JP6779604B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電動パワーステアリング装置に関する。
従来から、運転者等によって操舵用のステアリングハンドルに加わる操舵トルクを操舵トルクセンサで検出し、検出した操舵トルクに応じた操舵アシスト力をモータにより発生させてステアリングハンドルに付与する電動パワーステアリング装置が知られている。最近では、操舵アシスト力の不足を回避するためにバッテリの電圧を昇圧回路で昇圧し、昇圧した電圧をモータ駆動回路に供給することで、より大きな操舵アシスト力を得ることができる電動パワーステアリング装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような装置において、操舵アシスト力が不足しないようにバッテリの電圧を高めるように、昇圧回路によって昇圧を常時実施すると、昇圧回路が大型化する上に、昇圧回路を構成するトランジスタのスイッチング動作に基づくスイッチングロスが常に発生する。その結果、昇圧回路におけるエネルギー損失が大きくなるという課題がある。上記課題を解決するために、特許文献1には、モータ駆動回路のスイッチング素子をオン・オフさせるPWM(pulse width modulation)信号のデューティ比が所定の閾値である100%を超えた場合に、必要な操舵トルクが得るため、昇圧回路でバッテリの電圧を昇圧する電動パワーステアリング装置が記載されている。これにより、昇圧回路によってバッテリの電圧を常時昇圧することを防止できるため、昇圧回路のスイッチングロスを低減させ、エネルギー損失を抑制することができる。
特開2003−200845号公報
ここで、特許文献1に記載されている電動パワーステアリング装置では、操舵トルクに基づき設定される目標電流値と電動モータに流れる電流の検出値との偏差に基づきPWM信号のデューティ比が予め設定された値である100%を超えた場合にバッテリ電圧の昇圧を実施する。そのため、PWM信号のデューティ比が100%を超えるには時間を要する場合がある。したがって、運転者が急にハンドルを切るような場面では、実際に操舵アシスト力が必要であってもPWM信号のデューティ比が所定の閾値に到達していない場合があった。すなわち、特許文献1に記載された電動パワーステアリング装置では、所望のタイミングでバッテリの電圧を昇圧することができず、実際に昇圧されるまでのタイムラグによって、運転者が操舵フィーリングに違和感を覚える事象が想定される。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、急にステアリングハンドルが切られるような場合でも、運転者の操舵フィーリングの違和感を軽減することができる電動パワーステアリング装置を提供することである。
本発明の一態様は、電動モータに流れるモータ電流値が目標電流値になるように電源からの電圧を前記電動モータに供給することで車両のステアリングシャフトに操舵補助力を付与する電動パワーステアリング装置であって、前記電源の電圧を昇圧する昇圧回路と、前記車両のステアリングハンドルの操舵トルクに基づいて前記目標電流値を設定する目標電流取得部と、前記目標電流取得部により前記目標電流値が第1目標電流値から第2目標電流値に変更された場合には、前記電動モータの回転数と前記モータ電流値とに基づいて規定されるモータ動作点の単位時間あたりの変化を求め、前記モータ動作点単位時間あたりの変化に基づいて前記モータ電流値が前記第2目標電流値に到達するときの前記モータ動作点を推定する推定部と、前記推定部で推定された前記モータ動作点が所定の範囲を超える場合に前記昇圧回路の昇圧を開始させる判定部と、を備え、前記モータ動作点が前記所定の範囲を超える場合とは、前記推定部で推定された前記モータ動作点で前記電動モータを動作させるのに必要な電圧が、前記電源の電圧を超える場合である、電動パワーステアリング装置である。
また、本発明の一態様は、上述の電動パワーステアリング装置であって、前記所定の範囲は、前記電源の電圧よりも高い電圧が前記電動モータに印加される場合にのみ前記電動モータがとり得る前記モータ動作点の範囲である。
また、本発明の一態様は、上述の電動パワーステアリング装置であって、前記電動モータに印加される電圧に応じて前記開始条件を変更する条件制御部を備える。
また、本発明の一態様は、上述の電動パワーステアリング装置であって、前記判定部は、前記昇圧回路が前記電源の電圧を昇圧している場合に、前記目標電流値が変更されたことにより前記推定部により推定された前記モータ動作点が所定の停止条件に該当する場合に前記昇圧回路の昇圧を停止し、前記所定の停止条件は、前記電源の電圧が前記電動モータに印加されることで動作する前記電動モータのモータ動作点の範囲である。
また、本発明の一態様は、上述の電動パワーステアリング装置であって、前記所定の範囲と前記停止条件とはヒステリシス幅を備える。
以上説明したように、本発明によれば、急にステアリングハンドルが切られるような場合でも運転者の操舵フィーリングの違和感を軽減することができる電動パワーステアリング装置を提供することができる。
本実施形態における電動パワーステアリング装置1の概略構成の一例を示す図である。 本実施形態における制御装置15の概略構成の一例を示す図である。 本実施形態におけるモータ駆動部21の概略構成の一例を示す図である。 本実施形態における昇圧制御部226の概略構成の一例を示す図である。 本実施形態における推定部301の目標動作点Sの推定方法を説明する図である。 本実施形態における昇圧制御部226の昇圧処理のフローチャート図である。 本実施形態における昇圧制御部226の昇圧処理のフローを説明する第1模式図である。 本実施形態における昇圧制御部226の昇圧処理のフローを説明する第2模式図である。 本実施形態における昇圧制御部226の昇圧処理のフローを説明する第3模式図である。 本実施形態における昇圧制御部226の昇圧処理のフローを説明する第4模式図である。 本実施形態における昇圧制御部226の昇圧の停止処理フローチャート図である。 本実施形態における昇圧制御部226の昇圧の停止処理フローを説明する第1模式図である。 本実施形態における昇圧制御部226の昇圧の停止処理フローを説明する第2模式図である。 本実施形態における昇圧制御部226の昇圧の停止処理フローを説明する第3模式図である。 本実施形態における昇圧制御部226の昇圧の停止処理フローを説明する第4模式図である。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。また、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
実施形態における電動パワーステアリング装置(EPSシステム:Electric Power Steering System)は、電動モータに流れるモータ電流値が、車両の操舵用のステアリングハンドルの操舵トルクに基づいて決定される目標電流値になるように電源からの電圧を当該電動モータに供給することで電動モータのトルクによりステアリングシャフトに対して操舵補助力を付与する。そして、実施形態における電動パワーステアリング装置は、目標電流値が変更された場合に、モータ動作点の変化に基づいて、モータ電流値が目標電流値に到達するときのモータ動作点を推定し、推定したモータ動作点が開始条件に該当する場合に昇圧回路の昇圧を開始する。
以下、実施形態における電動パワーステアリング装置を、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態における電動パワーステアリング装置1の概略構成の一例を示す図である。図1に示すように、電動パワーステアリング装置1は、ステアリングハンドル9、トルクセンサ10、ステアリングシャフト11、ギアボックス12、舵取機構13、電動モータ14、制御装置15、バッテリ16、回転角検出部17及び車速センサ50を備える。
ステアリングハンドル9は、ステアリングシャフト11に接続されている。
ステアリングシャフト11は、一端がステアリングハンドル9に接続され、他端がギアボックス12に接続されている。ステアリングシャフト11は、ステアリングハンドル9が運転者により操作されると、ギアボックス12との間に加わる操舵トルクFが発生する。ステアリングシャフト11は、操舵トルクFを伴って回転する。
トルクセンサ10は、ステアリングシャフト11に発生する操舵トルクFを検出するためのものであって、例えば、トーションバー式の捩れ力検出センサから構成されている。トルクセンサ10は、検出した操舵トルクFを制御装置15に出力する。
舵取機構13は、ギアボックス12と連結されている。舵取機構13は、ギアボックス12を介して伝達された運転者のステアリングハンドルの操作力と操舵トルクFに応じて車両の前輪(不図示)を操舵する。
電動モータ14は、ギアボックス12と連結されている。電動モータ14は、制御装置15に電気的に接続されている。電動モータ14は、制御装置15からの駆動信号により駆動される。電動モータ14は、舵取機構13が車両の前輪を操舵する操舵力をアシストする。すなわち、電動モータ14の回転がギアボックス12を介してステアリングシャフト11に伝達される。これにより、舵取機構13の動作が補助され、舵取りのための運転者の労力負担が軽減される。以下、本実施形態では、電動モータ14が3相(U、V、W)のブラシレスモータである場合について説明する。
回転角検出部17は、電動モータ14に備えられている。回転角検出部17は、電動モータ14のロータの回転角度を検出する。例えば、回転角検出部17は、レゾルバ又はホールICを備えた磁気式のロータリエンコーダである。回転角検出部17は、検出した回転角度に応じた出力信号を制御装置15に出力する。
制御装置15は、車両に搭載されているバッテリ16(請求項における電源)に電気的に接続されている。制御装置15は、電動モータ14に流れる電流が目標値になるように電動モータ14の駆動を制御する。また、制御装置15は、トルクセンサ10により検出された操舵トルクFに基づいて電動モータ14の駆動を制御することで、舵取機構13の操舵力をアシストする操舵補助力をステアリングシャフト11に付与する。
車速センサ50は、電動パワーステアリング装置1が搭載された車両の車速Eを測定する。車速センサ50は、測定した車速Eを制御装置15に供給する。
図2は、本実施形態における制御装置15の概略構成の一例を示す図である。
図2に示すように、制御装置15は、昇圧回路20、モータ駆動部21及び制御部22を備える。
昇圧回路20は、バッテリ16からの電圧(以下、「バッテリ電圧」という。)Vが供給される。
昇圧回路20は、制御部22から供給される昇圧回路駆動信号に基づいてバッテリ電圧Vを昇圧し、昇圧した電圧(以下、「昇圧電圧」という。)Vをモータ駆動部21に供給する。ただし、昇圧回路20は、制御部22からの昇圧回路駆動信号が供給されない場合には、バッテリ電圧Vを昇圧しない。したがって、昇圧回路20は、制御部22からの昇圧回路駆動信号が供給されない場合には、バッテリ電圧Vをそのままモータ駆動部21に供給する。
モータ駆動部21は、制御部22から供給される駆動信号に基づいて昇圧回路20から供給される電圧を電動モータ14に印加する。例えば、モータ駆動部21は、複数のスイッチング素子を備えたインバータ回路である。モータ駆動部21は、制御部22から供給される駆動信号に基づいて、後述するスイッチング素子をそれぞれPWM(パルス幅変調)駆動し、電動モータ14に所定の駆動電圧を印加して、電動モータ14を駆動する。
図3は、本実施形態におけるモータ駆動部21の概略構成の一例を示す図である。
図3に示すように、モータ駆動部21は、昇圧回路20から供給される直流電圧を交流電圧に変換して電動モータ14に印加する。昇圧回路20から供給される直流電圧とは、バッテリ電圧V又は昇圧電圧Vである。
モータ駆動部21は、6つのスイッチング素子121UH、121UL、121VH、121VL、121WH、121WLを備えている。モータ駆動部21は、駆動信号によりスイッチング素子121UH〜121WLのオンとオフとを切り替えて直流電圧を交流電圧に変換する。
直列に接続されたスイッチング素子121UH、121ULと、直列に接続されたスイッチング素子121VH、121VLと、直列に接続されたスイッチング素子121WH、121WLとは、それぞれ、電流測定部30U、30V、30Wを介して接地電位との間に並列に接続されている。また、スイッチング素子121UH、121ULの接続点は、コイルUの一端に接続されている。スイッチング素子121VH、121VLの接続点、及びスイッチング素子121WH、121WLの接続点は、それぞれがコイルVの一端、コイルWの一端に接続されている。
各スイッチング素子121UH〜121WLは、例えば、FET(Field Effect Transistor;電界効果トランジスタ)、あるいはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor;絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などと、還流ダイオードとが並列に接続された構成を有している。なお、本実施形態においては、FETを用いた場合を説明しており、FET内部の寄生ダイオードが還流ダイオードの機能を有している。また、各スイッチング素子121UH〜121WLは、制御部22から入力される駆動信号に基づいて、オンとオフとが切り替えられる。
電流測定部30U、30V、30Wは、モータ駆動部21の内部において、スイッチング素子121UH、121ULと、スイッチング素子121VH、121VLと、スイッチング素子121WH、121WLに、それぞれグラウンドレベルの間に接続されている。例えば、電流測定部30U、30V、30Wはシャント抵抗により構成されている。電流測定部30U、30V、30Wは、モータ駆動部21に流れる電流値、すなわち電動モータ14に入力されるモータ電流値Iを測定する。電流測定部30U、30V、30Wは、測定したモータ電流値Iを制御部22に出力する。なお、本実施形態では、電流測定部30U、30V、30Wがシャント抵抗である場合について説明するが、本発明はこれに限定されない。
図2に戻り、制御部22は、角度取得部221、目標電流取得部222、差分演算部223、PI演算部224、駆動信号取得部225及び昇圧制御部226を備える。
角度取得部221は、回転角検出部17から供給された回転角度に基づいて電動モータ14の回転数Nを取得する。例えば、角度取得部221は、回転角検出部17から供給された回転角度に応じた出力信号を取得する。角度取得部221は、回転角検出部17から供給される回転角を示す出力信号の単位時間あたりの変化量を検出し、検出した変化量から電動モータ14(電動モータ14のロータ)の回転数Nを算出する。この回転数Nより電動モータ14の角速度ωが求められる。角度取得部221は、算出した回転数Nを昇圧制御部226に供給する。
目標電流取得部222は、車速センサ50が測定した車両の車速Eとトルクセンサ10から供給された操舵トルクFとに基づいて、電動モータ14に通電するモータ電流値の目標値(以下、「目標電流値」という。)Iを取得する。目標電流取得部222は、取得した目標電流値Iを差分演算部223に供給する。目標電流取得部222は、例えば予め設定された計算式やテーブルに基づき決定してもよい。これら計算式やテーブルは、例えば車速Eと操舵トルクFとに基づいて、電動モータ14の目標電流値Iが決定できるように、実験的又は理論的に定めればよい。予め設定されたテーブルを用いる場合には、各車速Eと、各操舵トルクFと、その車速Eと操舵トルクFとの組み合わせ毎に関連付けられたモータ電流値の目標電流値Iとを備えるルックアップテーブルを不図示の記憶部に予め記憶されていてもよい。そして、目標電流取得部222は、トルクセンサ10から供給された車速Eと操舵トルクFとに対応する目標電流値Iを上記ルックアップテーブルから取得し、取得した目標電流値Iを差分演算部223に供給する。
差分演算部223は、目標電流取得部222から目標電流値Iを取得する。差分演算部223は、モータ駆動部21の電流測定部30U、30V、30Wが測定したモータ電流値Iを取得する。
差分演算部223は、目標電流取得部222から供給された目標電流値Iに対して、モータ駆動部21から取得したモータ電流値Iを減算することで差分値ΔI(=目標電流値I−モータ電流値I)を取得する。差分演算部223は、取得した差分値ΔIをPI演算部224に供給する。
PI演算部224は、差分演算部223から供給された差分値ΔIに対してP(Proportional:比例)制御処理及びI(Integral:積分)制御処理(以下、「PI制御」という。)を実行し、差分値ΔIを所定値、例えば0に近づけようとする指令値Vを演算する。例えば、指令値Vは電動モータ14に印加する電圧値である。PI演算部224は、演算した指令値Vを昇圧制御部226及び駆動信号取得部225に供給する。ただし、本実施形態では、PI制御に限定されず、PID制御でもよいし、その他のフィードバック制御でもよい。
駆動信号取得部225は、PI演算部224から供給された指令値Vを、モータ駆動部21の各スイッチング素子をパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)によりオン・オフ駆動させる各パルスからなる駆動信号、すなわちパルス幅変調信号に変換する。駆動信号取得部225は、変換した駆動信号をモータ駆動部21に供給する。
昇圧制御部226は、電動モータ14に流れている電流(モータ駆動部21から取得したモータ電流値I)と電動モータ14の回転数Nとに基づいて、現在の目標電流値Iにおける電動モータ14のモータ動作点を取得する。モータ動作点とは、その電動モータ14の回転数N(又は回転速度)及び電動モータ14の出力トルク等で示される、電動モータ14の動作状態を示す動作点である。言い換えれば、その電動モータ14の回転数Nを示す軸とその電動モータ14の出力トルクを示す軸との2次元座標内において、1点で示される電動モータ14の動作状態である。なお、電動モータ14の出力トルクは電動モータ14に流れる電流値から算出することができるため、モータ動作点をその電動モータ14の回転数N(又は回転速度)及び電動モータ14に流れる電流(例えば、モータ電流値I)で示されてもよい。
昇圧制御部226は、新たな目標電流値Iが設定された場合、新たな目標電流値Iが設定されたことによるモータ動作点の変化に基づいて、最終的に到達する動作点(以下、「目標動作点」という。)を推定する。そして、昇圧制御部226は、推定し目標動作点が開始条件に該当する場合には昇圧回路20においてバッテリ電圧Vの昇圧の動作を開始する。また、昇圧制御部226は、昇圧回路20の昇圧が実施されている場合に、推定した目標動作点が停止条件に該当する場合には昇圧回路20の昇圧を停止する。ここで、開始条件とは、例えば、バッテリ電圧Vより高い電圧が電動モータ14に供給されることで動作する電動モータ14の動作点の範囲である。すなわち、開始条件は予め設定された電動モータ14のモータ特性の範囲外である。すなわち、推定した目標動作点が開始条件に該当することは、バッテリ電圧Vにより電動モータ14を駆動することでステアリングシャフト11に付与することができる操舵補助力以上の操舵補助力が必要な場合である。したがって、本実施形態の昇圧制御部226は、推定した目標動作点を推定し、推定した目標動作点が開始条件に該当するか否かを判定することで従来よりも早く操舵補助力が必要な場合を予測することができる。したがって、電動パワーステアリング装置1は、所望のタイミングでバッテリの電圧を昇圧することができる。そのため、運転者によって急にステアリングハンドルが切られるような場合でも操舵フィーリングの違和感を軽減することができる。また、停止条件とは、例えば、バッテリ電圧Vが電動モータ14に供給されることで動作する電動モータ14の動作点の範囲である。すなわち、停止条件は予め設定された電動モータ14のモータ特性の範囲内である。
また、昇圧制御部226は、昇圧回路20からモータ駆動部21に供給される昇圧電圧Vの値を取得し、取得した昇圧電圧Vが所望の電圧になるように昇圧回路20を制御する。
以下に、本実施形態における昇圧制御部226の処理を、具体的に説明する。
図4は、本実施形態における昇圧制御部226の概略構成の一例を示す図である。図4に示すように、昇圧制御部226は、推定部301、記憶部302、判定部303及び条件制御部304を備える。
推定部301は、目標電流取得部222から供給された目標電流値Iにおける電動モータ14の動作点を取得する。本実施形態における電動モータ14の動作点は、電動モータ14の回転数Nと、電動モータ14の出力トルクFとで示される。したがって、推定部301は、現在の目標電流値Iにおいて、角度取得部221から供給された電動モータ14の回転数Nと、そのときの電動モータ14の出力トルクFとを取得する。電動モータ14の出力トルクFは、モータ駆動部21から供給されたモータ電流値Iに基づいて算出することができる。例えば、推定部301は、例えば予め設定された計算式やテーブルに基づき出力トルクFを決定してもよい。これら計算式やテーブルは、例えば電動モータ14に流れる電流に基づいて、電動モータ14の出力トルクFが決定できるように、実験的又は理論的に定めればよい。
現在の目標電流値Iにおける電動モータ14の回転数Nを回転数Nとし、電動モータ14の出力トルクFを出力トルクFとする。推定部301は、現在の目標電流値Iにおける電動モータ14の動作点S(N、F)を記憶部302に記憶させる。
推定部301は、現在の目標電流値Iとは異なる目標電流値Iが目標電流取得部222から新たに供給された場合、電動モータ14の動作点の変化ΔSを単位時間毎に算出する。例えば、推定部301は、単位時間毎に電動モータ14の動作点Sを取得し、単位時間毎に前回の動作点S(N、F)と今回の動作点S(N、F)とを比較することで、動作点の変化(以下、「動作点変化」という。)ΔSを取得する。そして、推定部301は、取得した動作点変化ΔSに基づいて、最終的に到達する動作点である目標動作点S(N、F)を推定する。なお、本実施形態では、説明の便宜上、1つの動作点変化により目標動作点を推定したが、これに限定されない。すなわち、推定部301は、前回の動作点から今回の動作点とを比較することで動作点変化ΔSを取得する処理を複数回行うことで目標動作点を推定してもよい。すなわち、本実施形態の推定部301は、取得した動作点変化ΔSの回数には限定されない。また、最終的に到達する動作点とは、例えば、電流測定部30が測定した電流値モータ電流値Iが新たに設定された目標電流値Iに到達したときの動作点である。推定部301は、推定した目標動作点Sの情報を判定部303に供給する。
以下に、本実施形態における推定部301の目標動作点Sの推定方法について、具体的に説明する。図5は、本実施形態における推定部301の目標動作点Sの推定方法の一例を説明する図である。
例えば、現在の目標電流値It1から新たな目標電流値It2が設定されたとする。その場合、現在の目標電流値It1における電動モータ14の回転数NをNとし、電動モータ14のモータ電流値Iをモータ電流値Im1とする。そして、新たな目標電流値It2に設定されたことにより変化した動作点Sにおける電動モータ14の回転数NをNとし、電動モータ14のモータ電流値Iをモータ電流値Im2とする。また、新たな目標電流値It2に設定されたことにより最終的に到達する目標動作点Sの電動モータ14の回転数NをNとし、電動モータ14のモータ電流値Iを電流値モータ電流値Im3とする。
ここで、現在の目標電流値It1から新たな目標電流値It2が設定された場合に、動作点Sが動作点Sに到達するまでの時間を時間tとし、動作点Sが動作点Sに到達するまでの時間を時間Tとする。この場合、時間Tと時間tとの比は、以下の式(1)で表される。
T:t=(Im3−Im1):(Im2−Im1) …(1)
したがって、時刻Tは以下の式(2)で表すことができる。
T=t×(Im3−Im1)/(Im2−Im1) …(2)
また、時間Tと時間tとの比は、以下の式(3)でも表される。
T:t=(N−N):(N−N) …(3)
したがって、目標動作点Sの回転数Nは以下の式(4)で表すことができる。
=T×(N−N)/t+N …(4)
ここで、電流測定部30が測定したモータ電流値Iが新たに設定された目標電流値It2に到達したときの動作点が目標動作点であるため、電流値モータ電流値Im3が目標電流値It2となる。これにより、推定部301は、式(2)及び式(4)を用いることで、目標動作点Sの回転数Nを推定することができる。すなわち、目標電流値It2、動作点S及び動作点Sに基づいて目標動作点Sを推定することができる。なお、目標動作点Sは、回転数Nと電流値モータ電流値Iとで示される。ただし、上述したように電流値モータ電流値Iが目標電流値It2と略同一の値であるため、目標動作点Sを回転数Nとして表してもよい。
判定部303は、推定部301で推定された電動モータ14の動作状態をバッテリ電圧Vで実現することができるか否かを判定する。すなわち、判定部303は、推定部301が推定した目標動作点Sが開始条件に該当するか否かを判定する。判定部303は、推定部301が推定した目標動作点Sが開始条件に該当する場合には昇圧回路駆動信号を昇圧回路20に供給する。開始条件はバッテリ電圧Vより高い電圧が供給されたときの電動モータ14の回転数Nと電動モータ14の出力トルクとの関係を示す。したがって、判定部303は、開始条件に目標動作点Sが該当する場合には、バッテリ電圧Vより高い電圧(昇圧電圧V)を電動モータ14に供給するために、昇圧回路20に昇圧回路駆動信号を供給する。
判定部303は、昇圧回路20がバッテリ電圧Vの昇圧を実行している場合に、推定部301で推定された電動モータ14の動作状態をバッテリ電圧Vで実現することができるか否かを判定する。すなわち、判定部303は、推定部301が推定した目標動作点Sが停止条件に該当するか否かを判定する。判定部303は、推定部301が推定した目標動作点Sが停止条件に該当する場合には昇圧回路20に対する昇圧回路駆動信号の供給を停止する。停止条件はバッテリ電圧Vが供給されたときの電動モータ14の回転数Nと電動モータ14の出力トルクとの関係を示す。したがって、判定部303は、停止条件に目標動作点Sが該当する場合には、昇圧電圧Vより低い電圧(バッテリ電圧V)を電動モータ14に供給するために、昇圧回路20に対して昇圧回路駆動信号の供給を停止する。
条件制御部304は、電動モータ14に印加される電圧に応じて開始条件を変更する。電動モータ14のモータ特性は、電動モータ14に印加される電圧に応じて変動する。例えば、電動モータ14に印加される電圧が高くなると電動モータ特性はより出力トルクが大きく、無負荷時の回転数が大きい特性となる。一方、電動モータ14に印加される電圧が低くなると電動モータ特性はより出力トルクが小さく、無負荷時の回転数が小さい特性となる。
以下に、本実施形態における昇圧制御部226の処理について、説明する。まず、本実施形態における昇圧制御部226における昇圧回路20に対する昇圧処理について説明する。図6は、昇圧制御部226の昇圧処理のフローチャート図である。また、図7は、昇圧制御部226の昇圧処理のフローを説明する模式図である。
推定部301は、目標電流取得部222から供給された目標電流値It1において、電動モータ14の回転数Nと出力トルクFm1とに基づいて電動モータ14の動作点Sを取得する(ステップS101:図7A参照)。なお、出力トルクFm1は、モータ駆動部21から供給されたモータ電流値Im1に基づいて決定される。
推定部301は、目標電流値Iが新たな目標電流値に変更されたか否かを判定する。例えば、推定部301は、現在の目標電流値It1とは異なる目標電流値It2が目標電流取得部222から新たに供給されたか否かを判定する(ステップS102)。
推定部301は、現在の目標電流値It1とは異なる目標電流値It2が目標電流取得部222から新たに供給された場合(図7B参照)、動作点変化ΔSを単位時間毎に算出する(ステップS103)。例えば、推定部301は、電動モータ14の動作点Sを取得し、単位時間毎に前回の動作点Sと今回の動作点Sとを比較することで、動作点変化ΔSを取得する。
推定部301は、取得した動作点変化ΔSに基づいて目標動作点Sを推定する(ステップS104)。推定部301は、推定した目標動作点Sを判定部303に供給する。例えば、推定部301は、動作点Sでのモータ電流値Im1から動作点Sでのモータ電流値Im2へのモータ電流値の変化ΔIを算出する。また、推定部301は、動作点Sでの回転数Nから動作点Sでの回転数Nへの電動モータ14の回転数の変化ΔNを算出する。推定部301は、算出した変化ΔNに対して変化ΔIを除算することで傾きa(=ΔN/ΔI)を算出する。推定部301は、目標電流値It2を目標動作点Sのモータ電流値Im3として、動作点Sでのモータ電流値Im1からモータ電流値Im3へのモータ電流値の変化ΔIに対して傾きaを乗算した値に動作点Sでの回転数Nを加算することで、目標動作点Sの回転数Nを推定する。
判定部303は、目標動作点Sに基づいて開始条件が成立したか否かを判定する。すなわち、判定部303は、推定部301が推定した目標動作点Sが開始条件に該当する場合において開始条件が成立したと判定する(ステップS105)。
判定部303は、推定部301が推定した目標動作点Sが開始条件に該当する場合(図7C参照)、昇圧回路駆動信号を昇圧回路20に供給する(ステップS106)。
判定部303は、推定部301が推定した目標動作点Sが開始条件に該当しない場合(図7D参照)、昇圧回路駆動信号を昇圧回路20に供給しない。これにより、昇圧制御部226は、推定した目標動作点Sが開始条件に該当した場合に昇圧回路20の昇圧を開始させることができるため、従来よりも早く操舵補助力が必要な場合を予測することができる。したがって、電動パワーステアリング装置1は、所望のタイミングでバッテリの電圧を昇圧することができる。そのため、運転者によって急にステアリングハンドルが切られるような場合でも操舵フィーリングの違和感を低減することができる。
次に、本実施形態における昇圧制御部226における昇圧回路20に対する昇圧の停止処理について説明する。図8は、昇圧制御部226の昇圧の停止処理フローチャート図である。また、図9は、昇圧制御部226の昇圧の停止処理のフローを説明する模式図である。なお、初期条件として、昇圧回路20に昇圧回路駆動信号が供給されており、昇圧回路20のバッテリ電圧Vの昇圧が行われている場合について説明する。
推定部301は、目標電流取得部222から供給された目標電流値It1において、電動モータ14の回転数Nと出力トルクFm1とに基づいて電動モータ14の動作点Sを取得する(ステップS201:図9A参照)。なお、出力トルクFm1は、モータ駆動部21から供給されたモータ電流値Im1に基づいて決定される。
推定部301は、目標電流値Iが新たな目標電流値に変更されたか否かを判定する。例えば、推定部301は、現在の目標電流値It1とは異なる目標電流値It2が目標電流取得部222から新たに供給されたか否かを判定する(ステップS202)。
推定部301は、現在の目標電流値It1とは異なる目標電流値It2が目標電流取得部222から新たに供給された場合(図9B参照)、動作点変化ΔSを単位時間毎に算出する(ステップS203)。例えば、推定部301は、電動モータ14の動作点Sを取得し、単位時間毎に前回の動作点Sと今回の動作点Sとを比較することで、動作点変化ΔSを取得する。
推定部301は、取得した動作点変化ΔSに基づいて目標動作点Sを推定する(ステップS204)。推定部301は、推定した目標動作点Sを判定部303に供給する。例えば、推定部301は、動作点Sでのモータ電流値Im1から動作点Sでのモータ電流値Im2へのモータ電流値の変化ΔIを算出する。また、推定部301は、動作点Sでの回転数Nから動作点Sでの回転数Nへの電動モータ14の回転数の変化ΔNを算出する。推定部301は、算出した変化ΔNに対して変化ΔIを除算することで傾きa(=ΔN/ΔI)を算出する。推定部301は、目標電流値It2を目標動作点Sのモータ電流値Im3として、動作点Sでのモータ電流値Im1からモータ電流値Im3へのモータ電流値の変化ΔIに対して傾きaを乗算した値に動作点Sでの回転数Nを加算することで、目標動作点Sの回転数Nを推定する。
判定部303は、目標動作点Sに基づいて停止条件が成立したか否かを判定する。すなわち、判定部303は、推定部301が推定した目標動作点Sが停止条件に該当する場合において停止条件が成立したと判定する(ステップS205)。
判定部303は、推定部301が推定した目標動作点Sが停止条件に該当する場合(図9C参照)、昇圧回路20に対する昇圧回路駆動信号の供給を停止する(ステップS206)。
判定部303は、推定部301が推定した目標動作点Sが停止条件に該当しない場合(図9D参照)、昇圧回路20に対して昇圧回路駆動信号の供給を継続する。これにより、昇圧制御部226は、推定した目標動作点Sが停止条件に該当した場合に昇圧回路20の昇圧を停止させることができる。したがって、電動パワーステアリング装置1は、所望のタイミングでバッテリの電圧の昇圧を停止することができるため、運転者の操舵フィーリングの違和感を軽減することができる。
上述したように、本実施形態における電動パワーステアリング装置1は、目標電流値Iが変更された場合に、電動モータ14の回転数Nとモータ電流値Iとに基づいて規定されるモータ動作点の変化に基づいて、モータ電流値Iが目標電流値Iに到達するときのモータ動作点(目標動作点)を推定する推定部301と、推定部301により推定されたモータ動作点が昇圧回路20の昇圧の開始を制御する開始条件に該当する場合に昇圧回路の昇圧を開始する判定部303と、を備える。したがって、所望のタイミングでバッテリの電圧を昇圧することができるため、運転者の操舵フィーリングの違和感を軽減することができる。すなわち、操舵力をアシストする際に遅れがない昇圧制御が可能となる。
また、上述した実施形態における電動パワーステアリング装置1は、昇圧回路20がバッテリ電圧Vを昇圧している場合において、電動モータ14の動作点の変化ΔSに基づいて推定された目標動作点Sが停止条件に該当する場合に昇圧回路20の昇圧を停止する。したがって、所望のタイミングでバッテリの電圧の昇圧を停止することができるため、運転者の操舵フィーリングの違和感を軽減することができる。
上述の実施形態において、開始条件と停止条件とはヒステリシス幅を備えてもよい。すなわち、停止条件の範囲を開始条件と比較して狭くする。これにより、推定部301が推定した目標動作点Sが変動することで短時間の間に昇圧回路20の昇圧と非昇圧との繰り返し(チャタリング)が発生することを防止することができるため、運転者の操舵フィーリングの違和感をさらに軽減することができる。
また、上述の実施形態において、開始条件と停止条件とを同じ条件としてもよい。すなわち、開始条件が成立しない場合を停止条件が成立する条件としてもよい。
制御部22の各部は、ハードウェアにより実現されてもよく、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにより実現されてもよい。また、プログラムが実行されることにより、コンピュータが、制御部22の一部として機能してもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよく、ネットワークに接続された記憶装置に記憶するように構成することも可能である。
上述した実施形態における昇圧制御部226をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
1 電動パワーステアリング装置
9 ステアリングハンドル
10 トルクセンサ
11 ステアリングシャフト
12 ギアボックス
13 舵取機構
14 電動モータ
15 制御装置
20 昇圧回路
21 モータ駆動部
22 制御部
50 車速センサ
221 角度取得部
222 目標電流取得部
223 差分演算部
224 PI演算部
225 駆動信号取得部
226 昇圧制御部
301 推定部
302 記憶部
303 判定部
304 条件制御部

Claims (5)

  1. 電動モータに流れるモータ電流値が目標電流値になるように電源からの電圧を前記電動モータに供給することで車両のステアリングシャフトに操舵補助力を付与する電動パワーステアリング装置であって、
    前記電源の電圧を昇圧する昇圧回路と、
    前記車両のステアリングハンドルの操舵トルクに基づいて前記目標電流値を設定する目標電流取得部と、
    前記目標電流取得部により前記目標電流値が第1目標電流値から第2目標電流値に変更された場合には、前記電動モータの回転数と前記モータ電流値とに基づいて規定されるモータ動作点の単位時間あたりの変化を求め、前記モータ動作点単位時間あたりの変化に基づいて前記モータ電流値が前記第2目標電流値に到達するときの前記モータ動作点を推定する推定部と、
    前記推定部で推定された前記モータ動作点が所定の範囲を超える場合に前記昇圧回路の昇圧を開始させる判定部と、
    を備え、
    前記モータ動作点が前記所定の範囲を超える場合とは、前記推定部で推定された前記モータ動作点で前記電動モータを動作させるのに必要な電圧が、前記電源の電圧を超える場合である、
    電動パワーステアリング装置。
  2. 前記所定の範囲は、前記電源の電圧よりも高い電圧が前記電動モータに印加される場合にのみ前記電動モータがとり得る前記モータ動作点の範囲である
    ことを特徴する請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 請求項2に記載の電動パワーステアリング装置であって、
    前記電動モータに印加される電圧に応じて前記所定の範囲を変更する条件制御部を備える
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  4. 前記判定部は、前記昇圧回路が前記電源の電圧を昇圧している場合に、前記目標電流値が変更されたことにより前記推定部により推定された前記モータ動作点が所定の停止条件に該当する場合に前記昇圧回路の昇圧を停止し、
    前記所定の停止条件は、前記電源の電圧が前記電動モータに印加されることで動作する前記電動モータのモータ動作点の範囲である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記所定の範囲と前記停止条件とはヒステリシス幅を備える請求項4に記載の電動パワーステアリング装置。
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