルニッケル[Ni(CO)4]等の金属カルボニル錯体が使用できる。また金属オレフィン錯体や金属ホスフィン錯体、金属窒素錯体等の0価の金属錯体も使用できる。
使用する溶媒としては、金属イオンとハイパーブランチポリマーを必要濃度以上に溶解できる溶媒であれば特に限定はされないが、具体的には、エタノール、n−プロパノール等のアルコール類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類など及びこれらの溶媒の混合液が挙げられ、好ましくは、テトラヒドロフランが挙げられる。
金属イオンとハイパーブランチポリマーを混合する温度は、通常0℃〜溶媒の沸点の範囲を使用することができる。
また、直接還元方法として、金属イオンとハイパーブランチポリマーを溶媒に溶解し、熱分解反応させることにより、目的とする金属微粒子複合体を得ることができる。
ここで用いられる金属イオン源としては、上述の金属塩や金属カルボニル錯体やその他の0価の金属錯体、酸化銀等の金属酸化物が使用できる。
使用する溶媒としては、金属イオンとハイパーブランチポリマーを必要濃度以上に溶解できる溶媒であれば特に限定はされないが、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類など及びこれらの溶媒の混合液が挙げられ、好ましくはトルエンが挙げられる。
金属イオンとハイパーブランチポリマーを混合する温度は、通常0℃〜溶媒の沸点の範囲を使用することができ、好ましくは溶媒の沸点近傍、例えばトルエンの場合は110℃(加熱還流)である。
こうして得られるハイパーブランチポリマーと金属微粒子の複合体は、再沈殿等の精製処理を経て、粉末などの固形物の形態とすることができる。
本発明において紡糸材料として使用する樹脂組成物における(a)熱可塑性樹脂に対する(b)ハイパーブランチポリマー及び(c)金属微粒子の配合量は、ハイパーブランチポリマーと金属微粒子より形成された複合体として、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、特に1〜10質量部がより好ましい。
本発明で用いる樹脂組成物には、熱可塑性樹脂と共に一般に添加される添加剤、例えば、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、溶融弾性改質剤、加工助剤、架橋剤、補強剤、難燃剤、消泡剤、分散剤、光拡散剤、顔料、染料、蛍光染料などを添加してもよい。
[導電性ナノファイバーの製造方法]
(1)紡糸工程
本発明の導電性ナノファイバーの製造方法における紡糸工程は、(a)熱可塑性樹脂、(b)ハイパーブランチポリマー、及び(c)金属微粒子を含む樹脂組成物を紡糸材料として、エレクトロスピニング法に従い、ナノファイバーを作製する工程である。実際には、上記樹脂組成物を溶媒に溶解又は分散してワニスの形態とし、これを静電紡糸して集合体(不織布)状のナノファイバーを作製する工程である。
静電紡糸時に使用される溶媒としては、熱可塑性樹脂、並びにハイパーブランチポリマー及び金属微粒子を溶解・分散することができるものであればよく、例えばアセトン、エチルメチルケトン(MEK)、イソブチルメチルケトン(MIBK)、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ブチルセロソルブ、エタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、γ−ブチロラクトン、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられる。これら溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上の溶媒を混合してもよい。
また上記溶媒に溶解又は分散させる濃度は任意であるが、熱可塑性樹脂、ハイパーブランチポリマー及び金属微粒子と溶媒の総質量(合計質量)に対して、熱可塑性樹脂、ハイパーブランチポリマー及び金属微粒子の濃度(固形分濃度とも称する)は1〜50質量%であり、好ましくは10〜40質量%であり、より好ましくは20〜30質量%である。
静電紡糸には、市販のエレクトロスピニング装置を用いることができる。
紡糸条件は適宜選択され、例えば、ノズルの長さ:3〜5cm、紡糸距離(電極−コレクター間距離):5〜30cm、紡糸量:0.1〜5.0mL/時間、電極間の印加電圧:5〜40kVである。
上記のようにして得られるナノファイバーは、好ましくは平均直径が50〜2,000nmであり、より好ましくは100〜1,000nmである。
(2)めっき工程
この工程は、前述の紡糸工程で作製したナノファイバーを無電解めっき処理する工程である。
なお前述の紡糸工程にて作製されたナノファイバーは、繊維表面部(界面)にハイパーブランチポリマー及び金属微粒子(これらから形成された複合体)が存在した状態にある。このため、エッチング、コンディショニング、キャタライジング、アクセラレーティングといった各処理からなるめっき前処理を必要とすることなく、エレクトロスピニング法によって得られたナノファイバーをそのまま無電解めっき処理に供した場合でも、繊維との密着性に優れためっき層を形成することができる。
無電解めっき処理(工程)は特に限定されず、一般的に知られている無電解めっき処理にて行うことができ、例えば、従来一般に知られている無電解めっき液を用い、上述の紡糸工程で得られたナノファイバーをめっき液(浴)に浸漬する方法が一般的である。
無電解めっき液は、主としてめっき層を形成するための金属イオン(金属塩)、錯化剤、還元剤を主に含有し、その他用途に合わせてpH調整剤、pH緩衝剤、反応促進剤(第二錯化剤)、安定剤、界面活性剤(めっき膜への光沢付与用途、被処理面の濡れ性改善用途など)などが適宜含まれてなる。
本発明では、銅イオンを含む無電解銅めっき液と、スズイオンが含まれる無電解スズめっき液の2種類を用い、上記で得られたナノファイバーの集合体を無電解銅めっき処理した後、さらに無電解スズめっき処理する。
無電解銅めっき液及び無電解スズめっき液としては、市販のめっき液を使用してもよく、例えばメルテックス(株)製の無電解銅めっき薬品(メルプレート(登録商標)CUシリーズ);奥野製薬工業(株)製の無電解銅めっき液(OPC−700無電解銅M−K、ATSアドカッパーIW)、無電解スズめっき液(サブスターSN−5);ダウケミカル社製の無電解銅めっき液(キューポジット(登録商標)カッパーミックスシリーズ、サーキュポジット(登録商標)シリーズ)、無電解スズめっき液(ティンポジット(登録商標)シリーズ);上村工業(株)製の無電解銅めっき液(スルカップ(登録商標)ELC−SP、同PSY、同PCY、同PGT、同PSR、同PEA);アトテックジャパン(株)製の無電解銅めっき液(プリントガント(登録商標)PV)等が挙げられる。
上記無電解めっき工程では、めっき浴の温度、pH、浸漬時間、金属イオン濃度、撹拌の有無や撹拌速度、空気・酸素の供給の有無や供給速度等を調節することにより、金属被膜の形成速度や膜厚を制御することができる。
これら2種類の無電解めっき処理を施すことで、上述の静電紡糸法で得られた、(a)熱可塑性樹脂、(b)アンモニウム基を分子末端に有し、重量平均分子量1,000〜5,000,000のハイパーブランチポリマー、及び(c)金属微粒子を含んで構成される、平均直径50〜2,000nmのナノファイバーの集合体の表面の一部又は全部に形成された銅めっき層と、この銅めっき層表面の一部又は全部に形成されたスズめっき層と、を備える導電性ナノファイバー集合体が得られる。
本発明において、銅めっき層の膜厚及びスズめっき層の膜厚は特に限定されないが、一般に10〜500nm程度、例えば30〜300nmとすることができる。
また、上記導電性ナノファイバー集合体は、体積抵抗値が1×104Ω・cm以下であることが好ましく、1×102Ω・cm以下であることがより好ましい。
[エネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質及び電極]
本発明では、以上の一連の工程で得られた導電性ナノファイバー集合体を、エネルギー貯蔵デバイス電極用の負極活物質として用いる。
エネルギー貯蔵デバイスとしては、電気二重層キャパシタ、リチウム二次電池、リチウムイオン二次電池、プロトンポリマー電池、ニッケル水素電池、アルミ固体コンデンサ、電解コンデンサ、鉛蓄電池等の各種エネルギー貯蔵デバイスが挙げられるが、本発明のエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質は、特に、電気二重層キャパシタ、リチウムイオン二次電池の電極に好適に適用することができる。
本発明の負極活物質では、スズめっき層が活物質として機能し、銅めっき層が集電体として機能するため、導電性ナノファイバー集合体をそのまま負極として用いることができるが、電極作製にあたって一般的な集電基板を用いてもよい。
集電基板としては、従来、エネルギー貯蔵デバイス用電極の集電基板として用いられているものから適宜選択すればよく、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、金、銀及びそれらを含む合金やカーボン材料、金属酸化物、導電性高分子等の薄膜を用いることができる、この集電基板上に、上記負極活物質を積層して用いればよい。
この場合、上記集電基板の片面又は両面に、上記負極活物質を備えることが好ましい。
特に、集電基板としては、銅又は銅を含む合金からなる金属箔が好ましい。
集電基板の厚みは、特に限定されるものではないが、1〜100μmが好ましい。
集電基板上に負極活物質を積層する方法としては、上述したエネルギー貯蔵デバイス用負極活物質と、集電体となる導電性基板とを積層可能な任意の方法を採用でき、例えば、(1)上記負極活物質と導電性基板とを単に(接着等せずに)重ねる方法、(2)上記負極活物質と導電性基板とを導電性結着剤や導電性接着剤で接着して積層する方法、(3)集電体となる導電性基板をコレクターとし、この上にエレクトロスピニング法にてナノファイバー集合体を付着させて積層体を作製した後、この積層体に対して銅及びスズめっき処理をする方法等が挙げられる。
上記(3)の手法として、より具体的には、(a)熱可塑性樹脂、(b)アンモニウム基を分子末端に有し、重量平均分子量が1,000〜5,000,000のハイパーブランチポリマー及び(c)金属微粒子を含む樹脂組成物を、エレクトロスピニング法にて、集電基板となる導電性基材の片面又は両面にナノファイバー集合体として積層した後、得られた積層体を無電解銅めっき処理し、さらに無電解スズめっき処理する方法が挙げられる。
本発明のエネルギー貯蔵デバイスでは、上記負極活物質を用いることにその特徴があるため、その他のデバイス構成部材である正極活物質、セパレータ、電解質などは、公知の材料から適宜選択して用いることができる。
例えば、リチウム二次電池やリチウムイオン二次電池の場合、正極活物質としてリチウムイオンを吸着・離脱可能なカルコゲン化合物又はリチウムイオン含有カルコゲン化合物、ポリアニオン系化合物、硫黄単体及びその化合物等を用いることができる。
このようなリチウムイオンを吸着離脱可能なカルコゲン化合物としては、例えばFeS2、TiS2、MoS2、V26、V613、MnO2等が挙げられる。
リチウムイオン含有カルコゲン化合物としては、例えばLiCoO2、LiMnO2、LiMn24、LiMo24、LiV38、LiNiO2、LixNiy1-y2(但し、Mは、Co、Mn、Ti、Cr,V、Al、Sn、Pb、及びZnから選ばれる少なくとも1種以上の金属元素を表し、0.05≦x≦1.10、0.5≦y≦1.0)などが挙げられる。
ポリアニオン系化合物としては、例えばLiFePO4等が挙げられる。
硫黄化合物としては、例えばLi2S、ルベアン酸等が挙げられる。
また、電気二重層キャパシタの場合、活物質として炭素質材料を用いることができる。
この炭素質材料としては、活性炭等が挙げられ、例えば、フェノール樹脂を炭化後、賦活処理して得られた活性炭が挙げられる。
正極活物質層は、以上で説明した活物質、バインダーポリマー及び必要に応じて溶媒を含む電極スラリーを、集電基板上に塗布し、自然又は加熱乾燥して形成することができる。
バインダーポリマーとしては、公知の材料から適宜選択して用いることができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体〔PVDF/HFP)〕、フッ化ビニリデン−塩化3フッ化エチレン共重合体〔PVDF/CTFE〕、ポリビニルアルコール、ポリイミド、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアニリン等の導電性高分子などが挙げられる。
なお、バインダーポリマーの添加量は、正極活物質100質量部に対して、0.1〜20質量部、特に、1〜10質量部が好ましい。
溶媒としては、バインダーの種類に応じて適宜選択して用いればよいが、PVDF等の非水溶性のバインダーの場合はNMPが好適であり、PAA等の水溶性のバインダーの場合は水が好適である。
なお、上記電極スラリーは、導電助剤を含んでいてもよい。導電助剤としては、例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、酸化チタン、酸化ルテニウム、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
電極スラリーの塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ディップコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、スリットコート法、ロールコート法、フレキソ印刷法、転写印刷法、刷毛塗り、ブレードコート法、エアーナイフコート法などが挙げられるが、作業効率等の点から、インクジェット法、キャスティング法、ディップコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法が好適である。
加熱乾燥する場合の温度も任意であるが、50〜200℃程度が好ましく、80〜150℃程度がより好ましい。
また電極は、必要に応じてプレスすることができる。プレス法は、一般に採用されている方法を用いることができるが、特に金型プレス法やロールプレス法が好ましい。ロールプレス法でのプレス圧は、特に限定されないが、0.2〜3ton/cmが好ましい。
セパレータとしては、例えば、セルロース系セパレータ、ポリオレフィン系セパレータなどが挙げられる。
電解質としては、液体、固体のいずれでもよく、また水系、非水系のいずれでもよいが、本発明のエネルギー貯蔵デバイス用電極は、非水系電解質を用いたデバイスに適用した場合にも実用上十分な性能を発揮させ得る。
非水系電解質としては、電解質塩を非水系有機溶媒に溶かしてなる非水系電解液が挙げられる。
電解質塩としては、4フッ化硼酸リチウム、6フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等のリチウム塩;テトラメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラエチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラプロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、メチルトリエチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムパークロレート等の4級アンモニウム塩、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドなどが挙げられる。
非水系有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート;ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;アセトニトリルなどのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどアミド類等が挙げられる。
以下、製造例及び実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例において、試料の調製及び物性の分析に用いた装置及び条件は、以下の通りである。
(1)GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)
装置:東ソー(株)製 HLC−8220GPC
カラム:昭和電工(株)製 Shodex(登録商標) KF−804L + KF−803L
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:UV(254nm)、RI
(2)1H NMRスペクトル
装置:日本電子(株)製 JNM−L400
溶媒:CDCl3
内部標準:テトラメチルシラン(0.00ppm)
(3)13C NMRスペクトル
装置:日本電子(株)製 JNM−ECA700
溶媒:CDCl3
緩和試薬:トリスアセチルアセトナートクロム(Cr(acac)3
基準:CDCl3(77.0ppm)
(4)ICP発光分析(誘導結合プラズマ発光分析)
装置:(株)島津製作所製 ICPM−8500
(5)TEM(透過型電子顕微鏡)画像
装置:(株)日立ハイテクノロジーズ製 H−8000
(6)エレクトロスピニング
インフュージョンポンプ(シリンジポンプ):(有)メルクエスト製 FP−1000
高圧電源:松定プレシジョン(株)製 HR−40R0.75
(7)SEM(走査型電子顕微鏡)画像
装置:(株)キーエンス製 3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡 VE−9800
(8)ナノファイバーマットの厚さ測定
装置:(株)ミツトヨ製マイクロメータ MDQ-30
(9)体積抵抗値測定
装置:(株)三菱化学アナリテック製 ロレスタ(登録商標)AX MCP−T370
(10)充放電測定装置(二次電池評価)
装置:東洋システム(株)製 TOSCAT 3100
また使用した略号は以下のとおりである。
HPS:ハイパーブランチポリスチレン[日産化学工業(株)製 ハイパーテック(登録商標)HPS−200]
IPA:2−プロパノール
IPE:ジイソプロピルエーテル
PVDF/HFP:フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体[アルドリッチ社製 製品番号:427160、Mw(GPC):400,000、Mn:130,000]
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
[製造例1]HPS−Clの製造
500mLの反応フラスコに、塩化スルフリル[キシダ化学(株)製]27g及びクロロホルム50gを仕込み、撹拌して均一に溶解させた。この溶液を窒素気流下0℃まで冷却した。
別の300mLの反応フラスコに、ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーHPS15g及びクロロホルム150gを仕込み、窒素気流下均一になるまで撹拌した。
前述の0℃に冷却されている塩化スルフリル/クロロホルム溶液中に、窒素気流下、HPS/クロロホルム溶液が仕込まれた前記300mLの反応フラスコから、送液ポンプを用いて、該溶液を反応液の温度が−5〜5℃となるように60分間かけて加えた。添加終了後、反応液の温度を−5〜5℃に保持しながら6時間撹拌した。
さらにこの反応液へ、シクロヘキセン[東京化成工業(株)製]16gをクロロホルム50gに溶かした溶液を、反応液の温度が−5〜5℃となるように加えた。添加終了後、この反応液をIPA1,200gに添加してポリマーを沈殿させた。この沈殿をろ取して得られた白色粉末をクロロホルム100gに溶解し、これをIPA500gに添加してポリマーを再沈殿させた。この沈殿物を減圧ろ過し、真空乾燥して、塩素原子を分子末端に有するハイパーブランチポリマー(HPS−Cl)8.5gを白色粉末として得た(収率99%)。
得られたHPS−Clの1H NMRスペクトルを図1に示す。ジチオカルバメート基由来のピーク(4.0ppm、3.7ppm)が消失していることから、得られたHPS−Clは、HPS分子末端のジチオカルバメート基がほぼ全て塩素原子に置換されていることが明らかとなった。また、得られたHPS−ClのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは14,000、分散度Mw/Mnは2.9であった。
[製造例2]HPS−N(Me)2OctClの製造
凝縮器を設置した300mLの反応フラスコに、製造例1で製造したHPS−Cl4.6g(30mmol)及びクロロホルム15gを仕込み、均一になるまで撹拌した。この溶液へ、ジメチルオクチルアミン[花王(株)製 ファーミン(登録商標)DM0898]5.0g(31.5mmol)をクロロホルム7.5gに溶解させた溶液を加え、さらにIPA7.5gを加えた。この混合物を、窒素雰囲気下65℃で40時間撹拌した。
液温30℃まで冷却後、溶媒を留去した。得られた残渣を、クロロホルム60gに溶解し、この溶液をIPE290gに添加して再沈精製した。析出したポリマーを減圧ろ過し、50℃で真空乾燥して、ジメチルオクチルアンモニウム基を分子末端に有するハイパーブランチポリマー(HPS−N(Me)2OctCl)9.3gを白色粉末として得た。
得られたHPS−N(Me)2OctClの13C NMRスペクトルを図2に示す。ベンゼン環のピークと、オクチル基末端のメチル基のピークから、得られたHPS−N(Me)2OctClは、HPS−Cl分子末端の塩素原子がほぼ定量的にアンモニウム基に置換されていることが明らかとなった。また、HPS−ClのMw(14,000)及びアンモニウム基導入率(100%)から算出されるHPS−N(Me)2OctClの重量平均分子量Mwは28,000となった。
[製造例3]Pd[HPS−N(Me)2OctCl]の製造
凝縮器を設置した300mLの反応フラスコに、酢酸パラジウム[川研ファインケミカル(株)製]2.1g及びクロロホルム20gを仕込み、均一になるまで撹拌した。この溶液へ、製造例2で製造したHPS−N(Me)2OctCl9.0gをクロロホルム135gに溶解させた溶液を、滴下ロートを使用して加えた。この滴下ロート内を、エタノール45gを使用して前記反応フラスコへ洗い込んだ。この混合物を、60℃で8時間撹拌した。
液温30℃まで冷却後、この反応混合物を0℃のIPE2,000gに添加して再沈精製した。析出したポリマーを減圧ろ過し、60℃で真空乾燥して、アンモニウム基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーとPd粒子の複合体(Pd[HPS−N(Me)2OctCl])9.8gを黒色粉末として得た。
ICP発光分析の結果から、得られたPd[HPS−N(Me)2OctCl]のPd含有量は10質量%であった。また、TEM(透過型電子顕微鏡)画像から、そのPd粒子径はおよそ2〜4nmであった。
[参考例1]無電解銅めっき液の調製
500mLのフラスコに、イオン交換水210mL、スルカップ(登録商標、以下同様)PSY−1A[上村工業(株)製]25mL、スルカップ(登録商標、以下同様)PSY−1B[上村工業(株)製]10mL及び37%ホルムアルデヒド水溶液[TCI]をイオン交換水で2倍に希釈したもの5mLを順次仕込んだ。この溶液へ界面活性剤としてアデカ(登録商標)プルロニックL−34[(株)ADEKA製]0.025gを加えて、無電解銅めっき液とした。
[参考例2]無電解スズめっき液の調製
ティンポジット(登録商標)LT−34C[ロームアンドハース電子材料(株)製]を蒸留水で5倍に希釈したものを、無電解スズめっき液とした。
[実施例1]
PVDF/HFP100質量部、製造例3に従って製造したPd[HPS−N(Me)2OctCl]3質量部(Pdとして0.3質量部)、及びDMF400質量部を均一に混合し、樹脂組成物(紡糸材料)を調製した。
この組成物を、エレクトロスピニング装置を用いて、印加電圧19.5kV、紡糸距離20cm、紡糸量0.6mL/hの条件で紡糸し、マット(不織布)状のナノファイバーの集合体(以下、ナノファイバーマットと称する)を作製した。得られたナノファイバーマットをSEMで観察し、ナノファイバー径(平均直径)を算出したところ、0.27μmであった。ナノファイバー径は、異なる5箇所のSEM画像から無作為に選択した100本のナノファイバーの直径を計測し、その平均値とした。
次に、このナノファイバーマットを、無電解銅めっき液に33℃で90分浸漬した。その後、取り出したナノファイバーマットを水洗し、50℃で60分乾燥した。得られた無電解銅めっき処理したナノファイバーマットのナノファイバー径を、上記同様に算出したところ、0.95μmであった。また、ナノファイバーマットの体積抵抗値を測定した結果、3.96×10-5Ω・cmであった。得られた無電解銅めっき処理したナノファイバーマットのSEM画像を図3に示す。なお、ナノファイバーマットの厚みは、60μmであった。
さらに、無電解銅めっき処理したナノファイバーマットを、参考例2で調製した無電解スズめっき液に、20℃で10分間浸漬した。その後、取り出したナノファイバーマットを水洗し、風乾した。得られた無電解スズめっき処理したナノファイバーマットのナノファイバー径を、上記同様に算出した結果、1.08μmであった。また、ナノファイバーマットの体積抵抗値を測定した結果、1.03×10-4Ω・cmであった。得られた無電解スズめっき処理したナノファイバーマットのSEM画像を図4に示す。
なお、ICP発光分析の結果から、得られた無電解スズめっき処理したナノファイバーマットについて、スズの含有量は30質量%、銅の含有量は51質量%であった。また、ナノファイバーマットの厚みは、35μmであった。
上記で得られた無電解銅及びスズめっき処理したナノファイバーマットを、直径10mmの円盤状に打ち抜いて質量測定したところ、含まれるスズの含有量は0.72mgであった。打ち抜いた電極を100℃で15時間真空乾燥し、アルゴンで満たされたグローブボックスに移した。
2032型のコインセル(宝泉(株)製)のワッシャーとスペーサーが溶接されたフタに、直径14mmに打ち抜いたリチウム箔(本荘ケミカル(株)製、厚み0.17mm)を6枚重ねたものを設置し、その上に、電解液(キシダ化学(株)製、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート(1:1、体積比)、電解質であるリチウムヘキサフルオロホスフェートを1mol/L含む)を24時間以上染み込ませた、直径16mmに打ち抜いたセパレータ(セルガード(株)製、2400)を一枚重ねた。さらに上から、直径10mmに打ち抜いた無電解銅及びスズめっき処理したナノファイバーマットを重ねた。電解液を1滴滴下したのち、ケースとガスケットを乗せて、コインセルかしめ機で密封した。その後24時間静置し、試験用の二次電池とした。
実施例1で作製したリチウムイオン二次電池について、電極の負極としての物性を、下記の条件で評価した。放電容量のサイクル特性を図5に示す。
・電流:0.1C定電流充放電(スズの容量を994mAh/gとした)
・カットオフ電圧:1.50V−0.01V
・温度:室温
図5に示されるように、無電解銅及びスズめっき処理したナノファイバーマットは、リチウムイオン電池の電極として働き、その容量は30サイクル程度まで約500mAh/gの容量を保っていることがわかる。

Claims (17)

  1. (a)熱可塑性樹脂、(b)アンモニウム基を分子末端に有し、重量平均分子量1,000〜5,000,000のハイパーブランチポリマー、及び(c)金属微粒子を含む樹脂組成物をエレクトロスピニング法で紡糸してなるナノファイバー集合体を無電解銅めっき処理し、さらに無電解スズめっき処理してなる導電性ナノファイバー集合体からなることを特徴するエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質。
  2. (a)熱可塑性樹脂、(b)アンモニウム基を分子末端に有し、重量平均分子量1,000〜5,000,000のハイパーブランチポリマー、及び(c)金属微粒子を含んで構成される、平均直径50〜2,000nmのナノファイバーの集合体と、その表面の一部又は全部に形成された銅めっき層と、この銅めっき層表面の一部又は全部に形成されたスズめっき層と、を備える導電性ナノファイバー集合体からなることを特徴とするエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質。
  3. 前記(c)金属微粒子に、前記(b)ハイパーブランチポリマーのアンモニウム基が付着して複合体を形成している請求項1又は2記載のエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質。
  4. 前記(b)ハイパーブランチポリマーが、式[1]で表される請求項1〜3のいずれか1項記載のエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質。
    (式中、R1は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R2〜R4は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基(これらアルキル基及びアリールアルキル基は、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アンモニウム基、カルボキシル基又はシアノ基で置換されていてもよい。)、又は−(CH2CH2O)m5(式中、R5は、水素原子又はメチル基を表し、mは、2〜100の整数を表す。)を表すか、R2〜R4のうちの2つの基が一緒になって、直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表すか、又はR2〜R4はそれらが結合する窒素原子と一緒になって環を形成してもよく、X-は、陰イオンを表し、nは、繰り返し単位構造の数であって、5〜100,000の整数を表し、A1は、式[2]で表される構造を表す。)
    (式中、A2は、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、Y1〜Y4は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)
  5. 前記(b)ハイパーブランチポリマーが、式[3]で表される請求項4記載のエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質。
    (式中、R1、R2〜R4及びnは、前記と同じ意味を表す。)
  6. 前記(c)金属微粒子が、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、スズ(Sn)、白金(Pt)及び金(Au)からなる群より選択される少なくとも一種の金属の微粒子である請求項1〜5のいずれか1項記載のエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質。
  7. 前記(c)金属微粒子が、パラジウム微粒子である請求項6記載のエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質。
  8. 前記(c)金属微粒子が、1〜100nmの平均粒径を有する微粒子である請求項1〜7のいずれか1項記載のエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質。
  9. 前記(a)熱可塑性樹脂が、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体である請求項1〜8のいずれか1項記載のエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質。
  10. 前記導電性ナノファイバー集合体の体積抵抗値が、1×104Ω・cm以下である請求項1〜9のいずれか1項記載のエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項記載のエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質と、導電性基材とを備えるエネルギー貯蔵デバイス用電極。
  12. 前記導電性基材が、銅又は銅を含む合金である請求項11記載のエネルギー貯蔵デバイス用電極。
  13. 前記エネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質が、前記導電性基材の片面又は両面に形成されている請求項11又は12記載のエネルギー貯蔵デバイス用電極。
  14. 請求項1〜10のいずれか1項記載のエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質を備えるエネルギー貯蔵デバイス用電極。
  15. 請求項1〜10のいずれか1項記載のエネルギー貯蔵デバイス電極用負極活物質のみからなるエネルギー貯蔵デバイス用電極。
  16. 請求項11〜15のいずれか1項記載のエネルギー貯蔵デバイス用電極を備えるエネルギー貯蔵デバイス。
  17. (a)熱可塑性樹脂と、(b)アンモニウム基を分子末端に有し、重量平均分子量が1,000〜5,000,000のハイパーブランチポリマーと、(c)金属微粒子とを含む樹脂組成物をエレクトロスピニング法にて導電性基材の片面又は両面に付着させてナノファイバー集合体を含む積層体を作製する工程、及び
    前記工程で得られた積層体を無電解銅めっき処理し、さらに無電解スズめっき処理するめっき工程を備えることを特徴とするエネルギー貯蔵デバイス用電極の製造方法。
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