以下に添付図面を参照して、この発明に係る過負荷検知システムの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、建物の開口部の開閉を行うためのシャッターカーテンを駆動させる後述する開閉機の駆動部の過負荷状態を検知するための過負荷検知システムに関するものである。
ここで、「建物」とは、その具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、戸建て住宅、アパートやマンションの如き集合住宅、オフィスビル、商業施設、及び公共施設等を含む概念である。また、「建物の開口部」とは、建物の躯体の一部分(例えば、壁、天井、又は床等)において出入口や窓を設置するために形成された開口部である。また、シャッターカーテン及び過負荷検知システムを備えるシャッター装置は、防犯や防火のために、建物の開口部に取り付けられる装置であり、例えば、軽量シャッター等のシャッターカーテンを電動駆動可能な全ての形式のシャッター装置を含む概念である。また、シャッター装置の開閉方向については、例えば上下方向、左右方向等が該当する。また「シャッターカーテンの状態」とは、例えば、シャッターカーテンによって開口部を全閉した「全閉状態」と、シャッターカーテンによって開口部を全開した「全開状態」と、開口部の一部を開いて、当該開口部の他の一部を閉じている「半開状態」とを含む概念である。なお、実施の形態では、全閉状態におけるシャッターカーテンの位置を、「全閉位置」と称し、全開状態におけるシャッターカーテンの位置を、「全開位置」と称する。また、「過負荷状態」とは、後述する開閉機の駆動部の負荷量が後述する過負荷基準値よりも高い負荷量になる状態を意味する。この過負荷状態が生じる事例については、例えば、シャッターカーテンの閉鎖移動中にシャッターカーテンが障害物と接触すること、シャッターカーテンの閉鎖移動中(又は開放移動中)において、シャッターカーテンとガイドレールとの摩擦抵抗が、外力(一例として風等)、経年的な変形、錆、塵埃、又は熱膨張等の影響により過大になること等が該当する。以下、実施の形態では、シャッター装置が、戸建て住宅の如き建物のガレージの入出口に設けられた上下開閉式の軽量電動シャッターである場合について説明する。
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
(構成)
最初に、実施の形態に係る過負荷検知システムが適用されるシャッター装置の構成について説明する。以下の説明では、図1のX方向をシャッター装置の左右方向又は幅方向(−X方向をシャッター装置の左方向、+X方向をシャッター装置の右方向)、図1のZ方向をシャッター装置の上下方向(+Z方向をシャッター装置の上方向、−Z方向をシャッター装置の下方向)、X方向及びZ方向に直交する方向を前後方向(図1の紙面の手前側に至る方向をシャッター装置の前方向(建物の屋外側の方向)、図1の紙面の奥側に至る方向をシャッター装置の後方向(建物の屋内側の方向))と称する。また、図7から図11に示すグラフについては、横軸はシャッターカーテンの位置を示し(右側に向かうほど全閉位置に近い位置を示す)、縦軸は後述する駆動部の回転数を示す(上側に向かうほど高い値を示す)。また、図7から図11においては、後述する駆動部の回転数を直線又は点線で示し、後述する学習値を後述する駆動部の回転数とは異なる点線で示し、後述する過負荷基準値を1点鎖線で示し、及び、後述する判定基準値を2点鎖線で示す。
図1に示すように、このシャッター装置1は、概略的に、シャッター収納部10、ガイドレール20、シャッターカーテン30、開閉機40、巻取軸(図示省略)、操作装置50、位置検知部60、回転数検知部70、及び制御装置80を備えて構成されている。ただし、シャッター装置1に関する特記しない構成については、従来と同様であるものとして説明を省略する。なお、上述した「回転数検知部70」及び「制御装置80」は、特許請求の範囲の「過負荷検知システム」を構成する構成要素に対応する。
また、このシャッター装置1を構成する各装置の接続形態については、以下に示す通りに設定している。具体的には、制御装置80は、開閉機40、操作装置50、位置検知部60、及び回転数検知部70の各々と配線を介して電気的に接続されている。このような接続により、制御装置80と、開閉機40、操作装置50、位置検知部60、又は回転数検知部70との相互間で通信又は電力供給を直接的又は間接的に行うことができる。
(構成−シャッター収納部)
シャッター収納部10は、シャッター装置1の各部を収納するための中空体である。図1に示すように、このシャッター収納部10は、建物の壁における開口部2の上端部よりも上方に設置されている。また、このシャッター収納部10の内部には、開閉機40、巻取軸、位置検知部60、回転数検知部70、及び制御装置80が収容されていると共に、巻取軸にてシャッターカーテン30が巻上げられた状態では、シャッターカーテン30の少なくとも一部も、シャッター収納部10の内部に収容される。また、このシャッター収納部10の具体的な構成については任意であるが、例えば、折り曲げ成形された複数のスチール製の板状体を、ビスや取付ネジ等の取付具によって相互に接続して形成している。
(構成−ガイドレール)
ガイドレール20は、シャッターカーテン30を開口部2の開閉方向(上下方向)に沿って移動するように案内するものである。このガイドレール20は、横断面形状が略コ字状となるように形成された長尺体であり、シャッター装置1の左右の各端部において、上下方向に略沿う方向で配置されており、建物の壁に対して直接的に固定されており、又は下地材(図示省略)を介して間接的に固定されている。
(構成−シャッターカーテン)
シャッターカーテン30は、巻取軸によって閉鎖移動又は開放移動されることで、シャッターカーテン30の状態を全開状態、全閉状態、あるいは、半開状態とする遮蔽手段である。このシャッターカーテン30は、図1に示すように、複数のスラット31を備えて構成されており、各スラット31の上下の両端部に形成された嵌合部を介して複数のスラット31が相互に嵌合接続されている。また、このシャッターカーテン30の左右方向の両端部の各々は、ガイドレール20のコ字状の開放端部を介してガイドレール20の内部に挿入されており、上下方向においてはガイドレール20の内部をスライド移動可能であり、かつ、前後方向においてはガイドレール20の外部に脱落しないように規制されている。また、このシャッターカーテン30の下端部には、座板32が接続されている。この座板32は、シャッターカーテン30の状態が全閉状態である場合において建物の床面と近接し、又は接触するように配置されたものであり、シャッターカーテン30の下端部の左右方向全長にわたって形成されている。
(構成−開閉機)
開閉機40は、巻取軸を回転駆動することによってシャッターカーテン30を閉鎖移動又は開放移動させる開閉移動手段である。この開閉機40は、例えば公知の開閉機等によって構成されており、出力軸、駆動部、ブレーキ部、電源部、及び制御部を備えて構成されている(いずれも図示省略)。
出力軸は、駆動部から伝達された回転力を巻取軸に伝達するためのものである。ブレーキ部は、出力軸への作用により巻取軸の回転を制動するブレーキ手段である。駆動部は、出力軸を電動で回転させることにより、シャッターカーテン30を駆動させる駆動手段である。電源部は、図示しない商用電源から供給された電力を、開閉機40の各部に供給する電源手段である。制御部は、開閉機40の各部を制御する制御手段であると共に、制御装置80からの出力に基づいてシャッターカーテン30の開閉制御を行う制御手段である。
(構成−巻取軸)
巻取軸は、シャッターカーテン30を閉鎖移動又は開放移動させるための回動軸である。この巻取軸は、例えば公知の巻取軸等を用いて構成されており、左右方向に沿って設置されている。また、この巻取軸にはシャッターカーテン30の上端に連結された連結スラット(図示省略)が接続されており、この巻取軸を回転させることで、連結スラットを介してシャッターカーテン30を閉鎖移動又は開放移動させることができる。また、この巻取軸の左端部(又は右端部)がチェーン(図示省略)を介して開閉機40の出力軸に連結されているので、開閉機40の出力軸の回転に伴って巻取軸を回転させることができる。
(構成−操作装置)
操作装置50は、シャッターカーテン30の閉鎖移動又は開放移動に関する操作入力を受け付ける操作手段である。この操作装置50は、シャッターカーテン30を電動で開放移動させる開放ボタン、電動で閉鎖移動させる閉鎖ボタン、及び電動による閉鎖移動又は開放移動を停止させる停止ボタンを備えている(いずれも図示省略)。これら開放ボタン、閉鎖ボタン、又は停止ボタンがユーザによって押圧された場合に、当該押圧されたボタンに応じた操作信号(すなわち、開放信号、閉鎖信号、停止信号)を制御装置80を介して開閉機40に出力することで、開閉機40によってシャッターカーテン30が電動で閉鎖移動又は開放移動させたり、あるいはシャッターカーテン30の閉鎖移動又は開放移動を電動で停止させることができる。なお、実施の形態では、操作装置50は、制御装置80と有線で通信するものとして説明するが、これに限られず、例えば、制御装置80と無線で通信するものであってもよい。また、これら有線式及び無線式の操作装置50の両方をシャッター装置1に設けてもよい。
(構成−位置検知部、回転数検知部)
位置検知部60は、シャッターカーテン30の位置を検知し、当該検知した位置を示す信号(以下、「位置信号」を所定周期で出力するための位置検知手段であり、図1に示すように、開閉機40の近傍位置に設けられている。回転数検知部70は、開閉機40の駆動部の回転数(以下、「駆動部の回転数」と称する。)を検知し、当該検知した回転数を示す信号(以下、「回転数信号」を所定周期で出力するための回転数検知手段であり、図1に示すように、開閉機40の近傍位置に設けられている。これら位置検知部60及び回転数検知部70の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、位置検知部60及び回転数検知部70の両方の機能を有するホールIC等を用いて構成されている。ただし、これに限られず、例えば、位置検知部60がポテンションメータ等を用いて構成され、回転数検知部70がタコジェネレータ等を用いて構成されてもよい。なお、上述した「駆動部の回転数」は、特許請求の範囲の「駆動手段の負荷量」に対応する。また、この駆動部の回転数については、回転数が高いほど駆動部の負荷量が低いことを示し、回転数が低いほど駆動部の負荷量が高いことを示す。
ここで、実施の形態では、上限リミットスイッチ及び下限リミットスイッチを設けていないので、後述する開閉処理を実行したり、後述する学習値設定モードで後述する学習値を設定するためには、全開位置(上限位置)及び全閉位置(下限位置)をあらかじめ設定しておく必要がある。これら全開位置及び全閉位置を設定する方法については任意であるが、例えば、以下に示す通りに設定する。すなわち、まず、ユーザが操作装置50を介して所定操作を行うことで、シャッター装置1の動作モードを通常のモードから全開位置及び全閉位置を設定するモード(以下、「リミット設定モード」と称する)に切り替える。次に、リミット設定モードの状態で、操作装置50の閉鎖ボタンを操作することで、全開状態からシャッターカーテン30を閉鎖移動させながら、位置検知部60及び回転数検知部70から取得した位置信号及び回転数信号に対応するシャッターカーテン30の位置及び駆動部の回転数を相互に関連付けて後述する制御装置80の記憶部85に記憶する。そして、シャッターカーテン30の状態が全閉状態になるまで閉鎖移動させて、当該閉鎖移動を停止させた後に操作装置50を介して所定操作を行うことで、当該タイミングで位置検知部60から取得した位置信号に対応するシャッターカーテン30の位置を全閉位置として設定する。また、リミット設定モードの状態で、操作装置50の開放ボタンを操作することで、全閉状態からシャッターカーテン30を開放移動させながら、位置検知部60及び回転数検知部70から取得した位置信号及び回転数信号に対応するシャッターカーテン30の位置及び駆動部の回転数を相互に関連付けて後述する制御装置80の記憶部85に記憶する。そして、シャッターカーテン30の状態が全開状態になるまで開放移動させて、当該開放移動を停止させた後に操作装置50を介して所定操作を行うことで、当該タイミングで位置検知部60から取得した位置信号に対応するシャッターカーテン30の位置を全開位置として設定する。
(構成−制御装置)
制御装置80は、シャッター装置1の各部を相互に連動させる装置であり、入力部81、出力部82、電源部83、制御部84、及び記憶部85を備えている(いずれも図示省略)。
(構成−制御装置−入力部)
入力部81は、操作信号、位置信号、又は回転数信号等を含む信号の入力を操作装置50、位置検知部60、又は回転数検知部70から受け付ける入力手段であり、例えば公知の入力端子等を用いて構成されている。
(構成−制御装置−出力部)
出力部82は、信号を開閉機40に出力する出力手段であり、例えば公知の出力端子等を用いて構成されている。
(構成−制御装置−電源部)
電源部83は、図示しない商用電源又は電池(例えば、バッテリ等)から供給された電力を、制御装置80の各部に供給すると共に、操作装置50、位置検知部60、及び回転数検知部70にも供給する電源手段である。
(構成−制御装置−制御部)
制御部84は、制御装置80の各部を制御する制御手段である。この制御部84は、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。
また、この制御部84は、機能概念的に、取得部84a、過負荷基準値設定部84b、判定基準値設定部84c、第1判定部84d、及び第2判定部84eを備えている。
取得部84aは、開閉移動を行う毎に、駆動部の回転数(駆動手段の負荷量)を開閉移動の移動区間(以下、「移動区間」と称する)毎に取得する取得手段である。ここで、「開閉移動」とは、全開状態から全閉状態になるようにシャッターカーテン30を移動させること(具体的には、閉鎖移動)を意味する。また、「移動区間」とは、開閉移動が行われる区間を意味し、実施の形態では、全開位置から全閉位置までの距離を所定間隔(例えば1mm等)ごとに区分けした区間等が該当する。また、「駆動部の回転数を移動区間毎に取得する」とは、実施の形態では、図7(a)、(b)に示すように、回転数検知部70から所定周期で複数の回転数信号に対応する駆動部の回転数を取得し、当該取得した駆動部の回転数のうち所定数連続する駆動部の回転数を移動区間に対応する駆動部の回転数としてグループ化し、当該グループ化した各移動区間に対応する複数の駆動部の回転数を平滑化することを意味する(ただし、これに限られず、例えば、上述した「設定した各移動区間に対応する複数の駆動部の回転数を平滑化する」ことを省略してもよい)。また、「移動区間に対応する複数の駆動部の回転数を平滑化する」とは、実施の形態では、移動区間に対応する複数の駆動部の回転数のうち最初に取得した回転数を抽出し、当該抽出した回転数を平滑化した駆動部の回転数として設定することを意味する。ただし、これに限られず、例えば、移動区間に対応する複数の駆動部の回転数のうち最も高い回転数(又は最も低い回転数)を抽出し、当該抽出した回転数を平滑化した駆動部の回転数として設定してもよい。あるいは、移動区間に対応する複数の駆動部の回転数の平均値を算出し、当該算出した値を平滑化した駆動部の回転数として設定してもよい。なお、上述した「回転数検知部70」及び「取得部84a」は、特許請求の範囲の「取得手段」に対応する。
過負荷基準値設定部84bは、開閉移動を行う毎に、過負荷基準値を、次順の開閉移動より前の開閉移動において取得部84aによって取得された駆動部の回転数を少なくとも含む駆動部の回転数に基づいて、移動区間毎に設定する過負荷基準値設定手段である。ここで、「過負荷基準値」とは、開閉機40の駆動部が過負荷状態であるか否かを判定する際の指標となる負荷量を意味する。
判定基準値設定部84cは、開閉移動を行う毎に、判定基準値を移動区間毎に設定する判定基準値設定手段である。ここで、「判定基準値」とは、次順の開閉移動より一つ前の開閉移動(以下、「直近の開閉移動」と称する)において取得部84aによって取得された駆動部の回転数が次順の開閉移動における判定のための過負荷基準値を設定する駆動部の回転数として適切であるか否かを判定する際の指標となる値であって、過負荷基準値設定部84bにて設定された過負荷基準値よりも低い負荷量を示す値である。
第1判定部84dは、開閉移動を行う毎に、取得部84aによって取得された駆動部の回転数が判定基準値設定部84cにて設定された判定基準値よりも低い負荷量であるか否かを、移動区間毎に判定する判定手段である。なお、駆動部の回転数が判定基準値よりも低い負荷量となる事例については、例えば、シャッターカーテン30の閉鎖移動中に外力(一例として、人や風によって加えられる力等)によってシャッターカーテン30が閉鎖方向に引張られること、シャッターカーテン30の開放移動中に外力によってシャッターカーテン30が持ち上げれること等が該当する。
第2判定部84eは、開閉移動を行う毎に、取得部84aによって取得された駆動部の回転数及び過負荷基準値設定部84bにて設定された過負荷基準値に基づいて、開閉機40の駆動部が過負荷状態であるか否かを判定する判定手段である。また、この制御部84によって実行される処理の詳細については後述する。
(構成−制御装置−記憶部)
記憶部85は、制御装置80の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段であり、書き換え可能な記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体を用いることができる。
(開閉処理)
次に、このように構成されたシャッター装置1によって実行される開閉処理について説明する。以下の説明では、図3に示す各処理の説明ではステップを「S」と略記する。開閉処理は、開閉移動の開閉制御を行うための処理である。この開閉処理を実行するタイミングは任意であるが、実施の形態では、開閉機40、操作装置50、位置検知部60、回転数検知部70、及び制御装置80の電源が投入された後に起動されるものとして説明する。また、この開閉処理の前提としては、シャッターカーテン30の状態が全開状態であるとして説明する。なお、この開閉処理においては、全開状態から全閉状態になるように開閉移動の開閉制御を行うための図3の各処理が主に行われるものの、これに限られず、図3の各処理以外の他の処理(例えば、後述するSA18の処理から後述するSA4へ移行した後に、全閉状態(又は半開状態)を全開状態になるように開放移動の制御を行うための処理等)も行われるものとする。
また、開閉処理においては、開閉移動を行う毎に、次順の開閉移動における判定のための過負荷基準値及び判定基準値を設定する。つまり、次順の開閉移動における判定のための過負荷基準値及び判定基準値の設定を行った後に開閉移動を行うという「サイクル」が繰り返されると言える。このことから、以下の説明では、説明の起点となるサイクルを「今回サイクル」と称し、「今回サイクル」の後に行われるサイクルを「次回サイクル」と称し、「次回サイクル」の後に行われるサイクルを「次々回サイクル」と称し、「今回サイクル」の前に行われたサイクルを「前回サイクル」と称して説明する。また、上述したサイクルの定義からすると、例えば、SA4からSA13の処理が「今回サイクル」に関する処理(主に、開閉移動に関する処理)に相当し、SA16からSA18の処理が「次回サイクル」に関する処理(主に、過負荷基準値及び判定基準値の設定に関する処理)に相当する。また、例えば、今回サイクルの開閉移動が特許請求の範囲の「直近の開閉移動」に対応し、次回サイクルの開閉移動が特許請求の範囲の「次順の開閉移動」に対応する。
開閉処理が起動されると、図3に示すように、SA1において制御装置80の制御部84は、学習値を移動区間毎に設定する。ここで、「学習値」とは、過負荷基準値及び判定基準値を設定する場合の基準となるデータである。
また、この学習値の設定方法については任意であるが、例えば、以下に示す通りに設定する。すなわち、ユーザが操作装置50を介して所定操作を行うことで、シャッター装置1の動作モードを通常のモードから学習値を設定するモード(以下、「学習値設定モード」と称する)に切り替える。次に、学習値設定モードの状態で、操作装置50の閉鎖ボタンを操作することで、図7(a)に示すように、全開位置から全開位置までシャッターカーテン30を閉鎖移動させながら、位置検知部60及び回転数検知部70から取得した位置信号及び回転数信号に対応するシャッターカーテン30の位置及び駆動部の回転数を相互に関連付けて制御装置80の記憶部85の回転数テーブル(図示省略)に記憶し、この作業を複数回(例えば3回等)繰り返す。次いで、図7(b)に示すように、制御装置80の記憶部85に記憶されたシャッターカーテン30の位置及び駆動部の回転数に基づいて、各閉鎖移動に対応する駆動部の回転数を移動区間毎に平滑化する(例えば、移動区間に対応する複数の駆動部の回転数のうち最初に取得した回転数を、平滑化した駆動部の回転数とする等)。続いて、図7(c)に示すように、各閉鎖移動に対応する上記平滑化された駆動部の回転数を用いて、各移動区間の駆動部の回転数の平均値を算出し、当該算出した値を設定すべき学習値として設定する。ただし、これに限られず、例えば、過去の開閉処理において取得部84aにて取得された複数回の開閉移動(一例として、前回サイクルを含む直近3サイクルの開閉移動等)に対応する駆動部の回転数の平均値を算出し、当該算出した値を設定すべき学習値として設定してもよい。このように複数回の開閉移動に対応する駆動部の回転数を用いて学習値を設定することで、特定の回の開閉移動に対応する駆動部の回転数の一部に異常な数値が含まれている場合でもその影響を小さくすることができ、信頼性の高い学習値を設定することが可能となる。
SA2において制御装置80の過負荷基準値設定部84bは、過負荷基準値を移動区間毎に設定すると共に、制御装置80の判定基準値設定部84cは、判定基準値を移動区間毎に設定する(例えば、今回サイクルの開閉移動における判定のための過負荷基準値及び判定基準値を設定する)。この過負荷基準値の設定方法については任意であるが、例えば、図7(c)に示すように、SA1にて設定された学習値に第1係数(具体的には、1よりも小さい係数)を乗じた値を、設定すべき過負荷基準値として設定する。ただし、これに限られず、例えば、SA1にて設定された学習値から所定の負荷量を減算した値を、設定すべき過負荷基準値として設定してもよい(なお、後述するSD5の過負荷基準値の設定方法についても同様とする)。また、判定基準値の設定方法については任意であるが、例えば、図7(c)に示すように、SA1にて設定された学習値に第2係数(具体的には、1よりも大きい係数)を乗じた値を、設定すべき判定基準値として設定する。ただし、これに限られず、例えば、SA1にて設定された学習値に所定の負荷量を加算した値を、設定すべき判定基準値として設定してもよい。
SA3において制御装置80の制御部84は、第1移動回数、第2移動回数、及び過負荷回数を初期化する(つまり、第1移動回数=0、第2移動回数=0、及び過負荷回数=0に設定する)。ここで、「第1移動回数」とは、後述するSC2にて第1検知感度低下処理を解除するか否かを判定するための指標となる回数を意味する。また、「第2移動回数」とは、後述するSB6にて過負荷基準値の設定を行うか否かを判定するための指標となる回数を意味する。また、「過負荷回数」とは、後述するSB6にて過負荷基準値の設定を行うか否かを判定するための指標となる回数を意味する。
SA4において制御装置80の制御部84は、シャッターカーテン30の状態が全開状態であるか否かを判定する(例えば、今回サイクルの開閉移動において全開状態であるか否かを判定する)。この全開状態であるか否かの判定方法については任意であるが、例えば、今回サイクルの開閉移動において位置検知部60から取得した位置信号に基づいてシャッターカーテン30の位置が全開位置であるか否かに基づいて判定し、全開位置である場合には全開状態であると判定し、全開位置でない場合には全開状態でないと判定する。そして、制御装置80の制御部84は、全開状態でないと判定されるまで待機し(SA4、No)、全開状態であると判定された場合(SA4、Yes)にはSA5へ移行する。
SA5において制御装置80の制御部84は、入力部81によって閉鎖信号の入力が操作装置50から受け付けられたか否かを判定する(例えば、今回サイクルの開閉移動において閉鎖信号の入力が受け付けられたか否かを判定する)。そして、制御装置80の制御部84は、閉鎖信号の入力が受け付けられるまで待機し(SA5、No)、閉鎖信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SA5、Yes)にSA6へ移行する。
SA6において制御装置80の制御部84は、開閉機40によって開閉移動(具体的には、閉鎖移動)させる(例えば、今回サイクルの開閉移動を行う)。
SA7において制御装置80の取得部84aは、駆動部の回転数(駆動手段の負荷量)を移動区間毎に取得する(例えば、今回サイクルの開閉移動に関する駆動部の回転数を取得する)。なお、実施の形態では、取得部84aにて取得された駆動部の回転数を示す情報(平滑化された情報及び平滑化される前の情報の両方)と、これと同時に位置検知部60から取得された位置信号に対応するシャッターカーテン30の位置を示す情報と、対応する移動区間を示す情報とを、相互に関連付けて制御装置80の回転数テーブルに開閉移動毎に記憶される。
SA8において制御装置80の制御部84は、シャッターカーテン30の状態が全閉状態であるか否かを判定する(例えば、今回サイクルの開閉移動において、全閉状態であるか否かを判定する)。この全閉状態であるか否かの判定方法については任意であるが、例えば、今回サイクルの開閉移動において位置検知部60から取得した位置信号に基づいてシャッターカーテン30の位置が全閉位置であるか否かに基づいて判定し、全閉位置である場合には全閉状態であると判定し、全閉位置でない場合には全閉状態でないと判定する。そして、制御装置80の制御部84は、全閉状態でないと判定された場合(SA8、No)にはSA9へ移行し、全閉状態であると判定された場合(SA8、Yes)にはSA14へ移行する。
SA9において制御装置80の制御部84は、入力部81によって停止信号の入力が操作装置50から受け付けられたか否かを判定する(例えば、今回サイクルの開閉移動中において、停止信号の入力が受け付けられたか否かを判定する)。そして、制御装置80の制御部84は、停止信号の入力が受け付けられていないと判定された場合(SA9、No)にはSA10へ移行し、停止信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SA9、Yes)にSA16へ移行する(ただし、これに限られず、例えば、SA14又はSA15に移行してもよい)。
SA10において制御装置80の第2判定部84eは、SA7にて取得された駆動部の回転数(移動区間に対応する駆動部の回転数)及びSA10の処理直前に設定されている過負荷基準値(例えば、SA2にて設定された過負荷基準値、あるいはSA10の処理を複数回行う場合には後述するSB1、後述するSB6、又は後述するSD5にて設定された過負荷基準値)に基づいて、開閉機40の駆動部が過負荷状態であるか否かを判定する(例えば、今回サイクルの開閉移動中において、過負荷状態となったか否かを判定する)。この過負荷状態であるか否かの判定方法については任意であるが、例えば、今回サイクルの開閉移動においてSA7にて取得された駆動部の回転数のうち、直近に取得された駆動部の回転数(具体的には、取得部84aにて平滑化される前の駆動部の回転数)が上記過負荷基準値よりも高い負荷量を示す回転数であるか否かに基づいて判定する。ここで、上記直近に取得された駆動部の回転数が上記過負荷基準値よりも高い負荷量を示す回転数である場合には開閉機40の駆動部が過負荷状態であると判定し、上記直近に取得された駆動部の回転数が上記過負荷基準値よりも高い負荷量を示す回転数でない場合には開閉機40の駆動部が過負荷状態でないと判定する。そして、制御装置80の第2判定部84eは、開閉機40の駆動部が過負荷状態でないと判定された場合(SA10、No)にはSA8へ移行し、開閉機40の駆動部が過負荷状態であると判定された場合(SA10、Yes)にはSA11へ移行する。
SA11において制御装置80の制御部84は、開閉機40によってSA6の開閉移動を停止させると共に、SA7における駆動部の回転数の取得を停止させる(例えば、今回サイクルの開閉移動、及びその開閉移動に関する駆動部の回転数の取得を停止させる)。ここで、この開閉移動の停止方法については任意であるが、例えば、開閉移動を一旦停止させた後、シャッターカーテン30の下端部の位置が現状の位置よりも上方位置となるように、シャッターカーテン30を開放移動させ、その後この開放移動を停止させる(いわゆる「タッチアップ動作」を行う)。だたし、これに限られず、例えば、開閉移動を単に停止させるだけでもよい(いわゆる、「タッチストップ動作」を行う)。その後、制御装置80の制御部84は、第1設定処理(SA12)を起動させる。
(開閉処理−第1設定処理)
次に、図3のSA12の第1設定処理について説明する。第1設定処理は、過負荷基準値を設定するための処理である。
第1設定処理が起動されると、図4に示すように、SB1において制御装置80の過負荷基準値設定部84bは、SA10において開閉機40の駆動部が過負荷状態であると判定された後に行われる開閉移動における判定のための過負荷基準値(例えば、今回サイクル又はそれ以降のサイクルの開閉移動における判定のための過負荷基準値等)を、直近の開閉移動における判定のための過負荷基準値(例えば、SB1の処理前の今回サイクルの開閉移動における判定のための過負荷基準値等)よりも高い負荷量を示す値に設定する処理(以下、「第1検知感度低下処理」と称する)を行う。ここで、第1検知感度低下処理を実行する理由は、以下に示す通りとなる。すなわち、第1検知感度低下処理を実行しない場合において、今回サイクルの開閉移動中にシャッターカーテン30が障害物と接触すること以外の要因(例えば、シャッターカーテン30とガイドレール20との摩擦抵抗が外力の影響等により過大になること等)によって、開閉機40の駆動部が過負荷状態となる場合には、今回サイクル又はそれ以降のサイクルの開閉移動において、障害物が存在しないにも関わらず、SA10において開閉機40の駆動部が過負荷状態であると判定されて、開閉移動が停止することから、シャッター装置1の使用性を低下させる可能性がある。そこで、このような問題が生じることを回避するために、第1検知感度低下処理を実行することにしている。
また、この過負荷基準値を設定する方法については任意であるが、例えば、制御装置80の記憶部85にあらかじめ記憶された補正値(以下、「第1補正値」と称する)を当該記憶部85から取得し、SB1の処理直前に設定されている過負荷基準値(例えば、SA2又は後述するSD5にて設定された過負荷基準値、あるいはSB1の処理を複数回行う場合には、SB1、後述するSB6、又は後述するSD5にて設定された過負荷基準値)のうちすべての移動区間に対応する過負荷基準値の各々から当該取得した第1補正値を減算した値を、設定すべき過負荷基準値として設定する。また、SB1の処理を複数回行う場合には、SB1の処理直前に設定されている過負荷基準値のうちすべての移動区間に対応する過負荷基準値の各々から第1補正値をさらに減算した値を、設定すべき過負荷基準値として設定する。この場合において、例えば、第1検知感度低下処理によって過負荷基準値が極端に高い負荷量になることを回避するために、第1検知感度低下処理が実行される回数に制限を設けてもよい(なお、後述する第2検知感度低下処理、後述する第3検知感度低下処理についても同様とする)。また、この第1補正値については、実施の形態では、開閉機40の駆動部が過負荷状態であることを検知しづらくなる値に設定されており、一例として20rpm等に設定されている。ただし、これに限られず、例えば、シャッター装置1の種類や大きさに応じて異なる値に設定されてもよい(なお、後述する第2補正値から第4補正値についても同様とする)。このような過負荷基準値の設定により、開閉機40の駆動部が過負荷状態であると判定された移動区間に対応する過負荷基準値のみを高い負荷量を示す値に設定する場合に比べて、簡易な処理で設定できるので、過負荷検知システム(特に、制御装置80)の処理負荷を低減することが可能となる。なお、この第1検知感度低下処理は、後述するSC2の処理が行われるまで継続して実行される。なお、上述した「第1検知感度低下処理」は、特許請求の範囲の「検知感度低下処理」に対応する。
SB2において制御装置80の制御部84は、第1移動回数を初期化する(つまり、第1移動回数=0に設定する)。
SB3において制御装置80の過負荷基準値設定部84bは、SB3の処理直前に設定されている過負荷回数(例えば、SA3に設定された過負荷回数、あるいはSB3の処理を複数回行う場合にはSB3、後述するSB7、又は後述するSC5にて設定された過負荷回数)に1を加算したものを、過負荷回数として設定する。
SB4において制御装置80の過負荷基準値設定部84bは、SB3にて設定された過負荷回数が所定回数(例えば、3回等)に達したか否かを判定する。そして、制御装置80の制御部84は、上記所定回数に達したと判定された場合(SB4、Yes)にSB5に移行し、上記所定回数に達していないと判定された場合(SB4、No)に第1設定処理を終了し、図3の開閉処理に戻る。
SB5において制御装置80の制御部84は、設定回避イベントがSA3、後述するSB7、又は後述するSC5にて過負荷回数=0に設定されてからSB4にて過負荷回数が所定回数に達したと判定されるまでに発生していたか否かを判定する。ここで、「設定回避イベント」とは、後述するSB6の過負荷基準値の設定を回避するイベントを意味し、例えば、シャッター装置1の動作モードがリミット設定モード又は学習値設定モードに設定されたこと等が該当する。そして、制御装置80の制御部84は、設定回避イベントが発生していないと判定された場合(SB5、No)にSB6に移行し、設定回避イベントが発生していたと判定された場合(SB5、Yes)に第1設定処理を終了し、図3の開閉処理に戻る。
SB6において制御装置80の過負荷基準値設定部84bは、SB4において過負荷回数が所定回数に達したと判定された後に行われる開閉移動における判定のための過負荷基準値(例えば、今回サイクル又はそれ以降のサイクルの開閉移動における判定のための過負荷基準値等)を、直近の開閉移動における判定のための過負荷基準値(例えば、SB6の処理前の今回サイクルの開閉移動における判定のための過負荷基準値等)よりも高い負荷量を示す値に設定する処理(以下、「第2検知感度低下処理」と称する)を行う。ここで、第2検知感度低下処理を実行する理由は、以下に示す通りとなる。すなわち、第2検知感度低下処理を実行しない場合において、SA2の処理の如き過負荷基準値の初期設定で比較的低い負荷量の過負荷基準値が設定されていた場合には、SA10において過負荷状態であると判定されやすくなるので、シャッターカーテン30の閉鎖移動も頻繁に停止することから、シャッター装置1の使用性を低下させる可能性がある。そこで、このような問題が生じることを回避するために、第2検知感度低下処理を実行することにしている。
また、この過負荷基準値を設定する方法については任意であるが、例えば、制御装置80の記憶部85にあらかじめ記憶された補正値(以下、「第2補正値」と称する。)を当該記憶部85から取得し、SB6の処理直前に設定されている過負荷基準値(例えば、SA2、SB1、又は後述するSD5にて設定された過負荷基準値、あるいはSB6の処理を複数回行う場合には、SB1、SB6、又は後述するSD5にて設定された過負荷基準値)のうちすべての移動区間に対応する過負荷基準値の各々から当該取得した第2補正値を減算した値を、設定すべき過負荷基準値として設定する。また、SB6の処理を複数回行う場合には、SB6の処理直前に設定されている過負荷基準値のうちすべての移動区間に対応する過負荷基準値の各々から第2補正値をさらに減算した値を、設定すべき過負荷基準値として設定する。また、「第2補正値」については、実施の形態では、第1補正値と同一の負荷量に設定されているが、これに限られず、例えば、第1補正値よりも低い負荷量(又は高い負荷量)に設定されてもよい。このような過負荷基準値の設定により、開閉処理前にあらかじめ設定された過負荷基準値の値が適当でない値であった場合に、過負荷基準値を自動的に調整することができるので、開閉移動を誤って停止させることを回避できると共に、人が過負荷基準値を再設定する作業の手間を省くことができる。なお、実施の形態では、この第2検知感度低下処理は、解除されることなく継続して実行される。
SB7において制御装置80の制御部84は、過負荷回数及び第2移動回数を初期化する(つまり、過負荷回数=0、第2移動回数=0に設定する)。その後、制御装置80の制御部84は、第1設定処理を終了し、図3の開閉処理に戻る。
図3に戻り、SA13において制御装置80の制御部84は、SA11の処理が行われてから所定時間経過したか否かを判定する。そして、制御装置80の制御部84は、上記所定時間経過するまで待機し(SA13、No)、上記所定時間経過したと判定された場合(SA13、Yes)にはSA6へ移行する。なお、シャッターカーテン30の下端部と建物の床面との相互間に障害物が存在する場合には、SA6からSA13の処理を繰り返すことになるので、これを回避するために、例えば、SA10における過負荷状態であるという判定が同じシャッターカーテン30の位置で所定回数(一例として、2回等)行われた場合には、SA13の処理後にSA5に移行させてもよい。
SA14において制御装置80の制御部84は、SA14の処理直前に設定されている第1移動回数(例えば、SA3又はSB2に設定された第1移動回数、あるいはSA14の処理を複数回行う場合にはSA14、SB2、又は後述するSC3にて設定された第1移動回数)に1を加算したものを、第1移動回数として設定する。
SA15において制御装置80の制御部84は、SA15の処理直前に設定されている第2移動回数(例えば、SA3又はSB7に設定された第2移動回数、あるいはSA15の処理を複数回行う場合にはSA15、SB7、又は後述するSC5にて設定された第2移動回数)に1を加算したものを、第2移動回数として設定する。
SA16において制御装置80の制御部84は、開閉機40によってSA6の開閉移動を停止させると共に、SA7における駆動部の回転数の取得を停止させる(例えば、今回サイクルの開閉移動、及びその開閉移動に関する駆動部の回転数の取得を停止させる)。その後、制御装置80の制御部84は、解除処理(SA17)及び第2設定処理(SA18)を順次起動させる。
(開閉処理−解除処理)
続いて、図3のSA17の解除処理について説明する。解除処理は、実行中のSB1の第1検知感度低下処理を解除するための処理である。
解除処理が起動されると、図5に示すように、SC1において制御装置80の過負荷基準値設定部84bは、SA14にて設定された第1移動回数が所定回数に達したか否かを判定する。ここで、「所定回数」については、実施の形態では、過負荷基準値の設定に用いられる開閉移動毎の駆動部の回転数の個数と同じ回数(例えば、3回等)にて設定されている。ただし、これに限られず、例えば、過負荷基準値の設定に用いられる開閉移動毎の駆動部の回転数の個数よりも多い回数(又は少ない回数)に設定されてもよい。そして、制御装置80の制御部84は、上記所定回数に達したと判定された場合(SC1、Yes)にSC2に移行し、上記所定回数に達していないと判定された場合(SC1、No)にSC4に移行する。
SC2において制御装置80の過負荷基準値設定部84bは、SC2の処理前に実行されたSB1の第1検知感度低下処理であって、SB1の処理以降継続して実行される第1検知感度低下処理を、SC2の処理以降に行われる過負荷基準値の設定(例えば、後述するSD5にて設定された過負荷基準値等)で実行しないように設定する(つまり、実行中の第1検知感度低下処理を解除する設定を行う)。ただし、SC2の処理直前にSB1の第1検知感度低下処理が実行されていない場合には、SC2の処理を省略する。ここで、第1検知感度低下処理を解除する理由は、以下に示す通りとなる。すなわち、第1検知感度低下処理を解除しない場合には、今回サイクルの開閉移動において第1検知感度低下処理が実行された後に、今回サイクル以降のサイクルの開閉移動においてシャッターカーテン30が障害物と接触すること以外の要因によって開閉機40の駆動部が過負荷状態にならなくなった場合においても、第1検知感度低下処理が継続して実行されると、今回サイクル以降のサイクルの開閉移動において開閉機40の駆動部が過負荷状態であることを正確に検知することが難しくなる可能性がある。そこで、このような問題が生じることを回避するために、第1検知感度低下処理を解除することにしている。
SC3において制御装置80の制御部84は、第1移動回数を初期化する(つまり、第1移動回数=0に設定する)。
SC4において制御装置80の過負荷基準値設定部84bは、SA15にて設定された第2移動回数が所定回数(例えば、20回等)に達したか否かを判定する。そして、制御装置80の制御部84は、上記所定回数に達したと判定された場合(SC4、Yes)にSC5に移行し、上記所定回数に達していないと判定された場合(SC4、No)に解除処理を終了し、図3の開閉処理に戻る。
SC5において制御装置80の制御部84は、過負荷回数及び第2移動回数を初期化する(つまり、過負荷回数=0、及び第2移動回数=0に設定する)。このような設定により、第2移動回数が所定回数に達した場合に過負荷回数を初期化できるので、第2検知感度低下処理による過負荷基準値の設定を無駄に行うことを回避でき、信頼性の高い過負荷基準値を設定することが可能となる。その後、制御装置80の制御部84は、解除処理を終了し、図3の開閉処理に戻る。
(開閉処理−第2設定処理)
次に、図3のSA18の第2設定処理について説明する。第2設定処理は、過負荷基準値及び判定基準値を設定するための処理である。
開閉処理が起動されると、図6に示すように、SD1において制御装置80の制御部84は、制御装置80の回転数テーブルに記憶された情報に基づいて、直近の開閉移動(例えば、今回サイクルの開閉移動等)において開閉機40の駆動部が過負荷状態になっていたか否か、及び、直近の開閉移動(例えば、今回サイクルの開閉移動等)においてSA9にて停止信号が入力された後に全閉状態になったか否かを判定する。そして、制御装置80の制御部84は、上記過負荷状態になっていないと判定され、及び上記停止信号が入力された後に全閉状態になっていないと判定された場合(SD1、No)にSD2へ移行し、上記過負荷状態になっていたと判定され、又は上記停止信号が入力された後に全閉状態になっていたと判定された場合(SD1、Yes)に第2設定処理を終了し、図3の開閉処理に戻る。このような処理により、通常の開閉移動とは異なる開閉移動において取得された駆動部の回転数に基づいて、後述するSD5において次順の開閉移動における判定のための過負荷基準値及び判定基準値を設定することを回避でき、信頼性の高い過負荷基準値及び判定基準値を設定することが可能となる。ただし、これに限られず、例えば、直近の開閉移動において開閉機40の駆動部が過負荷状態になっていたか否かのみを判定してもよい。これにより、停止信号が入力された後に全閉状態になった開閉移動にて取得された駆動部の回転数に基づいて、後述するSD2、後述するSD4、後述するSD5の処理を行うことが可能となる。
SD2において制御装置80の過負荷基準値設定部84bは、直近の開閉移動(例えば、今回サイクルの開閉移動等)においてSA7にて取得された駆動部の回転数がSD2の処理直前に設定されている判定基準値(例えば、SA2にて設定された判定基準値、あるいはSD2の処理を複数回行う場合には、後述するSD5にて設定された判定基準値)よりも低い負荷量であるか否かを、移動区間毎に判定する。この判定方法については任意であるが、例えば、今回サイクルの開閉移動においてSA7にて取得された移動区間毎の駆動部の回転数(具体的には、平滑化前の駆動部の回転数)の中に、上記判定基準値よりも低い負荷量が存在するか否かに基づいて判定し、上記判定基準値よりも低い負荷量が存在する場合には上記駆動部の回転数が上記判定基準値よりも低い負荷量であると判定し、上記判定基準値よりも低い負荷量が存在しない場合には上記駆動部の回転数が上記判定基準値よりも低い負荷量でないと判定する。そして、制御装置80の制御部84は、上記駆動部の回転数が上記判定基準値よりも低い負荷量であると判定された場合(SD2、Yes)にSD3に移行し、上記駆動部の回転数が上記判定基準値よりも低い負荷量でないと判定された場合(SD2、No)にSD4に移行する。
SD3において制御装置80の過負荷基準値設定部84bは、制御装置80の記憶部85にあらかじめ記憶された第3補正値及び第4補正値を当該記憶部85から取得する。ここで、「第3補正値」とは、後述する第3検知感度低下処理で過負荷基準値を設定するために用いられる補正値を意味する。また、「第4補正値」とは、取得部84aにて取得された駆動部の回転数を補正するための補正値である。なお、これら「第3補正値」及び「第4補正値」については、実施の形態では、第1補正値と同一の負荷量に設定されているが、これに限られず、例えば、第1補正値よりも低い負荷量(又は高い負荷量)に設定されてもよい。
SD4において制御装置80の過負荷基準値設定部84bは、後述するSD5の処理に用いられる学習値を移動区間毎に設定する。ここで、学習値の設定方法については任意であるが、例えば、以下に示す通りに設定する。
すなわち、今回サイクルの開閉移動においてSD2にて駆動部の回転数が判定基準値よりも低い負荷量でないと判定された場合については、制御装置80の回転数テーブルに記憶された駆動部の回転数のうち、次回サイクルの開閉移動(次順の開閉移動)よりも前の開閉移動においてSA7にて取得された駆動部の回転数を少なくとも含む駆動部の回転数(一例として、今回サイクルの開閉移動を含む直近3つのサイクルの開閉移動に対応する駆動部の回転数、又は、今回サイクルの開閉移動よりも前の3つのサイクルの開閉移動に対応する駆動部の回転数等)の平均値(いわゆる移動平均)を移動区間毎に算出し、当該算出した値を設定すべき学習値として設定する。
また、今回サイクルの開閉移動においてSD2にて駆動部の回転数が判定基準値よりも低い負荷量であると判定された場合については、まず、直近の開閉移動(例えば、今回サイクルの開閉移動等)においてSA7にて取得された駆動部の回転数のうち、SD2にて判定基準値よりも低い負荷量であると判定された移動区間に対応する駆動部の回転数をSD3にて取得された第4補正値で補正(具体的には減算)する。そして、上記減算した駆動部の回転数を少なくとも含む駆動部の回転数(一例として、上記減算した駆動部の回転数、今回サイクルの開閉移動よりも1つ前のサイクルの開閉移動、及び今回サイクルの開閉移動よりも2つ前のサイクルの開閉移動に対応する駆動部の回転数等)の平均値を移動区間毎に算出し、当該算出した値を設定すべき学習値として設定する。なお、実施の形態では、第4補正値によって補正された駆動部の回転数は、当該補正をそのまま継続させる。ただし、これに限られず、例えば、当該補正が行われた後に開閉移動が所定回数行われた場合には当該補正を行う前の元の値に戻してもよい。
SD5において制御装置80の過負荷基準値設定部84bは、SD4にて設定された学習値に基づいて、次順の開閉移動における判定のための過負荷基準値及び判定基準値(例えば、次回サイクルにおける開閉移動の過負荷基準値及び判定基準値等)を設定する。その後、制御装置80の制御部84は、第2設定処理を終了し、図3の開閉処理に戻る。
ここで、この判定基準値の設定方法については任意であるが、例えば、以下に示す通りに設定する。すなわち、今回サイクルの開閉移動においてSD2にて駆動部の回転数が判定基準値よりも低い負荷量でないと判定された場合には、SD4にて設定された学習値であって第4補正値を用いることなく設定された学習値に第2係数を乗じた値を、設定すべき判定基準値として設定する。また、今回サイクルの開閉移動においてSD2にて駆動部の回転数が判定基準値よりも低い負荷量であると判定された場合には、SD4にて設定された学習値であって第4補正値を用いて設定された学習値に第2係数を乗じた値を、設定すべき判定基準値として設定する。
また、この過負荷基準値の設定方法については任意であるが、例えば、以下に示す通りに設定する。
すなわち、まず、今回サイクルの開閉移動においてSD2にて駆動部の回転数が判定基準値よりも低い負荷量でないと判定された場合には、SD4にて設定された学習値であって第4補正値を用いることなく設定された学習値に第1係数を乗じた値を、設定すべき過負荷基準値として設定する。
また、SB1の第1検知感度低下処理又はSB6の第2検知感度低下処理が実行されている場合には、次順の開閉移動(例えば、次回サイクルの開閉移動)における判定のための過負荷基準値を、これら第1検知感度低下処理又は第2検知感度低下処理に基づいて設定する。一例として、SD4にて設定された学習値であって第4補正値を用いることなく設定された学習値に第1係数を乗じた後に第1補正値又は第2補正値を減算し、当該減算した値を設定すべき過負荷基準値として設定する(なお、SD2にて駆動部の回転数が判定基準値よりも低い負荷量であると判定された場合の過負荷基準値の設定についても同様とする)。また、SB1の第1検知感度低下処理が行われた後に、SC2にて第1検知感度低下処理が解除された場合には、当該解除以降に設定される次順の開閉移動における判定のための過負荷基準値を、当該解除以前(つまり、SA10にて過負荷状態でないと判定される以前)に行った少なくとも一つの第1検知感度低下処理を解除した上で設定する(なお、SD2にて駆動部の回転数が判定基準値よりも低い負荷量であると判定された場合の過負荷基準値の設定についても同様とする)。一例として、第1検知感度低下処理が1回のみ実行されていた場合に、SC2にて第1検知感度低下処理が解除されると、SD4にて設定された学習値(第4補正値を用いて設定された学習値か否かは問わない)に第1係数を乗じた値を設定すべき過負荷基準値として設定する。また、第1検知感度低下処理が複数回実行されていた場合に、SC2にて第1検知感度低下処理が解除されると、SD4にて設定された学習値(第4補正値を用いて設定された学習値か否かは問わない)に第1係数を乗じた後に、第1検知感度低下処理の実行回数未満の数の第1補正値(例えば、1つ又は複数の第1補正値)を減算した値を設定すべき過負荷基準値として設定する。このような過負荷基準値の設定により、開閉機40の駆動部が過負荷状態になった後に過負荷状態でなくなるまでの間に限り、過負荷状態になる前の過負荷基準値よりも高い負荷量を示す過負荷基準値を設定することができる。これにより、開閉機40の駆動部が過負荷状態になった後の開閉移動において開閉機40の駆動部が過負荷状態であることを頻繁に検知することを回避できると共に、上記開閉機40の駆動部が過負荷状態でなくなった後の開閉移動において開閉機40の駆動部が過負荷状態であることを正確に検知することができるので、シャッター装置1の使用におけるユーザの利便性を向上させることが可能になる。また特に、第1検知感度低下処理を行った後、SA10にて開閉機40の駆動部が過負荷状態でないと判定された開閉移動が過負荷基準値の設定に用いられる駆動部の回転数の個数と同じ回数継続した場合に、次順の開閉移動における判定のための過負荷基準値を、第1検知感度低下処理を解除した上で設定するので、過負荷状態が検知された後に第1検知感度低下処理が解除されるまで行われる開閉移動を、開閉機40の駆動部が過負荷状態でなくなった信憑性の高い必要最低限の回数行うことができ、第1検知感度低下処理の解除を適切なタイミングで行うことが可能となる。
また、今回サイクルの開閉移動においてSD2にて駆動部の回転数が判定基準値よりも低い負荷量であると判定された場合については、SD2にて判定基準値よりも低い負荷量であると判定された移動区間及びその前後の移動区間に対応する過負荷基準値を、直近の開閉移動(今回サイクルの開閉移動)における判定のために設定された過負荷基準値(例えば、SA2、SB1、又はSB6にて設定された過負荷基準値、あるいは、SD5の処理を複数回行う場合には、SB1、SB6、又はSD5にて設定された過負荷基準値)よりも高い負荷量を示す値に設定する処理(以下、「第3検知感度低下処理」と称する)を行う。ここで、第3検知感度低下処理を実行する理由は、以下に示す通りとなる。すなわち、第3検知感度低下処理を実行しない場合において、今回サイクルの開閉移動においてシャッターカーテン30が外力を受けることで取得部84aにて取得された駆動部の回転数の一部が判定基準値よりも低くなった場合に、当該取得した駆動部の回転数を用いて比較的低い負荷量を示す学習値が設定されることから、次回サイクルの開閉移動(次順の開閉移動)における判定のための過負荷基準値も比較的低い負荷量を示す値に設定される。このため、次回サイクルの開閉移動において取得部84aにて取得された駆動部の回転数が通常の開閉移動における駆動部の回転数と同じである場合に、開閉機40の駆動部が過負荷状態であると誤って検知されてしまう可能性がある。そこで、このような問題が生じることを回避するために、第3検知感度低下処理を実行することにしている。
一例として、今回サイクルの開閉移動においてSD4にて設定された学習値であって第4補正値を用いて設定された学習値に第1係数を乗じ、当該乗じた値のうち、SD2にて判定基準値よりも低い負荷量であると判定された移動区間及びその前後の移動区間に対応する値からSD3にて取得された第3補正値を減算し、当該減算した値を設定すべき過負荷基準値として設定する。このような過負荷基準値の設定により、シャッターカーテン30が外力を受けることで取得部84aにて取得された駆動部の回転数の一部が判定基準値よりも低くなった場合でも、次順の開閉移動(例えば、次回サイクルの開閉移動)において誤って過負荷状態であると検知することを回避可能な過負荷基準値を設定できる。よって、第3検知感度低下処理を実行しない場合に比べて、誤って過負荷状態を検知することを回避でき、シャッター装置1の使用におけるユーザの利便性を向上させることが可能になる。また、第4補正値を用いて設定された学習値に基づいて(つまり、直近の開閉移動(今回サイクルの開閉移動)において取得された駆動部の回転数であって第4補正値で補正された駆動部の回転数に基づいて)過負荷基準値を設定するので、直近の開閉移動(例えば、今回サイクルの開閉移動)において取得された駆動部の回転数を補正しない場合に比べて、後述するSD5において次順の開閉移動(例えば、次回サイクルの開閉移動)において、誤って過負荷状態であると検知することを回避可能な過負荷基準値を設定でき、誤って過負荷状態を検知することを一層回避できる。
また、第3検知感度低下処理を行った後、次順の開閉移動における判定のための過負荷基準値(例えば、次々回サイクルの開閉移動における判定のための過負荷基準値)を設定する際に、第3検知感度低下処理において高い負荷量が示された移動区間が直近の開閉移動(例えば、次回サイクルの開閉移動)においてSD2にて判定基準値よりも低い負荷量であると判定された移動区間と同じである場合には、当該第3検知感度低下処理において高い負荷量が示された移動区間に対応する過負荷基準値を、当該第3検知感度低下処理で設定された値よりも高い負荷量を示す値に設定する第3検知感度低下処理をさらに行う。一例として、第3検知感度低下処理が少なくとも1回以上実行されていた場合には、SD4にて設定された学習値であって第4補正値を用いて設定された学習値に第1係数を乗じ、当該乗じた値のうち、第3検知感度低下処理において高い負荷量が示された移動区間に対応する値からSD3にて取得された第3補正値であって少なくとも2つ以上の第3補正値を減算し、当該減算した値を設定すべき過負荷基準値(つまり、次々回サイクルの開閉移動における判定のための過負荷基準値)として設定する。
一方、第3検知感度低下処理において高い負荷量が示された移動区間が直近の開閉移動(例えば、次回サイクルの開閉移動)においてSD2にて判定基準値よりも低い負荷量であると判定された移動区間と同じでない場合には、当該第3検知感度低下処理において高い負荷量が示された移動区間に対応する過負荷基準値を、当該判定以前に行った少なくとも一つの第3検知感度低下処理を解除した上で設定する。ここで、「移動区間と同じでない場合」とは、例えば、次回サイクルの開閉移動においてSD2にて判定基準値よりも低い負荷量であると判定された場合に、第3検知感度低下処理において高い負荷量が示された移動区間が当該低い負荷量であると判定された移動区間と同じでない場合や、次回サイクルの開閉移動においてSD2にて判定基準値よりも低い負荷量であると判定されなかった場合に、当該低い負荷量であると判定された移動区間が存在しない場合等が該当する。一例として、次回サイクルの開閉移動においてSD2にて判定基準値よりも低い負荷量であると判定されなかった場合において、第3検知感度低下処理が1回のみ実行されていた場合には、SD4にて設定された学習値に第1係数を乗じた値を設定すべき過負荷基準値(次々回サイクルの開閉移動における判定のための過負荷基準値)として設定する。また、第3検知感度低下処理が複数回実行されていた場合には、SD4にて設定された学習値に第1係数を乗じ、当該乗じた値のうち、第3検知感度低下処理において高い負荷量が示された移動区間に対応する値からSD3にて取得された第3補正値を第3検知感度低下処理の実行回数未満の数(例えば、1つ又は複数)だけ減算し、当該減算した値を設定すべき過負荷基準値(つまり、次々回サイクルの開閉移動における判定のための過負荷基準値)として設定する。
このような過負荷基準値の設定により、第3検知感度低下処理で高い負荷量が示された移動区間と直近の開閉移動(例えば、次回サイクルの開閉移動)において低い負荷量であると判定された移動区間との関係性に基づいて、次順の開閉移動における判定のための過負荷基準値(例えば、次々回サイクルの開閉移動における判定のための過負荷基準値)の設定を異ならせることができ、状況に応じた過負荷基準値の設定を行うことが可能となる。
図3に戻り、その後、制御装置80の制御部84は、SA4に移行し、以降同様に、SA4からSA18の処理を繰り返す。なお、SA4へ移行した直後においてはシャッターカーテン30の状態が全閉状態(又は半開状態)であるため、SA4にて全開状態でないと判定されることから、SA5以降の処理が実行されない。よって、SA5以降の処理を実行するためには、例えば、ユーザが操作装置50の開放ボタンを操作してシャッターカーテン30を開放移動させることにより、シャッターカーテン30の状態を全開状態にする必要がある。これにより、SA4にて全開状態であると判定されるので、SA5以降の処理を実行することが可能となる。
(開閉処理−具体的な処理内容)
また、開閉処理が実行される具体的な状況及びその場合の処理内容について、以下で説明する。
(開閉処理−具体的な処理内容−1つ目の具体的な例)
最初に、1つ目の具体的な例について説明する。1つ目の具体的な例については、全開状態において、シャッターカーテン30の下端部と建物の床面との相互間に障害物がなく、シャッターカーテン30が外力を受けないという状況で開閉移動(具体的には、閉鎖移動)が行われると、以下に示す開閉処理が行われる。
すなわち、まず、図3のSA8にて全閉状態であると判定されるまで、図3のSA6の今回サイクルの開閉移動が実行されると共に、図3のSA7にて駆動部の回転数の取得が実行される。次に、図3のSA8にて全閉状態であると判定されると、図3のSA16にて今回サイクルの開閉移動の停止及び駆動部の回転数の取得を停止させ、図3のSA17の解除処理及び図3のSA18の第2設定処理が実行される。ここで、図3のSA18の第2設定処理では、図8(a)に示すように、図3のSA7にて取得された駆動部の回転数の中に、判定基準値よりも低い負荷量が存在しないので、図6のSD2にて駆動部の回転数が判定基準値よりも低い負荷量でないと判定される。これにより、図8(b)に示すように、図6のSD3の処理が行われないので、図6のSD4において、第4補正値を用いずに学習値が設定される。また、図8(b)に示すように、図6のSD5において、第3補正値を用いずに次回サイクルの開閉移動における判定のための過負荷基準値が設定される(つまり、第3検知感度低下処理を実行せずに設定される)と共に、次回サイクルの開閉移動における判定のための判定基準値が設定される。
(開閉処理−具体的な処理内容−2つ目の具体的な例)
次に、2つ目の具体的な例について説明する。2つ目の具体的な例については、全開状態において、シャッターカーテン30の下端部と建物の床面との相互間に障害物はないものの、シャッターカーテン30が外力を受ける(具体的には、シャッターカーテン30を閉鎖方向に引張るような外力)という状況で開閉移動が行われると、以下に示す開閉処理が行われる。
すなわち、まず、図3のSA8にて全閉状態であると判定されるまで、図3のSA6の今回サイクルの開閉移動が実行されると共に、図3のSA7にて駆動部の回転数の取得が実行される。次に、図3のSA8にて全閉状態であると判定されると、図3のSA16にて今回サイクルの開閉移動の停止及び駆動部の回転数の取得を停止させ、図3のSA17の解除処理及び図3のSA18の第2設定処理が実行される。ここで、図3のSA18の第2設定処理では、図9(a)に示すように、図3のSA7にて取得された駆動部の回転数の中に、判定基準値よりも低い負荷量が存在するので(図9(a)では、移動区間Lxに対応する駆動部の回転数が判定基準値よりも低い負荷量となる)、図6のSD2において駆動部の回転数が判定基準値よりも低い負荷量であると判定される。次に、図9(b)に示すように、図6のSD4において、図6のSD3にて取得された第4補正値AD4を用いて学習値が設定される。次いで、図9(b)に示すように、図6のSD5において、図6のSD3にて取得された第3補正値AD3を用いて、次回サイクルの開閉移動における判定のための過負荷基準値が設定されると共に、次回サイクルの開閉移動における判定のための判定基準値が設定される。特に、移動区間Lx及びその前後の移動区間Lx−1、Lx+1の過負荷基準値については、第3検知感度低下処理を実行した上で、図9(a)の過負荷基準値よりも高い負荷量を示す値に設定される。
続いて、図6のSD5にて過負荷基準値及び判定基準値が設定された後に、全開状態において、シャッターカーテン30の下端部と建物の床面との相互間に障害物がなく、シャッターカーテン30が外力を受けないという状況で開閉移動が再度行われると、上記1つ目の具体的な例と略同様の開閉処理が行われる。ただし、図6のSD5における次々回サイクルの開閉移動における判定のための過負荷基準値の設定のうち、移動区間Lx及びその前後の移動区間Lx−1、Lx+1の過負荷基準値については、以下に示す通りに設定される。すなわち、図9(c)に示すように、再度行われた開閉移動において図6のSD2にて判定基準値よりも低い負荷量であると判定された移動区間が存在しないことから、第3検知感度低下処理において高い負荷量が示された移動区間Lx−1、Lx、Lx+1が次回サイクルの開閉移動において図6のSD2にて判定基準値よりも低い負荷量であると判定された移動区間と同じではない。このため、図9(d)に示すように、移動区間Lx−1、Lx、Lx+1に対応する過負荷基準値は、第3検知感度低下処理を解除した上で設定される。
(開閉処理−具体的な処理内容−3つ目の具体的な例)
次いで、3つ目の具体的な例について説明する。3つ目の具体的な例については、全開状態において、シャッターカーテン30の下端部と建物の床面との相互間に障害物が存在しないものの、シャッターカーテン30が外力(具体的には、シャッターカーテン30とガイドレール20との摩擦抵抗が過大になるような外力)を受けるという状況で開閉移動が行われると、以下に示す開閉処理が行われる(なお、シャッターカーテン30の下端部と建物の床面との相互間に障害物が存在する状況についても略同様とする)。
すなわち、まず、図3のSA6から図3のSA10の処理を繰り返しながら、図3のSA6の今回サイクルの開閉移動が実行されると共に、図3のSA7にて駆動部の回転数の取得が実行される。そして、図10(a)に示すように、上記シャッターカーテン30が外力を受けることにより、図3のSA10にて過負荷状態であると判定されると、図3のSA11にて今回サイクルの開閉移動の停止及び駆動部の回転数の取得を停止させた後、図3のSA12の第1設定処理が実行される。ここで、図3のSA12の第1設定処理では、図4のSB1において、第1検知感度低下処理を実行した上で、図3のSA10において開閉機40の駆動部が過負荷状態であると判定された後に行われる開閉移動(つまり、今回サイクルの開閉移動)における判定のための過負荷基準値が設定される。具体的には、図10(b)に示すように、すべての移動区間に対応する過負荷基準値の各々が、図10(a)の過負荷基準値よりも第1補正値AD1だけ高い負荷量を示す値に設定される。次いで、図4のSB2にて第1移動回数が初期化された後、図3のSA12の第1設定処理を終了する(なお、シャッターカーテン30の下端部と建物の床面との相互間に障害物が存在する状況においては、図3のSA10にて過負荷状態であると所定回数(例えば、2回等)判定されるので、図3のSA12の第1設定処理も所定回数行われる)。次に、図3のSA13にて所定時間経過したと判定されると、図3のSA6の今回サイクルの開閉移動及び図3のSA7における駆動部の回転数の取得が再び実行される(なお、シャッターカーテン30の下端部と建物の床面との相互間に障害物が存在する状況においては、図3のSA10おける過負荷状態であるという判定が同じシャッターカーテン30の位置で所定回数行われた後に、SA11にてシャッターカーテン30の開閉移動を停止させた状態を継続させる。そして、障害物が撤去された後にSA5にて閉鎖信号の入力が受け付けられると、図3のSA6の今回サイクルの開閉移動及び図3のSA7における駆動部の回転数の取得が再び実行される)。その後、図3のSA8にて全閉状態であると判定されると、図3のSA16にて今回サイクルの開閉移動の停止及び駆動部の回転数の取得を停止させ、図3のSA14にて第1移動回数が1つ加算された後に、図3のSA17の解除処理及び図3のSA18の第2設定処理が実行される。ここで、図3のSA17の解除処理では、図5のSC1にて第1移動回数が所定回数に達していないと判定されると、図5のSC2の処理が行われることなく、図3のSA17の解除処理を終了する。また、図3のSA18の第2設定処理では、図6のSD1にて今回サイクルの開閉移動において開閉機40の駆動部が過負荷状態になっていたと判定されるため、図6のSD5の処理が行われることなく、図3のSA4に移行する。なお、次回サイクル及びそれ以降のサイクルの開閉移動において、図3のSA10にて過負荷状態であると判定されなければ、上記1つ目の具体的な例と略同様の開閉処理が行われる。ただし、図6のSD5の過負荷基準値の設定については、実行中の第1検知感度低下処理に基づいて設定される。
その後、全開状態において、シャッターカーテン30の下端部と建物の床面との相互間に障害物がなく、シャッターカーテン30が外力を受けないという状況で図10(c)に示す開閉移動が所定回数行われると、図3のSA17の解除処理では、図5のSC1にて第1移動回数が所定回数に達したと判定されることで、図5のSC2にて第1検知感度低下処理が解除される。次いで、図3のSA18の第2設定処理では、上記1つ目の具体的な例と略同様の開閉処理が行われる。ただし、図6のSD5における図5のSC2の解除以降に設定される図6のSD5の過負荷基準値の設定については、図10(d)に示すように、第1検知感度低下処理を解除した上で設定される。
(開閉処理−具体的な処理内容−4つ目の具体的な例)
続いて、4つ目の具体的な例について説明する。4つ目の具体的な例については、全開状態において、シャッターカーテン30の下端部と建物の床面との相互間に障害物はないものの、シャッターカーテン30が外力(具体的には、シャッターカーテン30とガイドレール20との摩擦抵抗が過大になるような外力)を受けるという状況で開閉移動が行われると、以下に示す開閉処理が行われる。
すなわち、まず、図3のSA6から図3のSA10の処理を繰り返しながら、図3のSA6の今回サイクルの開閉移動が実行されると共に、図3のSA7にて駆動部の回転数の取得が実行される。そして、上記シャッターカーテン30が外力を受けることにより、図3のSA10にて過負荷状態であると判定されると、図3のSA11にて今回サイクルの開閉移動の停止及び駆動部の回転数の取得を停止させた後、図3のSA12の第1設定処理が実行される。ここで、図3のSA12の第1設定処理では、図4のSB1に過負荷基準値が設定された後に、図4のSB3にて過負荷回数が1加算され、図4のSB4にて過負荷回数が所定回数に達したか否かを判定する。そして、図4のSB4にて過負荷回数が所定回数に達していないと判定されると、図4のSB6の処理が行われることなく、図3のSA12の第1設定処理を終了する。その後、図3のSA8にて全閉状態であると判定されると、図3のSA16にて今回サイクルの開閉移動の停止及び駆動部の回転数の取得を停止させ、図3のSA15にて第2移動回数が1つ加算された後に、上記3つ目の具体的な例と略同様に、図3のSA17の解除処理及び図3のSA18の第2設定処理が実行される。
その後、図5のSC4にて第2移動回数が所定回数に達したと判定されるまでに、上述したような図3のSA10にて過負荷状態であると判定される開閉移動が所定回数行われると、図3のSA12の第1設定処理では、図4のSB4にて過去負荷回数が所定回数に達したと判定される。これにより、図4のSB6において、第2検知感度低下処理を実行した上で、図4のSB4において過負荷回数が所定回数に達したと判定された後に行われる開閉移動における判定のための過負荷基準値が設定される。具体的には、図11(b)に示すように、すべての移動区間に対応する過負荷基準値の各々が、図4のSB4にて過去負荷回数が所定回数に達したと判定されたサイクルの開閉移動(図11(a)に示す開閉移動)における過負荷基準値よりも第2補正値AD2だけ高い負荷量を示す値に設定される(なお、図11(b)では、図4のSB1の第1検知感度低下処理による第1補正値AD1の減算分を省略して記載している)。その後、図3のSA18の第2設定処理では、上記3つ目の具体的な例と略同様の開閉処理が行われる。ただし、図4のSB6にて第2検知感度低下処理が実行された後に行われる図6のSD5の過負荷基準値の設定については、実行中の第2検知感度低下処理に基づいて設定される。
以上のような具体的な例に対応する処理により、状況に応じた過負荷基準値及び判定基準値の設定を行うことができるので、シャッター装置1の使用におけるユーザの利便性を向上させることが可能となる。
(効果)
このように実施の形態によれば、過負荷基準値設定部84bが、第2判定部84eにて開閉機40の駆動部が過負荷状態であると判定された場合には、当該判定後に行われる開閉移動における判定のための過負荷基準値を、直近の開閉移動における判定のために設定された過負荷基準値よりも高い負荷量を示す値に設定する第1検知感度低下処理を行い、第1検知感度低下処理を行った後、第2判定部84eにて開閉機40の駆動部が過負荷状態でないと判定された開閉移動が複数回継続した場合には、次順の開閉移動における判定のための過負荷基準値を、当該判定以前に行った少なくとも一つの第1検知感度低下処理を解除した上で設定するので、開閉機40の駆動部が過負荷状態になった後に過負荷状態でなくなるまでの間に限り、過負荷状態になる前の過負荷基準値よりも高い負荷量を示す過負荷基準値を設定することができる。これにより、開閉機40の駆動部が過負荷状態になった後の開閉移動において開閉機40の駆動部が過負荷状態であることを頻繁に検知することを回避できると共に、上記開閉機40の駆動部が過負荷状態でなくなった後の開閉移動において開閉機40の駆動部が過負荷状態であることを正確に検知することができるので、シャッター装置1の使用におけるユーザの利便性を向上させることが可能になる。
また、過負荷基準値設定部84bが、第1検知感度低下処理を行った後、第2判定部84eにて開閉機40の駆動部が過負荷状態でないと判定された開閉移動が過負荷基準値の設定に用いられる負荷量の個数と同じ回数継続した場合には、次順の開閉移動における判定のための過負荷基準値を、当該判定以前に行った少なくとも一つの第1検知感度低下処理を解除した上で設定するので、過負荷状態が検知された後に第1検知感度低下処理が解除されるまで行われる開閉移動を、開閉機40の駆動部が過負荷状態でなくなった信憑性の高い必要最低限の回数行うことができ、第1検知感度低下処理の解除を適切なタイミングで行うことが可能となる。
また、過負荷基準値設定部84bが、第2判定部84eにて開閉機40の駆動部が過負荷状態であると判定された場合には、当該判定後に行われる開閉移動における判定のための過負荷基準値のうちすべての移動区間に対応する過負荷基準値の各々を、直近の開閉移動における判定のために設定された過負荷基準値よりも高い負荷量を示す値に設定する第1検知感度低下処理を行うので、開閉機40の駆動部が過負荷状態であると判定された移動区間に対応する過負荷基準値のみを高い負荷量を示す値に設定する場合に比べて、簡易な処理で設定できるので、過負荷検知システムの処理負荷を低減することが可能となる。
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。例えば、制御装置80を、相互に通信可能に構成された複数の装置に分散して構成し、これら複数の装置の一部に制御部84を設けると共に、これら複数の装置の他の一部に記憶部85を設けてもよい。
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
(シャッター装置について)
上記実施の形態では、シャッター装置1が、回転数検知部70を備えると説明したが、これに限られない。例えば、開閉機40の駆動部の負荷量を検知可能な検知手段であればよく、一例として、開閉機40の駆動部の電圧値又は電流値を検知可能な検知装置であってもよい。この場合には、この駆動部の電圧値又は電流値については、電圧値又は電流値が高いほど駆動部の負荷量が高いことを示し、電圧値又は電流値が低いほど駆動部の負荷量が低いことを示す。このため、例えば、図4のSB1において、第1検知感度低下処理を実行して過負荷基準値を設定する場合には、SB1の処理直前に設定されている過負荷基準値のうちすべての移動区間に対応する過負荷基準値の各々から当該取得した第1補正値を加算した値を、設定すべき過負荷基準値として設定することになる(なお、図4のSB6の過負荷基準値の設定、図6のSD4における第4補正値を用いた学習値の設定、図6のSD6における第1検知感度低下処理、第2検知感度低下処理、又は第3検知感度低下処理が実行されている場合の過負荷基準値の設定についても同様とする)。
(開閉移動について)
上記実施の形態では、「開閉移動」とは、全開状態から全閉状態になるようにシャッターカーテン30を移動させることを意味すると説明したが、これに限られない。例えば、全閉状態から全開状態になるようにシャッターカーテン30を移動させることであってもよい。この場合には、図3の開閉処理のSA4にてシャッターカーテン30の状態が全閉状態であるか否かを判定し、図3の開閉処理のSA8にてシャッターカーテン30の状態が全開状態であるか否かを判定する。あるいは、半開状態から全閉状態(又は全開状態)になるように、シャッターカーテン30を移動させることであってもよい。この場合には、図3の開閉処理のSA4にてシャッターカーテン30の状態が半開状態であるか否かを判定し、図3の開閉処理のSA8にてシャッターカーテン30の状態が全開状態(又は全開状態)であるか否かを判定する。あるいは、全閉状態(又は全開状態)から半開状態になるように、シャッターカーテン30を移動させることであってもよい。この場合には、図3の開閉処理のSA4にてシャッターカーテン30の状態が全開状態(又は全開状態)であるか否かを判定し、図3の開閉処理のSA8にてシャッターカーテン30の状態が半開状態であるか否かを判定する。
(補正値について)
上記実施の形態では、第3補正値又は第4補正値は、一定の値であると説明したが、これに限られない。例えば、SA7にて取得された移動区間毎の駆動部の回転数(具体的には平滑化前の駆動部の回転数)であって、SD2にて駆動部の回転数が判定基準値よりも低い負荷量であると判定された移動区間に対応する駆動部の回転数のうち判定基準値よりも低い負荷量である値の個数に応じて異なる値に設定してもよい。
(開閉処理について)
上記実施の形態では、SA8にて全閉状態であると判定されてからSA18の処理が行われると説明したが、これに限られず、例えば、開閉移動中において各移動区間を通過する毎に、SA18の処理を行ってもよい。
(第1設定処理について)
上記実施の形態では、SB3〜SB7の処理が行われると説明したが、これに限られず、例えば、SB3〜SB7の処理を省略してもよい。この場合には、図3の開閉処理のSA15、図5の解除処理のSC4、SC5の処理も省略できる。
また、上記実施の形態では、SB1において、過負荷状態であると判定された後に行われる開閉移動における判定のための過負荷基準値を設定する際に、SA10において開閉機40の駆動部が過負荷状態であると判定された後に行われる開閉移動における判定のための過負荷基準値のうちすべての移動区間に対応する過負荷基準値の各々を、直近の開閉移動における判定のための過負荷基準値よりも高い負荷量を示す値に設定すると説明したが、これに限られない。例えば、SA10において開閉機40の駆動部が過負荷状態であると判定された後に行われる開閉移動における判定のための過負荷基準値のうち一部の移動区間(一例として、判定された移動区間、又はその前後の移動区間等)に対応する過負荷基準値の各々を、直近の開閉移動における判定のための過負荷基準値よりも高い負荷量を示す値に設定してもよい(なお、SB6の過負荷基準値の設定についても同様とする)。
また、上記実施の形態では、SB1において、過負荷状態であると判定された後に行われる開閉移動における判定のための過負荷基準値を設定する際に、SB1の処理直前に設定されている過負荷基準値のうちすべての移動区間に対応する過負荷基準値の各々から当該取得した第1補正値を減算した値を、設定すべき過負荷基準値として設定すると説明したが、これに限られない。例えば、SB1の処理直前に設定されている過負荷基準値よりも高い負荷量を示す値に設定すればよいので、一例として、SB1の処理直前に設定されている過負荷基準値のうちすべての移動区間に対応する過負荷基準値の各々に所定の係数(具体的には、1よりも小さい係数)を乗じた値を、設定すべき過負荷基準値として設定してもよい(なお、SB6の過負荷基準値の設定、SD5における第1検知感度低下処理から第3検知感度低下処理に基づいた過負荷基準値の設定についても同様とする)。
また、上記実施の形態では、SB1において、過負荷状態であると判定された後に行われる開閉移動における判定のための過負荷基準値を設定すると説明したが、これに限られない。例えば、SB1では過負荷基準値の設定を行わずに、SD5における次順の開閉移動における判定のための過負荷基準値を設定する際に、第1検知感度低下処理を実行した上で設定してもよい(なお、SB6の過負荷基準値の設定についても同様とする)。
(第2設定処理について)
上記実施の形態では、SD3にて第3補正値及び第4補正値を取得すると説明したが、これに限られず、例えば、第3補正値のみを取得してもよい。この場合には、SD4にて第4補正値を用いて学習値が設定されないことから、SD5にて第4補正値を用いずに設定された学習値に基づいて過負荷基準値が設定される。
また、上記実施の形態では、SD5において、第3検知感度低下処理を実行した上で次順の開閉移動における判定のための過負荷基準値を設定する際に、SD2にて判定基準値よりも低い負荷量であると判定された移動区間及びその前後の移動区間に対応する過負荷基準値を、直近の開閉移動における判定のために設定された過負荷基準値よりも高い負荷量を示す値に設定すると説明したが、これに限られられない。例えば、SD2にて判定基準値よりも低い負荷量であると判定された移動区間のみに対応する過負荷基準値、又はすべての移動区間に対応する過負荷基準値を、直近の開閉移動における判定のために設定された過負荷基準値よりも高い負荷量を示す値に設定してもよい。
(付記)
付記1の過負荷検知システムは、建物の開口部の開閉を行うためのシャッターカーテンを駆動させる駆動手段の過負荷状態を検知するための過負荷検知システムであって、前記シャッターカーテンによって前記開口部を全開した全開状態又は前記シャッターカーテンによって前記開口部を全閉した全閉状態のいずれか一方から他方になるように、前記シャッターカーテンを開閉移動させる毎に、前記駆動手段の負荷量を、前記シャッターカーテンの開閉移動の移動区間毎に取得する取得手段と、前記シャッターカーテンを開閉移動させる毎に、前記シャッターカーテンの次順の開閉移動において前記駆動手段が過負荷状態であるか否かを判定する際の指標となる負荷量である過負荷基準値を、次順の開閉移動より前の開閉移動において前記取得手段によって取得された前記負荷量を少なくとも含む負荷量に基づいて、前記移動区間毎に設定する過負荷基準値設定手段と、前記シャッターカーテンを開閉移動させる毎に、前記取得手段によって取得された前記負荷量及び前記過負荷基準値設定手段にて設定された前記過負荷基準値に基づいて、前記駆動手段が過負荷状態であるか否かを判定する判定手段と、を備え、前記過負荷基準値設定手段は、前記判定手段にて前記駆動手段が過負荷状態であると判定された場合には、当該判定後に行われる開閉移動における判定のための前記過負荷基準値を、次順の開閉移動より一つ前の開閉移動である直近の開閉移動における判定のために設定された前記過負荷基準値よりも高い負荷量を示す値に設定する検知感度低下処理を行い、前記検知感度低下処理を行った後、前記判定手段にて前記駆動手段が過負荷状態でないと判定された開閉移動が複数回継続した場合には、次順の開閉移動における判定のための前記過負荷基準値を、当該判定以前に行った少なくとも一つの前記検知感度低下処理を解除した上で設定する。
付記2の過負荷検知システムは、付記1に記載の過負荷検知システムにおいて、前記過負荷基準値設定手段は、直近の開閉移動及びそれ以前の開閉移動において前記取得手段によって取得された複数の前記負荷量に基づいて、前記過負荷基準値を設定し、前記検知感度低下処理を行った後、前記判定手段にて前記駆動手段が過負荷状態でないと判定された開閉移動が前記過負荷基準値の設定に用いられる前記負荷量の個数と同じ回数継続した場合には、次順の開閉移動における判定のための前記過負荷基準値を、当該判定以前に行った少なくとも一つの前記検知感度低下処理を解除した上で設定する。
付記3の過負荷検知システムは、付記1又は2に記載の過負荷検知システムにおいて、前記過負荷基準値設定手段は、前記判定手段にて前記駆動手段が過負荷状態であると判定された場合には、当該判定後に行われる開閉移動における判定のための前記過負荷基準値のうちすべての前記移動区間に対応する過負荷基準値の各々を、直近の開閉移動における判定のために設定された前記過負荷基準値よりも高い負荷量を示す値に設定する前記検知感度低下処理を行う。
(付記の効果)
付記1に記載の過負荷検知システムによれば、過負荷基準値設定手段が、判定手段にて駆動手段が過負荷状態であると判定された場合には、当該判定後に行われる開閉移動における判定のための過負荷基準値を、直近の開閉移動における判定のために設定された過負荷基準値よりも高い負荷量を示す値に設定する検知感度低下処理を行い、検知感度低下処理を行った後、判定手段にて駆動手段が過負荷状態でないと判定された開閉移動が複数回継続した場合には、次順の開閉移動における判定のための過負荷基準値を、当該判定以前に行った少なくとも一つの検知感度低下処理を解除した上で設定するので、駆動手段が過負荷状態になった後に過負荷状態でなくなるまでの間に限り、過負荷状態になる前の過負荷基準値よりも高い負荷量を示す過負荷基準値を設定することができる。これにより、駆動手段が過負荷状態になった後の開閉移動において駆動手段が過負荷状態であることを頻繁に検知することを回避できると共に、上記駆動手段が過負荷状態でなくなった後の開閉移動において駆動手段が過負荷状態であることを正確に検知することができるので、シャッター装置の使用におけるユーザの利便性を向上させることが可能になる。
付記2に記載の過負荷検知システムによれば、過負荷基準値設定手段が、検知感度低下処理を行った後、判定手段にて駆動手段が過負荷状態でないと判定された開閉移動が過負荷基準値の設定に用いられる負荷量の個数と同じ回数継続した場合には、次順の開閉移動における判定のための過負荷基準値を、当該判定以前に行った少なくとも一つの検知感度低下処理を解除した上で設定するので、過負荷状態が検知された後に検知感度低下処理が解除されるまで行われる開閉移動を、駆動手段が過負荷状態でなくなった信憑性の高い必要最低限の回数行うことができ、検知感度低下処理の解除を適切なタイミングで行うことが可能となる。
付記3に記載の過負荷検知システムによれば、過負荷基準値設定手段が、判定手段にて駆動手段が過負荷状態であると判定された場合には、当該判定後に行われる開閉移動における判定のための過負荷基準値のうちすべての移動区間に対応する過負荷基準値の各々を、直近の開閉移動における判定のために設定された過負荷基準値よりも高い負荷量を示す値に設定する検知感度低下処理を行うので、駆動手段が過負荷状態であると判定された移動区間に対応する過負荷基準値のみを高い負荷量を示す値に設定する場合に比べて、簡易な処理で設定できるので、過負荷検知システムの処理負荷を低減することが可能となる。