JP6789629B2 - アルキルメルカプタンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は脂肪族アルコールと硫化水素とを不均一系触媒の存在下に変動する温度で反応させることによるアルキルメルカプタンの製造方法に関する。
アルカンチオールとも称されるアルキルメルカプタンは、少なくとも1つの共有結合チオール基(−SH)を官能基として有する有機化合物である。形式的な観点では、アルキルメルカプタンは酸素原子が硫黄原子に置換されたアルキルアルコールに相当する。アルキルメルカプタンは、重要な有機合物の合成における有用な出発化合物または中間化合物である。例えば、メチルメルカプタンは、メチオニンおよびジメチルスルホキシドまたはジメチルスルホンの合成における極めて重要な中間化合物である。現在、低分子量のアルキルメルカプタン、例えばメチルメルカプタンは、主に、脂肪族アルコールと硫化水素とを、典型的には酸化アルミニウムをベースとする不均一系触媒の存在下に反応させることにより製造されており、該反応は気相中で250℃〜500℃の温度で1バール〜25バールの圧力で行われる。しかしながら、所望のアルキルメルカプタンの他に、反応混合物は、未反応の出発材料、そしてさらに重大なことには副生成物、例えばジアルキルスルフィドおよびジアルキルエーテル、並びに用いられる反応条件下で不活性であるガス、例えばアルカン、一酸化炭素、二酸化炭素、水並びに窒素を含み、そして脂肪族アルコールがメタノール以外である場合にはオレフィンも副生成物として形成される。従って所望のアルキルメルカプタンをこうした化合物から分離しなければならず、この分離は典型的には分留により行われる。従って最も大きなコスト要因は特に、アルキルメルカプタンを凝縮するための反応混合物の冷却に必要なエネルギー入力である。
従って、アルキルメルカプタンを製造するための経済的競争力のある方法には、未反応の出発材料および副生成物からアルキルメルカプタンを分離するためのエネルギー入力をできるだけ低く抑えることが求められる。実際にはこの目的は、アルキルメルカプタン形成に関する最大限の選択率、または脂肪族アルコールに関する最大限の転化率、またはこれら双方の組み合わせによって達成されるものと考えられる。
通常は、塩基性酸化アルミニウム系触媒がアルキルメルカプタンの製造において不均一系触媒として使用される。典型的には、アルカリ金属タングステン酸塩、例えばタングステン酸カリウムまたはタングステン酸セシウムを酸化アルミニウムに添加することによって、アルキルメルカプタン形成のための触媒の活性および選択率が高まる。添加されるアルキル金属タングステン酸塩は、促進剤または活性促進剤とも称されることが多い。そのような促進剤を伴う触媒は、典型的には含浸技術により製造される。触媒の全質量を基準としたタングステン酸塩の量は、例えば特許文献1(米国特許第2,820,062号明細書)に記載の通り通常は約25質量%以下である。
例えば特許文献2(欧州特許出願公開第0832878号明細書)に記載の方法によって、触媒中のアルカリ金属タングステン酸塩の量を触媒の全質量を基準として25質量%の値に増加することができる。しかしながら該方法は比較的煩雑であって時間がかかり、それというのも、該方法は複数の方法ステップを必要とするためである:酸化アルミニウムが特定のアルカリ金属タングステン酸塩の溶液に複数回含浸され、かつ各含浸ステップの後に高められた温度での乾燥または焼成が行われる。
触媒の全質量を基準として25質量%超の量のアルカリ金属タングステン酸塩を有する触媒に関して、選択率のさらなる上昇が認められている。特許文献3(独国特許出願公開第10338887号明細書)に記載の通り、最終触媒における25質量%超のアルカリ金属タングステン酸塩の濃度は、当該アルカリ金属とタングステン酸塩とを2未満:1の化学量論比で含む含浸溶液を酸化アルミニウムに施与した場合にのみ実現可能である。しかしながら、観察された選択率の増加は常に活性の低下を伴う。
アルカリ金属、例えばセシウムとタングステン酸塩とを非化学量論比で含む含浸溶液を使用することによって、触媒へのアルカリ金属タングステン酸塩の負荷を、触媒の全質量を基準としてさらに35質量%超の値へと増加させることは、原則的には可能である。しかしながらそのような高いタングステン酸塩負荷を伴う触媒に関しては、脂肪族アルコールの転化率の顕著な上昇もアルキルメルカプタン選択率の上昇も認められなかった。むしろ、触媒の全質量を基準として45質量%超のタングステン酸塩が負荷されている触媒に関しては、脂肪族アルコールの転化率およびアルキルメルカプタンの形成に関する選択率は低下することが認められた。
含浸技術により得られる最良の触媒は約95%のアルキルメルカプタン選択率をもたらすが、脂肪族アルコールに関しては約80%という比較的低い転化率しかもたらさない。
従って、触媒系の最適化に関する限り、アルキルメルカプタン選択率の何らかのさらなる向上は、触媒系の変更によってのみ、例えば含浸技術によって得られる触媒を混合技術によって得られる触媒に置き換えることによってのみ、可能である。後者は特許文献4(国際公開第2013/092129号)に記載の通り、酸化アルミニウム粒子と酸化性タングステン化合物、例えばタングステン酸またはアルカリ金属タングステン酸塩と少なくとも1種の別のアルカリ金属化合物との混合によって得ることができる。該方法を用いた場合、触媒の全質量を基準として45質量%超のタングステン酸塩を触媒に負荷させることが可能である。該触媒は、97%以下のメチルメルカプタン選択率および98%以下のメタノール転化率をもたらす。しかしながら、この好影響はメチルメルカプタン製造の初期段階においてしか認められない。その後、メタノール転化率およびメチルメルカプタン選択率が急速に低下すると同時に、メチルメルカプタン製造における副生成物であるジメチルエーテルの形成が着実に増加する。メタノール転化率およびメチルメルカプタン選択率に関する初期の高い値は、テトラチオタングステン酸二セシウム(W4Cs816)を含む触媒活性相によって引き起こされると考えられる。メチルメルカプタン選択率の低下は、メチルメルカプタンの形成に関する選択率がW4Cs816よりも低い、結晶質の二硫化タングステン(WS4)の形成によるものと考えられる。さらに、特許文献4に記載されているような混合技術による触媒製造はアルカリ金属とタングステンとの機械的混合をもたらすに過ぎず、これは二硫化タングステン結晶の成長を助長するものと考えられる。これに対して、含浸技術による触媒の製造はアルカリ金属とタングステンとのイオンレベルでの混合を促進する。
また、アルキルメルカプタン形成に関する選択率の向上は、アルコールに対する硫化水素のモル比を高めることによっても達成可能である。メチルメルカプタンの製造においては、通常は例えば1:1〜10:1の硫化水素対メタノールのモル比が用いられる。しかしながら、アルキルメルカプタンに対する硫化水素のモル比が高いと、必然的に反応混合物中に大過剰の硫化水素が生じるため、多量のガスを方法に再循環させる必要がある。多量のガスの再循環には高いエネルギー入力が必要であるため、硫化水素の過剰をできるだけ低く抑えると同時に、良好なアルキルメルカプタン選択率を達成することが目的とされる。従って実際には、硫化水素対脂肪族アルコールのモル比は1:1からわずかにしかずれない。従って、硫化水素とアルコールとのモル比を変更することによって転化率および選択率を改善しうる可能性は限定的である。
米国特許第2,820,062号明細書 欧州特許出願公開第0832878号明細書 独国特許出願公開第10338887号明細書 国際公開第2013/092129号
従って本発明の課題は、アルキルメルカプタン製造の全期間にわたって高い選択率でアルキルメルカプタンをもたらす、脂肪族アルコールおよび硫化水素からアルキルメルカプタンを製造するための方法を提供することであった。
前記課題は、アルキルメルカプタン製造の間の反応温度を、より高温の期間とより低温の期間とで変更することによって解決されることが判明した。具体的には、通常用いられる初期温度でのアルキルメルカプタン製造の期間の後に、反応温度を特定の期間にわたってより高温に上げ、次いで反応温度をある温度に下げた場合に、アルキルメルカプタン選択率の上昇が達成されることが判明した。
従って本発明の対象は、脂肪族アルコールと硫化水素とを不均一系触媒の存在下に反応させることによるアルキルメルカプタンの製造方法であって、以下のステップ:
a)アルキルメルカプタンの製造を温度T1で開始し、かつアルキルメルカプタンを温度T1で期間t1にわたって製造するステップ、および
b)n回の温度サイクルを実施するステップであって、以下のステップ:
b1)反応温度を温度T2に上げ、かつアルキルメルカプタンを温度T2で期間t2にわたって製造するステップ、およびそれに続いて、
b2)反応温度を温度T2から温度T3へと下げ、かつアルキルメルカプタンを温度T3で期間t3にわたって製造するステップ
を含むものとする、前記ステップ
を含む前記方法において、
温度T2が温度T1およびT3よりも常に高く、かつ、
nが0より大きい整数である、前記方法である。
本発明の方法によれば、少なくとも1つの温度サイクルが実施され、その際、反応温度はステップb1)において温度T2へと上げられ、かつステップb2)において温度T2は温度T3へと下げられる。複数の温度サイクルが実施される場合には、反応温度という用語は、第1の反応サイクルに関しては出発反応温度としての温度T1を指し、第2およびさらなる全ての温度サイクルに関しては出発反応温度としての温度T3を指す。
典型的には、脂肪族アルコールおよび硫化水素からのアルキルメルカプタンの合成は約250℃〜約500℃の温度で行われる。さらに、該合成は典型的には1バール〜約50バールの圧力で行われる。本発明の明細書においては、約という用語は、温度に関しては、明示された温度と±10℃異なる考えられる全ての温度を指すために用いられる。従って約250℃という用語には、240℃〜260℃の温度についての全ての整数および実数の値が含まれ、特に240℃、241℃、242℃、243℃、244℃、245℃、246℃、247℃、248℃、249℃、250℃、251℃、252℃、253℃、254℃、255℃、256℃、257℃、258℃、259℃および260℃という整数値が含まれる。同様に約500℃という用語には、490℃〜510℃の温度についての全ての整数および実数の値が含まれ、特に490℃、491℃、492℃、493℃、494℃、495℃、496℃、497℃、498℃、499℃、500℃、501℃、502℃、503℃、505℃、506℃、507℃、508℃、509℃および510℃という整数値が含まれる。さらに本発明の明細書においては、約という用語は、圧力に関しては、明示された圧力と±5バール異なる考えられる全ての圧力を指すために用いられる。従って、約50バールという用語には、45バール〜55バールの圧力についての全ての整数および実数の値が含まれ、特に45バール、46バール、47バール、48バール、49バール、50バール、51バール、52バール、53バール、54バールおよび55バールという整数値が含まれる。
典型的には、初期温度T1とも称される温度T1、および本発明による方法におけるステップb2)における温度T3は、互いに独立して約250℃〜約350℃の範囲にある。なぜならば、該範囲内の温度を用いると、約95%の選択率でのアルキルメルカプタン合成がすでに可能であるためである。そのようにして得られるアルキルメルカプタン選択率は、数日間、またさらには数週間にわたって実質的に一定である。約250℃という用語は、本発明の明細書における該用語の前述の理解に従って用いられる。本発明の明細書における約という用語の理解に従って、約350℃という用語には、340℃〜360℃の温度についての全ての整数および実数の値が含まれ、特に340℃、341℃、342℃、343℃、344℃、345℃、346℃、347℃、348℃、349℃、350℃、351℃、352℃、353℃、354℃、355℃、356℃、357℃、358℃、359℃および360℃という整数値が含まれる。
従って本発明の一実施形態においては、温度T1および温度T3は、互いに独立して250℃±10℃〜350℃±10℃の範囲にある。
好ましくは、温度T1は約270℃〜約340℃の範囲内にある。さらに好ましくは、温度T1は約290℃〜約320℃の範囲内にある。なぜならば、該範囲内の温度によってさらに95%超の選択率でのメチルメルカプタン形成が可能であり、かつメチルメルカプタン選択率の該値が、数日間、またさらには数週間にわたって実質的に一定であるためである。
各温度サイクルの間に、反応温度は、ステップb1)において、前の反応温度、すなわち温度T1または温度T3のいずれかの温度から温度T2へと上げられる。本発明によれば、温度T2は温度T1およびT3よりも常に高い。具体的には、温度T2は温度T1およびT3のそれぞれよりも少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃、少なくとも15℃または少なくとも20℃高い。好ましくは、温度T2は約340℃〜約500℃の範囲にある。本発明の明細書における温度に関する約という用語の理解に従って、約340℃という用語には、330℃〜350℃の温度についての全ての整数および実数の値が含まれ、特に330℃、331℃、332℃、333℃、334℃、335℃、336℃、337℃、338℃、339℃、340℃、341℃、342℃、343℃、344℃、345℃、346℃、347℃、348℃、349℃および350℃という整数値が含まれる。従って、温度T2は340℃またはそれを下回る最低値を有することができるが、このことは温度T1およびT3のそれぞれが温度T2を下回るという条件下でのみ該当する。例えば温度T1またはT3が340℃の値を有する場合には、温度T2は少なくとも345℃、好ましくは350℃超、355℃超または360℃超の値を有していなければならない。同様に約500℃という用語には、490℃、491℃、492℃、493℃、494℃、495℃、496℃、497℃、498℃、499℃、500℃、501℃、502℃、503℃、504℃、505℃、506℃、507℃、508℃、509℃および510℃の温度についての全ての整数および実数の値が含まれる。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、ステップb1)における温度上昇はアルキルメルカプタンの製造方法において使用される触媒の再活性化をもたらすものと考えられる。さらに、この触媒の再活性化も触媒の硫化であるものと考えられる。
従って本発明による方法の他の実施形態においては、温度T2は、温度T1およびT3のそれぞれよりも少なくとも5℃高い。
好ましくは、温度T2は、温度T1およびT3のそれぞれよりも少なくとも10℃、少なくとも15℃または少なくとも20℃高い。
本発明によれば、反応温度はステップb2)において温度T2から温度T3へと下げられる。従ってさらに、温度T1および温度T3は、互いに独立して約250℃〜約350℃の範囲にある。従って、温度T3は温度T1より高くてもよいし温度T1と等しくてもよい。温度T3が各温度サイクルにおいて同一の値を有することも可能である。また、n回目の温度サイクルの温度T3が、先行するn−1回目の温度サイクルの温度T3よりも低いかまたは高い値を有することも可能である。
従って本発明による方法の他の実施形態においては、n回目の温度サイクルの温度T3は、先行するn−1回目の温度サイクルにおける温度T3と等しいかまたは異なる値を有する。
通常は、アルキルメルカプタンの合成は脂肪族アルコールに関して約90%の転化率を許容する条件下に行われる。ここで、約90%という用語は85%〜95%の転化率を指すために用いられる。従って約90%という用語には、85%〜95%の全ての整数および実数の値が含まれ、特に85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%および95%という整数値が含まれる。
アルキルメルカプタン選択率に加えて、脂肪族アルコールの転化率は脂肪族アルコールおよび硫化水素からのアルキルメルカプタン製造におけるもう1つの重要な側面である。本発明による方法のステップa)、b1)およびb2)において用いられる温度によって、当該アルコールの特定の転化率がもたらされる。比較的高い温度では本方法において使用される触媒系の活性は比較的高く、従ってこれによりアルコール転化率が上昇し、かつ各メルカプタンの形成に関する選択率が低下する。対照的に、比較的低い温度では本発明による方法において使用される触媒系の活性は比較的低い。これによってアルコール転化率が低下し、かつアルキルメルカプタンの形成に関する選択率が上昇する。例えば約250℃〜約340℃の範囲内の温度T1によって、90±1%のアルコール転化率および約96.5%のメルカプタン選択率がもたらされる。これに対して、約340℃〜約500℃の温度T2によって、約99%のアルコール転化率がもたらされると同時に最高で94.5%のメルカプタン選択率がもたらされる。最後に、温度T1よりも低くてもよいし温度T1と等しくてもよい温度T3によって、当該メルカプタンが最高で少なくとも95%、またさらには97%の選択率でもたらされ、かつ90±0.5%のアルコール転化率がもたらされる。
従って本発明による方法は、好ましくは、以下のステップ:
a)アルキルメルカプタンの製造を温度T1で開始し、かつアルキルメルカプタンを温度T1で期間t1にわたって製造し、その際、反応に供給された脂肪族アルコールの、最高で95%、好ましくは95%未満または92%未満が転化されるものとするステップ、および
b)n回の温度サイクルを実施するステップであって、以下のステップ:
b1)反応温度を温度T2に上げ、かつアルキルメルカプタンを温度T2で期間t2にわたって製造し、その際、反応に供給された脂肪族アルコールの、少なくとも95%、好ましくは95%超または97%超、さらに好ましくは99%、さらには100%が転化されるものとするステップ、およびそれに続いて、
b2)反応温度を温度T2から温度T3へと下げ、かつアルキルメルカプタンを温度T3で期間t3にわたって製造し、その際、反応に供給された脂肪族アルコールの、最高で95%、好ましくは95%未満または92%未満が転化されるものとするステップ
を含むものとする、前記ステップ
を含み、その際、
温度T2は温度T1およびT3よりも常に高く、かつ、
nが0より大きい整数であるものとする。
異なる温度サイクルにおける温度T2に関して、本発明による方法には、温度T2が温度T1およびT3よりも常に高いという制限以外にいかなる制限も課されていない。例えば、温度T2が各温度サイクルにおいて同一の値を有することが可能である。この場合、n回目の温度サイクルにおける温度T2は、先行するn−1回目の温度サイクルにおける温度T2と同一の値を有する。このシナリオは、温度T2が全く同一の値であると概して各アルキルメルカプタンの形成に関する選択率が同様に上昇する、という状況に適している。
従って本発明による方法の一実施形態においては、n回目の温度サイクルにおける温度T2は、先行するn−1回目の温度サイクルにおける温度T2と同一の値を有する。
また、連続する各温度サイクルにおける温度T2を、先行する温度サイクルにおける温度T2に対して特定の温度範囲だけ、例えば1℃、2℃、3℃、4℃または5℃の温度範囲だけ、上げることも可能である。例えば、5回目の温度サイクル(温度サイクル数n=5)が温度T2=350℃で行われた後に、次の6回目の温度サイクル(温度サイクル数n=6、すなわち先行する温度サイクルに対してn+1回目の温度サイクル)において、温度T2が、例えば351℃、352℃、353℃、345℃または345℃の値に上げられる。このシナリオは、温度T2が全く同一の値であると、各アルキルメルカプタンの形成に関する選択率がもはや同様には上昇しない、という状況に適している。このようなケースでは、連続する温度サイクルにおける温度T2の恒常的な上昇のみが、触媒の所望の硫化およびアルキルメルカプタン形成に関する選択率の所望の上昇をもたらしうると考えられる。
従って本発明による方法の他の一実施形態においては、n回目の温度サイクルにおける温度T2は、先行するn−1回目の温度サイクルにおける温度T2よりも高い値を有する。
しかしながら、それぞれの新たな温度サイクルにおいて温度T2が先行する温度サイクルにおける温度T2よりも上がることは、必須ではない。むしろ、新たな温度サイクルにおいて、温度T2を、先行する温度サイクルの温度T2に対して散発的にのみ上げることも可能である。例えば、先行する温度サイクルの温度T2が、アルキルメルカプタン形成に関して高められたまたは少なくとも回復された選択率をもはやもたらさない場合には、新たな温度サイクルの温度T2を、先行する温度サイクルの温度T2よりも高めることが必要でありうる。これに対して、反応の過程で触媒の選択率が次第に低下する場合には、それぞれの新たな温度サイクルに伴って温度T2を段階的に高めることが必要でありうる。その場合には、n回目の各温度サイクルにおける温度T2が、先行するn−1回目の温度サイクルにおける温度T2よりも高い値を有することが好ましい。
実際には、ステップa)における期間t1は、アルキルメルカプタン形成に使用される触媒の選択率の低下に依存する。第1の温度サイクルは、反応が開始された後すぐに、またはアルキルメルカプタン形成に関する選択率のかなりの低下が認められた場合に、例えば、アルキルメルカプタン形成に関する選択率が約96%から約93%に低下した場合に、行われることができ、その際、約という用語は、選択率に関して明示された値から±0.5%ずれることを指すために用いられる。典型的には、このことは1カ月の運転時間の後に生じる。従って、期間t1が終了したと考えられる時に本発明による方法のステップb)による第1の温度サイクルが行われる。典型的には、期間t1は約1時間〜1カ月間の範囲であり、好ましくは約30日間である。本発明の明細書においては、約という用語は、期間に関しては、明示された値と±10%だけ異なる全ての期間を指すために用いられる。従って約1時間という用語には、1時間−10%〜1時間+10%の全ての整数および実数が含まれる。約という用語は、日数に関しては、±10%の全てのずれを指すために用いられる。従って約30日間という用語には、27〜33日間の全ての整数および実数の値が含まれ、特に27、28、29、30、31、32および33日間という整数値が含まれる。本明細書における1カ月とは少なくとも1カ月を意味する。
従って本発明による方法の一実施形態においては、期間t1は、1時間±10%〜1カ月間の範囲にある。
反応温度が温度T2に上げられかつこの温度でアルキルメルカプタンの製造が行われるステップb1)における期間t2は、典型的には約1時間〜約50時間の範囲にある。いずれの場合にも、触媒の、特にアルカリ金属タングステン酸塩を含有する酸化アルミニウム系触媒の選択率の上昇が、約2時間〜約24時間の範囲内の期間t2にわたって常に認められた。本発明の明細書においては、約という用語は、期間に関しては、明示された値と±10%だけ異なる全ての期間を指すために用いられる。従って約1時間という用語には、1時間−10%〜1時間+10%の全ての整数および実数が含まれ、かつ約50時間という用語には、45時間〜55時間の全ての整数および実数の値が含まれる。同様に約6時間という用語には、6時間−10%〜6時間+10%の全ての整数および実数の値が含まれ、かつ約24時間という用語には、24時間−10%〜24時間+10%の全ての整数および実数の値が含まれる。
本発明による方法の他の実施形態においては、期間t2は、1時間±10%〜50時間±10%の範囲にある。
ステップb1)の完了後、アルキルメルカプタンの製造は、ステップb2)において、約24時間から反応器に新たな触媒が再装填されるまでの期間t3にわたって、約97%までの高められた選択率で行われることができる。該期間中、アルキルメルカプタン形成に関する選択率は永続的に95%超である。いかなる場合にも、アルキルメルカプタン製造は常に、約24時間から反応器に新たな触媒が再装填されるまでの期間t3にわたって、95%超のアルキルメルカプタン選択率で行われることができる。ここで、約24時間という用語は上記に定義される通りに用いられる。典型的には、古い触媒が完全に消耗され、かつ本発明による温度サイクルの実施によってアルキルメルカプタン選択率に関して触媒が再生されえなくなった場合に、反応器に新たな触媒が再装填される。しかしながらほとんどの場合には、アルキルメルカプタン形成に関する選択率が例えば約90%以下に著しく低下した時には、期間t3はすでに終了している。典型的には、このことは使用される触媒の状態に応じて1カ月以上後に生じる。従って、期間t3は通常は1カ月以下、すなわち少なくとも1カ月である。
従って本発明による方法の一実施形態においては、期間t3は、反応器に新たな触媒が再装填されるまでの期間である。
本発明による方法の好ましい一実施形態においては、期間t3は1カ月以下である。
典型的には、アルキルメルカプタンの工業的合成は不均一系触媒の存在下に行われる。該触媒は、通常は酸化アルミニウム系触媒である。なぜならば、酸化アルミニウム自体がすでにアルキルアルコールおよび硫化水素からのアルキルメルカプタン形成において触媒活性を示すためである。アルキルメルカプタン形成に関する選択率の向上のために、酸化アルミニウムは通常は促進剤と混合される。該促進剤は、好ましくはアルカリ金属タングステン酸塩、例えばタングステン酸カリウム(K2WO4)またはタングステン酸セシウム(Cs2WO4)である。促進剤としても適している他のアルカリ金属タングステン酸塩には、縮合タングステン酸塩、例えばポリタングステン酸塩またはイソポリタングステン酸塩、例えばテトラタングステン酸セシウム(Cs8416)、ヘプタタングステン酸セシウム(Cs6724)、デカタングステン酸セシウム(Cs41032)またはドデカタングステン酸セシウム(Cs21240)が含まれる。
アルカリ金属対タングステンのモル比が2未満:1であるアルカリ金属タングステン酸塩、例えばアルカリ金属タングステンブロンズも、適した促進剤である。好ましくは、アルカリ金属タングステンブロンズは、一般式AxWOy[式中、Aはナトリウム、カリウム、セシウム、ルビジウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ金属であり、xは0.9以上2未満であり、すなわちxは0.9≦x<2の条件に合致し、かつyは3.4以上4未満であり、すなわちyは3.4≦y<4の条件に合致する]に相当する酸化性化合物である。アルカリ金属対タングステンのモル比は、好ましくは2未満:1〜0.9:1、特に1.9:1〜1:1の範囲にある。アルカリ金属タングステンブロンズであるK1.6WOy、Rb0.9WOy、K0.7WOyおよびNa0.3Cs1.1WOyは、アルキルメルカプタン製造における触媒のための特に好ましい促進剤である。
従って本発明による方法の一実施形態においては、使用される触媒は、アルカリ金属タングステン酸塩を含有する酸化アルミニウム系触媒である。
本発明による方法および特に温度サイクルは、タングステン酸セシウムを含有する触媒が使用される場合に特に良好な結果をもたらすことが判明した。
従って本発明による方法の一実施形態においては、触媒はタングステン酸セシウムを含む。
アルカリ金属タングステン酸塩の他に、アルキルメルカプタン製造のための触媒は、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物およびそれらの混合物からなる群から選択されるハロゲン化物をも含有することができる。ハロゲン化物の付加的な存在は、少なくとも1種のアルカリ金属とタングステンとのモル比に何ら影響を与えない。従って好ましくは、ハロゲン化物を含有するアルカリ金属タングステン促進剤は、一般式AxWOyz[式中、Aはナトリウム、カリウム、セシウム、ルビジウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ金属であり、xは0.9以上2未満であり、すなわちxは0.9≦x<2の条件に合致し、Wはタングステンであり、yは3.4以上4未満であり、すなわちyは3.4≦y<4の条件に合致し、Xはフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のハロゲン化物であり、かつzは0.01以上12未満であり、すなわちzは0.01≦z<12の条件に合致する]に相当する。適したハロゲン化物含有促進剤は、例えば、フッ化セシウム、塩化セシウム、臭化セシウム、ヨウ化セシウムまたはそれらの組み合わせ、特にフッ化セシウムと臭化セシウムとの組み合わせが添加されたCs2WO4である。
アルキルメルカプタンの製造に適した触媒の一般的な製造方法によって該触媒はその酸化形でもたらされるが、しかしながらこれは該触媒の失活形態または不活性形態と考えられる。該触媒の活性化は、通常は該触媒の表面上の付加的な硫黄の存在によって生じる。該触媒の表面への硫黄の付与は、複数のプロセスを通じて行われることができる。表面へ硫黄を付与するための最も容易な方法は、硫化水素での処理による該表面の直接的な硫化である。原則的に、そのような硫化は、各アルカリ金属タングステン酸塩含有触媒について、該触媒が脂肪族アルコールと硫化水素との反応によるアルキルメルカプタン生成を触媒するために使用される場合に認められる。それにもかかわらず、触媒を本発明による方法において使用する前に該触媒を硫化することが有益であり、それというのもこの場合には該触媒はすでにその活性形にあり、従って触媒反応の最初から最大限のターンオーバー数がもたらされるためである。
従って本発明による方法の一実施形態においては、触媒はアルキルメルカプタンの製造において該触媒が使用される前に硫化される。
原則的に、本発明による方法には、相応するアルキルメルカプタンへと反応される脂肪族アルコールに関して何ら特定の制限は課されていない。該脂肪族アルコールに関する条件は、i)該脂肪族アルコールが、所望のアルキルメルカプタンに関する収率の低下を生じるいかなる副反応下にもおかれてはならないこと、ii)該脂肪族アルコールが、本発明による方法における最も低い反応温度よりも低い沸点を有すること、およびiii)該脂肪族アルコールの沸点が相応する脂肪族チオールの沸点と十分に相違しており、従って蒸留により互いを完全に分離することが可能であること、のみである。共沸混合物を除いて、沸点が約10K相違する有機化合物は蒸留により互いに容易かつ完全に分離されることができる。一般に、1〜3個の炭素原子を有する脂肪族アルコールは、蒸留によってその相応する脂肪族アルキルチオールから容易に分離されることができる。例えば、メタノールの沸点(64.9℃)とメチルメルカプタンの沸点(6.2℃)とは58℃超相違する。各アルキル鎖が長いほど、脂肪族アルコールの沸点とその相応するチオールの沸点とは近くなる。例えば、エタノールの沸点(78℃)とエチルメルカプタンの沸点(35.0℃)とは42℃相違し、かつn−プロパノールの沸点(82℃)およびイソプロパノール(2−プロパノール)の沸点(97℃)は、それらの相応するアルキルメルカプタンの沸点と約30℃または29℃しか相違しない。それにもかかわらず、該アルコールはその相応するチオールと容易に分離されることができる。それに対して、tert−ブタノールの沸点とtert−ブチルメルカプタンの沸点とは互いに18℃しか離れておらず、かつn−ブタノールの沸点およびイソブタノールの沸点は相応するチオールの沸点とほぼ同一である。
従って本発明による方法の一実施形態においては、脂肪族アルコールはC1〜C3−アルコールである。
本発明による方法の好ましい一実施形態においては、脂肪族アルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールまたはtert−ブタノールである。
本発明による方法により得られたまたは得られる経済的に最も重要なアルキルメルカプタンは、メチルメルカプタンである。
従って本発明による方法のさらなる好ましい一実施形態においては、脂肪族アルコールはメタノールである。
本発明はさらに以下の項目により説明される:
1. 脂肪族アルコールと硫化水素とを不均一系触媒の存在下に反応させることによるアルキルメルカプタンの製造方法であって、以下のステップ:
a)アルキルメルカプタンの製造を温度T1で開始し、かつアルキルメルカプタンを温度T1で期間t1にわたって製造するステップ、および
b)n回の温度サイクルを実施するステップであって、以下のステップ:
b1)反応温度を温度T2に上げ、かつアルキルメルカプタンを温度T2で期間t2にわたって製造するステップ、およびそれに続いて、
b2)反応温度を温度T2から温度T3へと下げ、かつアルキルメルカプタンを温度T3で期間t3にわたって製造するステップ
を含むものとする、前記ステップ
を含む前記方法において、
温度T2が温度T1およびT3よりも常に高く、かつ、
nが0より大きい整数である、前記方法。
2. 温度T1および温度T3が、互いに独立して250℃±10℃〜350℃±10℃の範囲にある、項目1に記載の方法。
3. 温度T2が、温度T1およびT3のそれぞれよりも少なくとも5℃高い、項目1または2に記載の方法。
4. n回目の温度サイクルの温度T3が、先行するn−1回目の温度サイクルにおける温度T3と等しいかまたは異なる値を有する、項目1から3までのいずれか1つに記載の方法。
5. n回目の温度サイクルにおける温度T2が、先行するn−1回目の温度サイクルにおける温度T2と同一の値を有する、項目1から4までのいずれか1つに記載の方法。
6. n回目の温度サイクルにおける温度T2が、先行するn−1回目の温度サイクルにおける温度T2よりも高い値を有する、項目1から4までのいずれか1つに記載の方法。
7. 期間t1が、1時間±10%〜1カ月間の範囲にある、項目1から6までのいずれか1つに記載の方法。
8. 期間t2が、1時間±10%〜50時間±10%の範囲にある、項目7に記載の方法。
9. 期間t3が、反応器に新たな触媒が再装填されるまでの期間である、項目1から8までのいずれか1つに記載の方法。
10. 期間t3が1カ月以下である、項目9に記載の方法。
11. アルカリ金属タングステン酸塩を含む酸化アルミニウム系触媒を使用する、項目1から10までのいずれか1つに記載の方法。
12. 前記触媒がタングステン酸セシウムを含む、項目11に記載の方法。
13. 前記触媒をアルキルメルカプタンの製造において使用する前に硫化する、項目1から12までのいずれか1つに記載の方法。
14. 前記脂肪族アルコールがC1〜C3−アルコールである、項目1から13までのいずれか1つに記載の方法。
15. 前記脂肪族アルコールが、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールまたはtert−ブタノールである、項目14に記載の方法。
図1は、本発明の方法による温度サイクルが行われた後の、メチルメルカプタンの形成に関する選択率の増加を示す。
メタノールおよび硫化水素からのメチルメルカプタンの製造を、促進剤としてのタングステン酸セシウムを含有する酸化アルミニウム系触媒上で、294cmの触媒層長および1,760グラムの全触媒質量を有する通常の管形反応器中で、59日間にわたって行った。
反応条件および実験結果を以下の第1表にまとめた。

Claims (17)

  1. 脂肪族アルコールと硫化水素とを不均一系触媒の存在下に反応させることによるアルキルメルカプタンの製造方法であって、以下のステップ:
    a)アルキルメルカプタンの製造を温度T1で開始し、かつアルキルメルカプタンを温度T1で期間t1にわたって製造するステップ、および
    b)n回の温度サイクルを実施するステップであって、以下のステップ:
    b1)反応温度を温度T2に上げ、かつアルキルメルカプタンを温度T2で期間t2にわたって製造するステップ、およびそれに続いて、
    b2)反応温度を温度T2から温度T3へと下げ、かつアルキルメルカプタンを温度T3で期間t3にわたって製造するステップ
    を含むものとする、前記ステップ
    を含む前記方法において、
    温度T2が温度T1およびT3よりも常に高く、
    温度T2が、340℃±10℃〜500℃±10℃の範囲にあり、
    期間t2が、1時間±10%〜50時間±10%の範囲にあり、
    かつ、
    nが0より大きい整数である、
    前記方法。
  2. 温度T1および温度T3が、互いに独立して250℃±10℃〜350℃±10℃の範囲にある、請求項1に記載の方法。
  3. 温度T2が、温度T1およびT3のそれぞれよりも少なくとも5℃高い、請求項1または2に記載の方法。
  4. 温度T1が、270℃±10℃〜340℃の範囲にある、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
  5. 温度T1が、290℃±10℃〜320℃±10℃の範囲にある、請求項4に記載の方法。
  6. 温度T1が、290℃±10℃〜320℃±10℃の範囲にあり、温度T2が、340℃±10℃〜500℃±10℃の範囲にあり、温度T3が、250℃±10℃〜350℃±10℃の範囲にある、請求項1に記載の方法。
  7. n回目の温度サイクルの温度T3が、先行するn−1回目の温度サイクルにおける温度T3と等しいかまたは異なる値を有する、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
  8. n回目の温度サイクルにおける温度T2が、先行するn−1回目の温度サイクルにおける温度T2と同一の値を有する、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
  9. n回目の温度サイクルにおける温度T2が、先行するn−1回目の温度サイクルにおける温度T2よりも高い値を有する、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
  10. 期間t1が、1時間±10%〜1カ月間の範囲にある、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
  11. 期間t3が、反応器に新たな触媒が再装填されるまでの期間である、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
  12. 期間t3が1カ月以下である、請求項11に記載の方法。
  13. アルカリ金属タングステン酸塩を含む酸化アルミニウム系触媒を使用する、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記触媒がタングステン酸セシウムを含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記触媒をアルキルメルカプタンの製造において使用する前に硫化する、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記脂肪族アルコールがC〜C−アルコールである、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記脂肪族アルコールが、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールまたはtert−ブタノールである、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
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