JP6774257B2 - カートン、紙製品入りカートン及びカートン収容段ボール箱 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、コストダウンや軽量化を図ることができ、製箱適性が良好で、カートンの坪量が低くてもカートンの潰れを抑制したカートン、紙製品入りカートン及びカートン収容段ボール箱の提供を目的とする。
そこで、本発明者らは、カートンの長辺がMD方向に沿うようにすることで、カートンの坪量を低減しても段ボール箱内のカートンが潰れ難くなることを見出した。
上記課題を解決するため、本発明のカートンは、紙製品の積層体を収容する紙製箱型のカートンにおいて、前記カートンの坪量が200〜310g/m2、密度が0.70〜1.00g/cm3、前記カートンの長辺がMD方向に沿い、かつJIS−P8126(2005)に規定するリングクラッシュ法に従う前記長辺方向における前記カートンの圧縮強度RLが600〜1000N、前記カートンの横剛度STが3.0〜7.0mN・mである。
図1は、本発明の実施形態に係るカートン20の斜視図である。カートン20(以下、適宜「カートン」とも称する)は、シート状の紙製品25の積層体を収容する紙製の矩形箱体からなり、カートン20の高さHは、内部の紙製品25の積層方向に沿った高さであり、長辺(カートン20の3辺H,W、Lのうち最も長い辺)をLとする。紙製品25としては、2プライ以上のティシュペーパー、ハンドタオル等が例示され、個々の紙製品25は、例えばポップアップ式にZ折りやV折り等されて積層されてもよく、ポップアップしないように重ねられてもよい。又、カートン20は板紙等から形成することができる。
頂面部201の両端縁にはそれぞれ上面側外フラップ206、206Bが連接され、底面部202の両端縁にはそれぞれ下面側外フラップ207、207Bが連接されている。同様に、側面部203の両端縁にはそれぞれ内フラップ208、208Bが連接され、側面部204の両端縁にはそれぞれ内フラップ209、209Bが連接されている。
また、頂面部201には収容する紙製品25を取り出すためのミシン目212が設けられている。
なお、カートン20は一枚のシートを起函して製造される。
なお、紙製品25の積層体を収容した状態のカートン(特許請求の範囲の「紙製品入りカートン」)と、紙製品25の積層体を収容しない状態(収納する前)のカートン(特許請求の範囲の「カートン」)とを特に区別せずに用いる。紙製品25の積層体を収容しない状態のカートンは、図6に示すように、カートン糊付け部205を側面部204の側縁に接着等し、外フラップ206,207を接着せず、頂面部201と底面部202が接するように長手方向の罫線(折線)でシートを折り曲げ、箱を折りたたんだ状態をいう。この状態で、紙製品25の積層体を収容するまで保管する。
カートン20の坪量が310g/m2を超えると、カートン20の強度は高くなるがコストアップになると共に硬くなり、製箱性が劣る。
カートンの坪量は、230〜300g/m2であることが好ましく、250〜300g/m2であることがより好ましい。
カートン20の坪量は、JIS−P8124に基づいて測定する。
従来のカートンは、長辺LがCD方向(流れ方向に垂直な方向)に沿っているため、カートン20が長辺L方向に圧縮されると変形し易く、カートン20の長辺L方向を段ボール箱10の上下方向に沿って積み重ねた際、段ボール箱内のカートン20が潰れ易くなる。
そこで、カートンの長辺LがMD方向に沿うようにすることで、カートン20が長辺L方向に圧縮されても変形し難く、カートン20の長辺L方向を段ボール箱10の上下方向に沿って積み重ねた際、段ボール箱内のカートン20が潰れ難くなる。
圧縮強度RLが650〜950Nであることが好ましく、700〜900Nであることがより好ましい。
圧縮強度RLは、試験片S1の長辺方向がカートン20の長辺L方向と垂直な(つまり、荷重の加わる軸方向がカートン20の長辺L方向に平行な)場合をいう。又、カートン20の幅W方向の圧縮強度RTは、試験片S2の長辺方向がカートン20の幅W方向と垂直な(つまり、荷重の加わる軸方向がカートン20の幅方向に平行な)場合をいう。
後述する変形例に係るカートン30のように、カートン30の辺T,W,Lの長さがいずれも短い場合も同様に、試験片に含まれる罫線が2本以下であれば、測定に差し支えない。
又、比(RL/RT)は1.10〜1.50であることが好ましく、1.15〜1.40であることがより好ましく、1.20〜1.35であることが最も好ましい。
カートン20の横剛度STを上記範囲とすることで、カートンの長辺LをMD方向に沿うようにしても、製箱後のカートン20の形状性(平坦性)に優れる。
カートン20の横剛度STが3.0mN・m未満であると、図7に示すようにカートン20の形状に打ち抜いたシートが幅W方向にカールする。その結果、図8に示すように起函(製箱)後のカートン20の頂面部201や底面部202が幅W方向に湾曲し、製品の見栄え(カートン20の平坦性)が劣ると共に、起函したカートンを多数積層した際に整列せず、例えば、紙製品の積層体を充填する際や、次工程のフィルムの張り付けでカートンを送り出す際に不良が生じ、生産性も低下することがある。
カートン20の横剛度STが7.0mN・mを超えると、カートンの長辺Lに沿った罫線でカートンを起函する際に、きれいな直線状に曲がらず、品質が劣る場合がある。
縦剛度SLは、試験片の長辺方向(梁間)がカートン20の長辺L方向に等しい場合をいう。横剛度STは、試験片の長辺方向(梁間)がカートン20の幅W方向に等しい場合をいう。
罫線Rの深さは、レーザーにより罫線Rを横切るように高さ情報を測定し、最も深い箇所と測定開始点(非罫線部)の高さの差とする。例えば、株式会社エレクトロダイン研究所製のブランクス計測システムを用いることができる。罫線Rの幅は光学顕微鏡等の一般的な顕微鏡で測定する。
カートンの長辺L方向に平行な罫線の深さDLが0.15〜0.40mmであることが好ましく、長辺L方向に垂直な罫線の深さDTが0.17〜0.40mmであることが好ましい。
罫線の深さDLを上記範囲とすることで、上述の横剛度STと同様に、製箱後のカートン20の平坦性に優れる。
罫線の深さDLが0.15mm未満の場合、シートを起函した後に頂面部201や底面部202が幅W方向に湾曲し、カートン20の平坦性が劣る場合がある。一方、罫線の深さDLが0.40mmを超えると、罫線が深くなり過ぎて、罫線割れが発生する場合がある。
一方、罫線の深さDTが0.17mm未満であると、罫線がしっかり入らないので、罫線部で外フラップ206,207がしっかりと曲がらず、図10(b)に示すように、フラップのズレが生じることがある。罫線の深さDTが0.40mmを超えると、罫線が深くなり過ぎて、罫線割れが発生する場合がある。
罫線の深さDTが0.17〜0.31mmであることがより好ましく、0.26〜0.31mmであることが最も好ましい。
カートンの長辺L方向に平行な罫線の幅WLが1.3〜1.9mmであることが好ましく、1.4〜1.8mmであることがより好ましく、1.5〜1.7mmであることが最も好ましい。
カートンの長辺L方向に垂直な罫線の幅WTが1.2〜1.8mmであることが好ましく、1.3〜1.7mmであることがより好ましく、1.4〜1.6mmであることが最も好ましい。
カートン20の紙厚tは、シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定する。測定条件は、測定荷重250gf、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間にカートン20のシートを1枚置き、測定子を1秒間に1mm 以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取る。10回繰り返した測定の平均値を紙厚とする。なお、密度は、カートンの坪量をカートンの紙厚tで割り、単位容積cm3あたりの質量gで表したものである。
紙製品25の1プライ当りの坪量は、JIS−P8124に基づいて測定する。
紙製品25の比容積が3.0〜6.5cm3/gであることが好ましく、3.3〜6.0cm3/gであることがより好ましく、3.6〜5.5cm3/gであることがさらに好ましい。なお、比容積は、紙製品25の紙厚t2を1枚当たりの紙厚に換算して坪量で割り、単位gあたりの容積cm3で表したものである。
段ボール箱10は、4枚の胴部6と、そのうち2つの離間する胴部6の上下に罫線R1を介してそれぞれ繋がる外フラップ2と、別の2つの胴部6の上下に罫線R2を介してそれぞれ繋がる内フラップ4と、を有している。胴部6は四角柱状に起函されている。
又、段ボール箱の材質は、公知のものを使用できる。
中芯の坪量は90〜190g/m2が好ましい。中芯の坪量が190g/m2を超えるとコストが高くなる場合がある。一方、中芯の坪量が90g/m2未満になると、段ボール箱の強度が弱くなり、カートンや段ボール箱が潰れ易くなる場合がある。中芯の坪量は100〜170g/m2がより好ましく、120〜160g/m2が最も好ましい。
カートン及びそれに収容される紙製品の種類、材質や、紙製品の積層態様も限定されない。
例えば、図5に示すように、シート状の紙製品35の積層体を収容するカートン30として、キューブ型で化粧用の拭き取り紙に等に使用される小型のボックスティシュに本発明を適用してもよい。このカートン30では、紙製品25の積層方向に沿った高さ方向が最も辺が長いので、高さ方向を長辺L方向とする。一方、長辺Lに垂直な2辺Wはいずれも同じ長さである。カートン30の場合、カートン30の高さ方向(長辺L方向)を段ボール箱の上下方向に沿って各カートン30を段ボール箱内に積み重ねて収容する。従って、カートン20と同様、カートン30の長辺LがMD方向に沿うように構成すればよい。
カートンの坪量、圧縮強度(RL,RT)、曲げこわさ(SL,ST)は上述のようにして測定した。
カートンの潰れ難さ:図3に示すように、カートン20の長辺L方向を段ボール箱10の上下方向に沿って2段)に積み重ねて収容し、カートン収容段ボール箱100を得た。このカートン収容段ボール箱100を10段積み重ねて1週間保管し、最下段のカートン収容段ボール箱100を開封してカートンの潰れの有無を目視判定した。
製箱性A:カートン20のシートの罫線での折り曲げによる製箱時の起函し易さを評価した。製箱性Aは、カートンの原紙の坪量、密度による製箱性への影響を評価する。
製箱性B:カートン20の製箱時の図10(b)に示すような外フラップ206,207のズレを評価した。製箱性Bは、カートンの原紙の紙厚や強度、罫線の深さDTによる製箱性への影響を評価する。
さらに、カートンの横剛度STを3.0〜7.0mN・mとした各実施例の場合、STが3.0mN・m未満である実施例14に比べ、製箱後のカートンの形状性(平坦性)が優れていた。また、STが7.0mN・mを超えた実施例15に比べ、罫線折り曲げ時の直線性が優れていた。
さらに、カートンの長辺方向の罫線の深さDLを0.15〜0.40mmとした各実施例の場合、DLが0.15mm未満である実施例19に比べ、カートンの形状性(平坦性)が優れていた。また、DLが0.40mmを超えた実施例20に比べ、罫線割れが生じなかった。
さらに、カートンの幅方向の罫線の深さDTを0.17〜0.40mmとした各実施例の場合、DTが0.40mmを超えた実施例23に比べ、罫線割れが生じなかった。
カートンの長辺をCD方向とした比較例2の場合、長辺方向の圧縮強度RLが600N未満に低下し、カートンが潰れた。
一方、カートンの坪量が310g/m2を超えた比較例3の場合、シートが硬くて製箱時に外フラップも成型し難く、製箱性Bが劣ると共に、コストが劣った。なお、比較例1の場合、カートンの長辺をCD方向としたため、シートが硬くても外フラップが成型し易く、製箱性Bは低下しなかった。
カートンの坪量が200g/m2未満である比較例5の場合、長辺方向の圧縮強度RLが600N未満に低下し、カートンの強度が低下してカートンが潰れ易くなった。また、カートンの横剛度STが3.0mN・m未満となり、形状性(平坦性)が劣った。
カートンの坪量が200〜310g/m2であるが、叩解を強め、紙力剤の添加率を高くした比較例9の場合、長辺方向の圧縮強度RLが1000Nを超え、罫線割れが生じると共に、カートン20が潰れ易くなった。これは、カートンを構成するシートが硬くなり過ぎ、カートンが圧縮された際に罫線が割れてカートンの強度が低下したためと考えられる。
カートンの幅方向の罫線の深さDTが0.17mm未満であること以外は比較例8と同様とした比較例10の場合、カートン20が潰れ易くなったと共に、製箱時に外フラップを成型し難く、製箱性Bが劣った。
20、30 カートン
25、35 紙製品の積層体
100 カートン収容段ボール箱
L カートンの長辺
Claims (4)
- 紙製品の積層体を収容する紙製箱型のカートンにおいて、
前記カートンの坪量が200〜310g/m2、密度が0.70〜1.00g/cm3、
前記カートンの長辺がMD方向に沿い、かつJIS−P8126(2005)に規定するリングクラッシュ法に従う前記長辺方向における前記カートンの圧縮強度RLが600〜1000N、
前記カートンの横剛度STが3.0〜7.0mN・mであるカートン。 - 前記カートンの前記長辺方向に平行な罫線の深さDLが0.15〜0.40mm、前記長辺方向に垂直な罫線の深さDTが0.17〜0.40mmである請求項1に記載のカートン。
- 請求項1又は2に記載のカートンに、前記紙製品の積層体を収容してなる紙製品入りカートン。
- 請求項3に記載の紙製品入りカートンを段ボール箱に複数個収容してなるカートン収容段ボール箱であって、
前記カートンの前記長辺方向を前記段ボール箱の上下方向に沿って複数段に重ねて収容してなるカートン収容段ボール箱。
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