JP6990053B2 - 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 - Google Patents
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Description
上述したヘッドチップは、インクが充填される吐出チャネルが複数並設されたアクチュエータプレートを備えている。アクチュエータプレートのうち、吐出チャネルを画成する駆動壁には駆動電極が形成されている。ヘッドチップでは、駆動電極に駆動電圧を印加することで、駆動壁が変形して吐出チャネル内の容積が変化する。これにより、吐出チャネルに連通するノズル孔を通してインクが吐出される。
特に、本態様では、第1方向において、噴射領域に位置する部分では、ヘッドチップと流路部材とが第2方向で離間した状態で配置されている。そのため、噴射領域において、ヘッドチップと流路部材との間にスペーサ部を介在させる場合と異なり、噴射時における駆動壁の変形がスペーサ部によって阻害されるのを抑制できる。その結果、噴射性能を向上させることができる。
また、噴射領域において、ヘッドチップ(噴射チャネル)と流路部材(液体流路)間を接着剤でシールできるとともに、ヘッドチップ及び流路部材間を電気的に分離することができる。これにより、浮遊容量の発生を確実に抑制できる。
本態様によれば、スペーサ部をヘッドチップや流路部材とは別体で設けることで、スペーサ部がヘッドチップや流路部材の一部を構成する場合と異なり、材料選択や設計等の自由度を向上させることができる。
本態様によれば、一対の外側台座部同士がブリッジ部により接続されているので、ヘッドチップ及び流路部材の接合前において、ヘッドチップ及び流路部材の何れかに絶縁シートを組み付ける際、各外側台座部を一括して組み付けることができる。そのため、各外側台座部を別々に組み付ける場合に比べて組付性を向上させることができる。
また、各外側台座部の相対位置がブリッジ部により決定されるので、各外側台座部の間の位置精度を向上させることができる。
本態様によれば、スペーサ部が流路部材の一部を構成するので、ヘッドチップや流路部材とは別にスペーサ部を設ける場合に比べて部品点数の削減等を図ることができる。
本態様によれば、スペーサ部がヘッドチップの一部を構成するので、ヘッドチップや流路部材とは別にスペーサ部を設ける場合に比べて部品点数の削減等を図ることができる。
本態様によれば、上述したようにヘッドチップと流路部材とが絶縁部材を間に挟んで配置されるので、流路部材が導電性を有する材料により形成されている場合であっても、ヘッドチップと流路部材との間に発生する浮遊容量を低減できる。
本態様によれば、上述したようにヘッドチップと流路部材との間に発生する浮遊容量を低減できるので、流路部材によって駆動基板を支持できる。そのため、駆動基板を支持する部材を、流路部材とは別で設ける場合に比べて小型化を図ることができる。また、例えば駆動基板で発生した熱の放熱部材として流路部材を利用したり、駆動基板で発生した熱によって液体流路を流れる液体を加熱したりすることも可能になる。この場合には、放熱性能を確保した上で、液体を所望の温度でヘッドチップに供給でき、優れた噴射性能を得ることができる。
本態様によれば、噴射領域において、ヘッドチップ(噴射チャネル)と流路部材(液体流路)間を接着剤でシールできるとともに、ヘッドチップと流路部材との間にスペーサ部が介在する場合に比べて、駆動壁が柔軟に変形し易くなる。そのため、シール性の向上及び噴射性能の向上の両立を図ることができる。
本態様によれば、動作信頼性及び噴射性能に優れた液体噴射装置を提供できる。
図1はプリンタ1の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態のプリンタ1は、一対の搬送機構2,3と、インク供給機構4と、インクジェットヘッド5A,5Bと、走査機構6と、を備えている。なお、以下の説明では、必要に応じてX,Y,Zの直交座標系を用いて説明する。この場合、X方向(第1方向)は被記録媒体P(例えば、紙等)の搬送方向(副走査方向)に一致している。Y方向(第2方向)は走査機構6の走査方向(主走査方向)に一致している。Z方向は、X方向及びY方向に直交する高さ方向(重力方向)を示している。以下の説明では、X方向、Y方向及びZ方向のうち、図中矢印方向をプラス(+)方向とし、矢印とは反対の方向をマイナス(-)方向として説明する。本実施形態において、+Z方向は重力方向の上方に相当し、-Z方向は重力方向の下方に相当する。
本実施形態において、インクタンク15は、X方向に複数並べられている。各インクタンク15には、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクが各別に収容されている。
インク配管16は、例えば可撓性を有するフレキシブルホースである。インク配管16は、各インクタンク15と各インクジェットヘッド5A,5Bとの間を接続している。
図2は、インクジェットヘッド5Aの斜視図である。図3は、インクジェットヘッド5Aにおいて、一部を分解した斜視図である。なお、インクジェットヘッド5A,5Bは、供給されるインクの色以外は何れも同等の構成である。そのため、以下の説明ではインクジェットヘッド5Aについて説明し、インクジェットヘッド5Bの説明を省略する。
図2、図3に示すように、本実施形態のインクジェットヘッド5Aは、ジェットモジュール30A,30B(図3参照)やダンパ31、ノズルプレート32(図2参照)、ノズルガード33等がベース部材38に搭載されて構成されている。
図4は、インクジェットヘッド5Aにおいて、ベース部材38と第1ジェットモジュール30Aの分解斜視図である。
図4に示すように、ベース部材38は、Z方向を厚さ方向とし、X方向を長手方向とする板状に形成されている。ベース部材38は、各ジェットモジュール30A,30Bを保持するベース本体部41と、ベース部材38をキャリッジ23(図1参照)に固定するためのキャリッジ固定部42と、を有している。なお、本実施形態において、ベース部材38は、金属材料により一体で形成されている。
ベース本体部41におけるX方向で対向する一対の短辺部45a,45bには、X方向の内側に向けて突出する突出壁47が形成されている。突出壁47は、X方向で対向する突出壁47同士を1組として、各モジュール収容部44A,44B毎に形成されている。
図3に示すように、ジェットモジュール30A,30Bは、Y方向を厚さ方向とする板状に形成されている。ジェットモジュール30A,30Bは、インクタンク15(図1参照)から供給されるインクを被記録媒体Pに向けて吐出可能に構成されている。ジェットモジュール30A,30Bは、ベース部材38上にY方向に間隔をあけて搭載されている。
図5に示すように、第1ジェットモジュール30Aは、吐出部50と、吐出部50を間に挟んでY方向で対向する第1流路部材51A及び第2流路部材51Bと、を主に備えている。
図6は、吐出部50の分解斜視図である。
図6に示すように、吐出部50は、第1ヘッドチップ52Aと、第1ヘッドチップ52Aに対して+Y方向に積層された第2ヘッドチップ52Bと、を有している。各ヘッドチップ52A,52Bは、後述する吐出チャネル57における延在方向(Z方向)の端部からインクを吐出する、いわゆるエッジシュートタイプのものである。
図6、図7に示すように、上述した複数のチャネル57,58は、インクが充填される吐出チャネル57、及びインクが充填されない非吐出チャネル58である。吐出チャネル57及び非吐出チャネル58は、X方向に交互に並んで配置されている。各チャネル57,58は、第1アクチュエータプレート55からなる駆動壁61によってそれぞれX方向に仕切られている。なお、チャネル57,58の内面には、駆動電極59が形成されている。駆動電極59は、第1アクチュエータプレート55の+Z方向端部において、第1アクチュエータプレート55の表面に形成された駆動端子(不図示)に接続されている。
共通インク室62は、Z方向において、吐出チャネル57の+Z方向端部に対応する位置に形成されている。共通インク室62は、第1カバープレート56の表面から+Y方向に向けて窪むとともに、X方向に延設されている。共通インク室62には、上述した第1流路部材51Aを通してインクが流入する。
スリット63は、共通インク室62のうち、吐出チャネル57とY方向で対向する位置に形成されている。スリット63は、共通インク室62内と各吐出チャネル57内とを各別に連通している。したがって、非吐出チャネル58は、共通インク室62内には連通していない。
図8は、第1流路部材51Aにおいて、第1流路板77から+Y方向に展開させた分解斜視図である。
図8に示すように、第1流路部材51Aは、第1マニホールド75と、流入ポート76と、を有している。なお、第1マニホールド75及び流入ポート76は、一体に形成されていても構わない。
第1マニホールド75は、全体としてY方向を厚さ方向とする板状に形成されている。図3に示すように、第1マニホールド75は、-Z方向端部が上述した第1モジュール収容部44A内に差し込まれることで、+Z方向に起立した状態でベース部材38に保持されている。
図8、図9に示すように、第1インク流路81は、上流流路83、濾過流路84、下流流路85及び供給流路86(図11参照)が連なって形成されている。
上流流路83は、第1流路板77において+Y方向に開口している。具体的に、上流流路83は、幅狭流路91と、幅狭流路91及び濾過流路84間を接続する接続流路92と、を有している。
図10に示すように、接続流路92は、+X方向から見た断面視において、-Z方向に向かうに従い流路深さが漸次浅くなっている。すなわち、本実施形態の接続流路92は、上流側から下流側に向かうに従い流路幅が広くなる一方、上流側から下流側に向かうに従い流路深さが浅くなっている。本実施形態において、接続流路92の上流端での流路深さは、幅狭流路91の下流端での流路深さと同等になっている。
なお、本実施形態では、流路幅及び流路深さが連続的(直線状)に変化する構成について説明したが、この構成のみに限られない。すなわち、接続流路92は、流路幅及び流路深さが下流側に向かうに従い徐々に変化する構成であれば、例えば階段状や曲線状に形成されていても構わない。また、傾きの異なる複数の直線が連なる構成であっても構わない。
図9、図11に示すように、濾過流路84は、接続流路92における下流端とZ方向で連通するとともに、接続流路92から流入するインクを-Y方向に向けて流通させる。具体的に、濾過流路84は、+Y方向に位置するフィルタ入口流路95と、フィルタ入口流路95に対して-Y方向に連なるフィルタ出口流路96と、を有している。
フィルタ入口流路95は、+Z方向端部(重力方向の上端部)において、接続流路92に連通している。フィルタ入口流路95におけるX方向での幅は、接続流路92における下流端でのX方向の幅と同等になっている。
図10、図12に示すように、下流流路85は、第1流路板77において-Y方向に開口している。具体的に、下流流路85は、ストレート部110と、ストレート部110の下流側に連なる拡大部111と、を有している。
誘導部121は、第1流路板77において+Y方向に開口している。誘導部121は、上述した接続流路92及びフィルタ入口流路95に対して+X方向に連なっている。具体的に、誘導部121は、+X方向に向かうに従いZ方向の幅が漸次縮小するテーパ状に形成されている。具体的に、誘導部121の内面のうち、+Z方向に位置する+Z方向内側面は、X方向に沿って直線状に延在している。但し、+Z方向内側面は、+X方向に向かうに従い+Z方向や-Z方向に向けて傾斜して延在しても構わない。
フロントカバー78のうち、Y方向から見て上流流路83の上流端(+Z方向端部)と重なり合う位置には、上流流路83を開放させる流入口133が形成されている。流入口133は、フロントカバー78をY方向に貫通している。
図8に示すように、フロントカバー78における+Y方向を向く面には、第1絶縁シート135が設けられている。第1絶縁シート135は、Y方向から見た正面視で-Z方向に開口するU字状に形成されている。第1絶縁シート135は、フロントカバー78において連通口132の周囲を取り囲んでいる。具体的に、第1絶縁シート135は、連通口132に対してX方向の両側に位置する一対の外側台座部136と、外側台座部136の+Z方向端部同士を接続するブリッジ部137と、を有している。なお、本実施形態において、第1絶縁シート135は、例えばポリイミドが好適に用いられている。但し、第1絶縁シート135の材料は、絶縁性や耐インク性(耐溶出性)を有し、かつ比較的軟質な材料(例えば、樹脂材料やゴム材料)により形成されていれば適宜変更が可能である。
外側台座部136において、露出口140よりも+Z方向に位置する部分には、外側台座部136をY方向に貫通する位置決め孔142が形成されている。位置決め孔142は、第1流路部材51Aから+Y方向に突出する係合ピン143を収容している。なお、位置決め孔142は、ブリッジ部137に形成しても構わない。
図5に示すように、第2流路部材51Bは、第2マニホールド150と、第2付勢部材151と、を有している。
第2マニホールド150は、全体としてY方向を厚さ方向とし、Z方向の長さが第1マニホールド75よりも短い板状に形成されている。図3に示すように、第2マニホールド150は、-Z方向端部が上述した第1モジュール収容部44A内に差し込まれることで、+Z方向に起立した状態でベース部材38に保持されている。
第2流路板152は、第1流路板77と同様に、金属材料(例えば、アルミニウム等)等により形成されている。第2流路板152には、第2ヘッドチップ52Bに向けてインクが流通する第2インク流路155が形成されている。
図13に示すように、第2インク流路155は、第2流路板152をY方向に貫通するとともに、X方向に帯状に延在している。第2インク流路155は、Y方向から見た正面視外形が共通インク室62と同等の形状に形成されている。したがって、吐出部50の連通孔73は、第2インク流路155におけるX方向の両端部において、第2インク流路155にY方向で対向している。なお、本実施形態において、第2インク流路155及び第2ヘッドチップ52Bの共通インク室62の合計容積は、上述した供給流路86及び第1ヘッドチップ52Aの共通インク室62の合計容積と同等に設定されていることが好ましい。
排出部161は、第2流路板152において+Y方向に開口している。排出部161は、第2流路板152のうち、第2インク流路155に対して+Z方向に位置する部分をX方向に延在している。排出部161の上流端は、第2インク流路155の内面における+Z方向(重力方向の上方)に位置する+Z方向内側面のうち、X方向の中央部で開口している。すなわち、上述した一対の連通孔73と排出部161の上流端とのX方向での距離は、それぞれ同等に設定されている。なお、一対の連通孔73と排出部161の上流端とのX方向での距離は、適宜変更が可能である。また、連通孔73の数や位置は、適宜変更が可能である。
図5に示すように、第2流路板152における-Y方向を向く面には、第2絶縁シート170が設けられている。第2絶縁シート170は、上述した第1絶縁シート135と同様に、外側台座部171及びブリッジ部172有している。
ブリッジ部172において、X方向の両端部には、ブリッジ部172をY方向に貫通する位置決め孔173が形成されている。位置決め孔173は、第2流路部材51Bから-Y方向に突出する係合ピン(不図示)を収容している。なお、位置決め孔173は、外側台座部171に形成しても構わない。
図5に示すように、第1マニホールド75のフロントカバー78には、FPCユニット180が支持されている。FPCユニット180は、駆動基板181及び配線基板182を備えている。駆動基板181及び配線基板182は、それぞれフレキシブルプリント基板であって、ベースフィルムに配線パターンが形成されて構成されている。
図2に示すように、ベース部材38には、ベース部材38への搭載部品を支持するステーユニット200が設けられている。ステーユニット200は、ベース部材38から+Z方向に起立するとともに、各ジェットモジュール30A,30Bの周囲をまとめて取り囲んでいる。
図3、図14に示すように、モジュール保持機構210は、第1流路部材51Aに設けられた位置決めピン212と、第1ステー201に形成された第1収容部214と、位置決めピン212と第1ステー201との間を連結するサポート片216と、を有している。
第2収容部220は、位置決めピン212が挿入可能であれば、サポート片216を貫通していなくても構わない。
第1収容部214や第2収容部220は、内径が徐々に変化する構成であっても構わない。
図2に示すように、ダンパ31は、ジェットモジュール30A,30Bに対して+Z方向に、各ジェットモジュール30A,30Bに対応して(インクの色に対応して)設けられている。各ダンパ31は、Y方向に並んで設けられている。なお、各ダンパ31は、供給されるインクの色以外は何れも同等の構成である。そのため、以下の説明では、一方のダンパ31(第1ジェットモジュール30Aのダンパ31)について説明し、他方のダンパ31の説明を省略する。
圧力緩衝部231は、箱型に形成されている。圧力緩衝部231は、その内部に可動膜等が収納されて構成されている。圧力緩衝部231は、インクタンク15(図1)と第1ジェットモジュール30Aとの間に配置されて、入口ポート230を通してダンパ31に供給されるインクの圧力変動を吸収する。
上述したノズルプレート32は、ポリイミド等の樹脂材料により形成されている。ノズルプレート32は、ベース本体部41の-Z方向端面や吐出部50の-Z方向端面(モジュール収容部44A,44Bから露出した部分)に接着剤等を介して固定されている。ノズルプレート32は、各ジェットモジュール30A,30Bの吐出部50を-Z方向からまとめて覆っている。
図2に示すように、ノズルガード33は、例えばステンレス等の板材にプレス加工が施されて形成されている。ノズルガード33は、ノズルプレート32を間に挟んだ状態で、ベース本体部41を-Z方向から覆っている。
次に、上述したプリンタ1を利用して、被記録媒体Pに情報を記録する方法について説明する。
図1に示すように、プリンタ1を作動させると、搬送機構2,3のグリットローラ11,13が回転することで、これらグリットローラ11,13及びピンチローラ12,14間を被記録媒体Pが+X方向に搬送される。また、これと同時に駆動モータ28がプーリ26を回転させて無端ベルト27を走行させる。これにより、キャリッジ23がガイドレール21,22にガイドされながらY方向に往復移動する。
この間に、各インクジェットヘッド5A,5Bにおいて、ヘッドチップ52A,52Bの駆動電極59(図7参照)に駆動電圧を印加する。これにより、駆動壁61に厚みすべり変形を生じさせ、吐出チャネル57内に充填されたインクに圧力波を発生させる。この圧力波により、吐出チャネル57の内圧が高まり、インクがノズル孔240を通して吐出される。そして、インクが被記録媒体P上に着弾することで、各種情報が被記録媒体P上に記録される。
本実施形態において、インクタンク15からインクジェットヘッド5Aに供給されるインクは、図3に示すように、ダンパ31を通過した後、流入ポート76を通してジェットモジュール30Aの第1マニホールド75内に流入する。
この構成によれば、例えば流路部材51A,51Bが導電性を有する材料により形成されている場合であっても、ヘッドチップ52A,52Bと流路部材51A,51Bとを電気的に分離できる。そのため、ヘッドチップ52A,52Bの駆動時にヘッドチップ52A,52Bと流路部材51A,51Bとの間に発生する浮遊容量を低減できる。これにより、駆動基板181への電磁ノイズを抑えることができ、インクジェットヘッド5A,5Bの動作信頼性を確保できる。
この構成によれば、吐出領域Q1では、ヘッドチップ52A,52B及び流路部材51A,51B間に絶縁シート135,170が介在しないことになる。そのため、吐出領域Q1において、ヘッドチップ52A,52B及び流路部材51A,51B間に絶縁シートを介在させる場合と異なり、吐出時における駆動壁61の変形が絶縁シートによって阻害されるのを抑制できる。その結果、吐出性能を向上させることができる。
しかも、本実施形態では、ヘッドチップ52A,52B及び流路部材51A,51Bの接合時において、ヘッドチップ52A,52Bと流路部材51A,51Bとの間に作用する接合荷重は、主に絶縁シート135,170を介してヘッドチップ52A,52Bと流路部材51A,51Bとの間に作用する。すなわち、ヘッドチップ52A,52Bのうち、吐出領域Q1に位置する部分に作用する接合荷重を軽減できる。これにより、接合荷重によって駆動壁61が歪むのを抑制し、吐出時における駆動壁61の変形の挙動に影響が及ぶのを抑制できる。その結果、吐出性能を向上させることができる。
この構成によれば、絶縁シート135,170をヘッドチップ52A,52Bや流路部材51A,51Bとは別体で設けることで、絶縁シート135,170がヘッドチップ52A,52Bや流路部材51A,51Bの一部を構成する場合と異なり、絶縁シート135,170の材料選択や設計等の自由度を向上させることができる。
この構成によれば、ヘッドチップ52A,52B及び流路部材51A,51Bの接合前において、流路部材51A,51Bに絶縁シート135,170を組み付ける際、各外側台座部136を一括して組み付けることができる。そのため、各外側台座部136を別々に組み付ける場合に比べて組付性を向上させることができる。
また、各外側台座部136の相対位置がブリッジ部137により決定されるので、各外側台座部136の間の位置精度を向上させることができる。
この構成によれば、上述したように第1ヘッドチップ52Aと第1流路部材51Aとの間に発生する浮遊容量を低減できるので、第1流路部材51Aによって駆動基板181を支持できる。そのため、駆動基板181を支持する部材を、第1流路部材51Aとは別で設ける場合に比べて小型化を図ることができる。また、例えば駆動基板181で発生した熱の放熱部材として第1流路部材51Aを利用したり、駆動基板181で発生した熱によってインク流路81を流れるインクを加熱したりすることも可能になる。この場合には、放熱性能を確保した上で、インクを所望の温度でヘッドチップ52A,52Bに供給でき、優れた吐出性能を得ることができる。
この構成によれば、吐出領域Q1において、ヘッドチップ52A,52B(吐出チャネル57)と流路部材51A,51B(インク流路81,155)間を接着剤S1,S2でシールできるとともに、ヘッドチップ52A,52B及び流路部材51A,51B間を電気的に分離することができる。これにより、浮遊容量の発生を確実に抑制できる。
この構成によれば、ヘッドチップ52A,52B(吐出チャネル57)と流路部材51A,51B(インク流路81,155)間を接着剤S1,S2でシールできるとともに、吐出領域Q1において、ヘッドチップ52A,52Bと流路部材51A,51Bとの間に絶縁シートが介在する場合に比べて、駆動壁61が柔軟に変形し易くなる。そのため、シール性の向上及び吐出性能の向上の両立を図ることができる。
また、接着剤S1,S2の硬化収縮に伴うヘッドチップ52A,52Bの反りや変形を抑制できるので、接合に伴う駆動壁61の歪が生じるのを抑制し、吐出性能を向上させることができる。
しかも、例えばヘッドチップ52A,52Bと流路部材51A,51Bとの熱膨張係数の違いに起因してヘッドチップ52A,52Bと流路部材51A,51Bとに作用する応力を緩和できる。
次に、第1変形例について説明する。以下の各変形例に関する説明では、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。上述した実施形態では、スペーサ部としてヘッドチップ52A,52Bと流路部材51A,51Bとは別体の絶縁シート135,170を用いる構成について説明したが、この構成のみに限られない。
図14に示すように、例えば第1流路部材51Aに一体に形成された流路凸部300をスペーサ部として用いても構わない。具体的に、流路凸部300は、第1ヘッドチップ52Aの吐出領域Q1に対してX方向の両側に位置する部分(非吐出領域Q2)から、第1ヘッドチップ52Aに向けて突出している。流路凸部300は、上述した実施形態と同様の接着剤S1によって第1ヘッドチップ52Aに接合されている。
次に、第2変形例について説明する。
図15に示すように、例えば第1ヘッドチップ52Aに一体に形成されたヘッド凸部400をスペーサ部として用いても構わない。具体的に、ヘッド凸部400は、第1ヘッドチップ52A(第1カバープレート56)における吐出領域Q1に対してX方向の両側に位置する部分(非吐出領域Q2)から、第1流路部材51Aに向けて突出している。ヘッド凸部400は、上述した実施形態と同様の接着剤S1によって第1流路部材51Aに接合されている。
例えば、上述した実施形態では、液体噴射装置の一例として、インクジェットプリンタ1を例に挙げて説明したが、プリンタに限られるものではない。例えば、ファックスやオンデマンド印刷機等であっても構わない。
また、インクに加わる圧力の方向と、インクの吐出方向と、を同一方向とした、いわゆるルーフシュートタイプのヘッドチップに本発明を適用しても構わない。
上述した実施形態では、Z方向が重力方向に一致する構成について説明したが、この構成のみに限らず、Z方向を水平方向に一致させても構わない。
上述した実施形態では、各ジェットモジュールに複数のヘッドチップが搭載される構成について説明したが、この構成のみに限られない。
上述した実施形態や変形例では、ブランク領域141,178,302,402に接着剤S1,S2が配置される構成について説明したが、この構成のみに限られない。例えば、各ヘッドチップ52A,52Bと各流路部材51A,51Bとの間でインクが流通できる構成であればよく、絶縁性を有するパッキン等を配置しても構わない。
上述した実施形態では、スペーサ部として絶縁シート135,170を用いた場合について説明したが、接着剤S1,S2により絶縁を図れる構成であれば、スペーサ部は導電性を有していても構わない。
5A,5B…インクジェットヘッド(液体噴射ヘッド)
51A…第1流路部材(流路部材)
51B…第2流路部材(流路部材)
52A…第1ヘッドチップ
52B…第2ヘッドチップ
57…吐出チャネル(噴射チャネル)
59…駆動電極
61…駆動壁
81…第1インク流路(第1液体流路)
135…第1絶縁シート(スペーサ部)
136…外側台座部
137…ブリッジ部
155…第2インク流路(第2液体流路)
170…第2絶縁シート(スペーサ部)
181…駆動基板
300…流路凸部
400…ヘッド凸部
S1,S2…接着剤(絶縁部材)
Claims (9)
- 液体が充填される複数の噴射チャネルが第1方向に間隔をあけて形成された噴射領域を有するとともに、前記噴射チャネルを画成する駆動壁に駆動電極が形成されたヘッドチップと、
前記第1方向に交差する第2方向で前記ヘッドチップに積層され、前記噴射チャネルに連通する液体流路が形成された流路部材と、を備え、
前記第1方向において、前記噴射領域の外側に位置する部分には、前記ヘッドチップと前記流路部材とを絶縁部材を介して接合するスペーサ部が配設され、
前記第1方向において、前記噴射領域に位置する部分では、前記ヘッドチップと前記流路部材とが前記第2方向で離間した状態で配置され、
前記第1方向において、前記噴射領域に位置する部分には、前記ヘッドチップと前記流路部材とを接着する絶縁性を有する接着剤が介在していることを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 前記スペーサ部は、前記ヘッドチップと前記流路部材との間に介在する絶縁シートであることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記絶縁シートは、前記第1方向で前記噴射領域の両側に位置する一対の外側台座部と、
一対の前記外側台座部同士を前記第1方向で接続するブリッジ部と、を有していることを特徴とする請求項2に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記スペーサ部は、前記流路部材に一体で形成された流路凸部であり、
前記流路凸部は、前記流路部材における前記第1方向で前記噴射領域の両側に位置する部分から前記第2方向で前記ヘッドチップに向けて突出していることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記スペーサ部は、前記ヘッドチップに一体で形成されたヘッド凸部であり、
前記ヘッド凸部は、前記ヘッドチップにおける前記第1方向で前記噴射領域の両側に位置する部分から前記第2方向で前記流路部材に向けて突出していることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記流路部材は、導電性を有する材料により形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記流路部材には、前記ヘッドチップを駆動する駆動基板が支持されていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記接着剤は、前記スペーサ部よりも軟質な材料により形成されていることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の液体噴射ヘッド。
- 請求項1から請求項8の何れか1項に記載の液体噴射ヘッドを備えていることを特徴とする液体噴射装置。
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