JP2003344417A - ヘモグロビン標準試料調製液、ヘモグロビン標準試料溶液並びにヘモグロビン類の測定方法 - Google Patents

ヘモグロビン標準試料調製液、ヘモグロビン標準試料溶液並びにヘモグロビン類の測定方法

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JP2003344417A
JP2003344417A JP2002159748A JP2002159748A JP2003344417A JP 2003344417 A JP2003344417 A JP 2003344417A JP 2002159748 A JP2002159748 A JP 2002159748A JP 2002159748 A JP2002159748 A JP 2002159748A JP 2003344417 A JP2003344417 A JP 2003344417A
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Koji Sugiyama
幸司 杉山
Toshiki Kawabe
俊樹 川辺
Yuji Setoguchi
雄二 瀬戸口
Masaaki Minamoto
政明 源
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Arkray Inc
Sekisui Chemical Co Ltd
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Arkray Inc
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャリブレータやコントロール血液の調製
(溶解・希釈)とコントロール血液の保存に際してのH
bの劣化が生じ難い、ヘモグロビン標準試料調製液を提
供する。 【解決手段】 乾燥ヘモグロビンまたはヘモグロビン溶
液からヘモグロビン標準試料溶液を調製する際に用いら
れるヘモグロビン標準試料調製液であって、pH5.0
〜8.5で緩衝能を持つ緩衝剤と、アミン系化合物、ア
ルコール系化合物、アルデヒド系化合物、カルボン酸系
化合物、フェノール系化合物、アミド系化合物、有機ハ
ロゲン系化合物、イソチアゾロン系化合物、有機金属化
合物、EDTA類及びホウ酸からなる群から選択された
少なくとも1種の保存剤とが含有されているヘモグロビ
ン標準試料調製液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヘモグロビン類の
測定に用いられるヘモグロビン標準試料調製液、ヘモグ
ロビン標準試料溶液及びその調製方法並びにこれらを用
いたヘモグロビン類の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ヘモグロビンA1c(以下HbA1cと
略す)は、血液中の糖が赤血球に入った後に、ヘモグロ
ビン(以下、Hbと略す)と化学的結合することにより
生成され、過去1〜2カ月間の血液中の平均的な血糖値
(血液中のグルコース濃度)を反映する。従って、Hb
A1cは、糖尿病のスクリーニング検査や糖尿病患者の
血糖管理状態を把握するなどの糖尿病診断の指標として
広く用いられている。
【0003】上記HbA1cの測定には、高速液体クロ
マトグラフィーが広く用いられており、測定に際しての
校正にはキャリブレータと称されているヘモグロビン試
料が、精度管理にはコントロール血液が用いられてい
る。キャリブレータは、カラム交換時や測定装置のメン
テナンス時のように、測定条件が変わる可能性が生じた
場合に、測定システムを校正するために用いられる。
【0004】コントロール血液は、測定システムの精度
管理、すなわち、装置の測定性能を把握するために用い
られる。具体的には、正常値域及び正常値を超える高値
域の2つのコントロール血液試料を適当な間隔をあけて
測定し、その測定値の推移を管理図等にプロットするこ
とにより、測定システムの状態を把握する際に用いられ
る。
【0005】通常、キャリブレータ及びコントロール血
液には、いずれもヒト赤血球を基にして凍結乾燥処理さ
れた凍結乾燥Hbが用いられている。従来、上記コント
ロール血液及びキャリブレータを用いる際には、以下の
ようにして調製されている。
【0006】例えば、国際試薬株式会社製、コントロー
ル血液を用いた場合、バイアル中の凍結乾燥Hbを元の
Hb濃度付近に戻すために、バイアルに精製水を添加
し、Hb溶液を得る。この場合、Hbを十分に溶解させ
るため、5〜30分間程度静置される。次に、高速液体
クロマトグラフィーにより測定し得るHb濃度とするた
めに、測定システムで指定された専用の希釈液で上記H
b溶液を希釈し、コントロールとしてのHb標準試料溶
液を得る。なお、溶解後に保存する必要がある場合に
は、Hb標準試料溶液を得る前のHb溶液の状態で冷蔵
保存される。
【0007】キャリブレータ溶液の調製に際しては、従
来の市販品では、2点校正を行うために、正常域濃度値
及び高値域濃度値が明示された2種類の凍結乾燥Hbが
用意されている。バイアル中の各凍結乾燥Hbを専用の
溶解液で溶解し、かつ同時に希釈する。このようにし
て、Hb標準試料溶液としてのキャリブレータ溶液が用
意される。なお、キャリブレータ溶液は使用後すぐに廃
棄されるため、溶解後に保存はできない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】キャリブレータ及びコ
ントロール血液を用いるに際し、いずれの場合において
も、Hb溶解後には、Hbが経時的に劣化すなわち変性
する。劣化を少しでも少なくするには、Hb溶液を冷蔵
することが必要である。
【0009】しかしながら、測定装置が設置されている
病院や検査センターの検査室の温度は約23〜25℃に
設定されているのが一般的である。従って、Hb溶液の
温度管理を行うことは難しい。また、23〜25℃の温
度に一定であったとしても、溶解後から実際に測定され
るまでの時間が長くなれば長くなる程、Hb溶液の劣化
が進むことになる。
【0010】他方、キャリブレータでは、凍結乾燥Hb
を専用溶解液で溶解することによりHb溶液が用意され
るが、Hb溶液が劣化すると、測定システムの正しい校
正が行い得なくなる。例えば、HbA1c値として、
4.8%及び10.8%と検定されたキャリブレータが
溶解後に劣化し、HbA1c値がそれぞれ、例えば0.
2%及び0.4%低下した場合には、この低下を確認す
ることは難しい。すなわち、劣化したキャリブレータ溶
液に基づいて装置が校正されてしまうためである。従っ
て、前述したように、キャリブレータでは、凍結乾燥H
bを溶解した後に、Hb溶解液を保存することはできな
かった。
【0011】また、コントロール血液においては、希釈
されたHb希釈液がサンプルカップに分注され、測定装
置のラックに設置される。最近の測定装置では、一度に
セットされる検体数は最大で100〜200とかなり多
くなってきている。そのため、後ろの方にセットされた
Hb希釈液では、1検体の測定時間が例えば1.5分で
ある場合、数時間も室温下で置かれることになる。その
ため、測定に至るまでの数時間の間に、劣化が進行する
恐れがあった。
【0012】さらに、コントロールは、溶解後に冷蔵で
保存されることが望ましいとされているが、冷蔵保存時
の温度管理が正しくなされていないと、Hb溶液の劣化
が進行する恐れがあった。
【0013】HbA1cを高精度に測定するには、測定
システムを正確に校正することが必要であり、かつ日常
の精度管理も高精度に維持されていることが重要であ
る。そのためには、キャリブレータやコントロールの調
製及びコントロールの保存時に、Hbの劣化が生じない
ようにする必要がある。ところが、従来、このような用
途において、Hbの劣化を防止するための有効な技術は
知られていなかった。
【0014】本発明の目的は、上述した従来技術の現状
に鑑み、キャリブレータやコントロールの調製及びコン
トロールの保存に際してHbの劣化が生じ難い、ヘモグ
ロビン類の測定に用いられるヘモグロビン標準試料調製
液、ヘモグロビン標準試料溶液及びその調製方法並びに
これらを用いた液体クロマトグラフィーによるヘモグロ
ビン類の測定方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、乾燥ヘモグロ
ビンまたはヘモグロビン溶液からヘモグロビン標準試料
溶液を調製する際に用いられるヘモグロビン標準試料調
製液であって、pH5.0〜8.5で緩衝能を持つ緩衝
剤と、アミン系化合物、アルコール系化合物、アルデヒ
ド系化合物、カルボン酸系化合物、フェノール系化合
物、アミド系化合物、有機ハロゲン系化合物、イソチア
ゾロン系化合物、有機金属化合物、EDTA類及びホウ
酸からなる群から選択された少なくとも1種の保存剤と
が含有されていることを特徴とするヘモグロビン標準試
料調製液である。上記緩衝剤及び少なくとも1種の保存
剤が含有されているため、ヘモグロビンの溶解あるいは
ヘモグロビン溶液の希釈に用いた場合の、ヘモグロビン
の劣化が生じ難い。
【0016】本発明に係るヘモグロビン標準試料調製液
では、好ましくは、非イオン性界面活性剤がさらに含有
されている。本発明に係るヘモグロビン標準試料水溶液
は、本発明に係るヘモグロビン標準試料調製液を用いて
調製されていることを特徴とする。
【0017】本発明に係るヘモグロビン類の測定方法
は、本発明に係るヘモグロビン標準試料溶液を用いて液
体クロマトグラフィーによりヘモグロビン類を測定する
ことを特徴とする。
【0018】以下、本発明の詳細を説明する。以下、本
発明の詳細な説明において、コントロールやキャリブレ
ータなど乾燥ヘモグロビンを精製水等で所定のHb濃度
に溶解させた液を「ヘモグロビン溶液」と称する。安定
型HbA1cなどのコントロール及びキャリブレータを
必要に応じて「標準試料」と総称する。また、コントロ
ールやキャリブレータなどの標準試料溶液を希釈するた
めの希釈液を、「ヘモグロビン標準試料調製液」と総称
する。さらに、標準試料がヘモグロビン標準試料調製液
で調製された液体、すなわち、凍結乾燥Hb溶液、コン
トロール溶液、及びキャリブレータ溶液を「ヘモグロビ
ン標準試料溶液」と総称する。
【0019】本発明において、コントロールとは、公知
のHbA1c用のコントロールであればよく、特に限定
されるものではない。また、キャリブレータについて
も、公知のHbA1c用のキャリブレータであればよ
く、特に限定されない。
【0020】本発明に係るヘモグロビン標準試料調製液
は、乾燥ヘモグロビンまたは、ヘモグロビン溶液からヘ
モグロビン標準試料溶液を調製する際に用いられる調製
液である。このヘモグロビン標準試料調製液は、pH
5.0〜8.5で緩衝能を有する緩衝剤と、上述した保
存剤とから主に構成される。
【0021】本発明に係るヘモグロビン標準試料調製液
の使用方法としては、以下の乾燥ヘモグロビンからヘ
モグロビン標準試料溶液の調製及びヘモグロビン溶液
からのヘモグロビン標準試料溶液の調製が挙げられる。
【0022】乾燥ヘモグロビンからのヘモグロビン標
準試料溶液の調製 例えば、市販のキャリブレータ(アークレイ社製、商品
名:ADAMS A1cキャリブレータ)などに、本発
明に係るヘモグロビン標準試料調製液をメーカー指定量
を添加し、ヘモグロビン標準試料溶液を調製する。
【0023】ヘモグロビン溶液からのヘモグロビン標
準試料溶液の調製 例えば、市販のコントロール(国際試薬社製、品番:グ
リコHbコントロール)などの乾燥ヘモグロビンに溶解
液を添加してヘモグロビン溶液を得た後、一定量の該溶
液と本発明に係るヘモグロビン標準試料調製液をメーカ
ー指定希釈液量を添加し、ヘモグロビン標準試料溶液を
調製する。
【0024】本発明に係るヘモグロビン標準試料調製液
中の緩衝剤としては、pH5.0〜8.5で緩衝能を有
するものであればよい。このような緩衝剤は、無機酸、
有機酸、もしくはこれらの塩または有機物が挙げられ
る。
【0025】上記無機酸としては、例えば、リン酸、ホ
ウ酸などが挙げられる。上記有機酸及び有機物として
は、例えば、カルボン酸、ジカルボン酸、カルボン酸誘
導体、ヒドロキシカルボン酸、アミノ酸などが挙げられ
る。
【0026】上記カルボン酸としては、例えば、酢酸、
プロピオン酸などが挙げられる。上記ジカルボン酸とし
ては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸などが挙げら
れる。上記カルボン酸誘導体としては、例えば、β,β
−ジメチルグルタル酸、バルビツール酸などが挙げられ
る。上記ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、クエ
ン酸、酒石酸、乳酸などが挙げられる。上記アミノ酸と
しては、例えば、アスパラギン酸、ヒスチジンなどが挙
げられる。上記無機酸または有機酸の塩としては、従来
公知のものが用いられ、例えばナトリウム塩やカリウム
塩などが挙げられる。
【0027】また、2−(N−モリホリノ)エタンスル
ホン酸(MES)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジ
ン−N’−エタンスルホン酸(HEPES)、ビス(2
−ヒドロキシエチル)イミノトリス−(ヒドロキシメチ
ル)メタン(Bistris)、Tris、ADA、P
IPES、Bistrispropane、ACEA、
MOPS、BES、TES、HEPPS、Tricin
e、Bicine、グリシルグリシン、TAPS、CA
PS等の一般にグッド(Good)の緩衝液といわれて
いるものも使用できる。
【0028】本発明では、緩衝剤の濃度は特に限定され
ず、水に溶解された状態で、緩衝作用がある範囲であれ
ばよく、好ましくは0.01mM〜100mM、より好
ましくは0.1〜50mM、さらに好ましくは0.5〜
30mMである。
【0029】緩衝剤の濃度が0.01mMより低いと、
十分な緩衝能が得られないことがあり、100mMより
高いと安定型A1c分離パターンが悪化することがあ
る。本発明におけるヘモグロビン標準試料調製液のpH
は5.0〜8.5であり、好ましくは、6.0〜8.2
であり、さらに好ましくは6.5〜7.9である。pH
が5.0より低い場合、並びに8.5より高い場合に
は、ヘモグロビン類の変性が起こり易くなり、安定なヘ
モグロビン標準試料溶液を得ることができなくなる。
【0030】本発明に係るヘモグロビン標準試料調製液
では、上記緩衝剤と、保存剤とが含有される。上記保存
剤とは、アミン系化合物、アルコール化合物、アルデヒ
ド系化合物、カルボン酸系化合物、フェノール系化合
物、アミド系化合物、有機ハロゲン系化合物、イソチア
ゾロン系化合物、有機金属化合物、EDTA類及びホウ
酸からなる群から選択された少なくとも1種の保存剤で
ある。これらの具体例は特に限定されず、例えば以下に
示すものが挙げられる。
【0031】アミン系化合物としては、例えば、2−
(4−チアゾリル)ベンツイミダゾール等のイミダゾー
ル系化合物、2,3,5,6−テトラクロロメチルスル
ホニルピリジン、(2−ピリジルチオ−1−オキシド)
ナトリウム等のピリジン系化合物、トリアルキルトリア
ミン等が挙げられる。
【0032】アルコール系化合物としては、、例えば、
メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イ
ソプロパノール、2−フェノキシエタノール、2−フェ
ノキシプロパノール、2−フェニルエタノール等が挙げ
られる。
【0033】アルデヒド系化合物としては、例えば、ホ
ルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等が挙げられる。
カルボン酸系化合物としては、例えば、安息香酸、安息
香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、プ
ロピオン酸、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸ナト
リウム、プロピオン酸カルシウム、サリチル酸、サリチ
ル酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、10−ウン
デシレン酸、ウンデシレン酸亜鉛、マグネシウム2水素
ビスモノペルオキシフタラート等が挙げられる。
【0034】フェノール系化合物としては、例えば、チ
モール、イソプロピルメチルフェノール、オルトフェニ
ルフェノール、オルトフェニルフェノールナトリウム、
p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香
酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒド
ロキシ安息香酸ブチル、m−クレゾール、p−クロロフ
ェノール等が挙げられる。
【0035】アミド系化合物としては、例えば、2−ク
ロロアセタミド等が挙げられる。有機ハロゲン系化合物
としては、例えば、2,4,5,6−テトラクロロイソ
フタロニトリル、N−(フルオロジクロロメチルチオ)
−フタルイミド、N,N−ジメチル−N’(フルオロジ
クロロメチルチオ)−N’−フェニルスルファミド等が
挙げられる。
【0036】イソチアゾロン系化合物としては、例え
ば、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン等が挙げられ
る。有機金属化合物としては、例えば、10,10−オ
キシビスフェノキシアルシン等が挙げられる。
【0037】EDTA類としては、EDTA、EDTA
類のナトリウム塩、EDTAのカリウム塩なとが挙げら
れる。上記保存剤の含有量は、特に限定されないが、通
常、ヘモグロビン標準試料調製液中、0.0001〜1
0重量%、好ましくは0.0005〜5重量%とされ
る。
【0038】上記保存剤は、1種のみを用いられてもよ
く、2種以上併用されてもよい。また、2種以上併用さ
れる場合においても、含有量の合計が上記の範囲である
ことが好ましい。
【0039】上記保存剤の含有が0.0001重量%に
満たない場合には、十分な抗菌性が得られず、ヘモグロ
ビン類の安定性に悪影響が出る場合がある。また、含有
量が10重量%を超えると、保存剤の溶解性が悪くなっ
たり、ヘモグロビン類の測定系に悪影響が出て、安定型
HbA1cを正確に測定できないことがある。
【0040】上記保存剤は、ヘモグロビン標準試料調製
液に十分に溶解することが好ましく、単独で溶解性が悪
い保存剤を用いる場合には、ヘモグロビン類の測定系に
悪影響が出ない量まで含有量を低めるか、あるいは複数
の保存剤を組み合わせて用いるなどの方法を採用するこ
とが望ましい。
【0041】また、溶解性を高めるために、メタノー
ル、エタノール、アセトニトリル、アセトンなどの水溶
性有機溶剤が混合されて用いられてもよい。この場合、
これらの有機溶媒の濃度は、ヘモグロビンの安定性及び
ヘモグロビン類の測定系に悪影響を与えない程度の濃度
に調整されることが好ましい。
【0042】本発明に係るヘモグロビン標準試料調製液
では、好ましくは、さらに非イオン性界面活性剤が含有
される。非イオン性界面活性剤は特に限定されるわけで
はないが、例えば、ポリオキシエチレン類(以下、ポリ
オキシエチレンをPOE、エチレンオキシド付加モル数
を(n)で表わす。)、POE(7)デシルエーテル、
POE(n)ドデシルエーテル、POE(10)トリデ
シルエーテル、POE(11)テトラデシルエーテル、
POE(n)セチルエーテル、POE(n)ステアリル
エーテル、POE(n)オレイルエーテル、POE(1
7)セチル−ステアリルエーテル、POE(n)オクチ
ルフェニルエーテル、POE(n)ノニルフェニルエー
テル、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソ
ルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン
酸ソルビタン、POE(n)モノラウリン酸ソルビタ
ン、POE(n)モノパルミチン酸ソルビタン、POE
(n)モノステアリン酸ソルビタン、POE(n)モノ
オレイン酸ソルビタン、POE(9)ラウリルエーテル
等が挙げられる。また、オキシエチレン−オキシプロピ
レンブロック共重合体等の高分子化合物も用いることが
できる。
【0043】上記界面活性剤は、1種のみが用いられて
もよく、2種以上併用されて用いられてもよい。また、
1種あるいは2種以上の界面活性剤の合計の含有量は、
好ましくは0.01〜10重量%である。
【0044】本発明に係るヘモグロビン標準試料溶液
は、上述した本発明に係るヘモグロビン標準試料調製液
を用いてヘモグロビンを溶解及び/または溶解液を希釈
することにより調製される。
【0045】本発明に係るヘモグロビン類の測定方法
は、本発明に係るヘモグロビン標準試料溶液を用いて液
体クロマトグラフィーにより行われる。この液体クロマ
トグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法は、特に
限定されず、公知の液体クロマトグラフィーによるヘモ
グロビン類の測定方法であれば任意の方法を用いること
ができる。好ましくは、イオン交換基を有する充填剤が
充填されたカラムを用いた液体クロマトグラフィー法が
好適に用いられる。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、実施例及び比較例を挙げ、
本発明をより詳細に説明する。本発明は、以下の実施例
に限定されるものではない。
【0047】(用意した材料) (1)キャリブレータ キャリブレータとして、アークレイ社製、商品名ADA
MS A1cキャリブレータ(低値4.8%及び高値1
0.8%の2種)を用意した。 (2)コントロール血液 国際試薬社製、ロットナンバー1276の正常域5.0
%〜5.6%及び高値域10.2%〜11.2%の2種
のコントロール血液を用意した。 (3)キャリブレータ用溶解液 アークレイ社製、品番:ADAMS A1cキャリブレ
ータ専用溶解液 (4)コントロール用希釈液 アークレイ社製、品番:ADAMS Alc専用希釈液 (5)精製水 大塚製薬社製、注射用精製水 (6)測定システム アークレイ株式会社社製、自動グリコヘモグロビン測定
装置「ADAMS A1cHA−8160」 (7)本発明のHb標準試料調製液(D液) 界面活性剤として、0.5重量%ポリエチレングリコー
ルモノ−4−オクチルフェニールエーテル(東京化成社
製、品番:トリトンX−100)、保存剤として、プロ
ピオン酸ナトリウム0.05重量%を含有する5mMリ
ン酸緩衝液(pH=7.2)をD液とした。
【0048】(校正)上記キャリブレータ用溶解液を6
℃に冷却し、この溶解液で上記キャリブレータを溶解
し、低値及び高値ともn=3の平均値で校正した。
【0049】(実施例1)上記コントロール血液2種
を、それぞれ、冷蔵(4℃)に維持された精製水0.2
mLに溶解し、ヘモグロビン溶液を得た。このヘモグロ
ビン溶液を、4℃に30分間静置した後、上記D液20
mLで希釈し、ヘモグロビン標準試料溶液を得、直後に
HbA1c値を上記測定システムを用いて測定した。H
bA1c値(n=3での平均値)を下記の表1に示す。
【0050】(比較例1)上記D液に代えて、上記コン
トロール用希釈液を用いたことを除いては、実施例1と
同様にして、HbA1c値を測定した。結果を下記の表
1に示す。
【0051】(実施例2)上記低値及び高値のキャリブ
レータをD液6mLにそれぞれ溶解し、各キャリブレー
タ溶液を得、各キャリブレータ溶液についてHbA1c
値を上記測定システムを用いて測定した。HbA1c値
(n=3での平均値)を下記の表2に示す。
【0052】(比較例2)D液に代えて、上記キャリブ
レータ用溶解液を用いて各キャリブレータ溶液を得、実
施例2と同様にしてHbA1c値を測定した。結果を下
記の表2に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】本発明に係るヘモグロビン標準試料調製
液では、pH5.0〜8.5で緩衝能を有する緩衝剤
と、上記特定の保存剤とを含むため、従来より安定なヘ
モグロビン標準試料溶液を容易に提供することができ、
ヘモグロビン測定システムの精度管理が容易となり、そ
のコストを低減することができ、さらにキャリブレータ
及びコントロールの取扱性を高めることができる。
【0056】本発明に係るヘモグロビン標準試料溶液
は、本発明に係るヘモグロビン標準試料調製液を用いて
調製されているので、保存に際してのヘモグロビンの劣
化が生じ難く、従って、ヘモグロビン測定システムの精
度管理を確実に行うことができ、かつそのコストを低減
することができ、キャリブレータやコントロールの取扱
性を高めることができる。
【0057】本発明に係るヘモグロビン類の測定方法で
は、上記のように本発明に従って得られる安定なヘモグ
ロビン標準試料溶液を用いて液体クロマトグラフィーに
より行われるため、ヘモグロビン測定システムの精度管
理コストの低減及びヘモグロビン測定精度を高めること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川辺 俊樹 大阪市北区西天満2−4−4 積水化学工 業株式会社内 (72)発明者 瀬戸口 雄二 山口県新南陽市開成町4560 積水化学工業 株式会社内 (72)発明者 源 政明 山口県新南陽市開成町4560 積水化学工業 株式会社内 Fターム(参考) 2G045 AA01 CA25 DA51 JA05 2G052 AA30 AA39 AB16 AD26 AD46 FD01 FD09 GA27 JA09 JA10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乾燥ヘモグロビンまたはヘモグロビン溶
    液からヘモグロビン標準試料溶液を調製する際に用いら
    れるヘモグロビン標準試料調製液であって、 pH5.0〜8.5で緩衝能を持つ緩衝剤と、 アミン系化合物、アルコール系化合物、アルデヒド系化
    合物、カルボン酸系化合物、フェノール系化合物、アミ
    ド系化合物、有機ハロゲン系化合物、イソチアゾロン系
    化合物、有機金属化合物、EDTA類及びホウ酸からな
    る群から選択された少なくとも1種の保存剤とが含有さ
    れていることを特徴とするヘモグロビン標準試料調製
    液。
  2. 【請求項2】 さらに非イオン性界面活性剤が含有され
    ていることを特徴とする、請求項1に記載のヘモグロビ
    ン標準試料調製液。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のヘモグロビン
    標準試料調製液を用いて調製されたことを特徴とするヘ
    モグロビン標準試料溶液。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のヘモグロビン標準試料
    溶液を用いて液体クロマトグラフィーによりヘモグロビ
    ン類を測定することを特徴とする、ヘモグロビン類の測
    定方法。
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