JP6772563B2 - トラクタ - Google Patents

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Description

本発明は、圃場などで作業をするトラクタに関する。
圃場などで作業をする作業車両を制動する技術に関して、例えば、特開2006−333834号公報に記載の技術が公知である。
特許文献1としての特開2006−333834号公報には、コンバインにおいて、予め設定された距離または時間移動した場合に、左右のブレーキを同時に作動させて左右のクローラをロックし、走行を自動で停止させることが記載されている。また、特許文献1には、左右のブレーキを作動させる構成に替えて、エンジンを停止させて、コンバインの走行を停止させることも記載されている。これにより、特許文献1では、コンバインを、トラックの荷台に移動させるためのアユミ上を無人で走行させた後に、トラックの荷台上で自動停止させている。
特開2006−333834号公報
しかしながら、従来の技術では、左右のブレーキを作動させる構成と、エンジンを停止させる構成と、は連動していない。すなわち、ブレーキなどの制動する機構に不具合が発生した場合には自動で停止できない問題がある。特に、自律制御により圃場を走行する作業車両では、無人運転の場合が多く、作業者がエンジン等を緊急停止させることができない場合がある。したがって、制動する機構に不具合が生じた場合には、作業車両が走行し続ける恐れがあり、進行方向に人や動物等の障害物が存在する場合に衝突等する恐れがあった。
本発明は、制動する機構に不具合が生じても安全に走行車体を停止させることを技術的課題とする。
本発明の上記課題は、次の解決手段により解決される。
すなわち、請求項1に記載の発明は、走行車体(1a)と、前記走行車体(1a)に支持されたエンジン(E)と、前記エンジン(E)の動力を車輪(2,3)に伝達する動力伝達装置(D)であって、前記エンジン(E)からの動力を伝達する伝達位置と、前記エンジン(E)からの動力の伝達を遮断する遮断位置と、の間を移動可能に支持されたクラッチ部材(48)を有する前記動力伝達装置(D)と、前記車輪(2,3)を制動する制動装置(301)と、予め設定された予定経路(R)に沿って前記走行車体(1a)を自律走行させる自律制御手段(CA1)と、前記走行車体(1a)の走行方向に、障害物(P2)が存在しないか否かを検出する手段(311〜315)と、前記障害物を検出する手段(311〜315)が障害物(P2)を検出した場合に、前記自律制御手段(CA1)により前記走行車体(1a)を制動する場合に、前記クラッチ部材(48)を前記遮断位置に移動させると共に、前記制動装置(301)を作動させる制動制御手段(CA4)と、前記制動装置(301)を作動させた場合に、前記走行車体(1a)が制動されたか否かを判別する制動判別手段(CA4b,CA4c)と、前記制動判別手段(CA4b,CA4c)の判別結果に基づいて前記走行車体(1a)が制動されていない場合に、前記エンジン(E)を停止させるエンジン制御手段(CB2)と、前記障害物を検出する手段(311〜315)で障害物(P2)が検出されて前記走行車体(1a)を制動した後に、障害物(P2)が検出されなくなると、前記走行車体(1a)の走行を再開させる前記自律制御手段(CA1)と、前記制動装置(301)に制動される前記車輪(2,3)の回転に基づいて前記走行車体(1a)の走行速度(V)を検知する車速検知手段(CA2)と、前記障害物を検出する手段(311〜315)で障害物(P2)が検出されて前記自律制御手段(CA1)により前記制動装置(301)を作動させた場合に、前記走行速度(V)に基づいて前記走行車体(1a)の前記車輪(2,3)が制動されたか否かを判別する制動判別手段(CA4b)と、前記制動判別手段(CA4b)の判別結果に基づいて、前記車輪(2,3)が制動されて停止したと判別された場合に、前記クラッチ部材(48)を、前記遮断位置から前記伝達位置と前記遮断位置との間に設定された半伝達位置に移動させ、次いで、前記自律制御手段(CA1)で走行車体(1a)の走行が再開された場合に前記制動装置(301)を解除する前記制動制御手段(CA4)と、を備えたことを特徴とするトラクタとした。
請求項2に記載の発明は、前記走行車体(1a)の前後の前記車輪(2,3)と、前記エンジン(E)の動力を後輪(3)に伝達する第1の伝達系と、前記第1の伝達系に伝達された動力を前輪(2)に伝達する第2の伝達系と、前記エンジン(E)から前記第1の伝達系への動力の伝達、遮断を切り替える前記クラッチ部材(48)と、前記第1の伝達系と前記第2の伝達系との間に配置され且つ、前記第1の伝達系から前記第2の伝達系に動力を伝達する4輪駆動位置と、前記第1の伝達系から前記第2の伝達系への動力の伝達を遮断する2輪駆動位置と、の間を移動可能に支持された駆動切替クラッチ部材(79)と、を有する前記動力伝達装置(D)と、前記後輪(3)を制動する前記制動装置(301)と、前記走行車体(1a)を制動する場合に、前記クラッチ部材(48)を前記遮断位置に移動させると共に、前記駆動切替クラッチ部材(79)を前記4輪駆動位置に移動させる前記制動制御手段(C4A)と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載のトラクタとした。
請求項1に記載の発明によれば、クラッチ部材(48)を遮断位置に移動させ制動装置(301)を作動させても、走行車体(1a)が制動されていないと判別された場合には、エンジン(E)を停止させることができる。よって、クラッチ部材(48)や制動装置(301)などの制動する機構に不具合が生じても安全に走行車体を停止させることができる。
また、請求項1に記載の発明によれば、走行車体(1a)を自律走行させる場合に、制動する機構に不具合が生じても、安全に走行車体を停止させることができる。
さらに、請求項1に記載の発明によれば、車輪(2,3)が制動された場合にクラッチ部材(48)を半伝達位置に移動させることができる。よって、半伝達位置に移動させない場合に比べて、自律走行時の再発進時に素早く動力を車輪に伝達することができる。また、半伝達位置に移動させない場合に比べて、傾斜した圃場等で走行車体(1a)が自重で走行方向と逆に移動することを抑制することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、制動装置(301)が後輪(3)を制動する場合に、第1の伝達系と第2の伝達系とを介して、前輪(2)も制動することができる。よって、2輪駆動の場合に比べて、制動距離を短くし易くすることができる。
本実施例の作業車両の側面図である。 本実施例のトラクタに搭載されたエンジンの説明図である。 本実施例の動力伝達装置の説明図である。 本実施例の正逆クラッチの断面図である。 本実施例のトラクタの油圧回路の説明図である。 図5の要部説明図である。 作業車両の管理システムの全体説明図である。 本実施例の作業車両の管理システムの機能ブロック図である。 図8の要部説明図であり各制御部の説明図である。 本実施例の自律制御の説明図である。 制動制御処理のフローチャートの説明図である。
本発明の実施例を図面と共に説明する。なお、各図において、発明の説明に不要な部材は適宜図示や説明を省略している。また、本明細書では作業車両の前進方向を向いて左右方向をそれぞれ左、右と言い、前進方向を前、後退方向を後と言うことにする。
(作業車両)
図1は本実施例の作業車両の側面図である。
図1において、作業車両の一例としての農業機械のトラクタ1は、走行車体の前後部に前輪2,2と後輪3,3とを備え、走行車体前部のエンジンルーム4内に搭載したエンジンEの回転動力をトランスミッションケース5内の変速装置によって適宜減速して、これら前輪2,2と後輪3,3に伝えるように構成している。前記エンジンルーム4はボンネット6で覆う構成である。また、機体後部にロータリ耕耘装置18などの作業機を装着し、PTO軸で作業機を駆動する構成としている。
走行車体の上部には、キャビン7が支持されている。キャビン7の内部では、トランスミッションケース5の上部位置に運転座席8が配置され、この運転座席8の前方には、ステアリングハンドル10や、前後切替レバー11、駐車ブレーキ(図示せず)、作業機の回転速度を変更するPTO変速レバー(図示せず)等を配置して構成されている。また、運転座席8の前方には、速度メータ(図示せず)や、操作用の各種スイッチ(図示せず)などが配置されている。運転座席8の前方下部には、クラッチペダル12や、アクセルペダル13、左右ブレーキペダル(図示せず)等の走行操作具が配置されている。
図1において、ミッションケース5の後部上方には油圧シリンダケース14が設けられ、この油圧シリンダケース14の左右両側にはリフトアーム15,15が回動自在に枢着されている。リフトアーム15,15とロワーリンク16,16との間にはリフトロッド17,17が介装連結され、ロワーリンク16,16の後部には作業機であるロータリ耕耘装置18が連結されている。
油圧操作レバー(図示せず)を操作して油圧シリンダケース14内に収容されている油圧シリンダ14aに作動油を供給するとリフトアーム15,15が上昇側に回動され、リフトロッド17、ロワーリンク16等を介して作業機(ロータリ耕耘装置)18が上昇する。反対にこの油圧操作レバー(図示せず)を下降側に操作すると油圧シリンダ14a内の作動油は油圧タンクを兼ねるミッションケース5内に排出され、リフトアーム15,15を下降させる。
トラクタ1の走行車体の後方にはロータリ耕耘装置18が連結されており、該ロータリ耕耘装置18は、耕耘部18aと、耕耘部18a上方を覆うメインカバー18bと、メインカバー18bの後部に枢着されたリヤカバー18c等を有する。
(エンジン)
図2は本実施例のトラクタに搭載されたエンジンの説明図である。
図2において、エンジンEの一例としての蓄圧式燃料噴射装置は、例えば、多気筒ディーゼル機関に適用されるものであるが、ガソリン機関でもよい。そして、蓄圧式燃料噴射装置は、燃料を適宜に制御する噴射圧力に蓄圧するコモンレールE1と、このコモンレールE1に取り付けられるレール圧センサE2と、燃料タンクE3より汲み上げた燃料を加圧してコモンレールE1に圧送する燃料高圧ポンプE4と、コモンレールE1に蓄圧された高圧燃料をエンジンEのシリンダE5内に噴射する高圧インジェクタE6と、前記燃料高圧ポンプE4と高圧インジェクタE6やその他の制御などの動作を制御するエンジン制御部CB(ECU:Engine Control Unit)等から構成される。
このように、コモンレールE1は、エンジンEの各シリンダE5へ噴射する燃料を、要求された出力に必要な圧力とするものである。
前記燃料タンクE3内の燃料は吸入通路により燃料フィルタE7を介してエンジンEで駆動される燃料高圧ポンプE4に吸入され、この燃料高圧ポンプE4によって加圧された高圧燃料は吐出通路E8によりコモンレールE1に導かれて蓄えられる。
コモンレールE1内の高圧燃料は各高圧燃料供給通路E9により気筒数分の高圧インジェクタE6(E6a,E6b,E6c,E6d)に供給され、エンジン制御部CBからの指令に基づき、高圧インジェクタE6が作動して、高圧燃料がエンジンEの各シリンダE5室内に噴射供給され、各高圧インジェクタE6での余剰燃料(リターン燃料)は各リターン通路E10により共通のリターン通路E10aへ導かれ、このリターン通路E10aによって燃料タンクE3へ戻される。
また、コモンレールE1内の燃料圧力(コモンレール圧)を制御するため、燃料高圧ポンプE4に圧力制御弁E11が設けられており、この圧力制御弁E11はエンジン制御部CBからの信号によって、燃料高圧ポンプE4から燃料タンクE3への余剰燃料のリターン通路E10aの流路面積を調整するものであり、これによりコモンレールE1側への燃料供給量を調整してコモンレール圧を制御することができる。
具体的には、エンジンEの運転条件に応じて目標コモンレール圧を設定し、レール圧センサE2により検出されるコモンレール圧が目標コモンレール圧と一致するよう、圧力制御弁E11を介してコモンレール圧をフィードバック制御する構成としている。
なお、高圧インジェクタE6が燃料の供給を停止すると、エンジンEが停止する。
(動力伝達装置)
図3は本実施例の動力伝達装置の説明図である。
図3において、ミッションケース5内の動力伝達装置Dについて説明すると、エンジンEの出力軸20の回転が入力軸21に伝動され、この入力軸に固着の第1入力ギヤ22と第2入力ギヤ23がそれぞれ第1高・低クラッチ24の第1低速ギヤ26と第2高・低クラッチ25の第2低速ギヤ27及び第1高・低クラッチ24の第1高速ギヤ30と第2高・低クラッチ25の第2高速ギヤ31に噛み合って回転駆動するようになっている。
第1高・低クラッチ24と第2高・低クラッチ25は、同一の油圧多板クラッチで、それぞれ入力軸21の回転を同一減速比で高・低の二段に減速して第1クラッチ軸28と第2クラッチ軸29に伝動することになる。
低速伝動軸34と高速伝動軸32の回転がそれぞれ第1シンクロチェンジ42と第2シンクロチェンジ36に伝動され、第1シンクロ小ギヤ43と第2シンクロ小ギヤ37が第1伝動軸39の第5ギヤ40と噛みあい、第1シンクロ大ギヤ44と第2シンクロ大ギヤ38が第1伝動軸39の第6ギヤ41と噛み合って伝動する。これにより、第1入力軸21の回転が第1伝動軸39で低速4段と高速4段に変速されることになる。
ここまでの多段変速装置150で主変速部を構成し、操縦者が操作する主変速レバー(図示せず)の変速位置を読み取って、走行制御部CAで自動的に第1・第2高・低油圧多板クラッチ24,25と第1・第2シンクロチェンジ36,42を制御して低速4段と高速4段まで変速される。
第1伝動軸39は、第2伝動軸45に連結され、第2伝動軸45には、第7ギヤ46と第8ギヤ47が固着され、正逆クラッチ(クラッチ部材)48の正転クラッチギヤ49と逆転軸52の逆転ギヤ51に噛み合わされ、逆転ギヤ51が逆転クラッチギヤ50と噛み合っている。従って、正逆クラッチ48を正転クラッチギヤ49に繋ぐと、正転状態で正逆クラッチ48に連結の副変速軸53に伝動され、正逆クラッチ48を逆転クラッチギヤ50に繋ぐと、逆転状態で副変速軸53に伝動される。
副変速軸53には、第9ギヤ54と第10ギヤ55が固着され、それぞれ第3シンクロチェンジ58の第3シンクロ小ギヤ56と第3シンクロ大ギヤ59に噛み合っている。第3シンクロチェンジ58を第3シンクロ小ギヤ56側に繋ぐと、第9ギヤ54から第3シンクロ小ギヤ56に伝動した回転で第5伝動軸60が増速して高速で駆動され、第3シンクロチェンジ58を第3シンクロ大ギヤ59に繋ぐと、第10ギヤ55から第3シンクロ大ギヤ59に伝動した回転で第5伝動軸60が減速して中速で駆動される。
第3シンクロチェンジ58を中立にすると、第10ギヤ55の回転が第3シンクロ大ギヤ59に伝動され、第3シンクロ大ギヤ59側に固着の第11ギヤ57から第4シンクロ小ギヤ69に伝動されるようになっている。
第4シンクロチェンジ71を第4シンクロ小ギヤ69側に繋ぐと、第4シンクロ小ギヤ69の回転が第16ギヤ74の回転となって低速となり、第4シンクロチェンジ71を第4シンクロ大ギヤ72側に繋ぐと、第4シンクロ小ギヤ69の回転が第15ギヤ70から第17ギヤ75と第18ギヤ76と第4シンクロ大ギヤ72に伝動されて第16ギヤ74が超低速となる。
さらに、第16ギヤ74は、前記第5伝動軸60に固着の第12ギヤ61と噛み合って第5伝動軸60を駆動する。この第5伝動軸60の軸端に固着の第1ベベルギヤ62がリヤベベルギヤケース64の第2ベベルギヤ63と噛み合っていて、リヤベベルギヤケース64のベベル出力軸65から第13ギヤ66と第14ギヤ67を介して後輪出力軸68を回転して後輪3を駆動する。
また、第5伝動軸60には、第21ギヤ117が固着され、副変速軸53に軸支された第3筒軸119に固着の第22ギヤ118と第23ギヤ148を介して第1前輪駆動軸78の第19ギヤ77に伝動して、前記第5伝動軸60の低速16段と高速16段の回転が第1前輪駆動軸78に伝動されている。
この第1前輪駆動軸78から前輪増速クラッチ79を介して第2前輪駆動軸85に伝動し、第3前輪駆動軸86と第4前輪駆動軸87と前輪駆動ベベル軸88に引き継いで伝動し、前輪駆動ベベル軸88の軸端に固着の第1前ベベルギヤ89がフロントベベルケース90の第2フロントベベルギヤ115と噛み合っていて、フロントベベルケース90のフロントベベル出力軸91から第1フロントベベルギヤ92と前輪駆動軸116と第2ベベルギヤ組93を介して前輪出力軸94を回転して前輪2を駆動する。
前輪増速クラッチ(駆動切替クラッチ部材)79を前輪等速ギヤ82側に接続すると、第1前輪駆動軸78の回転駆動がそのまま第2前輪駆動軸85に伝達されて通常の4輪駆動となり、前輪増速クラッチ79を前輪増速ギヤ84側に接続すると、第1前輪駆動軸78の回転駆動が前輪等速ギヤ82から第一増速ギヤ81、第二増速ギヤ83を介して増速された回転が第2前輪駆動軸85に伝達されて前輪増速4輪駆動となる。さらに前輪増速クラッチ79を中立状態にすると、前輪4に動力は伝達されないため、後輪の2輪駆動となる。
前記第2入力ギヤ23にPTOメインクラッチ97のメインクラッチギヤ96を噛み合わせてPTOメインクラッチ97でPTO出力軸111への動力断続を行うようにしている。
第1PTO軸95には、PTO変速部157が設けられ、第1PTOギヤ98と第2PTOギヤ99と第5シンクロチェンジ151の第5シンクロ小ギヤ100と第5シンクロ大ギヤ101を装着し、第2PTO軸107には、第20ギヤ102と第24ギヤ152と第26ギヤ103と第25ギヤ153を固着し、カウンタ軸106にPTO逆転ギヤ105を軸支している。
第1PTOギヤ98をスライドして第20ギヤ102に噛み合わせると、第2PTO軸107が2速になり、第1PTOギヤ98をスライドして第2PTOギヤ99に係合すると、第1PTO軸95の回転が第2PTOギヤ99と第24ギヤ152を介して第2PTO軸107に伝わって4速となり、第5シンクロチェンジ151を第5シンクロ小ギヤ100に繋ぐと、第5シンクロ小ギヤ100から第26ギヤ103に伝動して1速となり、第5シンクロチェンジ151を第5シンクロ大ギヤ101に繋ぐと、第5シンクロ大ギヤ101から第25ギヤ153に伝動して3速となり、PTO逆転ギヤ105を第1PTOギヤ98と第20ギヤ102に噛み合わせると、第1PTO軸95の回転が第1PTOギヤ98からPTO逆転ギヤ105を経て第20ギヤ102に伝動されて第2PTO軸107に伝わって逆回転となる。
第2PTO軸107の回転は、第3PTO軸156を介して第4PTO軸108に伝動し、第1PTO出力ギヤ109と第2PTO出力ギヤ110でさらに減速してPTO出力軸111を駆動する。
(クラッチ部材)
図4は本実施例の正逆クラッチの断面図である。
図4において、正逆クラッチ(クラッチ部材)48では、正転クラッチギヤ49と一体になっているクラッチ軸48aは第二軸受B1及び第三軸受B2により副変速軸53に回動自在に支持されており、後部には複数の内側クラッチ板48bを有している。クラッチ軸48aの後部はクラッチケース48dで覆われており、クラッチケース48dの前部内側に固定されている押え板48eが複数の内側クラッチ板48bの前端の前方に位置している。
クラッチケース48d内部の内側には複数の外側クラッチ板48cが内側クラッチ板48bどうしの間に挟まれるように交互に配置されており、内側クラッチ板48bは内側に複数の歯を有しているためクラッチ軸48aと一体となって回転し、外側クラッチ板48cは外側に複数の歯を有しているためクラッチケース48dと一体となって回転する。
クラッチケース48dの内部でクラッチ軸48aの後部にはクラッチピストン48fを有し、ばね48gにより後方へ付勢されていて、クラッチピストン48fの後部は圧油が供給されるシリンダ部48hの空間がある。正逆クラッチ48はシリンダ部48hに圧油が供給され、その圧力がばね48gの弾性力を上回るとクラッチピストン48fが前進し、内側クラッチ板48bと外側クラッチ板48cを押え板48eとの間で挟圧する(すなわち、正逆クラッチ48が、エンジンEからの動力を伝達する伝達位置に移動している。)。挾圧された内側クラッチ板48bと外側クラッチ板48cは摩擦により互いに駆動力を伝達するようになり、正転クラッチギヤ49から伝達してきた駆動力がクラッチケース48dに伝達され、クラッチケース48dにスプライン嵌合している副変速軸53が回転する。
シリンダ部48hに圧油が供給されず、圧力がかかっていない状態では、クラッチピストン48fはばね48gの弾性力によって後方に押されるため、内側クラッチ板48bと外側クラッチ板48cは挾圧されない(すなわち、正逆クラッチ48が、エンジンEからの動力の伝達を遮断する遮断位置に移動している。)。この状態では内側クラッチ板48b及び外側クラッチ板48cは互いに駆動力を伝達しないので、正逆クラッチ48は動力伝達を遮断した状態となり、正転クラッチギヤ49が回転しても、副変速軸53は回転しない。
クラッチケース48dを挟んで反対側には逆転クラッチギヤ50が備えられ、同様の構成で後進側動力の伝達、遮断が行われる。
第1高・低クラッチ24、第2高・低クラッチ25、前輪増速クラッチ79も同様の構成のものが用いられており、PTOメインクラッチ97はこの片側半分の構成のものが用いられている。
(制動装置)
図3において、後輪3が支持された後輪出力軸68には、制動装置301が配置されている。制動装置301は、いわゆる、ディスクブレーキで構成されており、後述するブレーキシリンダの伸縮により、伸縮に応じたブレーキ圧で、制動装置301が後輪出力軸68を制動し後輪3を制動する。また、前記制動装置301は、ブレーキペダル(図示せず)にも連結されており、ブレーキペダルの踏み込み量に応じたブレーキ圧でも後輪3を制動する。なお、図3において、図示は省略しているが、リヤベベルギヤケース64からは、左右両輪3,3に対応して、左右一対のベベル出力軸65,65が伸びており、符号66〜68の部材が左右一対配置されている。すなわち、左右一対の後輪3,3は、それぞれの制動装置301,301で制動される。なお、ブレーキペダルやブレーキシリンダで制動装置301を作動させる構成は、従来公知であり、例えば、特開2004−114965号公報等に記載の構成を適用可能であるため、詳細な説明は省略する。
(油圧回路)
図5は本実施例のトラクタの油圧回路の説明図である。
図5において、エンジン動力により作動するメインポンプ250とサブポンプ251が、サクションフィルタ252を通してミッションケース5内の潤滑油を吸い上げ、油圧回路内に作動油として圧油を供給する。サブポンプ251からはパワーステアリング装置253に圧油が供給され、前輪2が操作される。パワーステアリング装置253から排出された作動油は、第1高・低クラッチ24、第2高・低クラッチ25、及び正逆クラッチ48の潤滑・冷却用の油として利用され、ミッションケース5内に戻される。
メインポンプ250からは作業機系油圧装置254と走行系油圧装置255に圧油が供給される。
走行系油圧装置255では、主変速レバー(図示せず)が1速に操作されると、第1主変速第1ソレノイド207に電流が流されてバルブが動き、第1主変速シリンダ256のLo側油室256Lから圧油が抜けて、第1シンクロチェンジ42が第1シンクロ小ギヤ43側に接続される。さらに、第1Lo側ソレノイド211aに電流が流されてバルブが動き、第1高・低クラッチ24の低速側の油室に圧油が供給され、第1低速ギヤ26側に接続される。
主変速レバー(図示せず)が1速から2速に操作されると、第1主変速第1ソレノイド207の状態は変わらず、第1シンクロチェンジ42が第1シンクロ小ギヤ43側に接続された状態で、第1Lo側ソレノイド211aの電流が停止して第1Hi側ソレノイド211bに電流が流されてそれぞれのバルブが動き、第1高・低クラッチ24の高速側の油室に圧油が供給され、第1高速ギヤ30側に接続される。
主変速レバー(図示せず)が2速から3速に操作されると、第1主変速第1ソレノイド207の電流が停止して、第2主変速第1ソレノイド209に電流が流され、第1シンクロチェンジ42の接続が切れて、第2シンクロチェンジ36が第2シンクロ小ギヤ37側に接続される。さらに、第1Hi側ソレノイド211bの電流が停止して第2Lo側ソレノイド212aに電流が流されてそれぞれのバルブが動き、第2高・低クラッチ25の低速側の油室に圧油が供給され、第2低速ギヤ27側に接続される。
以降同様に、4速では第2シンクロ小ギヤ37と第2高速ギヤ31、5速では第1シンクロ大ギヤ44と第1低速ギヤ26が、6速では第1シンクロ大ギヤ44と第1高速ギヤ30が、7速では第2シンクロ大ギヤ38と第2低速ギヤ27が、8速では第2シンクロ大ギヤ38と第2高速ギヤ31がそれぞれ接続されて主変速操作が行われる。
これらの変速時や車両の発進時には前後進クラッチ48の接続圧が調整されて、変速ショックや発進時のショックが抑えられる。前後進レバー11が前進または後進に操作されると、前後進レバー11の操作位置を前後進レバーセンサSN12が読み取って、前進切換ソレノイド141Fまたは後進切換ソレノイド141Rに電流が流されてバルブが動き、油路が選択される。比例ソレノイドである前後進昇圧ソレノイド142に流される電流の大きさにより前後進リリーフバルブ142aのリリーフ圧を決める流量が調節されることで、前後進油路142bの圧力を任意の圧力に調整できる構成となっている。
また、走行系油圧装置255では、左制動ソレノイド302Lに電流が流されると、バルブが動き左ブレーキシリンダ301Lに圧油が供給される。よって、左側の制動装置301が作動する。この際に、比例ソレノイドである制動圧ソレノイド303に流れる電流の大きさを変化させると、左ブレーキシリンダ301Lへの油圧の圧力が調整される。よって、左ブレーキシリンダ301Lの伸縮が調整され、左側の制動装置301のブレーキ圧が変更される。右側の制動装置301については、右制動ソレノイド302Rに電流が流され、右ブレーキシリンダ301Rに圧油が供給される点以外は、左側の制動装置301と同様である。なお、左右の両ソレノイド302L,302Rに電流が流されると、左右のブレーキシリンダ301L,301Rに圧油が供給され、左右の制動装置301,301が作動する。すなわち、左右の後輪3,3が制動される。
図6は図5の要部説明図である。
図6において、走行系油圧装置255の装置部分258では、駆動切替レバー(図示せず)の操作位置に応じて、4WDソレノイド213aや前輪増速ソレノイド213bに電流が流されてバルブが動き、油路が選択され、前輪増速クラッチ79の油室に圧油の供給等が行われる。すなわち、4WDソレノイド213aに電流が流され且つ前輪増速ソレノイド213bへの電流が停止された場合に、前輪増速クラッチ79が前輪等速ギヤ82側に接続される位置(本実施例の4輪駆動位置)に移動する。また、4WDソレノイド213aへの電流が停止され且つ前輪増速ソレノイド213bに電流が流された場合に、前輪増速クラッチ79が前輪増速ギヤ84側の位置に移動する。さらに、両ソレノイド213a,213bへの電流が停止された場合に前輪増速クラッチ79が2輪駆動位置に移動する。
また、前記装置部分258では、PTO入切スイッチSW1が入の場合に、PTOクラッチソレノイド214に電流が流され、PTOメインクラッチ97のシリンダ部に圧油が供給される。このとき、PTOメインクラッチ97はメインクラッチギヤ96と噛み合う位置に移動し、PTO軸111に動力が伝達される。
なお、図3において、シンクロチェンジ58、71、151は副変速レバー(図示せず)及びPTO変速レバーと機械的にリンクしており、油圧装置を介さずに作業開始前に直接手動操作される。また、作業系油圧装置254については、従来公知の構成を適用可能であるため、詳細な説明は省略する。
(作業車両の管理システム)
図7は作業車両の管理システムの全体説明図である。
図7において、作業車両の管理システムSは、前記トラクタ1を有する。前記トラクタ1のキャビン7のルーフ上面には、GPSアンテナを内蔵した通信ユニットU1が搭載されている。また、トラクタ1の車幅方向中央部において、キャビン7の前方部には前方カメラ311が支持されている。また、ボンネット6の前方部には、前方第2カメラ312が支持されている。さらに、キャビン7の後部には後方カメラ313が支持されている。また、キャビン7の左には左方カメラ314が支持されている。さらに、キャビン7の右には右方カメラ315が支持されている。各カメラ311〜315は向きを調節制御可能な支持部に支持されている。
作業車両の管理システムSでは、前記通信ユニットU1により、トラクタ1は、基地局S2と無線通信が可能であり、該基地局S2はトラクタ1の製造メーカなどが担当するサーバ管理者に管理されるサーバS3と通信可能である。さらに圃場などに設置される気象情報端末(図示せず)、土壌情報端末(図示せず)との通信が可能な構成であり、気温、湿度、日射量、土壌成分、土壌水分、土壌硬度などの気象・土壌情報を作業車両の管理システムSでは取得可能である。また、サーバS3はトラクタ1のユーザ、トラクタの製造メーカの営業所等にある端末S4と通信可能な構成である。本実施例の作業車両の管理システムSは、トラクタ1や、基地局S2、サーバS3、端末S4、タブレット端末TABなどで構成されている。
作業車両の管理システムSでは、トラクタ1内には車両の基礎情報として車両管理情報、車両運転情報、作業機基礎運転情報が記憶されている。前記車両管理情報の中には、例えば機種、型式、号機などの車両特定番号、車アワーメータ情報である稼働時間、GPSが提供する位置情報が含まれる。また、前記車両運転情報の中には、例えばエンジンオイル圧力、エンジン冷却水温、瞬間燃費、燃料残量、3P位置情報、走行変速位置、車両車速情報、PTO回転数、エンジン回転数などがある。さらに、前記作業機基礎運転情報の中には、例えば機種、型式、号機などの車両特定番号、農薬散布量(単位面積当たりの散布量)、農薬タンク残量、散布幅情報、収穫量情報などがある。
そして、作業車両の管理システムSでは、上記トラクタ1から入手する情報を収集してデータの分析・加工を行い、自動車・建設機械と同類の情報、農業機械特有の情報、農業特有の情報などを得る。ここで前記自動車・建設機械と同類の情報とは、例えば車両運転情報、稼働時間の収集、燃費の収集、故障情報などである。また、前記農業機械特有の情報とは、例えば作業機毎の稼働情報、作業機消費財情報、作業運転経路情報、作業機毎の車速情報などである。さらに、前記農業特有の情報とは、例えば圃場毎の気象情報、圃場毎の土壌情報などである。
また前記データの分析・加工により、自動車・建設機械と同類の情報、メンテナンス時期案内、燃費を節約するためのエコノミーな運転推奨案内などの情報を提供することができる。前記自動車・建設機械と同類の情報は、事故発生情報提供、盗難追跡情報提供などであり、前記メンテナンス時期案内は、故障修理の迅速対応、消耗部品時期案内などであり、前記燃費を節約するためのエコノミーな運転推奨案内は、圃場毎の気象情報、圃場毎の土壌情報等の提供である。
(機能ブロック図の説明)
図8は本実施例の作業車両の管理システムの機能ブロック図である。
図8において、実施例1の作業車両の管理システムSは、トラクタの制御部CA〜CCと、タブレット端末の端末制御部CD、サーバS3や端末S4の制御部(図示せず)等を有する。各制御部CA〜CDは、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェース(I/O)、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたROM(リードオンリーメモリ)、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU(中央演算処理装置)、ならびに発振器等を有する小型情報処理装置、いわゆる、マイクロコンピュータにより構成されており、前記ROMやRAM、不揮発性メモリ等の記憶部材に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
(トラクタの制御部)
トラクタの制御部CA〜CCは、いわゆる、ECU:Electronic Control Unitで構成されている。各制御部CA〜CCは、通信回線としてのCAN:Controller Area Networkで接続されており、互いにアクセス可能に構成されている。また、CANには、GPSの測位情報を受信したり外部と通信する通信ユニットU1や、トラクタ1のメータパネルPa1、操作パネルPa2が接続されており、各制御部CA〜CCと通信情報や操作情報などが送受信される。
(走行制御部CA)
走行制御部CAは、車速センサSN1、ハンドル切れ角センサSN2、加速度センサSN3、左右ブレーキ踏込センサSN4a、SN4b、前進クラッチ圧力センサSN11、前後進レバー位置センサSN12、主変速レバー位置センサSN13、副変速位置センサSN14、油温センサSN15、PTO回転センサSN16、PTO入り切りスイッチSW1、PTO自動・手動切替スイッチSW2、カメラ311〜315等の信号出力要素からの出力信号が入力されている。
ここで、本実施例において、制動検知部材の一例であり、車速検知部材の一例としての車速センサSN1は、車輪の一例としての後輪3の回転に基づいてトラクタ1の走行速度Vを検出する。本実施例の車速センサSN1は、図3において、第21ギヤ117の配置位置に対応して配置されており、単位時間に検出位置を通過するギヤの歯の通過回数を計測して走行速度Vを検出する。なお、車速センサSN1の配置位置はこれに限定されない。例えば、車速センサSN1は、第21ギヤ117に替えて第22ギヤ118の配置位置に対応させて配置するなど、第3シンクロチェンジ58と後輪3との間に配置されたギヤに対応して配置する構成が可能である。
また、制動検知部材の一例であり、加速度検知部材の一例としての加速度センサSN3は、トラクタ1の走行加速度Aを検出する。本実施例では、トラクタ1の前方を正とする走行加速度Aが検出される。よって、加速度センサSN3に負の走行加速度Aが検出されている場合、トラクタ1が減速されていることが検出される。
走行制御部CAは、ステアリングモータM1や、前進切替ソレノイド141F、後進切替ソレノイド141R、前後進昇圧ソレノイド142、第1主変速第1ソレノイド207、第1主変速第2ソレノイド208、第2主変速第1ソレノイド209、第2主変速第2ソレノイド210、第1Lo側ソレノイド211a、第1Hi側ソレノイド211b、第2Lo側ソレノイド212a、第2Hi側ソレノイド212b、4WDソレノイド213a、前輪増速ソレノイド213b、PTOクラッチソレノイド214、左制動ソレノイド302L、右制動ソレノイド302R、制動圧ソレノイド303、その他の図示しない制御要素に接続されている。
図9は図8の要部説明図であり各制御部の説明図である。
図9において、走行制御部CAは、前記信号出力要素からの出力信号等に応じた処理を実行して、前記制御要素等に制御信号を出力する機能を有している。すなわち、制御部CAは下記の機能手段を有している。
図10は本実施例の自律制御の説明図である。
自律制御手段CA1は、外付けGPSで測位されたトラクタ1の測位位置Tαや、作業案内経路(予定経路)R、予定走行速度、そして、トラクタの姿勢変化などに基づいて、エンジンEや、ステアリングモータM1、動力伝達装置Dなどを制御し、作業案内経路Rに沿ってトラクタ1を自動で走行させる。また、実施例1の自律制御手段CA1は、測位位置Tαと、予定作業位置と、に基づいて、作業予定経路Rに沿って作業機18に作業させる。なお、図10において、前記作業案内経路Rは、圃場Hの外形を規定する角位置Hα1,Hα2,Hα3,Hα4や、入出路P1の位置、作業起点P3の位置、車幅Wなどに基づいて、予め設定されている。
ここで、本実施例の自律制御手段CA1は、カメラ311〜315の撮像画像などに基づき、トラクタ1の走行方向に、人や動物などの障害物P2が存在しないか否かを検出する。自律制御手段CA1は、障害物P2を検出した場合には、トラクタ1を制動すると判断する。そして、障害物P2が検出されなくなると、走行を再開すると判断する。また、作業完了時に、トラクタ1を制動すると判断する。なお、トラクタ1などの作業車両を作業案内経路Rなどに基づいて、自律制御により走行作業させる構成は、従来公知であり、例えば、特開平10−66405号公報等に記載されている。よって、自律制御手段CA1の詳細な説明は省略する。
制動フラグFLは、初期値は「0」である。また、制動フラグFLは自律制御手段CA1が走行車体1aを制動すると判断すると「1」になる。さらに、制動フラグFLは、自律制御手段CA1が走行を再開すると判断すると「0」になる。
車速検知手段CA2は、走行車体1aの走行速度Vを検知する。本実施例では、車速センサSN1の検知結果に基づいて、走行車体1aの走行速度Vを検知する。なお、車速検知手段CA2は、車速センサSN1の検知結果に基づいて走行速度Vを検知するが、走行速度Vの検知方法はこれに限定されない。例えば、外付GPSで測位されたトラクタ1の測位位置に基づき、経過時間と、測位位置の時間変化と、に基づいて、走行速度Vを演算して検知する構成や、外付GPSで受信した測位信号のドップラー効果による周波数変化から走行速度Vを演算して検知する構成も可能である。
加速度検知手段CA3は、加速度センサSN3の検知結果に基づいて、走行車体1aの走行加速度Aを検知する。なお、本実施例では加速度センサSN3の検知結果に基づいて走行加速度Aを検知する構成を例示するが、これに限定されない。例えば、速度検知手段CA2で検知された走行速度Vの時間変化に基づき、経過時間と、走行速度Vの時間変化とに基づいて、走行加速度Aを演算して検知する構成も可能である。
制動制御手段の一例としての自律制動制御手段CA4は、制動時の駆動クラッチ制御手段CA4aと、制動速度の判別手段CA4bと、制動加速度の判別手段CA4cと、制動時のクラッチ制御手段CA4dと、制動装置の制御手段CA4eと、を有する。自律制動制御手段CA4は、正逆クラッチ48を遮断位置に移動させると共に、左右両方の制動装置301を作動させる。
制動時の駆動クラッチ制御手段CA4aは、走行車体1aを制動する場合に、前輪増速クラッチ79を前輪等速ギヤ82側に接続される位置(4輪駆動位置)に移動させる。本実施例では、制動時の駆動クラッチ制御手段CA4aは、制動フラグFLが「1」の場合に、4WDソレノイド213aを通電し、且つ、前輪増速ソレノイド213bを非通電(通電を遮断)とする。これにより、前輪増速クラッチ79を4輪駆動位置に移動させる。なお、図3において、本実施例の動力伝達装置Dでは、正逆クラッチ48よりも後輪3側に配置され且つ前輪増速クラッチ79よりも後輪3側に配置された軸やギヤにより、エンジンEの動力を後輪3に伝達する第1の伝達系が構成される。また、前輪増速クラッチ79よりも前輪2側に配置された軸やギヤにより、第1の伝達系に伝達された動力を前輪2に伝達する第2の伝達系が構成される。
制動速度の判別手段CA4bは、制動装置301を作動させた場合に、前記走行速度Vに基づいて走行車体1aが制動されたか否かを判別する。本実施例では、後輪3の回転に基づく走行速度Vが0か否かを判別する。すなわち、後輪3が停止したと判別された場合に制動されたと判別する。
制動加速度の判別手段CA4cは、制動装置301を作動させた場合に、加速度センサSN3の検知結果に基づいて走行車体1aが制動されたか否かを判別する。本実施例では、走行加速度Aが負の方向に予め設定された大きさ以上であるか否かを判別する。走行加速度Aが負の方向に予め設定された大きさ以上である場合には、走行車体1aが制動されたと判別する。
制動時のクラッチ制御手段CA4dは、初期制御手段CA4d1と、待機制御手段CA4d2と、を有する。制動時のクラッチ制御手段CA4dは、走行車体1aを制動する場合に、正逆クラッチ48の位置制御をする。
初期制御手段CA4d1は、走行車体1aを制動する場合に、正逆クラッチ48を遮断位置に移動させる。本実施例では、制動フラグFLが「1」であり且つ前輪増速クラッチ79が4輪駆動位置にある場合に、前進切替ソレノイド141Fと後進切替ソレノイド141Rとを非通電とする。これにより、正逆クラッチ48を遮断位置に移動させる。
待機制御手段CA4d2は、制動速度の判別手段CA4cの判別結果に基づいて、後輪3が停止していると判別された場合に、正逆クラッチ48を、伝達位置と遮断位置との間に設定された半クラッチ位置(半伝達位置)に移動させる。本実施例の待機制御手段CA4d2では、前進切替ソレノイド141Fを通電し、且つ、後進切替ソレノイド141Rを非通電とする。そして、待機制御手段CA4d2は、前後進昇圧ソレノイド142に、伝達位置に移動させる場合に比べて小さい予め設定された電流を流す。なお、上記構成に替えて、後進する場合には、前進切替ソレノイド141Fを非通電とし、且つ、後進切替ソレノイド141Rを通電とすることも可能である。
制動装置の制御手段CA4eは、走行車体1aを制動する場合に、左右の制動装置301を作動させる。本実施例の制動装置の制御手段CA4eは、制動フラグFLが「1」であり且つ正逆クラッチ48が遮断位置にある場合に、左右のソレノイド302L,302Rを通電し、且つ、制動圧ソレノイド303に予め設定された初期電流を流す。これにより、左右の制動装置301を予め設定された小さいブレーキ圧で作動させる。また、制動装置の制御手段CA4eは、制動装置301を作動させた後に、判別手段CA4b,CA4cにより制動されていないと判別された場合には、制動圧ソレノイド303に流れる電流を予め設定された量上昇させて、制動装置301のブレーキ圧を上昇させる。そして、前記制動装置の制御手段CA4eは、予め設定された上限電流になるまで、電流の上昇を繰り返して、ブレーキ圧を徐々に上昇させる。なお、電流の上昇途中で後輪3が停止したことが検出された場合には、前記制動装置の制御手段CA4eは、電流を上限電流に上昇させてブレーキ圧を最大にする。また、前記制動装置の制御手段CA4eは、制動フラグFLが「0」になった場合には、ソレノイド302L,302R,303を非通電とし、左右の制動装置301のブレーキを解除する。
告知手段CA5は、正逆クラッチ48や制動装置301などの制動する機構、いわゆる、ブレーキシステムに不具合が生じていることを告知する。本実施例の告知手段CA5では、判別手段CA4b,CA4cにより制動されていないと判別された場合であり、且つ、制動装置301のブレーキ圧が最大の場合に、トラクタ1に設けられたブザー(図示せず)を介して音をならす。また、告知手段CA5は、タブレット端末TABや、サーバS3などにブレーキシステムに異常が生じたことを告知する信号を送信する。
(エンジン制御部CB)
エンジン制御部CBは、アクセル操作位置検出センサSN21、エンジン回転センサSN22、エンジン水温センサSN23、レール圧センサE2、エンジンモード選択スイッチSW11等の信号出力要素からの出力信号が入力されている。
また、エンジン制御部CBは、燃料高圧ポンプE4や、高圧インジェクタE6a〜E6d、その他の図示しない制御要素に接続されている。
エンジン制御部CBは、前記信号出力要素からの出力信号等に応じた処理を実行して、前記制御要素等に制御信号を出力する機能を有している。本実施例のエンジン制御部CBは、走行作業時のエンジン制御手段CB1と、制動時のエンジン制御手段CB2とを有する。
走行作業時のエンジン制御手段CB1は、エンジンモード選択スイッチSW1で入力されたエンジンEの運転条件に応じて、目標コモンレール圧を設定し、レール圧センサE2により検出されるコモンレール圧が目標コモンレール圧と一致するよう、圧力制御弁E11を介してコモンレール圧をフィードバック制御する。なお、このような制御は従来公知であり、例えば、特開2013−24038号公報に記載の構成を適用可能であるため、詳細な説明は省略する。
制動時のエンジン制御手段CB2は、判別手段CA4b,CA4cの判別結果に基づいて走行車体1aが制動されていない場合に、エンジンEを停止させる。本実施例では、制動装置301のブレーキ圧が最大の場合において、走行車体1aが制動されていないと判別された場合に、全ての高圧インジェクタE6a〜E6dからの燃料の供給を停止する。これにより、エンジンEを停止させる。
(作業機昇降制御部CC)
作業機昇降制御部CCは、ポジションレバーセンサSN31、リフトアームセンサSN32、ドラフトセンサ33、作業機用コネクタCON等の信号出力要素からの出力信号が入力されている。
ここで、本実施例において、作業機用コネクタCONは、通信規格AG−PORTに対応して構成されている。作業機用コネクタCONには、ロータリ耕耘装置18などの作業機のコネクタが電気的に接続され、作業機の制御部に制御信号を送信したり、作業機を識別するID情報などを作業機から読み取る。
なお、ポジションレバーセンサSN31は、リフトアーム15,15を昇降操作するポジションレバー(図示せず)の操作位置を検出する。
作業機昇降制御部CCは、作業機上昇ソレノイド254aや、作業機下降ソレノイド254b、その他の図示しない制御要素に接続されている。
作業機昇降制御部CCは、前記信号出力要素や各制御部などからの出力信号に応じた処理を実行して、前記制御要素や各制御部等に制御信号を出力する機能を有している。本実施例の作業機昇降制御部CCは、作業機上昇ソレノイド254aと作業機下降ソレノイド254bの通電、非通電を制御する。これにより、油圧シリンダ14aへの圧油の供給、排出を行ない、リフトアーム15,15の昇降を制御する。
(タブレット端末の制御部)
図9において、タブレット端末TABの端末制御部CDは、タッチパネルTAB1や、電源ボタンや音量変更ボタン等の入力ボタンTAB2、トラクタ1の制御部CA〜CCやサーバS3等の信号出力要素からの出力信号が入力されている。
端末制御部CDは、タッチパネルTAB1や、スピーカTAB3、その他の図示しない制御要素に接続されている。端末制御部CDは、各制御要素へ、制御信号を出力している。
端末制御部CDは、前記信号出力要素からの入力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能を有している。本実施例の端末制御部CDは、基本ソフトウェアの一例としてのオペレーティングシステムOSや、アプリケーションソフトウェアの一例であって、処理手段の一例としての処理ソフトウェアAP1、その他の、図示しないアプリケーションソフトウェア(インターネットブラウザや文書作成ソフトウェア等)を有する。
本実施例の処理ソフトウェアAP1は、告知手段CA5による信号を受信した場合に、ブレーキシステムに不具合が生じたことをタッチパネルTAB1に表示する。また、処理ソフトウェアAP1は、告知手段CA5による信号を受信した場合に、スピーカTAB3を鳴らす。
(実施例1の流れ図の説明)
次に、実施例1の作業車両の管理システムにおける制御の流れを流れ図、いわゆるフローチャートを使用して説明する。
(制動制御処理のフローチャートの説明)
図11は制動制御処理のフローチャートの説明図である。
図11のフローチャートの各ステップSTの処理は、作業車両の管理システムSの制御部CA〜CDに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は作業車両の管理システムSの他の各種処理と並行して実行される。
図11に示すフローチャートはトラクタ1のキーオンにより開始される。
図11のST1において、自律制御が開始の入力があるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に進み、ノー(N)の場合はST1を繰り返す。
ST2において、自律制動するか否か、すなわち、制動フラグFLが「1」か否かを判別する。イエス(Y)の場合はST3に進み、ノー(N)の場合はST2を繰り返す。
ST3において、前輪増速クラッチ(駆動クラッチ部材)79が4輪駆動位置にあるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST5に進み、ノー(N)の場合はST4に進む。
ST4において、前輪増速クラッチ(駆動クラッチ部材)79を4輪駆動位置に移動させる。そして、ST5に進む。
ST5において、正逆クラッチ(クラッチ部材)48を遮断位置に移動させる。そして、ST6に進む。
ST6において、次の(1),(2)の処理を実行する。そして、ST7に進む。
(1)ブレーキ圧を所定の小さい圧力とする。
(2)制動装置301を作動させる。
ST7において、走行速度Vが0か否か、すなわち、車輪が停止されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST8に進み、ノー(N)の場合はST10に進む。
ST8において、ブレーキ圧を最大にする。そして、ST9に進む。
ST9において、正逆クラッチ(クラッチ部材)48を半クラッチ位置に移動させる。そして、ST13に進む。
ST10において、走行加速度Aが負の方向に所定以上の大きさか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST13に進み、ノー(N)の場合はST11に進む。
ST11において、ブレーキ圧が最大か否かを判別する。イエス(Y)の場合はST16に進み、ノー(N)の場合はST12に進む。
ST12において、ブレーキ圧を所定量上昇させる。そして、ST7に戻る。
ST13において、制動フラグFLが「0」か否かを判別する。イエス(Y)の場合はST14に進み、ノー(N)の場合はST7に戻る。
ST14において、制動装置301の作動を停止、すなわち、ブレーキを解除する。そして、ST15に進む。
ST15において、自律制御が終了か否かを判別する。イエス(Y)の場合はST1に戻り、ノー(N)の場合はST2に戻る。
ST16において、エンジンEを停止させる。そして、ST17に進む。
ST17において、異常を告知する。そして、制動制御処理を終了する。
前記構成を備えた本実施例の作業車両の管理システムSでは、トラクタ1は、図10に示すように、自律制御により作業案内経路Rに沿って圃場を走行する。この際に、トラクタ1が作業を完了した場合には、トラクタ1を制動して走行を停止させる。また、走行方向に障害物P2を検出した場合には、トラクタ1を制動して走行を停止させる。本実施例ではトラクタ1を制動して走行を停止させる場合には、正逆クラッチ48を遮断位置に移動させると共に、左右の制動装置301を作動させる。よって、エンジンEから車輪2〜3に動力が伝達されることが遮断されると共に、車輪2〜3が制動されて、トラクタ1が圃場に停止する。
ここで、従来は、制動装置の制御と、エンジンの制御と、を連動させていなかった。すなわち、クラッチ部材や制動装置などに不具合が生じていても、エンジンEは自動で停止しなかった。したがって、従来の構成では、クラッチ部材や制動装置などの制動する機構、いわゆる、ブレーキシステムに不具合が生じた場合には、トラクタ1が制動されず、圃場で停止せずに走行し続ける恐れがあった。よって、トラクタ1が障害物等に衝突する恐れがあるという問題がある。特に、自律制御の場合にはトラクタ1は無人で走行している場合が多い。よって、自律制御の場合には、作業者が強制的にエンジンE等を停止させることが困難な場合も多く、衝突などの問題が生じ易い。
これに対して、本実施例では、ブレーキシステムを作動させる際に、トラクタ1が制動されたか否かを判別している。そして、トラクタ1が制動されていない場合には、ブレーキシステムが正常に作動していないと判別して、エンジンEを停止させている。したがって、自動でエンジンを停止させない場合に比べて、本実施例では、ブレーキシステムに不具合が生じても、安全にトラクタ1を停止させ易くなっている。
また、本実施例では、トラクタ1を制動する場合には、2輪駆動であっても4輪駆動に切り替えた後に、ブレーキシステムを作動させている。よって、前輪2,2の動力の伝達系と後輪3,3の動力の伝達系とが噛み合って一体的に移動可能になった後に、後輪出力軸68,68が制動される。したがって、制動装置301,301によって後輪3,3が制動されると、動力伝達装置Dの伝達系を介して前輪2,2も制動される。よって、2輪駆動で後輪3,3のみを制動する場合に比べて、制動距離が短くなり易くなっている。
さらに、本実施例では、トラクタ1が制動された場合には、トラクタ1の走行停止中も制動装置301を作動させている。よって、圃場が傾斜している場合などに、トラクタ1が自重で移動することが抑制されている。
また、本実施例では、後輪3が停止した場合には、正逆クラッチ48を半クラッチ位置に移動させている。よって、半クラッチ位置に移動させない場合に比べて、再発進時に素早く動力を車輪に伝達することができる。また、傾斜した圃場などで制動装置301の制動が解除された場合に、トルクが不足してトラクタ1が走行方向と逆に自重で移動することが抑制されている。
なお、本実施例では、制動装置301のブレーキ圧は、制動時には徐々に上昇させている。よって、トラクタ1の移動速度が速い場合などに、一気にブレーキ圧を上昇させる構成に比べて、トラクタ1の急ブレーキ、急停止が抑制されている。よって、トラクタ1に搭乗者がいる場合や、タブレット端末などの物が置かれている場合には、搭乗者や物への衝撃が抑制され易くなっている。
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例を下記に例示する。
本実施例では、制動時に正逆クラッチ48を遮断位置に移動させる構成を例示したが、これに限定されない。例えば、正逆クラッチ48に替えて、第1高・低クラッチ24および第2高・低クラッチ25を遮断位置に移動させる構成が可能である。また、第1シンクロチェンジ42および第2シンクロチェンジ36を遮断位置に移動させる構成も可能である。
本実施例では、制動時に遮断位置に移動させるクラッチ部材として、正逆クラッチ48のみを移動させる構成を例示したがこれに限定されない。例えば、正逆クラッチ48と、第1高・低クラッチ24および第2高・低クラッチ25とを遮断位置に移動させるなど、複数の箇所で多段的に動力の伝達を遮断する構成も可能である。これにより、動力伝達装置Dにおいて1箇所で動力の伝達が遮断される構成に比べて、エンジンEからの動力が確実に遮断され易く、走行車体1aを安全に停止させ易くなっている。
本実施例では、走行制御部CAの処理に応じて、制動時のエンジン制御部CB2がエンジンEを停止させる構成を例示したが、これに限定されない。速度センサSN1や加速度センサSN3の出力信号をエンジン制御部CBに直接入力可能に構成して、エンジン制御部CBのみで、走行車体1aが制動されたか否かを判別し、エンジンEを停止させる構成が可能である。これにより、一方の制御部(ECU)に不具合が生じても、安全に走行車体1aが制動され易くなっている。
本実施例では、自律制御手段CA1が制動の要否を判断して、自律制御の場合においてブレーキシステムに不具合がある場合に、エンジンEを停止させる構成を例示したが、これに限定されない。例えば、有人操作の場合に本実施例の構成を適用することも可能である。例えば、図11において、ブレーキ踏込センサSN4a,SN4bにより、左右のブレーキペダル(図示せず)が踏み込まれたことが検出された場合に、制動フラグFLを「1」にし、左右のブレーキペダル(図示せず)の踏み込みが解除された場合に、制動フラグFLを「0」に制御することにより、有人操作の場合にも、ブレーキシステムの不具合に応じてエンジンEを自動的に停止させる構成が可能である。
本実施例では、左右の制動装置301を同時に制御する構成を例示したが、旋回時に一方のみの制動装置301を作動させる構成も可能である。
また、複数の車輪が設けられ、複数の車輪間に履帯が支持された作業車両に本実施例の構成を適用することも可能である。
なお、作業車両の管理システムSにおいて、各制御部CA〜CDが備える手段は、他の制御部CA〜CDが備える構成も可能であり、分散処理などが可能である。また、外部のサーバS3や端末S4などで処理した情報を各制御部CA〜CDに送信する構成も可能である。よって、例えば、サーバS3などでトラクタ1の自律制御させるための処理を行う構成も可能である。
1 トラクタ(作業車両) 1a 走行車体
2,2 前輪 3,3 後輪
4 エンジンルーム
5 トランスミッションケース 6 ボンネット
7 キャビン 8 運転座席
11 ステアリングハンドル 12 クラッチペダル
13 アクセルペダル 14 前後切替レバー
15 リフトアーム 16 ロワーリンク
17 リフトロッド
18 ロータリ耕耘装置 18a 耕耘部
18b メインカバー 18c リヤカバー
20 出力軸 21 入力軸
22 第1入力ギヤ 23 第2入力ギヤ
24 第1高・低クラッチ 25 第2高・低クラッチ
26 第1低速ギヤ 27 第2低速ギヤ
28 第1クラッチ軸 29 第2クラッチ軸
30 第1高速ギヤ 31 第2高速ギヤ
32 高速伝動軸 34 低速伝動軸
36 第2シンクロチェンジ 37 第2シンクロ小ギヤ
38 第2シンクロ大ギヤ 39 第1伝動軸
40 第5ギヤ 41 第6ギヤ
42 第1シンクロチェンジ 43 第1シンクロ小ギヤ
44 第1シンクロ大ギヤ 45 第2伝動軸
46 第7ギヤ 47 第8ギヤ
48 正逆クラッチ(クラッチ部材)
48a クラッチ軸 48b 内側クラッチ板
48c 外側クラッチ板 48d クラッチケース
48e 押え板 48f クラッチピストン
48g ばね 48h シリンダ部
49 正転クラッチギヤ
50 逆転クラッチギヤ 51 逆転ギヤ
52 逆転軸 53 副変速軸
54 第9ギヤ 55 第10ギヤ
56 第3シンクロ小ギヤ 57 第11ギヤ
58 第3シンクロチェンジ 59 第3シンクロ大ギヤ
60 第5伝動軸 61 第12ギヤ
62 第1ベベルギヤ 63 第2ベベルギヤ
64 リヤベベルギヤケース 65 ベベル出力軸
66 第13ギヤ 67 第14ギヤ
68 後輪出力軸 69 第4シンクロ小ギヤ
70 第15ギヤ 71 第4シンクロチェンジ
72 第4シンクロ大ギヤ
74 第16ギヤ 75 第17ギヤ
76 第18ギヤ 77 第19ギヤ
78 第1前輪駆動軸
79 前輪増速クラッチ(駆動切替クラッチ部材)
81 第一増速ギヤ 82 前輪等速ギヤ
83 第二増速ギヤ
84 前輪増速ギヤ 85 第2前輪駆動軸
86 第3前輪駆動軸 87 第4前輪駆動軸
88 前輪駆動ベベル軸 89 第1前ベベルギヤ
90 フロントベベルケース 91 フロントベベル出力軸
92 第1フロントベベルギヤ 93 第2ベベルギヤ組
95 第1PTO軸
96 メインクラッチギヤ 97 PTOメインクラッチ
98 第1PTOギヤ 99 第2PTOギヤ
100 第5シンクロ小ギヤ 101 第5シンクロ大ギヤ
102 第20ギヤ 103 第26ギヤ
105 PTO逆転ギヤ 106 カウンタ軸
107 第2PTO軸 108 第4PTO軸
109 第1PTO出力ギヤ 110 第2PTO出力ギヤ
111 PTO出力軸
115 第2フロントベベルギヤ 116 前輪駆動軸
117 第21ギヤ 119 第3筒軸
118 第22ギヤ
141F 前進切換ソレノイド 141R 後進切換ソレノイド
142 前後進昇圧ソレノイド 142a 前後進リリーフバルブ
142b 前後進油路 148 第23ギヤ
150 多段変速装置 151 第5シンクロチェンジ
152 第24ギヤ 153 第25ギヤ
156 第3PTO軸 157 PTO変速部
207 第1主変速第1ソレノイド
208 第1主変速第2ソレノイド
209 第2主変速第1ソレノイド
210 第2主変速第2ソレノイド
211a 第1Lo側ソレノイド 211b 第1Hi側ソレノイド
212a 第2Lo側ソレノイド 212b 第2Hi側ソレノイド
213a 4WDソレノイド 213b 前輪増速ソレノイド
214 PTOクラッチソレノイド
250 メインポンプ 251 サブポンプ
252 サクションフィルタ 253 パワーステアリング装置
254 作業機系油圧装置
254a メイン上昇ソレノイド 254b メイン下降ソレノイド
255 走行系油圧装置 256 第1主変速シリンダ
256L Lo側油室 258 装置部分
301 制動装置
301L 左ブレーキシリンダ 301R 右ブレーキシリンダ
302L 左制動ソレノイド 302R 右制動ソレノイド
303 制動圧ソレノイド
311 前方カメラ 312 前方第2カメラ
313 後方カメラ 314 左カメラ
315 右カメラ
A 加速度 AP1 処理ソフトウェア
B1 第二軸受 B2 第三軸受
CA 走行制御部 CA1 自律制御手段
CA2 車速検知手段 CA3 加速度検知手段
CA4 自律制動制御手段(制動制御手段)
CA4a 制動時の駆動クラッチ制御手段
CA4b 制動速度の判別手段(制動判別手段)
CA4c 制動加速度の判別手段(制動判別手段)
CA4d 制動時のクラッチ制御手段
CA4d1 初期制御手段 CA4d2 待機制御手段、
CA4e 制動装置の制御手段 CA5 告知手段
CB エンジン制御部 CB1 走行作業時のエンジン制御手段
CB2 制動時のエンジン制御手段
CC 作業機昇降制御部 CD 端末制御部
CON 作業機用コネクタ
D 動力伝達装置 E エンジン
E1 コモンレール E2 レール圧センサ
E3 燃料タンク E4 燃料高圧ポンプ
E5 シリンダ
E6(E6a,E6b,E6c,E6d) 高圧インジェクタ
E7 燃料フィルタ E8 吐出通路
E9 高圧燃料供給通路 E10 高圧燃料供給通路
E10a リターン通路 E11 圧力制御弁
FL 制動フラグ H 圃場
Hα1,Hα2,Hα3,Hα4 角位置
OS オペレーティングシステム
P1 入出路 P2 障害物
P3 作業起点 R 作業案内経路(予定経路)
S 作業車両の管理システム S2 基地局
S3 サーバ S4 端末
SN1 車速センサ SN2 ハンドル切れ角センサ
SN3 加速度センサ SN4a 左ブレーキ踏込センサ
SN4b 右ブレーキ踏込センサ SN11 前進クラッチ圧力センサ
SN12 前後進レバー位置センサ
SN13 主変速レバー位置センサ
SN14 副変速位置センサ SN15 油温センサ
SN16 PTO回転センサ SN21 アクセル位置検出センサ
SN22 エンジン回転センサ SN23 エンジン水温センサ
SN31 ポジションコントロールセンサ
SN32 リフトアームセンサ
SW1 PTO入り切りスイッチ
SW2 PTO自動・手動切替スイッチ
SW11 エンジンモード選択スイッチ
TAB タブレット端末 TAB1 タッチパネル
TAB2 入力ボタン TAB3 スピーカ
Tα トラクタの測位位置
M1 ステアリングモータ
U1 通信ユニット V 走行速度
W 車幅

Claims (2)

  1. 走行車体(1a)と、
    前記走行車体(1a)に支持されたエンジン(E)と、
    前記エンジン(E)の動力を車輪(2,3)に伝達する動力伝達装置(D)であって、前記エンジン(E)からの動力を伝達する伝達位置と、前記エンジン(E)からの動力の伝達を遮断する遮断位置と、の間を移動可能に支持されたクラッチ部材(48)を有する前記動力伝達装置(D)と、
    前記車輪(2,3)を制動する制動装置(301)と、
    予め設定された予定経路(R)に沿って前記走行車体(1a)を自律走行させる自律制御手段(CA1)と、
    前記走行車体(1a)の走行方向に、障害物(P2)が存在しないか否かを検出する手段(311〜315)と、
    前記障害物を検出する手段(311〜315)が障害物(P2)を検出した場合に、前記自律制御手段(CA1)により前記走行車体(1a)を制動する場合に、前記クラッチ部材(48)を前記遮断位置に移動させると共に、前記制動装置(301)を作動させる制動制御手段(CA4)と、
    前記制動装置(301)を作動させた場合に、前記走行車体(1a)が制動されたか否かを判別する制動判別手段(CA4b,CA4c)と、
    前記制動判別手段(CA4b,CA4c)の判別結果に基づいて前記走行車体(1a)が制動されていない場合に、前記エンジン(E)を停止させるエンジン制御手段(CB2)と、
    前記障害物を検出する手段(311〜315)で障害物(P2)が検出されて前記走行車体(1a)を制動した後に、障害物(P2)が検出されなくなると、前記走行車体(1a)の走行を再開させる前記自律制御手段(CA1)と、
    前記制動装置(301)に制動される前記車輪(2,3)の回転に基づいて前記走行車体(1a)の走行速度(V)を検知する車速検知手段(CA2)と、
    前記障害物を検出する手段(311〜315)で障害物(P2)が検出されて前記自律制御手段(CA1)により前記制動装置(301)を作動させた場合に、前記走行速度(V)に基づいて前記走行車体(1a)の前記車輪(2,3)が制動されたか否かを判別する制動判別手段(CA4b)と、
    前記制動判別手段(CA4b)の判別結果に基づいて、前記車輪(2,3)が制動されて停止したと判別された場合に、前記クラッチ部材(48)を、前記遮断位置から前記伝達位置と前記遮断位置との間に設定された半伝達位置に移動させ、次いで、前記自律制御手段(CA1)で走行車体(1a)の走行が再開された場合に前記制動装置(301)を解除する前記制動制御手段(CA4)と、
    を備えたことを特徴とするトラクタ
  2. 前記走行車体(1a)の前後の前記車輪(2,3)と、
    前記エンジン(E)の動力を後輪(3)に伝達する第1の伝達系と、前記第1の伝達系に伝達された動力を前輪(2)に伝達する第2の伝達系と、前記エンジン(E)から前記第1の伝達系への動力の伝達、遮断を切り替える前記クラッチ部材(48)と、前記第1の伝達系と前記第2の伝達系との間に配置され且つ、前記第1の伝達系から前記第2の伝達系に動力を伝達する4輪駆動位置と、前記第1の伝達系から前記第2の伝達系への動力の伝達を遮断する2輪駆動位置と、の間を移動可能に支持された駆動切替クラッチ部材(79)と、を有する前記動力伝達装置(D)と、
    前記後輪(3)を制動する前記制動装置(301)と、
    前記走行車体(1a)を制動する場合に、前記クラッチ部材(48)を前記遮断位置に移動させると共に、前記駆動切替クラッチ部材(79)を前記4輪駆動位置に移動させる前記制動制御手段(C4A)と、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載のトラクタ
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