まず、液体噴射装置1の構成について説明する。
図1は、液体噴射装置1の構成を示す平面図であり、図2は、液体噴射ヘッド3の周辺の構成を示す側面図である。なお、図2においては、ヘッド保持部材4と液体噴射ヘッド3の一部が断面で図示されている。
本実施形態における液体噴射装置1は、媒体2の表面に対して液体としてのインクを噴射して画像等の印刷や記録を行う装置である。
液体噴射装置1は、インクを第1方向としての−Z方向に噴射する液体噴射ヘッド3、当該液体噴射ヘッド3を保持するキャリッジとしてのヘッド保持部材4、第2方向としての+Y方向、または、第2方向の反対方向である第3方向としての−Y方向に媒体2を搬送可能な搬送部6、ヘッド保持部材4を媒体2の幅方向である主走査方向に移動させる図示しないヘッド移動機構等を備える。搬送部6によって搬送される媒体2の搬送方向は主走査方向に交差する副走査方向である。
媒体2は、枚葉紙或は連続紙等の記録用紙、布、あるいは樹脂フィルム等である。媒体2は、搬送部6の駆動によって、液体噴射ヘッド3のノズルプレート24と間隔を空けて配置されたプラテン7の上に搬送され、液体噴射ヘッド3の各ノズル29から噴射されたインクが着弾して画像が印刷された後、液体噴射装置1から排出される。
以下、互いに直交する±X方向、±Y方向、及び±Z方向のうち、本実施形態では、液体噴射ヘッド3の主走査方向を±X方向とし、媒体2の搬送方向である副走査方向を+Y方向とし、液体噴射ヘッド3のノズルプレート24におけるノズル形成面に平行な面をXY平面とし、当該ノズル形成面、即ち、XY平面に直交する方向を±Z方向とする。また、±X方向に沿う軸をX軸、±Y方向に沿う軸をY軸、±Z方向に沿う軸をZ軸とする。
搬送部6は、ヘッド保持部材4に搭載された液体噴射ヘッド3のノズル形成面よりも搬送方向上流側に位置する第1ローラー対8と、ノズル形成面よりも搬送方向下流側に位置する第2ローラー対9とを備える。
第1ローラー対8は、駆動ローラー8aと、駆動ローラー8aに従動する従動ローラー8bと、を有し、駆動ローラー8a、従動ローラー8bによって媒体2を挟持した状態で互いに反対方向に回転可能に構成される。駆動ローラー8aは、不図示の給紙モーターからの動力で駆動される。そして、駆動ローラー8aと、従動ローラー8bと、によって媒体2を挟持した状態で互いに反対方向に回転することで、当該媒体2を液体噴射ヘッド3のノズル形成面とプラテン7との間に搬送する。
第2ローラー対9は、駆動ローラー9aと、駆動ローラー9aに従動する従動ローラー9bと、により構成され、印刷後の媒体2を挟持した状態で互いに反対方向に回転して、当該媒体2を排紙側に案内する。
ここで、搬送部6は、上記第1ローラー対8及び第2ローラー対9以外にも図示しないローラー対を複数備えているが、第1ローラー対8は、搬送部6が備えるローラー対のうち、ノズル形成面よりも上流側のローラー対であってノズル形成面に最も近い位置に配置されたローラー対であり、第2ローラー対9は、ノズル形成面よりも下流側のローラー対であってノズル形成面に最も近い位置に配置されたローラー対である。なお、本実施形態において従動ローラー対として例示したローラー8b,9bが、ローラー8a,9aと同様に動力で駆動される駆動ローラーであってもよい。つまり、第1ローラー対8を構成するローラー8a,8bが互いに反対方向にそれぞれ回転駆動される構成を採用することができる。同様に、第2ローラー対9を構成するローラー9a,9bが互いに反対方向にそれぞれ回転駆動される構成を採用することができる。また、本実施形態では、媒体2の記録面とは反対側に配置されたローラー8a,9aが駆動ローラーであり、媒体2の記録面に配置されたローラー8b,9bが従動ローラーである構成を例示したが、これに限られず、+Z方向における上側に配置されたローラー8b,9bが駆動ローラーで、−Z方向における下側に配置されたローラー8a,9aが従動ローラーであってもよい。
上記インクとしては、水系インク、溶剤系インク等種々のものを用いることができる。インクは、液体貯留部材としての図示しないインクカートリッジに貯留される。そして、インクカートリッジは、ヘッド保持部材4に対して着脱可能に装着される。この他、液体貯留部材が液体噴射装置1の本体側に配置され、当該液体貯留部材から図示しない供給チューブを通じて液体噴射ヘッド3に供給される構成を採用することもできる。この液体貯留部材としては、インクを再充填可能なタンク状のものを採用することもできる。このような構成の場合、ヘッド保持部材4には、サブタンクと呼ばれるインクの供給圧を調整可能な部材が装着される。
プラテン7に対して−X方向の一端側には、液体噴射ヘッド3の待機位置であるホームポジションが設定される。ホームポジションには、一端側から+X方向の他端側に向かって順にキャッピング機構11及びワイピング機構12が設けられる。キャッピング機構11は、例えば、エラストマー等の弾性部材からなるキャップ13を有し、キャップ13を液体噴射ヘッド3のノズル形成面に対して接触させて封止(キャッピング)した状態、あるいは当該ノズル形成面から離隔した待避状態に変換可能に構成される。そして、ノズル形成面をキャッピングした状態でキャップ13内の空間を図示しない吸引ポンプ等の負圧機構により負圧化して吸引することで、液体噴射ヘッド3のノズル29からインクと共に増粘したインクや気泡等をキャップ13内に排出させるメンテナンスの一種であるクリーニング動作を行う。
ワイピング機構12は、ワイパー14によって液体噴射ヘッド3のノズル形成面を払拭するメンテナンスの一種であるワイピング動作を行うものである。本実施形態におけるワイピング機構12は、ワイパー14をノズル形成面に接触した状態あるいは当該ノズル形成面から離隔した待避状態に変換可能に構成されている。ワイパー14は、種々の構成のものを採用することができるが、例えば、弾性を有するブレード本体の表面が布で被覆されたものからなる。本実施形態においては、ワイパー14がノズル形成面に接触した状態で、液体噴射ヘッド3が主走査方向に移動することで、ワイパー14がノズル形成面を摺動して払拭(ワイピング)する。なお、液体噴射ヘッド3が移動を停止した状態でワイパー14が自走することでノズル形成面を払拭する構成を採用することもできる。
図3は、液体噴射ヘッド3の構成を示す分解斜視図であり、図4は、液体噴射ユニット19の構成を示す断面図である。
図5から図7は、液体噴射ヘッド3が取り付けられた状態のヘッド保持部材4の構成を示す図であり、図5は上面図、図6は下面図、図7は図6におけるA−A線断面図である。また、図8から図11は、液体噴射ヘッド3の構成を示す図であり、図8は上面図、図9は下面図、図10は図9におけるB−B線断面図、図11は図9におけるC−C線断面図である。
図3に示すように、液体噴射ヘッド3は、ノズルプレート24を含む流路ユニット25と、流路ユニット25の第4方向としての+Z方向に設けられたヘッドケース17と、ヘッドケース17に支持される回路基板22と、回路基板22の+Z方向に設けられたホルダーとしての導入路ユニット18と、ヘッドケース17と導入路ユニット18とを固定する固定部材としてのネジ39等を備える。
また、導入路ユニット18の+Z方向には流路プレート92が配置される。流路プレート92上にはフィルター95を介して液体貯留部材が装着される装着部材44が配置される。装着部材44には導入針45が設けられる。
導入路ユニット18と回路基板22との間にはシール部材93が配置される。回路基板22は、インクの噴射を駆動させるための配線回路や制御部と接続するためのコネクター40を備える。
さらに、液体噴射ヘッド3は、圧電素子31を含む振動子ユニット23を備える。振動子ユニット23は、ヘッドケース17に取り付けられる。ヘッドケース17の−Z方向端部には、流路ユニット25を含む液体噴射ユニット19が配置される。蓋部材38は、金属板をプレス成形した保護部材であり、ノズルプレート24のノズル形成面の端部表面を覆う。蓋部材38は、ヘッドケース17に固定される。
図4に示すように、液体噴射ユニット19は、ヘッドケース17と、当該液体噴射ユニット19の−Z方向における下面側に積層された流路ユニット25を備える。
図10に示すように、ヘッドケース17は、流路ユニット25が固定される箱体状のケース本体部20と、導入路ユニット18と接合されるフランジ部を有する第1固定部21及び第2固定部121とにより構成される。ヘッドケース17は、例えば合成樹脂により成型されることで、ケース本体部20と、第1固定部21と、第2固定部121とが一体に形成される。ヘッドケース17の内部には、導入路ユニット18からのインクを流路ユニット25側にインクを供給するための流路100が形成される。また、ヘッドケース17には、流路100の一部を画定する流路管91が設けられる。また、ヘッドケース17の+Z方向における上面側には、回路基板22が積層される。
また、ヘッドケース17には、図4に示すように、振動子ユニット23を収納するための収納空部65が±Z方向を貫通する状態で形成される。収納空部65に対して外側の位置には、流路管91が、±Z方向を貫通する状態で形成される。流路管91の+Z方向側の上流端は、ヘッドケース17の上面に開口し、導入路ユニット18に配置された流路プレート92(図12参照)に形成された不図示の中間流路と連通する。
また、流路管91の−Z方向側の下流端は、ヘッドケース17の下面に開口し、流路ユニット25における共通液室34と連通する。
振動子ユニット23は、アクチュエーターの一種として機能する圧電素子31と、圧電素子31が接合される固定板49と、圧電素子31に駆動信号等を印加するための第1配線部材50と、を備える。圧電素子31は、圧電体層と電極層とを交互に積層した圧電板を櫛歯状に切り分けることで作製された積層型であって、積層方向(電界方向)に直交する方向に伸縮可能(電界横効果型)な縦振動モードの圧電素子である。圧電素子31には、回路基板22から第1配線部材50を通じて駆動信号が印加される。第1配線部材50としては、例えば、COF(Chip On Film)基板などを採用することができる。
流路ユニット25は、流路基板26を有し、当該流路基板26の−Z方向側の面にノズルプレート24を、流路基板26の+Z方向側の面に振動板57をそれぞれ接合して構成される。流路ユニット25には、共通液室34と、インク供給口35と、圧力室30と、ノズル29とが設けられる。そして、インク供給口35から圧力室30を経てノズル29に至る一連のインク流路が、各ノズル29に対応して形成される。
ノズルプレート24は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズル29が穿設された板材である。ノズルプレート24の材料としては、ステンレス鋼等の金属板やシリコン単結晶基板等を採用することができる。
図9に示すように、本実施形態におけるノズルプレート24には、複数のノズル29がY軸に沿って列設されてなるノズル列28が、X軸に沿った方向に合計10列並設される。本実施形態において、各ノズル列28は、媒体2の搬送方向であるY軸に沿った方向にそれぞれ揃うように構成される。なお、各ノズル列28のY軸に対する傾きの調整については後述する。
振動板57は、支持板表面に弾性膜を積層した二重構造である。本実施形態では、振動板57は、ステンレス鋼等の金属板を支持板とし、この支持板の表面に樹脂フィルムが弾性膜としてラミネートされた複合板材により構成される。振動板57には、圧力室30の容積を変化させるダイヤフラム68が設けられる。ダイヤフラム68は、エッチング加工等によって支持板を部分的に除去することで作製される。即ち、このダイヤフラム68は、圧電素子31の自由端部の先端面が接合される島部69と、この島部69の周囲に設けられた可撓部66とからなる。島部69には圧電素子31の先端面が接合される。そして、圧電素子31の自由端部を伸縮させることでダイヤフラム68を変位させて圧力室30の容積を変動させることができる。
また、振動板57において、流路基板26の共通液室34に対応する部分には、当該共通液室34を封止するコンプライアンス部72が設けられる。コンプライアンス部72は、共通液室34の開口面に相対する領域の支持板を、エッチング加工等によって除去して当該部分を弾性膜のみとすることにより形成される。そして、コンプライアンス部72は、共通液室34に貯留された液体の圧力変動を吸収するダンパーとして機能する。
流路基板26は、インク流路を区画する板状の部材である。流路基板26は、例えば、結晶性基材の一種であるシリコンウェハーを異方性エッチング処理することによって形成される。
そして、導入路ユニット18側から送られてきたインクは、流路管91から共通液室34へと導入され、共通液室34からインク供給口35を通じて各圧力室30に供給される。そして、圧電素子31が駆動されることにより、圧力室30内のインクに圧力変動が生じ、この圧力変動によって所定のノズル29からインクが噴射される。
また、ケース本体部20の下面には、図9に示すように、複数のノズル29を露出する開口が設けられ、−Z方向からノズルプレート24を覆う蓋部材38が取り付けられる。蓋部材38は、例えば金属製の薄板部材によって作製されており、液体噴射ユニット19を保護すると共に、図示しない接地線に接続されることでノズルプレート24を接地する機能を有する。蓋部材38の−Z方向における下面、即ち、印刷動作において媒体2と対向する面と、当該下面におけるノズルプレート24の露出部分が、液体噴射ヘッド3のノズル形成面に相当する。蓋部材38は、挿通穴38aが形成され、当該挿通穴38aを介して第1ネジ39A及び第2ネジ39Bによって、ヘッドケース17の第1固定部21及び第2固定部121の各フランジ部に固定される。なお、蓋部材38における第1ネジ39A及び第2ネジ39Bによってヘッドケース17に固定された部分、即ち、挿通穴38aが形成された部分を固定部分70と称する。また、本実施形態では、第1ネジ39A及び第2ネジ39Bは、それぞれ一対設けられている。即ち、蓋部材38の挿通穴38aは、一対の第1ネジ39Aおよび一対の第2ネジ39Bの夫々に対応して合計4つ設けられている。同様に、後述のヘッドケース17のネジ孔85は、一対の第1ネジ39Aおよび一対の第2ネジ39Bの夫々に対応して合計4つ設けられている。さらに同様に、後述の導入路ユニット18の雌ネジ部86および連通穴87は、一対の第1ネジ39Aおよび一対の第2ネジ39Bの夫々に対応して合計4つ設けられている。
図9に示すように、X軸に沿った方向に並設された固定部分70同士の当該X軸に沿った方向における距離、即ち、中心間距離は、搬送方向である+Y方向における上流側と下流側で異なる。具体的には、+Y方向において後述する第1位置決め部42が設けられる側の固定部分70a同士のX方向における距離D1は、+Y方向において第1位置決め部42が形成されていない側、即ち、ノズルプレート24を間に挟んで反対側の固定部分70b同士のX軸に沿った方向における距離D2より短い。そして、固定部分70aは、平面視において、第1位置決め部42aと第1位置決め部42bとの間の領域に固定部分70aが配置される。つまり、+X方向で見て、第1位置決め部42a,42bと固定部分70aとが少なくとも一部で重なる。このように、第1位置決め部42と固定部分70aとが、+X方向において重ならず、尚且つ、+Y方向において重なる位置に配置されるため、+Y方向における液体噴射ヘッド3のサイズをより小さくすることができる。
図11に示すように、ヘッドケース17の固定部分70bに対応する位置は、内周面75aを有する凹部75が設けられている。凹部75のZ方向の負側、即ち、上側の天井面には、ネジ孔85(第2ネジ孔85B)が開口している。この凹部75の内径は、ネジ孔85の内径、即ち、開口径よりも大きく設定される。また、導入路ユニット18の固定部分70bに対応する位置、即ち、雌ネジ部86の開口周縁部には、ヘッドケース17側に向けて突出した円筒状の凸部76が設けられる。凸部76の内部には、雌ネジ部86に連通する連通穴87が形成される。連通穴87の内径は、雌ネジ部86の内径よりも少し大きく設定されており、当該連通穴87には固定部材としてのネジ39(第2ネジ39B)が挿通される。また、凸部76の外径は、凹部75の内径と同程度か、又は、少し小さく設定されている。なお、図11では、+X方向に並設されている固定部分70bのうち一方の固定部分70bの構成が図示されているが、他方の固定部分70bも同様な構成となっている。そして、ヘッドケース17と導入路ユニット18とは、凸部76が凹部75に挿入されて当該凸部76の外周面76bと凹部75の内周面75aとが嵌合することによって位置決めされる。前述したように、固定部分70b同士のX軸に沿った方向における距離D2は、固定部分70a同士のX軸に沿った方向における距離D1よりも長いので、ヘッドケース17と導入路ユニット18との位置決めの精度を高めることができる。
なお、ヘッドケース17の固定部分70aに対応する位置においても、上記同様にネジ孔85(第1ネジ孔85A)及びネジ39(第1ネジ39A)が配置される。
ヘッドケース17に設けられた回路基板22は、図示しない制御部からの駆動信号を受け、この駆動信号を、第1配線部材50を通じて圧電素子31へ印加するための中継基板である。回路基板22は、ヘッドケース17に対して+X方向および−X方向の双方に突出しており、この2つの突出した部分における回路基板22の+Z方向側の面および−Z方向側の面の双方に、制御部との接続のためのコネクター40がそれぞれ設けられる。つまり、コネクター40は、ヘッドケース17のX軸に沿った方向における両外側に合計4つ配置されている。コネクター40には図示しない第2配線部材が接続され、この第2配線部材を介して制御部側から駆動信号を受ける。第2配線部材としては、例えば、フレキシブルフラットケーブル(FFC)やフラットケーブルなどを採用することができる。
各固定部分70は、+Z方向から見た平面視において、図6および図9において破線で示されるノズルプレート24の外周80よりもY軸に沿った方向における上流側または下流側に外れた位置にそれぞれ配置されている。その一方で、各固定部分70は、外周80よりもX軸に沿った方向における内側に位置する。従って、ノズルプレート24の外周80よりもX軸に沿った方向における−X方向側および+X方向側に外れた位置に、コネクター40を固定部分70に干渉することなく配置することができる。このため、固定部分70をノズルプレート24の外周80よりもX軸に沿った方向における外側に外れた位置に配置した場合よりも、液体噴射ヘッド3のX軸に沿った方向におけるサイズを小型化することができる。
第1固定部21のフランジ部の下面において、+Y方向における一方、即ち、搬送方向における下流側の縁部には、液体噴射ヘッド3の位置決めに用いられる第1位置決め部42が設けられる。具体的には、第1固定部21のフランジ部の下面における下流側の両角部にそれぞれ第1位置決め部42(42a,42b)が形成される。これらの第1位置決め部42a,42bは、例えば、第1固定部21のフランジ部の下面から当該フランジ部の厚さ方向、即ち、+Z方向の途中まで窪んだ凹部、又は、当該フランジ部を貫通した貫通孔から構成される。本実施形態では、これらの第1位置決め部42a,42bは使用されないが、他のヘッド保持部材との位置決めに用いられるものである。
導入路ユニット18は、液体貯留部材側から供給されるインクを流路管91側に導入する中間流路が内部に形成された流路プレート92を含む。図9に示すように、導入路ユニット18は、平面視においてヘッドケース17のフランジ部よりも大きく形成され、フランジ部の上面に積層される。また、図8に示すように、導入路ユニット18上の装着部材44には、液体貯留部材の装着領域44aが区画される。装着領域44aには、上記インク導入路の上流側開口部が+Z方向へ開口するように設けられ、当該開口部には、フィルター95を介在させて複数の導入針45が取り付けられる。本実施形態においては、X軸に沿って並設された5本の導入針45の列がY軸に沿って2列形成されており、合計10本の導入針45が立設される。これらの導入針45は、装着領域44aに装着された液体貯留部材の内部に挿入されると、当該液体貯留部材内部に貯留されているインクは、流路プレート92の中間流路を介して流路管91側に導入される。各導入針45は、中空針状で先端部には導入穴が開設されている。また、導入針45の根本側は、下流側開口に向かうほど拡径する裾広がり形状となっている。なお、導入路ユニット18がインクを導入する構成としては、このような針状の導入針45を用いた構成に限られず、例えば、導入路ユニット18のインク導入部分に不織布やスポンジ等の多孔質材が配設され、これに対応して液体貯留部材のインクの導出部分にも同様な多孔質材が設けられ、両者の多孔質部材同士が接触して毛細管現象により液体の授受を行う所謂フォーム形式の構成を採用することもできる。
図5に示すように、導入路ユニット18の四隅の角部には、それぞれ、ヘッド保持部材4との固定に使用される図示しないネジやボルト等の固定部材48の雄ネジ部が挿通されるネジ穴46が、導入路ユニット18の厚さ方向、即ちZ軸に沿った方向を貫通した状態で形成される。なお、図5において固定部材48は、雄ネジ部のみが断面で示されている。これらのネジ穴46のうち、導入路ユニット18の+Y方向における下流側に位置する2つのネジ穴46の一方のネジ穴46aは、固定部材48の雄ネジ部の外径より少し大きい円形の貫通穴であり、当該雄ネジ部との間に多少の隙間ができるように構成される。このネジ穴46aは、後述する位置決め部としての第2位置決め部43に最も近い位置に配置される。図9においてネジ穴46aから時計回りに導入路ユニット18の角部にそれぞれ配置されたネジ穴46b,46c,46dは、それぞれ短径がネジ穴46aの直径に揃えられると共に長径がネジ穴46aの直径よりも長く設定された長穴となっている。各ネジ穴46b,46c,46dは、それぞれの長径の方向が、後述する第2位置決め部43を中心とした仮想円の円周方向に概ね沿うように形成されている。即ち、固定部材48の雄ネジ部を各ネジ穴46に挿通して液体噴射ヘッド3をヘッド保持部材4に固定する際、各ネジ穴46a〜46dと、それぞれに挿入された固定部材48の雄ネジ部との間に形成される隙間の範囲内で、ヘッド保持部材4に対して液体噴射ヘッド3の位置を、第2位置決め部43を中心とした仮想円の円周方向に微調整することができる。この液体噴射ヘッド3の位置調整は、ヘッド保持部材4に設けられた調整機構47によって行われる。この点については後述する。
図9に示すように、導入路ユニット18の下面において、ヘッドケース17の第1固定部21のフランジ部よりも+Y方向の下流側に延出された部分であって、X軸方向に沿った方向における上記ネジ穴46a側に偏らせた位置には、ヘッド保持部材4との位置決めに用いられる第2位置決め部43が設けられる。第2位置決め部43は、後述する調整機構47による位置調整の際の回転中心となる。この第2位置決め部43と第1位置決め部42との位置関係に関し、第1位置決め部42は、搬送方向である+Y方向において、第2位置決め部43と比較してノズル形成面により近い位置に配置される。また、第1位置決め部42は、ノズル形成面に直交する方向であるZ軸に沿った方向において、第2位置決め部43と比較してノズル形成面により近い位置に配置される。つまり、液体噴射ヘッド3と他のヘッド保持部材との位置決めの際に、Y軸に沿った方向及びZ軸に沿った方向においてノズル形成面により近い位置にある第1位置決め部42を用いて位置決めをした方が、ノズル形成面の位置をより高い精度で規定することができる。本実施形態においては、第2位置決め部43を使用して液体噴射ヘッド3とヘッド保持部材4との位置決めを行う構成であるが、以下で説明するように、調整機構47によってヘッド保持部材4に対する液体噴射ヘッド3の位置を調整する構成を採用することで、ノズル形成面のX軸に沿った方向及びY軸に沿った方向における傾きをより精度よく調整することができるので、ノズル形成面の位置精度、即ち、各ノズル29の位置精度を確保することができるようになっている。
本実施形態においては、第2位置決め部43が1つだけ形成された構成を例示したが、これには限られず、導入路ユニット18の下面において、ヘッドケース17の第1固定部21のフランジ部よりも+Y方向の延出された部分において、X軸に沿った方向におけるネジ穴46a側の第2位置決め部43に加えて、ネジ穴46b側に近接させて第2位置決め部43′(図9中破線で示される部分)が設けられる構成を採用することもできる。
本実施形態におけるヘッド保持部材4は、底板51と、この底板51の周縁から上方に立設されて底板51の四方を囲む側壁52とから構成された上面開放の箱状部材である。底板51と側壁52とによって区画される空間が液体噴射ヘッド3を収容する収容空部16として機能する。底板51の上面、即ち、収容空部16側の面は、ヘッド配置部として機能し、液体噴射ヘッド3が載置される部分である。底板51には、Z軸に沿う方向に貫通する挿通口53が設けられている。挿通口53は、液体噴射ヘッド3のケース本体部20が挿通可能で、尚且つ、導入路ユニット18が挿通し得ない大きさの貫通穴である。ヘッド保持部材4の収容空部16内に液体噴射ヘッド3を収容して取り付ける際、この挿通口53にケース本体部20が挿入されてヘッド保持部材4の底板51よりも外側、即ち、下方に突出するようになっている。そして、液体噴射ヘッド3の導入路ユニット18の下面がヘッド保持部材4の底板51に着座することで、ヘッド保持部材4における液体噴射ヘッド3のZ軸に沿った方向の位置が規定される。
また、図示しないが、ヘッド保持部材4の底板51には、液体噴射ヘッド3側の各ネジ穴46a〜46dに対応して合計4つの雌ネジ部が形成される。液体噴射ヘッド3をヘッド保持部材4に固定する際には、液体噴射ヘッド3のネジ穴46a〜46d側から固定部材48の雄ネジ部を挿通して底板51の雌ネジ部に螺合させることで、液体噴射ヘッド3をヘッド保持部材4にネジ留めすることができる。底板51の上面において、液体噴射ヘッド3の第2位置決め部43に対応する位置には、底板51から+Z方向の上側に向けて突出した突起55が形成される。上記挿通口53に液体噴射ヘッド3のケース本体部20が挿通され、突起55が第2位置決め部43に挿入されることで、ヘッド保持部材4と液体噴射ヘッド3との位置決めが行われる。即ち、ノズル形成面の位置、さらに詳しくは各ノズル29のX軸に沿った方向及びY軸に沿った方向における位置を概ね規定することができる。この突起55は、Y軸に沿った方向において、ヘッド保持部材4に保持された液体噴射ヘッド3の第1位置決め部42と比較してノズル形成面からより遠い位置に配置される。
さらに、ヘッド保持部材4の底板51には、液体噴射ヘッド3の配置位置を調整するための調整機構47が設けられている。本実施形態における調整機構47は、例えば、偏心カムより構成されており、底板51に配置された液体噴射ヘッド3の+Y方向における下流側の端面(例えば、導入路ユニット18のY方向における下流側の端面)に接触可能な位置であって、+X方向において第2位置決め部43及び突起55とは液体噴射ヘッド3の中心を挟んで反対側に偏らせた位置(例えば、ネジ穴46b側の位置)に設けられる。また、底板51に配置された液体噴射ヘッド3の+Y方向における上流側の端面は、バネなどの付勢部材56により調整機構47側、即ち下流側に付勢されている。なお、調整機構47としては、例示した偏心カムによるものには限られず、液体噴射ヘッド3の位置を調整可能なものであれば、種々の構成のものを採用することができる。例えば、先端部が液体噴射ヘッド3に接触した状態の調整ネジの締め込み量で当該液体噴射ヘッド3の位置を調整する構成を採用することもできる。
液体噴射装置1の製造工程において液体噴射ヘッド3をヘッド保持部材4に取り付ける場合、ヘッド保持部材4の挿通口53に液体噴射ヘッド3のケース本体部20が挿入され、ヘッド保持部材4の突起55が液体噴射ヘッド3の第2位置決め部43に挿入されて、ヘッド保持部材4の底板51に導入路ユニット18の下面が着座することでヘッド保持部材4における液体噴射ヘッド3の大凡の位置決めがされる。また、この状態では上述したように、付勢部材56により液体噴射ヘッド3が調整機構47側に付勢される。次に、固定部材48の雄ネジ部が各ネジ穴46に挿通され、ヘッド保持部材4に対して液体噴射ヘッド3を多少動かすことができる程度にヘッド保持部材4の雌ネジ部に固定部材48を螺合させて液体噴射ヘッド3をヘッド保持部材4に仮固定した状態とする。そして、この状態で調整機構47により液体噴射ヘッド3の位置が調整される。本実施形態においては、偏心カムである調整機構47を回転させることで、ヘッド保持部材4に対する液体噴射ヘッド3の位置、特にノズル形成面のX軸に沿った方向及びY軸に沿った方向に対する傾きが調整される。即ち、調整機構47を回転させると、回転中心から導入路ユニット18と接触している外周面までのカム径が増減し、これにより、上述したように第2位置決め部43を中心として液体噴射ヘッド3の位置を微調整することができる。この位置調整では、例えば、各ノズル29から媒体2にインクを噴射して罫線等の検査パターンを印刷し、当該検査パターンに基づいてノズル形成面における各ノズル列28がY軸沿った方向と平行となるように、つまり、検査パターンの罫線がY軸に沿った方向に揃うように調整機構47を用いて位置調整を行うことができる。そして、位置の調整が完了したならば、固定部材48を締め込むことにより、液体噴射ヘッド3がヘッド保持部材4に本固定される。
このように、本実施形態においては、第1位置決め部42と比較して位置決め精度が低い第2位置決め部43を用いて液体噴射ヘッド3とヘッド保持部材4との位置決めを行う構成であっても、調整機構47を有することにより、ノズル形成面における各ノズルの位置をより高精度に調整することが可能となる。また、本実施形態における構成によれば、第1位置決め部42と比較してZ軸に沿った方向においてノズル形成面に対してより遠い位置、換言すると、より離れた位置にある第2位置決め部43を用いて位置決めをする構成であるため、図2に示すように、ヘッドケース17よりも上方に設けられた導入路ユニット18でヘッド保持部材4との位置決めを行うので、搬送部6の第2ローラー対9の従動ローラー9bが配置されるスペースの減少が抑制される。すなわち、第1位置決め部42が設けられた部分よりも下方のスペースを、第2ローラー対9の従動ローラー9bの配置スペースとして利用することができる。これにより、第1ローラー対8の従動ローラー8bと第2ローラー対9の従動ローラー9bとの距離(軸間距離)Laをより短くすることができる。より具体的には、下流側の第2ローラー対9の従動ローラー9bが、Y軸に沿った方向において第2位置決め部43と比較してノズル形成面により近い位置に配置される。その結果、媒体2の搬送精度が高まり、媒体2における液体の着弾精度をより向上させることが可能となる。また、本実施形態においては、調整機構47を有することにより、ノズル形成面における各ノズルの位置をより高精度に調整することができるので、媒体2における液体の着弾精度を一層向上させることができる。このため、媒体2に印刷・記録された画像等の画質の向上に寄与する。
さて、上述したように液体噴射ヘッド3の第2位置決め部43とヘッド保持部材4の突起55との係合により下流側の第2ローラー対9の従動ローラー9bが、Y軸に沿った方向においてノズル形成面に対してより近い位置に配置可能となることで画像品質を向上させる構成について説明したが、さらに、本実施形態では、液体噴射ヘッド3自体に特有の課題を有する。具体的には、本実施形態の液体噴射ヘッド3は、合計10列のノズル列28を有し、比較的ノズル列28が多い形態である。このため、回路基板22には、多数のノズル列28に対応してより密な配線領域が必要となる。このため、回路基板22をヘッドケース17に固定するためのネジ39を貫通させるネジ孔を回路基板22に設けることが困難となる。また、ノズル列28がX軸に沿って並ぶ液体噴射ヘッド3の幅方向の大型化を抑制するため、X軸に沿った回路基板22の外側にネジ39による固定部分70を設けることが困難である。
一方、搬送方向における回路基板22の両外側に固定部分70を設けた場合、固定部分70の下方に搬送部6を配置するスペースが無く、固定部分70との干渉を避けるため、搬送部6を液体噴射ヘッド3から水平方向に遠ざけた位置に配置させなくてはならない。そうすると、第1ローラー対8と第2ローラー対9との距離が長くなり、媒体2の搬送誤差により画像品質が低下してしまう。
そこで、液体噴射ヘッド3のヘッドケース17のケース本体部20をZ軸に沿った方向に長くすることで、固定部分70の下方にスペースを確保し、当該スペースに第1ローラー対8及び第2ローラー対9を配置して第1ローラー対8と第2ローラー対9との距離を短くする構成が考えられるが、この場合、Z軸に沿った方向に液体噴射ヘッド3が大型化してしまう。
従って、搬送方向における回路基板22の両外側に固定部分70を設けた場合であっても、液体噴射ヘッド3の大型化の抑制、および、画像品質の向上の実現が課題となる。
以下、上記課題を解決するための液体噴射装置1の構成について説明する。
図12は、図9におけるD−D線断面図及び搬送部6の配置位置を示す図である。
液体噴射ヘッド3は、複数のノズル29が設けられたノズルプレート24を含む流路ユニット25と、ノズルプレート24に対して、第1方向としての−Z方向と反対方向である第4方向としての+Z方向に設けられたヘッドケース17と、ヘッドケース17の+Z方向側の支持面17aに支持された回路基板22と、回路基板22に対して、+Z方向に設けられた導入路ユニット18と、ヘッドケース17と導入路ユニット18とを固定する第1ネジ39Aと、ヘッドケース17と導入路ユニット18とを固定する第2ネジ39Bと、を有する。
ヘッドケース17は、ケース本体部20と、ケース本体部20の+Y方向側の第1側面20aから+Y方向へ突出するように設けられ、第1ネジ39Aが貫通する第1ネジ孔85Aが形成された第1固定部21と、ケース本体部20の−Y方向側の第2側面20bから−Y方向へ突出するように設けられ、第2ネジ39Bが貫通する第2ネジ孔85Bが形成された第2固定部121と、を有する。
ケース本体部20は、−Z方向側の面で流路ユニット25を固定しており、+Z方向側の面には前記回路基板22を支持する支持面17aの一部を有する。
第1固定部21の−Z方向側の面には、第1ネジ孔85Aが−Z方向へ開口する第1開口面21aと、Y軸に沿う方向において第1側面20aと第1開口面21aとの間に設けられ、−Z方向に垂直な面に対して傾斜する第1斜面21bと、第1斜面21bの−Y方向側の一端21baと第1側面20aとを連続させる−Z方向に対して垂直な面21cと、を有する。第1開口面21aは、蓋部材38を介して第1ネジ39Aの頭部39Aaの座面39Abと対向する平坦面である。第1斜面21bは、一端21baから+Y方向へ向かうに連れて+Z方向へ傾斜する斜面である。本実施形態において、第1斜面21bは、第1開口面21aと連続している面である。
第1固定部21の+Z方向側の面には、支持面17aの一部と、支持面17aと連続し、+Z方向へ延びる内壁面17b1と、を有する。
第2固定部121の−Z方向側の面には、第2ネジ孔85Bが−Z方向へ開口する第2開口面121aと、Y軸に沿う方向において第2側面20bと第2開口面121aとの間に設けられ、−Z方向に垂直な面に対して傾斜する第2斜面121bと、第2斜面121bの+Y方向側の一端121baと第2側面20bとを連続させる−Z方向に対して垂直な面121cと、を有する。第2開口面121aは、蓋部材38を介して第2ネジ39Bの頭部39Baの座面39Bbと対向する平坦面である。第2斜面121bは、一端121baから−Y方向へ向かうに連れて+Z方向へ傾斜する斜面である。
第2固定部121の+Z方向側の面には、支持面17aの一部と、支持面17aと連続し、+Z方向へ延びる内壁面17b2と、を有する。
前述の説明から分かる通り、本実施形態における支持面17aは、ケース本体部20、第1固定部21、および第2固定部121に設けられている。
回路基板22は、一対の内壁面17b1、17b2の間に挟まれて、支持面17aに支持されている。内壁面17b1は、第1ネジ39Aに対して−Y方向に配置され、内壁面17b2は、第2ネジ39Bに対して+Y方向に配置されている、すなわち、支持面17aと内壁面17b1、17b2とによって区画された回路基板22の配置領域が、第1ネジ39Aに対して−Y方向の位置、及び、第2ネジ39Bに対して+Y方向の位置である。これにより、回路基板22に第1ネジ39A及び第2ネジ39Bを通すための貫通孔等が形成されない状態で配置可能となる。従って、回路基板22における配線形成領域を十分に確保できる。
さらに、回路基板22は、第1側面20aに対して+Y方向に配置されている部分と、第2側面20bに対して−Y方向に配置されている部分と、を有する。具体的には、回路基板22の+Y方向の端面22aは、第1側面20aに対して+Y方向に配置され、回路基板22の−Y方向の端面22aは、第2側面20bに対して−Y方向に配置される。すなわち、回路基板22は、ケース本体部20、第1固定部21、および第2固定部121の夫々に設けられた支持面17aに支持されている。これにより、回路基板22のY軸に沿う方向における寸法がケース本体部20のY軸に沿う方向における寸法よりも小さく、ケース本体部20に設けられた支持面17aのみに回路基板22が支持されている構成と比較して、回路基板22のY軸に沿う方向における寸法を大きくすることで配線形成領域を大きくすることができる。
ここで、第1固定部21に第1斜面21bが設けられておらず、第2固定部121に第2斜面121bが設けられていない場合の比較例と本実施形態との構成の違いについて説明する。第1斜面21bの代わりに面21cが+Y方向へ延在し、第2斜面121bの代わりに面121cが−Y方向へ延在する比較例の構成に比べ、本実施形態ではヘッドケース17に第1斜面21bおよび第2斜面121bを設けることにより、第1斜面21bに対向する領域および第2斜面121bに対向する領域にスペースが形成される。さらに、第1斜面21bおよび第2斜面121bを設けることにより、第1開口面21aを面21cに対して+Z方向へ配置することができ、第2開口面121aを面121cに対して+Z方向へ配置することができる。つまり、比較例に比べ、第1固定部21の−Z方向側および第2固定部121の−Z方向側にスペースを確保することができる。したがって、比較例の構成に比べ、第1斜面21bに対向するスペースに搬送部6の一部、すなわち、従動ローラー9bを配置しやすくなり、第2斜面121bに対向するスペースに搬送部6の一部、すなわち、従動ローラー8bを配置しやすくなる。このため、ノズルプレート24の近くに従動ローラー9bおよび従動ローラー8bを配置することが可能となり、ノズルプレート24と従動ローラー9bとの距離、および、ノズルプレート24と従動ローラー8bとの距離が短くなる。従って、第1ローラー対8の従動ローラー8bと第2ローラー対9の従動ローラー9bとの距離Laをより短くすることができる。従って、搬送誤差が低減され、画像品質を向上させることができる。また、第1斜面21bを第1固定部21に設け、第2斜面121bを第2固定部121に設けることにより、ヘッドケース17のケース本体部20の寸法をZ軸に沿う方向に大きくすることなく、ノズルプレート24の近くに従動ローラー9bおよび従動ローラー8bを配置することが可能となり、液体噴射ヘッド3の低背化を図ることができる。したがって、液体噴射装置1の大型化を抑制することができる。
なお、本実施形態では、第1搬送ローラーとしての従動ローラー9bの構成としたが、これに限定されず、第1搬送ローラーが駆動ローラーであってもよい。なお、本実施形態では、第2搬送ローラーとしての従動ローラー8bの構成としたが、これに限定されず、第2搬送ローラーが駆動ローラーであってもよい。
搬送部6を構成する第1搬送ローラーとしての従動ローラー9bは、−Z方向から見て、第1開口面21aに重なり、+Y方向から見て、ケース本体部20の第1側面20aに重なる。すなわち、ノズルプレート24の近くに従動ローラー9bを容易に配置することができる。
また、搬送部6を構成する第2搬送ローラーとしての従動ローラー8bは、−Z方向から見て、第2開口面121aに重なり、−Y方向から見て、ケース本体部20の第2側面20bに重なる。すなわち、ノズルプレート24の近くに従動ローラー8bを容易に配置することができる。
搬送部6は、第1搬送ローラーとしての従動ローラー9bを支持する支持体9cを有する。当該支持体9cは、−Z方向および+Y方向から見て、第1斜面21bと重なる。支持体9cは、従動ローラー9bの回転軸を支持するものである。これにより、第1固定部21の−Z方向側に支持体9cを配置するスペースが確保され、ノズルプレート24に従動ローラー9bを近づけることができる。なお、第2搬送ローラーとしての従動ローラー8bを支持する不図示の支持体を有し、当該支持体が、−Z方向および−Y方向から見て、第2斜面121bと重なるようにしてもよい。これにより、第2固定部121の−Z方向側に当該支持体を配置するスペースが確保され、ノズルプレート24に従動ローラー8bを近づけることができる。
−Z方向および+Y方向に直交する方向から見て、−Z方向に垂直な面と第1斜面21bとの成す角度θ1は、0度より大きく、90度より小さい。好適には、角度θ1は、35度以上55度以下である。角度θ1が35度よりも小さい場合、第1固定部21の−Z方向側に形成されるスペースが小さくなってしまう。また、角度θ1が55度よりも大きい場合、第1固定部21の+Z方向側の面と−Z方向側の面との厚みを大きくして第1固定部21の強度を確保するために、内壁面17b1の位置を−Y方向へ移動させる必要がある。そうすると、Y軸に沿う方向において、支持面17aが小さくなり、延いては回路基板22のサイズを小さくしなければなくなる。したがって、角度θ1を35度以上55度以下とすることにより、従動ローラー9bを配置するスペースを第1固定部21の−Z方向側に容易に確保することができる。なお、図12の例では、角度θ1は、約45度である。
−Z方向および−Y方向に直交する方向から見て、−Z方向に垂直な面と第2斜面121bとの成す角度θ2は、0度より大きく、90度より小さい。好適には、角度θ2は、35度以上55度以下である。角度θ2が35度よりも小さい場合、第2固定部121の−Z方向側に形成されるスペースが小さくなってしまう。また、角度θ2が55度よりも大きい場合、第2固定部121の+Z方向側の面と−Z方向側の面との厚みを大きくして第2固定部121の強度を確保するために、内壁面17b2の位置を+Y方向へ移動させる必要がある。そうすると、Y軸に沿う方向において、支持面17aが小さくなり、延いては回路基板22のサイズを小さくしなければなくなる。したがって、角度θ2を35度以上55度以下とすることにより、従動ローラー8bを配置するスペースを第2固定部121の−Z方向側に容易に確保することができる。なお、図12の例では、角度θ2は、約45度である。
第1開口面21aは、支持面17aに対して+Z方向に配置されている。第1開口面21aがノズルプレート24に対してより高い位置に配置されることで、第1固定部21の−Z方向側に従動ローラー9bを配置するスペースを十分に確保できる。さらに、第1開口面21aは、−Z方向における回路基板22の中心よりも+Z方向に配置されている。これにより、さらに、第1開口面21aの下方に大きなスペースを確保することができる。
第2開口面121aは、支持面17aに対して+Z方向に配置されている。第2開口面121aがノズルプレート24に対してより高い位置に配置されることで、第2固定部121の−Z方向側に従動ローラー8bを配置するスペースを十分に確保できる。さらに、第2開口面121aは、−Z方向における回路基板22の中心よりも+Z方向に配置されている。これにより、さらに、第2開口面121aの下方に大きなスペースを確保することができる。
第1斜面21bの第1側面20aに近い一端21baは、Y軸に沿う方向において、内壁面17b1と第1側面20aとの間に位置する。これにより、一端21baが内壁面17b1に対して+Y方向に位置する構成に比べ、第1斜面21bに対向する領域にスペースがより大きく形成され、従動ローラー9bを配置するスペースを確保することができる。
さらに、第1固定部21は、第1斜面21bの一端21baと第1側面20aとを連続させる−Z方向に対して垂直な面21cを有する。これにより、垂直な面21cが設けられず第1側面20aと第1斜面21bの一端21baとの間が連続している構成に比べ、第1斜面21bと支持面17aとの厚みが確保されるため強度が増し、第1固定部21が破損するのを抑制できる。
同様に、第2斜面121bの第2側面20bに近い一端121baは、Y軸に沿う方向において、内壁面17b2と第2側面20bとの間に位置する。これにより、一端121baが内壁面17b2に対して−Y方向に位置する構成に比べ、第2斜面121bに対向する領域にスペースがより大きく形成され、従動ローラー8bを配置するスペースを確保することができる。
さらに、第2固定部121は、第2斜面121bの一端121baと第2側面20bとを連続させる−Z方向に対して垂直な面121cを有する。これにより、垂直な面121cが設けられず第2側面20bと第2斜面121bの一端121baとの間が連続している構成に比べ、第2斜面121b部分におけるヘッドケース17の厚みを確保して、第2固定部121が破損するのを抑制できる。
蓋部材38は、ヘッドケース17を介して導入路ユニット18に第1ネジ39Aおよび第2ネジ39Bによって固定される。蓋部材38は、ノズルプレート24のY軸に沿う方向の両端部を覆うように当接する面38eと、面38eの+Y方向側の端部から+Z方向へ延在する面38dと、面38eの−Y方向側の端部から+Z方向へ延在する面138dと、第1ネジ39Aの座面39Abに当接される面38aaと、第2ネジ39Bの座面39Bbに当接される面138aaと、Y軸に沿う方向において面38aaと面38dとの間に配置された第3斜面38bと、Y軸に沿う方向において面138aaと面138dとの間に配置された第4斜面138bと、を有する。面38dは、少なくとも一部でケース本体部20の第1側面20aに当接する面であり、面38eの+Y方向の端部および第3斜面38bの−Y方向の一端38cと連続している。また、面138dは、少なくとも一部でケース本体部20の第2側面20bに当接する面であり、面38eの−Y方向の端部および第4斜面138bの+Y方向の一端138cと連続している。
第1ネジ39Aの座面39Abに当接された蓋部材38の面38aaは、支持面17aに対して+Z方向に配置される。すなわち、蓋部材38の面38aaは、支持面17aよりも上方に配置される。これにより、ヘッドケース17が蓋部材38に覆われた構成であっても、従動ローラー9bをノズルプレート24の近くに配置することが可能となる。
同様に、第2ネジ39Bの座面39Bbに当接された蓋部材38の面138aaは、支持面17aに対して+Z方向に配置される。すなわち、蓋部材38の面138aaは、支持面17aよりも上方に配置される。これにより、ヘッドケース17が蓋部材38に覆われた構成であっても、従動ローラー8bをノズルプレート24の近くに配置することが可能となる。
また、第3斜面38bは、第1斜面21bに対向するように、−Z方向に垂直な面に傾斜する。第3斜面38bは、第1斜面21bに沿って延在しており、第1斜面21bに略平行である。そして、第3斜面38bの−Y方向の一端38cは、Y軸に沿う方向において、第1側面20aと、第1斜面21bの一端21baと、の間に設けられている。上記の構成により、第1固定部21の−Z方向側にスペースを設けることができる為、従動ローラー9bをノズルプレート24の近くに配置することが可能となる。さらに、蓋部材38の面38dに当接していない部分におけるケース本体部20の第1側面20aと、第1固定部21に設けられた垂直な面21cと、蓋部材38の第3斜面38bとの間にスペースSp1ができる為、蓋部材38とヘッドケース17との隙間に侵入して毛細管力で上方へ這い上がってきたインクをスペースSp1で保持することができ、当該スペースSp1よりも上方へのインクの這い上がりを抑制できる。
同様に、第4斜面138bは、第2斜面121bに対向するように、−Z方向に垂直な面に傾斜する。第4斜面138bは、第2斜面121bに沿って延在しており、第2斜面121bに略平行である。そして、第4斜面138bの+Y方向の一端138cは、Y軸に沿う方向において、第2側面20bと、第2斜面121bの一端121baと、の間に設けられている。
上記の構成により、第2固定部121の−Z方向側にスペースを設けることができる為、従動ローラー8bをノズルプレート24の近くに配置することが可能となる。さらに、蓋部材38の面138dに当接していない部分におけるケース本体部20の第2側面20bと、第2固定部121に設けられた垂直な面121cと、蓋部材38の第4斜面138bとの間にスペースSp2ができる為、蓋部材38とヘッドケース17との隙間に侵入して毛細管力で上方へ這い上がってきたインクをスペースSp2で保持することができ、当該スペースSp2よりも上方へインクが這い上がるのを抑制できる。
ヘッドケース17は、支持面17aから+Z方向へ突出し、内部にインクが流れる流路管91を有し、第1開口面21aおよび第2開口面121aは、流路管91の+Z方向側に設けられた頂面91aよりも−Z方向に配置されている。流路管91は、導入路ユニット18に設けられた流路18aにシール部材93を介して接続される。シール部材93には流路が設けられ、導入路ユニット18の流路18aと流路管91が画定している部分における流路100とがシール部材93の流路を介して連通する。なお、導入路ユニット18に設けられた流路18aのシール部材93との接続側とは反対側は、流路プレート92に形成された不図示の中間流路と連通する。これにより、流路管91の頂面91aよりも下方から第1ネジ39Aおよび第2ネジ39Bで固定されるので、導入路ユニット18とヘッドケース17との間のシール性を向上させることができる。
第1ネジ39Aの頭部39Aaの−Z方向側の端部の位置は、Z軸に沿う方向において、支持面17aが設けられた位置と略一致する。即ち、第1ネジ39Aの頭部39Aaの−Z方向側の端部の位置が、支持面17aに対して大きく−Z方向側に位置する場合、例えば、第1固定部21の面21cのよりも−Z方向に位置する場合に比べて、第1ネジ39Aの−Z方向側に従動ローラー9bを配置するスペースを容易に確保することができる。なお、第1ネジ39Aの頭部39Aaの−Z方向側の端部の位置が、Z軸に沿う方向において、支持面17aと第1開口面21aとの間に位置するのがより好ましい。これにより、第1ネジ39Aの−Z方向側に従動ローラー9bを配置するスペースをより容易に確保することができる。
同様に、第2ネジ39Bの頭部39Baの−Z方向側の端部の位置は、Z軸に沿う方向において、支持面17aが設けられた位置と略一致する。即ち、第2ネジ39Bの頭部39Baの−Z方向側の端部の位置が、支持面17aに対して大きく−Z方向側に位置する場合、例えば、第2固定部121の面121cのよりも−Z方向に位置する場合に比べて、第2ネジ39Bの−Z方向側に従動ローラー8bを配置するスペースを容易に確保することができる。なお、第2ネジ39Bの頭部39Baの−Z方向側の端部の位置が、Z軸に沿う方向において、支持面17aと第2開口面121aとの間に位置するのがより好ましい。これにより、第2ネジ39Bの−Z方向側に従動ローラー8bを配置するスペースをより容易に確保することができる。
また、液体噴射装置1では、複数のノズル29の一部がY軸に沿って並ぶノズル列28を10列構成し、当該10列のノズル列28は、X軸に沿った方向に配置されている。多くのノズル列28を有する液体噴射ヘッド3であっても、第1固定部21および第2固定部121の各固定部分70を、Y軸に沿う方向における回路基板22の両外側に設けることで、液体噴射ヘッド3を構成する各部材を固定するための第1ネジ39Aおよび第2ネジ39Bを挿通するための貫通孔が回路基板22に設けられない。そのため、多くのノズル列28を有する液体噴射ヘッド3に対応した回路基板22の配線レイアウトの高密化が可能となる。また、ヘッドケース17が第1斜面21bおよび第2斜面121bを有するので、ノズルプレート24の近くに従動ローラー9bおよび従動ローラー8bを配置することができ、液体噴射装置1の高さ方向(Z軸に沿う方向)における低背化を実現しながらも高画質を実現できる。
・変形例1
上記実施形態の第1固定部21は、第1斜面21bの一端21baと第1側面20aとを連続させる−Z方向に対して垂直な面21cを有する構成としたが、これに限定されない。−Z方向に対して垂直な面21cが省略された構成であってもよい。すなわち、第1斜面21bは、第1側面20aと連続した構成であってもよい。また、第2固定部121においても、第2斜面121bが、第2側面20bと連続した構成であってもよい。このようにしても、従動ローラー8b,9bを配置するスペースを確保することができる。
・変形例2
上記実施形態では、第1開口面21a及び第2開口面121aを、支持面17aに対して+Z方向に配置したが、これに限定されない。例えば、第1開口面21a及び第2開口面121aが、支持面17aに対して同じ高さの位置に配置された構成であってもよい。さらには、第1開口面21a及び第2開口面121aが、支持面17aに対して−Z方向に配置された構成であってもよい。
・変形例3
上記実施形態では、従動ローラー9bは、−Z方向から見て、第1開口面21aに重なり、+Y方向から見て、ケース本体部20に重なり、従動ローラー8bは、−Z方向から見て、第2開口面121aに重なり、+Y方向から見て、ケース本体部20に重なる構成としたが、これに限定されない。例えば、従動ローラー9b及び従動ローラー8bのいずれか一方が、上記構成を満たす構成であってもよい。
・変形例4
上記実施形態では、第1固定部21に第1斜面21bが設けられ、第2固定部121に第2斜面121bが設けられていたが、第1固定部21に第1斜面21bが設けられ、第2固定部121に第2斜面121bが設けられていない構成でもよいし、第1固定部21に第1斜面21bが設けられず、第2固定部121に第2斜面121bが設けられている構成でもよい。即ち、第1固定部21および第2固定部121のうち何れか一方のみに斜面が設けられている構成でも、第1固定部21および第2固定部121の双方に斜面が設けられない構成に比べて、搬送精度を高めて画質を向上させることができる。
以下に、実施形態から導き出される内容を記載する。
液体噴射装置は、複数のノズルから液体を第1方向へ噴射する液体噴射ヘッドと、前記第1方向に直交する第2方向、または、前記第2方向の反対方向である第3方向の何れかに媒体を搬送する搬送部と、を備え、前記液体噴射ヘッドは、複数の前記ノズルが設けられたノズルプレートと、前記ノズルプレートに対して、前記第1方向と反対方向である第4方向に設けられたヘッドケースと、前記ヘッドケースの前記第4方向側の支持面に支持された回路基板と、前記回路基板に対して、前記第4方向に設けられたホルダーと、前記ヘッドケースと前記ホルダーとを固定する第1ネジと、を有し、前記ヘッドケースは、ケース本体部と、前記ケース本体部の前記第2方向側の第1側面に対して前記第2方向に設けられ、前記第1ネジが貫通する第1ネジ孔が形成された第1固定部と、を有し、前記第1固定部は、前記第1ネジ孔が前記第1方向へ開口する第1開口面と、前記第1側面と前記第1開口面との間に設けられ、前記第1方向に垂直な面に対して傾斜する第1斜面と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、ヘッドケースには、第1側面と第1開口面との間に第1斜面が設けられる。これにより、第1斜面が無く、ケース本体部に対して第1固定部が水平方向に延在している場合に比べ、第1斜面の形成によって、第1斜面に対向する領域にスペースが形成され、当該スペースに搬送部を配置することが可能となる。このため、ノズルプレートの近くに搬送部の配置が可能となり、ノズルプレートと搬送部との距離が短くなる。従って、搬送誤差が低減され、画像品質を向上させることができる。
また、第1斜面を第1固定部に設けることにより、ヘッドケースのケース本体部の寸法を高さ方向に大きくすることなく、ノズルプレートの近くに搬送部の配置が可能となることで、液体噴射ヘッドの低背化を図ることができる。したがって、液体噴射装置の大型化を抑制することができる。
上記液体噴射装置では、前記搬送部は、前記第1方向から見て、前記第1開口面に重なり、前記第2方向から見て、前記ケース本体部に重なる第1搬送ローラーを有する、ことが好ましい。
この構成よれば、ノズルプレートの近くに第1搬送ローラーを配置することができる。
上記液体噴射装置では、前記搬送部は、前記第1搬送ローラーを支持する支持体を有し、前記支持体は、前記第1方向および前記第2方向から見て、前記第1斜面と重なる、ことが好ましい。
この構成によれば、搬送ローラーの支持体を配置するスペースが確保され、ノズルプレートに第1搬送ローラーを近づけることができる。
上記液体噴射装置では、前記液体噴射ヘッドは、前記ヘッドケースと前記ホルダーとを固定する第2ネジを有し、前記ヘッドケースは、前記ケース本体部の前記第3方向側の第2側面に対して前記第3方向に設けられ、前記第2ネジが貫通する第2ネジ孔が形成された第2固定部と、を有し、前記第2固定部は、前記第2ネジ孔が前記第1方向へ開口する第2開口面と、前記第2側面と前記第2開口面との間に設けられ、前記第1方向に垂直な面に対して傾斜する第2斜面と、を有し、前記搬送部は、前記第1方向から見て、前記第1開口面に重なり、前記第2方向から見て、前記ケース本体部に重なる第1搬送ローラーと、前記第1方向から見て、前記第2開口面に重なり、前記第3方向から見て、前記ケース本体部に重なる第2搬送ローラーと、を有することが好ましい。
この構成によれば、ヘッドケースには、第2側面と第2開口面との間に第2斜面が設けられる。これにより、第2斜面が無く、ケース本体部に対して第2固定部が水平方向に延在している場合に比べ、第2斜面の形成によって、第2斜面に対向する領域にスペースが形成され、当該スペースに搬送部を配置することが可能となる。このため、ノズルプレートの近くに第1搬送ローラーと第2搬送ローラーとを配置することができる。従って、第1搬送ローラーと第2搬送ローラーとの距離が短くなり、搬送誤差が低減され、画像品質を向上させることができる。
上記液体噴射装置では、前記第1開口面は、前記支持面に対して前記第4方向に配置されている、ことが好ましい。
この構成によれば、搬送部を配置するスペースを十分に確保できる。
上記液体噴射装置では、前記第1開口面は、前記第1方向における前記回路基板の中心よりも前記第4方向に配置されている、ことが好ましい。
この構成によれば、さらに、大きなスペースを確保することができる。
上記液体噴射装置では、前記ヘッドケースは、前記支持面から前記第4方向へ突出し、内部に液体が流れる流路管を有し、前記第1開口面は、前記流路管の前記第4方向側に設けられた頂面よりも前記第1方向に配置されている、ことが好ましい。
この構成によれば、流路管の頂面よりも下方から第1ネジで固定されるので、ホルダーとヘッドケースとの間のシール性を向上させることができる。
上記液体噴射装置では、前記第1ネジの頭部は、前記第1方向において、前記支持面と前記第1開口面との間に位置する、ことが好ましい。
この構成によれば、これにより、第1ネジの下方側に搬送部を配置するスペースを容易に確保することができる。
上記液体噴射装置では、前記第1方向および前記第2方向に直交する方向から見て、前記第1方向に垂直な面と前記第1斜面との成す角度は、35度以上55度以下である、ことが好ましい。
この構成によれば、搬送部を配置するスペースを容易に確保することができる。
上記液体噴射装置では、前記第1固定部は、前記第1側面および前記回路基板に対して前記第2方向に配置されるとともに前記支持面に連続して前記第4方向へ延在する内壁面を有する、ことが好ましい。
この構成によれば、例えば、回路基板に第1ネジを通すための貫通孔等が形成されず、回路基板は、支持面と内壁面とで区画された領域に配置される。従って、回路基板における配線形成領域を十分に確保できる。
上記液体噴射装置では、前記回路基板の一部は、前記第1側面に対して前記第2方向に配置されている、ことが好ましい。
この構成によれば、回路基板の配置位置を確保するとともに、回路基板における配線形成領域を確保することができる。
上記液体噴射装置では、前記第1斜面は、前記第1側面と連続する、ことが好ましい。
この構成によれば、搬送部を配置するスペースを確保することが容易となる。
上記液体噴射装置では、前記第1斜面の前記第1側面に近い一端は、前記第2方向において、前記内壁面と前記第1側面との間に位置する、ことが好ましい。
この構成によれば、一端が内壁面に対して第2方向に位置する構成に比べ、搬送部を配置するスペースを確保することができる。
上記液体噴射装置では、前記第1固定部は、前記第1斜面の前記一端と前記第1側面とを連続させる前記第1方向に垂直な面を有する、ことが好ましい。
この構成によれば、垂直な面が設けられず第1側面と第1斜面の一端との間が連続している構成に比べ、第1斜面部分におけるヘッドケースの厚みを確保して、第1固定部が破損するのを抑制できる。
上記液体噴射装置では、複数の前記ノズルを露出する開口が設けられ、前記第1方向から前記ノズルプレートを覆う蓋部材を備え、前記蓋部材は、前記ヘッドケースを介して前記ホルダーに前記第1ネジによって固定され、前記第1ネジの座面に当接された前記蓋部材の面は、前記支持面に対して前記第4方向に配置され、前記蓋部材は、前記第1斜面に対向するように、前記第1方向に垂直な面に傾斜する第3斜面を有し、前記第3斜面の一端は、前記第2方向において、前記第1側面と、前記第1斜面の一端と、の間に設けられている、ことが好ましい。
この構成によれば、蓋部材が設けられている構成でも、第1斜面に沿って第3斜面を有し、搬送部をノズルプレートの近くに配置することが可能となり、画像品質を向上させることができる。さらに、ヘッドケースの第1固定部に設けられた垂直な面と、蓋部材の第3斜面との間にスペースができる為、蓋部材とヘッドケースとの隙間に侵入して毛細管力で上方へ這い上がってきた液体を上記スペースで保持することができ、当該スペースよりも上方へ液体が這い上がるのを抑制できる。
上記液体噴射装置では、複数の前記ノズルを露出する開口が設けられ、前記第1方向から前記ノズルプレートを覆う蓋部材を備え、前記蓋部材は、前記ヘッドケースを介して前記ホルダーに前記第1ネジによって固定され、前記第1ネジの座面に当接された前記蓋部材の面は、前記支持面に対して前記第4方向に配置されている、ことが好ましい。
この構成によれば、蓋部材が設けられている構成でも、搬送部をノズルプレートの近くに配置することが可能となり、画像品質を向上させることができる。
上記液体噴射装置では、前記蓋部材は、前記第1斜面に対向するように、前記第1方向に垂直な面に傾斜する面を有する、ことが好ましい。
この構成によれば、さらに容易にノズルプレートの近くに搬送部を配置することが可能となり、画像品質を向上させることができる。
上記液体噴射装置では、前記液体噴射ヘッドを保持するキャリッジを備え、前記ホルダーに設けられた位置決め部によって、前記液体噴射ヘッドと前記キャリッジとの位置決めを行う、ことが好ましい。
この構成によれば、ヘッドケースよりも上方に設けられたホルダーでキャリッジとの位置決めを行うので、位置決め部によって搬送部の配置スペースが減少するのを抑制し、高画質化できる。
上記液体噴射装置では、複数の前記ノズルの一部が前記第2方向に沿って並ぶノズル列を10列構成し、10列の前記ノズル列は、前記第1方向および前記第2方向に直交する方向に沿って配置されている、ことが好ましい。
この構成によれば、多ノズル列を有する液体噴射ヘッドであっても、回路基板の配線レイアウトの高密化が可能となり、また、液体噴射装置の高さ方向における低背化が可能となる。さらに、高画質を実現できる。