以下に添付図面を参照して、この発明に係る開閉制御システムの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念について説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、建物の開口部の開閉を行うためのシャッターカーテンの開閉制御を行う開閉制御システムに関するものである。
ここで、「建物」とは、その具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、戸建て住宅、アパートやマンションの如き集合住宅、オフィスビル、商業施設、及び公共施設等を含む概念である。また、「建物の開口部」とは、建物の躯体の一部分(例えば、壁等)において窓や入り口を設置するために形成された開口部である。また、シャッターカーテン及び開閉制御システムを備えるシャッター装置は、防犯や防火のために、建物の開口部に取り付けられる装置であり、例えば、重量シャッター等の自重で閉鎖移動することが可能な全ての形式のシャッターを含む概念である。また、シャッター装置の開閉方向については、例えば上下方向等が該当する。また、シャッター装置の駆動方式は任意であり、例えば、「電動式のシャッター」が該当する。また、「シャッター装置の状態」とは、例えば、シャッターカーテンを電動で閉鎖移動状態とした「電動閉鎖状態」、シャッターカーテンを電動で開放移動状態とした「電動開放状態」、シャッターカーテンの電動による閉鎖移動又は開放移動を停止させた状態とした「電動停止状態」、シャッターカーテンを自重で閉鎖移動状態とした「自重閉鎖状態」、及び、開閉制御システムを後述するトリガ信号の入力が受け付けられる前の状態に復旧させた状態とした「復旧状態」を含む概念である。また、「閉鎖移動状態」とは、開口部の閉鎖方向(実施形態では下方向)に向けてシャッターカーテンが閉鎖移動している状態を意味し、「開放移動状態」とは、開口部の開放方向(実施形態では上方向)に向けてシャッターカーテンが開放移動している状態を意味する。以下、実施の形態では、シャッター装置が、商業施設の如き建物内の所定の部屋における通路側の壁に設けられた上下開閉式且つ電動式の重量シャッターである場合について説明する。
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1に係る開閉制御システムについて説明する。この実施の形態1は、後述する防災信号又は後述する自重閉鎖信号の入力が受け付けられた場合に、シャッターカーテンの下端部が床面に到達するまでシャッターカーテンを自重で閉鎖移動させる形態である。
(構成)
最初に、実施の形態1に係る開閉制御システムが適用されるシャッター装置の構成について説明する。以下の説明では、図1のX方向をシャッター装置の左右方向又は幅方向(−X方向をシャッター装置の左方向、+X方向をシャッター装置の右方向)、図1のY方向をシャッター装置の上下方向(+Y方向をシャッター装置の上方向、−Y方向をシャッター装置の下方向)、X方向及びY方向に直交する方向を前後方向(図1の紙面の手前側に至る方向をシャッター装置の前方向(部屋の室外側の方向)、図1の紙面の奥側に至る方向をシャッター装置の後方向(部屋の室内側の方向))と称する。
図1に示すように、このシャッター装置1は、概略的に、シャッター収納部10、ガイドレール20、シャッターカーテン30、開閉機40、巻取り軸(図示省略)、火災報知システム50、及び開閉制御システム60を備えて構成されている。ただし、シャッター装置1に関する特記しない構成については、従来と同様であるものとして説明を省略する。
(構成−シャッター収納部)
シャッター収納部10は、シャッター装置1の各部を収納するための中空体である。図1に示すように、このシャッター収納部10は、部屋の壁における開口部2の上端部よりも上方に設置されており、具体的には、部屋の天井3よりも上方に設置されている。また、このシャッター収納部10の内部には、開閉機40、巻取り軸、並びに、開閉制御システム60の後述する自動閉鎖装置70、後述する連動中継器140、後述する下限検知部100、後述する上限検知部90、及び後述するコードリール120が収容されていると共に、巻取り軸にてシャッターカーテン30が巻上げられた状態では、シャッターカーテン30の少なくとも一部も、シャッター収納部10の内部に収容される。なお、このシャッター収納部10の下方側に位置する天井3において、シャッターカーテン30を中心とする部屋の室外側及び室内側には、まぐさ(図示省略)が固定されている。これらまぐさの相互間には、開口部2の左右方向全長にわたるまぐさ開口(図示省略)が形成されており、このまぐさ開口を介してシャッターカーテン30の出し入れが行われる。
(構成−ガイドレール)
ガイドレール20は、シャッターカーテン30を開口部2の開閉方向(上下方向)に沿って移動するように案内するものである。このガイドレール20は、横断面形状が略コ字状となるように形成された長尺体であり、シャッター装置1の左右の各端部において、上下方向に略沿う方向で配置されており、部屋の壁に対して直接的に固定されており、又は下地材(図示省略)を介して間接的に固定されている。
(構成−シャッターカーテン)
シャッターカーテン30は、巻取り軸によって閉鎖移動又は開放移動されることで、シャッターカーテン30の状態を開口部2を全開した状態(以下、「全開状態」と称する)、開口部2を全閉した状態(以下、「全閉状態」と称する)、あるいは、開口部2の一部を開いて、当該開口部2の他の一部を閉じている状態(以下、「半開状態」と称する)とする遮蔽手段である(なお、実施の形態1においては、「半開状態」では、シャッターカーテン30は停止した状態であるとして説明する)。このシャッターカーテン30は、複数のスラット31を備えて構成されており、各スラット31の上下の両端部に形成された嵌合部(図示省略)を介して複数のスラット31が相互に嵌合接続されている。また、このシャッターカーテン30の左右方向の両端部の各々は、ガイドレール20のコ字状の開放端部を介してガイドレール20の内部に挿入されており、上下方向においてはガイドレール20の内部をスライド移動可能であり、かつ、前後方向においてはガイドレール20の外部に脱落しないように規制されている。また、このシャッターカーテン30の下端部には、座板32が接続されている。この座板32は、シャッターカーテン30の状態が全閉状態である場合において部屋の床面と近接し、又は接触するように配置されたものであり、シャッターカーテン30の下端部の左右方向全長にわたって形成されている。
(構成−開閉機)
開閉機40は、巻取り軸の回転を制御することによってシャッターカーテン30を閉鎖移動又は開放移動させる開閉移動手段であり、出力軸、減速部、調速部、ブレーキ、及び駆動部を備えて構成されている(いずれも図示省略)。なお、この開閉機40は、例えば公知の開閉機等によって構成することができるので、その詳細な説明は省略する。
出力軸は、駆動部から伝達された回転力を巻取り軸に伝達するためのものであり、出力軸の一部が外部に向けて突出するように設置されており、当該突出した部分に取り付けられたチェーン(図示省略)を介して巻取り軸に連結されている。減速部は、駆動部の回転速度を減速させて、出力軸に回転力を伝達させるためのものである。調速部は、出力軸を介して出力軸の回転速度を調整するためのものである。ブレーキは、出力軸への作用によりシャッターカーテン30の自重による閉鎖移動(自重降下)を停止するためのものである。このブレーキには、ブレーキによるシャッターカーテン30の自重による閉鎖移動の停止状態を解放するための解放操作部(図示省略)が外部に露出するように取り付けられている。また、駆動部は、出力軸を電動で回転させるための駆動手段である。このような構成により、駆動部を電動駆動させることにより回転力が出力軸に入力されると、当該入力された回転力が出力軸を介して巻取り軸に伝達されるので、シャッターカーテン30を電動で閉鎖移動又は開放移動させることができる。また、火災発生時等に開閉制御システム60の後述する自動閉鎖装置70が作動することにより、解放操作部が後述する自動閉鎖装置70によって解放操作されると(例えば、解放操作部が自動閉鎖装置70によって引かれて解放される等)、ブレーキによるシャッターカーテン30の自重による閉鎖移動の停止状態が解放されて、シャッターカーテン30を自重で閉鎖移動させることができる。この場合において、調速部によって出力軸の回転速度が低速になるように調速されるため、シャッターカーテン30の自重による閉鎖移動の速度が低減される。
(構成−巻取り軸)
巻取り軸は、シャッターカーテン30を閉鎖移動又は開放移動させるための回動軸であり、例えば公知の巻取り軸等を用いて構成されている。この巻取り軸は、左右方向に沿って設置されており、具体的には、巻取り軸の左端部近傍部分がシャッター収納部10の左面に対して固定具によって回転可能に固定されていると共に、この巻取り軸の右端部近傍部分がシャッター収納部10の右面に対して固定具によって回転可能に固定されている。また、この巻取り軸にはシャッターカーテン30の上端に連結された連結スラット(図示省略)が接続されており、この巻取り軸を回転させることで、連結スラットを介してシャッターカーテン30を閉鎖移動又は開放移動させることができる。また、この巻取り軸の左端部がチェーンを介して開閉機40の出力軸に連結されているので、開閉機40の出力軸の回転に伴って巻取り軸を回転させることができる。
(構成−火災報知システム)
次に、開閉制御システム60と連動させる火災報知システム50の構成について説明する。ただし、火災報知システム50は従来と同様に構成することが可能であり、特記しない構成及び処理については従来と同様であるものとする。この火災報知システム50は、建物に設定された監視領域における火災発生を感知して報知するシステムであり、火災感知器51(例えば、熱感知器、煙感知器等)と、防災盤52を備えて構成されている。火災感知器51は、監視領域における火災発生を感知した場合に、防災盤52に感知信号(例えば、熱感知信号、煙感知信号等)を出力する。防災盤52は、火災感知器51から感知信号を受信した場合に、警報音の出力や火災表示灯の点灯を行うと共に、防災信号を開閉制御システム60の後述する連動中継器140に出力する。ここで、「防災信号」とは、後述する連動中継器140に対して、建物で火災が発生した場合に、シャッターカーテン30を自重で閉鎖させるように、シャッターカーテン30の開閉制御を開始するトリガとなる信号(トリガ信号)であり、実施の形態1では、火災感知器51によって所定量以上の煙が検知された旨を示す煙信号や、火災感知器51によって所定温度以上の熱が検知された旨を示す熱信号等を含む概念である。
(構成−開閉制御システム)
次に、開閉制御システム60の構成について説明する。図1に示すように、開閉制御システム60は、自動閉鎖装置70、手動閉鎖装置80、上限検知部90、下限検知部100、座板スイッチ110、コードリール120、切替部130、及び連動中継器140を備えて構成されている。
(構成−開閉制御システム−自動閉鎖装置)
自動閉鎖装置70は、開閉機40のブレーキを解放させることにより、シャッターカーテン30を自重閉鎖させるブレーキ解放手段であり、例えば公知の自動閉鎖装置等を用いて構成されている。ここで、「開閉機40のブレーキを解放させる」とは、開閉機40のブレーキを開閉機40の出力軸に作用させないことを意味する。この自動閉鎖装置70は、具体的には、連動中継器140の後述する出力部142から配線4を介して受信した制御信号に基づいて、開閉機40の解放操作部を解放操作することにより開閉機40のブレーキを解放させることで、シャッターカーテン30を自重で閉鎖移動させたり、あるいは、開閉機40の解放操作部を解放操作される前の状態に戻すことにより開閉機40のブレーキを作用させることで、シャッターカーテン30の自重による閉鎖移動を停止させる。
(構成−開閉制御システム−手動閉鎖装置)
手動閉鎖装置80は、シャッター装置1の状態を制御するための操作入力を受け付ける操作手段である。この手動閉鎖装置80は、例えば公知の手動閉鎖装置等を用いて構成されており、図1に示すように、電動開放ボタン81、電動閉鎖ボタン82、電動停止ボタン83、非常作動ボタン84、及び復旧ボタン85を備えている。ここで、電動開放ボタン81は、シャッターカーテン30を電動で開放移動状態にするための制御(以下、「電動開放制御」と称する)の操作入力を受け付ける電動開放操作手段であり、電動開放ボタン81が操作された場合には、電動開放制御の操作入力が受け付けられた旨を示す電動開放信号を出力する。電動閉鎖ボタン82は、シャッターカーテン30を電動で閉鎖移動状態にするための制御(以下、「電動閉鎖制御」と称する)の操作入力を受け付ける電動閉鎖操作手段であり、電動閉鎖ボタン82が操作された場合には、電動閉鎖制御の操作入力が受け付けられた旨を示す電動閉鎖信号を出力する。電動停止ボタン83は、シャッターカーテン30の電動による閉鎖移動又は開放移動を停止するための制御(以下、「電動停止制御」と称する)の操作入力を受け付ける電動停止操作手段であり、電動停止ボタン83が操作された場合には、電動停止制御の操作入力が受け付けられた旨を示す電動停止信号を出力する。非常作動ボタン84は、シャッターカーテン30を自重で閉鎖移動状態にするための制御(以下、「自重閉鎖制御」と称する)の操作入力を受け付ける自重閉鎖操作手段であり、非常作動ボタン84が操作された場合には、自重閉鎖制御の操作入力が受け付けられた旨を示す自重閉鎖信号を出力する。また、復旧ボタン85は、後述する連動中継器140の入力部141によって防災信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられた後に、開閉制御システム60を防災信号の入力が受け付けられる前の状態に復旧させるための制御(以下、「復旧制御」と称する)の操作入力を受け付ける復旧操作手段であり、復旧ボタン85が操作された場合には、復旧制御の操作入力が受け付けられた旨を示す復旧信号を出力する。また、この手動閉鎖装置80の設置位置については、人が手動閉鎖装置80を容易に操作できる位置である限り任意に決定することができ、例えば、人が部屋の床面に立った状態で手動閉鎖装置80に手が届く位置(具体的には、部屋の壁のうち、部屋の床面から所定距離(例えば1m等)上方に向けて離れた位置等)に設置されている。
(構成−開閉制御システム−上限検知部、下限検知部)
上限検知部90は、シャッターカーテン30の下端部が部屋の天井3面と面一となる位置(以下、「上限位置」と称する。)に達しているか否かを検出する上限検知手段である。また、下限検知部100は、シャッターカーテン30の下端部が、部屋の床面近傍に設定された位置(例えば、床面から所定距離(数cm)だけ上方側に設定された位置等。以下、「下限位置」と称する。)に達しているか否かを検出する下限検知手段である。これら上限検知部90及び下限検知部100は、例えばカウンター式のリミットスイッチ等の公知の検知センサを用いて構成されており、開閉機40の近傍位置にそれぞれ設置されている。また、これら上限検知部90及び下限検知部100が開閉機40の出力軸の回転数を検出するカウンター式のリミットスイッチである場合の検知動作を行う方法については、例えば、上限検知部90においては、開閉機40の出力軸の回転数が、シャッターカーテン30の下端部が開口部2の下端部から上限位置に到達するまでに必要な必要回転数に達していない場合には、上限検知信号を出力しないが、開閉機40の出力軸の回転数が上記必要回転数に達している場合には、上限検知信号を出力する。また、下限検知部100においては、開閉機40の出力軸の回転数が、シャッターカーテン30の下端部が開口部2の上端部から下限位置に到達するまでに必要な必要回転数に達していない場合には、下限検知信号を出力しないが、開閉機40の出力軸の回転数が上記必要回転数に達している場合には、下限検知信号を出力する。
(構成−開閉制御システム−座板スイッチ)
座板スイッチ110は、シャッターカーテン30の閉鎖移動時において、シャッターカーテン30の下端部が、障害物に接触したことを検知する障害物センサである。この座板スイッチ110は、例えば公知の座板スイッチ等を用いて構成されており、座板32に取り付けられている。ここで、この座板スイッチ110の検知動作については、例えば、シャッターカーテン30の開閉移動時にシャッターカーテン30の下端部が障害物に接触して当該シャッターカーテン30に対して相対的に上方に持ち上げられた場合に、その持ち上げられた変位がマイクロスイッチ等によって検知されることにより、障害物が検知された旨を示す障害物検知信号を出力する。なお、座板スイッチ110の具体的な構成について任意であるが、例えば、座板スイッチ110に代えて、障害物を検知するための任意の検知手段を用いることができ、具体的には、超音波センサ、静電容量センサや光学センサによって、シャッターカーテン30の下端部よりも下方に障害物が存在することを検知してもよい。
(構成−開閉制御システム−コードリール)
コードリール120は、シャッターカーテン30の昇降に伴って座板スイッチ110が上下動しても、座板スイッチ110と連動中継器140とを有線通信可能に接続する配線4の巻出し長さが常に適切な長さに維持されるように、配線4の巻上げ又は巻出しを行うものであり、例えば公知のコードリール等を用いて構成されている。
(構成−開閉制御システム−切替部)
切替部130は、手動閉鎖装置80によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、後述する連動中継器140の入力部141によって防災信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられる前には、シャッター装置1を第1状態にする第1制御とし、後述する連動中継器140の入力部141によって防災信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられた場合には、シャッター装置1を第2状態にする第2制御に切り替える切替手段である。この切替部130は、例えば公知のリレー回路等を用いて構成されており、連動中継器140の近傍に設けられており、手動閉鎖装置80及び連動中継器140の各々と相互に接続されている。
ここで、切替部130、手動閉鎖装置80、及び連動中継器140の接続方法については任意であるが、実施の形態1においては、まず、後述する連動中継器140の入力部141が手動閉鎖装置80から出力された各種の信号を切替部130を介して入力できるように接続されている。具体的には、図2に示すように、電動開放信号を出力するための配線4a(以下、「電動開放配線4a」と称する)を介して、電動開放ボタン81、切替部130、及び後述する入力部141が接続されている。また、電動閉鎖信号を出力するための配線4b(以下、「電動閉鎖配線4b」と称する)を介して電動閉鎖ボタン82、切替部130、及び後述する入力部141が接続されている。また、電動停止信号を出力するための配線4c(以下、「電動停止配線4c」と称する)を介して電動停止ボタン83、切替部130、及び後述する入力部141が接続されている。また、自重閉鎖信号を出力するための配線4d(以下、「第1自重閉鎖配線4d」と称する)を介して非常作動ボタン84、切替部130、及び後述する入力部141が接続されている。また、復旧信号を出力するための配線4e(以下、「第1復旧配線4e」と称する)を介して復旧ボタン85、切替部130、及び後述する入力部141が接続されている。また、電動開放信号、電動閉鎖信号、電動停止信号、自重閉鎖信号、又は復旧信号を出力させるために用いられる配線4f(以下、「共通配線4f」と称する)を介して電動開放ボタン81、電動閉鎖ボタン82、電動停止ボタン83、非常作動ボタン84、及び復旧ボタン85、切替部130、並びに後述する入力部141が接続されている。
また、電動開放ボタン81によって受け付けられる操作入力に対応する制御を電動開放制御から復旧制御に切り替えることができる。具体的には、図2に示すように、電動開放配線4aと接続された配線であって復旧信号を出力するための配線4g(以下、「第2復旧配線4g」と称する)を介して切替部130及び後述する入力部141が接続されている。この場合において、電動開放信号の出力と復旧信号の出力との切り替えが行えるように、図2に示すように、切替部130には電動開放ボタン側リレー131が設けられており、この電動開放側リレー131は、電動開放配線4aの接続切替のための電動開放スイッチ131aと、第2復旧配線4gの接続切替のための復旧スイッチ131bとを備えている(なお、これら電動開放スイッチ131a及び復旧スイッチ131bは、相互に連動して動作する)。これにより、例えば、電動開放スイッチ131aによって電動開放配線4aが接続されているものの、復旧スイッチ131bによって第2復旧配線4gが接続されていない場合には、電動開放ボタン81が操作されると、電動開放ボタン81から出力される信号を電動開放信号として後述する入力部141に入力することできる(すなわち、電動開放ボタン81によって受け付けられる操作入力に対応する制御は、電動開放制御となる)。また、電動開放ボタン側リレー131が切り替え制御されていることで、復旧スイッチ131bによって第2復旧配線4gが接続されているものの、電動開放スイッチ131aによって電動開放配線4aが接続されていない状態に切り替えられた場合には、電動開放ボタン81が操作されると、電動開放ボタン81から出力される信号を復旧信号として後述する入力部141に入力することできる(すなわち、電動開放ボタン81によって受け付けられる操作入力に対応する制御は、復旧制御となる)。
また、電動閉鎖ボタン82によって受け付けられる操作入力に対応する制御を電動閉鎖制御から自重閉鎖制御に切り替えることができる。具体的には、図2に示すように、電動閉鎖配線4bと接続された配線であって自重閉鎖信号を出力するための配線4h(以下、「第2自重閉鎖配線4h」と称する)を介して切替部130及び後述する入力部141が接続されている。この場合において、電動閉鎖信号の出力と自重閉鎖信号の出力との切り替えが行えるように、図2に示すように、切替部130には電動閉鎖ボタン側リレー132が設けられており、この電動閉鎖ボタン側リレー132は、電動閉鎖配線4bの接続切替のための電動閉鎖スイッチ132aと、第2自重閉鎖配線4hの接続切替のための自重閉鎖スイッチ132bとを備えている(なお、これら電動閉鎖スイッチ132a及び復旧スイッチ131bは、相互に連動して動作する)。これにより、例えば、電動閉鎖スイッチ132aによって電動閉鎖配線4bが接続されているものの、自重閉鎖スイッチ132bによって第2自重閉鎖配線4hが接続されていない場合には、電動閉鎖ボタン82が操作されると、電動閉鎖ボタン82から出力される信号を電動閉鎖信号として後述する入力部141に入力することできる(すなわち、電動閉鎖ボタン82によって受け付けられる操作入力に対応する制御は、電動閉鎖制御となる)。また、電動閉鎖ボタン側リレー132が切り替え制御されていることで、自重閉鎖スイッチ132bによって第2自重閉鎖配線4hが接続されているものの、電動閉鎖スイッチ132aによって電動閉鎖配線4bが接続されていない状態に切り替えられた場合には、電動閉鎖ボタン82が操作されると、電動閉鎖ボタン82から出力される信号を自重閉鎖信号として後述する入力部141に入力することできる(すなわち、電動閉鎖ボタン82によって受け付けられる操作入力に対応する制御は、自重閉鎖制御となる)。
(構成−開閉制御システム−連動中継器)
図1に戻り、連動中継器140は、シャッター装置1の各部を相互に連動させるものである。この連動中継器140は、開閉機40、自動閉鎖装置70、手動閉鎖装置80、上限検知部90、下限検知部100、座板スイッチ110、切替部130、及び火災報知システム50の防災盤52と配線4を介して電気的に接続されており、図3に示すように、入力部141、出力部142、電源部143、制御部144、及び記憶部145を備えている。
入力部141は、防災信号及び自重閉鎖信号の入力を受け付ける入力手段であり、例えば公知の入力端子等を用いて構成されている。また、この入力部141は、防災信号及び自重閉鎖信号に加えて、他の信号の入力を受け付けることができるように、手動閉鎖装置80、防災盤52、座板スイッチ110、切替部130、及び防災盤52の各々と配線4を介して接続されている。
出力部142は、信号を自動閉鎖装置70又は開閉機40の駆動部に出力する出力手段であり、例えば公知の出力端子等を用いて構成されており、配線4を介して自動閉鎖装置70又は開閉機40の駆動部と接続されている。
電源部143は、図示しない商用電源又は電池(例えば、バッテリ等)から供給された電力を、連動中継器140の各部に供給すると共に、開閉機40、自動閉鎖装置70、手動閉鎖装置80、上限検知部90、下限検知部100、及び切替部130にも供給する電源手段である。
制御部144は、連動中継器140の各部を制御する制御手段であると共に、手動閉鎖装置80からの信号に基づいてシャッター装置1の状態を制御する制御手段である。この制御部144は、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。なお、この制御部144によって実行される処理の詳細については後述する。
記憶部145は、連動中継器140の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段である。この記憶部145は、書き換え可能な記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体を用いることができる。
(開閉処理)
次に、このように構成された開閉制御システム60によって実行される開閉処理について説明する。以下の説明では、図4に示す各処理の説明ではステップを「S」と略記する。開閉処理は、シャッターカーテン30の開閉制御を行うための処理である。この開閉処理においては、概略的には、シャッターカーテン30を閉鎖移動又は開放移動させるために、開閉機40の駆動部を電動駆動させたり、又は自動閉鎖装置70を作動させる処理が行われる。また、この開閉処理における開閉機40のブレーキの動作については、具体的には、「開閉機40のブレーキを作用させる」こと、「開閉機40のブレーキを機械的に解放させる」こと、「開閉機40のブレーキを電気的に解放させる」こと、が含まれる。ここで、「開閉機40のブレーキを作用させる」とは、開閉機40の図示しない付勢手段(例えば、スプリング等)による付勢力を用いて、開閉機40のブレーキを開閉機40の出力軸に対して効かせることを意味する。また、「開閉機40のブレーキを機械的に解放させる」とは、開閉機40のブレーキを作用させた状態において、自動閉鎖装置70によって開閉機40の解放操作部が解放操作されることにより、開閉機40の付勢手段による付勢力に抗して、開閉機40のブレーキを解放することで、開閉機40のブレーキを開閉機40の出力軸に対して効かせないことを意味する。また、「開閉機40のブレーキを電気的に解放させる」とは、開閉機40のブレーキを作用させた状態において、開閉機40の電磁クラッチ(図示省略)が電気的に操作されることにより、開閉機40の付勢手段による付勢力に抗して、開閉機40のブレーキを解放することで、開閉機40のブレーキを開閉機40の出力軸に対して効かせないことを意味する。また、この開閉処理を実行するタイミングは任意であるが、実施の形態1では、開閉機40、火災報知システム50の火災感知器51、及び防災盤52、並びに、開閉制御システム60の自動閉鎖装置70、手動閉鎖装置80、上限検知部90、下限検知部100、及び連動中継器140の電源が投入された後に起動されるものとして説明する(なお、実施の形態2の開閉処理においては、これら装置の電源の投入に加えて、後述する防煙可能位置検知部150の電源が投入されることで起動される)。また、この開閉処理の前提としては、具体的には、シャッターカーテン30の状態が全開状態であって、開閉機40のブレーキを作用させることで、シャッターカーテン30を停止させていること、切替部130の切替状態として、手動閉鎖装置80の電動開放ボタン81によって受け付けられる操作入力に対応する制御を電動開放制御とすると共に、手動閉鎖装置80の電動閉鎖ボタン82によって受け付けられる操作入力に対応する制御を電動閉鎖制御とすること、として説明する。
開閉処理が起動されると、シャッター装置1を通常のシャッター装置として機能させることができるように、連動中継器140の制御部144は、図4に示すように、SA1からSA4の処理を行う。
まず、SA1において連動中継器140の制御部144は、入力部141によって防災信号(具体的には、煙信号や熱信号)の入力が防災盤52から受け付けられたか否かを判定する。そして、連動中継器140の制御部144は、防災信号の入力が受け付けられていないと判定された場合(SA1、No)にSA2に移行し、防災信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SA1、Yes)にSA5に移行する。なお、実施の形態1では、防災盤52からの防災信号の入力は、感知器51から感知信号が受信された後に防災盤52に設けられた復旧ボタン(図示省略)が管理者等によって操作されるまで継続して受け付けられるものとする。
SA2において連動中継器140の制御部144は、入力部141によって自重閉鎖信号の入力が手動閉鎖装置80の非常作動ボタン84から受け付けられたか否かを判定する。ここで、自重閉鎖信号の入力が受け付けられる状況としては、例えば、建物で火災が発生している場合に、部屋の内部に煙が流入することを抑制するために、建物にいる操作者が非常作動ボタン84を操作することにより、自重閉鎖信号の入力が受け付けられることが該当する。そして、連動中継器140の制御部144は、自重閉鎖信号の入力が受け付けられていないと判定された場合(SA2、No)にSA3に移行し、自重閉鎖信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SA2、Yes)にSA5に移行する。
SA3において連動中継器140の制御部144は、入力部141よって電動閉鎖信号、電動開放信号、電動停止信号、上限検知信号、下限検知信号、又は障害物検知信号の入力が手動閉鎖装置80、上限検知部90、下限検知部100、座板スイッチ110から受け付けられたか否かを判定する。そして、連動中継器140の制御部144は、電動閉鎖信号、電動開放信号、電動停止信号、上限検知信号、下限検知信号、又は障害物検知信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SA3、Yes)、SA4に移行し、電動閉鎖信号、電動開放信号、電動停止信号、上限検知信号、下限検知信号、又は障害物検知信号の入力が受け付けられていないと判定された場合(SA3、No)にSA1に移行する。
SA4において連動中継器140の制御部144は、開閉機40によって、SA3にて入力が受け付けられた電動閉鎖信号、電動開放信号、電動停止信号、上限検知信号、下限検知信号、又は障害物検知信号に基づいて、シャッターカーテン30を電動で閉鎖移動又は開放移動させたり、あるいは、シャッターカーテン30の電動による閉鎖移動又は開放移動を停止させる。その後、連動中継器140の制御部144は、SA1に移行する。
ここで、SA3にて電動閉鎖信号、電動開放信号、又は電動停止信号の入力が受け付けられた場合には、以下に示す方法で制御が行われる。具体的には、SA3にて電動閉鎖信号又は電動開放信号の入力が受け付けられた場合には、連動中継器140の出力部142を介して開閉機40に向けて制御信号を出力することにより、開閉機40のブレーキを電気的に解放させると共に、開閉機40の駆動部を駆動させることで、シャッターカーテン30を電動で閉鎖移動又は開放移動させる。この場合において、例えば、SA3にて電動閉鎖信号又は電動開放信号の入力が受け付けられた後に建物にいる操作者が手動閉鎖装置80の電動閉鎖ボタン82又は電動開放ボタン81を操作することなくシャッターカーテン30を電動で閉鎖移動又は開放移動できるように、入力部141による電動閉鎖ボタン82又は電動開放ボタン81の入力の受け付けが停止した場合においても、連動中継器140の出力部142を介して開閉機40に向けて制御信号を出力することにより、開閉機40の駆動部を駆動させることで、シャッターカーテン30の電動による閉鎖移動又は開放移動を継続させてもよい。また、シャッターカーテン30が電動で閉鎖移動又は開放移動している場合に、電動停止信号の入力が受け付けられた場合には、出力部142を介して開閉機40に制御信号を出力することにより、開閉機40の駆動部の駆動を停止させると共に、開閉機40のブレーキを作用させることで、シャッターカーテン30の電動による閉鎖移動又は開放移動を停止させる。
また、入力部141によって上限検知信号、下限検知信号、又は障害物検知信号の入力が受け付けられた場合には、以下に示す方法で制御が行われる。例えば、シャッターカーテン30が電動で開放移動している場合に、入力部141によって上限検知信号の入力が上限検知部90から受け付けられた場合には、出力部142を介して開閉機40に制御信号を出力することにより、開閉機40の駆動部の駆動を停止させると共に、開閉機40のブレーキを作用させることで、シャッターカーテン30の電動による開放移動を停止させる。また、シャッターカーテン30が電動で閉鎖移動している場合に、入力部141によって下限検知信号の入力が下限検知部100から受け付けられた後、さらに、シャッターカーテン30の下端部が部屋の床面と接触したことにより、入力部141によって障害物検知信号の入力が座板スイッチ110から受け付けられた場合には、出力部142を介して開閉機40に制御信号を出力することにより、開閉機40の駆動部の駆動を停止させると共に、開閉機40のブレーキを作用させることで、シャッターカーテン30の電動による閉鎖移動を停止させる(いわゆる、「タッチストップ動作」を行う)。また、シャッターカーテン30が電動で閉鎖移動している場合に、入力部141によって下限検知信号の入力が下限検知部100から受け付けられる前に、入力部141によって障害物検知信号の入力が座板スイッチ110から受け付けられた場合には、出力部142を介して開閉機40に制御信号を出力することにより、開閉機40の駆動部の駆動を停止させると共に、開閉機40のブレーキを作用させることで、シャッターカーテン30の電動による閉鎖移動を一旦停止させる。次いで、シャッターカーテン30の下端部の位置が現状の位置よりも上方位置となるように、開閉機40のブレーキを電気的に解放させると共に、開閉機40の駆動部を所定時間駆動させる。そして、再び開閉機40の駆動部の駆動を停止させると共に、開閉機40のブレーキを作用させることで、シャッターカーテン30の電動による閉鎖移動を停止させる(いわゆる「タッチアップ動作」を行う)。あるいは、これに限られず、入力部141によって下限検知信号の入力が下限検知部100から受け付けられる前に、入力部141によって障害物検知信号の入力が座板スイッチ110から受け付けられた場合には、出力部142を介して開閉機40に制御信号を出力することにより、開閉機40の駆動部の駆動を停止させると共に、開閉機40のブレーキを作用させることで、シャッターカーテン30の電動による閉鎖移動を停止させてもよい(いわゆる「タッチストップ動作」を行う)。なお、入力部141によって下限検知信号の入力が下限検知部100から受け付けられる前に、タッチアップ動作又はタッチストップ動作が行われた場合には、SA1の防災信号の入力、SA2の自重閉鎖信号の入力、又はSA3の電動開放信号若しくは電動閉鎖信号の入力が受け付けられるまで、シャッターカーテン30を停止させた状態を維持する。このような処理により、例えば、シャッターカーテン30が電動で閉鎖移動している場合に、建物にいる人等に危害が生じることを防止できる。
これらSA1からSA4までの処理により、SA1にて防災信号の入力が受け付けられたり、又はSA2にて自重閉鎖信号の入力が受け付けられるまでの間、図1に示すように、開口部2の上端部の位置から下限位置までの開閉範囲H1で、シャッターカーテン30を電動で閉鎖移動又は開放移動させることができるので、シャッター装置1を通常のシャッター装置として機能させることが可能となる。
図4に戻り、次に、SA1又はSA2において、入力部141によって防災信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられた場合に、シャッターカーテン30を自重で閉鎖移動させることができるように、連動中継器140の制御部144は、図4に示すように、SA5からSA11の処理を行う。
図4に示すように、まず、SA5において連動中継器140の制御部144は、手動閉鎖装置80の電動停止ボタン83、電動開放ボタン81、及び電動閉鎖ボタン82の操作モードを切り替える。
ここで、電動停止ボタン83の操作モードの切替方法については、実施の形態1では、従来の操作モードの切替方法と同様に切り替える。具体的には、入力部141によって電動停止信号の入力を受け付ける制御から、入力部141によって電動停止信号の入力を受け付けない制御に切り替える。これにより、SA1又はSA2において、入力部141によって防災信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられた後に、操作者が誤って電動停止ボタン83を操作した場合でも、シャッターカーテン30の自重による閉鎖移動を妨げることを防止できる。なお、この操作モードの切り替えによってシャッター装置1の状態が変わらないことから、当該操作モードの切り替えはシャッター装置1の状態を切り替えるものではないと言える。
また、電動開放ボタン81の操作モードの切替方法については、建物にいる操作者が電動開放ボタン81を誤って操作した場合に、SA1又はSA2において防災信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられた後の状況に応じた制御を行うことができるように、従来の操作モードの切替方法と異なるように切り替える。具体的には、切替部130の電動開放スイッチ131a及び復旧スイッチ131bによって、電動開放配線4aが接続されている状態であり、且つ第2復旧配線4gが接続されていない状態から、電動開放配線4aが接続されていない状態であり、且つ第2復旧配線4gが接続されている状態に切り替えることで、電動開放制御から復旧制御に切り替える。これにより、例えば、火災が消火された後にシャッターカーテン30の状態が全閉状態である場合において、操作者が誤って電動開放ボタン81を操作した場合に、復旧制御及び電動開放制御を行うことができるので、シャッターカーテン30の状態を確実に全開状態にすることが可能となる。
また、電動閉鎖ボタン82の操作モードの切替方法については、実施の形態1では、建物にいる操作者が電動閉鎖ボタン82を誤って操作した場合に、SA1又はSA2において防災信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられた後の状況に応じた制御を行うことができるように、従来の操作モードの切替方法と異なるように切り替える。具体的には、切替部130の電動閉鎖スイッチ132a及び自重閉鎖スイッチ132bによって、電動閉鎖配線4bが接続されている状態であり、且つ第2自重閉鎖配線4hが接続されていない状態から、電動閉鎖配線4bが接続されていない状態であり、且つ第2自重閉鎖配線4hが接続されている状態に切り替えることで、電動閉鎖制御から自重閉鎖制御に切り替える。これにより、例えば、火災時においてシャッターカーテン30の状態が半開状態である場合に、操作者が誤って電動閉鎖スイッチ132aを操作した場合には、自重閉鎖制御を行うことができ、シャッターカーテン30の状態を確実に全閉状態にすることが可能となる。
SA6において連動中継器140の制御部144は、シャッターカーテン30の下端部が部屋の床面に到達したか否かを判定する。ここで、シャッターカーテン30の下端部が部屋の床面に到達したか否かの判定方法については、実施の形態1では、入力部141によって下限検知信号の入力が下限検知部100から受け付けられた後に、入力部141によって障害物検知信号の入力が座板スイッチ110から受け付けられたか否かを判定し、下限検知信号の入力が受け付けられた後に障害物検知信号の入力が受け付けられた場合には、シャッターカーテン30の下端部が部屋の床面に到達したと判定し、下限検知信号の入力が受け付けられた後に障害物検知信号の入力が受け付けられていない場合(又は下限検知信号の入力が受け付けられていない場合)には、シャッターカーテン30の下端部が部屋の床面に到達していないと判定する。そして、連動中継器140の制御部144は、シャッターカーテン30の下端部が部屋の床面に到達していないと判定された場合(SA6、No)図5に示す自重閉鎖処理(SA7)を起動し、シャッターカーテン30の下端部が部屋の床面に到達したと判定された場合(SA6、Yes)にSA8に移行する。
(開閉処理−自重閉鎖処理)
次に、図4に示す自重閉鎖処理(SA7)について説明する。自重閉鎖処理は、シャッターカーテン30を自重で閉鎖移動させるための処理である。
図5に示すように、まず、SB1において連動中継器140の制御部144は、入力部141によって障害物検知信号の入力が座板スイッチ110から受け付けられたか否かを判定する。そして、連動中継器140の制御部144は、障害物検知信号の入力が受け付けられていないと判定された場合(SB1、No)にSB2に移行し、障害物検知信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SB1、Yes)にSB4に移行する。
SB2において連動中継器140の制御部144は、入力部141によって復旧信号の入力が手動閉鎖装置80の復旧ボタン85又は電動開放ボタン81から受け付けられたか否かを判定する。そして、連動中継器140の制御部144は、復旧信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SB2、Yes)に図4のSA10に移行し、復旧信号の入力が受け付けられていないと判定された場合(SB2、No)にSB3に移行する。
SB3において連動中継器140の制御部144は、自動閉鎖装置70によって、シャッターカーテン30を自重で閉鎖移動させる。具体的には、連動中継器140の制御部144は、連動中継器140の出力部142を介して自動閉鎖装置70に制御信号を出力して、開閉機40のブレーキを機械的に解放させることで、シャッターカーテン30を自重で閉鎖移動させる。その後、連動中継器140の制御部144は、図4のSA6に移行する。
SB4において連動中継器140の制御部144は、自動閉鎖装置70によって、シャッターカーテン30の自重による閉鎖移動を停止させる。具体的には、シャッターカーテン30が自重で閉鎖移動している場合に、連動中継器140の制御部144は、自動閉鎖装置70によって開閉機40の解放操作部を解放操作される前の状態に戻すことにより、開閉機40のブレーキが機械的に解放された状態から開閉機40のブレーキを作用させた状態に切り替えることで、シャッターカーテン30の自重による閉鎖移動を一旦停止させる。次いで、シャッターカーテン30の下端部の位置が現状の位置よりも上方位置となるように、開閉機40のブレーキを電気的に解放させると共に、開閉機40の駆動部を所定時間駆動させる。そして、再び開閉機40の駆動部の駆動を停止させると共に、開閉機40のブレーキを作用させることで、シャッターカーテン30の電動による閉鎖移動を停止させる(いわゆる「タッチアップ動作」を行う。あるいは、これに限らず、上述したように、図4のSA4における「タッチストップ動作」を行ってもよい。特に、停電時においては、「タッチアップ動作」を行うことができないので、「タッチストップ動作」を行う。)。
SB5において連動中継器140の制御部144は、入力部141によって自重閉鎖信号の入力が手動閉鎖装置80の非常作動ボタン84又は電動閉鎖ボタン82から受け付けられたか否かを判定する。そして、連動中継器140の制御部144は、自重閉鎖信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SB5、Yes)にSB3に移行し、自重閉鎖信号の入力が受け付けられていないと判定された場合(SB5、No)にSB6に移行する。
SB6において連動中継器140の制御部144は、SB1にて受け付けられた障害物検知信号の入力が座板スイッチ110から受け付けられなくなってから所定時間(例えば10sec等)が経過したか否かを判定する。そして、連動中継器140の制御部144は、上記所定時間が経過したと判定されていない場合(SB6、No)にはSB5に移行し、上記所定時間が経過したと判定された場合(SB6、Yes)には、SB3に移行する。
以上のような処理により、SB1にて障害物検知信号の入力が受け付けられたことで、シャッターカーテン30の自重による閉鎖移動が停止している場合に、SB6にて所定時間が経過するまでに、建物にいる操作者が手動閉鎖装置80の非常作動ボタン84又は電動閉鎖ボタン82を操作することで、シャッターカーテン30の自重による閉鎖移動を再開させることができるので、SB5の処理を行わない場合に比べて、シャッターカーテン30の状態を迅速に全閉状態にすることが可能となる。
図4に戻り、SA6にてシャッターカーテン30の下端部が部屋の床面に到達したと判定された後(SA6、Yes)、SA8において連動中継器140の制御部144は、自動閉鎖装置70によって、シャッターカーテン30の自重による閉鎖移動を停止させる。具体的には、シャッターカーテン30が自重で閉鎖移動している場合に、連動中継器140の制御部144は、連動中継器140の出力部142を介して自動閉鎖装置70に制御信号を出力して、自動閉鎖装置70によって開閉機40の解放操作部を解放操作される前の状態に戻すことにより、開閉機40のブレーキが機械的に解放された状態から開閉機40のブレーキを作用させた状態に切り替えることで、シャッターカーテン30の自重による閉鎖移動を停止させる(いわゆる「タッチストップ動作」を行う。なお、後述するSA10のシャッターカーテン30の自重による閉鎖移動の停止についても同様とする)。
SA9において連動中継器140の制御部144は、入力部141によって復旧信号の入力が手動閉鎖装置80の復旧ボタン85又は電動開放ボタン81から受け付けられたか否かを判定する。そして、連動中継器140の制御部144は、復旧信号の入力が受け付けられるまで待機し(SA9、No)、復旧信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SA9、Yes)にSA10に移行する。
SA10において連動中継器140の制御部144は、自動閉鎖装置70によって、シャッターカーテン30の自重による閉鎖移動を停止させたり、又は、開閉機40によって、シャッターカーテン30を電動で開放移動させる。ここで、復旧信号の入力が手動閉鎖装置80の復旧ボタン85から受け付けられた場合には、以下に示す方法で制御が行われる。具体的には、シャッターカーテン30が自重で閉鎖移動している場合に、図5のSB2にて復旧信号の入力が受け付けられた場合には、自動閉鎖装置70によって、シャッターカーテン30の自重による閉鎖移動を停止させる。また、シャッターカーテン30の自重による閉鎖移動が停止している場合に、図5のSB2又はSA9にて復旧信号の入力が受け付けられた場合には、自動閉鎖装置70によって、当該停止させた状態を維持する。また、復旧信号の入力が手動閉鎖装置80の電動開放ボタン81から受け付けられた場合には、以下に示す方法で制御が行われる。具体的には、シャッターカーテン30が自重で閉鎖移動している場合に、図5のSB2にて復旧信号の入力が受け付けられた場合には、シャッターカーテン30の自重による閉鎖移動を停止させた後、開閉機40によって、シャッターカーテン30を電動で開放移動させる(すなわち、復旧制御と併せて電動開放制御を行う。なお、復旧制御のみが行われる場合には、単にシャッターカーテン30の自重による閉鎖移動を停止させる)。また、シャッターカーテン30の自重による閉鎖移動が停止している場合に、図5のSB2又はSA9にて復旧信号の入力が受け付けられた場合には、開閉機40によって、シャッターカーテン30を電動で開放移動させる。
SA11において連動中継器140の制御部144は、手動閉鎖装置80の電動停止ボタン83、電動開放ボタン81、及び電動閉鎖ボタン82の操作モードを切り替える。ここで、電動停止ボタン83、電動開放ボタン81、及び電動閉鎖ボタン82の操作モードの切替方法については、実施の形態1では、SA1の防災信号の入力又はSA2の自重閉鎖信号の入力が受け付けられる前の操作モードに戻すように切り替える。具体的には、電動停止ボタン83の操作モードについては、入力部141によって電動停止信号の入力を受け付けない制御から、入力部141によって電動停止信号の入力を受け付ける制御に切り替える。また、電動開放ボタン81の操作モードについては、切替部130の電動開放スイッチ131a及び復旧スイッチ131bによって、電動開放配線4aが接続されていない状態であり、且つ第2復旧配線4gが接続されている状態から、電動開放配線4aが接続されている状態であり、且つ第2復旧配線4gが接続されていない状態に切り替えることで、復旧制御から電動開放制御に切り替える。また、電動閉鎖ボタン82の操作モードについては、切替部130の電動閉鎖スイッチ132a及び自重閉鎖スイッチ132bによって、電動閉鎖配線4bが接続されていない状態であり、且つ第2自重閉鎖配線4hが接続されている状態から、電動閉鎖配線4bが接続されている状態であり、且つ第2自重閉鎖配線4hが接続されていない状態に切り替えることで、自重閉鎖制御から電動閉鎖制御に切り替える。その後、連動中継器140の制御部144は、SA1に移行する。
これらSA5からSA11までの処理により、SA1又はSA2において、入力部141によって防災信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられた場合に、シャッターカーテン30を下限位置まで自重で閉鎖移動させることができるので、シャッター装置1を防火壁として機能させることができ、部屋の内部に煙や炎が流入することを抑制することが可能となる。
以上のような開閉処理により、シャッター装置1を、通常のシャッター装置として機能させることができると共に、防火壁として機能させることもできる。特に、防災信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられた場合に手動閉鎖装置80によって受け付けられる操作入力に対応する制御を第1制御から第2制御に切り替えることができるので(例えば、電動閉鎖ボタン82によって受け付けられる操作入力に対応する制御を電動閉鎖制御から自重閉鎖制御に切り替えること等)、防災信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられた後に手動閉鎖装置80に対応する制御を第1制御から第2制御に切り替えることにより、操作者が手動閉鎖装置80を誤って操作した場合に当該入力が受け付けられた後の状況に応じた第2制御を行うことができ、操作者の利便性を向上させることができる。
(効果)
このように実施の形態1によれば、手動閉鎖装置80によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、入力部141によって防災信号の入力が受け付けられる前には、シャッター装置1を第1状態にする第1制御とし、入力部141によって防災信号の入力が受け付けられた場合には、シャッター装置1を第2状態にする第2制御に切り替える切替部130を備えているので、防災信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられた後に手動閉鎖装置80に対応する制御を第1制御から第2制御に切り替えることにより、操作者が手動閉鎖装置80を誤って操作した場合に当該入力が受け付けられた後の状況に応じた第2制御を行うことができ、操作者の利便性を向上させることができる。
また、切替部130は、電動閉鎖ボタン82によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、入力部141によって防災信号の入力が受け付けられる前には、電動閉鎖制御とし、入力部141によって防災信号の入力が受け付けられた場合には、自重閉鎖制御とするので、防災信号の入力が受け付けられた場合に電動閉鎖ボタン82によって受け付けられる操作入力に対応する制御を電動閉鎖制御から自重閉鎖制御に切り替えることができるので、例えば、火災時において、シャッターカーテン30の状態が半開状態である場合に、操作者が誤って電動閉鎖ボタン82を操作した場合には、自重閉鎖制御を行うことができ、シャッターカーテン30の状態を確実に全閉状態にすることが可能となる。
また、手動閉鎖装置80からの信号に基づいてシャッター装置1の状態を制御する制御部144を備え、手動閉鎖装置80と制御部144とを切替部130を介して接続したので、例えば、既存のシャッター装置1に対して、当該シャッター装置の制御手段と当該シャッター装置の操作手段とを切替手段を介して接続することで、開閉制御システム60を構築でき、開閉制御システム60の製造コストを低減することが可能となる。
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2に係る開閉制御システムについて説明する。この実施の形態2は、煙信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられた場合に、後述する防煙可能位置検知信号の入力が受け付けられるまでシャッターカーテンを自重で閉鎖移動させた後、熱信号の入力が受け付けられた場合に、シャッターカーテンの下端部が床面に到達するまでシャッターカーテンを自重で閉鎖移動させる(いわゆるシャッターカーテンを二段降下させる)形態である。ただし、この実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
(構成)
まず、実施の形態2に係るシャッター装置の構成を説明する。実施の形態2に係るシャッター装置101は、実施の形態1に係るシャッター装置1とほぼ同様に構成されている。ただし、開閉制御システム60の構成については、下記に示す工夫が施されている。
(構成−開閉制御システム)
次に、開閉制御システム60の構成について説明する。図6に示すように、開閉制御システム60は、自動閉鎖装置70、手動閉鎖装置80、上限検知部90、下限検知部100、防煙可能位置検知部150、座板スイッチ110、コードリール120、切替部130、及び連動中継器140を備えて構成されている。
(構成−開閉制御システム−防煙可能位置検知部)
防煙可能位置検知部150は、シャッターカーテン30の下端部の位置が防煙可能位置Hsに達しているか否かを検出する防煙可能位置検知手段である。ここで、「防煙可能位置Hs」とは、開口部2の上端部と開口部2の下端部との間にある位置であって、建物で火災が発生した場合における煙の広がりを防ぐことが可能な位置を意味する。この「防煙可能位置Hs」の設定方法については任意であるが、実施の形態2では、部屋の床面から1800mm上方に離れた位置を防煙可能位置Hsとして設定する。ただし、これに限られず、例えば、部屋の床面から1800mmを下回る距離上方に離れた位置、又は部屋の床面から1800mmを上回る距離上方に離れた位置を防煙可能位置Hsとして設定してもよい。また、この防煙可能位置検知部150は、例えばカウンター式のリミットスイッチ等の公知の検知センサを用いて構成されており、開閉機40の近傍位置に設置されている。また、この防煙可能位置検知部150が開閉機40の出力軸の回転数を検出するカウンター式のリミットスイッチである場合の検知動作を行う方法については、例えば、開閉機40の出力軸の回転数が、シャッターカーテン30の下端部が開口部2の上端部から防煙可能位置Hsに到達するまでに必要な必要回転数に達していない場合には、防煙可能位置検知検知信号を出力しないが、開閉機40の出力軸の回転数が上記必要回転数に達している場合には、防煙可能位置検知検知信号を出力する。
(開閉処理)
次に、このように構成された開閉制御システム60によって実行される開閉処理について説明する。実施の形態2に係る開閉処理については、図7、図8のSC3からSC6、SC8、SC12からSC16は、図4のSA2からSA11とそれぞれ同様であるので、説明を省略する。
開閉処理が起動されると、図7に示すように、シャッター装置101を通常のシャッター装置として機能させることができるように、連動中継器140の制御部144は、SC1からSC5、SC17の処理を行う。
まず、SC1において連動中継器140の制御部144は、入力部141によって防災信号のうち熱信号の入力が防災盤52から受け付けられたか否かを判定する。そして、連動中継器140の制御部144は、熱信号の入力が受け付けられていないと判定された場合(SC1、No)にSC2に移行し、熱信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SC1、Yes)にSC6と同様の処理であるSC17(すなわち、手動閉鎖装置80の電動停止ボタン83、電動開放ボタン81、及び電動閉鎖ボタン82の操作モードを切り替える)の処理を行い、その後SC12に移行する。このような処理により、入力部141によって熱信号の入力が受け付けられた場合には、図8に示す自重閉鎖処理(SC8)において、シャッターカーテン30の下端部の位置が下限位置に達するように、自動閉鎖装置70によって、シャッターカーテン30を自重で閉鎖移動させることができるので、シャッター装置101を防火壁として迅速に機能させることできる。
SC2において連動中継器140の制御部144は、入力部141によって防災信号のうち煙信号の入力が防災盤52から受け付けられたか否かを判定する。そして、連動中継器140の制御部144は、煙信号の入力が受け付けられていないと判定された場合(SC2、No)にSC3に移行し、熱信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SC2、Yes)にSC6に移行する。
次に、SC2又はSC3において、入力部141によって煙信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられた場合に、シャッター装置101を防煙垂れ壁として機能させることができるように、図7に示すように、連動中継器140の制御部144は、SC6からSC9の処理を行う。
図7に示すように、SC6の処理後、SC7において連動中継器140の制御部144は、入力部141によって防煙可能位置検知信号の入力が防煙可能位置検知部150から受け付けられたか否かを判定する。ここで、防煙可能位置検知信号の入力が受け付けられる状況としては、例えば、シャッターカーテン30の下端部の位置が開口部2の上端部の位置から防煙可能位置Hsと同一の位置又はそれよりも下方位置になることにより、防煙可能位置検知信号の入力が受け付けられることが該当する。そして、連動中継器140の制御部144は、防煙可能位置検知信号の入力が受け付けられていないと判定された場合(SC7、No)にSC8に移行し、防煙可能位置検知信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SC7、Yes)にSC9に移行する。
SC9において連動中継器140の制御部144は、自動閉鎖装置70によって、シャッターカーテン30の自重による閉鎖移動を停止させる。
これらSC6からSC9までの処理により、SC2又はSC3において入力部141によって煙信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられた場合において、図6に示すように、シャッターカーテン30の下端部の位置が開口部2の上端部の位置から防煙可能位置Hsよりも上方位置までの第1閉鎖範囲H2に位置する場合には、シャッターカーテン30を自重で閉鎖移動させることにより、シャッターカーテン30の下端部の位置を防煙可能位置Hsと同一位置にできると共に、SC8、後述するSC10又は後述するSC11にて熱信号又は復旧信号の入力が受け付けられるまで、シャッターカーテン30の下端部の位置を防煙可能位置Hsと同一位置に維持できる。また、シャッターカーテン30の下端部の位置が防煙可能位置Hsよりも下方位置である場合には、SC8、後述するSC10又は後述するSC11にて熱信号、自重閉鎖信号、又は復旧信号の入力が受け付けられるまで、シャッターカーテン30の下端部の位置を現状の位置で維持できる。以上のことから、シャッター装置101を防煙垂れ壁として機能させることでき、火災時において建物にいる人が避難するための空間を確保しやすくなる。
続いて、SC2又はSC3において、入力部141によって煙信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられた場合に、シャッター装置101を防火壁として機能させることができるように、図8に示すように、連動中継器140の制御部144は、SC10からSC15の処理を行う。
図8に示すように、SC10において連動中継器140の制御部144は、入力部141によって防災信号のうち熱信号の入力又は自重閉鎖信号の入力のいずれか一方が防災盤52又は手動閉鎖装置80の非常作動ボタン84若しくは電動閉鎖ボタン82から受け付けられたか否かを判定する。そして、連動中継器140の制御部144は、熱信号の入力又は自重閉鎖信号の入力のいずれか一方が受け付けられていないと判定された場合(SC10、No)にSC11に移行し、熱信号の入力又は自重閉鎖信号の入力のいずれか一方が受け付けられたと判定された場合(SC10、Yes)にSC12に移行する。ここで、SC10の処理の前に、手動閉鎖装置80の電動停止ボタン83、電動開放ボタン81、及び電動閉鎖ボタン82の操作モードをSA1の防災信号の入力又はSA2の自重閉鎖信号の入力が受け付けられる前の操作モードに戻すように切り替えることも考えられる。この場合において、例えば、部屋の中に流入する煙の量が増えてきたことで、操作者がシャッターカーテン30の状態を全閉状態にするために電動閉鎖ボタン82を操作すると、シャッターカーテン30を電動で閉鎖移動させることができる。しかしながら、このシャッターカーテン30が電動で閉鎖移動している途中で座板スイッチ110によって障害物が検知された場合には、上述したように、シャッターカーテン30の電動による閉鎖移動が停止するが、その後SC10にて熱信号等の入力が受け付けられるまでシャッターカーテン30が停止した状態を維持するため、当該熱信号等の入力が受け付けられるまでの間に火災の炎や煙が部屋の中に流入するおそれがあった。そこで、このような問題を解消するために、実施の形態2では、SC10の処理の前では、上記電動停止ボタン83、電動開放ボタン81、及び電動閉鎖ボタン82の操作モードの切り替えを行わず、SC10にて熱信号等の入力が受け付けられると、SC12にてシャッターカーテン30の下端部が部屋の床面に到達したと判定されるまで、自重閉鎖処理(SC8)を行うことにしている。
SC11において連動中継器140の制御部144は、入力部141によって復旧信号の入力が手動閉鎖装置80の復旧ボタン85又は電動開放ボタン81から受け付けられたか否かを判定する。そして、連動中継器140の制御部144は、復旧信号の入力が受け付けられていないと判定された場合(SC11、No)にSC10に移行し、復旧信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SC11、Yes)にSC15に移行する。
これらSC10からSC16までの処理により、SC10において、入力部141によって熱信号の入力又は自重閉鎖信号の入力のいずれか一方が受け付けられた場合に、図6に示すように、シャッターカーテン30の下端部の位置が防煙可能位置Hsと同一位置又はそれよりも下方位置までの第2閉鎖範囲H3に位置する場合には、シャッターカーテン30を下限位置まで自重で閉鎖移動させることができるので、シャッター装置101を防火壁として機能させることでき、部屋の内部に煙や炎が流入することを抑制することが可能となる。
以上のような開閉処理により、シャッター装置101を、通常のシャッター装置及び防火壁として機能させることに加えて、防煙垂れ壁としても機能させることができるので、実施の形態1のシャッター装置1及び防煙垂れ壁の両方を設置する場合に比べて設置コストを低減することが可能となる。
(効果)
このように実施の形態2によれば、シャッター装置101を、通常のシャッター装置、防煙垂れ壁、及び防火壁として機能させる場合において、切替部130は、手動閉鎖装置80によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、入力部141によって防災信号の入力が受け付けられる前には、シャッター装置101を第1状態にする第1制御とし、入力部141によって防災信号の入力が受け付けられた場合には、シャッター装置101を第2状態にする第2制御に切り替えるので、操作者が手動閉鎖装置80を誤って操作した場合に、手動閉鎖装置80に対応する制御の切り替えによって状況に応じた第2制御を行うことができ、操作者の利便性を向上させることができる。
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3に係る開閉制御システムについて説明する。この実施の形態3は、電動開放操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御の切り替えを実施の形態1とは異なるものとした形態である。ただし、この実施の形態3の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
(構成)
まず、実施の形態3に係るシャッター装置の構成を説明する。実施の形態3に係るシャッター装置1は、実施の形態1に係るシャッター装置1とほぼ同様に構成されている。ただし、開閉制御システム60の構成については、下記に示す工夫が施されている。
(構成−開閉制御システム)
次に、開閉制御システム60の構成について説明する。開閉制御システム60は、自動閉鎖装置70、手動閉鎖装置80、上限検知部90、下限検知部100、座板スイッチ110、コードリール120、及び連動中継器140を備えて構成されている。
(構成−開閉制御システム−連動中継器)
連動中継器140は、図9に示すように、入力部141、出力部142、電源部143、制御部144、及び記憶部145を備えている。このうち、制御部144は、概略的に、切替部130を備えて構成されている。切替部130は、例えば、マイコン等を用いて構成されており、マイコン上で解釈実行される各種のプログラムを用いて、手動閉鎖装置80によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、連動中継器140の入力部141によって防災信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられる前には、シャッター装置1を第1状態にする第1制御とし、連動中継器140の入力部141によって防災信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられた場合には、シャッター装置1を第2状態にする第2制御に切り替える。
(開閉処理)
次に、このように構成された開閉制御システム60によって実行される開閉処理について説明する。実施の形態3に係る開閉処理については、図4のSA1からSA4、SA6からSA8、SA10、SA11とそれぞれ同様であるので、説明を省略する。
図4に示すように、SA5において連動中継器140の切替部130は、手動閉鎖装置80の電動停止ボタン83及び電動閉鎖ボタン82の操作モードを切り替える。ここで、電動閉鎖ボタン82の操作モードの切替方法については、実施の形態3では、切替部130で解釈実行される各種のプログラムに基づいて、電動閉鎖ボタン82によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、電動閉鎖制御から自重閉鎖制御に切り替える。
また、SA9において連動中継器140の制御部144は、入力部141によって復旧信号の入力が手動閉鎖装置80の復旧ボタン85又は電動開放ボタン81から受け付けられたか否かを判定する。
ここで、電動開放ボタン81から復旧信号の入力が受け付けられた否かの判定方法については、電動開放ボタン81によって受け付けられる操作入力に対応する制御が復旧制御であるか否かに基づいて判定する(図5のSB2の処理についても同様とする)。具体的には、SA1において防災信号の入力が受け付けられた後、この防災信号の入力が受け付けられていない状態で電動開放ボタン81の操作入力が受け付けられた場合には、切替部130で解釈実行される各種のプログラムに基づいて、上記操作入力に対応する制御を電動開放制御から復旧制御に切り替える。これにより、上記操作入力に対応する制御が復旧制御であるので、復旧信号の入力が受け付けられたと判定する。この場合において、実施の形態3では、電動開放制御から復旧制御に切り替えた場合に復旧制御と併せて電動開放制御を行うものとする(例えば、復旧制御を行った後に電動開放制御を行う等)。これにより、電動開放ボタン81を1回操作するだけで、復旧制御及び電動開放制御を行うことができ、電動開放ボタン81の操作性を向上させることが可能となる(ただし、これに限られず、例えば、単に復旧制御のみを行ってもよい)。また、SA1において防災信号の入力が受け付けられた後、この防災信号の入力が受け付けられている状態で電動開放ボタン81の操作入力が受け付けられた場合には、切替部130で解釈実行される各種のプログラムに基づいて、上記操作入力に対応する制御を電動開放制御から上記操作入力に対応する制御を行わない制御(以下、「非制御」と称する)に切り替える。これにより、上記操作入力に対応する制御が非制御であるので、復旧信号の入力が受け付けられていないと判定する。また、電動開放ボタン81の操作入力が受け付けられていない場合には、復旧信号の入力が受け付けられていないと判定する。以上のような判定方法により、例えば、火災が消火された後にシャッターカーテン30の状態が全閉状態である場合において、操作者が誤って電動開放ボタン81を操作した場合に、復旧制御及び電動開放制御を行うことができるので、シャッターカーテン30の状態を確実に全開状態にすることが可能となる。また、例えば、火災が継続している際にシャッターカーテン30の状態が全閉状態である場合において、操作者が誤って電動開放ボタン81を操作した場合に、非制御を行うことができるので、復旧制御を行うことを防止できる。よって、シャッターカーテン30の電動による開放移動によって火災の炎や煙が流入することを防止できる。
そして、連動中継器140の制御部144は、復旧信号の入力が受け付けられるまで待機し(SA9、No)、復旧信号の入力が受け付けられたと判定された場合(SA9、Yes)にSA10に移行する。
(効果)
このように実施の形態3によれば、切替部130は、電動開放ボタン81によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、入力部141によって防災信号の入力が受け付けられる前には、電動開放制御とし、入力部141によって防災信号の入力が受け付けられた後、防災信号の入力が受け付けられていない状態で電動開放ボタン81の操作入力が受け付けられた場合には、復旧制御とし、入力部141によって防災信号の入力が受け付けられた後、防災信号の入力が受け付けられている状態で電動開放ボタン81の操作入力が受け付けられた場合には、非制御とするので、防災信号の入力が受け付けられていない状態で電動開放ボタン81の操作入力が受け付けられた場合には、電動開放ボタン81によって受け付けられる操作入力に対応する制御を電動開放制御から復旧制御に切り替えることができる。よって、例えば、火災が消火された後にシャッターカーテン30の状態が全閉状態である場合において、操作者が誤って電動開放ボタン81を操作した場合には、復旧制御を行うことができ、シャッターカーテン30の状態を確実に全開状態にすることが可能となる。また、防災信号の入力が受け付けられている状態で電動開放ボタン81の操作入力が受け付けられた場合には、電動開放ボタン81によって受け付けられる操作入力に対応する制御を電動開放制御から非制御に切り替えることができる。よって、例えば、火災が継続している場合に、操作者が誤って電動開放ボタン81を操作した場合には、非制御にすることができ、復旧制御を行うことを防止できるため、シャッターカーテン30の電動による開放移動によって火災の炎や煙が流入することを防止することが可能となる。
また、切替部130は、電動開放ボタン81によって受け付けられる操作入力に対応する制御として復旧制御を行う場合には、当該復旧制御と併せて電動開放制御を行うので、操作者が電動開放ボタン81を1回操作するだけで復旧制御及び電動開放制御を行うことができ、電動開放ボタン81の操作性を向上させることが可能となる。
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、本発明に係るシャッター装置の操作者の利便性が従来と同程度であっても、従来と異なる構造により従来と同程度の操作者の利便性である場合には、本願の課題は解決している。
(上限検知部、下限検知部、防煙可能位置検知部について)
上記実施の形態1から3では、上限検知部90及び下限検知部100は、カウンター式のリミットスイッチであると説明したが、これに限られない。例えば、シャッターカーテン30の下端部の位置が上下位置又は下限位置に達しているか否かを検出できるもの(具体的には、ローラレバー式のリミットスイッチ、光電センサ、音波センサ等)であってもよい(なお、上記実施の形態2の防煙可能位置検知部150についても同様とする)。
(電動開放信号、電動閉鎖信号、電動停止信号、自重閉鎖信号、復旧信号について)
上記実施の形態1から3では、電動開放信号、電動閉鎖信号、電動停止信号、自重閉鎖信号、及び復旧信号は、手動閉鎖装置80から送信されると説明したが、これに限られず、例えば、シャッター装置が設置された部屋から離れた位置からでも遠隔操作によりシャッターカーテン30の開閉制御を行うことができるように、他の部屋又は他の建物に設けられたセンタ装置等の外部装置から送信されてもよい。
(座板スイッチと連動中継器との通信方法について)
上記実施の形態1から3では、座板スイッチ110と連動中継器140との相互間では、コードリール120及び配線4を用いた有線通信が行われると説明したが、これに限られず、例えば、これらコードリール120及び配線4を用いた有線通信に代えて、公知の無線通信(赤外線、電波通信等)が行われてもよい。
(切替部について)
上記実施の形態1、2では、切替部130は、連動中継器140の制御部144と別体に形成されていると説明したが、これに限られず、例えば、部品数を低減するために、連動中継器140の制御部144と一体に形成されてもよい。この場合において、切替部130の具体的な構成については任意であるが、例えば、リレー回路を用いて構成されてもよく、又は、マイコンを用いて構成されてもよい。また、上記実施の形態3では、切替部130は、マイコンを用いて構成されていると説明したが、これに限られず、例えば、リレー回路を用いて構成されてもよい。
また、上記実施の形態1から3では、切替部130は、電動開放ボタン81によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、連動中継器140の入力部141による防災信号の入力の受け付け状態に応じて電動開放制御又は復旧制御に切り替えると説明したが、これに限られない。例えば、電動開放ボタン81によって受け付けられる操作入力に対応する制御の切り替えに代えて(あるいは、電動開放ボタン81によって受け付けられる操作入力に対応する制御の切り替えと並存させながら)、電動停止ボタン83によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、入力部141による防災信号又は自重閉鎖信号の入力の受け付け状態に応じて電動停止制御又は復旧制御に切り替えてもよい。
この場合において、実施の形態1、2に係る切替部130の具体的な構成については、電動停止配線4cが第2復旧配線4gと接続されると共に、切替部130には電動停止ボタン側リレーが設けられる。そして、この電動停止ボタン側リレーは、電動停止配線4cの接続切替のための電動停止スイッチと、復旧スイッチとを備える。このような構成により、電動停止ボタン83によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、電動停止スイッチ及び復旧スイッチによる電動停止配線4c及び第2復旧配線4gの接続状態を切り替えることで、入力部141によって防災信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられる前には、電動停止制御とし、入力部141によって防災信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられた場合には、復旧制御とすることが可能となる。よって、例えば、火災時においてシャッターカーテン30が自重で閉鎖移動している場合において、操作者が誤って電動停止ボタン83を操作した場合に、復旧制御を行うことができ、シャッターカーテン30を確実に停止させることが可能となる。
(開閉処理について)
上記実施の形態1、3では、SA1、SA2の処理が行われると説明したが、これに限られず、例えば、連動中継器140が防災盤52と電気的に接続されていない場合、又は手動閉鎖装置80の非常作動ボタン84を省略する場合には、SA1、SA2のいずれか一方を省略することができる(なお、上記実施の形態2に係るSC2、SC3の処理についても同様とする)。
また、上記実施の形態1、3では、SA2の処理において、自重閉鎖信号の入力が受け付けられたと判定された場合にSA5に移行すると説明したが、これに限られず、例えば、SA5に代えてSA6に移行してもよい。
また、上記実施の形態1、3では、SA4の処理において、SA3にて電動閉鎖信号又は電動開放信号の入力が受け付けられた後、入力部141による電動閉鎖信号又は電動開放信号の入力の受け付けが停止した場合においても、シャッターカーテン30を電動で閉鎖移動又は開放移動させると説明したが、これに限られない。例えば、建物にいる操作者によって手動閉鎖装置80の電動閉鎖ボタン82又は電動開放ボタン81が操作されている間のみ、シャッターカーテン30を電動で閉鎖移動又は開放移動することができるように、入力部141による電動閉鎖ボタン82又は電動開放ボタン81の入力が受け付けられている間のみ、シャッターカーテン30を電動で閉鎖移動又は開放移動させてもよい(なお、上記実施の形態2に係るSC5の処理についても同様とする)。
また、上記実施の形態2では、SC2又はSC3にて煙信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられた場合において、シャッターカーテン30の下端部の位置が防煙可能位置Hsよりも下方位置である場合には、シャッターカーテン30の下端部の位置を現状の位置で維持すると説明したが、これに限られない。例えば、SA1にて防災信号の入力が受け付けられたり、又はSA2にて自重閉鎖信号の入力が受け付けられた場合において、SC2又はSC3にて煙信号又は自重閉鎖信号の入力が受け付けられた場合において、シャッターカーテン30の下端部の位置が防煙可能位置Hsよりも下方位置である場合(具体的には、シャッターカーテン30の下端部の位置が下限位置である場合等)には、建物にいる人が避難できる空間を確保できるように、シャッターカーテン30の下端部の位置が防煙可能位置Hsと同一位置(又はそれよりも若干下方位置)となるように、シャッターカーテン30を電動で開放移動させてもよい。
また、上記実施の形態3では、SA9において、入力部141によって復旧信号の入力が手動閉鎖装置80の電動開放ボタン81から受け付けられたか否かを判定すると説明したが、これに限られない。例えば、電動停止ボタン83によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、入力部141による防災信号又は自重閉鎖信号の入力の受け付け状態に応じて電動停止制御又は復旧制御に切り替える場合には、上述した電動開放ボタン81から復旧信号の入力が受け付けられた否かの判定方法と同様の方法を用いることで、入力部141によって復旧信号の入力が受け付けられたか否かを判定してもよい。この場合には、例えば、上記電動停止ボタン83から復旧信号の入力が受け付けられた後において、SA1における防災信号の入力が継続して受け付けられている状態で上記電動停止ボタン83の操作入力が受け付けられている場合(具体的には、ユーザによって電動停止ボタン83が継続して押されている場合)のみ、電動停止ボタン83によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、復旧制御としてもよい。これにより、上記電動停止ボタン83から復旧信号の入力が受け付けられた後において、SA1における防災信号の入力が継続して受け付けられている状態で上記電動停止ボタン83の操作入力が受け付けられていない場合には、シャッターカーテン30を自重で閉鎖移動させることができる。また、SA1における防災信号の入力が継続して受け付けられている状態で上記電動停止ボタン83の操作入力が受け付けられている場合には、シャッターカーテン30の自重による閉鎖移動を停止させることができ、その後上記電動停止ボタン83の操作入力が受け付けられなくなった場合には、シャッターカーテン30の自重による閉鎖移動を再開させることができる。以上のように、ユーザが電動停止ボタン83を操作している間においてシャッターカーテン30の自重による閉鎖移動を停止させることにより、火災時において建物にいる人が避難するための空間を確保することができ、建物にいる人の安全性を確保できる。また、ユーザが電動停止ボタン83を操作していない間においてシャッターカーテン30を自重で閉鎖移動させることにより、ユーザが手動閉鎖装置80を操作することなくシャッターカーテン30の状態を全閉状態にすることができ、部屋の内部に煙や炎が流入することを抑制できる。したがって、人の安全性とシャッター装置1の防火性とを両立した制御を行うことが可能となる。
(付記)
付記1の開閉制御システムは、建物の開口部を開閉するシャッターカーテンの開閉制御を行う開閉制御システムであって、前記シャッターカーテンを自重で閉鎖させるように、当該シャッターカーテンの開閉制御を開始するトリガとなるトリガ信号の入力を受け付ける入力手段と、前記シャッターカーテンと前記開閉制御システムとを備えるシャッター装置の状態を制御するための操作入力を受け付ける操作手段と、前記操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、前記入力手段によって前記トリガ信号の入力が受け付けられる前には、前記シャッター装置を第1状態にする第1制御とし、前記入力手段によって前記トリガ信号の入力が受け付けられた場合には、前記シャッター装置を第2状態にする第2制御に切り替える切替手段と、を備えた。
付記2の開閉制御システムは、付記1に記載の開閉制御システムにおいて、前記操作手段は、前記シャッターカーテンを電動で閉鎖移動状態にするための電動閉鎖制御の操作入力を受け付ける電動閉鎖操作手段を含み、前記切替手段は、前記電動閉鎖操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、前記入力手段によって前記トリガ信号の入力が受け付けられる前には、前記電動閉鎖制御とし、前記入力手段によって前記トリガ信号の入力が受け付けられた場合には、前記シャッターカーテンを自重で閉鎖移動状態にするための自重閉鎖制御とする。
付記3の開閉制御システムは、付記1又は2に記載の開閉制御システムにおいて、前記操作手段は、前記シャッターカーテンを電動で開放移動状態にするための電動開放制御の操作入力を受け付ける電動開放操作手段を含み、前記切替手段は、前記電動開放操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、前記入力手段によって前記トリガ信号の入力が受け付けられる前には、前記電動開放制御とし、前記入力手段によって前記トリガ信号の入力が受け付けられた場合には、当該開閉制御システムを当該トリガ信号の入力が受け付けられる前の状態に復旧させるための復旧制御とする。
付記4の開閉制御システムは、付記1又は2に記載の開閉制御システムにおいて、前記操作手段は、前記シャッターカーテンを電動で開放移動状態にするための電動開放制御の操作入力を受け付ける電動開放操作手段を含み、前記切替手段は、前記電動開放操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、前記入力手段によって前記トリガ信号の入力が受け付けられる前には、前記電動開放制御とし、前記入力手段によって前記トリガ信号の入力が受け付けられた後、前記トリガ信号の入力が受け付けられていない状態で前記電動開放操作手段の操作入力が受け付けられた場合には、当該開閉制御システムを当該トリガ信号の入力が受け付けられる前の状態に復旧させるための復旧制御とし、前記入力手段によって前記トリガ信号の入力が受け付けられた後、前記トリガ信号の入力が受け付けられている状態で前記電動開放操作手段の操作入力が受け付けられた場合には、当該操作入力に対応する制御を行わないようにする非制御とする。
付記5の開閉制御システムは、付記3又は4に記載の開閉制御システムにおいて、前記切替手段は、前記電動開放操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御として前記復旧制御を行う場合には、当該復旧制御と併せて前記電動開放制御を行う。
付記6の開閉制御システムは、付記1から5のいずれか一項に記載の開閉制御システムにおいて、前記操作手段は、前記シャッターカーテンの電動による閉鎖移動又は開放移動を停止するための電動停止制御の操作入力を受け付ける電動停止操作手段を含み、前記切替手段は、前記電動停止操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、前記入力手段によって前記トリガ信号の入力が受け付けられる前には、前記電動停止制御とし、前記入力手段によって前記トリガ信号の入力が受け付けられた場合には、前記開閉制御システムを当該トリガ信号の入力が受け付けられる前の状態に復旧させるための復旧制御とする。
付記7の開閉制御システムは、付記1から5のいずれか一項に記載の開閉制御システムにおいて、前記操作手段は、前記シャッターカーテンの電動による閉鎖移動又は開放移動を停止するための電動停止制御の操作入力を受け付ける電動停止操作手段を含み、前記切替手段は、前記電動停止操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、前記入力手段によって前記トリガ信号の入力が受け付けられる前には、前記電動停止制御とし、前記入力手段によって前記トリガ信号の入力が受け付けられた後、前記トリガ信号の入力が受け付けられている状態で前記電動停止操作手段の操作入力が受け付けられている場合のみ、当該開閉制御システムを当該トリガ信号の入力が受け付けられる前の状態に復旧させるための復旧制御とする。
付記8の開閉制御システムは、付記1から7のいずれか一項に記載の開閉制御システムにおいて、前記操作手段からの信号に基づいて前記シャッター装置の状態を制御する制御手段を備え、前記操作手段と前記制御手段とを前記切替手段を介して接続した。
(付記の効果)
付記1に記載の開閉制御システムによれば、操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、入力手段によってトリガ信号の入力が受け付けられる前には、シャッター装置を第1状態にする第1制御とし、入力手段によってトリガ信号の入力が受け付けられた場合には、シャッター装置を第2状態にする第2制御に切り替える切替手段を備えているので、トリガ信号の入力が受け付けられた後に操作手段に対応する制御を第1制御から第2制御に切り替えることにより、操作者が操作手段を誤って操作した場合に当該入力が受け付けられた後の状況に応じた第2制御を行うことができ、操作者の利便性を向上させることができる。
付記2に記載の開閉制御システムによれば、切替手段は、電動閉鎖操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、入力手段によってトリガ信号の入力が受け付けられる前には、電動閉鎖制御とし、入力手段によってトリガ信号の入力が受け付けられた場合には、自重閉鎖制御とするので、トリガ信号の入力が受け付けられた場合に電動閉鎖操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御を電動閉鎖制御から自重閉鎖制御に切り替えることができるので、例えば、火災時において、シャッターカーテンの状態が後述する半開状態である場合に、操作者が誤って電動閉鎖操作手段を操作した場合には、自重閉鎖制御を行うことができ、シャッターカーテンの状態を確実に後述する全閉状態にすることが可能となる。
付記3に記載の開閉制御システムによれば、切替手段は、電動開放操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、入力手段によってトリガ信号の入力が受け付けられる前には、電動開放制御とし、入力手段によってトリガ信号の入力が受け付けられた場合には、復旧制御とするので、トリガ信号の入力が受け付けられた場合に電動開放操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御を電動開放制御から復旧制御に切り替えることができる。よって、例えば、火災が消火された後にシャッターカーテンの状態が後述する全閉状態である場合において、操作者が誤って電動開放操作手段を操作した場合には、復旧制御を行うことができ、シャッターカーテンの状態を確実に後述する全開状態にすることが可能となる。
付記4に記載の開閉制御システムによれば、切替手段は、電動開放操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、入力手段によってトリガ信号の入力が受け付けられる前には、電動開放制御とし、入力手段によってトリガ信号の入力が受け付けられた後、トリガ信号の入力が受け付けられていない状態で電動開放操作手段の操作入力が受け付けられた場合には、復旧制御とし、入力手段によってトリガ信号の入力が受け付けられた後、トリガ信号の入力が受け付けられている状態で電動開放操作手段の操作入力が受け付けられた場合には、非制御とするので、トリガ信号の入力が受け付けられていない状態で電動開放操作手段の操作入力が受け付けられた場合には、電動開放操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御を電動開放制御から復旧制御に切り替えることができる。よって、例えば、火災が消火された後にシャッターカーテンの状態が後述する全閉状態である場合において、操作者が誤って電動開放操作手段を操作した場合には、復旧制御を行うことができ、シャッターカーテンの状態を確実に後述する全開状態にすることが可能となる。また、トリガ信号の入力が受け付けられている状態で電動開放操作手段の操作入力が受け付けられた場合には、電動開放操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御を電動開放制御から非制御に切り替えることができる。よって、例えば、火災が継続している場合に、操作者が誤って電動開放操作手段を操作した場合には、非制御にすることができ、復旧制御を行うことを防止できるため、シャッターカーテンの電動による開放移動によって火災の炎や煙が流入することを防止することが可能となる。
付記5に記載の開閉制御システムによれば、切替手段は、電動開放操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御として復旧制御を行う場合には、当該復旧制御と併せて電動開放制御を行うので、操作者が電動開放操作手段を1回操作するだけで復旧制御及び電動開放制御を行うことができ、電動開放操作手段の操作性を向上させることが可能となる。
付記6に記載の開閉制御システムによれば、切替手段は、電動停止操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御を、入力手段によってトリガ信号の入力が受け付けられる前には、電動停止制御とし、入力手段によってトリガ信号の入力が受け付けられた場合には、復旧制御とするので、トリガ信号の入力が受け付けられた場合に電動停止操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御を電動停止制御から復旧制御に切り替えることができるので、例えば、火災時においてシャッターカーテンが自重で閉鎖移動している場合において、操作者が誤って電動停止操作手段を操作した場合には、復旧制御を行うことができ、シャッターカーテンを確実に停止させることが可能となる。
付記7に記載の開閉制御システムによれば、切替手段は、入力手段によってトリガ信号の入力が受け付けられる前には、電動停止操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御を電動停止制御とし、入力手段によってトリガ信号の入力が受け付けられた後、トリガ信号の入力が受け付けられている状態で電動停止操作手段の操作入力が受け付けられている場合のみ、電動停止操作手段によって受け付けられる操作入力に対応する制御を電動停止制御から復旧制御に切り替えることができるので、例えば、電動停止操作手段から復旧信号の入力が受け付けられた後において、トリガ信号の入力が継続して受け付けられている状態で電動停止操作手段の操作入力が受け付けられていない場合には、シャッターカーテンを自重で閉鎖移動させることができる。また、トリガ信号の入力の入力が継続して受け付けられている状態で電動停止操作手段の操作入力が受け付けられている場合には、シャッターカーテンの自重による閉鎖移動を停止させることができ、その後電動停止操作手段の操作入力が受け付けられなくなった場合には、シャッターカーテンの自重による閉鎖移動を再開させることができる。以上のように、ユーザが電動停止操作手段を操作している間においてシャッターカーテンの自重による閉鎖移動を停止させることにより、火災時において建物にいる人が避難するための空間を確保することができ、建物にいる人の安全性を確保できる。また、ユーザが電動停止操作手段を操作していない間においてシャッターカーテンを自重で閉鎖移動させることにより、ユーザが操作手段を操作することなくシャッターカーテンの状態を全閉状態にすることができ、煙や炎が流入することを抑制できる。したがって、人の安全性とシャッター装置の防火性とを両立した制御を行うことが可能となる。
付記8に記載の開閉制御システムによれば、操作手段からの信号に基づいてシャッター装置の状態を制御する制御手段を備え、操作手段と制御手段とを切替手段を介して接続したので、例えば、既存のシャッター装置に対して、当該シャッター装置の制御手段と当該シャッター装置の操作手段とを切替手段を介して接続することで、当該開閉制御システムを構築でき、当該開閉制御システムの製造コストを低減することが可能となる。