JP6787717B2 - 天端ブロックおよびこの天端ブロックを備える擁壁 - Google Patents

天端ブロックおよびこの天端ブロックを備える擁壁 Download PDF

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Description

この発明は、例えば、道路の法面、鉄道の法面、宅地の法面、および河川の護岸等の急勾配の傾斜地の地盤の安定のために構築される擁壁の形成に用いられる天端ブロックおよびこの天端ブロックを備える擁壁に関する。
擁壁の種類には、現場打ちコンクリート擁壁、積みブロック擁壁、石積み擁壁等がある。例えば、図22に示されているとおり、一般的に、積みブロック150(間知ブロックともいう)で擁壁150aを構築する場合、上記した擁壁のいずれにおいても、積みブロック150を順次積み上げていき、最上段の天端部の下の積みブロック150が構築された後、その上部に天端コンクリート101を打設し、擁壁150aの天端部を保護している。
しかしながら、現場打ちコンクリートで天端コンクリート101を形成する場合、所定段数積み上げられた擁壁150aの正面に、現場打ちコンクリート打設のための作業用足場を設置し、足場と擁壁法面との間に踏板を乗せた歩み板を数ケ所に渡し架けると共に、最上段の擁壁ブロックの長手方向に同ブロックの幅と厚さに見合うコンクリート打設用の型枠を取り付け、この型枠の中に囲う間に天端用のコンクリートを打設して天端部を仕上げている。
すなわち、型枠等の据付けや取外し、型枠と型枠内への面模様を合わせるためのプラスチック製の面板の取付け、コンクリート打設等、面倒な作業が必要となり、それだけ工数、工期がかかるばかりか、それに伴う経費や材料費が嵩む結果となる。
このため、側面視直角三角形状の天端ブロック(特許文献1)、下辺が等高線に平行で、かつ、上辺が道路縦断勾配に平行で横長な三角形状の立方体に形成された天端ブロック(特許文献2)、土圧板と一体化した直方体形状の天端ブロック(特許文献3)、等のプレキャストコンクリートブロックが開発されている。
ところで、従来、擁壁の構築に用いられていた積みブロックの外観は極めて無味乾燥であり、そのブロック表面は平滑面であって、装飾を施したといっても、せいぜい、型枠により得た単純な凹凸が設けられているだけであったり、あるいは、顔料を用いて着色されていたりするに過ぎなかった。
ところが近年、景観が非常に重要視されるようになってきたため、擁壁にも環境と調和する外観が求められてきた。その結果、ブロック表面を割裂状に加工したコンクリートブロックや、ポーラスコンクリート層を設けた表層部を割裂状に加工したコンクリートブロック等、自然の風合い(色彩)に近いコンクリートブロックが開発されてきている(特許文献4、特許文献5)。
一方、「多自然川づくりポイントブックIII〜中小河川に関する河道計画の技術基準・解説〜」(平成23年10月発行、日本河川協会)では、護岸ブロックの明度は6以下が好ましいと記載されているが、明度計測の具体的な方法が示されていないため、計測条件の違いによって結果にばらつきが生じる事が懸念されていた。このため、「護岸ブロックの平均明度計測方法マニュアル(案)」(全国土木コンクリートブロック協会、平成27年1月改訂版)の中で、撮影条件(天候、撮影時間帯、照度、ブロック積上方法等)、撮影方法(撮影位置、光源の方向)、解析方法(解析アプリケーションソフト)等について規定された。そして、該マニュアルでは、ブロック単体だけでなく目地も含めた部分を撮影範囲と規定している。
しかしながら、擁壁は、積みブロック、目地および天端コンクリートから構成されるものであり、天端コンクリートのみが明度6以上であれば、擁壁全体として違和感があり、環境と調和するものではない。
特開2002−220845号公報 特開2006−144518号公報 特開2009−180045号公報 特開2000−319908号公報 特開2001−347511号公報
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、自然素材に近い明度とテクスチャーと装飾性とを有し、周囲の環境と調和する天端コンクリートブロック(以下、「天端ブロック」と記す。)、およびこの天端ブロックを備える擁壁を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[10]を提供するものである。
[1]前面部と、該前面部背後に設けられた控部と、該控部背後に設けられた控尻部とから構成された天端ブロックであって、前記前面部に、天端側である上端面と法面側である前端面とが形成され、前記前端面が前記上端面に対して傾斜し、前記上端面および前記前端面が割裂状であることを特徴とする天端ブロック。
[2]さらに、法面勾配xが三分〜二割であり、前記上端面と前記前端面とのなす角θが[式1]から求められることを特徴とする天端ブロック。
[式1]θ=180度−x
[3]さらに、前記上端面が矩形状であり、かつ、前記前端面が五角形状であることを特徴とする天端ブロック。
[4]さらに、前記上端面および前記前端面が矩形状であることを特徴とする天端ブロック。
[5]さらに、前記上端面が水平であり、前記前端面が法面と同一平面上にあることを特徴とする天端ブロック。
[6]さらに、前記前面部がポーラスコンクリート層であり、前記上端面および前記前端面の表面が割裂形状であることを特長とする天端ブロック。
[7]上記した天端ブロックを備えることを特徴とする擁壁。
[8]さらに、表面が割裂形状の積みブロックを備えることを特徴とする擁壁。
[9]さらに、前記積みブロックが、合端部と、該合端部正面に設けられた合端部前面部とを有し、前記合端部前面部の側面側が、正面に向けて傾斜しており、かつ、この傾斜の勾配が、正面方向と直交する方向における両端において同じである第一傾斜面と、前記合端部前面部の側面側が、正面に向けて傾斜しており、かつ、この傾斜の勾配が、正面方向と直交する方向における両端において異なる第二傾斜面と、前記合端部前面部の側面側が傾斜していない非傾斜面と、から選択される一以上の面が、正面方向と直交する方向において連接されて前記合端部前面部の少なくとも一つの側面が形成され、前記合端部前面部の少なくとも一つの側面に前記第二傾斜面が含まれることを特徴とする擁壁。
[10]さらに、複数の前記積みブロックと目地と前記天端ブロックとを含む擁壁の明度が6以下であることを特徴とする擁壁。
本発明の天端ブロックは、前端面が上端面に対して傾斜し、かつ、上端面および前端面が割裂状であるため、自然石のような割肌を創りだすことが可能となる。さらに、表面の凹凸は、光の反射を抑えて光の強さを和らげ、明度の低減に効果を発揮する。
さらに、本発明の天端ブロックを備える擁壁は、天端ブロックの上端面および前端面が割裂状であるため、土や植物の種子等が活着しやすく、また保水性を有するので、植生を促進させる効果が高くなる。
本発明の天端ブロックは、前端面が上端面に対して傾斜し、かつ、上端面および前端面が割裂状であるため、本発明の天端ブロックを敷設して擁壁面を形成すると、天端部下部に積層された表面割裂状の積みブロックと天端ブロックとが、一体感を形成し、天端ブロックを含む擁壁全体の明度が低減され、擁壁周囲の環境と調和するものである。すなわち、本発明の天端ブロックは、表面割裂状の積みブロックと併用した場合に、その効果が最大限に発揮されるものである。
さらに、本発明の天端ブロックはポーラスコンクリート部を有するので、保水性を高めることができ、積みブロックの表面の温度低減や植生への水分補強等にも有効である。
本発明の実施形態に係る天端ブロックの一例を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る天端ブロックの一例を示す正面図である。 本発明の実施形態に係る天端ブロックの一例を示す背面図である。 本発明の実施形態に係る天端ブロックの一例を示す平面図である。 本発明の実施形態に係る天端ブロックの一例を示す底面図である。 本発明の実施形態に係る天端ブロックの一例を示す右側面図である。 本発明の実施形態に係る天端ブロックの一例を示す左側面図である。 本発明の実施形態に係る天端ブロックの表面同士が一体的に形成される天端ブロック連結体の側面図である。 本発明の実施形態に係る天端ブロックの上端面の割裂前の状態を示す右側面図である。 図1に示す本発明の実施形態に係る天端ブロックを用いて構築した擁壁の概略断面図である。 本発明の実施形態に係る天端ブロックの他の一例を示し、(a)が右側面図、(b)が斜視図である。 図1に示す本発明の実施形態に係る天端ブロックを用いて構築した擁壁の概略正面図である。 本発明の実施形態に係る擁壁に用いられる積みブロックの一例を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る擁壁に用いられる積みブロックの一例を示す正面図である。 本発明の実施形態に係る擁壁に用いられる積みブロックの一例を示す背面図である。 本発明の実施形態に係る擁壁に用いられる積みブロックの一例を示す平面図である。 本発明の実施形態に係る擁壁に用いられる積みブロックの一例を示す底面図である。 本発明の実施形態に係る擁壁に用いられる積みブロックの一例を示す右側面図である。 本発明の実施形態に係る擁壁に用いられる積みブロックの一例を示す左側面図である。 本発明の実施形態に係る擁壁に用いられる積みブロックの部分断面が示され、(a)は図16におけるB−B断面からA−A断面までを視した部分断面図、(b)はA−A断面から右方を視した右方断面図、(c)はB−B断面から左方を視した左方断面図である。 本発明の実施形態に係る擁壁に用いられる積みブロックの変形例の一部を示す部分平面図である。 従来の現場打ちコンクリートを用いて構築した擁壁の概略断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る天端ブロックを図面に基づいて説明する。図1〜図7は、天端ブロック1の外観が示されている。なお、以下の説明では、図1に示されているとおり、天端ブロック1のうち、前方である前面部2側を正面とし、後方である控尻部4側を背面とし、正面方向と直交する方向を側面とする。また、側面のうち、正面視した場合の右方向および左方向を右方および左方とし、正面視した場合の高さ方向を上方および下方とする。
図1〜図7に示されているとおり、天端ブロック1は、前面部2と、この前面部2の背後に設けられた控部3と、この控部3の背後に設けられると共に上下左右側方に張り出す凸部5を有する控尻部4とから構成されている。なお、前面部2、控部3および控尻部4は、一体成型されることが好ましいが、前面部2、控部3および控尻部4を個別に成型した後、各部を接着して一体化することで天端ブロック1を構成してもよい。
前面部2は、上方側である上端面6と、正面側である前端面7とが形成され、前端面7が上端面6に対して傾斜し、側面視して略「く」字状に形成されている(図6参照)。詳説すれば、上端面6は上方から視して矩形状であり(図4参照)、前端面7は、正面から視してホームプレート状の五角形状である(図2参照)。すなわち、前端面7は、上端面6の前方の縁辺を長辺に含む矩形の前端矩形面7aと、この前端矩形面7aの下端に連接された逆三角形の前端三角面7bとから五角形状に形成されている。上端面6と前端面7とのなす角は鈍角であるが、詳細については後述する。
控部3は、前面部2背後(地山側)において、中央から背面側に突出して設けられており、背面端が控尻部4と連結している。なお、控部3の形状は特に限定されるものではなく、平面視した場合の控部3の幅が、同幅、あるいは、控尻部4側が細くなっていても構わない。また、控部が互いに対面して一対で形成され、片方が前面部の背後における左寄りから背面側に向けて突出し、もう片方が前面部の背後における右寄りから背面側に向けて突出していてもよい。
控尻部4は、控部3の背後(地山側)に設けられている。そして、控尻部4の形状は、上下左右に凸部5を有している。なお、凸部5の形状は特に限定されるものではなく、矩形状、台形状、円弧状等、適宜選択できる。凸部5を有していれば、吊クランプ等での吊り・運搬が容易にできる。また、側面視した場合の控尻部4の高さは、控部3の高さよりも高いことが好ましい。引き抜き抵抗をさらに高めるためである。
図4〜図7に示されているとおり、上端面6および前端面7は、割裂形状を有している。ここで、割裂形状とは、例えば、上端面6および前端面7の表面がハツリ処理され、または、二個の天端ブロック1の前端面7同士が一体的に形成された後述の天端ブロック連結体9の中心部が破断装置によって破断処理される等により、上端面6および前端面7の表面が割肌状となったものである。したがって、上端面6および前端面7の縁辺は、図4〜図7に示されているとおり本来直線ではないが、図1〜図3において、適宜直線とみなして示されている。
ここで、割裂形状の形成について図面に基づいて説明する。図8は、天端ブロック1の前端面7同士が一体的に形成された天端ブロック連結体9が側面から示され、図9は、天端ブロック1の上端面6の割裂前の状態が側面から示されている。
割裂形状にするには、図8に示されているとおり、まず、前端面7同士が一体的に形成された天端ブロック連結体9(天端ブロック1の前端面が互いに向き合うよう一体的に形成されたもの)を、その略中央で二つに割裂する。このようにして、図9に示されている天端ブロック前駆体9aが形成される。その後、天端ブロック前駆体9aの上方側の面を斜めに割裂することで、天端ブロック1が形成される。このようにすれば、天端ブロック1は、前端面7および上端面6に割裂面が形成され、この割裂面に、コンクリートの粗骨材が、一般のコンクリートを用いた場合よりも多く、かつ、割れて露出する。このため、割れた骨材の大きさが不均一で、変則的な形状の凹凸を数多く有し、粗骨材の自然な風合い(色彩)が現れて、天端ブロック1に自然な風合い(色彩)を効率よく付与できる。
なお、天端ブロック連結体9において、その略中央付近をポーラスコンクリート層とすることがより好ましい。例えば、上端面6および前端面7のみをポーラスコンクリート層、あるいは天端ブロック1全体をポーラスコンクリート層としてもよい。なお、このことは、前面部2と控部3との境で、ポーラスコンクリート層と普通コンクリート層とを明確に区別するものではなく、ポーラスコンクリート層と普通コンクリート層とが交じり合った層があっても問題はない。
このようにすることによって、割裂面に割れた粗骨材からなる断面を最大限に露出させることができ、粗骨材のもつ自然な風合い(色彩)を更に高めることができる。これは、ポーラスコンクリート層の割裂面が粗いので光を反射しにくくなるだけでなく、陰影がつくことで目立ちにくくなり、より自然の景観に馴染みやすくなるためである。
また、天端ブロック1は、全層をポーラスコンクリート製とすることもできる。なお、この場合、施工面積1m当たりのブロック質量を350kg以上とするためには、重量骨材を使用する必要がある。
次に、擁壁の頂上に積み上げられた状態の天端ブロック1を図面に基づいて説明する。図10は、天端ブロック1が頂上に積み上げられた擁壁10の側面断面の概略が示されている。
図10に示されているとおり、天端ブロック1は、積みブロック50で構築された擁壁10の頂上に積み上げられている。詳説すれば、上端面6が、上方の天端側において水平(標高の等しい点を結んだ主曲線と平行)に配置され、前端面7が、正面側である法面と同一平面上に揃えて配置される。換言すれば、水平に対する前端面7の傾斜の度合いが、擁壁10の法面勾配と同一であることにより、前端面7が法面の延長線上に配置されている。この場合の法面勾配がxであり、上端面6と前端面7とのなす角がθであるとき、θは、次の[式1]から求められる。
θ=180度−x [式1]
式1について詳説すれば、上端面6と平行であり、かつ、前端面7と交差する補助線h、および、上端面6の延長線上の補助線hをそれぞれ描いた場合、前端面7と補助線hとのなす角が、法面勾配を角度で表したものとなる。この角度をxとすれば、xは、錯角により、補助線hと前端面7とのなす角θと等しいため、次の[式2][式3]が成立する。
θ=x [式2]
θ=180度−θ [式3]
[式2]を[式3]に代入すれば、[式1]となる。
ここで、法面勾配が三分から二割の範囲であれば、θは任意である。法面勾配の範囲、xおよびθの関係は表1に示されている。なお、表1では、法面勾配とxとの関係において、換算過程における小数点以下が省略されている。
Figure 0006787717
表1に示されているとおり、例えば、法面勾配が三分であればxは約73度であるため、θは約107度である。同様に、法面勾配が五分であればxは約63度であるため、θは約117度である。同様に、法面勾配が一割五分であればxは約34度であるため、θは約146度である。なお、天端ブロック1の前端面7の傾斜の度合いは、必ずしも法面勾配と一致させる必要はなく、設計上に必要な範囲で任意に設定できる。また、θは鈍角であるが、前端面7の上側部分のみが上端面6に対して直角であり、前端面7の上側部分以外の部分が上端面6に対して正面側に傾斜していてもよい。換言すれば、前端面7が、前端面6に対して直角に連接された角部と、この角部の下端から正面側に傾斜した前端傾斜面とから構成されていてもよい。
ここで、本実施形態の他の一例として、天端ブロック1よりもθを大きくした場合の天端ブロックを図面に基づいて説明する。図11は、本実施形態の他の一例に係る天端ブロック11の外観が示されている。
図11に示されているとおり、天端ブロック11は、前面部12における上端面16と前端面17とのなす角θが天端ブロック1よりも大きい。すなわち、天端ブロック1と比較して、上端面16が大きく、かつ、前端面17が小さく形成されている。前端面17は、天端ブロック1と同様に、上端面16の前方の縁辺を長辺に含む矩形の前端矩形面17aと、この前端矩形面17aの下端に連接された逆三角形の前端三角面17bとから五角形状に形成されている。ここで、天端ブロック11の前端面17は、天端ブロック1と異なり、前端矩形面17aが天端ブロック1の前端矩形面7aよりも小さく形成されている。または、前端面17は、前端矩形面17aが無く、前端三角面17bのみから構成された逆三角形状に形成されている。なお、他の構成は、天端ブロック1と同一であるため、説明を省略する。
次に、天端ブロックの使用状態と共に、本発明の実施形態に係る擁壁を図面に基づいて説明する。図12は、天端ブロック1が用いられた擁壁10の正面の概略が示されている。
図12に示されているとおり、擁壁10は、積み上げられた複数の積みブロック50の最上段の上に天端ブロック1が積み上げられて構成されている。ここで、天端ブロック1は、前面部2の前端面7が五角形状であるため、積みブロック50が谷積みされている場合、積みブロック50の最上段における上面の形状と適合する。仮に、積みブロックが布積みされている場合であっても、最上段の積みブロックと天端ブロック1との間にコンクリートを打設することで、布積みされた擁壁に天端ブロック1を用いることができる。しかし、この場合、積みブロックと天端ブロック1との間に大量のコンクリートが必要となる。そのため、布積みされた積みブロックの最上段における上面の形状に適合させるために、天端ブロックは、上方から視して上端面が矩形状であり、かつ、正面から視して前端面が矩形状であってもよい。なお、このような天端ブロックであっても、最上段の積みブロックと天端ブロックとの間にコンクリートを打設することで、谷積みされた擁壁に用いることができる。
天端ブロック1の寸法は、天端部の下部の積みブロック50との一体性、施工性等を勘案して、任意に設定できる。例えば、幅360mm、高さ300mm、控長350mmの積みブロック50を使用した場合、天端ブロック1の横幅は354mm、高さ372mm、控長350mmであることが例示できる。
「JIS A 5371 の推奨仕様D−1 積みブロック」記載の面の形状が矩形状の積みブロックと併用する場合、天端ブロック1の寸法は、幅350〜500mm、高さ150〜350mm、控長350〜500mmの範囲で、任意に設定することができる。
ここで、本実施形態に用いられる積みブロックを図面に基づいて説明する。図13〜図21は、積みブロック50の外観が示されている。なお、以下の各実施形態における説明では、合端部102の上面が含まれた平面を水平面とし、側面視した場合の面取り最深部における合端部前面部103の表面と平行な面を直立面とする(図20参照)。
図13〜図19に示されているとおり、積みブロック50は、合端部102と、この合端部102の正面に設けられた合端部前面部103と、合端部102の背後に設けられた控部104と、この控部104の背後に設けられると共に左右側方に張り出す凸部106を有する控尻部105とから構成されている。合端部102の層厚は35〜70mmが好ましく、また、合端部前面部103の層厚は15〜50mmが好ましく、また、積みブロック50の控長は350〜500mmが好ましい。
ここで、合端部102、合端部前面部103、控部104および控尻部105は、一体成型が好ましいが、合端部102、控部104および控尻部105を一体成型した後、合端部102の正面側に合端部前面部103を接着してもよい。なお、積みブロック50の形状は、JIS A 5371の推奨仕様D−1、および各自治体の仕様書に準拠するものとする。
図13および図14に示されているとおり、正面視して、合端部102は左右方向に長手の矩形状である。この合端部102の正面は、多角形状の合端部前面部103が形成されている。合端部前面部103の表面は、割裂形状を有している。
合端部前面部103における上下左右の側面は、一部に面取りが施されたことにより、第一傾斜面110,110a,110bおよび第二傾斜面120,120a,120b,120cが形成されている。面取り幅(目地深さ)は、15〜50mmが好ましい。なお、参考までに、従来の面取り幅は15〜20mmであり、同一ブロックにおいては、すべての面取り個所の面取り幅(目地幅深さ)は同じである。
合端部前面部103の側面のうち、面取りが施されていない箇所は、合端部前面部103の側面側が傾斜していない非傾斜面140が形成されている。すなわち、非傾斜面140は、合端部102の側面と同一平面に揃っている。
合端部前面部103の側面のうち、少なくとも一つの側面は、第一傾斜面110、第二傾斜面120または非傾斜面140の三種類の側面から選択される一以上の面が左右方向(正面方向と直交する方向)に連接されて形成されている。詳説すれば、合端部前面部103は、上方の側面が、一つの第一傾斜面110と二つの第二傾斜面120とから構成され、右の側面が、一つの第一傾斜面110aと一つの第二傾斜面120aとから構成され、左の側面が、一つの第一傾斜面110bと一つの第二傾斜面120bとから構成され、下方の側面が、一つの非傾斜面140と一つの第二傾斜面120cとから構成されている。
ここで、合端部前面部103の側面のうち、上方の側面について説明すれば、図13、図14および図16に示されているとおり、上方の側面は、中央に第一傾斜面110が形成され、この第一傾斜面110の右端に右方第二傾斜面121が連接され、第一傾斜面110の左端に左方第二傾斜面126が連接されている。第一傾斜面110は、合端部前面部103の側面側が、正面に向けて傾斜しており、かつ、この傾斜の勾配が、左右方向(正面方向と直交する方向)における両端において同じである。詳説すれば、第一傾斜面110は、平坦な四角形であり、前方傾斜方向Yに向かうにつれて下方に傾斜している。すなわち、合端部102と合端部前面部103との境界である第一縁辺111と、合端部前面部103の表面の上縁である第一表面縁辺112とは、平面視および正面視して平行であり、また、第一傾斜面110の左右両端である第一右端稜線113および第一左端稜線114は、平面視および正面視して平行である。各稜線113,114は、各縁辺111,112に対して垂直である。
左右の第二傾斜面120は、合端部前面部103の側面側が、正面に向けて傾斜しており、かつ、この傾斜の勾配が、左右方向における両端において異なっている。詳説すれば、右方第二傾斜面121は、互いに交差する二つの方向に向けて傾斜している。すなわち、右方第二傾斜面121は、前方傾斜方向Yに向かうにつれて下方に傾斜すると共に、側方傾斜方向Xに向かうにつれて下方に傾斜している。合端部102と合端部前面部103との境界である右方第二縁辺122と、合端部前面部103の表面の上縁である右方第二表面縁辺123とは、平面視して平行であると共に、正面視して右方第二表面縁辺123が右方第二縁辺122に対して傾斜している。また、右方第二傾斜面121の左端であると共に第一傾斜面110との境界である右方第二境界稜線124に対し、右方第二傾斜面121の右端である右方第二端側稜線125は、正面視および平面視して傾斜している。
左方第二傾斜面126は、右方第二傾斜面121と同様に、互いに交差する二つの方向に向けて傾斜している。すなわち、左方第二傾斜面126は、前方傾斜方向Yに向かうにつれて下方に傾斜すると共に、側方傾斜方向Xに向かうにつれて下方に傾斜している。合端部102と合端部前面部103との境界である左方第二縁辺127と、合端部前面部103の表面の上縁である左方第二表面縁辺128とは、平面視して平行であると共に、正面視して左方第二表面縁辺128が左方第二縁辺127に対して傾斜している。また、左方第二傾斜面126の右端であると共に第一傾斜面110との境界である左方第二境界稜線129に対し、左方第二傾斜面126の左端である左方第二端側稜線130は、正面視および平面視して傾斜している。
次に、図16および図20に基づいて、水平面および直立面に対する各稜線113,114,124,125,129,130のそれぞれの角度について詳説する。図20は、積みブロック50における上下方向の断面の一部が拡大されたものであり、(a)は図16におけるB−B断面からA−A断面までの間をB−B断面の切断口から右方を視した状態が示されている。(b)はA−A断面の切断口から右方を視した状態が示され、右方第二端側稜線125が透けて破線で描かれている。同様に、(c)はB−B断面の切断口から左方を視した状態が示され、左方第二端側稜線130が透けて破線で描かれている。
図20(a)に示されているとおり、第一右端稜線113が水平面となす第一右端水平傾角a、および、第一左端稜線114が水平面となす第一左端水平傾角aは、互いに同一である。ここで、各水平傾角a,aは、第一傾斜面110における正面方向の勾配として表される。換言すれば、第一傾斜面110における正面方向の勾配は、水平面に対して第一傾斜面110がどれだけ下がっているかを示すものであり、面取り幅Yに対する、直立面における高さZの割合である。すなわち、第一傾斜面110の勾配は、第一右端稜線113および第一左端稜線114において同一である。
図20(b)に示されているとおり、右方第二境界稜線124が水平面となす右方第二境界水平傾角bと、右方第二端側稜線125が水平面となす右方第二端側水平傾角bとは、互いに異なっており、右方第二端側水平傾角bの方が、右方第二境界水平傾角bよりも大きい。ここで、各水平傾角b,bは、右方第二傾斜面121における正面方向の勾配として表される。換言すれば、右方第二傾斜面121における正面方向の勾配は、水平面に対して右方第二傾斜面121がどれだけ下がっているかを示すものであり、面取り幅Yに対する、直立面における高さZおよびZの割合である。すなわち、右方第二傾斜面121の勾配は、右方第二境界稜線124と右方第二端側稜線125とで異なっている。
図20(c)に示されているとおり、左方第二境界稜線129が水平面となす左方第二境界水平傾角bと、左方第二端側稜線130が水平面となす左方第二端側水平傾角bとは、互いに異なっており、左方第二端側水平傾角bの方が、左方第二境界水平傾角bよりも大きい。ここで、各水平傾角b,bは、左方第二傾斜面126における正面方向の勾配として表される。換言すれば、左方第二傾斜面126における正面方向の勾配は、水平面に対して左方第二傾斜面126がどれだけ下がっているかを示すものであり、面取り幅Yに対する、直立面における高さZおよびZの割合である。すなわち、左方第二傾斜面126の勾配は、左方第二境界稜線129と左方第二端側稜線130とで異なっている。
なお、各水平傾角a,aは、0度<a,a<90度の範囲であれば任意である。詳説すれば、上方および下方の側面については、0度<a,a<tan−1(合端部102の高さ/面取り幅Y)であり、左方および右方の側面については、0度<a,a<tan−1(合端部102の左右の幅/面取り幅Y)である。ここで、JIS A 5371の推奨仕様D−1における表記方法に則れば、合端部102の高さとは、“面の高さ”をいい、合端部102の左右の幅とは、“面の幅”をいう。また、各水平傾角b〜bも、b≠b、b≠bであれば同様である。
一方、図16に示されているとおり、第一右端稜線113が直立面となす第一右端直立傾角θ11と、第一左端稜線114が直立面となす第一左端直立傾角θ12とは、互いに同じである。
右方第二境界稜線124が直立面となす右方第二境界直立傾角θ13と、右方第二端側稜線125が直立面となす右方第二端側直立傾角θ14とは、互いに異なっており、右方第二端側直立傾角θ14の方が、右方第二境界直立傾角θ13よりも小さい。
左方第二境界稜線129が直立面となす左方第二境界直立傾角θ15と、左方第二端側稜線130が直立面となす左方第二端側直立傾角θ16とは、互いに異なっており、左方第二端側直立傾角θ16の方が、左方第二境界直立傾角θ15よりも小さい。
なお、各直立傾角θ11〜θ16は任意である。したがって、図21に示されている積みブロック50の変形例のとおり、各直立傾角θ11,θ12が鋭角であると共に各直立傾角θ13,θ15が鈍角であってもよく(図21(a)参照)、反対に、各直立傾角θ13,θ15が鋭角であると共に各直立傾角θ11,θ12が鈍角であってもよい。さらに、各直立傾角θ11〜θ16がそれぞれ異なっていてもよい(図21(b)参照)。また、各直立傾角θ11〜θ16は同一であってもよい。
図13および図14に示されているとおり、合端部前面部103の上方の側面において、隣り合う各傾斜面110,120同士の境界(第一右端稜線113、第一左端稜線114、右方第二境界稜線124、左方第二境界稜線129)は、緩やかに連接され、段差が設けられていない。すなわち、第一傾斜面110と第二傾斜面120とが隣り合う場合、第一傾斜面110の第一右端稜線113と、右方第二傾斜面121の右方第二境界稜線124とが一致する。換言すれば、第一右端稜線113(または右方第二境界稜線124)において、第一傾斜面110の第一右端水平傾角aと、右方第二傾斜面121の右方第二境界水平傾角bとが一致する(図20(b)参照)。同様に、第一傾斜面110の第一左端稜線114と、左方第二傾斜面126の左方第二境界稜線129とが一致する。換言すれば、第一左端稜線114(または左方第二境界稜線129)において、第一傾斜面110の第一左端水平傾角aと、左方第二傾斜面126の左方第二境界水平傾角bとが一致する(図20(c)参照)。この構成により、合端部前面部103の側面は、第一傾斜面110と各第二傾斜面121,126との境界に段差が形成されることなく、境界が緩やかとなり、優れたデザイン性を維持することができる。
したがって、合端部前面部103のうち、下方の側面のように、同一の側面において非傾斜面140と第二傾斜面120cとが隣り合う場合、非傾斜面140と第二傾斜面120cとの境界における水平傾角はゼロである。一方、合端部前面部103のうち、上方の側面のように、同一の側面において第二傾斜面120と第一傾斜面110とが隣り合う場合、第二傾斜面120と第一傾斜面110との境界における水平傾角は“0度<水平傾角<90度”すなわち、“0度<水平傾角<tan−1(合端部102の高さ/面取り幅Y)”となる。なお、以上のことから、非傾斜面140と第一傾斜面110とは、境界における水平傾角が相反し、境界に段差が形成されることになるため、隣り合うことはない。
以上のとおり、積みブロック50が構成されている。積みブロック50は、上記した構成に限られず、合端部前面部のうちの一つの側面における各傾斜面の組み合わせが任意であり、また、上下左右の各面の組み合わせも任意である。すなわち、デザイン性を考慮して、第一傾斜面、第二傾斜面および非傾斜面のいずれか一つ以上を選択してなる任意の組み合わせを、合端部前面部の任意の側面に設けることができる。
次に、本実施形態の構成材料とその配合等について説明する。なお、積みブロック50、および積みブロック50の変形例も同様の構成である。
天端ブロック1に用いるセメントとしては、各種ポルトランドセメント、各種混合セメント、エコセメント、アルミナセメントからなる群より選ばれる一種以上を使用することができる。また、このセメントに石灰石粉末、石英粉末、石膏、シリカフュームからなる群より選ばれる一種以上を添加して使用することができる。石灰石粉末、石英粉末、石膏については、ブレーン比表面積が3000〜20000cm/gのものを内割りで50質量%以下で混合することが好ましい。
また、シリカフュームについては、BET比表面積が5〜25m/gであるのものを内割りで25質量%以下で混合することが好ましい。シリカフュームのBET比表面積は、好ましくは15〜25m/g、さらに好ましくは18〜22m/gである。該比表面積が15m/g未満の場合、セメント質硬化体の圧縮強度が低下する。該比表面積が25m/gを超える場合、セメント組成物の流動性が低下する。
天端ブロック1に用いる細骨材としては、川砂、山砂、陸砂、海砂、砕砂、硅砂、天然軽量細骨材(パーライト、ヒル石等)、人工軽量細骨材、高炉スラグ細骨材、電気炉酸化スラグ細骨材等からなる群より選ばれる一種以上を使用することができる。骨材の最大粒径は、1.2mm以下、好ましくは1.0mm以下である。該最大粒径が1.2mm以下であれば、セメント質硬化体の圧縮強度が高くなる。
粗骨材としては、川砂利、海砂利、山砂利、砕石、天然軽量骨材、人工軽量骨材、石灰石粗骨材、高炉スラグ粗骨材、電気炉酸化スラグ粗骨材、再生骨材等からなる群より選ばれる一種以上を使用することができる。
重量骨材としては、例えば、磁鉄鉱、赤鉄鉱、橄欖岩、柘榴石、重晶石、針鉄鉱、褐鉄鉱、バリウム方解石、砂鉄、銅スラグ、フェロニッケルスラグ、フェロクロムスラグ、クロマイト、電気炉酸化スラグ骨材、鋼スラブ表面の溶削処理工程で発生するホットスカーフからなる重量骨材、製鋼過程で発生するダストを含む廃棄物を溶融・冷却して製造された人工石材を含む重量骨材、製鋼の圧延工程で発生するミルスケールを含む重量骨材等が好ましい例として挙げられ、これらの一種又は二種以上を使用できる。
天端ブロック1に用いる水は、特に限定されるものではなく、天端ブロック1の強度等の物性に悪影響を与えないものであれば使用することができる。
天端ブロック1に用いる減水剤は、高性能AE減水剤、高性能減水剤、AE減水剤等からなる群より選ばれる一種以上の減水剤が挙げられる。この減水剤の種類(化合物)は、ポリカルボン酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸、これらの塩からなる群より選ばれる一種以上が挙げられる。中でも、セメント組成物の流動性を向上させ、セメント質硬化体の圧縮強度を高くする観点から、ポリカルボン酸系の高性能減水剤が好ましい。
本発明においては、上記材料以外に、本発明の目的を阻害しない範囲で、空気量調整剤、収縮低減剤、膨張材、顔料等を使用してもよい。
ポーラスコンクリート層の配合としては、セメント:320〜420kg/m、細骨材:90〜260kg/m、粗骨材:1400〜1800kg/m、水:65〜85kg/m、混和剤(製品の質量):3.0〜9.0kg/mが好ましい。
普通コンクリート層の配合としては、セメント:260〜320kg/m、細骨材:1000〜1300kg/m、粗骨材:800〜1000kg/m、水:90〜120kg/m、混和剤(製品の質量):0.8〜2.0kg/mが好ましい。
天端ブロック1においては、即時脱型した天端ブロック連結体を、積算温度が2160℃・hr以上となるように保温養生を行うことが好ましい。
天端ブロック1の最大の特徴は、少なくとも前面部2の上端面6および前端面7の二つの面が割裂状に形成されていることである。
以下に、上端面6および前端面7を割裂状にする方法について概説するが、本発明は以下の方法に限定さるものではない。
天端ブロック連結体9用型枠の中央部に(破断予定部分を含む)にポーラスコンクリートを、その他の部分に普通コンクリートを、それぞれ充填して、即時脱型して天端ブロック連結体9を製造する。次に、この天端ブロック連結体9を30℃で3日間養生した後、脱枠して硬化した天端ブロック連結体9を得る。
なお、天端ブロック連結体9を作製する際、破断予定線に沿って凹溝を形成しておくことが好ましい。破断処理を行った場合、この凹溝に沿って破断面が形成され、略平坦な破断面を形成することが可能となる。また、破断処理を行う際、破断装置のスプリッタが破断予定線から弾かれることも無くなる。
[1回の破断処理による方法]
上記硬化した天端ブロック連結体9の側面中央の破断予定線に沿って、Y字状のスプリッタを装備した破断装置により破断すれば、ポーラスコンクリート層の割裂状の二つの表面を有する二つの天端ブロック1を同時に得ることができる。
[2回の破断処理による方法]
上記硬化した天端ブロック連結体9の側面中央の破断予定線に沿って、直線状のスプリッタを装備した破断装置により破断し、前面部2の前端面7がポーラスコンクリート層の割裂状の表面を有する二つの天端ブロック前駆体9aを同時に得ることができる。次に、この前端面7が割裂状になった天端ブロック前駆体9aの側面側から、側面視三角形状の部分の斜辺を破断予定線として、直線状のスプリッタを装備した破断装置により破断すれば、前面部2の上端面6がポーラスコンクリート層の割裂状の表面を有する天端ブロック1を得ることができる。
[実施例1]
以下の方法で、前面部2の上端面6および前端面7がポーラスコンクリート層で、他の部分が普通コンクリート層である、図1に示す天端ブロック1を製作した。
[ポーラスコンクリート層の配合]
ポーラスコンクリート層の配合は、普通ポルトランドセメント:360kg/m、水:72kg/m、粗骨材(最大寸法13mm):1645kg/m、細骨材(砕砂):225kg/m、混和剤:7.5kg/mであった。その結果、成形時空隙率は15.0%、成形時空気量は1.0%であった。
[普通コンクリート層の配合]
普通コンクリート層の配合は、普通ポルトランドセメント:280kg/m、水:105kg/m、粗骨材(最大寸法10mm):858kg/m、細骨材(山砂):1,168kg/m、混和剤:1.3kg/mであった。その結果、成形時空隙率は4.0%、成形時空気量は1.0%であった。
[ポーラスコンクリート層の割裂状の表面を有するブロックの製造]
天端ブロック連結体9製造用型枠に、該型枠中央部に上記ポーラスコンクリート層の配合で示したポーラスコンクリートを、その他の部分に上記普通コンクリート層の配合で示した普通コンクリートをそれぞれ充填して、即時脱型して天端ブロック連結体9を製造した。次に、この天端ブロック連結体9を30℃で3日間養生した。その後、この天端ブロック連結体9をその中心部で直線状のスプリッタを装備する破断装置により破断し、ポーラスコンクリート層の割裂状の前端面7を有する二つの天端ブロック前駆体9aを得た。
次に、正面が割裂状になった天端ブロック前駆体9aの側面側から、側面視三角形状の部分の斜辺を破断予定線として、直線状のスプリッタを装備した破断装置により破断して、前面部2の上端面6がポーラスコンクリート層の割裂状の表面を有する天端ブロック1を得た。
[擁壁の構築]
天端ブロック1を用いた擁壁10の構築方法は、特に限定されるものではなく、通常のコンクリート製擁壁を構築する方法に従えばよい。すなわち、基礎コンクリート打設後、根石ブロックを敷設し、次に多数の積みブロック50の側面を突き合わせて並列し、積みブロック50の地山側に胴込め材料を充填しながら、順次段数を積み上げて施工して行き、最後に天端ブロック1を敷設すればよい。積み方としては、布積み、谷積み等いずれでもよい。
なお、天端ブロック1の施設後、天端部に現場打ちコンクリートを打設する場合でも、土羽打ちで処理する場合は土羽打ちで処理する部分の現場打ちコンクリートの層厚を薄くすることができ、経済的である。また、この場合、打設後の現場打ちコンクリートが土砂で覆われているため、周囲の環境と一層調和することが可能となる。
[平均明度の測定]
上記の方法で構築した擁壁10について、前記「護岸ブロックの平均明度計測方法マニュアル(案)」に従って、平均明度を測定した。なお、撮影範囲は、積みブロック50、目地、天端ブロック1を含む範囲とした。その結果、平均明度は、6.0であった。
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
1,11 天端ブロック
2,12 前面部
3 控部
4 控尻部
5 凸部
6,16 上端面
7,17 前端面
7a,17a 前端矩形面
7b,17b 前端三角面
9 天端ブロック連結体
9a 天端ブロック前駆体
10,150a 擁壁
50,150 積みブロック
101 天端コンクリート
102 合端部
103 合端部前面部
104 控部
105 控尻部
106 凸部
107 縁辺
110,110a〜b 第一傾斜面
111 第一縁辺
112 第一表面縁辺
113 第一右端稜線
114 第一左端稜線
120、120a〜c 第二傾斜面
121 右方第二傾斜面
122 右方第二縁辺
123 右方第二表面縁辺
124 右方第二境界稜線
125 右方第二端側稜線
126 左方第二傾斜面
127 左方第二縁辺
128 左方第二表面縁辺
129 左方第二境界稜線
130 左方第二端側稜線
140 非傾斜面
第一右端水平傾角
第一左端水平傾角
右方第二境界水平傾角
右方第二端側水平傾角
左方第二境界水平傾角
左方第二端側水平傾角
θ 上端面と前端面とのなす角
θ11 第一右端直立傾角
θ12 第一左端直立傾角
θ13 右方第二境界直立傾角
θ14 右方第二端側直立傾角
θ15 左方第二境界直立傾角
θ16 左方第二端側直立傾角
,h 補助線
面取り幅
、Z、Z 高さ
、X 側方傾斜方向
x 法面勾配
、Y、Y 前方傾斜方向

Claims (9)

  1. 前面部と、該前面部背後に設けられた控部と、該控部背後に設けられた控尻部とから構成された天端ブロックであって、
    前記前面部に、天端側であって、現場打ちコンクリートの打設を要せずに水平な天端を構成する上端面と、法面側であって法面と同一平面となる前端面と、が形成され、前記前端面が前記上端面に対して傾斜し、
    前記上端面および前記前端面が人工の割裂状であり、
    前記控部が、前記上端面に対して当該上端面よりも下方に向けて鈍角に傾斜した、ことを特徴とする天端ブロック。
  2. 法面勾配xが三分〜二割であり、
    前記上端面と前記前端面とのなす角θが[式1]から求められることを特徴とする請求項1に記載した天端ブロック。
    [式1]
    θ=180度−x
  3. 前記上端面が矩形状であり、かつ、前記前端面が五角形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した天端ブロック。
  4. 前記上端面および前記前端面が矩形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した天端ブロック。
  5. 前記前面部がポーラスコンクリート層であり、前記上端面および前記前端面の表面が割裂形状であることを特長とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載した天端ブロック。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載した天端ブロックを備えることを特徴とする擁壁。
  7. 表面が割裂形状の積みブロックを備えることを特徴とする請求項6に記載の擁壁。
  8. 前記積みブロックが、合端部と、該合端部正面に設けられた合端部前面部とを有し、
    前記合端部前面部の側面側が、正面に向けて傾斜しており、かつ、この傾斜の勾配が、正面方向と直交する方向における両端において同じである第一傾斜面と、
    前記合端部前面部の側面側が、正面に向けて傾斜しており、かつ、この傾斜の勾配が、正面方向と直交する方向における両端において異なる第二傾斜面と、
    前記合端部前面部の側面側が傾斜していない非傾斜面と、から選択される一以上の面が、正面方向と直交する方向において連接されて前記合端部前面部の少なくとも一つの側面が形成され、
    前記合端部前面部の少なくとも一つの側面に前記第二傾斜面が含まれることを特徴とする請求項7に記載の擁壁。
  9. 複数の前記積みブロックと目地と前記天端ブロックとを含む擁壁の明度が6以下であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の擁壁。
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