次に、上記した本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
図1および図2に示すように、本発明の実施の形態に係る加熱調理器は、キッチンのカウンタトップKに開設された取付口K1に落とし込み状態で装着されるガスコンロ1、所謂ビルトインコンロであり、天板11の上面に、鍋やフライパン等の被加熱物を加熱する加熱手段として、単数或いは複数のコンロバーナ21が設けられている。また、コンロ本体10の内部には、食材のグリル調理を行うためのグリル庫30が設けられており、グリル庫30の内部には、グリルプレートや加熱容器等の被加熱物を加熱する加熱手段として、単数或いは複数のグリルバーナ31が組み込まれている。尚、本明細書では、コンロ本体10の前面(本体前面)13をガスコンロ1の正面とし、ガスコンロ1を正面側から見たときのコンロ本体10の奥行き方向を前後方向、幅方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。
コンロバーナ21およびグリルバーナ31は、何れもガスの燃焼排ガスを熱源として食材や調理容器などの被加熱物を加熱するバーナであり、図示しないガス配管から供給されるガスを空気と混合して着火させ、燃焼排ガスを生成する。
天板11の上面におけるコンロバーナ21の外周には、鍋やフライパン等の調理容器を下方から支持する五徳22が載置されている。コンロバーナ21の中央部には、被加熱物の温度を検知する温度検知手段として、五徳22上に載置された調理容器の底部に当接し、容器底面の温度を検知する鍋底温度センサ23が設けられている。また、コンロバーナ21の炎孔形成部の近傍には、ガスの燃焼炎の有無を検知する炎検知センサ24と、炎孔形成部の近傍で火花放電させる点火プラグ25とが設けられている。
グリル庫30内の後部には、被加熱物の温度を検知する温度検知手段として、グリル庫30内の加熱雰囲気の温度を検知する庫内温度センサ33が設けられている。また、グリルバーナ31の炎孔形成部の近傍には、ガスの燃焼炎の有無を検知する炎検知センサ34と、炎孔形成部の近傍で火花放電させる点火プラグ35とが設けられている。
本体前面13には、コンロバーナ21の点火や消火、火力調整を手動操作するためのコンロ点消火操作子44と、グリルバーナ31の点火や消火、火力を手動操作するためのグリル点消火操作子45とが設けられている。
図示しないが、コンロ点消火操作子44およびグリル点消火操作子45にはそれぞれ、点火操作によりオンとなり、消火操作によりオフとなるオルタネートスイッチと、複数(例えば、9つ)の接点を有するロータリースイッチとを備えており、点火操作がなされた後、左右に回動させれば、その回動位置に対応する火力が選択設定される。
図2に示すように、コンロ本体10の内部には、コンロ点消火操作子44による点火操作や消火操作、火力設定操作に応じてコンロバーナ21へのガスの供給量を調整するコンロバーナ21用のバルブユニット26と、グリル点消火操作子45による点火操作や消火操作、火力設定操作に応じてグリルバーナ31へのガスの供給量を調整するグリルバーナ31用のバルブユニット36とが組み込まれている。
コンロバーナ21用のバルブユニット26は、コンロ点消火操作子44にて点火操作がなされれば開き、炎検知センサ24にてガスの燃焼炎が検知されなければ閉じる電磁開閉弁、コンロ点消火操作子44にて点火操作がなされれば開き、消火操作がなされれば閉じる主弁、コンロ点消火操作子44の火力設定操作に合わせて開度調整されるニードル弁、制御回路15からの火力変更の指示に応じて開度を切り替える火力切替弁などからなり、これら各弁体によってコンロバーナ21へのガスの供給量が適宜調整される。尚、上記火力切替弁には、永久磁石の磁力により弁体を開状態で自己保持可能なラッチ式電磁弁が用いられる。
グリルバーナ31用のバルブユニット36も同様、グリル点消火操作子45にて点火操作がなされれば開き、炎検知センサ34にてガスの燃焼炎が検知されなければ閉じる電磁開閉弁、グリル点消火操作子45にて点火操作がなされれば開き、消火操作がなされれば閉じる主弁、グリル点消火操作子45の火力設定操作に合わせて開度調整されるニードル弁、制御回路15からの火力変更の指示に応じて開度を切り替える火力切替弁などからなり、これら各弁体によってグリルバーナ31へのガスの供給量が適宜調整される。
コンロ本体10の内部には、ガスコンロ1全体の動作を制御する制御回路15が組み込まれている。鍋底温度センサ23、庫内温度センサ33、炎検知センサ24,34、バルブユニット26,36、および、点消火操作子44,45は、何れも制御回路15に有線接続されている。点火プラグ25,35は、点消火操作子44,45にて点火操作がなされた際に点火プラグ25,35に高電圧を印加する図示しないイグナイタを介して制御回路15に有線接続されている。
図示しないが、制御回路15は、点消火操作子44,45の操作に応じてバーナ21,31の点火や消火、火力設定を行う点消火制御部、炎検知センサ24,34の出力値に基づいてバーナ21,31の点火や消火を判定する点消火判定部、温度センサ23,33の検知温度Thが所定の目標温度Tsで維持されるようバーナ21,31の火力を調整する温調制御部、上記検知温度Thが所定のハイカット温度Tc以上になればバーナ21,31を消火させる過熱防止制御部、上記検知温度Thがハイカット温度Tcより低い所定の切替温度Ta以上になればバーナ21,31の火力を「小火」に設定する火力制限制御部、上記検知温度Thが切替温度Taより低くなればバーナ21,31の火力を「大火」に設定する火力復帰制御部、運転中の経過時間を計測する計時部、バーナ21,31が点火された後、所定時間が経過する毎にハイカット温度Tc及び切替温度Taを所定温度高く設定する基準設定制御部等の回路構成を有している。
さらに、制御回路15は、上記検知温度Thの単位時間あたりの変化量(温度勾配)ΔThを算出する温度勾配算出部、火力制限制御部からバーナ21,31の火力を小火に設定する火力制限指示後の温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下であればバーナ21,31の火力を「大火」に設定する制限解除制御部、上記火力制限指示後の温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下であればハイカット温度Tc及び切替温度Taをそれぞれ設定可能な温度範囲の上限値A7,C5に設定する第1の基準緩和制御部、上記火力制限指示後の経過時間(火力制限時間)Snが所定時間に達したときに、上記検知温度Thが切替温度Taより低ければハイカット温度Tc及び切替温度Taをそれぞれ設定可能な温度範囲の上限値A7,C5に設定する第2の基準緩和制御部、ハイカット温度Tcや切替温度Ta、基準勾配ΔTsを記憶する基準記憶部等の回路構成を有している。
上記ガスコンロ1における加熱運転時の制御動作を、コンロバーナ21が用いられた場合を中心に図3から図7のフローチャートに従って説明する。尚、上記ガスコンロ1では、図示しない電源スイッチによって主電源のオン動作がなされることで、制御回路15の主制御プログラムが起動し、各バーナ21,31が点火可能な状態となる。そして、例えば、コンロバーナ21に対応するコンロ点消火操作子44にて点火操作がなされると、点火プラグ25から火花放電させると共に、対応するバルブユニット26の電磁開閉弁および主弁を開き、且つ、上記点火操作に連動してニードル弁の開度が所定の点火時開度に調整される。その結果、コンロバーナ21に設定量のガスが空気と共に供給され、上記火花放電により点火される。
上記点火操作後、対応する炎検知センサ24にて燃焼炎が検知されれば、切替温度Taを設定可能な温度範囲の下限値である第1切替設定値A1(例えば、160℃)に設定すると共に、ハイカット温度Tcを設定可能な温度範囲の下限値である第1ハイカット設定値C1(例えば、245℃)に設定し、対応する鍋底温度センサ23の検知温度Thが切替温度Taに達したか否かの監視を開始する(ST1〜ST2)。
尚、初期の切替温度Taは、複数の設定値(例えば、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃)の中から、バーナ21,31の点火初期における温度センサ23,33の検知温度Thの立ち上がり勾配に応じて選択設定されるように構成されたものとしてもよい。
図示しないが、コンロバーナ21が点火された後、対応する点消火操作子44の回動操作がなされた場合は、その回動位置に合わせてバルブユニット26のニードル弁の開度が調整され、これにより、コンロバーナ21の火力が所定火力(ここでは、大火)に設定される。また、鍋底温度センサ23の検知温度Thが切替温度Taに達する前(ST2のステップでNo)に、対応するコンロ点消火操作子44にて消火操作がなされるか、電源スイッチにて主電源のオフ操作がなされるか、或いは、何らかの原因により失火し、対応する炎検知センサ34にて燃焼炎が検知されなくなった場合は、対応するバルブユニット26の電磁開閉弁を閉じてコンロバーナ21へのガスの供給を停止し、消火させる。
コンロバーナ21の点火後、上記検知温度Thが切替温度Ta(第1切替設定値A1)に達した場合は(ST2のステップでYes)、コンロバーナ21の火力を小火に設定すべく、火力制限制御部から対応するバルブユニット26の火力切替弁に対して所定の小開度への切り替えを指示する火力制限信号を出力し、上記火力制限信号を出力した時点からの経過時間(火力制限時間)Snの計測を開始する。尚、バルブユニット26の火力切替弁に対して火力制限信号を出力した結果、正常に火力切替弁が小開度に切り替わった場合は、コンロバーナ21へのガスの供給量が減少し、火力が小火に設定される(ST3〜ST4)。
火力制限時間Snの計測が開始されると、火力制限時間Snが予め設定された第1基準時間S1(例えば、35秒)に達したか否か、検知温度Thがハイカット温度Tc(第1ハイカット設定値C1)に達したか否か、および、温度勾配ΔThが予め設定された基準勾配ΔTs(例えば、Δ0℃)以下になったか否かの監視を開始する(ST5〜ST7)。
加熱制限時間Snが第1基準時間S1に達するか、或いは、温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下になる前に、検知温度Thがハイカット温度Tcに達した場合、即ち、バルブユニット26の火力切替弁に対して火力制限信号を出力したにもかかわらず、検知温度Thがハイカット温度Tcに達した場合は(ST6のステップでYes)、被加熱物の発火や空焚き、対応するバルブユニット26の火力切替弁の動作不良などの異常が生じている可能性があるとして、この場合は、上記バルブユニット26の電磁開閉弁を閉じてコンロバーナ21へのガスの供給を強制的に停止し、消火させる(ST8)。
検知温度Thがハイカット温度Tcに達するか、或いは、温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下になる前に、加熱制限時間Snが第1基準時間S1に達した場合は(ST5のステップでYes)、切替温度Taを第1切替設定値A1より一段階高い第2切替設定値A2(例えば、第1切替設定値A1+30℃)に設定した上で、その時点における検知温度Thが切替温度Ta(第2切替設定値A2)以上であるか否かを判定する(ST9〜ST10)。
その結果、検知温度Thが切替温度Ta以上であれば(ST10のステップでYes)、火力制限時間Snが予め設定された第2基準時間S2(例えば、45秒)に達したか否か、検知温度Thがハイカット温度Tc(第1ハイカット設定値C1)に達したか否か、および、温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下になったか否かの監視を行う(ST11〜ST13)。
加熱制限時間Snが第2基準時間S2に達するか、或いは、温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下になる前に、検知温度Thがハイカット温度Tcに達した場合は(ST12のステップでYes)、ST6のステップと同様、コンロバーナ21へのガスの供給を強制的に停止し、消火させる(ST8)。
検知温度Thがハイカット温度Tcに達するか、或いは、温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下になる前に、加熱制限時間Snが第2基準時間S2に達した場合は(ST10のステップでYes)、切替温度Taを第2切替設定値A2より一段階高い第3切替設定値A3(例えば、第1切替設定値A1+40℃)に設定した上で、その時点における検知温度Thが切替温度Ta(第3切替設定値A3)以上であるか否かを判定する(ST14〜ST15)。
その結果、検知温度Thが切替温度Ta以上であれば(ST15のステップでYes)、火力制限時間Snが予め設定された第3基準時間S3(例えば、55秒)に達したか否か、検知温度Thがハイカット温度Tc(第1ハイカット設定値C1)に達したか否か、および、温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下になったか否かの監視を行う(ST16〜ST18)。
加熱制限時間Snが第3基準時間S3に達するか、或いは、温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下になる前に、検知温度Thがハイカット温度Tcに達した場合は(ST17のステップでYes)、ST6のステップと同様、コンロバーナ21へのガスの供給を強制的に停止し、消火させる(ST8)。
検知温度Thがハイカット温度Tcに達するか、或いは、温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下になる前に、加熱制限時間Snが第3基準時間S3に達した場合は(ST16のステップでYes)、切替温度Taを第3切替設定値A3より一段階高い第4切替設定値A4(例えば、230℃)に設定した上で、その時点における検知温度Thが切替温度Ta(第4切替設定値A4)以上であるか否かを判定する(ST19〜ST20)。
その結果、検知温度Thが切替温度Taより低ければ(ST20のステップでNo)、対応するバルブユニット26の火力切替弁を所定の大開度にしてコンロバーナ21へのガスの供給量を増やし、検知温度Thが切替温度Taに達するまで火力を大火で維持する。即ち、コンロバーナ21の火力を小火に制限してから第3基準時間S3が経過するまでの間に、検知温度Thが切替温度Taに達しなかった場合は、コンロバーナ21の火力を大火に戻す。そして、検知温度Thが切替温度Ta以上になれば、再びコンロバーナ21の火力を小火に制限し、ハイカット温度Tcを第1ハイカット設定値C1より一段階高い第2ハイカット設定値C2(例えば、260℃)に設定する(ST21〜ST24)。
一方、切替温度Taを第4切替設定値A4に設定したにもかかわらず、検知温度Thが切替温度Ta(第4切替設定値A4)以上である場合は(ST20のステップでYes)、コンロバーナ21の火力を大火に設定しないで(小火で維持した状態で)ハイカット温度Tcを第2ハイカット設定値C2に設定する(ST24)。
そして、改めてコンロバーナ21の火力制限時間Snの計測を開始すると共に、火力制限時間Snが予め設定された第4基準時間S4(例えば、20秒)に達したか否か、検知温度Thがハイカット温度Tc(第2ハイカット設定値C2)に達したか否か、および、温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下になったか否かの監視を行う(ST25〜ST28)。
加熱制限時間Snが第4基準時間S4に達するか、或いは、温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下になる前に、検知温度Thがハイカット温度Tcに達した場合は(ST27のステップでYes)、ST6のステップと同様、コンロバーナ21へのガスの供給を強制的に停止し、消火させる(ST8)。
検知温度Thがハイカット温度Tcに達するか、或いは、温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下になる前に、加熱制限時間Snが第4基準時間S4に達した場合は(ST26のステップでYes)、切替温度Taを第4切替設定値A4より一段階高い第5切替設定値A5(例えば、245℃)に設定した上で、その時点における検知温度Thが切替温度Ta(第5切替設定値A5)以上であるか否かを判定する(ST29〜ST30)。
その結果、検知温度Thが切替温度Taより低ければ(ST30のステップでNo)、ST20のステップと同様、対応するバルブユニット26の火力切替弁を所定の大開度にして、検知温度Thが切替温度Taに達するまで火力を大火で維持する。そして、検知温度Thが切替温度Ta以上になれば、再びコンロバーナ21の火力を小火に制限し、ハイカット温度Tcを第2ハイカット設定値C2より一段階高い第3ハイカット設定値C3(例えば、275℃)に設定する(ST31〜ST34)。
一方、切替温度Taを第5切替設定値A5に設定したにもかかわらず、検知温度Thが切替温度Ta(第5切替設定値A5)以上である場合は(ST30のステップでYes)、コンロバーナ21の火力を大火に設定しないで(小火で維持した状態で)ハイカット温度Tcを第3ハイカット設定値C3に設定する(ST34)。
そして、改めてコンロバーナ21の火力制限時間Snの計測を開始すると共に、火力制限時間Snが予め設定された第5基準時間S5(例えば、25秒)に達したか否か、検知温度Thがハイカット温度Tc(第3ハイカット設定値C3)に達したか否か、および、温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下になったか否かの監視を行う(ST35〜ST38)。
加熱制限時間Snが第5基準時間S5に達するか、或いは、温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下になる前に、検知温度Thがハイカット温度Tcに達した場合は(ST37のステップでYes)、ST6のステップと同様、コンロバーナ21へのガスの供給を強制的に停止し、消火させる(ST8)。
検知温度Thがハイカット温度Tcに達するか、或いは、温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下になる前に、加熱制限時間Snが第5基準時間S5に達した場合は(ST36のステップでYes)、切替温度Taを第5切替設定値A5より一段階高い第6切替設定値A6(例えば、255℃)に設定した上で、その時点における検知温度Thが切替温度Ta(第6切替設定値A6)以上であるか否かを判定する(ST39〜ST40)。
その結果、検知温度Thが切替温度Taより低ければ(ST40のステップでNo)、ST20のステップと同様、対応するバルブユニット26の火力切替弁を所定の大開度にして、検知温度Thが切替温度Taに達するまで火力を大火で維持する。そして、検知温度Thが切替温度Ta以上になれば、再びコンロバーナ21の火力を小火に制限し、ハイカット温度Tcを第3ハイカット設定値C3より一段階高い第4ハイカット設定値C4(例えば、285℃)に設定する(ST41〜ST44)。
一方、切替温度Taを第6切替設定値A6に設定したにもかかわらず、検知温度Thが切替温度Ta(第6切替設定値A6)以上である場合は(ST40のステップでYes)、コンロバーナ21の火力を大火に設定しないで(小火で維持した状態で)ハイカット温度Tcを第4ハイカット設定値C4に設定する(ST44)。
そして、改めてコンロバーナ21の火力制限時間Snの計測を開始すると共に、火力制限時間Snが予め設定された第6基準時間S6(例えば、50秒)に達したか否か、検知温度Thがハイカット温度Tc(第4ハイカット設定値C4)に達したか否か、および、温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下になったか否かの監視を行う(ST45〜ST48)。
加熱制限時間Snが第6基準時間S6に達するか、或いは、温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下になる前に、検知温度Thがハイカット温度Tcに達した場合は(ST47のステップでYes)、ST6のステップと同様、コンロバーナ21へのガスの供給を強制的に停止し、消火させる(ST8)。
検知温度Thがハイカット温度Tcに達するか、或いは、温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下になる前に、加熱制限時間Snが第6基準時間S6に達した場合は(ST46のステップでYes)、切替温度Taを第6切替設定値A6より一段階高い第7切替設定値A7(例えば、265℃)、即ち、設定可能な温度範囲の上限値に設定した上で、その時点における検知温度Thが切替温度Ta(第7切替設定値A7)以上であるか否かを判定する(ST49〜ST50)。
ところで、上記ガスコンロ1では、温調制御時の目標温度Tsが、切替温度Taの上限値(第7切替設定値A7、ここでは、265℃)とその上限値より所定温度低い温調下限温度Tb(例えば、260℃)との間の温度に設定されている。
従って、切替温度Taが第7切替設定値A7に設定されたときに、検知温度Thが切替温度Ta以上であれば(ST50のステップでYes)、コンロバーナ21の火力を大火に設定しないで(小火で維持した状態で)、検知温度Thが温調下限温度Tbより低くなるのを待つ。そして、検知温度Thが温調下限温度Tbより低くなれば、対応するバルブユニット26の火力切替弁を所定の大開度にして、コンロバーナ21の火力を大火に設定すると共に、ハイカット温度Tcを第4ハイカット設定値C4より一段階高い第5ハイカット設定値C5(例えば、295℃)に設定する。さらに、切替温度Taが第7切替設定値A7に設定されていない場合は、切替温度Taを第7切替設定値A7に設定する(ST51〜ST53)。
一方、切替温度Taが第4切替設定値A4に設定されたときに、検知温度Thが切替温度Ta(第7切替設定値A7)より低い場合は(ST50のステップでNo)、コンロバーナ21の火力を大火に設定すると共に、ハイカット温度Tcを第5ハイカット設定値C5に設定し、また、切替温度Taを第7切替設定値A7に設定する(ST52〜ST53)。
ハイカット温度Tcが第5ハイカット設定値C5に設定され、切替温度Taが第7切替設定値A7に設定された後は、検知温度Thが切替温度Taと温調下限温度Tbとの間の温度(目標温度Ts)で維持されるようコンロバーナ21の火力を大小調整する。そして、図示しないが、コンロバーナ21に対応するコンロ点消火操作子44にて消火操作がなされれば、対応するバルブユニット26の電磁開閉弁を閉じてコンロバーナ21へのガスの供給を停止し、消火させる。また、上記のように温調制御を行っている間に、検知温度Thがハイカット温度Tc(第5ハイカット設定値C5)に達した場合も、コンロバーナ21へのガスの供給を強制的に停止し、消火させる(ST54〜ST58,ST8)。
このように、ST7のステップ、ST13のステップ、ST18のステップ、ST28のステップ、ST38のステップ、又はST48のステップの何れかにおいて、コンロバーナ21の火力を小火に制限した後の温度勾配ΔThが基準勾配ΔTsより大きく、何らかの異常が生じていると判定された場合であっても、検知温度Thがハイカット温度Tcに達するまでは、所定時間が経過する毎に段階的に切替温度Ta及びハイカット温度Tcを高く設定しつつ、コンロバーナ21の火力の大小を切り替える温調制御が行われる。但し、上記異常が火力切替弁の動作不良である場合は、火力制限制御部から火力切替弁に対して火力制限信号を出力しても、コンロバーナ21の火力は小火に制限されず、大火のまま維持されるため、火力制限時間Snが第3基準時間S3に達するまでの間に検知温度Thが第1ハイカット設定値C1に達する可能性が高い。従って、この場合は、速やかにコンロバーナ21が消火される。
一方、ST7のステップ、ST13のステップ、ST18のステップ、ST28のステップ、ST38のステップ、又はST48のステップの何れかにおいて、温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下と判定された場合、即ち、バルブユニット26の火力切替弁に対して火力制限信号を出力した結果、検知温度Thの低下が認められた場合は(図8の「ΔTh」部)、被加熱物の発火や空焚き、対応するバルブユニット26の火力切替弁の動作不良などの異常は生じておらず、コンロバーナ21の火力を小火に制限したことで被加熱物の温度が正常に降下したものとして、コンロバーナ21の火力を大火に戻すと共に、ハイカット温度Tc及び切替温度Taをそれぞれ上限値(第7切替設定値A7、ハイカット設定値C5)に設定する。そして、上記したように、検知温度Thが目標温度Tsで維持されるよう温調制御が行われる(ST52〜ST58)。
また、ST10のステップ、ST15のステップ、又はST20のステップの何れかにおいて、検知温度Thが切替温度Taより低い場合、即ち、切替温度Taを一段階高く設定したことで、検知温度Thが切替温度Ta未満になった場合も同様、上記異常は生じていないものとして、コンロバーナ21の火力を大火に戻すと共に、ハイカット温度Tc及び切替温度Taをそれぞれ上限値(第7切替設定値A7、ハイカット設定値C5)に設定する。そして、上記したように、検知温度Thが目標温度Tsで維持されるよう温調制御が行われる(ST52〜ST58)。
尚、上記加熱運転時の制御動作の説明では、コンロバーナ21が用いられた場合について説明したが、グリルバーナ31が用いられた場合についても同様の制御動作がなされる。
このように、上記ガスコンロ1によれば、温度センサ23,33の検知温度Thが所定の切替温度Taに達し、バーナ21,31の火力を小火に制限する指示がなされた結果、検知温度Thの温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下になれば、被加熱物の発火や空焚き、加熱手段の出力調整不良などが生じていない正常状態であるとして、バーナ21,31の火力を大火に設定して被加熱物の加熱を続けるから、被加熱物を速やかに加熱することができる。よって、使い勝手がよい。また、被加熱物を大火で適切に加熱することができるから、安定した調理性能も発揮できる。
しかも、このものでは、バーナ21,31の火力を小火に設定する指示がなされたときの温度勾配ΔThが基準勾配ΔTs以下であれば、切替温度Taを上限値(第7切替設定値A7)に設定するから、バーナ21,31の火力が大火に設定された後、被加熱物の温度が比較的低い段階でバーナ21,31の火力が小火に制限されてしまうのを防止できる。これにより、被加熱物を速やか且つ適切に加熱することができる。よって、一層使い勝手がよく、安定した調理性能を発揮できる。
また、バーナ21,31の火力を小火に設定する指示がなされた後、切替温度Taを一段階高く設定したことで、検知温度Thが切替温度Ta未満になった場合も同様、上記異常は生じていないものとして、切替温度Taを上限値(第7切替設定値A7)に設定してバーナ21,31の火力を大火に戻し、被加熱物の加熱を続けるから、被加熱物を速やか且つ適切に加熱することができる。よって、一層使い勝手がよく、安定した調理性能を発揮できる。
尚、上記実施の形態では、被加熱物を加熱する加熱手段として、ガスの燃焼排ガスを熱源とするバーナが用いられたガスコンロを説明したが、上記バーナに代えて、電熱部からの輻射熱や伝導熱により被加熱物を加熱する電熱ヒータが用いられた加熱調理器であってもよいし、電磁誘導により被加熱物を加熱する電磁誘導ヒータが用いられた加熱調理器であってもよいし、バーナや電熱ヒータ、電磁誘導ヒータが組み合わせて用いられたものであってもよい。
本発明は、キッチンのカウンタトップKに開設された取付口K1に落とし込み状態で装着されるビルトインコンロに限らず、キッチンのテーブルに載置して使用されるテーブルコンロや、天板11の上面に加熱手段を有しないグリル装置にも適用できる。