以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
本実施形態に係る非接触給電システムは、例えば、電気自動車等の車両のバッテリを充電する際に、地上側から車両のバッテリに向けて非接触電力を供給するためのシステムである。また、他の例として、非接触給電システムは、走行中の車両に対して電力を供給するシステムにも適用可能である。
以下、図1を用いて、本例の非接触給電システムの構成について説明する。図1は、本発明に係る非接触給電システムの回路図である。非接触給電システムは、地上側に設けられる1次側の非接触給電装置と、車両側に設けられる2次側の非接触給電装置を備えている。1次側の非接触給電装置は、直流電源1、平滑コンデンサ2、インバータ3、共振コンデンサ4、及び1次コイル5を備えている。2次側の非接触給電装置は、2次コイル6、共振コンデンサ7、電圧センサ8、11、16、ブリッジダイオード9、DCバスキャパシタ10、スイッチング素子12、ダイオード13、抵抗14、電流センサ15、負荷17、コンバータ20、コントローラ100、及び位相同期回路(PLL回路)110を備えている。
直流電源1は複数の電池を接続することで構成されている。平滑コンデンサ2は直流電源1とインバータ3の間に接続されている。インバータ3は、直流電源1から供給される電力を交流電力に変換し、共振コンデンサ4及び1次コイル5に出力する。インバータ3は、各相に直列接続された複数のスイッチング素子3a〜3dを有している。インバータ3は、数10k〜数100kHzでスイッチング動作を行い、高周波の交流電力を出力する。なお、スイッチング素子3a〜3dにはMOSFET等の半導体素子が用いられる。
共振コンデンサ4及び1次コイル5は直列に接続され、インバータ3の出力側に接続されている。共振コンデンサ4及び1次コイル5により共振回路が形成される。1次コイル5は、2次コイル6に対して非接触で電力を供給するためのコイルである。1次コイル5は、例えば、車両が駐車する駐車スペース、又は、車両の走行面などの地表に沿うようなコイル面をもったループ状のコイルにより構成される。
次に2次側の構成を説明する。2次コイル6は、1次コイル5から非接触で供給される電力を2次するコイルである。2次コイル6は、例えば1次コイル5と同様のループ状のコイルにより構成されており、コイル面が車両のシャシに沿うように取り付けられている。共振コンデンサ7は、2次コイル6に対して直列に接続され、2次コイル6と共振回路を形成している。1次コイル5で磁束が発生すると、当該磁束が2次コイル6のコイル面を通過することで、2次コイル6に起電力が発生する。2次コイル6で2次された電力の位相が共振コンデンサ7によって補償された上で、2次コイル6の受電電力がブリッジダイオード9に出力される。
ブリッジダイオード9は、ダイオード9a〜9dをブリッジ状に接続した整流器であり、2次コイル6及び共振コンデンサ7の共振回路から入力される交流電力を整流する。ブリッジダイオード9は、入力される交流電流の極性の切り替わりによって、ダイオード9a〜9dの電流方向を切り変える(導通するダイオードを変える)。
ブリッジダイオード9の交流入力端子には電圧センサ8が接続されている。電圧センサ8は、ブリッジダイオード9に入力される入力交流電圧を測定し、位相同期回路110に出力する。
DCバスキャパシタ10は、ブリッジダイオード9の直流出力端子間に接続されている。ブリッジダイオード9により出力される直流電力は、正弦波(ブリッジダイオード9へ入力電力)を全波整流したものであるため、大きなリプル電流を含んでいる。そのため、DCバスキャパシタ10は、ブリッジダイオード9の出力を平滑して、コンバータ20へ入力される電圧の変動を抑制している。
DCバスキャパシタ10の電圧は、コンバータ20によって昇圧され、負荷17に供給される。後述するように、コンバータ20はDCバスキャパシタC11に充電された電力を昇圧する。そのため、コンバータ20の動作中、DCバスキャパシタ10が充電された状態を維持しなければならない。本例の非接触給電システムの2次側は、共振コンデンサ7を用いた構成となっており、DCバスキャパシタ10への入力電流は、2次コイル6から供給されるため、DCバスキャパシタ10へ供給される電力を急減に増やすことはできない。
その一方で、コンバータ20への入力電流が急激に増加して、DCバスキャパシタ10の充電電圧がゼロになると、コンバータ20の入力電流がゼロになり、コンバータ20の出力電力が低下する。このような出力電圧の低下を防ぐためには、DCバスキャパシタ10は、コンバータ20に対して電流を供給できるように、電荷を溜めておく必要があり、DCバスキャパシタ10は、ある程度の容量を必要とする。本例において、DCバスキャパシタ10には、DCバス電圧を安定させるため、数百μF〜数千μFの静電容量をもつキャパシタが用いられる。
電圧センサ11は、DCバスキャパシタ10の電圧を測定するためのセンサであり、DCバスキャパシタ10に並列に接続されている。電圧センサ11で測定した電圧はコントローラ100に出力される。
スイッチング素子12は、DCバスキャパシタ10に充電された電荷を放電させるためのスイッチである。スイッチング素子12には、MOSFETなどの半導体素子が用いられる。スイッチング素子12のドレイン端子(高電位側端子)は、配線を介してコンバータ20の正の入力端子20aに接続されている。
抵抗14は、DCバスキャパシタ10から放電され、スイッチング素子12を通じて入力される電荷を消費するための抵抗であり、スイッチング素子12に直列に接続されている。そして、抵抗14の一方の端子は、スイッチング素子12のソース端子(低電位側端子)に接続され、抵抗14の他方の端子は、配線を介してコンバータ20の負の入力端子20bに接続されている。また、スイッチング素子12と抵抗14との直列回路は、DCバスキャパシタ10とコンバータ20との間に接続されており、DCバスキャパシタ10の電荷を放電する放電回路である。
コンバータ20は、ブリッジダイオード9から出力され、DCバスキャパシタ10で平滑された電圧を変換する回路であって、昇圧コンバータである。コンバータ20は、入力側に正負の入力端子20a、20bと、出力側に正負の出力端子20c、20dを有している。入力端子20a及び出力端子20cが正側の電源ラインに接続され、入力端子20b及び出力端子20dが負側の電源ラインに接続されている。
コンバータ20はDCバスキャパシタ10と負荷17との間に接続されている。コンバータ20は、インダクタ21、スイッチング素子22、ダイオード23、及びキャパシタ24を有している。インダクタ21の一方の端子は入力端子20aに接続されており、インダクタ21の他方の端子はスイッチング素子22のドレイン端子及びダイオード23のアノード端子に接続されている。スイッチング素子22のドレイン端子は、インダクタ21の他方の端子とダイオード23のアノード端子
との接続点に接続されている。スイッチング素子22のソース端子は、入力端子20b及び出力端子20dに接続されている。
ダイオード23のアノード端子は、インダクタ21の他方の端子とスイッチング素子22のドレイン端子との接続点に接続され、ダイオード23のカソード端子は、出力端子20c及びキャパシタ24の一方の端子に接続されている。キャパシタ24の一方の端子は出力端子20cに接続され、キャパシタ24の他方の端子は出力端子20dに接続されている。
スイッチング素子22は、コントローラ100により制御される。コントローラ100から送信されるスイッチング信号がスイッチング素子22のゲート端子に入力されることで、スイッチング素子22のオン、オフが切り替わり、入力電圧が昇圧されて、負荷17に出力される。
電流センサ15は、コンバータ20の出力端子20dに接続され、コンバータ20から負荷17への出力電流を測定するセンサである。電圧センサ16は、コンバータ20の入力端子20cと出力端子20dとの間に接続され、コンバータ20から負荷17への出力電圧を測定するセンサである。電流センサ15及び電圧センサ16の測定値はコントローラ100に出力される。
負荷17について、例えば非接触給電システムを車両用バッテリの非接触充電装置に適用する場合には、負荷17はバッテリである。また、例えば非接触給電システムを走行中の車両への電力供給装置に適用する場合には、負荷17はモータである。
負荷17がバッテリである場合に、負荷17に必要な出力電圧はバッテリの充電状態(SOC)によって決まる。そのため、負荷17への出力電圧を調整する機構として、コンバータ20が設けられている。また、非接触給電システムを走行中の車両への電力供給装置に適用する場合には、負荷17に出力する電力を地上側で制御することも考えられる、車両の負荷17であるモータに対して必要な電力の情報は車両側の情報である。そのため、車両から地上側の装置に対して無線等により、必要電力の情報を送信しなければならない。しかしながら、無線通信はノイズ等により阻害される可能性もある。また、一つの地上側コイルに対して、複数のコイルを車両側に配置する場合には、地上側で負荷17への出力電圧を制御しようとすると、個別に制御できないという不都合が生じる。そのため、出力電圧を車両側で制御できるように、コンバータ20が設けられている。
位相同期回路110は、ブリッジダイオード9の入力側の交流電圧を、電圧センサ8から取得しつつ、取得した交流電圧の周波数に応じてクロック信号を生成する。このとき、クロック信号の周波数は、交流電圧の周波数の2倍に設定される。また、位相同期回路110は、電圧センサ8から入力される入力信号に基づき、フィードバック制御を行い、入力信号と同期するようにクロック信号を生成し、コントローラ100に出力する。
コントローラ100は、スイッチング素子12及びスイッチング素子22を駆動する制御回路である。コントローラ100は、位相同期回路110から入力されるクロック信号に基づいて、スイッチング素子12を駆動させるためのスイッチング信号を生成し、スイッチング素子12のゲート端子に出力する。また、コントローラ100は、電流センサ15及び電圧センサ16から負荷17への出力電力を取得しつつ、出力電力が負荷17への要求電力と一致するようフィードバック制御を行って、スイッチング素子22を駆動させる。
ここで、本発明とは異なり、スイッチング素子12及び抵抗14を設けていない比較例に係る非接触給電システムの回路動作と、2次コイル6で発生する高調波について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、比較例に係る非接触給電システムの回路図である。図3は、2次コイル6のコイル電流の特性(a)、ブリッジダイオード9の入力電圧の特性(b)、コンバータ20の入力電流の特性(c)、DCバスキャパシタ電圧(DCバス電圧)の特性(d)、及び、2次コイル6の電圧の特性(e)をそれぞれ示したグラフである。
図2に示すように、比較例に係る非接触給電システムは、本発明と比較して、スイッチング素子12及び抵抗14を設けておらず、位相同期回路110も設けていない。その他の構成は、本発明に係る非接触給電システムと同様である。なお、図2では、1次側の構成を省略した上で、図示している。
例えば、DCバスキャパシタ10の電圧が+340Vの状態で、非接触給電システムが動作しているとする。このとき、DCバス電圧は、340Vで一定の電圧値を保っている。2次コイル6の交流電流の波形は、図3(a)に示すような正弦波となる。2次コイル6の電流の極性が変わる時(交流電流がプラスからマイナス、又は、マイナスからプラスに変わる時)には、ブリッジダイオード9の極性が切り替わり、ブリッジダイオード9への入力電圧の波形は、図3(b)のような正負を交互に切り替えた矩形波となる。
時刻t1の時点で、ブリッジダイオード9のダイオード9a、9dが導通し、ダイオード9b、9cが遮断していたとすると、ブリッジダイオード9の入力電圧は+340Vとなる。そして、時刻t2で、2次コイル6の電流の極性が切り替わると、ブリッジダイオード9の電流の導通方向が変わり、ダイオード9a、9dが遮断し、ダイオード9b、9cが導通する。そのため、時刻t2で、ブリッジダイオード9の入力電圧は−340Vとなる。すなわち、時刻t2で、DCバス電圧の2倍の電圧である680Vの電圧変化が、2次コイル6及び共振コンデンサ7の共振回路に印加されることになる。
このような急激な電圧変化は、高い周波数成分で生じるため、2次コイル6に直列接続されたコンデンサ7では、高周波数成分の電圧変化による電圧降下はなく、高周波成分の電圧変化は2次コイル6に印加される。2次コイル6には、1次コイル5との磁気的な結合により交流電流が流れている。そのため、コイル間の磁気的な結合による交流電流が2次コイル6に流れている状態で、2次コイル6には、高周波成分の電圧変化による交流電流も流れる。そして、交流電流の傾きに比例した電圧が2次コイル6に生じる。2次コイル6の交流電圧が最大もしくは最少のところで、交流電流の流れる方向が正から負、又は、負から正へと切り替わる。
図3(e)に示すように、2次コイル6の電圧波形は、2次コイル6の交流電圧波形の頂点において、DCバス電圧の2倍のステップ状の電圧変化を、2次コイル6の交流電圧に重畳された波形となる。交流電圧に重畳されるステップ状の電圧変化は高調波を含んでいるため、この大きな電圧変化によって、2次コイル6にノイズ(高調波ノイズ)が発生することになる。
さらに、高調波ノイズの発生の原因となる電圧変化は、ブリッジダイオード9の極性が反転するときに、DCバスキャパシタ10に充電されている電圧の大きさに依存する。比較例では、図3(b)及び(d)に示すように、ブリッジダイオード9の極性が反転するタイミング(時刻t1、t2、t3)で、DCバスキャパシタ10は多くの電荷を蓄積しており、DCバスキャパシタ10の充電電圧が高くなっている。そして、時刻t1、t2、t3における、ブリッジダイオード9の電圧変化は、DCバスキャパシタ10の充電電圧の2倍になり、2次コイル6の交流電流に重畳される。ゆえに、比較例では、2次コイル6に大きなノイズ(高調波ノイズ)が発生する。
本発明に係る非接触給電システムでは、上記のような高調波を抑制するために、スイッチング素子12及び抵抗14を設けつつ、以下に説明するように回路を動作させている。
図4A及び図4Bは、本発明に係る非接触給電システムの2次側回路の電圧特性、電流特性、及び、スイッチング信号の特性を説明するためのグラフである。図4A、4Bにおいて、(a)は2次コイル6のコイル電流の特性を示し、(b)はブリッジダイオード9の入力電圧の特性を示し、(c)はスイッチング素子22のスイッチング信号の特性を示し、(d)はコンバータ20の入力電流の特性を示し、(e)はスイッチング素子12のスイッチング信号の特性を示し、(f)はスイッチング素子12に流れる電流の特性を示し、(g)はDCバスキャパシタ電圧(DCバス電圧)の特性を示し、(h)2次コイル6の電圧の特性を示す。
2次コイル6の入力電流は、図4A(a)に示すような交流波形となり、電流の流れる方向は、時刻t1、t2、t3で反転する。2次コイル6の入力電流がブリッジダイオード9に入力され、電圧センサ8で測定される電圧波形は図4A(b)のようになる。ブリッジダイオード9の入力電圧の波形は、2次コイル6の入力電流と同様に、時刻t1、t2、t3で正負を反転する。
位相同期回路110は、電圧センサ8の測定電圧の波形からクロック信号を生成する。クロック信号は、時刻t1から時刻t2までの時間(時刻t2から時刻t3までの時間)を1周期とする。この周期(クロック信号の周波数)は、2次コイル6の電流の周波数に対して2倍になるように設定されている。
ブリッジダイオード9の出力電圧はDCバスキャパシタ10に印加され、DCバスキャパシタ10が充電される。DCバスキャパシタ10の電圧は電圧センサ11のより測定され、測定電圧はコントローラ100に入力される。
コントローラ100はスイッチング素子12を駆動させるスイッチング信号及びスイッチング素子22を駆動させるスイッチング信号を生成する。スイッチング素子22のスイッチング信号は図4A(c)に示すような矩形波となる。スイッチング素子22は、図4A(c)に示す波形のハイレベルでオン状態となり、ローベルでオフ状態となる。ハイレベルの期間は、スイッチング素子22のオン期間となり、ローレベルの期間がオフ期間となる(以下、他のスイッチング信号も同様)。
コンバータ20の入力側には、インダクタ21が接続されているため、図4A(d)に示すように、コンバータ20の入力電流は比較的、滑らかな一定値をとる。そのため、スイッチング素子22のオン、オフを切り替えたとしても、コンバータ20の入力側の電流は変わらないため、DCバスキャパシタ10の電荷の放電量を調整することはできない。
また、スイッチング素子22のオン期間を定めるデューティー比は、負荷17に必要な電圧により決まる。すなわち、スイッチング素子22のスイッチン信号の周波数やデューティー比は、負荷17側からの要求で定まるものであるため、DCバスキャパシタ10の電荷の放電用のスイッチとして用いることは難しい。
スイッチング素子12のスイッチング信号は図4B(e)に示すような矩形波となる。スイッチング素子12のスイッチング信号は、時刻t2の経過後に立ち上がり(時刻ta)、時刻t3の直前まで(時刻tb)、スイッチング素子12のオン期間となるような波形である。言い替えると、スイッチング素子12のスイッチング信号は、時刻t2から半周期(クロック信号の周期の半分)を経過した時点以降に立ち上がり、時刻t3を経過するまでに立ち下がることで、半周期の経過した時点以降で、かつ、時刻tbまでをオン期間としている。スイッチング信号のオン期間は、時刻t2から時刻t3までの間に限らず、時刻t1から時刻t2までの間にも、同様の周期で生成されている。
そして、時刻taから時刻tbまでのオン期間中、スイッチング素子12がオン状体になると、DCバスキャパシタ10はスイッチング素子12を介して抵抗14と導通されるため、DCバスキャパシタ10の電荷がスイッチング素子12を通じて放電され、抵抗14で消費される。そして、時刻t3までに、スイッチング素子12はオフ状態に切り替わり、DCバスキャパシタ10の放電が終わる。これにより、DCバスキャパシタ10の電荷は、ブリッジダイオード9の極性の反転のタイミングまでに、スイッチング素子12を通して放電される。
DCバスキャパシタ10の電圧は、図4B(g)に示すように、スイッチング素子12のオン期間である時刻taからtbの間に大きく電圧降下して、ブリッジダイオード9の極性の切り替わりタイミングである時刻t3には30Vになっている。2次コイル6に発生する電圧変動は30Vの2倍の60Vに抑えられるため(図4B(f))、高調波ノイズの発生を抑えることができる。
上記のように、本発明はDCバスキャパシタ10に、放電用のスイッチング素子としてスイッチング素子12を接続し、ブリッジダイオード9の極性が切り替わるタイミングまでに、スイッチング素子12を通じてDCバスキャパシタ10の電荷を放電させている。これにより、DCバスキャパシタ10からの放電量をスイッチング素子12の導通時間によってコントロールすることができる。また、本発明は、ブリッジダイオード9の極性が切り替わるまでに(極性の切り替わりの直前に)、DCバスキャパシタ10を放電するので、ブリッジダイオード9の極性の切り替わりのタイミングでDCバスキャパシタ10の電圧を減少させることができる。そのため、ブリッジダイオード9の極性の切り替わりにおける2次コイルの電圧変動を減少させることができ、2次コイルの高調波ノイズを抑制できる。
また本発明は、クロック信号の周波数を電圧センサ8で測定された交流電圧の周波数の2倍にしてクロック信号を生成し、クロック信号と同期するようにスイッチング素子12のスイッチング信号を生成する。これにより、電圧センサ8の測定値から、ブリッジダイオード9の極性の反転するタイミングを把握することができる。またクロック信号とスイッチング信号とを同期させているので、コントローラ100の設計を容易にすることができる。
また、本発明はクロック信号のクロックの終了(時刻t1、t2、t3に相当)の直前まで、DCバスキャパシタ10が放電するように、スイッチング素子12のオン期間を設定している。これにより、ブリッジダイオード9の極性の切り替わるタイミングにおいて、DCバスキャパシタ10が最も放電された状態にすることができる。よって、2次コイル6の高調波を低減することができるようになる。
なお、スイッチング素子12、22は、MOSFETに限らず、IGBT等の半導体素子でもよい。スイッチング素子12、22にIGBTを用いた場合には、コレクタ端子が高電位側端子となり、エミッタ端子が低電位側端子となる。
また、2次側の共振回路は直列共振回路に限らず、並直列共振回路(2次コイル6にキャパシタを並列に接続し、2次コイル6にキャパシタを直列に接続した回路)であってもよい。2次側の共振回路を並直列共振回路とすることで、1次コイル5と2次コイル6の相対位置がずれた際に出力電力の低下を防ぐことができる。
上記のブリッジダイオード9が本発明の「整流器」に相当し、コントローラ100が本発明の「制御手段」に相当し、2次コイル6が本発明の「受電コイル」に相当し、DCバスキャパシタ10が本発明の「平滑コンデンサ」に相当し、電圧センサ8が本発明の「第1電圧測定手段」に相当し、電圧センサ11が本発明の「第2電圧測定手段」に相当する。
《第2実施形態》
図5は、発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの回路図である。本例では上述した第1実施形態に対して、スイッチング素子12及び抵抗14の代わりに、コンバータ20内のスイッチング素子で、DCバスキャパシタ10を放電している点が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであり、その記載を援用する。
以下、本発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの構成のうち、第1実施形態と異なる構成を説明する。コンバータ20は、スイッチング素子25、インダクタ26、ダイオード27及びキャパシタ28を有している。コンバータ20は昇降圧コンバータである。スイッチング素子25のドレイン端子はコンバータ20の正の入力端子20aに接続されており、スイッチング素子25のソース端子はインダクタ26の一方の端子とダイオード27のカソード端子との接続点に接続されている。インダクタ26の一方の端子はスイッチング素子25のソース端子とダイオード27のカソード端子との接続点に接続されており、インダクタ26の他方の端子はコンバータ20の負の入力端子20b及びキャパシタ28の他方の端子に接続されている。
ダイオード27のアノード端子はキャパシタ28の一方の端子及びコンバータ200の正の出力端子20cに接続されており、ダイオード27のカソード端子はスイッチング素子25のソース端子とインダクタ26の一方の端子の接続点に接続されている。キャパシタ28の一方の端子はダイオード27のアノード端子及びコンバータ20の正の出力端子20cに接続されており、キャパシタ28の他方の端子はコンバータ20の負の出力端子20dに接続されている。
次に、非接触給電システムの回路の動作を、図6A及び図6Bを用いて説明する。図6A及び図6Bは、本発明に係る非接触給電システムの2次側回路の電圧特性、電流特性、及び、スイッチング信号の特性を説明するためのグラフである。図6A、6Bにおいて、(a)は2次コイル6のコイル電流の特性を示し、(b)はブリッジダイオード9の入力電圧の特性を示し、(c)はクロック信号を示し、(d)はスイッチング素子25のスイッチング信号の特性を示し、(e)はコンバータ20の入力電流の特性を示し、(f)はDCバスキャパシタ電圧(DCバス電圧)の特性を示し、(e)2次コイル6の電圧の特性を示す。
2次コイル6の入力電流は、図6A(a)に示すような交流波形となり、電流の流れる方向は、時刻t1、t2、t3で反転する。また、ブリッジダイオード9の極性も、時刻t1、t2、t3で反転する(図6A(b)参照)。位相同期回路110は、図6A(c)に示すように、時刻t1、t2、t3で定まる周期のクロック信号を生成する。
コントローラ100は、位相同期回路110のクロック信号と同期しつつ、時刻t1、t2、t3を立ち下がりエッジとするスイッチング信号を生成する。スイッチング信号は、スイッチング素子25を駆動するための信号である。スイッチング信号は、時刻t1の経過後、一定の期間をオフ期間としつつ、1周期の途中から時刻t2までをオン期間とする信号である。
コンバータ20の入力電流は図6B(e)のような断続的な電流波形となる。コンバータ20の入力側にはスイッチング素子25を設けているため、スイッチング素子25のオフ期間にはコンバータ20の入力電流がゼロになり、スイッチング素子25のオン期間に入力電流が流れる。
DCバスキャパシタ10の電圧波形は、図6B(f)のような波形となる。DCバスキャパシタ10は、コンバータ20の電流が流れていない期間に充電され、DCバスキャパシタ10は、コンバータ20の電流が流れている期間に放電される。すなわち、スイッチング素子25のオン期間で、DCバスキャパシタ10がコンバータ20と導通するため、DCバスキャパシタ10の電荷が放電されて、コンバータ20の入力電流が流れる。そして、DCバスキャパシタ10の電圧は、時間t1、t2、t3で最少の値の35Vとなる。
時間t1、t2、t3はブリッジダイオード9の極性の反転するタイミングであるため、DCバス電圧の35Vの2倍である70Vの電圧変動が発生する。そして、ブリッジダイオード9の極性の反転に伴う電圧変動は、2次コイル6の交流電圧に重畳される。そのため、2次コイル6の電圧波形は、図6B(g)に示すように、交流波形に対して、時間t1、t2、t3のタイミングで70Vのステップ電圧を重畳した形となる。本発明の2次コイル6の電圧波形は、第1実施形態に示した比較例1の2次コイル電圧波形と比較して、時間t1、t2、t3の電圧変動を大幅に低減されている。これにより、高調波ノイズを大幅に低減することができる。
高調波ノイズを低減できるレベルは、ブリッジダイオード9の極性の反転時における、DCバスキャパシタ10の電圧に依存している。そのため、DCバスキャパシタ10の電圧をどの程度まで下げればよいのか、以下に説明する。
DCバスキャパシタ10の平均電圧をVavgとし、DCバスキャパシタ10の最低電圧(ブリッジダイオード9の極性の反転時の電圧)をVminとする。そして、DCバスキャパシタ10の平均電圧に対する最小電圧の電圧比(Vmin/Vavg)と、2次コイル6の3次高調波の割合をプロットすると、図7のようなグラフとなる。図7は、電圧比(Vmin/Vavg)に対する2次コイル6の3次高調波の割合を示したグラフである。
図7に示すように、DCバスキャパシタ10の最小電圧を下げるほど、高調波の割も低減している。例えば、電圧比(Vmin/Vavg)が0.6の時には3次高調波の割合は約10%になり、大きなノイズ低減効果を得ることができる。その一方で、電圧比(Vmin/Vavg)が0.3以下の場合には、3次高調波の割合は、ほぼ一定値となり、高調波ノイズ低減効果は高まらない。そして、DCバスキャパシタ10の電圧がゼロになると、コンバータ20の出力電圧が低下する。そのため、電圧比(Vmin/Vavg)は0.1以上から0.6以下の間(または0.1以上から0.3以下の間)になるように、設計するとよい。
次に、DCバスキャパシタ10の静電容量について説明する。上記のとおり、コンバータ20の入力電流が流れることで、DCバスキャパシタ10の電圧は低下する。低下させる電圧の大きさを最適にするためには、以下に説明するように、設計段階でDCバスキャパシタ10の静電容量を適切な値にすることが求められる。
図8は、本発明に係る非接触給電システムの2次側回路の電圧特性及び電流特性を説明するためのグラフである。図8において、(a)はDCバスキャパシタ10の入力電流の特性を示し、(b)はコンバータ20の入力電流の特性を示し、(c)はDCバスキャパシタ10の入出力電流の特性を示し、(d)はDCバスキャパシタ電圧(DCバス電圧)の特性を示す。なお、(c)のグラフにおいて、プラスがDCバスキャパシタ10への入力電流を、マイナスがDCバスキャパシタ10からの出力電流を示す。
DCバスキャパシタ10には、図8(a)に示す波形の入力電流が入力される。コンバータ20の入力電流の波形は図8(b)で示され、時間t4から時間t5の期間で、コンバータ20の入力電流が流れている。なお、時間t4から時間t5までの期間はスイッチング素子25のオン期間に相当する。時間t4から時間t5までの期間、DCバスキャパシタ10はコンバータ20に電流を出力することで、放電しているため、図8(c)に示すような出力電流がDCバスキャパシタ10から出力される。そして、図8(d)に示すように、時間t4から時間t5までの期間、DCバスキャパシタ10の放電により、DCバスキャパシタ10の電圧は低下する。DCバスキャパシタ10の電圧は、ブリッジダイオード9の極性の反転のタイミング(時間t5)で最小値(Vmin)となる。
DCバスキャパシタ10の電圧リプルの半分の電圧は、DCバスキャパシタ10の平均電圧(Vavg)と最小電圧(Vmin)の電圧差(Vavg−Vmin)で表される。そして、時間t4から時間t5までの期間で降下するDCバスキャパシタ10の電圧は、電圧リプルの全体となるため、2・(Vavg−Vmin)で表される。
DCバスキャパシタ10の静電容量をC
dcとすると、時間t
4から時間t
5までの間にDCバスキャパシタ10から出力される電荷(Q
3)の大きさは、キャパシタの電圧と電荷の関係式から式(1)で表される。
図8(a)〜(c)に示すように、時間t4から時間t5までの期間、DCバスキャパシタ10には、図8(a)入力電流による電荷Q1が流入しつつ、コンバータ20の入力電流(DCバスキャパシタ10からみると出力になる)により電荷Q2が流出している。すなわち、DCバスキャパシタ10から実際に出力されている電荷(Q3)は、電荷(Q1)と電荷(Q3)との差分となる。
電荷Q
1は、図8(a)に示す電流波形を、時間t
4から時間t
5までの間で積分した値となる。DCバスキャパシタ10の入力電流は、ブリッジダイオード9により正弦波を全波整流した波形であり、時間t
4から時間t
5までの積分値は、全波整流した波形の一部分の面積(図8(a)の斜線部分)となる非接触給電システムの動作周波数(駆動周波数)F
wcs、コンバータ20の出力電力をP
out、コンバータ20のスイッチング周期をT
s、コンバータ20のデューティー比をDとする。スイッチング周期T
sは式(2)で示される。
DCバスキャパシタ10の入力電流の平均値(I
avg1)は式(3)で示される。
DCバスキャパシタ10の入力電流は正弦波状であり、DCバスキャパシタ10の入力電流の最大値(I
max)は式(4)で示される。
時間t
4から時間t
5までの正弦波の積分値は式(5)で表される。
そして、式(4)及び式(5)を掛け合わせ、さらに1周期に換算するために(T
s/π)を掛け合わせると、電荷Q
1は式(6)のように算出される。
電荷Q
2は、時間t
4から時間t
5までの時間にコンバータ20の入力電流の値を掛け合わせた面積に相当する。コンバータ20のインダクタ26に流れる電流が一定として近似すると、コンバータ20の入力電流の平均値(I
avg2)は式(7)で表される。
時間t
4から時間t
5までの時間は、D・T
sで表される。そして、式(7)に時間(D・T
s)を掛け合わせると、電荷Q
2は式(8)のように算出される。
そして、電荷Q
3は電荷Q
2から電荷Q
1を差し引いた値となり、さらに、式(1)を用いると、DCバスキャパシタ10の静電容量(C
dc)は式(9)のように算出される。
図7に示すとおり、高調波ノイズの低減効果は、電圧比(V
min/V
avg)がゼロ(V
min=0)より高く、0.6以下が好ましい。そして、高調波ノイズの低減の高い電圧比の範囲を、式(9)に代入すると、静電容量(C
dc)の範囲が式(10)のように定まる。
静電容量Cdcの設定する値にあたって、本発明の非接触給電システムでは、コンバータ20の出力電力Poutを定格電力(最大電力)とする。出力電力Poutを定格電力として、静電容量Cdcの値を設定すると、最もノイズが大きくなる定格電力の時に、Vminが適切な値になる。そして、出力電力Poutが定格電力より下がって、コンバータ20の入力電流が低下した場合には、Vminが上昇する。そのため、どの動作範囲でもDCバスキャパシタ10の電圧がゼロにならないため、コンバータ20の入力電流がゼロになることを防ぐことができる。
上記のように、本発明はコンバータ20を昇圧用の変換回路で構成しつつ、コンバータ20に含まれるスイッチング素子25を、DCバスキャパシタ10の放電用のスイッチング素子として駆動させて、ブリッジダイオード9の極性が切り替わるタイミングまでに、スイッチング素子25を通じてDCバスキャパシタ10の電荷を放電させている。これにより、DCバスキャパシタ10からの放電量をスイッチング素子25の導通時間によってコントロールすることができる。また、本発明は、ブリッジダイオード9の極性の切り替わりにおける2次コイルの電圧変動を減少させることができ、2次コイルの高調波ノイズを抑制できる。
なお、本発明の変形例として、コントローラ100は、電圧センサ11の測定電圧から、DCバスキャパシタ10の平均電圧(Vavg)を測定し、ブリッジダイオード9の極性の反転時におけるDCバスキャパシタ10の電圧(Vmin)が平均電圧(Vavg)の0.6倍になるように、スイッチング素子25のオン時間を設定してもよい。例えば、時間t3までのスイッチング素子25のオン期間を調整する際には、コントローラ100は、スイッチング素子25のオフ期間中に立ち上がるDCバスキャパシタ10の電圧から平均電圧(Vavg)を演算する。または、コントローラ100は、時間t3より前の、DCバスキャパシタ10の電圧の波形から平均電圧(Vavg)を演算する。DCバスキャパシタ10の電圧のピーク値から時刻t3までに降下する電圧変化量は、スイッチング素子25のオン時間に対応する。そのため、コントローラ100は、平均電圧(Vavg)に対して降下させる電圧変化量が大きいほど、スイッチング素子25のオン時間を長くなるように、スイッチング信号を生成する。また、コントローラ100は、コンバータ20の入力電流をフィードバック制御して、電圧(Vmin)を平均電圧(Vavg)の0.6倍とするように、制御してもよい。これにより、変形例に係る非接触給電システムは、2次コイル6の高調波ノイズを低減できる。なお、電圧(Vmin)の目標値は、必ずしも平均電圧(Vavg)の0.6倍とする必要はなく、平均電圧(Vavg)に所定の係数(1より小さい正の値)を乗じた値とすればよい。
なお、本実施形態ではコンバータ20を昇圧コンバータとした場合を一例として説明したが、コンバータ20が降圧コンバータであってもよい。コンバータ20を降圧コンバータで構成することで、昇圧コンバータの場合と同様に、コンバータ20の入力電流を周期的に変化させることができ、2次コイル6の高調波ノイズを低減できる。また、負荷17への出力電圧がDCバスキャパシタ10の電圧よりも低い場合にはコンバータ20の効率を高めることができる。
またコンバータ20が昇降圧コンバータであることで、コンバータ20の入力にスイッチング素子25が直列に接続されており、入力電流を断続的にすることができる。入力電流が断続的になっているので、ブリッジダイオード9の入力電流の切り替わりタイミングの直前のみに、選択的にDCバスキャパシタ10から電荷を引き抜くことができ、ブリッジダイオード9の入力電流の切り替わりタイミングにおけるDCバスキャパシタ10の電圧を低減できる。これにより、2次コイル6に発生する電圧ステップを低減でき、結果的に2次コイル6の高調波を低減することができる。さらに、2次コイル6の受電電圧と負荷17の電圧とが異なる場合、負荷17にあわせて出力する電圧を調節できる。
なお、図6A、6B及び図8に示す動作波形は、出力電力Poutを24kWとし、DCバスキャパシタ10の平均電圧Vavgを320Vとし、スイッチング素子25のスイッチング信号のデューティー比Dを0.45とし、非接触給電システムの動作周波数Fwcsを85kHzとする条件において、Vmin/Vavgの値がおおよそゼロとし、DCバスキャパシタ10の容量Cdcを0.4μFでとしたときのシミュレーション結果である。
《第3実施形態》
本発明の他の実施形態に係る非接触給電システムを説明する。本例では上述した第1実施形態に対して、スイッチング素子25のスイッチング信号が異なる。これ以外の構成は上述した第2実施形態と同じであり、その記載を援用する。
第2実施形態に係る非接触給電システムでは、コンバータ20の出力電圧が変換すると、コンバータ20の入力電流も変化するため、DCバスキャパシタ10の電圧(Vmin)が変化する。そして、電圧(Vmin)の変化に伴い、2次コイル6の高調波ノイズの大きさが変化する。本実施形態では、コンバータ20の出力電圧が変化しても、2次コイル6の高調波ノイズの変化量を抑制できるように、以下のように制御している。
本発明の非接触給電システムの回路の動作を、図9を用いて説明する。図9は、本発明に係る非接触給電システムの2次側回路の電圧特性、電流特性、及び、スイッチング信号の特性を説明するためのグラフである。図9において、(a)は2次コイル6のコイル電流の特性を示し、(b)はブリッジダイオード9の入力電圧の特性を示し、(c)はスイッチング素子25のスイッチング信号の特性を示し、(d)はコンバータ20の入力電流の特性を示し、(e)はDCバスキャパシタ電圧(DCバス電圧)の特性を示し、(f)2次コイル6の電圧の特性を示す。
スイッチング素子25のスイッチング信号は、図9(c)のような波形となる。スイッチング信号は、クロック信号の1周期に対して、複数のオン時間を含んでいる。図9(c)の例では、スイッチング信号は1周期あたり2つのオン時間を含んでいる。2つのオン時間の間には、オフ時間が含まれている。時刻t2からt3までの周期において、2つのオン時間のうち前のオン時間は時刻ta(時刻t2の後の時間)から時刻taまでの時間であり、後のオン時間は時刻tcから時刻t3までの時間である。そして、時刻tbから時刻tcまでの時間がオフ時間となる。また、前のオン時間の長さは、後のオン時間の長さより短い。すなわち、スイッチング信号は、時刻t1、t2、t3を立ち下がりエッジとするオン時間のパルスと、時刻t1、t2、t3の各パルスの間に、追加のオン時間のパルスを含んでいる。そして、コンバータ20は、図9(c)のスイッチング信号により駆動する。
コンバータ20の入力電流は図9(d)のような電流は波形となり、スイッチング信号のオン状態に同期して流れる。このとき、コンバータ20の入力電流が大きいほどコンバータ20の出力電流は大きくなる。DCバスキャパシタ10の降下電圧はスイッチング信号のオン時間の長さに応じて決まる。そのため、コンバータ20の入力電流を大きくして、コンバータ20の出力電流を大きくした分、DCバスキャパシタ10の降下電圧が大きくなる。
DCバスキャパシタ10の電圧は図9(e)のような波形となる。スイッチング素子25のオン状態である、時刻taから時刻tbまでの時間では、DCバスキャパシタ10の電圧が100V降下し、時刻tbから時刻tcまでの時間では、DCバスキャパシタ10の電圧が600V降下している。DCバスキャパシタ10の降下電圧の合計は、700Vとなる。DCバスキャパシタ10に許容される電圧を650Vとすると、DCバスキャパシタ10の降下電圧はDCバスキャパシタ10の許容電圧(650V)を超えている。
本実施形態とは異なり、スイッチング信号が、時間t1、t2、t3で示す1周期あたり1つのオン時間のパルスを含むような信号であり、さらに、700Vの降下電圧を得るようにオン時間が設定された場合には、時間t1、t2、t3のDCバスキャパシタ10の電圧がゼロになってしまう。そして、DCバスキャパシタ10の電圧がゼロになると、コンバータ20は入力電流を取れなくなるため、コンバータ20出力電力が低下する。
一方、本実施形態では、1周期あたりのオン時間のパルスが複数になるようにスイッチング信号が生成されているため、1周期あたりのDCバスキャパシタ10の降下電圧が、複数のパルスに応じて分散され、DCバスキャパシタ10の電圧リプルの幅が小さくなり、電圧リプルの大きさが650V以下に抑えられている。そのため、DCバスキャパシタ10の電圧がゼロにならず、コンバータ20の出力低下が抑制される。
また、本実施形態において、時刻taから時刻tbまでのパルス信号の幅(本発明の「第1オン期間」の長さに相当)が、時刻tbから時刻tcまでのパルス信号の幅(本発明の「第2オン期間」の長さに相当)以下に設定されている。そのため、DCバスキャパシタ10の電圧が、時刻tbから時刻tcまでのパルス信号の立ち下がり時点で、最も低くすることができるため、高調波ノイズを抑制できる。
なお、スイッチング信号の波形について、オン期間のパルスの数は、1周期あたりに2つに限ることはなく、3つ以上であってもよい。これにより、DCバスキャパシタ10の電圧リプルの幅をさらに小さくすることができ、より大電力に対応できる。
また、本発明において、DCバスキャパシタ10の静電容量(Cdc)の大きさを決める際には、第2実施形態で示した方法で、高調波ノイズが問題とならないような最適な静電容量(Cdc)を設定する。このとき、スイッチング信号が1周期あたりに1つのオン期間のパルスを含むことを前提として、静電容量(Cdc)の最適値を演算する。これにより、コンバータ20の所定の出力範囲では、コンバータ20が、1周期あたりに1つのパルスを含むスイッチング信号で駆動したとしても、高調波ノイズは許容値以下に抑制される。そして、コンバータ20の出力電力が、所定の出力範囲を超える場合には、本実施形態で示した方法の下、コントローラ100が、1周期あたり複数のパルスを含むスイッチング信号でコンバータ20を駆動させることで、DCバスキャパシタの電圧がゼロにならないようにしつつ、高調波ノイズを低く保ったまま、出力電力を増加させることができる。
《第4実施形態》
図10は、発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの回路図である。本例では上述した第2実施形態に対して、コンバータの構成及びコンバータの制御の一部が異なる。これ以外の構成及び制御は上述した第2実施形態と同じであり、第1〜第3実施形態の記載を適宜、援用する。
以下、本発明の実施形態に係る非接触給電システムの構成のうち、第2実施形態と異なる構成を説明する。コンバータ30は、スイッチング素子31、33、ダイオード32、インダクタ34、逆阻止型スイッチング素子35、36、キャパシタ37を有している。
図11を用いて、逆阻止型スイッチング素子35、36の構成を説明する。図11は逆阻止型スイッチング素子35、36の回路の例を示している。逆阻止型スイッチング素子35、36は、IGBT等の半導体素子等により構成されている。逆阻止型スイッチング素子35、36は、一方向のみの電流を導通して、逆方向の電流を導通しない素子である。例えば、図11(a)に示すように、逆阻止型スイッチング素子35は、ダイオード35a、35d及びスイッチング素子35b、35cを有する。ダイオード35aとスイッチング素子35bは、電流の導通方向を同じ方向にして、直列に接続されている。ダイオード35dとスイッチング素子35cは、電流の導通方向を同じ方向にして、直列に接続されている。そして、ダイオード35aとスイッチング素子35bの直列回路と、ダイオード35dとスイッチング素子35cの直列回路が、互いに電流の導通方向を逆向きにしつつ、並列に接続されている。このような回路において、コントローラ100は、スイッチング素子35cをオフ状態で維持しつつ、スイッチング素子35bのオン、オフを切り替えることで、一方向のみの電流の導通及び遮断を切り替えつつ、他方向の電流を遮断する。なお、逆阻止型スイッチング素子35の回路は、図11(a)に示す回路に限らず、図11(b)、(c)に示す回路でもよく、他の回路でもよい。また、逆阻止型スイッチング素子35、36は、図11(a)〜図11(c)に示すような複数の回路素子で構成する必要はなく、単一の素子でもよい。また、逆阻止型スイッチング素子35、36にMOSFETのような高速な素子を使うことで、逆阻止型IGBTよりもスイッチング損失を減らすことができる。
図10では、図11に示したように逆阻止型スイッチング素子35、36の回路を、1つのトランジスタ(IGBT)の回路記号で表している。そして、図10に示す逆阻止型スイッチング素子35、36のコレクタ端子は、電流の導通方向で正側の端子となり、逆阻止型スイッチング素子35、36のエミッタ端子が電流の導通方向で負側の端子となる。
スイッチング素子31のドレイン端子はコンバータ30の正の入力端子30aに接続されており、スイッチング素子31のソース端子はインダクタ34の一方の端子とダイオード32のカソード端子との接続点に接続されている。ダイオード32のアノード端子はコンバータ30の負の入力端子30bに接続されている。
インダクタ34の一方の端子はスイッチング素子31のソース端子とダイオード27のカソード端子との接続点に接続されており、インダクタ26の他方の端子はスイッチング素子33のドレイン端子に接続されている。スイッチング素子33のドレイン端子は、逆阻止型スイッチング素子35のコレクタ端子と逆阻止型スイッチング素子36のエミッタ端子との接続点に接続されており、スイッチング素子33のソース端子はキャパシタ37の他方の端子及びコンバータ30の負の出力端子30dに接続されている。
逆阻止型スイッチング素子35のエミッタ端子は、スイッチング素子31のドレイン端子及びコンバータ30の正の入力端子30aに接続されており、逆阻止型スイッチング素子35のコレクタ端子は、逆阻止型スイッチング素子36のコレクタ端子、インダクタ34の他方の端子、及びスイッチング素子33のドレイン端子に接続されている。
逆阻止型スイッチング素子36のエミッタ端子は、コンバータ30の正の出力端子30c及びキャパシタ37の一方の端子に接続されており、逆阻止型スイッチング素子36のコレクタ端子は、逆阻止型スイッチング素子35のコレクタ端子、インダクタ34の他方の端子、及びスイッチング素子33のドレイン端子に接続されている。キャパシタ37の一方の端子はコンバータ30の正の出力端子30cに接続されており、キャパシタ38の他方の端子はコンバータ30の負の出力端子30dに接続されている。
次に、非接触給電システムの回路の動作を、図12A及び図12Bを用いて説明する。図12A及び図12Bは、本発明に係る非接触給電システムの2次側回路の電圧特性、電流特性、及び、スイッチング信号の特性を説明するためのグラフである。図12A、12Bにおいて、(a)は2次コイル6のコイル電流の特性を示し、(b)はブリッジダイオード9の入力電圧の特性を示し、(c)はDCバスキャパシタ電圧(DCバス電圧)の特性を示し、(d)はインダクタ34の電圧の特性を示し、(e)はスイッチング素子31、33のスイッチング信号の特性を示し、(f)は逆阻止型スイッチング素子35のスイッチング信号の特性を示し、(g)は逆阻止型スイッチング素子36のスイッチング信号の特性を示し、(h)はコンバータ30の入力電流の特性を示す。
2次コイル6の入力電流は、図12A(a)に示すような交流波形となり、電流の流れる方向は、時刻t1、t2、t3で反転する。また、ブリッジダイオード9の極性も、時刻t1、t2、t3で反転する(図12A(b)参照)。位相同期回路110は、時刻t1、t2、t3で定まる周期のクロック信号を生成し、コントローラ100に出力する。
コントローラ100は、位相同期回路110のクロック信号と同期しつつ、時刻t1、t2、t3を立ち下がりエッジとするスイッチング素子31、33のスイッチング信号を生成し、逆阻止型スイッチング素子35及び逆阻止型スイッチング素子36のスイッチング信号をそれぞれ生成する。スイッチング素子31、33のスイッチング信号は図12B(e)に示すような波形になる。スイッチング素子31のスイッチング信号とスイッチング素子33のスイッチング信号は同じ波形である。そのため、スイッチング素子31のオン期間とスイッチング素子31のオン期間が対応し、スイッチング素子31のオフ期間とスイッチング素子31のオフ期間が対応するように、言い替えると、スイッチング素子31、33のそれぞれのオン期間同士及びオフ期間同士が同期するように、スイッチング素子31、33は駆動する。
スイッチング素子31、33が、図12B(e)に示すスイッチング信号で駆動すると、スイッチング信号のオン期間で、DCバスキャパシタ10とインダクタ34との間が導通し、エネルギーがインダクタ34に蓄積される。そして、スイッチング素子31、33のスイッチング信号で示されるオン期間の長さを調整することで、インダクタ34に蓄積されるエネルギーが調整される。
ダイオード32は、スイッチング素子31、33のオフ期間に、インダクタ34の電流を還流させるためのダイオードである。スイッチング素子31、33がターンオフすると、インダクタ34に蓄積されたエネルギーは、インダクタ34の他方の端子から放出される。インダクタ34の他方の端子には、スイッチング素子33が接続されているが、スイッチング素子33はオフ状態のため、インダクタ34のエネルギーは逆阻止型スイッチング素子35、36の接続点に向かう。そして、逆阻止型スイッチング素子35がオンの状態である場合には、インダクタ34のエネルギーはコンバータ30の入力端子側に放出され、放出されるインダクタ34のエネルギー量は、逆阻止型スイッチング素子35のオン期間で調整される。また、逆阻止型スイッチング素子36がオンの状態である場合には、インダクタ34のエネルギーはコンバータ30の出力端子側に放出され、放出されるインダクタ34のエネルギー量は、逆阻止型スイッチング素子36のオン期間で調整される。
逆阻止型スイッチング素子35、36のスイッチング信号は、図12B(f)(g)のようになる。逆阻止型スイッチング素子35のスイッチング信号は、スイッチング素子31、33のオン期間(時間tcから時間t3までの間)を、逆阻止型スイッチング素子35のオフ期間としつつ、スイッチング素子31、33のオフ期間(時間t2から時間tcまでの間)内に、逆阻止型スイッチング素子35のオン期間(時間taから時間tbまでの間)を含んでいる。
逆阻止型スイッチング素子36のスイッチング信号は、スイッチング素子31、33のオン期間(時間tcから時間t3までの間)を逆阻止型スイッチング素子36のオフ期間とする。加えて、逆阻止型スイッチング素子36のスイッチング信号は、スイッチング素子31、33のオフ期間(時間t2から時間tcまでの間)内に、逆阻止型スイッチング素子36のオン期間(時間t2から時間taまでの間、及び、時間tbから時間tcまでの間)を含ませて、かつ、スイッチング素子31、33のオフ期間内に、逆阻止型スイッチング素子35のオフ期間を逆阻止型スイッチング素子36のオン期間(時間t2から時間taまでの間、及び、時間tbから時間tcまでの間)とする。
すなわち、スイッチング素子31、33のオン期間は、逆阻止型スイッチング素子35、36のオフ期間となる。また、スイッチング素子31、33のオフ期間には、逆阻止型スイッチング素子35及び逆阻止型スイッチング素子36のうち、一方の逆阻止型スイッチング素子35、36がオン期間となり、他方の逆阻止型スイッチング素子35、36はオフ期間となる。
逆阻止型スイッチング素子35がオン状態のときには(時間taから時間tbまでの間)、スイッチング素子31、33及び逆阻止型スイッチング素子36はオフ状態になっている。インダクタ34に蓄積されたエネルギーがコンバータ30の入力側に放出される際、スイッチング素子31、33がオフ状態になっているため、インダクタ34の一方の端子(ダイオード32側の端子)はコンバータ30の負の入力端子の電位をとり、インダクタ34の他方の端子(スイッチング素子33側の端子)はコンバータの入力端子の電位をとる。これにより、インダクタ34のエネルギーがコンバータ30の入力側に放出される。
逆阻止型スイッチング素子36がオン状態のときには(時間t2から時間taまでの間、及び、時間tbから時間tcまでの間)、スイッチング素子31、33及び逆阻止型スイッチング素子35はオフ状態になっている。インダクタ34に蓄積されたエネルギーがコンバータ30の出力側に放出される際、スイッチング素子31、33がオフ状態になっているため、インダクタ34の一方の端子(ダイオード32側の端子)はコンバータ30の負の入力端子の電位をとり、インダクタ34の他方の端子(スイッチング素子33側の端子)は正の入力端子の電位をとる。これにより、インダクタ34のエネルギーがコンバータ30の出力側に放出される。
また、逆阻止型スイッチング素子35、36が逆方向に電流を流さない素子で構成されているので、いずれか一方の逆阻止型スイッチング素子35、36がターンオンしたときに、コンバータ30の入力端子30aと出力端子30cとの間がショート状態になるのを防ぐことができる。
コントローラ100は、電流センサ15及び電圧センサ16コンバータ30の出力電力を監視し、出力電力に応じて逆阻止型スイッチング素子35のオン期間を調整する。コントローラ100は、出力電力を下げる場合には、出力電力の低下幅が大きいほど、逆阻止型スイッチング素子35のオン期間を長くする。これにより、インダクタ34のエネルギーがコンバータ30から出力されないため、出力電力が低下する。
コンバータ30の入力電流は、図12B(h)のような波形となる。時刻tcから時刻t3までの期間は、スイッチング素子31、33がオン状態となり、インダクタ34にエネルギーが蓄積する期間であり、コンバータ30には流入するように入力電流が流れる。一方、時刻taからtbの期間は、逆阻止型スイッチング素子35がオン状態となり、インダクタ34に蓄積されたエネルギーがコンバータ30の入力側に放出する期間であり、コンバータ30から逆流するように入力電流が流れる。
DCバスキャパシタ10の電圧波形は、図12A(c)のような波形となる。時刻tcからt3までの間に、DCバスキャパシタ10からコンバータ30の入力側に電流が流れるため、DCバスキャパシタ10には、約600Vの電圧降下が発生する。そして、ブリッジダイオード9の極性の反転のタイミングである時刻t3で、DCバスキャパシタ10の電圧は35Vに低減される。そのため、時刻t3では、図12A(b)に示すように、ブリッジダイオード9の入力の電圧変動を、35Vの2倍である70Vに抑制することができる。また、図12A(d)に示すように、2次コイル6の電圧変動も70Vに抑制できる。これにより、高調波ノイズを低減できる。
ところで、コンバータ30の動作中にコンバータ30の出力電力が低下した場合には、DCバスキャパシタ10からコンバータ30に流れる電流が低下し、DCバスキャパシタ10の電圧降下が小さくなる。そして、ブリッジダイオード9の極性反転のタイミングで、DCバスキャパシタ10の電圧が高い状態を保っている場合には、2次コイル6の高調波ノイズが大きくなってしまう。
本発明では、図12B(h)に示すように、時刻taから時刻tbの間で、コンバータ30の入力端子からDCバスキャパシタ10に向かって電流が逆流するため、図12A(c)に示すように、DCバスキャパシタ10の電圧は大きく上昇している。そのため、コンバータ30の出力電力が低下した場合でも、DCバスキャパシタ10の電圧リプルを大きくすることができ、DCバスキャパシタ10の電圧降下の幅を大きくすることができる。そして、ブリッジダイオード9の極性反転のタイミングである時刻t3において、DCバスキャパシタ10の電圧が低い状態となるため、2次コイル6の高調波ノイズが抑制される。これにより、コンバータ30の出力電力が低下した場合にも、高調波ノイズの低減の効果を得ることができる。
上記のように、本発明はコンバータ30に含まれるスイッチング素子31、33を、DCバスキャパシタ10の放電用のスイッチング素子として駆動させて、ブリッジダイオード9の極性が切り替わるタイミングまでに、スイッチング素子31、33を通じてDCバスキャパシタ10の電荷を放電させている。これにより、DCバスキャパシタ10からの放電量をスイッチング素子31、33の導通時間によってコントロールすることができる。また、本発明は、ブリッジダイオード9の極性の切り替わりにおける2次コイル6の電圧変動を減少させることができ、2次コイル6の高調波ノイズを抑制できる。
また本発明は、インダクタ34をスイッチング素子31、33に接続している。これにより、スイッチング素子31、33によって、DCバスキャパシタ10からインダクタ34に蓄積させるエネルギー量を調節できる。また蓄積したエネルギーをコンバータ30の出力電力に利用することができるため、回路の効率を上げることができる。
また本発明は、スイッチング素子31、33を、コンバータ30の正の入力端子30aから負の出力端子30dに直列に接続しているで、スイッチング素子31、33のオン、オフの切り替えによってインダクタ34に蓄積させるエネルギー量を調節できる。また、本発明はダイオード32、インダクタ34、及び逆阻止型スイッチング素子35を、コンバータ30の負の入力端子30bから正の入力端子30aに直列に接続しているので、逆阻止型スイッチング素子35によってインダクタ34に蓄積されているエネルギーのうち、コンバータ30入力側に逆流させる量を調節することができる。
また本発明はダイオード32、インダクタ34、及び逆阻止型スイッチング素子36を、コンバータ30の負の入力端子30bから正の出力端子30cに直列に接続しているので、逆阻止型スイッチング素子36によってインダクタ34に蓄積されているエネルギーのうち、コンバータ30の出力側に放出させる量を調節することができる。
本発明において、DCバスキャパシタ10の静電容量(Cdc)の大きさを決める際には、第2実施形態で示した方法で、コンバータ30の所定の出力範囲において、高調波ノイズが問題とならないような最適な静電容量(Cdc)を設定する。そして、コンバータ30の出力電力が、所定の出力範囲より低くなる場合には、本実施形態の方法で、コンバータ30の入力端子からDCバスキャパシタ10へ電流を戻すことによって、高調波ノイズを低く保ったまま出力電力を減少させることができる。
また、本発明において、コントローラ100は、第3実施形態のように、1周期あたりのパルスを追加して、1周期あたりに複数のパルスを含むスイッチング素子31、33のスイッチング信号を生成し、コンバータ30を駆動させてもよい。複数のパルスの期間(初めのパルスの立ち上がりのタイミングから、最後のパルスの立ち下がりまでの期間)において、逆阻止型スイッチング素子35は常にオフ状態となり、逆阻止型スイッチング素子36は、スイッチング素子31、33のオフ期間で、オン状態となる。これにより、コンバータ30の入力電流のパルス幅が短くなるため、DCバスキャパシタ10に発生する電圧リプルが小さくなる。そして、DCバスキャパシタ10の電圧がゼロになることを防ぎつつ、コンバータ30の出力電力が高くなるように制御できる。
また本発明において、上記のように第3実施形態のような追加パルスを用いて制御する際には、DCバスキャパシタ10の静電容量Cdcを必要な出力電力範囲の中間値を用いて計算する。また、静電容量Cdcの計算に使った出力電力よりも、実際の出力電力を減らしたい場合は、逆阻止型スイッチング素子35のスイッチング信号に含まれるパルス幅を増やし、実際の出力電力を増やしたい場合は、逆阻止型スイッチング素子35をオフ状態にしつつ、スイッチング素子31、33のオン期間のパルス幅を上記のように分割する(追加パルスを加える)ことによって行う。これにより、コンバータ30がより幅広い受電電力範囲に対応できるようになる。
上記のスイッチング素子31が本発明の「第1スイッチング素子」に相当し、スイッチング素子33が本発明の「第2スイッチング素子」に相当し、逆阻止型スイッチング素子35が本発明の「第1逆阻止型スイッチング素子」に相当し、逆阻止型スイッチング素子36が本発明の「第2逆阻止型スイッチング素子」に相当する。
《第5実施形態》
図13は、発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの回路図である。本例では上述した第4実施形態に対して、コンバータの構成及びコンバータの制御の一部が異なる。これ以外の構成及び制御は上述した第4実施形態と同じであり、第1〜第4実施形態の記載を適宜、援用する。
以下、本発明の実施形態に係る非接触給電システムの構成のうち、第4実施形態と異なる構成を説明する。コンバータ40は、結合インダクタ(トランス)41、スイッチング素子42、ダイオード43、逆阻止型スイッチング素子44、45、キャパシタ46を有している。結合インダクタ41は、磁気的に結合可能なコイル41a及びコイル41bを有している。コイル41a及びコイル41bの巻線方向は互いに逆向きになっている。
コイル41aの一方の端子はコンバータ40の正の入力端子40aに接続されており、コイル41bの他方の端子はスイッチング素子42のドレイン端子に接続されている。コイル41bは一方の端子は、逆阻止型スイッチング素子44のコレクタ端子と逆阻止型スイッチング素子45のエミッタ端子との接続点に接続されており、コイル41bの他方の端子はダイオード43のカソード端子に接続されている。
スイッチング素子42のソース端子は、コンバータ40の正の入力端子40aに接続されている。ダイオード43のカソード端子は、スイッチング素子42のソース端子、キャパシタ46の他方の端子、及びコンバータ40の出力端子40dに接続されている。
逆阻止型スイッチング素子44のエミッタ端子は、コイル41aの一方の端子及びコンバータ40の正の入力端子40aに接続されており、逆阻止型スイッチング素子44のコレクタ端子は、逆阻止型スイッチング素子45のコレクタ端子及びコイル41bの一方の端子に接続されている。
逆阻止型スイッチング素子45のエミッタ端子は、コンバータ30の正の出力端子40c及びキャパシタ46の一方の端子に接続されており、逆阻止型スイッチング素子45のコレクタ端子は、逆阻止型スイッチング素子44のコレクタ端子及びコイル41bの他方の端子に接続されている。キャパシタ46の一方の端子はコンバータ30の正の出力端子40cに接続されており、キャパシタ46の他方の端子はコンバータ40の負の出力端子40dに接続されている。
本発明の非接触給電システムの回路の動作は、第4実施形態に係る非接触給電システムの回路の動作と同様である。スイッチング素子42のスイッチング信号は、第4実施形態に係るスイッチング素子31、33のスイッチング信号と同様である。また、逆阻止型スイッチング素子44のスイッチング信号は、逆阻止型スイッチング素子35のスイッチング信号と同様であり、逆阻止型スイッチング素子45のスイッチング信号は、逆阻止型スイッチング素子36のスイッチング信号と同様である。
上記のように、本発明はコンバータ40に含まれるスイッチング素子42を、DCバスキャパシタ10の放電用のスイッチング素子として駆動させて、ブリッジダイオード9の極性が切り替わるタイミングまでに、スイッチング素子42を通じてDCバスキャパシタ10の電荷を放電させている。これにより、DCバスキャパシタ10からの放電量をスイッチング素子42の導通時間によってコントロールすることができる。また、本発明は、ブリッジダイオード9の極性の切り替わりにおける2次コイル6の電圧変動を減少させることができ、2次コイル6の高調波ノイズを抑制できる。また、本発明は、放電用のスイッチング素子が1つでよいため、コストを抑制できる。
また本発明は、コイル41a及びスイッチング素子42を、コンバータ40の正の入力端子40aから負の入力端子40bに直列に接続している。これにより、スイッチング素子42のオン、オフによって結合インダクタ41に蓄積させるエネルギー量を調節できる。また本発明は、ダイオード43、コイル41b及び逆阻止型スイッチング素子44を、コンバータ40の負の入力端子40bから正の入力端子40aに直列に接続している。これにより、逆阻止型スイッチング素子44のオン、オフによって結合インダクタ41に蓄積されているエネルギーのうち、コンバータ40の入力側に逆流させる量を調節することができる。
また本発明は、ダイオード43とコイル41bを、コンバータ40の負の出力端子40dから正の出力端子40cに直列に接続している。これにより、結合インダクタ41に蓄積されているエネルギーを出力側に放出することができる。
上記のスイッチング素子42が本発明の「放電用スイッチング素子」に相当し、逆阻止型スイッチング素子44が本発明の「第1逆阻止型スイッチング素子」に相当し、逆阻止型スイッチング素子45が本発明の「第2逆阻止型スイッチング素子」に相当する。
《第6実施形態》
図14は、発明の他の実施形態に係る非接触給電システムの回路図である。本例では上述した第2実施形態に対して、コンバータの構成及びコンバータの制御の一部が異なる。これ以外の構成及び制御は上述した第2実施形態と同じであり、第1〜第5実施形態の記載を適宜、援用する。
以下、本発明の実施形態に係る非接触給電システムの構成のうち、第2実施形態と異なる構成を説明する。コンバータ50は、スイッチング素子51、54、ダイオード52、インダクタ53、逆阻止型スイッチング素子55、キャパシタ56を有している。コンバータ50は降圧コンバータである。
スイッチング素子51のドレイン端子は、コンバータ50の正の入力端子50aに接続されており、スイッチング素子51のソース端子は、ダイオード52のカソード端子及びインダクタ53の一方の端子に接続されている。ダイオード52のカソード端子は、スイッチング素子51のソース端子とインダクタ53の一方の端子との接続点に接続されている。
インダクタ53の他方の端子は、スイッチング素子54のドレイン端子と逆阻止型スイッチング素子55のコレクタ端子に接続されている。スイッチング素子54のドレイン端子は、インダクタ53の他方の端子と逆阻止型スイッチング素子55のコレクタ端子に接続されており、スイッチング素子54のソース端子は、キャパシタ56の一方の端子とコンバータ50の正の出力端子50cに接続されている。
逆阻止型スイッチング素子55のエミッタ端子は、コンバータ50の正の入力端子50aとスイッチング素子51のドレイン端子との接続点に接続されており、逆阻止型スイッチング素子55のコレクタ端子は、インダクタ53の他方の端子とスイッチング素子54のドレイン端子との接続点に接続されている。キャパシタ56の一方の端子はコンバータ50の正の出力端子50cに接続されており、キャパシタ56の他方の端子はコンバータ50の負の出力端子50dに接続されている。
次に、非接触給電システムの回路の動作を、図15A及び図15Bを用いて説明する。図15A及び図15Bは、本発明に係る非接触給電システムの2次側回路の電圧特性、電流特性、及び、スイッチング信号の特性を説明するためのグラフである。図15A、15Bにおいて、(a)は2次コイル6のコイル電流の特性を示し、(b)はブリッジダイオード9の入力電圧の特性を示し、(c)はDCバスキャパシタ電圧(DCバス電圧)の特性を示し、(d)はインダクタ53の電圧の特性を示し、(e)はスイッチング素子51のスイッチング信号の特性を示し、(f)は逆阻止型スイッチング素子55のスイッチング信号の特性を示し、(g)はスイッチング素子54のスイッチング信号の特性を示し、(h)はコンバータ50の入力電流の特性を示す。
2次コイル6の入力電流は、図15A(a)に示すような交流波形となり、電流の流れる方向は、時刻t1、t2、t3で反転する。また、ブリッジダイオード9の極性も、時刻t1、t2、t3で反転する(図15A(b)参照)。位相同期回路110は、時刻t1、t2、t3で定まる周期のクロック信号を生成し、コントローラ100に出力する。
コントローラ100は、位相同期回路110のクロック信号と同期しつつ、時刻t1、t2、t3を立ち下がりエッジとするスイッチング素子51のスイッチング信号を生成し、逆阻止型スイッチング素子55及びスイッチング素子51のスイッチング信号をそれぞれ生成する。
スイッチング素子51のスイッチング信号及びスイッチング素子54のスイッチング信号は、それぞれ、図15B(e)及び(g)に示すような波形となる。
スイッチング素子51、54が、図15B(e)、(f)に示すスイッチング信号でそれぞれ駆動すると、スイッチング素子51、54のスイッチング信号のオン期間で、DCバスキャパシタ10とインダクタ53との間が導通し、エネルギーがインダクタ53に蓄積される。そして、スイッチング素子51のスイッチング信号で示されるオン期間の長さを調整することで、インダクタ53に蓄積されるエネルギーが調整される。
ダイオード52は、スイッチング素子51のオフ期間に、インダクタ34の電流を還流させるためのダイオードである。スイッチング素子51がターンオフすると、インダクタ34に蓄積されたエネルギーは、インダクタ53の他方の端子から放出される。インダクタ34の他方の端子には、逆阻止型スイッチング素子55及びスイッチング素子54が接続されているが、時刻t2で、逆阻止型スイッチング素子55はオフ状態になっており、スイッチング素子54がオン状態になっている。そのため、インダクタ53のエネルギーは、コンバータ50の正の出力端子50cに放出される。そして、放出されるインダクタ34のエネルギー量は、スイッチング素子54のオン期間で調整される。
時刻t2の経過後、スイッチング素子54は時刻taでオフ状態になり、逆阻止型スイッチング素子55はオン状態になる。そのため、インダクタ53の他方の端子から出力される電流は、スイッチング素子54から逆阻止型スイッチング素子55に導通方向を変えて流れる。そのため、インダクタ53のエネルギーはコンバータ50の正の入力端子50aに放出され、放出されるインダクタ53のエネルギー量は、逆阻止型スイッチング素子55のオン期間で調整される。
スイッチング素子54のスイッチング信号は、スイッチング素子51のオン期間(時間tcから時間t3までの間)を、スイッチング素子51のオン期間としつつ、スイッチング素子51のオフ期間(時間t2から時間tcまでの間)内に、逆阻止型スイッチング素子55のオフ期間(時間taから時間tbまでの間)を含んでいる。
逆阻止型スイッチング素子55のスイッチング信号は、スイッチング素子54のオフ期間(時間taから時間tbまでの間)を、逆阻止型スイッチング素子55のオン期間とし、スイッチング素子54のオン期間(時間t2から時間taまでの間、及び、時間tbから時間tcまでの間)を、逆阻止型スイッチング素子55のオフ期間とする。
すなわち、スイッチング素子51のオン期間は、スイッチング素子54のオン期間となり、逆阻止型スイッチング素子55のオフ期間となる。また、スイッチング素子51のオフ期間には、スイッチング素子54及び逆阻止型スイッチング素子55のうち、一方のスイッチング素子がオン期間となり、他方のスイッチング素子はオフ期間となる。また、スイッチング素子51と逆阻止型スイッチング素子55が同時にオンになることはない。
逆阻止型スイッチング素子55がオン状態のときには(時間taから時間tbまでの間)、スイッチング素子51及びスイッチング素子54はオフ状態になっている。インダクタ53に蓄積されたエネルギーがコンバータ50の入力側に放出される際、スイッチング素子51、54がオフ状態になっているため、インダクタ34の一方の端子(ダイオード52側の端子)はコンバータ50の負の入力端子の電位をとり、インダクタ53の他方の端子(スイッチング素子54側の端子)はコンバータ50正の入力端子の電位をとる。これにより、インダクタ53のエネルギーがコンバータ30の入力側に放出される。
スイッチング素子54がオン状態のときには(時間t2から時間taまでの間、及び、時間tbから時間tdまでの間)、逆阻止型スイッチング素子55はオフ状態になっている。インダクタ53に蓄積されたエネルギーがコンバータ50の出力側に放出される際、逆阻止型スイッチング素子55がオフ状態になっているため、インダクタ53の他方の端子(スイッチング素子54側の端子)は正の出力端子の電位をとる。これにより、インダクタ53のエネルギーがコンバータ50の出力側に放出される。
逆阻止型スイッチング素子55が逆方向に電流を流さない素子で構成されているので、スイッチング素子54がターンオンしたときに、コンバータ50の入力端子50aと出力端子50cとの間がショート状態になるのを防ぐことができる。
コンバータ50の入力電流は、図15B(h)のような波形となる。時刻tcから時刻t3までの期間は、スイッチング素子51、54がオン状態となり、DCバスキャパシタ10が放電する期間であり、コンバータ50には流入するように入力電流が流れる。一方、時刻taからtbの期間は、逆阻止型スイッチング素子55がオン状態となり、インダクタ53に蓄積されたエネルギーがコンバータ50の入力側に放出する期間であり、コンバータ50から逆流するように入力電流が流れる。
DCバスキャパシタ10の電圧波形は、図15A(c)のような波形となる。時刻tcからt3までの間に、DCバスキャパシタ10からコンバータ50の入力側に電流が流れるため、DCバスキャパシタ10には、約560Vの電圧降下が発生する。そして、ブリッジダイオード9の極性の反転のタイミングである時刻t3で、DCバスキャパシタ10の電圧は30Vに低減される。そのため、時刻t3では、図15A(b)に示すように、ブリッジダイオード9の入力の電圧変動を、30Vの2倍である60Vに抑制することができる。また、図15A(d)に示すように、2次コイル6の電圧変動も60Vに抑制できる。これにより、高調波ノイズを低減できる。
ところで、コンバータ50の動作中にコンバータ50の出力電力が低下した場合には、DCバスキャパシタ10からコンバータ50に流れる電流が低下し、DCバスキャパシタ10の電圧降下が小さくなる。そして、ブリッジダイオード9の極性反転のタイミングで、DCバスキャパシタ10の電圧が高い状態を保っている場合には、2次コイル6の高調波ノイズが大きくなってしまう。
本発明では、図15B(h)に示すように、時刻taから時刻tbの間で、コンバータ50の入力端子からDCバスキャパシタ10に向かって電流が逆流するため、図15A(c)に示すように、DCバスキャパシタ10の電圧は大きく上昇している。そのため、コンバータ50の出力電力が低下した場合でも、DCバスキャパシタ10の電圧リプルを大きくすることができ、DCバスキャパシタ10の電圧降下の幅を大きくすることができる。そして、ブリッジダイオード9の極性反転のタイミングである時刻t3において、DCバスキャパシタ10の電圧が低い状態となるため、2次コイル6の高調波ノイズが抑制される。これにより、コンバータ50の出力電力が低下した場合にも、高調波ノイズの低減の効果を得ることができる。
上記のように、本発明はコンバータ50に含まれるスイッチング素子51、54を、DCバスキャパシタ10の放電用のスイッチング素子として駆動させて、ブリッジダイオード9の極性が切り替わるタイミングまでに、スイッチング素子51、54を通じてDCバスキャパシタ10の電荷を放電させている。これにより、DCバスキャパシタ10からの放電量をスイッチング素子51、54の導通時間によってコントロールすることができる。また、本発明は、ブリッジダイオード9の極性の切り替わりにおける2次コイル6の電圧変動を減少させることができ、2次コイル6の高調波ノイズを抑制できる。
また本発明は、スイッチング素子51、インダクタ53、スイッチング素子54を、コンバータ30の正の入力端子30aから負の出力端子30dに直列に接続しているで、スイッチング素子51のオン、オフの切り替えにより、インダクタ53に蓄積させるエネルギー量を調節できる。また、本発明は、ダイオード52、インダクタ53、及び逆阻止型スイッチング素子55を、コンバータ50の負の入力端子50bから正の入力端子50aに直列に接続しているので、逆阻止型スイッチング素子55によってインダクタ53に蓄積されているエネルギーのうち、コンバータ50の入力側に逆流させる量を調節することができる。
また本発明は、ダイオード52、インダクタ53、及びスイッチング素子54を、コンバータ50の負の入力端子50bから正の出力端子50cに直列に接続しているので、スイッチング素子54によってインダクタ53に蓄積されているエネルギーのうち、コンバータ50の出力側に放出させる量を調節することができる。
また本発明は、降圧コンバータを用いているので、負荷17の電圧がDCバスキャパシタ10の電圧よりも低い場合に、コンバータ50の効率を高めることができる。
本発明において、DCバスキャパシタ10の静電容量(Cdc)の大きさを決める際には、第2実施形態で示した方法で、コンバータ50の所定の出力範囲において、高調波ノイズが問題とならないような最適な静電容量(Cdc)を設定する。そして、コンバータ50の出力電力が、所定の出力範囲より低くなる場合には、本実施形態の方法で、コンバータ50の入力端子からDCバスキャパシタ10へ電流を戻すことによって、高調波ノイズを低く保ったまま出力電力を減少させることができる。
また、本発明において、コントローラ100は、第3実施形態のように、1周期あたりのパルスを追加して、1周期あたりに複数のパルスを含むスイッチング素子51のスイッチング信号を生成し、コンバータ50を駆動させてもよい。複数のパルスの期間(初めのパルスの立ち上がりのタイミングから、最後のパルスの立ち下がりまでの期間)において、逆阻止型スイッチング素子55は常にオフ状態となり、スイッチング素子54は、スイッチング素子51のオフ期間で、オン状態となる。これにより、コンバータ50の入力電流のパルス幅が短くなるため、DCバスキャパシタ10に発生する電圧リプルが小さくなる。そして、DCバスキャパシタ10の電圧がゼロになることを防ぎつつ、コンバータ50の出力電力が高くなるように制御できる。
また本発明において、上記のように第3実施形態のような追加パルスを用いて制御する際には、DCバスキャパシタ10の静電容量Cdcを必要な出力電力範囲の中間値を用いて計算する。また、静電容量Cdcの計算に使った出力電力よりも、実際の出力電力を減らしたい場合は、逆阻止型スイッチング素子55のスイッチング信号に含まれるパルス幅を増やし、実際の出力電力を増やしたい場合は、逆阻止型スイッチング素子55をオフ状態にしつつ、スイッチング素子51のオン期間のパルス幅を上記のように分割する(追加パルスを加える)ことによって行う。これにより、コンバータ50がより幅広い受電電力範囲に対応できるようになる。