5.詳細な説明
本明細書で開示されるのは、大腸菌抗原O25Bの構造、並びにO25Bの使用、O25Bを製造する方法及びO25Bを含むバイオコンジュゲートである。本出願人は、O25Bの産生に関与する大腸菌遺伝子クラスターを同定しており、O25B抗原の構造を完全に特徴付けている。従って、本明細書で提供されるのは、宿主細胞中でO25Bを産生することができる核酸である。本明細書でさらに提供されるのは、O25Bを産生することができる核酸を含む宿主細胞(例えば組換えにより操作された宿主細胞)である。そのような宿主細胞を使用して、担体タンパク質に結合しているO25Bを含むバイオコンジュゲートを生成することができ、このバイオコンジュゲートを例えば治療薬(例えばワクチン)の製剤化に使用することができる。本明細書に記載のO25B抗原は抗体の生成でも有用であり、この抗体を例えば対象の受動免疫化等の治療法で使用することができる。本明細書でさらに提供されるのは、治療法で使用するための、例えば大腸菌(例えば尿路病原性大腸菌)の感染に対する宿主のワクチン接種に使用するための、O25Bを単独で又はその他の大腸菌抗原(例えば、O1、O2及びO6並びにこれらの亜血清型)との組合せで含む組成物である。
5.1 核酸及びタンパク質
一態様では、本明細書で提供されるのは、O25Bの産生に関連する単離核酸であり、例えば大腸菌O25B rfbクラスターの1種以上のタンパク質をコードする核酸である。当業者は、遺伝暗号の縮重に起因して複数種の異なる核酸が特定のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードすることができることを十分認識しているであろう。そのため、当業者は、本明細書で提供される核酸を、この核酸によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列に影響を及ぼすことなく、この核酸の配列が本明細書で提供される配列と異なるように変更することができることを理解することができる。
ある具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌O25B rfbクラスターをコードする核酸である。ある具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌rfb(upec138)遺伝子クラスターをコードする核酸(配列番号12)である。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、配列番号12と約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一又は相同である遺伝子クラスターをコードする核酸である。Upec138は、O25B血清型の大腸菌株の一例である。現在では、この血清型に由来するその他の菌株を、本明細書に記載の方法に従って臨床分離株から容易に得ることができることを当業者は理解することができ、そのようなその他の菌株の例はupec177及びupec163である。従って、rfb遺伝子クラスター又はそのようなO25B株のそのようなクラスターに由来する個々の遺伝子が本明細書で述べられている場合は常に、その他のO25B株に由来する、対応する遺伝子クラスター又は遺伝子を含むことが意図されている。また、提供される配列を、rfb遺伝子クラスター又は必要に応じてそのようなその他の分離株に由来する個々の遺伝子の配列決定により見出すこともでき、遺伝子クラスター又は遺伝子として、相同のタンパク質をコードする相同配列が提供され得る。ある相同遺伝子クラスター又は相同遺伝子が、ある遺伝子クラスター又は遺伝子をある特定のパーセンテージと共に言及することにより述べられているあらゆる実施形態では、そのような相同配列は、言及された菌株又は配列に由来するタンパク質と同じ機能を有するタンパク質を好ましくはコードする。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌O25B rfbクラスターをコードする核酸である。ある具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌rfb(upec163)遺伝子クラスターをコードする核酸である。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌rfb(upec163)遺伝子クラスターと約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一又は相同である遺伝子クラスターをコードする核酸である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌O25B rfbクラスターをコードする核酸である。ある具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌rfb(upec177)遺伝子クラスターをコードする核酸である。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌rfb(upec177)遺伝子クラスターと約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一又は相同である遺伝子クラスターをコードする核酸である。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸である。
ある具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、大腸菌O25B rfbクラスターのrmlB遺伝子である配列番号1を含む、又はこの配列番号1からなる。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、配列番号1と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一又は相同である。
ある具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、大腸菌O25B rfbクラスターのrmlD遺伝子である配列番号2を含む、又はこの配列番号2からなる。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、配列番号2と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一又は相同である。
ある具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、大腸菌O25B rfbクラスターのrmlA遺伝子である配列番号3を含む、又はこの配列番号3からなる。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、配列番号3と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一又は相同である。
ある具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、大腸菌O25B rfbクラスターのrmlC遺伝子である配列番号4を含む、又はこの配列番号4からなる。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、配列番号4と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一又は相同である。
ある具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、大腸菌O25B rfbクラスターのwzx遺伝子である配列番号5を含む、又はこの配列番号5からなる。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、配列番号5と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一又は相同である。
ある具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、大腸菌O25B rfbクラスターのwekA遺伝子である配列番号6を含む、又はこの配列番号6からなる。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、配列番号6と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一又は相同である。
ある具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、大腸菌O25B rfbクラスターのwekB遺伝子である配列番号7を含む、又はこの配列番号7からなる。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、配列番号7と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一又は相同である。
ある具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、大腸菌O25B rfbクラスターのwzy遺伝子である配列番号8を含む、又はこの配列番号8からなる。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、配列番号8と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一又は相同である。
ある具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、大腸菌O25B rfbクラスターのwbbJ遺伝子である配列番号9を含む、又はこの配列番号9からなる。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、配列番号9と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一又は相同である。
ある具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、大腸菌O25B rfbクラスターのwbbK遺伝子である配列番号10を含む、又はこの配列番号10からなる。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、配列番号10と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一又は相同である。
ある具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、大腸菌O25B rfbクラスターのwbbL遺伝子である配列番号11を含む、又はこの配列番号11からなる。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される大腸菌O25B rfbクラスターのタンパク質をコードする核酸は、配列番号11と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一又は相同である。
別の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書で提供される核酸によりコードされたタンパク質である。ある具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、配列番号1によりコードされたdTDP-グルコース4,6-デヒドラターゼである。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、配列番号2によりコードされたdTDP-6-デオキシ-D-グルコース3,5-エピメラーゼである。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、配列番号3によりコードされたグルコース-1-リン酸チミジリルトランスフェラーゼである。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、配列番号4によりコードされたdTDP-4-デヒドロラムノース3,5-エピメラーゼである。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、配列番号5によりコードされたO抗原フリッパーゼである。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、配列番号6によりコードされたdTDP-Rha:Glc-Rha(Ac)-GlcNAc-UPPα-1,3-ラムノシルトランスフェラーゼである。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、配列番号7によりコードされたUDP-Glc:Glc-Rha(Ac)-GlcNAc-UPPβ-1,6-グルコシルトランスフェラーゼである。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、配列番号8によりコードされたO抗原ポリメラーゼである。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、配列番号9によりコードされたO-アセチルトランスフェラーゼである。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、配列番号10によりコードされたUDP-Glc:Rha-GlcNAc-UPPα-1,3-グルコシルトランスフェラーゼである。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、配列番号11によりコードされたdTDP-Rha:GlcNAc-UPPα-1,3-ラムノシルトランスフェラーゼである。
5.2 大腸菌O抗原
一態様では、本明細書で提供されるのは、O25血清型の、O1血清型の、O2血清型の及びO6血清型の単離大腸菌抗原である。
ある具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌株upec138に由来する単離O抗原である。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌株upec163に由来する単離O抗原である。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌株upec177に由来する単離O抗原である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、式O25B:
の単離大腸菌O25B抗原である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、式O25B':
の単離大腸菌O25B抗原である。
別の態様では、本明細書で提供されるのは、下記に示す式O25B:
(式中、nは、1から30、1から20、1から15、1から10、1から5、10から30、15から30、20から30、25から30、5から25、10から25、15から25、20から25、10から20又は15から20の間の整数である)
の単離高分子の集合物である。ある具体的な実施形態では、この集合物中の高分子の少なくとも80%のnが、1から30、1から20、1から15、1から10、1から5、10から30、15から30、20から30、25から30、5から25、10から25、15から25、20から25、10から20又は15から20の間である。
別の態様では、本明細書で提供されるのは、下記に示す式O25B':
(式中、nは、1から30、1から20、1から15、1から10、1から5、10から30、15から30、20から30、25から30、5から25、10から25、15から25、20から25、10から20又は15から20の間の整数である)
の単離高分子の集合物である。ある具体的な実施形態では、この集合物中の高分子の少なくとも80%のnが、1から30、1から20、1から15、1から10、1から5、10から30、15から30、20から30、25から30、5から25、10から25、15から25、20から25、10から20又は15から20の間である。
本明細書に記載の組成物(例えば治療用組成物、例えばワクチン、第5.6節を参照されたい)で有用なその他の大腸菌抗原として、O25A抗原並びにO1抗原、O2抗原及びO6抗原並びにこれらの亜血清型が挙げられる。
一実施形態では、(例えば単離型の又はバイオコンジュゲートの一部としての)O25A抗原は、(例えばO25B抗原(又はO25B抗原を含むバイオコンジュゲート)との組合せで)本明細書で提供される組成物で使用される。ある具体的な実施形態では、O25A抗原は、式O25A:
である。別の具体的な実施形態では、O25A抗原は式O25A':
である。
一実施形態では、(例えば単離型の又はバイオコンジュゲートの一部としての)O1A抗原は、(例えばO25B抗原(又はO25B抗原を含むバイオコンジュゲート)との組合せで)本明細書で提供される組成物で使用される。ある具体的な実施形態では、O1A抗原は、式O1A:
である。別の具体的な実施形態では、O1A抗原は式O1A':
である。
一実施形態では、(例えば単離型の又はバイオコンジュゲートの一部としての)O1B抗原は、(例えばO25B抗原(又はO25B抗原を含むバイオコンジュゲート)との組合せで)本明細書で提供される組成物で使用される。ある具体的な実施形態では、O1B抗原は、式O1B:
である。別の具体的な実施形態では、O1B抗原は式O1B':
である。
一実施形態では、(例えば単離型の又はバイオコンジュゲートの一部としての)O1C抗原は、(例えばO25B抗原(又はO25B抗原を含むバイオコンジュゲート)との組合せで)本明細書で提供される組成物で使用される。ある具体的な実施形態では、O1C抗原は、式O1C:
である。別の具体的な実施形態では、O1C抗原は式O1C':
である。
一実施形態では、(例えば単離型の又はバイオコンジュゲートの一部としての)O2抗原は、(例えばO25B抗原(又はO25B抗原を含むバイオコンジュゲート)との組合せで)本明細書で提供される組成物で使用される。ある具体的な実施形態では、O2抗原は、式O2:
である。別の具体的な実施形態では、O2抗原は式O2':
である。
一実施形態では、(例えば単離型の又はバイオコンジュゲートの一部としての)O6抗原は、(例えばO25B抗原(又はO25B抗原を含むバイオコンジュゲート)との組合せで)本明細書で提供される組成物で使用される。ある具体的な実施形態では、O6抗原は、式O6K2(本明細書においてO6Glcとも称される):
である。別の具体的な実施形態では、O6抗原は式O6K2'(本明細書においてO6Glc'とも称される):
である。別の具体的な実施形態では、O6抗原は式O6K54(本明細書においてO6GlcNAcとも称される):
である。別の具体的な実施形態では、O6抗原は式O6K54'(本明細書においてO6GlcNAc'とも称される):
である。
5.3 宿主細胞
本明細書で提供されるのは、大腸菌O抗原及びそのような大腸菌O抗原を含むバイオコンジュゲートを産生することができる宿主細胞(例えば原核宿主細胞)である。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される宿主細胞は、本明細書に記載の核酸の内の1種以上を(例えば天然に又は遺伝子操作により)含む。第5.1節を参照されたい。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される宿主細胞は、本明細書に記載の大腸菌O抗原の内の1種以上を産生する、及び/又は本明細書に記載の大腸菌O抗原の内の1種以上を含むバイオコンジュゲートを産生する。第5.2節を参照されたい。
一態様では、本明細書で提供されるのは、大腸菌O25Bである本明細書で開示される新規の多糖を産生することができる酵素(例えばグリコシルトランスフェラーゼ)をコードする核酸を含む原核宿主細胞である。本明細書でさらに提供されるのは、その他の大腸菌抗原(例えばO25A、O1、O2及びO6並びにこれらの亜血清型)を産生することができる酵素(例えばグリコシルトランスフェラーゼ)をコードする核酸を含む宿主細胞である(第5.2節を参照されたい)。本明細書で提供される宿主細胞は、目的のO抗原を産生することができる核酸を天然に発現することができる、又はこの宿主細胞を、そのような核酸を発現するように作ることができる。即ち、ある特定の実施形態では、前記核酸は宿主細胞に対して異種であり、当分野で既知の遺伝的アプローチを使用して宿主細胞中に導入されている。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される宿主細胞は、タンパク質のN-グリコシル化で活性な追加の酵素をコードする核酸を含み、例えば、本明細書で提供される宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸又はその他のグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸をさらに含むことができる。例えば第5.3.3節を参照されたい。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される宿主細胞は、担体タンパク質(例えばオリゴ糖及び多糖が結合してバイオコンジュゲートを形成することができるタンパク質)をコードする核酸を含む。例えば、担体タンパク質の説明に関しては第5.3.2節を、及びバイオコンジュゲートの説明に関しては第5.4節を参照されたい。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
Upec138は、O25B血清型に属すると本明細書で確認されている大腸菌株であり、この菌株(及び通常はO25B血清型の菌株)のrfb遺伝子クラスターは、O25Bである新規の大腸菌多糖を産生する遺伝子を含むと本明細書で初めて確認された。ある具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌rfb(upec138)遺伝子クラスター(配列番号12)又は配列番号12とおよそ若しくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である遺伝子クラスターを含む原核宿主細胞である。ある具体的な実施形態では、大腸菌rfb(upec138)遺伝子クラスター(配列番号12)は、遺伝子操作により宿主細胞に導入されている(例えば、この遺伝子クラスターはプラスミド上で発現される、又は宿主細胞のゲノムに組み込まれている(例えば国際特許出願第PCT/EP2013/068737号を参照されたい))。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列、即ちAsp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。別の具体的な実施形態では、rfbクラスターの遺伝子の一部又は全ては宿主細胞に対して異種である。別の具体的な実施形態では、前記オリゴサッカリルトランスフェラーゼは宿主細胞に対して異種である。別の具体的な実施形態では、前記担体タンパク質は宿主細胞に対して異種である。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
Upec163は、O25B血清型に属すると本明細書で確認されている大腸菌株であり、この菌株(及び通常はO25B血清型の菌株)のrfb遺伝子クラスターは、O25Bである新規の大腸菌多糖を産生する遺伝子を含むと本明細書で初めて確認された。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌rfb(upec163)遺伝子クラスター又は大腸菌rfb(upec163)遺伝子クラスターとおよそ若しくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である遺伝子クラスターを含む原核宿主細胞である。ある具体的な実施形態では、大腸菌rfb(upec163)遺伝子クラスターは、遺伝子操作により宿主細胞に導入されている(例えば、この遺伝子クラスターはプラスミド上で発現される、又は宿主細胞のゲノムに組み込まれている(例えば国際特許出願第PCT/EP2013/068737号を参照されたい))。別の実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列、即ちAsp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。別の具体的な実施形態では、rfbクラスターの遺伝子の一部又は全ては宿主細胞に対して異種である。別の具体的な実施形態では、前記オリゴサッカリルトランスフェラーゼは宿主細胞に対して異種である。別の具体的な実施形態では、前記担体タンパク質は宿主細胞に対して異種である。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
Upec177は、O25B血清型に属すると本明細書で確認されている大腸菌株であり、この菌株(及び通常はO25B血清型の菌株)のrfb遺伝子クラスターは、O25Bである新規の大腸菌多糖を産生する遺伝子を含むと本明細書で初めて確認された。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌rfb(upec177)遺伝子クラスター又は大腸菌rfb(upec177)遺伝子クラスターとおよそ若しくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である遺伝子クラスターを含む原核宿主細胞である。ある具体的な実施形態では、大腸菌rfb(upec177)遺伝子クラスターは、遺伝子操作により宿主細胞に導入されている(例えば、この遺伝子クラスターはプラスミド上で発現される、又は宿主細胞のゲノムに組み込まれている(例えば国際特許出願第PCT/EP2013/068737号を参照されたい))。別の実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列、即ちAsp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。別の具体的な実施形態では、rfbクラスターの遺伝子の一部又は全ては宿主細胞に対して異種である。別の具体的な実施形態では、前記オリゴサッカリルトランスフェラーゼは宿主細胞に対して異種である。別の具体的な実施形態では、前記担体タンパク質は宿主細胞に対して異種である。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25Bを産生する原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、前記宿主細胞は、rmlB、rmlD、rmlA、rmlC、wzx、wekA、wekB、wzy、wbbJ、wbbK及び/又はwbbLを含む。組換え法を使用して、そのような宿主細胞を、rmlB遺伝子、rmlD遺伝子、rmlA遺伝子、rmlC遺伝子、wzx遺伝子、wekA遺伝子、wekB遺伝子、wzy遺伝子、wbbJ遺伝子、wbbK遺伝子及び/又はwbbL遺伝子を含む1種以上のプラスミドを含むように操作することができる。ある特定の実施形態では、前記1種以上のプラスミドは宿主細胞のゲノムに組み込まれている。ある具体的な実施形態では、前記rmlBは、配列番号1を含む、若しくは配列番号1からなる、又は配列番号1と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である。ある具体的な実施形態では、前記rmlDは、配列番号2を含む、若しくは配列番号2からなる、又は配列番号2と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である。ある具体的な実施形態では、前記rmlAは、配列番号3を含む、若しくは配列番号3からなる、又は配列番号3と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である。ある具体的な実施形態では、前記rmlCは、配列番号4を含む、若しくは配列番号4からなる、又は配列番号4と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である。ある具体的な実施形態では、前記wzxは、配列番号5を含む、若しくは配列番号5からなる、又は配列番号5と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である。ある具体的な実施形態では、前記wekAは、配列番号6を含む、若しくは配列番号6からなる、又は配列番号6と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である。ある具体的な実施形態では、前記wekBは、配列番号7を含む、若しくは配列番号7からなる、又は配列番号7と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である。ある具体的な実施形態では、前記wzyは、配列番号8を含む、若しくは配列番号8からなる、又は配列番号8と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である。ある具体的な実施形態では、前記wbbJは、配列番号9を含む、若しくは配列番号9からなる、又は配列番号9と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である。ある具体的な実施形態では、前記wbbKは、配列番号10を含む、若しくは配列番号10からなる、又は配列番号10と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である。ある具体的な実施形態では、前記wbbLは、配列番号11を含む、若しくは配列番号11からなる、又は配列番号11と75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列、即ちAsp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、遺伝子rmlB、rmlD、rmlA、rmlC、wzx、wekA、wekB、wzy、wbbJ、wbbK及びwbbLの一部又は全ては宿主細胞に対して異種である。別の具体的な実施形態では、前記オリゴサッカリルトランスフェラーゼは宿主細胞に対して異種である。別の具体的な実施形態では、前記担体タンパク質は宿主細胞に対して異種である。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25Bを産生する原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、前記宿主細胞は、下記遺伝子(又は下記遺伝子の内の1種とおよそ若しくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同であり、好ましくは同じ機能を有するタンパク質をコードする核酸)の内の1種、2種、3種、4種又はより多くを含み、例えば全てを含む:rmlB(配列番号1)、rmlD(配列番号2)、rmlA(配列番号3)、rmlC(配列番号4)、wzx(配列番号5)、wekA(配列番号6)、wekB(配列番号7)、wzy(配列番号8)、wbbJ(配列番号9)、wbbK(配列番号10)及び/又はwbbL(配列番号11)。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、前記宿主細胞は、rmlBの核酸配列(配列番号1)を天然に含む、又はこの核酸配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、dTDP-グルコース4,6-デヒドラターゼ(例えばrmlBによりコードされるdTDP-グルコース4,6-デヒドラターゼ)をコードする核酸配列を天然に含む、又はこの核配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、配列番号1とおよそ又は少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である核酸を天然に含む、又はこの核酸を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、前記宿主細胞は、rmlDの核酸配列(配列番号2)を天然に含む、又はこの核酸配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、dTDP-6-デオキシ-D-グルコース3,5-エピメラーゼ(例えばrmlDによりコードされるdTDP-6-デオキシ-D-グルコース3,5-エピメラーゼ)をコードする核酸配列を天然に含む、又はこの核配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、配列番号2と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である核酸を天然に含む、又はこの核酸を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、前記宿主細胞は、rmlAの核酸配列(配列番号3)を天然に含む、又はこの核酸配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、グルコース-1-リン酸チミジリルトランスフェラーゼ(例えばrmlAによりコードされるグルコース-1-リン酸チミジリルトランスフェラーゼ)をコードする核酸配列を天然に含む、又はこの核配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、配列番号3と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である核酸を天然に含む、又はこの核酸を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、前記宿主細胞は、rmlCの核酸配列(配列番号4)を天然に含む、又はこの核酸配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、dTDP-4-デヒドロラムノース3,5-エピメラーゼ(例えばrmlCによりコードされるdTDP-4-デヒドロラムノース3,5-エピメラーゼ)をコードする核酸配列を天然に含む、又はこの核配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、配列番号4と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である核酸を天然に含む、又はこの核酸を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、前記宿主細胞は、wzxの核酸配列(配列番号5)を天然に含む、又はこの核酸配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、O抗原フリッパーゼ(例えばwzxによりコードされるO抗原フリッパーゼ)をコードする核配列を天然に含む、又はこの核酸配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、配列番号5と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である核酸を天然に含む、又はこの核酸を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、前記宿主細胞は、wekAの核酸配列(配列番号6)を天然に含む、又はこの核酸配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、ラムノシルトランスフェラーゼ(例えばwekAによりコードされるdTDP-Rha:Glc-Rha(Ac)-GlcNAc-UPPα-1,3-ラムノシルトランスフェラーゼ)をコードする核配列を天然に含む、又はこの核酸配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、配列番号6と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である核酸を天然に含む、又はこの核酸を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、前記宿主細胞は、wekBの核酸配列(配列番号7)を天然に含む、又はこの核酸配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、wekBグルコシルトランスフェラーゼ(例えばwekBによりコードされるUDP-Glc:Glc-Rha(Ac)-GlcNAc-UPPβ-1,6-グルコシルトランスフェラーゼ)をコードする核配列を天然に含む、又はこの核酸配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、配列番号7と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である核酸を天然に含む、又はこの核酸を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、前記宿主細胞は、wzyの核酸配列(配列番号8)を天然に含む、又はこの核酸配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、O抗原ポリメラーゼ(例えばwzyによりコードされるO抗原ポリメラーゼ)をコードする核配列を天然に含む、又はこの核酸配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、配列番号8と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である核酸を天然に含む、又はこの核酸を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、前記宿主細胞は、wbbJの核酸配列(配列番号9)を天然に含む、又はこの核酸配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、O-アセチルトランスフェラーゼ(例えばwbbJによりコードされるO-アセチルトランスフェラーゼ)をコードする核酸配列を天然に含む、又はこの核配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、配列番号9と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である核酸を天然に含む、又はこの核酸を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、前記宿主細胞は、wbbKの核酸配列(配列番号10)を天然に含む、又はこの核酸配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、グルコシルトランスフェラーゼ(例えばwbbKによりコードされるUDP-Glc:Rha-GlcNAc-UPPα-1,3-グルコシルトランスフェラーゼ)をコードする核酸配列を天然に含む、又はこの核配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、配列番号10と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である核酸を天然に含む、又はこの核酸を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、前記宿主細胞は、wbbLの核酸配列(配列番号11)を天然に含む、又はこの核酸配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、ラムノシルトランスフェラーゼ(例えばwbbLによりコードされるdTDP-Rha:GlcNAc-UPPα-1,3-ラムノシルトランスフェラーゼ)をコードする核酸配列を天然に含む、又はこの核配列を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞であり、前記宿主細胞は、配列番号11と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である核酸を天然に含む、又はこの核酸を含むように操作されている。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25B及び/又はO25Bバイオコンジュゲート(即ち、大腸菌O25B抗原に結合している担体タンパク質)を産生することができる原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、前記宿主細胞は、下記の内の少なくとも1種、2種、3種、4種又はより多くを(例えば全てを)天然に含む、又は含むように操作されている:(i)配列番号1と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一である核酸配列、(ii)配列番号2と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一である核酸配列、(iii)配列番号3と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一である核酸配列、(iv)配列番号4と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一である核酸配列、(v)配列番号5と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一である核酸配列、(vi)配列番号6と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一である核酸配列、(vii)配列番号7と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一である核酸配列、(viii)配列番号8と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一である核酸配列、(ix)配列番号9と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一である核酸配列、(x)配列番号10と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一である核酸配列、及び/又は(xi)配列番号11と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一である核酸配列。ある具体的な実施形態では、前記宿主細胞は前記各配列を含むように操作されており、即ち、前記配列は前記宿主細胞に対して異種である。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25Bを産生する原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、前記宿主細胞は、(i)wbbJ(配列番号9)、又は配列番号9とおよそ若しくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である核酸、(ii)wbbK(配列番号10)、又は配列番号10とおよそ若しくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である核酸、及び/又は(iii)wbbL(配列番号11)、又は配列番号11とおよそ若しくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である核酸の内の少なくとも2種を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25Bを産生する原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、前記宿主細胞は、(i)wbbJ(配列番号9)又は配列番号9とおよそ若しくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である核酸、(ii)wbbK(配列番号10)又は配列番号10とおよそ若しくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である核酸、及び(iii)wbbL(配列番号11)又は配列番号11とおよそ若しくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である核酸のそれぞれを含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25Bを産生する原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、前記宿主細胞は、(i)dTDP-グルコース4,6-デヒドラターゼ、(ii)dTDP-6-デオキシ-D-グルコース3,5-エピメラーゼ、(iii)グルコース-1-リン酸チミジリルトランスフェラーゼ、(iv)dTDP-4-デヒドロラムノース3,5-エピメラーゼ、(v)O抗原フリッパーゼ、(vi)dTDP-Rha:Glc-Rha(Ac)-GlcNAc-UPPα-1,3-ラムノシルトランスフェラーゼ、(vii)UDP-Glc:Glc-Rha(Ac)-GlcNAc-UPPβ-1,6-グルコシルトランスフェラーゼ、(viii)O抗原ポリメラーゼ、(ix)O-アセチルトランスフェラーゼ、(x)UDP-Glc:Rha-GlcNAc-UPPα-1,3-グルコシルトランスフェラーゼ、及び/又は(xi)dTDP-Rha:GlcNAc-UPPα-1,3-ラムノシルトランスフェラーゼを含む。ある具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列、即ちAsp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。別の具体的な実施形態では、(i)dTDP-グルコース4,6-デヒドラターゼ、(ii)dTDP-6-デオキシ-D-グルコース3,5-エピメラーゼ、(iii)グルコース-1-リン酸チミジリルトランスフェラーゼ、(iv)dTDP-4-デヒドロラムノース3,5-エピメラーゼ、(v)O抗原フリッパーゼ、(vi)dTDP-Rha:Glc-Rha(Ac)-GlcNAc-UPPα-1,3-ラムノシルトランスフェラーゼ、(vii)UDP-Glc:Glc-Rha(Ac)-GlcNAc-UPPβ-1,6-グルコシルトランスフェラーゼ、(viii)O抗原ポリメラーゼ、(ix)O-アセチルトランスフェラーゼ、(x)UDP-Glc:Rha-GlcNAc-UPPα-1,3-グルコシルトランスフェラーゼ、及び/又は(xi)dTDP-Rha:GlcNAc-UPPα-1,3-ラムノシルトランスフェラーゼの一部又は全ては、この宿主細胞に対して異種である。別の具体的な実施形態では、前記オリゴサッカリルトランスフェラーゼは、この宿主細胞に対して異種である。別の具体的な実施形態では、前記担体タンパク質は、この宿主細胞に対して異種である。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の態様では、本明細書で提供されるのは、大腸菌O25Aを産生する原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、即ち、前記宿主細胞は、大腸菌O25Aを合成できる酵素を含む(例えば図3を参照されたい)。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の態様では、本明細書で提供されるのは、大腸菌O1を産生する原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、即ち、前記宿主細胞は、大腸菌O1を合成できる酵素を含む(例えば図12を参照されたい)。ある具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌O1Aを産生する宿主細胞である。ある具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌O1Bを産生する宿主細胞である。ある具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌O1Cを産生する宿主細胞である。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の態様では、本明細書で提供されるのは、大腸菌O2を産生する原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、即ち、前記宿主細胞は、大腸菌O2を合成できる酵素を含む(例えば図19を参照されたい)。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
別の態様では、本明細書で提供されるのは、大腸菌O6を産生する原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)であり、即ち、前記宿主細胞は、大腸菌O6を合成できる酵素を含む(例えば図17を参照されたい)。ある具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、分枝しているGlc単糖を含む大腸菌O6又は分枝しているGlcNAc単糖を含むO6抗原を産生する宿主細胞である。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
本明細書でさらに提供されるのは、複数種の大腸菌O抗原を産生することができる原核宿主細胞(例えば、組換えにより操作された原核宿主細胞)である。ある具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、下記の内の少なくとも2種を産生することができる宿主細胞である:O25B、O25A、O1(例えばO1A、O1B、O1C)、O2及びO6。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25Bと、O25A、O1(例えばO1A、O1B、O1C)、O2及びO6の内の1種以上とを産生することができる宿主細胞である。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、この原核宿主細胞は、コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい)を含む担体タンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。ある具体的な実施形態では、この宿主細胞は大腸菌である。
5.3.1 遺伝的バックグラウンド
古細菌、原核宿主細胞及び真核宿主細胞等の当業者に既知の任意の宿主細胞を使用して、本明細書に記載の大腸菌O抗原(例えばO25B)及び本明細書に記載の大腸菌O抗原(例えばO25B)を含むバイオコンジュゲートを産生することができる。本明細書に記載の大腸菌O抗原及び本明細書に記載の大腸菌O抗原を含むバイオコンジュゲートの産生で使用する例示的な原核宿主細胞として、エスケリキア属種、シゲラ(Shigella)属種、クレブシエラ(Klebsiella)属種、キサントモナス(Xhantomonas)属種、サルモネラ(Salmonella)属種、エルシニア(Yersinia)属種、ラクトコッカス(Lactococcus)属種、ラクトバチルス(Lactobacillus)属種、シュードモナス属種、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属種、ストレプトマイセス(Streptomyces)属種、ストレプトコッカス(Streptococcus)属種、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属種、バチルス属種及びクロストリジウム(Clostridium)属種が挙げられるがこれらに限定されない。ある具体的な実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原及び本明細書に記載の大腸菌O抗原を含むバイオコンジュゲートを産生するために使用する宿主細胞は大腸菌である。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原及びバイオコンジュゲートを産生するために使用する宿主細胞は、異種核酸を含むように操作されており、例えば、1種以上の担体タンパク質をコードする異種核酸及び/又は1種以上のタンパク質をコードする異種核酸(例えば、1種以上のタンパク質をコードする遺伝子)を含むように操作されている。ある具体的な実施形態では、グリコシル化経路(例えば、原核生物の及び/又は真核生物のグリコシル化経路)に関与するタンパク質をコードする異種核酸を、本明細書に記載の宿主細胞中に導入することができる。そのような核酸は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ及び/又はグリコシルトランスフェラーゼが挙げられるがこれらに限定されないタンパク質をコードすることができる。当業者に既知の任意の方法(例えば、電気穿孔、熱ショックによる化学的形質転換、天然形質転換、ファージ形質導入及びコンジュゲーション)を使用して、異種核酸(例えば、担体タンパク質をコードする核酸及び/又はその他のタンパク質(例えばグリコシル化に関与するタンパク質)をコードする核酸)を、本明細書に記載の宿主細胞中に導入することができる。具体的な実施形態では、プラスミドを使用して異種核酸を本明細書に記載の宿主細胞中に導入し、例えば、この異種核酸は、プラスミド(例えば発現ベクター)により宿主細胞中で発現される。別の具体的な実施形態では、国際特許出願第PCT/EP2013/068737号に記載の挿入方法を使用して、異種核酸を本明細書に記載の宿主細胞中に導入する。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の宿主細胞中に、(例えば組換え技法を使用して)追加の改変を導入することができる。例えば、競合する可能性がある又は干渉する可能性があるグリコシル化経路(例えば、組換えにより宿主細胞中に導入されているグリコシル化に関与する1種以上の異種遺伝子と競合する又はこの異種遺伝子に干渉するグリコシル化経路)の一部を形成するタンパク質をコードする宿主細胞の核酸(例えば遺伝子)を、この核酸を不活性させる/機能不全にさせる(即ち、欠失した/改変された宿主細胞の核酸は、機能するタンパク質をコードしない、又はいかなるタンパク質もコードしない)ような方法で、宿主細胞バックグラウンド(ゲノム)中で欠失させることができる、又は改変することができる。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される宿主細胞のゲノムから核酸が欠失する場合、この核酸を所望の配列に置き換えることができ、例えば糖タンパク質の産生に有用である配列に置き換えることができる。
宿主細胞中で欠失させることができる(及び、ある場合にはその他の所望の核酸配列で置き換えることができる)例示的な遺伝子として、糖脂質生合成に関与する宿主細胞の遺伝子が挙げられ、例えば、waaL(例えばFeldmanら, 2005, PNAS USA 102:3016-3021を参照されたい)、リピドAコア生合成クラスター(waa)、ガラクトースクラスター(gal)、アラビノースクラスター(ara)、コロン酸(colonic acid)クラスター(wc)、莢膜多糖クラスター、ウンデカプレノール-p生合成遺伝子(例えばuppS、uppP)、und-Pリサイクリング遺伝子、ヌクレオチドにより活性化された糖生合成に関与する代謝酵素、腸内細菌の共通抗原クラスター、及びgtrABSクラスターのようなプロファージO抗原改変クラスターが挙げられる。ある具体的な実施形態では、本明細書に記載の宿主細胞は、この宿主細胞が、ExPECに由来する所望のO抗原(例えばO25B)以外のあらゆるO抗原を産生しないように改変される。ある具体的な実施形態では、waaL遺伝子、gtrA遺伝子、gtrB遺伝子、gtrS遺伝子又はrfb遺伝子クラスターの内の1種以上が本明細書で提供される原核宿主細胞のゲノムから欠失する、又は機能的に不活性化される。一実施形態では、本明細書で使用する宿主細胞は、O25B抗原を産生する大腸菌であって、waaL遺伝子、gtrA遺伝子、gtrB遺伝子及びgtrS遺伝子が宿主細胞のゲノムから欠失している又は機能的に不活性化されている大腸菌である。別の実施形態では、本明細書で使用する宿主細胞は、O25B抗原を産生する大腸菌であって、waaL遺伝子及びgtrS遺伝子が宿主細胞のゲノムから欠失している又は機能的に不活性化されている大腸菌である。
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される改変宿主細胞をタンパク質のグリコシル化に使用することができる。タンパク質のグリコシル化を、ワクチン製剤(例えば、大腸菌多糖抗原を含み、例えばO25(例えばO25B)、O1、O2及びO6を含むワクチン)に使用するバイオコンジュゲートを産生するように設計することができる。
5.3.2 担体タンパク質
コンジュゲートワクチン(例えば、ワクチンで使用するためのバイオコンジュゲート)の産生での使用に適したあらゆる担体タンパク質を本明細書で使用することができ、例えば、ExPEC抗原(例えばO25B)に結合している担体タンパク質を含むバイオコンジュゲートを産生するために、担体タンパク質をコードする核酸を、本明細書で提供される宿主中に導入することができる。例示的な担体タンパク質として、無毒化された緑膿菌外毒素A(EPA、例えばIhssenら, (2010) Microbial cell factories 9, 61を参照されたい)、CRM197、マルトース結合タンパク質(MBP)、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、無毒化された黄色ブドウ球菌溶血素A、クランピング因子A、クランピング因子B、大腸菌FimH、大腸菌FimHC、大腸菌易熱性エンテロトキシン、大腸菌易熱性エンテロトキシンの無毒化変異体、コレラ毒素Bサブユニット(CTB)、コレラ毒素、コレラ毒素の無毒化変異体、大腸菌Satタンパク質、大腸菌Satタンパク質のパッセンジャードメイン、肺炎連鎖球菌ニューモリシン及びその無毒化変異体、C.ジェジュニAcrA、並びにC.ジェジュニ天然糖タンパク質が挙げられるがこれらに限定されない。EPAの場合、タンパク質の様々な無毒化変異体が文献に記載されており、担体タンパク質として使用され得る。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のバイオコンジュゲートの生成で使用される担体タンパク質は改変されており、例えば、このタンパク質が低毒性であるように及び/又はグリコシル化の影響をより受けやすいように改変されている。ある具体的な実施形態では、本明細書に記載のバイオコンジュゲートの生成で使用される担体タンパク質は、バイオコンジュゲート形態で投与される(例えば免疫原性組成物で投与される)タンパク質の濃度をより低くすることを可能にするように、この担体タンパク質中のグリコシル化部位の数が最大化されるように改変されている。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の担体タンパク質は、この担体タンパク質と通常関連するのと比べて(例えば、未変性の/天然の状態での、例えば「野生型」状態での担体タンパク質と関連するグリコシル化部位の数と比較して)1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所又はより多くのグリコシル化部位を含むように改変されている。具体的な実施形態では、グリコシル化部位の導入は、タンパク質の一次構造のいずれかの箇所でのグリコシル化コンセンサス配列(例えば、Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)又はAsp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい))の挿入により達成される。そのようなグリコシル化部位の導入を、例えば、このタンパク質の一次構造に新たなアミノ酸を付加する(即ち、グリコシル化部位の全て若しくは一部が付加される)ことにより、又はこのタンパク質中に存在するアミノ酸を変異させてグリコシル化部位を生成する(即ち、このタンパク質にアミノ酸は付加されないが、このタンパク質の選択されたアミノ酸が変異されてグリコシル化部位が形成される)ことにより達成することができる。当業者は、当分野で既知のアプローチ(例えば、このタンパク質をコードする核酸配列の改変を含む組換えアプローチ)を使用して、タンパク質のアミノ酸配列を容易に改変することができることを認識することができる。具体的な実施形態では、グリコシル化コンセンサス配列は、担体タンパク質のN末端若しくはC末端で及び/又はこのタンパク質の基部でのジスルフィド架橋により安定化されるループで、このタンパク質の特定の領域(例えば、このタンパク質の表面構造)に導入される。ある特定の実施形態では、より効率的なグリコシル化のために、古典的な5個のアミノ酸のグリコシル化コンセンサス配列をリジン残基で伸長させることができ、挿入されたコンセンサス配列は、挿入すべき又はアクセプタータンパク質のアミノ酸を置換する5個、6個又は7個のアミノ酸をコードしてもよい。特定の一実施形態では、担体タンパク質は、4個のコンセンサスグリコシル化配列Asp/Glu-X-Asn-Z-Ser/Thr(配列番号15)を含む無毒化EPAであり、配列番号13で表されたアミノ酸配列を有する。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のバイオコンジュゲートの生成で使用される担体タンパク質は、「タグ」、即ち、この担体タンパク質の単離及び/又は同定を可能にするアミノ酸の配列を含む。例えば、本明細書に記載の担体タンパク質へのタグの付加は、このタンパク質の精製で有用であることができ、従って、タグが付加された担体タンパク質を含むコンジュゲートワクチンの精製で有用であり得る。本明細書で使用することができる例示的なタグとして、ヒスチジン(HIS)タグ(例えば、ヘキサヒスチジン-タグ又は6XHis-Tag)、FLAG-TAG及びHAタグが挙げられるがこれらに限定されない。ある特定の実施形態では、本明細書で使用されるタグは、このタグがもはや必要ない場合(例えばタンパク質が精製された後)に除去可能であり、例えば化学薬品により又は酵素的手段により除去される。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の担体タンパク質は、この担体タンパク質を、この担体タンパク質を発現する宿主細胞の細胞周辺腔へと標的化するシグナル配列を含む。ある具体的な実施形態では、このシグナル配列は、大腸菌DsbA、大腸菌外膜ポリンA(OmpA)、大腸菌マルトース結合タンパク質(MalE)、軟腐病菌ペクチン酸リアーゼ(PelB)、FlgI、NikA、又はバチルス種エンドキシラナーゼ(XynA)、易熱性大腸菌エンテロトキシンLTIIb、バチルスエンドキシラナーゼXynA、又は大腸菌フラジェリン(FlgI)に由来する。
5.3.3 グリコシル化機構
本明細書で提供される宿主細胞は、ExPEC由来のO抗原(例えばO25(例えばO25B)抗原、O1抗原、O2抗原及び/又はO6抗原)を産生することができる遺伝的機構(例えばグリコシルトランスフェラーゼ)をコードする核酸を含む、及び/又はこの核酸を含むように改変され得る。第5.1節を参照されたい。
グリコシルトランスフェラーゼ
本明細書で提供される宿主細胞は、ExPEC O抗原(例えば、血清型O25の大腸菌に由来するO抗原(例えばO25A又はO25B、図3Bを参照されたい)、血清型O1の大腸菌に由来するO抗原(図12を参照されたい)、血清型O2の大腸菌に由来するO抗原(図19を参照されたい)及び血清型O6(例えば、分枝しているGlc単糖を含むO6抗原又は分枝しているGlcNAc単糖を含むO6抗原を産生するO6血清型、図17を参照されたい)の大腸菌に由来するO抗原)を産生することができるグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を含む。例示的な核酸が第5.1節に記載されている。ある特定の実施形態では、ExPEC O抗原を産生することができるグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸の一部又は全てが、本明細書で提供される宿主細胞により天然に発現される(例えば、この核酸は、この宿主細胞の「野生型」バックグラウンド中に存在する)。ある特定の実施形態では、ExPEC O抗原を産生することができるグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸の一部又は全てが、本明細書で提供される宿主細胞により天然には発現されない。即ち、この核酸の一部又は全てが、この宿主細胞に対して異種である。当分野で既知の方法(例えば第5.3節に記載の方法)を使用して、宿主細胞を、特定の核酸(例えば第5.1節に記載の核酸)を含むように操作することができる。
ある具体的な実施形態では、本明細書で提供される宿主細胞は、O25B血清型の大腸菌O抗原(即ち、本明細書に記載のO25B抗原)を産生することができるグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を含む。ある具体的な実施形態では、前記核酸は、upec138(配列番号12)に由来するrfbクラスターをコードする、又は配列番号12とおよそ若しくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である遺伝子クラスターをコードする。
別の具体的な実施形態では、前記核酸は、upec163に由来するrfbクラスターをコードする、又はupec163に由来するrfbクラスターとおよそ若しくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である遺伝子クラスターをコードする。別の具体的な実施形態では、前記核酸は、upec177に由来するrfbクラスターをコードする、又はupec177に由来するrfbクラスターとおよそ若しくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一若しくは相同である遺伝子クラスターをコードする。
別の具体的な実施形態では、O25B血清型の大腸菌O抗原を産生することができるグリコシルトランスフェラーゼをコードする前記核酸はO25B血清型の遺伝子であり、前記遺伝子は、rmlB(配列番号1)、rmlD(配列番号2)、rmlA(配列番号3)、rmlC(配列番号4)、wzx(配列番号5)、wekA(配列番号6)、wekB(配列番号7)、wzy(配列番号8)、wbbJ(配列番号9)、wbbK(配列番号10)及びwbbL(配列番号11)である。表3及び表9を参照されたい。
ある具体的な実施形態では、本明細書で提供される宿主細胞は、O25A血清型の大腸菌O抗原(即ち、本明細書に記載のO25A抗原)を産生することができるタンパク質(例えばグリコシルトランスフェラーゼ)をコードする核酸を含む。別の具体的な実施形態では、O25A血清型の大腸菌O抗原を産生することができるタンパク質(例えばグリコシルトランスフェラーゼ)をコードする前記核酸はO25血清型の遺伝子であり、前記遺伝子は、rmlB、rmlD、rmlA、rmlC、wzx、wekA、wekB、wekC、wzy、fnlA、fnlB、fnlC、wbuB及び/又はwbuCである。Wangら(2010) J Clin Microbiol 48, 2066-2074、GenBank GU014554及び表2を参照されたい。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される宿主細胞は、O2血清型のO抗原大腸菌を産生することができるグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を含む。別の具体的な実施形態では、O2血清型の大腸菌O抗原を産生することができるグリコシルトランスフェラーゼをコードする前記核酸はO2血清型の遺伝子であり、前記遺伝子は、rmlB、rmlD、rmlA、rmlC、wzx、wekP、wekQ、wekR、wzy、fdtA、fdtB及び/又はfdtCである。Liら, (2010) J Microbiol Methods 82, 71-77、Fratamicoら, 2010, Canadian Journal of Microbiology 56, 308-316及び表5を参照されたい。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される宿主細胞は、O6血清型のO抗原大腸菌を産生することができるグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を含む。Welchら, 2002, PNAS USA 99(26):17020-17024、Jannら, Carbohydr. Res. 263 (1994) 217-225及びJanssonら, Carbohydr. Res. 131 (1984) 277-283を参照されたい。ある具体的な実施形態では、前記O6血清型は、分枝したGlc単糖を含む。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される宿主細胞は、O1血清型のO抗原大腸菌を産生することができるグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を含む。ある具体的な実施形態では、前記O1血清型はO1Aである。別の具体的な実施形態では、O1血清型の大腸菌O抗原を産生することができるグリコシルトランスフェラーゼをコードする前記核酸はO1血清型の遺伝子であり、前記遺伝子は、rmlB、rmlD、rmlA、rmlC、wzx、mnaA、wekM、wzy、wekN及び/又はwekOである。
オリゴサッカリルトランスフェラーゼ
オリゴサッカリルトランスフェラーゼは、脂質が結合しているオリゴ糖を、N-グリコシル化共通モチーフ(例えば、Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)又はAsp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)(WO2006/119987を参照されたい))を含む新生ポリペプチド鎖のアスパラギン残基へと転移させる。例えばWO2003/074687及びWO2006/119987を参照されたい。これらの開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される宿主細胞は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸を含む。オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸は、この宿主細胞を起源とすることができる、又は上記に記載したように、遺伝的アプローチを使用して、この宿主細胞中に導入され得る。オリゴサッカリルトランスフェラーゼは、当分野で既知のあらゆる供給源に由来することができる。ある具体的な実施形態では、オリゴサッカリルトランスフェラーゼは、カンピロバクター(Campylobacter)由来のオリゴサッカリルトランスフェラーゼである。別の具体的な実施形態では、オリゴサッカリルトランスフェラーゼは、カンピロバクター・ジェジュニ由来のオリゴサッカリルトランスフェラーゼ(即ちpglB、例えば、Wackerら, 2002, Science 298:1790-1793を参照されたい。また、例えばNCBI Gene ID: 3231775, UniProt Accession No. O86154も参照されたい)である。別の具体的な実施形態では、オリゴサッカリルトランスフェラーゼは、カンピロバクター・ラリ(Campylobacter lari)由来のオリゴサッカリルトランスフェラーゼ(例えばNCBI Gene ID: 7410986を参照されたい)である。
5.4 バイオコンジュゲート
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の宿主細胞を使用して、担体タンパク質に結合している本明細書に記載の大腸菌O抗原(例えばO25B、第5.2節を参照されたい)を含むバイオコンジュゲートを産生することができる。宿主細胞を使用してそのようなバイオコンジュゲートを産生する方法は当分野で既知である。例えばWO2003/074687及びWO2006/119987を参照されたい。
あるいは、糖コンジュゲートを化学合成により調製することができ、即ち宿主細胞の外で(in vitroで)調製することができる。例えば、当業者に既知の方法を使用して、例えば多糖/オリゴ糖中の反応基の活性化及び担体タンパク質を使用することにより、本明細書に記載の大腸菌O抗原(例えばO25B)を担体タンパク質にコンジュゲートさせることができる。例えばPawlowskiら, 2000, Vaccine 18:1873-1885及びRobbinsら, 2009, Proc Natl Acad Sci USA 106:7974-7978)を参照されたい。これらの開示は参照により本明細書に援用される。そのようなアプローチは、宿主細胞からの抗原性多糖/オリゴ糖の抽出、この多糖/オリゴ糖を精製すること、この多糖/オリゴ糖を化学的に活性化させること、及びこの多糖/オリゴ糖を担体タンパク質にコンジュゲートさせることを含む。
本明細書に記載したように、バイオコンジュゲートは糖コンジュゲートを超える有利な特性を有しており、例えば、バイオコンジュゲートは製造で必要な化学物質が少なく、生成される最終産物の点でより一貫している。そのため、バイオコンジュゲートは、化学的に作られた糖コンジュゲートよりも好ましい。
ある具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載のExPEC O抗原に結合している担体タンパク質を含むバイオコンジュゲートである。第5.2節を参照されたい。
ある具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌O25BにN結合した担体タンパク質(例えばEPA)を含むバイオコンジュゲートである。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、下記に示す式O25B:
(式中、nは、1から30、1から20、1から15、1から10、1から5、10から30、15から30、20から30、25から30、5から25、10から25、15から25、20から25、10から20又は15から20の間の整数である)
の化合物に結合している担体タンパク質(例えばEPA)を含むバイオコンジュゲートである。ある具体的な実施形態では、この担体タンパク質は式O25BのO抗原にN結合されている。即ち、O25Bは、配列Asn-X-Ser(Thr)(この配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質又はコンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)を含む担体タンパク質のAsn残基に結合されている。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、下記に示す式O25B':
(式中、nは、1から30、1から20、1から15、1から10、1から5、10から30、15から30、20から30、25から30、5から25、10から25、15から25、20から25、10から20又は15から20の間の整数である)
の化合物に結合している担体タンパク質(例えばEPA)を含むバイオコンジュゲートである。ある具体的な実施形態では、この担体タンパク質は式O25B'のO抗原にN結合されている。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O25A抗原に結合している担体タンパク質(例えばEPA)を含むバイオコンジュゲートである。ある具体的な実施形態では、前記O25A抗原は、式O25A:
又はO25A':
を含む。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O1抗原に結合している担体タンパク質(例えばEPA)を含むバイオコンジュゲートである。ある具体的な実施形態では、前記O1抗原はO1Aであり、例えば前記抗原は式O1A:
又はO1A':
を含む。別の具体的な実施形態では、前記O1抗原はO1Bであり、例えば前記抗原は式O1B:
又はO1B':
を含む。別の具体的な実施形態では、前記O1抗原はO1Cであり、例えば前記抗原は式O1C:
又はO1C':
を含む。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O2抗原に結合している担体タンパク質(例えばEPA)を含むバイオコンジュゲートである。ある具体的な実施形態では、前記O2抗原は、式O2:
又はO2':
を含む。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、O6抗原に結合している担体タンパク質(例えばEPA)を含むバイオコンジュゲートである。ある具体的な実施形態では、前記O6抗原は、式O6Glc:
、O6GlcNAc:
、O6Glc':
又はO6GlcNAc':
を含む。
本明細書に記載のバイオコンジュゲートを、当分野で既知のあらゆるタンパク質精製方法により精製することができ、例えば、クロマトグラフィー(例えばイオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフイー及びサイジングカラム(sizing column)クロマトグラフィー)、遠心分離、差分溶解性(differential solubility)により又はタンパク質の精製に関するあらゆるその他の標準的技法により精製することができる。例えばSaraswatら, 2013, Biomed. Res. Int. ID#312709 (p. 1-18)を参照されたい。また、WO2009/104074に記載の方法も参照されたい。さらに、このバイオコンジュゲートを本明細書に記載の異種ポリペプチド配列又は当分野で既知のその他のものと融合させて、精製を容易にすることができる。特定のバイオコンジュゲートを精製するために使用される実際の条件は、合成戦略(例えば、合成による作製対組換えによる作製)並びにバイオコンジュゲートの正味電荷、疎水性及び/又は親水性等の因子にある程度は依存し、また当業者には明らかであるだろう。
5.5 O25Bに対する抗体
本明細書に記載のO25B抗原(第5.2節を参照されたい)及び/又は本明細書に記載のO25B抗原を含むバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)を使用して、ExPECに対する中和抗体を誘導することができる。ある具体的な実施形態では、本明細書に記載のO25B抗原及び/又は本明細書に記載のO25B抗原を含むバイオコンジュゲートを対象(例えば、ヒト、マウス、ウサギ、ラット、モルモット等)に投与して、抗体の産生を含む免疫応答を誘導することができる。そのような抗体を、当業者に既知の技法(例えば、イムノアフィニティークロマトグラフィー、遠心分離、沈降等)を使用して単離することができる。
加えて、本明細書に記載のO25B抗原を使用して、抗体ライブラリーから抗体をスクリーニングすることができる。例えば、単離したO25Bを固体支持体(例えばシリカゲル、樹脂、誘導体化プラスチックフィルム(derivatized plastic film)、ガラスビーズ、綿、プラスチックビーズ、ポリスチレンビーズ、アルミナゲル又は多糖、磁気ビーズ)に固定して、抗体への結合に関してスクリーニングすることができる。代わりに、スクリーニングする抗体を固体支持体に固定して、O25Bへの結合に関してスクリーニングすることができる。パンニングアッセイ(panning assay)、ELISA、表面プラズモン共鳴又は当分野で既知のその他の抗体スクリーニングアッセイ等の任意のスクリーニングアッセイを使用して、O25Bに結合する抗体に関してスクリーニングすることができる。スクリーニングする抗体ライブラリーは、市販の抗体ライブラリー、in vitroで生成されたライブラリー、又はEXPECに感染した個体から抗体を同定してクローニングすることにより若しくはこの抗体を単離することにより得られたライブラリーであってもよい。抗体ライブラリーを、当分野で既知の方法に従って生成することができる。特定の実施形態では、抗体ライブラリーを、抗体をクローニングしてファージディスプレイライブラリー又はファージミドディスプレイライブラリー(phagemid display library)で使用することにより生成する。
O25B及び/又はO25Bのバイオコンジュゲートを使用して同定される又は誘導される抗体は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、即ち、O25Bに特異的に結合する抗原結合部位を含む分子を含むことができる。免疫グロブリン分子は、あらゆるタイプ(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又はサブクラスの免疫グロブリン分子であってもよい。抗体として、モノクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、単鎖Fv(scFv)、単鎖抗体、Fab断片、F(ab')断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)及び抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本明細書に記載の方法を使用して誘導される又は同定される抗体に対する抗Id抗体等)、並びに上記の内のいずれかのエピトープ結合断片が挙げられるがこれらに限定されない。ある具体的な実施形態では、O25B及び/又はO25Bのバイオコンジュゲートを使用して誘導される又は同定される抗体は、ヒトモノクローナル抗体又はヒト化モノクローナル抗体である。
O25B及び/又はO25Bのバイオコンジュゲートを使用して誘導された又は同定された抗体を使用して、治療の有効性及び/又は疾患の進行をモニタリングすることができる。この目的のために、当分野で既知の任意のイムノアッセイシステムを使用することができ、このイムノアッセイシステムとして、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ及び免疫電気泳動アッセイ等の技法を使用する競合アッセイシステム及び非競合アッセイシステムが挙げられるがこれらに限定されない。
O25B及び/又はO25Bのバイオコンジュゲートを使用して誘導された又は同定された抗体を使用して、例えば複数種の大腸菌株から大腸菌O25B株を検出することができる、及び/又は大腸菌O25B株の感染を診断することができる。
5.6 組成物
5.6.1 宿主細胞を含む組成物
一態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の宿主細胞を含む組成物である。そのような組成物を、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)を生成する方法で使用することができ、例えば、この組成物をタンパク質の産生に適した条件下で培養することができる。その後、当分野で既知の方法を使用して、前記組成物からバイオコンジュゲートを単離することができる。
本明細書で提供される宿主細胞を含む組成物は、本明細書に記載の宿主細胞の維持及び生存に適した追加成分を含むことができ、宿主細胞によるタンパク質の産生に必要な又は有益な追加成分(例えば、アラビノース、IPTG等の誘導性プロモーター用の誘導物質)をさらに含むことができる。
5.6.2 抗原及び/又はバイオコンジュゲートを含む組成物
別の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)の内の1種以上を含む組成物(例えば医薬組成物)及び本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)の内の1種以上を含む組成物(例えば医薬組成物)である。ある具体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物は、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)の内の1種以上を含む。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物は、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)の内の1種以上を含む。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物は、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)の内の1種以上及び本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)の内の1種以上を含む。本明細書に記載の組成物は、腸管外病原性大腸菌(ExPEC)の対象(例えばヒト対象)への感染の治療及び予防で有用である。第5.7節を参照されたい。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)及び/又は本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)の含有に加えて、本明細書に記載の組成物(例えば医薬組成物)は、薬学的に許容される担体を含む。本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容される」は、連邦政府若しくは州政府の規制機関により承認されていること又は米国薬局方若しくは動物(特にヒト)での使用に関するその他の一般に承認された薬局方に列挙されていることを意味する。用語「担体」は、本明細書において薬学的に許容される担体と関連して使用する場合、医薬組成物と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤又はビヒクルを意味する。生理食塩水及び水性デキストロース及びグリセロール溶液を液体担体として用いることもでき、特に注射液用の液体担体として用いることもできる。適切な賦形剤として、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセリン、プロピレン、グリコール、水、エタノール等が挙げられる。適切な医薬担体の例が、E.W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。
ある具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の抗原(例えば、第5.2節に記載のExPEC O抗原)に結合している担体タンパク質(例えば、第5.3.2節に記載の担体タンパク質)を含む組成物である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物は、大腸菌O25B(第5.2節を参照されたい)に結合している担体タンパク質(例えば、第5.3.2節に記載の担体タンパク質、例えばEPA又はMBP)を含む。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物は、大腸菌O25A(第5.2節を参照されたい)に結合している担体タンパク質(例えば、第5.3.2節に記載の担体タンパク質、例えばEPA又はMBP)を含む。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物は、大腸菌O1(第5.2節を参照されたい)に結合している担体タンパク質(例えば、第5.3.2節に記載の担体タンパク質、例えばEPA又はMBP)を含む。別の具体的な実施形態では、前記O1高分子はO1Aである。別の具体的な実施形態では、前記O1高分子はO1Bである。別の具体的な実施形態では、前記O1高分子はO1Cである。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物は、大腸菌O2(第5.2節を参照されたい)に結合している担体タンパク質(例えば、第5.3.2節に記載の担体タンパク質、例えばEPA又はMBP)を含む。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物は、大腸菌O6(第5.2節を参照されたい)に結合している担体タンパク質(例えば、第5.3.2節に記載の担体タンパク質、例えばEPA又はMBP)を含む。別の具体的な実施形態では、前記O6高分子は、分枝しているGlc単糖を含むO6高分子である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、(i)O25(例えばO25A若しくはO25B)高分子又はO25(例えばO25A若しくはO25B)を含むバイオコンジュゲート及び(ii)O1高分子又はO1を含むバイオコンジュゲートを含む組成物(例えば医薬組成物)である。第5.2節を参照されたい。ある具体的な実施形態では、前記O25高分子はO25B高分子である。別の具体的な実施形態では、前記O1高分子はO1Aである。別の具体的な実施形態では、前記O1高分子はO1Bである。別の具体的な実施形態では、前記O1高分子はO1Cである。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、(i)O25(例えばO25A若しくはO25B)高分子又はO25(例えばO25A若しくはO25B)を含むバイオコンジュゲート及び(ii)O2高分子又はO2を含むバイオコンジュゲートを含む組成物(例えば医薬組成物)である。第5.2節及び第5.4節を参照されたい。ある具体的な実施形態では、前記O25高分子はO25B高分子である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、(i)O25(例えばO25A若しくはO25B)高分子又はO25(例えばO25A若しくはO25B)を含むバイオコンジュゲート及び(ii)O6高分子(例えば、分枝しているGlc単糖若しくは分枝しているGlcNAc単糖を含むO6高分子)又はO6を含むバイオコンジュゲートを含む組成物(例えば医薬組成物)である。第5.2節及び第5.4節を参照されたい。ある具体的な実施形態では、前記O25高分子はO25B高分子である。別の具体的な実施形態では、前記O6高分子は、分枝しているGlc単糖を含むO6高分子である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌O25B(第5.2節を参照されたい)又はO25を含むバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)と、(i)大腸菌O1若しくはO1を含むバイオコンジュゲート(第5.2節及び第5.4節を参照されたい)、(ii)大腸菌O2若しくはO2を含むバイオコンジュゲート(第5.2節及び第5.4節を参照されたい)、並びに/又は(iii)大腸菌O6若しくはO6を含むバイオコンジュゲート(第5.2節及び第5.4節を参照されたい)の内の少なくとも1種とを含む組成物(例えば医薬組成物)である。別の具体的な実施形態では、前記O1はO1Aである。別の具体的な実施形態では、前記O1はO1Bである。別の具体的な実施形態では、前記O1はO1Cである。別の具体的な実施形態では、前記O6は、分枝しているGlc単糖を含むO6である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、(i)O25(例えばO25A若しくはO25B)高分子又はO25(例えばO25A若しくはO25B)を含むバイオコンジュゲート、(ii)O1高分子又はO1を含むバイオコンジュゲート、(iii)O2高分子又はO2を含むバイオコンジュゲート、及び/又は(iv)O6高分子(例えば、分枝しているGlc単糖若しくは分枝しているGlcNAc単糖を含むO6高分子)又はO6を含むバイオコンジュゲートの内の少なくとも2種を含む組成物(例えば医薬組成物)である。ある具体的な実施形態では、前記O25高分子はO25B高分子である。別の具体的な実施形態では、前記O1高分子はO1Aである。別の具体的な実施形態では、前記O1高分子はO1Bである。別の具体的な実施形態では、前記O1高分子はO1Cである。別の具体的な実施形態では、前記O6高分子は、分枝しているGlc単糖を含むO6高分子である。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌O25Bを含むバイオコンジュゲートと大腸菌O1Aを含むバイオコンジュゲートとを含む組成物(例えば医薬組成物)である。そのようなバイオコンジュゲートは第5.4節に記載されている。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌O25Bを含むバイオコンジュゲートと大腸菌O1Bを含むバイオコンジュゲートとを含む組成物(例えば医薬組成物)である。そのようなバイオコンジュゲートは第5.4節に記載されている。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌O25Bを含むバイオコンジュゲートと大腸菌O1Cを含むバイオコンジュゲートとを含む組成物(例えば医薬組成物)である。そのようなバイオコンジュゲートは第5.4節に記載されている。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌O25Bを含むバイオコンジュゲートと大腸菌O2を含むバイオコンジュゲートとを含む組成物(例えば医薬組成物)である。そのようなバイオコンジュゲートは第5.4節に記載されている。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、大腸菌O25Bを含むバイオコンジュゲートと大腸菌O6を含むバイオコンジュゲートとを含む組成物(例えば医薬組成物)である。そのようなバイオコンジュゲートは第5.4節に記載されている。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物は、大腸菌O25B(第5.2節を参照されたい)に結合している担体タンパク質(例えば、第5.3.2節に記載の担体タンパク質、例えばEPA又はMBP)、(ii)O1血清型の大腸菌O抗原(例えばO1A)(第5.2節を参照されたい)に結合している担体タンパク質(例えば、第5.3.2節に記載の担体タンパク質、例えばEPA又はMBP)、(iii)O2血清型の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)に結合している担体タンパク質(例えば、第5.1.2節に記載の担体タンパク質、例えばEPA又はMBP)、及び(iv)O6血清型の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)に結合している担体タンパク質(例えば、第5.3.2節に記載の担体タンパク質、例えばEPA又はMBP)を含む。
ある特定の実施形態では、上述の組成物は、O1、O2、O6又はO25以外の大腸菌血清型の大腸菌O抗原に結合している担体タンパク質(例えば、第5.3.2節に記載の担体タンパク質、例えばEPA又はMBP)を含む。その他の有用な大腸菌血清型が、例えば下記の実施例1及び表1に記載されている。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物はO25(例えばO25A又はO25B)高分子を含む。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物は、O1高分子(例えばO1A、O1B又はO1C)を含む。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物はO2高分子を含む。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物は、O6高分子(例えば、分枝しているGlc単糖又は分枝しているGlcNAc単糖を含むO6高分子)を含む。
別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される組成物は、O25(例えばO25A又はO25B)高分子、O1高分子、O2高分子、及びO6高分子(例えば、分枝しているGlc単糖又は分枝しているGlcNAc単糖を含むO6高分子)を含む。ある具体的な実施形態では、前記O25高分子はO25B高分子である。別の具体的な実施形態では、前記O1高分子はO1Aである。別の具体的な実施形態では、前記06高分子は、分枝しているGlc単糖を含むO6高分子である。
本明細書で提供される組成物を使用して、この組成物が投与される宿主中で免疫応答を誘導することができる。即ち、この組成物は免疫原性である。そのため、本明細書に記載の組成物をExPEC感染に対するワクチンとして使用することができ、又はExPEC感染の治療で使用することができ、医薬組成物として適宜製剤化することができる。第5.7節を参照されたい。
本明細書に記載のバイオコンジュゲート及び/又は高分子を含む組成物は、医薬品投与での使用に適したあらゆる追加成分を含むことができる。具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物は一価の製剤である。その他の実施形態では、本明細書に記載の組成物は多価の製剤であり、例えば二価、三価及び四価の製剤である。例えば、多価の製剤は、本明細書に記載の複数種のバイオコンジュゲート又は大腸菌O抗原を含む。大腸菌O抗原及びバイオコンジュゲートの説明に関して第5.2節及び第5.4節をそれぞれ参照されたい。ある具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物は、高分子又はバイオコンジュゲートを含む四価の製剤であり、前記価数は、O25B、O1A、O6及びO2血清型/亜血清型の大腸菌O抗原に由来する。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は保存剤(例えば水銀誘導体チメロサール(mercury derivative thimerosal))をさらに含む。ある具体的な実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は0.001%から0.01%のチメロサールを含む。その他の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は保存剤を含まない。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物(例えば免疫原性組成物)はアジュバントを含む、又はアジュバントとの組合せで投与される。本明細書に記載の組成物との組合せで投与されるアジュバントは、前記組成物の投与前に、この組成物の投与と同時に、又はこの組成物の投与後に投与され得る。一部の実施形態では、用語「アジュバント」は、本明細書に記載の組成物と同時に又はこの組成物の一部として投与された場合にはバイオコンジュゲートに対する免疫応答を増大させる、増強する、及び/又はブーストするが、単独で投与された場合にはバイオコンジュゲートに対する免疫応答を生じさせない化合物を意味する。一部の実施形態では、アジュバントは、ポリバイオコンジュゲートペプチドに対する免疫応答を生じさせ、アレルギー又はその他の有害反応を生じさせない。アジュバントは、例えばリンパ球の動員、B細胞及び/又はT細胞の刺激、並びにマクロファージの刺激を含むいくつかの機序により免疫応答を増強することができる。
アジュバントの具体例として、アルミニウム塩(ミョウバン)(例えば水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム及び硫酸アルミニウム)、3 De-O-アシル化モノホスホリルリピドA(MPL)(英国特許GB2220211を参照されたい)、MF59(Novartis)、AS03(GlaxoSmithKline)、AS04(GlaxoSmithKline)、ポリソルベート80(Tween 80、ICL Americas, Inc.)、イミダゾピリジン化合物(国際公開WO2007/109812として公開された国際出願第PCT/US2007/064857号を参照されたい)、イミダゾキノキサリン化合物(国際公開WO2007/109813として公開された国際出願第PCT/US2007/064858号を参照されたい)、及びQS21等のサポニン(Kensilら, in Vaccine Design: The Subunit and Adjuvant Approach(編Powell & Newman, Plenum Press, NY, 1995)、米国特許第5,057,540号を参照されたい)が挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、アジュバントはフロイントアジュバント(完全又は不完全)である。その他のアジュバントは、モノホスホリルリピドA等の免疫刺激剤と任意選択で組み合わされた水中油型エマルション(例えばスクアレン又はピーナッツ油)である(Stouteら, N. Engl. J. Med. 336, 86-91 (1997)を参照されたい)。別のアジュバントはCpGである(Bioworld Today, Nov. 15, 1998)。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、対象への意図した投与経路に適するように製剤化される。例えば、本明細書に記載の組成物を、皮下投与、非経口投与、経口投与、皮内投与、経皮投与、結腸直腸投与、腹腔内投与及び直腸投与に適するように製剤化することができる。ある具体的な実施形態では、医薬組成物を、静脈内投与用に、経口投与用に、腹腔内投与用に、経鼻投与用に、気管内投与用に、皮下投与用に、筋肉内投与用に、局所投与用に、皮内投与用に、経皮投与用に又は経肺投与用に製剤化することができる。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、1種以上の緩衝液(例えばリン酸緩衝液及びリン酸グルタミン酸スクロース(sucrose phosphate glutamate)緩衝液)をさらに含む。その他の実施形態では、本明細書に記載の組成物は緩衝液を含まない。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、1種以上の塩類(例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、グルタミン酸一ナトリウム、及びアルミニウム塩(例えば水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)又はそのようなアルミニウム塩の混合物))をさらに含む。その他の実施形態では、本明細書に記載の組成物は塩類を含まない。
本明細書に記載の組成物は、投与の指示書と一緒に容器中に、パック中に又はディスペンサー中に含有され得る。
本明細書に記載の組成物を使用前に保存することができ、例えば、この組成物を(例えば約-20℃で又は約-70℃で)冷凍保存することができる、冷蔵状態で(例えば約4℃で)保存することができる、又は室温で保存することができる。
5.7 予防的使用及び治療的使用
本明細書で提供されるのは、対象において腸管外大腸菌(ExPEC)感染を治療及び予防する方法であって、対象に、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与することを含む方法である。ある具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を、ExPECの対象(例えばヒト対象)への感染の予防で使用する。即ち、本明細書に記載の組成物を使用して、対象にExPEC感染に対するワクチンを接種する。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を、ExPECに感染している対象の治療に使用する。
本明細書でさらに提供されるのは、対象においてExPECに対する免疫応答を誘導する方法であって、対象に、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与することを含む方法である。一実施形態では、前記対象は、投与時にExPECに感染している。別の実施形態では、前記対象は、投与時にExPECに感染していない。
本発明でさらに提供されるのは、対象においてExPECに対するオプソニン作用抗体の産生を誘導する方法であって、対象に、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与することを含む方法である。一実施形態では、前記対象は、投与時にExPECに感染している。別の実施形態では、前記対象は、投与時にExPECに感染していない。
ある具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、対象において大腸菌(例えばExPEC)感染を予防する方法であって、それを必要とする対象に、第5.6.2節に記載の組成物の有効量を投与することを含む方法である。本明細書で提供される、対象においてExPEC感染を予防する方法は、対象に第5.6.2節に記載の組成物を投与することを含み、対象における免疫応答の誘導をもたらす。本明細書に記載の、対象において免疫応答を誘導する方法は、対象へのExPEC株(このO抗原が組成物中に存在する)の感染に対するワクチン接種をもたらすことを当業者は理解することができる。
ある具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、対象において大腸菌(例えばExPEC)感染を治療する方法であって、それを必要とする対象に、第5.6.2節に記載の組成物の有効量を投与することを含む方法である。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)により誘導される免疫応答は、ExPECのあらゆる血清型、亜血清型又は菌株により引き起こされるExPEC感染の予防及び/又は治療に有効である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)により誘導される免疫応答は、ExPECの複数種の血清型により引き起こされるExPEC感染の予防及び/又は治療に有効である。
ある具体的な実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)により誘導される免疫応答は、O25血清型の大腸菌により引き起こされる感染の予防及び/又は治療に有効である。ある具体的な実施形態では、前記O25血清型はO25Bである。ある具体的な実施形態では、前記O25血清型はO25Aである。
ある具体的な実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)により誘導される免疫応答は、O1血清型の大腸菌により引き起こされる感染の予防及び/又は治療に有効である。ある具体的な実施形態では、前記O1血清型はO1Aである。別の具体的な実施形態では、前記O1血清型はO1Bである。別の具体的な実施形態では、前記O1血清型はO1Cである。
ある具体的な実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)により誘導される免疫応答は、O2血清型の大腸菌により引き起こされる感染の予防及び/又は治療に有効である。
ある具体的な実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)により誘導される免疫応答は、O6血清型の大腸菌により引き起こされる感染の予防及び/又は治療に有効である。
ある具体的な実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)により誘導される免疫応答は、下記の大腸菌血清型:O25(例えばO25B及びO25A)、O1(例えばO1A、O1B及びO1C)、O2並びに/又はO6の内の2種以上により引き起こされる感染の予防及び/又は治療に有効である。
ある具体的な実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)により誘導される免疫応答は、下記の大腸菌血清型:O25(例えばO25B及びO25A)、O1(例えばO1A、O1B及びO1C)、O2並びにO6それぞれにより引き起こされる感染の予防及び/又は治療に有効である。
ExPECに感染している対象を治療するために、又はExPEC感染に対して対象を免疫化するために、本明細書に記載の単一の組成物を対象に投与することができ、前記組成物は、本明細書に記載の1種、2種、3種、4種又はより多くの大腸菌抗原を含む。第5.2節を参照されたい。あるいは、ExPECに感染している対象を治療するために、又はExPEC感染に対して対象を免疫化するために、本明細書に記載の複数種のバイオコンジュゲートを対象に投与することができ、例えば、第5.4節に記載の2種、3種、4種又はより多くのバイオコンジュゲートを対象に投与することができる。あるいは、ExPECに感染している対象を治療するために、又はExPEC感染に対して対象を免疫化するために、本明細書に記載の複数種の組成物を対象に投与することができ、例えば、第5.6.2節に記載の2種、3種、4種又はより多くの組成物を対象に投与することができる。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)の投与後に対象において誘導される免疫応答は、ExPEC感染により生じる症状を軽減するのに有効である。ExPEC感染の症状は感染の性質に応じて多種多様であることができ、この症状として、(例えば、ExPECにより引き起こされる尿路感染症を有する対象における)排尿障害、頻尿若しくは尿意切迫の増加、膿尿、血尿、背部痛、排尿時の疼痛、発熱、悪寒及び/又は悪心;(例えば、ExPECにより引き起こされる髄膜炎を有する対象における)高熱、頭痛、肩こり、悪心、嘔吐、発作、眠気及び/又は光感受性;(例えば、ExPECにより引き起こされる敗血症を有する対象における)発熱、心拍数の増加、呼吸数の増加、尿量の減少、血小板数の減少、腹痛、呼吸困難及び/又は心機能の異常を挙げることができるがこれらに限定されない。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)の投与後に対象において誘導される免疫応答は、ExPEC感染を患う対象の入院の可能性を低減するのに有効である。一部の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)の投与後に対象において誘導される免疫応答は、ExPEC感染を患う対象の入院期間を短縮するのに有効である。
別の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の抗体(即ち、本明細書に記載の抗O25B抗体)の投与により、O25B血清型の大腸菌により引き起こされる対象のExPEC感染を予防する及び/又は治療する方法である。特定の実施形態では、この中和抗体はモノクローナル抗体である。
5.7.1 併用療法
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を、1種以上のその他の治療薬(例えば抗菌治療薬又は免疫調節治療薬)との組合せで対象に投与する。この1種以上のその他の治療薬は、ExPEC感染の治療若しくは予防で有利である得る、又はExPEC感染に関連する症状若しくは状態を寛解させることができる。一部の実施形態では、この1種以上のその他の治療薬は鎮痛薬又は抗発熱薬である。ある特定の実施形態では、この治療薬を、5分未満の間隔で、30分未満の間隔で、1時間の間隔で、約1時間の間隔で、約1から約2時間の間隔で、約2時間から約3時間の間隔で、約3時間から約4時間の間隔で、約4時間から約5時間の間隔で、約5時間から約6時間の間隔で、約6時間から約7時間の間隔で、約7時間から約8時間の間隔で、約8時間から約9時間の間隔で、約9時間から約10時間の間隔で、約10時間から約11時間の間隔で、約11時間から約12時間の間隔で、約12時間から18時間の間隔で、18時間から24時間の間隔で、24時間から36時間の間隔で、36時間から48時間の間隔で、48時間から52時間の間隔で、52時間から60時間の間隔で、60時間から72時間の間隔で、72時間から84時間の間隔で、84時間から96時間の間隔で又は96時間から120時間の間隔で投与する。
当業者に既知の任意の抗菌剤を、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)との組合せで使用することができる。抗菌剤の非限定的な例として、アミカシン、アモキシシリン、アモキシシリン-クラブラン酸、アムホテリシン-B、アンピシリン、アンピシリン-スルバクタム、アプラマイシン、アジスロマイシン、アズトレオナム、バシトラシン、ベンジルペニシリン、カスポファンギン、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、セファロチン、セファゾリン、セフジニル、セフェピム、セフィキシム、セフメノキシム、セフォペラゾン、セフォペラゾン-スルバクタム、セフォタキシム、セフォキシチン、セフピロム、セフポドキシム、セフポドキシム-クラブラン酸、セフポドキシム-スルバクタム、セフプロジル、セフキノム、セフタジジム、セフチブテン(Ceftibutin)、セフチオフル、セフトビプロール、セフトリアキソン、セフロキシム、クロラムフェニコール、フロルフェニコール、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クリナフロキサシン、クリンダマイシン、クロキサシリン、コリスチン、コトリモキサゾール(トリメトプリム/スルファメトキサゾール)、ダルババンシン、ダルホプリスチン/キヌプリスチン(Quinopristin)、ダプトマイシン、ジベカシン、ジクロキサシリン、ドリペネム、ドキシサイクリン、エンロフロキサシン、エルタペネム、エリスロマイシン、フルクロキサシリン、フルコナゾール、フルシトシン、ホスホマイシン、フシジン酸、ガレノキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、ゲンタマイシン、イミペネム、イトラコナゾール、カナマイシン、ケトコナゾール、レボフロキサシン、リンコマイシン、リネゾリド、ロラカルベフ、メシリナム(Mecillnam)(アムジノシリン)、メロペネム、メトロニダゾール、メズロシリン(Meziocillin)、メズロシリン-スルバクタム、ミノサイクリン、モキシフロキサシン、ムピロシン、ナリジクス酸、ネオマイシン、ネチルマイシン、ニトロフラントイン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オキサシリン、ペフロキサシン、ペニシリンV、ピペラシリン、ピペラシリン-スルバクタム、ピペラシリン-タゾバクタム、リファンピシン、ロキシスロマイシン、スパルフロキサシン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、ストレプトマイシン、スルバクタム、スルファメトキサゾール、テイコプラニン、テラバンシン、テリスロマイシン、テモシリン、テトラサイクリン、チカルシリン、チカルシリン-クラブラン酸、チゲサイクリン、トブラマイシン、トリメトプリム、トロバフロキサシン、タイロシン、バンコマイシン、ヴァージニアマイシン及びボリコナゾールが挙げられる。
ある特定の実施形態は、併用療法は、本明細書に記載の2種以上の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載の2種以上のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)及び/又は本明細書に記載の2種以上の組成物(第5.6.2節を参照されたい)の投与を含む。
5.7.2 患者集団
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を、ナイーブ対象(即ち、ExPECに感染していない又はExPECにこれまで感染していない対象)に投与する。一実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を、ExPECに感染するリスクを有するナイーブ対象に投与する。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を、ExPEC感染と診断されている対象に投与する。一部の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を、症状が現れる前に又は症状が重症になる前に(例えば患者が入院を必要とする前に)、ExPECに感染した対象に投与する。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を、UPEC感染と診断されている対象に投与する。一部の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を、尿路感染症の再発を患う患者に投与する。一部の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を、尿路感染症の再発を患うが処置時には健康である対象に投与する。一部の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を、菌血症若しくは敗血症を有する又は菌血症若しくは敗血症になるリスクを有する対象に投与する。
一部の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与する対象は動物である。ある特定の実施形態では、この動物は鳥類である。ある特定の実施形態では、この動物はイヌである。ある特定の実施形態では、この動物はネコである。ある特定の実施形態では、この動物はウマである。ある特定の実施形態では、この動物はウシである。ある特定の実施形態では、この動物は哺乳類であり、例えばウマ、ブタ、マウス又は霊長類である。ある具体的な実施形態では、この対象はヒトである。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与する対象はヒトの成人である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与する対象は、50歳を超えるヒトの成人である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与する対象は高齢のヒト対象である。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与する対象はヒトの子供である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与する対象はヒトの乳児である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与する対象はヒトの未熟児である。一部の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与する対象はヒトの幼児である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与する対象は、6カ月齢未満の乳児ではない。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与する対象は、妊娠している個体である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与する対象は、1週間前に、2週間前に、3週間前に、4週間前に、5週間前に、6週間前に、7週間前に又は8週間前に出産した女性である。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与する対象は、ExPECのリスクが増加した個体(例えば、免疫無防備状態の又は免疫不全の個体)である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与する対象は、ExPEC感染のリスクを有する又はこのリスクが増加した個体と緊密に接触した個体である。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与する対象は医療従事者(例えば医者又は看護師)である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与する対象は、免疫無防備状態である(例えばHIV感染を患う)、又は免疫抑制されている。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与する対象は糖尿病を有する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与する対象は多発性硬化症を有する。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与する対象は、この患者にカテーテルを使用する必要がある状態を有する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を投与する対象は脊髄損傷を有する。
5.7.3 薬用量及び投与の頻度
本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)の、ExPEC感染の治療及び/又は予防で有効であるだろう量は、疾患の性質によって決まるであろう、及び標準的な臨床技法によって決定され得る。本O抗原、本バイオコンジュゲート及び/又は本組成物の投与を、臨床医に既知の様々な経路(例えば、皮下、非経口、静脈内、筋肉内、局所、経口、皮内、経皮、経鼻等)で行うことができる。一実施形態では、投与を筋肉内注射で行う。
製剤化で用いる正確な薬用量も投与経路及び感染の重篤度によって決まるだろう、並びに専門家の判断及び各対象の状況に従って決定すべきである。例えば、有効な薬用量は、投与の手段、標的部位、患者の生理学的状態(年齢、体重、健康状態等)、患者がヒトであるか又は動物であるか、投与されたその他の薬剤、及び処置が予防であるか又は治療であるかによって異なる可能性もある。処置用の投薬量は、安全性及び有効性を最適化するために最適に用量設定される。
ある特定の実施形態では、最適な薬用量範囲の同定に役立てるために、in vitroアッセイを用いる。第5.8節を参照されたい。in vitroの又は動物モデルの試験系に由来する薬用量の応答曲線から、有効な用量を推定することができる。
ある特定の実施形態では、糖コンジュゲートをベースとするワクチン(例えば、バイオコンジュゲートを含む組成物)の例示的な薬用量は、用量当たり約0.1μgから400μgの炭水化物の範囲である。その他の実施形態では、糖コンジュゲートをベースとするワクチン(例えば、バイオコンジュゲートを含む組成物)の例示的な薬用量は、用量当たり約0.1μgから4000μgのタンパク質の範囲である。ある特定の実施形態では、糖コンジュゲートをベースとするワクチン(例えば、バイオコンジュゲートを含む組成物)の例示的な薬用量は、用量当たり0.1μg、0.5μg、1μg、2μg、3μg、4μg、5μg、6μg、7μg、8μg、9μg、10μg、11μg、12μg、13μg、14μg、15μg、16μg、17μg、18μg、19μg、20μg、21μg、22μg、23μg、24μg、25μg、26μg、27μg、28μg、29μg、30μg、31μg、32μg、33μg、34μg、35μg、36μg、37μg、38μg、39μg、40μg、41μg、42μg、43μg、44μg、45μg、46μg、47μg、48μg、49μg又は50μgの炭水化物を含む。ある特定の実施形態では、糖コンジュゲートをベースとするワクチン(例えば、バイオコンジュゲートを含む組成物)の例示的な薬用量は、用量当たり50μg、55μg、60μg、65μg、70μg、75μg、80μg、85μg、90μg、95μg又は100μgのタンパク質を含む。ある特定の例示的な実施形態では、ヒトに投与される薬用量は、含まれる糖コンジュゲートそれぞれに関して約1〜10μgの多糖(例えば約2〜6μgの多糖、例えば約4μgの多糖)を含む0.5mlに相当する。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を、単回用量で一度に対象に投与する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を、単回用量で対象に投与し、続いて3〜6週後に第2の用量として対象に投与する。これらの実施形態に従って、第2の接種後に6〜12カ月の間隔で対象に追加接種を投与することができる。ある特定の実施形態では、この追加接種は、別の大腸菌O抗原、バイオコンジュゲート又は組成物を利用することができる。一部の実施形態では、同じ大腸菌O抗原、バイオコンジュゲート又は組成物の投与を繰り返すことができ、少なくとも1日、2日、3日、5日、7日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月又は少なくとも6カ月の間隔を開けて投与することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を、1年に1回の単回用量で対象に投与する。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)を、2週、3週、4週、5週又は6週の間隔で2回、3回、4回、5回又はより多くの用量で対象に投与する。一部の実施形態では、明細書に記載の大腸菌O抗原(第5.2節を参照されたい)、本明細書に記載のバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい)又は本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)の2回、3回、4回、5回又はより多くの用量を、0.1μg〜0.5mg、0.1μg〜0.4mg、0.1μg〜0.3mg、0.1μg〜0.2mg又は0.1μg〜0.1mgの炭水化物含有量の薬用量にて2種、3週、4週、5週又は6週の間隔で対象に投与する。ある特定の実施形態では、投与する大腸菌O抗原、バイオコンジュゲート又は組成物は毎回同じである。ある特定の実施形態では、投与する大腸菌O抗原、バイオコンジュゲート又は組成物は毎回異なる。
抗体(例えば抗O25B抗体)による受動免疫化の場合、投薬量は、体重1kg当たり約0.0001〜100mgの抗体の範囲であってもよく、又は体重1kg当たり0.01〜5の抗体の範囲であってもよい。例えば、投薬量は、1mg/体重1kg若しくは10mg/体重1kg若しくは1〜10mg/kgの範囲内であってもよく、又は換言すると、70kgの患者の場合、それぞれ70mg若しくは700mg若しくは70〜700mgの範囲内であってもよい。例示的な処置計画は、1年の期間にわたり又は数年にわたり又は数年の間隔にわたり、2週毎に1回の又は1カ月に1回の又は3から6カ月毎に1回の投与を必要とする。間隔は不規則であることができ、患者における抗体の血中レベルに基づいて変更され得る。
5.8 アッセイ
バイオコンジュゲートの免疫応答を誘導する能力を評価するアッセイ
当業者に既知の又は本明細書に記載のあらゆるアプローチを使用して、本明細書に記載のバイオコンジュゲート/組成物の、対象において免疫応答を生じさせる能力を評価することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載のバイオコンジュゲートで対象(例えばマウス)又は対象のセットを免疫化し、対照(PBS)で追加の対象(例えばマウス)又は対象の追加のセットを免疫化することにより、バイオコンジュゲートの対象において免疫応答を生じさせる能力を評価することができる。その後、この対象又は対象のセットをExPECで攻撃することができ、ExPECの対象において又は対象のセットにおいて疾患(例えばUTI)を引き起こす能力を決定することができる。対照で免疫化した対象又は対象のセットがExPECによる攻撃後に疾患を患い、本明細書に記載のバイオコンジュゲート又はこの組成物で免疫化した対象又は対象のセットが疾患を患い難い又は疾患を患わない場合、このバイオコンジュゲートは、対象における免疫応答の発生が可能であることを当業者は認識することがだろう。本明細書に記載のバイオコンジュゲート又はこの組成物の、ExPECに由来するO抗原と交差反応する抗血清を誘導する能力を、例えばELISA等のイムノアッセイで試験することができる。
In Vitro殺菌性アッセイ
血清殺菌性アッセイ(SBA)又はオプソニン作用死滅アッセイ(opsonophagocytotic killing assay)(OPK)を使用して、本明細書に記載のバイオコンジュゲートの、対象において免疫応答を生じさせる能力を評価することができ、これらのアッセイは、糖コンジュゲートをベースとするワクチンの承認を得るために使用されている、確立された及び認められた方法である。そのようなアッセイは当分野で公知であり、簡潔に言うと、目的の標的(例えば大腸菌のO抗原(例えばO25B))に対する抗体を誘導する化合物を対象(例えばマウス)に投与することにより、そのような抗体を生成する及び単離するステップを含む。その後、例えば、前記抗体及び補体並びにアッセイによっては好中球細胞の存在下で、問題となる細菌(例えば、関連する血清型の大腸菌)を培養し、例えば、標準的な微生物学的アプローチを使用して抗体の細菌を死滅させる及び/又は中和する能力をアッセイすることにより、抗体の殺菌能力を評価することができる。
5.9 キット
本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の組成物(第5.6.2節を参照されたい)の1種以上の成分(例えば、本明細書で提供される1種以上の大腸菌抗原(第5.2節を参照されたい)及び/又はバイオコンジュゲート(第5.4節を参照されたい))が充填された1個以上の容器を含む医薬パック又は医薬キットである。そのような容器に任意選択で付随するのは、医薬製品又は生物学的製剤の製造、使用又は販売を規制する行政機関が定める様式の通知であることができ、この通知は、ヒトへの投与のための製造、使用又は販売に関する政府機関による承認を示す。本明細書に包含されるキットを、対象の処置及び免疫化に関する上記方法で使用することができる。
6.実施例
方法
凝集
細胞又は溶解した細胞塊が、ポリマー構造、例えば、O抗原に特異的な抗体を含む抗血清と混合されるプロセス。抗血清が細胞構造を認識する場合、目に見える不溶性の凝集物が形成される。この方法は、O、K及びH血清型を同定するために古典的に用いられている。DebRoyら, (2011) Animal health research reviews / Conference of Research Workers in Animal Diseases 12, 169-185を参照のこと。
SDS PAGEによる分析のためのLPSサンプル調製
グラム陰性細胞のLPSは、O抗原への結合をもたらすコアオリゴ糖で修飾された脂質Aをベースに構成される。臨床単離体のLPSを分析するために、細胞を37℃で24時間、標準LB培地中で増殖させ、OD600が2の1mlの培養物に相当するバイオマスを収集して、1×Laemmliサンプル緩衝液中に溶解して、95℃で10分間インキュベートした。抽出物をさらに1時間65℃で処理して、1g/lプロテイナーゼKを用いてタンパク質シグナルを除いた。処理した抽出物を、SDS PAGEによって分離して、LPSを、銀染色又は適切な抗血清を用いるウエスタンブロッティングによって、可視化した。
ELISAプレートのコーティングのためのLPS調製
LPSは、Apicella, (2008) Methods Mol Biol 431, 3-13によって記載される方法を用いて調製し、さらに、Perdomo and Montero, (2006) Biotecnologia Aplicada 23:124-129に記載されるように精製した。
2AB OPS HPLC:「LLOフィンガープリント法」
この方法を用いて、UPP結合しているOPSの構造を分析する。
UPP結合グリカンを抽出するために、大腸菌細胞を0.9% NaClで洗浄して、凍結乾燥した。乾燥した細胞を、有機溶媒(メタノール:水(M:W=17:3〜19:1(v/v))、及び/又はクロロホルム:メタノール:水の最適比の混合物(例えば、C:M:W = 10:10:3; v/v/v))で抽出した。その抽出物をN2流下で乾燥して、C:M:W=3:48:47の中に再懸濁した。抽出された糖脂質を精製するために、3:48:47の再懸濁物を、tC18 Sep-PAKカートリッジに通した。カートリッジは、10mlメタノールで調整し、続けて10mlの3:48:47(C:M:W)を用いて平衡化した。サンプルをロードした後、そのカートリッジを、10mlの3:48:47(C:M:W)で洗浄し、5mlのメタノール及び5mlの10:10:3(C:M:W)を用いて溶出した。合わせた溶出液を、N2下で乾燥した。糖脂質サンプルを、2mlのn-プロパノール:2Mトリフルオロ酢酸(1:1)中に乾燥サンプルを溶解し、50℃まで15分間加熱し、次いでN2下で乾燥するまでエバポレートすることよって加水分解した(Gloverら, Proc Natl Acad Sci U S A 102(40):14255-9)。この乾燥したサンプルを、もう一度、3:48:47に再懸濁し、tC18カートリッジに通し、流出液をN2下で乾燥した。2-ABによる標識及びグリカンの精製を、記載されたようにペーパーディスク法を用いて行った(Biggeら, Anal Biochem 230(2): 229-38; Merryら, Anal Biochem 304(1): 91-9)。
2-AB標識したグリカンは、Royleらに従ってGlycoSep-N順相カラムを用いるが、3つの溶媒系に改変した(Royleら, Anal Biochem 304(1): 70-90)HPLCによって分離した。溶媒Aは、80%アセトニトリル中の10mMギ酸アンモニウム(pH 4.4)であった。溶媒Bは、40%アセトニトリル中の30mMギ酸アンモニウム(pH 4.4)であった。溶媒Cは、0.5%ギ酸であった。カラム温度は、30℃で、2-AB標識したグリカンは、蛍光によって検出した(励起λex = 330 nm、発光λem=420nm)。勾配条件は、0.4ml/分の流速で、160分にわたる、100% Aから100% Bへの直線勾配、続いて、流速を1ml/分まで増大させながら100% Bから100% Cの2分であった。カラムを、100% Cで5分間洗浄し、2分にわたって100% Aに戻し、1ml/分の流速で100% Aで15分間流し、次いで5分間流速を0.4ml/分に戻した。サンプルを水に注入した。
脱アセチル化アッセイ:
等量の2-AB標識したグリカンを、30℃で乾燥し、200mM NaOH(pH≒14)を加えた(サンプル)か又は加えない(モック)50μlの水に再懸濁し、37℃で25時間インキュベートする。次いで、溶液を室温にして、200mM HCl溶液(pH≒1)の添加によって中和する。30℃で急速減圧での乾燥後、サンプルを、2ABで再標識し、及びHPLCにより分析する。
ヒドラジン分解HPLC
上記の同じ順相HPLC技術を用いて、ヒドラジン分解後にバイオコンジュゲートから放出されたOPSを分離した。ヒドラジン分解の前に、1mgのタンパク質に相当するバイオコンジュゲートを、N2流の下で完全に乾燥させた。多糖放出は、製造業者の指示書に従って、Ludger Liberate Hydrazinolysis Glycan Releaseキット(Ludger #LL-HYDRAZ-A2)を用いて行った。要するに、450μlのヒドラジンをN2のブランケット下で乾燥サンプルに添加し、85℃で16時間インキュベートした。ヒドラジンは、45℃でN2下のエバポレーションによって除去した。多糖類の再N-アセチル化は、氷上で2時間の間1M炭酸水素ナトリウム中の471μlの4.5%無水酢酸中でのインキュベーションによって行った。その後、600μlの5%TFA溶液を添加し、そのサンプルを、氷上でさらに1時間加水分解した。精製は、対応する緩衝液EB20 A及びBを用いてEB20カラムで行った。
放出され、精製された多糖類を、2-ABで標識し、LLOサンプルについて記載されたようにNP-HPLCで分析した。目的のピークを収集して、MS/MSで同定した。
HPLCピークのMS及びMS/MS
目的のOPS分子の単糖配列を分析するため、質量分光分析を行った。特定のHPLCピークに相当する乾燥された収集された画分を、5μlの10%アセトニトリル(ACN)、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)中に再懸濁し、1:1でマトリックス溶液(40mg/ml DHB 50% ACN中、0.1% TFA)と標的プレート上で混合した。MS及びMS/MSデータは、Ultraflex-II MALDI-ToF/ToF質量分析計(Bruker Daltonik GmbH, Bremen, Germany)で、陽イオンモードで手動で得た。MS/MSは、LIFT法を用いて得た。標準のペプチド混合物(Bruker Daltonik GmbH)を、外部較正に用いた。スペクトルは、Flex分析ソフトウェア(Bruker Daltonik GmbH)を用いてエクスポートし、手動で分析した。
宿主細胞
バイオコンジュゲートは、プラスミド(複数可)を介して、担体タンパク質(複数可)、及びC.ジェジュニ(PglB)由来のオリゴサッカリルトランスフェラーゼ、並びにコスミド又は染色体の挿入突然変異体由来のOPSを発現する組換え大腸菌細胞によって生成された。
遺伝的に無毒化されたEPA(変異L552V、ΔE553を含む緑膿菌由来の外毒素A)を、担体タンパク質として用い、2つ又は4つのグリコシル化部位(それぞれ、本明細書において2S-EPA及び4S-EPAと呼ばれる)及びC末端HIS Tagを含むように改変し、pBR322由来のアラビノース誘導性プラスミドから発現させた(Ihssenら, (2010) Microbial cell factories 9, 61を参照のこと)。
MBP(マルトース結合タンパク質)、すなわち天然のペリプラズム中の可溶性大腸菌タンパク質は、pGVXN579から発現された。pGVXN579は、一列で3つの細菌のNグリコシル化コンセンサス配列をコードする改変pMAL-p2X(New England Biolabs)プラスミドであり、そのコンセンサス配列の後に該プラスミドにコードされたマルトース結合タンパク質ORFにC末端で融合されたMyc-Tagが続いている。この設定によって、HISタグと独立にMBPバイオコンジュゲートの親和性精製が可能になった。発現の誘導は、tacプロモーターによって制御され、IPTGを用いて誘導される。
PglBタンパク質を、プラスミドpEXT21(pMAF10由来のEcoRI/BamHIフラグメント(Feldman, 2005, PNAS USA 102(8):3016-3021))から発現させ、C末端融合HAタグを有してpEXT21にクローニングした。発現プラスミドのバリアントは、コドン最適化(pGVXN939)、グリコシル化部位の欠失を有するコドン最適化(pGVXN948)、及び除去されたHA-Tタグ(pGVXN970)並びにコドン最適化及び欠失されたHAタグ(pGVXN971)である。
臨床単離体を、凝集、ウエスタンブロット、銀染色、LLOフィンガープリント法、PCR血清型決定、又はOPS構造的特徴の同定を可能にする同様の技術を用いて、特定のOPSを合成するそれらの能力について、また、それらの抗生物質耐性表現型について分析した。特定の臨床単離体についてさらに、タンパク質グリコシル化についてOPS利用性を増強するため、又はOPS分析のためにリガーゼ酵素WaaLを染色体から欠失させた。
臨床単離体をさらに分析するために、実験室株W3110のrfbクラスターを、臨床単離体からクローニングしたrfbクラスターによって置き換え、OPS生合成を分析した。waaL遺伝子をバイオコンジュゲート生成の効率を向上するために欠失させた。
クラスター交換及びwaaL欠失は、最適化法(国際特許出願番号PCT/EP2013/068737を参照のこと)又は公表された手順(Datsenko and Wanner, (2000) Proc Natl Acad Sci U S A 97, 6640-6645)を用いて相同組換えによって達成した。OPSクラスター交換のために、臨床単離体の目的のrfbクラスターを、大腸菌株W3110のrfb遺伝子座への引き続く組み込みのために、抗生物質耐性カセットとともに、対抗選択プラスミドpDOC-C中にクローニングした(Kuhlman及びCox, 2010, Nucleic acids research 38, e92; Leeら, 2009, BMC Microbiol 9, 252)。目的の大きいrfbクラスターの相同組換えは、0.5〜1.5キロベースの長さのW3110のrfbクラスターコード配列に隣接するDNA、及びプラスミド保持rfb由来のインサートDNAのin vivoの線状化を用いることによって達成した。得られた株は、置き換えたrfbクラスター(抗生物質耐性カセットの有無)を含み、すなわち、W3110のrfbクラスターを、臨床大腸菌単離体から単離された等価範囲によってgale遺伝子とgnd遺伝子との間のDNA分子を置き換えた。
特定の実施形態では、所定の大腸菌血清型のrfbクラスターをコードするコスミドを含むW3110株を宿主株として用いた。
W3110ベースの株での組換え的に発現されたバイオコンジュゲートの生成のために、組換えOPS生成に干渉する遺伝子を保有するW3110は除いた。例えば、O25Bバイオコンジュゲートの宿主細胞生成のために、W3110のgtrABSクラスターを欠失させた。これを達成するために、相同組換えは、公表された方法(Bloor AE, Cranenburgh RM. Appl Environ Microbiol. 2006 Apr;72(4):2520-5.)に従い、gtrA遺伝子の上流及びgtrS遺伝子の下流に隣接する相同性配列を用いた。
生成株を構築するために、宿主株をpglB及び担体発現プラスミドを用いて、トランスフォーメーションによって形質転換した。Wackerら, 2002, Science 298:1790-1793を参照のこと。
バイオコンジュゲート生成
バイオコンジュゲート生成は、宿主細胞を増殖し、細胞膜周辺腔で生成されるバイオコンジュゲートを精製することによって行われた。増殖は、振盪フラスコ中で、又は工業規模の流加発酵プロセスで行った。
振盪フラスコ培養は、適切な抗生物質を含む、時に5mM MgCl2を補充したテリフィック(terrific)ブロスから構成される培地を用いて、37℃で行った。培地に、新たに形質転換された生成細胞由来の一晩培養物を用いて、0.05のODで接種し、対数期中期まで増殖させ、0.2%アラビノース及び1mM IPTGで誘導し、さらに、増殖させ、20時間の増殖後に回収した。
流加発酵
生成細胞系列バンクのアリコートを用いて、適切な抗生物質とともにSoy LB培地を含む振盪フラスコに接種した。振盪フラスコを180rpmで、37℃で、約12時間インキュベートした。補充なしのバッチ培地を、バイオリアクターの内側で直接滅菌し(121℃以上33分)、冷却して、補充物を添加した。4M KOH又は25%リン酸を、pH調節のために発酵槽に添加し、pHをpH7に調整した。前培養からのバイオリアクター及びバッチ培養物の接種を行い、0.005という初期OD600を得た。pHは、4M KOH又は25%リン酸の添加によって安定に維持した。溶存酸素圧(DO)は維持される。オーバーヘッド圧は、600mbarで維持した。生成物の形成は、L-アラビノース(0.1%)及び/又はIPTG(1 mM)で誘導した。誘導の直後、2.5%アラビノース及びIPTGを含有する供給培地の添加によって供給を開始した。誘導の24±2時間後、バイオリアクターを25℃に冷却し、供給を停止し、回収は、接線流濾過又は遠心分離によって行った。
バイオマスは、800barでの高圧ホモジナイゼーションの4サイクルの間の破壊によって0.5% Triton X-100中に溶解した。
バイオコンジュゲートは、カラムクロマトグラフィーによって精製した。種々のクロマトグラフィー技術、主にIMAC, Q-樹脂ベースの陰イオン交換クロマトグラフィー(AEC)、及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて、バイオコンジュゲートを調製した。例えば、このような方法の説明に関しては、Saraswatら, 2013, Biomed. Res. Int. ID#312709(p. 1-18)及びWO2009/104074を参照のこと。
前臨床実験のためのバイオコンジュゲート生成
前培養から、規定の量を、富化培地を含んでいるバイオリアクターに35±0.2℃で移した。pH及び溶存酸素圧を維持した。撹拌速度は、700rpmに達した。
細胞密度がOD600=40±5に達したとき、生成物形成を、L-アラビノース(0.1%)及びIPTG(1mM)で誘導した。供給は、誘導後24±2時間で開始し、バイオリアクターを冷却した。温度が25℃に達したらすぐに、供給を停止して細胞を収集した。
高圧ホモジナイゼーション
回収時に50Lに相当するバイオマスを、2〜8℃で1日間解凍した。次いで、2.5Lの溶解液及び清澄化緩衝液を容器に添加した。Triton X-100を、0.5%の最終濃度に添加し、完全に解凍した細胞を、800バールで4サイクルの高圧ホモジナイゼーションによって破壊した。細胞を回収して、標準的な技術を用いて洗浄した。
単糖組成分析:
約8μgの多糖を含有するバイオコンジュゲートを、6時間の間、104μlの3M TFA中で99℃で加水分解した。TFAを、エバポレーションによって除去し、サンプルを500μlの2-プロパノールを用いて1回洗浄した。得られた単糖類を、87.1mg/ml 1-フェニル-3-メチル-5-ピラゾロン(PMP)、50% MeOH及び150mM NaOHを含有する100μlの標識混合物中に懸濁した。標識は、60分間、70℃で行った。サンプルは、50μlの300mM HCl及び20μlの100mM Tris/HCl(pH7.0)の添加によって中和した。PMP標識した単糖類を、1mlのジブチルエーテルで1回、及び1mlのCHCl3で3回抽出することによって精製した。
PMP誘導体化単糖類を、RP-HPLC(Merck-Hitachi)によって、プレカラムを備えたC18 Inertsil ODS-3カラム(GL Sciences)によって分離した。100%緩衝液A(13%アセトニトリル、87% H2O(0.045% KH2PO4、0.05%トリエチルアミン、pH7.0)から50%緩衝液A/50%緩衝液B(21%アセトニトリル、79% H2O(0.045% KH2PO4、0.05%トリエチルアミン、pH7.0)まで4分間にわたり、さらに100%緩衝液Bまで47分間にわたる2段階の勾配を、35℃、及び1ml/分の流速で適用した。その注入量は50μlであって、溶出は、オンラインの250nmでのUV検出によってモニターした。個々のピークを、市販の単糖標準D-グルコース(Sigma-Aldrich #G7528)、L-ラムノース(Sigma-Aldrich #R3875)、N-アセチル-D-グルコサミン(Sigma-Aldrich #A8625)及びN-アセチル-L-フコサミン(Omicron Biochemicals #FUC-006)のクロマトグラムとの重ね合わせによって同定した。
[実施例1]
疫学
尿路感染(UTI)の原因の大腸菌の血清型分布を決定するために、疫学研究を行った。ヒト尿サンプル由来の1800を超える大腸菌単離体を、スイスの対象から収集し、各々のサンプル由来のO抗原血清型(OPS)を、古典的な凝集技術を用いて分析した。図4を参照のこと。
単離されたヒト尿サンプルを分析して、その中の病原体の同定、及びそれらの抗生物質耐性パターンを決定した。大腸菌単離体は、分析後にサンプルから得た。大腸菌単離体は、クロム(CPS3)及びMacConkeyアガーでの増殖を伴う古典的な微生物学的排除及び含有ストラテジーによって同定した。大腸菌単離体をさらに、凝集アッセイを用いて分析して、それらのO抗原血清型を決定した。DebRoyら(2011) Animal health research reviews / Conference of Research Workers in Animal Diseases 12, 169-185を参照のこと。同じO抗原の血清型由来の単離体をさらに分析して、各々の単離体からのO鎖の化学構造を決定した。表1Aを参照のこと。特定の単離された大腸菌株が、抗生物質耐性であることを確認し、これにはフルオロキノロン耐性株及び広域スペクトルβラクタマーゼ(ESBL)産生株の同定が含まれた。
血清型O1、O2、O4、O6、O7、O8、O16、O18、O25、O73、及びO75を、場所、単離の時期、症状及び標的集団とは独立して対象から単離し、これによって、これらは、尿路疾患性の大腸菌(UPEC)の優勢な血清型であることが示された。従って、最も優勢なO抗原血清型の特定によって、O抗原特異的なワクチンは、この実施例に記載される研究で特定されるとおり、血清型のあるサブセット、すなわち疾患と最も関連するものに限定され得ることが示される。
大腸菌リファレンスセンター(ECRC)から入手した米国の過去30年間の1323個の単離体におけるUTI血清型のレトロスペクティブな解析によって、文献及びスイスからの現在のデータとの詳細な比較が可能になった。トップの20の血清型の優勢性は、場所、単離の時期、症状又は標的集団とは独立して見出され、UPECに関連する優勢な血清型が示唆される(表1Bを参照のこと)。
記載される血清型由来の単離体は、単離体の総数に対するパーセンテージとして算出した(Andreuら, 1997, J Infect Dis 176:464-469; Blancoら, 1996, Eur J Epidemiol 12:191-198; Fathollahiら, 2009, Iranian Journal of Clinical Infectious Diseases 4:77-81; Johnsonら, 2005, J Clin Microbiol 43:6064-6072; Molina-Lopezら, 2011, Journal of infection in developing countries 5:840-849; Sandbergら, 1988, J Clin Microbiol 26:1471-1476; K. L. 2007, The Journal of infection 55:8-18; Teraiら, 1997, Int J Urol 4:289-294)。特定の場合には、具体的データは利用できなかった。従って、パーセンテージの数は、記載した研究の異なるUTI単離体からの全体的な血清型分布に対する徴候を示すことができるだけであって、注意深く考慮されなければならない。しかし、広がりが少ないと特定された他の記載された血清型(O15、O20、O21、O22、O77及びO82)も含まれる。
疫学的解析からの全ての情報をまとめると、分類不能な株の一部をカバーすると仮定すれば、10の優勢な血清型が、推定60-80%の大腸菌感染をカバーし得た。さらに、このデータによって、文献データ及び米国の近年のデータと比較した場合、スイスからの疫学的研究におけるO25血清型の予期せぬ重要性が示される。表1A及び表1Bを参照のこと。
大腸菌のO抗原血清型は、別個であるが、構造的に及び抗原的には同様であるサブタイプから構成される場合が多い。収集された臨床単離体から未知/報告されていないサブタイプを同定するために、及び最も広まったO抗原サブタイプを同定するために、最も広まった血清型由来のO抗原の化学構造をより詳細に分析した。
[実施例2]
大腸菌O25
近年では、O25陽性株の出現の増大が観察されており(George及びManges (2010) Epidemiol Infect 138, 1679-1690を参照のこと)、実施例1に記載の研究で証明されており、ここではO25血清型は、罹患率に関してトップの4つの大腸菌血清型のうちの1つであることが見出された。
O25A
大腸菌O25血清型のO抗原反復単位構造は、以前に報告されており(Kenneら, 1983, Carbohydrate Research 122, 249-256、及びFundinら, 2003, Magnetic Resonance in Chemistry 41, 4を参照のこと)、図2Bに示される。大腸菌株E47a由来のO25O抗原に関連するrfbクラスターは、公的に入手可能であり(GenBank GU014554)、図2Aに示される。大腸菌E47aは、O25血清型決定の参照株として用いられている。さらなるrfbクラスター配列情報は、無症候性の細菌尿症を生じる株である大腸菌83972のゲノム配列から入手可能である(Zdziarskiら, 2010, PLoS Pathog 6, e1001078を参照のこと)。表現型のO25発現は確認されていないが、大腸菌E47a及び83972のrfbクラスター配列は、99.49%同一であり、それらが同じO抗原をコードすることが強力に示される。
大腸菌株83972及びE47a由来のO抗原は、本明細書においては、「O25A」と命名される。なぜなら、下記のとおり、「O25B」と命名した新規な大腸菌のO抗原は、上記の実施例1に記載の疫学研究で得られた臨床単離体の解析に基づいて同定されたからである。
大腸菌株83972及びE47aの予想される遺伝子産物の機能が提唱されている。表2; GenBank GU014554、及びSzijartoら(2012) FEMS Microbiol Lett 332, 131-136を参照のこと。
構造及び遺伝子クラスターの比較によって、O25A OPSの構築に必要な全ての機能が、galEとgndとの間に位置するrfbクラスター内にコードされることが示されている。rfb遺伝子クラスターの種々の酵素の機能(図2Aを参照のこと)は以下のとおりである:
RmlBDACは、OPS反復単位に対するL-Rha分岐の追加のための基質であるdTDP-L-ラムノースの生合成に必要な酵素をコードする。
FnlABCは、O25 OPS反復に対するL-FucNAcの追加のためのドナー基質であるUDP-L-FucNAcの生合成に必要な酵素をコードする。
WekABC及びwbuBCは、相同解析によるグリコシルトランスフェラーゼである。しかし、wbuCは、短く、末端短縮化されているようであり、機能的でない可能性が高い。従って、最も可能性の高い機能アノテーションによって、反復単位の構築のための4つの結合を生じる4つのグリコシルトランスフェラーゼが存在することが示される。
Wzx及びWzyは、細胞膜周辺腔へのBRUのフリッピング及びUnd-PP上でのそれらの重合化に必要である。
公表済のO25A反復単位構造を合成するために必要な全ての機能は、大腸菌E47a及び83972 rfbクラスターによってコードされる。従って、rfbクラスターは、O25A OPSをコードすることを担っているということが結論された。
O25B
2009年に、スペインの病院内に由来する臨床的な大腸菌単離体を、クローングループを決定するために特徴付けた。Blancoら(2009) J Antimicrob Chemother 63, 1135-1141を参照のこと。a)ESBL型、b)O血清型、c)病原性遺伝子、d)多座配列タイピング(multi locus sequence typing)(MLST)、及びe)パルスフィールドゲル電気泳動タイピング(PFGE)の特徴付けを行った。結果によって、全ての単離体のうち約20%が、同じクローンに起因し得ることが示された:血清型及びMLST O25:H4 ST131、ESBL型CTX-M15、Phylogroup B2(特定のセットの病原性遺伝子をコードする)。代表的な臨床単離体のrfbクラスター構成要素の解析によって、E47a株由来、及びまた対立遺伝子特異的なPCRタイピング法によって特定された臨床単離体由来のタイピング株配列と比較して、未知の3'配列が示された(Clermontら, 2008, J Antimicrob Chemother. 61(5):1024-8.; Clermontら, Diagn. Microbiol Infect Dis. 2007, 57(2):129-36.及びLiら, 2010, J Microbiol Methods 82, 71-77を参照のこと)。2013年に、Phanらは、クローンO25b:H4 ST131のゲノム配列を公開しており、このクローンが、初期に報告されたとおり、そのwaa遺伝子クラスターの構造と一致するK-12誘導体であることを確認している。Phanら, 2013, PLOS Genetics 9(10):1-18(e1003834)を参照のこと。まとめると、このデータによって、新規なO25凝集クローンは、病院環境から単離された大腸菌で出現したこと、及びこのクローンは、特異的なESBL、MLST、及びPFGE表現型を有し、且つ変更されたO抗原遺伝子クラスターを含んでいたことが示す。
PCRタイピング
O25B血清型が、実施例1に記載の疫学研究で同定された単離された大腸菌株の中に存在するか否かを決定するため、O25凝集陽性株を、O25及びO25BについてタイピングPCRによって解析した。PCRは、ペトリ皿から採取したコロニーをテンプレートDNA源として、及び異なるオリゴヌクレオチドプライマーを用いて行った。O25特異的プライマー(E47a O25 wzyの増幅に基づき、且つLiら(2010) J Microbiol Methods 82, 71-77に記載)を用いた。また、O25b rfbクラスター(LNB220)の規定されていない3'部分に特異的である、Blancoら(2009) Antimicrob Chemother 63, 1135-1141に記載のO25B特異的プライマーも用いた。Phanら, (2013)によれば、このO25B特異的なオリゴヌクレオチド対は、O25B rfbクラスターの3'部分でアニーリングする。
O25凝集陽性表現型を有する24個の試験した臨床単離体のうち、20個、PCRタイピングによってO25B血清型に割り当てられたが、残りの4つは、PCRタイピングによってO25A血清型に属することが陽性に同定された。従って、驚くべきことに、O25B血清型の株は、O25A血清型の株よりも分析された株の間では頻度が高いことが判明した。
クラスター配列決定
O25B rfbクラスターを遺伝的に解析するために、「upec138」と命名された、O25B PCR陽性株のクラスターを配列決定した。同定された遺伝子、及びそれらの最も近い該当タンパク質ホモログを、提示された用語とともに、下の表3に列挙する。O25Bに特異的で、且つO25Aに存在しない遺伝子は、アスタリスクで示す。
クラスター組成物rfbは、O25Aクラスターの組成物に対して明確な相違を示す。このクラスターの5'部分の遺伝子は、お互いに近いホモログである(rmlDからwzy;大腸菌E47a及び83972)。これは、L-ラムノースを合成する多くの大腸菌株において相同であるrml遺伝子にとっては驚くべきことではない。O25A及びBの遺伝子産物の相同性は、wekC(O25A)遺伝子に達し、その後、25%同一性を下回るレベルに落ちるが、このことは、タンパク質配列が無関係であることを示す。図3Bを参照のこと。さらに、O25AのUDP-N-アセチルフコサミン生合成遺伝子は、fnlABCの下流の2つのグリコシルトランスフェラーゼと同様、株upec138(O25B)には存在しないことが見出された。図3Bを参照のこと。このデータをまとめると、O25B株は、L-FucNAc生合成遺伝子が、rfbクラスターの外側でコードされ得る以外は、UDP-L-FucNAcを合成できないことが示される。しかし、L-FucNAcがO抗原のBRUに存在する場合、rfbクラスターの外側のfnlABC遺伝子座について1つの例も報告されていない。従って、株138は、公開されたO25A基本反復単位(BRU)を合成することが可能である可能性は低い。
血清型O25Aのrfbクラスターには存在しない、O25B rfbクラスターで同定された遺伝子は、2つのグリコシルトランスフェラーゼ及びO-アセチルトランスフェラーゼをコードする。これらの3つの遺伝子は、同じ構成を共有し、且つコードされたタンパク質は、O16 rfbクラスター遺伝子型の大腸菌のK-12株で見出され、特徴付けられたwbbJKL遺伝子と高い相同性を有する。図3Bを参照のこと。O25BとO16の血清型の間の遺伝的近縁性に従い、O16 rfb遺伝子、wbbJKLの命名を、O25B rfbクラスターで同定された相同遺伝子に適用した。
O16 BRUの構造は、公知であって、wbbJKLの遺伝子機能は決定されている。Stevenesonら, (1994) J Bacteriol. 176(13):4144-56を参照のこと。WbbJKLは、L-ラムノースのアセチル化、D-Glc残基からL-Rha-D-Glc-UndPPへの転移、及びL-RhaからD-GlcNAc-UPPへの転移(ECAクラスター由来のwecAによって形成される)を担う。O16 WbbJKLとの相同性、及びO16 WbbJKLの公知の機能に基づいて、O25B rfbクラスターが、部分的にO16及び部分的にO25Aエレメントを一緒に含有する構造を合成することが推定された。これは、WbbJKLO25BがWbbJKLO16と同じ構造、すなわち、α-D-Glc-1,3-α-L-Rha(2Ac)-1,3-α-D-GlcNAcを合成する可能性が高いことが理由であった。この三糖構造は、L-Rha(2Ac)がL-FucNAcと置き換わっていることのみを除いて、O25Aの未分岐の「コア」骨格と同一である。この置き換えは、結果的に保存的なものである。なぜならD-FucNAc及びL-RhaOAcは、両方とも6-デオキシ及び2-アセチル官能基を有する単糖類であるからである。唯一の相違は、構造であり、それはフコースはガラクトースに、及びラムノースはマンノースに関連し、これが、3位でのOH基及び5位でのメチル基の異なる方向を生じるからである。単糖類の間の結合は、同一であり(全てα-1,3)、このことは、この構造が、形状及び化学的特徴において同様であることを示す。同様に、O25A及びBのrfbクラスターの上流部にコードされるタンパク質(rmlDCAB及びwekAB)は、「コア」骨格三糖のいずれかに対する分岐のD-Glc及びL-Rhaの結合により、O25A又はO25BのBRUを分岐する。これは、基質としていずれの骨格(L-FucNAc又はL-Rha(2Ac)を有する)も許容することを意味する。
O25B BRUの還元性末端由来の第2の単糖としてのL-Rhaの存在により、なぜL-FucNAc生合成がO25B中に非存在であり得るかが説明される。UDP-L-FucNAcは必要とされないのは、UDP-L-FucNAcは、クラスターの5'末端に存在するdTDP-L-Rha生合成遺伝子(rmlDBAC)によって置き換えられるからである。
Phanら, (2013)は、O25B臨床単離体に対する同様の遺伝的解析を行ったが、結論は異なっていた。彼らはまた、UDP-FucNAc生合成遺伝子クラスターについて研究するために全ゲノムを配列決定した。しかし、彼らは、株O25B:H4 ST131 EC958におけるUDP-L-FucNAcについての機構が、O25B rfbクラスターで失われているだけでなく、全株で失われていると述べている。しかし、Phanは、O25B:H4 ST131 EC958は、E47aと同じO抗原構造、すなわち、O25Aを作製すると仮定して、UDP-L-FucNAcが、異なる方法で合成されているはずだと結論した。代わりに、本明細書では、最も可能性の高いシナリオとして、O25B株が、L-FucNAcを作製できず、代わりに、BRUの第2の残基をO-アセチル化L-ラムノース残基で置き換え、この変化に必要な遺伝子がもっぱらrfbクラスター中にコードされることを開示している。
さらに、O25Bクラスター中のO-アセチルトランスフェラーゼホモログの存在によって、O25Aに存在しない改変である、O25B BRUの中のO-アセチル化が示される。従って、血清型O25A及びO25B由来のO25抗原の構造は異なるはずであると決定された。
O25B構造分析
異なるO25抗原構造の仮説を確認するために、実施例1に記載のO25臨床単離体のO抗原の化学的組成及び配置を分析した。O25 OPS構造をさらに詳細に特徴付けるため、いくつかの方法を用いた。
第一に、O抗原構造を、SDS PAGEによって分析した。臨床単離体由来のリポ多糖(LPS)を、SDS PAGE後の異なる染色方法を用いて、電気泳動移動度の相違について分析した。LPSの量を可視化するために、銀染色及び抗O25特異的ウエスタンブロットを行った。10個の単離体の分析の結果を示す図5を参照のこと。このデータによって、異なるLPS調製物の銀染色によって、同様のシグナル強度が得られることが示される。対照的に、特異的な抗血清によるプロービングで、10のサンプルのうちの3つ(単離体upec436、upec767、upec827)においてより強力なシグナル強度が示された。OPSの構造における相違に起因して、異なるシグナル強度が増大したことが推測された。
O25B構造を詳細に解明するため、異なる分析方法を適用した。臨床単離体upec138は、PCRによれば、O25Bについて陽性であり、O25凝集抗血清によれば、O25A株よりも示す認識が弱かった。図5を参照のこと。さらに、この株はESBLであり、FOS、IPM、及びTZPには感受性だが、AM、CXM、NOR、及びCIPには耐性である。別の臨床単離体である株upec436は、PCRによればO25Bについて陰性であるが、PCRにより一般的なO25(O25A)については陽性であった。upec436はまた、そのLPSをウエスタンブロッティングによって解析した場合、O25凝集抗血清と強力に反応性であることが見出された。図5を参照のこと。両方の株由来のLLOを抽出して、2ABで標識して、順相HPLCによって分析した。図6(upec138及びupec436のLLO、9.079及び9.081)を参照のこと。この溶出パターンによって、2つの抽出物の間の明確な相違が示された。株特異的なピークのMS/MS分析によって、予想されるBRU構造と適合するシグナルを検出した。
株upec436中のシグナル(9.081):62分の溶出時間のピークを、MSによって分析して、主な質量として、m/z=1021 Daを有する分子、すなわち、完全O25A OPS BRUの予想質量に相当する分子を含むことを見出した。MS/MSは、O25Aの単糖配列と適合するフラグメンテーションパターンを生じた(図7A;m/z=1021のMS/MS)。
株upec138におけるシグナル:50分の溶出時間でのピーク中の主な質量は、m/z 1022 Daであって、すなわち、完全なO25A反復単位よりも1Da多かった。MS/MS分析(図7B;O25B MS/MS)によって、O25A反復単位とほぼ同一のフラグメンテーション挙動、及び還元性末端から2番目の単糖に1Daの相違の位置を特定した(O25A MS/MSにおけるm/z=551のフラグメンテーションYイオン、及び株upec138におけるm/z=552によって特定された)。60分で溶出する追加のピークによって、同様のフラグメンテーションが示されたが、母イオン質量(m/z=980)の42Daの相違が同じ単糖(m/z=510)(すなわち、還元性末端由来の第2のもの)に特定された。これらの結果の解釈は、下に示す。
OPS抽出、加水分解及び2AB標識手順は、OPSからUnd-PPを除去するための酸処理を伴う。その処理条件は、部分的にO-アセチル化を除くが、N-アセチル化は除かないことが示された。従って、60分のピークは、50分のピークにおける材料の化学的加水分解から出現した脱アセチル化されたBRU質量に相当する可能性が高い。まとめると、このデータは、N-アセチル化がO25AのL-FucNAcに存在することから、O25BにはO-アセチル化が同じ単糖位置で存在することを示している。
還元性末端からの第2の残基でのアセチル化がO結合されていることを化学的に確認するために、脱アセチル化アッセイを行った。50分の溶出時間での2AB LLO HPLCからのO25B特異的なピークを、O25B PCR陽性株から収集して、「方法」に記載のアルカリを用いて処理した。HPLCの再分析によって、図6からO25Bピークにおいて同定された60分の溶出時間のピークを生じ、このピークは、O25B BRU(そのO-アセチル基を失っている)と一致するMS/MSフラグメンテーションイオンパターンを有する、m/z=979の主な質量を含んでいた。N-アセチル基は、同じ分子中の還元性末端D-GlcNAcにおける残りのN-アセチル基で示されるとおり、アルカリ処理に対して安定である。
結論として、O25Bの代表的な株upec138は、大腸菌由来のO25A及びO16 OPSに対して構造的に、且つ遺伝的に関連する(図3A及びB)と確認された。O25Bは、L-Rha残基であって、D-FucNAcではない、反復単位の第2の単糖でN-アセチル基の代わりにO-アセチル基を含む反復単位構造を有する点で、O25Aとは異なる。これらの変化は、2つのグリコシルトランスフェラーゼ及びO-アセチルトランスフェラーゼをコードするDNAストレッチによるUDP-FucNAc生合成機構及びD-FucNAcトランスフェラーゼの置換によって生じる可能性が高かった。これらの遺伝子は、相同性及び機能性の分析に基づいて、O16遺伝子クラスターに関連付けられる。最終構造は異なるが類似しており、そのことはO25凝集抗血清で観察される交差反応性を説明する。
上記で考察されるとおり、O25A OPSがL-FucNAc(ただしその構造はO25Bに存在しない)を含むことが、それらのrfbクラスターの解析に基づいて、結論付けられ提唱された。FucNAcがO25Bに存在しないかどうかを調べるために、O25A及びO25B株で生成したEPAバイオコンジュゲートの単糖組成分析を、上記のPMP標識方法及びHPLC解析方法を用いて行った(図9)。バイオコンジュゲートを生成するために、O25A及びO25B表現型を有する臨床大腸菌単離体を調製して、最適のバイオコンジュゲート生成のために改変した。改変の一部として、株upec_436(O25A)及びuepc_138(O25B)由来のwaaL遺伝子を、コア型決定のための方法(Amorら, (2000) Infect Immun 68, 1116-1124を参照のこと)によって、以前に記載され知らされているように(Datsenko及びWanner, (2000) Proc Natl Acad Sci U S A 97, 6640-6645を参照のこと)欠失させた。得られた株を、O25A生成のためには4S-EPA(pGVXN659)の発現プラスミド及びオリゴサッカリルトランスフェラーゼPglB(pGVXN939)の発現プラスミドを用いて、O25Bバイオコンジュゲートの生成のためにはpGVXN114及びpGVXN539(2S-EPAを生成)を用いて、形質転換した。O25Bバイオコンジュゲートは、IMACによるペリプラズムの抽出物からの引き続く親和性精製によって、2L振盪フラスコ中で生成した。O25Aのコンジュゲートを、流加発酵によって生成し、上記の方法セクションに記載のとおり、高圧ホモジナイゼーションによって生成した清澄化された全細胞ホモジネートから出発する2工程の精製手順で精製した。単糖組成分析を、上記で記載のとおり行った。
この結果によって、O25B由来のバイオコンジュゲート中にFucNAcのシグナルがないことが確認されたが、O25A含有バイオコンジュゲートは、対照と同じサンプル処理手順に単糖類の混合物を供することによって決定された予想の溶出時間でピークを示した。従って、O25Bの推定構造は、rfbクラスター、L-FucNAc不含の分析に基づいて予想されるとおりであることが確認された。
大腸菌のO25B O抗原由来のO抗原多糖(O-PS)の反復単位(RU)の完全な構造を、EPA担体タンパク質部分の部分的な酵素消化後にバイオコンジュゲートの核磁気共鳴によって決定した。この分析によって、O25B O-PSが、五糖体のRUから構成されることが確認された。
1H及び
13Cシグナルは、2D NMR相関技術によって割り当てられ、これによって、O25B O-PS RUの構造が、α-3-FucpNAc残基のα-3-Rhap残基(この残基のうち90%超が、C2位でO-アセチル化されている)での置換により、公開されたO25A O-PS RU構造(Kenne, L. ら1983. Carbohydr. Res. 122:249-256; Fundinら2003. Magn. Reson. Chem. 41:202-205)とは異なることが確認された。完全なO25B O-PS RUを下に示す(O25B'):
バイオコンジュゲート生成物及び特徴付け
O25A及びO25B多糖抗原をさらに分析するために、より多くのバイオコンジュゲート材料を生成した。O25Aについては、上記由来のO25A-EPAの精製バッチを、さらなる特徴付け実験に用いた。O25B-EPA産生のために、プラスミドpGVXN1076及びpGVXN970を用いて、ゲノムに組み込まれたO25Bクラスターを有する以下の株を構築した:W3110ΔwaaLΔgtrABSΔrfbO16::rfb(upec138)。この株は、W3110から出発して、Datsenko及びWannerの方法、並びに細菌染色体への大きいインサートの部位特異的組み込みのための相同組換え技術によって構築した(国際特許出願番号PCT/EP2013/071328を参照のこと)。
得られたO25Bバイオコンジュゲートは、標準的な放出及び特徴付けアッセイを用いて特徴付けた。バイオコンジュゲートを、2つの連続陰イオン交換及びサイズ排除クロマトグラフィー工程を用いて精製して、それぞれ、97.2及び98.1%純度のO25A及びO25Bバイオコンジュゲート調製物を得た。SDS PAGE定量を純度分析に用いた。図10(O25A)及び図11(O25B)を参照のこと。糖対タンパク質の比率を、アントロンアッセイ(Laurentin及びEdwards, (2003) Anal Biochem 315, 143-145を参照のこと)による糖定量、及び、タンパク質濃度についてはBCAアッセイに基づいて算出し、O25A及びO25Bバイオコンジュゲートについて、40.2%及び26.6%を得た。サイズ排除クロマトグラフィー分析によって、結合しているグリカン鎖を有するEPAの予想される流体力学半径と一致する単量体状態の粒子が示された。
適応
O25B構造の免疫原性能に取り組むために、O25B及びO25Aバイオコンジュゲートを用いるいくつかの前臨床実験を行った。図5に示されるとおり、実施例1でO25陽性として同定された全ての臨床単離体(すなわち、O25A及びO25B単離体の両方)は、ウエスタンブロットにおいて、O25血清型(O25A株E47a由来の血清をタイピング)を検出するために通常用いられるO25A抗血清で陽性であった。従って、抗O25A抗血清は、O25B株由来のLPSに対して交差反応性であると思われる。抗体応答及び交差反応性を詳細に分析するため、O25バイオコンジュゲートを生成した。マルトース結合タンパク質(MBP)を担体タンパク質として用い、その担体タンパク質を、O25A又はO25Bに結合させた。表4は、タンパク質産生に用いられた株を示す。用いた株は、それらのO25A又はO25B遺伝子型についてPCRによって同定した。発現は、TB培地中で行い、タンパク質生成物は、ペリプラズムの抽出物から精製した。
得られたバイオコンジュゲートを用いる免疫を、標準的なウサギの免疫プロトコール(ユーロゲンテック(eurogentech)28日スピーディプロトコール)を用いて行った。MBPに結合している50μgの多糖を、専有のフロイントのフリーの免疫賦活性化合物とともに0、7、8及び18日に注射した。最初の免疫の28日後に得た最終採血の抗血清を、O25A又はO25BのLPSに対するそれらの特異性について試験した。図22は、それぞれのLPS(O25A又はO25B)に対する抗血清反応性の比較を示す。LPSは、SDS-PAGE Laemmli緩衝液中の全細胞サンプルのプロテイナーゼK消化によってupec436及びupec138から調製した。同じ量のLPSを2つのSDS-PAGEゲルにロードし、続いて、ニトロセルロース膜へのエレクトロトランスファー、並びにO25A及びO25B抗血清を用いる検出を行った。その結果は、O25A抗血清は、O25B LPSよりも良好にO25A LPSを認識するが、O25B抗血清は、O25A LPSよりも良好にO25B LPSを認識することを示している。この結果は、自家抗原は、より良好な抗原を生成することを示している。従って、ワクチンへO25B抗原を含めれば、O25群の優勢なO25B臨床株に対してO25A抗原よりも良好な保護が得られる。
[実施例3]
大腸菌O1
構造データベースは、大腸菌O1の異なる亜血清型構造を列挙する。具体的には、O1A、O1A1、O1B、O1Cである。O1A及びO1A1は、構造的に同一であり、疾患に関連すると考えられるが、O1B及びCは、病原性であるとの報告は無く(Guptaら, (1992) J Bacteriol 174, 7963-7970を参照のこと)、O1単離体のうちで少数集団を示す。O1A/O1A1、O1B、及びO1Cの構造は、図12Bに示されている。実施例1のUPEC疫学研究におけるO1亜血清型分布を分析するために、この研究由来のいくつかの臨床単離体のO抗原構造を詳細に分析した。第一に、凝集アッセイでO1について陽性であることが決定された12の株のLPS構造をSDS PAGEによって分析した。図13(O1の銀染色及びウエスタンブロット)を参照のこと。
銀染色によって、O1臨床単離体由来の抽出物を含む全てのレーンにおいて典型的なLPSシグナルが示された。約10-15kDaという電気泳動移動度での強力な染色によって、脂質Aコアが示され、且つより遅い移動度のラダー様シグナルによって、異なる数のO抗原反復単位から構成される炭水化物ポリマーで改変された脂質Aコアが示される。異なる単離体由来のLPSを比較すると、相違は、モード長分布、個々のバンドの電気泳動移動度、及びラダーパターンで見られる。これらの観察に基づいて、3つの群が同定され得る:(i)ほとんどの単離体(upec002、upec010、upec032、upec140、upec108、upec143、upec276、upec399、及びupec425)は、シグナル強度及び平均鎖長(モード長分布)のみが異なる、個々のバンドの識別できない電気泳動移動度を示した、(ii)2つの単離体(upec119及びupec256)は、全ての反復単位LPSバンドにおいてわずかに速い移動度を有するようであり、このことは、異なる構造、例えば、脂質Aコアの異なる修飾を示す、及び(iii)単離体upec1096から得たシグナルは、ラダーではなくスメアとして現れ、このことは、異なるOPS構造を示している。図13Aを参照のこと。
ウエスタンブロッティングによる分析、及び抗O1抗血清を用いる検出によって、upec1096を除く全てに由来するLPSが、特異的なO1抗体によって検出されることが示されたが、それは交差反応性LPS分子であることを示している。このことは、単離体のうち11がO1であること、及びupec1096は、O1単離体とは異なる可能性が高いこと(すなわち、これは、凝集アッセイによって偽陽性であった)を意味する。
O1抗原の構造的類似性を詳細に分析するために、LLOの2AB標識及び高分解能順相HPLC技術を、上記のとおり用いた。図14Aは、11の臨床単離体のうち5つから得たクロマトグラムの積層を示す。OPSのフィンガープリンティングエリアは、110〜150分間の保持時間で出現する。このプロフィールは、全てのサンプルが、同一の分子構造を示す、同じ保持時間で出現するシグナルを有することを示している。観察される相違は、強度の分布、すなわち、平均最大シグナルの溶出時間、及び一般的シグナル強度であった。残りの6つの抽出物は、同じ溶出時間のピークを生じたが、強度に相違があった。サンプルupec1096のみが、ピークパターンに関して異なり、これによって、上記で注記された構造の相違が確認された。
MALDI-TOF/TOF分析による個々のピークの内容物のMS/MS分析を用いて、O1サンプル中の単糖類の配列を同定した(図14Bを参照のこと)。MS分析を、臨床単離体からではなく、upec032のrfbクラスターを有するコスミドを含むW3110ΔwaaL株から抽出されたサンプルから行った。50、80、96、及び108分の溶出時間で溶出するピークは、m/z=1021.4、1849.6、2693.9、3540.4という主な質量を含んでいた。MS/MS後に得られたフラグメンテーションイオンシリーズは、HexNAcの1、2、3、及び4反復単位、3つのデオキシヘキソース、及び分岐HexNAcと一致していた。このデータは、O1A亜血清型構造によってのみ説明できる。記載のピークシリーズは、臨床単離体においてUPPに結合されたO1 OPSに相当し、全ての連続的なピークは、前のピークと1反復単位ずつ異なる。
このデータによって、実施例1で記載される研究由来の臨床的UTI単離体における大腸菌のO1 O血清型について代表的な構造が、亜型O1Aであるという文献由来の記載が確認される。
O1A多糖を保持するバイオコンジュゲートを生成するために、W3110大腸菌株を遺伝子操作してO1A OPSを発現させた。得られた株は、W3110ΔrfbO16::rfbO1ΔwaaLであり、これはO1陽性臨床単離体のrfbクラスター(GU299791*,rmlB-wekOに及ぶクラスター)を含んでいた。O1A OPSを発現する宿主株を、相同組換えによって構築した。O1A臨床単離体のrfbクラスターは、rfbクラスターに隣接するDNA中のPCRオリゴヌクレオチドアニーリングを用いて増幅した。次いで、増幅したDNAを用いて、国際特許出願番号PCT/EP2013/071328に記載される相同組換えによる、十分特徴付けられた実験室株W3110の内因性O抗原クラスターを置き換えた。担体タンパク質pGVXN659の発現プラスミド及びPglB(pGVXN114, 939, 970, 971)の発現プラスミドを、形質転換によって挿入し、O1発現を確認した(図15及び図16を参照のこと)。
別の実験では、臨床のO1単離体upec032を遺伝子操作してバイオコンジュゲートを生成した。遺伝子操作には、臨床単離体の抗生物質感受性の表現型が考慮されることを必要とした。upec032ΔwaaLを構築して、担体タンパク質としてMBPを用いるバイオコンジュゲート生成のためにpGVXN939及びpGVXN579で形質転換した。担体タンパク質としてMBP及びEPAを用いることの利点は、多糖成分に対して交差反応性である(ただし担体に対しては交差反応性ではない)抗血清を両方とも生じる抗血清を生じる可能性である。このような抗血清は、例えば、多糖特異的なELISAアッセイを開発するためのコーティング剤として、前臨床実験の評価のための有用なツールである。
[実施例4]
大腸菌O6
大腸菌O6血清型は、今までに報告された最も高頻度のExPECである(George, D.B.及びManges, A.R. (2010) Epidemiol Infect 138, 1679-1690)。実施例1に記載の研究だけではなく、文献から取得したデータによっても、O6血清型は、多くのExPECが引き起こす徴候において上位4つの血清型に含まれるであることが確認される(図4を参照のこと)。
O6 OPSの2つの構造は、文献中で報告されている(Jannら, Carbohydr. Res. 263 (1994) 217-225、及びJanssonら, Carbohydr. Res. 131 (1984) 277-283を参照のこと)。報告されたO6抗原の構造を、図17Bに示す。それらは、Glc又はGlcNAcのいずれかである各々の分岐単糖以外は同一である。しかし、この文献は、UTIに関与する臨床単離体において優勢なO6構造を同定していない。
ワクチン目的のためのO6抗原の最も代表的な構造を選択するために、実施例1の研究からのO6凝集陽性臨床大腸菌単離体のOPS構造は、O1血清型について上記されるのと同じアプローチを用いて検討した。銀染色及び抗O6抗血清を用いるウエスタンブロッティングによって、抗O6血清に反応性でない12の臨床単離体のうち1つを同定したが、LPSは、全てのサンプルで銀染色され(示さず)、このことは偽陽性凝集結果を示している。しかし、Glc又はGlcNAcの相違は、ゲル上の電気泳動移動度シフトによって検出されないであろう可能性が高い。
詳細な構造分析のために、LLOフィンガープリント法を用いた。2つの報告された構造のいずれかについての参照として、報告された分岐のGlc(CCUG11309)及びGlcNAc(CCUG11311)を有する株からの抽出物を、分析に含めた。2つのHPLCトレースの比較によって、CCUG11309由来のサンプルの70.8、103.3、及び122.2分で溶出するピークシリーズ、及びCCUG11311サンプルについて68.8、100.3、及び118.3のシリーズが示される。図18Aを参照のこと。ピークは、そのピーク中に存在する主な質量についてのMS、及びこれらの主な質量の単糖配列のMS/MSによって分析した。このデータによって、予想されるGlcNAc分岐1、2、及び3のBRUポリマーに対応する、CCUG11311抽出物由来ピークシリーズm/z=1094.4、2027.6、及び2962(MSO154)について確認した。分岐Glcを有するm/z=1053.4、1945.7、及び2836.9は、CCUG11309(MSO138)と同一の2ABフィンガープリントピーク溶出時間を有する、CFT O6臨床単離体のクローニングされたrfbクラスターを発現するW3110株由来の抽出物中で以前に特定された。12の臨床単離体から得たクロマトグラムを、参照株と比較した場合、11のシグナルは、分岐のGlc残基を有するO6 OPSの指標であるピークシリーズを含んでいた。これらの11のクロマトグラムのうち5つは、図18Bに示される。O6特異的な溶出時間でのシグナルを生成しない1つのサンプルは、O6ではなく、すなわち、凝集試験から偽陽性である可能性が高かった。従って、Glc分岐を有するO6 OPS(図17B、上段)は、実施例1に記載の疫学から単離されたO6血清型の間で最も代表的な構造である。
O6Glc多糖を保持するバイオコンジュゲートを生成するために、W3110大腸菌株を、W3110 rfbクラスターを株CCUG11309由来のrfbクラスターで置き換えることによって、遺伝子操作しO6 OPSを発現させた。表7及び13を参照のこと。得られた株は、W3110ΔrfbO16::rfbCCUG11309ΔwaaLであり、これは、BRU中の報告されたGlc分岐を有するO6陽性の大腸菌株のrfbクラスターを含んでいた(上記を参照のこと)。O6Glc OPS発現性の宿主株は、相同組換えによって構築した。rfbクラスターは、rfbクラスターに隣接するDNA中でアニーリングするPCRオリゴヌクレオチドを用いて増幅した。次いで、この増幅したDNAを用いて、国際特許出願番号PCT/EP2013/071328に記載の相同組換えにより、十分特徴付けられた実験室株W3110の内因性O抗原クラスターを置き換えた。担体タンパク質の発現プラスミド、及びPglBの発現プラスミドを、形質転換によって挿入し、EPAでの予想されるOPSの発現を、ウエスタンブロッティングによって確認した。
[実施例5]
大腸菌O2
O2多糖の反復単位構造は、1987年以降知られてきた(Janssonら, (1987) Carbohydrate research 161, 273-279)。これは、図19Bに示される。2つのO2 O抗原遺伝子クラスター配列は、公的データベースから入手可能である(GenBank EU549863及びGU299792)。比較分析が行われ、グリコシルトランスフェラーゼ活性が示唆されていた(表5; Fratamicoら, 2010, Canadian journal of microbiology 56, 308-316;及びLiら, (2010) J Microbiol Methods 82, 71-77)。
構造及び遺伝子の相同性の比較によって、ポリマーの生合成のための全ての機能が以下のとおり存在することが示された:
rmlBDACは、グリコシルトランスフェラーゼwekPORによる骨格へのL-Rhaの追加のための基質である、dTDP-L-ラムノースの生合成に必要な酵素をコードする、
fdtABCは、分岐のグリコシルトランスフェラーゼにdTDP-D-Fuc3NAcを提供する、
細胞質からペリプラズムへのUnd-PP-結合反復単位のフリッピングを担うwzy及びwzxホモログ、並びに
wekPORは、推定グリコシルトランスフェラーゼであり、O2 BRUのグリコシド結合を形成することが予測される(3つのL-Rha及び1つのL-FucNAc)。
公開されたO2 rfbクラスター配列で見出されるwekS遺伝子は、推定上の膜結合スルファターゼであり、従って、BRU形成に関与しない可能性が非常に高い。これは、1酵素1結合規則を仮定した場合、wekPORの群の中の1つの酵素が、4つのグリコシド結合を提供するために二機能性でなければならないことを意味するであろう。
1酵素1結合規則は、絶対ではないことが複数の例で示されており、結合よりもグリコシルトランスフェラーゼが少ないことは、例えば、シゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri)Y、S.フレクスネリ6、C.ジェジュニ、及び大腸菌のO1Aで公知である。これらの例では、多機能性のグリコシルトランスフェラーゼは、2つ以上のグリコシド結合の形成を担い、それらは、「二機能性」又は「多機能性」である。常に、これは、複数回添加される同じ単糖である。反復性のラムノース残基(血清型O2で見出される)は、しばしばこのような多機能性の酵素に関連する。
wekS配列に隣接する末端短縮化されたトランスポゾンエレメントの存在に起因して、wekS遺伝子座は、DNA組換え事象によってrfbクラスターに挿入されたことが推測された(Fratamicoら, 2010, Canadian journal of microbiology 56, 308-316)。wekS遺伝子座のトランスポゾン媒介性挿入によって、O2 OPS生合成が、前のwekS存在なしで存在したことが示され、従って、wekSは、O2 OPSポリマーの合成に必要ではないであろう。この仮説を確認するために、O2 OPS形成では、wekS遺伝子を欠くO2 rfbクラスターを含む、「クリーンな」ゲノムバックグラウンドを、組換え発現系で再構成した。これを達成するために、W3110株由来のO抗原クラスターを、wekSのDNAを欠くO2陽性株upec116由来のrfbクラスターによって置き換えた。染色体置換は、国際特許出願番号PCT/EP2013/071328に記載のように相同組換えによって行った。得られた株は、W3110ΔwaaLΔrfbW3110::rfbO2ΔwekSであった。OPSを、O1A及びO6 OPS(上記を参照)について行われたように、調製し、2AB標識及び順相HPLC及び蛍光検出によって分析し、順相HPLCによって分析(図21)して、野性型株CCUG25由来のシグナルと比較した。分析によって、40〜140分の溶出時間の間に一連の重複するピークが生じた。
rfbO2クラスター依存性ピークシリーズのMS分析によって、連続的なピークの中の同じ相違を有する主な質量が示された(すなわち、単一のO2 RUのもの)。
それぞれのピーク中で収集された分子のMS分析を行って、OPSの構造を分析した。野性型株CCUG25から得た43.5、73.1、81.4及び90分で得たピークを収集して、MS及びMS/MSによって分析した。予想される1、2及び3反復単位O2 OPS分子と適合する質量及びYフラグメントイオンシリーズを見出した(m/z=989.4(図23)、1817.8、2646.1、全てNa+付加体)。
臨床単離体由来のO2 OPSを確認するため、12個のクローンを、O1血清型について上記されたようにそれらのOPS構造に関して分析した。第一に、LPSを調製して、銀染色及びウエスタンブロッティングによって分析した。結果を、図20に示す。全てのサンプルが、2つの明らかに異なる平均ラダー長を有するラダー様のバンドパターンを示した。抗O2抗血清は、全てのLPSサンプルを検出したが、このことは、凝集が全ての単離体をO2血清型として正確に同定したことを示している。
O2多糖を保持するバイオコンジュゲートを生成するために、W3110ΔwaaLΔrfbW3110::rfbO2ΔwekSを用いた。担体タンパク質の発現プラスミド及びPglBの発現プラスミドを、形質転換によって挿入し、EPA上の予想されるOPSの発現を、ウエスタンブロッティングによって確認した。表7及び13及び上記を参照のこと。
[実施例6]
種々のO抗原の免疫学的分析
選択された抗原性多糖類を含むバイオコンジュゲートの免疫学的能力を評価するために、前臨床試験を行った。O1A-EPA、O2-EPA、O6Glc-EPA及びO25B-EPAバイオコンジュゲートを生成し、精製して、上記及び方法のセクションに記載のように特徴付けた。
精製されたバイオコンジュゲートを用いて、9週齢の雌Sprague Dawleyラットを免疫した。同じ用量の100μl溶液を、筋肉内に(i.m.)1日、22日、及び43日後に、ラットに注射して、このラットを56日後に最後に採血して、屠殺した。
異なる群のラットには異なるワクチン(常に製剤されておらず、表6に示されるようにバイオコンジュゲート単独、又は組み合わせて含む)を与えた。waaL陽性株で生成された同族のLPSでコーティングしたELISAプレートを用いて、最初の注射の56日後の最終採血の時点でのラット血清のELISA力価の形成における免疫原性を測定した(図25-28)。まとめると、統計学的に有意な免疫原性が、対照(非グリコシル化EPA又はTBS緩衝液)に対して測定した全てのワクチン群について観察された。従って、選択され生成されたバイオコンジュゲートは、有用なワクチン候補化合物である。
試験した全てのO抗原-EPAコンジュゲートについて、統計学的に有意な免疫原性が、対照(非グリコシル化EPA又はTBS緩衝液)に対して測定した全てのワクチン群について観察された。従って、選択され生成されたバイオコンジュゲートは、O抗原特異的な抗体の誘導のための有用なワクチン候補化合物である。
[実施例7]
バイオコンジュゲートの物理化学的な特徴付け
上記の実施例に記載の4つのバイオコンジュゲート(担体タンパク質としてEPAにそれぞれコンジュゲートされたO25B、O1A、O2及びO6のO抗原)を、一価バッチ(活性な医薬品成分、API)として調製するか、又はExPECに対する多価ワクチンとして単一調製物中で組み合わせた。種々のバッチを生成した:前臨床バッチ、毒性研究バッチ、及び臨床バッチ。表7は、コンジュゲートの生成のために用いた宿主株を示す。
従って、4つの一価前GMPバッチ及び非グリコシル化EPA参照標準品を、多角度光散乱を用いたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC-MALS)で分析して、個々のバイオコンジュゲートのモノグリコシル化及びジグリコシル化の程度を定量し、タンパク質担体及びそれに結合されたO-PSの分子量(MW)を決定した。サンプルを、リン酸緩衝液(pH7.0;50mM NaCl、150mMリン酸ナトリウム)中でTSKgel-G3000 SWxlカラム上で分離して、UV(214及び280nm)、屈折率(RI)及び多角度光散乱(MALS)によってモニターした。
非グリコシル化EPA担体タンパク質について、63-67kDaのMWが決定された(アミノ酸配列に基づく理論上のMWは70.5kDa)。バイオコンジュゲートにおいて、EPAのみが280nmで検出され、これによって、そのMWを、RI及びMALSで測定した総MWから導くことが可能になる。このバイオコンジュゲートでは、EPA部分の測定されたMWは、65-71kDaであった。
前GMP API生成物標準品の分析は、表8に示しており、これは、それぞれ75-79kDa、及び87-91Kdaの範囲のMWを有する、モノグリコシル化及びジグリコシル化コンジュゲートの存在を示している。O-PS部分は、それぞれ、ジグリコシル化種について16-24kDa、及びモノグリコシル化種については8-14KDaのMWを示した。各々の血清型のRUのMWを考慮すれば、多糖鎖あたり平均数10-16のRUが決定され、これはヒドラジン分解及びMSデータとよく一致していた。
Tris緩衝生理食塩水(TBS)中に製剤化されたO25Bバイオコンジュゲートバッチの円偏光二色性(CD)分析によって、pH6.8〜7.4の製剤は、公開されたEPAの結晶構造に基づいて予想されるような、αらせん及びβシート構造の混合物を有する、非グリコシル化EPA担体タンパク質のものと同様のスペクトルを有したことが示された。従って、これらのCD分析に基づけば、O25B O-PS鎖でのグリコシル化は、EPA担体タンパク質の二次構造に影響するとは思われなかった。
pH6.8〜7.4のTBS中、及びpH7.1〜7.8のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の、O25Bバイオコンジュゲートバッチ製剤の示差走査熱量測定(DSC)分析によって、約52℃の融点を有する、非グリコシル化EPAのものに匹敵する融解曲線が示された。この結果は、EPA担体タンパク質の生物物理学的特徴が、O25B O-PS鎖での改変の際に変化しなかったことを示した。
[実施例8]
一価バルク及び四価のワクチン調製物の安定性
大規模生産に先立ち、製造プロセスの整合性を小規模で評価した。一貫性バッチを、加速及びストレス保管条件を含む広範な安定性研究で評価して、分解経路を特定した。4つの一価ワクチン成分(API)の安定性を、3カ月間にわたって試験した。
前臨床APIの安定性データの分析によって、-75±15℃(正常な保管条件)で保管した場合の、少なくとも3カ月にわたる安定性が示された。統計学的な有意な傾向は、統計学的な線形回帰分析によって意図される保管条件では観察されなかった。また、加速保管条件(+5±3℃)及びストレス保管条件(+25±5℃)でも、安定性を示すパラメーターの変動の低さで証明されるとおり、生成物は少なくとも3カ月にわたって安定であった。O1A前臨床APIのデータは、表9に示される。3つの他の血清型(O2、O6、O25B)によって、同様の安定性データが実証された。
四価のワクチン組成物(O25B、O1A、O2及びO6バイオコンジュゲート)の安定性を、3カ月にわたって試験した。この研究は、分解経路を特定するために加速保管条件及びストレス保管条件を含んだ。得られたデータは、GMP IMP(試験用医薬生成物、四価ExPECワクチン組成物)保存期間の初期正当性に適していると考えられる。
四価のExPECワクチン前臨床バッチの安定性データの分析によって、表10に示されるように、+5±3℃(正常な保管条件)で保管した場合少なくとも3カ月にわたる安定性が示された。統計学的に有意な傾向は、統計学的な線形回帰分析によって、意図した保管条件では観察されなかった。また、加速された保管条件(+25±5℃)でも、安定性を示すパラメーターの変動の低さで証明されているとおり、生成物は安定であった。
まとめると、これらの研究は、API及び四価ExPECワクチン組成物は、少なくとも3カ月にわたって安定であり、従って、安定性に関して適切なワクチン組成物であることを実証している。
[実施例9]
四価のワクチン調製物についての毒性の研究
1日目及び14日目のSprague Dawleyラットにおける、2回の筋肉内投与(大腿四頭筋を処置に用いた)後の四価のワクチン調製物(O25B、O1A、O2及びO6バイオコンジュゲート)の毒性及び局所耐性を評価した。何らかの変化の可逆性、永続性又は遅延型の出現を、28日目に14日の回復期間後に評価した。主たる群(ワクチン接種群及び対照群の両方に関して、10匹の雄及び10匹の雌)での動物の剖検は、17日目に、そして回復群(ワクチン接種群及び対照群の両方に関して、5匹の雄及び5匹の雌)については、28日目(14日の回復期間の後)に行った。これは、処置に起因し得る有害とみなされる何らかの効果を伴わなかった。投与される用量、すなわち、1日目及び14日目に投与される、O抗原あたり4μgの全ヒト用量相当量(四価ワクチンに関して16μgの総O抗原)は、本研究の条件下での四価ExPECワクチンについて有害効果が観察されないレベル(no-observed-adverse-effect-level)(NOAEL)と考えられた。さらに、四価ExPECワクチンの免疫原性は、血清サンプルの評価後、17日目及び28日目の両方で確認した。ワクチン接種群では、製剤緩衝液(25mM Tris、130mM NaCl、2.7mM KCl、pH7.4)のみを投与された対照と比較して、抗O1A、抗O2、抗O6及び抗O25BのIgG抗体のより高い力価が誘導された。
これらのデータは、四価ExPECワクチンが、ワクチンとしての投与のために適切な毒性プロファイルを有しており、且つワクチン中に存在するO抗原由来の少なくとも4つ全ての大腸菌血清型(すなわち、O25B、O1A、O2及びO6)に対する抗体を誘導することを確認している。
[実施例10]
細菌に関連するO血清型の疫学
高齢者における腸管外大腸菌が生じる菌血症の中でのO血清型分布を決定するために、疫学的研究を、60歳齢を超える患者から収集した一群の大腸菌血液単離体で行った。全部で、2011-2013年間の860例の血液単離体を、米国、英国、ドイツ、スペイン及びオランダの対象から収集して、古典的なO凝集によって分析した。表11に示すとおり、細菌単離体のO血清型分布は、尿路感染に罹患した患者で見出されるO-血清型分布に似ていた(UTI,表1Aを参照のこと)。血清型O25は、研究した菌血症集団で最も流行していた。57の単離体のPCRによるサブタイピングによって、O25血清型のうち56例(98%)がO25B血清型として分類できることが示された。両方の標的集団(UTI及び菌血症)で、血清型O1、O2、O6、及びO25が4つの最も広まった血清型として同定された。全体として、これらのデータは、尿路感染及び菌血症単離体の両方の間の血清型分布は、高度に類似しており、地理的場所、単離の時期及び適応とは独立していることを確認している。
[実施例11]
機能性抗体応答の誘導
上記の一価及び四価のワクチン製剤を用いたワクチン接種後に上昇した抗体の機能性を、in vitroのオプソニン作用(opsonophagocytic)殺傷(OPK)アッセイで検討した。このタイプのアッセイは、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)(Prevenar(登録商標))に対するコンジュゲートワクチンについての保護との相関があると認められている。OPKアッセイでは、種々の大腸菌血清型のオプソニン貪食作用及び殺傷を容易にする血清の能力を測定する。96ウェルのプレートで、サンプル血清の規定の希釈物を、各々のウェル中で、以下とともにインキュベートした:4つのワクチン特異的大腸菌血清型のうちの1つ由来の細菌、規定の量のHL60細胞、及び幼若ウサギ補体。インキュベーション後、混合物の一部を、トリプチックソイ寒天(TSA)上にスポットして、細菌コロニーの数をカウントした。抗体が細菌細胞に結合し、補体の沈着を活性化し、HL60細胞による細菌の取り込み及び殺傷を媒介する能力を、オプソニン力価として表した。オプソニン力価又はオプソニン係数(OI)は、細菌細胞のうち50%を殺傷する血清の希釈に相当する。免疫前血清及び免疫後血清についてのオプソニン係数を得る。免疫前から免疫後への4倍を超えるOIの増大を有意とする。3つの血清型O2、O6Glc及びO25BについてのOPKアッセイを行った。
一価ワクチンによって誘導される抗体応答の機能性
O25B、O1A、O2及びO6Glcバイオコンジュゲートのワクチン誘導性の抗体応答の機能的な活性を評価するために、ワクチン接種されたラット由来の血清を、オプソニン作用殺傷(OPK)アッセイを用いて分析し、これによって、in vitroの補体依存性及び抗体依存性の細菌(例えば、大腸菌)食作用及び殺傷を測定する。大腸菌を、ワクチン接種したラット由来の血清の希釈物を用いて前オプソニン処理し、補体及び食細胞(分化したHL60細胞)とともにインキュベートし、コロニー形成単位(CFU)を決定した。引き続き、最大殺傷%及びオプソニン係数(OI:大腸菌の50%を殺傷する血清希釈)を算出した。OPK試験のために選択した大腸菌は、OC 24453(血清型O2)、OC 24781(血清型O6Glc)及びOC 24176(血清型O25B)であった。図29に示されるとおり、O2-EPA(図29A)、O6Glc-EPA(図29B)及びO25B-EPA(図29C)に対する力強い機能的免疫応答が観察された。
このデータによって、本明細書に記載されるワクチン成分は、大腸菌血清型(これに由来するO抗原がワクチンに含まれる)に対する抗体応答を誘導すること、及びこのような抗体応答は、これらの血清型に由来する大腸菌を殺傷するのに機能的であることが実証されている。
四価のワクチンによって誘導される抗体応答の機能性
表12は、O抗原あたり0.4又は4μgのいずれかの四価ワクチンで免疫された動物由来の抗原O2、O6Glc及びO25Bの総OI力価を示す。この力価は、2つの別の実験で決定された。0.4μgの用量で、O2及びO6Glc血清型について全ての動物で有意なOIが誘導された。O25Bについては、3匹/8匹の動物が、0.4μgの用量での免疫後にOIの有意な増大を示した。0.4μgの用量と比較して、4μgの用量では、全ての動物においてO2について、より低いOIの増大を誘導した。3匹/8匹の動物が、4μgの用量の群由来の血清をO25B大腸菌に対して試験した場合、OI増大を示した。このデータは、四価ワクチンが、O2、O6Glc及びO25Bに対するO抗原特異的オプソニン抗体を惹起できることを確認している。
このデータによって本明細書に記載のワクチン成分が、大腸菌血清型(これに由来するO抗原がワクチンに含まれる)に対する抗体応答を誘導すること、及びこのような抗体応答は、これらの血清型に由来する大腸菌を殺傷するのに機能的であることが実証されている。
最大殺傷%及びオプソニン係数(OI:大腸菌の50%殺傷の血清希釈)を、算出した。OPK試験のために選択した大腸菌は、OC 24453(血清型O2)、OC 24781(血清型O6Glc)及びOC 24176(血清型O25B)であった。O2-EPA、O6Glc-EPA及びO25B-EPAに対する力強い機能的免疫応答が観察された。
[実施例12]
再発性尿路感染(RUTI)の臨床歴がある女性における尿路疾患性大腸菌に対する候補ワクチンの評価
大腸菌バイオコンジュゲートワクチンを、第I相臨床試験で用いる。このワクチンは、生理食塩水緩衝溶液中に4つのバイオコンジュゲートを含む。4つのバイオコンジュゲートは、(i)EPA担体タンパク質にコンジュゲートされた大腸菌O1A、(ii)EPA担体タンパク質にコンジュゲートされた大腸菌O2、(iii)EPA担体タンパク質にコンジュゲートされた大腸菌O6Glc及び(iv)EPA担体タンパク質にコンジュゲートされた大腸菌O25Bである。
この研究集団には、前12カ月で3回以上の独立したエピソード又は最後の6カ月で2回以上のエピソードとして規定された、再発性尿路感染(RUTI)の病歴があり、年齢が18歳以上70歳までの194人の健常な女性を含む。尿路感染(UTI)エピソードの少なくとも1つは、大腸菌によって生じ(単一の病原体又は多重微生物感染の一部として)、その原因は、培養で確認されて、記録された。この研究の目的のために、UTIは、中間尿中で103CFU/ml以上の尿路病原体という細菌数(CFU)と共に、少なくとも1つの特定されたUTI症状(排尿障害、切迫感、高頻度、横腹の痛み、膀胱の圧痛、上陰部の疼痛、熱、悪心、嘔吐)の存在によって規定される。
この研究は以下の2つの群を含む:(i)ワクチン候補及び(ii)プラシーボ。この研究は、RUTIの病歴がある健常女性での、非同時的無作為化単盲検プラシーボ対照多施設研究である。
研究の推定の登録期間は4カ月であって、各々の対象について9カ月の追跡期間である。
この研究の目的は、大腸菌バイオコンジュゲートワクチンの安全性、免疫原性及び有効性を評価することである。
研究のデザイン
対象を、注射後9カ月間追跡し、注射された対象のみ、研究期間を通じて追跡する。対象は、以下の全部で5回の計画的受診に参加する:スクリーニング(第1の受診)、1日目(第2の受診)、7日目、30日目、及び270日目。対象は、2日目、90日目、150日目及び210日目に4回のフォローアップの電話を受ける。
UTIの出現に起因する計画外の受診は、統一した治療選択肢を用いる標準的治療を含む。尿及び血液を(もし可能なら)、診断及び血清型決定目的のために収集する。自発的報告の有害事象(AE)及び重篤な有害事象(SAE)は、研究期間の間記録し、一方で、非自発的報告のAEは注射後7日間記録する。
各々の受診では、新しいダイアリーカードを対象に与えて、前のものについて議論する。
用量設定及び投与
最初の受診では、インフォームドコンセントを得た適格な対象をスクリーニングして、組み入れ/除外基準の順守を確認する。血液を採取して、尿を収集する。
受診2(1日目)で、各々の対象は、三角筋に0.5mlの溶液(ワクチン候補又はプラシーボ)の筋肉内注射を受ける。減少した量の候補ワクチンは、各々の多糖を1μg含む(総量4μgの多糖)。候補ワクチンの標的用量は、各々の多糖を4μg(総量16μg多糖)含む。
目的
主な目的は、研究期間を通じてプラシーボ群と比較して、候補ワクチン注射後の非自発的及び自発的な報告の有害事象(AE)及び重篤な有害事象(SAE)の出現、強度、関係及び期間を評価することである。
二次的な目的は、(i)プラシーボ群に比較して候補ワクチンの注射前(最初のスクリーニング時及び1日目)及び注射後(7日目及び30日目)の血液学的及び生化学的な安全性エンドポイントにおける変化を比較すること、(ii)ベースライン(1日目)と注射後(30日目及び270日目)との間の候補ワクチンの免疫応答を評価すること、(iii)最も関連する有効性エンドポイントとして全研究期間の間、候補ワクチン又はプラシーボを注射された、2つの群の間の大腸菌ワクチン血清型によって引き起こされた症候性尿路感染(UTI)エピソードの数を比較すること、(iv)研究期間の間、プラシーボ群と比較したワクチン群におけるワクチン血清型特異的な大腸菌UTIの出現の頻度を評価すること、及び(v)研究期間の間、プラシーボ群と比較したワクチン群におけるワクチン血清型特異的な大腸菌UTIの臨床症状の強度及び期間を評価することである。
予備的目的は、(i)研究期間全体にわたってプラシーボ群と比較したワクチン群における任意の大腸菌血清型によって引き起こされたUTIの発症率を比較すること、及び(ii)研究期間を通じてプラシーボ群と比較したワクチン群における任意の病原体によって引き起こされたUTIの発症率を比較することである。
組み入れ基準
研究の組み入れ基準は、以下のとおりである:(i)再発性UTIの病歴を有する女性対象であって、以下として定義される:前の12カ月に3回以上のUTIの独立したエピソード、又は最近の6カ月に2回以上のUTIのエピソードがある、最近5年の間の少なくとも1回のUTIが大腸菌によって(単独の病原体として、又は多数の菌の感染の一部として)引き起こされ、培養確認され、記録された、(ii)18歳以上且つ70歳以下、(iii)スクリーニングの受診及び注射の日(受診2)に症候性のUTIの継続も疑いもない健康状態の対象、(iv)全身的に良好な健康状態であって、治験者の臨床判断の際に臨床上有意な医学的既往も、物理的検査所見も、臨床検査値異常もない、並びに(v)プロトコールの全ての態様を説明され、完全に理解した後、研究の参加を望み、書面によるインフォームドコンセントフォームが得られる。
除外基準
研究の除外基準は、以下のとおりである:(i)スクリーニングの受診前1年に10回を超える再発性UTIの病歴、(ii)スクリーニング前7日以内に短期の尿路カテーテルの使用、(iii)スクリーニング前30日以内の継続的なカテーテルの使用、(iv)何らかの解消されていない尿路疾患/異常の病歴、(v)免疫機能の障害の証拠、(vi)重大な心血管、肝臓、腎臓の疾患及び/又は不全、(vii)制御されていない糖尿病、(viii)血液学、血清化学又は尿検査のスクリーニング結果における重大な異常、(ix)HIVについて陽性の試験及び/又はHBV若しくはHCVの証拠、(x)BMI>34、(xi)最近3カ月のUTI予防のための事前の免疫刺激療法(例えば、Urovaxom(登録商標)、Strovac(登録商標)又はUrovac(登録商標))、又は研究期間の間の計画的な使用、(xii)免疫機能に影響することが公知の何らかの医薬の現在の使用(例えば、コルチコステロイド≧0.5 mg/kg BW/日)、(xiii)注射前6カ月未満で新しく開始され、研究の間継続されるか、又は能動的な研究期間の間に開始が計画されたUTI関連膣エストロゲン治療の使用、(xiv)注射に先行する1週間以内の何らかの抗生物質治療の使用、(xv)研究期間の間のUTI予防のための性交後抗生物質の計画的な使用、(xvi)注射の前30日及び後30日以内に計画される何らかのワクチン接種、(xvii)参加に先行する60日間における、及び研究の期間中の他の臨床トライアルへの参加、(xviii)注射に先行する3カ月における免疫グロブリン又は血液生成物での事前の処置、(xix)ワクチンの任意の成分に対する公知の過敏性、(xx)治験者の意見で研究への参加を除外する、重大な医学的又は精神医学的条件の存在、(xxi)注射の時点での急性の病気、(xxii)妊娠検査が陽性であるか、又は有効な避妊法の使用を拒む、出産可能な女性、(xxiii)研究期間を通じていずれかの時点で授乳中の女性、(xxiv)研究の期間の間に計画された、選択的手術の介入がある対象、並びに(xxv)治験者の意見で、研究に参加することから有害な転帰を有するリスクが増大するであろう何らかの他の重大な所見。
統計学的方法及び分析
記述統計学(n、平均、標準偏差、連続変数の中央値及び範囲、カテゴリー変数の頻度及びパーセンテージ)は、適用可能な場合、処置群及び/又は受診毎に提供される。全てのデータを、対象、処置群及び(適用可能な場合)受診毎に一覧にする。プラシーボを投与されているB群由来の全対象を合わせて、プラシーボ処置群を構成する。
[実施例13]
第I相臨床試験の結果
本実施例は、実施例12に記載の第I相臨床試験の中間解析の特定の結果を示す。
12.1:安全性
有害事象及び重篤な有害事象の出現は、プラシーボ群とワクチン接種群との間で同等であった。10例の重篤な有害事象が報告され、治験薬に関連したものはなかった。
12.2:免疫原性
ワクチン成分の免疫原性を評価するために、臨床試験に参加する女性由来の血清を得て、ELISAによって分析して、四価のワクチンに含まれる4つの異なるO抗原(大腸菌O1、大腸菌O2、大腸菌O6、及び大腸菌O25B)に対するIgGを定量した。
ワクチン接種した女性由来の血清をO1A、O2、O6Glc及びO25B-LPS及びEPAでコーティングしたプレート中でインキュベートした。引き続き、プレートを、HRPで標識した二次抗体(抗ヒトIgG)とともにインキュベートした。結合している抗体を、TMB基質を用いて検出して、吸光度を測定した。EC50値は、4PLフィッティングによって算出した。
図30に示されるとおり、O1A-EPA、O2-EPA、O6Glc-EPA及びO25B-EPAに対する力強い免疫応答が、ワクチン接種した女性の大多数で生じた。
これらのデータは、この四価のワクチンの各々の成分の免疫原性を実証している。
12.3:機能的な抗体応答
OPKアッセイ(in vitroで補体及び抗体依存性の大腸菌食作用及び殺傷を測定する)を用いて、臨床試験に参加している女性の機能的な抗体応答を評価した。
血清を、研究参加者から収集した。大腸菌を、ワクチン接種した女性由来の血清の希釈物を用いて前オプソニン化して、補体及び食細胞(分化したHL60細胞)とともにインキュベートし、残りのコロニー形成単位(CFU)を決定した。その後、最大殺傷パーセント及びオプソニン係数(OI:大腸菌の50%を殺傷する血清希釈)を算出した。OPK試験のために選択した大腸菌は、OC 24452(血清型O1A)、OC 24453(血清型O2)、OC 24454(血清型O6Glc)、及びOC 24176(血清型O25B)であった。
図31に示されるとおり、O1A-EPA(図31A)、O2-EPA(図31B)、O6Glc-EPA(図31C)、及びO25B-EPA(図31D)に対する力強い免疫応答が観察された。
これらのデータは、この四価のワクチンの各々の成分が、血清型特異的抗体応答を誘導すること、及びこのような抗体応答が、これらの血清型由来の大腸菌を殺傷するのに機能的であることを実証している。従って、本明細書に記載のワクチン組成物は、ヒトで機能的である。
12.4: O25B-EPAを含む四価O抗原コンジュゲートによる免疫は、ヒトにおけるO25A/O25B交差反応性IgG抗体を惹起する
2つの公知の大腸菌O25の血清型亜型、O25A及びO25Bに対するワクチン誘導性血清IgG抗体の交差反応性のレベルを決定するために、ワクチン接種対象由来の血清の連続希釈物を、精製したO25A LPS、O25B LPS、又はインタクトな細菌細胞とともにインキュベートして、ELISAで試験した。
図32に示されるとおり、ワクチン接種後30日のO25A LPS(黒いバー)及びO25B LPS(灰色のバー)に対する反応性を試験した場合、同様のEC50値が観察された。全体的なデータは、O25Bバイオコンジュゲートが、O25Bについて、及びO25Aについて十分機能するが、ほとんどの症例/被験体で、O25Bは、O25Aに比較してO25Bに対する抗体応答に関してわずかに優れて働くことを示している。この結果は、いくつかの天然のバリエーションの出現で、この四価ワクチンは、O25A及びO25Bの両方のLPSを認識する抗体を誘導することを実証している。同じことが、全細菌細胞及び複数のO25A/O25B株について当てはまるかどうかを試験するために、血液又は尿のいずれかに由来する臨床的なO25A又はO25B単離体のセットに対する反応性も試験した。この場合、血清型O75株(四価ワクチンにはない血清型)を陰性対照として用いた(図33の灰色の破線)。図33で実証されるとおり、ワクチン誘導された血清IgG抗体は、個々のO25株の各々に対して強力な応答を示した。株と株とのバリエーションは明らかであったが、O25A株(黒い線)及びO25B株(灰色の線)に対する反応性が観察された。これらのデータは、四価ワクチンのO25Bワクチン成分が、O25A及びO25B精製LPSの両方並びに大腸菌のO25A及びO25B株を認識する抗体を惹起することを実証している。
下の表13及び14は、上述の実施例で用いた、それぞれ、特定の株及びプラスミドの詳細を示す。
本明細書に記載の実施形態は、単なる例示を意図するものであって、当業者は、本明細書に記載の特定の手順に対する多数の等価物を、認識するか、又は慣用的な実験を用いて解明ことができる。全てのこのような等価物は、本発明の範囲内であるとみなされ、以下の特許請求の範囲によってカバーされる。
本明細書に引用される全ての引用文献(特許出願、特許及び刊行物を含む)は、あたかも各々の個々の刊行物又は特許又は特許出願が全ての目的のためにその全体が参照によって具体的に且つ個々に援用されると示されるのと同じ程度まで、その全体が参照によって、且つ全ての目的のために、本明細書に援用される。
7.実施形態
実施形態1:
1. 以下:
a.rfb(upec138)遺伝子クラスター(配列番号12)、rfb(upec163)遺伝子クラスター又はrfb(upec177)遺伝子クラスター、
b.オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列、及び
c. コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質をコードするヌクレオチド配列
を含む原核宿主細胞。
2. 以下:
a.rmlB、rmlD、rmlA、rmlC、wzx、wekA、wekB、wzy、wbbJ、wbbK及びwbbL、
b.オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列、
c.コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質をコードするヌクレオチド配列
を含む原核宿主細胞。
3. 原核宿主細胞であって、以下:
a. 下記:
i.dTDP-グルコース4,6-デヒドラターゼ、
ii.dTDP-6-デオキシ-D-グルコース3,5-エピメラーゼ、
iii.グルコース-1-リン酸チミジリルトランスフェラーゼ、
iv.dTDP-4-デヒドロラムノース3,5-エピメラーゼ、
v.O抗原フリッパーゼ、
vi.dTDP-Rha:Glc-Rha(Ac)-GlcNAc-UPPα-1,3-ラムノシルトランスフェラーゼ、
vii.UDP-Glc:Glc-Rha(Ac)-GlcNAc-UPPβ-1,6-グルコシルトランスフェラーゼ、
viii.O抗原ポリメラーゼ、
ix.O-アセチルトランスフェラーゼ、
x.UDP-Glc:Rha-GlcNAc-UPPα-1,3-グルコシルトランスフェラーゼ、及び
xi.dTDP-Rha:GlcNAc-UPPα-1,3-ラムノシルトランスフェラーゼ、
をコードするヌクレオチド配列、
b.オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列、
c. コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)を含む担体タンパク質をコードするヌクレオチド配列
を含む原核宿主細胞。
4. 請求項3に記載の宿主細胞であって:
a. dTDP-グルコース4,6-デヒドラターゼが、配列番号1によりコードされるdTDP-グルコース4,6-デヒドラターゼと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、
b. dTDP-6-デオキシ-D-グルコース3,5-エピメラーゼが、配列番号2によりコードされるdTDP-6-デオキシ-D-グルコース3,5-エピメラーゼと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、
c. グルコース-1-リン酸チミジリルトランスフェラーゼが、配列番号3によりコードされるグルコース-1-リン酸チミジリルトランスフェラーゼと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、
d. dTDP-4-デヒドロラムノース3,5-エピメラーゼが、配列番号4によりコードされるdTDP-4-デヒドロラムノース3,5-エピメラーゼと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、
e. O抗原フリッパーゼが、配列番号5によりコードされるO抗原フリッパーゼと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、
f. 前記(xi)のラムノシルトランスフェラーゼが、配列番号6によりコードされるラムノシルトランスフェラーゼと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、
g. 前記(xii)のグルコシルトランスフェラーゼが、配列番号7によりコードされるグルコシルトランスフェラーゼと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、
h. O抗原ポリメラーゼが、配列番号8によりコードされるO抗原ポリメラーゼと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、
i. O-アセチルトランスフェラーゼが、配列番号9によりコードされるO-アセチルトランスフェラーゼと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、 j. 前記(x)のグルコシルトランスフェラーゼが、配列番号10によりコードされるグルコシルトランスフェラーゼと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、及び
k. 前記(xi)のラムノシルトランスフェラーゼが、配列番号11によりコードされるラムノシルトランスフェラーゼと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、
宿主細胞。
5.宿主細胞が大腸菌である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の宿主細胞。
6.waaL遺伝子、gtrA遺伝子、gtrB遺伝子、gtrS遺伝子及びrfbクラスターのうち少なくとも1種が前記宿主細胞のゲノムから欠失している、又は機能的に不活性化されている、請求項5に記載の宿主細胞。
7.担体タンパク質が、無毒化された緑膿菌外毒素A(EPA)、CRM197、マルトース結合タンパク質(MBP)、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、無毒化された黄色ブドウ球菌溶血素A、クランピング因子A、クランピング因子B、大腸菌FimH、大腸菌FimHC、大腸菌易熱性エンテロトキシン、大腸菌易熱性エンテロトキシンの無毒化変異体、コレラ毒素Bサブユニット(CTB)、コレラ毒素、コレラ毒素の無毒化変異体、大腸菌Satタンパク質、大腸菌Satタンパク質のパッセンジャードメイン、肺炎連鎖球菌ニューモリシン及びその無毒化変異体、C.ジェジュニAcrA、並びにC.ジェジュニ天然糖タンパク質からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の宿主細胞。
8.担体タンパク質が、最適化されたN-グリコシル化コンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の宿主細胞。
9.担体タンパク質が、組換えにより導入された1種以上のコンセンサス配列を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の宿主細胞。
10.担体タンパク質が、担体タンパク質を宿主細胞の細胞周辺腔中に標的化するためのシグナル配列を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の宿主細胞。
11.前記シグナル配列が、大腸菌DsbA、大腸菌外膜ポリンA(OmpA)、大腸菌マルトース結合タンパク質(MalE)、軟腐病菌(Erwinia carotovorans)ペクチン酸リアーゼ(PelB)、FlgI、NikA、又はバチルス種エンドキシラナーゼ(XynA)、易熱性大腸菌エンテロトキシンLTIIb、バチルスエンドキシラナーゼXynA、又は大腸菌フラジェリン(FlgI)に由来するシグナル配列からなる群から選択される、請求項10に記載の宿主細胞。
12.N-グリコシル化担体タンパク質を製造する方法であって、
a.請求項1〜11のいずれか一項に記載の宿主細胞を培養すること、及び
b.N-グリコシル化担体タンパク質を精製すること
を含む方法。
13.請求項12に記載の方法により製造されたN-グリコシル化担体タンパク質。
14.式O25B:
(式中、nは、1から30、1から20、1から15、1から10、1から5、10から30、15から30、20から30、25から30、5から25、10から25、15から25、20から25、10から20又は15から20の間の整数である)
の化合物を含む請求項13に記載のN-グリコシル化担体タンパク質。
15.式O25B':
(式中、nは、1から30、1から20、1から15、1から10、1から5、10から30、15から30、20から30、25から30、5から25、10から25、15から25、20から25、10から20又は15から20の間の整数である)
の化合物を含む請求項13に記載のN-グリコシル化担体タンパク質。
16.upec138、upec163又はupec177のようなO25B菌株に由来する単離O抗原。
17.請求項15に記載のO抗原にN結合した担体タンパク質。
18.式O25B:
(式中、nは、1から30、1から20、1から15、1から10、1から5、10から30、15から30、20から30、25から30、5から25、10から25、15から25、20から25、10から20又は15から20の間の整数である)
の構造を含む単離高分子の集合物。
19.式O25B':
(式中、nは、1から30、1から20、1から15、1から10、1から5、10から30、15から30、20から30、25から30、5から25、10から25、15から25、20から25、10から20又は15から20の間の整数である)
の構造を含む単離高分子の集合物。
20.式O25B:
(式中、nは、1から30、1から20、1から15、1から10、1から5、10から30、15から30、20から30、25から30、5から25、10から25、15から25、20から25、10から20又は15から20の間の整数である)
の構造を含む高分子を含む医薬組成物。
21.式O25B':
(式中、nは、1から30、1から20、1から15、1から10、1から5、10から30、15から30、20から30、25から30、5から25、10から25、15から25、20から25、10から20又は15から20の間の整数である)
の構造を含む高分子を含む医薬組成物。
22.式O25Bの構造が担体タンパク質のAsn残基に共有結合している、請求項20に記載の医薬組成物。
23.式O25B'の構造が担体タンパク質のAsn残基に共有結合している、請求項21に記載の医薬組成物。
24.前記Asn残基がコンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)(配列中、Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号14)中に位置している、請求項20又は21に記載の医薬組成物。
25.前記オリゴサッカリルトランスフェラーゼが宿主細胞に対して異種である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の原核宿主細胞。
26.前記オリゴサッカリルトランスフェラーゼがC.ジェジュニオリゴサッカリルトランスフェラーゼpglBである、請求項1〜11に記載の原核宿主細胞。
27.前記担体タンパク質が宿主細胞に対して異種である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の原核宿主細胞。
28.前記担体タンパク質が大腸菌タンパク質ではない、請求項1〜11、25、26又は27のいずれか一項に記載の原核宿主細胞。
29.L-Rha(2Ac)を含むオリゴ糖を生成する方法であって、糖又はオリゴ糖と配列番号11を含むラムノシルトランスフェラーゼとをインキュベートすることを含み、前記糖又はオリゴ糖が末端D-GlcNAcを含む、方法。
30.L-Rha(2Ac)及びD-GlcNAcがアルファ1,3結合を介して結合されている、請求項29に記載の方法。
31.前記インキュベーションをin vitroで行う、請求項29に記載の方法。
32.前記オリゴ糖を、配列番号11を含むラムノシルトランスフェラーゼを組換えにより発現する宿主細胞中で生成する、請求項29に記載の方法。
実施形態2:
1.(i)担体タンパク質のAsn残基に共有結合している大腸菌O25B抗原を含むO25Bバイオコンジュゲート、(ii)担体タンパク質のAsn残基に共有結合している大腸菌O1A抗原を含むO1Aバイオコンジュゲート、(iii)担体タンパク質のAsn残基に共有結合している大腸菌O2抗原を含むO2バイオコンジュゲート、及び(iv)担体タンパク質のAsn残基に共有結合している大腸菌O6抗原を含むO6バイオコンジュゲートを含む組成物。
2.前記O25B抗原、前記O1A抗原、前記O6抗原及び前記O2抗原がそれぞれ、下記式:
a.式O25B'
b.式O1A'
c.式O6Glc'
d.式O2'
を含む、請求項1に記載の組成物。
3.担体タンパク質が、無毒化された緑膿菌外毒素A(EPA)、CRM197、マルトース結合タンパク質(MBP)、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、無毒化された黄色ブドウ球菌溶血素A、クランピング因子A、クランピング因子B、大腸菌FimH、大腸菌FimHC、大腸菌易熱性エンテロトキシン、大腸菌易熱性エンテロトキシンの無毒化変異体、コレラ毒素Bサブユニット(CTB)、コレラ毒素、コレラ毒素の無毒化変異体、大腸菌Satタンパク質、大腸菌Satタンパク質のパッセンジャードメイン、肺炎連鎖球菌ニューモリシン及びその無毒化変異体、C.ジェジュニAcrA、並びにC.ジェジュニ天然糖タンパク質からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
4.担体タンパク質が無毒化EPA、CRM197又はMBPである、請求項3に記載の組成物。
5.担体タンパク質のAsn残基が、コンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)中に位置している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
6.腸管外病原性大腸菌の対象への感染を治療する方法であって、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物の有効量を前記対象に投与することを含む方法。
7.腸管外病原性大腸菌の対象への感染を予防する方法であって、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物の有効量を前記対象に投与することを含む方法。
8.対象において腸管外病原性大腸菌に対する免疫応答を誘導する方法であって、前記対象に請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物の有効量を投与することを含む方法。
9.対象において腸管外病原性大腸菌に特異的であるオプソニン作用抗体の産生を誘導する方法であって、前記対象に請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物の有効量を投与することを含む方法。
10.対象が尿路感染症と診断されている、請求項6、8又は9に記載の方法。
11.対象が尿路感染症を発症するリスクを有する、請求項7、8又は9に記載の方法。
12.対象が菌血症と診断されている、請求項6、8又は9に記載の方法。
13.対象が菌血症を発症するリスクを有する、請求項7、8又は9に記載の方法。
14.対象が敗血症と診断されている、請求項6、8又は9に記載の方法。
15.対象が敗血症を発症するリスクを有する、請求項7、8又は9に記載の方法。
16.対象がヒトである、請求項6〜16のいずれか一項に記載の方法。
本発明は以下の実施形態も含む。
[1] 担体タンパク質に共有結合している大腸菌(E. coli)O25B抗原のバイオコンジュゲートを含む組成物であって、前記大腸菌O25B抗原が式O25B:
(式中、nは1から30の間の整数である)
の構造を含む、組成物。
[2] 前記大腸菌O25B抗原が式O25B':
(式中、nは1から30の間の整数である)
の構造を含む、[1]に記載の組成物。
[3] 前記大腸菌O25B抗原が担体タンパク質のAsn残基に共有結合している、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4] (i)担体タンパク質のAsn残基に共有結合している大腸菌O1A抗原を含むO1Aバイオコンジュゲート、(ii)担体タンパク質のAsn残基に共有結合している大腸菌O2抗原を含むO2バイオコンジュゲート、及び(iii)担体タンパク質のAsn残基に共有結合している大腸菌O6抗原を含むO6バイオコンジュゲートをさらに含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5] 前記O1A抗原、前記O6抗原及び前記O2抗原がそれぞれ、下記式:
a.式O1A'
b.式O6Glc'
及び
c.式O2'
を含む、[4]に記載の組成物。
[6] 担体タンパク質が、無毒化された緑膿菌(P. aeruginosa)外毒素A(EPA)、CRM197、マルトース結合タンパク質(MBP)、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、無毒化された黄色ブドウ球菌(S. aureus)溶血素A、クランピング因子A、クランピング因子B、大腸菌FimH、大腸菌FimHC、大腸菌易熱性エンテロトキシン、大腸菌易熱性エンテロトキシンの無毒化変異体、コレラ毒素Bサブユニット(CTB)、コレラ毒素、コレラ毒素の無毒化変異体、大腸菌Satタンパク質、大腸菌Satタンパク質のパッセンジャードメイン、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)ニューモリシン及びその無毒化変異体、C.ジェジュニ(C. jejuni)AcrA、並びにC.ジェジュニ天然糖タンパク質からなる群から選択される、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] 担体タンパク質が無毒化EPAである、[6]に記載の組成物。
[8] 担体タンパク質の前記Asn残基が、コンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)中に位置している、[3]〜[7]のいずれかに記載の組成物。
[9] 対象に腸管外病原性大腸菌(Escherichia coli)に対するワクチン接種する方法であって、対象に[1]〜[8]のいずれかに記載の組成物の有効量を投与することを含む方法。
[10] 対象において腸管外病原性大腸菌に対する免疫応答を誘導する方法であって、対象に[1]〜[8]のいずれかに記載の組成物の有効量を投与することを含む方法。
[11] 対象において腸管外病原性大腸菌に特異的であるオプソニン作用抗体の産生を誘導する方法であって、対象に[1]〜[8]のいずれかに記載の組成物の有効量を投与することを含む方法。
[12] 対象が尿路感染症を発症するリスクを有する、[9]〜[11]のいずれかに記載の方法。
[13] 対象が菌血症を発症するリスクを有する、[9]〜[11]のいずれかに記載の方法。
[14] 対象が敗血症を発症するリスクを有する、[9]〜[11]のいずれかに記載の方法。
[15] 対象がヒトである、[9]〜[14]のいずれかに記載の方法。
[16] a.以下:
i.dTDP-グルコース4,6-デヒドラターゼ、
ii.dTDP-6-デオキシ-D-グルコース3,5-エピメラーゼ、
iii.グルコース-1-リン酸チミジリルトランスフェラーゼ、
iv.dTDP-4-デヒドロラムノース3,5-エピメラーゼ、
v.O抗原フリッパーゼ、
vi.dTDP-Rha:Glc-Rha(Ac)-GlcNAc-UPPα-1,3-ラムノシルトランスフェラーゼ、
vii.UDP-Glc:Glc-Rha(Ac)-GlcNAc-UPPβ-1,6-グルコシルトランスフェラーゼ、
viii.O抗原ポリメラーゼ、
ix.O-アセチルトランスフェラーゼ、
x.UDP-Glc:Rha-GlcNAc-UPPα-1,3-グルコシルトランスフェラーゼ、及び
xi.dTDP-Rha:GlcNAc-UPPα-1,3-ラムノシルトランスフェラーゼ
をコードするヌクレオチド配列、
b.オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列、並びに
c. コンセンサス配列Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(配列中、X及びZは独立して、Proを除く任意の天然アミノ酸から選択される)(配列番号15)を含む担体タンパク質をコードするヌクレオチド配列
を含む原核宿主細胞。
[17] waaL遺伝子、gtrA遺伝子、gtrB遺伝子、gtrS遺伝子又はrfbクラスターのうち少なくとも1種が前記宿主細胞のゲノムから欠失している、又は前記宿主細胞のゲノム中で機能的に不活性化されている、[16]に記載の宿主細胞。
[18] 担体タンパク質が、無毒化された緑膿菌外毒素A(EPA)、CRM197、マルトース結合タンパク質(MBP)、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、無毒化された黄色ブドウ球菌溶血素A、クランピング因子A、クランピング因子B、大腸菌FimH、大腸菌FimHC、大腸菌易熱性エンテロトキシン、大腸菌易熱性エンテロトキシンの無毒化変異体、コレラ毒素Bサブユニット(CTB)、コレラ毒素、コレラ毒素の無毒化変異体、大腸菌Satタンパク質、大腸菌Satタンパク質のパッセンジャードメイン、肺炎連鎖球菌ニューモリシン及びその無毒化変異体、C.ジェジュニAcrA、並びにC.ジェジュニ天然糖タンパク質からなる群から選択される、[16]又は[17]に記載の宿主細胞。
[19] 宿主細胞が大腸菌宿主細胞である、[16]〜[18]のいずれかに記載の宿主細胞。
[20] 大腸菌O25B抗原を含むN-グリコシル化担体タンパク質を製造する方法であって、
a.[16]〜[19]のいずれかに記載の宿主細胞を培養すること、及び
b.大腸菌O25B抗原を含むN-グリコシル化担体タンパク質を精製すること
を含む方法。