JP6782337B2 - 受電装置、無線電力伝送システムおよび受電方法 - Google Patents

受電装置、無線電力伝送システムおよび受電方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、受電装置および無線電力伝送システムに関する。
送電側の共振器から受電側の共振器へ、高周波エネルギーを無線で伝送する無線電力伝送(Wireless Power Transmission)システムが知られている。無線電力伝送システムは、電力を送電する送電装置と、電力を受電する受電装置とに分けられる。
送電装置は、商用の交流電源から供給される交流電圧を直流電力に変換するAC/DCコンバータと、当該直流電力の電圧を任意の電圧に変換するDC/DCコンバータと、変換後の電圧に基づき高周波電力を生成するインバータと、送電共振器とを備える。送電共振器は、インバータから供給される高周波電力に応じた磁界を発生させる。
受電装置は、送電共振器と磁界を介して結合して高周波電力を受電する受電共振器を備える。また、受電装置は、受電共振器より得られた交流電力を直流に変換する整流器と、整流器により変換された直流電力の電圧を任意の電圧に変換するDC/DCコンバータと、バッテリとを備える。
ここで、送電装置および受電装置は、各々の構成要素に対するセンサを有している。このセンサにより当該構成要素の電圧、電流等を計測して、データを取得する。いずれかの構成要素の計測値が、安全に運用できる閾値を超えた場合に、送電装置および受電装置のそれぞれに対して設けられた制御装置により、安全に電力の伝送を停止する保護
動作が実行される。
具体的に、送電装置側では、サーキットブレーカなどによる交流電源の遮断や、AC/DCコンバータ、DC/DCコンバータ、インバータの停止などがある。受電装置側では、保護回路により整流器を短絡することで、インバータの出力を等価的に開放状態として、電力の伝送を遮断することなどがある。
関連技術に係る保護回路では、短絡素子として、バイポーラトランジスタを用いる。整流器(ブリッジダイオード)を構成する複数のダイオードのうち、バッテリの負側に接続された2つのダイオードのそれぞれに並列にバイポーラトランジスタを設け。これらのバイポーラ素子を、異常検出を通知する保護信号と連動させることで、整流器を短絡する。
しかし、一般的にバイポーラトランジスタは損失が多くまた、寄生容量が大きいことが知られている。このため、上述の関連技術に係る保護回路では、損失が大きくなる。また、短絡素子に要求される定格のため、素子寸法の肥大や、要求される冷却能力の増大を招く。また、寄生容量により非保護動作状態においても、高周波電力の漏洩が発生し、これにより送電中のシステム効率が低下する。
特開平11−27870号公報
本発明の実施形態は、低損失かつ高効率な動作で受電装置の保護を実現することを目的とする。
本発明の実施形態としての受電装置は、送電装置と磁界を介して結合することにより、交流電力を受電する受電共振器と、前記受電共振器で受電された前記交流電力を出力する第1端子および第2端子と、前記第1端子および前記第2端子間を短絡するための短絡回路と、を備える。前記短絡回路は、前記第1端子から前記第2端子へ電流が流れる第1経路と、前記第2端子から前記第1端子へ電流が流れる第2経路とを備える。前記第1経路と前記第2経路とは、同じ方向に電流が流れる、互いに共通する経路部分を有し、前記経路部分にはスイッチング素子が配置されている。
本実施形態に係る無線電力伝送システムの全体構成を示す図。 インバータの構成例を示す図。 送電共振器および受電共振器の構成例を示す図。 整流器および短絡回路の構成例を示す図。 短絡回路の動作説明図。 短絡回路の動作説明図。 受電制御回路の構成の説明図。 受電制御回路の動作の一例に関するフローチャート。 受電制御回路の構成の他の例の説明図。 受電制御回路の動作の他の例に関するフローチャート。 受電制御回路の構成のさらに他の例の説明図。 受電制御回路の動作のさらに他の例に関するフローチャート。 整流器および短絡回路の他の構成例を示す図。 整流器および短絡回路の他の構成例を示す図。 整流器および短絡回路のさらに他の構成例を示す図。 整流器および短絡回路のさらに他の構成例を示す図。 整流器および短絡回路のさらに他の構成例を示す図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る無線電力伝送システムの全体構成を示す。本システムは、無線で高周波電力を送電する送電装置と、送電装置から高周波電力を受電する受電装置とを備える。
送電装置は、交流電源101と、AC/DCコンバータ102と、DC/DCコンバータ103と、インバータ104と、送電共振器105と、送電制御回路107とを備える。
交流電源101は、一定周波数の交流電圧を生成する。交流電源101の例として、商用電源がある。商用電源は、例えば、周波数50Hzまたは60Hzであって、単相100Vや3相200Vの交流電圧を出力する装置である。交流電源111は、任意の電源で構わない。
AC/DCコンバータ102は、交流電源101に電線(ケーブル等)を介して接続されており、交流電源101から供給される交流電圧を、直流電圧に変換する。
DC/DCコンバータ103は、AC/DCコンバータ102に電線を介して接続されており、AC/DCコンバータ102から供給される直流電圧を、異なる直流電圧に変換(昇圧または降圧)する。
インバータ104は、DC/DCコンバータ103に電線を介して接続されており、DC/DCコンバータ103から供給される直流電圧に基づき、交流電力(交流電圧および交流電流)を生成する。ここでは、交流電力として、高周波電力を生成するが、非高周波電力であってもかまわない。
図2に、インバータ104の構成例を示す。インバータ104は、一端がDC/DCコンバータ103の正側端子に電気的に接続され、他端が負側端子に電気的に接続され、DC/DCコンバータ103からの入力電圧に基づき、交流電力(U相電流およびV相電流)を生成する。インバータ104は、4つのスイッチング素子104A、104B、104C、104Dを備え、これらスイッチング素子を制御することで交流電力を生成し、U相端子およびV相端子から出力する。なお、ここでU相はスイッチング素子104A、104Bにより構成される部分、V相はスイッチング素子104C、104Dにより構成される部分に対応する。
ここでスイッチング素子104A〜104Dは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のトランジスタとダイオードとを逆並列に接続したものとして構成される。逆並列に接続とは、接続された各素子の電流の流れる方向が逆という意味である。スイッチング素子104Aと104Bの一端が互いに接続され、スイッチング素子104Cと104Dの一端が互いに接続されている。スイッチング素子104A、104Cの他端が、DC/DCコンバータ103の電源端子(正側端子)に共通に接続されている。スイッチング素子104B、104Dの他端が、DC/DCコンバータ103のグランド端子(負側端子)に共通に接続されている。スイッチング素子104A、104B間の接続ノードは、U相端子に接続されている。スイッチング素子104C、104D間の接続ノードは、V相端子に接続されている。インバータ120は、送電制御回路107により供給されるスイッチング信号によりスイッチング素子104A〜104Dを制御する。
送電共振器105は、インバータ104のU相端子およびV相端子(図2参照)に、電線を介して接続されている。送電共振器105は、インバータ104から供給される高周波電力に応じた磁界を発生させ、当該磁界を受電装置の受電共振器に結合させることで、高周波電力を無線伝送する。一例として、高周波電力の周波数は、送電共振器の共振周波数に一致もしくは近似する。これにより、送電効率を高めることができる。
図3(A)〜図3(C)に、送電共振器105の構成例を示す。例えば、図3(A)に示すように、コイル292の一端側に容量282を直列に接続して送電共振器105を構成してもよい。容量282を、図3(A)とは反対側、すなわち、コイル292の他端側に直列接続してもよい。図3(B)に示すように、コイル292の両側に容量282a、282bを接続して送電共振器105を構成してもよいし、図3(C)に示すように、複数のコイル292a、292bを直列に接続し、さらに容量282aを直列に接続して送電共振器105を構成してもよい。また、コイル292、292a、292bは、磁性体コアに巻き付けてもよい。ここで説明した以外の構成でもよい。コイル形状としては、スパイラル巻、ソレノイド巻など、磁界結合が可能な任意の巻き方のコイルを用いてよい。
ここで述べた以外の構成も可能である。例えば送電共振器105は、コイルを含み、コンデンサを含まない構成も可能である。
交流電源101、AC/DCコンバータ102、DC/DCコンバータ103、インバータ104は、各々センサ1、2、3、4を有している。センサ1、2、3、4は、当該構成要素の電圧、電流、温度、または、これらの組み合わせを計測して、計測データを取得する。電圧、電流、または温度等の統計値を計算してもよい。
送電制御回路106は、AC/DCコンバータ102、DC/DCコンバータ103、インバータ104を制御する。また、送電制御回路106は、これらの起動(オン)と停止(オフ)も制御する。送電制御回路は、AC/DCコンバータ102、DC/DCコンバータ103、インバータ104に電線を介して接続されている。送電制御回路106は無線通信回路を備え、受電装置の受電制御回路207と無線通信可能に構成される。無線通信の方式は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)など、一般的な無線通信規格でもよいし、独自の無線通信規格でもよい。送電制御回路106は、任意の回路によって構成できる。回路は、CPU等のプロセッサ、FPGA、ASICなど、その形態を問わない。
また、送電制御回路106は、センサ1、2、3、4の計測データに基づいて、送電装置または無線電力伝送システムが正常な状態で動作しているかを判断する。例えば、交流電源101、AC/DCコンバータ102、DC/DCコンバータ103、インバータ104が正常に動作しているかを判断する。一例として、いずれかのセンサの計測データの値が、安全に運用できる閾値を超えた場合に、送電装置または無線電力伝送システムが正常に動作していないと判断し、電力の伝送を停止する動作(保護動作)を行ってもよい。
送電装置の保護動作の例として、サーキットブレーカなどによる交流電源1の遮断がある。また、AC/DCコンバータ102、DC/DCコンバータ103、インバータ104の全部または一部の停止などがある。
受電装置は、負荷装置201と、DC/DCコンバータ202と、整流器203と、短絡回路204と、受電共振器205と、受電制御回路207とを備える。負荷装置201は、例えば電力を蓄積(充電)するバッテリ、電力を消費する抵抗体等である。本実施形態では主にバッテリを想定する。
受電共振器205は、送電共振器と磁界を介して結合して、高周波電力を受電する。受電共振器205の共振周波数は、一例として、高周波電力の周波数と一致または近似している。受電共振器205の構成例としては、送電共振器105と同様、図3(A)〜図3(C)に示したものなどを用いることができる。
送電共振器105および受電共振器205の配置は、空間を介して磁気結合可能であれば任意でよい。
短絡回路204は、U相の端子または電線と、V相の端子または電線との間を短絡する(整流器203を短絡する)ように構成される。短絡回路204は、電界効果トランジスタ等のスイッチング素子を含む。電解効果トランジスタの例として、MOS型電界効果トランジスタを用いることができる。短絡回路204の動作は、受電制御回路207により制御される。図では、短絡回路204が、受電共振器205と整流器203間に配置されているが、整流器203とDC/DCコンバータ202間に配置されてもよいし、整流器203の一部として組み込まれてもよい。
整流器203は、受電共振器205に電線(U相およびV相)を介して接続されており、受電共振器205から供給される高周波電力を直流電力(直流電圧および直流電流)に変換する。
DC/DCコンバータ202は、整流器203に電線(U相およびV相)を介して接続されており、整流器203から出力される一定の直流電圧を入力として、負荷装置201で利用可能な電圧(当該一定の直流電圧よりも高い、あるいは、同一、あるいは、低い電圧)を出力する。DC/DCコンバータ202の後段には、電線を介して、負荷装置201が接続されている。
負荷装置201は、DC/DCコンバータ202から入力される電力を蓄積または消費する装置(バッテリまたは抵抗体等)である。抵抗体の例として、モータ等がある。
負荷装置201、DC/DCコンバータ202、整流器203は、各々センサ11、12、13を有している。センサ11、12、13は、当該構成要素の電圧、電流、温度またはこれらの組み合わせを計測して、計測データを取得する。電圧、電流、または温度等の統計値を計算してもよい。
受電制御回路207はDC/DCコンバータ12および短絡回路204を制御する。受電制御回路207は、これらの起動(オン)と停止(オフ)も制御する。整流器203も、受電制御回路207の制御対象に含めてもよい。受電制御回路207は、負荷装置201、DC/DCコンバータ202、整流器203、短絡回路204と、それぞれ電線を介して接続されている。受電制御回路207は無線通信回路を備え、送電制御回路107と無線通信可能に構成される。無線通信の方式は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)など、一般的な無線通信規格でもよいし、独自の無線通信規格でもよい。受電制御回路207は、任意の回路によって構成できる。回路は、CPU等のプロセッサ、FPGA、ASICなど、その形態を問わない。
また、受電制御回路207は、センサ11、12、13の計測データに基づいて、受電装置または無線電力伝送システムが正常な状態で動作しているかを判断する。例えば、負荷装置201、DC/DCコンバータ202、整流器203が正常に動作しているかを判断する。一例として、いずれかのセンサの計測データの値が、安全に運用できる閾値を超えた場合に、受電装置または無線電力伝送システムが正常に動作していないと判断し、安全に電力の伝送を停止する動作(保護動作)を行う。具体的に、短絡回路204によりU相の端子または電線と、V相の端子または電線間の経路を短絡する。これにより、等価的にインバータ104の出力を開放状態として、電力の伝送を遮断する。また、受電制御回路207は、送電制御回路107から無線通信で計測データまたは異常の有無を表す通知データを受信して、送電装置または無線電力伝送システムが正常に動作しているかを判断してもよい。正常に動作していないと判断した場合は、上記と同様に短絡回路204で短絡動作を行うように制御してもよい。
図4は、整流器203および短絡回路204の構成例を示す。整流器203はダイオードブリッジにより構成されている。ダイオードD11とダイオードD12のカソード同士が接続されている。ダイオードD13とダイオードD14のアノード同士が接続されている。ダイオードD11のアノードと、ダイオードD13のカソードはU相の入力端子に電気的に接続されている。ダイオードD12のアノードと、ダイオードD14のカソードはV相の入力端子に電気的に接続されている。ダイオードD11とD12間の接続部は、DC/DCコンバータのV相の出力端子に電気的に接続されており、この出力端子からV相の電圧または電流が出力される。ダイオードD13とD14間の接続部はU相の出力端子に電気的に接続されており、この出力端子からU相の電圧または電流が出力される。
短絡回路204は、ダイオードD11、ダイオードD12、ダイオードD15およびダイオードD16と、スイッチング素子Q1とを備える。ダイオードD11、ダイオードD12は、整流器203と短絡回路204とで共通に用いられている。スイッチング素子Q1は、電界効果トランジスタ(FET)であり、一例としてMOS(Metal−Oxide−Semiconductor)−FETである。MOS−FETの具体例として、SiC−MOS−FETがある。ただし、スイッチング素子としてバイポーラトランジスタなど、他の種類のトランジスタを用いることも可能である。本実施形態では主にMOS−FETの場合を想定する。
ダイオードD15とダイオードD16のアノード同士が接続されている。ダイオードD15のカソードがU相の入力端子に電気的に接続されている。ダイオードD16のカソードが、V相の入力端子に電気的に接続されている。スイッチング素子(MOS−FET)Q1のドレイン端子が、ダイオードD15のアノードおよびダイオードD16のアノードに接続されている。スイッチング素子Q1のソース端子が、V相の出力端子、およびダイオードD11およびダイオードD12のそれぞれのカソードに接続されている。
スイッチング素子Q1のオンおよびオフは、受電制御回路207により制御される。受電制御回路207が保護動作の実行を決定した場合、スイッチング素子Q1をオンにすることで、短絡回路204を短絡、詳細には、U相の入力端子およびV相の入力端子間を短絡させ、電力伝送を停止させる。この場合の短絡の電流経路を図5および図6に示す。
図5は、U相側からV相側への短絡の経路P11を示す。図6は、V相側からU相側への短絡の経路P12を示す。
図5の経路P11は、U相の入力端子から、ダイオードD15、スイッチング素子Q1、ダイオードD12を通過して、V相の入力端子へと至る。図6の経路P12は、V相の入力端子から、ダイオードD16、スイッチング素子Q1、ダイオードD111を通過して、U相の入力端子へと至る。
経路P1、P2のいずれも、スイッチング素子Q1に流れる電流は、U相およびV相の電圧位相にかかわらず、常に一定方向である。すなわち、経路P1、P2は、同じ方向に電流が流れる、互いに共通する経路部分を有し、経路部分にはスイッチング素子Q1が配置されている。関連技術では、背景技術の欄で前述したように、整流器(ブリッジダイオード)を構成する複数のダイオードのうち、バッテリの負側に接続された2つのダイオードのそれぞれに並列にバイポーラトランジスタを設ける。この構成では、トランジスタとして、並列接続されたダイオードの電流方向と同じ方向の電流を通さないようにするため、バイポーラトランジスタを用いる必要がある。これに対して、本実施形態では、U相およびV相の電圧位相にかかわらず、スイッチング素子Q1を常に一定方向の短絡電流を流すことができるため、近年製品化が進む低損失低容量素子のSiC−MOS−FETなど用いることが可能となる。これにより、素子寸法および冷却能力要求の低減が可能となる。
受電制御回路207は、保護動作からの復帰の指示データを取得した場合、スイッチング素子Q1をオフにする。または、受電制御回路207は、センサ11〜13の計測データに基づき、無線電力伝送システムが正常な状態に復帰したことを検知した場合に、自律的にスイッチング素子Q1をオフにしてもよい。スイッチング素子Q1をオフにすることで、短絡経路は遮断され、電力伝送可能な状態になる。または、受電制御回路207は、送電制御回路107からセンサ1〜4の計測データ、送電を実行中か否かを示すデータ、または、送電装置の異常の有無を表す通知データ等を受信し、これらのデータの少なくとも1つをさらに利用して、スイッチング素子Q1をオフにするかを判断してもよい。
ここでスイッチング素子Q1をオフにする際、受電共振器で受電中でないこと(すなわち送電装置から送電が行われていないこと)を条件としてもよい。スイッチング素子Q1をオフにする場合に、受電共振器が受電中であると、短絡回路に存在する寄生のインダクタンスにより、スイッチング素子Q1のドレイン電圧が急激に上昇する可能性があるためである。そこで、受電共振器が受電中でないことを確認してから、スイッチング素子Q1をオフにしてもよい。この動作を可能とする制御回路またはシーケンスプログラムの構成例を図7に示す。
図7に示すように、受電制御回路は、受電共振器が受電中か(送電装置が送電を行っているか)を示す送電状態信号と、無線電力伝送システムの復帰命令信号を受信する。復帰命令信号は、保護状態(短絡状態)からの復帰を指示する復帰命令が発生しているかを示す。復帰命令信号がハイレベルのときは、復帰命令が発生していることを意味する。復帰命令信号がローレベルのときは、復帰命令が発生していないことを意味する。復帰命令は、人間が操作インタフェースで復帰を指示するデータを入力し、これを受電制御回路が復帰命令として取得してもよいし、外部の装置から任意のトリガーで入力されてもよい。または、受電制御回路が装置状態に応じて復帰を自律的に決定した際に、復帰命令を発生させてもよい。復帰命令が発生した場合、復帰命令信号はハイレベルであり、それ以外の場合は、ローレベルである。
送電状態信号は、一例として、受電装置の状態を検出することで取得できる。例えば、整流器203の2つの入力端子間の電圧または電流を測定し、測定値が一定値未満であれば、送電が行われていないと判断し、一定値以上であれば、送電が行われていると判断してもよい。受電制御回路207は、当該入力端子間の電圧または電流を測定する測定回路を含んでもよい。
送電状態信号が送電中でないことを示すハイレベルであり、かつ、復帰命令信号がハイレベルの場合のみ、論理積回路(AND回路)301の出力信号がハイレベルになり、保護動作からの復帰(短絡動作の解除)を行う。すなわち、スイッチング素子(短絡素子)Q1をオフにする。なお、論理積回路301の出力信号はスイッチング素子の設定信号に対応し、ハイレベルの設定信号は、スイッチング素子のOFFを表し、ローレベルの設定信号は、スイッチング素子のONを表す。一方、送電状態信号が送電中を示すローレベルの場合は、復帰命令信号が復帰を示すハイレベルであっても、論理積回路(AND回路)301の出力信号がローレベルになり、短絡動作が維持される。これにより、送電中の場合は、復帰命令が入力されても、短絡回路におけるドレイン電圧の急上昇を防止できる。
なお、復帰命令信号、送電状態信号、スイッチング素子設定信号について、それぞれの信号のハイレベルおよびローレベルが表す意味は互いに逆でもかまわない。
図8は、本実施形態に係る受電制御回路の動作の一例のフローチャートである。受電制御回路207は、受電装置または無線電力伝送システムの異常を検知すると(ステップS11)、スイッチング素子Q1をオンにする(S12)。この後、送電装置が送電中か否か(受電装置で受電中か否か)を、送電状態信号に基づき確認する(ステップS13)。
送電状態信号が送電中でないことを示す場合は、復帰可能状態に遷移する(ステップS14)。復帰可能状態は、復帰命令が与えられた場合に、スイッチング素子をオンにできる状態である。この状態で、復帰命令が入力された場合(ハイレベルの復帰命令信号が入力された場合)、図4で説明したように、スイッチング素子Q1をオフにする。この後は、例えば送電装置を再起動して、送電を開始することで、電力伝送が可能となる。復帰命令および送電再開の指示は、受電装置等が正常であることを確認して人間が与えてもよいし、受電制御回路207が各構成要素の正常を確認してから内部で生成してもよい。受電制御回路207で送電再開の指示を生成した場合は、当該指示を送電装置に送信してもよい。異常が発生した構成要素を新品に置き換えてもよいし、修理をしてもよい。置き換え後または新品の構成要素を正常な部品とみなして、人間が復帰命令を入力してもよい。
ここで、送電状態信号は、受電装置の状態を測定することにより取得する以外に、送電制御回路107から無線通信で取得してもよい。送電状態信号を無線通信で取得する形態を模式的に図9に示す。受電制御回路207は、送電制御回路107と通信I/Fを介して無線通信を行い、送電状態信号を受信する。受電制御回路207は、送電制御回路107から送電状態信号を取得することで、受電装置で受電状態を測定する場合よりも、送電の有無をより高精度に判断できる。送電状態信号を送電装置から取得する場合の動作のフローチャートを図10に示す。
図8との違いは、ステップS15が追加されている。ステップS15では、受電制御回路207は、送電装置に送電状態信号の取得要求を送信し、その応答として送電状態信号を取得する。他のステップは図8と同様である。図10のフローチャートでは、送電装置に送電状態信号の要求を送信しているが、送電制御回路107が自発的に送電状態信号を送信してもよい。例えば、送電制御回路107は、送電の開始または終了を示す送電状態信号を送電の開始および停止のタイミングに応じて送信してもよい。この場合、受電制御回路は、開始の通知を受けた後は、停止の通知を受けるまで、送電が行われていると判断することができる。または、一定時間ごと、または任意のタイミングで、送電中か否かを表す送電状態信号を送信してもよい。
図11は、図7とは別の例の制御の動作説明図である。図7に示した受電制御回路207の制御構成に対して、論理積回路(AND回路)302が追加されている。論理積回路302には、前述した送電状態信号と、受電側状態信号が入力され、復帰可否状態信号を出力する。受電側状態信号は、受電装置の異常有無を表す信号であり、ハイレベルときは異常無し、ローレベルのときは異常有りを表す。復帰可否状態信号は、受電装置または無線電力伝送システムが保護状態から復帰可能な状態かを表す。復帰可否状態信号がハイレベルのときは復帰可能状態、ローレベルのときは復帰不可状態を表す。
論理積回路302は、送電状態信号がハイレベルであり(送電中でない)、受電側状態信号がハイレベル(異常なし)を表すときは、ハイレベルの復帰可否状態信号(復帰可能)を出力する。送電状態信号および受電側状態信号のいずれか一方がローレベルのときは、ローレベルの復帰可否状態信号(復帰不可)を出力する。復帰可否状態信号は外部装置に出力される。外部装置は、例えば、送電制御回路107、もしくは、LED、液晶表示器などの表示装置(図示せず)でもよい。LEDの場合は、復帰可否状態信号のレベルで点灯の有無またはパターンを変えてもよい。これにより、復帰可否状態を外部装置または人間で認識でき、送電装置の再立ち上げルーチンの構築や、人間系で無線電力伝送の復帰作業(再開)をする際のヒューマンエラー(復帰可能でない状態にも拘わらず送電を開始するなどのエラー)を回避できる。また、受電制御回路内で復帰可否状態信号に基づき再立ち上げルーチンを実行して、無線電力伝送の自動再開を行うよう制御することも可能である。復帰可能状態を認識した人間は、復帰命令を与えることで、図11の論理積回路301を介してハイレベルのスイッチング素子設定信号を生成し、スイッチング素子をオフにできる。
図12は、受電制御回路の他の動作例のフローチャートである。図10と異なる点は、最後にステップS16が追加されていることである。ステップS16では、復帰可能状態に遷移した後、その旨を外部装置に出力する。その後の可能な動作または操作は、上述した通りである。
図13は、本実施形態に係る整流器および短絡回路の第2の構成例を示す。短絡回路の構成が図4と異なっている。短絡回路204は、ダイオード13、ダイオードD14、ダイオードD17およびダイオードD18と、スイッチング素子Q1とを備える。ダイオード13、ダイオードD14は、短絡回路と整流器とで共通に用いられている。スイッチング素子Q1は、MOS−FET等である。
ダイオードD17とダイオードD18のカソード同士が接続されている。ダイオードD17のアノードがU相の入力端子に電気的に接続されている。ダイオードD18のアノードが、V相の入力端子に電気的に接続されている。スイッチング素子Q1のソース端子が、ダイオードD17のカソードおよびダイオードD18のカソードに接続されている。スイッチング素子Q1のドレイン端子が、U相の出力端子、および整流器203におけるダイオードD13およびダイオードD14のそれぞれのアノードに接続されている。この構成によっても図4の構成に、スイッチング素子Q1のオンのとき、スイッチング素子Q1には常に一定方向の電流が流れ、図4と同様の効果を得ることができる。図には、U相側からV相側への短絡経路P21が示されている。経路P21は、U相の入力端子から、ダイオードD13、スイッチング素子Q1、ダイオードD18、ダイオードD12を通過して、V相の入力端子へと至る。一方、V相側からU相側への短絡経路P22を示した図を図14に示す。経路P22は、V相の入力端子から、ダイオードD14、スイッチング素子Q1、ダイオードD17を通過して、U相の入力端子へと至る。
図15は、本実施形態に係る整流器および短絡回路の第3の構成例を示す。図13の構成に、スナバ回路と呼ばれる回路401を、スイッチング素子Q1に並列に接続したものである。回路401では、抵抗402とコンデンサ403とが直列に接続されており、ダイオード404が抵抗402に並列に接続されている。抵抗402の一端とダイオード404のカソードがU相の出力端子に接続されている。抵抗402の他端とダイオード404のアノードがコンデンサ403の一端に接続されている。コンデンサ403の他端は、ダイオードD17、D18のカソードにそれぞれ接続されている。この回路401により、仮に送電中にスイッチング素子Q1がオフ(保護動作から復帰)した場合にも、スイッチング素子Q1のドレイン電圧の急上昇を防止できる。なお、このスナバ回路の構成は、図示の構成に限定されず、他の構成も可能である。例えばダイオード404を省いた構成でもよい。
図16は、本実施形態に係る整流器および短絡回路の第4の構成例を示す。短絡回路の構成が図4および図13と異なっている。短絡回路204は、ダイオードD19、D20、D21、D22と、スイッチング素子Q1とを備える。スイッチング素子Q1は、MOS−FET等である。
ダイオードD19のアノードと、ダイオードD20のアノードが接続されている。ダイオードD21のカソードと、ダイオードD22のカソードが接続されている。ダイオードD19のカソードと、ダイオードD21のアノードが、U相の入力端子に電気的に接続されている。ダイオードD20のカソードと、ダイオードD22のアノードが、V相の入力端子に接続されている。スイッチング素子Q1のドレインは、ダイオードD19、D20のそれぞれのアノードに接続され、ソース端子は、ダイオードD21、D22のそれぞれのカソードに接続されている。この構成によっても図4の構成に、スイッチング素子Q1のオンのとき、スイッチング素子Q1には常に一定方向の電流が流れ、図4と同様の効果を得ることができる。
図には、U相側からV相側への短絡経路P31と、V相側からU相側への短絡経路P32が示されている。経路P31は、U相の入力端子から、ダイオードD19、スイッチング素子Q1、ダイオードD22を通過して、V相の入力端子へと至る。経路P32は、V相の入力端子から、ダイオードD20、スイッチング素子Q1、ダイオードD21を通過して、U相の入力端子へと至る。
図17は、本実施形態に係る整流器および短絡回路の第5の構成例を示す。図16の構成に、スナバ回路と呼ばれる回路411を、スイッチング素子Q1に並列に接続したものである。回路411の構成は、図14の回路401と同様であるため、説明を省略する。
この回路411により、送電中にスイッチング素子Q1がオフ(保護動作から復帰)した場合に、スイッチング素子Q1のドレイン電圧の急上昇を防止できる。なお、このスナバ回路の構成は、図示の構成に限定されず、他の構成も可能である。例えばダイオードを省いた構成でもよい。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
101:交流電源
102:AC/DCコンバータ
103:DC/DCコンバータ
104:インバータ(交流電圧生成器)
105:送電共振器
107:送電制御回路
205:受電共振器
204:短絡回路(保護回路)
202:整流器
202:DC/DCコンバータ
201:負荷装置
207:受電制御回路(制御回路)
104A〜104D:スイッチング素子
Q1:スイッチング素子
D1〜D22:ダイオード
401、411:スナバ回路
402:抵抗
403:コンデンサ(キャパシタ)
404:ダイオード

Claims (16)

  1. 送電装置から交流電力を無線信号を介して受電する受電装置であって、
    受電共振器と、
    前記受電共振器で受電された交流電力を出力する第1端子および第2端子と、
    前記第1端子および前記第2端子間を短絡するための短絡回路と、
    前記受電装置に異常が検知された場合に、前記短絡回路により前記第1端子および前記第2端子間を短絡させる制御回路と、
    前記制御回路は、前記第1端子および前記第2端子間が短絡させられた後、前記送電装置と通信し、前記送電装置から交流電力の送電が行われているかを識別可能な情報を含む信号を受信し、
    前記制御回路は、前記送電装置から前記交流電力の送電が行われていることを識別する情報を含む信号を受信するまでは、前記短絡回路により前記第1端子および前記第2端子間を短絡させる、
    受電装置。
  2. 前記制御回路は、前記前記第1端子および前記第2端子間が短絡させられた後、前記交流電力の送電が行われているかを識別可能な情報の取得要求を送信し、前記取得要求に対する応答として前記送電装置から前記交流電力の送電が行われていることを識別する情報を含む信号を受信する
    請求項1に記載の受電装置
  3. 前記制御回路は、前記受電共振器で交流電力が受電されている間は、前記短絡回路により前記第1端子および前記第2端子間を短絡させる、請求項1または2に記載の受電装置。
  4. 前記制御回路は、前記第1端子および第2端子間の電圧または電流を測定することで、前記受電共振器で交流電力が受電されているかを判定する、請求項3に記載の受電装置。
  5. 前記制御回路は、前記受電装置に異常が検知されず、かつ前記受電共振器で交流電力が受電されていないと判定した場合には、前記短絡回路による前記第1端子および前記第2端子間の短絡をやめる、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の受電装置。
  6. 前記制御回路は、前記受電装置に異常が検知されず、かつ前記送電装置から交流電力の送電が行われていないと判定した場合には、前記短絡回路による前記第1端子および前記第2端子間の短絡をやめる、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の受電装置。
  7. 前記制御回路は、前記第1端子および前記第2端子間の短絡をやめるための指示を受信した場合に、前記短絡回路による前記第1端子および前記第2端子間の短絡をやめる、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の受電装置。
  8. 交流電圧を発生させるインバータと、前記交流電圧に応じた無線信号を生成する送電共振器と、を含む送電装置と、
    受電装置であって、前記無線信号を介して交流電力を受電する受電共振器と、前記交流電力を出力する第1端子および第2端子と、前記第1端子および前記第2端子間を短絡するための短絡回路と、前記受電装置に異常が検知された場合に、前記短絡回路により前記第1端子および前記第2端子間を短絡させる制御回路と、を含む受電装置と、
    を備え、
    前記制御回路は、前記第1端子および前記第2端子間が短絡させられた後、前記送電装置と通信し、前記送電装置から交流電力の送電が行われているかを識別可能な情報を含む信号を受信し、
    前記制御回路は、前記送電装置から前記交流電力の送電が行われていることを識別する情報を含む信号を受信するまでは、前記短絡回路により前記第1端子および前記第2端子間を短絡させる、
    無線電力伝送システム。
  9. 送電装置から交流電力を無線信号を介して受電する受電装置の受電共振器で受電された前記交流電力を第1端子および第2端子から出力し、
    前記受電装置に異常が検知された場合に、前記第1端子および前記第2端子間を短絡させ、
    前記第1端子および前記第2端子間が短絡させられた後、前記送電装置と通信し、前記送電装置から交流電力の送電が行われているかを識別可能な情報含む信号を受信し、 前記送電装置から前記交流電力の送電が行われていることを識別する情報を含む信号を受信するまでは、前記第1端子および前記第2端子間を短絡させる、
    受電方法。
  10. 前記前記第1端子および前記第2端子間が短絡させられた後、前記交流電力の送電が行われているかを識別可能な情報の取得要求を送信し、前記取得要求に対する応答として前記送電装置から前記交流電力の送電が行われていることを識別する情報を含む信号を受信する
    請求項9に記載の受電方法。
  11. 前記受電共振器で交流電力が受電されている間は、前記第1端子および前記第2端子間を短絡させる、請求項9または10に記載の受電方法。
  12. 前記第1端子および第2端子間の電圧または電流を測定することで、前記受電共振器で交流電力が受電されているかを判定する、請求項11に記載の受電方法。
  13. 前記受電装置に異常が検知されず、かつ前記受電共振器で交流電力が受電されていないと判定した場合には、前記第1端子および前記第2端子間の短絡をやめる、請求項9乃至請求項12のいずれか1項に記載の受電方法。
  14. 前記受電装置に異常が検知されず、かつ前記送電装置から交流電力の送電が行われていないと判定した場合には、前記第1端子および前記第2端子間の短絡をやめる、請求項9乃至請求項12のいずれか1項に記載の受電方法。
  15. 前記第1端子および前記第2端子間の短絡をやめるための指示を受信した場合に、前記第1端子および前記第2端子間の短絡をやめる、請求項9乃至請求項14のいずれか1項に記載の受電方法。
  16. 送電装置から交流電力を無線信号を介して受電する受電装置の受電共振器で受電された前記交流電力を第1端子および第2端子から出力し、
    前記受電装置に異常が検知された場合に、前記第1端子および前記第2端子より出力される前記交流電力から前記受電装置を保護する保護回路を起動させ、
    前記保護回路が起動させられた後、前記送電装置と通信し、前記送電装置から交流電力の送電が行われているかを識別可能な情報を含む信号を受信し、
    前記送電装置から前記交流電力の送電が行われていることを識別する情報を含む信号を受信するまでは、前記保護回路を起動させる、
    受電方法。
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