JP6963273B2 - 化粧シート及び化粧シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、建築物の外装や内装に用いられる建装材、建具の表面、家電品の表面材等に用いられる化粧シート及び化粧シートの製造方法に関する。
従来、特許文献1〜5に示すように、ポリ塩化ビニル製の化粧シートに替わる化粧シートとして、オレフィン系樹脂を使用した化粧シートが数多く提案されている。これらの化粧シートは、ポリ塩化ビニルを使用しないことで、焼却時における有毒ガスの発生等を抑制することができる。しかしながら、特許文献1〜5に記載の化粧シートは、一般的なポリプロピレンシートや軟質ポリプロピレンシートを使用しているため、耐傷性が悪く、ポリ塩化ビニル製の化粧シートの耐傷性に比べ、はるかに劣っているものであった。
特開平2−128843号公報 特開平4−083664号公報 特開平6−001881号公報 特開平6−198831号公報 特開平9−328562号公報 特許第3772634号公報
そこで、本発明者等は、これらの欠点を解消するべく、特許文献6に記載のように、耐傷性や後加工性に優れた化粧シートを提案した。しかしながら、このような化粧シートを用いた化粧板の用途の益々の拡大とともに、消費者の品質に対する意識も益々高度化していることから、化粧シートに対して、耐傷性や後加工性の更なる向上が求められている。
本発明は、上記のような点に着目し、耐傷性と後加工性とに優れた化粧シート及び化粧シートの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様である化粧シートは、オレフィン系樹脂を含む透明樹脂層を有する化粧シートであって、透明樹脂層のMD方向におけるラマン分光法で測定される透明樹脂層の結晶部と非結晶部とのスペクトル強度比である第1強度比が0.9以上2.0以下の範囲内であり、透明樹脂層のTD方向におけるラマン分光法で測定される透明樹脂層の結晶部と非結晶部とのスペクトル強度比である第2強度比が0.9以上1.9以下の範囲内であり、第1強度比と第2強度比との合計値が1.9以上3.6以下の範囲内であることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、透明樹脂層の硬度を適切なものとすることができ、耐傷性と後加工性とに優れた化粧シートを提供することができる。
本発明に係る実施形態の化粧シート及び化粧板の構成を示す断面図である。 ラマン分光法を用いて、ポリプロピレン樹脂の結晶部と非結晶部とのスペクトル強度比を測定した場合のスペクトルを示すグラフである。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
本実施形態の化粧シート1は、図1に示すように、基材層6の一方の面に、絵柄模様層5、透明樹脂層3及び表面保護層2がこの順に積層されている。符号4は接着剤層を示す。また、基材層6の他方の面に、隠蔽層7及びプライマー層8がこの順に形成されている。なお、隠蔽層7は基材層6と絵柄模様層5との間に形成してもよいし省略してもよい。
また、本実施形態の化粧シート1は、表面保護層2と透明樹脂層3との間に、エンボス模様3aが形成されている場合を例示している。なお、エンボス模様3aは、表面保護層2の上面に形成されていてもよい。ここで、「表面保護層2の上面」とは、本実施形態の化粧シート1における最外面を意味し、表面保護層2の透明樹脂層3側の面とは反対側の面を意味する。
また、上記構成の化粧シート1の層厚は、例えば、印刷作業性やコスト等を考慮して、表面保護層2は3μm以上20μm以下、透明樹脂層3は20μm以上200μm以下、接着剤層4は1μm以上20μm以下の範囲内とする。また、絵柄模様層5は3μm以上20μm以下、基材層6は20μm以上150μm以下、隠蔽層7は2μm以上20μm以下、プライマー層8は0.1μm以上20μm以下の範囲内とする。そして、化粧シート1の総厚は49.1μm以上450μm以下の範囲内とする。なお、図1においては、本実施形態の化粧シート1を基材Bに貼り付けて化粧板を構成する場合を例示している。
(基材層6)
基材層6は、紙、樹脂シート、箔等から構成される。紙としては、例えば、薄葉紙、チタン紙、樹脂含浸紙、有機もしくは無機系の不織布、合成紙を用いることができる。樹脂シートの樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、アクリル等の合成樹脂、あるいはこれら合成樹脂の発泡体、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合ゴム、ポリウレタン等のゴムを用いることができる。箔としては、例えば、アルミニウム、鉄、金、銀等の金属箔を用いることができる。
(絵柄模様層5)
絵柄模様層5は、化粧シート1に絵柄模様を付与するための層である。絵柄模様層5の形成方法としては、生産性や絵柄の品位を考慮すると、グラビア印刷法が好ましい。絵柄模様としては、床材や壁材等の使用箇所を考慮して任意の絵柄模様を採用すればよく、木質系の絵柄であれば各種木目が用いられることが多く、木目以外にもコルクを絵柄模様とすることもできる。例えば、大理石等の石材の床をイメージしたものであれば、大理石の石目等を絵柄模様として用いることができる。また、天然材料の絵柄模様以外にそれらをモチーフとした人工的絵柄模様や幾何学模様等の人工的絵柄模様も用いることができる。
印刷インキは、特に限定されるものではなく、印刷方式に対応したインキを適宜選択できる。特に、基材層6に対する密着性や印刷適性、化粧材の耐候性等を考慮して選択することが好ましい。印刷インキには、例えば、通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、バインダーを添加する。顔料としては、例えば、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料を用いることができる。
また、バインダーは、例えば、水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでもよく、硬化方法についても1液タイプ、主剤と硬化剤とからなる2液タイプ、もしくは、紫外線や電子線等によって硬化するタイプ等特に限定するものではない。なかでも最も一般的な方法は、2液タイプのもので、ウレタン系の主剤と、イソシアネートからなる硬化剤を用いる方法である。この他にも、各種金属の蒸着やスパッタリングで意匠を施すようにしてもよい。
(接着剤層4)
接着剤層4は、基材層6及び絵柄模様層5と透明樹脂層3との接着を強固にするための層である。これにより、化粧シート1に対し、曲面や直角面に追随する曲げ加工性を付与することができる。接着剤層4は、透明であることが好ましい。接着剤層4の形成方法としては、例えば、熱ラミネート、押出ラミネート、ドライラミネートを用いることができる。接着剤層4を構成する接着剤(材料)としては、例えば、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系の材料を用いることができる。特に、その凝集力を考慮すると、2液硬化タイプのものであって、イソシアネートを用いたポリオールとの反応で得られるウレタン系の材料を用いることが好ましい。なお、接着剤層4は、基材層6及び絵柄模様層5と透明樹脂層3との接着強度が十分に得られる場合には、省略してもよい。
(透明樹脂層3)
透明樹脂層3は、化粧シート1に意匠的に厚みや深みを出させるほか、化粧シート1の耐候性、耐磨耗性能を向上させるための層である。例えば、環境適合性や加工性、価格等を考慮して、透明なオレフィン系樹脂(ポリオレフィン系樹脂)を用いることができる。透明なオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の他に、αオレフィン(例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセン等)を単独重合あるいは2種類以上共重合させたもの、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・エチルメタクリレート共重合体、エチレン・ブチルメタクリレート共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体等のように、エチレンまたはαオレフィンとその他のモノマーとを共重合させたものを用いることができる。
特に、耐傷性を考慮した場合、オレフィン系樹脂としては、結晶性ポリプロピレン樹脂を含有するものが好ましい。特に、結晶性ポリプロピレン樹脂を、透明樹脂層3の全質量に対して、50質量%以上100質量%以下含有するものがより好ましい。これにより、結晶性ポリプロピレン樹脂の比率が高くなるため、透明樹脂層3を十分に硬くすることができ、耐傷性を向上することができる。さらに、結晶性ポリプロピレン樹脂として、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が95%以上のプロピレン単独重合体である結晶性ポリプロピレン樹脂を用いるものがより好ましい。これにより、結晶性ポリプロピレン樹脂の立体規則性を向上でき、耐傷性や後加工性をより向上することができる。
また、透明樹脂層3は、オレフィン系樹脂に対して、ナノ化処理された造核剤、つまり、ナノサイズの造核剤を添加してもよい。これにより、造核剤の添加によって生じる光の散乱を抑制でき、透明樹脂層3の透明性を損なうことなく、耐傷性と後加工性とをより向上することができる。特に、ナノサイズの造核剤が、ベシクルで内包された造核剤(以下、「造核剤ベシクル」とも呼ぶ)の形で添加されていることが好ましい。これにより、ナノサイズの造核剤の分散性を向上でき、造核剤の凝集を抑制して均一に分散でき、透明性をより向上できる。造核剤ベシクルは、例えば、Bangham法、エクストルージョン法、水和法、界面活性剤透析法、逆相蒸発法、凍結融解法、超臨界逆相蒸発法等で調製できる。なかでも、造核剤の分散性の更なる向上を考慮すると、特に超臨界逆相蒸発法がより好ましい。
超臨界逆相蒸発法とは、超臨界状態または臨界点以上の温度条件下もしくは臨界点以上の圧力条件下の二酸化炭素を用いて対象物質を内包したナノサイズのベシクル(カプセル)を作製する方法である。超臨界状態の二酸化炭素とは、臨界温度(30.98℃)及び臨界圧力(7.3773±0.0030MPa)以上の超臨界状態にある二酸化炭素を意味し、臨界点以上の温度条件下もしくは臨界点以上の圧力条件下の二酸化炭素とは、臨界温度だけ、あるいは臨界圧力だけが臨界条件を超えた条件下の二酸化炭素を意味する。
具体的には、超臨界二酸化炭素とリン脂質と内包物質としての造核剤との混合流体中に水相を注入して攪拌することで、超臨界二酸化炭素と水相とのエマルジョンが生成する。その後、減圧すると二酸化炭素が膨張・蒸発して転相が生じ、リン脂質が造核剤ナノ粒子の表面を単層膜で覆ったナノベシクルが生成する。この超臨界逆相蒸発法によれば、単層膜のベシクルを生成できるので、極めて小さいサイズのベシクルを得ることができる。
なお、超臨界逆相蒸発法のより詳しい内容については、本発明者等が過去に提案している、特表2002−032564号公報、特開2003−119120号公報、特開2005−298407号公報及び特開2008−063274号公報に開示されている。
ナノサイズの造核剤を内包した造核剤ベシクルの平均粒径は、可視光波長(400nm以上750nm以下)の1/2以下とすることが好ましい。光の散乱の抑制を考慮すると、特に200nm以上375nm以下とすることがより好ましい。なお造核剤ベシクルは、樹脂組成物中ではベシクルの外膜が破れて造核剤が露出している状態でも存在している。
造核剤としては、樹脂が結晶化する際に結晶化の起点となる物質であれば特に限定されるものではない。例えば、リン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩、ベンジリデンソルビトール、キナクリドン、シアニンブルー及びタルクを用いることができる。特に、ナノ化処理の効果を最大限に得るべく、非溶融型で良好な透明性が期待できるリン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩を用いることが好ましいが、ナノ化処理によって材料自体の透明化が可能な場合には、例えば、有色のキナクリドン、シアニンブルー、タルク等も用いることができる。また、非溶融型の造核剤に対し、溶融型のベンジリデンソルビトールを適宜混合して用いてもよい。
なお、上記造核剤は、透明樹脂層3を形成する結晶性ポリプロピレン樹脂100質量部に対して0.01質量部以上1.0質量部以下の範囲内で含有されていることが好ましい。造核剤の含有量が上記範囲内であれば、透明樹脂層3の透明性、耐傷性、後加工性がさらに高まる。
また、透明樹脂層3には、必要に応じて既存の熱安定化剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤及び艶調整剤等の各種添加剤を添加してもよい。透明樹脂層3の積層方法は、特に限定されるものではなく、例えば、熱圧を応用した方法、押出ラミネート法及びドライラミネート法等を適宜選択することができる。また、エンボス模様3aを施す場合には、例えば、一旦各種方法でラミネートしたシートに、後から熱圧によりエンボス模様3aを入れる方法や、冷却ロールに凹凸模様を設け、押出ラミネートと同時にエンボス模様3aを施す方法を用いることができる。エンボス加工方法は、特に限定されるものではなく、公知の枚葉式または輪転式のエンボス機を適宜選択することができる。凹凸形状としては、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等を用いることができる。
ここで、透明樹脂層3のMD方向、つまり、透明樹脂層3を形成する際の流れ方向におけるラマン分光法で測定される透明樹脂層3の結晶部と非晶部のスペクトル強度比(以下、「第1強度比」とも呼ぶ)は0.9以上2.0以下の範囲内とする。結晶部と非晶部のスペクトル強度比としては、結晶部のスペクトル強度/非晶部のスペクトル強度を採用する。
また、透明樹脂層3のTD方向、つまり、MD方向とは同一平面の垂直方向におけるラマン分光法で測定される透明樹脂層3の結晶部と非晶部のスペクトル強度比(以下、「第2強度比」とも呼ぶ)は0.9以上1.9以下の範囲内とする。そして、第1強度比と第2強度比との合計値を1.9以上3.6以下の範囲内とする。これにより、透明樹脂層3の結晶部と非結晶部とのそれぞれを適正な分量とし、透明樹脂層3の結晶部が多くなりすぎずまた少なくなりすぎず、適度な硬さを有するため、耐傷性及び後加工性の両方を向上できる。なお、合計値が1.9未満である場合には、非晶部が多すぎる、つまり十分に硬くないために、耐傷性が悪くなってしまう。また、合計値が3.6より大きい場合には、結晶部が多すぎる、つまり硬くなり過ぎてしまうために、後加工性が悪くなってしまう。
なお、透明樹脂層3の樹脂として結晶性ポリプロピレン樹脂を用いた場合、ラマン分光法によるスペクトル測定において、図2に示すように、結晶部のピークが809cm−1に観測され、非晶部のメインピークが842cm−1に観測される。また、839cm−1に非晶部の小ピークが観測されることもある。それゆえ、MD方向及びTD方向のそれぞれで結晶部のピーク強度I809と非晶部のピーク強度(I839+I842)とを測定し、それら測定結果の比率I809/(I839+I842)から、第1強度比と第2強度比とを得ることができる。なお、上記「ピーク強度」が本願の「スペクトル強度」に相当する。
また、ポリプロピレン樹脂の結晶化は、製膜時の温度履歴に大きく依存するため、製膜時の温度履歴を制御することで、スペクトル強度比を上記範囲内に収めることができる。
スペクトル強度比を上記範囲内とするための温度履歴について、Tダイによる押出製膜法に基づく具体例を挙げる。Tダイより230℃で溶融したポリプロピレン樹脂を吐出する場合、Tダイ直下の冷却ロールの温度と溶融樹脂との接触による樹脂温度の冷却プロファイル勾配によって結晶化の度合いを制御することができる。冷却プロファイルは、冷却ロールと溶融樹脂の温度差が大きいほど急勾配となり、結晶化度は小さくなる。この場合、スペクトル強度比を上記範囲内とするための冷却ロール温度設定として、45℃〜80℃が好適となる。
本発明に基づく本実施形態の化粧シートは、結晶性ポリプロピレン樹脂等のオレフィン系樹脂を主成分とする透明樹脂層3を備え、その透明樹脂層3は、ナノサイズの造核剤を含有している。特に、その透明樹脂層3がベシクルに内包されたナノサイズの造核剤(造核剤ベシクル)を含有する点に一つの特徴がある。
上述のように、本実施形態の化粧シートの特徴(発明特定事項)の一つは、「透明樹脂層は、ナノサイズの造核剤を含んでいる」ことにある。そして、その造核剤をベシクルに内包させた状態で樹脂組成物(オレフィン系樹脂)に添加することで、樹脂材料中、すなわち透明樹脂層中への造核剤の分散性が飛躍的に向上するという効果を奏するが、その特徴を、完成された化粧シートの状態における物の構造や特性にて直接特定することは、状況により困難な場合も想定され、非実際的であるといえる。その理由は次の通りである。ベシクルの状態で添加された造核剤は、高い分散性を有して分散された状態になっていて、作製した化粧シートの状態においても、造核剤は透明樹脂層に高分散されている。しかしながら、透明樹脂層を構成する樹脂組成物に造核剤をベシクルの状態で添加して透明樹脂層を作製した後の、化粧シートの作製工程においては、通常、積層体への圧縮処理や硬化処理などの種々の処理が施されるが、このような処理によって、造核剤を内包するベシクルの外膜が破砕や化学反応して、造核剤が外膜で包含(包皮)されていない可能性も高く、その外膜が破砕や化学反応している状態が化粧シートの処理工程によってばらつくためである。そして、この造核剤が外膜で包含されていないなどの状況は、物性自体を数値範囲で特定することが困難であり、また破砕された外膜の構成材料が、ベシクルの外膜なのか造核剤とは別に添加された材料なのか判定が困難な場合も想定される。このように、本願発明は、従来に比して造核剤が高分散で配合されている点で相違があるものの、造核剤を内包するベシクルの状態で添加されたためなのかどうかが、化粧シートの状態において、その構造や特性を測定に基づき解析した数値範囲で特定することが非実際的である場合も想定される。
(表面保護層2)
表面保護層2は、化粧シート1の表面の保護や艶の調整のための層である。表面保護層2の材料としては、例えば、ポリウレタン系、アクリルシリコン系、フッ素系、エポキシ系、ビニル系、ポリエステル系、メラミン系、アミノアルキッド系、尿素系の材料を用いることができる。材料の形態は、水性、エマルジョン、溶剤系のいずれであってもよい。また、硬化方法としては、例えば、一液タイプ、二液タイプ、紫外線硬化法等を用いることができる。
特に、表面保護層2の主成分としては、イソシアネートを用いたウレタン系の樹脂が、作業性、価格、樹脂自体の凝集力等の観点から好適である。イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチルヘキサンジイソシアネート(HTDI)、メチルシクロヘキサノンジイソシアネート(HXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)を用いることができる。耐候性を考慮すると、直鎖状の分子構造を有するヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)が好適である。また、表面硬度の向上を考慮すると、紫外線や電子線等の活性エネルギー線で硬化する複数種類の樹脂を用いることが好ましい。なお、これらの樹脂は相互に組み合わせて用いられる。例えば、熱硬化型と光硬化型とのハイブリッド型とすることで、表面硬度の向上、硬化収縮の抑制及び密着性の向上を図ることができる。
(隠蔽層7)
隠蔽層7は、隠蔽性を保たせるための層である。例えば、絵柄模様層5と同様に印刷によって形成される。インキに含ませる顔料としては、不透明な顔料、酸化チタン、酸化鉄等を使用することが好ましい。また、隠蔽性を上げるために、例えば、金、銀、銅、アルミ等の金属を添加してもよい。一般的には、フレーク状のアルミを添加することが多い。なお、隠蔽層7は、基材層6が不透明で隠蔽性を有している場合には、省略することができる。
(プライマー層8)
プライマー層8は、基材Bとの密着性を向上させるための層である。例えば、基材Bが木質系基材である場合には、プライマー層8を構成する樹脂として、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂を用いることができる。これらの樹脂は、単独ないし混合して接着組成物とし、ロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いることで、プライマー層8を形成することができる。樹脂を混合してなる接着組成物を用いる場合、アクリル系樹脂とウレタン系樹脂との共重合体とイソシアネートとからなる樹脂(ウレタン−アクリレート系樹脂)を用いるのが好ましい。
(本実施形態の効果)
(1)このように、本実施形態の化粧シート1は、オレフィン系樹脂を含む透明樹脂層3を有する。そして、透明樹脂層3のMD方向におけるラマン分光法で測定される透明樹脂層3の結晶部と非結晶部とのスペクトル強度比である第1強度比が0.9以上2.0以下の範囲内である。また、透明樹脂層3のTD方向におけるラマン分光法で測定される透明樹脂層3の結晶部と非結晶部とのスペクトル強度比である第2強度比が0.9以上1.9以下の範囲内である。さらに、第1強度比と第2強度比との合計値が1.9以上3.6以下の範囲内である。これにより、耐傷性と後加工性とに優れた化粧シート1を提供できる。
(2)また、本実施形態の化粧シート1では、透明樹脂層3は、結晶性ポリプロピレン樹脂を50質量%以上100質量%以下の範囲内で含有するため、結晶性ポリプロピレン樹脂の比率を高くし、透明樹脂層3を十分に硬くすることができるため、耐傷性を向上させることができる。
(3)また、本実施形態の化粧シート1では、結晶性ポリプロピレン樹脂を、アイソタクチックペンタッド分率が95%以上である結晶性ポリプロピレン樹脂としたため、結晶性ポリプロピレン樹脂の立体規則性を向上でき、耐傷性や後加工性をより向上させることができる。
(4)また、本実施形態の化粧シート1では、透明樹脂層3が、ナノサイズの造核剤を含むようにしたため、造核剤の添加によって生じる光の散乱を抑制でき、透明樹脂層3の透明性を損なうことなく、耐傷性と後加工性とをより向上させることができる。
(5)また、本実施形態の化粧シート1では、透明樹脂層3を、オレフィン系樹脂にナノサイズの造核剤を添加して形成しているため、造核剤の添加によって生じる光の散乱を抑制でき、透明樹脂層3の透明性を損なうことなく、耐傷性と後加工性とをさらに向上させることができる。
(6)また、本実施形態の化粧シート1では、ナノサイズの造核剤が、ベシクルに内包されているため、ナノサイズの造核剤の分散性を向上でき、透明樹脂層3を構成する樹脂中において造核剤の凝集を抑制して均一に分散でき、透明性をより向上させることができる。
(7)また、本実施形態の化粧シート1では、超臨界逆相蒸発法によって、ナノサイズの造核剤をベシクルに内包させているため、造核剤の分散性がより適切に向上する。
(8)また、本実施形態の化粧シート1では、透明樹脂層3が、オレフィン系樹脂100質量部に対して、ナノサイズの造核剤を0.01質量部以上1.0質量部以下の範囲内で含有しているため、耐傷性や後加工性をさらに向上させることができる。
(9)また、本実施形態の化粧シート1の製造方法では、透明樹脂層3を、オレフィン系樹脂にナノサイズの造核剤を添加して形成するため、造核剤の添加によって生じる光の散乱を抑制でき、透明樹脂層3の透明性を損なうことなく、耐傷性と後加工性とをより向上させることができる。
(10)また、本実施形態の化粧シート1の製造方法では、オレフィン系樹脂にナノサイズの造核剤をベシクルに内包させた状態で添加するため、ナノサイズの造核剤の分散性を向上でき、透明樹脂層3を構成する樹脂中において造核剤の凝集を抑制して均一に分散でき、透明性をより向上させることができる。
(11)また、本実施形態の化粧シート1の製造方法では、超臨界逆相蒸発法によって、ナノサイズの造核剤をベシクル化するため、造核剤の分散性をより適切に向上させることができる。
[実施例]
次に、本発明の実施例及び比較例について説明する。
なお、以下の化粧シート1の層構成は、上記した実施形態の層構成と同様とする。
(実施例1)
実施例1では、アイソタクチックペンタッド分率が97.8%、MFR(メルトフローレート)が15g/10min(230℃)、分子量分布MWD(Mw/Mn)が2.3の結晶性ポリプロピレン樹脂(結晶性ホモポリプロピレン樹脂)100質量%からなる樹脂に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:BASF社製)を500PPMと、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン328:BASF社製)を2000PPMと、ヒンダードアミン系光安定化剤(キマソーブ944:BASF社製)を2000PPMとを添加し、溶融押出機によって溶融・押出を行なうことで、透明樹脂層3を製膜した。透明樹脂層3(透明樹脂シート)の厚さは、80μmとした。
製膜した透明樹脂層3(透明樹脂シート)の両面には、コロナ処理を施し、透明樹脂シート表面の濡れ張力を40dyn/cm以上とした。
また、隠蔽性のある70μmのポリエチレンシートを基材層6として用いた。基材層6の一方の面には、2液型ウレタンインキ(V180;東洋インキ製造(株)製)に、その2液型インキのバインダー樹脂分の全質量に対して、ヒンダードアミン系光安定化剤(キマソーブ944;BASF社製)を0.5質量%添加して設けられたインキを用いて絵柄印刷を施して絵柄模様層5を形成した。絵柄模様層5の印刷方法としては、グラビア印刷方式を用いた。基材層6の他方の面には、隠蔽層7及びプライマー層8を形成した。
続いて、絵柄模様層5の上面に、ドライラミネート用接着剤(タケラックA540;三井化学(株)製;塗布量2g/m)からなる接着剤層4を介して、透明樹脂層3を貼り合わせた。透明樹脂層3の貼り合わせ方法としては、ドライラミネート法を用いた。続いて、貼り合わせた透明樹脂層3の上面に、エンボス模様3aを施した後、2液硬化型ウレタントップコート(W184;DICグラフィックス社製)を塗布厚6g/mで塗布して表面保護層2を形成した。これにより、総厚170μmの化粧シート1を形成した。ここで、「絵柄模様層5の上面」とは、絵柄模様層5の基材層6側の面とは反対側の面を意味する。また、「透明樹脂層3の上面」とは、透明樹脂層3の接着剤層4側の面とは反対側の面を意味する。
実施例1では、表1に示すように、透明樹脂層3のMD方向におけるラマン分光法で測定される透明樹脂層3の結晶部と非結晶部とのスペクトル強度比(第1強度比)を2.0とした。また、TD方向におけるラマン分光法で測定される透明樹脂層3の結晶部と非結晶部とのスペクトル強度比(第2強度比)を1.5とした。また、第1強度比と第2強度比との合計値和を3.5とした。なお、透明樹脂層3への造核剤の添加は行わなかった。
ここで、実施例1では、透明樹脂層3のMD方向におけるスペクトル強度比(第1強度比)と、TD方向におけるスペクトル強度比(第2強度比)とを、ラマン分光法を用いて、以下の測定機器、測定条件及びサンプル設置方法により測定した。
測定機器:HORIBA社製 LabRAM ARAMIS
測定条件:レーザー波長532nm、測定時間10秒、積算回数5回、顕微鏡倍率100倍
サンプル設置方法:レーザーの出射方向に対し、透明樹脂層3のMD方向やTD方向が一致するようにサンプルを設置
Figure 0006963273
(実施例2)
実施例2では、第1強度比を1.9、第2強度比を1.3、これらの強度比の和を3.2とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(実施例3)
実施例3では、第1強度比を1.9、第2強度比を1.0、これらの強度比の和を2.9とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(実施例4)
実施例4では、第1強度比を1.4、第2強度比を1.8、これらの強度比の和を3.2とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(実施例5)
実施例5では、第1強度比を1.4、第2強度比を1.4、これらの強度比の和を2.8とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(実施例6)
実施例6では、第1強度比を1.4、第2強度比を1.0、これらの強度比の和を2.4とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(実施例7)
実施例7では、第1強度比を1.0、第2強度比を1.4、これらの強度比の和を2.4とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(実施例8)
実施例8では、第1強度比を1.0、第2強度比を1.0、これらの強度比の和を2.0とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(実施例9)
実施例9では、第1強度比を1.9、第2強度比を1.3、これらの強度比の和を3.2とした。また、未処理の造核剤、つまり、ナノ化処理とベシクル化とのいずれも行われていない造核剤を含有している。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(実施例10)
実施例10では、透明樹脂層3は、透明樹脂層3の全質量に対して、結晶性ポリプロピレン樹脂を50質量%、ランダムポリプロピレン樹脂を50質量%含有するようにした。それ以外は実施例8と同様の構成とした。
(実施例11)
実施例11では、透明樹脂層3は、透明樹脂層3の全質量に対して、結晶性ポリプロピレン樹脂を90質量%、ランダムポリプロピレン樹脂を10質量%含有するようにした。また、結晶性ポリプロピレン樹脂に、ナノサイズの造核剤を含有するようにした。それ以外は実施例2と同様の構成とした。
(実施例12)
実施例12では、ナノサイズの造核剤を、超臨界逆相蒸発法によってベシクル化して、ベシクルに内包させた。それ以外は実施例11と同様の構成とした。
ここで、超臨界逆相蒸発法によるベシクル化では、まず、メタノール100質量部、造核剤としてのリン酸エステル金属塩系造核剤(アデカスタブNA−11、ADEKA社製)82質量部、ベシクルの外膜を構成する物質としてのホスファチジルコリン5質量部を60℃に保たれた高圧ステンレス容器に入れて密閉し、圧力が20MPaとなるように二酸化炭素を注入して超臨界状態とした後、激しく攪拌混合しながらイオン交換水を100質量部注入した。容器内の温度及び圧力を超臨界状態に保持した状態で15分間攪拌後、二酸化炭素を排出して大気圧に戻すことによってリン脂質からなる単層膜の外膜を具備するベシクルに造核剤を内包した、ベシクル化した造核剤(造核剤リポソーム)を得た。
そして、アイソタクチックペンタッド分率が97.8%、MFR(メルトフローレート)が15g/10min(230℃)、分子量分布MWD(Mw/Mn)が2.3の結晶性ポリプロピレン樹脂(結晶性ホモポリプロピレン樹脂)90質量%とランダムポリプロピレン樹脂10質量%とからなる樹脂に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:BASF社製)500PPMと、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン328:BASF社製)2000PPMと、ヒンダードアミン系光安定化剤(キマソーブ944:BASF社製)2000PPMと、上記したベシクル化した造核剤1000PPMとを添加した樹脂を、溶融押出機によって溶融・押出を行なうことで、透明樹脂層3を製膜した。透明樹脂層3(透明樹脂シート)の厚さは80μmとした。
(実施例13)
実施例13では、第1強度比を1.8、第2強度比を1.1、これらの強度比の和を2.9とした。また、透明樹脂層3は、透明樹脂層3の全質量に対して、結晶性ポリプロピレン樹脂を40質量%(<50質量%)、ランダムポリプロピレン樹脂を60質量%含有するようにした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(実施例14)
実施例14では、第1強度比を1.3、第2強度比を1.2、これらの強度比の和を2.5とした。また、透明樹脂層3は、アイソタクチックペンタッド分率が92%(<95%)になるようにした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(比較例1)
比較例1では、第1強度比を2.1、第2強度比を2.0、これらの強度比の和を4.1(>3.6)とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(比較例2)
比較例2では、第1強度比を2.1、第2強度比を1.7、これらの強度比の和を3.8(>3.6)とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(比較例3)
比較例3では、第1強度比を1.9、第2強度比を1.9、これらの強度比の和を3.8(>3.6)とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(比較例4)
比較例4では、第1強度比を0.9、第2強度比を0.9、これらの強度比の和を1.8(<1.9)とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(比較例5)
比較例5では、第1強度比を0.9、第2強度比を0.8、これらの強度比の和を1.7(<1.9)とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(比較例6)
比較例6では、第1強度比を0.8、第2強度比を0.7、これらの強度比の和を1.5(<1.9)とした。また、透明樹脂層3は、透明樹脂層3の全質量に対して、結晶性ポリプロピレン樹脂を40質量%(<50質量%)、ランダムポリプロピレン樹脂を60質量%含有するようにした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(比較例7)
比較例7では、第1強度比を1.2、第2強度比を2.3、これらの強度比の和を3.5とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(比較例8)
比較例8では、第1強度比を2.4、第2強度比を1.1、これらの強度比の和を3.5とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
<評価>
実施例1〜14及び比較例1〜8で得られた化粧シート1を、ウレタン系の接着剤を用いて木質系の基材Bに貼り合わせた後、耐傷性と後加工性との評価を行った。
各評価試験の試験方法を簡単に説明する。
(耐傷性)
耐傷性は、JIS−K5600に準拠し、鉛筆硬度試験を用いて評価した。そして、透明樹脂層3の表面に凹みが付かない最高硬度がHB以上の場合を「◎」、2B以上の場合を「○」、3B以上の場合を「△」、3B未満の場合を「×」とした。なお、本耐傷性試験における合格基準は、3B以上である。
(後加工性)
後加工性は、V溝曲げ加工適性試験を用いて評価した。具体的には、まず、基材Bを構成する中質繊維板(MDF)の一方の面に対して、上記の方法で作製した各化粧シート1をウレタン系の接着剤を用いて貼り付け、基材Bの他方の面に対して、反対側の化粧シート1にキズが付かないようにV型の溝を基材Bと化粧シート1とを貼り合わせている境界まで入れる。次に、化粧シート1の面が山折りとなるように基材Bを当該V型の溝に沿って90度まで曲げ、化粧シート1の表面の折れ曲がった部分に白化や亀裂等が生じていないかを光学顕微鏡を用いて観察し、後加工性の優劣の評価を行った。そして、白化・亀裂等が認められなかった場合を「◎」、白化・亀裂等が認められたが容認できる場合を「○」、化粧シートとして容認できない白化・亀裂等が認められた場合を「×」とした。
Figure 0006963273
表2に示すように、実施例1〜14の化粧シート1では、耐傷性と後加工性とにおいて良好な結果「◎」、「○」、「△」が得られた。これに対して、比較例1〜8の化粧シート1では、耐傷性と後加工性とのいずれかが劣るもの「×」となった。
これは、実施例1〜14の化粧シート1については、第1強度比を0.9以上2.0以下の範囲内、第2強度比を0.9以上1.9以下の範囲内、第1強度比と第2強度比との合計値を1.9以上3.6以下の範囲内とすることで、透明樹脂層3の結晶部と非結晶部とを適正量とし、透明樹脂層3が適切な硬度となっているため、耐傷性及び後加工性が良好になったと考えられる。
なお、実施例13の化粧シート1については、透明樹脂層3のランダムポリプロピレン樹脂の比率が高く、十分に硬くなっていないため、ランダムポリプロピレン樹脂の比率が高い場合に比べて耐傷性が劣るものとなったと考えられる。
また、実施例14の化粧シート1については、透明樹脂層3のアイソタクチックペンタッド分率が低く、十分に硬くなっていないため、アイソタクチックペンタッド分率が高い場合に比べて耐傷性が劣るものになったと考えられる。
また、比較例1〜3の化粧シート1については、透明樹脂層3の結晶部が多すぎる、つまり、結晶化が進みすぎて、硬くなったために、耐傷性は良好となるが、V溝加工時に白化し、後加工性に劣るものになったと考えられる。また、比較例4、5の化粧シート1については、透明樹脂層3に非結晶部が多すぎる、つまり結晶化が進んでおらず、十分に硬くならないために、後加工性は良好となるが、耐傷性に劣るものになったと考えられる。
また、比較例6の化粧シート1については、透明樹脂層3のランダムポリプロピレン樹脂の比率が高く、十分に硬くなっていないため、耐傷性に劣るものになったと考えられる。
また、比較例7、8の化粧シート1については、MD方向又はTD方向に大きく配向しているため、耐傷性は良好となるが、硬くなり過ぎたため、後加工性に劣るものになったと考えられる。
以上の評価結果から、実施例1〜14に示す本発明の化粧シート1は、耐傷性と後加工性とに優れた化粧シート1であることが明らかとなった。
1 化粧シート
2 表面保護層
3 透明樹脂層
4 接着剤層
5 絵柄模様層
6 基材層
7 隠蔽層
8 プライマー層
B 基材

Claims (15)

  1. オレフィン系樹脂を含む透明樹脂層を有する化粧シートであって、
    前記透明樹脂層のMD方向におけるラマン分光法で測定される前記透明樹脂層の結晶部と非結晶部とのスペクトル強度比である第1強度比が0.9以上2.0以下の範囲内であり、
    前記透明樹脂層のTD方向におけるラマン分光法で測定される前記透明樹脂層の結晶部と非結晶部とのスペクトル強度比である第2強度比が0.9以上1.9以下の範囲内であり、
    前記第1強度比と前記第2強度比との合計値が1.9以上3.6以下の範囲内であり、
    前記透明樹脂層は、前記オレフィン系樹脂100質量部のうち、結晶性ポリプロピレン樹脂の含有率が40質量%以上90質量%以下の範囲内であり、ランダムポリプロピレン樹脂の含有率が10質量%以上60質量%以下の範囲内であることを特徴とする化粧シート。
  2. 前記透明樹脂層は、前記オレフィン系樹脂100質量部のうち、結晶性ポリプロピレン樹脂の含有率が40質量%以上50質量%以下の範囲内であり、ランダムポリプロピレン樹脂の含有率が50質量%以上60質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記結晶性ポリプロピレン樹脂は、アイソタクチックペンタッド分率が95%以上である結晶性ポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧シート。
  4. 前記透明樹脂層は、ナノサイズの造核剤を含んでいることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の化粧シート。
  5. 前記透明樹脂層を、前記オレフィン系樹脂にナノサイズの造核剤を添加して形成することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の化粧シート。
  6. 前記ナノサイズの造核剤は、ベシクルに内包されていることを特徴とする請求項4または5に記載の化粧シート。
  7. 超臨界逆相蒸発法によって、前記ナノサイズの造核剤をベシクルに内包させたことを特徴とする請求項6に記載の化粧シート。
  8. 前記透明樹脂層は、前記オレフィン系樹脂100質量部に対して、前記ナノサイズの造核剤を0.01質量部以上1.0質量部以下の範囲内で含有することを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載の化粧シート。
  9. 前記透明樹脂層上に形成された表面保護層をさらに備え、
    前記透明樹脂層及び前記表面保護層は、造核剤を含まないことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の化粧シート。
  10. 前記第1強度比の値は、前記第2強度比の値よりも大きいことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の化粧シート。
  11. 前記第1強度比の値は、前記第2強度比の値よりも小さいことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の化粧シート。
  12. 前記第1強度比の値は、前記第2強度比の値と同じであることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の化粧シート。
  13. 請求項1から12のいずれか1項に記載の化粧シートの製造方法であって、
    前記透明樹脂層を、前記オレフィン系樹脂にナノサイズの造核剤を添加して形成することを特徴とする化粧シートの製造方法。
  14. 前記オレフィン系樹脂に前記ナノサイズの造核剤をベシクルに内包させた状態で添加することを特徴とする請求項13に記載の化粧シートの製造方法。
  15. 超臨界逆相蒸発法によって、前記ナノサイズの造核剤をベシクル化することを特徴とする請求項13または14に記載の化粧シートの製造方法。
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