JP2017082126A - 化粧シート - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明においては、従来の高結晶性ポリプロピレン樹脂を用いた化粧シートを上回る極めて優れた耐擦傷性を有し、さらに、V溝曲げ加工適性に優れた化粧シートを提供することを目的とする。【解決手段】アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が95%以上である結晶性ポリプロピレン樹脂90〜100重量%を主成分とする透明樹脂層4を少なくとも具備してなる化粧シート1であって、前記透明樹脂層4の前記結晶性ポリプロピレン樹脂からなる結晶部の球晶の平均粒径が2000nm以下であることを特徴とする化粧シート1。【選択図】 図1

Description

本発明は、建築物の外装および内装に用いられる建装材、建具の表面、家電品の表面材等に用いられる化粧シートに関するもので、木質ボード類、無機系ボード類、金属板等に貼り合わせて化粧板として用いられる化粧シートに関する。
近年、特許文献1乃至5に示すように、環境保護上の問題が懸念されているポリ塩化ビニル製の化粧シートに替わる化粧シートとして、オレフィン系樹脂を使用した化粧シートが数多く提案されている。
しかし、これらの化粧シートは塩化ビニル樹脂を使用しないことで、焼却時における有毒ガス等の発生は抑制されるものの、一般的なポリプロピレンシートもしくは軟質ポリプロピレンシートを使用しているために表面の耐擦傷性が悪く、従来のポリ塩化ビニル化粧シートの耐擦傷性からは遙かに劣っているものであった。
本発明者らは、曲げ初期弾性率が1000MPa以上である高結晶性ポリプロピレン樹脂について検討し、当該高結晶性ポリプロピレンが優れた耐擦傷性を備えていることを見いだしたが(特許文献6参照)、後加工工程において、その加工形状や加工温度、加工速度などの加工条件によっては、V溝曲げ加工等の折り曲げ加工を行うとフィルムの破断や外周部の割れが生じることがあった。これに対して、特許文献7によれば、ペンタッド分率(mmmm分率)が96%以上、230℃におけるメルトフローレート(MFR)が5〜40g/10min、分子量分布(MWD=Mw/Mn,ここで、Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量である。)4以下、球晶の平均粒径が1〜20μmである高結晶性ポリプロピレン樹脂を主成分とする透明樹脂層を具備する化粧シートとすることにより、V溝曲げ加工等の耐後加工性と、化粧シート表面の耐擦傷性とを向上させた化粧シートを実現している。
しかしながら、特許文献7には、結晶化度を高くすることは耐擦傷性が向上するものの、V溝曲げ加工時にクラックやボイドが発生しやすく、メルトフローレートや分子量分布および球晶サイズのコントロールが必要であり、特に、造核剤を添加するなどして球晶サイズが1μmを下回ると、球晶間の界面破壊や球晶の脆性破壊によるクラック、ボイドが生じて白化を生じさせるという問題点が提示されている。そして、実際に、特許文献7の比較例3において開示されている、ペンタッド分率が97.8%、メルトフローレート15g/10min(230℃)、分子量分布2.3の高結晶性ポリプロピレン樹脂に対して、造核剤としてリン酸2,2メチレンビスナトリウムを加え、球晶の平均粒径を1μm以下とした化粧シートが、極めて優秀な耐擦傷性を有しているものの、V溝曲げ加工時に白化が生じたことが示されている。
特開平2−128843号公報 特開平4−083664号公報 特開平6−001881号公報 特開平6−198831号公報 特開平9−328562号公報 特開2000−085076号公報 特開2001−270054号公報
そこで、本発明においては、従来の高結晶性ポリプロピレン樹脂を用いた化粧シートを上回る極めて優れた耐擦傷性を有し、さらに、V溝曲げ加工適性に優れた化粧シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するべく、本発明の第1の態様の化粧シートは、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が95%以上である結晶性ポリプロピレン樹脂90〜100重量%を主成分とする透明樹脂層を少なくとも具備してなる化粧シートであって、前記透明樹脂層の前記結晶性ポリプロピレン樹脂からなる結晶部の球晶の平均粒径が2000nm以下であることを特徴とする。
本発明の第2の態様の化粧シートは、前記結晶部が、擬六方晶系部0〜20重量%および単斜晶系部80〜100重量%とされていることを特徴とする。
本発明の第3の態様の化粧シートは、前記結晶性ポリプロピレン樹脂は、230℃におけるメルトフローレート(MFR)が3〜40g/10minであり、分子量分布(MWD=Mw/Mn)が4以下であることを特徴とする。
本発明の第4の態様の化粧シートは、前記透明樹脂層には、ベシクルに内包され添加された造核剤が含まれていることを特徴とする。
本発明の第5の態様の化粧シートは、前記ベシクルが、リン脂質からなる単層膜の外膜を具備することを特徴とする。
本発明の第6の態様の化粧シートは、前記透明樹脂層の厚さが、20μm以上、250μm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、従来の高結晶性ポリプロピレン樹脂を用いた化粧シートを上回る極めて優れた耐擦傷性を有し、さらに、V溝曲げ加工適性に優れた化粧シートを提供することを可能とする。
本発明の化粧シートの実施形態を示す断面図
本発明の化粧シートは、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が95%以上である結晶性ポリプロピレン樹脂90〜100重量%を主成分とする透明樹脂層を少なくとも具備してなる化粧シートであって、透明樹脂層の結晶性ポリプロピレン樹脂からなる結晶部の球晶の平均粒径が2000nm以下であることが重要である。このような、本発明の化粧シートによれば、結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶部の球晶の平均粒径が2000nm以下であることにより、極めて耐擦傷性に優れた化粧シートを提供することができる。
また、結晶部は、擬六方晶系部0〜20重量%および単斜晶系部80〜100重量%とされていることが重要である。擬六方晶系部と単斜晶系部との構成比率を前記の値とすることにより、耐擦傷性と耐後加工性(耐破断性、耐白化性)とに優れた透明樹脂層を得ることができる。
ここで、擬六方晶系部と単斜晶系部の性質について説明する。擬六方晶系の結晶は、準安定相であり、結晶内部における隣接するラメラ同士が応力により容易にズレやすい結晶構造を有している。このような擬六方晶系の結晶は、応力に対して液晶(スメクチック液晶)に近い挙動を示す性質を有しており、後加工工程における折り曲げ加工においては容易に外形の変化に追従して結晶が塑性変形するため、破断や白化を発生させることなく透明性を維持することができるほか、衝撃的な応力が加えられた際にも、結晶の塑性変形によって衝撃のエネルギーを吸収することができるので耐衝撃性も良好である。その反面、擬六方晶系の結晶は、表面を硬質物で擦られると、硬質物が接触した部分では接触応力によって結晶が容易に塑性変形し、凹み(傷)となって残ってしまう。
これに対して、単斜晶系の結晶は、安定相であり、ポリプロピレン樹脂の分子鎖が最も緊密に充填されているので、隣接するラメラ同士のすべりも発生しにくい結晶構造となっている。このため、単斜晶系の結晶は、表面を硬質物で擦られても、硬質物との接触応力によく耐えて結晶が塑性変形しにくく、その結果、傷が形成されることが少ない。その反面、単斜晶系の結晶は、後加工工程における折り曲げ加工において外形の変化に追従して結晶が塑性変形することが困難であるので、外形の変化に追従するためには結晶同士の界面や結晶部と非晶部との界面において微細な剥離を発生して相互にズレることによって変形する必要がある。この微細な剥離によって発生する空洞部が透過する光を散乱して白化として観察されるのであり、また甚だしい場合には、透明樹脂層の内部で多数発生した空洞部が透明樹脂層の表面や裏面にまで相互につながることにより、シートの亀裂や破断にいたる。また、衝撃的な応力が加えられた際にも、結晶の塑性変形によって衝撃のエネルギーを十分に吸収することができずに、上記と同様に結晶同士の界面や結晶部と非晶部との界面での微細剥離により、白化や亀裂、破断などが生じやすい。
本発明の化粧シートは、上記のような擬六方晶系部と単斜晶系部のように互いに性質を異にする2種類の結晶部を上記の構成比率の範囲内で用途に応じて適宜設計することが可能であり、例えば、耐擦傷性よりも耐後加工性を優先する場合には擬六方晶系部の割合を増大させ、逆の場合には単斜晶系部の割合を増大させるように設計する。
ポリプロピレン結晶部における擬六方晶系部と単斜晶系部との構成比率により化粧シートの性能を最適化するに当たっては、ポリプロピレン樹脂として、立体規則性の高い高結晶性ポリプロピレン樹脂を用いることが重要である。立体規則性の高いポリプロピレン樹脂としては、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が95%以上、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上である高結晶性ポリプロピレン樹脂を用いることが重要である。
ここで、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)とは、質量数13の炭素C(核種)を用いた13C−NMR(核磁気共鳴)測定法により、上記透明樹脂層を構成する樹脂組成物を所定の共鳴周波数にて共鳴させて得られる数値(電磁波吸収率)から算出されるものであり、樹脂組成物中の原子配列、電子構造、分子の微細構造を規定するものである。ポリプロピレン樹脂のアイソタクチックペンタッド分率とは、13C−NMR測定法により求めたプロピレン単位が5個所定配置で並んだ割合のことであって、結晶化度あるいは立体規則性の尺度として用いられる。
また、上記高結晶性ポリプロピレン樹脂には、例えば押出製膜性の改善、折り曲げ加工性や耐衝撃性の向上等、所望の目的により、必要に応じて他の樹脂、例えばランダム重合ポリプロピレン樹脂や低密度ポリエチレン樹脂、オレフィン系共重合体樹脂等の各種オレフィン系樹脂や、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体又はその水素添加物、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー共重合体等のエラストマー成分などを添加することも可能である。ただし、高結晶性ポリプロピレン樹脂との相溶性に乏しいものを使用すると、後加工工程における折り曲げ加工を行う際に樹脂間の界面で剥離して白化や亀裂、破断等の原因となる。また、これらの添加物の添加量が増加すれば、当然、高結晶性ポリプロピレン樹脂の有する優れた特性が減殺される結果となる。従って、上記各種添加物の添加量は10重量%以下に抑え、上記高結晶性ポリプロピレン樹脂を少なくとも90重量%以上、好ましくは90〜100重量%含有する組成とすることが重要である。
また、本発明の化粧シートにおいては、結晶性ポリプロピレン樹脂として、230℃におけるメルトフローレート(MFR)が3〜40g/10minであり、分子量分布(MWD=Mw/Mn)が4以下のものを用いることが望ましい。前述した結晶部における塑性変形においては、結晶内の隣接するラメラ同士が折り曲げ加工の変形に追従してズレていくことが重要であるが、上記値よりも、分子量分布が大きすぎたり、メルトフローレートが小さすぎたりすると、ラメラ間のタイ分子による拘束力が強すぎてズレを阻害するために、結晶部が塑性変形しにくくなり、後加工工程における折り曲げ加工を行う際の白化や亀裂、破断などの原因となる。逆に、上記値よりも、メルトフローレートが大きすぎると、加工工程での溶融粘度が不十分となり形状維持が不安定となる。
一般的に、透明樹脂層に含有される高結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶部に占める擬六方晶系部と単斜晶系部との構成比率を制御するためには、周知の結晶成長の理論を応用すればよい。高結晶性ポリプロピレン樹脂の場合には、押出成形などのような通常の樹脂成形条件の冷却速度では非晶質体とはならないが、安定相である単斜晶系にまで完全に結晶化が進行することができずに、準安定相である擬六方晶系にとどまり、十分な耐擦傷性を得られない原因となる。一方、押出製膜後に冷却固化前に徐冷炉を通すなどして特殊な成形条件で徐冷すれば、結晶化過程が完結して単斜晶系となるが、常に球晶の平均粒径を2000nm以下に制御することが困難である。
このため、本発明の化粧シートにおいては、透明樹脂層にベシクルに内包され添加された造核剤が含まれていることが重要である。当該ベシクルは、リン脂質からなる単層膜の外膜を具備していることが好ましい。ベシクルとは、球殻状に閉じた膜構造を有する小胞状のカプセルのことであり、特に、内部に液相を含むものがベシクルと呼ばれている。このベシクルは、互いの外膜同士が反発し合う作用よって粒子が凝集することがなく、極めて高い分散性を有している。そして、本発明の化粧シートの透明樹脂層における結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶部における球晶の平均粒径2000nm以下を実現するためには、当該結晶部中に造核剤が、均一に、かつ、高濃度で含まれていることが重要であり、結晶化の起点となる造核剤同士の距離が極めて近く、当該距離が等しい造核剤が多数存在することで小さな球晶を得ている。造核剤を内包するベシクルを得る方法としては、特に限定するものではないが、例えば、Bangham法、エクストルージョン法、水和法、界面活性剤透析法、逆相蒸発法、凍結融解法、超臨界逆相蒸発法から適宜選択して調製することができる。その中でも、特に、単層膜の外膜を具備するベシクルを容易に得る方法として超臨界逆相蒸発法を採用することが好ましく、より微小で分散性に優れたベシクルを得ることができる。
各ベシクル調製方法について、以下に簡単に説明する。Bangham法は、フラスコなどの容器にクロロホルムまたはクロロホルム/メタノール混合溶媒を入れ、さらにリン脂質を入れて溶解する。その後、エバポレータを用いて溶媒を除去して脂質からなる薄膜を形成し、造核剤の分散液を加えた後、ボルテックスミキサーで水和・分散させて造核剤ベシクルを得る方法である。エクストルージョン法は、薄膜のリン脂質溶液を調液し、Bangham法において外部摂動として用いたミキサーに代わってフィルターを通過させることにより造核剤ベシクルを得る方法である。水和法は、Bangham法とほぼ同じ調製方法であるが、ミキサーを用いずに、穏やかに攪拌して分散させて造核剤ベシクルを得る方法である。逆相蒸発法は、リン脂質をジエチルエーテルやクロロホルムに溶解し、造核剤を含んだ溶液を加えてW/Oエマルジョンを作り、当該エマルジョンから減圧下において有機溶媒を除去した後、水を添加することにより造核剤ベシクルを得る方法である。凍結融解法は、外部摂動として冷却・加熱を用いる方法であり、この冷却・加熱を繰り返すことによって造核剤ベシクルを得る。
超臨界逆相蒸発法とは、超臨界状態または臨界点以上の温度もしくは圧力条件下の二酸化炭素を用いて対象物質を内包したナノカプセルを作製する方法である。超臨界状態の二酸化炭素とは、臨界温度(30.98℃)および臨界圧力(7.3773±0.0030MPa)以上の超臨界状態にある二酸化炭素を意味し、臨界点以上の温度もしくは圧力条件下の二酸化炭素とは、臨界温度だけ、あるいは臨界圧力だけが臨界条件を超えた条件下の二酸化炭素を意味する。超臨界逆相蒸発法を用いたベシクルの調製方法は、超臨界二酸化炭素と分散剤としてのリン脂質と内包物質としての造核剤の混合流体中に水相を注入し、攪拌することによって超臨界二酸化炭素と水相のエマルションが生成する。その後、減圧すると二酸化炭素が膨張・蒸発して転相が生じ、リン脂質が造核剤ナノ粒子の表面を単層膜で覆ったナノカプセルが生成する。この超臨界逆相蒸発法を用いることにより、ナノ粒子表面で分散剤が多重膜となる従来のカプセル化方法とは異なり、単層膜の外膜を具備するカプセルを生成することができるので、生成されるカプセルの大きさをより小さくすることができる。なお、多重膜のカプセルとしたい場合には、リン脂質、造核剤、水相の混合流体中に超臨界二酸化炭素を注入することにより容易に作製することができる。
造核剤としては、樹脂の結晶化時において、結晶核の生成を促進させる、もしくは、造核剤自体を結晶核とするために添加されるものであればよく特に限定するものではない。ポリプロピレン樹脂の造核剤としては、例えば、リン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩、ベンジリデンソルビトール、キナクリドン、シアニンブルーおよびタルク等が挙げられる。特に、本発明においては、非溶融型で良好な透明性が期待できるリン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩を用いることが好ましい。
以下に、本発明の化粧シートの具体的な実施例を図1を用いて説明する。
図1は本発明の化粧シート1の具体的な構成を示したものであり、複数の樹脂層から構成されている。本発明の化粧シート1においては、表層側から、トップコート層5、透明樹脂層4、接着剤層7(感熱接着剤、アンカーコート、ドライラミ接着剤などからなる)、インキ層3、原反層2、隠蔽層8およびプライマー層6が積層された構成とされており、基材Bに対して接着するなどして用いられる。また、意匠性を向上させるために透明樹脂層4のトップコート層5側の面には、エンボス模様4aが形成されており、当該エンボス模様4aの凹部には、ワイピングによってトップコート層5を形成する樹脂組成物の一部が埋め込まれるように形成されている。
トップコート層5は、表面の保護や艶の調整としての役割を有しており、ポリウレタン系、アクリルシリコン系、フッ素系、エポキシ系、ビニル系、ポリエステル系、メラミン系、アミノアルキッド系、尿素系などを主成分とする樹脂組成物から適宜選択して用いることができる。樹脂組成物の形態は、水性、エマルジョン、溶剤系など特に限定されるものではない。硬化法についても、一液タイプ、二液タイプ、紫外線硬化法など適宜選択して用いることができる。特に、樹脂組成物としてイソシアネートを用いたウレタン系のものが、作業性、価格、樹脂自体の凝集力などの観点から好適である。イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)などの誘導体であるアダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体や各種プレポリマーなどの硬化剤より適宜選定して用いることができるが、耐候性を考慮すると、直鎖状の分子構造を有するヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)もしくはイソホロンジイソシアネート(IPDI)をベースとする硬化剤を使用することが好ましい。この他にも、表面硬度の向上を図る場合には、紫外線や電子線などの活性エネルギー線で硬化する樹脂を用いることが好ましい。なお、これらの樹脂は相互に組み合わせて用いることが可能であり、例えば、熱硬化型樹脂と光硬化型樹脂とのハイブリッド型とすることにより、表面硬度の向上、硬化収縮の抑制および透明樹脂層との密着性の向上を図ることができる。
この他にも、トップコート層5に対して各種機能を付与するために抗菌剤、防カビ剤等の機能性添加剤の添加も任意に行うことができる。さらに、表面の意匠性を向上させるために、アルミナ、シリカ、窒化珪素、炭化珪素、ガラスビーズ等を添加して艶の調整を行うようにしてもよい。また、トップコート層5にアルミナ、シリカ、窒化珪素、炭化珪素、ガラスビーズなどを添加すると表面の耐磨耗性の向上を図ることもできる。
透明樹脂層4としては、主成分としてオレフィン系樹脂を用いることが好ましく、具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテンなどの他に、αオレフィン(例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなど)を単独重合あるいは2種類以上共重合させたものや、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・エチルメタクリレート共重合体、エチレン・ブチルメタクリレート共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体などのように、エチレンまたはαオレフィンとそれ以外のモノマーとを共重合させたものが挙げられる。特に、本発明においては、化粧シート1の表面の耐擦傷性を向上させるために、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が95%以上、230℃におけるメルトフローレート(MFR)が3〜40g/10minであり、分子量分布(MWD=Mw/Mn)が4以下の高結晶性ポリプロピレン樹脂を90〜100重量%含む樹脂組成物を用いることが重要である。
また、本発明の化粧シート1における透明樹脂層4においては、造核剤を内包し、リン脂質からなる単層膜の外膜を具備する造核剤ベシクルを含み、高結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶部における球晶の平均粒径が2000nm以下とされていることが重要である。
この他にも、透明樹脂層4に対しては、必要に応じて熱安定剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤および艶調整剤等の各種添加剤を添加するようにしてもよい。熱安定剤としては、フェノール系、硫黄系、リン系、ヒドラジン系等、紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等、光安定化剤としては、ヒンダードアミン系等を、任意の組み合わせで添加するのが一般的である。
接着剤層7としては、特に限定されるものではないが、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系などから適宜選択して用いることができる。塗工方法は接着剤の粘度などに応じて適宜選択することができるが、一般的には、グラビアコートが用いられ、インキ層3の上面に対してグラビアコートによって塗布された後、透明樹脂層4とラミネートするようにされている。なお、接着剤層7は、透明樹脂層4とインキ層3との接着強度が十分に得られる場合には、省略することができる。
インキ層3としては、インキを用いて原反層2に形成された絵柄印刷であり、バインダーとしての硝化綿、セルロース、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル系等の単独もしくは各変性物の中から適宜選定して用いることができる。これらは水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでもよく、また1液タイプでも硬化剤を使用した2液タイプでもよい。さらに、紫外線や電子線等の照射によりインキを硬化させる方法を用いてもよい。中でも最も一般的な方法は、ウレタン系のインキを用いるもので、イソシアネートによって硬化させる方法である。これらのバインダー以外には、通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、各種添加剤などが添加されている。汎用性の高い顔料としては、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等が挙げられる。また、インキの塗布とは別に各種金属の蒸着やスパッタリングで意匠を施すことも可能である。
原反層2としては、薄葉紙、チタン紙、樹脂含浸紙等の紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、アクリル等の合成樹脂、あるいはこれら合成樹脂の発泡体、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合ゴム、ポリウレタン等のゴム、有機もしくは無機系の不織布、合成紙、アルミニウム、鉄、金、銀等の金属箔等から任意に選定可能である。
化粧シート1に隠蔽性を付与したい場合には、原反層2を着色シートとすることで隠蔽性を付与したり、原反層2は透明シートのままで、別途、不透明な隠蔽層8を設けて隠蔽性を付与することができる。
隠蔽層8としては、基本的にはインキ層3と同じ材料から構成することができるが、隠蔽性をもたせることを目的としているので、顔料としては不透明な顔料、酸化チタン、酸化鉄等を使用することが好ましい。また隠蔽性を向上させるために金、銀、銅、アルミ等の金属を添加することも可能である。一般的にはフレーク状のアルミを添加させることが多い。
また、原反層2としてオレフィン系の樹脂を用いる場合には、表面が不活性な状態とされていることが多いので、原反層2と基材Bとの間に、プライマー層6を設けることが好ましい。この他にも、オレフィン系材料からなる原反層2と基材Bとの接着性を向上させるために、原反層2に対してコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、電子線処理、紫外線処理、重クロム酸処理等を行うことが望ましい。
プライマー層6としては、基本的には前述のインキ層3と同じ材料を用いることができるが、化粧シート1の裏面に施されるためにウエブ状で巻取りを行うことを考慮すると、ブロッキングを避けて且つ接着剤との密着を高めるために、シリカ、アルミナ、マグネシア、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機充填剤を添加させてもよい。
本発明の化粧シート1を形成するにあたり、積層方法は特に限定するものではなく、熱圧を応用した方法、押出ラミネート方法およびドライラミネート方法などの一般的に用いられる方法から適宜選択して形成することができる。エンボス模様4aを形成する場合には、一旦、前記積層方法によってラミネートした後に熱圧によってエンボス模様4aを入れる方法または冷却ロールに凹凸模様を設けて押出ラミネートと同時にエンボス模様4aを形成する方法を用いることができる。
本実施例の化粧シート1においては、原反層2は印刷作業性、コストなどを考慮して20μm〜150μm、接着剤層7は1μm〜20μm、透明樹脂層4は20μm〜250μm、トップコート層5は3μm〜20μmとすることが望ましく、化粧シート1の総厚は45μm〜450μmの範囲内とすることが好適である。
以上のように本発明の化粧シート1においては、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が95%以上である結晶性ポリプロピレン樹脂90〜100重量%を主成分とし、結晶性ポリプロピレン樹脂からなる結晶部の球晶の平均粒径が2000nm以下であるとともに、当該結晶部が、擬六方晶系部0〜20重量%および単斜晶系部80〜100重量%とされた透明樹脂層4を備えることにより、従来の高結晶性ポリプロピレン樹脂を用いた化粧シートを上回る極めて優れた耐擦傷性を有し、さらに、V溝曲げ加工適性に優れた化粧シート1を提供することを可能とする。
さらに、本発明の化粧シート1の透明樹脂層4においては、造核剤を内包し、リン脂質からなる単層膜の外膜を具備する造核剤ベシクルが含まれていることで、高結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶部における球晶サイズを均一に極めて小さくすることを可能とし、容易に平均粒径2000nm以下を実現して、特に、耐擦傷性に優れた化粧シート1を提供することができる。
以下に、本発明の化粧シートについて、その具体的実施例を説明する。
まず、以下にエクストルージョン法および超臨界逆相蒸発法による造核剤ベシクルの調製方法をそれぞれ説明する。
<エクストルージョン法による造核剤ベシクルの調製>
まず、蒸留水100重量部、造核剤としてのリン酸エステル金属塩系造核剤(アデカスタブNA−11、ADEKA社製)0.7重量部、ベシクルの外膜を構成する物質としてのホスファチジルコリン0.05重量部を混合したリン脂質懸濁液をガラスシリンジに入れ、当該ガラスシリンジを任意の孔径のメンブレンフィルターを挟んだエクストルーダーの両側にセットする。このエクストルーダーを任意の温度下にて、両側にセットしたガラスシリンジのシリンジを交互に動作させて、任意の回数についてメンブレンフィルターを通過させて造核剤を内包する造核剤ベシクルを得た。
<超臨界逆相蒸発法による造核剤ベシクルの調製>
超臨界逆相蒸発法を用いた造核剤を内包する造核剤ベシクルの調製について説明する。まず、メタノール100重量部、造核剤としてのリン酸エステル金属塩系造核剤(アデカスタブNA−11、ADEKA社製)82重量部、ベシクルの外膜を構成する物質としてのホスファチジルコリン5重量部を60℃に保たれた高圧ステンレス容器に入れて密閉し、圧力が20MPaとなるように二酸化炭素を注入して超臨界状態とした後、激しく攪拌混合しながらイオン交換水を100重量部注入する。容器内の温度および圧力を超臨界状態に保持した状態で15分間攪拌後、二酸化炭素を排出して大気圧に戻すことによって造核剤を内包したリン脂質からなる単層膜の外膜を具備する造核剤ベシクルを得た。
<透明樹脂シート4の製膜>
以下に、本発明の化粧シート1における透明樹脂層4としての透明樹脂シート4の具体的な製膜方法について説明する。ペンタッド分率が97.8%、メルトフローレートが15g/10min(230℃)、分子量分布MWD(Mw/Mn)が2.3の高結晶性ポリプロピレン樹脂に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:BASF社製)を500PPMと、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン328:BASF社製)を2000PPMと、ヒンダードアミン系光安定化剤(キマソーブ944:BASF社製)を2000PPMと、前記造核剤ベシクルを1000PPMとを添加した樹脂を溶融押出機を用いて厚さ100μmの透明樹脂シート4を押出成形する。透明樹脂シート4の製膜法は、上記の溶融押出法に限定するものではなく、所定の厚さに安定して成膜できる方法であればいかなる方法を採用してもよいので、例えば、インフレーション製膜法やカレンダー製膜法などを採用することができる。なお、製膜された透明樹脂シート4は、押出製膜時の冷却条件をコントロールすることにより、結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶部における、擬六方晶系部を0,5,10または20重量%、単斜晶系部を100,95,90または80重量%とし、当該結晶部の球晶の平均粒径を5未満,5,10,50,100,500,1000,1500,2000または3000nmとしたものを得ることができる。
なお、本実施例における透明樹脂シート4の球晶の平均粒径は、Hv光散乱法により測定した散乱光の強度分布に基づいて下記の数式を用いて算出した。散乱光の強度分布の測定においては、上述の方法により得られた透明樹脂シート4に、所定の波長のレーザー光を照射し、散乱光の強度分布を検出器により検出する。透明樹脂シート4のレーザー光が透過する前後に偏光子と検光子とを設置し、偏光子と検光子との偏光方向を所定角度に設定して、散乱強度をI、散乱角度をθとし、所定の散乱角度がθmax、最大散乱強度がImaxとなるようなプロファイルを得る。このθmax値から下記の数式を用いて球晶のサイズRを算出する。
4.09=4π(R/λ)sin(θmax/2)
また、透明樹脂シート4の結晶部における擬六方晶系部および単斜晶系部の構成比率は、X線回折装置により得られるX線回折プロファイルから算出することができる。具体的な方法は、フィルム表面に対してX線源を0.5°に固定し、検出器を3°〜35°まで走査速度4°/分にて走査し、X線回折プロファイルを得る。得られたX線回折プロファイルからプロファイルフィッティングを行い、擬六方晶と単斜晶に由来するピークを抽出し、そのピークの面積比より擬六方晶系部と単斜晶系部との構成比率の算出を行う。
<実施例1>
実施例1においては、上記透明樹脂シート4として、メルトフローレートが3,5,10,30または40g/10min(230℃)の高結晶性ポリプロピレン樹脂を用いて作製した造核剤ベシクルを含有する透明樹脂シート4を具備する化粧シート1とした。なお、透明樹脂シート4は、結晶部における擬六方晶系部と単斜晶系部との存在比率が、擬六方晶系部20重量%、単斜晶系部80重量%とされている。具体的な化粧シート1の作製方法を以下に説明する。
また、本実施例に対する比較例として、メルトフローレートが2または50g/10min(230℃)の高結晶性ポリプロピレン樹脂を用いて、球晶の平均粒径を5未満,5,10,50,100,500,1000,1500,2000または3000nmとして製膜した造核剤ベシクルを含有する透明樹脂シート4を具備する化粧シート1を作製した。
上記製膜方法によって得られた厚さ100μmの透明樹脂シート4の両面にコロナ処理を施して表面の濡れ張力を40dyn/cm以上とした。隠蔽性のある70μmの原反層2としての基材シート2の一方の面に対して、2液硬化型ウレタンインキ(V180:東洋インキ製造(株)製)にて柄印刷を施してインキ層3を形成し、また、当該基材シート2の他方の面に対して、プライマーコートを施してプライマー層6を形成した。しかる後、前記基材シート2のインキ層3の面に、前記透明樹脂シート4をドライラミネート用接着剤(タケラックA540:武田薬品工業製;塗布量2g/m )による接着層7を介してドライラミネート法にて貼り合わせた。次に、前記透明樹脂シート4の表面に、エンボス用の金型ロールを用いてプレスを行いエンボス模様4aを形成した後、そのエンボス模様4a面上に2液硬化型ウレタントップコート(W184:大日本インキ(株)製)を塗布量3g/mにて塗布してトップコート層5を形成して総厚200μmの化粧シート1を得た。各化粧シート1について、V溝曲げ加工適性試験を行い耐後加工性の優劣の評価を行った。
V溝曲げ加工適性試験は、基材Bとしての中質繊維板(MDF)の一方の面に対して、上記の方法により得られた各化粧シート1をウレタン系の接着剤を用いて貼り付け、基材Bの他方の面に対して、反対側の化粧シート1にキズが付かないようにV型の溝を基材Bと化粧シート1とを貼り合わせている境界まで入れる。次に、化粧シート1の面が山折りとなるように基材Bを当該V型の溝に沿って90度まで曲げ、化粧シート1の表面の折れ曲がった部分に白化や亀裂などが生じていないかを光学顕微鏡を用いて観察し、耐後加工性の優劣の評価を行う。得られた評価結果を表1に示す。なお、表1の記号の説明は下記の通りである。
◎:非常に良好な透明性、耐擦傷性または耐後加工性を有する
○:良好な透明性、耐擦傷性または耐後加工性を有する
×:透明性、耐擦傷性または耐後加工性に劣る
表1から明らかなように、いずれのベシクル化方法を用いて調製した造核剤ベシクルを配合した場合においても、メルトフローレートが3〜40g/10minの結晶性ポリプロピレン樹脂を用いて球晶の平均粒径が2000nm以下とされた透明樹脂シート4を具備する実施例1の化粧シート1は、比較例として作製した化粧シート1と比較して、優れた耐後加工性を有しているといえる。ここで、本実施例において採用しているHv光散乱法を用いた球晶の平均粒径測定法は、正確に測定できる測定可能下限値が5nmであるため、それ以下の平均粒径とされたサンプルについては5nm未満として示している。そして、表1に示すように、球晶の平均粒径が5nm未満とされた透明樹脂シート4を具備する化粧シート1についても優れた耐後加工性を備えていることがわかる。なお、ベシクル化していない造核剤を用いた場合においては、球晶の平均粒径2000nm以下の透明樹脂シート4を製膜することができなかった。
<実施例2>
実施例2においては、上記透明樹脂シート4として、結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶部における擬六方晶系部と単斜晶系部との構成比率を、擬六方晶系部0,5,10および20重量%、単斜晶系部100,95,90および80重量%とし、球晶の平均粒径を5未満,5,10,50,100,500,1000,1500または2000nmとして製膜したものを用いた化粧シート1とした。なお、化粧シート1は、実施例1と同様の方法により作製した。得られた各化粧シート1についてホフマンスクラッチ試験およびスチールウールラビング試験にて表面硬度の評価を行った。
また、本実施例に対する比較例として、結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶部における擬六方晶系部と単斜晶系部との構成比率を、擬六方晶系部0,5,10および20重量%、単斜晶系部100,95,90および80重量%とし、球晶の平均粒径を3000nmとして製膜した透明樹脂シート4を具備する化粧シート1を作製した。
各評価試験の試験方法を簡単に説明する。
<ホフマンスクラッチ試験>
ホフマンスクラッチ試験は、ホフマンスクラッチハードネステスター(BYK−Gardner社製)を用いて、1200gの荷重にて、木質基材に貼り合せた各化粧シート1の表面を一定の速度で引っ掻き、化粧シート1の表面の傷つきの有無を目視にて判定した。
<スチールウールラビング試験>
スチールウールラビング試験は、木質基材に貼り合せた各化粧シート1の表面に対し、スチールウールを当接させた状態で治具を用いて固定し、当該治具に500gの荷重をかけたまま一定の速度で、距離50mm、50往復の条件にて擦らせて、化粧シート1の表面の傷つきの有無を目視にて判定した。スチールウールは、ボンスター#0(日本スチールウール(株)製)を丸めて使用した。
得られたホフマンスクラッチ試験の結果を表2、スチールウールラビング試験の結果を表3に示す。なお、表2および表3の記号の説明は下記の通りである。
◎:非常に良好な透明性、耐擦傷性または耐後加工性を有する
○:良好な透明性、耐擦傷性または耐後加工性を有する
×:透明性、耐擦傷性または耐後加工性に劣る
表2および表3から明らかなように、いずれのベシクル化方法を用いて調製した造核剤ベシクルを配合した場合においても、球晶の平均粒径が2000nm以下とされた透明樹脂シート4を具備する本実施例の化粧シート1は、優れた耐擦傷性を有しているといえる。ここで、本実施例において採用しているHv光散乱法を用いた球晶の平均粒径測定法は、正確に測定できる測定可能下限値が5nmであるため、それ以下の平均粒径とされたサンプルについては5nm未満として示している。そして、表2および表3に示すように、球晶の平均粒径が5nm未満とされた透明樹脂シート4を具備する化粧シート1についても優れた耐擦傷性を備えていることがわかる。なお、ベシクル化していない造核剤を用いた場合においては、球晶の平均粒径2000nm以下の透明樹脂シート4を製膜することができなかった。また、結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶部における擬六方晶系部と単斜晶系部との構成比率を、擬六方晶系部30,50,80および90重量%、単斜晶系部70,50,20および10重量%とした透明樹脂シート4についても製膜することができなかった。
本発明の化粧シートは、上記の実施形態および実施例に限定されるものではなく、発明の特徴を損なわない範囲において、種々の変更が可能である。
1 化粧シート
2 原反層、基材シート
3 インキ層
4 透明樹脂層、透明樹脂シート
4a エンボス模様
5 トップコート層
6 プライマー層
7 接着層
8 隠蔽層
B 基材

Claims (6)

  1. アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が95%以上である結晶性ポリプロピレン樹脂90〜100重量%を主成分とする透明樹脂層を少なくとも具備してなる化粧シートであって、
    前記透明樹脂層の前記結晶性ポリプロピレン樹脂からなる結晶部の球晶の平均粒径が2000nm以下であることを特徴とする化粧シート。
  2. 前記結晶部が、擬六方晶系部0〜20重量%および単斜晶系部80〜100重量%とされていることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記結晶性ポリプロピレン樹脂は、230℃におけるメルトフローレート(MFR)が3〜40g/10minであり、分子量分布(MWD=Mw/Mn)が4以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化粧シート。
  4. 前記透明樹脂層には、ベシクルに内包され添加された造核剤が含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の化粧シート。
  5. 前記ベシクルが、リン脂質からなる単層膜の外膜を具備することを特徴とする請求項4に記載の化粧シート。
  6. 前記透明樹脂層の厚さが、20μm以上、250μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の化粧シート。
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