以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。図中に示す矢印U,Dは、上下方向を示し、矢印L,Rは画像形成装置100の左右方向を示し、矢印Fr,Reは画像形成装置の前後方向を示す。
(実施の形態1)
(画像形成装置)
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置の斜視図である。図2は、実施の形態1に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。図1および図2を参照して、実施の形態1に係る画像形成装置100について説明する。
図1および図2に示すように、画像形成装置100は、略直方体形状を有する。画像形成装置100は、上下方向の途中部に、前面および右側側面の一部が切り欠かれた切欠部を有する。当該切欠部には、画像形成部110によって形成された画像が印刷された記録媒体が排出される後述のトレイ48が配置される。
画像形成装置100は、画像を形成する画像形成部110と、原稿の画像を読み取る画像読取装置120と、を備える。画像形成部110は、画像形成装置100の下部側を構成し、画像読取装置120は、画像形成装置100の上部側を構成する。
(画像形成部)
画像形成部110は、後述の制御部60からの制御信号に基づいて画像を形成する。また、画像形成部110は、画像読取装置120により読み取られた原稿の画像を形成する。
画像形成部110は、操作パネル111を含む。操作パネル111は、画像形成装置100の前面の一部を構成する。操作パネル111は、タッチセンサと一体化した表示部によって構成されている。操作パネル111は、タッチセンサによって入力された情報を後述の制御部60(図2参照)に入力する。
図2に示すように、画像形成部110は、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、中間転写ベルト30と、一次転写ローラー31と、二次転写ローラー33と、カセット37と、従動ローラー38と、駆動ローラー39と、タイミングローラー40と、定着装置50と、制御部60と、クリーニング装置90とを含む。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト30に沿って順に並べられている。画像形成ユニット1Yは、トナーボトル15Yからトナーの供給を受けてイエロー(Y)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Mは、トナーボトル15Mからトナーの供給を受けてマゼンタ(M)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Cは、トナーボトル15Cからトナーの供給を受けてシアン(C)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Kは、トナーボトル15Kからトナーの供給を受けてブラック(BK)のトナー像を形成する。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、それぞれ、感光体10と、帯電装置11と、露光装置12と、現像装置13と、クリーニング装置17とを備える。
帯電装置11は、感光体10の表面を一様に帯電する。露光装置12は、制御部60からの制御信号に応じて感光体10にレーザー光を照射し、入力された画像パターンに従って感光体10の表面を露光する。これにより、入力画像に応じた静電潜像が感光体10上に形成される。
現像装置13は、現像ローラー14を回転させながら、現像ローラー14に現像バイアスを印加し、現像ローラー14の表面にトナーを付着させる。これにより、トナーが現像ローラー14から感光体10に転写され、静電潜像に応じたトナー像が感光体10の表面に現像される。
感光体10と中間転写ベルト30とは、一次転写ローラー31を設けている部分で互いに接触している。一次転写ローラー31は、ローラー形状を有し、回転可能に構成される。トナー像と反対極性の転写電圧が一次転写ローラー31に印加されることによって、トナー像が感光体10から中間転写ベルト30に転写される。
イエロー(Y)のトナー像、マゼンタ(M)のトナー像、シアン(C)のトナー像、およびブラック(BK)のトナー像が順に重ねられて感光体10から中間転写ベルト30に転写される。これにより、カラーのトナー像が中間転写ベルト30上に形成される。
中間転写ベルト30は、従動ローラー38および駆動ローラー39に張架されている。駆動ローラー39は、たとえばモーター(図示しない)によって回転駆動される。中間転写ベルト30および従動ローラー38は、駆動ローラー39に連動して回転する。これにより、中間転写ベルト30上のトナー像が二次転写ローラー33に搬送される。
クリーニング装置17は、感光体10に圧接されている。クリーニング装置17は、トナー像の転写後に感光体10の表面に残留するトナーを回収する。
カセット37には、用紙Sがセットされる。用紙Sは、カセット37から1枚ずつタイミングローラー40によって搬送経路41に沿って二次転写ローラー33に送られる。
二次転写ローラー33は、ローラー形状を有し、回転可能に構成される。二次転写ローラー33は、トナー像と反対極性の転写電圧を搬送中の用紙Sに印加する。これにより、トナー像は、中間転写ベルト30から二次転写ローラー33に引き付けられ、中間転写ベルト30上のトナー像が転写される。
一方、中間転写ベルト30上の残留トナーは、クリーニング装置90によって除去される。クリーニング装置90は、転写ベルトクリーナー91および廃トナーボックス92を有する。上記残留トナーは、転写ベルトクリーナー91で回収され、廃トナーボックス92に蓄えられる。
二次転写ローラー33への用紙Sの搬送タイミングは、中間転写ベルト30上のトナー像の位置に合わせてタイミングローラー40によって調整される。タイミングローラー40により、中間転写ベルト30上のトナー像は、用紙Sの適切な位置に転写される。
定着装置50は、自身を通過する用紙Sを加圧および加熱する。これにより、トナー像は用紙Sに定着する。その後、用紙Sは、トレイ48に排紙される。
(画像読取装置)
画像読取装置120は、画像読取部130、原稿搬送装置140、および後述する複数のヒンジ部150(図4参照)を含む。
画像読取部130は、原稿読取台131を含む。原稿読取台131は、上面に原稿読取領域132,133を有する。原稿読取台の上面のうちこれら原稿読取領域132,133に該当する部分は、原稿読取面に相当する。
原稿読取領域132においては、原稿搬送装置140によって搬送される原稿の画像を読み取る。原稿読取領域133においては、原稿読取台131に載置された原稿の画像を読み取る。
原稿搬送装置140は、原稿読取台131の一端部に回動可能に保持される。具体的には、原稿搬送装置140は、原稿読取台131の後端部に回動可能に保持される。原稿搬送装置140は、カバー体141と、搬送経路142と、複数の搬送ローラー143と、供給トレイ144と、排出トレイ145と、原稿押え部146とを有する。
カバー体141は、原稿搬送装置140の右側部分において搬送経路142を収容し、原稿搬送装置140の後部側において、複数のヒンジ部150を覆う。カバー体141の内部に設けられた搬送経路142は、画像読取部130によって原稿の画像が読み取られる読取位置(原稿読取領域132)を経由するように原稿を搬送する。搬送経路142は、供給トレイ144から供給された原稿が原稿読取領域132を経由して排出トレイ145に排出されるように設けられている。
複数の搬送ローラー143は、搬送経路142に沿って、カバー体141の内部に配置されている。
供給トレイ144および排出トレイ145は、原稿搬送装置140の左側部分を構成する。供給トレイ144および排出トレイ145は、カバー体141の外側に設けられている。
供給トレイ144は、搬送経路142に原稿を供給するためのトレイである。排出トレイ145は、搬送経路142から排出された原稿を受ける。排出トレイ145は、供給トレイ144に上下方向に重なるように設けられている。具体的には、排出トレイ145は、供給トレイ144の下方に位置する。
原稿押え部146は、原稿搬送装置140の下部を構成する。原稿押え部146は、板状形状を有する。原稿押え部146は、原稿読取台131に載置された原稿を上方側から押さえる。
原稿押え部146は、ヒンジ部150によって、原稿読取台131に回動可能に取付けられている。ヒンジ部150は、原稿読取面の上方に位置しかつ原稿読取面に平行な第1回動軸S1(図4参照)を有する。第1回動軸S1は、排出トレイ145における原稿の排出方向と平行である。具体的には、第1回動軸S1は、画像形成装置100の左右方向に平行である。
原稿押え部146は、原稿読取台131の後端部に、第1回動軸S1回りに回動可能に取り付けられている。原稿押え部146が第1回動軸S1回りに回動することにより、原稿搬送装置140が全体的に、画像読取部130に対して回動する。これにより、原稿搬送装置140は、画像読取部130に対して閉じた状態(閉状態)と開いた状態(開状態)とに切替可能となる。
図3は、実施の形態1に係る画像読取装置の背面側を示す斜視図である。図4は、実施の形態1に係る画像読取装置において、第1カバー部から第2カバー部を外した状態を示す斜視図である。図3および図4を参照して、原稿搬送装置140のカバー体141の詳細な構成について説明する。
カバー体141は、画像読取装置120の一端部側において、上記第1回動軸S1に平行な方向に沿って延在する。具体的には、カバー体141は、画像読取装置120の後部側において、第1回動軸S1に平行な方向に沿って延在する。カバー体141は、画像読取装置の右部側において、上下方向および第1回動軸S1に平行な方向に直交する方向(前後方向)に延在する。
カバー体141は、第1カバー部1411、複数の第2カバー部1412、第3カバー部1413、および搬送カバー部1414を含む。
第1カバー部1411、および複数の第2カバー部1412は、カバー体141の後部側の部分を構成する。第1カバー部1411、および複数の第2カバー部1412は、複数のヒンジ部150を覆う。複数のヒンジ部150は、2つのヒンジ部150を含み、これら2つのヒンジ部150は、第1回動軸S1に平行な方向に並んで配置されている。
第1カバー部1411は、複数のヒンジ部150を上方から覆う。複数の第2カバー部1412は、原稿読取台131の上記一端部が位置する側から複数のヒンジ部150を覆う。具体的には、複数の第2カバー部1412は、後方側から複数のヒンジ部150を覆う。
複数の第2カバー部1412は、後述するように、上記第1回動軸に平行な第2回動軸S2(図5参照)回りに回動可能に第1カバー部に取り付けられている。第2回動軸S2は、第1回動軸S1よりも上方に位置する。複数の第2カバー部1412の各々は、2つの第2カバー部1412を含む。2つの第2カバー部1412の各々は、2つのヒンジ部150のそれぞれに対応して配置されている。
原稿読取台131の一端側におけるカバー体141の延在方向(具体的には左右方向)をカバー体141の幅方向とした場合に、2つの第2カバー部1412は、カバー体141の幅の大部分を占めるように設けられている。なお、2つの第2カバー部1412は、カバー体141の幅の全範囲を占めるに設けられていてもよい。
2つの第2カバー部1412のうち一方の第2カバー部1412は、上記幅方向におけるカバー体141の一方端部側から中央部にかけて設けられている。2つの第2カバー部1412のうち他方の第2カバー部1412は、上記幅方向におけるカバー体141の他方端部側から中央部にかけて設けられている。
第1カバー部1411の色と、第2カバー部1412の色とは、同じであってもよい。この場合には、外装色が統一されるため、デザイン性を向上させることができる。なお、第1カバー部1411の色と、第2カバー部1412の色とは異なっていてもよい。
第1カバー部1411の色、第3カバー部1413の色、および搬送カバー部1414の色は、同じであることが好ましい。この場合には、外装色が統一され、デザイン性を向上させることができる。なお、第1カバー部1411の色、第3カバー部1413の色、および搬送カバー部1414の色は、それぞれ異なっていてもよいし、いずれかのみが異なっていてもよい。
第3カバー部1413は、カバー体141の前方側の部分を構成する。搬送カバー部1414は、第1カバー部1411の右側部分と第3カバー部1413との間に配置されている。搬送カバー部1414は、前後方向を回動軸とする軸回りに回動可能に構成されている。当該回動軸は、搬送カバー部1414の下端側に設けられている。
なお、実施の形態1におけるカバー体141においては、第1カバー部1411、第3カバー部1413、および搬送カバー部1414がそれぞれ別体で設けられている場合を例示して説明したが、これに限定されず、第1カバー部1411と第2カバー部1412とが別体で構成される限り、第1カバー部1411、第3カバー部1413、および搬送カバー部1414が一体に設けられていてもよい。この場合には、搬送カバー部1414は回動不能に設けられていてもよい。
図5は、実施の形態1に係る画像読取装置において、ヒンジ部の周囲の構造を示す断面図である。図5を参照して、ヒンジ部150および第2カバー部1412について説明する。
図5に示すように、ヒンジ部150は、固定部151と、保持部153と、連結アーム部152とを含む。
固定部151は、原稿読取台131の後部側に固定されている。固定部151は、略L字形状を有する。固定部151は、土台部1511と、立ち上がり部1512と、被摺動部1513と、を有する。
土台部1511は、ヒンジ部150の下部を構成する。土台部1511の下面は、原稿読取面と平行となるように設けられている。立ち上がり部1512は、土台部1511の後方端部から上方に向けて延在する。
被摺動部1513は、立ち上がり部1512の後端から後方側に向けて突出する。被摺動部1513は、後述する第2カバー部1412の突出部1412cが摺動可能に設けられている。
保持部153は、原稿押え部146を保持し、これにより、原稿搬送装置140を保持する。連結アーム部152は、固定部151と保持部153とを連結する。連結アーム部152の基端側は、第1回動軸S1回りに回動可能に固定部151に取り付けられる。連結アーム部152の先端側は、保持部153に回動不能に固定されている。
連結アーム部152が第1回動軸S1回りに回動することにより、連結アーム部152に固定された保持部153が回動する。保持部153が回動することにより、保持部153に保持される原稿押え部146が第1回動軸S1回りに回動する。この結果、原稿搬送装置140が第1回動軸S1回りに回動する。
第2カバー部1412は、閉状態から開状態となるように原稿搬送装置140を回動させる際に、原稿搬送装置140の回動動作に連動して、第2カバー部1412の下端が原稿読取台131の一端部(後端部)の外側に向けて回動するように構成されている。
第2カバー部1412は、内側表面1412aと、外側表面1412bと、突出部1412cとを有する。突出部1412cは、内側表面1412aからカバー体141の内側に向けて突出する。
突出部1412cは、第1摺動面1412c1および第2摺動面1412c2を有する。第1摺動面1412c1は、上方側から下方側に向うにつれてカバー体141の内側から上記原稿読取台131の一端部側に向かうように設けられている。第1摺動面1412c1が被摺動部1513に摺動することにより、第2カバー部1412の下端が原稿読取台131の一端部の外側に向けて移動するように、第2カバー部1412が回動する。
第2摺動面1412c2は、被摺動部1513に当接可能に構成されている。上記のように第2カバー部1412が回動した後に、第2摺動面1412c2が被摺動部1513に当接することにより、第2カバー部1412の下端がカバー体141の内側に移動するように第2カバー部1412が回動することを防止できる。
図6は、実施の形態1に係る画像形成装置において原稿搬送装置が閉じた状態を示す概略図である。図7は、実施の形態1に係る画像形成装置において原稿搬送装置が閉じた状態から開いた状態となるように原稿搬送装置を回動させている状態の第1状態を示す概略図である。図8は、実施の形態1に係る画像形成装置において原稿搬送装置が閉じた状態から開いた状態となるように原稿搬送装置を回動させている状態の第2状態を示す概略図である。図6から図8を参照して、原稿搬送装置140の回動動作に連動する第2カバー部1412の動作について説明する。
図6に示すように、原稿搬送装置140が閉じた閉状態においては、ヒンジ部150の保持部153および連結アーム部152は、原稿読取面に平行に配置されている。これにより、原稿押え部146が原稿読取面に近接して平行に配置される。
第2カバー部1412の外側表面1412bは、原稿読取台131の一端部(後端部)の側面と同一平面状に位置している。これにより、閉状態において、第2カバー部1412が、原稿読取台131の外部にはみ出すことを防止でき、デザイン性を向上させることができる。
図7に示すように、原稿搬送装置が閉じた状態から開いた状態となるように原稿搬送装置を回動させている状態の第1状態においては、ヒンジ部150の連結アーム部152が第1回動軸S1回りに回動することにより、連結アーム部152に固定された保持部153が同様に回動する。これにより、原稿押え部146の前部側が原稿読取面から離間するように回動する。
原稿押え部146が回動することにより、原稿搬送装置140も回動する。この際、原稿搬送装置140の一端部側(後端部側)は、原稿読取面に近づくように回動する。これにより、第2カバー部1412も原稿読取面に近づくように移動する。
この際、第2カバー部1412の第1摺動面1412c1がヒンジ部150の固定部151に設けられた被摺動部1513に当接する。原稿搬送装置140の前部側をさらに情報に向けて回動させることにより、上記第1摺動面1412c1が被摺動部1513を摺動する。
第1摺動面1412c1は、下方に向かうにつれて原稿読取台131の一端部側(後端部側)に向かうように設けられている。このため、第1摺動面1412c1が被摺動部1513を摺動することにより、第2カバー部1412が後方に向かうように上記第2回動軸S2回りに回動する。すなわち、第2カバー部1412の下端が原稿読取台131の一端部(後端部)の外側に向けて回動する。
図8に示すように、原稿搬送装置140が閉じた状態から開いた状態となるように原稿搬送装置140を回動させている状態の第2状態においては、第1状態よりも、ヒンジ部150の連結アーム部152および保持部153の回動角が大きくなっている。
第2カバー部1412においては、第1摺動面1412c1による被摺動部1513への摺動が終了し、第2摺動面1412c2が被摺動部1513に摺動する。この状態にあっては、第2カバー部1412の下端は、原稿読取台131の一端部の外側に位置している。
第2摺動面1412c2が被摺動部1513に摺動することにより、第2カバー部1412の下端がカバー体141の内側向けて回動軸S2回りに回動することを防止できる。これにより、第2カバー部1412の下端が原稿読取台131の一他部の外側に位置している状態を維持することができる。
このように、第2カバー部1412は、閉状態から開状態となるように原稿搬送装置140を回動させる際に、原稿搬送装置140の回動動作に連動して、第2カバー部1412の下端が原稿読取台131の一端部の外側に向けて回動するように構成されている。
これにより、原稿搬送装置140の回動動作に連動して第2カバー部1412の位置が下方に下がった場合であっても、第2カバー部1412の下端が原稿読取台131に干渉することを防止することができる。加えて、原稿搬送装置140を回動させる際には、ヒンジ部150を用いて第1回動軸S1回りに原稿搬送装置140を回動させるだけである。これにより、原稿読取台131に干渉することなく、原稿搬送装置140の回動動作をスムーズに行なうことができる。
また、カバー体141の第1カバー部1411および第2カバー部1412によってヒンジ部150が覆われる構成であり、ヒンジ部150を覆うための部材をカバー体141とは別に設けなくてよい。これにより、デザイン性が損なわれなくなる。
加えて、閉状態のみならず原稿搬送装置140の回動動作中においても、第2カバー部1412によってヒンジ部150が原稿搬送装置の一端部側から覆われた状態が維持される。また、回動角が大きくなるにつれて、第2カバー部1412の下端は、原稿読取台131の上面に干渉することなく下方側に移動する。
これにより、使用者の指が原稿搬送装置の一端部側から原稿読取台131の上面に進入することが防止され、回動動作中に使用者の指が、原稿読取台131と原稿搬送装置140とによって挟まれることを防止できる。この結果、安全性を確保することができる。
以上のように、実施の形態1に係る画像読取装置120およびこれを備えた画像形成装置にあっては、デザイン性を損なうことなく原稿搬送装置を回動可能に保持するヒンジ部を覆い、安全性を確保しつつスムーズに原稿搬送装置を回動させることができる。
(比較例)
図9は、比較例に係る画像形成装置において原稿搬送装置が閉じた状態を示す概略図である。図10は、比較例に係る画像形成装置において原稿搬送装置が閉じた状態から開いた状態となるように原稿搬送装置を回動させている状態の第1状態を示す概略図である。図9および図10を参照して、比較例に係る画像形成装置について説明する。
図9および図10に示すように、比較例に係る画像形成装置は、実施の形態1に係る画像形成装置100と比較した場合に、画像読取装置120Xの構成が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
画像読取装置120Xは、実施の形態1に係る画像読取装置120と比較した場合に、第2カバー部1412が、閉状態から開状態となるように原稿搬送装置140を回動させる際に、原稿搬送装置140の回動動作に連動して、第2カバー部1412の下端が原稿読取台131の一端部の外側に向けて回動するように構成されていない点において相違する。
具体的には、ヒンジ部150は、実施の形態1における被摺動部1513を有しておらず、ヒンジ部150の固定部は、土台部1511と立ち上がり部1512とによって構成されている。第2カバー部1412は、実施の形態1における突出部1412cを有しておらず、平板形状を有する。
図9に示すように、原稿搬送装置140が閉じた閉状態においては、ヒンジ部150の保持部153および連結アーム部152は、原稿読取面に平行に配置されている。これにより、原稿押え部146が原稿読取面に近接して平行に配置される。
第2カバー部1412の外側表面1412bは、原稿読取台131の一端部(後端部)の側面と同一平面状に位置している。
図10に示すように、原稿搬送装置が閉じた状態から開いた状態となるように原稿搬送装置を回動させている状態の第1状態においては、ヒンジ部150の連結アーム部152が第1回動軸S1回りに回動することにより、連結アーム部152に固定された保持部153が同様に回動する。これにより、原稿押え部146の前方側が原稿読取面から離間するように回動する。
原稿押え部146が回動することにより、原稿搬送装置140も回動する。この際、原稿搬送装置140の一端部側(後端部側)は、原稿読取面に近づくように回動する。これにより、第2カバー部1412も原稿読取面に近づくように移動する。
しかしながら、比較例においては、原稿搬送装置140の回動動作に連動して、第2カバー部1412の下端が原稿読取台131の一端部の外側に向けて回動するように構成されていないため、第2カバー部1412の下端が原稿読取台131の上面に突き当たる。これにより、原稿搬送装置140の回動が妨げられてしまう。
第2カバー部1412と原稿読取台131との干渉を防止するためには、原稿読取台131の後部に切欠きを設ける必要が生じる。しかしながら、原稿読取台131に切欠きを設ける場合には、外観のデザイン性が損なわれてしまう。
(実施の形態2)
図11は、実施の形態2に係る画像形成装置における原稿搬送装置の背面側を示す斜視図である。図11を参照して、実施の形態2に係る画像形成装置について説明する。
図11に示すように、実施の形態2に係る画像形成装置は、実施の形態1に係る画像形成装置100と比較して、画像読取装置120Aの構成が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
実施の形態2に係る画像読取装置120Aは、実施の形態1に係る画像読取装置120と比較して、カバー体141が蓋部160を含む点において相違する。その他の構成は、ほぼ同様である。
蓋部160は、供給トレイ144および排出トレイ145を覆った被覆状態と、供給トレイ144および排出トレイ145を覆わない非被覆状態とに切替可能に供給トレイ144および排出トレイ145を覆う。具体的には、蓋部160は、原稿搬送装置140の一端部(後端部)側にて、第1回動軸S1と平行な回動軸回りに回動可能に設けられている。
蓋部160には、2つの第2カバー部1412のうち一方の第2カバー部1412が回動可能に取付けられている。
蓋部160が有する色と、当該蓋部160に取り付けられる第2カバー部1412が有する色とは、同じであってもいいし、異なっていてもよい。蓋部160が有する色と、当該蓋部160に取り付けられる第2カバー部1412が有する色とが同じ場合には、外装色を統一することができ、デザイン性が向上する。
蓋部160は、対向壁部161、上壁部162を少なくとも含む。具体的には、蓋部160は、対向壁部161、上壁部162、側壁部163、および取付部164を含む。
対向壁部161は、蓋部160が供給トレイ144および排出トレイ145を覆った被覆状態において、原稿読取台131の一端部側とは反対側の他端部側に位置する供給トレイ144の端部および排出トレイ145の端部に対向する。すなわち、対向壁部161は、上記被覆状態において、供給トレイ144の前端および排出トレイ145の前端に対向する。対向壁部161は、上記被覆状態において、蓋部160の前側部分を構成する。
上壁部162は、対向壁部161の上部に接続されている。上壁部162は、上記被覆状態において、供給トレイ144および排出トレイ145の上方を覆う。上壁部162は、上記被覆状態において、蓋部160の上部を構成する。上壁部162の上面は、平坦である。上記被覆状態においては、上壁部162の上面は、水平面に対して略平行となる。
これにより、被覆状態において、上壁部162の上面に、タブレット端末、携帯型端末装置、およびモバイルコンピュータ等の電子機器、ならびに、書類等を載置することができる。この場合には、画像形成装置100の周囲に複数人を集め、載置された電子機器や書類を用いて打合せ等を実施することができる。
上壁部162は、排出トレイ145における原稿の排出方向(左右方向)において、カバー体141が位置する側に向けて張り出す張出部162a(図1参照)を有する。張出部162aは、被覆状態においてカバー体141に設けられた載置部に載置される。当該載置部は、カバー体141の上面の一部が下方に後退することによって形成される。
張出部162aが上記載置部に載置された状態においては、上壁部162の上面は、カバー体141の搬送カバー部1414と同一平面状に位置する。
これにより、上壁部162の上面と搬送カバー部1414の上面とを広く利用することができ、タブレット端末、携帯型端末装置、およびモバイルコンピュータ等の電子機器、ならびに、書類等をより安定的に配置できる。また、載置できるスペースが広くなることにより、より多くの人を画像形成装置100の周囲に集めることができ、多数の人数で打合せ等を実施することも可能となる。
側壁部163は、上記被覆状態において、上記排出方向においてカバー体141から遠い側に位置する供給トレイ144の端部および排出トレイ145の端部に対向する。すなわち、側壁部163は、上記被覆状態において、供給トレイ144の左端部および排出トレイ145の左端部に対向する。側壁部163は、蓋部160の左側部分を構成する。側壁部163の上部は、上壁部162に接続されている。
取付部164は、蓋部160の後部を構成する。また、取付部164は、カバー体141の第1カバー部1411の一部を構成する。より具体的には、取付部164は、第1カバー部1411の左側部分を構成する。
取付部164は、原稿読取台131の一端部側に位置する原稿搬送装置140の端部に回動可能に取付けられている。具体的には、取付部164は、原稿搬送装置140の後部に回動可能に取付けられている。
取付部164は、上記第1方向に平行な回動軸回りに回動可能に取付けられている。取付部164が、上記回動軸回りに回動することにより、蓋部160が、原稿搬送装置140に対して回動する。これにより、蓋部160は、供給トレイ144および排出トレイ145が覆われた被覆状態と、供給トレイ144および排出トレイ145が覆われていない非被覆状態とに切替可能となる。
以上のように構成される場合であっても、実施の形態2に係る画像読取装置120Aおよび画像形成装置は、実施の形態1に係る画像読取装置120および画像形成装置100とほぼ同様の効果が得られる。
加えて、カバー体141が上記の構成を有する蓋部160を含むことにより、被覆状態において、供給トレイ144および排出トレイ145が配置される空間が蓋部160によって覆われる。これにより、塵埃等の異物が、原稿搬送装置140の内部(より特定的には、搬送カバー部1414の内部)に進入することを抑制することができる。
また、蓋部160を上方側に回動させて非被覆状態とした場合には、上記排出方向においてカバー体141から遠い側に位置する供給トレイ144の端部側および排出トレイ145の端部側のみならず、原稿読取台131の一端部側とは反対側の他端部側に位置する供給トレイ144の端部側および排出トレイ145の端部側からも、使用者が、供給トレイ144および排出トレイ145にアクセスすることができる。
これにより、供給トレイ144への原稿の載置および排出トレイ145から原稿の取り出しを容易に行なうことができ、利便性が向上する。
(実施の形態3)
図12は、実施の形態3に係る画像形成装置に具備される画像読取装置におけるヒンジ部の周囲の構造を示す断面図である。図12を参照して、実施の形態3に係る画像形成装置について説明する。
図12に示すように、実施の形態3に係る画像形成装置は、実施の形態1に係る画像形成装置100と比較して、画像読取装置120Bの構成が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
実施の形態3に係る画像読取装置120Bは、実施の形態1に係る画像読取装置120と比較した場合に、ヒンジ部150Bの構成が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
ヒンジ部150Bは、原稿読取台131に固定される固定部151と、原稿搬送装置140を保持する保持部153と、先端および基端を有し、かつ、固定部151および保持部153を連結する連結アーム部152と、を含む。
連結アーム部152の基端側は、第1回動軸S1回りに回動可能に固定部151に取り付けられている。保持部153は、第1回動軸S1に平行な第3回動軸S3回りに回動可能に連結アーム部152の先端側に取り付けられている。
図12においては、連結アーム部152が回動した場合であっても、原稿搬送装置140は原稿読取面に対して平行な状態となっている。原稿搬送装置140は、実施の形態1に係る原稿搬送装置140の閉状態における高さ位置に対して、h1だけ高い位置に位置している。
図13は、実施の形態3に係るヒンジ部の第1状態を示す図である。図14は、実施の形態3に係るヒンジ部の第2状態を示す図である。図13および図14を参照して、ヒンジ部150Bの動作について説明する。
図13においては、ヒンジ部150Bの第1状態として、原稿搬送装置140が閉状態である場合のヒンジ部150Bの状態を示している。ヒンジ部150Bの第1状態にあっては、ヒンジ部150の保持部153および連結アーム部152は、原稿読取面に平行に配置されている。これにより、原稿押え部146が原稿読取面に近接して平行に配置される。
図14においては、ヒンジ部150Bの第2状態として、原稿搬送装置140が開状態であり、かつ、原稿搬送装置140が原稿読取面に平行に配置されている状態を示している。ヒンジ部150Bの第2状態にあっては、連結アーム部152の先端側が原稿読取台131から離れるように、連結アーム部152は、第1回動軸回りに回動している。
また、保持部153は、原稿読取面に平行となるように、連結アーム部152の先端側に位置する第3回動軸S3回りに回動している。これにより、原稿搬送装置140は、原稿読取台131に対して平行となる。このように、保持部153を連結アーム部152に対して第3回動軸S3回りに回動可能に構成することにより、原稿の厚さに応じて、原稿搬送装置140の高さ位置を変更することができる。
以上のように構成される場合であっても、実施の形態3に係る画像読取装置120Bおよび画像形成装置は、実施の形態1に係る画像読取装置120および画像形成装置100とほぼ同様の効果が得られる。
加えて、ヒンジ部150Bが上記のように構成されることにより、上述のように、原稿の厚さに応じて原稿搬送装置140の高さ位置を変更することができる。
(実施の形態4)
図15は、実施の形態4に係る画像形成装置において原稿搬送装置が閉じた状態を示す概略図である。図15を参照して、実施の形態4に係る画像形成装置について説明する。
図15に示すように、実施の形態4に係る画像形成装置は、実施の形態1に係る画像形成装置100と比較した場合に、画像読取装置120Cの構成が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
実施の形態4に係る画像読取装置120Cは、実施の形態1に係る画像読取装置120と比較した場合に、第2カバー部1412を回動させるための構成が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
画像読取装置120Cは、第2カバー部1412を回動させるための回動機構170を有する。回動機構170は、第1押圧部材171、第2押圧部材172、支持部173を有する。
第1押圧部材171は、第2カバー部1412を押圧可能に設けられている。第1押圧部材171は、第1回動軸S1と平行な第4回動軸S4回りに回動可能に設けられている。第1押圧部材171の下端側は、回動可能に支持部173に支持されている。第1押圧部材171の上端は、第2カバー部1412の内側表面1412aに当接している。
第2押圧部材172は、第1押圧部材171を押圧可能に構成されている。第2押圧部材172は、たとえば撓み変形可能に構成されている。第2押圧部材172の上端は、ヒンジ部150の保持部153の上部に固定されている。第2押圧部材172の下端は、第1押圧部材171の途中部に固定されている。支持部173は、たとえば原稿読取台131の上面に固定されている。
原稿搬送装置140が閉じた閉状態においては、ヒンジ部150の保持部153および連結アーム部152は、原稿読取面に平行に配置されている。これにより、原稿押え部146が原稿読取面に近接して平行に配置される。
第2カバー部1412の外側表面1412bは、原稿読取台131の一端部(後端部)の側面と同一平面状に位置している。
図16は、実施の形態4に係る画像形成装置において原稿搬送装置が閉じた状態から開いた状態となるように原稿搬送装置を回動させている状態の第1状態を示す概略図である。図17は、実施の形態4に係る画像形成装置において原稿搬送装置が閉じた状態から開いた状態となるように原稿搬送装置を回動させている状態の第2状態を示す概略図である。
図16に示すように、原稿搬送装置が閉じた状態から開いた状態となるように原稿搬送装置を回動させている状態の第1状態においては、ヒンジ部150の連結アーム部152が第1回動軸S1回りに回動することにより、連結アーム部152に固定された保持部153が同様に回動する。これにより、原稿押え部146の前部側が原稿読取面から離間するように回動する。
原稿押え部146が回動することにより、原稿搬送装置140も回動する。この際、原稿搬送装置140の一端部側(後端部側)は、原稿読取面に近づくように回動する。これにより、第2カバー部1412も原稿読取面に近づくように移動する。
この際、保持部153が回動することにより、第2押圧部材172が下方側に向けて第1押圧部材171を押圧する。これにより、第1押圧部材171は、当該第1押圧部材171の上端側が、原稿読取台131の一端部側(後端部側)に向かうように、第4回動軸S4回りに回動する。
これにより、第1押圧部材171が第2カバー部1412を後方側に向けて押圧し、第2カバー部1412が後方に向かうように上記第2回動軸S2回りに回動する。すなわち、第2カバー部1412の下端が原稿読取台131の一端部(後端部)の外側に向けて回動する。
図17に示すように、原稿搬送装置140が閉じた状態から開いた状態となるように原稿搬送装置140を回動させている状態の第2状態においては、第1状態よりも、ヒンジ部150の連結アーム部152および保持部153の回動角が大きくなっている。
同様に、第1押圧部材171の回動角も第1状態よりも大きくなり、これにより、第2カバー部1412の回動角も大きくなる。この状態にあっては、第2カバー部1412の下端は、原稿読取台131の一端部の外側に位置している。
このように、実施の形態2においても、第2カバー部1412は、閉状態から開状態となるように原稿搬送装置140を回動させる際に、原稿搬送装置140の回動動作に連動して、第2カバー部1412の下端が原稿読取台131の一端部の外側に向けて回動するように構成されている。
以上のように構成されることにより、実施の形態4に係る画像読取装置120Cおよび画像形成装置は、実施の形態1に係る画像読取装置120および画像形成装置100とほぼ同様の効果が得られる。
なお、実施の形態4においては、第2押圧部材172の上端がヒンジ部150の保持部153に固定され、第2押圧部材172の下端が第1押圧部材171の途中部に固定される場合を例示して説明したが、このような態様に限定されない。閉状態から開状態となるように原稿搬送装置140を回動させる際に、当該原稿搬送装置の回動動作に応じて、第1押圧部材171を第2カバー部1412側に向けて押圧可能に構成されていればよい。たとえば、第2押圧部材172は、第1カバー部1411に固定されていてもよい。
上述の実施の形態1から3においては、被摺動部1513がヒンジ部150の一部によって構成されている場合を例示して説明したが、これに限定されず、ヒンジ部150とは別部材であってもよい。この場合には、原稿搬送装置140の閉状態から開状態への回動動作の際に第2カバー部1412の下端が原稿読取台131の一端部の外側に向けて回動するように第2カバー部1412の回動を案内できる限り、被摺動部1513は、画像読取部130の一部として原稿読取台131に固定されていてもよい。
上述の実施の形態1から4においては、ヒンジ部150が2つの場合を例示して説明したが、これに限定されず1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。1つのヒンジ部150が設けられる場合には、ヒンジ部150は、たとえば、原稿読取台131の一端部側の略中央に固定される。この場合には、ヒンジ部150の数に応じて、1つの第2カバー部1412が設けられる。一方、ヒンジ部150が複数ある場合には、第2カバー部1412は、ヒンジ部150の個数に応じて複数の第2カバー部1412が設けられていてもよいし、これら複数のヒンジ部150の全てを原稿読取台131の一端部側から覆うように単数の第2カバー部1412が設けられていてもよい。このように、実施の形態1から4に係る画像読取装置および画像形成装置においては、少なくとも1つ以上のヒンジ部が設けられるとともに、少なくとも1つ以上の第2カバー部が設けられている。
以上、今回発明された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。