JP2004125560A - ヘモグロビン標準試料調製液、ヘモグロビン標準試料溶液およびヘモグロビン類の測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャリブレータやコントロールの調製およびコントロールの保存に際してヘモグロビンの劣化(変性)が生じ難い、ヘモグロビン類の測定に用いられるヘモグロビン標準試料調製液およびヘモグロビン標準試料溶液、ならびに、これらを用いたヘモグロビン類の測定方法を提供する。
【解決手段】乾燥ヘモグロビンまたはヘモグロビン溶液からヘモグロビン標準試料溶液を調製する際に用いられるヘモグロビン標準試料調製液であって、上記ヘモグロビン標準試料調製液は、錯体形成剤を濃度0.1〜3000mMで含有し、かつ、pHが5.0〜9.0であるヘモグロビン標準試料調製液、さらに、非イオン性界面活性剤を含有している上記ヘモグロビン標準試料調製液、さらに、保存剤を含有している上記ヘモグロビン標準試料調製液、および、上記ヘモグロビン標準試料調製液を用いて調製されているヘモグロビン標準試料溶液、ならびに、上記ヘモグロビン標準試料溶液を用いて、液体クロマトグラフィーによりヘモグロビン類を測定するヘモグロビン類の測定方法。
【選択図】 なし
【解決手段】乾燥ヘモグロビンまたはヘモグロビン溶液からヘモグロビン標準試料溶液を調製する際に用いられるヘモグロビン標準試料調製液であって、上記ヘモグロビン標準試料調製液は、錯体形成剤を濃度0.1〜3000mMで含有し、かつ、pHが5.0〜9.0であるヘモグロビン標準試料調製液、さらに、非イオン性界面活性剤を含有している上記ヘモグロビン標準試料調製液、さらに、保存剤を含有している上記ヘモグロビン標準試料調製液、および、上記ヘモグロビン標準試料調製液を用いて調製されているヘモグロビン標準試料溶液、ならびに、上記ヘモグロビン標準試料溶液を用いて、液体クロマトグラフィーによりヘモグロビン類を測定するヘモグロビン類の測定方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘモグロビン類の測定に用いられるヘモグロビン標準試料調製液およびヘモグロビン標準試料溶液、ならびに、これらを用いたヘモグロビン類の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘモグロビンA1c(以下、「HbA1c」と略記する)は、血液中の糖が赤血球に入った後にヘモグロビンと化学的に結合することにより生成され、過去1〜2カ月間の血液中の平均的な血糖値(血液中のグルコース濃度)を反映する。したがって、HbA1cは、糖尿病のスクリーニング検査や糖尿病患者の血糖管理状態を把握するなどの糖尿病診断の指標として広く用いられている。
【0003】
上記HbA1cの測定には、高速液体クロマトグラフィーが広く用いられており、測定に際しての校正にはキャリブレータと称されているヘモグロビン試料が用いられており、また、測定に際しての精度管理にはコントロール血液が用いられている。
【0004】
上記キャリブレータは、カラム交換時や測定装置のメンテナンス時のように、測定条件が変わる可能性が生じた場合に測定システムを校正するために用いられる。
【0005】
また、上記コントロール血液は、測定システムの精度管理、すなわち、装置の測定性能を把握するために用いられる。具体的には、正常値域および正常値を超える高値域の2つのコントロール血液試料を適当な間隔をあけて測定し、その測定値の推移を管理図等にプロットすることにより、測定システムの状態を把握する際に用いられる。
【0006】
通常、キャリブレータおよびコントロール血液には、いずれもヒト赤血球を基にして凍結乾燥処理された凍結乾燥ヘモグロビンが用いられている。従来、上記キャリブレータおよびコントロール血液を用いる際には、以下のようにして調製されている。
【0007】
キャリブレータ溶液の調製に際しては、従来の市販品では、2点校正を行うために、正常値域濃度値および高値域濃度値が明示された2種類の凍結乾燥ヘモグロビンが用意されている。バイアル中の各凍結乾燥ヘモグロビンを専用の溶解液で溶解し、かつ、同時に希釈する。このようにして、ヘモグロビン標準試料溶液としてのキャリブレータ溶液が用意される。なお、キャリブレータ溶液は使用後すぐに廃棄されるため、溶解後に保存することはできない。
【0008】
また、例えば、国際試薬株式会社製のコントロール血液を用いた場合、バイアル中の凍結乾燥ヘモグロビンを元のヘモグロビン濃度付近に戻すために、バイアルに精製水を添加し、ヘモグロビン溶液を得る。この場合、ヘモグロビンを十分に溶解させるために、ヘモグロビン溶液を5〜30分間程度静置する。次に、高速液体クロマトグラフィーにより測定し得るヘモグロビン濃度とするために、測定システムで指定された専用の希釈液で上記ヘモグロビン溶液を希釈し、コントロールとしてのヘモグロビン標準試料溶液を得る。なお、溶解後に保存する必要がある場合には、ヘモグロビン標準試料溶液を得る前のヘモグロビン溶液の状態で冷蔵保存する。
【0009】
上記キャリブレータおよびコントロール血液を用いるいずれの場合においても、ヘモグロビン溶解後にはヘモグロビンが経時的に劣化すなわち変性するので、劣化(変性)を少しでも少なくするためには、ヘモグロビン溶液を冷蔵することが必要である。
【0010】
しかし、測定装置が設置されている病院や検査センターの検査室の温度は約23〜25℃に設定されているのが一般的であるため、ヘモグロビン溶液の温度管理を行うことは難しい。また、約23〜25℃の温度に一定であったとしても、溶解後から実際に測定されるまでの時間が長くなれば長くなるほど、ヘモグロビン溶液の劣化(変性)が進むことになる。
【0011】
一方、キャリブレータにおいては、凍結乾燥ヘモグロビンを専用溶解液で溶解することによりヘモグロビン溶液が用意されるが、ヘモグロビン溶液が劣化(変性)すると、測定システムの正しい校正を行い得なくなる。例えば、HbA1c値として4.8%および10.8%と検定されたキャリブレータが溶解後に劣化(変性)し、例えば、HbA1c値がそれぞれ0.2%および0.4%低下した場合には、この低下を確認することは難しい。すなわち、劣化(変性)したキャリブレータ溶液に基づいて装置が校正されてしまうためである。したがって、前述したように、キャリブレータでは、凍結乾燥ヘモグロビンを溶解した後にヘモグロビン溶解液を保存することはできない。
【0012】
また、コントロール血液においては、希釈されたヘモグロビン希釈液がサンプルカップに分注され、測定装置のラックに設置される。最近の測定装置では、一度にセットされる検体数は最大で100〜200個とかなり多くなってきている。そのため、後ろの方にセットされたヘモグロビン希釈液は、1検体の測定時間が例えば1.5分である場合、数時間も室温下に放置されることになり、測定に至るまでの数時間の間に劣化が進行する恐れがある。
【0013】
さらに、コントロールは、溶解後に冷蔵で保存されることが望ましいとされているが、冷蔵保存時の温度管理が正しくなされていないと、ヘモグロビン溶液の劣化(変性)が進行する恐れがある。
【0014】
HbA1cを高精度に測定するためには、測定システムを正確に校正することが必要であり、かつ、日常の精度管理も高精度に維持されていることが重要である。そのためには、キャリブレータやコントロールの調製時およびコントロールの保存時にヘモグロビンの劣化(変性)が生じないようにする必要がある。ところが、従来、このような用途において、ヘモグロビンの劣化(変性)を防止するための有効な技術は知られていないのが現状である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、キャリブレータやコントロールの調製およびコントロールの保存に際してヘモグロビンの劣化(変性)が生じ難い、ヘモグロビン類の測定に用いられるヘモグロビン標準試料調製液およびヘモグロビン標準試料溶液、ならびに、これらを用いた液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明(本発明)によるヘモグロビン標準試料調製液は、乾燥ヘモグロビンまたはヘモグロビン溶液からヘモグロビン標準試料溶液を調製する際に用いられるヘモグロビン標準試料調製液であって、上記ヘモグロビン標準試料調製液は、錯体形成剤を濃度0.1〜3000mMで含有し、かつ、pHが5.0〜9.0であることを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の発明によるヘモグロビン標準試料調製液は、上記請求項1に記載のヘモグロビン標準試料調製液において、さらに、非イオン性界面活性剤を含有していることを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の発明によるヘモグロビン標準試料調製液は、上記請求項1または請求項2に記載のヘモグロビン標準試料調製液において、さらに、アミン系化合物、アルコール系化合物、アルデヒド系化合物、カルボン酸系化合物、フェノール系化合物、アミド系化合物、有機ハロゲン系化合物、イソチアゾロン系化合物、有機金属化合物、エチレンジアミン4酢酸類およびホウ酸からなる群より選択される少なくとも1種類の保存剤を含有していることを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明(本発明)によるヘモグロビン標準試料溶液は、上記請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のヘモグロビン標準試料調製液を用いて調製されていることを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明(本発明)によるヘモグロビン類の測定方法は、上記請求項4に記載のヘモグロビン標準試料溶液を用いて、液体クロマトグラフィーによりヘモグロビン類を測定することを特徴とする。
【0021】
以下、本発明の詳細な説明において、コントロールやキャリブレータなど乾燥ヘモグロビンを精製水等で所定のヘモグロビン濃度に溶解させた溶液を「ヘモグロビン溶液」と総称する。また、安定型HbA1cなどのコントロールおよびキャリブレータを必要に応じて「標準試料」と総称する。さらに、標準試料がヘモグロビン標準試料調製液で調製された溶液、すなわち、凍結乾燥ヘモグロビン溶液、コントロール溶液およびキャリブレータ溶液を「ヘモグロビン標準試料溶液」と総称する。
【0022】
本発明において、コントロールとは、公知のHbA1c用のコントロールであれば良く、特に限定されるものではない。また、本発明において、キャリブレータとは、公知のHbA1c用のキャリブレータであれば良く、特に限定されるものではない。
【0023】
本発明のヘモグロビン標準試料調製液は、乾燥ヘモグロビンまたはヘモグロビン溶液からヘモグロビン標準試料溶液を調製する際に用いられるヘモグロビン標準試料調製液である。
【0024】
本発明のヘモグロビン標準試料調製液を用いてヘモグロビン標準試料溶液を調製する方法としては、下記(1)および(2)の2方法が挙げられ、いずれか一方の方法が採られても良いし、両方の方法が併用されても良い。
【0025】
(1)乾燥ヘモグロビンからヘモグロビン標準試料溶液を調製する方法
例えば、市販のキャリブレータ(例えばアークレイ社製の商品名「ADAMS A1cキャリブレータ」等)などに、本発明のヘモグロビン標準試料調製液をメーカーが指定する量で添加し、混合して、ヘモグロビン標準試料溶液を調製する。または、例えば、市販のコントロール血液などに本発明のヘモグロビン標準試料調製液を上記コントロール血液の添付文書に記載の量を添加してヘモグロビン標準試料溶液を調製した後、測定前にメーカー指定の希釈液で所定の倍率まで希釈して測定サンプルを調製する方法もある。
【0026】
(2)ヘモグロビン溶液からヘモグロビン標準試料溶液を調製する方法
例えば、市販のコントロール(例えば国際試薬社製の商品名「グリコHbコントロール」等)などの乾燥ヘモグロビンに溶解液を添加してヘモグロビン溶液を調製した後、一定量の上記ヘモグロビン溶液に本発明のヘモグロビン標準試料調製液をメーカーが指定する希釈液量を添加し、混合して、ヘモグロビン標準試料溶液を調製する。
【0027】
本発明のヘモグロビン標準試料調製液は、錯体形成剤を濃度0.1〜3000mMで含有していることが必要であり、好ましくは濃度0.5〜1000mMで含有していることであり、特に好ましくは濃度1.0〜500mMで含有していることである。
【0028】
上記錯体形成剤としては、公知の錯体形成剤を用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、金属イオンとの配位構造に基づいて、N、N−配位型、N、O−配位型、O、O−配位型、N、S−配位型およびS、S−配位型に分類される各種錯体形成剤が挙げられ、なかでも、N、O−配位型の錯体形成剤が好適に用いられる。これらの錯体形成剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0029】
上記N、O−配位型の錯体形成剤の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)、1,2−シクロヘキサンジアミン4酢酸(CyDTA)、グリコールエーテルジアミン4酢酸(GEDTA)、ヘキサメチレンジアミン4酢酸(HDTA)、イミノ2酢酸(IDA)、ヒドロキシエチルイミノ2酢酸(HIDA)、1,3−ジアミノプロパン−2−オール4酢酸(DPTA−OH)、ジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)、エチレンジアミン2酢酸(EDDA)、エチレンジアミン2酢酸2プロピオン酸(EDDP)、エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)4酢酸(EGTA)、エチレンジアミン−テトラキス(メチレンホスホン酸)(EDTPO)、エチレンジアミン2プロピオン酸(EDDP)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸(EDTA−OH)、N−(2−ヒドロキシルエチル)エチレンジアミン3酢酸(HEEDTA)、ニトリン3酢酸(NTA)、ニトリン3プロピオン酸(NTP)、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)2(ヒドロキシエチル)グリシン(NTPO)、1,2−ジアミノプロパン4酢酸(Methyl−EDTA)等が挙げられる。これらのN、O−配位型の錯体形成剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0030】本発明のヘモグロビン標準試料調製液において、上記錯体形成剤の濃度が0.1mM未満であるか、または、3000mMを超えると、ヘモグロビンが劣化(変性)しやすくなって、ヘモグロビンの安定性が悪くなる。
【0031】
また、本発明のヘモグロビン標準試料調製液は、pHが5.0〜9.0であることが必要である。
【0032】
ヘモグロビン標準試料調製液のpHが5.0未満であるか、または、9.0を超えると、ヘモグロビンが劣化(変性)しやすくなって、ヘモグロビンの安定性が悪くなる。
【0033】
本発明のヘモグロビン標準試料調製液には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、pHが5.0〜9.0で緩衝能を有する緩衝剤が添加されていても良い。
【0034】
上記緩衝剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、無機酸、有機酸もしくはこれらの塩または有機化合物等が挙げられる。
【0035】
上記無機酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。また、上記有機酸または有機化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸、ジカルボン酸、カルボン酸誘導体、ヒドロキシカルボン酸、アミノ酸等が挙げられる。
【0036】
上記カルボン酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。また、上記ジカルボン酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等が挙げられる。また、上記カルボン酸誘導体としては、特に限定されるものではないが、例えば、β,β−ジメチルグルタル酸、バルビツール酸等が挙げられる。また、上記ヒドロキシカルボン酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、クエン酸、酒石酸、乳酸等が挙げられる。また、上記アミノ酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、アスパラギン酸、ヒスチジン等が挙げられる。さらに、上記無機酸もしくは有機酸の塩としては、従来公知のものが用いられ、特に限定されるものではないが、例えば、無機酸もしくは有機酸のナトリウム塩やカリウム塩等が挙げられる。
【0037】
また、上記緩衝剤として、特に限定されるものではないが、例えば、2−(N−モリホリノ)エタンスルホン酸(MES)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−エタンスルホン酸(HEPES)、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス−(ヒドロキシメチル)メタン(Bistris)、Tris、ADA、PIPES、Bistrispropane、ACEA、MOPS、BES、TES、HEPPS、Tricine、Bicine、グリシルグリシン、TAPS、CAPS等の一般にグッド(Good)の緩衝液と称されているものが用いられても良い。これらの緩衝剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0038】本発明のヘモグロビン標準試料調製液中における上記緩衝剤の濃度は、特に限定されるものではなく、水に溶解された状態で緩衝作用を発現し得る範囲の濃度であれば良い。
【0039】
本発明のヘモグロビン標準試料調製液は、さらに、非イオン性界面活性剤を含有していることが好ましい。
【0040】
上記非イオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオキシエチレン類が挙げられる。以下、ポリオキシエチレンをPOEで表し、エチレンオキシド付加モル数を(n)で表す。
【0041】
上記POE類の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、POE(7)デシルエーテル、POE(n)ドデシルエーテル、POE(10)トリデシルエーテル、POE(11)テトラデシルエーテル、POE(n)セチルエーテル、POE(n)ステアリルエーテル、POE(n)オレイルエーテル、POE(17)セチル−ステアリルエーテル、POE(n)オクチルフェニルエーテル、POE(n)ノニルフェニルエーテル、POE(n)モノラウリン酸ソルビタン、POE(n)モノパルミチン酸ソルビタン、POE(n)モノステアリン酸ソルビタン、POE(n)モノオレイン酸ソルビタン、POE(9)ラウリルエーテル等が挙げられる。また、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体などの高分子化合物が用いられても良い。これらの非イオン性界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0042】
本発明のヘモグロビン標準試料調製液中における上記非イオン性界面活性剤の含有量は、特に限定されるものではないが、0.01〜10重量%であることが好ましい。
【0043】
本発明のヘモグロビン標準試料調製液は、さらに、保存剤を含有していることが好ましい。上記保存剤は、ヘモグロビン標準試料調製液に抗菌性を付与して、ヘモグロビンの安定性をより向上させる機能を有する。
【0044】
上記保存剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミン系化合物、アルコール系化合物、アルデヒド系化合物、カルボン酸系化合物、フェノール系化合物、アミド系化合物、有機ハロゲン系化合物、イソチアゾロン系化合物、有機金属化合物、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)類、ホウ酸等が挙げられる。これらの保存剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0045】
アミン系化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾールなどのイミダゾール系化合物、2,3,5,6−テトラクロロメチルスルホニルピリジン、(2−ピリジルチオ−1−オキシド)ナトリウムなどのピリジン系化合物、トリアルキルトリアミン等が挙げられる。これらのアミン系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0046】
アルコール系化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、2−フェノキシエタノール、2−フェノキシプロパノール、2−フェニルエタノール等が挙げられる。これらのアルコール系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0047】
アルデヒド系化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0048】
カルボン酸系化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、10−ウンデシレン酸、ウンデシレン酸亜鉛、マグネシウム2水素ビスモノペルオキシフタラート等が挙げられる。これらのカルボン酸系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0049】
フェノール系化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、チモール、イソプロピルメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、オルトフェニルフェノールナトリウム、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、m−クレゾール、p−クロロフェノール等が挙げられる。これらのフェノール系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0050】
アミド系化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、2−クロロアセタミド等が挙げられる。これらのアミド系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0051】
有機ハロゲン系化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、N,N−ジメチル−N’( フルオロジクロロメチルチオ)−N’−フェニルスルファミド等が挙げられる。これらの有機ハロゲン系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0052】
イソチアゾロン系化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン等が挙げられる。これらのイソチアゾロン系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0053】
有機金属化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、10,10−オキシビスフェノキシアルシン等が挙げられる。これらの有機金属化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0054】EDTA類の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、EDTA、EDTAのナトリウム塩、EDTAのカリウム塩等が挙げられる。これらのEDTA類は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0055】
本発明のヘモグロビン標準試料調製液中における上記保存剤の含有量は、特に限定されるものではないが、0.0001〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは0.0005〜5重量%である。
【0056】
ヘモグロビン標準試料調製液中における保存剤の含有量が0.0001重量%未満であると、十分な抗菌性を得られないため、ヘモグロビンの安定性が十分に向上しないことがあり、逆に保存剤の含有量が10重量%を超えると、保存剤の溶解性が悪くなったり、ヘモグロビン類の測定系に好ましくない影響が出て、安定型HbA1cを正確に測定することが困難となることがある。
【0057】
上記保存剤は、ヘモグロビン標準試料調製液に十分に溶解することが好ましく、単独で溶解性が悪い保存剤を用いる場合には、ヘモグロビン類の測定系に好ましくない影響が出ない程度にまで含有量を低減させるか、あるいは、複数の保存剤を組み合わせて用いるなどの方法を採ることが好ましい。
【0058】
また、保存剤の溶解性を高めるために、例えば、メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトンなどの水溶性有機溶媒を混合して用いても良い。この場合、これらの水溶性有機溶媒の濃度は、ヘモグロビンの安定性およびヘモグロビン類の測定系に好ましくない影響を与えない程度の濃度であることが好ましい。
【0059】
本発明のヘモグロビン標準試料溶液は、上述した本発明のヘモグロビン標準試料調製液を用いて、前記(1)および/または(2)の方法により、乾燥ヘモグロビンを溶解するか、および/または、ヘモグロビン溶液を希釈することにより調製される。
【0060】
本発明のヘモグロビン類の測定方法は、上記本発明のヘモグロビン標準試料溶液を用いて、液体クロマトグラフィーによりヘモグロビン類を測定することにより行われる。
【0061】
上記液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法としては、特に限定されるものではなく、公知の液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法であれば任意の方法で良いが、なかでも、イオン交換基を有する充填剤が充填されたカラムを用いた液体クロマトグラフィー法が好適に用いられる。
【0062】
【作用】
本発明のヘモグロビン標準試料調製液は、錯体形成剤を濃度0.1〜3000mMで含有し、かつ、pHが5.0〜9.0となされているので、キャリブレータやコントロールの調製およびコントロールの保存に際してヘモグロビンの劣化(変性)が生じ難いヘモグロビン標準試料溶液を乾燥ヘモグロビンまたはヘモグロビン溶液から容易に調製することができる。
【0063】
また、本発明のヘモグロビン標準試料調製液は、さらに、非イオン性界面活性剤および/または特定の群より選択される少なくとも1種類の保存剤を含有させることにより、上記性能がより優れたものとなる。
【0064】
本発明のヘモグロビン標準試料溶液は、上記本発明のヘモグロビン標準試料調製液を用いて調製されるので、キャリブレータやコントロールの調製およびコントロールの保存に際してヘモグロビンの劣化(変性)が生じ難いものであり、液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定用として好適である。
【0065】
本発明のヘモグロビン類の測定方法は、上記本発明のヘモグロビン標準試料溶液を用いて液体クロマトグラフィーにより行われるので、ヘモグロビン類を高精度で測定することができるとともに、測定システムの精度管理コストを低減することもできる。
【0066】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0067】
本実施例では以下の原材料を用いた。
1.キャリブレータ
商品名「ADAMS Alcキャリブレータ」(低値:4.8%および高値:10.8%の2種類)、アークレイ社製
2.コントロール血液
ロットナンバー1276(正常値域:5.0〜5.6%および高値域:10.2〜11.2%の2種類)、国際試薬社製
3.キャリブレータ用溶解液
商品名「ADAMS A1cキャリブレータ専用溶解液」、アークレイ社製
4.コントロール用希釈液
商品名「ADAMS Alc専用希釈液」、アークレイ社製
5.精製水
注射用精製水、大塚製薬社製
6.測定システム
自動グリコヘモグロビン測定装置(商品名「ADAMS A1cHA−8160」)、アークレイ社製
【0068】
(実施例1)
錯体形成剤としてエチレンジアミン4酢酸(EDTA)を用い、EDTA濃度が100mMであり、pHが7.4であるEDTA水溶液を調製して、そのままヘモグロビン標準試料調製液として用いた。
【0069】
(実施例2)
錯体形成剤としてEDTAを用い、EDTA水溶液に対して、非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル(商品名「トリトンX−100」、東京化成社製)0.5重量%を含有させて、ヘモグロビン標準試料調製液を調製した。得られたヘモグロビン標準試料調製液は、EDTAの濃度が90mMであり、pHが7.4であった。
【0070】
(実施例3)
錯体形成剤としてEDTAを用い、EDTA水溶液に対して、非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル「トリトンX−100」0.5重量%および保存剤として2−フェノキシエタノール0.1重量%を含有させて、ヘモグロビン標準試料調製液を調製した。得られたヘモグロビン標準試料調製液は、EDTAの濃度が90mMであり、pHが7.4であった。
【0071】
(比較例1)
蒸留水をそのままヘモグロビン標準試料調製液として用いた。
【0072】
実施例1〜実施例3および比較例1で得られたヘモグロビン標準試料調製液の性能(▲1▼コントロール血液の溶解時の温度依存性、▲2▼コントロール血液の溶解後の冷蔵保存安定性)を以下の方法で評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0073】
▲1▼コントロール血液の溶解時の温度依存性
市販のコントロール血液(グリコヘモグロビンコントロール血液のレベル2、国際試薬社製)バイアル2本にヘモグロビン標準試料調製液を各200μL添加し、1本は4℃の雰囲気下に30分間静置し、また、もう1本は35℃の雰囲気下に30分間静置して、凍結乾燥品のコントロール血液を溶解した。次いで、非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル「トリトンX−100」0.5重量%を含有する5mMリン酸緩衝液(pH:7.5)で希釈した後、自動グリコヘモグロビン測定装置「ADAMS A1cHA−8160」を用いて、HbA1c値を測定した。なお、測定はn=3で行った。
【0074】
▲2▼コントロール血液の溶解後の冷蔵保存安定性
市販のコントロール血液(グリコヘモグロビンコントロール血液のレベル2、国際試薬社製)バイアル1本にヘモグロビン標準試料調製液を200μL添加し、凍結乾燥品のコントロール血液を溶解した。次いで、その一部を、非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル「トリトンX−100」0.5重量%を含有する5mMリン酸緩衝液(pH:7.5)で100倍に希釈した後、自動グリコヘモグロビン測定装置「ADAMS A1cHA−8160」を用いて、HbA1c値を測定した。なお、測定は溶解直後、および、8℃の雰囲気下で2日間、4日間、6日間および7日間保存後について行った。
【0075】
【表1】
【0076】
表1から明らかなように、本発明による実施例1〜実施例3のヘモグロビン標準試料調製液は、コントロール血液(凍結乾燥品)を溶解する際の温度依存性が極めて低かった。これに対し、比較例1のヘモグロビン標準試料調製液(蒸留水)は、コントロール血液(凍結乾燥品)を35℃で30分間溶解した時のHbA1c値が4℃で30分間溶解した時のHbA1c値より0.6%も低く、コントロール血液(凍結乾燥品)を溶解する際の温度依存性が高かった。
【0077】
また、同じく表1から明らかなように、本発明による実施例1〜実施例3のヘモグロビン標準試料調製液は、コントロール血液(凍結乾燥品)を溶解した後の8℃における冷蔵保存安定性が極めて優れていた。これに対し、比較例1のヘモグロビン標準試料調製液(蒸留水)は、8℃で7日間保存した後のHbA1c値が溶解直後のHbA1c値より0.7%も低く、コントロール血液(凍結乾燥品)を溶解した後の冷蔵保存安定性が悪かった。
【0078】
(実施例4)
実施例3で得られたヘモグロビン標準試料調製液を、非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル「トリトンX−100」0.5重量%および保存剤として2−フェノキシエタノール0.1重量%を含有する5mMリン酸緩衝液(pH:7.5)で100倍に希釈して、希釈ヘモグロビン標準試料調製液を調製した。
【0079】
(比較例2)
前記キャリブレータ用溶解液「ADAMS A1cキャリブレータ専用溶解液」をそのまま用いた。
【0080】
実施例4で得られた希釈ヘモグロビン標準試料調製液および比較例2で用いたキャリブレータ用溶解液の性能(▲3▼キャリブレータ血液の溶解後の冷蔵保存安定性)を以下の方法で評価した。その結果は表2に示すとおりであった。
【0081】
▲3▼キャリブレータ血液の溶解後の冷蔵保存安定性
上記希釈ヘモグロビン標準試料調製液およびキャリブレータ用溶解液の各6mLに、前記低値(4.8%)および高値(10.8%)のキャリブレータ「ADAMS A1cキャリブレータ」をそれぞれ溶解し、各キャリブレータ溶液を調製した。次いで、自動グリコヘモグロビン測定装置「ADAMS A1cHA−8160」を用いて、各キャリブレータ溶液のHbA1c値を測定した。なお、測定は溶解直後、および、8℃の雰囲気下で8時間および24時間保存後について行った。また、測定はそれぞれn=3で行い、その平均値を記載した。
【0082】
【表2】
【0083】
表2から明らかなように、本発明による実施例3のヘモグロビン標準試料調製液を用いて調製した実施例4の希釈ヘモグロビン標準試料調製液は、キャリブレータの低値および高値のいずれについても、キャリブレータ血液を溶解した後の8℃における冷蔵保存安定性が極めて優れていた。これに対し、比較例2で用いたキャリブレータ用溶解液は、8℃で24時間保存した後のHbA1c値が溶解直後のHbA1c値より0.4%(キャリブレータ:低値)または0.8%(キャリブレータ:高値)低下しており、キャリブレータ血液を溶解した後の冷蔵保存安定性が悪かった。すなわち、本発明のヘモグロビン標準試料調製液を用いることにより、キャリブレータ血液の安定性が向上することは明らかである。
【0084】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のヘモグロビン標準試料調製液は、錯体形成剤を濃度0.1〜3000mMで含有し、かつ、pHが5.0〜9.0となされているので、キャリブレータやコントロールの調製およびコントロールの保存に際してヘモグロビンの劣化(変性)が生じ難いものであり、乾燥ヘモグロビンまたはヘモグロビン溶液からヘモグロビン標準試料溶液を調製する際の調製液として好適に用いられる。
【0085】
また、本発明のヘモグロビン標準試料溶液は、上記本発明のヘモグロビン標準試料調製液を用いて調製されるので、キャリブレータやコントロールの調製およびコントロールの保存に際してヘモグロビンの劣化(変性)が生じ難いものであり、液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定用として好適に用いられる。
【0086】
さらに、本発明のヘモグロビン類の測定方法は、上記本発明のヘモグロビン標準試料溶液を用いて液体クロマトグラフィーにより行われるので、ヘモグロビン類を高精度で安定的に測定することができるとともに、測定システムの精度管理コストを低減することもできる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘモグロビン類の測定に用いられるヘモグロビン標準試料調製液およびヘモグロビン標準試料溶液、ならびに、これらを用いたヘモグロビン類の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘモグロビンA1c(以下、「HbA1c」と略記する)は、血液中の糖が赤血球に入った後にヘモグロビンと化学的に結合することにより生成され、過去1〜2カ月間の血液中の平均的な血糖値(血液中のグルコース濃度)を反映する。したがって、HbA1cは、糖尿病のスクリーニング検査や糖尿病患者の血糖管理状態を把握するなどの糖尿病診断の指標として広く用いられている。
【0003】
上記HbA1cの測定には、高速液体クロマトグラフィーが広く用いられており、測定に際しての校正にはキャリブレータと称されているヘモグロビン試料が用いられており、また、測定に際しての精度管理にはコントロール血液が用いられている。
【0004】
上記キャリブレータは、カラム交換時や測定装置のメンテナンス時のように、測定条件が変わる可能性が生じた場合に測定システムを校正するために用いられる。
【0005】
また、上記コントロール血液は、測定システムの精度管理、すなわち、装置の測定性能を把握するために用いられる。具体的には、正常値域および正常値を超える高値域の2つのコントロール血液試料を適当な間隔をあけて測定し、その測定値の推移を管理図等にプロットすることにより、測定システムの状態を把握する際に用いられる。
【0006】
通常、キャリブレータおよびコントロール血液には、いずれもヒト赤血球を基にして凍結乾燥処理された凍結乾燥ヘモグロビンが用いられている。従来、上記キャリブレータおよびコントロール血液を用いる際には、以下のようにして調製されている。
【0007】
キャリブレータ溶液の調製に際しては、従来の市販品では、2点校正を行うために、正常値域濃度値および高値域濃度値が明示された2種類の凍結乾燥ヘモグロビンが用意されている。バイアル中の各凍結乾燥ヘモグロビンを専用の溶解液で溶解し、かつ、同時に希釈する。このようにして、ヘモグロビン標準試料溶液としてのキャリブレータ溶液が用意される。なお、キャリブレータ溶液は使用後すぐに廃棄されるため、溶解後に保存することはできない。
【0008】
また、例えば、国際試薬株式会社製のコントロール血液を用いた場合、バイアル中の凍結乾燥ヘモグロビンを元のヘモグロビン濃度付近に戻すために、バイアルに精製水を添加し、ヘモグロビン溶液を得る。この場合、ヘモグロビンを十分に溶解させるために、ヘモグロビン溶液を5〜30分間程度静置する。次に、高速液体クロマトグラフィーにより測定し得るヘモグロビン濃度とするために、測定システムで指定された専用の希釈液で上記ヘモグロビン溶液を希釈し、コントロールとしてのヘモグロビン標準試料溶液を得る。なお、溶解後に保存する必要がある場合には、ヘモグロビン標準試料溶液を得る前のヘモグロビン溶液の状態で冷蔵保存する。
【0009】
上記キャリブレータおよびコントロール血液を用いるいずれの場合においても、ヘモグロビン溶解後にはヘモグロビンが経時的に劣化すなわち変性するので、劣化(変性)を少しでも少なくするためには、ヘモグロビン溶液を冷蔵することが必要である。
【0010】
しかし、測定装置が設置されている病院や検査センターの検査室の温度は約23〜25℃に設定されているのが一般的であるため、ヘモグロビン溶液の温度管理を行うことは難しい。また、約23〜25℃の温度に一定であったとしても、溶解後から実際に測定されるまでの時間が長くなれば長くなるほど、ヘモグロビン溶液の劣化(変性)が進むことになる。
【0011】
一方、キャリブレータにおいては、凍結乾燥ヘモグロビンを専用溶解液で溶解することによりヘモグロビン溶液が用意されるが、ヘモグロビン溶液が劣化(変性)すると、測定システムの正しい校正を行い得なくなる。例えば、HbA1c値として4.8%および10.8%と検定されたキャリブレータが溶解後に劣化(変性)し、例えば、HbA1c値がそれぞれ0.2%および0.4%低下した場合には、この低下を確認することは難しい。すなわち、劣化(変性)したキャリブレータ溶液に基づいて装置が校正されてしまうためである。したがって、前述したように、キャリブレータでは、凍結乾燥ヘモグロビンを溶解した後にヘモグロビン溶解液を保存することはできない。
【0012】
また、コントロール血液においては、希釈されたヘモグロビン希釈液がサンプルカップに分注され、測定装置のラックに設置される。最近の測定装置では、一度にセットされる検体数は最大で100〜200個とかなり多くなってきている。そのため、後ろの方にセットされたヘモグロビン希釈液は、1検体の測定時間が例えば1.5分である場合、数時間も室温下に放置されることになり、測定に至るまでの数時間の間に劣化が進行する恐れがある。
【0013】
さらに、コントロールは、溶解後に冷蔵で保存されることが望ましいとされているが、冷蔵保存時の温度管理が正しくなされていないと、ヘモグロビン溶液の劣化(変性)が進行する恐れがある。
【0014】
HbA1cを高精度に測定するためには、測定システムを正確に校正することが必要であり、かつ、日常の精度管理も高精度に維持されていることが重要である。そのためには、キャリブレータやコントロールの調製時およびコントロールの保存時にヘモグロビンの劣化(変性)が生じないようにする必要がある。ところが、従来、このような用途において、ヘモグロビンの劣化(変性)を防止するための有効な技術は知られていないのが現状である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、キャリブレータやコントロールの調製およびコントロールの保存に際してヘモグロビンの劣化(変性)が生じ難い、ヘモグロビン類の測定に用いられるヘモグロビン標準試料調製液およびヘモグロビン標準試料溶液、ならびに、これらを用いた液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明(本発明)によるヘモグロビン標準試料調製液は、乾燥ヘモグロビンまたはヘモグロビン溶液からヘモグロビン標準試料溶液を調製する際に用いられるヘモグロビン標準試料調製液であって、上記ヘモグロビン標準試料調製液は、錯体形成剤を濃度0.1〜3000mMで含有し、かつ、pHが5.0〜9.0であることを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の発明によるヘモグロビン標準試料調製液は、上記請求項1に記載のヘモグロビン標準試料調製液において、さらに、非イオン性界面活性剤を含有していることを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の発明によるヘモグロビン標準試料調製液は、上記請求項1または請求項2に記載のヘモグロビン標準試料調製液において、さらに、アミン系化合物、アルコール系化合物、アルデヒド系化合物、カルボン酸系化合物、フェノール系化合物、アミド系化合物、有機ハロゲン系化合物、イソチアゾロン系化合物、有機金属化合物、エチレンジアミン4酢酸類およびホウ酸からなる群より選択される少なくとも1種類の保存剤を含有していることを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明(本発明)によるヘモグロビン標準試料溶液は、上記請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のヘモグロビン標準試料調製液を用いて調製されていることを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明(本発明)によるヘモグロビン類の測定方法は、上記請求項4に記載のヘモグロビン標準試料溶液を用いて、液体クロマトグラフィーによりヘモグロビン類を測定することを特徴とする。
【0021】
以下、本発明の詳細な説明において、コントロールやキャリブレータなど乾燥ヘモグロビンを精製水等で所定のヘモグロビン濃度に溶解させた溶液を「ヘモグロビン溶液」と総称する。また、安定型HbA1cなどのコントロールおよびキャリブレータを必要に応じて「標準試料」と総称する。さらに、標準試料がヘモグロビン標準試料調製液で調製された溶液、すなわち、凍結乾燥ヘモグロビン溶液、コントロール溶液およびキャリブレータ溶液を「ヘモグロビン標準試料溶液」と総称する。
【0022】
本発明において、コントロールとは、公知のHbA1c用のコントロールであれば良く、特に限定されるものではない。また、本発明において、キャリブレータとは、公知のHbA1c用のキャリブレータであれば良く、特に限定されるものではない。
【0023】
本発明のヘモグロビン標準試料調製液は、乾燥ヘモグロビンまたはヘモグロビン溶液からヘモグロビン標準試料溶液を調製する際に用いられるヘモグロビン標準試料調製液である。
【0024】
本発明のヘモグロビン標準試料調製液を用いてヘモグロビン標準試料溶液を調製する方法としては、下記(1)および(2)の2方法が挙げられ、いずれか一方の方法が採られても良いし、両方の方法が併用されても良い。
【0025】
(1)乾燥ヘモグロビンからヘモグロビン標準試料溶液を調製する方法
例えば、市販のキャリブレータ(例えばアークレイ社製の商品名「ADAMS A1cキャリブレータ」等)などに、本発明のヘモグロビン標準試料調製液をメーカーが指定する量で添加し、混合して、ヘモグロビン標準試料溶液を調製する。または、例えば、市販のコントロール血液などに本発明のヘモグロビン標準試料調製液を上記コントロール血液の添付文書に記載の量を添加してヘモグロビン標準試料溶液を調製した後、測定前にメーカー指定の希釈液で所定の倍率まで希釈して測定サンプルを調製する方法もある。
【0026】
(2)ヘモグロビン溶液からヘモグロビン標準試料溶液を調製する方法
例えば、市販のコントロール(例えば国際試薬社製の商品名「グリコHbコントロール」等)などの乾燥ヘモグロビンに溶解液を添加してヘモグロビン溶液を調製した後、一定量の上記ヘモグロビン溶液に本発明のヘモグロビン標準試料調製液をメーカーが指定する希釈液量を添加し、混合して、ヘモグロビン標準試料溶液を調製する。
【0027】
本発明のヘモグロビン標準試料調製液は、錯体形成剤を濃度0.1〜3000mMで含有していることが必要であり、好ましくは濃度0.5〜1000mMで含有していることであり、特に好ましくは濃度1.0〜500mMで含有していることである。
【0028】
上記錯体形成剤としては、公知の錯体形成剤を用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、金属イオンとの配位構造に基づいて、N、N−配位型、N、O−配位型、O、O−配位型、N、S−配位型およびS、S−配位型に分類される各種錯体形成剤が挙げられ、なかでも、N、O−配位型の錯体形成剤が好適に用いられる。これらの錯体形成剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0029】
上記N、O−配位型の錯体形成剤の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)、1,2−シクロヘキサンジアミン4酢酸(CyDTA)、グリコールエーテルジアミン4酢酸(GEDTA)、ヘキサメチレンジアミン4酢酸(HDTA)、イミノ2酢酸(IDA)、ヒドロキシエチルイミノ2酢酸(HIDA)、1,3−ジアミノプロパン−2−オール4酢酸(DPTA−OH)、ジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)、エチレンジアミン2酢酸(EDDA)、エチレンジアミン2酢酸2プロピオン酸(EDDP)、エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)4酢酸(EGTA)、エチレンジアミン−テトラキス(メチレンホスホン酸)(EDTPO)、エチレンジアミン2プロピオン酸(EDDP)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸(EDTA−OH)、N−(2−ヒドロキシルエチル)エチレンジアミン3酢酸(HEEDTA)、ニトリン3酢酸(NTA)、ニトリン3プロピオン酸(NTP)、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)2(ヒドロキシエチル)グリシン(NTPO)、1,2−ジアミノプロパン4酢酸(Methyl−EDTA)等が挙げられる。これらのN、O−配位型の錯体形成剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0030】本発明のヘモグロビン標準試料調製液において、上記錯体形成剤の濃度が0.1mM未満であるか、または、3000mMを超えると、ヘモグロビンが劣化(変性)しやすくなって、ヘモグロビンの安定性が悪くなる。
【0031】
また、本発明のヘモグロビン標準試料調製液は、pHが5.0〜9.0であることが必要である。
【0032】
ヘモグロビン標準試料調製液のpHが5.0未満であるか、または、9.0を超えると、ヘモグロビンが劣化(変性)しやすくなって、ヘモグロビンの安定性が悪くなる。
【0033】
本発明のヘモグロビン標準試料調製液には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、pHが5.0〜9.0で緩衝能を有する緩衝剤が添加されていても良い。
【0034】
上記緩衝剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、無機酸、有機酸もしくはこれらの塩または有機化合物等が挙げられる。
【0035】
上記無機酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。また、上記有機酸または有機化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸、ジカルボン酸、カルボン酸誘導体、ヒドロキシカルボン酸、アミノ酸等が挙げられる。
【0036】
上記カルボン酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。また、上記ジカルボン酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等が挙げられる。また、上記カルボン酸誘導体としては、特に限定されるものではないが、例えば、β,β−ジメチルグルタル酸、バルビツール酸等が挙げられる。また、上記ヒドロキシカルボン酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、クエン酸、酒石酸、乳酸等が挙げられる。また、上記アミノ酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、アスパラギン酸、ヒスチジン等が挙げられる。さらに、上記無機酸もしくは有機酸の塩としては、従来公知のものが用いられ、特に限定されるものではないが、例えば、無機酸もしくは有機酸のナトリウム塩やカリウム塩等が挙げられる。
【0037】
また、上記緩衝剤として、特に限定されるものではないが、例えば、2−(N−モリホリノ)エタンスルホン酸(MES)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−エタンスルホン酸(HEPES)、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス−(ヒドロキシメチル)メタン(Bistris)、Tris、ADA、PIPES、Bistrispropane、ACEA、MOPS、BES、TES、HEPPS、Tricine、Bicine、グリシルグリシン、TAPS、CAPS等の一般にグッド(Good)の緩衝液と称されているものが用いられても良い。これらの緩衝剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0038】本発明のヘモグロビン標準試料調製液中における上記緩衝剤の濃度は、特に限定されるものではなく、水に溶解された状態で緩衝作用を発現し得る範囲の濃度であれば良い。
【0039】
本発明のヘモグロビン標準試料調製液は、さらに、非イオン性界面活性剤を含有していることが好ましい。
【0040】
上記非イオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオキシエチレン類が挙げられる。以下、ポリオキシエチレンをPOEで表し、エチレンオキシド付加モル数を(n)で表す。
【0041】
上記POE類の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、POE(7)デシルエーテル、POE(n)ドデシルエーテル、POE(10)トリデシルエーテル、POE(11)テトラデシルエーテル、POE(n)セチルエーテル、POE(n)ステアリルエーテル、POE(n)オレイルエーテル、POE(17)セチル−ステアリルエーテル、POE(n)オクチルフェニルエーテル、POE(n)ノニルフェニルエーテル、POE(n)モノラウリン酸ソルビタン、POE(n)モノパルミチン酸ソルビタン、POE(n)モノステアリン酸ソルビタン、POE(n)モノオレイン酸ソルビタン、POE(9)ラウリルエーテル等が挙げられる。また、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体などの高分子化合物が用いられても良い。これらの非イオン性界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0042】
本発明のヘモグロビン標準試料調製液中における上記非イオン性界面活性剤の含有量は、特に限定されるものではないが、0.01〜10重量%であることが好ましい。
【0043】
本発明のヘモグロビン標準試料調製液は、さらに、保存剤を含有していることが好ましい。上記保存剤は、ヘモグロビン標準試料調製液に抗菌性を付与して、ヘモグロビンの安定性をより向上させる機能を有する。
【0044】
上記保存剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミン系化合物、アルコール系化合物、アルデヒド系化合物、カルボン酸系化合物、フェノール系化合物、アミド系化合物、有機ハロゲン系化合物、イソチアゾロン系化合物、有機金属化合物、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)類、ホウ酸等が挙げられる。これらの保存剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0045】
アミン系化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾールなどのイミダゾール系化合物、2,3,5,6−テトラクロロメチルスルホニルピリジン、(2−ピリジルチオ−1−オキシド)ナトリウムなどのピリジン系化合物、トリアルキルトリアミン等が挙げられる。これらのアミン系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0046】
アルコール系化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、2−フェノキシエタノール、2−フェノキシプロパノール、2−フェニルエタノール等が挙げられる。これらのアルコール系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0047】
アルデヒド系化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0048】
カルボン酸系化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、10−ウンデシレン酸、ウンデシレン酸亜鉛、マグネシウム2水素ビスモノペルオキシフタラート等が挙げられる。これらのカルボン酸系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0049】
フェノール系化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、チモール、イソプロピルメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、オルトフェニルフェノールナトリウム、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、m−クレゾール、p−クロロフェノール等が挙げられる。これらのフェノール系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0050】
アミド系化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、2−クロロアセタミド等が挙げられる。これらのアミド系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0051】
有機ハロゲン系化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、N,N−ジメチル−N’( フルオロジクロロメチルチオ)−N’−フェニルスルファミド等が挙げられる。これらの有機ハロゲン系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0052】
イソチアゾロン系化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン等が挙げられる。これらのイソチアゾロン系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0053】
有機金属化合物の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、10,10−オキシビスフェノキシアルシン等が挙げられる。これらの有機金属化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0054】EDTA類の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、EDTA、EDTAのナトリウム塩、EDTAのカリウム塩等が挙げられる。これらのEDTA類は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0055】
本発明のヘモグロビン標準試料調製液中における上記保存剤の含有量は、特に限定されるものではないが、0.0001〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは0.0005〜5重量%である。
【0056】
ヘモグロビン標準試料調製液中における保存剤の含有量が0.0001重量%未満であると、十分な抗菌性を得られないため、ヘモグロビンの安定性が十分に向上しないことがあり、逆に保存剤の含有量が10重量%を超えると、保存剤の溶解性が悪くなったり、ヘモグロビン類の測定系に好ましくない影響が出て、安定型HbA1cを正確に測定することが困難となることがある。
【0057】
上記保存剤は、ヘモグロビン標準試料調製液に十分に溶解することが好ましく、単独で溶解性が悪い保存剤を用いる場合には、ヘモグロビン類の測定系に好ましくない影響が出ない程度にまで含有量を低減させるか、あるいは、複数の保存剤を組み合わせて用いるなどの方法を採ることが好ましい。
【0058】
また、保存剤の溶解性を高めるために、例えば、メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトンなどの水溶性有機溶媒を混合して用いても良い。この場合、これらの水溶性有機溶媒の濃度は、ヘモグロビンの安定性およびヘモグロビン類の測定系に好ましくない影響を与えない程度の濃度であることが好ましい。
【0059】
本発明のヘモグロビン標準試料溶液は、上述した本発明のヘモグロビン標準試料調製液を用いて、前記(1)および/または(2)の方法により、乾燥ヘモグロビンを溶解するか、および/または、ヘモグロビン溶液を希釈することにより調製される。
【0060】
本発明のヘモグロビン類の測定方法は、上記本発明のヘモグロビン標準試料溶液を用いて、液体クロマトグラフィーによりヘモグロビン類を測定することにより行われる。
【0061】
上記液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法としては、特に限定されるものではなく、公知の液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法であれば任意の方法で良いが、なかでも、イオン交換基を有する充填剤が充填されたカラムを用いた液体クロマトグラフィー法が好適に用いられる。
【0062】
【作用】
本発明のヘモグロビン標準試料調製液は、錯体形成剤を濃度0.1〜3000mMで含有し、かつ、pHが5.0〜9.0となされているので、キャリブレータやコントロールの調製およびコントロールの保存に際してヘモグロビンの劣化(変性)が生じ難いヘモグロビン標準試料溶液を乾燥ヘモグロビンまたはヘモグロビン溶液から容易に調製することができる。
【0063】
また、本発明のヘモグロビン標準試料調製液は、さらに、非イオン性界面活性剤および/または特定の群より選択される少なくとも1種類の保存剤を含有させることにより、上記性能がより優れたものとなる。
【0064】
本発明のヘモグロビン標準試料溶液は、上記本発明のヘモグロビン標準試料調製液を用いて調製されるので、キャリブレータやコントロールの調製およびコントロールの保存に際してヘモグロビンの劣化(変性)が生じ難いものであり、液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定用として好適である。
【0065】
本発明のヘモグロビン類の測定方法は、上記本発明のヘモグロビン標準試料溶液を用いて液体クロマトグラフィーにより行われるので、ヘモグロビン類を高精度で測定することができるとともに、測定システムの精度管理コストを低減することもできる。
【0066】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0067】
本実施例では以下の原材料を用いた。
1.キャリブレータ
商品名「ADAMS Alcキャリブレータ」(低値:4.8%および高値:10.8%の2種類)、アークレイ社製
2.コントロール血液
ロットナンバー1276(正常値域:5.0〜5.6%および高値域:10.2〜11.2%の2種類)、国際試薬社製
3.キャリブレータ用溶解液
商品名「ADAMS A1cキャリブレータ専用溶解液」、アークレイ社製
4.コントロール用希釈液
商品名「ADAMS Alc専用希釈液」、アークレイ社製
5.精製水
注射用精製水、大塚製薬社製
6.測定システム
自動グリコヘモグロビン測定装置(商品名「ADAMS A1cHA−8160」)、アークレイ社製
【0068】
(実施例1)
錯体形成剤としてエチレンジアミン4酢酸(EDTA)を用い、EDTA濃度が100mMであり、pHが7.4であるEDTA水溶液を調製して、そのままヘモグロビン標準試料調製液として用いた。
【0069】
(実施例2)
錯体形成剤としてEDTAを用い、EDTA水溶液に対して、非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル(商品名「トリトンX−100」、東京化成社製)0.5重量%を含有させて、ヘモグロビン標準試料調製液を調製した。得られたヘモグロビン標準試料調製液は、EDTAの濃度が90mMであり、pHが7.4であった。
【0070】
(実施例3)
錯体形成剤としてEDTAを用い、EDTA水溶液に対して、非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル「トリトンX−100」0.5重量%および保存剤として2−フェノキシエタノール0.1重量%を含有させて、ヘモグロビン標準試料調製液を調製した。得られたヘモグロビン標準試料調製液は、EDTAの濃度が90mMであり、pHが7.4であった。
【0071】
(比較例1)
蒸留水をそのままヘモグロビン標準試料調製液として用いた。
【0072】
実施例1〜実施例3および比較例1で得られたヘモグロビン標準試料調製液の性能(▲1▼コントロール血液の溶解時の温度依存性、▲2▼コントロール血液の溶解後の冷蔵保存安定性)を以下の方法で評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0073】
▲1▼コントロール血液の溶解時の温度依存性
市販のコントロール血液(グリコヘモグロビンコントロール血液のレベル2、国際試薬社製)バイアル2本にヘモグロビン標準試料調製液を各200μL添加し、1本は4℃の雰囲気下に30分間静置し、また、もう1本は35℃の雰囲気下に30分間静置して、凍結乾燥品のコントロール血液を溶解した。次いで、非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル「トリトンX−100」0.5重量%を含有する5mMリン酸緩衝液(pH:7.5)で希釈した後、自動グリコヘモグロビン測定装置「ADAMS A1cHA−8160」を用いて、HbA1c値を測定した。なお、測定はn=3で行った。
【0074】
▲2▼コントロール血液の溶解後の冷蔵保存安定性
市販のコントロール血液(グリコヘモグロビンコントロール血液のレベル2、国際試薬社製)バイアル1本にヘモグロビン標準試料調製液を200μL添加し、凍結乾燥品のコントロール血液を溶解した。次いで、その一部を、非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル「トリトンX−100」0.5重量%を含有する5mMリン酸緩衝液(pH:7.5)で100倍に希釈した後、自動グリコヘモグロビン測定装置「ADAMS A1cHA−8160」を用いて、HbA1c値を測定した。なお、測定は溶解直後、および、8℃の雰囲気下で2日間、4日間、6日間および7日間保存後について行った。
【0075】
【表1】
【0076】
表1から明らかなように、本発明による実施例1〜実施例3のヘモグロビン標準試料調製液は、コントロール血液(凍結乾燥品)を溶解する際の温度依存性が極めて低かった。これに対し、比較例1のヘモグロビン標準試料調製液(蒸留水)は、コントロール血液(凍結乾燥品)を35℃で30分間溶解した時のHbA1c値が4℃で30分間溶解した時のHbA1c値より0.6%も低く、コントロール血液(凍結乾燥品)を溶解する際の温度依存性が高かった。
【0077】
また、同じく表1から明らかなように、本発明による実施例1〜実施例3のヘモグロビン標準試料調製液は、コントロール血液(凍結乾燥品)を溶解した後の8℃における冷蔵保存安定性が極めて優れていた。これに対し、比較例1のヘモグロビン標準試料調製液(蒸留水)は、8℃で7日間保存した後のHbA1c値が溶解直後のHbA1c値より0.7%も低く、コントロール血液(凍結乾燥品)を溶解した後の冷蔵保存安定性が悪かった。
【0078】
(実施例4)
実施例3で得られたヘモグロビン標準試料調製液を、非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル「トリトンX−100」0.5重量%および保存剤として2−フェノキシエタノール0.1重量%を含有する5mMリン酸緩衝液(pH:7.5)で100倍に希釈して、希釈ヘモグロビン標準試料調製液を調製した。
【0079】
(比較例2)
前記キャリブレータ用溶解液「ADAMS A1cキャリブレータ専用溶解液」をそのまま用いた。
【0080】
実施例4で得られた希釈ヘモグロビン標準試料調製液および比較例2で用いたキャリブレータ用溶解液の性能(▲3▼キャリブレータ血液の溶解後の冷蔵保存安定性)を以下の方法で評価した。その結果は表2に示すとおりであった。
【0081】
▲3▼キャリブレータ血液の溶解後の冷蔵保存安定性
上記希釈ヘモグロビン標準試料調製液およびキャリブレータ用溶解液の各6mLに、前記低値(4.8%)および高値(10.8%)のキャリブレータ「ADAMS A1cキャリブレータ」をそれぞれ溶解し、各キャリブレータ溶液を調製した。次いで、自動グリコヘモグロビン測定装置「ADAMS A1cHA−8160」を用いて、各キャリブレータ溶液のHbA1c値を測定した。なお、測定は溶解直後、および、8℃の雰囲気下で8時間および24時間保存後について行った。また、測定はそれぞれn=3で行い、その平均値を記載した。
【0082】
【表2】
【0083】
表2から明らかなように、本発明による実施例3のヘモグロビン標準試料調製液を用いて調製した実施例4の希釈ヘモグロビン標準試料調製液は、キャリブレータの低値および高値のいずれについても、キャリブレータ血液を溶解した後の8℃における冷蔵保存安定性が極めて優れていた。これに対し、比較例2で用いたキャリブレータ用溶解液は、8℃で24時間保存した後のHbA1c値が溶解直後のHbA1c値より0.4%(キャリブレータ:低値)または0.8%(キャリブレータ:高値)低下しており、キャリブレータ血液を溶解した後の冷蔵保存安定性が悪かった。すなわち、本発明のヘモグロビン標準試料調製液を用いることにより、キャリブレータ血液の安定性が向上することは明らかである。
【0084】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のヘモグロビン標準試料調製液は、錯体形成剤を濃度0.1〜3000mMで含有し、かつ、pHが5.0〜9.0となされているので、キャリブレータやコントロールの調製およびコントロールの保存に際してヘモグロビンの劣化(変性)が生じ難いものであり、乾燥ヘモグロビンまたはヘモグロビン溶液からヘモグロビン標準試料溶液を調製する際の調製液として好適に用いられる。
【0085】
また、本発明のヘモグロビン標準試料溶液は、上記本発明のヘモグロビン標準試料調製液を用いて調製されるので、キャリブレータやコントロールの調製およびコントロールの保存に際してヘモグロビンの劣化(変性)が生じ難いものであり、液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定用として好適に用いられる。
【0086】
さらに、本発明のヘモグロビン類の測定方法は、上記本発明のヘモグロビン標準試料溶液を用いて液体クロマトグラフィーにより行われるので、ヘモグロビン類を高精度で安定的に測定することができるとともに、測定システムの精度管理コストを低減することもできる。
Claims (5)
- 乾燥ヘモグロビンまたはヘモグロビン溶液からヘモグロビン標準試料溶液を調製する際に用いられるヘモグロビン標準試料調製液であって、上記ヘモグロビン標準試料調製液は、錯体形成剤を濃度0.1〜3000mMで含有し、かつ、pHが5.0〜9.0であることを特徴とするヘモグロビン標準試料調製液。
- さらに、非イオン性界面活性剤を含有していることを特徴とする請求項1に記載のヘモグロビン標準試料調製液。
- さらに、アミン系化合物、アルコール系化合物、アルデヒド系化合物、カルボン酸系化合物、フェノール系化合物、アミド系化合物、有機ハロゲン系化合物、イソチアゾロン系化合物、有機金属化合物、エチレンジアミン4酢酸類およびホウ酸からなる群より選択される少なくとも1種類の保存剤を含有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヘモグロビン標準試料調製液。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のヘモグロビン標準試料調製液を用いて調製されていることを特徴とするヘモグロビン標準試料溶液。
- 請求項4に記載のヘモグロビン標準試料溶液を用いて、液体クロマトグラフィーによりヘモグロビン類を測定することを特徴とするヘモグロビン類の測定方法。
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