JP6781516B2 - 化粧シート - Google Patents

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Description

本発明は、建築物の外装および内装に用いられる建装材、建具の表面、家電品の表面材などに用いられる化粧シートに関するもので、水酸基、アミノ基または不飽和炭素結合を有する分散剤と、10〜50nmの範囲内の粒子径とされた無機ナノ微粒子とを添加してなるトップコート層を備えた化粧シートに関する。
近年、特許文献1乃至5に示すように、ポリ塩化ビニル製の化粧シートに替わる化粧シートとして、オレフィン系樹脂を使用した化粧シートが数多く提案されている。
しかし、これらの化粧シートは塩化ビニル樹脂を使用しないことで、焼却時における有毒ガス等の発生は抑制されるものの、一般的なポリプロピレンシートもしくは軟質ポリプロピレンシートを使用しているために表面の耐擦傷性が悪く、従来のポリ塩化ビニル化粧シートの耐擦傷性からは遙かに劣っているものであった。
そこで、本発明者等は、これらの欠点を解消するべく、特許文献6に記載の表面の耐擦傷性および耐後加工性に優れた化粧シートを提案した。その後、特許文献6に示すような構成の化粧シートを用いた化粧板の用途は益々拡大しており、表面の耐擦傷性やV溝曲げ加工などの耐後加工性のさらなる向上が求められている。
また、消費者の品質に対する意識も高度化してきたことから、上述のような機能性だけでなく、高い意匠性も求められている。
特開平2−128843号公報 特開平4−083664号公報 特開平6−001881号公報 特開平6−198831号公報 特開平9−328562号公報 特許第3772634号公報
そこで、本発明においては、意匠性の観点から高い透明性と、表面の耐擦傷性およびV溝曲げ加工等の後加工の影響を受けない耐後加工性とに優れたトップコート層を有する化粧シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するべく、本発明の第1の形態の化粧シートは、複数の樹脂層からなる化粧シートにおいて、前記化粧シートの最表面に位置するトップコート層に対して、水酸基、アミノ基または不飽和二重結合を有する分散剤と、10〜50nmの範囲内の粒子径とされた無機ナノ粒子とが添加されており、前記無機ナノ粒子が、前記分散剤を含む単層膜の外膜を具備するベシクルに内包されている無機ナノ粒子ベシクルであることを特徴とする。
このような、本発明の第1の形態の化粧シートとすることにより、10〜50nmという極小サイズの無機ナノ粒子の二次凝集を抑制して、トップコート層の主成分である樹脂組成物中に無機ナノ粒子を均一に分散させることができるので、優れた透明性、耐擦傷性および耐後加工性を実現したトップコート層を具備する化粧シートを提供することを可能とする。また、分散剤が水酸基、アミノ基または不飽和二重結合を有していることにより、当該水酸基、アミノ基または不飽和二重結合とトップコート層の主成分である樹脂組成物とが強固に結合し、無機ナノ粒子をトップコート層の表面に固定化するので、当該無機ナノ粒子の脱落を防止して極めて耐擦傷性に優れた化粧シートを提供することができる。
本発明の第2の形態の化粧シートは、複数の樹脂層からなる化粧シートにおいて、前記化粧シートの最表面に位置するトップコート層に対して、水酸基、アミノ基または不飽和二重結合を有する分散剤と、10〜50nmの範囲内の粒子径とされた無機ナノ粒子とが添加されており、前記分散剤が、リン脂質からなる単層膜の外膜を具備するベシクルに内包されている分散剤ベシクルであることを特徴とする。
このような、本発明の第2の形態の化粧シートとすることにより、分散剤ベシクルの高い分散性によって、10〜50nmという極小サイズの無機ナノ粒子をも均一に分散させることができるので、優れた透明性、耐擦傷性および耐後加工性を実現したトップコート層を具備する化粧シートを提供することを可能とする。また、分散剤が水酸基、アミノ基または不飽和二重結合を有していることにより、当該水酸基、アミノ基または不飽和二重結合とトップコート層の主成分である樹脂組成物とが強固に結合し、無機ナノ粒子をトップコート層の表面に固定化するので、当該無機ナノ粒子の脱落を防止して極めて耐擦傷性に優れた化粧シートを提供することができる。
本発明の第3の形態の化粧シートは、前記トップコート層の主成分が、硬化型樹脂であることを特徴とする。
このような、本発明の第3の形態の化粧シートとすることにより、硬化型樹脂の架橋による硬化によってトップコート層の耐擦傷性を向上させることができるとともに、Vカット曲げ加工などの耐後加工性に優れた柔軟性をも備えた化粧シートを提供することができる。
本発明の第4の形態の化粧シートは、前記トップコート層の下層には、結晶性ポリプロピレン樹脂を主成分とする透明樹脂層が設けられており、前記透明樹脂層には、単層膜の外膜を具備するベシクルに造核剤が内包されている造核剤ベシクルが添加されていることを特徴とする。
このような、本発明の第4の形態の化粧シートとすることにより、優れた透明性、耐擦傷性および耐後加工性を有する透明樹脂層を具備した化粧シートを提供することができる。
本発明においては、意匠性の観点から高い透明性と、表面の耐擦傷性およびV溝曲げ加工等の後加工の影響を受けない耐後加工性とに優れたトップコート層を有する化粧シートを提供することを可能とする。
本発明の化粧シートの実施形態を示す断面図
本発明の第1実施形態の化粧シートは、複数の樹脂層からなる化粧シートにおいて、当該化粧シートの最表面に位置するトップコート層に対して、水酸基、アミノ基または不飽和二重結合を有する分散剤と、10〜50nmの範囲内の粒子径とされた無機ナノ粒子とが添加して形成されており、当該無機ナノ粒子が、当該分散剤を含む単層膜の外膜を具備するベシクルに内包された無機ナノ粒子ベシクルとされている。
当該無機ナノ粒子ベシクルは、超臨界逆相蒸発法によって調製するようにされており、その形態はカプセル状で、カプセルの外殻としての外膜は分散剤を含む単層膜とされている。また、このような無機ナノ粒子ベシクルは、トップコート層を形成する樹脂組成物中においては、当該分散剤を含む外膜が破れて、内包されていた無機ナノ粒子が露出して樹脂組成物と接触するようにして存在している場合もある。
ここで、超臨界逆相蒸発法について説明する。超臨界逆相蒸発法とは、超臨界状態または臨界点以上の温度条件もしくは圧力条件下の二酸化炭素にベシクルの外膜を構成する分散剤を含む物質を均一に溶解させた混合物中に、封入物質としての無機ナノ粒子を含む水相を加えて、一層の膜で封入物質としての無機ナノ粒子を包含したカプセル状のベシクルを形成する方法である。ベシクルとは、球殻状に閉じた膜構造を有する小胞の内部に液相を含むものの総称である。なお、超臨界状態の二酸化炭素とは、臨界温度(30.98℃)および臨界圧力(7.3773±0.0030MPa)以上の超臨界状態にある二酸化炭素を意味し、臨界点以上の温度条件もしくは圧力条件下の二酸化炭素とは、臨界温度だけ、あるいは臨界圧力だけが臨界条件を超えた条件下の二酸化炭素を意味するものである。この方法により、直径50〜800nmの単層ラメラベシクルを得ることができる。なお、超臨界逆相蒸発法のより詳しい内容については、本発明者等が提案している特表2002/032564号公報、特開2003−119120号公報、特開2005−298407号公報および特開2008−063274号公報(以下、「超臨界逆相蒸発法公報類」と称する)に開示されている。
無機ナノ粒子としては、ナノ化できる無機粒子であればよく、例えば、α−アルミナ、シリカ、ベーマイト、酸化鉄、酸化マグネシウム、ダイヤモンドなどのナノ粒子を用いることができる。粒子形状は、球状、楕円形状、多面体形状、鱗片形状など10〜50nmの範囲内の粒子径とされていればよく、特に限定するものではない。無機ナノ粒子は、異なる粒子径、異なる種類を複数混合して用いてもよい。配合量は、トップコート層の主成分である樹脂組成物100重量部に対して、0.005〜20重量部の割合となるように添加することが好ましい。
このような、無機ナノ粒子は、ゾルゲル法、逆ミセル法またはホットソープ法などのナノ化方法によって得ることができる。各ナノ化方法の概要は下記の通りである。
ゾルゲル法とは、アルコキシド系の前駆体を加熱等によってゾル状態としたのち、加水分解や重縮合などの化学反応を行ってナノ粒子を作る方法である。
逆ミセル法とは、有機溶媒中に1あるいは2種類の反応性原料水溶液を界面活性剤とともに注入することによって逆ミセルを作成し、そのミセルの中で、熱分解等の化学反応を行ってナノ粒子を作る方法である。
ホットソープ法とは、界面活性剤そのものを溶媒とし、金属水溶液を注入・激しく攪拌することで微小水滴ミセルを形成させ、熱分解あるいは、2種類の反応性原料間の反応を行って、ナノ粒子を合成する方法である。作成したナノ粒子は、周囲を界面活性剤で被覆保護されている。
分散剤としては、水酸基、アミノ基または不飽和二重結合を有するものを用いることが好ましい。より具体的には、水酸基を有する分散剤としては、12−ヒドロキシステアリン酸やリシノール酸などとリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウムなどが結合したもの、ソルビタン脂肪酸エステル、アルコール変性シリコーンオイル、アルコール変性ワックス、酸化ワックス、カルナバワックスが挙げられる。
アミノ基を有する分散剤としては、ポリカルボン酸アルキルアミン、アルキルポリアミン、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、n−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、n−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、n−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、bis(4-aminobenzoato-O)(isooctadecanoato-O)(propan-2-olato)titanium、bis[2-[(2-aminoethyl)amino]ethanolato][2-[(2-aminoethyl)amino]ethanolato-O](propan-2-olato)titanate、アミノ変性シリコーンオイルが挙げられる。
また、不飽和二重結合を有する分散剤としては、脂肪族多価ポリカルボン酸、ポリカルボン酸アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステルなどの高分子系の界面活性剤、オレイン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、リノレン酸等の脂肪酸とリチウム,ナトリウム,カリウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウム,亜鉛,アルミニウム等が結合した脂肪酸金属塩、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、hydrogen tetrakis[2,2-bis[(allyloxy)methyl]butan-1-olato-O1]bis(ditridecyl phosphito -O'')titanate(2-)、Titanium,bis(isooctadecanoato-kO)bis(2-propanolato)- (9CI)などのチタネートカップリング剤、ポリオレフィンを熱分解したものやそれをさらに酸化したなどのワックスが挙げられる。
トップコート層の主成分としては、硬化型樹脂を用いることが好ましい。具体的には、熱硬化型樹脂および光硬化型樹脂を用いることができるが、特に、熱硬化型樹脂のみ、もしくは熱硬化型樹脂と光硬化型樹脂との混合樹脂を用いることが好ましい。このような硬化型樹脂を用いることによって、表面硬度の向上、硬化収縮の抑制および無機微粒子との密着性を向上させることができる。
熱硬化型樹脂としては、ポリウレタン系、アクリルシリコン系、フッ素系、エポキシ系、ビニル系、ポリエステル系、メラミン系、アルミノアルキッド系、尿素系などから適宜選択して用いることができるが、特に、2液硬化型のウレタン系のものを用いることが好ましい。ウレタン系の熱硬化型樹脂は、作業性、価格、樹脂自体の凝集力などの観点から好適である。ウレタン系樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネートとを反応させて得られるウレタン系のものを用いてもよい。イソシアネートには、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチルヘキサンジイソシアネート(HTDI)、メチルシクロヘキサノンジイソシアネート(HXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)などから適宜選択することができるが、耐候性を考慮すると、直鎖状の分子構造を有するヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)を用いることが好ましい。
光硬化型樹脂としては、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、アクリルアクリレート系などから適宜選択して用いることができるが、特に、耐候(光)性が良好なウレタンアクリレート系およびアクリルアクリレート系のものを用いることが好ましい。
熱硬化型樹脂と光硬化型樹脂との混合樹脂については、例えば、熱硬化型樹脂としてのイソシアネートを用いた2液硬化型のウレタン系樹脂と、光硬化型樹脂としてのウレタンアクリレート系樹脂とを混合して用いることが好ましく、これによって、表面硬度の向上、硬化収縮の抑制および耐後加工性を付与することができる。なお、樹脂材料の形態は、水性、エマルジョン、溶剤系など特に限定されるものではない。
なお、硬化型樹脂と分散剤とには性質上好ましい組み合わせが存在し、水酸基またはアミノ基を有する分散剤を用いる場合には、熱硬化型樹脂、特にイソシアネート化合物を用いることが好ましく、当該イソシアネート化合物と分散剤の水酸基またはアミノ基とが反応して、トップコート層の表面に無機ナノ粒子を固定化した構造を形成するので、飛躍的にトップコート層の表面の耐擦傷性を向上させることができる。同様に、不飽和二重結合を有する分散剤を用いる場合には、光硬化型樹脂単体もしくは熱硬化型樹脂および光硬化型樹脂との混合樹脂を用いることが好ましく、不飽和二重結合と光硬化型樹脂とが反応してトップコート層の表面に無機ナノ粒子を固定化した構造を形成してトップコート層の表面の耐擦傷性を飛躍的に向上させることができる。
上述のような、本発明の第1実施形態における化粧シートにおいては、まず、10〜50nmという極小サイズの無機ナノ粒子を用いることにより、粒子を添加することによって生じる光の散乱を抑制し、さらに、当該無機ナノ粒子を分散剤を含む単層膜の外膜を具備するベシクルに内包された無機ナノ粒子ベシクルとして添加していることにより、樹脂組成物中において無機ナノ粒子の二次凝集を抑制して均一に分散させることができるので、優れた透明性、耐擦傷性および耐後加工性に優れたトップコート層を備えた化粧シートを提供することができる。
本発明の第2実施形態の化粧シートは、複数の樹脂層からなる化粧シートにおいて、当該化粧シートの最表面に位置するトップコート層に対して、水酸基、アミノ基または不飽和二重結合を有する分散剤と、10〜50nmの範囲内の粒子径とされた無機ナノ粒子とが添加して形成されており、当該分散剤が、リン脂質からなる単層膜の外膜を具備するベシクルに内包されている分散剤ベシクルとされている。
当該分散剤ベシクルは、第1実施形態において説明した超臨界逆相蒸発法によって調製することが可能であり、カプセルの外殻としての外膜はリン脂質からなる単層膜とされており、当該単層膜によって分散剤を包含されている。このような分散剤ベシクルは、トップコート層を形成する樹脂組成物中においては、リン脂質からなる外膜が破れて、内包されていた分散剤が露出して樹脂組成物と接触するようにして存在している場合もある。
リン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、カルジオピン、黄卵レシチン、水添黄卵レシチン、大豆レシチン、水添大豆レシチン等のグリセロリン脂質、スフィンゴミエリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロール等のスフィンゴリン脂質などが挙げられる。
無機ナノ粒子、分散剤および硬化型樹脂については、第1実施形態と同様のものを用いることができるので説明を省略する。
上述のような、本発明の第2実施形態における化粧シートにおいては、まず、10〜50nmという極小サイズの無機ナノ粒子を用いることにより、粒子を添加することによって生じる光の散乱を抑制し、さらに、分散剤をリン脂質からなる単層膜の外膜を具備するベシクルに内包した分散剤ベシクルとして当該無機ナノ粒子と合わせて添加していることにより、当該分散剤ベシクルが樹脂組成物中において均一に分散することで、無機ナノ粒子の二次凝集をも抑制して当該無機ナノ粒子を均一に分散させることができるので、優れた透明性、耐擦傷性および耐後加工性に優れたトップコート層を備えた化粧シートを提供することができる。
以下に本発明の化粧シートの具体的な構成を図1を用いて説明する。
本発明の化粧シート1は、図1に示すように、複数の樹脂層からなる化粧シート1であって、表面側からトップコート層2、透明樹脂層3、接着剤層4、絵柄印刷層5、原反層6、隠蔽層7、プライマー層8の順で積層された構成とされており、木質ボード類、無機質ボード類または金属板などからなる基材Bに貼り付けて用いる。
トップコート層2としては、上記の第1実施形態または第2実施形態に記載の態様とされている。また、トップコート層2を形成する樹脂組成物に対しては、その特性を損なわない範囲内において、例えば、紫外線吸収剤、光安定化剤、抗菌剤、防かび剤などの機能性添加剤を添加することができる。
透明樹脂層3としては、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましく、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテンなどの他に、αオレフィン(例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなど)を単独重合あるいは2種類以上共重合させたものや、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・エチルメタクリレート共重合体、エチレン・ブチルメタクリレート共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体などのように、エチレンまたはαオレフィンとそれ以外のモノマーとを共重合させたものが挙げられる。
特に、透明樹脂層3としては、化粧シート1の表面強度の向上を図る上で結晶性ポリプロピレン樹脂を用いることが好適である。また、当該結晶性ポリプロピレン樹脂に対して、単層膜の外膜を具備するベシクルに造核剤が内包されている造核剤ベシクルを添加することにより、透明性、耐擦傷性および耐後加工性においてより優れた透明樹脂層3を得ることができる。なお、当該造核剤ベシクルは、上述の超臨界逆相蒸発法により調製することができる。
造核剤としては、例えば、リン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩、ベンジリデンソルビトール、キナクリドン、シアニンブルーおよびタルク等が挙げられる。特に、本発明においては、ナノ化処理の効果を最大限に得るべく、非溶融型で良好な透明性が期待できるリン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩を用いることが好ましいが、ナノ化処理によって材料自体の透明化が可能な場合には、有色のキナクリドン、シアニンブルー、タルクなども用いることができる。また、非溶融型の造核剤に対して、溶融型のベンジリデンソルビトールを適宜混合して用いるようにしてもよい。
また、当該透明樹脂層3に対しては、必要に応じて既存の熱安定化剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤および艶調整剤等の各種添加剤を添加することもできる。
接着剤層4としては、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系などから適宜選択して用いることが好ましい。なお、接着剤層4は、透明樹脂層3と後述の絵柄印刷層5との接着強度が十分に得られる場合には、省略してもよい。
絵柄印刷層5としては、バインダーとしての硝化綿、セルロース、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル系等の単独もしくは各変性物等に対して、通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、各種添加剤などを添加したものを用いることができる。汎用性の高い顔料としては、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等が挙げられる。なお、バインダーは、水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでもよく、硬化方法についても1液タイプ、主剤と硬化剤とからなる2液タイプ、もしくは、紫外線や電子線などによって硬化するタイプなど特に限定するものではない。中でも最も一般的な方法は、2液タイプのもので、ウレタン系の主剤と、イソシアネートからなる硬化剤を用いる方法である。この他にも、各種金属の蒸着やスパッタリングで意匠を施すようにしてもよい。
原反層6としては、薄葉紙、チタン紙、樹脂含浸紙等の紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、アクリル等の合成樹脂、あるいはこれら合成樹脂の発泡体、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合ゴム、ポリウレタン等のゴム、有機もしくは無機系の不織布、合成紙、アルミニウム、鉄、金、銀等の金属箔等から適宜選択して用いることができる。
隠蔽層7としては、絵柄模様層3と同じ材料から構成することができるが、隠蔽性を保たせることを目的としているので、顔料としては不透明な顔料、酸化チタン、酸化鉄等を使用することが好ましい。また隠蔽性を上げるために金、銀、銅、アルミ等の金属を添加することも可能である。一般的にはフレーク状のアルミを添加することが多い。なお、隠蔽層7は、原反層6が不透明で隠蔽性を有している場合には、省略することができる。
プライマー層8としては、基本的には絵柄印刷層5と同じ材料を用いることができるが、化粧シート1の裏面に施されるためにウエブ状で巻取りを行うことを考慮すると、ブロッキングを避けて且つ化粧シート1と基材Bとの間に設けられる接着剤との密着を高めるために、絵柄印刷層5を構成するバインダーに対して、さらにシリカ、アルミナ、マグネシア、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機充填剤を添加することが好適である。
上記の構成の化粧シート1においては、印刷作業性やコストなどを考慮して、トップコート層2は3〜20μm、透明樹脂層3は20〜200μm、接着剤層4は1〜20μm、絵柄印刷層5は3〜20μm、原反層6は20〜150μm、隠蔽層7は2〜20μm、プライマー層8は0.1〜20μmの範囲内とすることが望ましく、化粧シート1の総厚は49〜450μmの範囲内とすることが好適である。
上述の構成の化粧シート1の作製方法は、まずは、透明樹脂層3としての透明樹脂シート3を溶融押し出し成形により製膜し、得られた透明樹脂シート3の両面にコロナ処理を施して濡れ張力が40dyn/cm以上となる濡れとする。同様に、溶融押し出し成形により製膜した原反層6としての原反樹脂シート6について、一方の面に対してグラビア印刷方式にて絵柄印刷を施して絵柄印刷層5を形成するとともに、他方の面に対して隠蔽層7およびプライマー層8を順に重ねて形成する。そして、絵柄印刷層5に重ねて、接着剤層4を設けるとともに、当該接着剤層4を介して前記原反樹脂シート6と前記透明樹脂シート3とをドライラミネート方法により貼り合わせる。最後に、透明樹脂シート3の表面に対してエンボス模様3aを施した後、当該エンボス模様3aを覆うようにトップコート層2を塗布して形成することにより化粧シート1を得る。
なお、化粧シート1の作製方法は、上記の方法に限定するものではなく、例えば、絵柄印刷層5については、グラビア印刷方式以外にオフセット印刷方式、スクリーン印刷方式、フレキソ印刷方式、インキジェット印刷方式などによって形成することができる。原反樹脂シート6と透明樹脂シート3との貼り合わせ方法については、ドライラミネート方法以外に、熱圧を応用した方法、押し出しラミネート方法を用いることができる。
また、本発明の化粧シート1における透明樹脂層3を形成する樹脂組成物は、下記の方法にて調製される。まず、超臨界逆相蒸発法による造核剤ベシクルの調製方法は、メタノール100重量部、造核剤としてのリン酸エステル金属塩系造核剤(アデカスタブNA−11、ADEKA社製)82重量部、ベシクルの外膜を構成する物質としてのホスファチジルコリン5重量部を60℃に保たれた高圧ステンレス容器に入れて密閉し、圧力が20MPaとなるように二酸化炭素を注入して超臨界状態とした後、激しく攪拌混合しながらイオン交換水を100重量部注入する。容器内の温度および圧力を超臨界状態に保持した状態で15分間攪拌後、二酸化炭素を排出して大気圧に戻すことによって単層膜の外膜を具備するベシクルに上記造核剤が内包された造核剤ベシクルを得る。実際に透明樹脂層3としての透明樹脂シート3を形成する際には、ペンタッド分率が97.8%、MFR(メルトフローレート)が15g/10min(230℃)、分子量分布MWD(Mw/Mn)が2.3の高結晶化ホモポリプロピレン樹脂に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:BASF社製)を500PPMと、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン328:BASF社製)を2000PPMと、ヒンダードアミン系光安定剤(キマソーブ944:BASF社製)を2000PPMと、上記造核剤ベシクルを1000PPMとを添加した樹脂を溶融押出機を用いて押し出し、透明樹脂層3として使用する厚さ80μmの高結晶性ポリプロピレン製の透明樹脂シート3を得る。
以下に、本発明の化粧シート1の具体的な実施例について説明する。
<無機ナノ粒子ベシクルの調製>
まず、以降の実施例において用いる無機ナノ粒子ベシクルの調製方法について説明する。無機ナノ粒子ベシクルは、超臨界逆相蒸発法により、まず、メタノール100重量部、無機ナノ粒子としての粒子径40nmのシリカナノ粒子(AEROSIL OX50、エボニック社製)64重量部、水酸基を有する分散剤としてのアルコール変性シリコーンオイル(XF42−B0970、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製)6重量部、ベシクルの外膜を構成するリン脂質としてのホスファチジルコリン5重量部を60℃に保たれた高圧ステンレス容器に入れて密閉し、圧力が20MPaになるように当該容器内に二酸化炭素を注入して超臨界状態とする。その後、当該容器内を激しく攪拌するとともに、イオン交換水100重量部を注入する。温度と圧力を超臨界状態に保ちながらさらに15分間攪拌混合後、二酸化炭素を容器から排出して大気圧に戻すことでリン脂質からなる単層膜の外膜(分散剤を含む)を具備するベシクルに無機ナノ粒子を内包する無機ナノ粒子ベシクルを得た。なお、上記の分散剤をアミノ基を有する分散剤としての3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903、信越化学工業(株)製)もしくは、不飽和二重結合を有する分散剤としての3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503、信越化学工業(株)製)に変更することにより、各反応基を有する分散剤を含む外膜を有するベシクルに内包された無機ナノ粒子ベシクルを得ることができる。
<分散剤ベシクルの調製>
また、以降の実施例および比較例において用いる分散剤ベシクルの調製方法について説明する。分散剤ベシクルは、超臨界逆相蒸発法により、まず、メタノール100重量部、水酸基を有する分散剤としてのアルコール変性シリコーンオイル(XF42−B0970、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製)70重量部、ベシクルの外膜を構成するリン脂質としてのホスファチジルコリン5重量部を60℃に保たれた高圧ステンレス容器に入れて密閉し、圧力が20MPaになるように当該容器内に二酸化炭素を注入して超臨界状態とする。その後、当該容器内を激しく攪拌するとともに、イオン交換水100重量部を注入する。温度と圧力を超臨界状態に保ちながらさらに15分間攪拌混合後、二酸化炭素を容器から排出して大気圧に戻すことでリン脂質からなる単層膜の外膜を具備するベシクルに水酸基を有する分散剤を内包する分散剤ベシクルを得た。なお、上記の分散剤をアミノ基を有する分散剤としての3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903、信越化学工業(株)製)もしくは、不飽和二重結合を有する分散剤としての3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503、信越化学工業(株)製)に変更することにより、各反応基を有する分散剤が内包された分散剤ベシクルを得ることができる。
<造核剤ベシクルの調製>
さらに、以降の実施例および比較例において透明樹脂層3に添加される造核剤ベシクルの調製方法について説明する。造核剤ベシクルは、超臨界逆相蒸発法により、まず、メタノール100重量部、造核剤としてのリン酸エステル金属塩系造核剤(アデカスタブNA−11、ADEKA社製)82重量部、ベシクルの外膜を構成する物質としてのホスファチジルコリン5重量部を60℃に保たれた高圧ステンレス容器に入れて密閉し、圧力が20MPaとなるように二酸化炭素を注入して超臨界状態とした後、激しく攪拌混合しながらイオン交換水を100重量部注入する。容器内の温度および圧力を超臨界状態に保持した状態で15分間攪拌後、二酸化炭素を排出して大気圧に戻すことによってリン脂質からなる単層膜の外膜を具備するベシクルに造核剤を内包した造核剤ベシクルを得る。
<造核剤ベシクルを添加した透明樹脂層3の調製および製膜方法>
以下に、上記の造核剤ベシクルを添加した透明樹脂層3を形成する樹脂組成物の詳しい調製方法と透明樹脂シート3の製膜方法を説明する。透明樹脂層3を形成する樹脂組成物は、ペンタッド分率が97.8%、MFR(メルトフローレート)が15g/10min(230℃)、分子量分布MWD(Mw/Mn)が2.3の高結晶化ホモポリプロピレン樹脂に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:BASF社製)500PPMと、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン328:BASF社製)2000PPMと、ヒンダードアミン系光安定剤(キマソーブ944:BASF社製)2000PPMと、前記造核剤ベシクル1000PPMとを添加したものを用いる。そして、当該樹脂組成物を溶融押出機を用いて溶融・押出し、透明樹脂層3として使用する厚さ100μmの透明樹脂シート3として製膜した。
<実施例1>
実施例1においては、前記造核剤ベシクルを添加した透明樹脂層3(透明樹脂シート3)の表面に対して、アミノ基を有する分散剤を含む単層膜を具備するベシクルに粒子径40nmの無機ナノ粒子を内包した無機ナノ粒子ベシクル0.05重量部を、熱硬化型樹脂100重量部に添加した樹脂組成物によって形成されたトップコート層2を備える化粧シート1とした。
具体的には、上述の造核剤ベシクルを添加した透明樹脂層3としての透明樹脂シート3の両面にコロナ処理を施して濡れ張力が40dyn/cm以上となる濡れとする。また、隠蔽性のある70μmの原反層としての原反樹脂シート6の一方の面に、2液型ウレタンインキ(V180、東洋インキ製造株式会社製)のバインダー樹脂分に対してヒンダードアミン系光安定化剤(キマソーブ944,BASF社製)0.5重量部%を添加したインキを用いてグラビア印刷方式にて絵柄印刷層5を形成し、原反樹脂シート6の他方の面にプライマー層8を形成した。しかる後、絵柄印刷層5に重ねるように接着剤層4としてのドライラミネート用接着剤(タケラックA540、三井化学(株)製;塗布量2g/m)を積層し、当該接着剤層4を介して原反樹脂シート6と透明樹脂シート3とをドライラミネート法によって貼り合わせた。また、透明樹脂シート3の表面にエンボス模様3aを施した後、熱硬化型樹脂である2液硬化型ウレタントップコート(W184、DICグラフィックス社製)100重量部に対して、無機ナノ粒子として粒子径40nmのシリカナノ粒子(AEROSIL OX50、エボニック社製)を用いて調製した上記無機ナノ粒子ベシクル0.05重量部を配合した樹脂組成物を塗布量15g/mにて当該エンボス模様3aを覆うように塗布してトップコート層2を形成し、総厚200μmの図1に示す本発明の化粧シート1を得た。
<実施例2>
実施例2においては、前記造核剤ベシクルを添加した透明樹脂層3(透明樹脂シート3)の表面に対して、不飽和二重結合を有する分散剤を含む単層膜を具備するベシクルに粒子径40nmの無機ナノ粒子を内包した無機ナノ粒子ベシクル0.05重量部を、熱硬化型樹脂60重量部および光硬化型樹脂40重量部の混合樹脂に添加した樹脂組成物によって形成されたトップコート層2を備える化粧シート1とした。
具体的には、基本的な各樹脂層の構成は実施例1の化粧シート1と同じであるが、トップコート層2として、熱硬化型樹脂である2液硬化型ウレタントップコート(W184、DICグラフィックス社製)60重量部および光硬化型樹脂である光硬化型ウレタンアクリレート(ユニディック17−824−9、DICグラフィックス社製)40重量部を混合した混合樹脂に対して、無機ナノ粒子として粒子径40nmのシリカナノ粒子(AEROSIL OX50、エボニック社製)を用いて調製した上記無機ナノ粒子ベシクル0.05重量部を配合した樹脂組成物を用いて、図1に示す本発明の化粧シート1を得た。
<実施例3>
実施例3においては、造核剤を添加しない透明樹脂層3(透明樹脂シート3)の表面に対して、アミノ基を有する分散剤を含む単層膜を具備するベシクルに粒子径40nmの無機ナノ粒子を内包した無機ナノ粒子ベシクル0.05重量部を、熱硬化型樹脂100重量部に添加した樹脂組成物によって形成されたトップコート層2を備える化粧シート1とした。
具体的には、基本的な各樹脂層の構成は実施例1の化粧シート1と同じであるが、透明樹脂シート3として、ペンタット分率が97.8%、MFR(メルトフローレート)が15g/10min(230℃)、分子量分布MWD(Mw/Mn)が2.3の高結晶性ポリプロピレン樹脂に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010、BASF社製)を500ppmと、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン328、BASF社製)を2000ppmと、ヒンダードアミン系光安定化剤(キマソーブ944、BASF社製)を2000ppmとを添加した樹脂組成物を用いるとともに、トップコート層2として、熱硬化型樹脂である2液硬化型ウレタントップコート(W184、DICグラフィックス社製)100重量部に対して、無機ナノ粒子として粒子径40nmのシリカナノ粒子(AEROSIL OX50、エボニック社製)を用いて調製した上記無機ナノ粒子ベシクル0.05重量部を配合した樹脂組成物を用いて、図1に示す本発明の化粧シート1を得た。
<実施例4>
実施例4においては、前記造核剤ベシクルを添加した透明樹脂層3(透明樹脂シート3)の表面に対して、リン脂質からなる単層膜を具備するベシクルにアミノ基を有する分散剤が内包された分散剤ベシクル0.005重量部および粒子径40nmの無機ナノ粒子0.05重量部を、熱硬化型樹脂100重量部に添加した樹脂組成物によって形成されたトップコート層2を備える化粧シート1とした。
具体的には、基本的な各樹脂層の構成は実施例1の化粧シート1と同じであるが、トップコート層2として、熱硬化型樹脂である2液硬化型ウレタントップコート(W184、DICグラフィックス社製)100重量部に対して、アミノ基を有する分散剤として3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903;信越化学工業(株)製)を用いて調製した上記分散剤ベシクル0.005重量部および粒子径40nmのシリカナノ粒子(AEROSIL OX50、エボニック社製)0.05重量部を添加した樹脂組成物を用いて、図1に示す本発明の化粧シート1を得た。
<実施例5>
実施例5においては、前記造核剤ベシクルを添加した透明樹脂層3(透明樹脂シート3)の表面に対して、リン脂質からなる単層膜を具備するベシクルに不飽和二重結合を有する分散剤が内包された分散剤ベシクル0.005重量部および粒子径40nmの無機ナノ粒子0.05重量部を、熱硬化型樹脂60重量部および光硬化型樹脂40重量部の混合樹脂に添加した樹脂組成物によって形成されたトップコート層2を備える化粧シート1とした。
具体的には、基本的な各樹脂層の構成は実施例1の化粧シート1と同じであるが、トップコート層2として、熱硬化型樹脂である2液硬化型ウレタントップコート(W184、DICグラフィックス社製)60重量部および光硬化型樹脂である光硬化型ウレタンアクリレート(ユニディック17−824−9、DICグラフィックス社製)40重量部を混合した混合樹脂に対して、不飽和二重結合を有する分散剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503;信越化学工業(株)製)を用いて調製した上記分散剤ベシクル0.005重量部および粒子径40nmのシリカナノ粒子(AEROSIL OX50、エボニック社製)0.05重量部を添加した樹脂組成物を用いて、図1に示す本発明の化粧シート1を得た。
<実施例6>
実施例6においては、造核剤を添加しない透明樹脂層3(透明樹脂シート3)の表面に対して、リン脂質からなる単層膜を具備するベシクルにアミノ基を有する分散剤が内包された分散剤ベシクル0.005重量部および粒子径40nmの無機ナノ粒子0.05重量部を、熱硬化型樹脂100重量部に添加した樹脂組成物によって形成されたトップコート層2を備える化粧シート1とした。
具体的には、基本的な各樹脂層の構成は実施例1の化粧シート1と同じであるが、トップコート層2として、熱硬化型樹脂である2液硬化型ウレタントップコート(W184、DICグラフィックス社製)100重量部に対して、アミノ基を有する分散剤として3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903;信越化学工業(株)製)を用いて調製した上記分散剤ベシクル0.005重量部および粒子径40nmのシリカナノ粒子(AEROSIL OX50、エボニック社製)0.05重量部を添加した樹脂組成物を用いて、図1に示す本発明の化粧シート1を得た。
<比較例1>
比較例1においては、前記造核剤ベシクルを添加した透明樹脂層3(透明樹脂シート3)の表面に対して、アミノ基を有する分散剤0.005重量部および粒子径40nmの無機ナノ粒子0.05重量部を、熱硬化型樹脂100重量部に添加した樹脂組成物によって形成されたトップコート層2を備える化粧シート1とした。
具体的には、基本的な各樹脂層の構成は実施例1の化粧シート1と同じであるが、トップコート層2として、熱硬化型樹脂である2液硬化型ウレタントップコート(W184、DICグラフィックス社製)100重量部に対して、アミノ基を有する分散剤としての3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903;信越化学工業(株)製)0.005重量部および粒子径40nmのシリカナノ粒子(AEROSIL OX50、エボニック社製)0.05重量部を添加した樹脂組成物を用いて、図1に示す化粧シート1を得た。
<比較例2>
比較例2においては、前記造核剤ベシクルを添加した透明樹脂層3(透明樹脂シート3)の表面に対して、リン脂質からなる単層膜を具備するベシクルに反応基を有していない分散剤が内包された分散剤ベシクル0.005重量部および粒子径40nmの無機ナノ粒子0.05重量部を、熱硬化型樹脂100重量部に添加した樹脂組成物によって形成されたトップコート層2を備える化粧シート1とした。
具体的には、基本的な各樹脂層の構成は実施例1の化粧シート1と同じであるが、トップコート層2として、熱硬化型樹脂である2液硬化型ウレタントップコート(W184、DICグラフィックス社製)100重量部に対して、反応基を有していない分散剤として12−ヒドロステアリン酸マグネシウム(MS−6;日東化成工業(株)製)を用いて調製した上記分散剤ベシクル0.005重量部および粒子径40nmのシリカナノ粒子(AEROSIL OX50、エボニック社製)0.05重量部を添加した樹脂組成物を用いて、図1に示す化粧シート1を得た。
<比較例3>
比較例3においては、前記造核剤ベシクルを添加した透明樹脂層3(透明樹脂シート3)の表面に対して、リン脂質からなる単層膜を具備するベシクルにアミノ基を有する分散剤が内包された分散剤ベシクル0.005重量部および粒子径4.5μmの無機微粒子0.05重量部を、熱硬化型樹脂100重量部に添加した樹脂組成物によって形成されたトップコート層2を備える化粧シート1とした。
具体的には、基本的な各樹脂層の構成は実施例1の化粧シート1と同じであるが、トップコート層2として、熱硬化型樹脂である2液硬化型ウレタントップコート(W184、DICグラフィックス社製)100重量部に対して、アミノ基を有する分散剤としての3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903;信越化学工業(株)製)を用いて調製した上記分散剤ベシクル0.005重量部および粒子径4.5μmのシリカ微粒子(AEROSIL OX50、エボニック社製)0.05重量部を添加した樹脂組成物を用いて、図1に示す化粧シート1を得た。
<比較例4>
比較例4においては、前記造核剤ベシクルを添加した透明樹脂層3(透明樹脂シート3)の表面に対して、リン脂質からなる単層膜を具備するベシクルにアミノ基を有する分散剤が内包された分散剤ベシクル0.0001重量部および粒子径40nmの無機ナノ粒子0.001重量部を、熱硬化型樹脂100重量部に添加した樹脂組成物によって形成されたトップコート層2を備える化粧シート1とした。
具体的には、基本的な各樹脂層の構成は実施例1の化粧シート1と同じであるが、トップコート層2として、熱硬化型樹脂である2液硬化型ウレタントップコート(W184、DICグラフィックス社製)100重量部に対して、アミノ基を有する分散剤としての3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903;信越化学工業(株)製)を用いて調製した上記分散剤ベシクル0.0001重量部および粒子径40nmのシリカナノ粒子(AEROSIL OX50、エボニック社製)0.001重量部を添加した樹脂組成物を用いて、図1に示す化粧シート1を得た。
<比較例5>
比較例5においては、前記造核剤ベシクルを添加した透明樹脂層3(透明樹脂シート3)の表面に対して、リン脂質からなる単層膜を具備するベシクルにアミノ基を有する分散剤が内包された分散剤ベシクル2.5重量部および粒子径40nmの無機ナノ粒子25重量部を、熱硬化型樹脂100重量部に添加した樹脂組成物によって形成されたトップコート層2を備える化粧シート1とした。
具体的には、基本的な各樹脂層の構成は実施例1の化粧シート1と同じであるが、トップコート層2として、熱硬化型樹脂である2液硬化型ウレタントップコート(W184、DICグラフィックス社製)100重量部に対して、アミノ基を有する分散剤としての3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903;信越化学工業(株)製)を用いて調製した上記分散剤ベシクル2.5重量部および粒子径40nmのシリカナノ粒子(AEROSIL OX50、エボニック社製)25重量部を添加した樹脂組成物を用いて、図1に示す化粧シート1を得た。
上記実施例1〜6および上記比較例1〜5で得られた各化粧シート1を、ウレタン系の接着剤を用いて木質基材に貼り合わせた後、目視にて表面の透明性、ホフマンスクラッチ試験およびスチールウールラビング試験にて表面硬度、V溝曲げ加工試験にてV溝曲げ加工適性を判定し、それぞれ評価を行った。得られた評価結果を表1に示す。
各評価試験の試験方法を簡単に説明する。
<ホフマンスクラッチ試験>
ホフマンスクラッチ試験は、ホフマンスクラッチハードネステスター(BYK−Gardner社製)を用いて、1200gの荷重にて、木質基材に貼り合せた各化粧シート1の表面を一定の速度で引っ掻き、化粧シート1の表面の傷つきの有無を目視にて判定した。
<スチールウールラビング試験>
スチールウールラビング試験は、木質基材に貼り合せた各化粧シート1の表面に対し、スチールウールを当接させた状態で治具を用いて固定し、当該治具に500gの荷重をかけたまま一定の速度で、距離50mm、50往復の条件にて擦らせて、化粧シート1の表面の傷つきの有無を目視にて判定した。スチールウールは、ボンスター#0(日本スチールウール(株)製)を丸めて使用した。
表1の評価結果における記号の説明は下記の通りである。
◎:非常に良好な透明性、耐擦傷性または耐後加工性を有する
○:良好な透明性、耐擦傷性または耐後加工性を有する
×:透明性、耐擦傷性または耐後加工性に劣る
Figure 0006781516
実施例1〜6の化粧シート1においては、表1に示すように、透明性が良好であると共に、ホフマンスクラッチ試験、スチールウール試験およびV溝曲げ加工試験においても良好な結果が得られた。これに対して、比較例1〜5の化粧シート1においては、透明性、耐擦傷性および後加工性に劣っていた。
これは、実施例1〜6の化粧シート1については、無機ナノ粒子ベシクルあるいは分散剤ベシクルをトップコート層2に添加することで、無機ナノ粒子を均一に分散させることができるので、良好な透明性と、化粧シートに要求される後加工適性とを維持しながら、無機ナノ粒子に起因して表面硬度が向上したためであると考えられる。
また、比較例1の化粧シート1については、トップコート層2に対してベシクル化していない分散剤を用いたために、無機ナノ粒子の分散性が十分に得られず、化粧シートに必要とされる透明性、耐擦傷性および耐後加工性を得ることができなかったと考えられる。比較例2の化粧シート1については、トップコート層2に対して反応基を有していない分散剤ベシクルを用いたために、熱硬化型樹脂と分散剤との結合が十分に得られず、耐擦傷性に劣る結果になったと考えられる。比較例3の化粧シート1については、無機微粒子の粒子径が大きすぎるために、トップコート層2の表面に凹凸が形成されて透明性が損なわれるとともに、熱硬化型樹脂と無機微粒子とが十分に結合せずに耐擦傷性および耐後加工性に劣る結果になったと考えられる。比較例4の化粧シート1については、分散剤ベシクルの添加量および無機ナノ粒子の添加量が極めて少量であったために、耐擦傷性に劣る結果になったと考えられる。比較例5の化粧シート1については、分散剤ベシクルおよび無機ナノ粒子の添加量が極めて多量であったために、透明性に劣る結果となり、耐擦傷性は摩擦時に無機ナノ粒子が脱落してアブレシブ摩耗が生じたために劣る結果になったと考えられる。
以上の評価結果から、実施例1〜6に示す本発明の化粧シート1は、化粧シートに要求される透明性を備え、極めて耐擦傷性と耐後加工性とに優れた化粧シートであることが明らかとなった。
本発明の化粧シートは、上記の実施形態および実施例に限定されるものではなく、発明の特徴を損なわない範囲において、種々の変更が可能である。
1 化粧シート
2 トップコート層
3 透明樹脂層、透明樹脂シート
3a エンボス模様
4 接着剤層
5 絵柄印刷層
6 原反層、原反樹脂シート
7 隠蔽層
8 プライマー層
B 基材

Claims (3)

  1. 複数の樹脂層からなる化粧シートにおいて、前記化粧シートの最表面に位置するトップコート層に対して、
    水酸基、アミノ基または、炭素原子間に不飽和二重結合を有する分散剤と、
    10〜50nmの範囲内の粒子径とされた無機ナノ粒子と
    が添加されており、
    前記無機ナノ粒子が、リン脂質と前記分散剤を含む単層膜の外膜を具備するベシクルに内包されている無機ナノ粒子ベシクルであり、
    前記トップコート層の主成分が、硬化型樹脂であることを特徴とする化粧シート。
  2. 複数の樹脂層からなる化粧シートにおいて、前記化粧シートの最表面に位置するトップコート層に対して、
    水酸基、アミノ基または、炭素原子間に不飽和二重結合を有する分散剤と、
    10〜50nmの範囲内の粒子径とされた無機ナノ粒子と
    が添加されており、
    前記分散剤が、リン脂質からなる単層膜の外膜を具備するベシクルに内包されている分散剤ベシクルであり、
    前記トップコート層の主成分が、硬化型樹脂であることを特徴とする化粧シート。
  3. 前記トップコート層の下層には、結晶性ポリプロピレン樹脂を主成分とする透明樹脂層が設けられており、
    前記透明樹脂層には、単層膜の外膜を具備するベシクルに造核剤が内包されている造核剤ベシクルが添加されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化粧シート。
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