以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について説明する。
図1及び図2は、本発明の実施形態に係るプローバの全体構成を示した外観図と平面図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態のプローバ10は、検査するウエハW(図4参照)を供給及び回収するローダ部14と、ローダ部14に隣接して配置され、複数の測定部16を有する測定ユニット12とを備えている。測定ユニット12は、複数の測定部16を有しており、ローダ部14から各測定部16にウエハWが供給されると、各測定部16でそれぞれウエハWの各チップの電気的特性の検査(ウエハレベル検査)が行われる。そして、各測定部16で検査されたウエハWはローダ部14により回収される。なお、プローバ10は、操作パネル22、後述する制御装置(図6参照)等も備えている。
ローダ部14は、ウエハカセット20が載置されるロードポート18と、測定ユニット12の各測定部16とウエハカセット20との間でウエハWを搬送する搬送ユニット24とを有する。搬送ユニット24は、図示しない搬送ユニット駆動機構を備えており、X、Z方向に移動可能に構成されるとともに、θ方向(Z方向周り)に回転可能に構成されている。また、搬送ユニット24は、上記搬送ユニット駆動機構により前後に伸縮自在に構成された搬送アーム26を備えている。搬送アーム26の上面部には図示しない吸着パッドが設けられており、搬送アーム26は、この吸着パッドでウエハWの裏面を真空吸着してウエハWを保持する。これにより、ウエハカセット20内のウエハWは、搬送ユニット24の搬送アーム26によって取り出され、その上面に保持された状態で測定ユニット12の各測定部16に搬送される。また、検査の終了した検査済みのウエハWは逆の経路で各測定部16からウエハカセット20に戻される。
図3は、本発明の実施形態に係るプローバにおける測定ユニットの構成を示した概略図である。図4は、図3に示した測定ユニットにおける測定部の構成を示した概略図である。
図3に示すように、測定ユニット12は、複数の測定部16が多段状に積層された積層構造(多段構造)を有しており、各測定部16はX方向及びZ方向に沿って2次元的に配列されている。本実施形態では、一例として、X方向に4つの測定部16がZ方向に3段積み重ねられている。
測定ユニット12は、複数のフレームを格子状に組み合わせた格子形状を有する筐体(不図示)を備えている。この筐体は、X方向、Y方向、Z方向にそれぞれ延びる複数のフレームを格子状に組み合わせて形成されたものであり、これらのフレームにより形成された各空間部にそれぞれ測定部16の構成要素が配置される。
各測定部16は、いずれも同一の構成を有しており、図4に示すように、ヘッドステージ30と、プローブカード32と、ウエハチャック34とを備えている。また、各測定部16には、それぞれ、図示しないテストヘッドが設けられている。なお、テストヘッドは、図示しないテストヘッド保持部によりヘッドステージ30の上方に支持されている。
ヘッドステージ30は、筐体の一部を構成するフレーム部材(不図示)に支持されており、プローブカード32が着脱自在に装着固定される。ヘッドステージ30に装着固定されたプローブカード32は、ウエハチャック34のウエハ保持面34aと対向するように設けられる。なお、プローブカード32は、検査するウエハW(デバイス)に応じて交換される。
プローブカード32には、検査するウエハWの各チップの電極パッドの位置に対応して配置された、カンチレバーやスプリングピン等の複数のプローブ36が設けられている。各プローブ36は、図示しないテストヘッドの端子に電気的に接続され、テストヘッドから各プローブ36を介して各チップに電源及びテスト信号が供給されると共に各チップからの出力信号をテストヘッドで検出して正常に動作するかを測定する。なお、プローブカード32とテストヘッドとの接続構成については、本発明の要部ではないため、詳細な説明を省略する。
プローブ36は、バネ特性を有し、プローブ36の先端位置より接触点を上昇させることにより、電極パッドに所定の接触圧で接触する。また、プローブ36は、電気的検査を行うときに、電極パッドがオーバードライブの状態で接触されると、プローブ36の先端が電極パッドの表面にのめり込み、その電極パッドの表面にそれぞれ針跡を形成するようになっている。なお、オーバードライブとは、ウエハWとプローブ36の先端の配列面との傾き、及び、プローブ36の先端位置のばらつきなどを考慮して、電極パッドとプローブ36が確実に接触するように、プローブ36の先端位置より高い位置まで電極パッド、すなわちウエハWの表面を距離αだけ上昇させた状態をいう。また、プローブ36の先端位置(コンタクト位置)からウエハWの表面を更に上昇させる移動量、すなわち上記距離αをオーバードライブ量と称する。
ウエハチャック34は、真空吸着等によりウエハWを吸着して固定する。ウエハチャック34は、検査するウエハWが載置されるウエハ保持面34aを有しており、ウエハ保持面34aには複数の吸引口40が設けられている(図4では1つのみ図示)。吸引口40は、ウエハチャック34の内部に形成された吸引路42を介して真空ポンプなどの吸引装置(真空源)44に接続されている。吸引装置44と吸引路42との間を接続する吸引経路にはウエハ吸着用電磁弁46が設けられている。なお、ウエハ吸着用電磁弁46はウエハ吸着用電磁弁制御部110(図6参照)により制御される。
ウエハチャック34のウエハ保持面34aよりも外側には、ウエハ保持面34aに保持されたウエハWを取り囲むように形成された弾性を有するリング状シール部材(チャックシールゴム)48が設けられている。後述するZ軸移動・回転部72によりウエハチャック34をプローブカード32に向かって移動(上昇)させたときに、リング状シール部材48がヘッドステージ30の下面に接触することで、ウエハチャック34、プローブカード32、及びリング状シール部材48により囲まれた内部空間S(図8B〜図8F参照)が形成される。なお、リング状シール部材48は本発明の環状のシール部材の一例である。
ヘッドステージ30には、プローブカード32とウエハチャック34との間に形成された内部空間Sを減圧するための吸引口50が設けられている。吸引口50は、ヘッドステージ30の内部に形成された吸引路52を介して吸引装置44に接続されている。吸引装置44と吸引路52との間を接続する吸引経路には真空電空レギュレータ54が設けられている。真空電空レギュレータ54は内部空間Sの内部圧力(真空度)を調節する制御弁である。なお、真空電空レギュレータ54は後述する吸引制御部114(図6参照)により制御される。吸引装置44及び真空電空レギュレータ54は本発明の減圧手段の一例である。
ウエハチャック34には、内部空間Sと外部空間との間を連通する連通路56が設けられている。連通路56の一端はウエハチャック34のウエハ保持面34aのうちウエハWが載置されない外周付近の領域に開口しており、連通路56の他端はウエハチャック34の側面に開口している。ウエハチャック34の側面には、連通路56を開放及び遮断可能なシャッタ手段58が設けられている。シャッタ手段58を開いた場合には連通路56は開放状態となり、内部空間Sは連通路56を介して外部空間と連通した状態(連通状態)となる。一方、シャッタ手段58を閉じた場合には連通路56は遮断状態となり、内部空間Sは外部空間と連通しない状態(非連通状態)となる。なお、シャッタ手段58は後述するシャッタ制御部116(図6参照)により制御される。シャッタ手段58は公知の構成が適用されるため、詳細な説明を省略する。
なお、本実施形態では、一例として、ウエハチャック34に設けられた連通路56及びシャッタ手段58により内部空間Sを外部空間と連通した連通状態(非密閉状態)と非連通状態(密閉状態)との間で選択的に切り替え可能な構成としたが、本実施形態の構成に代えて、例えば、ヘッドステージ30あるいはプローブカード32に連通路及びシャッタ手段を設けた構成としてもよい。
ウエハチャック34の内部には、検査するウエハWを高温状態(例えば、最高で150℃)、又は低温状態(例えば最低で−40℃)で電気的特性の検査が行えるように、加熱/冷却源としての加熱冷却機構(不図示)が設けられている。加熱冷却機構としては、公知の適宜の加熱器/冷却器が採用できるものであり、例えば、面ヒータの加熱層と冷却流体の通路を設けた冷却層との二重層構造にしたものや、熱伝導体内に加熱ヒータを巻き付けた冷却管を埋設した一層構造の加熱/冷却装置など、様々のものが考えられる。また、電気加熱ではなく、熱流体を循環させるものでもよく、またペルチエ素子を使用してもよい。
ウエハチャック34は、後述するアライメント装置70に着脱自在に支持固定される。アライメント装置70は、ウエハチャック34をX、Y、Z、θ方向に移動することで、ウエハチャック34に保持されたウエハWとプローブカード32との相対的な位置合わせを行う。
アライメント装置70は、ウエハチャック34を着脱自在に支持固定してウエハチャック34をZ軸方向に移動すると共にZ軸を回転中心としてθ方向に回転するZ軸移動・回転部72と、Z軸移動・回転部72を支持してX軸方向に移動するX軸移動台74と、X軸移動台74を支持してY軸方向に移動するY軸移動台76とを備えている。
Z軸移動・回転部72、X軸移動台74、及びY軸移動台76は、それぞれ、少なくともモータを含む機械的な駆動機構によりウエハチャック34を所定の方向に移動自在もしくは回転自在に構成される。機械的な駆動機構としては、例えば、サーボモータとボールネジとを組み合わせたボールネジ駆動機構により構成される。また、ボールネジ駆動機構に限らず、リニアモータ駆動機構やベルト駆動機構等で構成されていてもよい。なお、Z軸移動・回転部72、X軸移動台74、及びY軸移動台76は、後述する各制御部によりウエハチャック34の移動距離、移動方向、移動速度、加速度を変更可能に構成されている。本実施形態では、具体的には次のような構成を有する。
Z軸移動・回転部72は、本発明の機械的昇降手段の一例であり、ウエハチャック34をZ軸方向に移動させるためのZ軸駆動モータ122(例えば、ステッピングモータ、サーボモータ、リニアモータ等)(図6参照)と、ウエハチャック34のZ軸方向への移動距離を検出するためのZ軸エンコーダ(例えば、ロータリーエンコーダやリニアスケール等)(不図示)とを備えている。Z軸駆動モータ122は、後述するZ軸移動制御部106(図6参照)からのモータ制御信号に基づき制御され、ウエハチャック34を所望の移動速度または加速度で目標位置に移動させるように駆動する。また、Z軸エンコーダは、ウエハチャック34の移動に応じてエンコーダ信号を出力する。
また、Z軸移動・回転部72は、ウエハチャック34をθ方向に回転させるための回転駆動モータ124(例えば、ステッピングモータ、サーボモータ、リニアモータ等)(図6参照)と、ウエハチャック34のθ方向への回転角度を検出するための回転エンコーダ(例えば、ロータリーエンコーダ等)(不図示)とを備えている。回転駆動モータ124は、後述するθ回転制御部108(図6参照)からのモータ制御信号に基づき制御され、ウエハチャック34を所望の回転速度または加速度で目標位置に移動させるように駆動する。また、回転エンコーダは、ウエハチャック34の回転に応じてエンコーダ信号を出力する。
X軸移動台74は、ウエハチャック34をX軸方向に移動させるためのX軸駆動モータ118(例えば、ステッピングモータ、サーボモータ、リニアモータ等)(図6参照)と、ウエハチャック34のX軸方向への移動距離を検出するためのX軸エンコーダ(例えば、ロータリーエンコーダやリニアスケール等)(不図示)とを備えている。X軸駆動モータ118は、後述するX軸移動制御部102(図6参照)からのモータ制御信号に基づき制御され、ウエハチャック34を所望の移動速度または加速度で目標位置に移動させるように駆動する。また、X軸エンコーダは、ウエハチャック34の移動に応じてエンコーダ信号を出力する。
Y軸移動台76は、ウエハチャック34をY軸方向に移動させるためのY軸駆動モータ120(例えば、ステッピングモータ、サーボモータ、リニアモータ等)(図6参照)と、ウエハチャック34のY軸方向への移動距離を検出するためのY軸エンコーダ(例えば、ロータリーエンコーダやリニアスケール等)(不図示)とを備えている。Y軸駆動モータ120は、後述するY軸移動制御部104(図6参照)からのモータ制御信号に基づき制御され、ウエハチャック34を所望の移動速度または加速度で目標位置に移動させるように駆動する。また、Y軸エンコーダは、ウエハチャック34の移動に応じてエンコーダ信号を出力する。
アライメント装置70は、それぞれの段毎に設けられており(図3参照)、図示しないアライメント装置駆動機構によって、各段に配置された複数の測定部16間で相互に移動可能に構成されている。すなわち、アライメント装置70は、同一の段に配置される複数(本例では4つ)の測定部16間で共有されており、同一の段に配置された複数の測定部16間を相互に移動する。各測定部16に移動したアライメント装置70は図示しない位置決め固定装置により所定位置に位置決めされた状態で固定され、ウエハチャック34をX、Y、Z、θ方向に移動させて、ウエハチャック34に保持されたウエハWとプローブカード32との相対的な位置合わせを行う。なお、図示は省略したが、アライメント装置70は、ウエハチャック34に保持されたウエハWの各チップの電極パッドとプローブ36との相対的な位置関係を検出するために、針位置検出カメラと、ウエハアライメントカメラとを備えている。また、アライメント装置駆動機構としては、ボールネジ駆動機構、リニアモータ駆動機構、ベルト駆動機構等の機械的な駆動機構により構成される。
アライメント装置70の上面を構成するZ軸移動・回転部72のウエハチャック支持面72aには、外周に沿って環状に形成された弾性を有するリング状シール部材(Z軸シールゴム)78が設けられる。また、ウエハチャック支持面72aのリング状シール部材78の内側には吸引口80が設けられている。吸引口80は、ウエハチャック34の内部に形成された吸引路82を介して吸引装置44に接続されている。吸引装置44と吸引路82との間を接続する吸引経路には、吸引装置44側から順に、チャック固定用電磁弁84、と、絞り弁86とが設けられている。なお、チャック固定用電磁弁84は後述するチャック固定用電磁弁制御部112(図6参照)により制御される。Z軸移動・回転部72のウエハチャック支持面72aは本発明のウエハチャック固定部の一例である。また、ウエハチャック支持面72aに設けられた吸引口80はウエハチャック固定部の構成要素の一例である。
Z軸移動・回転部72のウエハチャック支持面72aのリング状シール部材78の外側には、アライメント装置70に対するウエハチャック34の相対的な位置関係が常に一定となるように位置決めピン88が設けられている。この位置決めピン88は、図5に示すように、ウエハチャック34の中心軸を中心とする周方向に沿って等間隔に3箇所に設けられている(図4においては2つのみを図示)。ウエハチャック34の下面には各位置決めピン88にそれぞれ対応する位置に位置決め部材であるVブロック90が設けられている。ウエハチャック34を真空吸着により吸着して固定する際には、各Vブロック90のV溝内にそれぞれ対応する位置決めピン88を係合させることで、ウエハチャック34の水平方向(X方向及びY方向)の動きを拘束して、アライメント装置70とウエハチャック34との相対的な位置決めが行われる。なお、図5は、位置決めピン88とVブロック90との対応関係を示した図である。図5では、図面を簡略化するため、位置決めピン88及びVブロック90以外の構成については図示を省略している。
なお、本実施形態では、アライメント装置70は、真空吸着等によりウエハチャック34を吸着して固定するが、ウエハチャック34を固定できるものであれば、真空吸着以外の固定手段でもよく、例えば機械的手段等で固定するようにしてもよい。
本実施形態におけるプローバ10には、上記構成に加え、ウエハチャック34の高さ位置(Z方向の位置)を検出する距離センサ(測長センサ)38が設けられている。距離センサ38は本発明の高さ位置検出手段の一例である。距離センサ38としては、ウエハチャック34の高さ位置(Z方向の位置)を検出できれば、接触式のもの、非接触式のものを問わず各種のセンサを利用することができるが、測定対象のウエハチャック34の高さ位置に影響を与えない非接触式のセンサが望ましい。非接触式のセンサとしては、レーザーや超音波を用いた非接触式の距離センサ(例えば、レーザー測長センサ等)が好適に用いられる。本実施形態における距離センサ38は非接触式の距離センサであり、Z軸移動・回転部72の非可動部(固定部)に設けられている。この距離センサ38は、距離センサ38からウエハチャック34までの距離を測定することによりウエハチャック34の高さ位置(Z軸方向の位置)を検出し、その検出結果をウエハチャック34の高さ位置(Z軸方向の位置)を示す高さ位置情報として後述する吸引制御部114(図6参照)に出力する。
なお、距離センサ38の配置場所については本実施形態に特に限定されるものではなく、例えば、ヘッドステージ30側(例えば、ヘッドステージ30やプローブカード32等)に配置されていてもよい。
図6は、本発明の実施形態に係るプローバの制御装置の構成を示した機能ブロック図である。
図6に示すように、本実施形態のプローバ10の制御装置は、全体制御部100、X軸移動制御部102、Y軸移動制御部104、Z軸移動制御部106、θ回転制御部108、ウエハ吸着用電磁弁制御部110、チャック固定用電磁弁制御部112、吸引制御部114、シャッタ制御部116等を備えている。
全体制御部100は、プローバ10を構成する各部を統括的に制御する。具体的には、全体制御部100は、検査するウエハWの各チップの電極パッドとプローブカード32の各プローブ36とを接触させる動作(コンタクト動作)の制御を行う。また、全体制御部100は、コンタクト動作の他に、各測定部16の間でアライメント装置70を相互に移動させる移動制御や、テストヘッドによるウエハレベル検査の動作の制御などを行う。なお、コンタクト動作以外の制御については、本発明の要部ではないため、詳細な説明を省略する。
X軸移動制御部102は、X軸移動台74に設けられるX軸駆動モータ118の駆動を制御することでX軸移動台74をX軸方向に移動させることにより、ウエハチャック34をX軸方向に移動させる。Y軸移動制御部104は、Y軸移動台76に設けられるY軸駆動モータ120の駆動を制御することでY軸移動台76をY軸方向に移動させることにより、ウエハチャック34をY軸方向に移動させる。Z軸移動制御部106は、Z軸移動・回転部72に設けられるZ軸駆動モータ122の駆動を制御することでZ軸移動・回転部72を昇降させることにより、ウエハチャック34をZ軸方向に移動させる。θ回転制御部108は、Z軸移動・回転部72に設けられる回転駆動モータ124の駆動を制御することでZ軸移動・回転部72をθ方向に回転させることにより、ウエハチャック34をθ方向に回転させる。
ウエハ吸着用電磁弁制御部110は、ウエハ吸着用電磁弁46のON/OFF(開/閉)を制御することで、吸引口40による吸引圧を調整し、ウエハチャック34に対するウエハWの固定/非固定を選択的に切り替える。
チャック固定用電磁弁制御部112は、チャック固定用電磁弁84のON/OFF(開/閉)を制御することで、吸引口80による吸引圧を調整し、Z軸移動・回転部72に対するウエハチャック34の固定/非固定を選択的に切り替える。
吸引制御部114は、真空電空レギュレータ54の動作を制御することで、内部空間Sの内部圧力(真空度)を無段階に調節する。特に本実施形態では、吸引制御部114には、距離センサ38から出力された高さ位置情報(ウエハチャック34の高さ位置を示す情報)が入力される。吸引制御部114は、この高さ位置情報に基づいてウエハチャック34の高さ位置が予め設定された目標範囲内となるように真空電空レギュレータ54の動作を制御する。吸引制御部114は本発明の減圧制御手段の一例である。
シャッタ制御部116は、シャッタ手段58の開閉を制御することで、内部空間Sと外部空間との間を連通する連通路56の開放/遮断を選択的に切り替える。
次に、本実施形態に係るプローバ10におけるコンタクト動作について、図7、図8A〜図8F、図9を参照して説明する。なお、この動作は全体制御部100による制御の下で行われる。以下では、本実施形態に係るプローバ10におけるコンタクト動作の概略について説明した後に、その詳細な動作について説明する。
図7は、本発明の実施形態に係るプローバにおけるコンタクト動作を示したフローチャートである。図8A〜図8Fは、本発明の実施形態に係るプローバにおけるコンタクト動作を説明するための図である。図9は、本発明の実施形態に係るプローバにおけるコンタクト動作を示したタイミングチャート図である。なお、図9に示すタイミングチャートの時間幅は図面を簡略化するために表現したものであり、実際の時間とは異なっている。また、図9における「Z軸高さ」とは、Z軸移動・回転部72のウエハチャック支持面72aのZ軸方向の位置(高さ位置)を示している。また、図9における「チャック高さ」とは、プローブ36の先端位置(コンタクト位置)を基準位置(0点位置)としたときのウエハチャック34の高さ位置(具体的には、ウエハ保持面34aのZ軸方向の位置)を示している。
(事前動作)
コンタクト動作の事前動作について説明する。
まず、コンタクト動作の事前動作として、これから検査を行う測定部16にアライメント装置70を移動させた後、不図示の位置決め固定装置により位置決め固定した状態で、アライメント装置70にウエハチャック34が受け渡される。なお、コンタクト動作の開始前におけるウエハチャック34の受け渡し動作については、本発明の要部ではないため、詳細な説明を省略する。
(ステップS10:ウエハチャック固定工程)
アライメント装置70にウエハチャック34が受け渡された後、図8Aに示すように、チャック固定用電磁弁制御部112は、チャック固定用電磁弁84をON(開状態)とし、Z軸移動・回転部72のウエハチャック支持面72a(図4参照)にウエハチャック34を吸着して固定する(図9の時間T1)。このとき、Z軸移動・回転部72の位置決めピン88をウエハチャック34のVブロック90のV溝内に係合させることで、アライメント装置70とウエハチャック34との相対的な位置決めが行われる。
その後、アライメント装置70に支持固定されたウエハチャック34にウエハWが供給(ロード)されると、ウエハ吸着用電磁弁制御部110は、ウエハ吸着用電磁弁46をON(開状態)とし、ウエハ保持面34a(図4参照)にウエハWを吸着固定する(図9の時間T2)。
(ステップS12:アライメント工程)
次に、X軸移動制御部102、Y軸移動制御部104、及びθ回転制御部108は、全体制御部100による制御の下、針位置検出カメラ及びウエハアライメントカメラにより撮像された結果に基づき、X軸駆動モータ118、Y軸駆動モータ120、回転駆動モータ124を制御して、ウエハチャック34に保持されたウエハWとプローブカード32との相対的な位置合わせを行う。
(ステップS14:シャッタ開工程)
次に、図8Aに示すように、シャッタ制御部116は、シャッタ手段58を開いて連通路56を開放する(図9の時間T3)。
なお、シャッタ開工程は、少なくとも、後述するZ軸上昇工程においてリング状シール部材48がヘッドステージ30に接触した状態(図8B参照)になる前に実行されていればよい。例えば、シャッタ開工程は、ウエハチャック固定工程とアライメント工程との間に行われてもよいし、ウエハチャック固定工程よりも先に行われていてもよい。また、シャッタ開工程は、ウエハチャック固定工程又はアライメント工程と同時に行われてもよい。
(ステップS16:Z軸上昇工程)
次に、図8B及び図8Cに示すように、Z軸移動制御部106は、Z軸駆動モータ122を制御して、Z軸移動・回転部72を上昇させることにより、ウエハチャック34をプローブカード32に向かって移動させる(図9の時間T4〜T5)。具体的には、ウエハチャック34が所定の高さ位置(待機位置)からリング状シール部材48がヘッドステージ30に接触する高さ位置まで移動するようにウエハチャック34を上昇させ(図8B参照)、さらに、少なくともプローブ36の先端位置(コンタクト位置)よりも高い位置までウエハチャック34を上昇させる(図8C参照)。これにより、プローブカード32の各プローブ36はオーバードライブの状態でウエハWの各チップの電極パッドに接触する。
Z軸上昇工程において、Z軸移動・回転部72によりウエハチャック34を上昇させる高さとしては、プローブ36の先端位置(コンタクト位置)からプローブカード32の適正オーバードライブ量(適正OD位置)に対して30〜70%(より好ましくは40〜60%)の高さ位置であることが好ましい。なお、Z軸上昇工程は本発明のウエハチャック移動工程の一例である。
(ステップS18:シャッタ閉工程)
次に、図8Dに示すように、シャッタ制御部116は、シャッタ手段58を閉じて連通路56を遮断する(図9の時間T6)。これにより、リング状シール部材48によりウエハチャック34とプローブカード32との間に形成された内部空間Sは外部空間と連通しない非連通状態(密閉状態)となる。
(ステップS20:減圧工程)
次に、図8Dに示すように、吸引制御部114は、真空電空レギュレータ54の動作を制御して内部空間Sの減圧を開始する(図9の時間T7)。内部空間Sの減圧が開始された後、吸引制御部114は、ウエハチャック34の高さ位置(Z方向の位置)が予め定められた目標範囲内となるように、真空電空レギュレータ54により内部空間Sの内部圧力を制御する処理(ウエハチャック高さ位置調整処理)を一定間隔で繰り返し行う。なお、ウエハチャック高さ位置調整処理については後述する。
(ステップS22:判断工程)
次に、吸引制御部114は、内部空間Sの内部圧力(圧力値P1)が真空電空レギュレータ54による設定圧力(圧力値P2)に到達したか否かを判断する。この判断は内部圧力(圧力値P1)が設定圧力(圧力値P2)に到達するまで繰り返し行われ、設定圧力(圧力値P2)に到達した場合には次のステップS24に進む。これにより、内部空間Sの内部圧力が設定圧力で安定したところで、後述するウエハチャック固定解除工程(ステップS24)が行われる。なお、内部空間Sの内部圧力は、例えばウエハチャック34又はヘッドステージ30に設けた圧力センサにより内部空間Sの内部圧力を直接検出してもよいし、真空電空レギュレータ54に内蔵又は接続された圧力センサにより検出してもよい。
(ステップS24:ウエハチャック固定解除工程)
次に、図8Eに示すように、チャック固定用電磁弁制御部112は、チャック固定用電磁弁84をOFF(閉状態)とし、Z軸移動・回転部72の吸引口80(図4参照)によるウエハチャック34の固定を解除する(図9の時間T9)。
このとき、真空電空レギュレータ54により内部空間Sの内部圧力は設定圧力に調節されているので、Z軸移動・回転部72によるウエハチャック34の固定が解除されると、ウエハチャック34はZ軸移動・回転部72から離脱して、プローブカード32側に引き寄せられる(図9のT9〜T10)。これにより、ウエハWとプローブ36の先端の配列面との傾き、及び、プローブ36の先端位置のばらつきなどに影響されることなく、検査するウエハWの各チップの電極パッドとプローブカード32の各プローブ36とが所定の接触圧で確実に接触する。
このように本実施形態では、内部空間Sの減圧が開始された後にウエハチャック34の固定がウエハチャック34の固定が解除されるので、これらの工程の切り替えの瞬間にウエハチャック34がどちら側にも固定されていない不安定な状態(フリーな状態)がなくなり、ウエハチャック34の受け渡し動作を安定して行うことができる。
また、本実施形態では、Z軸移動・回転部72の吸引路82とチャック固定用電磁弁84との間を接続する吸引経路には絞り弁86が設けられているため、内部空間Sの減圧が開始された後にウエハチャック34の固定が解除されても、ウエハチャック34の下側(Z軸移動・回転部72側)の負圧が急に失われないようになっている。そのため、ウエハチャック34が上下両側(すなわち、Z軸移動・回転部72とプローブカード32との両側)から引っ張られている状態で急に下側からの拘束(すなわち、Z軸移動・回転部72からの吸着による固定力)がなくなることがないので、ウエハチャック34の急激な移動に伴う異常振動や異常接触を低減できる。したがって、ウエハチャック固定解除工程が行われたときにウエハチャック34がZ軸移動・回転部72から急激に離脱するのを抑制することができるので、ウエハチャック34の受け渡し動作をより安定して行うことが可能となる。
なお、本実施形態では、一例として、Z軸移動・回転部72の吸引路82とチャック固定用電磁弁84との間を接続する吸引経路に絞り弁86を設けた構成を示したが、Z軸移動・回転部72の吸引口80と吸引装置44との間を接続する経路に絞り弁86が設けられていればよく、例えば、Z軸移動・回転部72の吸引路82に絞り弁86が設けられていてもよい。
(ステップS26:Z軸下降工程)
次に、図8Fに示すように、Z軸移動制御部106は、Z軸駆動モータ122を制御して、Z軸移動・回転部72を所定の高さ位置(待機位置)まで下降させる(図9の時間T11〜T12)。
以上のようにして、ウエハチャック34がアライメント装置70(Z軸移動・回転部72)からヘッドステージ30(プローブカード32側)に受け渡されると、プローブカード32の各プローブ36は均一な接触圧でウエハWの各チップの電極パッドに接触した状態となり、ウエハレベル検査を開始可能な状態となる。その後、テストヘッドから各プローブ36を介してウエハWの各チップに電源及びテスト信号が供給され、各チップから出力される信号を検出して電気的な動作検査が行われる。
なお、ウエハチャック34がアライメント装置70(Z軸移動・回転部72)からヘッドステージ30(プローブカード32側)に受け渡された後、アライメント装置70は他の測定部16に移動し、その測定部16において同様の手順でコンタクト動作が行われ、ウエハレベル検査が順次行われる。
次に、本実施形態に係るプローバ10におけるコンタクト動作を詳細に説明する。
本実施形態では、上述したコンタクト動作において内部空間Sの減圧が開始された後、ウエハチャックの高さ位置(Z方向の位置)が予め定められた目標範囲内となるように、以下に示すウエハチャック高さ位置調整処理が割り込み処理として一定間隔で繰り返される。なお、ウエハチャック高さ位置調整処理は、ウエハレベル検査が終了して内部空間Sの減圧が解除されるまで繰り返し行われる。
図10は、ウエハチャック高さ位置調整処理を示したフローチャートである。
図10に示すように、ウエハチャック高さ位置調整処理では、ウエハチャック34の高さ位置を検出する高さ位置検出工程が行われる(ステップS30)。この高さ位置検出工程では、距離センサ38によりウエハチャック34の高さ位置が検出され、その検出結果(ウエハチャック34の高さ位置を示す高さ位置情報)が吸引制御部114に供給される。
次に、吸引制御部114は、距離センサ38から取得した高さ位置情報に基づき、ウエハチャック34の高さ位置が予め設定された目標範囲内となるように、真空電空レギュレータ54により内部空間Sの内部圧力を制御する。具体的には次のようにして制御が行われる。
吸引制御部114は、ウエハチャック34の高さ位置が上限値以下であるか否かを判断する(ステップS32)。なお、ウエハチャック34の高さ位置の上限値は、プローブカード32の許容オーバードライブ位置としてもよいが、許容オーバードライブ位置からある程度のマージンを差し引いた値とするのが好適である。ここで、本明細書では、適正オーバードライブ位置(適正OD位置)を超えた位置であって、プローブ36を電極パッドに許容オーバードライブ位置で接触させた場合、適正以上のオーバードライブがかかり、ウエハWやプローブカード32の破損が発生する可能性がある位置を「許容オーバードライブ位置(許容OD位置)」という。
ステップS32における判断の結果、ウエハチャック34の高さ位置が上限値を超える場合には、吸引制御部114は、真空電空レギュレータ54により内部空間Sの内部圧力を予め設定された圧力変化量ΔP(但し、ΔP>0)だけ増加させ、ウエハチャック34の高さ位置を低くする。このようにしてウエハチャック34の高さ位置を変更した後は、ステップS30に戻り、ウエハチャック34の高さ位置が上限値以下となるまで、内部空間Sの内部圧力を変化させる処理を繰り返す。一方、ウエハチャック34の高さ位置が上限値以下である場合には、次のステップS36に進む。
なお、本実施形態におけるウエハチャック高さ調整処理では、ウエハチャック34の高さ位置の上限値として、許容オーバードライブ位置からある程度のマージンを差し引いた値が採用される。そのため、ステップS32における判断によりウエハチャック34の高さ位置が上限値を超えると判断された場合でも、少なくともウエハチャック34の高さ位置が許容オーバードライブ位置を超えることなく、ウエハチャック34の高さ位置が上限値以下となるように内部空間Sの内部圧力の制御が行われるので、ウエハWやプローブカード32を破損することがない。
次に、吸引制御部114は、ウエハチャック34の高さ位置が下限値以上であるか否かを判断する(ステップS36)。なお、ウエハチャック34の高さ位置の下限値は、コンタクト位置(プローブ36の先端位置)としてもよいが、コンタクト位置にある程度のマージンを足した値とするのが好適である。
ステップS36における判断の結果、ウエハチャック34の高さ位置が下限値よりも低い場合には、吸引制御部114は、真空電空レギュレータ54により内部空間Sの内部圧力Pを圧力変化量ΔPだけ減少させ、ウエハチャック34の高さ位置を高くする。このようにしてウエハチャック34の高さ位置を変更した後は、ステップS30に戻り、ウエハチャック34の高さ位置が下限値以上となるまで、内部空間Sの内部圧力を変化させる処理を繰り返す。一方、ウエハチャック34の高さ位置が下限値以上である場合には、ウエハチャック高さ位置調整処理を終了し、ウエハチャック高さ位置調整処理(割り込み処理)前の処理に復帰する。
なお、本実施形態におけるウエハチャック高さ調整処理では、ウエハチャック34の高さ位置の下限値として、コンタクト位置にある程度のマージンを足した値が採用される。そのため、ステップS36における判断によりウエハチャック34の高さ位置が下限値よりも低いと判断された場合でも、少なくともウエハチャック34の高さ位置がコンタクト位置よりも低くなることなく、ウエハチャック34の高さ位置が下限値以上となるように内部空間Sの内部圧力の制御が行われるので、ウエハW上の電極パッドとプローブ36との間でコンタクト不良を起こすことがない。
なお、吸引制御部114は、ウエハレベル検査が行われる前のコンタクト動作の最終工程として、ウエハチャック34の高さ位置が適正オーバードライブ位置となるように内部空間Sの内部圧力を制御する。
次に、ウエハチャック高さ位置調整処理の効果について、図11を参照しながら説明する。図11は、ウエハチャック34の高さ位置の時間的な変化を示した図である。
本実施形態におけるコンタクト動作では、Z軸上昇工程(ステップS16)が行われると、ウエハチャック34の高さ位置は例えば図11のA点とB点を結ぶ経路のように変化する。すなわち、ウエハチャック34の高さ位置は所定の待機位置(A点)からコンタクト位置を超えた位置(B点)まで変化する。これにより、プローブカード32の各プローブ36はオーバードライブの状態でウエハWの各チップの電極パッドに接触する。
次に、減圧工程(ステップS20)が開始されると、上述したウエハチャック高さ位置調整処理が割り込み処理として一定間隔で繰り返される。ウエハチャック高さ位置調整処理では、距離センサ38によりウエハチャック34の高さ位置が検出され、吸引制御部114は、その検出結果に基づいてウエハチャック34の高さ位置が予め設定された目標範囲内となるように内部空間Sの内部圧力を制御する。これにより、例えば図11のC点、D1点、E1点、F1点、I2点を結ぶ経路、あるいは、図11のC点、D1点、E1点、G点、H2、I1点を結ぶ経路のように、ウエハチャック34の高さ位置は許容オーバードライブ位置とコンタクト位置との間の範囲内で変化する。そして、コンタクト動作の最後には、図11のJ点で示すように、吸引制御部114は、ウエハチャック34の高さ位置が適正オーバードライブ位置(適正OD位置)となるように内部空間Sの圧力を制御することで、ウエハW上の電極パッドとプローブ36との間で良好なコンタクトを実現することができる。
また、本実施形態では、内部空間Sの減圧を開始するタイミング(第1タイミング;図9の時間T7)よりも遅いタイミング(第2タイミング;図9の時間T9)でZ軸移動・回転部72の吸引口80(図4参照)によるウエハチャック34の固定が解除されるようになっているため、内部空間Sの内部圧力とZ軸移動・回転部72からの吸着による固定力(Z軸移動・回転部72の吸引口80の吸引圧)との関係によっては、例えば図11の点C、点D2、点E2、及び点F2を結ぶ経路のように、ウエハチャック34の高さ位置が許容オーバードライブ位置を超えてしまい、プローブカード32やウエハWの破損を招いてしまう可能性がある。また、Z軸下降工程(ステップS26)が行われる際に内部空間Sの内部圧力が高すぎる場合(すなわち、内部空間Sの真空度が低すぎる場合)には、例えば図11の点Gと点Hを結ぶ経路のように、ウエハチャック34の高さ位置がコンタクト位置よりも低くなってしまい、プローブ36と電極パッドとのコンタクト不良となる可能性がある。
これに対し、本実施形態におけるコンタクト動作では、ウエハチャック高さ位置調整処理において、吸引制御部114によりウエハチャック34の高さ位置が予め定められた目標範囲内となるように内部空間Sの圧力が制御されるので、ウエハチャック固定解除工程やZ軸下降工程などが行われたときに生じる不具合が生じることなく、ウエハW上の電極パッドとプローブ36との間で良好なコンタクトを実現することが可能となる。
なお、本実施形態では、ウエハチャック34の高さ位置を検出する高さ位置検出手段の一例として距離センサ38を備えた構成を示したが、距離センサ38に代えて、内部空間Sの内部圧力を検出する圧力センサを備えた構成としてもよい。この場合、内部空間Sの内部圧力とウエハチャック34の高さ位置との相関関係を示すテーブルを制御装置に搭載される記憶部(不図示)に記憶しておき、圧力センサの検出結果からウエハチャック34の高さ位置を求めてもよい。また、圧力センサとしては、内部空間Sの内部圧力を直接検出するものに限らず、真空電空レギュレータに内蔵又は接続される圧力センサを利用してもよい。
以上説明したように、本実施形態に係るプローバ10におけるコンタクト動作では、Z軸移動・回転部72によりウエハチャック34を上下(Z方向)に移動させることによって、ウエハW上の電極パッドとプローブ36とをオーバードライブの状態で接触させる動作が行われる。このZ軸移動・回転部72は、少なくともモータ(Z軸駆動モータ122)を含む機械的駆動機構により構成されるため、ウエハチャック34の移動距離や移動速度等を精度よく調整することが可能である。また、Z軸移動・回転部72は、従来技術のように真空吸着方式によるコンタクト動作に比べて十分に速い移動速度でウエハチャック34を移動させることができる。したがって、ウエハW上の電極パッドとプローブ36とを接触させる際に、電極パッド上の酸化膜(絶縁体)をプローブ36の接触によって除去することが可能となり、ウエハWにダメージを与えない状態で、ウエハW上の電極パッドとプローブ36との間で良好なコンタクトを実現することができる。
また、本実施形態におけるコンタクト動作では、内部空間Sの減圧が開始された後はウエハチャック高さ位置調整処理が一定間隔で繰り返し行われる。このウエハチャック高さ位置調整処理では、吸引制御部114によりウエハチャック34の高さ位置が予め定められた目標範囲内となるように内部空間Sの圧力が制御されるので、ウエハW上の電極パッドとプローブ36との間で良好なコンタクトを実現することが可能となる。
また、本実施形態では、内部空間Sの減圧を開始するタイミング(第1タイミング;図9の時間T7)よりも遅いタイミング(第2タイミング;図9の時間T9)でZ軸移動・回転部72の吸引口80(図4参照)によるウエハチャック34の固定が解除されるので、これらの工程の切り替えの瞬間にウエハチャック34がどちら側にも固定されていない不安定な状態(フリーな状態)がなくなり、ウエハチャック受け渡し動作を安定して行うことができる。なお、上記制御は、本発明のタイミング制御手段として機能する全体制御部100の制御の下、吸引制御部114とチャック固定用電磁弁制御部112とが連携して制御することによって実現される。
また、本実施形態では、少なくともウエハチャック34のリング状シール部材48がヘッドステージ30に接触した状態(図8B参照)となる前にシャッタ開工程(ステップS12)が行われる。すなわち、Z軸上昇工程(ステップS14)において、リング状シール部材48がヘッドステージ30に接触した状態(図8B参照)からさらにウエハチャック34を上昇させた状態(図8C参照)となるまでの間は、内部空間Sは連通路56を介して外部空間と連通した連通状態(非密閉状態)となっている。
ここで、内部空間Sが外部空間と連通しない非連通状態(密閉状態)でZ軸移動・回転部72によりウエハチャック34を上昇させようとした場合、ウエハチャック34の上昇に伴って内部空間S内の空気が瞬間的に圧縮されて強い反力が発生し、この反力によりヘッドステージ30が振動してしまい、プローブカード32とウエハWとが意図しない形で接触する可能性がある。この場合、プローブカード32とウエハWとの異常接触により、プローブカード32やウエハWが破損してしまう恐れがある。
これに対し、本実施形態では、上述したように内部空間Sが外部空間と連通した連通状態(非密閉状態)でZ軸移動・回転部72によるウエハチャック34の上昇が行われるので、ウエハチャック34を上昇させる際に無理な反力(ウエハチャック34を元に戻そうとする反力)が生じることなく、ウエハチャック34を安定かつ効率的に上昇させることができ、プローブカード32やウエハWの破損を防ぐことができる。
また、本実施形態では、Z軸移動・回転部72の吸引口80に接続される経路には気体の流量を制限する絞り弁86が設けられているので、チャック固定用電磁弁84をOFFした場合(大気開放時)にウエハチャック34がZ軸移動・回転部72から急激に離脱するのを抑制することができ、ウエハチャック34の受け渡し動作をより安定して行うことが可能となる。
以上、本発明に係るプローバ及びプローブコンタクト方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。