JP6786917B2 - ヘモグロビン調製液及びヘモグロビン類測定液体クロマトグラフィー法 - Google Patents

ヘモグロビン調製液及びヘモグロビン類測定液体クロマトグラフィー法 Download PDF

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Description

本発明は、血液試料中のヘモグロビンを分析するための調製液及びこの調製液を用いた、ヘモグロビン類を測定するための液体クロマトグラフィー法に関する。
ヘモグロビンは、2個のα鎖および2個のβ鎖からなるα2β2の構造を持ち、成人では全ヘモグロビンの約97%を占めるヘモグロビンA、2個のα鎖およびγ鎖からなるα2γ2構造を持ち、全ヘモグロビンの1%弱を占めるヘモグロビンF(HbF)、そして2個のα鎖およびδ鎖からなるα2δ2構造を持ち、全体のヘモグロビンの約2〜3%を占めるヘモグロビンA2(HbA2)から構成される。
さらにヘモグロビンAは非糖化ヘモグロビンA0(HbA0)と糖化ヘモグロビン(HbA1)に大別され、糖化ヘモグロビン(HbA1)はβ鎖に結合した糖種と結合状態によりヘモグロビンA1a(HbA1a)、ヘモグロビンA1b(HbA1b)、不安定型糖化ヘモグロビン(L−A1c)、安定型糖化ヘモグロビン(HbA1c)に分けることができる。
血中のグルコースと非酵素的に結合(糖化)を経て形成された安定型糖化ヘモグロビン(HbA1c)は、食事などによる一時的な血糖値の上昇に影響されず、過去2から3ヶ月間の血糖値の変化を反映して濃度が変化するため、糖尿病の診断や糖尿病患者の経過観察の指標として広く用いられている。
HbA1cの測定には陽イオン交換液体クロマトグラフィー法(以下「HPLC法」と略記する)が精度、再現性に優れていることから広く使用されている。HPLC法では陽イオン交換体が充填された陽イオン交換カラムに、塩濃度もしくはpHの異なる溶離液を通液し、種々のヘモグロビンと充填剤との相互作用の相違を利用して分離する。一般的なHPLC法では充填剤との相互作用の弱いHbA1a、HbA1b、HbF、L−A1c、HbA1cそしてHbA0の順に溶出し、各成分のピーク面積もしくは高さなどを計測することで、HbA1cをはじめとする各ヘモグロビン種の存在率を測定する。
通常のHbA1cの測定は、キャリブレータによって校正されている装置の測定性能をコントロールで評価した後に、血液検体を測定する手順が一般的である。このキャリブレータによる装置の校正は、カラム交換時やメンテナンス時など必要に応じて行われることが知られている(特許文献1)。
凍結乾燥ヘモグロビンは長期的保存安定性に優れているため、キャリブレータとコントロールはヒト由来の赤血球成分を凍結乾燥したヘモグロビンであることが多い。凍結乾燥ヘモグロビンは調製液を用いて、手動希釈によって溶解かつ希釈され、液体クロマトグラフィーのヘモグロビン試料となる。
また、HbA1c一次標準物質として、検査医学標準物質機構(ReCCM)のHbA1一次標準物質(JCCRM 411)や、MCA LaboratoryのIFCC HbA1c Calibratorなどがあり、これらヘモグロビン凍結品も調製液を用いて、手動希釈によって希釈され、液体クロマトグラフィーのヘモグロビン試料となる。
血液検体はEDTAやフッ化ナトリウムなどの抗凝固剤入りの採血管に採血されたものである。多くは採血管の状態のまま液体クロマトグラフィー装置に搭載され、装置の自動希釈機能によって調製液で希釈されたのち、ただちに測定される。
貧血患者などヘモグロビン濃度が低い血液検体や、凍結保存されていた血液検体を測定する場合は、調製液を用いて、手動希釈によって溶血かつ希釈され、液体クロマトグラフィーのヘモグロビン試料となる。
液体クロマトグラフィー法では、測定結果の信頼性の点から、装置校正および精度管理は実測定と同じ条件で行うことが理想である。つまりキャリブレータやコントロール、血液検体など全てのヘモグロビン試料は、同一の希釈液で調製されることが望ましいことが知られている。また、全自動で希釈後すぐに測定される患者の血液検体とは異なり、キャリブレータ、コントロールで使用されるヘモグロビンを含む試料を手希釈で希釈し、希釈されたそのヘモグロビンを含む試料のHbA1c濃度を測定までの時間内に一定にすることが困難であることが知られている。
しかし、測定するヘモグロビン試料は凍結乾燥ヘモグロビン、凍結ヘモグロビン液、血液検体など多様である。凍結乾燥ヘモグロビン、凍結ヘモグロビン液などには血漿成分を除去するなどの成分調整を施されているもの、安定性を確保するために糖類や防腐剤が添加されているものもある。
また、現在使用されている調製液は血液検体には使用可能だが、凍結乾燥品ではHbA1cとHbA0間に新たな成分(ピーク)が出現し正しく測定できない、調製後の安定性が悪くHbA1c濃度が変化してしまうなどの問題により使用できない場合がある。さらに凍結乾燥品には使用できるが、血液検体では溶血作用が不十分などの理由で使用できない場合もあり、同一の調製液でキャリブレータやコントロール、血液検体など全てのヘモグロビン試料を調製する方法は知られていなかった。
そのうえ、HPLC法を用いた装置では試料に含まれている脂質などの疎水性成分が装置やカラムなどに吸着することを防ぐために、TritonX−100のような洗浄力の高い界面活性剤を調製液に添加する必要がある。洗浄力の高い界面活性剤を含んだ調製液で凍結乾燥品を調製すると、溶出時間が大きく変動して正しく測定できず、かつ調製後の安定性が悪いためにHbA1c濃度が変化するという問題が顕著であった。そのためキャリブレータやコントロールなどの凍結乾燥品の調製には使用することができなかった。
特許第4061365号
液体クロマトグラフィー法によるヘモグロビン測定の分野において、ヘモグロビンを含む試料から安定した精度の高いHbA1c濃度の測定が可能であるヘモグロビン調製液が求められている。しかしながら、現在使用されているヘモグロビン調製液およびその測定方法は、ヘモグロビンを含む試料の状態によってはHbA1cとHbA0間に新たな成分(ピーク)が出現し、正しく測定できないという課題があった。
また、ヘモグロビン調製液を用いて試料を調製した後、調製後の試料の安定性が原因でHbA1c濃度が変化してしまうなどの観点から、キャリブレータやコントロール、血液検体など全てのヘモグロビンを含む試料を同一の希釈液で調製することが困難であるという課題があった。
さらに、凍結乾燥ヘモグロビン等の調製に時間がかる検体を使用した場合、ヘモグロビン調製液を加えた後、ただちに装置に搭載して装置の校正を開始することが困難であるという課題があった。
そこで本発明の目的は、ヘモグロビンを含む試料の状態を選ぶことなく、さらにキャリブレータやコントロール、血液検体などヘモグロビンを含む全ての試料を同一の調製液で調製可能なヘモグロビン調製液およびその測定方法を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、ヘモグロビンを含む試料を調製液によって調製した後のHbA1c値が安定しない原因は、調製液中に含まれるエーテル型非イオン性界面活性剤が、HbA0分画に含まれるヘモグロビン類に作用することを見出した。さらにエステルエーテル型非イオン性界面活性剤は、当該ヘモグロビン類に作用しないことも見出した。つまり、本発明のヘモグロビン調製液がエステルエーテル型非イオン性界面活性剤を含むが、エーテル型非イオン性界面活性剤を含まないことによって、ヘモグロビンを含む試料を前記調製液による調製の際に、ヘモグロビンを含む試料の種類、試料に添加されている添加物を選ぶことなく安定した精度の高いHbA1c濃度の測定が可能となり、本発明を完成するに至った。
以下に本発明の詳細を示す。
[1]ヘモグロビンを含む試料から、ヘモグロビン類を測定するための調製液であって、調製液に少なくとも1種類以上のエステルエーテル型非イオン性界面活性剤を含み、エーテル型非イオン性界面活性剤を含まないことを特徴とする、ヘモグロビン調製液。
[2]エステルエーテル型非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートとポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートの中から、少なくとも1種類以上含まれていることを特徴とする、[1]に記載のヘモグロビン調製液。
[3]保存剤が、少なくとも1種類以上含まれることを特徴とする、[1]または[2]に記載のヘモグロビン調製液。
[4]保存剤が、エチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸のカリウム塩、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸のナトリウム塩またはアジ化ナトリウムの中から、少なくとも1種類以上含まれていることを特徴とする、[3]に記載のヘモグロビン調製液。
[5][1]から[4]のいずれか一項に記載のヘモグロビン調製液によって調製されたキャリブレータ、コントロール又は血液検体を使用してヘモグロビンを含む試料中のヘモグロビン類を測定することを特徴とする、ヘモグロビンの測定方法。
[6]ヘモグロビンを含む試料から、ヘモグロビン類を測定するための測定方法であって、凍結乾燥ヘモグロビンを[1]から[4]のいずれか一項に記載の調製液で溶解かつ希釈後に、直ちにカラムへ導入することを特徴とするヘモグロビンの測定方法。
本発明に係るヘモグロビンを含む試料とは、凍結乾燥ヘモグロビン、凍結ヘモグロビン液、血液検体などが例示されるが、ヘモグロビンが含まれていれば特に制限はない。また、凍結乾燥ヘモグロビン、凍結ヘモグロビン液等の加工されている試料の場合、血漿成分を除去するなどの成分調整を施されている試料、安定性を確保するために糖類や防腐剤が添加されている試料も含まれていても特に制限はない。
本発明に係るヘモグロビン類を測定するための調製液とは、少なくとも1種類以上のエステルエーテル型非イオン性界面活性剤を含み、エーテル型非イオン性界面活性剤を含まないことを特徴とする調製液である。
本発明に係る調製とは、ヘモグロビンを含む試料を任意の濃度とすることである。具体的には、ヘモグロビンを含む試料を調製液によってキャリブレータ―、コントロール、血液検体をカラムに導入するためのサンプルとして任意の濃度にすることである。
本発明に係るエステルエーテル型非イオン性界面活性剤とは、脂肪酸エステルにエチレンオキシドを付加した化合物を示す。例えば多価アルコールの脂肪酸エステルにエチレンオキシドを付加したポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレ―ト、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートが挙げられる。エチレンオキシド平均付加モル数(n)に特に制限はないが、n=20であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレン(20)モノステアレ―ト、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(20)が特に好ましい。 本発明に係るエーテル型非イオン性界面活性剤とは、アルキルフェノールにエチレンオキシドを付加重合したポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルや、高級アルコールにエチレンオキシドが付加重合したポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールにエチレンオキシドを付加重合したポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール分類される。例えば、ポリオキシエチレン(8)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルやポリエチレン(23)ラウリルエーテルなどが挙げられるが、特に制限はない。
また、エステルエーテル型非イオン性界面活性剤の濃度としては0.01〜0.4重量%、さらに好ましくは0.05〜0.2重量%である。0.01重量%より薄い場合、ヘモグロビン試料に含まれる疎水性成分が装置やカラムなどに吸着することを防ぐことができない。また、カラムに導入されるヘモグロビン試料の体積にもよるが、415nmの波長の光を吸収するエステルエーテル型非イオン活性剤が0.5重量%を超えて含まれている場合、ヘモグロビンの検出に一般的な415nm検出において、HbA1aよりも速い時間に界面活性剤由来のピークを検出することがあるため、好ましくない。
さらに、本発明に係るヘモグロビン類を測定するための調製液は、自体の保存性を高めるために保存剤が1種類以上含まれていても良い。保存剤は抗菌効果や防腐効果のある化合物であれば特に限定されないが、揮発により濃度変化しやすいアルコール系化合物ではなく、エチレンジアミン四酢酸(以下EDTA)類などのキレート系保存剤やアジ化ナトリウムが好ましい。キレート系保存剤として、EDTA、グリコールエーテルジアミン四酢酸(以下、GEDTA)、EDTA類のナトリウム塩、EDTA類のカリウム塩、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸のナトリウム塩などが挙げられるが特に制限はない。なお、保存剤の濃度は0.05〜6重量%、さらに好ましくは0.1〜3重量%である。
本発明に係るヘモグロビン類を測定するための調製液によって、ヘモグロビンを含む試料を調製する方法とは、凍結乾燥ヘモグロビンに調製液を加えて溶解かつ希釈する方法、少量の精製水を加えて一次希釈したヘモグロビン溶液を、調製液でさらに二次希釈する方法、調製液に凍結ヘモグロビンの解凍液や血液検体を少量加えて希釈する方法等が例示できるが、液体クロマトグラフィー法で分析できるようにヘモグロビンを含む試料が調製できれば特に制限はない。
このヘモグロビン類を測定するための調製液を陽イオン交換体液体クロマトグラフィー法で測定するヘモグロビン試料の調製に用いる場合、ヘモグロビン調製液のカチオン濃度が測定に影響を及ぼす。ヘモグロビン調製液中の水素イオンを除くカチオン濃度が5〜40mMの範囲であり、かつpHが5.0〜9.5であることが好ましい。
pHが5.0より低い、またはpH9.5よりも高い場合、ヘモグロビン試料中の各ヘモグロビンピーク形状が変化し、安定してHbA1c%を測定することができない。保存剤やpH調製剤由来の、水素イオンを除くカチオン濃度が5mM以下の調製液では、長期使用によりサンプルループなど装置の配管内に付着した生体由来物質の影響で、安定してHbA1c%を測定することができない。一方40mM以上になると、HbA1cよりも充填剤との相互作用の弱いHbA1a、HbA1b及びHbFなどのHb成分の分離が悪化してしまい、安定してHbA1c%を測定することができない。
また水素イオンを除く総カチオン濃度が5〜40mMとなる範囲内であれば、pHの安定を目的にリン酸やMESなどの緩衝剤を添加しても良い。
本発明に係るヘモグロビン類を測定するための調製液はエステルエーテル型非イオン性界面活性剤を含むがエーテル型非イオン性界面活性剤を含まないことにより、ヘモグロビン成分の保持時間の変動や面積変化がない、安定したヘモグロビン測定が可能である。
従って、本発明に係るヘモグロビン調製液は液体クロマトグラフィー法で測定しうるすべてのヘモグロビン試料を調製できるため、正確な装置校正と精度管理、血液検体測定を行うことができる。さらに装置校正、精度管理、血液検体測定に使用するヘモグロビン調製液を、本発明に係るヘモグロビン調製液に統一することで、さらに測定結果の信頼性を高めることができる。
また、本発明に係るヘモグロビン調製液は、凍結乾燥ヘモグロビン等の調製に時間がかる検体であったとしても、ヘモグロビンを含む試料の状態に関わらず、本発明に係るヘモグロビン調製液を加えた後、ただちに装置に搭載して装置の校正を開始することが可能となる。従って、凍結乾燥ヘモグロビンが含有された容器を搭載された装置が、自動で本発明に係るヘモグロビン調製液を容器に添加後吸引し、ただちにカラムに導入して装置を校正することが可能となり、測定装置の自動化、測定結果の測定者間差の縮小、測定結果の信頼性をさらに高めることができると期待できる。
実施例1における凍結乾燥ヘモグロビン−Aで得られたクロマトグラムを示す。 比較例1における凍結乾燥ヘモグロビン−Aで得られたクロマトグラムを示す。 実施例3、比較例3、および比較例4における凍結乾燥ヘモグロビン−Bのクロマトグラムを示す。 実施例9、比較例7、比較例8、比較例12における凍結乾燥ヘモグロビン−Mで得られたクロマトグラムを示す。
以下に実施例と比較例を挙げることにより、本発明を詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
下記の方法でヘモグロビン試料を準備し、希釈後のクロマトグラム変化を観察した。結果を表1に示した。
(1)ヘモグロビン調製液の作製
界面活性剤として0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(以下、Tween20)、保存剤として0.1重量%アジ化ナトリウム、0.05重量%EDTA4ナトリウム4水和物、0.05重量%EDTA2カリウム2水和物を含有する、pH7.5のヘモグロビン調製液を作製した。
(2)ヘモグロビン試料の準備
〔I〕凍結乾燥ヘモグロビン−Aに精製水500μLを加え30分室温に放置し、40g/Lの高濃度ヘモグロビン溶液得た。この高濃度ヘモグロビン溶液20μLをヘモグロビン調製液1000μLで希釈し、約0.8g/Lのヘモグロビン試料とした。
(3)測定
ヘモグロビン調製液による希釈直後、つまり5分以内に陽イオン交換カラムを接続した液体クロマトグラフィー装置にヘモグロビン試料を注入した。pH5.4のコハク酸緩衝液を用いてヘモグロビン成分を分離し、415nmで検出した。このヘモグロビン試料を25℃環境下に30分放置した後、再度測定を実施した。
(実施例2)
界面活性剤が実施例1のTween20の替りにポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(以下、Tween80)であることを除き、実施例1と同様に行った。
(比較例1)
界面活性剤が実施例1のTween20の替りにポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(以下、TritonX−100)であることを除き、実施例1と同様に行った。
(比較例2)
界面活性剤が実施例1のTween20の替りにポリオキシエチレン(8)オクチルフェニルエーテル(以下、TritonX−114)であることを除き、実施例1と同様に行った。
実施例1で得られたクロマトグラムを図1に、比較例1で得られたクロマトグラムを図2に示した。
Figure 0006786917
エーテル型非イオン性界面活性剤を含む比較例1と比較例2では、希釈直後の測定においてHbA1cとHbA0の間にピークPxが検出された。このPxは希釈後30分経過すると検出されなくなった。これはHbA0の一部成分の溶出時間が、エーテル型非イオン性界面活性剤の作用を受けて変化したことによる。表1に示すようにエステルエーテル型非イオン性界面活性剤を含む実施例1と実施例2ではPxは検出されず、クロマトグラムの経時変化は観察されなかった。
(実施例3)
下記の方法でヘモグロビン試料を準備し、液体クロマトグラフィー法でHbA1c%を測定した。結果を表2に示した。
(1)ヘモグロビン調製液の作製
界面活性剤として0.1重量%Tween20、保存剤として0.05重量%アジ化ナトリウム、0.05重量%EDTA4ナトリウム4水和物、0.05重量%EDTA2カリウム2水和物を含有する、pH7.5のヘモグロビン調製液を作製した。
(2)ヘモグロビン試料の準備
〔I〕凍結乾燥ヘモグロビン−B
凍結乾燥ヘモグロビン−Bにヘモグロビン調製液1000μLを加えて溶解し、約0.8g/Lのヘモグロビン試料を得た。
〔II〕凍結乾燥ヘモグロビン−C
凍結乾燥ヘモグロビン−Cに精製水500μLを加え30分室温に放置し、40g/Lの高濃度ヘモグロビン溶液得た。この高濃度ヘモグロビン溶液20μLをヘモグロビン調製液1000μLで希釈し、約0.8g/Lのヘモグロビン試料とした。
〔III〕血液検体凍結品−I
−80℃に2ヶ月以上保管していた血液検体−Iを室温に20分置き、解凍した。この血液検体をヘモグロビン調製液で希釈し、約1g/Lのヘモグロビン試料を得た。
〔IV〕ヘモグロビン凍結品−J
−80℃に保管していたヘモグロビン凍結品−Jを室温に10分置き、解凍した。この解凍液6μLをヘモグロビン調製液1000μLで希釈し、約0.8g/Lのヘモグロビン試料を得た。
(3)HbA1c%の測定
ヘモグロビン調製液による溶解または希釈直後、つまり5分以内に、陽イオン交換カラムを接続した液体クロマトグラフィー装置にヘモグロビン試料を注入した。pH5.4のコハク酸緩衝液とpH6.3のコハク酸−リン酸緩衝液によるpHグラジエント法でヘモグロビン成分を分離し、415nmで検出した。HbA1c%は下記の計算式Aより算出した。
計算式A:HbA1c%=HbA1c面積/(HbA1a+HbA1b+L−A1c+HbA1c+HbA0)×100
(比較例3)
下記の方法でヘモグロビン試料を準備し、液体クロマトグラフィー法でHbA1c%を測定した。結果を表2に示した。
(1)ヘモグロビン調製液の作製
0.05重量%アジ化ナトリウム、0.05重量%EDTA4ナトリウム4水和物、0.05重量%EDTA2カリウム2水和物を含有し、界面活性剤を含まないpH7.5のヘモグロビン調製液を作製した。
(2)ヘモグロビン試料の準備と(3)HbA1c%の測定は、実施例3と同様に行った。
(比較例4)
界面活性剤がポリエチレン(23)ラウリルエーテル(以下、Brij35)であることを除き、実施例3と同様に行った。
図3に、凍結乾燥ヘモグロビン−Bのクロマトグラムを示す。図3のクロマトグラムのように、pHグラジエント法による凍結乾燥ヘモグロビンの分離では、HbA0分画中にPyとPzが観察される。比較例4のクロマトグラムとHbA1c%は、実施例3や比較例3とは大きく異なる。例えばHbA1c%は0.3%も高く、Pyのピーク面積はあきらかに小さい。これはTween20とは異なり、Brij35がヘモグロビン成分の分離に影響することを示している。
一方、凍結血液検体Iとヘモグロビン凍結品−JはBrij35の影響を受けなかった。
Figure 0006786917
(実施例4)
下記の方法でヘモグロビン試料を準備し、HbA1c%の経時変化を調査した。結果を表3に示した。
(1)ヘモグロビン調製液の作製
実施例1と同じヘモグロビン調製液を作製した。
(2)ヘモグロビン試料の準備
〔I〕血液検体−D
採血後24時間以内であり、一度も凍結していない新鮮な血液検体をヘモグロビン調製液で希釈し、約1g/Lのヘモグロビン試料を得た。
〔II〕血液検体凍結品−E
2ヶ月以上−80℃に保管していた血液検体を室温に20分置き、解凍した。この血液検体をヘモグロビン調製液で希釈し、約1g/Lのヘモグロビン試料を得た。
(3)HbA1c%の測定
ヘモグロビン調製液による希釈直後、つまり5分以内に、陽イオン交換カラムを接続した液体クロマトグラフィー装置にヘモグロビン試料を注入した。pH5.4のコハク酸緩衝液を用いてヘモグロビン成分を分離し、415nmで検出した。またこのヘモグロビン試料を25℃環境下に希釈後60分放置したのち、再度測定した。
HbA1c%は以下の計算式Aより算出した。
計算式A:HbA1c%=HbA1c面積/(HbA1a+HbA1b+L−A1c+HbA1c+HbA0)×100
(実施例5)
下記の方法でヘモグロビン試料を準備し、HbA1c%の経時変化を調査した。結果を表3に示した。
(1)ヘモグロビン調製液
界面活性剤として0.1重量%Tween20、保存剤として0.4重量%EDTA2カリウム2水和物を含有するヘモグロビン調製液を作製した。このヘモグロビン調製液は水酸化ナトリウムによってpH6.0に調製されている。
(2)ヘモグロビン試料の準備及び(3)HbA1c%の測定は、実施例4と同様に行った。
(実施例6)
下記の方法でヘモグロビン試料を準備しHbA1c%の経時変化を調査した。結果を表3に示した。
(1)ヘモグロビン調製液
界面活性剤として0.1重量%Tween20、保存剤として0.05重量%アジ化ナトリウム、0.12重量%GEDTA、GEDTAを溶解させるための0.04重量%水酸化ナトリウムが溶解している、pH9.3のヘモグロビン調製液を作製した。
(2)ヘモグロビン試料の準備及び(3)HbA1c%の測定は、実施例4と同様に行った。
(比較例5)
下記の方法でヘモグロビン試料を準備し、HbA1c%の経時変化を調査した。結果を表3に示した。
(1)ヘモグロビン調製液の作製
比較例3と同じヘモグロビン調製液を作製した。
(2)ヘモグロビン試料の準備及び(3)HbA1c%の測定は、実施例4と同様に行った。
(比較例6)
下記の方法でヘモグロビン試料を準備し、HbA1c%の経時変化を調査した。結果を表3に示した。
(1)ヘモグロビン調製液の作製
比較例1と同じヘモグロビン調製液を作製した。
(2)ヘモグロビン試料の準備
実施例4と同様に行った。(3)HbA1c%の測定は、HbA1c%の計算式を除き、実施例4と同様に行った。HbA1c%の計算は、Pxが検出されなかったときは実施例4と同様に計算式Aで、Pxが検出された場合は下記の計算式Bにて行った。
計算式B:HbA1c%=HbA1c面積/(HbA1a+HbA1b+L−A1c+HbA1c+Px+HbA0)×100
実施例4から実施例6に示すとおり、界面活性剤としてTween20を含むヘモグロビン調製液によって希釈された血液検体は、その血液検体の状態に依存せず、希釈直後から60分後までクロマトグラムは変化せず、安定してHbA1c%を測定可能であった。これらのHbA1c%は、界面活性剤を含まない比較例5のHbA1c%と比較して−0.1〜0.1%以内であることから、Tween20はヘモグロビン成分に作用していないことがわかる。
比較例6では、新鮮な血液検体−Dとは異なり、血液検体凍結品−Eはクロマトグラム、HbA1c%ともに経時変化した。血液検体凍結品−Eは希釈した直後はPxが検出され、計算式Bによって算出されたHbA1c%は比較例5よりも約−0.5%も小さかった。希釈60分後にはPxがHbA1c分画と融合し、そのHbA1c%は計算式Aから4.7%となり、比較例5より0.3%大きかった。これは血液を凍結融解することで劣化したHbA0成分が、TritonX−100の作用を受けやすいことを表している。
Figure 0006786917
(実施例7)
下記の方法でヘモグロビン試料を準備し、HbA1c%を求めた。結果を表4に示した。
(1)ヘモグロビン調製液の作製
界面活性剤として0.4重量%Tween20、保存剤として0.08重量%アジ化ナトリウム、0.08重量%EDTA4ナトリウム4水和物、0.08重量%EDTA2カリウム2水和物を含有する、pH7.5のヘモグロビン調製液を作製した。
(2)ヘモグロビン試料の準備
〔I〕凍結乾燥ヘモグロビン−M
凍結乾燥ヘモグロビン−Mに精製水500μLを加え30分室温に放置し、40g/Lの高濃度ヘモグロビン溶液得た。この高濃度ヘモグロビン溶液20μLをヘモグロビン調製液1000μLで希釈し、約0.8g/Lのヘモグロビン試料とした。
〔II〕凍結乾燥ヘモグロビン−N
凍結乾燥ヘモグロビン−Nに精製水500μLを加え30分室温に放置し、40g/Lの高濃度ヘモグロビン溶液得た。この高濃度ヘモグロビン溶液20μLをヘモグロビン調製液1000μLで希釈し、約0.8g/Lのヘモグロビン試料とした。
〔III〕血液検体凍結品−K
2ヶ月以上−80℃に保管していた血液検体を室温に20分置き、解凍した。この血液検体をヘモグロビン調製液で希釈し、約1g/Lのヘモグロビン試料を得た。
〔IV〕血液検体凍結品−L
2ヶ月以上−80℃に保管していた血液検体を室温に20分置き、解凍した。この血液検体をヘモグロビン調製液で希釈し、約1g/Lのヘモグロビン試料を得た。
(3)HbA1c%の測定
ヘモグロビン調製液による希釈直後、つまり5分以内に、陽イオン交換カラムを接続した液体クロマトグラフィー装置にヘモグロビン試料を注入した。pH5.4のコハク酸緩衝液を用いてヘモグロビン成分を分離し、415nmで検出した。HbA1c%は計算式Aより算出した。
(実施例8)
下記の方法でヘモグロビン試料を準備し、HbA1c%を求めた。結果を表4に示した。
(1)ヘモグロビン調製液の作製
Tween20の濃度が0.2重量%であることを除き、実施例7と同様に行った。
(2)ヘモグロビン試料の準備及び(3)HbA1c%の測定は、実施例7と同様に行った。
(実施例9)
下記の方法でヘモグロビン試料を準備し、HbA1c%を求めた。結果を表4に示した。
(1)ヘモグロビン調製液の作製
Tween20の濃度が0.05重量%であることを除き、実施例7と同様に行った。
(2)ヘモグロビン試料の準備及び(3)HbA1c%の測定は、実施例7と同様に行った。
(比較例7)
下記の方法でヘモグロビン試料を準備し、HbA1c%を求めた。結果を表4に示した。
(1)ヘモグロビン調製液の作製
Tween20の濃度が0.5重量%であることを除き、実施例7と同様に行った。
(2)ヘモグロビン試料の準備及び(3)HbA1c%の測定は、実施例7と同様に行った。
(比較例8)
下記の方法でヘモグロビン試料を準備し、HbA1c%を求めた。結果を表5に示した。
(1)ヘモグロビン調製液の作製
保存剤として0.08重量%アジ化ナトリウム、0.08重量%EDTA4ナトリウム4水和物、0.08重量%EDTA2カリウム2水和物を含有する、pH7.5のヘモグロビン調製液を作製した。
(2)ヘモグロビン試料の準備及び(3)HbA1c%の測定は、実施例7と同様に行った。
(比較例9)
下記の方法でヘモグロビン試料を準備し、HbA1c%を求めた。結果を表4に示した。
(1)ヘモグロビン調製液の作製
界面活性剤として0.5重量%TritonX−100、保存剤として0.08重量%アジ化ナトリウム、0.08重量%EDTA4ナトリウム4水和物、0.08重量%EDTA2カリウム2水和物を含有する、pH7.5のヘモグロビン調製液を作製した。
(2)ヘモグロビン試料の準備及び(3)HbA1c%の測定は、実施例7と同様に行った。ただし、Pxが検出された凍結乾燥ヘモグロビン−MのHbA1c%の計算は、計算式Bより算出した。
(比較例10)
下記の方法でヘモグロビン試料を準備し、HbA1c%を求めた。結果を表4に示した。
(1)ヘモグロビン調製液の作製
TritonX−100の濃度が0.4重量%であることを除き、比較例9と同様に行った。
(2)ヘモグロビン試料の準備及び(3)HbA1c%の測定は、比較例9と同様に行った。
(比較例11)
下記の方法でヘモグロビン試料を準備し、HbA1c%を求めた。結果を表4に示した。
(1)ヘモグロビン調製液の作製
TritonX−100の濃度が0.2重量%であることを除き、比較例9と同様に行った。
(2)ヘモグロビン試料の準備及び(3)HbA1c%の測定は、比較例9と同様に行った。
(比較例12)
下記の方法でヘモグロビン試料を準備し、HbA1c%を求めた。結果を表4に示した。
(1)ヘモグロビン調製液の作製
TritonX−100の濃度が0.05重量%であることを除き、比較例9と同様に行った。
(2)ヘモグロビン試料の準備及び(3)HbA1c%の測定は、実施例7と同様に行った。
比較例7に示すように、415nmの波長の光を吸収するエステルエーテル型非イオン性界面活性剤濃度が0.5重量%を超える場合、HbA1c%の値への影響は小さいがHbA1aよりも速い時間に界面活性剤由来のピークが検出されるため、好ましくない。また、比較例9〜比較例12からわかるように、エーテル型界面活性剤は低濃度でもHbA1c%に影響する。
(実施例10)
下記の方法でヘモグロビン試料を準備し、希釈後のHbA1c%の時間変化を観察した。結果を表5に示した。
(1)ヘモグロビン調製液
界面活性剤として0.1重量%Tween20、保存剤として0.075重量%アジ化ナトリウム、0.075重量%EDTA4ナトリウム4水和物、0.075重量%EDTA2カリウム2水和物を含有するヘモグロビン調製液を作製した。このヘモグロビン調製液のpHは7.6であった。
(2)ヘモグロビン試料の準備
〔I〕血液検体−D
採血後24時間以内の血液検体−Dをヘモグロビン調製液で希釈し、約1g/Lのヘモグロビン試料を得た。
〔II〕血液検体凍結品−E
−80℃に2ヶ月以上保管していた血液検体−Eを室温に20分置き、解凍した。この血液検体をヘモグロビン調製液で希釈し、約1g/Lのヘモグロビン試料を得た。
〔III〕凍結乾燥ヘモグロビン−F
凍結乾燥ヘモグロビン−Fにヘモグロビン調製液1000μLを加え、マイクロピペットで3回吸引と吐出を繰り返し、約0.8g/Lのヘモグロビン試料を得た。
〔IV〕凍結乾燥ヘモグロビン−G
凍結乾燥ヘモグロビン−Gに精製水500μLを加えて30分室温に放置し、40g/Lの高濃度ヘモグロビン溶液を得た。この高濃度ヘモグロビン溶液20μLをヘモグロビン調製液1000μLで希釈し、約0.8g/Lのヘモグロビン試料とした。この凍結乾燥ヘモグロビン−Gは、実施例7で使用した凍結乾燥ヘモグロビン−Mと同じ製造元から入手した。
〔V〕ヘモグロビン凍結品−H
−80℃に保管していたヘモグロビン凍結品−Hを室温に10分置き、解凍した。このヘモグロビン凍結品−Hは、実施例3で使用したヘモグロビン溶液凍結品−Jと同じ製造元から入手した。この解凍液6μLをヘモグロビン調製液1000μLで希釈し、約0.8g/Lのヘモグロビン試料を得た。
(3)HbA1c%の測定
ヘモグロビン調製液による溶解または希釈直後、つまり5分以内に、陽イオン交換カラムを接続した液体クロマトグラフィー装置にヘモグロビン試料を注入した。pH5.4のコハク酸緩衝液を用いてヘモグロビン成分を分離し、415nmで検出した。得られたクロマトグラムにはPxが観察されなかったため、HbA1c%は実施例4と同様に計算式Aより算出した。
Figure 0006786917
Figure 0006786917
一般的に市販されているキャリブレータの使用方法は、凍結乾燥ヘモグロビンを溶解かつ希釈させるためのヘモグロビン調製液を加えた後、一定時間、多くは30分間放置した後測定する。しかしながら実施例10では、凍結乾燥ヘモグロビンF−にヘモグロビン調製液を加えた時点から5分以内に、ヘモグロビンを含む試料がカラムへ導入することが可能であることが確認された。つまり、測定者が凍結乾燥ヘモグロビンに本発明に係るヘモグロビン調製液を加えた後、ただちに装置に搭載して装置の校正を開始することができることが確認された。すなわち、凍結乾燥ヘモグロビンが含有された容器が搭載されたヘモグロビン測定装置は、人の操作を介することなく自動で本発明に係るヘモグロビン調製液をヘモグロビンを含む試料が入った容器に添加して懸濁・吸引し、ただちにカラムに導入して装置を校正できることが示された。

Claims (6)

  1. ヘモグロビンを含む試料から、ヘモグロビン類を測定するための調製液であって、調製液に少なくとも1種類以上のエステルエーテル型非イオン性界面活性剤を0.05〜0.4重量%含み、エーテル型非イオン性界面活性剤を含まないことを特徴とする、ヘモグロビン調製液。
  2. エステルエーテル型非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートとポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートの中から、少なくとも1種類以上含まれていることを特徴とする、請求項1に記載のヘモグロビン調製液。
  3. 保存剤が、少なくとも1種類以上含まれることを特徴とする、請求項1または2に記載のヘモグロビン調製液。
  4. 保存剤が、エチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸のカリウム塩、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸のナトリウム塩またはアジ化ナトリウムの中から、少なくとも1種類以上含まれていることを特徴とする、請求項3に記載のヘモグロビン調製液。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載のヘモグロビン調製液によって調製されたキャリブレータ、コントロール又は血液検体を使用してヘモグロビンを含む試料中のヘモグロビン類を測定することを特徴とする、ヘモグロビンの測定方法。
  6. ヘモグロビンを含む試料から、ヘモグロビン類を測定するための測定方法であって、凍結乾燥ヘモグロビンを請求項1から4のいずれか一項に記載の調製液で溶解かつ希釈後に、直ちにカラムへ導入することを特徴とするヘモグロビンの測定方法。
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