JP6789074B2 - カラーフィルター用着色剤及びその製造方法 - Google Patents
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Description
[1]樹脂処理顔料、顔料分散剤、及び有機溶媒を含有する顔料分散液であり、前記樹脂処理顔料は、顔料と、前記顔料100質量部に対して5〜30質量部の樹脂Aとを含み、前記樹脂Aは、下記一般式(1)で表される構成単位(1)及びメタクリル酸に由来する構成単位(2)を含む共重合体であり、前記樹脂A中の前記構成単位(1)の含有割合が、10〜50質量%であり、前記メタクリル酸に由来する前記樹脂Aの酸価が、20〜160mgKOH/gであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される前記樹脂Aのポリスチレン換算の数平均分子量が、5,000〜20,000であり、前記顔料分散剤は、アミノ基を有する塩基性の樹脂Bであるカラーフィルター用着色剤。
[3]前記顔料分散剤が、Cブロック及びDブロックを含むC−Dブロックコポリマーであり、前記Cブロックにのみ、アミノ基を有するモノマーに由来する構成単位(3)が含まれており、前記Dブロックには、酸性基を有するモノマーに由来する構成単位が含まれていない前記[1]又は[2]に記載のカラーフィルター用着色剤。
[4]カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位を含む樹脂Cをさらに含有する前記[1]〜[3]のいずれかに記載のカラーフィルター用着色剤。
[5]前記Bブロックのガラス転移点が、30℃以上である前記[2]に記載のカラーフィルター用着色剤。
[6]前記樹脂処理顔料100質量部に対する、前記顔料分散剤の含有量が、5〜50質量部である前記[1]〜[5]のいずれかに記載のカラーフィルター用着色剤。
[7]前記顔料が、金属フタロシアニン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ系顔料、キノフタロン系顔料、及びアントラキノン系顔料からなる群より選択される少なくとも一種である前記[1]〜[6]のいずれかに記載のカラーフィルター用着色剤。
[8]前記[1]〜[7]のいずれかに記載のカラーフィルター用着色剤の製造方法であって、前記顔料100質量部、下記一般式(2)で表される色素誘導体2〜10質量部、及び樹脂Dを水中で混合する工程と、酸を加えて前記樹脂Aを析出させ、前記顔料と前記樹脂Aを複合化して前記樹脂処理顔料を得る工程と、を有し、下前記樹脂Dが、下記一般式(3)で表されるモノマーに由来する構成単位(3)及びメタクリル酸に由来する構成単位(2)を含む、前記構成単位(2)の少なくとも一部がアルカリで中和されている共重合体であるカラーフィルター用着色剤の製造方法。
(前記一般式(2)中、Mはアンモニウム塩、有機アミン塩、又はアルカリ金属塩を示し、Yは色素骨格又は色素類似骨格を示す)
(前記一般式(3)中、R 1 、R 2 、及びR 3 は、それぞれ独立にベンジル基又は炭素数1〜18のアルキル基を示し、Zはハロゲン原子を示す)
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明のカラーフィルター用着色剤(以下、「CF用着色剤」とも記す)は、樹脂処理顔料、顔料分散剤、及び有機溶媒を含有する顔料分散液である。樹脂処理顔料は、顔料と、樹脂Aとを含み、樹脂Aは、下記一般式(1)で表される構成単位(1)及びメタクリル酸に由来する構成単位(2)を含む共重合体である。また、顔料分散剤は、アミノ基を有する塩基性の樹脂Bである。以下、その詳細について説明する。
[顔料]
樹脂処理顔料は、顔料と、樹脂Aとを含有する。顔料としては、カラーフィルター用の従来公知の顔料を用いることができる。顔料としては、カラーインデックスナンバー(C.I.)ピグメントブルー15:3、15:4、C.I.ピグメントブルー15:1、15:3、15:6、60、80などの青色顔料;C.I.ピグメントレッド122、269、56、58、166、168、176、177、178、224、242、254、255などの赤色顔料;C.I.ピグメントバイオレット19などの紫色顔料;C.I.ピグメントイエロー74、155、180、183、12、13、14、17、24、55、60、74、83、90、93、126、128、138、139、150、154、155、180、185、216、219などの黄色顔料;C.I.ピグメントグリーン7、36、58、ポリ(14〜16)ブロム銅フタロシアニン、ポリ(12〜15)ブロム化−ポリ(4〜1)クロル化銅フタロシアニンなど緑色顔料;C.I.ピグメントオレンジ−43などのオレンジ色顔料;C.I.ピグメントブラック6、7、11、26などの黒色顔料などを挙げることができる。これらの顔料のなかでも、金属フタロシアニン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料が、カラーフィルター用着色剤の色性能がより発揮されるために好ましい。
樹脂Aは、下記一般式(1)で表される構成単位(1)及びメタクリル酸に由来する構成単位(2)を含む共重合体である。
樹脂処理顔料は、顔料と、顔料100質量部に対して5〜30質量部、好ましくは10〜25質量部の樹脂Aとを含む。樹脂Aの量が5質量部未満であると、樹脂Aで処理した効果を十分に得ることができない。一方、樹脂Aの量が30質量部超であると、樹脂処理顔料を分散させるのに要する樹脂分散剤(樹脂B)の量が多くなり、粘度が過度に高くなる。
顔料分散剤は、アミノ基を有する塩基性の樹脂Bである。樹脂処理顔料の表面には、樹脂A中の構成単位(2)のカルボキシ基(酸性基)が存在している。樹脂Bのアミノ基は、樹脂処理顔料の表面に存在する酸性基とイオン結合するため、樹脂Bは樹脂処理顔料を媒体中に安定して分散させる顔料分散剤として機能する。
有機溶剤としては、ヘキサン、オクタン、デカン、イソデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノールなどのアルコール系溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジプロピリングリコールジメチルエーテル、ブチルカルビトール、ブチルトリエチレングリコール、メチルジプロピレングリコール、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのグリコール系溶剤;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルシクロプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソールなどのエーテル系溶剤;メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセトフェノンなどのケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、カプロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、琥珀酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチルなどのエステル系溶剤;クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン化溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、カプロラクタムなどのアミド系溶剤の他、ジメチルスルホキシド、スルホラン、テトラメチル尿素、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、炭酸ジメチルなどを挙げることができる。なお、これらの有機溶媒は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、プロピレングリコール系の有機溶媒が、環境にやさしく、安全性が高いために好ましい。
本発明のCF用着色剤には、アルカリ現像性を付与すべく、カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位を含む樹脂C(アルカリ現像性ポリマー)をさらに含有させることが好ましい。アルカリ現像性ポリマーとしては、不飽和結合基などの感光性基を有する感光性樹脂や、非感光性樹脂を用いることができる。感光性樹脂としては、感光性環化ゴム系樹脂、感光性フェノール系樹脂、感光性ポリアクリレート系樹脂、感光性ポリアミド系樹脂、感光性ポリイミド系樹脂、及び不飽和ポリエステル系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリエポキシアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、ポリエーテルアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂などを挙げることができる。
上述の各成分を用いることで、顔料分散液である本発明のCF用着色剤を得ることができる。CF用着色剤中の顔料の含有量は、5〜20質量%であることが好ましく、8〜15質量%であることがさらに好ましい。上述の各成分以外の成分として、従来公知の材料を用いることができる。具体的には、紫外線吸収剤、レベリング剤、消泡剤、光重合開始剤などを含有させることができる。また、メタクリレートやアクリレートなどの不飽和結合を有するモノマーを反応性希釈剤として添加してもよい。
次に、本発明のCF用着色剤に用いる樹脂処理顔料を製造する方法について説明する。樹脂処理顔料の製造方法は、例えば、顔料100質量部、下記一般式(2)で表される色素誘導体2〜10質量部、及び樹脂Dを水中で混合する工程と、酸を加えて樹脂Aを析出させ、顔料と樹脂Aを複合化する工程とを有する。そして、樹脂Dは、下記一般式(3)で表されるモノマーに由来する構成単位(3)及びメタクリル酸に由来する構成単位(2)を含む、構成単位(2)の少なくとも一部がアルカリで中和されている共重合体である。なお、樹脂処理顔料は、特開2004−214207号公報(特許文献4)の記載内容を参酌して製造することができる。
(合成例1:樹脂Q−1)
還流管、窒素ガス導入装置、温度計、及び撹拌装置を取り付けた1Lセパラブルフラスコ(反応容器)に、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)313.6部を入れ、70℃に加温した。一方、メタクリル酸メチル(MMA)79.8部、メタクリル酸ブチル(BMA)68.1部、メタクリル酸ベンジル(BzMA)56.4部、メタクリル酸(MAA)27.6部、メタクリル酸ベンジルジメチルアンモニウムクロライドエチル(DMQ−1)68.1部、及びBDG158.9部からなる溶液を500mLビーカーに入れた。さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬工業社製)15.0部を入れ、撹拌してV−65を溶解させたモノマー溶液を得た。得られたモノマー溶液の1/3量を反応容器中に投入した後、残りの2/3量を1.5時間かけて滴下ロートにて滴下した。滴下後、70℃で5.5時間重合して樹脂Q−1を含有する樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液の固形分は39.9%であり、重合転化率はほぼ100%であった。また、GPC(展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF))により測定した樹脂Q−1の数平均分子量は6,300であり、分子量分布(分散度(PDI))は1.99であった。さらに、エタノール/トルエンを溶媒とし、0.1N KOHエタノール溶液にて滴定(指示薬:フェノールフタレイン)して測定した樹脂Q−1の酸価は59.9mgKOH/gであり、ほぼ理論値であった。
X={(W1/M)/(W2+P)}×1000 ・・・(A)
X:一般式(3)で表されるモノマーに由来する構成単位の含有量(mmol/g)
W1:一般式(3)で表されるモノマーの使用量(g)
M:一般式(3)で表されるモノマーの分子量
W2:全モノマーの使用量(g)
P:重合開始剤の使用量(g)
前述の合成例1で用いたものと同様の反応容器にBDG365.9部を入れ、70℃に加温した。一方、MMA111部、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)63.1部、メタクリル酸イソボルニル(IBXMA)64部、MAA21部、DMQ−1 40.9部、及びBDG95.4部からなる溶液を500mLビーカーに入れた。さらに、V−65 7.5部を入れ、撹拌してV−65を溶解させたモノマー溶液を得た。得られたモノマー溶液の1/3量を反応容器中に投入した後、残りの2/3量を1.5時間かけて滴下ロートにて滴下した。滴下後、70℃で5.5時間重合して樹脂Q−2を含有する樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液の固形分は40.1%であり、重合転化率はほぼ100%であった。また、GPCにより測定した樹脂Q−2の数平均分子量は15,500であり、PDIは2.11であった。さらに、樹脂Q−2の酸価は45.1mgKOH/gであった。
前述の合成例1で用いたものと同様の反応容器に、BDG409.9部、ヨウ素4.7部、MMA80.8部、メタクリル酸2−エチルヘキシル(2−EHMA)68.1部、IBXMA56.4部、MAA60.7部、ジフェニルメタン(DPM)0.5部、及び2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70、和光純薬工業社製)20.2部を入れ、窒素を流しながら40℃で5.5時間重合してBブロックを形成し、樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液の固形分は41.3%であり、重合転化率はほぼ100%であった。また、GPCにより測定したBブロックの数平均分子量は5,200であり、PDIは1.25であった。得られた樹脂溶液の一部を水に添加したところ、樹脂が析出した。このことから、得られた樹脂(Bブロック)は水不溶性であることがわかる。
前述の合成例1で用いたものと同様の反応容器に、BDG488.9部、ヨウ素4.7部、MMA79.8部、BMA85.9部、2−EHMA64部、MAA47.6部、DPM0.5部、及びV−70 20.2部を入れ、窒素を流しながら40℃で5.5時間重合してBブロックを形成し、樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液の固形分は38.0%であり、重合転化率はほぼ100%であった。また、GPCにより測定したBブロックの数平均分子量は4,600であり、PDIは1.28であった。
前述の合成例1で用いたものと同様の反応容器にBDG315部を入れ、70℃に加温した。一方、MMA20部、CHMA60部、BzMA90部、MAA30部、V−65 10部を500mLビーカーに入れ、撹拌してV−65を溶解させたモノマー溶液を得た。得られたモノマー溶液の1/3量を反応容器中に投入した後、残りの2/3量を1.5時間かけて滴下ロートにて滴下した。滴下後、70℃で5.5時間重合して樹脂R−1を含有する樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液の固形分は40.1%であり、重合転化率はほぼ100%であった。また、GPCにより測定した樹脂R−1の数平均分子量は12,300であり、PDIは2.04であった。さらに、樹脂R−1の酸価は97.3mgKOH/gであった。28%アンモニア水22.2部及びイオン交換水152.8部を得られた樹脂溶液に添加してカルボキシ基を中和し、透明な樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液の固形分は30.1%であった。
還流管、窒素ガス導入装置、温度計、及び撹拌装置を取り付けた2Lセパラブルフラスコ(反応容器)に、BDG490.2部、ヨウ素4.7部、MMA54.8部、BMA85.9部、2−EHMA43.6部、MAA47.6部、DPM0.5部、V−70 20.2部を入れ、窒素を流しながら40℃で5.5時間重合してBブロックを形成し、樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液の固形分は34.1%であり、重合転化率はほぼ100%であった。また、GPCにより測定したBブロックの数平均分子量は4,700であり、PDIは1.28であった。
前述の合成例1で用いたものと同様の反応容器に、12−ヒドロキシステアリン酸30部、ε−カプロラクトン239.4部、オクチル酸第一錫0.2部、及び酸化防止剤(商品名「イルガノックス1010」、BASF社製)0.2部を入れ、窒素を流しながら40分間かけて180℃まで昇温し、3時間重合してポリエステル(PES−1)を得た。得られたPES−1の酸価は19.8mgKOH/gであり、GPCにより測定した数平均分子量は5,500であり、PDIは1.86であった。
前述の合成例1で用いたものと同様の反応容器に、BDG206部、ヨウ素3.2部、MMA44部、BMA44部、2−EHMA22部、ポリ(n=2〜4)エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート(商品名「PME200」、日油社製)34.0部、BzMA15部、DPM0.5部、及びV−70 20.2部を入れ、窒素を流しながら40℃で5.5時間重合してBブロックを形成し、樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液の固形分は46.8%であり、重合転化率はほぼ100%であった。また、GPCにより測定したBブロックの数平均分子量は5,500であり、PDIは1.27であった。
(顔料の微細化処理)
カラーフィルター用の顔料として、PB15:6、PR254、PR177、PY138を準備し、以下に示す方法で微細化処理を行なった。顔料100部、塩化ナトリウム400部、及びジエチレングリコール130部を、加圧時に使用する密閉用の蓋を装着したニーダー(モリヤマ社製加圧ニーダー)に仕込んだ。ニーダー内に均一に湿潤された塊ができるまで予備混合した。加圧蓋を閉じて、圧力6kg/cm2で内容物を押さえ込みながら、7時間混練及び摩砕処理して摩砕物を得た。得られた摩砕物を2%硫酸3,000部に投入して1時間撹拌した。ろ過して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除去した後、十分水洗して、微細化した顔料を得た。透過型電子顕微鏡観察により解析した顔料の数平均粒子径は、約30nmであった。
微細化したPB15:6(顔料)の水ペースト347.2部(顔料100部)、及び下記式(A)で表される銅フタロシアニンモノスルホン酸(MS、分子量656.1)5.0部を5Lのビーカーに入れ、顔料の濃度が5%となるように水を添加して希釈した。上記のMSは、顔料のシナジストとして作用する、スルホン酸基を有する色素である。ホモジナイザーで撹拌しながら10%NaOH水溶液を添加して、MSのスルホン酸基をナトリウム塩に置き換えるとともに、pHを約10.5に調整した。合成例1で得た樹脂Q−1を含有する樹脂溶液25.1部(樹脂Q−1 10部)を添加した後、5000rpmで1時間撹拌して解膠した。これにより、MSと樹脂Q−1との反応生成物である樹脂A−1を形成させ、樹脂処理顔料のスラリーを得た。
表3に示す配合としたこと以外は、前述の調製例1と同様にして各色の樹脂処理顔料を得た。
微細化したPB15:6(顔料)の水ペースト347.2部(顔料100部)、及びシナジスト(MS)5.0部を5Lのビーカーに入れ、顔料の濃度が5%となるように水を添加して希釈した。ホモジナイザーで撹拌しながら10%NaOH水溶液を添加して、MSのスルホン酸基をナトリウム塩に置き換えるとともに、pHを約10.5に調整した。合成例1で得た樹脂Q−1を含有する樹脂溶液25.1部(樹脂Q−1 10部)を添加した後、5000rpmで1時間撹拌して解膠した。これにより、MSと樹脂Q−1との反応生成物である樹脂A−1を形成させ、樹脂処理顔料のスラリーを得た。直径1mmφのジルコニアビーズをメディアとして用いた横型ビーズミルに、得られた樹脂処理顔料のスラリーを入れ、十分に水性分散した。10%酢酸水溶液を添加してpHを約5に調整した後、スラリーをろ過及び洗浄して顔料ペーストを得た。得られた顔料ペーストを80℃で24時間乾燥した後、粉砕して樹脂処理顔料(処理ブルー顔料−2)を得た。
微細化したPB15:6(顔料)の水ペースト347.2部(顔料100部)、及びMS5.0部を5Lのビーカーに入れ、顔料の濃度が5%となるように水を添加して希釈した。ホモジナイザーで撹拌しながら、比較合成例1で得た樹脂R−1を含有する樹脂溶液33.3部(樹脂R−1 10部)を添加した後、5000rpmで1時間撹拌して解膠し、顔料スラリーを得た。得られた顔料スラリーに10%水酸化ナトリウム水溶液をpH10以上になるまで添加した。添加途中、顔料スラリーが増粘し、樹脂及び顔料が析出していることを確認した。顔料スラリーをろ過及び洗浄して顔料ペーストを得た。得られた顔料ペーストを80℃で24時間乾燥した後、粉砕して樹脂処理顔料(処理ブルー顔料−3)を得た。
微細化したPR254(顔料)の水ペースト392.2部(顔料100部)、及びシナジスト(254S)5.0部を5Lのビーカーに入れ、顔料の濃度が5%となるように水を添加して希釈した。ホモジナイザーで撹拌しながら樹脂R−1を含有する樹脂溶液133.3部(樹脂R−1 40部)を添加した後、5000rpmで1時間撹拌して解膠し、顔料スラリーを得た。得られた顔料スラリーに10%水酸化ナトリウム水溶液をpH10以上になるまで添加した。添加途中、顔料スラリーが増粘し、樹脂及び顔料が析出していることを確認した。顔料スラリーをろ過及び洗浄して顔料ペーストを得た。得られた顔料ペーストを80℃で24時間乾燥した後、粉砕して樹脂処理顔料(処理レッド顔料−3)を得た。
微細化したPY138の水ペースト332.2部(顔料100部)、及びシナジスト(YS)5.5部を5Lのビーカーに入れ、顔料の濃度が5%となるように水を添加して希釈した。ホモジナイザーで撹拌しながら樹脂R−2を含有する樹脂溶液100部(樹脂R−2 30部)を添加した後、5000rpmで1時間撹拌して解膠し、顔料スラリーを得た。得られた顔料スラリーに10%酢酸水溶液をpH5以下になるまで添加した。添加途中、顔料スラリーが増粘し、樹脂及び顔料が析出していることを確認した。顔料スラリーをろ過及び洗浄して顔料ペーストを得た。得られた顔料ペーストを80℃で24時間乾燥した後、粉砕して樹脂処理顔料(処理イエロー顔料−2)を得た。
(実施例1〜5、比較例1〜4)
表7に示す組成となるように各成分を配合し、ディゾルバーで2時間撹拌した。顔料の塊がなくなったことを確認した後、横型メディア分散機(商品名「ダイノミル0.6リットルECM型」、シンマルエンタープライゼス社製、ジルコニア製ビーズ:径0.65mm)を使用し、周速10m/sで分散処理して顔料分散液(実施例1〜5、比較例1〜3)を調製した。また、銅フタロシアニンモノスルホン酸5%で処理されたPB−15:6(比較ブルー顔料)を、市販の顔料分散剤(商品名「BYKLPN−21116」、BYK社製、固形分濃度40%)を用いて分散させて顔料分散液(比較例4)を調製した。表7中の「アクリル樹脂」は、モノマー組成がBzMA/MAA=80/20(質量比)であり、GPCにより測定される数平均分子量(Mn)が5,500、PDIが2.02であるもの(固形分濃度30%のPGMAc溶液で測定)を用いた。
(実施例6〜10、比較例5〜8)
実施例1〜5及び比較例1〜4で得た顔料分散液を用い、表9に示す組成となるように各成分を配合し、混合機を使用して十分混合して、疑似カラーフィルター用顔料着色剤(疑似CF用レジスト)を調製した。表9中の「感光性アクリル樹脂ワニス」は、BzMA/MAA共重合体にメタクリル酸グリシジルを反応させて得たアクリル樹脂を含むワニスである。このアクリル樹脂のMnは6,000であり、PDIは2.38であり、酸価は110mgKOH/gであった。また、表9中、「TMPTA」はトリメチロールプロパントリアクリレートを示し、「HEMPA」は2−ヒドロキシエチル−2−メチルプロピオン酸を示し、「DEAP」は2,2−ジエトキシアセトフェノンを示す。
(カラーガラス基板の製造)
シランカップリング剤で処理したガラス基板をスピンコーターにセットした。そして、ガラス基板上に300rpm、5秒間の条件で、調製した疑似CF用レジストをスピンコートした。120℃で10分間プリベイクした後、超高圧水銀灯を用いて100mJ/cm2の光量で露光してカラーガラス基板を製造した。製造したカラーガラス基板は、いずれも優れた分光カーブ特性を有していた。
(a)光学特性評価−1(コントラスト(CR)、Y値)
コントラスト測定機(商品名「コントラストテスター CT−1」、壺坂電機社製)を使用して、プリベイク後及びポストベイク後のガラス基板のコントラスト(CR)、及び透明性の指標となるY値を測定した。なお、青色ガラス基板についてはy=0.074、赤色(PR254)ガラス基板についてはx=0.650、赤色(PR177)ガラス基板についてはx=0.620、及び黄色ガラス基板についてはx=0.426として測定した。また、青色ガラス基板については、比較例5のCR及びY値を100%とする相対値で表し、赤色ガラス基板については、比較例6のCR及びY値を100%とする相対値で表し、黄色ガラス基板については、比較例7のCR及びY値を100%とする相対値で表した。CR及びY値の測定結果を表10に示す。
プリベイク後及びポストベイク後のガラス基板について、CIE表色系における色度(x、y)、CR、Y値、色度(x、y)を測定した。そして、プリベイク後とポストベイク後のコントラスト差(ΔCR、ΔY値)、及び色差(ΔEab*)を算出し、疑似CF用レジスト(CF用着色剤)の耐熱性を評価した。なお、ΔCR及びΔY値は、プリベイク後のガラス基板のCR及びY値をそれぞれ100%とする相対値で表したものである。また、ΔEab*は、色差を絶対値で表したものであり、下記式にしたがって算出した。結果を表11に示す。
ΔEab*={(L2*−L1*)2+(a2*−a1*)2+(b2*−b1*)2}1/2
プリベイク後の色差1 :(L1*,a1*,b1*)
ポストベイク後の色差2 :(L2*,a2*,b2*)
(a)微細化顔料の調製
PR122 100部、塩化ナトリウム400部、及びジエチレングリコール130部を、加圧時に使用する密閉用の蓋を装着したニーダー(モリヤマ社製の加圧ニーダー)に仕込んだ。ニーダー内に均一に湿潤された塊ができるまで予備混合した後、加圧蓋を閉じて、圧力6kg/cm2で内容物を押さえ込みながら7時間混練及び摩砕処理して摩砕物を得た。得られた摩砕物を2%硫酸3,000部に投入し、1時間撹拌した。ろ過して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除去した後、十分水洗し、顔料の水ペーストを得た。透過型電子顕微鏡観察により解析した、得られた水ペースト中の顔料(PR122)粉末の数平均粒子径は、約100nmであった
顔料(PR122)の水ペースト337.8部(顔料分100部)、及び下記式(E)で表されるシナジストQS 4部を5Lのビーカーに入れ、顔料濃度が5%となるように水で希釈した。ホモジナイザーで撹拌しながら、10%NaOH水溶液を添加してpHを約10.5に調整した。シナジスト中のスルホン酸基をナトリウム塩に置き換えた後、合成例3で得た樹脂Q−3を含有する樹脂溶液24.9部(樹脂Q−3 10部)を添加した後、5000rpmで1時間撹拌して解膠した。これにより、シナジストと樹脂Q−3で造塩した樹脂処理顔料のスラリーを得た。
処理マゼンタ顔料−1 16.4部、樹脂B−2 14.9部、アクリル樹脂15部、及びジエチレングリコールモノメチルエーテル53.7部、ディゾルバーで2時間撹拌した。なお、アクリル樹脂としては、モノマー組成がBzMA/MAA=80/20(質量比)であり、GPCにより測定される数平均分子量(Mn)が5,500、PDIが2.02であるもの(固形分濃度30%のPGMAc溶液で測定)を用いた。顔料の塊がなくなったことを確認した後、横型メディア分散機を使用して分散処理して、マゼンタ色の顔料分散液を得た。得られた顔料分散液を10μmのフィルター及び5μmのフィルターに通過させたところ、いずれのフィルターにも詰りは全く生じなかった。
得られたマゼンタ色の顔料分散液中の顔料の数平均粒子径は102nmであった。また、顔料分散液の粘度は11.3mPa・sであった。70℃で1週間保存後における顔料分散液中の顔料の数平均粒子径、及び顔料分散液の粘度に変化はなく、非常に安定していた。
Claims (8)
- 樹脂処理顔料、顔料分散剤、及び有機溶媒を含有する顔料分散液であり、
前記樹脂処理顔料は、顔料と、前記顔料100質量部に対して5〜30質量部の樹脂Aとを含み、
前記樹脂Aは、下記一般式(1)で表される構成単位(1)及びメタクリル酸に由来する構成単位(2)を含む共重合体であり、
前記樹脂A中の前記構成単位(1)の含有割合が、10〜50質量%であり、
前記メタクリル酸に由来する前記樹脂Aの酸価が、20〜160mgKOH/gであり、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される前記樹脂Aのポリスチレン換算の数平均分子量が、5,000〜20,000であり、
前記顔料分散剤は、アミノ基を有する塩基性の樹脂Bであるカラーフィルター用着色剤。
(前記一般式(1)中、Xは有機基を示し、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立にベンジル基又は炭素数1〜18のアルキル基を示し、Yは色素誘導体(但し、キサンテン系酸性染料を除く)に由来する色素骨格又は色素類似骨格を示し、前記顔料に対する前記色素誘導体の量が2〜10質量%であり、nは、任意の繰り返し数を示す) - 前記樹脂Aが、その構成成分の90質量%以上がメタクリル酸系モノマーからなる、Aブロック及びBブロックを含むA−Bブロックコポリマーであり、
前記Aブロックにのみ、前記構成単位(1)が含まれており、
前記Bブロックには、前記樹脂A中の前記構成単位(2)の80質量%以上が含まれている請求項1に記載のカラーフィルター用着色剤。 - 前記顔料分散剤が、Cブロック及びDブロックを含むC−Dブロックコポリマーであり、
前記Cブロックにのみ、アミノ基を有するモノマーに由来する構成単位(3)が含まれており、
前記Dブロックには、酸性基を有するモノマーに由来する構成単位が含まれていない請求項1又は2に記載のカラーフィルター用着色剤。 - カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位を含む樹脂Cをさらに含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のカラーフィルター用着色剤。
- 前記Bブロックのガラス転移点が、30℃以上である請求項2に記載のカラーフィルター用着色剤。
- 前記樹脂処理顔料100質量部に対する、前記顔料分散剤の含有量が、5〜50質量部である請求項1〜5のいずれか一項に記載のカラーフィルター用着色剤。
- 前記顔料が、金属フタロシアニン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ系顔料、キノフタロン系顔料、及びアントラキノン系顔料からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1〜6のいずれか一項に記載のカラーフィルター用着色剤。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のカラーフィルター用着色剤の製造方法であって、
前記顔料100質量部、下記一般式(2)で表される色素誘導体2〜10質量部、及び樹脂Dを水中で混合する工程と、
酸を加えて前記樹脂Aを析出させ、前記顔料と前記樹脂Aを複合化して前記樹脂処理顔料を得る工程と、を有し、
前記樹脂Dが、下記一般式(3)で表されるモノマーに由来する構成単位(3)及びメタクリル酸に由来する構成単位(2)を含む、前記構成単位(2)の少なくとも一部がアルカリで中和されている共重合体であるカラーフィルター用着色剤の製造方法。
(前記一般式(2)中、Mはアンモニウム塩、有機アミン塩、又はアルカリ金属塩を示し、Yは色素骨格又は色素類似骨格を示す)
(前記一般式(3)中、R 1 、R 2 、及びR 3 は、それぞれ独立にベンジル基又は炭素数1〜18のアルキル基を示し、Zはハロゲン原子を示す)
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