JP6782131B2 - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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本発明は、車輪用軸受装置に関する。
従来、自動車等の懸架装置において車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置が知られている。車輪用軸受装置は、懸架装置を構成するナックルに外方部材が固定される。また、車輪用軸受装置は、外方部材の内側に内方部材が配置され、外方部材と内方部材の間に転動体が介装されている。こうして、車輪用軸受装置は、転がり軸受構造を構成し、内方部材に取り付けられた車輪を回転自在としているのである。
ところで、このような車輪用軸受装置は、外方部材と内方部材の間に形成された環状空間に泥水や砂塵が侵入すると、転動体等が損傷して軸受寿命が短くなる。また、環状空間に封入されているグリースが漏出しても、転動体等が損傷して軸受寿命が短くなる。このため、車輪用軸受装置は、泥水や砂塵の侵入を防止するとともにグリースの漏出を防止すべく、環状空間を密封するシール部材を備えている。例えば特許文献1および特許文献2および特許文献3に記載の如くである。
特許文献1に記載の車輪用軸受装置は、外方部材と、内方部材と、外方部材と内方部材の間に介装される転動体と、外方部材と内方部材の間に形成される環状空間のアウター側端部を密封するシール部材と、を備えている。しかし、かかる車輪用軸受装置は、泥水が外方部材を伝ってシール部材に到達すると、泥水に含まれる異物を噛み込んでシール部材が破損したり摩耗したりするという懸念があった。つまり、シール部材の密封性が低下するという懸念があった。
そこで、特許文献2に記載の車輪用軸受装置は、泥水が外方部材を伝ってシール部材に到達するのを防ぐべく、シール部材の形状を工夫することによって外方部材の外周に遮水堰を設けている。また、特許文献3に記載の車輪用軸受装置は、外方部材に別途部品を嵌め合わせることによって外方部材の外周に遮水堰を設けている。しかし、これらの車輪用軸受装置は、泥水が遮水堰の堰壁面に当たって飛散すると、飛散した泥水が遮水堰を飛び越えてシール部材に到達する場合があり(図15の(A)および(B)に示す矢印F参照)、シール部材が破損したり摩耗したりするという懸念を払拭できていないという問題があった。つまり、シール部材の密封性が低下するという懸念を払拭できていないという問題があった。
更に加えて、内方部材の車輪取り付けフランジには、内方部材の回転軸を中心とする同心円上に複数のボルト穴が設けられており、それぞれのボルト穴にハブボルトが圧入されている。そして、それぞれのハブボルトは、その頭部が外方部材に近接した状態で配置されている。そのため、泥水が飛び越えにくくなることを考慮して遮水堰の高さ寸法を大きくすれば、この遮水堰が障害となってハブボルトの交換ができなくなってしまうという問題もあった。
特開2014−219100号公報 特開2012−97817号公報 特開2011−7272号公報
本発明は、シール部材の密封性が低下するという懸念を払拭でき、ひいては転動体等の損傷を防いで軸受寿命の向上を実現できる車輪用軸受装置を提供する。また、本発明の構成要素である遮水堰がハブボルトの交換時に障害とならない車輪用軸受装置を提供する。
第一の発明は、
内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、
複数のハブボルトが圧入される車輪取り付けフランジを有するとともに軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の前記小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
前記外方部材と前記内方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に介装される複列の転動体と、
前記外方部材と前記内方部材の間に形成される環状空間の両端部を密封するシール部材と、を備えた車輪用軸受装置において、
前記外方部材のアウター側端部の外周に前記内方部材の回転軸を中心とする円環状の遮水堰を設け、
前記遮水堰は、前記外方部材の上半分側と下半分側で非対称の形状とされ、前記上半分側の一部分若しくは全部分における堰壁面が径方向外側に向かうにつれてインナー側に傾斜している、ものである。
第二の発明は、第一の発明に係る車輪用軸受装置において、
前記遮水堰は、前記下半分側の一部分若しくは全部分における堰壁面が径方向外側に向かうにつれてアウター側に傾斜している、ものである。
第三の発明は、第一又は第二の発明に係る車輪用軸受装置において、
前記遮水堰は、その外縁にインナー側へ延びる折返部分が形成されている、ものである。
第四の発明は、第一から第三のいずれかの発明に係る車輪用軸受装置において、
前記遮水堰は、その外縁に前記ハブボルトを通すための案内溝が形成されている、ものである。
第五の発明は、第四の発明に係る車輪用軸受装置において、
前記複数のハブボルトが前記回転軸を中心とする同心円上に周方向等配置に設けられており、
前記案内溝は、前記ハブボルトと同数若しくは倍数で、かつ前記同心円上に周方向等配置に設けられている、ものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
本発明に係る車輪用軸受装置は、外方部材のアウター側端部の外周に内方部材の回転軸を中心とする円環状の遮水堰を設けている。そして、遮水堰は、外方部材の上半分側と下半分側で非対称の形状とされ、上半分側の一部分若しくは全部分における堰壁面が径方向外側に向かうにつれてインナー側に傾斜している。これにより、本車輪用軸受装置は、泥水が遮水堰の堰壁面に当たって飛散しても、飛散した泥水が遮水堰を飛び越えないので、泥水がシール部材に到達するのを防ぐことができる。従って、シール部材の密封性(耐久性ともいえる)が低下するという懸念を払拭でき、ひいては転動体等の損傷を防いで軸受寿命の向上を実現できる。
本発明に係る車輪用軸受装置において、遮水堰は、下半分側の一部分若しくは全部分における堰壁面が径方向外側に向かうにつれてアウター側に傾斜している。これにより、本車輪用軸受装置は、外方部材の外周に沿って流れてきた泥水を堰壁面の傾斜に沿って円滑かつ連続的に流れ落とし、泥水が走行風などに舞い上げられないようにしているので、泥水がシール部材に到達するのを防ぐことができる。
本発明に係る車輪用軸受装置において、遮水堰は、その外縁にインナー側へ延びる折返部分が形成されている。これにより、本車輪用軸受装置は、泥水が全てインナー側および下方側へ飛散するので、泥水がシール部材に到達するのを防ぐことができる。また、本車輪用軸受装置は、泥水が堰壁面の外縁を回り込まないので、泥水がシール部材に到達するのを防ぐことができる。
本発明に係る車輪用軸受装置において、遮水堰は、その外縁にハブボルトを通すための案内溝が形成されている。これにより、本車輪用軸受装置は、外方部材と内方部材を分解することなく、ハブボルトの交換作業が可能となる。
本発明に係る車輪用軸受装置において、複数のハブボルトが回転軸を中心とする同心円上に周方向等配置に設けられている。そして、案内溝は、ハブボルトと同数若しくは倍数で、かつ同心円上に周方向等配置に設けられている。これにより、本車輪用軸受装置は、全ての案内溝に全てのハブボルトを重ねることができるので、容易にハブボルトの交換作業が可能となる。
車輪用軸受装置の全体構成を示す斜視図。 車輪用軸受装置の全体構成を示す断面図。 車輪用軸受装置の一部構造を示す拡大断面図。 車輪用軸受装置の一部構造を示す拡大断面図。 第一実施形態に係る遮水堰を示す拡大断面図。 第一実施形態に係る遮水堰を示す側面図。 ハブボルトの交換作業を示す図。 第二実施形態に係る遮水堰を示す拡大断面図。 第三実施形態に係る遮水堰を示す拡大断面図。 第三実施形態に係る遮水堰を示す側面図。 ハブボルトの交換作業を示す図。 第四実施形態に係る遮水堰を示す拡大断面図。 第五実施形態に係る遮水堰を示す拡大断面図。 第六実施形態に係る遮水堰を示す拡大断面図。 従来の車輪用軸受装置の一部構造を示す拡大断面図。
以下に、図1から図4を用いて、本発明に係る車輪用軸受装置1について説明する。なお、図2は、図1におけるA−A断面図である。図3および図4は、図2における一部領域の拡大図である。
車輪用軸受装置1は、自動車等の懸架装置において車輪を回転自在に支持するものである。車輪用軸受装置1は、外方部材2と、内方部材3(ハブ輪4と内輪5)と、転動体6と、シール部材7(以降「インナー側シール部材7」とする)と、シール部材10(以降「アウター側シール部材10」とする)と、を具備する。ここで、インナー側とは、車輪用軸受装置1の車体側を表し、アウター側とは、車輪用軸受装置1の車輪側を表す。
外方部材2は、転がり軸受構造の外輪部分を構成するものである。外方部材2は、略円筒形状に形成されたS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で構成されている。外方部材2のインナー側端部には、拡径部2aが形成されている。また、外方部材2のアウター側端部には、拡径部2bが形成されている。更に、拡径部2aと拡径部2bの間には、環状に外側転走面2cと外側転走面2dが互いに平行となるように形成されている。なお、外側転走面2cと外側転走面2dには、高周波焼入れが施され、表面硬さが58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。外方部材2の外周には、ナックル取り付けフランジ2eが一体的に形成されている。ナックル取り付けフランジ2eには、内方部材3(ハブ輪4と内輪5)の回転軸Lを中心とする同心円上に周方向等配置にボルト穴が設けられている。
内方部材3は、転がり軸受構造の内輪部分を構成するものである。内方部材3は、ハブ輪4と内輪5で構成されている。
ハブ輪4は、略円筒形状に形成されたS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で構成されている。ハブ輪4のインナー側端部には、小径段部4aが形成されている。小径段部4aには、その端部を径方向外側へ折り曲げることで内輪5を固定するカシメ部分4bが形成されている。また、ハブ輪4のアウター側端部には、開口部4cが形成されている。更に、ハブ輪4の外周には、環状に内側転走面4dが形成されている。内側転走面4dは、外方部材2の外側転走面2dに対向する。なお、ハブ輪4は、小径段部4aから内側転走面4dを経てシールランド部(後述する軸面部4eと曲面部4fと側面部4gで構成される)まで高周波焼入れが施され、表面硬さが58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。ハブ輪4の外周には、車輪取り付けフランジ4hが一体的に形成されている。車輪取り付けフランジ4hには、内方部材3(ハブ輪4と内輪5)の回転軸Lを中心とする同心円上に周方向等配置にボルト穴4iが設けられ、それぞれのボルト穴4iにハブボルト40が圧入されている。
内輪5は、略円筒形状に形成されたSUJ2等の高炭素クロム軸受鋼で構成されている。内輪5の外周には、環状に内側転走面5aが形成されている。つまり、内輪5は、ハブ輪4の小径段部4aに嵌合され、小径段部4aの外周に内側転走面5aを構成している。内側転走面5aは、外方部材2の外側転走面2cに対向する。なお、内輪5は、いわゆるズブ焼入れが施され、芯部まで58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。
転動体6は、転がり軸受構造の転動部分を構成するものである。転動体6は、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼で構成されている。インナー側のボール列6aは、複数の転動体6が保持器によって環状に配置されたものである。ボール列6aは、内輪5に形成されている内側転走面5aと、それに対向する外方部材2の外側転走面2cと、の間に転動自在に収容されている。一方で、アウター側のボール列6bも、複数の転動体6が保持器によって環状に配置されたものである。ボール列6bは、ハブ輪4に形成されている内側転走面4dと、それに対向する外方部材2の外側転走面2dと、の間に転動自在に収容されている。なお、ボール列6aとボール列6bを構成しているそれぞれの転動体6には、いわゆるズブ焼入れが施され、芯部まで58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。
インナー側シール部材7は、外方部材2と内方部材3の間に形成された環状空間Sのインナー側端部を密封するものである。図3に示すように、インナー側シール部材7は、円環状のスリンガ8と円環状のシールリング9で構成されている。
スリンガ8は、内輪5の外周に嵌合(外嵌)される。
スリンガ8は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。スリンガ8は、円環状に切り出された鋼板がプレス加工によって屈曲され、軸方向断面が直角に折り曲げられた形状に形成されている。これにより、スリンガ8は、円筒状の嵌合部8aと、その端部から外方部材2に向かって延びる円板状の側板部8bと、が形成されている。嵌合部8aと側板部8bは、互いに垂直に交わっており、嵌合部8aは、内輪5の外周面に沿って嵌合している。また、側板部8bは、外方部材2に向かって延び、後述する芯金91の側板部91bに対向している。
シールリング9は、外方部材2の拡径部2aに嵌合(内嵌)される。シールリング9は、芯金91と弾性部材であるシールゴム92を有する。
芯金91は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。芯金91は、円環状に切り出された鋼板がプレス加工によって屈曲され、軸方向断面が直角に折り曲げられた形状に形成されている。これにより、芯金91は、円筒状の嵌合部91aと、その端部から内方部材3(内輪5)に向かって延びる円板状の側板部91bと、が形成されている。嵌合部91aと側板部91bは、互いに略垂直に交わっており、嵌合部91aは、拡径部2aの内周面に沿って嵌合している。また、側板部91bは、内方部材3(内輪5)に向かって延び、前述したスリンガ8の側板部8bに対向している。なお、嵌合部91aと側板部91bには、弾性部材であるシールゴム92が加硫接着されている。
シールゴム92は、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、耐熱性、耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはシリコンゴム等の合成ゴムで構成されている。シールゴム92には、シールリップであるラジアルリップ92a、内側アキシアルリップ92bおよび外側アキシアルリップ92cが形成されている。
このように、インナー側シール部材7は、スリンガ8とシールリング9が対向するように配置される。このとき、ラジアルリップ92aは、油膜を介してスリンガ8の嵌合部8aに接触する。また、内側アキシアルリップ92bは、油膜を介してスリンガ8の側板部8bに接触する。そして、外側アキシアルリップ92cも、油膜を介してスリンガ8の側板部8bに接触する。このようにして、インナー側シール部材7は、泥水や砂塵の侵入を防止するとともにグリースの漏出を防止しているのである。
アウター側シール部材10は、外方部材2と内方部材3の間に形成された環状空間Sのアウター側端部を密封するものである。図4に示すように、アウター側シール部材10は、円環状のシールリング11で構成されている。
シールリング11は、外方部材2の拡径部2bに嵌合(内嵌)される。シールリング11は、芯金111と弾性部材であるシールゴム112を有する。
芯金111は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。芯金111は、円環状に切り出された鋼板がプレス加工によって屈曲され、軸方向断面が複雑に折り曲げられた形状に形成されている。これにより、芯金111は、円筒状の嵌合部111aと、その一端から内方部材3(ハブ輪4)に向かって延びる円板状の側板部111bと、その他端から外方部材2のアウター側端面に沿って延びる円板状の止板部111cと、が形成されている。嵌合部111aと側板部111bは、互いに湾曲しながら交わっており、嵌合部111aは、拡径部2bの内周面に沿って嵌合している。また、側板部111bは、内方部材3(ハブ輪4)に向かって延び、ハブ輪4の曲面部4fおよび側面部4gに対向する。更に、止板部111cは、外方部材2のアウター側端面に沿って延び、ハブ輪4の側面部4gに対向する。なお、嵌合部111aと側板部111bと止板部111cには、弾性部材であるシールゴム112が加硫接着されている。
シールゴム112は、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、耐熱性、耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはシリコンゴム等の合成ゴムで構成されている。シールゴム112には、シールリップであるラジアルリップ112a、内側アキシアルリップ112bおよび外側アキシアルリップ112cが形成されている。
このように、アウター側シール部材10は、シールリング11とハブ輪4が対向するように配置される。このとき、ラジアルリップ112aは、油膜を介してハブ輪4の軸面部4eに接触する。また、アキシアルリップ112bは、油膜を介してハブ輪4の曲面部4fに接触する。そして、外側アキシアルリップ112cも、油膜を介してハブ輪4の側面部4gに接触する。このようにして、アウター側シール部材10は、泥水や砂塵の侵入を防止するとともにグリースの漏出を防止しているのである。
次に、図5から図7を用いて、第一実施形態に係る遮水堰20について詳細に説明する。図5の(A)は、図2における領域Raを拡大した図であり、図5の(B)は、図2における領域Rbを拡大した図である。また、図6は、図2におけるB−B断面図である。そして、図7は、ハブボルト40の交換作業を示している。
第一実施形態に係る遮水堰20は、シールゴム112の一部によって構成されている。そのため、遮水堰20は、シールゴム112と同じく、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、耐熱性、耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはシリコンゴム等の合成ゴムで構成されている。なお、遮水堰20は、内方部材3(ハブ輪4と内輪5)の回転軸Lを中心とする円環状となっている(図2参照)。但し、遮水堰20が完全な円環状であるものに限定する必要はなく、周方向の一部を欠いていても良い。ここで、図6に示すように、車両に取り付けられた際に、内方部材3(ハブ輪4と内輪5)の回転軸Lと交わり重力が作用する方向に対して平行となる上下方向線Vを定義し、内方部材3(ハブ輪4と内輪5)の回転軸Lと交わり上下方向線Vに対して垂直となる左右方向線Sを定義した場合、外方部材2の上半分側Usとは、左右方向線Sよりも上側を表し、外方部材2の下半分側Lsとは、左右方向線Sよりも下側を表す。また、径方向外側とは、内方部材3(ハブ輪4と内輪5)の回転軸Lから外側へ遠ざかる方向を表す。
本実施形態に係る遮水堰20は、軸方向断面が略台形状に形成されている。遮水堰20は、外方部材2の上半分側Usと下半分側Lsで非対称の形状とされている(図5参照)。外方部材2の上半分側Usにおいては、遮水堰20のインナー側の堰壁面20aが径方向外側に向かうにつれてインナー側へ傾斜している。また、遮水堰20の下半分側Lsにおいては、遮水堰20のインナー側の堰壁面20aが径方向外側に向かうにつれてアウター側へ傾斜している。具体的に説明すると、回転軸Lから上方へ向かう想像線Iaを位相角0°とし、回転軸Lから方へ向かう想像線Ibを位相角90°とし、回転軸Lから下方へ向かう想像線Icを位相角180°とし、回転軸Lから方へ向かう想像線Idを位相角270°とした場合、位相角0°の軸方向断面においては、インナー側の堰壁面20aが径方向外側に向かうにつれて最も大きくインナー側へ傾斜している。また、位相角180°の軸方向断面においては、インナー側の堰壁面20aが径方向外側に向かうにつれて最も大きくアウター側へ傾斜している。そして、位相角90°および位相角270°の軸方向断面においては、インナー側の堰壁面20aが傾斜せずに回転軸Lに対して垂直となっている。なお、本遮水堰20において、堰壁面20aの傾斜角度αは、位相角の変化に対して一定の割合で滑らかに変化するものである。
このように、外方部材2の上半分側Usにおける堰壁面20aをインナー側へ傾斜させたのは、堰壁面20aに当たった泥水をインナー側に向かって飛散させ、若しくは下方側に向かって飛散させることを意図したものである(図5の(A)における矢印Fa参照)。そのため、飛散した泥水が遮水堰20を飛び越えてアウター側シール部材10に到達するのを防ぐという効果を奏する。
以上のように、本実施形態に係る遮水堰20は、外方部材2の上半分側Usと下半分側Lsで非対称の形状とされ、上半分側Usの一部分若しくは全部分におけるインナー側の堰壁面20aが径方向外側に向かうにつれてインナー側に傾斜している。これにより、本車輪用軸受装置1は、泥水が遮水堰20の堰壁面20aに当たって飛散しても、飛散した泥水が遮水堰20を飛び越えないので、泥水がシール部材(アウター側シール部材10)に到達するのを防ぐことができる。従って、シール部材(アウター側シール部材10)の密封性(耐久性ともいえる)が低下するという懸念を払拭でき、ひいては転動体等の損傷を防いで軸受寿命の向上を実現できる。
また、外方部材2の下半分側Lsにおけるインナー側の堰壁面20aを径方向外側に向かうにつれてアウター側へ傾斜させたのは、外方部材2の外周に沿って流れてきた泥水が走行風などによって散逸せず、まとまったままで流れ落ちていくことを意図したものである(図5の(B)における矢印Fb参照)。そのため、泥水が走行風などに舞い上げられてアウター側シール部材10に到達するのを防ぐという効果を奏する。
以上のように、本実施形態に係る遮水堰20は、外方部材2の上半分側Usと下半分側Lsで非対称の形状とされ、下半分側Lsの一部分若しくは全部分におけるインナー側の堰壁面20aがアウター側に傾斜している。これにより、本車輪用軸受装置1は、外方部材2の外周に沿って流れてきた泥水を堰壁面20aの傾斜に沿って円滑かつ連続的に流れ落とし、泥水が走行風などに舞い上げられないようにしているので、ひいては泥水がシール部材(アウター側シール部材10)に到達するのを防ぐことができる。従って、シール部材(アウター側シール部材10)の密封性(耐久性ともいえる)が低下するという懸念を払拭でき、ひいては転動体等の損傷を防いで軸受寿命の向上を実現できる。
加えて、本遮水堰20は、その外縁部分にハブボルト40の案内溝20bが形成されている。より詳細には、遮水堰20の外縁部分が円弧状に切り欠かれることにより、ハブボルト40を通すための案内溝20bが形成されている。
このような設計とすることで、本車輪用軸受装置1は、泥水が乗り越えにくくなることを考慮して遮水堰20の高さ寸法を大きくしても、外方部材2と内方部材3を分解することなく、ハブボルト40の交換作業が可能となる。
加えて、本車輪用軸受装置1は、五つのハブボルト40を有しており、それぞれ回転軸Lを中心として角度が72°ごととなる周方向等配置に設けられている。そのため、遮水堰20の外縁部分には、周方向に五ヶ所の案内溝20bが、それぞれ回転軸Lを中心とする角度が72°ごととなる位置に形成されている。但し、倍数である10ヶ所に案内溝20bが設けられていても良い。このとき、案内溝20bは、それぞれ回転軸Lを中心とする角度が36°ごととなる位置に形成される。また、車輪用軸受装置1は、五つのハブボルト40を有しているが、例えば四つのハブボルト40を有するものとし、それぞれ回転軸Lを中心とする角度が90°ごととなる位置に設けられるとしても良い。この場合、四ヶ所の案内溝20bが、それぞれ回転軸Lを中心とする角度が90°ごととなる位置に形成される。但し、倍数である8ヶ所や12ヶ所に案内溝20bが設けられるとしても良い。
このような設計とすることで、本車輪用軸受装置1は、図7に示すように、全ての案内溝20bに全てのハブボルト40の位置を重ねることができるので、ハブボルト40の交換作業が容易となる。
次に、図8を用いて、第二実施形態に係る遮水堰20について詳細に説明する。図8の(A)は、図2における領域Raに相当する部分を拡大した図であり、図8の(B)は、図2における領域Rbに相当する部分を拡大した図である。第一実施形態に係る遮水堰20に対して、本実施形態に係る遮水堰20は、その外縁にインナー側へ延びる折返部分20cが形成されている。
このように、外方部材2の上半分側Usにおいて、折返部分20cを形成するのは、堰壁面20aに当たった泥水が上方へ飛散するのを防ぎ、全てインナー側および下方側へ飛散させることを意図したものである(図8の(A)における矢印Fa参照)。そのため、飛散した泥水が遮水堰20を飛び越えてアウター側シール部材10に到達するのを防ぐという効果がより強く発揮される。
また、外方部材2の下半分側Lsにおいて、折返部分20cを形成するのは、堰壁面20aに付着した泥水を確実に落とし、堰壁面20aの外縁を回り込ませないことを意図したものである(図8の(B)における矢印Fb参照)。そのため、泥水が走行風などに舞い上げられてアウター側シール部材10に到達するのを防ぐという効果がより強く発揮される。
以上のように、本実施形態に係る遮水堰20は、その外縁にインナー側へ延びる折返部分20cが形成されている、としても良い。この場合、車輪用軸受装置1は、泥水が全てインナー側および下方側へ飛散するので、泥水がシール部材(アウター側シール部材10)に到達するのを防ぐことができる。また、泥水が堰壁面20aの外縁を回り込まないので、泥水がシール部材(アウター側シール部材10)に到達するのを防ぐことができる。
次に、図9から図11を用いて、第三実施形態に係る遮水堰20について詳細に説明する。図9の(A)は、図2における領域Raに相当する部分を拡大した図であり、図9の(B)は、図2における領域Rbに相当する部分を拡大した図である。また、図10は、図2におけるB−B断面に相当する図である。そして、図11は、ハブボルト40の交換作業を示している。なお、以下において、第一実施形態に係る遮水堰20と同様の構造部分には、同じ符号を付すものとし、簡単のために当該部分の説明を省略する。
第三実施形態に係る遮水堰20は、外方部材2に別途部品を嵌め合わせることによって構成されている。遮水堰20は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。遮水堰20は、外方部材2の外周に嵌合(外嵌)される円筒部20dと円筒部20dのインナー側から径方向に延びる側板部20eとからなる。そして、側板部20eのインナー側の平面が堰壁面20aに相当する。なお、遮水堰20は、内方部材3(ハブ輪4と内輪5)の回転軸Lを中心とする円環状となっている(図10参照)。但し、遮水堰20が完全な円環状であるものに限定する必要はなく、周方向の一部を欠いていても良い。ここで、図10に示すように、車両に取り付けられた際に、内方部材3(ハブ輪4と内輪5)の回転軸Lと交わり重力が作用する方向に対して平行となる上下方向線Vを定義し、内方部材3(ハブ輪4と内輪5)の回転軸Lと交わり上下方向線Vに対して垂直となる左右方向線Sを定義した場合、外方部材2の上半分側Usとは、左右方向線Sよりも上側を表し、外方部材2の下半分側Lsとは、左右方向線Sよりも下側を表す。また、径方向外側とは、内方部材3(ハブ輪4と内輪5)の回転軸Lから外側へ遠ざかる方向を表す。
本実施形態に係る遮水堰20は、軸方向断面が略楔形状に形成されている。遮水堰20は、外方部材2の上半分側Usと下半分側Lsで非対称の形状とされている(図9参照)。外方部材2の上半分側Usにおいては、遮水堰20のインナー側の側板部20eが径方向外側に向かうにつれてインナー側へ傾斜している。また、遮水堰20の下半分側Lsにおいては、遮水堰20のインナー側の側板部20eが径方向外側に向かうにつれてアウター側へ傾斜している。具体的に説明すると、回転軸Lから上方へ向かう想像線Iaを位相角0°とし、回転軸Lから方へ向かう想像線Ibを位相角90°とし、回転軸Lから下方へ向かう想像線Icを位相角180°とし、回転軸Lから方へ向かう想像線Idを位相角270°とした場合、位相角0°の軸方向断面においては、インナー側の側板部20eが径方向外側に向かうにつれて最も大きくインナー側へ傾斜している。また、位相角180°の軸方向断面においては、インナー側の側板部20eが径方向外側に向かうにつれて最も大きくアウター側へ傾斜している。そして、位相角90°および位相角270°の軸方向断面においては、インナー側の側板部20eが傾斜せずに回転軸Lに対して垂直となっている。なお、本遮水堰20において、側板部20eの傾斜角度αは、位相角の変化に対して一定の割合で滑らかに変化するものである。
このように、外方部材2の上半分側Usにおける側板部20eをインナー側へ傾斜させたのは、側板部20eに当たった泥水をインナー側に向かって飛散させ、若しくは下方側に向かって飛散させることを意図したものである(図9の(A)における矢印Fa参照)。そのため、飛散した泥水が遮水堰20を飛び越えてアウター側シール部材10に到達するのを防ぐという効果を奏する。
以上のように、本実施形態に係る遮水堰20は、外方部材2の上半分側Usと下半分側Lsで非対称の形状とされ、上半分側Usの一部分若しくは全部分におけるインナー側の側板部20eが径方向外側に向かうにつれてインナー側に傾斜している。これにより、本車輪用軸受装置1は、泥水が遮水堰20の側板部20eに当たって飛散しても、飛散した泥水が遮水堰20を飛び越えないので、泥水がシール部材(アウター側シール部材10)に到達するのを防ぐことができる。従って、シール部材(アウター側シール部材10)の密封性(耐久性ともいえる)が低下するという懸念を払拭でき、ひいては転動体等の損傷を防いで軸受寿命の向上を実現できる。側板部20eのインナー側の平面を堰壁面20aともいう。
また、外方部材2の下半分側Lsにおけるインナー側の堰壁面20aを径方向外側に向かうにつれてアウター側へ傾斜させたのは、外方部材2の外周に沿って流れてきた泥水が走行風などによって散逸せず、まとまったままで流れ落ちていくことを意図したものである(図9の(B)における矢印Fb参照)。そのため、泥水が走行風などに舞い上げられてアウター側シール部材10に到達するのを防ぐという効果を奏する。
以上のように、本実施形態に係る遮水堰20は、外方部材2の上半分側Usと下半分側Lsで非対称の形状とされ、下半分側Lsの一部分若しくは全部分におけるインナー側の堰壁面20aがアウター側に傾斜している。これにより、本車輪用軸受装置1は、外方部材2の外周に沿って流れてきた泥水を堰壁面20aの傾斜に沿って円滑かつ連続的に流れ落とし、泥水が走行風などに舞い上げられないようにしているので、泥水がシール部材(アウター側シール部材10)に到達するのを防ぐことができる。従って、シール部材(アウター側シール部材10)の密封性(耐久性ともいえる)が低下するという懸念を払拭でき、ひいては転動体等の損傷を防いで軸受寿命の向上を実現できる。
加えて、本遮水堰20は、その外縁部分にハブボルト40の案内溝20bが形成されている。より詳細には、遮水堰20の外縁部分が円弧状に切り欠かれることにより、ハブボルト40を通すための案内溝20bが形成されている。
このような設計とすることで、本車輪用軸受装置1は、泥水が乗り越えにくくなることを考慮して遮水堰20の高さ寸法を大きくしても、外方部材2と内方部材3を分解することなく、ハブボルト40の交換作業が可能となる。
次に、図12を用いて、第四実施形態に係る遮水堰20について詳細に説明する。図12の(A)は、図2における領域Raに相当する部分を拡大した図であり、図12の(B)は、図2における領域Rbに相当する部分を拡大した図である。第三実施形態に係る遮水堰20に対して、本実施形態に係る遮水堰20は、その外縁にインナー側へ延びる折返部分20cが形成されている。
このように、外方部材2の上半分側Usにおいて、折返部分20cを形成するのは、堰壁面20aに当たった泥水が上方へ飛散するのを防ぎ、全てインナー側および下方側へ飛散させることを意図したものである(図12の(A)における矢印Fa参照)。そのため、飛散した泥水が遮水堰20を飛び越えてアウター側シール部材10に到達するのを防ぐという効果がより強く発揮される。
また、外方部材2の下半分側Lsにおいて、折返部分20cを形成するのは、堰壁面20aに付着した泥水を確実に落とし、堰壁面20aの外縁を回り込ませないことを意図したものである(図12の(B)における矢印Fb参照)。そのため、泥水が走行風などに舞い上げられてアウター側シール部材10に到達するのを防ぐという効果がより強く発揮される。
以上のように、本実施形態に係る遮水堰20は、その外縁にインナー側へ延びる折返部分20cが形成されている、としても良い。この場合、車輪用軸受装置1は、泥水が全てインナー側および下方側へ飛散するので、泥水がシール部材(アウター側シール部材10)に到達するのを防ぐことができる。また、泥水が堰壁面20aの外縁を回り込まないので、泥水がシール部材(アウター側シール部材10)に到達するのを防ぐことができる。
次に、図13を用いて、第五実施形態に係る遮水堰20について詳細に説明する。図13の(A)は、図2における領域Raに相当する部分を拡大した図であり、図13の(B)は、図2における領域Rbに相当する部分を拡大した図である。なお、以下において、第一実施形態に係る遮水堰20と同様の構造部分には、同じ符号を付すものとし、簡単のために当該部分の説明を省略する。
遮水堰20は、外方部材2の上半分側Usと下半分側Lsで非対称の形状とされており、外方部材2の上半分側Usにおいては、遮水堰20の堰壁面20aが径方向外側に向かうにつれてインナー側へ傾斜している。また、遮水堰20の下半分側Lsにおいては、遮水堰20の堰壁面20aが径方向外側に向かうにつれてアウター側へ傾斜している。
また、外方部材2の上半分側Usにおいては、折返部分20cが形成されている。これは、堰壁面20aに当たった泥水が上方へ飛散するのを防ぎ、全てインナー側および下方側へ飛散させることを意図したものである(図13の(A)における矢印Fa参照)。そのため、飛散した泥水が遮水堰20を飛び越えてアウター側シール部材10に到達するのを防ぐという効果がより強く発揮される。
更に、本実施形態においては、外方部材2の上半分側Usで遮水堰20の高さ寸法が低くなっている。つまり、遮水堰20の外縁を折り曲げて折返部分20cを形成しているので、遮水堰20の高さ寸法が低くなっているのである。このため、外方部材2の上半分側Usでは、遮水堰20がハブボルト40の交換時に障害とならない。従って、本車輪用軸受装置1は、外方部材2と内方部材3を分解することなく、ハブボルト40の交換作業が可能となる。
次に、図14を用いて、第六実施形態に係る遮水堰20について詳細に説明する。図14の(A)は、図2における領域Raに相当する部分を拡大した図であり、図14の(B)は、図2における領域Rbに相当する部分を拡大した図である。なお、以下において、第一実施形態に係る遮水堰20と同様の構造部分には、同じ符号を付すものとし、簡単のために当該部分の説明を省略する。
遮水堰20は、外方部材2の上半分側Usと下半分側Lsで非対称の形状とされており、外方部材2の上半分側Usにおいては、遮水堰20の堰壁面20aが径方向外側に向かうにつれてインナー側へ傾斜している。また、遮水堰20の下半分側Lsにおいては、遮水堰20の堰壁面20aが径方向外側に向かうにつれてアウター側へ傾斜している。
また、外方部材2の下半分側Lsにおいては、折返部分20cが形成されている。これは、堰壁面20aに付着した泥水を確実に落とし、堰壁面20aの外縁を回り込ませないことを意図したものである(図14の(B)における矢印Fb参照)。そのため、泥水が走行風などに舞い上げられてアウター側シール部材10に到達するのを防ぐという効果がより強く発揮される。
更に、本実施形態においては、外方部材2の下半分側Usで遮水堰20の高さ寸法が低くなっている。つまり、遮水堰20の外縁を折り曲げて折返部分20cを形成しているので、遮水堰20の高さ寸法が低くなっているのである。このため、外方部材2の下半分側Lsでは、遮水堰20がハブボルト40の交換時に障害とならない。従って、本車輪用軸受装置1は、外方部材2と内方部材3を分解することなく、ハブボルト40の交換作業が可能となる。
1 車輪用軸受装置
2 外方部材
2c 外側転走面
2d 外側転走面
3 内方部材
4 ハブ輪
4a 小径段部
4d 内側転走面
4h 車輪取り付けフランジ
5 内輪
5a 内側転走面
6 転動体
6a ボール列
6b ボール列
7 シール部材
10 シール部材
20 遮水堰
20a 堰壁面
20b 案内溝
20c 折返部分
40 ハブボルト
S 環状空間
L 回転軸
Us 外方部材の上半分側
Ls 外方部材の下半分側
α 堰壁面の傾斜角度

Claims (4)

  1. 内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、
    複数のハブボルトが圧入される車輪取り付けフランジを有するとともに軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の前記小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    前記外方部材と前記内方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に介装される複列の転動体と、
    前記外方部材と前記内方部材の間に形成される環状空間の両端部を密封するシール部材と、を備えた車輪用軸受装置において、
    前記外方部材のアウター側端部の外周に前記内方部材の回転軸を中心とする円環状の遮水堰を設け、
    前記遮水堰は、
    前記外方部材の上半分側と下半分側で非対称の形状とされ、
    前記上半分側の一部分若しくは全部分における堰壁面が径方向外側に向かうにつれてインナー側に傾斜しており、
    前記下半分側の一部分若しくは全部分における堰壁面が、径方向外側に向かうにつれてアウター側に傾斜している、
    ことを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 前記遮水堰は、その外縁にインナー側へ延びる折返部分が形成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記遮水堰は、その外縁に前記ハブボルトを通すための案内溝が形成されている、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車輪用軸受装置。
  4. 前記複数のハブボルトが前記回転軸を中心とする同心円上に周方向等配置に設けられており、
    前記案内溝は、前記ハブボルトと同数若しくは倍数で、かつ前記同心円上に周方向等配置に設けられている、
    ことを特徴とする請求項に記載の車輪用軸受装置。
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